説明

光触媒機能を有する日射熱反射シート

【課題】ビル、車両、家屋などの窓としてまたは窓ガラス等に貼って使用され、夏季の冷房負荷軽減および表面の防汚に効果的な、可視光透過および熱線反射の機能ならびに光触媒機能表面を有するシートを実現すること。
【解決手段】波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料の層、日射熱反射機能を有する銅合金の層、および、酸化チタンの層を透光性基材上に積層したシートであって、最外層がセルフクリーニング光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタンとなるように構成し、分光反射率が波長800nmにて40%以上、波長1000nmにて60%以上、波長1200nmにて70%以上であり、かつ、分光透過率が波長500nmにて25%以上、波長600nmにて25%以上、であることを特徴とする日射熱反射シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル、家屋、車両の窓としてまたは窓ガラス等に貼って使用され、日射による採光を確保しつつ冷房負荷の主原因である熱線(赤外光)の流入を抑制し、かつ光触媒による有害物質の除去やセルフクリーニングの機能を併せ持つ、すなわち、表面の汚れ防止と省エネに有効な日射熱反射シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネへの関心の高まりとともに、冷房負荷の主原因である日射熱を避けつつ採光(日照)を確保する技術へのニーズが増している。即ち、ビル、車両、家屋などの窓において、太陽光による採光を確保しつつ、人間にとっての明るさに寄与しない熱線の透過を遮断する省エネに有効な機能が求められている。建物内に流入する熱の源は日射であり、日射エネルギーの約50%は人間にとっての明るさに寄与せずに熱作用を生ずることから、日射熱反射が省エネに極めて効果的であることが知られている。
加えて、最近では、窓ガラスに汚れ防止やセルフクリーニングの機能を付加することが期待されるようになった。
【0003】
日射熱反射ガラスとして現在最も普及しているのは特許文献1に記載された高透過率を有する赤外反射物品の技術を基礎とするものである。そこでは、板ガラスにコーティングされた誘電体/Ag/誘電体/Ag/誘電体の5層構造を基本とする機能膜により可視光透過と赤外光反射が実現される。
光触媒機能を有する公知の材料としては酸化チタンが代表的であり、特許文献2〜6に見られるように、酸化チタンによる有害物質の除去やセルフクリーニング効果を窓ガラスなどへ応用する技術が知られている。
これらの公知技術によれば、十分な光照射により光触媒機能を期待できるが、日射熱反射は付加的な効果として扱われており反射率も低い。このように、従来、日射熱反射と光触媒機能は別々の機能として検討されることがほとんどであり、両者の機能を兼ね備えた材料や機能膜であって、両機能が十分に発揮されるようにしたものはなかった。
例えば、特許文献5および6に記載の高透過率を有する赤外反射物品では光触媒に加えて、熱線反射を発明品の機能として挙げているが、反射率は20〜30%程度と低い。
また、特許文献7では可視光透過、日射熱反射および光触媒機能の両立をTiO/TiN/TiOの構造にて試みているが、TiNの光吸収のために可視光透過と日射熱反射の特性向上が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平5−70580号公報
【特許文献2】特開2000−189796号公報
【特許文献3】特開2000−189810号公報
【特許文献4】特開2000−189811号公報
【特許文献5】特開2001−180979号公報
【特許文献6】特開2002−53345号公報
【特許文献7】特開2005−3614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来、効果的な日射熱反射と光触媒機能を1つの機能膜により実現することは困難であった。このため、ガラスなど透光性基材の片面づつに日射熱反射膜と光触媒機能膜を別々にコーティングすることによりこれら機能が利用されてきた。
本発明は、効果的な日射熱反射と光触媒機能を両立できる機能膜およびこの機能膜がコーティングされたシートを提供することを目的とするものである。
【0006】
従来技術の具体的な問題点は日射熱反射機能膜の低い耐熱性にある。光触媒機能材料として代表的なアナターゼ型TiOを得るためには約200℃以上の熱処理を要する。一方、日射熱反射膜として最も有用なAg膜は上記の熱処理を経ると日射熱反射特性が著しく低下する。効果的な光触媒機能のためにはアナターゼ型TiO層を最外面に配置する必要があるので、日射熱反射を主に担うAg膜形成後にTiO層の形成と熱処理が必要となる。このような材料の性質と製造プロセス上の制約のために、1つの機能膜により日射熱反射と光触媒機能を両立することは困難だった。Agの合金化による耐熱性向上も試みられてきたが実用に耐えるものは未だ得られていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、熱に弱いAg膜に代えてCu合金膜を用いることにより、光触媒機能のための熱処理を経ても日射熱反射特性を維持できるよう、上記問題点の解決を図った。
本発明の日射熱反射シートは、波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料の層、日射熱反射機能を有する銅合金の層、および、酸化チタンの層を透光性基材上に少なくとも1層づつ以上積層したシートであって、最外層がセルフクリーニング光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタンの層となるように構成し、分光反射率が波長800nmにて40%以上、波長1000nmにて60%以上、波長1200nmにて70%以上であり、かつ、分光透過率が波長500nmにて25%以上、波長600nmにて25%以上、であることを特徴とする。
また、本発明の日射熱反射シートは、上記透光性基材がガラスまたはプラスチックであることを特徴とする。
また、本発明の日射熱反射シートは、上記波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料が、ケイ素、チタン、インジウム、スズ、亜鉛、アルミ、マグネシウム、イットリウム、セリウム、ビスマス、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルからなる群から選ばれた1種または2種以上からなる金属の酸化物を主成分とする材料からなることを特徴とする。
また、本発明の日射熱反射シートは、上記銅合金の層が、金、プラチナ、パラジウム、チタン、ニッケル、クロム、ロジウム、マグネシウム、インジウム、スズ、燐、亜鉛またはアルミを0.1〜6重量%含有する厚さ10〜40nmの銅合金であることを特徴とする。
また、本発明の日射熱反射シートは、上記酸化チタンがニオブ、窒素、硫黄、もしくは炭素を0.1〜6重量%含有する酸化物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る日射熱反射シートは、可視光透過と日射熱反射の機能に加え光触媒機能表面を有するので、次のような顕著な効果をもたらす。
(1)視界を遮らず建物や車両の窓として利用することが可能であり、かつ日射熱反射により夏季の冷房負荷軽減等に寄与する。
(2)ビルや住宅の窓ガラスに用いることにより有害物質の除去やセルフクリーニングなどの浄化効果および美観維持効果を発揮する。特に、高層ビルの窓など、紫外光と水が自然に供給されるような環境は光触媒層が機能を最大限に発揮するので最適な利用分野である。
(3)日射熱反射と光触媒機能を1つの膜によって実現するので、製造プロセスが従来より簡便になり、製造コスト低減効果を有する。
(4)本発明による機能膜は従来の日射熱反射機能膜よりも高い耐熱性を有するので、しばしば高温になる炎天下での使用において耐久性に優れる。
(5)本発明による日射熱反射機能膜は波長10μm前後の熱輻射を反射するので、冬期における建物の保温効果向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明に係る日射熱反射シートの実施例1の構造と特性を示す図であり、(a)は構成材料および各層の厚さを、(b)は実測により得られた反射率および透過率の分光特性を示す図である。
【図2】図2は、従来技術との耐熱性の差異を示すための図であり、(a)は従来発明として代表的な、誘電体/Ag合金/誘電体/Ag合金/ガラス基板、構造の日射熱反射シートについて200℃1時間の熱処理前後の反射および透過特性の変化を示す図、(b)は実施例1の日射熱反射シートについて250℃1時間の熱処理前後の反射および透過特性の変化を示す図である。
【図3】図3は、本発明に係る日射熱反射シートの実施例2の構造およびその結晶学的性質を示す図であり、(a)は実施例2の構造を、(b)はX線回折測定結果を示す。
【図4】図4は、本発明に係る日射熱反射シートの実施例3及び得られた特性を示す図であり、(a)は構成材料および各層の厚さを、(b)は実測により得られた反射率および透過率の分光特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る光触媒機能を有する日射熱反射シートは、波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料の層および銅合金の層および酸化チタンの層を透光性基材上に積層したシートであって、最外層がセルフクリーニング機能を有するアナターゼ型酸化チタンとなるように構成される。
【0011】
波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料としては、SiO、TiO、SnO、Ta、Nb、InまたはAlの中から選ぶのが好ましい。
【0012】
日射熱反射は主として銅合金の層が担う。赤外光に対する反射率特性および熱処理時の光学薄膜としての安定性の観点から各種金属材料を比較検討した結果、銅を母材として選んだ。
銅の合金化により透過光の色調と日射熱反射の効率を使用目的沿って最適化する。銅に添加する元素は、Ni、Mg、In、Sn、P、ZnまたはAlの中から選ぶのが好ましく、2種類以上の元素を添加した場合でも1〜4重量%程度が適量である。
【0013】
最外層の酸化チタン層がセルフクリーニング光触媒機能を担うので、この酸化チタン層形成時または形成後に200℃前後の熱処理を施しアナターゼ型TiOの成長を促すことが好ましい。また、最外層の酸化チタンに、Tiに対する原子比で2%前後のNb、N、SまたはCを添加することも好ましい。
【0014】
熱線反射から可視光透過への遷移特性は、透光性基材上に積層形成された機能膜の層構造に大きく依存し、急峻な遷移特性を得るには多層構造膜とすることが好ましい。
機能膜を構成している各層の厚さについては、光の透過と反射を制御するために有効な厚さとすることが必要である。特定の波長を例にすれば、位相が1/2波長ずれた光波の合成により光が弱められることが知られている。このため、透明な材料、すなわち、光に対する消衰係数が小さな材料の場合には、光の位相差を生じさせ、かつ干渉の特性を制御するために光波長のおよそ1/20〜1/2程度の値が各層の厚さとして必要である。
一方、金属材料など光に対する消衰係数が1以上の場合には、好ましい厚さは光の進入深さ程度である。
【0015】
本発明では、可視光から熱線までの範囲を対象として、400nmおよび700nmを境界として制御する(例えば、400nm以下の光は反射し、400nm〜700nmの範囲の光は透過し、さらに700nmを越える光は反射するように制御する。)ので機能膜を構成する各層それぞれの好ましい厚さは次のようになる。
まず、波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料の各層は20nm〜350nmが好ましい厚さの範囲となる。最外層の酸化チタン層についても同様に、20nm〜350nmが好ましい厚さの範囲となる。
銅合金については可視光での消衰係数が約2なので、好ましい厚さは光の進入深さ程度、すなわち10nm〜30nmである。この厚さは遷移特性向上を意図して多層化する場合の目安でもあり、機能膜が2つ以上の銅合金層を含む場合にはこれら合計の厚さである。
【0016】
本発明の目的は日射からの採光と遮熱および光触媒機能である。従来の熱線反射ガラスの性能を参考にすると、日射熱反射性能については日射エネルギーの40%以上を反射することが好ましい。
窓の可視光透過特性については、場合によってはスモークガラスが使われるなど求められる透過率は目的により大きく異なる。建物の冷房負荷軽減と可視光導入を同様に求める場合には、可視光透過率は50%前後が適当と考えられる。また、熱帯などで冷房負荷軽減を重視する場合、必要な可視光透過率は可視光の代表的な波長である500nmおよび600nmにて25%以上と考えられる。なお、一般的に、日射熱反射膜では可視光透過率をこれらの値よりも下げることは容易である。
なお、本発明に係る日射熱反射シートにおける多層膜の形成には、周知のスパッタ法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法を始めとしてCVD法、塗布法、スプレー法などの膜形成技術が利用できる。
【実施例】
【0017】
本発明に係る光触媒機能を有する日射熱反射シートの形態を、実施例に基づき図面を参照しつつ以下に説明する。
【0018】
(実施例1)
図1に、本発明の実施例1を示す。実施例1は、ガラス基板上に、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)、銅合金(Cu−1wt%Zn)、ITO(In−5wt%SnO)、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)を、パルスレーザ蒸着法を用いて順次厚さ30nm、27nm、5nm、32nmで積層することにより図1(a)に示すような構造の日射熱反射シートとした例である。ここで、ITO層は銅合金の酸化を抑制するための保護層として挿入した。250℃1時間の熱処理後の反射率特性および透過率特性を図1(b)に示す。図1(b)に示された測定結果によれば、分光反射率は波長800nmにて46%、波長1000nmにて71%、波長1200nmにて81%、また、分光透過率は波長500nmにて54%、波長600nmにて75%であった。さらに、直射日光をAM−1(地表での太陽光輻射エネルギーの波長分布特性のことで、Air Mass−1と呼ばれる)で近似し、分光反射率特性との重なり積分から直射日光に対する遮熱の性能を概算し、エネルギー反射率として40%を得た。
【0019】
比較のために、熱処理前後の反射および透過特性の変化を従来発明による例と比べた結果を図2に示す。図2(a)は従来発明として代表的な、誘電体/Ag/誘電体/Ag/ガラス基板からなる構造の日射熱反射シートについて200℃1時間の熱処理前後の反射および透過特性の変化を示す図である。図2(b)は実施例1の日射熱反射シートについて250℃1時間の熱処理前後の反射および透過特性の変化を示す図である。この図から本発明により日射熱反射膜の耐熱性が大きく向上したことが分かる。
【0020】
(実施例2)
図3に、本発明の実施例2を示す。実施例2は、ガラス基板上に、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)、銅合金(Cu−4wt%Zn)、ITO(In−5wt%SnO)、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)を、パルスレーザ蒸着法を用いて順次厚さ30nm、26nm、10nm、125nmで積層することにより図3(a)に示すような構造の日射熱反射シートとした例である。ここで、ITO層は銅合金の酸化を抑制するための保護層として挿入した。実施例1よりも最外層の酸化チタンを厚めに形成した。機能膜形成後に250℃1時間の熱処理後を施しアナターゼ型TiOの成長を促した。図3(b)に示すように、この試料についてX線回折パターン中にアナターゼ型TiOの形成を示す複数のピーク、並びにInおよびCuからのピークが観測された。すなわち、結晶学的解析から、アナターゼ型TiOの形成を確認した。
【0021】
(実施例3)
図4に、本発明の実施例3を示す。実施例3は、ガラス基板上に、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)、銅合金(Cu−0.1wt%Ni)、ITO(In−5wt%SnO)、酸化チタン(TiO−0.1wt%Nb)を、パルスレーザ蒸着法を用いて順次厚さ30nm、27nm、5nm、32nmで積層することにより図4(a)に示すような構造の日射熱反射シートとした例である。ここで、ITO層は銅合金の酸化を抑制するための保護層として挿入した。実施例3の透過および反射特性の測定結果を図4(b)に示す。これらの測定結果によれば、分光反射率は波長800nmにて41%、波長1000nmにて66%、波長1200nmにて79%、また、分光透過率は波長500nmにて53%、波長600nmにて74%であった。
【0022】
以上のように、直射日光に対して約50%の可視光透過率と40%を越えるエネルギー反射率を簡便な4層構成で実現できる。実施例に示した4層構成の機能膜は製造コストを抑えられるので実用的と考えられるが、多層化により性能を向上させることも容易である。なお、本発明の技術によれば可視光透過率を50%よりも下げ、かつ、エネルギー反射率を40%よりも上げることは容易である。
【0023】
上記実施例1〜3においては、透光性基材としてガラス基板を用いたが、プラスチック基板や他の透光性基板でもよく、各層はパルスレーザ蒸着法を用いて順次積層したが、多層膜の形成には、周知のスパッタ法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザ蒸着法を始めとしてCVD法、塗布法、スプレー法などの膜形成技術が利用できる。
また、波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料として、上記実施例1〜3においては、TiOを用いたが、SiO、SnO、Ta、NbまたはAlの中から選んでもよく、さらには、ケイ素、チタン、インジウム、スズ、亜鉛、アルミ、マグネシウム、イットリウム、セリウム、ビスマス、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルからなる群から選ばれた1種または2種以上からなる金属の酸化物から選ぶこともできる。
また、銅合金の層として、上記実施例1〜3においては、銅に、ZnまたはNiを0.1wt%添加したものを用いたが、銅に添加する元素は、Mg、In、Sn、P、またはAlの中から選んでもよい。さらには、金、プラチナ、パラジウム、チタン、ニッケル、クロム、ロジウム、マグネシウム、インジウム、スズ、燐、亜鉛またはアルミを0.1〜6wt%添加し、厚さ10〜40nmの層としてもよい。この銅合金の層は製造プロセスの条件によっては酸化する心配があるので、その表面を実施例のようにITOなどの酸化物で覆うことが好ましい。このような保護層の材料としては、SiO、In、SnO、Ta、NbまたはAlの中から選ぶのが適当である。
また、酸化チタンの層が、上記実施例1〜3においては、Nbを0.1wt%含有するものを用いたが、ニオブ、窒素、硫黄、もしくは炭素を0.1〜6重量%含有する酸化物であっても同様の効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明に係る日射熱反射シートは、可視光透過および熱線反射の機能、並びに光触媒機能表面を有するので、ビル、車両、家屋などの窓としてまたは窓ガラス等に貼って使用すると表面の汚れ防止および夏季の省エネに有用である。特に、直射日光と雨水に曝されるような窓ガラスなどへの応用は、自然からの紫外光と水の供給により光触媒層が最大限にセルフクリーニング機能を発揮するので最適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料の層、日射熱反射機能を有する銅合金の層、および、酸化チタンの層を透光性基材上に少なくとも1層づつ以上積層したシートであって、最外層がセルフクリーニング光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタンの層となるように構成し、分光反射率が波長800nmにて40%以上、波長1000nmにて60%以上、波長1200nmにて70%以上であり、かつ、分光透過率が波長500nmにて25%以上、波長600nmにて25%以上、であることを特徴とする日射熱反射シート。
【請求項2】
前記透光性基材がガラスまたはプラスチックであることを特徴とする請求項1に記載の日射熱反射シート。
【請求項3】
前記の波長550nmの光に対する消衰係数が0.1以下の材料が、ケイ素、チタン、インジウム、スズ、亜鉛、アルミ、マグネシウム、イットリウム、セリウム、ビスマス、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、およびタンタルからなる群から選ばれた1種または2種以上からなる金属の酸化物を主成分とする材料からなることを特徴とする請求項1または2に記載の日射熱反射シート。
【請求項4】
前記銅合金の層が、金、プラチナ、パラジウム、チタン、ニッケル、クロム、ロジウム、マグネシウム、インジウム、スズ、燐、亜鉛またはアルミを0.1〜6重量%含有する厚さ10〜40nmの銅合金であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の日射熱反射シート。
【請求項5】
前記酸化チタンがニオブ、窒素、硫黄、もしくは炭素を0.1〜6重量%含有する酸化物であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の日射熱反射シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−228234(P2010−228234A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77377(P2009−77377)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】