説明

光触媒コーティング

約1nm〜約150nmの平均結晶サイズを有し、可視光存在下で光触媒活性を好ましくは有する実質的にアナターゼ型の光触媒二酸化チタン粒子をそれに分散させた有機結合剤を含む浄化セルフクリーニングコーティング組成物が開示される。有利には、本発明のコーティングは予めの活性化を必要とせずに、NO化合物のごとき大気中の汚染物質に対して初期の高光触媒活性を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上に光触媒コーティングを与えるための組成物に関する。より詳細には、本発明は、初期の高光触媒活性を達成するための事前の活性化を必要としない、二酸化チタン粒子を含む浄化セルフクリーニング塗料に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体材料の二酸化チタンの光触媒特性は、紫外線(UV)および近UV照射の影響下、価電子帯から伝導帯への電子昇位に起因する。創製された反応電子−ホール対は、二酸化チタン粒子の表面へ移動し、この表面では、ホールが吸着水を酸化させて反応性ヒドロキシラジカルを生成し、かつ電子が吸着された酸素を還元してスーパーオキシドラジカルを生成し、この双方が、大気中のNOおよび揮発性有機化合物(VOC)を分解できる。これらの特性に徴して、光触媒二酸化チタンは大気から汚染物質を除去するためのコーティング等に使用されている。また、かかるコーティングは、土壌(グリース、白カビ、カビ、藻等)もその表面上で酸化されるので、セルフクリーニングという利点を有し得る。
【0003】
既存の光触媒二酸化チタンコーティングの利点にもかかわらず、当該技術分野における改善の余地が存在する。特に、水での洗浄によってのごとく、コーティングが予め活性化されていない限りは、従来の光触媒二酸化チタンコーティングの初期活性は貧弱であることが観察されている。いずれの理論によっても結び付けられることを望むことなく、この活性化工程は、触媒表面からコーティング組成物に存在する有機成分を除去すること、あるいは反応性ラジカル種が形成される二酸化チタン粒子上の水和された表面を恐らく提供することが必要とされると考えられる。しかしながら、このさらなる工程は、時間消費で、追加コストを適用プロセスに加えるために、光触媒二酸化チタンコーティングの適用をいくらか不都合にする。初期の高活性レベルを達成するような予めの活性化(例えば、洗浄工程または元素に対する曝露)を必要としない光触媒二酸化チタンコーティングを、特に、塗料形態で提供することが望ましい。
【0004】
また、触媒がコーティングのポリマー結合剤を酸化および分解する傾向を有するために、高レベルの光触媒を有するコーティングを提供することは困難であった。この問題は、屋外用塗料の場合のようにコーティングが直射日光からの極度のUV照射に曝される場合に悪化する。かかるコーティングは、比較的低い触媒濃度の光触媒酸化に抵抗性である無機結合剤または有機ポリマーと共にしばしば処方される。しかしながら、低照明条件では、コーティングの汚染除去特性は最適とは言えない。最適な汚染除去のための高レベルの光触媒を組み込み、かつ分解に抵抗性である、低照明環境(例えば、屋内)での使用のためのコーティングを提供し、屋内照明条件下で高触媒活性をさらに提供することが望ましいであろう。
【0005】
前記の記載は単に当該技術分野に直面する課題の性質のより良好な理解を提供するために示され、先行技術に関する承認として何ら解釈されるべきでもなく、また、本明細書のいずれの参考文献の引用も、本願に対する「先行技術」を構成することの承認として解釈されるべきでもない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、大気から汚染物質を除去できる二酸化チタン光触媒を含み、光触媒が事前の活性化なくして初期の高活性を有するコーティング組成物、特に、塗料組成物を提供することが本発明の目的である。さらに、コーティングが、低照明環境、特に、可視光存在下で、汚染除去活性を有する高レベルの光触媒二酸化チタンを有する耐久性コーティングを提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的等により、約1nm(ナノメートル)〜約150nm、特に、約5nm〜約30nm、好ましくは約5nm〜約10nmの範囲にある結晶サイズの二酸化チタンを含むコーティングは、光存在下で初期の高レベルの光触媒活性を達成するために、予めの活性化(例えば、水での洗浄による)を必要としないことを驚くべきことに見出した。本発明のコーティングは、屋内を含めた低照明環境において浄化コーティングとしての使用につき、本発明のコーティングを理想的とする可視光存在下で実質的な光触媒活性を示す。
【0008】
本発明の1つの態様において、セルフクリーニングの浄化コーティング組成物は、(i)好ましくは実質的に純粋なアナターゼ型の約5容積%〜約40容積%の光触媒二酸化チタン、ここに、その光触媒二酸化チタンは約5nm〜約30nmの平均結晶サイズおよび可視光存在下で光触媒活性を有することにより特徴付けられる;(ii)該光触媒二酸化チタンを含めた合計顔料容積濃度(「PVC」)が、少なくとも約65%であるような1以上のさらなる顔料;および(iii)スチレンアクリル共重合体結合剤を含む水性塗料の形態であり、この塗料は、水での事前の活性化の不存在下でNO化合物を実質的に低下できる。
【0009】
本発明のもう一つの態様は、基材上に本発明によるセルフクリーニングの浄化コーティング組成物の層を沈着させ、所望により、5nm〜30nmの範囲の結晶サイズを有する第2の光触媒二酸化チタンを含む該塗料層上に配置した上塗りをさらに含む基材を提供し、この上塗りは、その塗料層にゾルを適用することにより形成される。
【0010】
本発明のもう一つの態様において、大気からNOまたは他の汚染物質を除去するための方法が提供され、この方法は、水性溶媒での洗浄による事前の活性化の有無での、好ましくは、洗浄工程なくして、壁、床、天井等のごとき表面に本発明による浄化コーティングの層を適用することを含み、該コーティングは、UVおよび/または可視光存在下、好ましくは、可視光存在下、大気から汚染物質を実質的に除去し、所望により、該塗料層上に光触媒二酸化チタンを含むゾルの上塗りを適用できる。
【0011】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明および添付図面への参照により、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、「組成物1」は、約5〜10nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンパウダーを含むコーティングであって、「組成物2」は、約15〜25nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンパウダーを含むコーティングである場合の、種々の照明条件下で予め活性化されなかった2つの光触媒二酸化チタンコーティングのNO活性を比較する。
【0013】
【図2】図2は、その上に設けられた種々の光触媒二酸化チタンゾルの上塗り(B〜G)を有する本発明によるスチレンアクリル樹脂光触媒塗料を含む種々のコーティング系のNO活性を比較する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に用いたすべての用語は、特記されない限りはそれらの通常の意味を有することが意図される。「重量%」に対するすべての参照は、特記されない限りは、乾燥塗料よりも、溶媒を含めた合計塗料製剤の重量%に関連する。「容積%」または「顔料容積濃度」に対する参照は、特記されない限りは、乾燥塗料またはコーティングの容積%をいう。「NO」なる用語は、集合的または個々に種NO(窒素酸化物)およびNO(二酸化窒素)をいう。
【0015】
本発明の最も広い意味において、セルフクリーニングの浄化コーティング組成物は、光触媒二酸化チタン粒子、有機結合剤、ならびに所望により、炭酸カルシウムのような1以上のさらなる顔料を含む。そのコーティングは、塗料(屋内用または屋外用)、特に、水性塗料の形態であり得、理想的には、高い(例えば、60%を超える)合計顔料容積濃度(「PVC」)を有するであろう。
【0016】
コーティングまたは塗料は、水での事前の活性化の不存在下でNO化合物を実質的に低下できる。本発明のコーティングは水での事前の活性化の不存在下で汚染物質を実質的に低下できるが、しかしながら、適用後の水での処理によりコーティングを活性化して、さらに光触媒活性を増強することは、本発明の範囲内にあると理解されるであろう。
【0017】
塗料が水での事前の活性化の不存在下に、実質的な「初期の」光触媒活性を有することを言及する場合、基材上に形成された塗料のコーティングが、かかる塗料がサービスに供される前に慣習的に許される程度まで、充分に乾燥し、および/または硬化した直後に(例えば、それは非粘着性であり、接触で容易に移らない等)、塗料がNO化合物に対する実質的な測定可能な活性を有することを意味する。
【0018】
参照が大気からの汚染物質の「除去」になされる場合、大気からの汚染物質の完全または部分的な除去を含むと理解されるであろう。除去が「実質的」であるかどうかは、実施例に提供される方法によって決定でき、「実質的な」除去は、少なくとも約2.5%、好ましくは少なくとも約5%、より好ましくは少なくとも約7.5%の、固定量の所与の汚染物質の合計濃度における低下をいう。
【0019】
本発明のセルフクリーニングの浄化塗料は、電磁放射、特に、紫外線(UV)、近UVおよび/または可視光存在下で電子−ホール対を形成できる光触媒二酸化チタン(TiO)の粒子を含む。好ましくは、光触媒二酸化チタンは、可視光存在下で実質的に光活性であることができる。このために、二酸化チタンの結晶形態および粒子サイズに対する慎重な制御により、溶媒(例えば、水)での洗浄による活性化の不存在下でさえ、低UV光環境、特に、屋内環境で汚染物質を除去でき、かつ実質的な初期活性を有する光触媒を提供することが驚くべきことに発見された。
【0020】
塗料組成物に用いる光触媒二酸化チタン粒子は、ルチル型より高いその光活性のために、好ましくは主に、アナターゼ型結晶である。「主に」とは、塗料の二酸化チタン粒子中のアナターゼのレベルが50質量%を超えることを意味するが、アナターゼレベルは、約80%を超える、より好ましくは、約90%を超えることが好ましい。いくつかの具体例において、塗料の光触媒二酸化チタン粒子は実質的に純粋なアナターゼ型にあり、これは、ルチル型結晶の含量が、約5質量%未満、より詳細には、約2.5質量%未満、依然としてより好ましくは、約1質量%未満であることを意味する。いくつかの具体例において、光触媒二酸化チタン粒子はルチル型がなく、これは、ルチル型結晶が結晶学によって検知できないことを意味する。もう一つの方法では、光触媒二酸化チタン粒子は、100%のアナターゼ型を含み得る。結晶化度および結晶相の性質は、X線回折により測定される。
【0021】
塗料組成物に用いられる光触媒二酸化チタン粒子は典型的には、粒子が、光を散乱させるよりはむしろ、光を主に吸収するのを可能とする平均粒子サイズを有するであろう。粒子サイズが非常に小さくなると、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップは減少する。かくして、充分に小さな粒子サイズでは、二酸化チタン粒子が可視スペクトルにおける光を吸収できることが観察されている。本発明の塗料に包含される二酸化チタン粒子は、典型的には、約1nm〜約150nmの粒子サイズを有するであろう。より典型的には、粒子サイズは、約5nm〜約20nm、約5nm〜約25nm、または約5nm〜約30nmであろう。好ましい具体例において、塗料中の二酸化チタンの粒子サイズは、約5nm〜約15nm、特に、約5〜約10nmであろう。二酸化チタン粒子(またはクリスタライト)のサイズに対する本明細書中の参照は、二酸化チタン粒子の平均粒子サイズを意味すると理解されるであろう。粒子サイズが「約」なる用語により修飾される場合には、示された値より多少大きいかまたは小さな粒子サイズを包含して、当業者に明らかなように、粒子サイズを測定するための異なる方法の間での測定および変動性における本来的な実験誤差を説明すると理解されるであろう。直径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)および、XRDによっても測定し得る。
【0022】
別法として、粒子を表面積により特徴付けし得る。典型的には、粉末の二酸化チタン光触媒は、約70m/gを超える、より典型的には、約100m/gを超える、好ましくは約150m/gを超える、5ポイントBETを含めたいずれかの適当な方法によって測定される表面積を有するであろう。いくつかの具体例において、二酸化チタン光触媒は、約200m/gを超える、約250m/gを超える、またはさらに約300m/gを超える表面積を有するであろう。
【0023】
表示PCS300およびPC500下でMillennium Inorganic Chemicalsから入手可能な光触媒二酸化チタンは、本発明による塗料における包含に特に有用であることが判明した。PCS300は、約5nm〜約10nmの平均結晶サイズを有する100%アナターゼ型二酸化チタンパウダーである。また、PC500は100%アナターゼ型二酸化チタンパウダーであり、それは約82重量%〜約86重量%のTiO含量を有し、かつ、5ポイントBETによって測定される約250〜約300m/gの表面積を有し、これは約5nm〜約10nmの平均粒子サイズに変換される。また、Millennium Inorganic ChemicalsからもPC105と表示された製品は、本発明のいくつかの具体例における有用性を見出すであろう。この光触媒パウダーは、95%重量を超える二酸化チタンを含み、そのTiOは100%アナターゼ型であり、そのパウダーは約15nm〜約25nmの平均結晶サイズおよび約80〜約100m/gの表面積を有する。
【0024】
光触媒二酸化チタンは、典型的には、塗料製剤の約2〜約40容積%を構成するであろう。より典型的には、光触媒二酸化チタンは、塗料の約5容積%〜約20容積%、好ましくは、約7.5容積%〜約15容積%を構成するであろう。代表的な具体例において、光触媒二酸化チタンは、塗料製剤の約10容積%を構成する。前記の量は、乾燥塗料コーティング中の容積百分率よりはむしろ、最終的な塗料製剤(例えば、溶媒を含む)における光触媒の容積を表す。典型的には、塗料製剤中の二酸化チタンの重量パーセントは、約1重量%〜約20重量%、より典型的には、約5重量%〜約10重量%、好ましくは約7.5重量%であろう。
【0025】
2以上の異なる二酸化チタン光触媒を有する塗料を提供することは本発明の範囲内にあり、二酸化チタン光触媒材料の少なくとも1つ、好ましくは各々が、前記の規格を満たす。かくして、例えば、本発明は、2つの異なる二酸化チタンパウダーまたはゾルを組み合わせることにより形成された二峰性(bimodal)光触媒二酸化チタン材料の使用を包含し、ここに、少なくとも1つ、好ましくは双方は、前記に定義された粒子サイズおよび/または表面積を有する。他の具体例において、光触媒は、本明細書に記載された特定の二酸化チタン材料「から実質的になる」であろう。これにより、物質的に異なる活性を有するいずれかのさらなる光触媒が除外されるか、あるいは、塗料の耐久性、浄化またはセルフクリーニング特性に物質的に影響するさらなる光触媒の量が除外されることを意味する。
【0026】
本発明の塗料は、有機結合剤を含む。本発明の最も広範囲の態様において、いずれのポリマー結合剤も使用し得ると考えられる。1つの具体例において、ポリマー結合剤は、限定されるものではないが、天然ラテックス、ネオプレンラテックス、ニトリルラテックス、アクリルラテックス、ビニルアクリルラテックス、スチレンアクリルラテックス、スチレンブタジエンラテックス等のごときラテックス結合剤を含めた水分散性ポリマーである。これらの組成物についての典型的なポリマーは、限定されるものではないが、いくつか例を挙げると、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルアクリレートポリマー(CAS番号70677−00−8)、アクリル酸、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチルポリマー(CAS番号7732−38−6)、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、ヒドロキシエチルアクリレートポリマー(CAS番号25951−38−6)、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ポリマー(CAS番号42398−14−1)、スチレン、アクリル酸ブチルポリマー(CAS番号25767−47−9)、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ポリマーC(CAS番号31071−53−1)、アクリルポリマーおよびカルボキシル化スチレン・ブタジエン重合体を含む。また、1を超える有機結合剤の組み合わせが本発明の実施に有用であると考えられる。
【0027】
特に、有機結合剤は、スチレン/ブタジエンの共重合体、およびアクリル酸のエステルのポリマーおよび共重合体、特に、ポリビニルアクリルおよびスチレンアクリル酸エステルの共重合体中で選定し得る。本発明において、スチレンアクリル共重合体は、そのスチレンアクリル酸エステルの共重合体を含む。商標名ACRONALTM290D(BASF)下で販売されるスチレンアクリルエマルジョンは、本発明の塗料における有機結合剤として特に有用であることが判明した。
【0028】
いくつかの具体例において、本発明の塗料における有機結合剤は、好ましいスチレンアクリル結合剤「より実質的になる」であろう。これにより、有機結合剤としてのスチレンアクリル結合剤のみを含む他の同一の塗料コーティングに比較した、基材上の塗料コーティングの耐久性を物質的に低下させる量のさらなる有機結合剤の存在が除外されることを意味する。
【0029】
いくつかの実施例において、本発明の塗料は、無機結合剤を実質的に含まないであろう。これにより、有機結合剤の不存在下で、無機結合剤のレベルが、基材上で連続的な粘着性フィルムを形成するには充分ではないことを意味する。代表的な具体例において、塗料は、0.5重量%未満、好ましくは約0.2重量%未満、より一層好ましくは約0.1重量%未満の無機結合剤を含む。いくつかの具体例において、本発明の塗料は無機結合剤を含まない。無機結合剤は、限定なくして、例えば、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸リチウムのごときケイ酸アルカリ金属を含む。
【0030】
本発明による塗料はさらに1以上の顔料を含み得る。「顔料」なる用語は、限定なくして、白色顔料を含めて着色剤として使用される顔料、ならびに不透明化剤および「充填剤」のごとき当該技術分野において一般的に知られた成分を包含することを意図する。コーティングに隠蔽力を供することができるいずれの粒子状の有機または無機化合物、特に、非光触媒二酸化チタンのような少なくとも1つの無機化合物が含まれる。光活性ではないかかる二酸化チタン顔料は、ここに出典明示してその開示を本明細書の一部とみなす米国特許第6,342,099号(Millennium Inorganic Chemicals Inc.)に開示されている。特に、二酸化チタン顔料は、Millennium Inorganic Chemicals Ltd. により販売されるTiona(商標)595の粒子であり得る。また、顔料は、充填剤として塗料に典型的に添加される炭酸カルシウムを含む。1つの適当な炭酸カルシウム材料は、商標名Setacarb(商標) 850 OC (Omya)下で販売されるものである。
【0031】
本発明による塗料は、典型的には、しかし必ずではないが、約60%〜約90%、より典型的には約65%〜約80%、好ましくは約70%〜約75%の顔料容積濃度(PVC)を有する。「PVC」なる用語は、組成物中のすべての顔料の容積パーセントの合計をいい、ここに、「顔料」なる用語は、二酸化チタンの全ての型、光触媒性(例えば、PC500)または非光触媒性(例えば、Tiona(商標)595)のいずれでも、ならびに限定なくして、炭酸カルシウムおよび他の粒子充填剤を含めた顔料として当該技術分野において一般的に考えられるいずれの他の成分をも含む。
【0032】
必要ならば、種々の他の化合物を本発明の組成物に添加し得るが、好ましくは、かかる添加は、生じたコーティングの保存性、光活性、耐久性または非染色特性を弱めない。かかるさらなる化合物の例は、石英、方解石、クレー、タルク、バライトおよび/またはNa−Alシリケート等のごとき充填剤;TiO、リトポンおよび他の無機顔料のごとき顔料;いくつか挙げれば、ポリリン酸塩、ポリアクリレート、ホスホン酸塩、ナフテンおよびリグニンスルホネートのごとき分散剤;アニオン、カチオン、両性および/または非イオンの界面活性剤を含めた湿潤剤;例えば、シリコーンエマルジョン、炭化水素および長鎖アルコールのごとき消泡剤;例えば、大部分のカチオン化合物を含めた安定剤;限定なくして、アルカリ安定性エステル、グリコールおよび炭化水素を含めた合体剤;セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよび/またはヒドロキシエチルセルロース)、キサンタンガム、ポリウレタン、ポリアクリレート、化工デンプン、ベントンおよび他の層状ケイ酸塩のようなレオロジー添加剤;アルキルシリコネート、シロキサン、ろう乳剤、脂肪酸Li塩のごときはっ水剤;および通常の殺真菌剤または殺生物剤を含む。
【0033】
実施例1
NO汚染物質を除去するための本発明のコーティングの能力、そのセルフクリーニング特性ならびにその耐久性を3種の水性スチレンアクリル塗料を調製することにより調べた。比較試料の「組成物1」および「組成物2」の各々は、10容積%の光触媒二酸化チタンを含んだが、対照試料には光触媒は存在しなかった。組成物1に用いた光触媒二酸化チタンは、Millennium Inorganic ChemicalsからのPCS300であった。PCS300は、約5〜約10nm(ナノメートル)の平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンパウダーである。組成物2に用いた光触媒二酸化チタンは、Millennium Inorganic ChemicalsからのPC105であり、それは約15〜25nmの平均結晶サイズを有する。PCS300およびPC105の双方は、約100%のアナターゼ含量を有する。完全な塗料製剤を表1に供する。
【0034】
【表1】

【0035】
表1の残りの成分は以下の通りである:増粘剤は、表示Natrosol(商標)250MR (Hercules)下で販売されるヒドロキシエチルセルロースの3%溶液である。消泡剤Foammaster(商標)NXAはHenkel Corpにより販売される自社独自のものである。Setacarb(商標)850 OGは、Omyaから得られる炭酸カルシウム充填剤である。Antiprex(商標)Aは、Ciba Specialty Chemicalsからの水溶性高分子分散剤である。Tiona(商標)T595は、Millennium Inorganic Chemicalsからの顔料の二酸化チタンである。Acronal(商標)290Dは、BASFから入手可能な有機結合剤として用いたスチレンアクリル共重合体ラテックスである。Acronal(商標)290Dは、水中の50重量%の固体を含む。Texanol(商標)は、Eastman Kodakにより販売されるエステルアルコール合体溶媒である。Acticide SPXは、Acti Chem Specialties Inc.からの殺菌剤である。
【0036】
パートAおよびパートBの成分は、高剪断混合下で別々に混合した。次いで、パートAを高剪断混合下でパートBに添加して、完全な塗料を形成する。各塗料試料を基材上に770g/m(コーティングの乾いた重量に基づいた)のカバレッジにて適用し、基材は以下の試験を受けた。
【0037】
I−コーティングによるNO除去の決定
NO除去を測定するための完全な方法は米国特許公開第2007/0167551号に記載され、その開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。略言すると、試料を気密試料室に入れ、密閉した。試料室は、3つのチャンネルガスミキサ(Brooks Instruments, Holland)と連絡し、それを介して、NO(酸化窒素)、NO(二酸化窒素)および水蒸気を含有する圧縮空気を予め決定されたレベルのその試料室に導入する。試料をUV Lamp Model VL-6LM 365 & 312 ナノメーター波長(BDH)からの300〜400nmの範囲の8W/mのUV照射で照らす。NOの初期値および最終値(5分照射後)を試料室に接続したNitrogen Oxides Analyser Model ML9841B (Monitor Europe)によって測定した。NOの%低下を(ΔNO/初期NO)×100として測定した。各試料は予めの活性化なくしておよび予めの活性化を有した場合の調査であった。結果を表2にまとめる。
【0038】
【表2】

【0039】
結果は、約5〜約10nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンパウダーを含む塗料(組成物1)が、光触媒を予め活性化するための従来の洗浄工程なしでさえ、驚くほど高いNO活性を示すことを示す。それに比較して、約15nm〜約25nmの平均結晶サイズを有する二酸化チタンパウダーを含む組成物2は、予めの活性化工程の不存在下で、はるかに小さな程度のNO低下を示す。組成物1および組成物2の双方は、触媒を予め活性化するための洗浄後に、優れたNO除去特性を示す。しかしながら、組成物2試料が予め活性化された場合においてでさえ、予めの活性化のない組成物1は、組成物2より予期せぬことに優れていた。
【0040】
II−メチレンブルーに対するコーティング光活性の決定
メチレンブルーに対する光活性を決定するために使用した方法は、米国特許公開第2007/0167551号に記載されたものと同様であり、その開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなし、その方法は本明細書に記載のごとく変更されている。各塗料試料のセルフクリーニング特性は、有機色素メチレンブルーを分解させるそれらの能力に基づき調べた。その色素が水、二酸化炭素および窒素含有種に対して分解するので、色の損失が観察される。光活性はL(明度)の測定によりモニターされる。プロトコールは以下の通りである:
【0041】
Melinexフィルム、アルミニウムパネルまたはガラス板のごとき適当な基材上に塗膜を調製する。塗膜の厚みは、最終適用に用いたものと同様で、一般的に乾燥時に25ミクロン以上の厚みであろう。塗膜は、少なくとも一晩乾燥させる。
【0042】
1mmol/Lの濃度を得るために1リットルの水に0.3739gを溶解することにより、水中のメチレンブルーの溶液を調製する。塗膜を浸すための適当な皿にメチレンブルー溶液を注ぐ。30〜60分間メチレンブルー溶液に塗膜を浸して、メチレンブルーがTiOの表面上に化学的に吸収されることを保証する。
【0043】
溶液から塗膜を取り出して、吸収ティッシュで過剰分を除去する。塗膜を完全に乾燥させ、次いで、比色計または分光光度計を用いて、明度(L)値を測定する。
【0044】
Atlas Suntestキャビネットにおいてのように30〜60W/m(300〜400nmの波長)の強度にて18〜48時間の期間塗膜をUV光に曝露する。
【0045】
値を再測定する。初期および最終のL測定間の差はコーティングのセルフクリーニング力の尺度である。L値における差が大きい程、セルフクリーニング効果が大きくなる。18時間および36時間照射後の各塗料の結果を表3に以下に示す。
【0046】
【表3】

【0047】
その結果は、約5〜約10nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンパウダーを含む塗料(組成物1)が、18時間および36時間照射後に組成物2より実質的に大きなセルフクリーニング活性を示す。
【0048】
III−コーティング耐久性の決定
塗料の耐久性を決定するための完全な方法は米国特許公開第2007/0167551号に記載されており、その開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。その方法は、340nmにて550W/mのUVを照射する6.5kWキセノン源下、Ci65A Weatherometer (Atlas Electric Devices, Chicago)におけるステンレス鋼基材上の20〜50ミクロンの厚みの塗膜の加速耐候性を含む。試料を約63℃に加熱し、水噴霧を暗サイクルなくして120分毎に18分間適用した。耐久性を曝露後の試料の重量損失の関数として測定する。
【0049】
表4は、1,551時間までの種々の時間間隔での組成物1および組成物2についての耐久性試験の結果を要約する。
【0050】
【表4】

【0051】
表4に示すように、組成物2塗料の耐久性は、約1,000時間の曝露後の低光反応性の組成物1の耐久性と実質的に同一である。組成物2のより高度に光反応性の塗料が、これらの条件下で、低光反応性の組成物1よりもより急速に実質的に劣化することが予期されたので、この結果は期待されないものであった。765時間を終えて、%重量損失は、より活性な組成物1塗料についてわずかに大きく、その最大の差は、約451時間後に観察された。これは、組成物1が組成物2に比較して予めの活性化なくして非常に大きな初期活性を有するという事実のためのようである(表2参照)。しかしながら、耐候性(weathering)において、双方の塗料は、水の存在により充分に活性化されるようになり、その%重量損失は、より長い間隔にて収束することが分かる。加速耐候性の全期間にわたり、組成物1は、組成物2に比較可能な非常に優れた耐久性を示した。
【0052】
III−異なる光源下のNO除去の決定
この実施例のパートIにおいて前記されたNO除去の決定のための手順を使用して、異なる光源下でNOを除去するための塗料試料の組成物1および組成物2のそれぞれの能力を決定した。UVに加えて、低強度の蛍光性の線型照明、日光(ガラスを介してフィルタ処理した)およびOsram白熱光源を使用した。各ケースにおいて塗料を事前の活性化なくして試験した。結果を以下の表(表5)にし、図1に示す。
【0053】
【表5】

【0054】
UV光は、この実施例のパートIに使用したUV Lamp Model VL-6LM 365 & 312ナノメーター波長(BDH)からものであった。蛍光を従来の屋内線型蛍光灯による照明から生成された光であった。日光は、ガラスを介してフィルタ処理して、2.4マイクロW/cmの強度を供した。白熱光はOsram白熱灯により供した。
【0055】
表5に示した結果は、組成物1塗料が各光源下で予めの活性化なくして、実質的なNO除去活性を示すが、予めの活性化の不存在下での組成物2塗料は、線型蛍光または白熱光下で活性を有さず、日光(2.4マイクロW/cm)において実質的は活性を有しないことを実証する。これらの超低UV光条件下の組成物1塗料の優れた効率は、可視スペクトルにおいて吸収するPCS300光触媒の能力により発生すると考えられる。いかなる特定の理論によって拘束されることも望まないが、非常に小さな結晶サイズ(例えば、約5〜10nm)が、価電子帯と伝導帯との間のバンドギャップの減少を生じ、それにより、粒子が可視光存在下で電子−ホール対を創製するのを可能とすると考えられる。
【0056】
実施例2
約5〜約15nmの光触媒結晶サイズを有する塗料は、例えば、約5〜10nmの光触媒TiO粒子サイズを有する実施例1の組成物1と指定された塗料を含めて本発明の好ましい実施例を表すが、スチレンアクリル結合剤の使用を通じて達成可能な高いPVC(顔料容積濃度)の利点も、好ましさがより低い二酸化チタン結晶サイズ(すなわち、約15〜約50nm)で、より穏やかにではあるが見られた。また、例えば、高レベルのPC105光触媒(約15nm〜約25nmの結晶サイズ)を使用する塗料も、NOを除去するためのコーティングにおいて有用であろう。
【0057】
この実施例は、「現実世界」の条件下の汚染物質の除去における実施例1の組成物2と指定された塗料の効力を示す。駐車ガレージの角を2つの壁を構築することにより密閉して、2.85mの天井高を持つ917mの閉鎖領域を供した。壁(既存および人工的)をナイロンで覆いつつ、322m天井表面を実施例1の組成物2でコーティングした。光触媒塗料は、水での洗浄によって予め活性化しなかった。NO除去実験中に、天井から20cmにて対称的に固定した20個のUVランプにより照らして、1W/mの合計UV放射照度を供した。
【0058】
その囲いの外側に配置された自動車からの排気は、排気ガスがその囲いの4.74m内側で放出されるように、囲まれた領域までパイプによって接続した。換気装置(入口および出口)は、天井の近くの汚染物質の濃度を最大化し、566m/hおよび14.3m/hの気流および速度をそれぞれ供するために、その人工壁を介してその室内に設けた。自動車からの排気ガスの気流および速度は、その囲いの外側からの空気の流入を回避するために、陽圧が密閉空間で維持されるように、各々、50.6m/hおよび2m/sであると見積もった。
【0059】
自動車からのNO排気ガスは、ポータブルガス分析器を用いて連続的に測定した。また、NO測定は、入口および出口換気口にて、ならびに出口換気口から約15mの天井付近の第3のサンプリングポイントにて連続的に行った。
【0060】
排気ガスがその囲い中で定常状態に達するのを可能とした(約3時間)後、UVランプを4時間または5時間点灯した。NOおよびNOにおける低下は、定常状態濃度と照射後の最終濃度との間の差として測定した。その値は、これらの汚染物質の合計の低下に対する光触媒塗料の寄与を分離するために、試験期間にわたる自動車排気ガスにおけるNO濃度の減少およびNO濃度の増加につき修正された。実験は3日間連続で繰り返した。第4日に、対照測定を紫外線照射の不存在下で行った。結果を表6(%NO光触媒分解)および表7(%NO光触媒分解)に示す。
【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
10容量%のレベルにて約15〜25nm平均サイズの光触媒二酸化チタンクリスタライトを含むスチレンアクリル塗料が、事前の活性化の不存在下でさえ、大気からのNO汚染物質の低下に有効であることは、表6および7中のデータから明らかである。さらに、この実施例は、濃縮された汚染物質を大気から除去することが望ましい駐車ガレージ内装のごとき適用における本発明の塗料コーティングの有用性を強調する。
【0064】
実施例3
PCS300を商業表示PC500下のMillennium Inorganic Chemicalsから入手できる比較可能な100%アナターゼの光触媒二酸化チタンパウダーと代えた以外は実施例1に記載のごとく、スチレンアクリル塗料を実質的に調製した。PC500は、約5〜約10nmの平均結晶サイズに変換される約300m/gの表面積を有する。PC500は8容量%のレベルで塗料に含まれ、スチレンアクリル結合剤を約50容量%で含んだ。事前の活性化なくしてNOを除去するためのこの塗料の能力は、実施例1に前記された手順による0.5W/m〜8W/mの強度範囲を横切るUV強度の関数として試験した。その結果を表8に示す。
【0065】
【表8】

【0066】
これらの結果は、非常に低いUV強度でさえ、本発明の塗料が、予めの活性化なくしてさえ汚染物質の高除去を提供することを示す。実際、NO低下の差は、UV強度が1桁を超えて増加しても、わずか16%(47.3%〜31.3%)であった。
【0067】
PC500塗料を表9にリストした種々の光触媒TiOゾルで上塗りして、脱−NO特性におけるさらなる改善が達成できたかを調べた。
【0068】
【表9】

【0069】
試料Aは、いずれのゾルの上塗りもないPC500光触媒を含むスチレンアクリル塗料を表す。試料B〜Gは、試料Aに適用され、その示されたゾルの上塗りを有する試料Aの塗料を表す。S5300Aは、Millennium Inorganic Chemicalsから入手可能な光触媒二酸化チタンゾルである。それは、約pH1.1(±0.4)にて酸で解膠された超微細なTiO(アナターゼ)の水性コロイド分散物であり、約20(±2)重量%の二酸化チタン含量、約1.2g/mlの密度、および5ポイントBETによる250m/gを超える表面積(乾燥生成物に対して)を有する。また、Millennium Inorganic Chemicals からも入手可能なS5300Bは、約pH11.4(±1)の塩基で解膠された超微細なTiO(アナターゼ)の水性コロイド分散物であり、約17.5(±2.5)重量%の二酸化チタン含量、約1.1g/mlの密度および5ポイントBETによる250m/gを超える表面積(乾燥生成物に対して)を有する。表9における種々のS5300Bゾルを重量ベースで示す二酸化チタン含量を有するように改変した。AW1610は、約3.6nmの平均結晶サイズ、pH9.2、約1.00g/mlの密度および約0.25%のTiO含量を有する光触媒TiOを含むゾルである。SP300Nは、約5〜10nmの平均結晶サイズ、pH7.0および約1.15g/mlの密度を有する光触媒TiO(約17重量%)のスラリーである。
【0070】
NOを除去するための各コーティング系(塗料+ゾル)の能力を0.5W/m〜8W/mのUV光強度の関数として調べた。結果を図2に示す。見られるように、S5300B(23.6%w/wTiO)の上塗りを持つPC500塗料を含むコーティング系Dは、UV強度の全範囲を横切って予期せぬことに優れた脱−NOを示し、その範囲の%NO低下は、最適な最小の変動を有した。
【0071】
本明細書に引用された、特許出願および刊行物を含めた全ての参考文献をここに出典明示してその全てを本明細書の一部とみなし、また、それらを個々の各刊行物または特許または特許出願が全ての目的のためにその全てを出典明示して本明細書の一部とみなすように特におよび個々に示されような同一範囲まで全ての目的のために本明細書の一部とみなす。本発明の多数の改変および変更は、その精神および範囲から逸脱することなくなされ、それは当業者に明確であろう。本明細書に記載された特定の具体例は、例示によってのみ提供され、本発明は、かかる特許請求の範囲が与える全ての範囲の等価物と共に、添付された特許請求の範囲の用語によってだけ限定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)実質的に純粋なアナターゼ型の約5容量%〜約40容量%の光触媒二酸化チタン、ここに、該光触媒二酸化チタンは、約5nm〜約30nmの平均結晶サイズおよび可視光存在下で光触媒活性を有することにより特徴付けられる;
(ii)該光触媒二酸化チタンを含めた該塗料の合計顔料容積濃度が少なくとも約65%であるような1以上のさらなる顔料;および
(iii)スチレンアクリル共重合体結合剤
を含むセルフクリーニング浄化塗料であって、
水での事前の活性化の不存在下で、該塗料の乾燥コーティングが基材上で形成された直後に、NO化合物を実質的に低下できる該塗料。
【請求項2】
該光触媒二酸化チタンが、約5nm〜約10nmの平均結晶サイズを有する請求項1記載の塗料。
【請求項3】
該光触媒二酸化チタンが、該塗料の約7容量%〜約15容量%を構成する請求項1記載の塗料。
【請求項4】
該光触媒二酸化チタンが、該塗料の約10容量%を構成する請求項1記載の塗料。
【請求項5】
該1以上のさらなる顔料が、非光触媒二酸化チタンを含む請求項1記載の塗料。
【請求項6】
該1以上のさらなる顔料が、炭酸カルシウムを含む請求項1に記載の塗料。
【請求項7】
該1以上のさらなる顔料が非光触媒二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを含み、合計顔料容積濃度が約70〜約75%である請求項1記載の塗料。
【請求項8】
該塗料が、無機結合剤を実質的に含まない請求項1記載の塗料。
【請求項9】
溶媒、増粘剤、分散剤、合体剤、消泡剤、殺菌剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される1以上の成分をさらに含む請求項1に記載の塗料。
【請求項10】
基材上にセルフクリーニング浄化コーティングを形成する方法であって、
(a)塗料組成物を該基材に適用し、ここに、該塗料組成物は、
(i)約5容量%〜約40容量%の光触媒二酸化チタン、ここに、該光触媒二酸化チタンは、約5nm〜約30nmの平均結晶サイズおよび可視光存在下で光触媒活性を有することにより特徴付けられる;
(ii)該光触媒二酸化チタンを含めた該塗料の合計顔料容積濃度が少なくとも約65%であるような1以上のさらなる顔料;および
(iii)スチレンアクリル共重合体結合剤を含む;次いで
(b)該塗料上に光触媒二酸化チタン粒子を含む二酸化チタンゾルを含む上塗りを任意に適用することを含み、
該コーティングは、水での事前の活性化の不存在下で、NO化合物を実質的に低下できることを特徴とする該方法。
【請求項11】
該塗料組成物が、約5nm〜約10nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
該光触媒二酸化チタンが、該塗料組成物の約7容量%〜約15容量%を構成することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
該光触媒二酸化チタンが、該塗料組成物の約10容量%を構成することを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
該1以上のさらなる顔料が非光触媒二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
該1以上のさらなる顔料が炭酸カルシウムを含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項16】
該1以上のさらなる顔料が、非光触媒二酸化チタンおよび炭酸カルシウムを含み、該塗料組成物の合計顔料容積濃度が約70%〜約75%であることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項17】
塗料組成物が、無機結合剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項18】
該塗料組成物が、溶媒、増粘剤、分散剤、合体剤、消泡剤、殺菌剤およびそれらの組合せよりなる群から選択される1以上の成分をさらに含むことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項19】
(a)浄化塗料の層、ここに、該浄化塗料層は、
(i)実質的に純粋なアナターゼ型の約5容量%〜約40容量%の光触媒二酸化チタン、ここに、該光触媒二酸化チタンは、約5nm〜約30nmの平均結晶サイズおよび可視光存在下で光触媒活性を有することにより特徴付けられる;
(ii)該光触媒二酸化チタンを含めた該塗料の合計顔料容積濃度が少なくとも65%であるような1以上のさらなる顔料;および
(iii)スチレンアクリル共重合体結合剤
を含む塗料組成物を基材に適用することにより形成される;ならびに
(b)塗料の該浄化層上に配置した上塗り、ここに、該上塗りが、5ポイントBETによって測定された250m/gを超える表面積を有するアナターゼ型結晶の光触媒性の超微細二酸化チタンの水性コロイド分散物を含むゾルを塗料の該層に適用することにより形成される
を含む該基材にコーティング系を適用した基材。
【請求項20】
該塗料組成物が、約5nm〜約10nmの平均結晶サイズを有する光触媒二酸化チタンを含み、該光触媒二酸化チタンが、該塗料組成物の約7容量%〜約15容量%を構成する請求項19記載の基材。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−538129(P2010−538129A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523168(P2010−523168)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/074876
【国際公開番号】WO2009/029854
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(510055149)ミレニアム・イノーガニック・ケミカルス・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM INORGANIC CHEMICALS, INC.
【Fターム(参考)】