説明

光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材

【課題】ポリ塩化ビニル系樹脂基材上に光触媒層が形成されてなり、十分な光触媒作用を示し、可塑剤に由来するアセトアルデヒドを発生させることのない光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を提供する。
【解決手段】本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、ポリ塩化ビニル系樹脂基材上に、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化されてなる硬化物層と、光触媒体を含む光触媒層とが、この順に積層されてなることを特徴とする。好ましくは硬化物層と光触媒層との間に無機化合物層が積層されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材に関する。光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、詳しくはポリ塩化ビニル系樹脂基材上に光触媒層が積層されたものである。
【背景技術】
【0002】
半導体にバンドギャップ以上のエネルギー線を照射すると、価電子帯の電子が伝導帯に励起され、価電子帯に正孔が、伝導帯に自由電子が、それぞれ生成する。かかる正孔および自由電子は、それぞれ強い酸化力および還元力を有することから、半導体に接触した分子種に酸化還元作用を及ぼす。エネルギー線として紫外光ないし可視光を照射することにより、かかる酸化還元作用を示す場合、この酸化還元作用は光触媒作用と呼ばれており、かかる光触媒作用を示し得る半導体は、光触媒体と呼ばれている。このような光触媒体としては、例えば光触媒酸化チタン粒子などの粒子状のものが知られている。
【0003】
このような光触媒体粒子を分散媒中に分散させた光触媒体分散液も知られている〔特許文献1:特開2005−231935号公報〕。この分散液を基材の表面に塗布することにより、基材の表面に、光触媒体粒子を含み光触媒作用を示す光触媒層が形成された光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得ることができる。
【0004】
しかし、基材が可塑剤を含有するポリ塩化ビニル系樹脂である場合には、光触媒層の光触媒活性が十分ではないばかりか、可塑剤に由来するアセトアルデヒドを却って発生させてしまうことがあった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−231935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明者は、可塑剤を含有するポリ塩化ビニル系樹脂基材上に光触媒層が形成されてなり、十分な光触媒作用を示し、可塑剤に由来するアセトアルデヒドを発生させることのない光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を開発するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明は、可塑剤を含有するポリ塩化ビニル系樹脂基材上に、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化されてなる硬化物層と、光触媒体を含む光触媒層とが、この順に積層されてなることを特徴とする光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、ポリ塩化ビニル系樹脂基材上に光触媒層が形成されたものであり、十分な光触媒作用を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材におけるポリ塩化ビニル系樹脂基材を構成するポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体、塩化ビニルおよびこれと共重合しうる単量体との共重合体などからなる樹脂である。
【0010】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材におけるポリ塩化ビニル系樹脂基材を構成するポリ塩化ビニル系樹脂は、可塑剤を含有するものである。可塑剤としては、例えばフタル酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0011】
ポリ塩化ビニル系樹脂は可塑剤のほかに、例えば安定剤、充填剤、防炎剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0012】
このような可塑剤を含有する塩化ビニル系樹脂基材は、少なくとも表面が塩化ビニル系樹脂で構成されているものであり、例えば壁紙、天井材、壁面材、床材などとして用いられる化粧板などが挙げられる。
【0013】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、かかる基材上に、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化されてなる硬化物層が積層されている。
【0014】
硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体とは、エチレンおよび酢酸ビニルを含む単量体組成物が共重合されてなる共重合体であって、常温ないし加熱下で硬化しうるものである。このような硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体は通常、水などの分散媒に微細な粒子となって分散されたエマルジョンとして市販されている。このような市販の硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体のエマルジョンとしては、例えば住化ケムテックス(株)から販売されている「スミカフレックス752」などが挙げられる。硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化すると、分散媒を加えても、分散媒中に分散することがない。
【0015】
硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、ポリビニルアルコールなどの乳化剤を含んでいてもよい。
【0016】
硬化物層の厚みは、光触媒活性の発現の点で、通常5μm以上、好ましくは20μm以上であり、経済性の点で、通常100μm以下、好ましくは50μm以下である。
【0017】
このような硬化物層は、例えば硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンを塩化ビニル系樹脂基材上に塗布したのち、乾燥させる方法により形成することができ、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体の種類によっては、硬化させるために、さらに加熱することにより形成することができる。
【0018】
光触媒層を構成する光触媒体としては通常、粒子状のものが用いられ、例えばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Bi、La、Ceなどの金属元素の1種または2種以上の酸化物、窒化物、硫化物、酸窒化物、酸硫化物、窒弗化物、酸弗化物、酸窒弗化物などが挙げられ、その粒子径は通常0.01μm〜100μmである。
【0019】
光触媒体粒子として市販のものを用いることもできる。市販されている光触媒体粒子としては、例えば住友化学(株)から販売されている「TS−S4420」(酸化チタン粒子)、「TS−S4440」(酸化チタン粒子)、「TS−S4110」(酸化チタン粒子)、「TS−S4230」(酸化チタン粒子)、「PC−201」(酸化チタン粒子)、石原産業(株)から販売されている、「STS−01」(酸化チタン粒子)、「STS−02」(酸化チタン粒子)、「STS−21」(酸化チタン粒子)、「STS−100」(酸化チタン粒子)、「MPT−623」(白金化合物担持酸化チタン粒子)、「MPT−625(鉄化合物担持酸化チタン粒子)などが挙げられる。
【0020】
光触媒層は、光触媒体粒子をより強固に保持するために、無機バインダーを含んでいてもよい。無機バインダーとしては、例えばシリコンアルコキシド類、ジルコニウム化合物、コロイダルシリカなどが挙げられる。
【0021】
光触媒層は、例えば予め硬化物層が形成された塩化ビニル系樹脂基材上に光触媒体粒子が水などの分散媒中に分散された光触媒体分散液を塗布し、乾燥させる方法により形成することができる。分散液は、界面活性剤を含んでいてもよい。光触媒層の厚みは通常0.01μm〜10μmである。
【0022】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、硬化物層と光触媒層とがこの順に積層されてなるものであるが、硬化物層と光触媒層との間に、無機化合物層が積層されていて、硬化物層、無機化合物層および光触媒層がこの順に積層されていることが好ましい。無機化合物層とは、光触媒作用を示さない無機化合物から構成された層であり、かかる無機化合物としては、例えばペルオキソチタン酸、アルミナ、シリコンアルコキシド、コロイダルシリカ、ジルコニア、アモルファス酸化チタンなどが挙げられる。
【0023】
無機化合物層は、例えば無機化合物粒子が水などの分散媒中に分散された分散液を基材上に塗布し、乾燥させる方法により形成することができる。無機化合物層の厚みは通常0.001μm〜10μmである。
【0024】
本発明の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材は、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化された硬化物層により、塩化ビニル系樹脂基材に含有される可塑剤が光触媒層に移行することがないため、光触媒層の光触媒活性が可塑剤により阻害されることがなく、また光触媒により可塑剤がアセトアルデヒドに分解されることもないものと考えられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例により限定されるものではない。
【0026】
実施例1
市販の塩化ビニル系樹脂壁紙〔20cm×24cm、可塑剤としてフタル酸ジオクチルを含む〕上に、24番の番線を用いたバーコート法により、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔住化ケムテックス社製「スミカフレックス752」、不揮発分50質量%〕を塗布したのち、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより、硬化物層を形成した。この硬化物層の厚みは約27μmであった。
【0027】
次いで、32番の番線を用いて、上記で形成した硬化物層の上に、ペルオキソチタン酸水溶液〔ティオテクノ社製「ティオスカイコートC」、不揮発分1.1質量%〕100質量部およびアセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学社製「オルフィンEXP.4036」〕0.1質量部の混合液を塗布し、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより乾燥させて、無機化合物層を形成した。この無機化合物層の厚みは約0.8μmであった。
【0028】
次いで、光触媒酸化チタン粒子が水中に分散された分散液〔住友化学社製「TS−S4420」、不揮発分10質量%〕を純水で希釈して不揮発分2.5質量%としたのち、100質量部あたりアセチレングリコール系界面活性剤〔日信化学社製「オルフィンEXP.4036」〕0.1質量部を添加して光触媒酸化チタン粒子が分散され、アセチレングリコール系界面活性剤を含む光触媒体塗布液を得た。12番の番線を用いたバーコート法により、上記で形成した硬化物層の上に、上記で得た光触媒体塗布液を塗布し、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより乾燥させて、厚み約0.8μmの光触媒層を形成して、光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得た。
【0029】
得られた光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、これを透明なテドラーバック〔内容積1L〕に入れ、大気圧下に、純窒素ガスおよび純酸素ガスを分圧比8:2で混合し相対湿度50%に調整した合成空気ガス600mLと、濃度(分圧比)1%となるようにアセトアルデヒドを窒素ガスで希釈した希釈アセトアルデヒドガス3mLを封入し、テドラーバックの上部から、20Wブラックライト2本により紫外線を照射した。このときの積層体表面の紫外線強度は2mW/cm2〔株式会社トプコン社製、紫外線強度計「UVR−2」に同社製受光部ユニット「UD−36」を装着して測定〕であった。テドラーバッグ内のアセトアルデヒド濃度をガスクロマトグラフにて経時的に測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライト照射前に37ppmであった。ブラックライトを照射してから3時間後には0.3ppmであった。
【0030】
上記で得た光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から、さらに8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルにブラックライト〔2mW/cm2〕を16時間照射したのち、上記と同じテドラーバッグ内に入れ、大気圧下に、上記と同じ合成空気ガスを封入し、暗黒下に3週間保管した後、脱気したのち、上記と同じ合成空気600mLおよび希釈アセトアルデヒドガス3mLを封入し、紫外線を照射して光触媒性能を測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトを照射前に36ppmであったものが、1.5時間後には0ppmであった。
【0031】
なお、上記で用いた硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックス752〕を室温〔約25℃〕にて乾燥し、得られた固形分3.8gに純水60gを加えたところ、固形分が再び水中に分散することはなく固形分として沈殿したままであり、液相部は白濁のない精澄な状態であった。また、この硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックス752〕を23℃、湿度65%RHにて7日間乾燥する条件で成膜して、厚みが15mmのフィルム〔形状はダンベル3号〕とし、引張強度500mm/分、25℃にて、このフィルムの抗張力を測定すると23MPaであり、伸度は360%である。
【0032】
比較例1
硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックス752〕に代えて、硬化型でないエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔住化ケムテックス社製、「スミカフレックス400HQ」、不揮発分55質量%〕を用いた以外は実施例1と同様にして光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得た。
【0033】
この光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルの光触媒活性を実施例1と同様にして測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライト照射前に38pmであった。ブラックライトを照射してから3時間後には0ppmであった。
【0034】
上記で得た光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から、さらに8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルにブラックライトからの紫外線〔2mW/cm2〕を16時間照射したのち、実施例1で用いたと同じテドラーバッグ内に上記と同じ合成空気を封入し、3週間保管後、実施例1と同様にして光触媒性能を測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトを照射前に38ppmであったものが、4.5時間経過後で102ppmに増加していた。増加したアセトアルデヒドは、壁紙を構成する塩化ビニル系樹脂に含有されていた可塑剤〔フタル酸ジオクチル〕に由来するものと考えられる。
【0035】
なお、上記で用いたエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックスHQ〕を室温〔約25℃〕にて乾燥し、得られた固形分3.8gに純水60gを加えたところ、固形分の一部が再び水中に分散し、白濁した状態であった。また、乾燥後の固形分を90℃に15分間加熱し、加熱後の固形分3.8gに純水60gを加えたところ、固形分の一部が再び水中に分散し、白濁した状態となった。また、このエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックスHQ〕を23℃、湿度65%RHにて7日間乾燥する条件で成膜して、厚みが15mmのフィルム〔形状はダンベル3号〕とし、引張強度500mm/分、25℃にて、このフィルムの抗張力を測定すると12.7MPaであり、伸度は550%である。
【0036】
実施例2
実施例1で用いたと同様の塩化ビニル系樹脂壁紙〔20cm×24cm〕上に、24番の番線を用いたバーコート法により、実施例1で用いたと同じ硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックス752〕を塗布したのち、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより、硬化物層を形成した。この硬化物層の厚みは約27μmであった。
【0037】
次いで、12番の番線を用いたバーコート法により、上記で形成した無機化合物層の上に、実施例1で得た光触媒体塗布液を塗布し、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより乾燥させて、光触媒層を形成して、厚み約0.7μm光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得た。
【0038】
この光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルのの光触媒活性を実施例1と同様にして測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトからの紫外線を照射する前に37pmであった。ブラックライトからの紫外線を照射してから3時間後には1.8ppmであった。
【0039】
上記で得た光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材からさらに8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルのにブラックライトからの紫外線〔2mW/cm2〕を16時間照射したのち、上記と同じテドラーバッグ内に合成空気と共に3週間保管後、上記と同様にして光触媒性能を測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトからの紫外線を照射する前に35ppmであったものが、1.5時間後には0ppmであった。
【0040】
比較例2
12番の番線を用いたバーコート法により、実施例1で用いたと同様の壁紙の上に、実施例1で得た光触媒体塗布液を塗布し、熱風循環式乾燥機内で90℃にて15分間加熱することにより乾燥させて、厚み約0.7μmの光触媒層を形成して、光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得た。
【0041】
この光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルの光触媒活性を実施例1と同様にして測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトからの紫外線を照射する前に43ppmであった。ブラックライトからの紫外線を照射してから30時間後には200ppmに増加していた。増加したアセトアルデヒドは、壁紙を構成する塩化ビニル系樹脂に含有されていた可塑剤〔フタル酸ジオクチル〕に由来するものと考えられる。
【0042】
比較例3
硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン〔スミカフレックス752〕に代えて、エポキシ変性アクリル樹脂エマルジョン〔チタン工業社製「PCU−103」、不揮発分38質量%〕を用い、番線として32番のものを用いた以外は実施例1と同様にして光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材を得た。エポキシ変性アクリル樹脂エマルジョン〔PCU−13〕により形成されたエポキシ変性アクリル樹脂層の厚みは約28μm、光触媒層の厚みは約0.7μmであった。
【0043】
この光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材から8cm×8cmのサイズに切り出してサンプルとし、このサンプルの光触媒活性を実施例1と同様にして測定したところ、アセトアルデヒド濃度は、ブラックライトからの紫外線を照射する前に41ppmであった。ブラックライトからの紫外線を照射してから30時間後には357ppmに増加していた。増加したアセトアルデヒドは、壁紙を構成する塩化ビニル系樹脂に含有されていた可塑剤〔フタル酸ジオクチル〕に由来するものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可塑剤を含有するポリ塩化ビニル系樹脂基材上に、硬化型エチレン−酢酸ビニル共重合体が硬化されてなる硬化物層と、光触媒体を含む光触媒層とが、この順に積層されてなることを特徴とする光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材。
【請求項2】
前記硬化物層と前記光触媒層との間に無機化合物層が積層されてなる請求項1に記載の光触媒積層ポリ塩化ビニル系樹脂基材。

【公開番号】特開2009−172854(P2009−172854A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13516(P2008−13516)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】