光触媒成分及び活性炭成分を有した生地及び製造方法
織物支持体と、それの少なくとも第1表面上にある仕上げ塗りとを具備した光触媒性生地がここで提供される。この織物支持体の少なくとも第1表面上にある仕上げ塗りは、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。この織物支持体の反対側の表面上には、活性炭粒子とバインダとを具備したコーティングが配置されている。また、このような光触媒性生地の製造方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
技術分野
この開示は、光触媒性生地及びその製造方法に関する。更には、この開示は、光触媒性生地であって、その上に配置された活性炭コーティングを有した光触媒性生地に関する。
【0002】
概要
織物支持体(textile support)と、それの少なくとも第1表面上にある仕上げ塗り(finish)とを具備した光触媒性生地がここで提供される。この織物支持体の少なくとも第1表面上にある仕上げ塗りは、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。この織物支持体の反対側の表面上には、活性炭粒子とバインダとを具備したコーティングが配置されている。
【0003】
また、このような光触媒性生地の製造方法が提供される。このプロセスは、少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、光触媒性仕上げ塗りを準備する工程と、この光触媒性仕上げ塗りを先の織物支持体の少なくとも第1表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、織物支持体のうち光触媒性仕上げ塗りが塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程と、活性炭粒子とバインダとを具備したコーティング組成物を準備する工程と、この活性炭組成物を光触媒性仕上げ塗りとは反対側の表面に塗布する工程と、この織物支持体を乾燥させて表面処理された織物物品を製造する工程とを含んでいる。
【0004】
詳細な説明
光触媒性仕上げ塗り
上で述べたように、この開示は、織物支持体と、それの表面上にある仕上げ塗りとを具備した光触媒性生地を提供する。織物支持体の表面上にある仕上げ塗りは、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。適切な織物支持体は、ここで説明されるものを含んでいる。
【0005】
光触媒性材料を指すのにここで使用されるように、用語「粒状」は、微小な別個の粒子からなる集合体(collection)を具備した光触媒性材料を指す。特には、用語「粒状光触媒性材料」は、複数の一次粒子を具備した光触媒性材料を指す。或る光触媒性材料については、これら一次粒子は、互いに融合されて(fused)、「凝集体(aggregate)」,互いに物理的に結合した複数の一次粒子からなり、相当の機械力をかけることによってのみそれを構成する一次粒子へと縮小され得る集合体を指すのに使用される用語である,を形成し得る。一次粒子からなる個々の凝集体は、更に会合して(associated)、「凝集塊」を形成し得る。或いは、粒状光触媒性材料の個々の一次粒子も会合して、凝集塊を形成し得る。
【0006】
生地において利用される光触媒性材料は、任意の適切な光触媒性材料であり得る。ここで使用されるように、用語「光触媒性材料」は、一般には、この材料が光(例えば、紫外光及び/又は可視光)に曝されたときに、或る化学反応を触媒することができる材料を指す。例えば、ここで使用されるように、用語「光触媒性材料」は、光(例えば、紫外光及び/又は可視光)に曝されたときに、有機臭気原因物質、揮発性有機化合物及び有機系汚染剤などの有機材料の分解又は酸化に関係するレドックス(酸化/還元)反応を触媒することが可能な材料を指す。
【0007】
生地における使用に適した光触媒性材料は、二酸化チタン(例えば、アナタース型二酸化チタン)、ドープ二酸化チタン、硫化モリブデン、酸化亜鉛及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。用語「アナタース型二酸化チタン」は、アナタース型結晶形の二酸化チタンと共に、アナタース型結晶形を大部分(例えば、約50%よりも大きいか又は約60%よりも大きいか又は約70%よりも大きい)含有している二酸化チタンを指す。ここで利用されるように、用語「ドープ二酸化チタン」は、荷電子状態にある電子と励起した伝導帯電子状態(すなわち、可視光又は紫外光に曝されて二酸化チタン中の電子が励起した状態)とのバンドギャップを下げるために、他の元素(例えば、炭素、窒素又は他の元素若しくは金属)又は無機酸化物がドープされている二酸化チタンを指す。光触媒性材料のバンドギャップのこの減少は、この光触媒性材料の酸化電位を下げ、この光触媒性材料によって起こり得る生地のダメージ又は分解を低減するのに役立ち得る。或る考えられる好ましい実施形態では、粒状光触媒性材料は、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している。
【0008】
アナタース型二酸化チタンなどの光触媒は、有機染料、有機ポリマー(例えば樹脂バインダ)及び多くの有機ポリマー繊維などの有機材料を分解させることが知られている。その為に、有機系生地の長期間に亘る光安定性も機械的結合性も犠牲にすることなく、光触媒性コーティング又は仕上げ塗りを有機系生地上に提供することは、一般には難しかった。これら難点にも関わらず、ここでの教示に従うと、色の光安定性にも生地の機械的性質にも悪影響を与えることなく、光触媒活性コーティング又は仕上げ塗りが、粒状光触媒性材料及びバインダ(例えば、有機樹脂バインダ)を使用して、生地(例えば、有機材料から形成された生地)上に提供され得ることが信じられている。
【0009】
光触媒性材料は、仕上げ塗り中に、任意の適切な量で存在し得る。典型的には、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.05重量%以上の量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上又は約0.5重量%以上の量で仕上げ塗り中に存在し得る。典型的には、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約2重量%以下の量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約1.75重量%以下、約1.5重量%以下、約1.25重量%以下又は約1重量%以下の量で仕上げ塗り中に存在し得る。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.05重量%乃至約2重量%か又は約0.5重量%乃至約1重量%の量で仕上げ塗り中に存在している。
【0010】
上で述べたように、織物支持体上の仕上げ塗りは、光触媒性材料に加えて、バインダを具備している。仕上げ塗り中のバインダは、有機及び無機のバインダを含んだ任意の適切なバインダであり得る。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、バインダのポリマー骨格が、数で約50%以下(例えば、約40%以下、約30%以下又は約20%以下)のSi−O及び/又はC−F結合を具備した有機バインダである。適切な有機バインダは、ラテックスバインダ、ポリアクリレートバインダ、ビニルエステルバインダ、ポリウレタンバインダ、ポリエチレンビニルアセテートバインダ、ポリオレフィンバインダ、ポリエステルバインダ、ポリアミドバインダ、ポリエーテルバインダ、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)バインダ、ポリイソプレンバインダ、ポリクロロプレンバインダ及びこれらの組み合わせを含んでいるが、これらに限定されない。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、ラテックスバインダである。
【0011】
光触媒性生地における使用に適すると信じられ且つ市販されていると信じられているバインダの特定の例は、以下を含むが、これらに限定されない:UNIDYNE(登録商標) TG-5010という名称でDaikin Industries, Ltd.から販売されているパーフルオロカーボン修飾モノマーを含んだポリアクリル系ラテックス、RHOPLEX(登録商標) HA-16、RHOPLEX(登録商標) E-32NP及びRHOPLEX(登録商標) NW-1402という名称でRohm and Haas Companyから販売されているポリアクリル系ラテックス樹脂、HYCAR(登録商標) 2671及びHYSTRETCH(登録商標) V-43という名称でNoveon, Inc.から販売されているポリアクリル系ラテックス樹脂、AIRFLEX(登録商標) TL-51という名称でAir Products and Chemicals, Inc.から販売されているエチレンビニルアセテートコポリマーラテックス; SANCURE(登録商標) 2026という名称でNoveon, Inc.から販売されているポリウレタンエマルション、及びFLUOROSHIELD(登録商標) 2000Wという名称でAdvanced Polymer, Inc.から販売されていたと信じられているメチルメタクリレートとビニリデンフルオライドとのコポリマー。
【0012】
織物支持体上にある仕上げ塗りは、任意の適切な量のバインダを具備し得る。典型的には、バインダは、約1:0.1以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.2以上又は約1:0.5以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。バインダは、典型的には、約1:5以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる実施形態では、バインダは、約1:2以下又は1:1以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.1乃至約1:5か又は約1:0.2乃至1:2という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。
【0013】
上で述べたように、光触媒性材料は、或る考えられる好ましい実施形態では、物理的に会合又は融合して凝集体を形成し得る複数の一次粒子を具備し得る。一次粒子及び/又は一次粒子からなる凝集体は、上で述べたように、仕上げ塗り内で更に会合して凝集塊を形成し得る。これら一次粒子及び/又は凝集体の物理的会合の結果得られる表面構造のおかげで、凝集塊は、典型的には、多孔質外部表面を有する。何ら特別な理論に縛られること望まないが、これら凝集塊の多孔質外部表面は、例えば、有機臭気原因物質、揮発性有機化合物及び有機系汚染剤の分解又は酸化をもたらすレドックス反応の光触媒作用に関与するのに利用できる大きな表面積を提供すると信じられている。更には、これら凝集塊の構造は、光触媒性材料を織物支持体へと固定するのに適した表面を提供し、それにより、織物支持体上に丈夫な仕上げ塗りを提供すると信じられている。
【0014】
凝集塊は、光触媒性生地の或る実施形態の仕上げ塗り中に存在しているとき、任意の適切な寸法又は径を有し得る。或る考えられる実施形態では、凝集塊は、約0.2乃至約14ミクロンか又は約1乃至約6ミクロンの径を有している。
【0015】
織物支持体上にある仕上げ塗りは、抗菌性化合物又は添加剤などの他の適切な薬品も含み得る。適切な抗菌性化合物又は添加剤は、銀ゼオライト、銀粒子(例えば、ナノ銀粒子)、銀ジルコニウムフォスフェート及びこれらの組み合わせなどの無機抗菌性添加剤を含むが、これらに限定されない。光触媒性生地における使用に適すると信じられている抗菌性添加剤の特定の例は、Milliken ChemicalからのALPHASAN(登録商標) RC 5000抗菌性添加剤である。仕上げ塗り中に存在しているとき、追加の添加剤又は薬品が、任意の適切な量で存在し得る。例えば、仕上げ塗りが抗菌性添加材を具備している場合、添加剤は、生地の総重量に基づき、約0.5重量%の量で仕上げ塗り中に存在し得る。
【0016】
光触媒性表面の製造
光触媒性生地は、任意の適切な方法で製造され得る。しかしながら、この開示は、織物生地上に光触媒性表面を製造する方法も提供する。このプロセスは、少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、光触媒性仕上げ塗りを準備する工程と、この光触媒性仕上げ塗りを先の織物支持体の表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、織物支持体のうち光触媒性仕上げ塗りが塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程とを含んでいる。
【0017】
支持体として利用される織物材料は、任意の適切な織物材料であり得る。例えば、この織物支持体は、ニット、織布又は不織布の構成で提供されることができ、天然繊維、合成繊維、再生繊維及びこれら3つのうちの何れか2つ以上からなる混紡からつくられたヤーン又は繊維を具備し得る。織物支持体における使用に適した天然繊維は、セルロース繊維(例えば、綿)、羊毛、絹を含むが、これらに限定されない。織物支持体における使用に適した合成繊維は、ポリエステル、ポリアミド(例えば、脂肪族及び芳香族ポリアミド)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリ乳酸、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリケトン、フェニルホルムアルデヒド樹脂及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。或る考えられる好ましい実施形態では、織物支持体は、ポリエステル含有ヤーン(すなわち、ポリエステル繊維又はフィラメントを具備するか、実質的にこれらからなるか又はこれらからなるヤーン)又はポリエステル繊維を具備しており、これらヤーン又は繊維は、織布、不織布又はニットの構成で提供される。一般には、織物材料が、約4オンス毎平方ヤード乃至16オンス毎平方ヤードの未コーティング重量を有することが好ましい。また、これらヤーン又は繊維は、タフテッドパイル又はボンデッドパイルなどのパイル構成で提供されてもよい。この場合、織物材料の重量は、好ましくは、約4オンス毎平方ヤード乃至20オンス毎平方ヤードである。
【0018】
上述の方法において利用される光触媒性仕上げ塗りは、適切な液体媒体中に分散又は懸濁された、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。この方法において利用される光触媒性材料及びバインダは、上述した光触媒性材料及びバインダを含んだ、任意の適切な光触媒性材料及びバインダであり得る。光触媒性材料及びバインダが分散又は懸濁される液体媒体は、任意の適切な液体媒体であり得る。或る考えられる好ましい実施形態では、液体媒体は水性媒体である。
【0019】
上述の方法において使用される光触媒性仕上げ塗りは、任意の適切な方法によって製造され得る。典型的には、光触媒性仕上げ塗りは、まず、適切な液体媒体を準備し、次に、乾燥状態の粒状光触媒性材料(例えば、粉末状の光触媒性材料)を先の液体媒体中に分散又は懸濁させ、バインダを先の液体媒体へと添加することによって製造される。好ましくは、粒状光触媒性材料は、過剰なグラインディングも、ミリングも、剪断混合も行わずに、液体媒体中に分散又は懸濁される。何ら特別な理論に縛られること望まないが、粒状光触媒性材料をこの方法で分散又は懸濁させることは、光触媒性材料中に存在する個々の一次粒子及び/又は凝集体が凝集塊を形成することを可能にし、この凝集塊が、それから、この方法の続く工程において織物支持体上へと堆積することが信じられている。
【0020】
光触媒性仕上げ塗りは、任意の適切な量の光触媒性材料とバインダとを具備し得る。織物支持体上への光触媒性材料の十分な堆積を確実にするために、光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約0.2重量%以上の粒状光触媒性材料を具備する。光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約1重量%以下の粒状光触媒性材料を具備する。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約0.2重量%乃至約1重量%の粒状光触媒性材料を具備する。
【0021】
典型的には、バインダは、約1:0.1以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.2以上又は約1:0.5以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。バインダは、典型的には、約1:5以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる実施形態では、バインダは、約1:2以下又は1:1以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る好ましい実施形態では、バインダは、バインダは、約1:0.1乃至約1:5か又は約1:0.2乃至1:2という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。
【0022】
光触媒性材料の安定した分散又は懸濁の形成を促進するために、光触媒性仕上げ塗りは、或る考えられる好ましい実施形態において、分散剤を具備し得る。分散剤は、光触媒性仕上げ塗りの製造中の任意の適切な点で、光触媒性仕上げ塗りの液体媒体へと添加され得る。例えば、分散剤は、粒状光触媒性材料及びバインダの添加前か、又は、粒状光触媒性材料の添加後であってバインダの添加前に、液体媒体へと添加され得る。
【0023】
この分散剤は、光触媒性仕上げ塗り中の光触媒性材料及びバインダの双方と適合するものであれば、任意の適切な分散剤であり得る。適切な分散剤は、フォスフェートエステル、アンモニア、水酸化アンモニウム及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ここで利用されるように、用語「フォスフェートエステル」は、以下の一般構造によって表されるモノエステル、ジエステル及びトリエステルを指すのに利用される。
【化1】
【0024】
これら一般構造において、R、R1、R2及びR3は、好ましくは、アシル含有有機ラジカルであり、Xは、好ましくは、アンモニウム、プロトン又は1価の金属イオンである。或る考えられる好ましい実施形態では、R、R1、R2及びR3は、エトキシ化フェノール、アルコール又はカルボン酸である。フォスフェートエステルは、光触媒性仕上げ塗りにおける使用に適すると信じられており、市販されているものとしては、Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標)及びSOPROPHOR(登録商標)という名称のフォスフェートエステルを含むと信じられているが、これに限定されない。
【0025】
上述の手順に従って製造される場合、粒状光触媒性材料は、仕上げ塗り組成物中で凝集塊を形成する。凝集塊の寸法は、例えば、使用される粒状光触媒、光触媒の構造、仕上げ塗り組成物中に存在しているバインダ及び仕上げ塗り組成物に添加された任意の分散剤に応じて多様であり得る。或る実施形態では、アナタースリッチのヒュームド二酸化チタンが粒状光触媒性材料として使用される場合などでは、仕上げ塗り組成物は、約40乃至約120ミクロンの範囲内にある径を有した小部分の凝集塊と、約0.2乃至約14ミクロンの範囲内にある径を有した大部分の凝集塊とを含むと信じられている。約0.2乃至約14ミクロンの径を有した凝集塊は、大きい方の凝集塊よりも安定であると信じられており、そのために、大きい方の凝集塊よりも望ましい。
【0026】
多い方の凝集塊(すなわち、約0.2乃至約14ミクロンの範囲の径を有する凝集塊)の内部では、大半(例えば、50%以上)の凝集塊が、約1乃至約6ミクロンの径を有していると信じられている。40ミクロンより大きい径を有した凝集塊は、小さい方の凝集塊よりも安定性が低く、希釈中に時間と共に沈殿する傾向と、低粘度の仕上げ塗り組成物とを示すと信じられている。しかしながら、大きい方の凝集塊は、例えば増粘剤を使用して製造された粘性のある仕上げ塗り組成物中に、比較的安定な状態で懸濁され得る。約40ミクロンより大きい径を有した多量の凝集塊が仕上げ塗り組成物中に存在する場合、これら大きい方の凝集塊は、例えば、仕上げ塗り組成物を適切な濾過媒体に通すことで除去され得るし、又は、凝集塊の径は、コーティング組成物の超音波処理か、機械的剪断混同か又は穏やかなグラインディングによって低減され得る。
【0027】
仕上げ塗り組成物は、任意の適切な方法を使用して、織物支持体の表面へと塗布され得る。例えば、仕上げ塗り組成物が、織物支持体の表面上へと印刷又は噴霧塗布され得る。或いは、織物支持体は、光触媒性仕上げ塗り中に浸漬されることができ、或る実施形態では、過剰な液体媒体を織物支持体から除去するために、一対のニップロールに通され得る。仕上げ塗り組成物は、フォーム(例えば水性フォーム)の形態で、織物支持体の表面へと塗布され得る。このプロセスでは、このフォームは、適切な発泡剤又はフォーム安定化界面活性剤を使用して仕上げ塗り組成物から製造され、従来のフォーム表面処理装置を使用して織物支持体に塗布され得る。
【0028】
光触媒性仕上げ塗が塗布された織物支持体は、任意の適切な方法で乾燥させられ得る。例えば、織物支持体は、先のコーティングされた織物支持体を、例えばオーブン内で、この支持体を乾燥させて光触媒性生地を製造するのに十分な時間に亘って、高められた温度に曝すことにより乾燥させられ得る。
【0029】
光触媒性生地と、上述のプロセスによって製造された生地とは、様々な用途において有用であり得る。例えば、この光触媒性生地は、自動車の車内の椅子の張地として特に有用であり得ることが信じられている。実際、この光触媒性生地を組み込んだ自動車の車内の椅子の張地は、タバコの煙などの有機系臭気物を分解又は酸化させるのに特に有効であり得ることが信じられている。何ら特別な理論に縛られること望まないが、椅子の張地の大きな表面積と、椅子の張地の紫外光及び可視光への多量の露光は、有機臭気原因物質の迅速なる分解又は酸化のための理想的な環境を提供し得ると信じられている。
【0030】
以下の例は、ここに含まれる教示を更に例示するが、もちろん、それらの範囲を限定するように解釈されるべきでない。
【0031】
例1
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。光触媒性仕上げ塗りは、約0.6グラムのアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を穏やかな攪拌を用いて約98グラムの脱イオン水中に分散させることによって製造された。次に、約0.1グラムのフォスフェートエステル界面活性剤(Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標) RS-610)がこの分散液へと添加され、約0.2グラムの水酸化アンモニウムが、pHを約8へと高めるためにこの分散液へと添加された。次に、光触媒性仕上げ塗りをつくるために、約0.5グラムのメチルメタクリレート及びビニリデンフルオライドのコポリマーバインダ(Advanced Polymer, Inc.からのFLUOROSHIELD(登録商標) 2000W)がこの分散液へと添加された。
【0032】
次に、100%スパンポリエステルヤーンから全て構成された白色の平織りファブリックのスワッチが、光触媒性仕上げ塗り中に浸漬され、約280kPa(40psi)の圧力に設定された一対のニップロールに通された。次に、この処理されたファブリックスワッチが、熱対流炉内に置かれ、約3分間に亘って、約180℃(350°F)の温度で乾燥させられた。得られた光触媒性生地はその表面上に仕上げ塗りを有しており、この仕上げ塗りはファブリックの平方メートル当たり約5グラムの光触媒を含有しており、光触媒のバインダに対する重量比は約2:1であった。
【0033】
生地の光触媒性を定性的に評価するために、約10cm(4インチ)に約8cm(3インチ)の生地のスワッチが、注入口が取り付けられた3.8リットルの透明なガラスのジャー内に置かれた。次に、約30mlの煙がシリンジを使用して火の付いたタバコから抜き出され、この煙は注入口を介してジャーの中へと注入された。次に、このジャーが、光触媒性生地を紫外光に曝すために、2つの20ワット平行ブラックライトチューブの間に置かれた。所望の時間の露光の後、ジャー内部の空気の臭気とジャーの中にある生地の臭気とが人の判断で測定され、結果が記録された。2時間の露光後、生地とジャー内部の空気とは、タバコの臭気の著しい低減を示した。5時間の露光後、タバコの臭気は感じられなかった。同じ条件の下で試験された同様の未処理のファブリックは、依然として強いタバコ臭を示した。
【0034】
また、生地の光触媒活性は、以下の方法で定量的に評価された。約12cm(4.75インチ)に約6.4cm(2.5インチ)の光触媒性生地のスワッチが、ゴム製の隔壁が取り付けられた64mlの透明なガラス瓶内に置かれた。次に、約2ミリリットルの蒸気飽和アセトアルデヒドがこのビンの中へと注入され、このビンが約2.5cm(1インチ)の距離だけ離されている2つの20ワット平行ブラックライトチューブの間に置かれた。次に、1ミリリットルのガスサンプルが、相対的なアセトアルデヒド濃度を決定するためのGC分析用として、このビンから定期的に抜き出された。これら濃度測定値を使用して、以下の反応に従うアセトアルデヒドの分解の速度定数が決定され得る。
【化2】
【0035】
この分解反応が一次の速度論に従うと仮定すると、この反応の速度定数は、以下の等式を使用して決定され得る。
【数1】
【0036】
この等式において、[M]は規定時間のUV照射後の瓶中のアセトアルデヒドの濃度を表しており、tはUV照射の時間(分)を表しており、kはこの分解反応の速度定数である。上述の等式を0からtまでの時間で積分すると、以下の等式が得られる。
【数2】
【0037】
この等式において、[M]、t及びkは、前の等式で示したものと同じであり、[M]0は、UV照射前の、瓶中のアセトアルデヒドの初期濃度を表している。log([M]/[M]0)を時間(t)に対してプロットすることで、この分解反応の速度定数が、このプロットラインの傾きから決定され得る。
【0038】
上述の手順に従って、1ミリリットルのガスサンプルが、UV照射前、並びに、30、60、120及び180分のUV照射後に、生地とアセトアルデヒドとを収容したビンから取り出された。規定時間での([M]/[M]0)及びlog([M]/[M]0)について計算された値が、以下の表1に示されている。
【表1】
【0039】
log([M]/[M]0)の値を時間(t)に対してプロットした後、光分解性生地の存在下でのこの分解反応の速度定数は、約0.0035分-1であると決定された。
【0040】
例2
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。光触媒性生地は、例1に示された共通の手順に従って製造された。生地を製造するのに使用されたコーティング組成物は、仕上げ塗り組成物において使用されたバインダが0.5グラムのポリアクリレートラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) E-32NP)であったこと以外、例1で利用されたものと実質的に同じであった。
【0041】
次に、得られた生地の光触媒活性が、例1に示された手順に従って、定量的及び定性的に評価された。2時間のUV露光後、人間の判断では、生地のジャー内の空気からタバコの臭気を感知することはできなかった。また、この光触媒性生地の存在下でのアセトアルデヒドの分解反応の速度定数は、約0.0035分-1であると決定された。
【0042】
例3
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つの生地(サンプル3A乃至3D)が、例1に示された共通の手順に従って、1重量%の4つの異なる光触媒と、0.5重量%のラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)とを使用して製造された。
【0043】
サンプル3Aは、光触媒として、アナタースリッチのヒュームド二酸化チタン粉末(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を使用して製造された。
【0044】
サンプル3Bは、アナタースリッチの二酸化チタンゾル(Kon CorporationからのTPX-85(登録商標))を使用して製造された。
【0045】
サンプル3Cは、別のアナタースリッチの二酸化チタンゾル(Ishihara Corporation USAからのSTS-01(登録商標))を使用して製造された。
【0046】
サンプル3Dは、アナタースリッチの二酸化チタン粉末(Kemira CorporationからのANX(登録商標)Type A)を使用して製造された。
【0047】
次に、各々の光触媒性生地の存在下でのアセトアルデヒドの分解反応の速度定数が、例1に示された手順に従って決定された。これらサンプルの各々についての結果が、以下の表2に示されている。
【表2】
【0048】
表2に示された結果からわかり得るように、塗布の前に媒体中に分散又は懸濁されていた乾燥状態の粉末光触媒性材料を使用して製造された光触媒性生地(すなわち、サンプル3A及び3D)は、光触媒性材料のゾルを使用して製造された生地よりも高い光触媒活性を示した。サンプル3B及び3Cを製造するのに使用された二酸化チタンゾルなどの光触媒性材料のゾルは、一般には、凝集塊が極少量しか又は全く含有されていない、粒状光触媒性材料の超微細分散液である。この高い方の光触媒活性は、サンプル3A及び3Dの存在下でのアセトアルデヒド分解反応の高められた速度定数によって証明される。
【0049】
次に、各々のサンプルの表面は、織物支持体の表面上にある仕上げ塗の形態(morphology)を定性分析するために、走査電子顕微鏡を使用して分析された。サンプル3A−3Dの各々について得られた形態は、図1−4Bに示されている。これら顕微鏡写真の比較からわかり得るように、高い光触媒活性を示す生地(すなわち、サンプル3A及び3D)は光触媒性材料からなる凝集塊を具備した仕上げ塗りを有していた一方、低い光触媒活性を示す生地(すなわち、サンプル3B及び3C)は、寸法が比較的均一であり、検出可能な凝集塊を含有していなかった光触媒材料を含有した仕上げ塗りを有していた。
【0050】
例4
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。8つの生地(サンプル4A乃至4H)が、例1に示された手順に従い、様々な量の光触媒(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)とポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)とを使用して製造された。使用された光触媒及びバインダの量は、以下の表3に示されている。サンプルを製造するのに使用されたバインダ(すなわち、RHOPLEX(登録商標) HA-16)は、約45重量%のバインダ固形物を含有したポリアクリル系ラテックスバインダの水性エマルションである。以下の表3に示されたバインダの量は、添加したエマルション(すなわち、水性媒体及びバインダ固形物)の量に基づいている。
【0051】
生地の各々の光触媒活性は、例1に示された手順に従って定量的に評価された。これらサンプルの各々の存在下でのアセトアルデヒド分解反応の速度定数は、以下の表3に示されている。
【表3】
【0052】
表3に示された結果から分かり得るように、生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数によって証明される)は、一般に、光触媒の量が増えるにつれて増加する。しかしながら、サンプル4C、4D、4G及び4Hの比較は、同じ光触媒濃度では、より少ないバインダを有した生地の光触媒活性が増加したことを示している。
【0053】
例5
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。5つのサンプル(サンプル5A乃至5E)が、例1に示された手順に従って、5つの互いに異なる織物材料を処理することによって製造された。
【0054】
サンプル5Aは、コーヒー色に着色された綾織のポリエステル織物ファブリック(woven twill, texture polyester fabric)を用いてつくられた。
【0055】
サンプル5Bは、灰色のポールニットのポリエステルパイルファブリックを用いてつくられた。
【0056】
サンプル5Cは、染色されていない白色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0057】
サンプル5Dは、分散染色された赤色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0058】
サンプル5Eは、分散染色された黒色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0059】
次に、各々のサンプルが、400nm乃至250nmの波長を持つ光についての平均光反射率及び平均吸収率を決定するために試験された。また、これら生地は、例1に示された手順に従って、それらの光触媒活性を決定するために試験された。また、生地の耐光性を決定するために、サンプル5A及び5Bは、SAE試験法J1885に従い、これらサンプルを約225kJの紫外光照射に曝すことによって試験された。次に、生地の変色が、側光器を使用して測定され、変色はΔEで表された。これら測定の結果は、表4に示されている。
【表4】
【0060】
結果から分かり得るように、本光触媒性生地は、互いに異なる色の様々な織物支持体での光触媒活性を示している。また、これら結果は、低明度色が着色した生地についての生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較によって決定される)が、一般には、高明度色が着色した生地よりも低いことを示した。例えば、サンプル5C乃至5Eついて測定された速度定数の比較は、生地の光触媒活性は、白色の生地で最も高く、黒色の生地で最も低かったことを示した。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、生地の色に基づく光触媒活性の観察された減少は、低明度着色された染料又は顔料による紫外光の競合吸収に少なくとも一部起因するかもしれないと信じられている。このように、染料又は顔料によって吸収される紫外光の量が増加するにつれて、反応を触媒するために利用するのに光触媒が利用できる紫外光の量が少なくなると信じられている。また、上述の結果は、大量の紫外光照射に曝した後であっても、織物支持体に塗布された光触媒性仕上げ塗りは、支持体の色にそれほど大きく影響を与えないことを示している。
【0061】
例6
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つのサンプル(サンプル6A乃至6D)が、例1に示された共通の手段に以下の変更を加えたものに従って製造された。サンプル6A及び6Bを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは分散剤を含有しておらず、サンプル6C及び6Dを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは0.1重量%のフォスフェートエステル界面活性剤(Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標) RS-610)を含有していた。サンプル6A及び6Cを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) E-32NP)を含んでおり、サンプル6B及び6Dを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは1重量%の他のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)を含んでいた。次に、各々のサンプルの存在下でのアセトアルデヒド分解反応の速度定数を決定するために、これらサンプルが、例1に示された手順に従って試験された。これら測定の結果は、以下の表5に示されている。
【表5】
【0062】
上述の結果からわかり得るように、光触媒性生地塗り中の分散剤(例えば、フォスフェートエステル界面活性剤)の存在は、このコーティング組成物を使用して製造された生地の光触媒活性を増加させ得る。
【0063】
比較例
この例は、バインダを使用せずに光触媒を織物材料の表面上へと堆積させた結果を説明する。約30cm(12インチ)に約30cm(12インチ)の織られたポリエステルファブリックのスワッチが、小さな実験室規模の液流染色機内に置かれた。次に、脱イオン水と、約0.1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)と、数滴の塩酸とを具備した約1リットルの水性分散液が、この液流染色機内に置かれた。次に、このファブリックが、約30分間に亘り、約125℃の温度及び高められた圧力にて、この水性分散液中で攪拌された。このファブリックは、冷まされ、水で穏やかに濯がれ、乾燥させられた。得られたファブリックは、その表面上に、二酸化チタンの吸着された層を有していた。
【0064】
次に、このファブリックは、約225kJの総紫外線照射についてのSAE試験法J1885に従って、加速紫外線曝露に供された。照射後、ファブリックは劇的に脆くなり、手で容易に引き裂かれた。ファブリックの表面の走査電子顕微鏡は、ファブリックの繊維の著しいピッティング及びエッチングを明らかにした。対照的に、例2に示された手順に従って製造された生地は、同様の紫外線曝露後に、視認可能な表面のダメージを少しも示さなかった。また、例2に示された手順に従って製造された生地の色は、紫外線曝露後に、それほど大きい変色を示さなかった。
【0065】
例7
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つのサンプル(サンプル7A乃至7D)が、例1に示された共通の手段に以下の変更を加えたものに従って製造された。サンプル7A及び7Cは、白色で平織りの100%スパンヤーンのポリエステルファブリックであった。サンプル7B及び7Dは、黒色で平織りの100%スパンヤーンのポリエステルファブリックであった。これら生地を製造するのに使用されたコーティング組成物は、1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を具備していた。また、サンプル7A及び7Bを製造するのに使用されたコーティング組成物は、約1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)を含有していた。サンプル7C及び7Dを製造するのに使用されたコーティング組成物は、約1重量%のパーフルオロカーボン修飾モノマー(Daikin Industries, Ltd.からのUNIDYNE(登録商標) TG-5010)と、約0.5重量%のメチルエチルケトキシムブロックト脂肪族イソシアネートトライマー架橋剤(ClariantからのARKOPHOB(登録商標) DAN)とを含んでいた。
【0066】
得られた生地は、光触媒活性を定量的に判定するために、例1に示された手順に従って試験された。これら測定の結果は、以下の表6に示されている。次に、これらサンプルは、AATCC試験法16、オプションEに従って、約40時間に亘り紫外光照射に曝されて、例1に示された手順に従って再度定量的に評価された。これら測定の結果も、以下の表6に示されている。
【表6】
【0067】
上述の結果から分かり得るように、これらサンプルの各々の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較によって決定される)は、生地が上述のように紫外光照射に曝された後、約88%乃至約360%増加した。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、生地の光触媒活性の観察された増加は、紫外光照射と光触媒とが原因のバインダの部分的劣化に少なくとも部分的に起因し得ると信じられている。バインダのこの部分的な劣化は、より広範な光触媒性材料の表面積を露光させるのを助け、それにより触媒に利用できる面積を増やして反応速度を高めると信じられている。
【0068】
次に、照射を受けたサンプルは、バインダで見られた部分的な劣化が光触媒性材料の織物支持体への接着に悪影響を与えたかどうかを判定する目的で、数回洗浄された。選択サンプルが数回の洗浄に供された後、洗浄及び未洗浄のサンプルの光触媒活性が、例1に示された手順に従って決定された。洗浄及び未洗浄のサンプルの光触媒活性の比較は、洗浄及び未洗浄のサンプル間に違いが殆どないことを明らかにした。従って、何ら特別な理論に縛られることを望まないが、バインダの理論化された部分的な劣化は、全体としては、粒状光触媒材料の織物支持体への接着に悪影響を与えないことが信じられている。
【0069】
例8
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性と、洗濯に対するこの生地の耐久性とを説明する。白色の織られた100%ポリエステルファブリックが、例1に示された共通の手順に従い、以下を含有したコーティング組成物を使用して処理された;約1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)、約0.2重量%の水酸化アンモニウム、約1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)及びバランスウォータ(balance water)。
【0070】
得られた生地は、光触媒活性を定量的に判定するために、例1に示された手順に従って試験された。この測定の結果は、以下の例7に示されている。次に、この生地は、10回の家庭洗濯サイクル(すなわち、家庭用洗濯機での洗濯サイクル及び家庭用乾燥機における乾燥サイクル)に通され、サンプルの光触媒活性が例1に示された手順に従って再度定量的に評価された。この測定の結果も、以下の表7に示されている。
【表7】
【0071】
上述の結果から分かり得るように、10回の家庭洗濯サイクル後の生地によって示された光触媒活性の比較的小さな減少によって証明されたので、ここでの教示に従う光触媒性生地は比較的丈夫である。特には、生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較により決定される)は、生地が10回の家庭での洗濯サイクルに通された後、20%しか減少しなかった。
【0072】
活性炭コーティング
或る考えられる好ましい実施形態では、本発明に従う光触媒性生地は、織物支持体上に、活性炭含有のコーティング又は仕上げ塗りを更に具備し得る。活性炭は、望まれない成分を大気から又は局地的な環境から吸収するのに使用される。本例において、活性炭は、揮発性有機化合物(VOC)及び他の汚染物質(例えば、タバコの煙)を、自動車の車内などの閉鎖環境から除去するのに使用される。好ましくは、活性炭コーティングは、ファブリックが例えば乗物の車内に据えられたときに、活性炭の黒色が反対側から見えないように、ファブリックの片側のみに配置されている。
【0073】
活性炭は、特には粒状又は粉末状で使用される場合、望まれない汚染物質が吸着され得る表面上に、多数の細孔(すなわち、大きな表面積)を含んでいる。活性炭粒子は、少なくとも600m2/gの、より好ましくは少なくとも900m2/gのBET表面積を有している。
【0074】
或る好ましい実施形態では、活性炭は、微粒子の形態で現在使用されている。このような活性炭粒子の好ましい寸法は、平均で、約1ミクロン乃至約50ミクロンであり、より好ましくは、平均粒径は、約3ミクロン乃至約20ミクロンである。
【0075】
活性炭粒子の吸着特性は、それが起源とするソースの固有構造に依存する。活性炭は、多くの様々なソースを起源とし、これらソースは、石炭、ヤシ殻、木材、レーヨン、泥炭、ポリアクリロニトリル、フェノールホルムアルデヒド樹脂及び架橋ポリスチレン樹脂を含むが、これらに限定されない。或る好ましい実施形態では、活性炭粒子は、石炭系である。石炭系活性炭は、VOC及び臭気物の吸着性のためのバランスの取れた多孔質構造(balanced pore structure)を提供すると共に、経済的であり且つ樹脂バインダと共に安定な分散液へと容易に混ぜ込まれる。ここで利用されるように、用語「バランスの取れた多孔質構造」は、巨視細孔(例えば、約100nmよりも大きい径を有した粒子)と、中間細孔(例えば、約10nm乃至約100nmの径を有した粒子)と、微小孔(例えば、約10nm未満の径を有した粒子)との組み合わせを持っている活性炭粒子を指すのに使用される。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、巨視孔と中間孔と微小孔との組み合わせは、様々な臭気原因分子を吸着するのに適した表面構造を提供する一方、臭気原因分子をこの分子が吸着される活性炭粒子の内側の部分へと通させる表面構造も提供することが信じられている。バランスの取れた多孔質構造を示す活性炭粒子は、フェノールホルムアルデヒド樹脂から製造される活性炭粒子及び中国で採掘された石炭から製造される活性炭粒子を含むが、これらに限定されない。中国からの石炭系活性炭が、中国石炭固有の形態学構造のおかげで、より好ましい。
【0076】
活性炭表面の製造
活性炭粒子を織物支持体へと塗布するために、活性炭粒子が水溶液中に分散されることができ、そこに、ソフトラテックスバインダが添加されて、活性炭コーティング組成物を形成する。好ましくは、高分子量分散剤が、分散液の0.1%乃至10%の量でこの水性粒子分散液中に存在している。このような分散剤の例は、スチレン、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのアクリル酸コポリマー、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのスルホン化スチレンコポリマー、スチレン、エチレンオキシドポリマーセグメントを含有したコポリマー及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーなどの、アニオン性又は非イオン性の、水溶性又は水分散性ポリマーを含んでいる。
【0077】
ラテックスバインダは、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、クロロプレン及びオレフィンのポリマー及びコポリマーから選択され得る。ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、アミノ樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの組み合わせ,これらの全ては−60℃乃至50℃のガラス転移温度を有する,などの他の縮合ポリマーも使用され得る。ラテックス材料は、活性炭粒子を互いに及び織物材料へとバインドさせるのに使用される。しかしながら、ラテックスの量は、活性炭粒子を完全に封入して、それにより、孔が汚染物質を吸着するのを妨げるほどは多くはない。
【0078】
好ましくは、活性炭粒子の重量は、コーティング組成物の重量の百分率として、コーティング組成物の重量の少なくとも15%、より好ましくは20%乃至50%である。或る実施形態では、活性炭対バインダ樹脂の比は、コーティング(乾燥時)中の活性炭粒子が少なくとも1つの連続パスを形成するように、及び、コーティングが導電性となるように選択される。言い換えると、コーティング中の活性炭粒子の量は、好ましくは浸透限界以上であり、浸透限界とは、接触する複数の活性炭粒子の少なくとも1つの連続経路を提供するのに必要な活性炭粒子の量である。このような実施形態では、活性炭粒子は、臭気原因分子を吸着させるのと、生地との接触によって生じ得る静電気を消散させるのとの2つの機能を果たし得る。或る考えられる好ましい実施形態では、活性炭粒子は、約10-12ジーメンス/メートル2以上の表面導電性を提供するのに十分な量でコーティング組成物中に存在している。或る他の実施形態では、このコーティング組成物の表面導電性は、好ましくは、約10-10ジーメンス/メートル2以上であり、より好ましくは、約10-8ジーメンス/メートル2以上である。活性炭粒子は、好ましくは、上述のような最小の導電性を提供するのに十分な量でコーティング組成物中に存在するが、活性炭粒子は、典型的には、約10-3ジーメンス/メートル2未満(例えば、約10-3ジーメンス/メートル2以下)の表面導電性を提供する量でコーティング組成物中に存在する。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、約10-3ジーメンス/メートル2より大きい表面導電性を提供するのに十分な活性炭の量を含むことは、生地との接触によって生じ得る静電気を消散させるコーティングの能力の劇的な増加をもたらさないであろう。生地の表面導電性は、任意の適切な方法を使用して測定され得る。例えば、表面導電性は、イリノイ州エルクグローヴヴィレッジのACL Staticide, Inc.からのモデルACL 385表面抵抗率計などの、市販の表面抵抗率計を使用して測定され得る。
【0079】
活性炭コーティング組成物中に存在している分散剤に加えて、抗菌又は防腐化合物をコーティング組成物へと混ぜ込むも望ましい。このような化合物は、活性炭表面上での生物の増殖を防ぎ、生地の長寿命を維持するのに役立つ。この目的に適した化合物の例は、無機抗菌剤(例えば、商品名ALPHASAN(登録商標)でMilliken & Companyより販売されている銀ジルコニウムフォスフェート)を含む。揮発性抗菌剤は、自動車の車内での更なるVOCの生成の一因となるため、あまり好ましくない。
【0080】
活性化コーティング組成物(すなわち、活性炭粒子及びラテックス)は、ナイフコーティング、スクレープコーティング、フォームコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティングなどを含んだ多くの技術のうちの何れかを使用して、織物支持体に、好ましくはこの支持体の裏側に塗布される。コーティング組成物の乾燥含浸レベル(dry add-on level)は、好ましくは、平方ヤード当たり約0.5オンス乃至平方ヤード当たり約4.0オンスの範囲内にあり、より好ましくは、平方ヤード当たり約1.5オンス乃至平方ヤード当たり約2.5オンスである。
【0081】
幾つかの図面に亘って同じ参照番号が同じ部分を指している図面を参照すると、図5は、本発明に従う光触媒性生地を図示している。光触媒性生地500は、織物支持体505を具備している。織物支持体505は、複数のヤーン506を具備している。図5に図示されているように、複数のヤーン506は、織布構成で提供されている。しかしながら、上で述べたように、複数のヤーンは、ニット構成又は他の適切な織物構成でもあり得る。第1仕上げ塗り510は、織物支持体505の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図5に図示された生地は第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0082】
図6は、本発明に従う光触媒性生地の別の実施形態を図示している。生地600は、タフテッドパイル構成で提供されている複数のヤーン606を具備した、織物支持体605を具備している。第1仕上げ塗り510は、タフテッドパイルヤーン606の少なくとも一部分をコートするように、織物支持体605の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体605の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面(すなわち、織物支持体のタフテッド表面)の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図6に図示された生地は、第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0083】
図6に図示されているように、織物支持体605は、任意の適切な織布、ニット織物若しくは不織布又はスクリムであり得る主裏地620を通してタフトされた複数のヤーン606を具備している。バインダ層(例えば、ラテックスバインダを含んだコーティング)、フォーム裏地(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)などの裏地層630は、主裏地620の裏側に配置されており、ヤーン606を決まった位置で固定するのを助けている。第2仕上げ塗り615は、裏地層630に塗布されたコーティング又は仕上げ塗りの形態で、生地の技術的な裏面(technical back)に配置され得る。或いは、第2仕上げ塗りは、例えば、活性炭粒子を含んだラテックスバインダコーティング又は活性炭粒子を含んだ発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)の形態で、裏地層630中に組み込まれる。別の考えられる実施形態では、第2仕上げ塗りは、主裏地と裏地層との間に配置され得る。このような実施形態では、第2仕上げ塗りは、ヤーンのタフトの後に、主裏地へと塗布され得る。
【0084】
図7は、本発明に従う光触媒性生地の別の実施形態を図示している。生地700は、ボンデッドパイル構成で提供された複数のヤーン706を具備した織物支持体705を具備している。第1仕上げ塗り510は、ボンデッドパイルヤーン706の少なくとも一部をコーティングするように、織物支持体705の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体605の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面(すなわち、織物支持体のボンデッドパイル表面)の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図7に図示された生地は、第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは、織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0085】
図7に図示されるように、織物支持体705は、接着剤720によって適切な位置で結合された複数のヤーン706を具備し得る。第2仕上げ塗り515は、接着剤層720に塗布されたコーティング又は仕上げ塗りの形態で、生地の技術的な裏面に配置され得る。或いは、第2仕上げ塗りは、例えば、活性炭粒子を含んだラテックスバインダコーティング又は活性炭粒子を含んだ発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)の形態で、接着剤層に塗布された裏地層中に組み込まれる。
【0086】
織物支持体の片側での活性炭粒子の塗布の結果、コーティングされた織物は、コーティングされた側が導電性となり、静電気消散表面を生む。静電気を減少させることが、乗物の乗客に対する不愉快な感電を排除するのに望ましいだけでなく、例えば、給油所での静電気の放電を原因とする発火の可能性を低減するのにも望ましい乗物の車内において、このような特性は特に有用である。
【0087】
以下の例は、ここで説明されたような、活性炭コーティングを用いてコーティングされた織物支持体の表面導電性を説明する。
【0088】
例9−17
光触媒性生地塗りが塗布されている(例1のように)サンプル5Aのファブリックの片側に、活性炭コーティングがコーティングされた。活性炭コーティングは、最初にメタクリル酸分散剤の存在下で高速剪断混合しながら水を用いて分散させられた活性炭粉末(以下の表8に挙げられている)を含有していた。次に、このコーティングが、活性炭成分がコーティング組成物の約20重量%となるように、約−10℃のガラス転移温度を持つポリアクリレートラテックスと混合させられた。
【表8】
【0089】
活性炭コーティングの導電性は、イリノイ州エルクグローヴヴィレッジのACL Staticide, Inc.からのモデルACL 385表面抵抗率計を使用して測定された。例9乃至11及び13乃至17は、各々、約10-5ジーメンス/メートルの表面導電性を示した。例12は、約10-10ジーメンス/メートルの表面導電性を示した。
【0090】
少なくとも第1側に塗布された光触媒性仕上げ塗りと第2側に塗布された活性炭コーティングとを有したこの織物支持体は、汚染物質を自動車の車内から吸着するのと、この汚染物質を分解又は酸化させるのとの双方のために設計されている。それは、特には、椅子張地のファブリックとしてよく適合し、そこでは、静電気消散特性が、乗り降りの際に乗員が感電するのを防ぐ。
【0091】
更に、上で論じられてきたように、光触媒性仕上げ塗りは、例えば、乗員によって自動車の車内に持ち込まれ得る有機系臭気物を分解する働きをする。これら臭気物は、タバコの煙、飲食物に関係した臭気物などを含んでいる。織物支持体中の活性炭成分は、自動車のシートで使用されているウレタンフォームから発せられるものを含んだ不快な臭気物を吸着することによって役割を果たす。このような発泡体は、残渣出発物質が蒸発する際に、特有のアミン臭気を発することが知られている。このシートを本織物支持体を用いて覆うことによって、キャビンスペースに入り込む不快なVOCが低減される。実際、本発明に従う生地を自動車車内の椅子の張地に組み込むことは、自動車が、日本自動車工業会で近年採用されている目標VOCレベルなどの、客室内に存在するVOCの量に関する基準に合格するのを助けるに違いないことが信じられている。
【0092】
更に、この織物支持体は、天井材(すなわち、乗物の車内天井を覆うのに使用されるファブリック)として又はトランクライナー(すなわち、乗物の車内収納領域を覆うファブリック)としてと共に、自動車の車内にある他の織物パネルとしても使用されても良い。フロアマットなどの車内カーペットが、臭気吸着及び臭気除去性質をこれら物品に与えるために、この光触媒及び活性炭の処理によって処理されても良い。
【0093】
この織物支持体は、乗物に関連した使用について説明されているが、この支持体が幅広い様々な他の用途においても有用性を見出し得ることが予期される。これら理由のために、この織物支持体は、従来技術に優る有用な利点を示す。
【0094】
ここで列挙された刊行物、特許出願及び特許を含んだ全ての参考文献は、あたかも、各々の参考文献が、参照することによりここに組み込まれるべく個別に及び詳細に示されており、且つ、ここでその全体が述べられているのと同程度に、参照することによりここに組み込まれる。
【0095】
発明の説明との関連で(特に特許請求の範囲との関連で)、用語「或る("a" and an")」及び「その(the)」並びに同様の指示物は、別段ここに示されない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を包含するように解釈されるべきである。用語「具備する(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、別段記載がない限り、制限のない用語(open-ended terms)(即ち、「これを含むが、これに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。ここでの値の範囲の記載は、別段ここに示されない限り、単に、その範囲内にある各々の別個の値を個別に言及するのを省略する方法として役立つように意図されたものであり、各々の別個の値は、あたかもそれが個別にここで挙げられているかのように、明細書に組み込まれている。ここで説明された全ての方法は、別段ここに示されない限り及び文脈上明らかに矛盾がない限り、任意の適切な順序で実行され得る。何れか及び全ての例、又は、ここで提供される例示的な言葉(例えば「such as」)の使用は、単に、本発明をより明らかにするように意図されているものであり、別段特許請求の範囲に記載されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の何れのことば(language)も、特許請求の範囲に何ら記載されていない事項が本発明の実施のために必須であることを示しているとして解釈されるべきではない。
【0096】
本発明の好ましい実施形態は、ここでは、本発明者が知る本発明を実施するための最良の形態を挙げて説明されている。好ましい実施形態の変形は、上述の説明を読むことで、当業者に明らかになるかもしれない。本発明者らは、当業者が適切な変形を採用することを予期し、本発明者らは、本発明がここで特に説明されたのとは別の方法で実施されるのを意図している。従って、本発明は、適用可能な法規によって許されているように、ここに添付されている特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更及び等価物を含んでいる。更に、別段ここで示されていない限り及び文脈上明らかに矛盾しない限り、上で説明した事項の全ての可能な変形における如何なる組み合わせも、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】サンプル3Aの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(6000倍拡大)。
【図1A】サンプル3Aの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図2】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(2840倍拡大)。
【図2A】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(8350倍拡大)。
【図2B】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図3】サンプル3Cの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(3200倍拡大)。
【図3A】サンプル3Cの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(8500倍拡大)。
【図4】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(1610倍拡大)。
【図4A】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(3000倍拡大)。
【図4B】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図5】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている光触媒性生地の断面図。
【図6】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている別の光触媒性生地の断面図。図示したように、この生地は、タフテッドパイル構成で提供された織物材料である。
【図7】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている別の光触媒性生地の断面図。図示したように、この生地は、ボンデッドパイル構成で提供された織物材料である。
【発明の開示】
【0001】
技術分野
この開示は、光触媒性生地及びその製造方法に関する。更には、この開示は、光触媒性生地であって、その上に配置された活性炭コーティングを有した光触媒性生地に関する。
【0002】
概要
織物支持体(textile support)と、それの少なくとも第1表面上にある仕上げ塗り(finish)とを具備した光触媒性生地がここで提供される。この織物支持体の少なくとも第1表面上にある仕上げ塗りは、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。この織物支持体の反対側の表面上には、活性炭粒子とバインダとを具備したコーティングが配置されている。
【0003】
また、このような光触媒性生地の製造方法が提供される。このプロセスは、少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、光触媒性仕上げ塗りを準備する工程と、この光触媒性仕上げ塗りを先の織物支持体の少なくとも第1表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、織物支持体のうち光触媒性仕上げ塗りが塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程と、活性炭粒子とバインダとを具備したコーティング組成物を準備する工程と、この活性炭組成物を光触媒性仕上げ塗りとは反対側の表面に塗布する工程と、この織物支持体を乾燥させて表面処理された織物物品を製造する工程とを含んでいる。
【0004】
詳細な説明
光触媒性仕上げ塗り
上で述べたように、この開示は、織物支持体と、それの表面上にある仕上げ塗りとを具備した光触媒性生地を提供する。織物支持体の表面上にある仕上げ塗りは、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。適切な織物支持体は、ここで説明されるものを含んでいる。
【0005】
光触媒性材料を指すのにここで使用されるように、用語「粒状」は、微小な別個の粒子からなる集合体(collection)を具備した光触媒性材料を指す。特には、用語「粒状光触媒性材料」は、複数の一次粒子を具備した光触媒性材料を指す。或る光触媒性材料については、これら一次粒子は、互いに融合されて(fused)、「凝集体(aggregate)」,互いに物理的に結合した複数の一次粒子からなり、相当の機械力をかけることによってのみそれを構成する一次粒子へと縮小され得る集合体を指すのに使用される用語である,を形成し得る。一次粒子からなる個々の凝集体は、更に会合して(associated)、「凝集塊」を形成し得る。或いは、粒状光触媒性材料の個々の一次粒子も会合して、凝集塊を形成し得る。
【0006】
生地において利用される光触媒性材料は、任意の適切な光触媒性材料であり得る。ここで使用されるように、用語「光触媒性材料」は、一般には、この材料が光(例えば、紫外光及び/又は可視光)に曝されたときに、或る化学反応を触媒することができる材料を指す。例えば、ここで使用されるように、用語「光触媒性材料」は、光(例えば、紫外光及び/又は可視光)に曝されたときに、有機臭気原因物質、揮発性有機化合物及び有機系汚染剤などの有機材料の分解又は酸化に関係するレドックス(酸化/還元)反応を触媒することが可能な材料を指す。
【0007】
生地における使用に適した光触媒性材料は、二酸化チタン(例えば、アナタース型二酸化チタン)、ドープ二酸化チタン、硫化モリブデン、酸化亜鉛及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。用語「アナタース型二酸化チタン」は、アナタース型結晶形の二酸化チタンと共に、アナタース型結晶形を大部分(例えば、約50%よりも大きいか又は約60%よりも大きいか又は約70%よりも大きい)含有している二酸化チタンを指す。ここで利用されるように、用語「ドープ二酸化チタン」は、荷電子状態にある電子と励起した伝導帯電子状態(すなわち、可視光又は紫外光に曝されて二酸化チタン中の電子が励起した状態)とのバンドギャップを下げるために、他の元素(例えば、炭素、窒素又は他の元素若しくは金属)又は無機酸化物がドープされている二酸化チタンを指す。光触媒性材料のバンドギャップのこの減少は、この光触媒性材料の酸化電位を下げ、この光触媒性材料によって起こり得る生地のダメージ又は分解を低減するのに役立ち得る。或る考えられる好ましい実施形態では、粒状光触媒性材料は、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している。
【0008】
アナタース型二酸化チタンなどの光触媒は、有機染料、有機ポリマー(例えば樹脂バインダ)及び多くの有機ポリマー繊維などの有機材料を分解させることが知られている。その為に、有機系生地の長期間に亘る光安定性も機械的結合性も犠牲にすることなく、光触媒性コーティング又は仕上げ塗りを有機系生地上に提供することは、一般には難しかった。これら難点にも関わらず、ここでの教示に従うと、色の光安定性にも生地の機械的性質にも悪影響を与えることなく、光触媒活性コーティング又は仕上げ塗りが、粒状光触媒性材料及びバインダ(例えば、有機樹脂バインダ)を使用して、生地(例えば、有機材料から形成された生地)上に提供され得ることが信じられている。
【0009】
光触媒性材料は、仕上げ塗り中に、任意の適切な量で存在し得る。典型的には、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.05重量%以上の量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.1重量%以上、約0.2重量%以上、約0.3重量%以上、約0.4重量%以上又は約0.5重量%以上の量で仕上げ塗り中に存在し得る。典型的には、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約2重量%以下の量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約1.75重量%以下、約1.5重量%以下、約1.25重量%以下又は約1重量%以下の量で仕上げ塗り中に存在し得る。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性材料は、生地の総重量に基づき、約0.05重量%乃至約2重量%か又は約0.5重量%乃至約1重量%の量で仕上げ塗り中に存在している。
【0010】
上で述べたように、織物支持体上の仕上げ塗りは、光触媒性材料に加えて、バインダを具備している。仕上げ塗り中のバインダは、有機及び無機のバインダを含んだ任意の適切なバインダであり得る。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、バインダのポリマー骨格が、数で約50%以下(例えば、約40%以下、約30%以下又は約20%以下)のSi−O及び/又はC−F結合を具備した有機バインダである。適切な有機バインダは、ラテックスバインダ、ポリアクリレートバインダ、ビニルエステルバインダ、ポリウレタンバインダ、ポリエチレンビニルアセテートバインダ、ポリオレフィンバインダ、ポリエステルバインダ、ポリアミドバインダ、ポリエーテルバインダ、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)バインダ、ポリイソプレンバインダ、ポリクロロプレンバインダ及びこれらの組み合わせを含んでいるが、これらに限定されない。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、ラテックスバインダである。
【0011】
光触媒性生地における使用に適すると信じられ且つ市販されていると信じられているバインダの特定の例は、以下を含むが、これらに限定されない:UNIDYNE(登録商標) TG-5010という名称でDaikin Industries, Ltd.から販売されているパーフルオロカーボン修飾モノマーを含んだポリアクリル系ラテックス、RHOPLEX(登録商標) HA-16、RHOPLEX(登録商標) E-32NP及びRHOPLEX(登録商標) NW-1402という名称でRohm and Haas Companyから販売されているポリアクリル系ラテックス樹脂、HYCAR(登録商標) 2671及びHYSTRETCH(登録商標) V-43という名称でNoveon, Inc.から販売されているポリアクリル系ラテックス樹脂、AIRFLEX(登録商標) TL-51という名称でAir Products and Chemicals, Inc.から販売されているエチレンビニルアセテートコポリマーラテックス; SANCURE(登録商標) 2026という名称でNoveon, Inc.から販売されているポリウレタンエマルション、及びFLUOROSHIELD(登録商標) 2000Wという名称でAdvanced Polymer, Inc.から販売されていたと信じられているメチルメタクリレートとビニリデンフルオライドとのコポリマー。
【0012】
織物支持体上にある仕上げ塗りは、任意の適切な量のバインダを具備し得る。典型的には、バインダは、約1:0.1以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.2以上又は約1:0.5以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。バインダは、典型的には、約1:5以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる実施形態では、バインダは、約1:2以下又は1:1以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。或る好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.1乃至約1:5か又は約1:0.2乃至1:2という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で仕上げ塗り中に存在している。
【0013】
上で述べたように、光触媒性材料は、或る考えられる好ましい実施形態では、物理的に会合又は融合して凝集体を形成し得る複数の一次粒子を具備し得る。一次粒子及び/又は一次粒子からなる凝集体は、上で述べたように、仕上げ塗り内で更に会合して凝集塊を形成し得る。これら一次粒子及び/又は凝集体の物理的会合の結果得られる表面構造のおかげで、凝集塊は、典型的には、多孔質外部表面を有する。何ら特別な理論に縛られること望まないが、これら凝集塊の多孔質外部表面は、例えば、有機臭気原因物質、揮発性有機化合物及び有機系汚染剤の分解又は酸化をもたらすレドックス反応の光触媒作用に関与するのに利用できる大きな表面積を提供すると信じられている。更には、これら凝集塊の構造は、光触媒性材料を織物支持体へと固定するのに適した表面を提供し、それにより、織物支持体上に丈夫な仕上げ塗りを提供すると信じられている。
【0014】
凝集塊は、光触媒性生地の或る実施形態の仕上げ塗り中に存在しているとき、任意の適切な寸法又は径を有し得る。或る考えられる実施形態では、凝集塊は、約0.2乃至約14ミクロンか又は約1乃至約6ミクロンの径を有している。
【0015】
織物支持体上にある仕上げ塗りは、抗菌性化合物又は添加剤などの他の適切な薬品も含み得る。適切な抗菌性化合物又は添加剤は、銀ゼオライト、銀粒子(例えば、ナノ銀粒子)、銀ジルコニウムフォスフェート及びこれらの組み合わせなどの無機抗菌性添加剤を含むが、これらに限定されない。光触媒性生地における使用に適すると信じられている抗菌性添加剤の特定の例は、Milliken ChemicalからのALPHASAN(登録商標) RC 5000抗菌性添加剤である。仕上げ塗り中に存在しているとき、追加の添加剤又は薬品が、任意の適切な量で存在し得る。例えば、仕上げ塗りが抗菌性添加材を具備している場合、添加剤は、生地の総重量に基づき、約0.5重量%の量で仕上げ塗り中に存在し得る。
【0016】
光触媒性表面の製造
光触媒性生地は、任意の適切な方法で製造され得る。しかしながら、この開示は、織物生地上に光触媒性表面を製造する方法も提供する。このプロセスは、少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、光触媒性仕上げ塗りを準備する工程と、この光触媒性仕上げ塗りを先の織物支持体の表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、織物支持体のうち光触媒性仕上げ塗りが塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程とを含んでいる。
【0017】
支持体として利用される織物材料は、任意の適切な織物材料であり得る。例えば、この織物支持体は、ニット、織布又は不織布の構成で提供されることができ、天然繊維、合成繊維、再生繊維及びこれら3つのうちの何れか2つ以上からなる混紡からつくられたヤーン又は繊維を具備し得る。織物支持体における使用に適した天然繊維は、セルロース繊維(例えば、綿)、羊毛、絹を含むが、これらに限定されない。織物支持体における使用に適した合成繊維は、ポリエステル、ポリアミド(例えば、脂肪族及び芳香族ポリアミド)、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、ポリ乳酸、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリケトン、フェニルホルムアルデヒド樹脂及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。或る考えられる好ましい実施形態では、織物支持体は、ポリエステル含有ヤーン(すなわち、ポリエステル繊維又はフィラメントを具備するか、実質的にこれらからなるか又はこれらからなるヤーン)又はポリエステル繊維を具備しており、これらヤーン又は繊維は、織布、不織布又はニットの構成で提供される。一般には、織物材料が、約4オンス毎平方ヤード乃至16オンス毎平方ヤードの未コーティング重量を有することが好ましい。また、これらヤーン又は繊維は、タフテッドパイル又はボンデッドパイルなどのパイル構成で提供されてもよい。この場合、織物材料の重量は、好ましくは、約4オンス毎平方ヤード乃至20オンス毎平方ヤードである。
【0018】
上述の方法において利用される光触媒性仕上げ塗りは、適切な液体媒体中に分散又は懸濁された、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。この方法において利用される光触媒性材料及びバインダは、上述した光触媒性材料及びバインダを含んだ、任意の適切な光触媒性材料及びバインダであり得る。光触媒性材料及びバインダが分散又は懸濁される液体媒体は、任意の適切な液体媒体であり得る。或る考えられる好ましい実施形態では、液体媒体は水性媒体である。
【0019】
上述の方法において使用される光触媒性仕上げ塗りは、任意の適切な方法によって製造され得る。典型的には、光触媒性仕上げ塗りは、まず、適切な液体媒体を準備し、次に、乾燥状態の粒状光触媒性材料(例えば、粉末状の光触媒性材料)を先の液体媒体中に分散又は懸濁させ、バインダを先の液体媒体へと添加することによって製造される。好ましくは、粒状光触媒性材料は、過剰なグラインディングも、ミリングも、剪断混合も行わずに、液体媒体中に分散又は懸濁される。何ら特別な理論に縛られること望まないが、粒状光触媒性材料をこの方法で分散又は懸濁させることは、光触媒性材料中に存在する個々の一次粒子及び/又は凝集体が凝集塊を形成することを可能にし、この凝集塊が、それから、この方法の続く工程において織物支持体上へと堆積することが信じられている。
【0020】
光触媒性仕上げ塗りは、任意の適切な量の光触媒性材料とバインダとを具備し得る。織物支持体上への光触媒性材料の十分な堆積を確実にするために、光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約0.2重量%以上の粒状光触媒性材料を具備する。光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約1重量%以下の粒状光触媒性材料を具備する。或る考えられる好ましい実施形態では、光触媒性仕上げ塗りは、典型的には、コーティング組成物の総重量に基づき、約0.2重量%乃至約1重量%の粒状光触媒性材料を具備する。
【0021】
典型的には、バインダは、約1:0.1以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる好ましい実施形態では、バインダは、約1:0.2以上又は約1:0.5以上という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。バインダは、典型的には、約1:5以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る考えられる実施形態では、バインダは、約1:2以下又は1:1以下という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。或る好ましい実施形態では、バインダは、バインダは、約1:0.1乃至約1:5か又は約1:0.2乃至1:2という光触媒性材料とバインダ固形物との重量比を与えるのに十分な量で光触媒性仕上げ塗り中に存在している。
【0022】
光触媒性材料の安定した分散又は懸濁の形成を促進するために、光触媒性仕上げ塗りは、或る考えられる好ましい実施形態において、分散剤を具備し得る。分散剤は、光触媒性仕上げ塗りの製造中の任意の適切な点で、光触媒性仕上げ塗りの液体媒体へと添加され得る。例えば、分散剤は、粒状光触媒性材料及びバインダの添加前か、又は、粒状光触媒性材料の添加後であってバインダの添加前に、液体媒体へと添加され得る。
【0023】
この分散剤は、光触媒性仕上げ塗り中の光触媒性材料及びバインダの双方と適合するものであれば、任意の適切な分散剤であり得る。適切な分散剤は、フォスフェートエステル、アンモニア、水酸化アンモニウム及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ここで利用されるように、用語「フォスフェートエステル」は、以下の一般構造によって表されるモノエステル、ジエステル及びトリエステルを指すのに利用される。
【化1】
【0024】
これら一般構造において、R、R1、R2及びR3は、好ましくは、アシル含有有機ラジカルであり、Xは、好ましくは、アンモニウム、プロトン又は1価の金属イオンである。或る考えられる好ましい実施形態では、R、R1、R2及びR3は、エトキシ化フェノール、アルコール又はカルボン酸である。フォスフェートエステルは、光触媒性仕上げ塗りにおける使用に適すると信じられており、市販されているものとしては、Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標)及びSOPROPHOR(登録商標)という名称のフォスフェートエステルを含むと信じられているが、これに限定されない。
【0025】
上述の手順に従って製造される場合、粒状光触媒性材料は、仕上げ塗り組成物中で凝集塊を形成する。凝集塊の寸法は、例えば、使用される粒状光触媒、光触媒の構造、仕上げ塗り組成物中に存在しているバインダ及び仕上げ塗り組成物に添加された任意の分散剤に応じて多様であり得る。或る実施形態では、アナタースリッチのヒュームド二酸化チタンが粒状光触媒性材料として使用される場合などでは、仕上げ塗り組成物は、約40乃至約120ミクロンの範囲内にある径を有した小部分の凝集塊と、約0.2乃至約14ミクロンの範囲内にある径を有した大部分の凝集塊とを含むと信じられている。約0.2乃至約14ミクロンの径を有した凝集塊は、大きい方の凝集塊よりも安定であると信じられており、そのために、大きい方の凝集塊よりも望ましい。
【0026】
多い方の凝集塊(すなわち、約0.2乃至約14ミクロンの範囲の径を有する凝集塊)の内部では、大半(例えば、50%以上)の凝集塊が、約1乃至約6ミクロンの径を有していると信じられている。40ミクロンより大きい径を有した凝集塊は、小さい方の凝集塊よりも安定性が低く、希釈中に時間と共に沈殿する傾向と、低粘度の仕上げ塗り組成物とを示すと信じられている。しかしながら、大きい方の凝集塊は、例えば増粘剤を使用して製造された粘性のある仕上げ塗り組成物中に、比較的安定な状態で懸濁され得る。約40ミクロンより大きい径を有した多量の凝集塊が仕上げ塗り組成物中に存在する場合、これら大きい方の凝集塊は、例えば、仕上げ塗り組成物を適切な濾過媒体に通すことで除去され得るし、又は、凝集塊の径は、コーティング組成物の超音波処理か、機械的剪断混同か又は穏やかなグラインディングによって低減され得る。
【0027】
仕上げ塗り組成物は、任意の適切な方法を使用して、織物支持体の表面へと塗布され得る。例えば、仕上げ塗り組成物が、織物支持体の表面上へと印刷又は噴霧塗布され得る。或いは、織物支持体は、光触媒性仕上げ塗り中に浸漬されることができ、或る実施形態では、過剰な液体媒体を織物支持体から除去するために、一対のニップロールに通され得る。仕上げ塗り組成物は、フォーム(例えば水性フォーム)の形態で、織物支持体の表面へと塗布され得る。このプロセスでは、このフォームは、適切な発泡剤又はフォーム安定化界面活性剤を使用して仕上げ塗り組成物から製造され、従来のフォーム表面処理装置を使用して織物支持体に塗布され得る。
【0028】
光触媒性仕上げ塗が塗布された織物支持体は、任意の適切な方法で乾燥させられ得る。例えば、織物支持体は、先のコーティングされた織物支持体を、例えばオーブン内で、この支持体を乾燥させて光触媒性生地を製造するのに十分な時間に亘って、高められた温度に曝すことにより乾燥させられ得る。
【0029】
光触媒性生地と、上述のプロセスによって製造された生地とは、様々な用途において有用であり得る。例えば、この光触媒性生地は、自動車の車内の椅子の張地として特に有用であり得ることが信じられている。実際、この光触媒性生地を組み込んだ自動車の車内の椅子の張地は、タバコの煙などの有機系臭気物を分解又は酸化させるのに特に有効であり得ることが信じられている。何ら特別な理論に縛られること望まないが、椅子の張地の大きな表面積と、椅子の張地の紫外光及び可視光への多量の露光は、有機臭気原因物質の迅速なる分解又は酸化のための理想的な環境を提供し得ると信じられている。
【0030】
以下の例は、ここに含まれる教示を更に例示するが、もちろん、それらの範囲を限定するように解釈されるべきでない。
【0031】
例1
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。光触媒性仕上げ塗りは、約0.6グラムのアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を穏やかな攪拌を用いて約98グラムの脱イオン水中に分散させることによって製造された。次に、約0.1グラムのフォスフェートエステル界面活性剤(Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標) RS-610)がこの分散液へと添加され、約0.2グラムの水酸化アンモニウムが、pHを約8へと高めるためにこの分散液へと添加された。次に、光触媒性仕上げ塗りをつくるために、約0.5グラムのメチルメタクリレート及びビニリデンフルオライドのコポリマーバインダ(Advanced Polymer, Inc.からのFLUOROSHIELD(登録商標) 2000W)がこの分散液へと添加された。
【0032】
次に、100%スパンポリエステルヤーンから全て構成された白色の平織りファブリックのスワッチが、光触媒性仕上げ塗り中に浸漬され、約280kPa(40psi)の圧力に設定された一対のニップロールに通された。次に、この処理されたファブリックスワッチが、熱対流炉内に置かれ、約3分間に亘って、約180℃(350°F)の温度で乾燥させられた。得られた光触媒性生地はその表面上に仕上げ塗りを有しており、この仕上げ塗りはファブリックの平方メートル当たり約5グラムの光触媒を含有しており、光触媒のバインダに対する重量比は約2:1であった。
【0033】
生地の光触媒性を定性的に評価するために、約10cm(4インチ)に約8cm(3インチ)の生地のスワッチが、注入口が取り付けられた3.8リットルの透明なガラスのジャー内に置かれた。次に、約30mlの煙がシリンジを使用して火の付いたタバコから抜き出され、この煙は注入口を介してジャーの中へと注入された。次に、このジャーが、光触媒性生地を紫外光に曝すために、2つの20ワット平行ブラックライトチューブの間に置かれた。所望の時間の露光の後、ジャー内部の空気の臭気とジャーの中にある生地の臭気とが人の判断で測定され、結果が記録された。2時間の露光後、生地とジャー内部の空気とは、タバコの臭気の著しい低減を示した。5時間の露光後、タバコの臭気は感じられなかった。同じ条件の下で試験された同様の未処理のファブリックは、依然として強いタバコ臭を示した。
【0034】
また、生地の光触媒活性は、以下の方法で定量的に評価された。約12cm(4.75インチ)に約6.4cm(2.5インチ)の光触媒性生地のスワッチが、ゴム製の隔壁が取り付けられた64mlの透明なガラス瓶内に置かれた。次に、約2ミリリットルの蒸気飽和アセトアルデヒドがこのビンの中へと注入され、このビンが約2.5cm(1インチ)の距離だけ離されている2つの20ワット平行ブラックライトチューブの間に置かれた。次に、1ミリリットルのガスサンプルが、相対的なアセトアルデヒド濃度を決定するためのGC分析用として、このビンから定期的に抜き出された。これら濃度測定値を使用して、以下の反応に従うアセトアルデヒドの分解の速度定数が決定され得る。
【化2】
【0035】
この分解反応が一次の速度論に従うと仮定すると、この反応の速度定数は、以下の等式を使用して決定され得る。
【数1】
【0036】
この等式において、[M]は規定時間のUV照射後の瓶中のアセトアルデヒドの濃度を表しており、tはUV照射の時間(分)を表しており、kはこの分解反応の速度定数である。上述の等式を0からtまでの時間で積分すると、以下の等式が得られる。
【数2】
【0037】
この等式において、[M]、t及びkは、前の等式で示したものと同じであり、[M]0は、UV照射前の、瓶中のアセトアルデヒドの初期濃度を表している。log([M]/[M]0)を時間(t)に対してプロットすることで、この分解反応の速度定数が、このプロットラインの傾きから決定され得る。
【0038】
上述の手順に従って、1ミリリットルのガスサンプルが、UV照射前、並びに、30、60、120及び180分のUV照射後に、生地とアセトアルデヒドとを収容したビンから取り出された。規定時間での([M]/[M]0)及びlog([M]/[M]0)について計算された値が、以下の表1に示されている。
【表1】
【0039】
log([M]/[M]0)の値を時間(t)に対してプロットした後、光分解性生地の存在下でのこの分解反応の速度定数は、約0.0035分-1であると決定された。
【0040】
例2
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。光触媒性生地は、例1に示された共通の手順に従って製造された。生地を製造するのに使用されたコーティング組成物は、仕上げ塗り組成物において使用されたバインダが0.5グラムのポリアクリレートラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) E-32NP)であったこと以外、例1で利用されたものと実質的に同じであった。
【0041】
次に、得られた生地の光触媒活性が、例1に示された手順に従って、定量的及び定性的に評価された。2時間のUV露光後、人間の判断では、生地のジャー内の空気からタバコの臭気を感知することはできなかった。また、この光触媒性生地の存在下でのアセトアルデヒドの分解反応の速度定数は、約0.0035分-1であると決定された。
【0042】
例3
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つの生地(サンプル3A乃至3D)が、例1に示された共通の手順に従って、1重量%の4つの異なる光触媒と、0.5重量%のラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)とを使用して製造された。
【0043】
サンプル3Aは、光触媒として、アナタースリッチのヒュームド二酸化チタン粉末(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を使用して製造された。
【0044】
サンプル3Bは、アナタースリッチの二酸化チタンゾル(Kon CorporationからのTPX-85(登録商標))を使用して製造された。
【0045】
サンプル3Cは、別のアナタースリッチの二酸化チタンゾル(Ishihara Corporation USAからのSTS-01(登録商標))を使用して製造された。
【0046】
サンプル3Dは、アナタースリッチの二酸化チタン粉末(Kemira CorporationからのANX(登録商標)Type A)を使用して製造された。
【0047】
次に、各々の光触媒性生地の存在下でのアセトアルデヒドの分解反応の速度定数が、例1に示された手順に従って決定された。これらサンプルの各々についての結果が、以下の表2に示されている。
【表2】
【0048】
表2に示された結果からわかり得るように、塗布の前に媒体中に分散又は懸濁されていた乾燥状態の粉末光触媒性材料を使用して製造された光触媒性生地(すなわち、サンプル3A及び3D)は、光触媒性材料のゾルを使用して製造された生地よりも高い光触媒活性を示した。サンプル3B及び3Cを製造するのに使用された二酸化チタンゾルなどの光触媒性材料のゾルは、一般には、凝集塊が極少量しか又は全く含有されていない、粒状光触媒性材料の超微細分散液である。この高い方の光触媒活性は、サンプル3A及び3Dの存在下でのアセトアルデヒド分解反応の高められた速度定数によって証明される。
【0049】
次に、各々のサンプルの表面は、織物支持体の表面上にある仕上げ塗の形態(morphology)を定性分析するために、走査電子顕微鏡を使用して分析された。サンプル3A−3Dの各々について得られた形態は、図1−4Bに示されている。これら顕微鏡写真の比較からわかり得るように、高い光触媒活性を示す生地(すなわち、サンプル3A及び3D)は光触媒性材料からなる凝集塊を具備した仕上げ塗りを有していた一方、低い光触媒活性を示す生地(すなわち、サンプル3B及び3C)は、寸法が比較的均一であり、検出可能な凝集塊を含有していなかった光触媒材料を含有した仕上げ塗りを有していた。
【0050】
例4
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。8つの生地(サンプル4A乃至4H)が、例1に示された手順に従い、様々な量の光触媒(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)とポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)とを使用して製造された。使用された光触媒及びバインダの量は、以下の表3に示されている。サンプルを製造するのに使用されたバインダ(すなわち、RHOPLEX(登録商標) HA-16)は、約45重量%のバインダ固形物を含有したポリアクリル系ラテックスバインダの水性エマルションである。以下の表3に示されたバインダの量は、添加したエマルション(すなわち、水性媒体及びバインダ固形物)の量に基づいている。
【0051】
生地の各々の光触媒活性は、例1に示された手順に従って定量的に評価された。これらサンプルの各々の存在下でのアセトアルデヒド分解反応の速度定数は、以下の表3に示されている。
【表3】
【0052】
表3に示された結果から分かり得るように、生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数によって証明される)は、一般に、光触媒の量が増えるにつれて増加する。しかしながら、サンプル4C、4D、4G及び4Hの比較は、同じ光触媒濃度では、より少ないバインダを有した生地の光触媒活性が増加したことを示している。
【0053】
例5
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。5つのサンプル(サンプル5A乃至5E)が、例1に示された手順に従って、5つの互いに異なる織物材料を処理することによって製造された。
【0054】
サンプル5Aは、コーヒー色に着色された綾織のポリエステル織物ファブリック(woven twill, texture polyester fabric)を用いてつくられた。
【0055】
サンプル5Bは、灰色のポールニットのポリエステルパイルファブリックを用いてつくられた。
【0056】
サンプル5Cは、染色されていない白色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0057】
サンプル5Dは、分散染色された赤色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0058】
サンプル5Eは、分散染色された黒色のサーキュラーニットポリエステルファブリックを用いてつくられた。
【0059】
次に、各々のサンプルが、400nm乃至250nmの波長を持つ光についての平均光反射率及び平均吸収率を決定するために試験された。また、これら生地は、例1に示された手順に従って、それらの光触媒活性を決定するために試験された。また、生地の耐光性を決定するために、サンプル5A及び5Bは、SAE試験法J1885に従い、これらサンプルを約225kJの紫外光照射に曝すことによって試験された。次に、生地の変色が、側光器を使用して測定され、変色はΔEで表された。これら測定の結果は、表4に示されている。
【表4】
【0060】
結果から分かり得るように、本光触媒性生地は、互いに異なる色の様々な織物支持体での光触媒活性を示している。また、これら結果は、低明度色が着色した生地についての生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較によって決定される)が、一般には、高明度色が着色した生地よりも低いことを示した。例えば、サンプル5C乃至5Eついて測定された速度定数の比較は、生地の光触媒活性は、白色の生地で最も高く、黒色の生地で最も低かったことを示した。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、生地の色に基づく光触媒活性の観察された減少は、低明度着色された染料又は顔料による紫外光の競合吸収に少なくとも一部起因するかもしれないと信じられている。このように、染料又は顔料によって吸収される紫外光の量が増加するにつれて、反応を触媒するために利用するのに光触媒が利用できる紫外光の量が少なくなると信じられている。また、上述の結果は、大量の紫外光照射に曝した後であっても、織物支持体に塗布された光触媒性仕上げ塗りは、支持体の色にそれほど大きく影響を与えないことを示している。
【0061】
例6
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つのサンプル(サンプル6A乃至6D)が、例1に示された共通の手段に以下の変更を加えたものに従って製造された。サンプル6A及び6Bを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは分散剤を含有しておらず、サンプル6C及び6Dを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは0.1重量%のフォスフェートエステル界面活性剤(Rhodia, Inc.からのRHODOFAC(登録商標) RS-610)を含有していた。サンプル6A及び6Cを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) E-32NP)を含んでおり、サンプル6B及び6Dを製造するのに使用された光触媒性仕上げ塗りは1重量%の他のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)を含んでいた。次に、各々のサンプルの存在下でのアセトアルデヒド分解反応の速度定数を決定するために、これらサンプルが、例1に示された手順に従って試験された。これら測定の結果は、以下の表5に示されている。
【表5】
【0062】
上述の結果からわかり得るように、光触媒性生地塗り中の分散剤(例えば、フォスフェートエステル界面活性剤)の存在は、このコーティング組成物を使用して製造された生地の光触媒活性を増加させ得る。
【0063】
比較例
この例は、バインダを使用せずに光触媒を織物材料の表面上へと堆積させた結果を説明する。約30cm(12インチ)に約30cm(12インチ)の織られたポリエステルファブリックのスワッチが、小さな実験室規模の液流染色機内に置かれた。次に、脱イオン水と、約0.1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)と、数滴の塩酸とを具備した約1リットルの水性分散液が、この液流染色機内に置かれた。次に、このファブリックが、約30分間に亘り、約125℃の温度及び高められた圧力にて、この水性分散液中で攪拌された。このファブリックは、冷まされ、水で穏やかに濯がれ、乾燥させられた。得られたファブリックは、その表面上に、二酸化チタンの吸着された層を有していた。
【0064】
次に、このファブリックは、約225kJの総紫外線照射についてのSAE試験法J1885に従って、加速紫外線曝露に供された。照射後、ファブリックは劇的に脆くなり、手で容易に引き裂かれた。ファブリックの表面の走査電子顕微鏡は、ファブリックの繊維の著しいピッティング及びエッチングを明らかにした。対照的に、例2に示された手順に従って製造された生地は、同様の紫外線曝露後に、視認可能な表面のダメージを少しも示さなかった。また、例2に示された手順に従って製造された生地の色は、紫外線曝露後に、それほど大きい変色を示さなかった。
【0065】
例7
この例は、ここでの教示に従う幾つかの光触媒性生地の製造と、その光触媒性とを説明する。4つのサンプル(サンプル7A乃至7D)が、例1に示された共通の手段に以下の変更を加えたものに従って製造された。サンプル7A及び7Cは、白色で平織りの100%スパンヤーンのポリエステルファブリックであった。サンプル7B及び7Dは、黒色で平織りの100%スパンヤーンのポリエステルファブリックであった。これら生地を製造するのに使用されたコーティング組成物は、1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)を具備していた。また、サンプル7A及び7Bを製造するのに使用されたコーティング組成物は、約1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)を含有していた。サンプル7C及び7Dを製造するのに使用されたコーティング組成物は、約1重量%のパーフルオロカーボン修飾モノマー(Daikin Industries, Ltd.からのUNIDYNE(登録商標) TG-5010)と、約0.5重量%のメチルエチルケトキシムブロックト脂肪族イソシアネートトライマー架橋剤(ClariantからのARKOPHOB(登録商標) DAN)とを含んでいた。
【0066】
得られた生地は、光触媒活性を定量的に判定するために、例1に示された手順に従って試験された。これら測定の結果は、以下の表6に示されている。次に、これらサンプルは、AATCC試験法16、オプションEに従って、約40時間に亘り紫外光照射に曝されて、例1に示された手順に従って再度定量的に評価された。これら測定の結果も、以下の表6に示されている。
【表6】
【0067】
上述の結果から分かり得るように、これらサンプルの各々の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較によって決定される)は、生地が上述のように紫外光照射に曝された後、約88%乃至約360%増加した。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、生地の光触媒活性の観察された増加は、紫外光照射と光触媒とが原因のバインダの部分的劣化に少なくとも部分的に起因し得ると信じられている。バインダのこの部分的な劣化は、より広範な光触媒性材料の表面積を露光させるのを助け、それにより触媒に利用できる面積を増やして反応速度を高めると信じられている。
【0068】
次に、照射を受けたサンプルは、バインダで見られた部分的な劣化が光触媒性材料の織物支持体への接着に悪影響を与えたかどうかを判定する目的で、数回洗浄された。選択サンプルが数回の洗浄に供された後、洗浄及び未洗浄のサンプルの光触媒活性が、例1に示された手順に従って決定された。洗浄及び未洗浄のサンプルの光触媒活性の比較は、洗浄及び未洗浄のサンプル間に違いが殆どないことを明らかにした。従って、何ら特別な理論に縛られることを望まないが、バインダの理論化された部分的な劣化は、全体としては、粒状光触媒材料の織物支持体への接着に悪影響を与えないことが信じられている。
【0069】
例8
この例は、ここでの教示に従う光触媒性生地の製造と、その光触媒性と、洗濯に対するこの生地の耐久性とを説明する。白色の織られた100%ポリエステルファブリックが、例1に示された共通の手順に従い、以下を含有したコーティング組成物を使用して処理された;約1重量%のアナタースリッチのヒュームド二酸化チタン(DegussaからのAEROXIDE(登録商標) P25)、約0.2重量%の水酸化アンモニウム、約1重量%のポリアクリル系ラテックスバインダ(Rohm and Haas CompanyからのRHOPLEX(登録商標) HA-16)及びバランスウォータ(balance water)。
【0070】
得られた生地は、光触媒活性を定量的に判定するために、例1に示された手順に従って試験された。この測定の結果は、以下の例7に示されている。次に、この生地は、10回の家庭洗濯サイクル(すなわち、家庭用洗濯機での洗濯サイクル及び家庭用乾燥機における乾燥サイクル)に通され、サンプルの光触媒活性が例1に示された手順に従って再度定量的に評価された。この測定の結果も、以下の表7に示されている。
【表7】
【0071】
上述の結果から分かり得るように、10回の家庭洗濯サイクル後の生地によって示された光触媒活性の比較的小さな減少によって証明されたので、ここでの教示に従う光触媒性生地は比較的丈夫である。特には、生地の光触媒活性(アセトアルデヒド分解反応の速度定数の比較により決定される)は、生地が10回の家庭での洗濯サイクルに通された後、20%しか減少しなかった。
【0072】
活性炭コーティング
或る考えられる好ましい実施形態では、本発明に従う光触媒性生地は、織物支持体上に、活性炭含有のコーティング又は仕上げ塗りを更に具備し得る。活性炭は、望まれない成分を大気から又は局地的な環境から吸収するのに使用される。本例において、活性炭は、揮発性有機化合物(VOC)及び他の汚染物質(例えば、タバコの煙)を、自動車の車内などの閉鎖環境から除去するのに使用される。好ましくは、活性炭コーティングは、ファブリックが例えば乗物の車内に据えられたときに、活性炭の黒色が反対側から見えないように、ファブリックの片側のみに配置されている。
【0073】
活性炭は、特には粒状又は粉末状で使用される場合、望まれない汚染物質が吸着され得る表面上に、多数の細孔(すなわち、大きな表面積)を含んでいる。活性炭粒子は、少なくとも600m2/gの、より好ましくは少なくとも900m2/gのBET表面積を有している。
【0074】
或る好ましい実施形態では、活性炭は、微粒子の形態で現在使用されている。このような活性炭粒子の好ましい寸法は、平均で、約1ミクロン乃至約50ミクロンであり、より好ましくは、平均粒径は、約3ミクロン乃至約20ミクロンである。
【0075】
活性炭粒子の吸着特性は、それが起源とするソースの固有構造に依存する。活性炭は、多くの様々なソースを起源とし、これらソースは、石炭、ヤシ殻、木材、レーヨン、泥炭、ポリアクリロニトリル、フェノールホルムアルデヒド樹脂及び架橋ポリスチレン樹脂を含むが、これらに限定されない。或る好ましい実施形態では、活性炭粒子は、石炭系である。石炭系活性炭は、VOC及び臭気物の吸着性のためのバランスの取れた多孔質構造(balanced pore structure)を提供すると共に、経済的であり且つ樹脂バインダと共に安定な分散液へと容易に混ぜ込まれる。ここで利用されるように、用語「バランスの取れた多孔質構造」は、巨視細孔(例えば、約100nmよりも大きい径を有した粒子)と、中間細孔(例えば、約10nm乃至約100nmの径を有した粒子)と、微小孔(例えば、約10nm未満の径を有した粒子)との組み合わせを持っている活性炭粒子を指すのに使用される。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、巨視孔と中間孔と微小孔との組み合わせは、様々な臭気原因分子を吸着するのに適した表面構造を提供する一方、臭気原因分子をこの分子が吸着される活性炭粒子の内側の部分へと通させる表面構造も提供することが信じられている。バランスの取れた多孔質構造を示す活性炭粒子は、フェノールホルムアルデヒド樹脂から製造される活性炭粒子及び中国で採掘された石炭から製造される活性炭粒子を含むが、これらに限定されない。中国からの石炭系活性炭が、中国石炭固有の形態学構造のおかげで、より好ましい。
【0076】
活性炭表面の製造
活性炭粒子を織物支持体へと塗布するために、活性炭粒子が水溶液中に分散されることができ、そこに、ソフトラテックスバインダが添加されて、活性炭コーティング組成物を形成する。好ましくは、高分子量分散剤が、分散液の0.1%乃至10%の量でこの水性粒子分散液中に存在している。このような分散剤の例は、スチレン、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのアクリル酸コポリマー、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとのスルホン化スチレンコポリマー、スチレン、エチレンオキシドポリマーセグメントを含有したコポリマー及びエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーなどの、アニオン性又は非イオン性の、水溶性又は水分散性ポリマーを含んでいる。
【0077】
ラテックスバインダは、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、クロロプレン及びオレフィンのポリマー及びコポリマーから選択され得る。ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコーン、アミノ樹脂、エポキシ樹脂及びそれらの組み合わせ,これらの全ては−60℃乃至50℃のガラス転移温度を有する,などの他の縮合ポリマーも使用され得る。ラテックス材料は、活性炭粒子を互いに及び織物材料へとバインドさせるのに使用される。しかしながら、ラテックスの量は、活性炭粒子を完全に封入して、それにより、孔が汚染物質を吸着するのを妨げるほどは多くはない。
【0078】
好ましくは、活性炭粒子の重量は、コーティング組成物の重量の百分率として、コーティング組成物の重量の少なくとも15%、より好ましくは20%乃至50%である。或る実施形態では、活性炭対バインダ樹脂の比は、コーティング(乾燥時)中の活性炭粒子が少なくとも1つの連続パスを形成するように、及び、コーティングが導電性となるように選択される。言い換えると、コーティング中の活性炭粒子の量は、好ましくは浸透限界以上であり、浸透限界とは、接触する複数の活性炭粒子の少なくとも1つの連続経路を提供するのに必要な活性炭粒子の量である。このような実施形態では、活性炭粒子は、臭気原因分子を吸着させるのと、生地との接触によって生じ得る静電気を消散させるのとの2つの機能を果たし得る。或る考えられる好ましい実施形態では、活性炭粒子は、約10-12ジーメンス/メートル2以上の表面導電性を提供するのに十分な量でコーティング組成物中に存在している。或る他の実施形態では、このコーティング組成物の表面導電性は、好ましくは、約10-10ジーメンス/メートル2以上であり、より好ましくは、約10-8ジーメンス/メートル2以上である。活性炭粒子は、好ましくは、上述のような最小の導電性を提供するのに十分な量でコーティング組成物中に存在するが、活性炭粒子は、典型的には、約10-3ジーメンス/メートル2未満(例えば、約10-3ジーメンス/メートル2以下)の表面導電性を提供する量でコーティング組成物中に存在する。何ら特別な理論に縛られることを望まないが、約10-3ジーメンス/メートル2より大きい表面導電性を提供するのに十分な活性炭の量を含むことは、生地との接触によって生じ得る静電気を消散させるコーティングの能力の劇的な増加をもたらさないであろう。生地の表面導電性は、任意の適切な方法を使用して測定され得る。例えば、表面導電性は、イリノイ州エルクグローヴヴィレッジのACL Staticide, Inc.からのモデルACL 385表面抵抗率計などの、市販の表面抵抗率計を使用して測定され得る。
【0079】
活性炭コーティング組成物中に存在している分散剤に加えて、抗菌又は防腐化合物をコーティング組成物へと混ぜ込むも望ましい。このような化合物は、活性炭表面上での生物の増殖を防ぎ、生地の長寿命を維持するのに役立つ。この目的に適した化合物の例は、無機抗菌剤(例えば、商品名ALPHASAN(登録商標)でMilliken & Companyより販売されている銀ジルコニウムフォスフェート)を含む。揮発性抗菌剤は、自動車の車内での更なるVOCの生成の一因となるため、あまり好ましくない。
【0080】
活性化コーティング組成物(すなわち、活性炭粒子及びラテックス)は、ナイフコーティング、スクレープコーティング、フォームコーティング、ロールコーティング、スクリーンコーティング、スプレーコーティングなどを含んだ多くの技術のうちの何れかを使用して、織物支持体に、好ましくはこの支持体の裏側に塗布される。コーティング組成物の乾燥含浸レベル(dry add-on level)は、好ましくは、平方ヤード当たり約0.5オンス乃至平方ヤード当たり約4.0オンスの範囲内にあり、より好ましくは、平方ヤード当たり約1.5オンス乃至平方ヤード当たり約2.5オンスである。
【0081】
幾つかの図面に亘って同じ参照番号が同じ部分を指している図面を参照すると、図5は、本発明に従う光触媒性生地を図示している。光触媒性生地500は、織物支持体505を具備している。織物支持体505は、複数のヤーン506を具備している。図5に図示されているように、複数のヤーン506は、織布構成で提供されている。しかしながら、上で述べたように、複数のヤーンは、ニット構成又は他の適切な織物構成でもあり得る。第1仕上げ塗り510は、織物支持体505の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図5に図示された生地は第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0082】
図6は、本発明に従う光触媒性生地の別の実施形態を図示している。生地600は、タフテッドパイル構成で提供されている複数のヤーン606を具備した、織物支持体605を具備している。第1仕上げ塗り510は、タフテッドパイルヤーン606の少なくとも一部分をコートするように、織物支持体605の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体605の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面(すなわち、織物支持体のタフテッド表面)の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図6に図示された生地は、第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0083】
図6に図示されているように、織物支持体605は、任意の適切な織布、ニット織物若しくは不織布又はスクリムであり得る主裏地620を通してタフトされた複数のヤーン606を具備している。バインダ層(例えば、ラテックスバインダを含んだコーティング)、フォーム裏地(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)などの裏地層630は、主裏地620の裏側に配置されており、ヤーン606を決まった位置で固定するのを助けている。第2仕上げ塗り615は、裏地層630に塗布されたコーティング又は仕上げ塗りの形態で、生地の技術的な裏面(technical back)に配置され得る。或いは、第2仕上げ塗りは、例えば、活性炭粒子を含んだラテックスバインダコーティング又は活性炭粒子を含んだ発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)の形態で、裏地層630中に組み込まれる。別の考えられる実施形態では、第2仕上げ塗りは、主裏地と裏地層との間に配置され得る。このような実施形態では、第2仕上げ塗りは、ヤーンのタフトの後に、主裏地へと塗布され得る。
【0084】
図7は、本発明に従う光触媒性生地の別の実施形態を図示している。生地700は、ボンデッドパイル構成で提供された複数のヤーン706を具備した織物支持体705を具備している。第1仕上げ塗り510は、ボンデッドパイルヤーン706の少なくとも一部をコーティングするように、織物支持体705の表面上に提供されている。第1仕上げ塗り510は、上述のように、粒状光触媒性材料とバインダとを具備している。第2仕上げ塗り515は、織物支持体605の表面上のうち、第1仕上げ塗り510を支持している表面(すなわち、織物支持体のボンデッドパイル表面)の反対側に提供されている。第2仕上げ塗り515は、上述のように、活性炭粒子とバインダとを具備している。図7に図示された生地は、第1仕上げ塗りが織物支持体の片側のみに配置された状態で示されているが、第1仕上げ塗りは、織物支持体の両側に配置されても良い。このような実施形態では、織物支持体の片側では、第2仕上げ塗りが、第1仕上げ塗りを覆って塗布される。
【0085】
図7に図示されるように、織物支持体705は、接着剤720によって適切な位置で結合された複数のヤーン706を具備し得る。第2仕上げ塗り515は、接着剤層720に塗布されたコーティング又は仕上げ塗りの形態で、生地の技術的な裏面に配置され得る。或いは、第2仕上げ塗りは、例えば、活性炭粒子を含んだラテックスバインダコーティング又は活性炭粒子を含んだ発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム裏地)の形態で、接着剤層に塗布された裏地層中に組み込まれる。
【0086】
織物支持体の片側での活性炭粒子の塗布の結果、コーティングされた織物は、コーティングされた側が導電性となり、静電気消散表面を生む。静電気を減少させることが、乗物の乗客に対する不愉快な感電を排除するのに望ましいだけでなく、例えば、給油所での静電気の放電を原因とする発火の可能性を低減するのにも望ましい乗物の車内において、このような特性は特に有用である。
【0087】
以下の例は、ここで説明されたような、活性炭コーティングを用いてコーティングされた織物支持体の表面導電性を説明する。
【0088】
例9−17
光触媒性生地塗りが塗布されている(例1のように)サンプル5Aのファブリックの片側に、活性炭コーティングがコーティングされた。活性炭コーティングは、最初にメタクリル酸分散剤の存在下で高速剪断混合しながら水を用いて分散させられた活性炭粉末(以下の表8に挙げられている)を含有していた。次に、このコーティングが、活性炭成分がコーティング組成物の約20重量%となるように、約−10℃のガラス転移温度を持つポリアクリレートラテックスと混合させられた。
【表8】
【0089】
活性炭コーティングの導電性は、イリノイ州エルクグローヴヴィレッジのACL Staticide, Inc.からのモデルACL 385表面抵抗率計を使用して測定された。例9乃至11及び13乃至17は、各々、約10-5ジーメンス/メートルの表面導電性を示した。例12は、約10-10ジーメンス/メートルの表面導電性を示した。
【0090】
少なくとも第1側に塗布された光触媒性仕上げ塗りと第2側に塗布された活性炭コーティングとを有したこの織物支持体は、汚染物質を自動車の車内から吸着するのと、この汚染物質を分解又は酸化させるのとの双方のために設計されている。それは、特には、椅子張地のファブリックとしてよく適合し、そこでは、静電気消散特性が、乗り降りの際に乗員が感電するのを防ぐ。
【0091】
更に、上で論じられてきたように、光触媒性仕上げ塗りは、例えば、乗員によって自動車の車内に持ち込まれ得る有機系臭気物を分解する働きをする。これら臭気物は、タバコの煙、飲食物に関係した臭気物などを含んでいる。織物支持体中の活性炭成分は、自動車のシートで使用されているウレタンフォームから発せられるものを含んだ不快な臭気物を吸着することによって役割を果たす。このような発泡体は、残渣出発物質が蒸発する際に、特有のアミン臭気を発することが知られている。このシートを本織物支持体を用いて覆うことによって、キャビンスペースに入り込む不快なVOCが低減される。実際、本発明に従う生地を自動車車内の椅子の張地に組み込むことは、自動車が、日本自動車工業会で近年採用されている目標VOCレベルなどの、客室内に存在するVOCの量に関する基準に合格するのを助けるに違いないことが信じられている。
【0092】
更に、この織物支持体は、天井材(すなわち、乗物の車内天井を覆うのに使用されるファブリック)として又はトランクライナー(すなわち、乗物の車内収納領域を覆うファブリック)としてと共に、自動車の車内にある他の織物パネルとしても使用されても良い。フロアマットなどの車内カーペットが、臭気吸着及び臭気除去性質をこれら物品に与えるために、この光触媒及び活性炭の処理によって処理されても良い。
【0093】
この織物支持体は、乗物に関連した使用について説明されているが、この支持体が幅広い様々な他の用途においても有用性を見出し得ることが予期される。これら理由のために、この織物支持体は、従来技術に優る有用な利点を示す。
【0094】
ここで列挙された刊行物、特許出願及び特許を含んだ全ての参考文献は、あたかも、各々の参考文献が、参照することによりここに組み込まれるべく個別に及び詳細に示されており、且つ、ここでその全体が述べられているのと同程度に、参照することによりここに組み込まれる。
【0095】
発明の説明との関連で(特に特許請求の範囲との関連で)、用語「或る("a" and an")」及び「その(the)」並びに同様の指示物は、別段ここに示されない限り又は文脈上明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を包含するように解釈されるべきである。用語「具備する(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、別段記載がない限り、制限のない用語(open-ended terms)(即ち、「これを含むが、これに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。ここでの値の範囲の記載は、別段ここに示されない限り、単に、その範囲内にある各々の別個の値を個別に言及するのを省略する方法として役立つように意図されたものであり、各々の別個の値は、あたかもそれが個別にここで挙げられているかのように、明細書に組み込まれている。ここで説明された全ての方法は、別段ここに示されない限り及び文脈上明らかに矛盾がない限り、任意の適切な順序で実行され得る。何れか及び全ての例、又は、ここで提供される例示的な言葉(例えば「such as」)の使用は、単に、本発明をより明らかにするように意図されているものであり、別段特許請求の範囲に記載されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の何れのことば(language)も、特許請求の範囲に何ら記載されていない事項が本発明の実施のために必須であることを示しているとして解釈されるべきではない。
【0096】
本発明の好ましい実施形態は、ここでは、本発明者が知る本発明を実施するための最良の形態を挙げて説明されている。好ましい実施形態の変形は、上述の説明を読むことで、当業者に明らかになるかもしれない。本発明者らは、当業者が適切な変形を採用することを予期し、本発明者らは、本発明がここで特に説明されたのとは別の方法で実施されるのを意図している。従って、本発明は、適用可能な法規によって許されているように、ここに添付されている特許請求の範囲に記載された主題の全ての変更及び等価物を含んでいる。更に、別段ここで示されていない限り及び文脈上明らかに矛盾しない限り、上で説明した事項の全ての可能な変形における如何なる組み合わせも、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】サンプル3Aの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(6000倍拡大)。
【図1A】サンプル3Aの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図2】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(2840倍拡大)。
【図2A】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(8350倍拡大)。
【図2B】サンプル3Bの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図3】サンプル3Cの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(3200倍拡大)。
【図3A】サンプル3Cの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(8500倍拡大)。
【図4】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(1610倍拡大)。
【図4A】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(3000倍拡大)。
【図4B】サンプル3Dの表面の或る部分の走査電子顕微鏡写真(50000倍拡大)。
【図5】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている光触媒性生地の断面図。
【図6】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている別の光触媒性生地の断面図。図示したように、この生地は、タフテッドパイル構成で提供された織物材料である。
【図7】活性炭粒子のコーティングが片側に配置されている別の光触媒性生地の断面図。図示したように、この生地は、ボンデッドパイル構成で提供された織物材料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒性生地であって、
(a)少なくとも1つの表面を有した織物支持体と、
(b)前記支持体の前記表面上にある第1仕上げ塗りと
を具備し、前記第1仕上げ塗りは、
(i)複数の一次粒子を具備し、前記生地の総重量に基づき、約0.05乃至約2重量%の量で前記第1仕上げ塗り中に存在している粒状光触媒性材料と、
(ii)約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量で前記第1仕上げ塗り中に存在しているバインダと
を具備し、
前記織物支持体の前記表面上にある前記第1仕上げ塗りは、前記光触媒性材料の前記一次粒子からなる複数の凝集塊を具備し、前記凝集塊は多孔質外部表面を有する光触媒性生地。
【請求項2】
光触媒性生地であって、
(a)第1表面と、前記第1表面の反対側にある第2表面とを有した織物支持体と、
(b)前記織物支持体の前記第1表面上に配置され、(i)複数の一次粒子を具備した粒状光触媒性材料と(ii)第1バインダとを具備した第1仕上げ塗りであって、前記織物支持体の前記表面上にある前記第1仕上げ塗りは、前記光触媒性材料の前記一次粒子からなる凝集塊を具備し、前記凝集塊は多孔質外部表面を有する第1仕上げ塗りと、
(c)前記織物支持体の前記第2表面上に配置され、活性炭粒子と第2バインダとを具備した第2仕上げ塗りと
を具備した光触媒性生地。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光触媒性生地であって、前記織物支持体がポリエステル含有ヤーンを具備し、前記ヤーンが織布又はニットの構成で提供されている光触媒性生地。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記粒状光触媒性材料が、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している光触媒性生地。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記光触媒性材料が、前記生地の総重量に基づき、約0.5乃至約1重量%の量で前記仕上げ塗り中に存在している光触媒性生地。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記バインダがラテックスバインダである光触媒性生地。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記第1バインダが、約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量で前記第1仕上げ塗り中に存在している光触媒性生地。
【請求項8】
光触媒性生地を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、
(b)コーティング組成物を準備する工程であって、前記コーティング組成物が、
(i)液体媒体を準備し、
(ii)乾燥状態の粒状光触媒性材料を前記液体媒体中に分散させ、
(iii)第1バインダを工程(ii)で製造した前記液体媒体へと添加し、約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量の第1バインダを具備したコーティング組成物をつくる
ことによって製造される工程と、
(c)前記コーティング組成物を、前記織物支持体の前記表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、
(d)前記織物支持体のうち前記コーティング組成物が塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程と
を含んだ方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、
(e)活性炭粒子と第2バインダとを具備した第2コーティング組成物を準備する工程と、
(f)前記第2コーティング組成物を、前記織物支持体の第2表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、
(g)前記織物支持体の前記第2表面のうち、前記第2コーティング組成物が塗布された部分を乾燥させて、光触媒性生地を製造する工程と
を更に含んだ方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の方法であって、前記織物支持体がポリエステル含有ヤーンを具備し、前記ヤーンが織布又はニットの構成で提供される方法。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項記載の方法であって、前記粒状光触媒性材料が、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している方法。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか1項記載の方法であって、前記光触媒性材料が、前記生地の総重量に基づき、約0.5乃至約1重量%の量で前記支持体の表面上に存在する方法。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか1項記載の方法であって、前記バインダがラテックスバインダである方法。
【請求項14】
請求項8乃至13の何れか1項記載の方法であって、前記コーティング組成物が、フォスフェートエステル、アンモニア、水酸化アンモニウム及びこれらの組み合わせから選択される分散剤を更に具備する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、前記分散剤が、前記バインダの添加前に、前記液体媒体へと添加される方法。
【請求項1】
光触媒性生地であって、
(a)少なくとも1つの表面を有した織物支持体と、
(b)前記支持体の前記表面上にある第1仕上げ塗りと
を具備し、前記第1仕上げ塗りは、
(i)複数の一次粒子を具備し、前記生地の総重量に基づき、約0.05乃至約2重量%の量で前記第1仕上げ塗り中に存在している粒状光触媒性材料と、
(ii)約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量で前記第1仕上げ塗り中に存在しているバインダと
を具備し、
前記織物支持体の前記表面上にある前記第1仕上げ塗りは、前記光触媒性材料の前記一次粒子からなる複数の凝集塊を具備し、前記凝集塊は多孔質外部表面を有する光触媒性生地。
【請求項2】
光触媒性生地であって、
(a)第1表面と、前記第1表面の反対側にある第2表面とを有した織物支持体と、
(b)前記織物支持体の前記第1表面上に配置され、(i)複数の一次粒子を具備した粒状光触媒性材料と(ii)第1バインダとを具備した第1仕上げ塗りであって、前記織物支持体の前記表面上にある前記第1仕上げ塗りは、前記光触媒性材料の前記一次粒子からなる凝集塊を具備し、前記凝集塊は多孔質外部表面を有する第1仕上げ塗りと、
(c)前記織物支持体の前記第2表面上に配置され、活性炭粒子と第2バインダとを具備した第2仕上げ塗りと
を具備した光触媒性生地。
【請求項3】
請求項1又は2記載の光触媒性生地であって、前記織物支持体がポリエステル含有ヤーンを具備し、前記ヤーンが織布又はニットの構成で提供されている光触媒性生地。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記粒状光触媒性材料が、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している光触媒性生地。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記光触媒性材料が、前記生地の総重量に基づき、約0.5乃至約1重量%の量で前記仕上げ塗り中に存在している光触媒性生地。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記バインダがラテックスバインダである光触媒性生地。
【請求項7】
請求項2乃至6の何れか1項記載の光触媒性生地であって、前記第1バインダが、約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量で前記第1仕上げ塗り中に存在している光触媒性生地。
【請求項8】
光触媒性生地を製造する方法であって、
(a)少なくとも1つの表面を有した織物支持体を準備する工程と、
(b)コーティング組成物を準備する工程であって、前記コーティング組成物が、
(i)液体媒体を準備し、
(ii)乾燥状態の粒状光触媒性材料を前記液体媒体中に分散させ、
(iii)第1バインダを工程(ii)で製造した前記液体媒体へと添加し、約1:0.1乃至約1:5という光触媒性材料とバインダとの重量比を与えるのに十分な量の第1バインダを具備したコーティング組成物をつくる
ことによって製造される工程と、
(c)前記コーティング組成物を、前記織物支持体の前記表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、
(d)前記織物支持体のうち前記コーティング組成物が塗布された表面を乾燥させて光触媒性生地を製造する工程と
を含んだ方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、
(e)活性炭粒子と第2バインダとを具備した第2コーティング組成物を準備する工程と、
(f)前記第2コーティング組成物を、前記織物支持体の第2表面の少なくとも一部へと塗布する工程と、
(g)前記織物支持体の前記第2表面のうち、前記第2コーティング組成物が塗布された部分を乾燥させて、光触媒性生地を製造する工程と
を更に含んだ方法。
【請求項10】
請求項8又は9記載の方法であって、前記織物支持体がポリエステル含有ヤーンを具備し、前記ヤーンが織布又はニットの構成で提供される方法。
【請求項11】
請求項8乃至10の何れか1項記載の方法であって、前記粒状光触媒性材料が、アナタース型ヒュームド二酸化チタンを具備している方法。
【請求項12】
請求項8乃至11の何れか1項記載の方法であって、前記光触媒性材料が、前記生地の総重量に基づき、約0.5乃至約1重量%の量で前記支持体の表面上に存在する方法。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか1項記載の方法であって、前記バインダがラテックスバインダである方法。
【請求項14】
請求項8乃至13の何れか1項記載の方法であって、前記コーティング組成物が、フォスフェートエステル、アンモニア、水酸化アンモニウム及びこれらの組み合わせから選択される分散剤を更に具備する方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、前記分散剤が、前記バインダの添加前に、前記液体媒体へと添加される方法。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2009−521613(P2009−521613A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547274(P2008−547274)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/046678
【国際公開番号】WO2007/078555
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/046678
【国際公開番号】WO2007/078555
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]