説明

光走査装置、画像形成装置及び光走査装置のバッファ制御方法

【課題】コストを上昇させることなく、バッファ容量を確保し、LEDアレイによる副走査倍率の補正を行う。
【解決手段】LEDアレイ11と、画像データを保存するメモリを有し、画像データの画像補正を行う画像補正部34と、画像補正後のデータが入力される入力バッファ51と画像データを出力してLEDアレイ11を発光させる出力バッファ52とを有するLEDアレイ発光制御部35と、画像補正部34のメモリ及び入力バッファ51の空き領域を監視し、画像補正部34のメモリから入力バッファ51へ画像データの転送を行うバッファ制御部33と、を有する光走査装置であって、副走査倍率補正の実施により入力バッファ51に空き領域が無くなった場合に、バッファ制御部33が、画像補正部34のメモリの空き領域に画像データを一時保存し、入力バッファ51に空き領域ができたときに、メモリに一時保存された画像データを入力バッファ51に転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDアレイを有する光走査装置に関し、特に、LEDアレイの副走査倍率補正を行う場合における画像データの保存及び転送を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機等の電子写真方式を用いた画像形成装置では、像担持体としての感光体ドラム表面にレーザー等による光書き込みにより静電潜像を形成し、当該静電潜像にトナーを付着させることによって画像の形成を行っている。
【0003】
上記した画像形成装置において、例えば感光体ドラムが偏心していると、感光体ドラム表面の周速度が周期的に変動し、表面に形成される静電潜像の紙搬送方向(副走査方向)のライン間隔にずれが生じる場合があった。この様なライン間隔にずれが生じると、最終的に出力される画像に濃度むらや、意図しない伸び縮みといった不具合として表れることがある。
【0004】
この様な場合に、ライン間隔のずれ量を検出し、光書き込みにより静電潜像を形成する際に、レーザー等の光書き込みにおける副走査方向の発光量を補正することによって上記した出力画像上の不具合が生じるのを防止する方法が提案されている。
【0005】
特に書き込み方式に複数のLEDが配置されたLEDアレイを用いた場合には、発光周期を補正することで、上記した原因による不具合の発生を防止することができる。
【0006】
例えば特許文献1では、第1方向に沿って配列された複数の発光部を備えた露光手段と、前記露光手段と像担持体を前記第1方向と交差する第2方向へ相対移動させる移動手段と、前記像担持体上に形成すべき画像を表す画像データに応じて前記露光手段の前記複数の発光部を周期的に発光させて前記像担持体上に前記画像を形成させると共に、前記像担持体上に形成される画像内の前記第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、前記画像の形成中に前記複数の発光部の発光周期を変更する発光制御手段と、を含む画像形成装置が提案されている。
【0007】
特許文献1に係る画像形成装置によれば、像担持体上に形成される画像内の第1方向と交差する第2方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動が補正されるように、発光部の発光周期を変更するので、画像内の副走査方向に沿った濃度及び倍率の少なくとも一方の周期的な変動を補正できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
LEDアレイを発光させる際には画像データを一時的にバッファに格納するが、LEDアレイの発光周期を変えて副走査倍率の補正を行う場合には、格納しなければならない画像データの量が増加するため、バッファの容量を大きくする必要がある。
【0009】
しかしながら、LEDアレイを高速に駆動させるために、バッファも画像データの処理等を行うASIC内に搭載する必要があり、バッファの容量を増加できる量は限られている。また、バッファの容量を増加させるためにはコストが上昇してしまう、という問題もある。
【0010】
上記した特許文献1に係る画像形成装置においても、バッファの容量を十分に確保できないと、LEDアレイによって副走査倍率を補正できる量が少なくなるために満足な補正ができず、出力画像における不具合の発生を抑制することができない場合があった。
【0011】
そこで、本発明では、コストを上昇させることなく、バッファ容量を十分に確保することによって、LEDアレイによる副走査倍率の補正確実に行うことができる光走査装置、画像形成装置及び光走査装置のバッファ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、複数のLEDが配置されたLEDアレイと、画像データを保存するメモリを有し、前記画像データの画像補正を行う画像補正部と、前記画像処理が行われた画像データが入力される入力バッファと、前記画像データを出力して前記LEDアレイを発光させる出力バッファとを有し、前記LEDアレイの発光を制御するLEDアレイ発光制御部と、前記画像補正部のメモリ及び前記LEDアレイ発光制御部の入力バッファの空き領域を監視し、前記画像補正部のメモリから前記LEDアレイ発光制御部の入力バッファへ前記画像データの転送を行うバッファ制御部と、を有する光走査装置であって、前記LEDアレイ発光制御部が、前記出力バッファから前記画像データを出力する周期を変えて前記LEDアレイの副走査倍率補正を行い、前記入力バッファに空き領域が無くなった場合に、前記バッファ制御部が、前記画像補正部のメモリの空き領域に前記画像データを一時保存し、前記入力バッファに空き領域ができたときに、前記メモリに一時保存された画像データを前記入力バッファに転送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LEDアレイの副走査倍率補正によりバッファに空き領域が無くなった場合でも、画像補正部が有するメモリの空き領域をバッファとして使用することにより、コストを上昇させることなく、十分な副走査倍率の補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略を示す図
【図2】実施形態に係る画像形成装置の他の構成例を示す図
【図3】実施形態に係る光走査装置の概略を示す図
【図4】実施形態に係るLEDアレイの副走査倍率補正処理を説明する図
【図5】実施形態に係るLEDアレイ発光制御部における画像データ入出力の流れを説明する図
【図6】実施形態に係るバッファ制御部における画像データ転送処理例のフローチャート
【図7】実施形態に係るバッファ制御部における画像データの転送処理例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<画像形成装置の概要について>
図1に、本実施形態に係る画像形成装置の概略図を示す。
【0016】
本実施形態に係る画像形成装置100は、無端状移動手段である紙搬送ベルト5に沿って各色の画像形成部6が並べられた構成を備え、所謂タンデムタイプといわれるものである。給紙トレイ1から給紙ローラ2と分離ローラ3とによって分離給紙される用紙(記録紙)4を搬送する搬送ベルト5の搬送方向上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)6Y,6C,6M,6Bkが配設されている。画像形成部6Yはイエロー、画像形成部6Cはシアン、画像形成部6Mはマゼンタ、画像形成部6Bkはブラックのトナー画像をそれぞれ形成する。
【0017】
これら複数の画像形成部6Y,6C,6M,6Bkは、形成するトナー画像の色が異なるだけで、内部構成は共通している。従って、以下の説明では画像形成部6Bkを用いて具体的に説明するが、他の画像形成部6Y,6C,6Mの各構成要素については、画像形成部6Bkの各構成要素に付したBkに代えて、Y,C,Mによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
【0018】
まず、搬送ベルト5は、回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻き回されたエンドレスベルトである。この駆動ローラ7は、不図示の駆動源により回転駆動され、駆動ローラ7と従動ローラ8とが、搬送ベルト5を駆動させる駆動手段として機能する。
【0019】
画像形成装置100が画像形成を行うに際しては、給紙トレイ1に収納された用紙4が上から順に送り出され、静電吸着作用により搬送ベルト5に吸着して搬送され、最初の画像形成部6Yの転写部に達すると、用紙4の上にイエローのトナー画像が転写される。その後、用紙4は搬送ベルト5に搬送されて各色の画像形成部6を通過する際に各色のトナー画像を重ねて転写されることで、用紙4の上にはフルカラーのトナー画像が形成される。
【0020】
画像形成部6Bkは、像担持体としての感光体ドラム9Bkを備え、この感光体ドラム9Bkの周囲には、帯電器10Bk,LEDアレイ11Bk、現像器12Bk、感光体クリーナ13Bk、不図示の除電器等が配置されている。
【0021】
画像形成を行う場合には、帯電器10Bkが感光体ドラム9Bkの表面を一様に帯電し、LEDアレイ11Bkが感光体ドラム9Bkの表面をブラック画像に対応する形に露光することで、静電潜像を形成する。
【0022】
次に現像器12Bkが形成された静電潜像にブラックトナーを付着させることで可視像化し、感光体ドラム9Bk上にブラックのトナー画像が形成される。続いて感光体ドラム9Bkが回転駆動し、トナー画像が搬送ベルト5によって搬送される用紙4に接する転写位置にて、転写器15Bkにより用紙4の上に転写される。
【0023】
トナー画像の転写が終了した感光体ドラム9Bkは、外周面に残留した未転写トナーを感光体クリーナ13Bkにより除去され、次の画像形成のために待機する。
【0024】
各画像形成部6を通過して用紙4の上に形成されたフルカラートナー像は、定着器16を通過する際に熱と圧力を加えられることによって用紙4に定着され、画像形成装置100の外部に排紙される。
【0025】
フルカラー画像を形成する場合には搬送ベルト5が全ての画像形成部6に接触し、モノクロ画像を形成する場合には搬送ベルト5がブラックの画像形成部6Bkのみと接触し、他の画像形成部6Y,6C,6Mとは離間する様な離接機構を設けることもできる。離接機構を設けることにより、モノクロ画像形成時には他色の感光体ドラム9や搬送ベルト5の磨耗を防ぐことができる。
【0026】
図2に、本実施形態に係る画像形成装置の他の構成例を示す。
【0027】
図2に示す画像形成装置100は、搬送ベルト5では無く、中間転写ベルト23が設けられている。中間転写ベルト23は、不図示の駆動装置によって回転駆動される駆動ローラ7と従動ローラ8とに巻き回されたエンドレスベルトである。
【0028】
画像形成の際には、各色のトナー画像は中間転写ベルト23の上に一次転写されて色重ねされる。中間転写ベルト23に形成されたフルカラーのトナー画像は、搬送されて従動ローラ8と二次転写ローラ22との間に形成される二次転写部において、搬送される用紙4の上に二次転写される。
【0029】
用紙4に転写されたトナー画像は、定着器16を通過する際に熱と圧力を加えられることで用紙4に定着し、画像形成装置100の外部に排紙される。
【0030】
本実施形態においては、用紙4を搬送する搬送ベルト5を使用し、画像形成部6の感光体ドラム9上に形成されたトナー画像を用紙4に直接転写する方式を用いたが、図2に示した様に中間転写ベルト23を用いて構成しても良い。
【0031】
また、本実施形態ではタンデムタイプを用いたが、これに限るものではなく、これ以外にも1つの感光体ドラム9の周囲に複数の現像器12等を配設したリボルバータイプを用いても良い。
<光走査装置の概要について>
図3に、本実施形態に係る光走査装置101の概略を示す。
【0032】
本実施形態に係る光走査装置101は、周波数変換部32、バッファ制御部33、画像補正部34、LEDアレイ発光制御部35及びLEDアレイ11を備えている。光走査装置101は、LEDアレイ11を用いて帯電された感光体ドラム9表面に画像パターンに応じた露光を行い、静電潜像を形成することにより画像形成に供する。
【0033】
LEDアレイ11を駆動させて画像形成を行う際には、まず画像処理コントローラ31から画像データが転送され、周波数変換部32において画像データをLEDアレイ11の動作周波数に変換する周波数変換処理が行われる。
【0034】
次に、周波数変換された画像データは、画像補正部34に転送されて各種の画像補正が行われる。画像補正部34は画像補正を行うためのモジュールを複数有して構成され、各画像補正モジュールは、補正作業用のメモリ53を有している。
【0035】
画像補正としては、例えばスキュー補正、ジャギー補正、階調補正が挙げられる。スキュー補正は、画像の斜め歪みを矯正するために行い、ジャギー補正は画像のエッジ部を滑らかにするために行うものである。また、階調補正は画像濃度に応じた画像パターンの形成を行う。これらの画像補正を行うことによって、高品質な画像を出力することが可能になる。これら以外の画像補正を行う様にさらに複数の画像補正モジュールを搭載して構成することもできる。
【0036】
画像補正モジュールが有するメモリ53としては、SRAM(Static Random Access Memory)、又は、不揮発性メモリ等を用いることができる。SRAMを用いる場合には消費電力を最小限に抑え、高速な情報の入出力が可能になる。不揮発性メモリを用いる場合には、電源OFF時においても記憶を保持しておくことができるため、次回の電源投入時において再度画像調整等をする必要がなくなる点で有利である。
【0037】
これらの画像補正処理は、非常に高速な動作が求められるため、ASIC内にまとめて搭載される。
【0038】
画像補正モジュールが有するメモリ53は、常に全領域が使用されている訳ではなく、印刷設定や、用紙の搬送状態等によって使用されていない空き領域を有している。
【0039】
LEDアレイ発光制御部35は、画像補正部34にて補正処理された画像データを受け付ける入力バッファ51と、LEDアレイ11に画像データに基づいた信号を出力する出力バッファ52とを有している。LEDアレイ発光制御部35は、出力バッファ52から信号を読み出してLEDアレイ11に送信し、LEDアレイ11を発光させることができる。
【0040】
バッファ制御部33は、画像補正部34の各画像補正モジュールが有するメモリ53と、LEDアレイ発光制御部35が有する入力バッファ51とをバイパスし、それぞれの空き領域を監視することができる。また、LEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に空き領域が無い場合には、画像補正モジュールのメモリ53の空き領域に画像データを一時保存し、入力バッファ51に空き領域ができた時にメモリ53に一時保存した画像データを入力バッファ51の空き領域に転送することができる。
<LEDアレイの副走査倍率補正について>
画像形成装置100では、感光体ドラム9が偏心していることにより表面の周速度が周期的に変動し、結果として出力される画像の副走査方向(紙搬送方向)に濃度変動が生じる場合がある。この様な濃度変動は、露光を行うLEDアレイ11の発光周期を感光体ドラム9の周速度の変動周期に対応する様に補正することで抑制することができる。この様にLEDアレイ11の発光周期を変えることによって副走査倍率の補正を行う。
【0041】
図4に、本実施形態に係るLEDアレイ11の副走査倍率補正について説明する図を示す。
【0042】
LEDアレイ11は、LEDアレイ発光制御部35からの発光信号によって発光が制御される。従って、LEDアレイ11の副走査倍率補正は、LEDアレイ発光制御部35において発光信号を変調することで実行される。
【0043】
図4(a)は補正を行わない場合、(b)は周期を大きくする場合、(c)は周期を小さくする場合の、それぞれにおける発光信号のON,OFF状態を示している。感光体ドラム9が一周する間にLEDアレイ11の発光を、連続的に変化させることで副走査倍率補正を行い、書き込み間隔のずれを解消することができる。
【0044】
副走査倍率補正の補正量は、感光体ドラム9上に一定間隔で画像パターンを形成し、その画像を感光体ドラム又は搬送ベルト5に設けられたセンサによって間隔を検出し、周期的な変化量を算出することにより行う。
【0045】
図5に、本実施形態に係るLEDアレイ発光制御部35における画像データの入出力の流れを示す。図5(a)は、LEDアレイ11の副走査倍率補正を行わない場合で、(b)が副走査倍率補正を行う場合である。
【0046】
図5(a)の様に副走査倍率補正を行わない場合には、画像補正部34から画像データ(R0〜R6)が一定の周期で入力バッファ51に入力され、出力バッファ52から入力と同じ一定の周期でLEDアレイ11に出力されるため、画像データが入力バッファ51の容量を上回ることは無い。
【0047】
しかし、図5(b)の様に副走査倍率補正を行う場合には、一定の周期で画像データ(R0〜R6)が入力バッファ51に入力されても、出力する周期を変えて(R1,R2の周期を大きく、R5,R6の周期を小さく)副走査倍率補正を行うため、入力バッファ51の容量が一時的に不足し、画像データ(R3〜R6)が入力バッファ51に入力できなくなっている。
【0048】
この様に入力バッファ51の容量が不足する場合には、図5(b)に入力バッファ2,3の様に不足分を補うためのバッファが必要となる。また、副走査倍率を大きく補正する場合には、出力バッファ52からのデータ出力周期を大きく変動させるため、さらに多くのバッファ容量が必要となる。
【0049】
しかしながら、LEDアレイ制御部35も複数の画像補正モジュールと同じ一つのASIC内に搭載されるため、バッファ容量に限りがあり、十分な量を確保することができない。また、バッファ容量を増やすためにはコストが上昇してしまうという問題もある。
【0050】
そこで、本実施形態に係る光走査装置101では、入力バッファ51の不足分を、画像補正モジュールのメモリ53の空き領域で補うことにより、コストを上昇させることなくLEDアレイ11の副走査倍率補正を行う。
<バッファ制御部における画像データの制御について>
図6に、本実施形態に係るバッファ制御部33における画像データ転送処理例のフローチャートを示す。
【0051】
まず、ステップS1において画像処理コントローラ31から画像データが入力される。次に、ステップS2にて周波数変換部32で画像データの周波数変換処理が行われる。続いて、ステップS3にて画像補正部で画像補正処理が行われる。画像補正処理が施された画像データは、LEDアレイ発光制御部35に送信され、画像データに基づいてLEDアレイ11が発光するように制御される。
【0052】
画像データがLEDアレイ発光制御部35に送信される前に、ステップS4にてバッファ制御部33がLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に空き領域があるか否かの確認を行う。
【0053】
入力バッファ51に空き領域がある場合には、ステップS5にて画像補正部の画像データがLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に転送される。入力バッファ51に空き領域が無い場合には、ステップS6にてバッファ制御部33が画像補正部34のメモリ53の空き領域に画像データを一時保存する。次に、ステップS7にてLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に空き領域ができたことが確認された時に、バッファ制御部33が画像補正部34のメモリ53からLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に画像データを転送する。
【0054】
LEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に画像データが入力された後は、ステップS8において副走査倍率補正がされた信号周期でLEDアレイの発光を制御する。
【0055】
次に図7を用いて、本実施形態に係るバッファ制御部33の画像データの転送処理例を具体的に説明する。
【0056】
上記したフローチャートに示した処理と同様に、まず画像処理コントローラ31から画像データが入力され、周波数変換部32において周波数の変換処理が行われた後、画像補正部34にて画像補正処理が施される(図7(a))。
【0057】
次に、バッファ制御部33によって入力バッファ51の空き領域の存在が確認された後に、画像補正処理が施された画像データはLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51に入力される(図7(b))。
【0058】
画像補正部34から画像データを入力バッファ51に転送する際に、送信待ちデータの存在により入力バッファ51に空き領域が無いことがバッファ制御部33によって確認されると、画像補正部34のメモリ53の空き領域に画像データが一時的に保存される(図7(c))。
【0059】
その後、バッファ制御部33がLEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51の空き領域ができたことを確認すると、画像補正部34のメモリ53に一時保存された送信待ち画像データを入力バッファ51に転送する(図7(d))。
【0060】
LEDアレイ11の副走査倍率補正を行う際に、バッファ制御部33が上記した処理を行い、LEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51の不足分を画像補正部34のメモリ53の空き領域で補うことができる。また、入力バッファ51を十分に補うことができるため、LEDアレイ11の発光周期を大きく変えることが可能になり、濃度変動等の出力画像の不具合の発生をより有効に防止することが可能になる。
<まとめ>
上記した様に、バッファ制御部33は、LEDアレイ発光制御部35の入力バッファ51及び画像補正部34のメモリ53の空き領域を監視し、入力バッファ51に空き領域が無い場合にはメモリ53の空き領域に画像データを一時保存し、入力バッファ51に空き領域ができた後に画像データを転送する処理を行う。
【0061】
バッファ制御部33が上記の処理を行うことにより、画像補正部34のメモリ53の空き領域を有効に活用し、LEDアレイ発光制御部35のバッファ容量を増やすことでコストの上昇を招くことなく、LEDアレイ11の副走査倍率補正を行うことができる。
【0062】
さらに、十分な量の副走査倍率補正を行うことができるため、濃度変動や画像サイズの伸縮等の不具合画像の発生を抑制し、高品質な画像を提供することが可能になる。
【0063】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0064】
11 LEDアレイ
32 周波数変換部
33 バッファ制御部
34 画像補正部
35 LEDアレイ発光制御部
51 入力バッファ
52 出力バッファ
53 メモリ
100 画像形成装置
101 光走査装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特開2007−144731号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが配置されたLEDアレイと、
画像データを保存するメモリを有し、前記画像データの画像補正を行う画像補正部と、
前記画像処理が行われた画像データが入力される入力バッファと、前記画像データを出力して前記LEDアレイを発光させる出力バッファとを有し、前記LEDアレイの発光を制御するLEDアレイ発光制御部と、
前記画像補正部のメモリ及び前記LEDアレイ発光制御部の入力バッファの空き領域を監視し、前記画像補正部のメモリから前記LEDアレイ発光制御部の入力バッファへ前記画像データの転送を行うバッファ制御部と、
を有する光走査装置であって、
前記LEDアレイ発光制御部が、前記出力バッファから前記画像データを出力する周期を変えて前記LEDアレイの副走査倍率補正を行い、前記入力バッファに空き領域が無くなった場合に、
前記バッファ制御部が、前記画像補正部のメモリの空き領域に前記画像データを一時保存し、前記入力バッファに空き領域ができたときに、前記メモリに一時保存された画像データを前記入力バッファに転送する
ことを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記画像補正部が、画像の斜め歪みを矯正するスキュー補正処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記画像補正部が、画像のエッジ部を滑らかにするジャギー補正処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記画像データを前記LEDアレイの動作周波数に変換する処理を行う周波数変換部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光走査装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
複数のLEDが配置されたLEDアレイを有する光走査装置であって、
画像データを保存するメモリを有し、前記画像データの画像補正を行う画像補正手段と、
前記画像補正が行われた画像データが入力される入力バッファと、前記画像データを出力して前記LEDアレイを発光させる出力バッファとを有し、前記LEDアレイの発光を制御するLEDアレイ発光制御手段と、
前記画像補正手段のメモリ及び前記LEDアレイ発光制御手段の入力バッファの空き領域を監視し、前記画像補正手段のメモリから前記LEDアレイ発光制御手段の入力バッファへ前記画像データの転送を行うバッファ制御手段と、
を有し、
前記LEDアレイ発光制御手段が、前記出力バッファから前記画像データを出力する周期を変えて前記LEDアレイの副走査倍率補正を行い、前記入力バッファに空き領域が無くなった場合に、
前記バッファ制御手段が、前記画像補正手段のメモリの空き領域に前記画像データを一時保存し、前記入力バッファに空き領域ができたときに、前記メモリに一時保存された画像データを前記入力バッファに転送する
ことを特徴とする光走査装置のバッファ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−236342(P2012−236342A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106997(P2011−106997)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】