説明

光計測システム、被検体観察装置、および光計測方法

【課題】光検出器への過大な光の入射を防ぎながら、光増幅する。
【解決手段】光計測システムは、光増幅ユニット106、光検出器108、および第1の制御部110を備える。光増幅ユニット106は入射光を増幅する。光検出器108は受光量に応じた電気信号を生成する。第1の制御部110は予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御を順番に実行する。予備検出制御において光増幅器の利得を第1の利得に調節する。第1の利得で増幅された予備光の受光量に応じた予備信号を生成する。本利得決定処理において予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第2の利得を本利得に定める。予備信号の信号強度が閾値より高い場合には第3の利得を本利得に定める。本検出制御において光増幅ユニット106の利得を本利得に調節する。本利得で増幅された検出信号光の受光量に応じた検出信号を生成する。第2の利得を本利得に定めた場合には検出信号に基づいて入射光の光量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光計測システム、被検体監察装置、および光計測方法に関し、特に光検出器の前段に光増幅器を配して被検体からの検出信号光を直接光増幅する光計測システム、光計測システムを用いた被検体観察装置、および光計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体である生体からの発光や散乱光を用いて生体内部の情報を計測する装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された技術においては、光信号を電気信号に変換することなく直接増幅する光増幅器を用いることにより、高いS/N比の信号を高速に取得することを可能にしていた。これにより、生体による強い散乱により減衰した光であっても得られる画像や生体情報の精度を向上させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−261106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記載においては、光検出器の前段に光増幅器が配置され、光増幅器は一定の利得で入射光を増幅する。したがって、光増幅器に増幅される出射光の光量は、入射光の光量に比例する。それゆえ、光増幅器の入射光の光量が高い場合には、出射光の光量が光検出器の最大受光限界値を超えることがある。最大受光限界値を超える光量の光を受光することにより光検出器が破損することがあった。
【0005】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明では、光増幅器により微弱な入射光を検出可能にしながら、光検出器への過大な光量の光の受光を防ぐ光計測システム、光計測システムを用いた被検体観察装置、および光計測方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による光計測システムは、
入射光を可変の利得で増幅して出射可能な光増幅ユニットと、
光増幅ユニットから出射する光の受光量に応じた電気信号を生成する光検出器と、
光増幅ユニットおよび光検出器に対して、予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御を順番に実行する第1の制御部とを備え、
第1の制御部は、
予備検出制御において、光増幅ユニットの利得を第1の利得に調節し、第1の利得で増幅された入射光の受光量に応じた電気信号を予備信号として光検出器に生成させ、
本利得決定処理において、予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を本検出制御において用いる本利得に定め、予備信号の信号強度が閾値より高い場合には光増幅ユニットで増幅された入射光の光量が光検出器の最大受光限界値未満となるように予備信号に応じて第2の利得未満の範囲で定められる第3の利得を本利得に定め、
本検出制御において、光増幅ユニットの利得を本利得に調節し、本利得で増幅された入射光の受光量に応じた検出信号を光検出器に生成させ、少なくとも第2の利得を本利得に定めた場合には検出信号に基づいて入射光の光量を算出する
ことを特徴とするものである。
【0007】
本発明による被検体観察装置は、入射光を可変の利得で増幅して出射可能な光増幅ユニットと、光増幅ユニットから出射する光の受光量に応じた電気信号を生成する光検出器と、光増幅ユニットおよび光検出器に対して予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御を順番に実行する第1の制御部とを備え、第1の制御部は予備検出制御において光増幅ユニットの利得を第1の利得に調節し第1の利得で増幅された入射光の受光量に応じた電気信号を予備信号として光検出器に生成させ、本利得決定処理において予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を本検出制御において用いる本利得に定め予備信号の信号強度が閾値より高い場合には光増幅ユニットで増幅された入射光の光量が光検出器の最大受光限界値未満となるように予備信号に応じて第2の利得未満の範囲で定められる第3の利得を本利得に定め、本検出制御において光増幅ユニットの利得を本利得に調節し本利得で増幅された入射光の受光量に応じた検出信号を光検出器に生成させ少なくとも第2の利得を本利得に定めた場合には検出信号に基づいて入射光の光量を算出する光計測システムと、
光増幅ユニットに、被検体の一点である観察点における光を伝達し、入射させる光伝達器と、
観察点を変位させる走査部と、
第1の制御部に、予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御によって構成されるシーケンス制御を繰返し実行させる第2の制御部と、
各シーケンス制御の実行時の観察点の位置を決定する位置決定部と、
各シーケンス制御により算出された入射光の光量と位置決定部により決定された観察点の位置とに基づいて、被検体の画像を再構成する画像再構成部とを備える
ことを特徴とするものである。
【0008】
本発明による光計測方法は、
入射光を増幅する利得を第1の利得に調節する第1のステップと、
入射光を第1の利得で増幅した予備光の受光量に応じた予備信号を生成する第2のステップと、
予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を本検出制御において用いる本利得に定め、予備信号の信号強度が閾値より高い場合には増幅された入射光の光量が光検出器の最大受光限界値未満となるように予備信号に応じて第2の利得未満の範囲で定められる第3の利得を本利得に定める第3のステップと、
入射光を増幅する利得を本利得に調節する第4のステップと、
入射光を本利得で増幅した検出信号光の受光量に応じた検出信号を生成する第5のステップと、
少なくとも第2の利得を本利得に定めた場合には検出信号に基づいて入射光の光量を算出する第6のステップとを備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成された本発明に係る光計測システムによれば、微弱な光を検出可能でありながら光検出器への過大な光量の光の受光を防ぐことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光計測システムを含む被検体観察装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】第1の実施形態における被検体観察制御において、制御部によって実行される処理を説明するフローチャートである。
【図3】被検体上で観察点を移動させる経路である走査経路を説明するための被検体の正面図である。
【図4】第1の実施形態における予備検出のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図5】第1の実施形態における本利得決定のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図6】増幅無しまたは第2の利得で増幅した場合における検出光プローブに採取される採取光の光量の対数に対する光検出器に入射する入射光の光量の対数を示すグラフである。
【図7】閾値に基づいて第2、第3の利得で増幅した場合における採取光の光量の対数に対する入射光の光量の対数を示すグラフである。
【図8】採取光の光量の対数に対して設定すべき本利得の対数を示したグラフである。
【図9】第1の実施形態における本検出のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図10】検出信号の補正を説明するためのグラフである。
【図11】第2の実施形態における本利得決定のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図12】第2の実施形態における本検出のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図13】第3の実施形態に係る光計測システムを含む被検体観察装置の概略構成を示す構成図である。
【図14】第3の実施形態における被検体観察制御において、制御部によって実行される処理を説明するフローチャートである。
【図15】第3の実施形態における予備検出のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図16】第3の実施形態における減衰率決定のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図17】採取光の光量の対数に対して設定すべき減衰率の対数を示したグラフである。
【図18】第3の実施形態における本検出決定のサブルーチンを説明するフローチャートである。
【図19】異なる波長の光の光量を、第1、第2の実施形態を適用した光計測システムを用いて検出可能な装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【図20】異なる波長の光の光量を、第1、第2の実施形態を適用した光計測システムを用いて検出可能な装置の第2の実施形態を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した光計測システムを有する被検体観察装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光計測システムを用いた被検体観察装置の概略構成を示す構成図である。
【0013】
被検体観察装置100は、走査型顕微鏡や走査型内視鏡であって、光源101、照明光プローブ102、走査機構103、走査機構駆動部104、検出光プローブ105、光増幅ユニット106、励起光源107、光検出器108、画像処理部109、制御部110、SDRAM111、表示部112、およびROM113などを含んで構成される。
【0014】
光源101と照明光プローブ102とが、光増幅ユニット106と検出光プローブ105、励起光源107、および光検出器108とが、光ファイバにより結合される。また、画像処理部109と、光検出器108、制御部110、SDRAM111、および表示部112とが、制御部110と光源101、走査機構駆動部104、励起光源107、光検出器108、およびROM113とが導電部材により結合される。
【0015】
光源101は、例えば半導体レーザやランプなどによって構成され、可視光帯域から赤外域までの波長の光を出射する。光源101から出射される照射光は、光ファイバにより照明光プローブ102に伝達される。照明光プローブ102には、複数のレンズなどの光学部材(図示せず)が設けられ、伝達された照射光は被検体objの一点である観察点に向けて出射される。
【0016】
照明光プローブ102は、走査機構103により支持される。走査機構103は偏向手段を有しており、照射光を任意の方向に偏向させる。照射光を偏向させることにより観察点の位置を変えることが可能である。走査機構駆動部104によって偏向手段は駆動され、照射光により被検体objを走査可能である。なお、走査機構駆動部104は、制御部110によって制御される。
【0017】
照射光が照射された被検体からの散乱光、透過光、反射光、および屈折光は検出光プローブ105の入射端に入射する。検出光プローブ105には、複数のレンズや絞りなどの光学部材(図示せず)が設けられる。検出光プローブ105の入射端に入射した光は光ファイバにより光増幅ユニット106に伝達される。
【0018】
光増幅ユニット106は、例えば希土類を添加した光ファイバ増幅器であって、入射する信号光を増幅して出射する。なお、増幅の利得は、励起光源107から供給される励起光の強度、ファイバの長さや希土類の添加量などのファイバ特性等に応じて定まる。本実施形態では、励起光の強度、すなわち光量を調節することにより、増幅の利得が調節される。
【0019】
励起光源107は励起光を出射可能であり、制御部110により励起光の光量が調節される。なお、励起光の供給が無い場合には、1を利得として信号光は増幅され信号光の強度は変化しない。検出光プローブ105により採取された光が信号光として光増幅ユニット106に入射し、後述するように定められる利得により光を増幅して光検出器108に出射される。
【0020】
光検出器108は、例えばフォトダイオードなどであって受光量に応じた電気信号を原画素信号として生成する。なお、後述するように、光検出器108における単一の原画素信号を生成するための受光期間は、第1、第2の受光期間に切替え可能であり、制御部110により切替えられる。第1の受光期間の受光により生成される原画素信号は予備信号として、以後の処理に用いられる。また、第2の受光期間の受光により生成される原画素信号は検出信号として、以後の処理に用いられる。
【0021】
原画素信号は、光検出器108から画像処理部109に送信される。後に詳細に説明するように、予備信号は光増幅部106における利得を決定するために用いられ、検出信号は被検体画像を再構成するために用いられる。
【0022】
原画素信号が予備信号である場合には、画像処理部109は、予備信号を制御部110に送信する。原画素信号が検出信号である場合には、画像処理部109は、制御部110の制御に基づいて、SDRAM111の定められた領域に検出信号を、二次画素信号として格納する。また、後述するように、画像処理部109は必要に応じて検出信号に補正処理を施し、補正処理を施した検出信号を、二次画素信号としてSDRAM111に格納する。
【0023】
複数の観察点夫々に対応する検出信号が二次画素信号としてSDRAM111に格納されると、画像処理部109は、複数の二次画素信号によって構成される画像信号に対してガンマ補正などの所定の画像処理を施す。画像処理部109は、所定の画像処理が施された画像信号を表示部112に送信する。表示部112はCRTモニタ、液晶モニタなどの表示装置であって、受信した画像信号に相当する画像を表示する。
【0024】
制御部110は、被検体観察装置100の各部位の動作を制御する。動作の制御のために必要な情報がROM113に格納され、必要に応じて制御部110に読出される。
【0025】
なお、制御部110および画像処理部109は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることもできる。
【0026】
被検体の観察時に、制御部110が実行する被検体観察制御について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、被検体観察制御は、観察を開始させる操作指令が入力部(図示せず)に入力されることにより開始する。また、観察を終了する操作指令が入力されるとき、または被検体観察装置100の電源がOFFになるときに、被検体観察制御は終了する。
【0027】
ステップS101において、制御部110は光源101に照射光を発光させる。なお、照射光は連続光として発光されてもよいし、パルス発光されてもよく、観察の目的に応じて定められる。照射光を発光させると、ステップS102に進む。
【0028】
ステップS102では、制御部110は走査機構駆動部104に被検体の走査を開始させる。走査を開始させると、照射光を偏向することにより、図3に示すように、観察点opを被検体上において所定の走査経路scに沿って移動する。走査を開始させると、ステップS103に進む。
【0029】
ステップS103では、制御部110は画像処理部109にSDRAM111に格納された画像信号を消去させる。画像信号を消去させることにより、それまで格納されていた画像信号の次のフレームの画像信号を格納可能になる。画像信号の格納後、ステップS200に進む。
【0030】
ステップS200では、制御部110は予備検出制御を実行する。後述するように、予備検出制御により光検出器108が予備信号を生成する。予備検出制御の実行により予備信号を生成すると、ステップS300に進む。
【0031】
ステップS300では、制御部110は、ステップS200において生成した予備信号に基づいて本利得決定制御を実行する。後述するように、本利得決定制御では、本検出制御において光増幅ユニット106に設定すべき利得である本利得を決定する。本利得の決定後、ステップS400に進む。
【0032】
ステップS400では、制御部110は、ステップS300において決定した本利得を用いて本検出制御を実行する。後述するように、本検出制御の実行により任意の観察点における検出信号が、観察点の位置に対応するSDRAM111の領域に、二次画素信号として格納される。なお、観察点の位置は走査機構駆動部104が検知する偏向方向などのパラメータにより決定され、制御部110に伝達される。任意の観察点における検出信号がSDRAM111に格納されると、ステップS104に進む。
【0033】
なお、ステップS200、ステップS300、およびステップS400の処理は、走査速度、すなわち観察点の移動速度に比べて極めて高速で行われ、実質的に同じ位置の観察点に対してステップS200、ステップS300、およびステップS400の処理が実行される。すなわち、単一の位置の観察点に対して予備信号の生成、予備信号に基づく本利得の決定、および本利得を用いた検出信号の生成が実行される。
【0034】
ステップS104では、制御部110は1フレームの画像信号を構成するすべての検出信号をSDRAM111に格納しているか否かを判別する。すべての検出信号を格納していない場合には、ステップS200に戻る。なお、ステップS102の判別後、ステップS200に戻るまでには、ステップS400の処理の終了時の観察点の位置から観察点が移動する時間がかけられる。
【0035】
以後、すべての検出信号が格納されるまで、ステップS200、S300、S400、およびS104の処理を繰返す。すべての検出信号が格納されると、1フレームの画像信号が完成しており、ステップS105に進む。
【0036】
ステップS105では、制御部110は画像処理部109を制御し、SDRAM111に格納された1フレームの画像信号に対して所定の画像処理を施す。画像信号に所定の画像処理を施すと、ステップS106に進む。
【0037】
ステップS106では、制御部110は画像処理部109を制御し、SDRAM111に格納され所定の画像処理の施された1フレームの画像信号を表示部112に送信する。表示部112は、受信した画像信号に相当する画像を表示する。1フレームの画像信号を表示部112に送信すると、ステップS102に戻り、制御部110は次のフレームの画像信号の生成のための制御を開始する。
【0038】
次に、ステップS200において実行される予備検出のサブルーチンについて、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
ステップS201では、制御部110は、励起光源107から出射する励起光の照射を停止させことにより光増幅ユニット106における利得を1に調節する。利得の調節後、ステップS202に進む。
【0040】
ステップS202では、制御部110は光検出器108の受光期間を第1の受光期間に切替える。受光期間の切替え後、ステップS203に進む。
【0041】
ステップS203では、制御部110は、光増幅ユニット106により増幅されない光を第1の受光期間だけ光検出器108に受光させることにより予備信号を生成させる。予備信号を生成させると、予備検出のサブルーチンを終了する。予備検出のサブルーチンを終了すると、前述のように、本利得決定処理(S300)を開始する。
【0042】
次に、ステップS300で行われる本利得決定のサブルーチンについて、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0043】
ステップS301において、制御部110は、ステップS203において生成した予備信号の信号強度が閾値より小さいか否かを判別する。信号強度が閾値より小さい場合には、ステップS302に進む。信号強度が閾値以上である場合には、ステップS303に進む。
【0044】
ステップS302では、制御部110は、本検出制御(S400)において設定する光増幅ユニット106の利得である本利得を、固定値である第2の利得に決定する。また、第2の利得にさせる励起光の光量を算出する。他方、ステップS303では、制御部110は、本利得を、予備信号の信号強度に応じた可変の第3の利得に決定する。また、第3の利得にさせる励起光の光量を算出する。
【0045】
次に、図6〜図8を用いて、第2、第3の利得および閾値の関係について、以下に説明する。図6は、増幅無しまたは第2の利得で増幅した場合における検出光プローブ102に採取される採取光の光量の対数に対する光検出器108に入射する入射光の光量の対数を示すグラフである。図7は、閾値に基づいて第2、第3の利得で増幅した場合における採取光の光量の対数に対する入射光の光量の対数を示すグラフである。図8は、採取光の光量の対数に対して設定すべき本利得の対数を示したグラフである。
【0046】
光検出器108は、検出可能な最低検出限界値と、損傷を生じ得る最大受光限界値とを特性として有している。光検出器108では、最低検出限界値と最大受光限界値の間の範囲に含まれる光量の光を検出可能である。従って、検出光プローブ102により採取された光である採取光の光量が最低検出限界値未満である場合には、光増幅をしなければ光量の検出が出来ない(符号A参照)。
【0047】
そこで、検出が望まれる採取光の最低光量を最低検出限界値に増幅させる利得以上の値が第2の利得に定められ、採取光の検出下限値が引き下げられる。一方で、第2の利得で増幅された光検出器108への入射光が最大受光限界値を超えると(符号B参照)、光量の検出が出来ないのみならず光検出器108に損傷を生じ得る。そこで、増幅された入射光が規定値となるときの採取光の光量に相当する予備信号の信号強度が、閾値に定められる。なお、規定値は最大受光限界値未満の任意の値に定められる。
【0048】
閾値を超える範囲において、第3の利得によって増幅した採取光の光量が規定値と等しくなるように、第3の利得は定められる(図7参照)。したがって、図8に示すように、閾値を越える範囲において、採取光の光量の増加に応じて減少するように第3の利得は定められる。なお、採取光の光量に対する第3の利得の値は表データとしてROM113に格納されており、第3の利得の計算時に制御部110に読出される。
【0049】
ステップ302またはステップ303における本利得の決定後、本利得決定のサブルーチンを終了する。本利得決定のサブルーチンの終了後、前述のように、本検出のサブルーチン(S400)を開始する。
【0050】
次に、ステップS400で行われる本検出のサブルーチンについて、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0051】
ステップS401では、制御部110は、ステップS302またはステップS303で決定した本利得となるように、励起光源107から出射される励起光の光量を調節する。利得調節を終えると、ステップS402に進む。
【0052】
ステップS402では、制御部110は、光検出器108の受光期間を第2の受光期間に切替える。受光期間の切替え後、ステップS403に進む。
【0053】
ステップS403では、制御部110は、本利得に応じて増幅された光を第2の受光期間だけ光検出器108に受光させることにより、検出信号を生成させる。検出信号を生成させると、ステップS404に進む。
【0054】
なお、第2の受光期間は、第1の受光期間より十分に長くなるように予め定められている。光検出器108の受光期間が長くなるほど、光検出器108のS/N比が大きくなる。本実施形態では、予備信号よりも検出信号に対して、高いS/N比が求められる。また、前述のように実質的に同じ位置の観察点に対して予備信号および検出信号を生成するためには、第1、第2の受光期間の合計期間が短いことが好ましい。それゆえ、第1の受光期間より第2の受光期間の方が長くなるように定められる。
【0055】
ステップS404では、制御部110は、ステップS401で調節した利得が第3の利得であるか否かを判別する。第3の利得であった場合には、ステップS405に進む。第2の利得であった場合には、ステップS405をスキップしてステップS406に進む。
【0056】
ステップS405では、制御部110は、画像処理部109を制御して、第2、第3の利得に基づいて、検出信号を補正する。図10に示すように、採取光の光量の対数に対する検出信号の信号強度の対数は、採取光の光量が閾値に達するまでは光量に応じて増加する。
【0057】
一方、閾値を越える範囲においては、採取光の光量の対数によらず一定となる(太線参照)。そこで、閾値を超える範囲においても採取光の光量に応じて信号強度が増加するように検出信号が補正される。さらに、本実施形態では、採取光の光量の対数の増加に対して、検出信号および補正した検出信号の信号強度の対数が、線形に増加するように(点線参照)検出信号が補正される。具体的には、第2の利得を第3の利得で除した補正係数を検出信号に乗じることにより、検出信号は補正される。検出信号の補正後、ステップS406に進む。
【0058】
ステップS406では、制御部110は、画像処理部109を制御して、検出信号を二次画素信号としてSDRAM111に格納させる。なお、前述のように、観察点の照射位置毎に二次画素信号を格納するSDRAM111内の領域は別々に定められており、作成した検出信号に対応する観察点の位置に対して定められた領域に二次画素信号は格納される。二次画素信号のSDRAM111への格納を終えると、本検出のサブルーチンを終了して、ステップS104に進む(図2参照)。
【0059】
以上のような構成の第1の実施形態の光計測システムによれば、予備信号の信号強度が閾値を超える場合には、光増幅ユニット106の本利得には、入射光の光量が一定の規定値となるように入射光を増幅する第3の利得が用いられる。したがって、光検出器108への入射光の光量の最大値は規定値に抑えられるので、光検出器108への過大な光量の光の入射を防止することが可能である。
【0060】
また、第1の実施形態の光計測システムによれば、ダイナミックレンジを拡大することが可能である。光増幅ユニット106により採取光の光量が増幅されても、光検出器108の検出範囲、即ち最小検出限界値から最大受光限界値までの範囲は変わらないので、検出信号を補正しなければダイナミックレンジは増幅しない場合と変わらない。しかし、本実施形態によれば、検出信号を補正することにより、検出可能な採取光の光量の範囲、即ちダイナミックレンジを拡大することが可能である。
【0061】
特に、本実施形態の光計測システムでは、採取光の光量により正確に対応するように検出信号が補正される。前述において、第3の利得は、予備検出時の採取光の光量と第3の利得との積が規定値と等しくなるように定められる。しかし、前述のように予備検出における光検出器108の受光期間は相対的に短くノイズの影響が大きくなるため、実際には必ずしも検出信号の信号強度は規定値に一致しない。しかし、検出信号を生成する時のS/N比は十分に大きく、増幅に用いた第3の利得を用いて検出信号を補正するので、予備検出におけるノイズの影響を排除することが可能である。それゆえ、補正された検出信号の信号強度を、採取光の光量により正確に対応させることが可能である。
【0062】
次に、本発明の第2の実施形態に係る光計測システムについて説明する。第2の実施形態は検出信号の補正方法において第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0063】
第2の実施形態では、画像処理部109の一部の機能および制御部110による一部の制御以外、すべての部位の機能および構成は第1の実施形態と同じである。
【0064】
第2の実施形態では、制御部110は、第1の実施形態と同じく、被検体観察制御の実行時にステップS101〜ステップS103、ステップS200(図2参照)の動作を実行する。第2の実施形態では、第1実施形態と一部異なる本利得決定のサブルーチンが実行される。すなわち、第2の実施形態では、ステップS203における予備信号の生成後、ステップS500の本利得決定のサブルーチンが開始される。
【0065】
図11に示すように、ステップS501〜ステップS503では、第1の実施形態の本利得決定のサブルーチンにおけるステップS301〜ステップS303と同じ制御が行われる。
【0066】
第1の実施形態と異なり、ステップS503における本利得の決定後、ステップS504に進む。ステップS504では、制御部110は予備信号をSDRAM111に格納する。予備信号をSDRAM111に格納すると、本利得決定のサブルーチンを終了し、第2の実施形態の本検出のサブルーチン(S600)が開始される。
【0067】
次に、ステップS600で行われる本検出サブルーチンについて、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0068】
ステップS601〜ステップS604およびステップS606では、第1の実施形態の本利得決定のサブルーチンにおけるステップS401〜ステップS404およびステップS406とそれぞれ同じ制御が行われる。
【0069】
第1の実施形態と異なり、ステップS605では、制御部110は検出信号の補正を行わずに、ステップS504において格納した予備信号に基づいて擬似検出信号を生成する。擬似検出信号は、予備信号に第2の利得を乗じることにより生成される。また、予備信号と検出信号との間では受光期間が異なるので、正規化するために時間修正係数(=第2の受光期間/第1の受光期間)が乗じられる。
【0070】
以上のような構成の第2の実施形態の光計測システムによっても、第1の実施形態と同じく、光検出器108への入射光の光量の最大値が規定値に抑えられるので、光検出器108への過大な光量の光の入射を防止することが可能である。
【0071】
また、第2の実施形態の光計測システムによっても、第1の実施形態と同じく、ダイナミックレンジを拡張することが可能である。
【0072】
次に、本発明の第3の実施形態に係る光計測システムについて説明する。光増幅ユニットの構成および利得の調節方法が第1の実施形態と異なっている。以下に、第1の実施形態と異なる点を中心に第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ機能および構成を有する部位には同じ符号を付す。
【0073】
被検体観察装置1000は、光源101、照明光プローブ102、走査機構103、走査機構駆動部104、検出光プローブ105、光増幅ユニット1060、光検出器108、画像処理部109、制御部1100、SDRAM111、表示部112、およびROM113などを含んで構成される。
【0074】
第1の実施形態と同じく、光源101および照明光プローブ102が光ファイバにより結合される。また、光増幅ユニット1060と、検出光プローブ105および光検出器108とが、光ファイバにより結合される。また、第1の実施形態と同じく、画像処理部109と、光検出器108、制御部1100、SDRAM111、および表示部112とが導電部材により結合される。また、制御部1100と光源101、走査機構駆動部104、光増幅ユニット1060、光検出器108、およびROM113とが導電部材により結合される。
【0075】
光源101、照明光プローブ102、走査機構103、走査機構駆動部104、検出光プローブ105の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。第1の実施形態と異なり、検出光プローブ105の入射端に入射した光は光ファイバにより光増幅ユニット1060に伝達される。
【0076】
第1の実施形態と異なり、光増幅ユニット1060は、光増幅器1170および光減衰器1180を含んで構成される。
【0077】
光増幅器1170は、例えば光ファイバ増幅器であって、信号光の光量を第2の利得で増幅して出射する。利得は、投入する励起光の光量を調節することにより、第2の利得に合わせられる。光増幅器1170は、増幅機能のON/OFFを切替え可能である。なお、利得を少なくとも2段階で調節可能な光ファイバ増幅器以外の光増幅器を用いることができる。光増幅器1170は、後述するよう設定される利得により光を増幅して出射する。光増幅器1170は光減衰器1180と光ファイバを用いて結合され、出射した信号光は光減衰器 に入射する。
【0078】
光減衰器1180は、例えばファイバ曲率を変化させる機械的方式または磁気光学素子を用いた磁場制御方式などにより減衰率を変化させることが可能な光減衰器であって、入射する光を減衰して出射する。光減衰器1180の減衰率は、制御部1100によって調節される。
【0079】
なお、光減衰器1180による減衰機能をOFFにすることも可能であり、減衰機能をOFFにすることは、減衰率を1として信号光を減衰することと同等である。光減衰器1180は光検出器108と光ファイバにより結合され、出射した信号光は光検出器108に入射する。
【0080】
光増幅ユニット1060の利得は、光増幅率1170の利得と、光減衰器1180の減衰率との積である。第3の実施形態では、光増幅器1180の増幅機能のON/OFFの切替と、光減衰器1170の減衰率を調節することにより、光増幅ユニット1060全体の本利得を所望の利得に調節する。
【0081】
光増幅器1170の増幅機能をOFFに切替え、かつ光減衰器1180の減衰機能をOFFに切替えることにより、光増幅ユニット1060の本利得を1に調節可能である。また、光増幅器1170の増幅機能をONに切替え、かつ光減衰器1180の減衰機能をOFFに切替えることにより、光増幅ユニット1060の本利得を第2の利得に調節可能である。また、光増幅器1180の増幅機能をONに切替え、かつ光減衰器1170の減衰率を変動させることにより、光増幅ユニット1060の本利得を可変の第3の利得に調節可能である。
【0082】
光検出器108の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。したがって、光検出器108は、制御部110の制御に基づいて、第1の受光期間の受光により原画素信号を予備信号として生成し、第2の受光期間の受光により原画素信号を検出信号として生成する。
【0083】
原画素信号が予備信号および検出信号である場合の処理は、第1の実施形態と同じである。したがって、予備信号は制御部110に送信され、検出信号はSDRAM111の定められた領域に二次画素信号として格納される。
【0084】
画像処理部109および表示部112の構成および機能は、第1の実施形態と同じである。したがって、画像処理部109は二次画素信号によって構成される画像信号に所定の画像処理を施し、表示部112は画像信号に相当する画像を表示する。
【0085】
制御部1100は、被検体観察装置1000の各部位の動作を制御する。第1の実施形態と同じく、動作の制御のために必要な情報がROM113に格納され、必要に応じて制御部110に読出される。
【0086】
被検体の観察時に、制御部1100により実行される被検体観察制御について、図14のフローチャートを用いて説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態と異なる予備検出のサブルーチンおよび本検出のサブルーチンが実行され、第1の実施形態の本利得決定のサブルーチンの代わりに減衰率決定のサブルーチンが実行される。
【0087】
第3の実施形態では、制御部1100は、被検体観察制御を開始すると、ステップS1010〜ステップS1030において第1の実施形態の被検体観察制御におけるステップS101〜ステップS103と同じ処理を実行する。
【0088】
第3の実施形態では、制御部1100は、第1実施形態と異なる予備検出のサブルーチンを実行する。ステップS1030における画像信号の消去後、ステップS700の予備検出のサブルーチンが実行される。
【0089】
図15に示すように、ステップS701において、制御部1100は、光増幅器1170の増幅機能をOFFに切替えることにより光増幅器1170の利得を1に調節する。また、制御部1100は、光減衰器1180の減衰機能をOFFに切替えることにより光減衰器1180の減衰率を1に調節する。このような調節により、制御部1100は、光増幅ユニット1060の利得を1に調節する。利得の調節後、ステップS702に進む。
【0090】
ステップS702およびステップS703では、制御部1100は、第1の実施形態の予備検出処理におけるステップS202およびステップS203と同じ処理を実行する。ステップS703の終了後、予備検出のサブルーチンを終了し、減衰率決定のサブルーチン(S800)を開始する。
【0091】
図16に示すように、ステップS801では、制御部1100は、第1の実施形態の本利得決定制御のステップS801と同じ処理を実行する。なお、閾値は第1の実施形態と同様に定められる。すなわち、光増幅ユニット1060により増幅された入射光が規定値(図6参照)となるときの、採取光の光量に相当する予備信号の信号強度が閾値に定められる。
【0092】
ステップS802では、制御部1100は、本検出制御(S900)において設定する光増幅ユニット1060の利得である本利得の設定のために、光減衰器1180の減衰率を1に決定する。他方、ステップS803では、制御部1100は、本利得設定のために、光減衰器1180の減衰率を予備信号の信号強度に応じた可変の第1の減衰率に決定する。
【0093】
第1の減衰率は、予備信号の信号強度が閾値を超える場合において、第1の減衰率と第2の利得との積が、対応する採取光光量における第3の利得に一致するように、定められる。したがって、図17に示すように、閾値を超える範囲において、採取光の光量に応じて増加するように第1の減衰率は定められる。なお、採取光の光量に対する第1の減衰率の値は表データとしてROM113に格納されており、第1の減衰率の計算時に制御部1100に読出される。
【0094】
ステップS802またはステップS803の終了後、減衰率決定のサブルーチンを終了し、本検出のサブルーチン(S900)を開始する。
【0095】
図18に示すように、ステップS901では、制御部1100は、光増幅器1170の増幅機能をON、すなわち第2の利得で増幅可能な状態に切替える。また、制御部1100は、ステップS802またはステップS803で決定した減衰率となるように、光減衰器1180を制御する。光増幅器1170および光減衰器1180の制御により、光増幅ユニット1060の本利得は第2の利得または第3の利得となるように調節される。光増幅ユニット1060の利得の調節を終えると、ステップS902に進む。
【0096】
以後のステップS902〜ステップS906において、制御部1100は、第1の実施形態の本検出制御(図9参照)におけるステップS402〜ステップS406と同じ処理を実行する。ステップS906において二次画素信号のSDRAM111への格納を終えると、本検出のサブルーチンを終了して、ステップS1040に進む(図14参照)。
【0097】
以後のステップS1040〜ステップS1060において、制御部1100は、第1の実施形態の被検体観察制御におけるステップS104〜ステップS106と同じ処理を実行する。
【0098】
以上のような構成の第3の実施形態の光計測システムによっても、第1の実施形態と同じく、光検出器108への入射光の光量の最大値が規定値に抑えられるので、光検出器108への過大な光量の光の入射を防止することが可能である。
【0099】
また、第3の実施形態の光計測システムによっても、第1の実施形態と同じく、ダイナミックレンジを拡張することが可能である。
【0100】
さらに、第3の実施形態の光計測システムによれば、光増幅ユニット1060の利得の調節精度を向上させることが可能である。光増幅器1170の利得の調節精度より光減衰器1180の減衰率の調節精度を高くすることは、一般的に容易である。第3の実施形態では、光増幅ユニット1060の利得を光減衰器1180の減衰率を変動させることにより調節する構成なので、光増幅ユニット1060の利得の調節精度を向上させることが可能である。
【0101】
なお、第1、第2の実施形態の光計測システムを用いて、複数の波長の光を計測して被検体の画像を再構成することも可能である。
【0102】
例えば、図19に示すように、それぞれ異なる波長の光を出射する第1〜第3の光源101から出射する光を、波長多重光ファイバカプラを結合器114として用いて結合させ、複数の波長の光を含む混合光が被検体objに照射される。検出光プローブ102により採取される異なる波長の光は分波器115により波長別に分波され、別々の光増幅ユニット106に入射する。それぞれの光増幅ユニット106は第1、第2の実施形態における光計測システムを構成し、第1、第2の実施形態と同様に、広いダイナミックレンジで採取光の光量を検出可能である。このような構成の被検体観察装置によれば、同じ位置の観察点に対して複数の波長の光の光量を検出し、被検体の画像の再構成に用いることが可能である。
【0103】
また、例えば、図20に示すように、光源101から出射した白色光を、透過帯域の異なる複数のカラーフィルタが周方向に沿って設けられた回転フィルタ116により、異なる帯域の光が時分割されて被検体に照射される。検出光プローブ102により採取される異なる波長の光は分波器115により波長別に分波され、別々の光増幅ユニット106に入射する。それぞれの光増幅ユニット106は第1、第2の実施形態における光計測システムを構成し、第1、第2の実施形態と同様に、広いダイナミックレンジで採取光の光量を検出可能である。このような構成の被検体観察装置によっても、同じ位置の観察点に対して複数の波長の光の光量を検出し、被検体の画像の再構成に用いることが可能である。
【0104】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0105】
例えば、上記の第1〜第3の実施形態において、光計測システムは被検体観察装置に用いられる構成であるが、微弱な光の光量を検出する他のいかなる種類の装置に用いることも可能である。
【0106】
また、第1〜第3の実施形態において、照明光のみの偏向、すなわち照明光プローブのみを走査する構成だが、検出光プローブと照明光プローブとを一体的に用いて被検体を走査させてもよく、また、照明光プローブを固定して検出光プローブのみを用いて被検体を走査させてもよい。さらにへ、照明光プローブおよび検出光プローブを固定して被検体を固定するステージを移動させることにより被検体を走査する構成であってもよい。
【0107】
また、第1〜第3の実施形態では、光源101を有する構成であるが、光源101を省いてもよい。被検体が発する発光を検出する構成であってもよい。
【0108】
また、第1、第2の実施形態において予備検出制御時には光増幅器 の増幅機能を停止する構成であり、第3の実施形態において予備検出制御時には光増幅ユニット の増幅機能を停止する構成であるが、1を超える利得で増幅してもよい。予備検出制御時に第2の利得より小さな第1の利得で採取光を増幅すれば、第1〜第3の実施形態と同様の効果を得ることは可能である。
【0109】
また、第1の実施形態において、第3の利得は、第3の利得を用いたときの検出信号が規定値に等しくなるように、定められるが、規定値に等しくならなくてもよい。予備信号に応じて変わる任意の第3の利得を用いたときの検出信号が光検出器108の最大受光限界値未満であれば、検出信号の補正は可能である。
【0110】
また、第2の実施形態において、本利得決定処理において第3の利得を決定するが、第3の利得を決定しなくてもよい。さらには、予備信号の信号強度が閾値を超えている場合に本検出制御において検出信号を生成する構成であるが、検出信号を生成することなく予備信号から擬似検出信号を生成する構成でもよい。擬似検出信号を生成する場合には、検出信号が用いられないからである。
【0111】
また、第3の実施形態において、光増幅器 は増幅機能をONにしたときに第2の利得で増幅する構成であるが、第2、第3の利得と異なる第4の利得に調節される構成であってもよい。光増幅器 が第4の利得で信号光を増幅し、光減衰器 の減衰率を変動させることにより、光増幅ユニット の利得を第2、第3の利得に調節することは可能である。
【符号の説明】
【0112】
100、1000 被検体観察装置
102 照明光プローブ
104 走査機構駆動部
106、1060 光増幅ユニット
107 励起光源
108 光検出器
109 画像処理部
110 制御部
111 SDRAM
1170 光増幅器
1180 光減衰器
obj 被検体
op 観察点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を可変の利得で増幅して出射可能な光増幅ユニットと、
前記光増幅ユニットから出射する光の受光量に応じた電気信号を生成する光検出器と、
前記光増幅ユニットおよび前記光検出器に対して、予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御を順番に実行する第1の制御部とを備え、
前記第1の制御部は、
前記予備検出制御において、前記光増幅ユニットの前記利得を第1の利得に調節し、前記第1の利得で増幅された前記入射光の受光量に応じた前記電気信号を予備信号として前記光検出器に生成させ、
前記本利得決定処理において、前記予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を前記本検出制御において用いる本利得に定め、前記予備信号の信号強度が閾値より高い場合には前記光増幅ユニットで増幅された入射光の光量が前記光検出器の最大受光限界値未満となるように前記予備信号に応じて前記第2の利得未満の範囲で定められる第3の利得を前記本利得に定め、
前記本検出制御において、前記光増幅ユニットの前記利得を前記本利得に調節し、前記本利得で増幅された前記入射光の受光量に応じた検出信号を前記光検出器に生成させ、少なくとも前記第2の利得を前記本利得に定めた場合には前記検出信号に基づいて前記入射光の光量を算出する
ことを特徴とする光計測システム。
【請求項2】
請求項1に記載の光計測システムにおいて、前記光増幅ユニットは光ファイバ増幅器であることを特徴とする光計測システム。
【請求項3】
請求項1に記載の光計測システムにおいて、
前記光増幅ユニットは、
入射光を前記第1の利得または第4の利得で増幅して出射可能な光増幅器と、前記光増幅器から出射する光を可変の減衰率で減衰して出射可能な減衰器とを有し、
前記減衰率を調節することにより、前記光増幅ユニットの利得を変えることが可能である
ことを特徴とする光計測システム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光計測システムにおいて、前記第3の利得を前記本利得とする場合に生成される前記検出信号の信号強度が、前記予備信号の信号強度が閾値に一致する場合に前記第2の利得を前記本利得として生成される前記検出信号の信号強度に一致するように、前記予備信号に対する前記第3の利得が定められることを特徴とする光計測システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光計測システムにおいて、前記第1の制御部は、前記第3の利得を前記本利得に定めた場合には、前記予備信号に基づいて前記入射光の光量を算出することを特徴とする光計測システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光計測システムにおいて、前記第1の制御部は、前記第3の利得を前記本利得に定めた場合には、前記第2、第3の利得に基づいて補正した前記検出信号に基づいて前記入射光の光量を算出することを特徴とする光計測システム。
【請求項7】
請求項6に記載の光計測システムにおいて、前記第1の制御部は、補正後の前記検出信号の信号強度が前記第2の利得により増幅したと想定した場合の前記入射光の光量に応じて増加するように、前記検出信号を補正することを特徴とする光計測システム。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光計測システムにおいて、前記光検出器による前記予備光の受光期間より前記検出信号光の受光期間が長くなるように定められることを特徴とする光計測システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光計測システムと、
前記光増幅ユニットに、被検体の一点である観察点における光を伝達し、入射させる光伝達器と、
前記観察点を変位させる走査部と、
前記第1の制御部に、前記予備検出制御、前記本利得決定処理、および前記本検出制御によって構成されるシーケンス制御を繰返し実行させる第2の制御部と、
各前記シーケンス制御の実行時の前記観察点の位置を決定する位置決定部と、
前記各シーケンス制御により算出された前記入射光の光量と前記位置決定部により決定された前記観察点の位置とに基づいて、前記被検体の画像を再構成する画像再構成部とを備える
ことを特徴とする被検体観察装置。
【請求項10】
入射光を増幅する利得を第1の利得に調節する第1のステップと、
前記入射光を前記第1の利得で増幅した予備光の受光量に応じた予備信号を生成する第2のステップと、
前記予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を前記本検出制御において用いる本利得に定め、前記予備信号の信号強度が閾値より高い場合には増幅された入射光の光量が光検出器の最大受光限界値未満となるように前記予備信号に応じて前記第2の利得未満の範囲で定められる第3の利得を前記本利得に定める第3のステップと、
前記入射光を増幅する利得を前記本利得に調節する第4のステップと、
前記入射光を前記本利得で増幅した検出信号光の受光量に応じた検出信号を生成する第5のステップと、
少なくとも前記第2の利得を前記本利得に定めた場合には前記検出信号に基づいて前記入射光の光量を算出する第6のステップとを備える
ことを特徴とする光計測方法。
【請求項11】
請求項10に記載の光計測方法であって、前記第1のステップおよび前記第4のステップにおいて、入射光を増幅する利得を、前記入射光を増幅させた後、減衰させることにより調節することを特徴とする光計測方法。
【請求項12】
入射光を可変の利得で増幅して出射可能な光増幅ユニットと、
前記光増幅ユニットから出射する光の受光量に応じた電気信号を生成する光検出器と、
前記光増幅ユニットおよび前記光検出器に対して、予備検出制御、本利得決定処理、および本検出制御を順番に実行する第1の制御部とを備え、
前記第1の制御部は、
前記予備検出制御において、前記光増幅ユニットの前記利得を第1の利得に調節し、前記第1の利得で増幅された前記入射光の受光量に応じた前記電気信号を予備信号として前記光検出器に生成させ、
前記本利得決定処理において、前記予備信号の信号強度が閾値より低い場合には第1の利得より大きな第2の利得を前記本検出制御において用いる本利得に定め、
前記本検出制御において、前記第2の利得を本利得に定めた場合に前記本利得の第2の利得への調節と前記第2の利得で増幅された検出信号光の受光量に応じた検出信号の生成と前記検出信号に基づく前記入射光の光量の算出を実行し、前記予備信号の信号強度が前記閾値より大きい場合には前記予備信号に基づいて擬似検出信号を生成する
ことを特徴とする光計測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−33021(P2013−33021A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22448(P2012−22448)
【出願日】平成24年2月3日(2012.2.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】