説明

光記録再生装置

【課題】光記録媒体への情報の記録と同時に再生するDRAW技術を安定化した光記録再生装置を提供する。
【解決手段】第1の光源および第2の光源を含む複数の光源と、光源の光出力を変調する制御部とを備え、前記制御部は、光記録媒体上へのユーザデータの記録を一時中断する光出力制御用区間Tcにおいて、非ユーザデータを前記光記録媒体に記録し、前記非ユーザデータの記録中に前記第2の光源の発光を停止し、前記第2の光源の発光が停止している間に前記第1の光源の光出力情報を取得する、光記録再生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光テープ、光ディスク、光カードなど、光記録媒体上に情報の記録・再生あるいは消去を行う光記録再生装置に関し、特に情報を記録しつつ、同時に記録された信号マークの検証を行う装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、映像データ、写真データ等の高品位化、および多くの紙媒体の電子化などによりデジタルデータの量は急激に増大している。特にクラウドコンピューティングと呼ばれる、ネットワーク上のサーバ、ストレージ等を使って各種アプリケーションを使用したり各種サービスを利用したりするモデルでは、多くの利用者が様々なデータをネットワーク上のストレージに保存するため、そのデータ蓄積量は今後さらに膨大なものとなる。
【0003】
その一方で、データの保存義務についての法制化が進んでおり、これらの膨大なデータを保存する際の確実性、信頼性も要求される。こうした大容量データを、光を用いて記録媒体に記録する装置において、記録の信頼性を高めるために、信号マークが光記録媒体に正しく形成されたかどうかを検証する動作(以降、これを「ベリファイ」とよぶ)は必要不可欠である。
【0004】
従来、記録媒体として光ディスクを用いる追記型や書き換え型の記録再生装置では、記録媒体に欠陥などがあって記録できなかった場合などを想定し、書き込み後にデータの読み出しを行い、記録データとの比較によりエラー検出を行っている。
【0005】
なお、このベリファイは、全ての記録が終わった後に行うのではなく、一定の記録転送速度を保持しうる単位で行うことが多い。すなわちディスクが一定量の回転をするごとに記録動作を中断し、トラックジャンプして元の位置に戻り記録した箇所の再生を行ってエラーチェックし、その後またトラックジャンプして別の領域へ移動し次のデータの記録を行うといった動作を繰り返し行っている。このためデータの信頼性は確保できるが記録時間が長くなる。
【0006】
なお、記録後の読み出しでエラーが検出された場合、記録した箇所を避けて別の領域に再記録を行う。光ディスクにおいてはセクタと呼ばれる領域単位毎にひとかたまりのデータとそのID情報が記録されており、エラーが検出されたデータを含むセクタ単位のデータは別のセクタ(交代セクタとよぶ)に記録し直される。
【0007】
従来の記録のデータ訂正を行う記録再生装置については、例えば特許文献1に記載されている。
【0008】
近年、データの大容量化と高信頼性化への要求に対し長期アーカイバル保存に適した記録再生装置として、光媒体をテープ状にした光テープといった装置や複数の光ディスクドライブを組み合わせて同時にハンドリングするような装置が提案されている。このような大容量の記録再生装置においては記録転送速度も十分大きくしながら、一方で記録データの信頼性を維持することが要求される。
【0009】
ただ、テープ状メディア等のようにランダムアクセス性が低いものの場合、上述したような従来の光ディスク装置のように時系列で記録と再生チェックの動作を繰り返す方式では記録速度を上げることは困難である。
【0010】
こうした要求に対し、記録動作とベリファイのための再生動作を同時に行うDRAW(Direct Read after Write)とよばれる技術が提案されている。
【0011】
DRAW技術を用いた従来の記録再生装置については、例えば特許文献2に記載されている。図27A〜Cは特許文献2に開示された光ピックアップの構成および動作を説明するための図である。
【0012】
図27Aに示される光ピックアップの光学系は、光源410、回折素子411、偏光ビームスプリッタ403、波長板404、コリメートレンズ405、ミラー406、対物レンズ407、検出レンズ402、および検出器401を有している。光源410を出射した光は回折格子411で主に0次光ビームと±1次光ビームに回折され、対物レンズ407により集光されて光記録媒体408の同一トラック上に3つの集光スポット(メインスポットおよび2つのサブスポット)を形成する。
【0013】
図27Bは光記録媒体408の面上に形成された光スポットの配置を表す。
【0014】
図27Bに示される0次光によるメインスポット500は、記録媒体に信号を記録するための「記録スポット」である。一方、±1次光による2つのサブスポット510、520は、記録された信号の再生を行うための再生用スポットである。回折格子の効率比に起因して、±1次光の強度は、0次光の強度よりも十分に低い。そのため、2つのサブスポット510、520によって信号が消去されたり、書き換えられたりすることはない。
【0015】
メインスポット500とサブスポット510、520は同一トラック上に配置されており、記録媒体上を矢印aの方向にスポットが移動する。本明細書では、記録媒体のトラック上をメインスポットが移動することを、「記録媒体を記録用ビームで走査する」と称する。同様に、記録媒体のトラック上をサブスポットが移動することを、「記録媒体を再生用ビームで走査する」と称する。DRAWを行う場合は、光記録媒体の同一箇所を再生用ビームより先行して記録用ビームで走査する。2つのサブスポットの内、サブスポット510は記録スポットの後を移動し記録されたマークを読み取る。一方、サブスポット520は記録スポットの前を移動しており、その反射光は記録マークの情報は含まない。これらの光ビームは光記録媒体408で反射され光学系を経て検出器401により各々光量検出される。
【0016】
図27Cは検出器401の受光素子の配置を示す図である。
【0017】
図において4分割されたメイン受光素子121は0次光、すなわちメインスポットの反射光を受光し、図27Aの検出レンズ402で与えられる非点収差量がデフォーカスにより変化することでフォーカス信号の検出を行うとともに、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号の検出を行う。一方、サブ受光素子122、123はそれぞれサブスポット510、サブスポット520による反射光を受光する。
【0018】
ここで光源410は光記録媒体408への情報ピット形成のため変調信号で駆動された光を出射する。
【0019】
同じ光源410から出ている再生用ビームも当然この光変調を受けているため±1次光の2つの再生スポットのうち記録スポットの後を走査する側のサブスポット510による反射光は記録マークによる反射率変化と光変調による光量変化が加算された信号成分を有する。もう一方のサブスポット520はメインスポット500の前の未記録部を走査するため記録マークによる反射率変化を含まず光源の光変調による光量変化がのみの信号となる。このためこれら2つのサブビームの信号を差動することで再生信号(すなわちベリファイのためのモニター信号)を得ることが出来る。
【0020】
すなわち記録用スポット(メインスポット500)と再生用スポット(サブスポット510、520)を同時に照射し、記録しながら記録後の信号を再生するDRAWの技術を用いることで記録信頼性を確保しながら従来以上に記録転送速度の高いシステムが実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開昭59−113509号公報
【特許文献2】特開昭63−249941号公報
【特許文献3】特開昭61−261828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
低価格で簡便にDRAWに対応する光記録再生装置を構成する例として、従来例に示したように一つの光源からの光を分岐して記録ビームと再生ビームとを形成する構成がある。しかし、この構成の場合、再生ビーム側にも記録変調信号が重畳されてしまうため、再生ビームから得られる信号から記録変調成分を除去する必要がある。原理的には従来例のような手法により記録変調成分の除去は可能であるが、実際の記録中のサブビーム信号における記録変調成分の振幅は、記録マーク成分の信号振幅に比べて遙かに大きい。つまり、サブビーム信号が記録変調成分で飽和しないように回路のダイナミックレンジを設定しなければいけないが、そのとき得られる記録マーク成分の信号振幅は非常に微小なレベルとなる。加えて、記録変調成分を別のサブビーム信号との差動により得る際の差動バランスや信号間の周波数特性や遅延の違いにより、完全に記録変調成分を取り除くのは非常に困難である。これらの理由により、DRAW信号のS/Nを確保するには非常に高度な信号処理システムが要求される。
【0023】
本発明の実施形態は、安定なDRAW動作が可能な光記録再生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の光記録再生装置は、第1の光源および第2の光源を含む複数の光源と、前記第1の光源から出射された記録用ビーム、および前記第2の光源から出射された再生用ビームを光記録媒体に集束する光学系であって、光記録媒体の同一箇所を前記再生用ビームより先行して前記記録用ビームで走査するよう前記記録用ビームおよび再生用ビームを前記光記録媒体上に集束する光学系と、前記記録用および再生用ビームの前記光記録媒体による反射光を検知して電気信号を生成する信号検出用検出器と、前記第1および第2の光源の光出力をモニタするパワーモニタ用検出器と、前記第1および第2の光源の光出力を制御し、記録モードにおいては前記記録用ビームを用いて前記光記録媒体に信号マークを形成するように前記第1の光源の光出力を変調する制御部とを備え、前記制御部は、前記光記録媒体上へのユーザデータの記録を一時中断する光出力制御用区間において、非ユーザデータを前記光記録媒体に記録し、前記非ユーザデータの記録中に前記第2の光源の発光を停止し、前記パワーモニタ用光検出器は、前記第2の光源の発光が停止している間に前記第1の光源の光出力情報を取得する。
【0025】
ある実施形態において、前記非ユーザデータは番地データおよび同期信号の少なくとも一方を含む。
【0026】
ある実施形態において、前記制御部は、前記光記録媒体の前記光出力制御用区間内にデータの未記録区間を設ける。
【0027】
ある実施形態において、前記制御部は、前記光記録媒体の前記光出力制御用区間に隣接して番地データを記録する。
【0028】
ある実施形態において、前記第1の光源の光出力情報および前記第2の光源の光出力情報を同一の光出力制御用区間内で取得する。
【0029】
ある実施形態において、前記第2の光源の光出力情報を取得するときに前記第1の光源の発光を停止する。
【0030】
ある実施形態において、前記第2の光源の光出力情報を取得した後に前記第1の光源の光出力情報を取得する。
【0031】
ある実施形態において、前記記録用ビームによる前記非ユーザデータの記録を終了した時、前記再生用ビームの照射位置は同一の非ユーザデータ上にある。
【0032】
ある実施形態において、前記記録用ビームまたは前記再生用ビームが前記光出力制御用区間を通過する時間tと、前記光出力制御動作の周期Tとの関係が、T/t≧100である。
【0033】
本発明の他の光記録再生装置は、第1の光源および第2の光源を含む複数の光源と、前記第1の光源から出射された記録用ビーム、および前記第2の光源から出射された再生用ビームを光記録媒体に集束する光学系であって、光記録媒体の同一箇所を前記再生用ビームより先行して前記記録用ビームで走査するよう前記記録用ビームおよび再生用ビームを前記光記録媒体上に集束する光学系と、前記記録用および再生用ビームの前記光記録媒体による反射光を検知して電気信号を生成する信号検出用検出器と、前記第1および第2の光源の光出力をモニタするパワーモニタ用検出器と、前記第1および第2の光源の光出力を制御し、記録モードにおいては前記記録用ビームを用いて前記光記録媒体に信号マークを形成するように前記第1の光源の光出力を変調する制御部とを備え、前記制御部は、前記パワーモニタ用光検出器の出力からサンプルされたパワーモニタ信号に基づいて、前記第1および第2の光源の光出力を制御する。
【0034】
ある実施形態において、前記パワーモニタ信号のサンプリングのタイミングは、前記第1の光源の光出力を変調するための変調信号に基づいて決定される。
【0035】
ある実施形態において、前記変調信号は2値以上のレベル間で変化する波形を有し、前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記変調信号のレベルが最高値よりも低いレベルにあるときに実行される。
【0036】
ある実施形態において、前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記変調信号のレベルが最も低いときに実行される。
【0037】
ある実施形態において、前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記記録媒体に形成されていた記録マークを前記記録用ビームで消去する値に前記変調信号のレベルがあるとき、実行される。
【0038】
ある実施形態において、前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記記録媒体に形成されていた記録マークを前記記録用ビームで消去する値に、予め設定された期間以上、前記変調信号のレベルがあるとき、実行される。
【0039】
ある実施形態において、前記パワーモニタ用検出器は、前記第1の光源のためのパワーモニタ信号を出力する配線と、前記第2の光源のパワーモニタ信号を出力する配線とを有している。
【0040】
ある実施形態において、前記第1の光源のパワーモニタ信号のゲインを調整する第1ゲイン調整器と、前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインを調整する第2ゲイン調整器とを有する。
【0041】
ある実施形態において、前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインは、前記第1の光源のパワーモニタ信号のゲインより高い値に設定されている。
【0042】
ある実施形態において、前記第2の光源のパワーモニタ信号に含まれる前記第2の光源の出力成分が、前記第2の光源のパワーモニタ信号がサンプルされるときにおける前記第1の光源のパワーモニタ信号の値に略等しくなるように前記ゲインが調整される。
【0043】
ある実施形態において、前記第1の光源の光出力の変更に合わせて前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインを変化させることができる。
【0044】
ある実施形態において、パワーモニタ用検出器は、前記第1の光源のパワーモニタ信号を生成するための第1の領域と、前記第2の光源のパワーモニタ信号を生成するための第2の領域とに分割された受光素子を有する。
【0045】
ある実施形態において、前記第2の領域から得られた光電流を電圧に変換するアンプにおいて、前記第1の光源から入射した光の波高値は飽和している。
【0046】
ある実施形態において、タイミング信号がオフの区間に第2の光源のパワーを変化させる。
【発明の効果】
【0047】
本発明の実施形態によれば、複数光源を使ったDRAW動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1A】光テープ105の一部を模式的に拡大して示す斜視図
【図1B】光テープ105の一部を模式的に示す平面図
【図2A】本発明の実施形態1による光データストリーマ装置の構成例を示す図
【図2B】図2AのB−B線断面図
【図3】本発明の実施形態1における光データストリーマ装置の回路構成例を示す図
【図4】本発明の実施形態1における光記録再生装置の構成図
【図5】本発明の実施形態1の信号検出の構成図
【図6】本発明の実施形態1のパワーモニタ用検出器の説明図
【図7】(a)および(b)は、本発明の実施形態1の光記録媒体の記録状態と光スポットの動作説明図
【図8】(a)は本発明の実施形態1のメインビームの光出力の動作説明図、(b)は本発明の実施形態1のサブビームの光出力の動作説明図、(c)は本発明の実施形態1のパワーモニタ用検出器の出力の動作説明図
【図9】本発明の実施形態1の光源制御手段の要素構成図
【図10】本発明の実施形態1の光源制御手段の要素構成図
【図11】(a)および(b)は、本発明の実施形態1の光記録媒体の記録状態と光スポットの動作の別例を説明する図
【図12】本発明の実施形態2における光記録再生装置の構成図
【図13】(a)および(b)は、本発明の実施形態2の光記録媒体の記録状態と光スポットの動作説明図
【図14】(a)は本発明の実施形態2のメインビームの光出力の動作説明図、(b)は本発明の実施形態2のサブビームの光出力の動作説明図、(c)は本発明の実施形態2のパワーモニタ用検出器の出力の動作説明図
【図15】本発明の実施形態2の光源制御手段の要素構成図
【図16】(a)および(b)は、本発明の実施形態2の光記録媒体の記録状態と光スポットの動作の別例を説明する図
【図17】(a)および(b)は、本発明の実施形態2の光記録媒体の記録状態と光スポットの動作の別例を説明する図
【図18】(a)は本発明の実施形態3のメインビームの光出力の動作説明図、(b)は本発明の実施形態3のサブビームの光出力の動作説明図、(c)は本発明の実施形態3のパワーモニタ用検出器の出力の動作説明図
【図19】本発明の実施形態4の光源制御手段の構成図
【図20】(a)は本発明の実施形態4のメインビームの光出力の動作説明図、(b)は本発明の実施形態4のサブビームの光出力の動作説明図、(c)は本発明の実施形態4のメイン用VVアンプ出力の動作説明図、(d)は本発明の実施形態4のサブ用VVアンプ出力の動作説明図
【図21】(a)は本発明の実施形態4のメインビームの光出力の動作の別例説明図、(b)は本発明の実施形態4のサブビームの光出力の動作の別例説明図、(c)は本発明の実施形態4のメイン用VVアンプ出力の動作の別例説明図、(d)は本発明の実施形態4のサブ用VVアンプ出力の動作の別例説明図
【図22】本発明の実施形態4のパワーモニタ用検出器の説明図
【図23】本発明の実施形態4の光源制御手段の別の構成図
【図24】(a)は本発明の実施形態5のメインビームの光出力の動作説明図、(b)は本発明の実施形態5のサブビームの光出力の動作説明図、(c)は本発明の実施形態5のメイン用VVアンプ出力の動作説明図、(d)は本発明の実施形態5のサブ用VVアンプ出力の動作説明図
【図25】本発明の実施形態5の光源制御手段の構成図
【図26A】非ユーザデータの再生信号波形の一例を示す波形図
【図26B】非ユーザデータの再生信号波形の他の例を示す波形図
【図26C】非ユーザデータの再生信号波形の更に他の例を示す波形図
【図27A】従来の光記録再生装置の構成図
【図27B】従来の光記録再生装置での光記録媒体上のスポットを示す図
【図27C】従来の光記録再生装置の信号検出器の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0049】
1つの光源から記録用のメインビームと再生用のサブビームとを形成する従来技術の課題を回避するために、メインビームのための光源とサブビームのための光源を備え、それによってDRAWを実行することが考えられる。しかし、各光源は一般に近接して配置されるため、各光源からの光は重なった状態で光学系を伝播する。そのため、光学系のいずれかの位置に配置されるパワーモニタ用の素子にも各光源からの光が重なった状態で入射する。一方、DRAWを行うには、各光源の光出力を独立に制御することが必要である。しかし、各光源からの光を分離して各々を独立に検出するには、特別な光学系を構成しなければならない。このことは、装置の構造の複雑化や大型化、高価格化を招く。また、光源の光出力情報の取得や光出力制御のために、ユーザデータの記録やDRAWを中断する時間が長くなると、装置のパフォーマンスが低下してしまう。
【0050】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る光記録再生装置の実施形態を説明する。
【0051】
本発明の実施形態によれば、レーザアレイのような複数光源を用いた構成で、各光源からの光を分離する特別な光学系を用いることなく各光源からの光出力情報を取得して各々の光出力制御を行うことが可能になる。本発明の実施形態では、記録媒体の一部にユーザデータの記録を中断する「光出力制御用区間」を設け、その区間に非ユーザデータを記録する。光出力制御用区間の長さは、記録再生装置の記録容量および記録密度をほとんど低下させない程度に十分に短く設定され得る。なお、光出力制御用区間は、予め、記録媒体上に他の領域と区別して設けられている必要はない。光ピックアップを用いて信号を記録媒体に記録するとき、随時、または定期的に、光出力制御用区間を記録媒体上に設けることができる。
【0052】
本発明の他の実施形態によれば、記録変調データに基づき生成したタイミング信号を用いて各光源の光出力情報を取得することにより、ユーザデータの記録やDRAWを中断することなく複数の光源の光出力制御を可能にすることができる。これらの実施形態により、簡便な構成で安定なDRAW動作が可能である。
【0053】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0054】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1における光記録再生装置を説明する。本実施形態における光記録再生装置は、光記録媒体として光テープを用いる光データストリーマ装置である。光データストリーマ装置は、大量のデータのバックアップに使用され得る。光データストリーマ装置は、転送レートを上げ、短時間でバックアップを行うため、複数の光ピックアップを具備している。なお、本発明の光記録再生装置は、光データストリーマ装置に限定されず、光ディスク装置または他の装置であってもよい。光ディスク装置の場合、光記録媒体は、光テープではなく、光ディスクである。
【0055】
図1Aは、光テープ105の一部を模式的に拡大して示す斜視図である。光テープ105は、例えばベースフィルム204a、ベースフィルム204aの裏面に張り付けられたバックコート層204b、およびベースフィルム204aに支持されたインプリント層204cを含む。インプリント層204cの上面には、ランド204dおよびグルーブ204eが形成されている。図面には記載されていないが、インプリント層204cの上面を覆うように反射膜および記録材料膜が積層されている。光テープ105は、長尺方向Lに沿って延びており、例えば数百mの長さを有している。幅Wは、例えば数mmから数cmの範囲内に設定され得る。厚さは、数μmから数十μm程度であり得る。
【0056】
図1Aのスケールは、現実の光テープ105のサイズを忠実に反映してない。実際の光テープ105には、数百本またはそれ以上の本数のランド204dおよびグルーブ204eが形成され得る。ある実施形態では、データがランド204dおよびグルーブ204eの一方に記録される。データが記録されるランド204dまたはグルーブ204eを「トラック」と称する。トラックのピッチは、例えば0.2〜0.4μmの範囲に設定され得る。
【0057】
図1Bは、光テープ105の一部を模式的に示す平面図である。長尺方向Lに沿ってN(Nは典型的には100以上の整数)本のトラック0〜トラックNが形成されている。図1Bに示されるトラックの幾つかには矢印が記載されている。この矢印は、データの記録方向を模式的に示している。1つの光テープ105には、異なる方向にデータが記録され得る。
【0058】
光テープ105には、光ビームの照射によって光学的にマークが形成され得る。より具体的に言えば、このようなマークは記録材料膜に形成される。光ビームの照射は、光源と、この光源から出射された光ビームを光テープ105にフォーカスさせる対物レンズとを含む「光ピックアップ」によって行われる。光ピックアップが光テープ105に光ビームを照射すると、光テープ105上の照射領域と他の領域(非照射領域)との間で、屈折率などの光学特性が変化する。このようにして光学特性が変化した領域を「記録マーク」と称する。
【0059】
光テープ105に記録されているデータは、比較的弱い一定強度の光ビームを光記録媒体に照射し、光テープ105によって変調された反射光を検出することによって再生される。光テープ105にデータを記録する場合、記録すべきデータに応じて光パワーを変調したパルス状の光ビームを光テープ105に照射し、それによって記録材料膜の特性を局所的に変化させることによってデータの書き込みを行う。
【0060】
記録材料膜にデータを記録するとき、上述のように光パワーを変調した光ビームを記録材料膜に照射することより、結晶質の記録材料膜に非晶質の記録マークを形成する。この非晶質の記録マークは、記録用光ビームの照射を受けた記録材料膜の一部が融点以上の温度に上昇した後、急速に冷却されることによって形成される。光ビームを記録マークに照射するときの光パワーを低めに設定すると、光ビームが照射された記録マークの温度は融点を超えず、急冷後に結晶質に戻る(記録マークの消去)。こうして、記録マークの書き換えを何度も行うことが可能になる。データを記録するときの光ビームの光パワーの大きさが不適切であると、記録マークの形状が歪み、データを再生することが難しくなることがある。
【0061】
光テープ105に対してデータの記録または再生を行うとき、光ビームが目標トラック上で常に所定の集束状態となる必要がある。このためには、「フォーカス制御」および「トラッキング制御」が必要となる。「フォーカス制御」は、光ビームの焦点(集束点)の位置が常に目標トラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ105の表面(記録面)に垂直な方向に制御することである。一方、トラッキング制御とは、光ビームのスポットが所定のトラック上に位置するように対物レンズの位置を光テープ105の記録面に平行であってトラックに垂直な方向に制御することである。
【0062】
上述したフォーカス制御およびトラッキング制御を行うためには、光テープ105から反射される光に基づいて、フォーカスずれやトラックずれを検知し、そのずれを縮小するように光ビームスポットの位置を調整することが必要である。フォーカスずれおよびトラックずれの大きさは、それぞれ、光テープ105からの反射光に基づいて生成される「フォーカス誤差(FE)信号」および「トラッキング誤差(TE)信号」によって示される。
【0063】
図2Aは、本実施形態による光データストリーマ装置の構成例を示す図である。図2Bは図2AのB−B線断面図である。本実施形態では、図2Aの上側が鉛直上方であり、下側が鉛直下方に対応している。このため、図2Bは、この光データストリーマ装置を鉛直上方から見た内部構成の配置例を示している。
【0064】
図2Aおよび図2Bは、光テープ105を収容するテープカートリッジ101が装填された状態を示している。テープカートリッジ101は着脱可能であり、図示される光データストリーマ装置には、同じ形状を有する複数のテープカートリッジ101から選択された1つが装填され得る。
【0065】
本実施形態の光データストリーマ装置は、筐体111と、筐体111の内部に設けられたシャーシ110と、光テープ105にデータを書き込むことができるように配置された複数のピックアップ部品60と、放熱板109とを備えている。複数のピックアップ部品60は光ピックアップアセンブリ600が備える位置決め機構によって位置決めされている。
【0066】
より詳細には、この光データストリーマ装置は、光テープ105を走行させるためのモータ106、107、ガイドポスト103、および巻取リール102を備えている。モータ107は、巻取リール102と機械的に結合しており、巻取リール102を回転させる。モータ106は、装填されたテープカートリッジ101の回転軸と機械的に結合し、テープカートリッジ101の外部に引き出されたテープ105をテープカートリッジ101内に巻き戻すように動作する。モータ106、107により、テープ105は、矢印で示す2つの方向のいずれにも走行することができる。
【0067】
光ピックアップアセンブリ600は、光テープ105の走行方向に沿って配列された複数のピックアップ部品60を有している。本実施形態における光ピックアップアセンブリ600は、上段および下段の各々に複数のピックアップ部品60を有している。筐体111内には、送風ファン108が設けられており、送風ファン108はモータ107に機械的に結合している。モータ107の回転に応じて送風ファン108も回転する。
【0068】
各ピックアップ部品60は、1個または複数の光ピックアップを内蔵する。個々の光ピックアップの構成については、後に詳しく説明する。ピックアップ部品60は、光ピックアップ用フレキシブル回路基板(FPC)112に接続されている。この光データストリーマ装置は、このフレキシブル回路基板112に接続された不図示の回路基板を備えており、この回路基板には、ピックアップ部品60やモータ106、107を制御するための回路要素が設けられている。なお、フレキシブル回路基板112には、通常であればピックアップ部品60および他の回路基板上に搭載されるような回路の一部が実装されていてもよい。
【0069】
次に図3を参照して、本実施形態における光データストリーマ装置の回路構成例を説明する。
【0070】
図示されている光データストリーマ装置は、光ピックアップアセンブリ600およびモータ106、107と電気的に接続された回路ブロックを備えている。
【0071】
図3に示す構成例では、光ピックアップアセンブリ600の出力がフロントエンド信号処理部1306を介してエンコーダ/デコーダ1308に送られる。エンコーダ/デコーダ1308は、データ読み出し時、光ピックアップアセンブリ600によって得られる信号に基づいて光テープ105に記録されているデータを復号する。データ書き込み時、エンコーダ/デコーダ1308はデータを符号化し、光テープ105に書き込むべき信号を生成し、光ピックアップアセンブリ600に送出する。
【0072】
フロントエンド信号処理部1306は、光ピックアップアセンブリ600の出力に基づいて再生信号を生成する一方、フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEを生成する。フォーカス誤差信号FEやトラッキング誤差信号TEは、サーボ制御部1310に送出される。サーボ制御部1310は、ドライバアンプ1304を介してモータ106、107を制御する一方、光ピックアップアセンブリ600内の各レンズアクチュエータを介して対物レンズの位置を制御する。エンコーダ/デコーダ1308およびサーボ制御部1310などの構成要素は、CPU1309によって制御される。図3に示されるブロックは、例えば集積回路素子およびメモリなどの電子部品を回路基板上に搭載して実現することができる。
【0073】
本実施形態で使用され得る光テープ105の記録面の幅は、例えば約10mmである。この場合、例えば24個の光ピックアップによって、走行中の光テープ105の記録面の全幅に渡って、データの記録および再生が行われ得る。
【0074】
テープカートリッジ101が光データストリーマ装置に装填される前、光テープ105はテープカートリッジ101に、図示しないリールに巻かれた状態で収納されている。テープカートリッジ101が光データストリーマ装置に装填されると、光テープ105は複数のテープガイドポスト103に案内されて引き出され、巻取リール102に巻き取られる。各ピックアップ部品60は光テープ105に対し所定の位置に固定され、光テープ105に対して情報の記録再生を行う。本実施形態における光ピックアップの個数は24個である。このため、最大24個の光ピックアップによって同時にデータの記録再生を行うことが可能である。なお、1つの光データストリーマ装置が備える光ピックアップの個数は、24個に限定されず、この数よりも少なくても多くてもよい。
【0075】
送りモータ107は巻取リール102を回転駆動し、光テープ105を順方向に走行させるとともに、送風ファン108を駆動する。逆送りモータ106はテープカートリッジ101内の図示しないリールを回転駆動し、光テープ105を逆方向に駆動する。この際にも、光テープ105により巻取リール102も駆動されるため送風ファン108も駆動される。ピックアップ部品60は放熱板109と熱的に結合され、その発生する熱は放熱板109に伝達される。
【0076】
記録時または再生時、光テープ105は順送りモータ107、または逆送りモータ106により、順方向または逆方向に走行し、この間、各光ピックアップは光テープ105に対し同時に記録または再生を行うことができる。
【0077】
以下、本実施形態における光学系の構成を説明する。
【0078】
図4は、本実施形態の光記録再生装置における光学系の構成を示す図である。
【0079】
まず、この光記録再生装置の概略構成を説明する。図示されている光記録再生装置は、第1の光源1および第2の光源2と、第1の光源1から出射された記録用ビーム、および第2の光源2から出射された再生用ビームを光テープ105に集束する光学系を備える。この光学系は、光テープ105の同一箇所を再生用ビームより先行して記録用ビームで走査するよう記録用ビームおよび再生用ビームを光テープ105上に集束する。
【0080】
本実施形態の光記録再生装置は、記録用および再生用ビームの光テープ105による反射光を検知して電気信号を生成する信号検出用検出器10と、第1の光源1および第2の光源2の光出力をモニタするパワーモニタ用検出器12と、第1の光源1および第2の光源2の光出力を制御し、記録用ビームを用いて光テープ105に信号マークを形成するように第1の光源1の光出力を変調する光源制御部11とを備える。
【0081】
光源制御部11は、光テープ105上へのユーザデータの記録を一時中断する光出力制御用区間において、非ユーザデータを光テープ105に記録し、かつ、非ユーザデータの記録中に第2の光源2の発光を停止する。パワーモニタ用光検出器12は、第2の光源2の発光が停止している間に第1の光源1の光出力情報を取得する。
【0082】
本明細書において、「非ユーザデータ」とは、番地データ(アドレス情報)、同期信号、テストマーク、目印マークを含む。番地データは、トラック上の位置を示す情報を有する。同期信号は、例えば、光テープ105の走査速度に合わせて信号検出用検出器10の内部クロックを生成するために使用され得る。前もって番地データおよび/または同期信号が形成されていない光テープ105(プリフォーマットされていない光記録媒体)では、ユーザデータを記録するために光テープ105を走行させるときに、番地データおよび/または同期信号を光テープ105上に記録することが効率的である。ユーザデータを記録する前に、番地データおよび/または同期信号を光テープ105上に記録しておくためには、そのためだけに時間をかけて長い光テープ105を走行させる必要があるからである。なお、テストマークは、例えば、記録用ビームの光出力を最適化するためのテスト記録を行う際に形成されるマークである。一方、目印マークは、例えば、光テープ105を通常の再生時より高速に走行させた場合にも検出できるマーク(あるいはブランク)である。目印マークを一定の間隔で配置したり、番地データの前後に配置することにり、所望のアドレスやユーザデータへのアクセスの高速化が図れる。
【0083】
図4に示されるように、光源1、2を出射した光の大部分は偏光ビームスプリッタ3を通過し、コリメートレンズ4にて略平行光束へと変換される。さらに、波長板5を経て円偏光となり、対物レンズ6により集光されて光テープ105の情報記録層上にそれぞれ集光スポットを形成する。以降、光源1から出射された光をメインビーム、光源1から出射された光による集光スポットをメインスポット、光源2から出射された光をサブビーム、光源2から出射された光による集光スポットをサブスポットと呼ぶ。尚、前述したように、メインスポットは光テープ105の同一箇所に対して、サブスポットよりも先行して通過するように配置されている。
【0084】
光テープ105で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換される。その後、波長板5を出た直線偏光は、偏光ビームスプリッタ3で反射されて検出レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9に入射する。
【0085】
図5は検出器9のメインビーム受光部13、サブビーム受光部14と信号検出用検出器10のブロック図である。メインビーム受光部13、サブビーム受光部14に入射した光は、信号検出用検出器10における論理部10a〜10cにおいて各々メインスポットの再生信号、サブスポットの再生信号の生成に使用される他、メイン、サブスポットのフォーカス、トラッキング制御用信号の生成にも使用される。フォーカス、トラッキング制御用信号の検出や記録マーク信号の検出方法については既に各種方式が公知であるため、その説明は省略する。
【0086】
一方、光源1、2を出射し、偏光ビームスプリッタ3で反射された一部の光はパワーモニタ用検出器12へと入射する。パワーモニタ用検出器12で生成されたモニタ信号は光源制御部11へと送られ、光テープ105へマークを形成するためのメインビームの光変調制御が行われる。一方、信号検出用検出器10で得られるサブスポットの再生信号情報を用いてサブビームの再生パワー制御が行われる。
【0087】
図6はパワーモニタ用検出器12を偏光ビームスプリッタ3側から見た図である。光源1からの光16、光源2からの光17はパワーモニタ用検出器12の受光素子15に重なった状態で入射する。
【0088】
図7(a)は光テープ105のある箇所の記録状態を、図7(b)はその場所を走査した時のメインスポット、サブスポットの状態を示している。図7(a)は、1つのトラックの一部、具体的には1つの光出力制御用区間Tcと、その前後に位置するユーザデータを記録する領域の一部とを示している。この例では、光テープ105は図7の矢印Vの方向に移動している。光テープ105を基準にすると、光テープ105上に形成される光スポットは、矢印Vの方向とは反対の方向(図中の右方向)に移動することになる。図7(b)は、光テープ105の図7(a)のトラック上に形成される光スポットが時間の経過に伴ってトラック上を移動する様子を模式的に示している。図7(b)では、便宜上、光テープ105を固定し、その上を光スポットが移動する様子を記載している。図7(b)に記載されているグレイの円は、メインスポットMまたはサブスポットSの位置を示している。図7(b)では、時間軸が垂直下方に延びている。時間の経過に伴ってメインスポットMまたはサブスポットSは、光テープ105上を右方向に移動する。これは、光テープ105が左方向に走行しているからである。このことは、後に参照する図11、13、16および17でも同様である。
【0089】
まず、時刻t1より以前はメインスポットMの光源1およびサブスポットSの光源2は、ともに点灯した状態で、メインスポットはユーザデータを記録し、その記録直後のマークをサブスポットが再生するDRAW動作を行っている。図7(b)の時刻t1までは、ある線分を挟んで2つの円が記載されている。この円は、それぞれ、サブスポットSおよびメインスポットMである。サブスポットSおよびメインスポットMは、時間の経過に伴って、図中の右方向に移動している。
【0090】
次に、t1の時点でサブスポットSの光源2を消灯するとともに、メインスポットMによるユーザデータの記録を中断し、非ユーザデータの記録を開始する。そして、t1からt2までの間はサブスポットSの光源2を消灯したまま、非ユーザデータの記録を行う。t2から再びサブスポットSの光源2を点灯し、メインスポットMによるユーザデータの記録を再開する。
【0091】
ここで、t1からt2までの間は、光テープ105上へのユーザデータの記録を一時中断する光出力制御用区間Tcに相当する。図7の例では、光出力制御用区間Tcにおいて、光源1の出力モニタ情報を取得する。この光源1の出力モニタ情報を取得するための区間をTc1とする。図7の例では、Tc1=Tcであるが、Tc1≦Tcが成立すればよい。
【0092】
なお、図7(a)において、「可」と書かれている範囲は、DRAWが可能な範囲を意味している。
【0093】
このときのメインビームの光出力の時間変化を図8(a)に、サブビームの光出力の時間変化を図8(b)に、パワーモニタ用検出器12の出力を図8(c)に示す。図8(a)には、ゼロレベルP0を基準にして、ボトムレベルPb、バイアスレベル(消去レベル)Pe、ピークレベル(書き込みレベル)Pwの3段階で光出力が変化する波形(光源1の変調信号の波形)が示されている。1つの記録マークを形成するため、ピークレベルにある複数の光パルスの列が用いられる。図8(a)に示されるように、記録モードにおいて、メインビームの光出力は変調されるが、サブビームの光出力は再生レベルに保持される。メインビームの光出力の変調は、例えばDVDまたはブルーレイディスク技術で採用されている「ライトストラテジー」に従って行われ得る。この例では、メインビームの光出力は3値のレベルで変化しているが、2値のレベルで変化してもよい。光源1の変調信号は2値以上の矩形波で構成され得る。光源1の変調は、例えば、図4の光源制御部11における、光源1のための光出力制御部によって実行される。
【0094】
光出力制御用区間であるt1からt2の間のサブビームの光源2は消灯しているため、パワーモニタ用検出器12の出力はメインビームの成分のみになる。そこで、このt1からt2の区間でメインビームのパワーモニタ情報を取得し、得られた情報を用いて、その後のメインビームの光出力制御を行う。前述したように、光出力制御用区間に番地データまたは同期信号を記録すると、前もってそれらのデータまたは信号が記録されていない光記録媒体を用いる場合に効率的である。
【0095】
図26Aは、光出力制御用区間に同期信号を記録した場合の再生信号波形の例を示している。図26Bは、光出力制御用区間に番地データを記録した場合の再生信号波形の例を示している。図26Cは、光出力制御用区間に番地データおよび同期信号を記録した場合の再生信号波形の例を示している。同期信号は、図からわかるように、一定の周期で規則的に変動する波形を有している。
【0096】
図9に光源制御部11における光源1の光出力制御部のブロック図を示す。モニタ信号はサンプルホールド回路(SH回路)18、19、20へと入力され、サンプルホールドタイミング生成ブロック(SHタイミング生成)21によって出力される、メインビームの光出力がボトムレベル(Pbレベル)、バイアスレベル(Peレベル)、ピークレベル(Pwレベル)となっている各タイミングにサンプルホールド回路18、19、20はオンされ、各レベルのモニタ信号を取得する。差動アンプ22、23、24を用いて取得した各レベルのモニタ信号がそれぞれの目標値、つまりボトムレベル目標値(Pbレベル目標値)25、バイアスレベル目標値(Peレベル目標値)26、ピークレベル目標値(Pwレベル目標値)27と一致するように光源1の各電流ドライバ28、29、30が制御される。ここで、スイッチ31、32、33の開閉は、レーザ駆動出力タイミング生成ブロック34によって制御される。レーザ駆動出力タイミング生成ブロック34の動作は、例えば図3に示すエンコーダ/デコーダ1308から出力される信号に基づいている。光源1の光出力(メインビームの光出力)は、スイッチ31、32、33の開閉により、例えば図8(a)に示されるように変調される。レーザ駆動出力タイミング生成ブロック34の働きにより、メインビームによって光テープ105上に種々の記録マークを形成することができる。その結果、ユーザデータのみならず、番地データや同期信号を光テープ105に記録することもできる。
【0097】
光源制御部11の構成要素のうち、各電流ドライバ28、29、30、スイッチ31、32、33およびタイミング生成ブロック34は、光ピックアップ内に設けられ得る。一方、サンプルホールド回路18,19、20および差動アンプ22、23、24は、光ピックアップの外部(例えば図3のサーボ制御部1310内)に設けられ得る。
【0098】
一方、光源2は図10に示すように信号検出用検出器10の論理部10cから得られるサブビーム再生信号を検波器36で検波し、差動アンプ37を用いて再生信号の振幅が目標の振幅38となるように電流ドライバ39を駆動することにより光出力を制御することが可能である。
【0099】
本構成により、近接した複数の光源から出射された光が重なった状態でパワーモニタ用検出器12に入射しても、各光源の光出力を制御することが可能となる。
【0100】
図7では、トラック上で記録されたユーザデータと非ユーザデータとを近接して図示したが、ユーザデータと非ユーザデータの間や非ユーザデータ間に未記録(ブランク)領域を設けて目印としてもよい。
【0101】
また、非ユーザデータとして、番地データ以外のデータまたは信号を記録する場合、図11に示すように、ユーザデータと非ユーザデータとの間に番地データを記録しても良い。このように、光出力制御用区間と番地データ区間とを連続させることにより、ユーザデータの中断箇所を少なく抑えることができ、光記録媒体のデータ構造をシンプルにできる。あるいは、番地データにDRAWが必要なければ、前述のように非ユーザデータとして番地データを記録してもよい。図11では非ユーザデータ記録後のユーザデータ記録再開前の区間に番地データを設ける例を示したが、ユーザデータ記録中断から非ユーザデータ記録までの区間に設けてもよい。
【0102】
図7に示すようなデータ配置にし、かつ、メインスポットMとサブスポットSとの間隔が非ユーザデータ区間Tcの長さよりも短い場合、非ユーザデータの記録を終了してからサブスポットSが非ユーザデータ領域を抜けるまでの区間(t2〜t3の区間)は、記録した非ユーザデータに対するDRAWが可能である。このため、この区間を番地データ用とすることでデータを効率的に格納することもできる。
【0103】
さらに、この光出力制御用のパワーモニタ信号の取得頻度について考えてみる。光源として一般的な半導体レーザは、温度により駆動電流と光出力との関係が変化するものが多いため、パワーモニタ信号を周期的に取得し、その都度、光出力制御にフィードバックしてくことが望ましい。ただし、その際にはユーザデータの記録を一時中断する必要があるため、全体のユーザデータ容量をあまり損なわない程度の頻度に設定することが望ましい。ここで、パワーモニタ信号の取得周期をTとし、t1からt2までの時間をtとして具体的なTとtの値について考えてみる。一般にレーザのAPC(オートパワーコントロール)制御では制御帯域は数KHzから数十KHzで実現されている。この帯域があれば、前述のレーザの光出力の温度依存性は十分に抑制でき、安定な光出力を得ることができる。また、制御用の回路手段も豊富に選択できる。このときの光出力の整定時間は数msオーダーとなるため、周期Tとしてはこれよりも大きな値が適当である。ただし、あまり長い周期だと、レーザの光出力の温度依存性を抑制できないため、数十msから数百msの範囲が適当である。そこで、仮にここではTを50msとおいて、モニタデータ取得時間の実用性とユーザデータのロスとのバランスを両立できるtの値を考えてみる。DVDやブルーレイディスクといった現在一般に供されている光記録再生システムにおいて、記録光変調波形の各レベルの出現頻度やサンプリングの精度を考慮し、500μsという値を考えてみる。この値はDVDやブルーレイディスクのシステムでは記録光変調波形の各レベルをサンプリングするには実用的、かつ十分余裕のある値である。このときのユーザデータのロスは50ms中の500μsとなるため1%ということになる。これは十分実用的な値といえる。この例におけるT/tは100であるが、システムが許容する範囲で100より大きい値を設定して、よりユーザデータのロスを少なくしてもよい。
【0104】
(実施形態2)
図12は本発明の実施形態2における光記録再生装置の光学系構成を示す図である。
【0105】
図12において光源1、2を出射した光の大部分は偏光ビームスプリッタ3を通過し、コリメートレンズ4にて略平行光束へと変換される。さらに、波長板5を経て円偏光となり、対物レンズ6により集光されて光テープ105の情報記録層上にそれぞれ集光スポットを形成する。以降、光源1から出射された光をメインビーム、光源1から出射された光による集光スポットをメインスポット、光源2から射された光をサブビーム、光源2から出射された光による集光スポットをサブスポットと呼ぶ。尚、メインスポットは光テープ105の同一箇所に対して、サブスポットよりも先行して通過するように配置されている。
【0106】
光テープ105で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換され偏光ビームスプリッタ3で反射されて検出レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9に入射する。図5に検出器9のメインビーム受光部13、サブビーム受光部14と信号検出用検出器10のブロック図を示す。メインビーム受光部13、サブビーム受光部14で受光した光は各々メインスポットの再生信号、サブスポットの再生信号として使用される他、メイン、サブスポットのフォーカス、トラッキング制御用信号として使用される。フォーカス、トラッキング制御用信号の検出や記録マーク信号の検出方法については既に各種方式が公知であるため説明は省略する。
【0107】
一方、光源1、2を出射し、偏光ビームスプリッタ3で反射された一部の光はパワーモニタ用検出器12へと入射する。パワーモニタ用検出器12で受光したモニタ信号は光源制御部11へと送られ、光源1、2の光出力制御に使用される。パワーモニタ用検出器12には光源1、2からの光が重なった状態で入射する。
【0108】
図13(a)は光テープ105のある箇所の記録状態を、図13(b)はその場所を走査した時のメインスポットM、サブスポットSの状態を示している。
【0109】
まず、時刻t1より以前はメイン、サブスポットの光源1、2ともに点灯した状態で、メインスポットMによるユーザデータを記録し、その記録直後のマークをサブスポットSで再生するDRAW動作を行っている。次に、t1の時点でサブスポットSの光源2を消灯するとともに、メインスポットMによるユーザデータの記録を中断し、前述の非ユーザデータの記録を開始する。そして、t1からt2までの間はサブスポットSの光源2を消灯したまま、非ユーザデータの記録を行う。時刻t2の時点で今度は逆にメインスポットMの光源1が消灯し、サブスポットSの光源2が点灯する。このため、時刻t2におけるメインスポットMの位置から「未記録部分」が開始する。サブスポットSは、時刻t3において、未記録部分の開始位置に達する。そして、時刻t4の時点で再びメインスポットMの光源1が点灯し、ユーザデータの記録を再開する。t1からt2までの間は、メインビームのパワーモニタ情報を取得するための区間Tc1に相当する。
【0110】
このときのメインビームの光出力の時間変化を図14(a)に、サブビームの光出力の時間変化を図14(b)に、パワーモニタ用検出器の出力を図14(c)に示す。ここでt1からt2の間のサブビームは消灯しているため、パワーモニタの出力はメインビームの成分のみになる。そこで、このt1からt2の区間でメインビームのパワーモニタ情報を取得し、得られた情報を用いてその後のメインビームの光出力制御を行う。そして、t2からt4の区間は逆にメインビームが消灯し、サブビームの光源2が点灯しているため、このt2からt4の区間のサブビームのパワーモニタ情報を取得し、得られた情報を用いてその後のサブビームの光出力制御を行う。すなわち、t2からt4までの間は、サブビームのパワーモニタ情報を取得するための区間Tc2に相当する。この例では、図13に示されるように、光出力制御用区間Tcの中に、メインビームのパワーモニタ情報を取得するための区間Tc1と、サブビームのパワーモニタ情報を取得するための区間Tc2とが含まれる。
【0111】
本実施形態においても、光源1の光出力制御は、実施形態1と同様に、図9に示される光源制御部11によって行われ得る。モニタ信号はサンプルホールド回路18、19、20へと入力され、メインビームの光出力がボトムレベル(Pbレベル)、バイアスレベル(Peレベル)、ピークレベル(Pwレベル)となっている各タイミングにサンプルホールド回路(SH回路)18、19、20はオンされ、各レベルのモニタ信号を取得する。取得した各レベルのモニタ信号がそれぞれの目標値と一致するように光源1の各電流ドライバが制御される。
【0112】
一方、光源2は図15に示すような光源制御部11内の回路ブロックにより、t2からt4の区間のパワーモニタ信号を取得し、得られた情報を用いてその後のサブビームの光出力制御を行う。
【0113】
本構成においても、近接した複数の光源から出射された光が重なった状態でパワーモニタ用検出器12に入射しても、各光源の光出力を制御することが可能となる。本構成であれば、メインビームとサブビームのそれぞれのパワーモニタ信号を取得できるため、より高精度で安定な光出力の制御が実現できる。
【0114】
また、光出力制御用区間内にはメインビームが消灯する区間があるため未記録部が生じる。これはユーザデータ中断の目印として有効に使用される。
【0115】
尚、サブビームを消灯した光源1の出力モニタ情報の取得と、メインビームを消灯した光源2の出力モニタ情報の取得は必ずしも連続して行う必要はないが、ユーザデータ記録の中断時間をできるだけ短くするには連続取得動作が有効である。
【0116】
図13では光出力制御用区間直前のユーザデータと非ユーザデータを近接して図示したが、ユーザデータと非ユーザデータの間や非ユーザデータ間に未記録(ブランク)領域を設けて目印としてもよい。
【0117】
また、図16に示すように光出力制御用区間Tcに続けて番地データを記録してもよい。このように、光出力制御用区間Tcと番地データ区間を連続させることにより、ユーザデータの中断箇所を少なく抑えることができ、光記録媒体のデータ構造をシンプルにできる。あるいは、番地データにDRAWが必要なければ、非ユーザデータに番地データを記録してもよい。図16では未記録部とユーザデータ再開までの間に番地データを設ける例を示したが、ユーザデータ記録中断から非ユーザデータ記録までの区間に設けてもよい。
【0118】
図16に示すようなデータ配置にし、かつ、メインスポットとサブスポットの間隔が非ユーザデータ区間の長さよりも短い場合、非ユーザデータの記録を終了してからサブスポットが非ユーザデータ領域を抜けるまでの区間(t2〜t3の区間)は記録した非ユーザデータに対するDRAWが可能であるため、この区間を番地データとすることでデータを効率的に格納することもできる。
【0119】
また、図17に示すように光出力制御用区間では先にメインビームの光源1を消灯してサブビームのパワーモニタ情報を取得し、その後にメインビームの光源1を点灯、サブビームの光源2を消灯してメインビームもパワーモニタ情報を取得してもよい。非ユーザデータを同期信号とした場合、このような配列とすることにより、光出力制御用区間(Tc)終了後の番地データやユーザデータのDRAWを再開する際の同期を取ることが可能となる。この場合も、メインスポットとサブスポットの間隔が非ユーザデータ区間の長さよりも短かければ、t3〜t4の区間はDRAWが可能である。
【0120】
本例においても、パワーモニタ信号の取得周期Tとt1〜t4までの時間tとの関係をT/t≧100と設定することによりユーザデータのロスを実用的なレベルに抑えることが可能である。
【0121】
(実施形態3)
次に、本発明の実施形態3における光記録再生装置について説明する。
【0122】
光学系は図12に示す構成である。図12において光源1、2を出射した光の大部分は偏光ビームスプリッタ3を通過し、コリメートレンズ4にて略平行光束へと変換される。さらに、波長板5を経て円偏光となり、対物レンズ6により集光されて光テープ105の情報記録層上にそれぞれ集光スポットを形成する。以降、光源1から出射された光をメインビーム、光源1から出射された光による集光スポットをメインスポット、光源2から射された光をサブビーム、光源2から出射された光による集光スポットをサブスポットと呼ぶ。尚、メインスポットは光テープ105の同一箇所に対して、サブスポットよりも先行して通過するように配置されている。
【0123】
光テープ105で反射された光は対物レンズ6、波長板5を経て往路と直交する直線偏光に変換され偏光ビームスプリッタ3で反射されて検出レンズ8にて非点収差を与えられ検出器9に入射する。図5に検出器9のメインビーム受光部13、サブビーム受光部14と信号検出用検出器10のブロック図を示す。メインビーム受光部13、サブビーム受光部14で受光した光は各々メインスポットの再生信号、サブスポットの再生信号として使用される他、メイン、サブスポットのフォーカス、トラッキング制御用信号として使用される。フォーカス、トラッキング制御用信号の検出や記録マーク信号の検出方法については既に各種方式が公知であるため説明は省略する。
【0124】
一方、光源1、2を出射し、偏光ビームスプリッタ3で反射された一部の光はパワーモニタ用検出器12へと入射する。パワーモニタ用検出器12で受光したモニタ信号は光源制御部11へと送られ、光源1、2の光出力制御に使用される。パワーモニタ用検出器12には光源1、2からの光が重なった状態で入射する。
【0125】
図18(a)、(b)は記録中のメインビームとサブビームの光出力の時間経過を示した図である。メインビームの出力レベルはボトムレベル(Pbレベル)、バイアスレベル(Peレベル)、ピークレベル(Pwレベル)の3値を時間と共に高速に切り替えて、長さの違うマークを光記録媒体上に記録する。一方のサブビームの光出力は再生レベルの固定出力に制御される。このようにメインビームの光源1とサブビームの光源2が発光しているときのパワーモニタ用検出器12のモニタ出力は、図18(c)に示すようにメインビームの波形とサブビームの波形とを足し合わせた波形が得られ、得られたモニタ信号は光源制御部11に送られる。
【0126】
本実施形態においても、光源1の光出力制御は、実施形態1と同様に、図9に示される光源制御部11によって行われ得る。モニタ信号はサンプルホールド回路18、19、20へと入力される。メインビームの光出力がボトムレベル(Pbレベル)、バイアスレベル(Peレベル)、ピークレベル(Pwレベル)のタイミングにサンプルホールド回路(SH回路)18、19、20はオンされ、各レベルのモニタ信号を取得する。取得した各レベルのモニタ信号が各目標値と一致するように光源1の電流ドライバが制御される。ここで、各レベルのモニタ信号にはサブビームの成分が一律加算されているため、各目標値からサブビームの成分を減算しておけばよい。減算する量はあらかじめ装置に記憶させておけばよい。
【0127】
一方、光源2の光出力はボトムレベル(Pbレベル)のタイミングにサンプルホールド回路40がオンされ、ボトムレベル(Pbレベル)のモニタ信号を取得する。取得したモニタ信号が目標値と一致するように光源2の電流ドライバが制御される。ここでのモニタ信号にはメインビームの成分が加算されているため、目標値からメインビームの成分を減算しておけばよい。減算する量はあらかじめ装置に記憶させておけばよい。
【0128】
各サンプルホールドのタイミングは光源制御部11の内部、もしくは、図示しない光記録再生装置の演算処理ブロックで生成される記録変調信号から得ることができる。一般的な記録変調波形は、再生レベル、ボトムレベル、バイアスレベル、ピークレベルの各チャネルの出力信号から選択された信号を適切なタイミンクで足し合わせて生成され得る。
【0129】
足し合わせのタイミングを規定する信号は、光源制御部11または演算処理ブロックで生成するため、そこから光出力が各レベルとなるタイミングを抽出することができる。
【0130】
図18の例ではメインビームのボトムレベル(Pbレベル)とサブビームの再生レベルのパワーモニタ出力が比較的近いレベルのため、サブビーム用のサンプリングとしてはボトムレベル(Pbレベル)のタイミングが精度的に好ましい。しかし、バイアスレベル(Peレベル)の方が出現頻度が高く、サンプリングに対して有利であればバイアスレベル(Peレベル)のタイミングでサブビームのパワーモニタ出力をサンプリングしてもよい。あるいは、記録変調波形にバイアスレベル(Peレベル)以外の比較的サブビーム成分に近いレベルが存在すれば、そのタイミングでサンプリングしてもよい。(例えば、クーリングパルスなど)サンプリングの精度を確保するために、サンプリングするレベルでの発光が所定の時間以上継続するときにのみサンプリングがオンするように設定することも有用である。
【0131】
本構成であれば、複数の光源を点灯させたままの状態で光出力の制御を行うことが可能となる。即ち、DRAW動作を途切れさせることなく光源の光出力制御が可能となる。
【0132】
(実施形態4)
図19は本発明の実施形態4における光記録再生装置のパワーモニタ用検出器12と光源制御部11のブロック図である。
【0133】
光源1、2から出射した光はパワーモニタ用検出器12の受光素子15に重なって入射する。受光した光電流はIVアンプ44にて電圧変換されVVアンプ48、49へと送られる。VVアンプ48、49はそれぞれ個別のゲインが設定されている。VVアンプ48の出力は光源制御部11のメインビームの光出力制御ブロックへと入力され、ボトム(Pb)、バイアス(Pe)、ピーク(Pw)の各レベルのパワーモニタ信号の取得と光源1用の電流ドライバの制御に使用される。VVアンプ49の出力は光源制御部11のサブビームの光出力制御ブロックへと入力され、再生レベルの取得と光源2用の電流ドライバの制御に使用される。
【0134】
図20にメインビーム(図20(a))と、サブビームの光出力(図20(b))と、VVアンプ48出力波形(図20(c))と、VVアンプ49の出力波形(図20(d))を示す。VVアンプ49のゲインはVVアンプ48よりも高く設定している。これにより、サブビームの再生レベルを精度良く検出することが可能となる。
【0135】
図21はVVアンプ49の出力におけるサブビームの再生レベルに相当する出力が、VVアンプ48のバイアスレベルの出力と略等しい値となるようにVVアンプ49、VVアンプ48のゲインを設定した例である。このように設定することにより、メインビームのバイアスレベルの制御目標値とサブビームの再生レベルの制御目標値を共用することができるため、システムに記憶する目標値の数を少なく抑えることができる。これにより、システムの簡素化が図れる。この場合、図19におけるVVアンプ48、49のゲイン調整器46、47がボトムレベルの目標値設定に連動して変化して、常にサブビームの再生レベル制御目標値がメインビームのボトムレベル制御目標値と一致するように自動調整を行う構成としてもよい。図21ではバイアスレベルとサブビームの再生レベルの目標値を等しくする例を示したが、ボトムレベルの目標値とサブビームの再生レベルの目標値を等しい値とするように設定してもよい。
【0136】
また、パワーモニタ用検出器12の受光部を図22に示すように受光素子50と51に分割し、図23に示すように、それぞれにIVアンプ52、44を使用する構成としてもよい。これによりIVアンプゲインをサブビームのパワーモニタ用にも最適設定できるため、サブビームのパワーモニタ信号のS/Nの向上が図れる。この場合、IVアンプ52ではピークレベルは飽和するケースが想定されるため、飽和復帰のスピードを確保するためのダイオードクリップ回路を設けることが望ましい。尚、図22に示した受光素子の分割方向や分割数は一例であり、これ以外の領域や方向に分割しても構わない。
【0137】
(実施形態5)
次に本発明の実施形態5における光記録再生装置について説明する。
【0138】
図24は記録中のメインビームとサブビームの光出力と、パワーモニタ用検出器の出力の波形を示した図である。図25は本構成におけるパワーモニタ用検出器12と光源制御部11のブロック図である。
【0139】
図24に示すように、この例では記録マーク形成直後(この図の場合、2つめのマークの記録直後)にサブビームの再生パワーを△Pだけ変化させている。これに伴い、VVアンプ49の出力も△Vだけ変化する。本構成では再生パワー変化前後のVVアンプ49出力をサンプリングして△Vを検出する。そして、△Vを検波することによりサブビームの光出力成分を抽出し、光源2の光出力制御を行うものである。本構成により、サブビームのパワーモニタ情報をより精度良く取得することが可能となる。
【0140】
尚、実施形態1〜5において、光テープ105の進行方向を逆にした場合にも、メインビームとサブビームの役割を切り替えることで対応することができる。その場合は光源1からの光をサブビーム、光源2からの光をメインビームとして上述の動作をさせてやればよい。
【0141】
また、実施形態1、2において、メインビームとサブビームが同時に再生を行う動作は、非ユーザデータを検出したところで、メインビーム、サブビームの光源1、2いずれかを消灯し、もう一方のビームの光出力制御を行えばよい。この場合は、メイン、サブスポットとも再生パワーレベルのみをサンプリングすればよいため、一つの光出力制御用区間でメインビームのパワーモニタ情報取得(サブビーム消灯)とサブビームのパワーモニタ情報取得(メインビーム消灯)を連続しておこなってもよい。あるいは、メインビームとサブビームで同時に記録を行う場合(ただし、この場合はDRAWを行うことは出来ない)も、ユーザデータ記録を一時中断し、非ユーザデータを記録する区間を設けることで同様の各ビームのパワーモニタ情報を取得することができる。この場合は、サブビームも記録発光しているため、サブビームのパワーモニタ情報取得用にも非ユーザデータを設けてやればよい。
【0142】
また、実施形態3〜5において、メインビームとサブビームが同時に再生を行う動作は、メインビーム、サブビームともに再生レベルのみをサンプリングすればよいため、所定の周期で各光出力情報をサンプリングすればよい。あるいは、メインビームとサブビームで同時に記録を行う場合(ただし、この場合はDRAWを行うことは出来ない)も、サブビームのパワーモニタブロックにもメインビーム用と同様のサンプリング回路を設けることで対応できる。この場合は、一方のビームがボトムレベルやバイアスレベルのタイミングに、もう一方のビームの各レベルをサンプリングする構成が有効である。これらの場合には、IVアンプやVVアンプに再生モード用、記録モード用といった複数のゲインを設けて切り替えて使用することが有効である。
【0143】
以上、本発明を実施形態1〜5に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲でこれらの実施形態に各種変形を施して得られる形態や、各実施形態における構成要素を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明にかかる光記録再生装置は、これを複数個含む大容量情報記憶システム(たとえば光テープや光ディスクを用いたデータファイルシステム)にて記録動作とベリファイのための再生動作を同時に行うDRAWシステムにおける、複数の光源の光出力制御を簡便な構成で実現する装置やしくみとして有用である。
【符号の説明】
【0145】
1、2、410 光源
3、403 偏光ビームスプリッタ
4 コリメートレンズ
5、404 波長板
6、407 対物レンズ
8、402 検出レンズ
9、401 検出器
10 信号検出用検出器
11 光源制御部
12 パワーモニタ用検出器
13 メインビーム受光部
14 サブビーム受光部
15、50、51 受光素子
16 光源1からの光
17 光源2からの光
18、19、20、40、53 サンプルホールド回路
21 サンプルホールドタイミング生成ブロック
23、23、24、37、41 差動アンプ
25 ボトムレベル(Pbレベル)目標値
26 バイアスレベル(Peレベル)目標値
27 ピークレベル(Pwレベル)目標値
28 ボトムレベル(Pbレベル)電流ドライバ
29 バイアスレベル(Peレベル)電流ドライバ
30 ピークレベル(Pwレベル)電流ドライバ
31、32、33 スイッチ
34 レーザ駆動出力タイミング生成ブロック
36、54 検波器
38、42 再生レベル目標値
39、43 再生レベル用電流ドライバ
44、52 IVアンプ
45 IV抵抗
46、47 ゲイン調整器
48、49 VVアンプ
121 メイン受光素子
11、122、123 サブ受光素子
105 光テープ
406 ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源および第2の光源を含む複数の光源と、
前記第1の光源から出射された記録用ビーム、および前記第2の光源から出射された再生用ビームを光記録媒体に集束する光学系であって、光記録媒体の同一箇所を前記再生用ビームより先行して前記記録用ビームで走査するよう前記記録用ビームおよび再生用ビームを前記光記録媒体上に集束する光学系と、
前記記録用および再生用ビームの前記光記録媒体による反射光を検知して電気信号を生成する信号検出用検出器と、
前記第1および第2の光源の光出力をモニタするパワーモニタ用検出器と、
前記第1および第2の光源の光出力を制御し、記録モードにおいては前記記録用ビームを用いて前記光記録媒体に信号マークを形成するように前記第1の光源の光出力を変調する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記光記録媒体上へのユーザデータの記録を一時中断する光出力制御用区間において、非ユーザデータを前記光記録媒体に記録し、前記非ユーザデータの記録中に前記第2の光源の発光を停止し、
前記パワーモニタ用光検出器は、前記第2の光源の発光が停止している間に前記第1の光源の光出力情報を取得する、光記録再生装置。
【請求項2】
前記非ユーザデータは番地データおよび同期信号の少なくとも一方を含む請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光記録媒体の前記光出力制御用区間内にデータの未記録区間を設ける請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記光記録媒体の前記光出力制御用区間に隣接して番地データを記録する請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項5】
前記第1の光源の光出力情報および前記第2の光源の光出力情報を同一の光出力制御用区間内で取得する請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項6】
前記第2の光源の光出力情報を取得するときに前記第1の光源の発光を停止する請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項7】
前記第2の光源の光出力情報を取得した後に前記第1の光源の光出力情報を取得する請求項6に記載の光記録再生装置。
【請求項8】
前記記録用ビームによる前記非ユーザデータの記録を終了した時、前記再生用ビームの照射位置は同一の非ユーザデータ上にある請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項9】
前記記録用ビームまたは前記再生用ビームが前記光出力制御用区間を通過する時間tと、前記光出力制御動作の周期Tとの関係が、T/t≧100である請求項1に記載の光記録再生装置。
【請求項10】
第1の光源および第2の光源を含む複数の光源と、
前記第1の光源から出射された記録用ビーム、および前記第2の光源から出射された再生用ビームを光記録媒体に集束する光学系であって、光記録媒体の同一箇所を前記再生用ビームより先行して前記記録用ビームで走査するよう前記記録用ビームおよび再生用ビームを前記光記録媒体上に集束する光学系と、
前記記録用および再生用ビームの前記光記録媒体による反射光を検知して電気信号を生成する信号検出用検出器と、
前記第1および第2の光源の光出力をモニタするパワーモニタ用検出器と、
前記第1および第2の光源の光出力を制御し、記録モードにおいては前記記録用ビームを用いて前記光記録媒体に信号マークを形成するように前記第1の光源の光出力を変調する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記パワーモニタ用光検出器の出力からサンプルされたパワーモニタ信号に基づいて、前記第1および第2の光源の光出力を制御する、光記録再生装置。
【請求項11】
前記パワーモニタ信号のサンプリングのタイミングは、前記第1の光源の光出力を変調するための変調信号に基づいて決定される、請求項10に記載の光記録再生装置。
【請求項12】
前記変調信号は2値以上のレベル間で変化する波形を有し、
前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記変調信号のレベルが最高値よりも低いレベルにあるときに実行される、請求項11に記載の光記録再生装置。
【請求項13】
前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記変調信号のレベルが最も低いときに実行される、請求項12に記載の光記録再生装置。
【請求項14】
前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記記録媒体に形成されていた記録マークを前記記録用ビームで消去する値に前記変調信号のレベルがあるとき、実行される、請求項13に記載の光記録再生装置。
【請求項15】
前記第2の光源のために行われる前記パワーモニタ信号のサンプリングは、前記記録媒体に形成されていた記録マークを前記記録用ビームで消去する値に、予め設定された期間以上、前記変調信号のレベルがあるとき、実行される、請求項13に記載の光記録再生装置。
【請求項16】
前記パワーモニタ用検出器は、前記第1の光源のためのパワーモニタ信号を出力する配線と、前記第2の光源のパワーモニタ信号を出力する配線とを有している、請求項10から15のいずれかに記載の光記録再生装置。
【請求項17】
前記第1の光源のパワーモニタ信号のゲインを調整する第1ゲイン調整器と、前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインを調整する第2ゲイン調整器とを有する請求項16に記載の光記録再生装置。
【請求項18】
前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインは、前記第1の光源のパワーモニタ信号のゲインより高い値に設定されている、請求項17に記載の光記録再生装置。
【請求項19】
前記第2の光源のパワーモニタ信号に含まれる前記第2の光源の出力成分が、前記第2の光源のパワーモニタ信号がサンプルされるときにおける前記第1の光源のパワーモニタ信号の値に略等しくなるように前記ゲインが調整される請求項17、18に記載の光記録再生装置。
【請求項20】
前記第1の光源の光出力の変更に合わせて前記第2の光源のパワーモニタ信号のゲインを変化させることができる、請求項17から19の何れかに記載の光記録再生装置。
【請求項21】
パワーモニタ用検出器は、前記第1の光源のパワーモニタ信号を生成するための第1の領域と、前記第2の光源のパワーモニタ信号を生成するための第2の領域とに分割された受光素子を有する請求項16から20の何れかに記載の光記録再生装置。
【請求項22】
前記第2の領域から得られた光電流を電圧に変換するアンプにおいて、前記第1の光源から入射した光の波高値は飽和している請求項21に記載の光記録再生装置。
【請求項23】
タイミング信号がオフの区間に第2の光源のパワーを変化させる請求項12から22の何れかに記載の光記録再生装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26A】
image rotate

【図26B】
image rotate

【図26C】
image rotate

【図27A】
image rotate

【図27B】
image rotate

【図27C】
image rotate


【公開番号】特開2013−93086(P2013−93086A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50138(P2012−50138)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】