説明

光走査装置及びそれを用いた画像形成装置

【課題】環境温度との違いや光走査装置内部の発熱等による光走査装置の不均一温度分布によって発生する走査線の曲がりを低減しカラー画像印刷の色合わせ精度を向上した光走査装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】筐体104内に光偏向器107等を配置した光走査装置101において、第1の温調機121で筐体の内部気体を温調し、第2の温調手段131で、光偏向器107を温調し、筐体104が配置されているハウジング100内の雰囲気の温度を温度検出手段で検出した結果に基づいて、第1の温調手段及び第2の温調手段による温調の目標温度を設定して、温度制御手段により、筐体104内の気体及び光偏向器107が、ハウジング100内の雰囲気の温度と等しくなるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタ、デジタル複写機、マルチファンクションプリンタ(多機能プリンタ)等に用いて好適な光走査装置と、これを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光源手段から光変調され出射した光束を回転多面鏡より成る光偏向器で偏向反射させた後、被走査面上を走査する光走査装置は、電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置に用いられている。
【0003】
このような光走査装置を利用した画像形成装置には、例えば、タンデム方式のカラー画像形成装置がある。このタンデム方式のカラー画像形成装置では、互いに異なる4基本色(例えばC,M,Y,K)に対応した複数の感光体を備え、複数本の光ビームによって各感光体を同時に走査露光し、各感光体に互いに異なる基本色の画像を形成する。その後に各感光体から各基本色の画像を同一の転写体上に転写して重ね合わせ、これによってカラー画像を形成している。
【0004】
このタンデム方式のカラー画像形成装置では、光走査装置相互の感光体に対する走査位置にばらつきがあり、走査線の曲がり具合や傾きが異なると、形成されたカラー画像に色重ねズレが発生し、カラー画像の画質を劣化させる原因となる。
【0005】
このカラー画像の画質を劣化させる主な色重ねズレの原因には、図9に示すように、主走査方向に対し、第1に全体倍率ズレ、第2に部分倍率ズレ、第3にオフセットがある。さらに、色重ねズレの原因には、副走査方向に対して、第4に傾き、第5に湾曲、第6にオフセットがある。
【0006】
この第1の主走査方向に対する全体倍率ズレは、主走査線の長さが全体に倍率が掛かり正規主走査線長からずれるものである。第2の主走査方向に対する部分倍率ズレは、主走査方向に書き込まれた位置が不等間隔になりずれるものである。第3の主走査方向に対するオフセットによるズレは、主走査線の書き出し位置が主走査方向にずれるものである。第4の副走査方向に対する傾きによるズレは、描画した走査線が正規主走査線に対し副走査方向に傾きを持ってずれるものである。第5の副走査方向に対する湾曲は、描画した走査線が正規主走査線に対し2次以上の成分を持ってずれるものである。第6の副走査方向に対するオフセットは、主走査線の書き出し位置が副走査方向にずれるものである。
【0007】
また、最近のタンデム方式のカラー画像形成装置に対しては、高精細なカラー画像が望まれ、色重ねの高精度化が要求されている。
【0008】
このような色重ねの高精度化が要求されている従来の高解像度の画像形成装置では、経時的な変化に起因する走査線の湾曲や部分倍率による色重ねズレが問題となっている。
【0009】
この経時的に変化する走査線の湾曲や部分倍率が生じるのは、画像走査装置を連続的に運転することにより機内温度が上昇することに起因する。そして、機内温度が上昇した場合には、この機内温度変化の時定数と、光走査装置の温度変化時定数の違いにより、光走査装置に不均一な温度分布が発生して、経時的に変化する走査線の湾曲や部分倍率が生じることになる。
【0010】
このように機内温度が上昇し光走査装置の筐体が不均一な変形をすると、光走査装置内の光学素子の姿勢が変化する。このようにして光学素子の姿勢が変化すると、光学素子の不均一な温度分布による不均一な屈折率分布ができることで光学素子の光学性能が変化し、走査線の湾曲や部分倍率による色重ねズレが発生する。
【0011】
また、光走査装置では、内部に配置されたポリゴンモータの駆動に伴って発生する熱によっても、光走査装置に不均一な温度分布が発生する。
【0012】
そこで、従来の光走査装置では、不均一な温度分布が生じることに対処する手段として、ポリゴンモータの内部や隣接した部分から液体を利用してポリゴンモータが発する熱を吸収する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0013】
この液体を利用してポリゴンモータが発する熱を吸収する手段では、ポリゴンモータから光走査装置の筐体に伝わる熱を吸収することができる。しかし、ポリゴンミラーが気体の中で回転することで粘性摩擦により気体内で発生した熱が気体内を伝播し最終的に筐体にも伝わるため、筐体の温度分布を均一にすることはできない。
【0014】
また、同文献ではさらに、走査光学系の加熱手段を設け、走査開始前にポリゴンモータが発した熱によって走査光学系が到達する熱平衡状態となるように加熱することが提案されている。
【0015】
しかしながら、必ずしも熱平衡状態で光走査装置が均一な温度分布になるとは限らず、また光走査装置の温度と光走査装置の外部気体温度との差によって、光走査装置が不均一な温度分布になるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−31160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、光走査装置が不均一な温度分布となり不均一に変形することによって発生する走査線の湾曲や部分倍率による色重ねズレを抑制可能な光走査装置と光走査装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の光走査装置は、筐体内に、光源手段と、光偏向器と、前記光源手段から出射された光束を前記光偏向器の偏向面に入射させる入射光学系と、前記光偏向器の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを収納して構成した光走査装置において、前記筐体の内部の気体を温調するための第1の温調手段と、前記光偏向器を温調するための第2の温調手段と、前記筐体が配置されている、光走査装置を内部に装着した装置本体のハウジング内にある雰囲気の温度を検出するための温度検出手段と、前記温度検出手段で検出した温度が温調の目標温度となるように前記第1の温調手段及び前記第2の温調手段の設定温度を制御する温度制御手段と、を有することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の請求項6記載の光走査装置は、筐体内に、光源手段と、光偏向器と、前記光源手段から出射された光束を前記光偏向器の偏向面に入射させる入射光学系と、前記光偏向器の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを収納して構成した光走査装置において、前記筐体の内部気体を温調するための第1の温調手段と、前記光偏向器を温調するための第2の温調手段と、前記筐体の内部気体と前記光偏向器とが同じ温度となるように、前記第1の温調手段及び前記第2の温調手段の設定温度を制御する温度制御手段と、前記筐体の偏向走査された光束が出射される部分を除く全体の周囲を、包囲するように配置された断熱材と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光走査装置が不均一な温度分布となり不均一に変形することによって発生する走査線の湾曲や部分倍率による色重ねズレを抑制できる。さらに、経時的に補正が困難な走査線の湾曲や部分倍率による色重ねズレを抑制することができ、色重ね精度の高い光走査装置と光走査装置を用いた画像形成装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置を搭載したカラー画像形成装置内部の概略構成説明図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置に係わる構成を示す概略構成説明図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置の、他の構成を示す概略構成説明図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置をカラー画像形成装置に固定するための構成を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置をキネマティックにマウントする構成を取り出して示す斜視図である。
【図6】本発明の第1実施の形態に係わる光走査装置をキネマティックにマウントする構成の部分を示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係わる光走査装置を断熱材で覆う構成を示す概略構成説明図である。
【図8】本発明の第2実施の形態に係わる光走査装置をキネマティックにマウントする部分が断熱材で覆われた構造を取り出して示す斜視図である。
【図9】カラー画像の画質を劣化させる主な色重ねズレの6種類の原因を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施の形態)
以下に、本発明の第1実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1の光走査装置を4セット搭載したタンデム方式のカラー画像形成装置の要部縦断面図において、100は、カラー画像形成装置である。カラー画像形成装置100における装置本体のハウジング100H内部には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応したトナー像を形成するため4セットの現像部が配置されている。カラー画像形成装置100における装置本体のハウジング100Hの内部には、タンデム方式の4セットの現像部に対応して、像担持体としての感光ドラム12Y〜12BKがその中心で軸支され、矢印方向に回転駆動されるよう装着されている。
【0024】
感光ドラム上のトナー像を形成するための4セットの現像部では、各感光ドラム12Y〜12BKの外周面に対向してその回転方向に、一次帯電器13Y〜13BK、現像装置14Y〜14BKが配置されている。一次帯電器13Y〜13BKは、感光ドラム12Y〜12BKの表面に均一な帯電量の電荷を与える。光走査装置11Y〜11BKは、記録画像信号に応じて変調したレーザ光16Y〜16BKにより感光ドラム12Y〜12BKを走査して露光する。これにより、感光ドラム12Y〜12BK上(像担持体上)には、静電潜像が形成される。各感光ドラム12Y〜12BK上(像担持体上)にそれぞれ形成された静電潜像は、対応する各現像装置14Y〜14BKで、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)の現像剤(以下、トナーという)によりトナー像として可視像化される。各感光ドラム12Y〜12BK上で可視像化されているトナー像は、中間転写ベルト31上(転写体上)に転写される。各感光ドラム12Y〜12BKは、転写位置の下流側で、感光ドラム12〜12BKの表面に残されたトナーをクリーニング装置15Y〜15BKにより掻き落とすことにより、ドラム表面が清掃される。
【0025】
カラー画像形成装置100では、中間転写ベルト31の進行方向の最下流に位置する感光ドラム12BKと駆動ローラ32の間にフォトセンサ51が主走査方向に複数個設けられている。カラー画像形成装置100では、可視像化された各色のトナー像を中間転写ベルト31上で精度良く色重ねするために、中間転写ベルト31上に形成された色重ねズレ補正用パターン画像をフォトセンサ51によって読み取る。そして、カラー画像形成装置100では、フォトセンサ51による検出値に基づいて、必要な色重ねズレの補正量を算出している。さらに、カラー画像形成装置100では、算出された補正量に従って、記録されるべき画像信号に電気的補正を施し、レーザ光の光路中に設けられている補正光学系を駆動することによって、適切な色重ねの調整を行っている。
【0026】
カラー画像形成装置100では、中間転写ベルト31上(転写体上)に形成されたトナー像を、シート状記録媒体である転写材22上に転写する。このため、カラー画像形成装置100の内部には、転写材22を収納したカセット21を配置し、カセット21から送り出された転写材22を給紙ローラ対23および給紙ガイドによってレジストローラ対25まで搬送する。カラー画像形成装置100では、画像形成タイミングに合わせてレジストローラ対25を駆動することにより転写材22を二次転写部へ送り出す。
【0027】
二次転写部は、無端状の中間転写ベルト31を、駆動ローラ32、従動ローラ33、二次転写ローラ35に対向する二次転写対向ローラ34に巻回して構成されている。中間転写ベルト31は、駆動ローラ32から伝達された駆動力により周回動作する。また、二次転写ローラ35は、中間転写ベルト31とその上に給紙された転写材22とを、二次転写対向ローラ34との間に挟んで適度な圧力で加圧し、トナー像を転写材22上に転写するよう構成されている。
【0028】
二次転写部でトナー像が転写された転写材22は、定着ユニット41へ搬入されて加熱定着処理される。定着ユニット41は、定着ローラ対42、搬送ガイド26、定着断熱カバー43、44、排紙ローラ45等を備える。定着ユニット41は、定着断熱カバー43、44に覆われて、定着ユニット41の内部に熱を閉じ込めるように構成されている。この定着ユニット41では、搬送ガイド26によって転写材22を、定着ローラ対42へ導く。定着ローラ対42は、内部にハロゲンヒータ等の熱源を備えており、トナー像を載せた転写材22を加熱及び加圧して、トナー像を転写材22上に定着させる。
【0029】
トナー像が定着され、画像形成が完成された状態で定着ローラ対42から排出された転写材22は、排紙ローラ45により、装置外部に導き出される。
【0030】
次に、上述のように構成されたカラー画像形成装置に用いる光走査装置について説明する。図2の光走査装置の概略構成図で、101は光走査装置であり、タンデム式のカラー画像形成装置内における各色に対応した現像部にそれぞれ設置されている。
【0031】
光走査装置101の主要構造体である筐体104は、アルミ、鉄等の金属や各種エンジニアリングプラスチック材料を使用して形成する。光走査装置101では、物理的に連続している部材を同じ材質又は線膨張係数が同じ材料を用いて構成する。なお、ここで物理的に連続とは、分割された部材の締結部が他方に対して完全に拘束された状態をいう。このように構成された光走査装置101では、温度が一様に変化した場合に、曲がりが無く一様に変形する状態を実現できる。
【0032】
光走査装置101の筐体内部には、入射光学系(屈折光学系)が配置されている。この入射光学系は、光源手段である光源ユニット(図示せず)で発振したレーザビームの光束を走査するための光偏向器であるポリゴンミラー107の偏向面に入射させるように構成されている。
【0033】
さらに、光走査装置101の筐体104の内部には、結像光学系(屈折光学系)108と、反射光学系109とが配置されている。この結像光学系(屈折光学系)108及び反射光学系109は、ポリゴンミラー107の偏向面にて偏向走査されたレーザビーム111の光束を被走査面上である感光ドラム面上に結像する。
【0034】
光走査装置101の筐体104内の光学系で成形されたレーザビーム111は、カバーガラス110から光走査装置101の筐体104の外部へ出射され、感光ドラム表面に結像される。光走査装置101内に配置される上記の光学系は、線膨張係数の違いから温度変動時に熱歪が発生しないようにするため、筐体104に対して、3点の位置決めピンと板バネ等によって固定して配置されている。また、ポリゴンミラー107は、ポリゴンミラー107を回転するための駆動モータと一体にして、筐体104上に固定される。このポリゴンミラー107用の駆動モータは、駆動回路と一体に構成されている。
【0035】
光走査装置101内において、ポリゴンミラー107を駆動モータで高速回転させると、駆動モータ及び駆動回路が発熱し、また、ポリゴンミラー107周囲の内部気体も粘性発熱を起こす。そこで、光走査装置101では、これらの熱が筐体104に伝わらないようにするための温調手段として、気体循環装置102と液体循環装置103を設けている。
【0036】
気体循環装置(筐体の内部の気体を温度調整するための第1の温調手段)102は、循環気体の温度を検出するための温度検出手段と、設定した温度に調整するための温調機121、気体供給路122及び気体回収路123を備える。この光走査装置101では、気体循環装置102によって内部へ温調気体を循環することにより粘性発熱による光走査装置101内部気体の温度上昇を抑制する。
【0037】
また、液体循環装置(光偏向器を温度調整するための第2の温調手段)103は、循環液体の温度を検出するための温度検出手段を備える。これと共に、設定した温度に調整するための温調機131、液体供給路132、液体回収路133及び液冷ジャケット134を備える。液体循環装置(光偏向器を温度調整するための第2の温調手段)103では、液冷ジャケット134内に温調液体を循環させている。この液冷ジャケット134は、筐体104上における駆動モータが設置されている場所の近傍に配置され、駆動モータ及び駆動回路からの熱が筐体104に伝わらないように熱を回収している。なお、本第1実施の形態では、液冷ジャケット134を、駆動モータが設置されている筐体104の部位の裏面側に配置しているが、駆動モータと筐体104の間に配置しても良い。
【0038】
液体循環装置103に循環する熱交換媒体である液体は、水、フッ素系不活性液体(商品名:ガルデン、ソルベイソレクシス社製や商品名:フロリナート、3M社製)が適している。
【0039】
上述のように構成することにより、光走査装置101内部の気体と光走査装置101の筐体の構造部材とを別々に温調(冷却又は加熱)することができる。これにより、光走査装置101の温度を、カラー画像形成装置100のハウジング100H内の雰囲気温度に合わせて略均一に保つことができる。また、液体循環装置103を用いる場合には、気体と比較して熱容量の大きい液体を熱交換媒体(例えば、冷媒)として使用するので、光走査装置筐体の構造部材から効率良く熱交換して熱を回収又は付与することができる。
【0040】
要するに、この光走査装置では、光走査装置全体の温度分布が均一な場合、光走査装置101の構造部材には、曲がりを伴わない単純な伸縮が発生するのみであるので、経時的に変化する走査線の湾曲や部分倍率が生じることを抑制できる。
【0041】
そこで、光走査装置全体の温度分布が均一となるように、温度調節する。そのためには、光走査装置の外部全体を包む雰囲気及び光走査装置内部にあるもの全てが均一な温度となり、光走査装置の全体で温度勾配を生じる部分が無いように温度調節すれば良い。
【0042】
ここでは、光走査装置の筐体の内部気体を光走査装置の外部全体を包む雰囲気と同じ温度となるように、循環気体の温度を調整するための温調機121(第1の温調手段121)で温調する。これと共に、光走査装置の光偏向器であるポリゴンミラー107を光走査装置の外部全体を包む雰囲気と同じ温度となるように、液体循環装置(光偏向器を温調するための第2の温調手段)131で温調して、光走査装置全体の温度分布を均一化する。
【0043】
気体循環装置102と液体循環装置103とに流す流体(熱交換媒体)の温度は、温度センサ141によって検出した光走査装置101が設置されている雰囲気気体(内部気体)112の温度(検出結果)に基づいて決定される。すなわち、気体循環装置102と液体循環装置103が持つそれぞれの温調機121,131の設定温度は、光走査装置101が設置されているハウジング内の雰囲気気体112の温度に基づいて決定される。例えば、温調機121,131の設定温度は、温度センサ141の検出結果と同温度又は一定の温度差(熱交換を促進するために設定された1度等の温度差)を設けた温度とする。
【0044】
また、カラー画像形成装置100のハウジング100H内では、外気連通口150から導入された外気が、ファン151側へ流れ外部に排出されるので、外気連通口150からファン151へ向けた気流が発生する。
【0045】
このため、ハウジング100H内の雰囲気温度を測定する温度センサ141の設置位置は、制御対象の光走査装置101より気流の上流側に当たる外気連通口150寄り、すなわち温度的に上流側が望ましい。このように温度センサ141を設置することで、制御対象の光走査装置101からの熱の影響を温度センサ141が拾うのを抑制することができ、より安定して光走査装置101の温度制御をすることができる。
【0046】
雰囲気気体112の温度は、主に定着器44や感光ドラム12Y〜12BKを駆動するための駆動モータでの発熱及び中間転写ベルト31を駆動するための駆動モータでの発熱によって上昇する。これらから発熱する熱量は、印刷状況によって変動するので、これに連動して雰囲気気体112の温度も変動する。
【0047】
そこで、この画像形成装置の制御部(温度制御手段)では、光走査装置内101を循環する気体と液体供給路132内を循環する液体の温度とを、雰囲気気体112の温度と同じになるように温調機121、131を制御する。
【0048】
例えば、画像形成装置の制御部では、温度センサ141によって検出した光走査装置101を設置したハウジング内の雰囲気気体の温度と、温調機121、131によって温調された直後の熱交換媒体の温度とが等しくなるように制御する。
【0049】
さらに、画像形成装置の制御部では、温度センサ141によって検出した温度が変化した際に、温調機121、131の温調目標温度を変化後の温度に書き換えるリセット処理を実行する。このリセット処理では、例えば、常時、温度センサ141によってハウジング100H内の雰囲気温度を検出し、リアルタイムで温調機121、131の温調目標温度を書き換える。さらに、このリセット処理では、例えば、常時、温度センサ141によってハウジング100H内の雰囲気温度を検出し、温度変化があったタイミングで温調機121、131の温調目標温度を書き換える。また、このリセット処理では、例えば、定期的に、温度センサ141によってハウジング100H内の雰囲気温度を検出し、その都度又は温度変化があった場合に温調機121、131の温調目標温度を書き換えても良い。
【0050】
これとは別に、この画像形成装置では、温調機121、131を制御するための他の手段を構成しても良い。
【0051】
温調機121を制御するための他の手段として、筐体104内の雰囲気温度検知のため、温調機121には、気体回収路123内の熱交換媒体としての空気温度を検知するための図示しない筐体内気体用温度検出手段としての温度センサを設ける。これと共に、筐体104内のポリゴンミラー107の温度検知のため、温調機131には、液体回収路133内の熱交換媒体としての液体の温度を検知するための図示しない光偏向器用温度検出手段としての温度センサを設ける。
【0052】
そして、この画像形成装置の制御部では、温調機121の温度センサ(筐体内気体用温度検出手段)で検知した温度と、温度センサ141で検知したハウジング100H内の雰囲気温度とが等しくなるように、温調機121を制御する。
【0053】
これと共に、この制御部では、温調機131の温度センサ(光偏向器用温度検出手段)で検知した温度と、温度センサ141で検知したハウジング100H内の雰囲気温度とが等しくなるように、温調機131を制御する。
【0054】
この制御部の制御により、光走査装置101の温度を、雰囲気気体112の温度と同じ温度にして均一に保つことができる。
【0055】
なお、本実施の形態に係る光走査装置101は、カラー画像形成装置100以外の露光装置として利用できるもので、例えば、光硬化樹脂を硬化させるための露光装置として用いても良い。この場合には、光硬化樹脂を利用して加工する装置におけるハウジング内の雰囲気温度を計測して光走査装置の温度制御をすることになる。
【0056】
また、このカラー画像形成装置では、光走査装置101が色数に応じた数だけ設置されているので、その個々に上述した温調機121、131等を設ける。
【0057】
このカラー画像形成装置100では、撹拌手段としてのファン151によってハウジング100H内部の雰囲気気体112を外部に排出し、外気連通口150から外気をハウジング100H内に導入することにより、雰囲気気体112を撹拌する。これにより、このカラー画像形成装置100では、光走査装置101が設置されている空間内の雰囲気気体112の温度を均一にすることができる。
【0058】
これにより、この画像形成装置では、複数台の光走査装置101に対して一組の温調機121、131を共有することができる。なお、この画像形成装置では、ファン151側から外気を導入して、外気連通口150から雰囲気気体112を外部へ排出しても上述と同様の効果を得ることができる。
【0059】
また、この画像形成装置では、複数の光走査装置101を内部に配置したハウジング100Hに、撹拌手段としてのファン151と外気連通口150とを設け、ハウジング100H内部を一定温度に冷却するよう構成されている。このように構成した場合には、ハウジング100H内に配置された複数の光走査装置101間の温度差を小さくすることができる。さらにこのように構成した場合には、光走査装置101それぞれの温度差が小さいので、走査線の位置ズレを同様にすることができ、色重ねズレを小さくし、色重ねズレ補正動作の回数を減らすことができる。
【0060】
次に、光走査装置101に設ける冷却手段の他の構成例について、図3を参照して説明する。
【0061】
図3に示す冷却手段(筐体の内部の気体を冷却するための第1の冷却手段)では、光走査装置101内部の気体をファン152によって排出して、内部を負圧とする。これにより図3に示す冷却手段では、外部の雰囲気気体112を気体導入口に設けた防塵フィルタ153を通して光走査装置101内部へ導入するよう構成する。すなわち、防塵フィルタ153は、カラー画像形成装置100のハウジング100H内の雰囲気気体を光走査装置101の筐体内部へ導入する気体導入手段を構成する。また、ファン152は、光走査装置101の筐体内部の気体を筐体外部(カラー画像形成装置100のハウジング100H内)へ排出する気体排出手段を構成する。
【0062】
防塵フィルタ153には、HEPAフィルタ、ULPAフィルタを使用することができる。この防塵フィルタ153を設置した場合には、光走査装置101内部の光学要素が浮遊トナーや塵によって汚染されることで光学性能が低下することを防止できる。
【0063】
光走査装置101における防塵フィルタ153の設置場所は、光走査装置101内の光学要素のうち、レーザビーム111の位置変動に対して温度敏感度が高い部材の近くが望ましい。また、ファン152の設置場所は、ポリゴンミラーの近くが望ましい。
【0064】
上述のような冷却手段(筐体の内部の気体を冷却するための第1の冷却手段)を光走査装置101に設けた場合には、温度敏感度の高い光学要素の温度を雰囲気気体112の温度に、より近づけて安定させることができる。これと共に、上述のような冷却手段を光走査装置101に設けた場合には、ポリゴンミラー付近の粘性発熱により温まった気体を速やかに光走査装置101の外部へ排出することができる。
【0065】
よって、この図3に例示する構成によれば、光走査装置101全体の温度を、雰囲気気体112の温度又は温調機131の温度調整精度に従って、同じ温度で均一に保つことができる。
【0066】
また、この図3に例示する構成によれば、光走査装置101内部の気体を冷却するための温調手段(例えば、温調機121等)を省略して構成を簡素化できる。
【0067】
次に、カラー画像形成装置100内部へ光走査装置101を載置する手段について図4を参照して説明する。
【0068】
図4の要部の概略構成を示す斜視図で、161は、本体フレームである。この本体フレーム161は、鉄、アルミ等の金属チャンネル材や角パイプを溶接して作られている。この本体フレーム161上には、一対のブラケット162、163を、相対向する位置に高い剛性で締結して配置してある。この本体フレーム161上には、一対のブラケット162、163が等間隔で並べられて、4組配置されている。これら4組のブラケット162、163の対には、それぞれ対応する光走査装置101Y〜101BKが、橋渡すように配置される。
【0069】
このとき、一対のブラケット162、163上には、それぞれ対応する光走査装置101Y〜101BKの両端部に突設された据付突片部192、193が、熱歪回避手段を介して載置される。この熱歪回避手段は、光走査装置101をブラケット162、163上にキネマティックにマウントするための構成である。キネマティックにマウントされた光走査装置101では、その本体フレーム161が線膨張係数の違いにより温度変動によってそれぞれ異なる伸縮をしても、光走査装置101を歪ませる負荷が発生しないようにできる。
【0070】
例えば、画像形成装置を連続運転して装置内の温度が上昇した場合には、熱膨張の相異により、光走査装置101を画像形成装置の本体フレーム161上にマウントする部分が光走査装置101に対して相対移動する。このような場合であっても、光走査装置101をブラケット162、163上にキネマティックにマウントした場合には、熱膨張の相異によって光走査装置を変形させることがない。
【0071】
一般にマウントの位置を一意に定義するには、任意の固定座標系について3つの直進座標と3つの回転座標の値を指定する必要がある。あるマウントの持つ自由度と物理的拘束条件の数が合計6個になる場合、そのマウントをキネマティックマウントと言う。
【0072】
このキネマティックマウントの例としては、被マウント部が3つの球から成り、対応するマウント部が円錐、V字溝、平面から構成されるものがある。また、このキネマティックマウントには、被マウント部が3つの球から成り、対応するマウント部が3つのV字溝から成り、それらのV字溝の溝方向が放射状に配置されているものがある。
【0073】
このように構成されるキネマティックマウントの利点の一つとしては、非マウント部材とマウント部とが異なる熱膨張をしても、それによって被マウント部材を変形させる応力が発生しないと言うことが挙げられる。
【0074】
このキネマティックマウントである熱歪回避手段を構成するため、図5、図6に示すように、光走査装置101の一方の据付突片部192には、その長手方向両端部近くに、それぞれボール部181、182を突設する。これらボール部181、182は、半球形の凸部に形成する。さらに、光走査装置101の他方の据付突片部192には、その長手方向中央部に、半球形の凸部に形成されたボール部183を突設する。
【0075】
また、熱歪回避手段を構成するため、一方のブラケット162には、その長手方向両端部近くの一対のボール部181、182に対応した位置に、それぞれ一対のV溝171、172をハの字状に配置する。この一対のV溝171、172は、そのV溝内部に一対のボール部181、182が嵌まる溝形状に形成する。さらに、他方のブラケット163には、その長手方向中央部のボール部183に対応した位置に、ブラケット163の長手方向に直交する方向(カバーガラス110の長手方向)に沿って、V溝173を配置する。
【0076】
このように構成された熱歪回避手段では、ブラケット163のV溝173上にボール部183が載置され、一対のV溝171、172上にそれぞれ一対のボール部181、182が載置されて、いわゆる3点支持の状態で保持される。
【0077】
これと共に、この熱歪回避手段では、一対のボール部181、182の間隔によって、ハの字状に配置された一対のV溝171、172上における位置が決定される。
【0078】
よって、一対のブラケット162、163上に、熱歪回避手段を介して載置された光走査装置101は、によってキネマティックにマウントされると共に、所定の据え付け位置に位置決めされて保持される。
【0079】
さらに、一対のブラケット162、163上に熱歪回避手段を介して載置された光走査装置101では、温度変化により熱伸縮したときに、各ボール部181〜183が各対応するV溝171〜173内を溝の長手方向に移動する。このため、光走査装置101には、熱伸縮を妨げる方向の応力が働く余地がないので、熱歪みによる悪影響が生じることを防止できる。
【0080】
さらに、この熱歪回避手段では、V溝171〜173とボール部181〜183とが点で接触する。このため、光走査装置101とブラケット162、163との間に温度差があっても、熱歪回避手段での熱交換(熱伝達量)が少ないので、光走査装置101全体の温度均一性が悪くなることはない。
【0081】
なお、上述したキネマティックマウントの例では、3つのV溝と3つのボール部により支持する構成について説明した。しかし、このキネマティックマウントは、それぞれ一つの円錐穴、V溝、平面と、3つのボール部とにより構成しても良い。
【0082】
次に、上述した本第1実施の形態に係わるカラー画像形成装置100における、光走査装置101の熱変形の態様と対処について説明する。
【0083】
色重ねズレの原因となる光走査装置101の熱変形には、以下の二つの態様がある。第1の態様は、光走査装置101内部の発熱源からの熱が筐体104に伝わって温度分布が変わる場合である。第2の態様は、光走査装置101の温度と光走査装置101が置かれているカラー画像形成装置内100の雰囲気気体112の温度が異なる時、光走査装置101の温度分布が変わる場合である。
【0084】
これら第1の態様及び第2態様での熱変形では、温度分布が均一な場合、光走査装置101の構造部材が曲がりを伴わない単純な伸縮が発生する。この熱変形により光走査装置101では、線膨張係数の違いから、光学系108、109と筐体104との間で、滑りが発生する。
【0085】
この光走査装置101で温度分布が均一な状態で熱変形を生じた場合には、光学特性の変化に伴なって、走査線の倍率、主、副走査方向への走査線の位置変動が発生し色重ねズレの原因になる。しかし、この温度分布が均一な場合の熱変形を生じた場合には、これらの色重ねズレに対し、従来の色重ね補正技術によって色重ねズレ量を十分小さくすることができる。
【0086】
また、この光走査装置101で温度分布が不均一な状態で熱変形を生じた場合には、光走査装置101の構造部材に曲がりを伴なう不均一な変形が発生する。このため温度分布が不均一な状態で熱変形を生じた場合には、光学系108、109と筐体104との間の滑りに加え、光学系108、109に回転成分を伴なった姿勢変化が発生する。
【0087】
この温度分布が不均一な状態で熱変形を生じた場合には、光学特性の変化に伴なって、走査線の倍率、主、副走査方向への走査線の位置変動に加え、走査線の湾曲が発生し、従来の色重ね補正技術では対処することができない。
【0088】
以上説明したように、本第1実施の形態に係わる光走査装置101によれば、光走査装置の温度分布を雰囲気気体の温度に合わせて均一にすることができる。よって、本第1実施の形態に係わる光走査装置101を利用して、走査線の湾曲の発生を抑え、色重ね精度を高くするよう構成したカラー画像形成装置を提供することができる。
【0089】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態について添付の図7及び図8に基づいて詳細に説明する。本第2実施の形態では、図7に示すように、レーザビーム111が出射する窓の部分を除く光走査装置101全体の周囲を、断熱材201によって包囲するよう構成する。
【0090】
このように光走査装置101の略全体を断熱材201で囲んで覆うように包囲することにより、光走査装置101が雰囲気気体112と熱交換することを抑制することができる。従って、光走査装置101は、雰囲気気体112の温度にかかわらず、気体循環装置102、液体循環装置103で設定した任意の温度で、光走査装置101全体を均一な温度にすることができる。
【0091】
ここで、気体循環装置102及び液体循環装置103で設定する、冷却の目標温度(設定温度)は、例えば、カラー画像形成装置100の色重ねズレの初期調整を行った時の温度に設定することが望ましい。すなわち、この光走査装置101では、筐体の内部気体と光偏向器とが同じ温度となり、かつ色重ねズレの初期調整を行った時の温度になることが望ましい。このように冷却の目標温度を設定した場合には、雰囲気気体112の温度変動にかかわらず、光走査装置101を初期調整された温度状態で動作させるので、色重ねズレを生じないようにできる。
【0092】
この光走査装置101を覆う断熱材201の材質は、その熱伝導率が小さいほど効果が高く、例えば、真空断熱材(VIP:熱伝導率<0.01)、発泡プラスチックが適している。本第2実施の形態において、断熱材201を発泡ウレタンで構成したものについて実験したところ、以下のような結果が得られた。この実験では、断熱材201を、熱伝導率0.02[W/mK]、厚さ10[mm]の発泡ウレタンを用いて構成した。そして、断熱材201の内外の温度差が10℃となる環境において、光走査装置の温度分布を1℃以内に抑えることができた。
【0093】
このように光走査装置の温度分布を1℃以内に抑制した結果、光走査装置の不均一変形に伴なって発生する走査線の湾曲は、走査線長300mmにおいて湾曲量5μm以下となり、十分小さく抑えることができた。
【0094】
次に、断熱材で覆った光走査装置101を本体フレーム161上へ熱歪回避手段によりキネマティックにマウントする部分に関する構成について、図8を参照して説明する。なお、ブラケット162側の構成については、図示しないが、ブラケット163と同様である。
【0095】
本第2実施の形態では、本体フレーム161上に設置するブラケット162、163の横幅(V溝171〜173の長手方向の幅)を長く形成する。そして、各ブラケット162、163は、本体フレーム161の内側方向(相対向する方向)に向けて延出させるように構成する。そして、光走査装置101を覆う断熱材201の端部が、据付突片部192、193を内包するように構成する。これと共に、この断熱材201の各端面部には、それぞれブラケット162、163を貫通させるための開口を穿設する。
【0096】
そして、図8に示すように、断熱材201が、光走査装置101及び熱歪回避手段によりキネマティックにマウントする部分を内包するように構成する。ここで、断熱材201は、ブラケット163側で固定しても良いし、光走査装置101側で固定しても良い。
【0097】
このように構成した場合には、断熱材201を貫通するブラケット163を通じて、断熱材201の内外で熱伝達される。しかし、V溝173とボール部183は点接触しているので、この点接触部分での熱伝達量が少ない。よって、光走査装置101は、ブラケット163を通じて外部と熱交換するときの熱伝達量を少なくできる。
【0098】
さらに、ブラケット163の材質を低熱伝導材にした場合には、ブラケット163を通して行われる、断熱材201の外部の気体と、光走査装置101と断熱材201との間の空間にある気体との熱の授受を少なくできる。
【0099】
これにより、光走査装置101と断熱材201との間の空間にある気体の温度は、光走査装置101の温度と等しくなり、光走査装置101の温度を均一に保つことができる。
【0100】
ここで用いる低熱伝導の材料は、熱伝導率が小さいほど良いが、マウント部材として高い剛性が必要であるので、低熱伝導セラミクス又はガラス等が適している。また、レーザビーム111が出射する窓の部分を除く光走査装置101全体の周囲を、断熱材201によって覆う構成によれば、光走査装置101と光走査装置101が設置された雰囲気気体との間での熱交換量を小さくできる。よって、この構成によれば、雰囲気気体の温度検出手段を省略しても光走査装置の冷却のみで走査装置の温度を均一に保つことができる。
【0101】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0102】
100 カラー画像形成装置
101 光走査装置
102 気体循環装置
103 液体循環装置
104 筐体
107 光偏向器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に、光源手段と、光偏向器と、前記光源手段から出射された光束を前記光偏向器の偏向面に入射させる入射光学系と、前記光偏向器の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを収納して構成した光走査装置において、
前記筐体の内部の気体を温調するための第1の温調手段と、
前記光偏向器を温調するための第2の温調手段と、
前記筐体が配置されている、光走査装置を内部に装着した装置本体のハウジング内にある雰囲気の温度を検出するための温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出した温度が温調の目標温度となるように前記第1の温調手段及び前記第2の温調手段の設定温度を制御する温度制御手段と、
を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記温度制御手段は、
前記温度検出手段で検出した前記ハウジング内にある雰囲気の温度と、前記筐体の内部の気体の温度を検出するために設置された筐体内気体用温度検出手段で検出した温度との差が無くなるように、前記第1の温調手段を制御すると共に、
前記温度検出手段で検出した前記ハウジング内にある雰囲気の温度と、前記筐体の内にある前記光偏向器の温度を検出するために設置された光偏向器用温度検出手段で検出した温度との差が無くなるように、前記第2の温調手段を制御することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記温度制御手段は、
前記温度検出手段で検出した前記ハウジング内にある雰囲気の温度に対応して、前記第1の温調手段の熱交換媒体の温度と前記第2の温調手段の熱交換媒体の温度とを制御すると共に、
少なくとも、前記温度検出手段で検出した前記ハウジング内にある雰囲気の温度変化を検知した際に、前記ハウジング内にある雰囲気の温度変化に対応して、前記第1の温調手段の熱交換媒体の温度と前記第2の温調手段の熱交換媒体の温度とを変化させるように制御することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項4】
前記第1の温調手段は、
前記筐体が配置されている前記ハウジング内の雰囲気気体を前記筐体の内部へ導入する気体導入手段と、前記筐体の内部の気体を前記筐体の外部へ排出する気体排出手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第2の温調手段は、
前記筐体の構造部材を介して、前記光偏向器を温調するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項6】
筐体内に、光源手段と、光偏向器と、前記光源手段から出射された光束を前記光偏向器の偏向面に入射させる入射光学系と、前記光偏向器の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系とを収納して構成した光走査装置において、
前記筐体の内部気体を温調するための第1の温調手段と、
前記光偏向器を温調するための第2の温調手段と、
前記筐体の内部気体と前記光偏向器とが同じ温度となるように、前記第1の温調手段及び前記第2の温調手段の設定温度を制御する温度制御手段と、
前記筐体の偏向走査された光束が出射される部分を除く全体の周囲を、包囲するように配置された断熱材と、
を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の光走査装置を、装置本体のハウジング内に備え、
像担持体上に前記光走査装置によって静電潜像を形成するとともに、前記静電潜像を現像し、像担持体上に形成された像を転写体上に担持されたシート状記録媒体に転写することにより画像を得ることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記光走査装置が、装置内の本体フレームの上に、熱歪回避手段によってキネマティックにマウントされていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ハウジング内に複数の前記光走査装置が収納されており、前記ハウジングには、内部の気体を撹拌するための撹拌手段が設けられていることを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−98674(P2012−98674A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248638(P2010−248638)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】