光送信器、光通信システムおよび光送信方法
【課題】 アナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるようにすることを目的としている。
【解決手段】 ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、を備えた。
【解決手段】 ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信技術に関し、特に、光信号を送信する光送信器、光通信システムおよび光送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MZ(Mach−Zehnder)型光変調器を用いて光源からの光を変調する際には、MZ型光変調器を駆動するためのバイアス電圧制御技術が重要である。バイアス電圧は、一度最適化されたとしても、温度変化や経年変化の影響を受けて最適点からシフトすることが知られている。バイアス電圧が最適点からシフトすると、信号品質が安定した光信号を送信することができなくなる場合がある。そこで、MZ型光変調器に対するバイアス電圧の最適点への自動追尾を実行するバイアス制御方式が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−043638号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】吉田 剛、他6名、「2並列Mach-Zehnder変調器を用いた任意光波形生成のための自動バイアス制御」、信学技報、OCS2010−24、pp.1−6、2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、非特許文献1に開示されている従来の光送信器においては、例えば直交周波数分割多重であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)または64QAMといった多値変調信号や、予等化信号のようなアナログ的な光波形を含む任意の光波形を生成し、その光波形を動的に変化させて運用するアプリケーションにおけるMZ型光変調器のバイアス制御においては、後で詳細な説明を行うように、バイアス電圧を最適点に制御することができなくなる場合があるという問題点があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、例えばアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る光送信器は、ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、光送信器において、例えばアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図2】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図3】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図4】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図5】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図6】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図7】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図8】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図9】この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図
【図10】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図11】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図12】この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図
【図13】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の光送信器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一または相当部分については、同一符号を付して説明する。
【0011】
実施の形態1.
まず、[発明が解決しようとする課題]欄の記載に関する詳細な説明も含めて、この発明の実施の形態1による光送信器においても、後述のMZ(Mach−Zehnder)型光変調器100の一部(例えば、光導波路101B、101D、101E、101H、I−chデータ変調電極102A、I−chバイアス電極103A)として用いられる基本的な構成のMZ型光変調器(以下、「MZ干渉計」という)の動作原理について説明する。図1は、MZ干渉計の消光特性を示す説明図である。図1において、縦軸はMZ干渉計の光出力、横軸はMZ干渉計の駆動電圧である。以下、各図において、光出力はPowerで示し、駆動電圧はVoltageで示す。
【0012】
MZ干渉計は、電極に印加する駆動電圧を変化させることにより、光導波路の屈折率が変化し、光信号の位相が変化するという特徴を有する。この特徴を用いることにより、MZ干渉計の出力段で任意の光波形をもつ光信号を生成することができる。ここで、駆動電圧に対して、出力光レベルが最小となる点をNull点と定義し、出力光レベルが最大となる点をPeak点と定義し、Null点に隣接する各Peak点をそれぞれ得るのに必要な電圧差をVπと定義する。
【0013】
2値駆動の駆動電圧を印加するMZ干渉計では、例えばBPSK(Binary Phase−Shift Keying)信号を得るために、RF(Radio Frequency)信号の振幅を、隣接するPeak点の間で2Vπに設定し、2Vπに渡って掃引する。一般に、Vπに対するRF信号の振幅の比または2Vπに対するRF信号の振幅の比を変調度と称する。BPSK信号では、通常、2Vπに渡って掃引するので、2Vπに対するRF信号の振幅の比を変調度と定義する。従って、RF信号の振幅が2Vπである場合に、変調度は100%となる。
【0014】
すなわち、図1において、Null点を中心として、左右にVπずつ掃引できるようにバイアス電圧を調整するような制御を行うことにより、BPSK信号を得ることができる。このことを、「バイアスをNull点に制御する」と称する。なお、強度変調方式以外の多くの変調方式において、バイアスをNull点に制御することが望ましい。また、この発明の実施の形態1は、バイアスをNull点に制御することを前提としている。
【0015】
図2は、BPSK信号生成時の駆動電圧のヒストグラムを、図1に示したMZ干渉計の消光特性とともに示す説明図である。図2において、ヒストグラムの縦軸はMZ干渉計の駆動電圧の値の分布頻度、横軸はMZ干渉計の駆動電圧である。以下、各図において、分布頻度はFrequencyで示す。図2より、バイアスがNull点に制御されている場合には、信号成分のほとんどがPeak点に存在することが分かる。このように、BPSK信号生成時において、変調度の平均値(以下、「平均変調度」という)は100%である。
【0016】
図3は、BPSK信号生成時において、平均変調度が100%である場合のバイアスずれと平均光出力レベルPAVEとの関係を示す説明図である。以下、各図において、バイアス電圧とNull点との電圧差であるバイアスずれはBias Voltage Errorで示す。図3より、バイアスをNull点に制御しバイアスずれが0である場合に平均光出力レベルPAVEが最大となり、バイアスをPeak点に制御しバイアスずれが±Vπである場合に平均光出力レベルPAVEが最小となることが分かる。
【0017】
図4は、BPSK信号生成時において、平均変調度が100%である場合のバイアスずれと平均光出力レベル差ΔPAVEとの関係を示す説明図である。バイアス制御を実行するためには、例えばバイアス電圧に微小な振幅の既知のディザ信号を重畳し、MZ干渉計からの出力光のレベル変化をモニタすれば良い。このとき、出力光のレベル変化である平均光出力レベル差ΔPAVEは、図4に示すように、図3に示した平均光出力レベルPAVEをバイアスずれで微分した形で表される。図4において、出力光のレベル変化ΔPAVEを誤差信号とし、ΔPAVE→0となるようにバイアス電圧を変化させることにより、バイアスがPeak点およびNull点の何れかに収束する。
【0018】
ここで、Peak点とNull点とでは、出力光のレベル変化ΔPAVEがゼロクロスする際の傾きの極性が互いに異なるので、出力光のレベル変化ΔPAVEとバイアス制御方向との対応付けを適切に行うことにより、バイアスをNull点に収束させることができる。例えば、図4において、ΔPAVE>0の場合にはバイアス電圧を大きくする方向にバイアスを制御し、ΔPAVE<0の場合にはバイアス電圧を小さくする方向にバイアスを制御することにより、バイアスがNull点に収束する。
【0019】
一方、このようなBPSK信号と異なり、アナログ的な波形をもつ電気信号、例えば、直交周波数分割多重であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)や64QAMのような多値変調信号、予等化信号によりMZ型光変調器を駆動する場合には、図2に示したBPSK信号生成時の駆動電圧のヒストグラムが、図5または図6に示すように異なるものとなる。このとき、隣接するPeak点間でのRF信号の振幅が、図2のものと同様に2Vπであっても、平均変調度が低下して見えることとなる。
【0020】
平均変調度が50%に等しい場合には、図4に示した平均変調度100%の場合のバイアスずれと出力光のレベル変化ΔPAVEとの関係が、図7に示すように異なるものとなる。すなわち、バイアス電圧を変化させても平均光出力レベルPAVEが変化しなくなり、バイアス電圧にディザ信号を重畳する方法では、バイアス制御を実行することが不可能となる。
【0021】
また、平均変調度が50%未満である場合には、図4に示した平均変調度100%の場合のバイアスずれと出力光のレベル変化ΔPAVEとの関係が、図8に示すように異なるものとなる。すなわち、図4に示した特性と極性が反転する。また、制御感度は、平均変調度が0%および100%の場合に最大となり、平均変調度が50%の場合に最小となる。
【0022】
以上の説明から理解されるように、MZ干渉計においては、アナログ的な光波形を含む任意の光波形を生成する場合には、特許文献1、非特許文献1に記載の従来のバイアス制御方法により一旦バイアスがNull点に制御されたとしても、例えば予等化信号の等化量をトラッキングするようなアプリケーションにおいて、その駆動電圧のヒストグラムが変化するとき、平均変調度の変化によっては、バイアスがPeak点に向けて制御される可能性や、制御感度不足によってバイアスが不安定になる可能性がある。バイアスがPeak点に収束した場合や、バイアスが不安定になった場合には、出力光の光波形が所望の光波形と異なるものとなり、信号品質が低下する可能性がある。
【0023】
これに対し、この発明の実施の形態1による光送信器では、後述するように、誤差信号極性選択部208を設けることにより、平均変調度に応じて誤差信号に対する極性を適切に選択することができる。これにより、バイアスが正常にNull点に収束するように制御することができるようになる。
【0024】
また、従来の特許文献1に記載されているように、位相差制御のための誤差信号の生成に周波数逓倍器を使用する場合には、入力する信号を高速ショットダイオード等で故意に歪ませて使用するため、多くの高調波成分が出力される。そのため、任意の周波数を選択的に増幅することで所望の周波数の誤差信号を取り出すことになるが、ディザ信号のような数10Hz〜数MHzのような低周波数の信号を扱う場合には非常に狭帯域のフィルタを要することから除去しきれない高調波成分が存在する可能性がある。このような高調波信号がバイアス電圧に混入すると、光信号の信号品質が低下する場合がある。
【0025】
これに対し、この発明の実施の形態1による光送信器では、後述するように、Phase誤差信号の生成に周波数乗算器を用いており、nπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有する同じ周期の信号を周波数乗算器に入力するようしているため、2倍の周波数すなわち半分の周期の信号のみを取り出すことができる。これにより、高調波歪みがなく低ノイズなPhase誤差信号を生成することができるようになる。
【0026】
次に、この発明の実施の形態1による光送信器の構成について説明する。図9は、この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図である。図9において、この光送信器は、MZ型光変調器100、データ信号生成部201、I−ch(In−phase channel)変調器ドライバ202A、Q−ch(Quadrature−phase channel)変調器ドライバ202B、電流電圧変換部203、アナログ・デジタル変換器であるADC(Analog−to−Digital Converter)204、I−chDC用デジタル・アナログ変換器であるI−chDC用DAC(Digital−to−Analog Converter)205A、Q−chDC用DAC205B、PhaseDC用DAC205C、I−chディザ用DAC206A、Q−chディザ用DAC206B、I−chDC・ディザ加算器207A、Q−chDC・ディザ加算器207B、誤差信号極性選択部208、およびバイアス制御部300を備え、それぞれ電気的に接続されている。
【0027】
図9において、MZ型光変調器100は、光導波路101A〜101J、I−chデータ変調電極102A、Q−chデータ変調電極102B、I−chバイアス電極103A、Q−chバイアス電極103B、およびPhaseバイアス電極103Cを有し、例えばLiNbO3基板に形成され、それぞれ光学的に接続されている。また、MZ型光変調器100は、モニタPD(Photo Detector)104を有し、光導波路101Jに光学的に接続されている。
【0028】
図9において、バイアス制御部300は、ディザ信号生成部301、位相器302、ディザ信号乗算部303、I−ch誤差信号生成部304A、Q−ch誤差信号生成部304B、Phase誤差信号生成部304C、I−ch制御信号生成部305A、Q−ch制御信号生成部305B、およびPhase制御信号生成部305Cを有し、それぞれ電気的に接続されている。また、バイアス制御部300は、各DACを介してMZ型光変調器100の各電極と電気的に接続されている。
【0029】
次に動作について説明する。図9において、データ信号生成部201は、任意のデータ系列を示すデータ信号を電気信号として生成する。この生成するデータ信号は、例えば伝送速度が数10Gbpsといった高速の2値信号に限定されず、OFDM信号、16QAMや64QAMといった多値変調信号、または予等化信号のようなアナログ的な電気波形であっても良い。なお、予等化信号は、光伝送路の波長分散や偏波分散による波形歪みが送信側でデジタル信号処理により予め電気的に等化されたものである。
【0030】
また、データ信号生成部201は、生成したデータ信号のうち、I−ch成分であるI−chデータ信号をI−ch変調器ドライバ202Aに出力し、Q−ch成分であるQ−chデータ信号をQ−ch変調器ドライバ202Bに出力するとともに、生成したデータ信号の情報を誤差信号極性選択部208に出力する。
【0031】
I−ch変調器ドライバ202Aは、データ信号生成部201からのI−chデータ信号を光変調器の駆動に十分な電圧まで増幅し、I−chデータ変調電極102Aに出力する。Q−ch変調器ドライバ202Bは、データ信号生成部201からのQ−chデータ信号を光変調器の駆動に十分な電圧まで増幅し、Q−chデータ変調電極102Bに出力する。
【0032】
誤差信号極性選択部208は、まず、データ信号生成部201からのデータ信号の情報に基づいて、データ信号の平均変調度を求める。また、誤差信号極性選択部208は、求めた平均変調度に応じて、バイアス制御用の誤差信号の極性の反転または非反転を選択するための極性選択信号を生成し、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに出力する。
【0033】
具体的には、図4に示したように、データ信号においてピーク電力対平均電力比であるPAPR(Peak−to−Average Power Ratio)が小さく、平均変調度が50%より大きい場合には、誤差信号極性選択部208は、バイアスが正常にNull点に収束するように、極性の非反転を指定した極性選択信号を出力する。一方、図8に示したように、データ信号においてPAPRが大きく、平均変調度が50%未満である場合には、誤差信号極性選択部208は、バイアスが正常にNull点に収束するように、極性の反転を指定した極性選択信号を出力する。ただし、非反転とは、平均変調度が100%である場合にバイアスがNull点に収束する極性とし、反転とは、平均変調度が100%である場合にバイアスがPeak点に収束する極性としている。
【0034】
ここで、誤差信号極性選択部208は、平均変調度に応じてバイアス制御用の誤差信号の極性を変化させるのであるが、実際には、逐次平均変調度を求めるのではなく、例えばテーブルを設け、平均変調度に応じた情報と誤差信号の極性との対応関係を記憶しておくことが考えられる。例えば、予等化信号に対するバイアス制御であれば、予等化量と平均変調度との関係は、単調関数となるので、平均変調度に応じた情報である所定の予等化量をしきい値として記憶し、予等化量がしきい値よりも大きい場合に極性の非反転を指定した極性選択信号を出力し、予等化量がしきい値よりも小さい場合に極性の反転を指定した極性選択信号を出力するようにすることが考えられる。
【0035】
また、図9において、電流電圧変換部203は、MZ型光変調器100の光出力の光強度に応じた検出電流を出力するモニタPD104からの検出電流を電圧信号に変換するとともに、直流成分除去、増幅処理等を実行して、ADC204に出力する。
【0036】
ADC204は、電流電圧変換部203からの電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、I−ch誤差信号生成部304A、Q−ch誤差信号生成部304BおよびPhase誤差信号生成部304Cに出力する。
【0037】
ディザ信号生成部301は、正極性と負極性とを交互にとる周期信号であるディザ信号を生成し、位相器302、ディザ信号乗算部303、I−ch誤差信号生成部304A、およびI−chディザ用DAC206Aにそれぞれ出力する。なお、ディザ信号の周波数は、データ信号の伝送速度の数10Gbpsに比べて十分に低速で、例えば数10〜数100Hzである。
【0038】
位相器302は、ディザ信号生成部301から入力されたディザ信号にnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を与えてディザ信号乗算部303、Q−ch誤差信号生成部304B、およびQ−chディザ用DAC206Bにそれぞれ出力する。なお、予め決まった周期のディザ信号でバイアス制御させるため、位相器302は相対的な位相差を有する固定値を与えるようにしても良い。
【0039】
ディザ信号乗算部303は、ディザ信号生成部301からのディザ信号と位相器302からのディザ信号との排他的論理積を演算し、この演算結果としてディザ信号の2倍の周波数を有する信号を生成しPhase誤差信号生成部304Cに出力する。ここで、特許文献1ではディザ信号の2倍の周波数を有する信号を生成するために逓倍器を用いているため、2次以上の高調波成分の信号がPhase誤差信号のノイズとて検出される。これに対し、この発明の実施の形態1ではディザ信号乗算部303を用いることで2次以上の高調波成分の信号が誤差信号生成部301に入力されないため、高調波歪みのないPhase誤差信号を生成することができる。
【0040】
I−ch誤差信号生成部304Aは、ADC204からのデジタル電圧信号とディザ信号生成部301からのディザ信号との積を演算し、次の式(1)で表されるI−ch誤差信号e_Iを生成する。
【0041】
e_I∝I(p,0)−I(m,0)・・(1)
【0042】
以下、各式において、I(a,b)はモニタPD104から出力される電流信号を示し、aはI−chのディザを示し、bはQ−chのディザを示し、pはディザが正極性側にあることを示し、mはディザが負極正側にあることを示し、0はディザが重畳されていないことを示す。
【0043】
なお、I−ch誤差信号生成部304Aは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が非反転指定であれば、I−ch誤差信号e_IをそのままI−ch制御信号生成部305Aに出力する。一方、I−ch誤差信号生成部304Aは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が反転指定であれば、I−ch誤差信号e_Iの極性を反転してI−ch制御信号生成部305Aに出力する。
【0044】
Q−ch誤差信号生成部304Bは、ADC204からのデジタル電圧信号と位相器302からのディザ信号との積を演算し、次の式(2)で表されるQ−ch誤差信号e_Qを生成する。
【0045】
e_Q∝I(0,p)−I(0,m)・・(2)
【0046】
なお、Q−ch誤差信号生成部304Bは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が非反転指定であれば、Q−ch誤差信号e_QをそのままQ−ch制御信号生成部304Bに出力する。一方、Q−ch誤差信号生成部304Bは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が反転指定であれば、Q−ch誤差信号e_Qの極性を反転してQ−ch制御信号生成部305Bに出力する。
【0047】
Phase誤差信号生成部305Cは、ADC204からのデジタル電圧信号とディザ信号乗算部303からのディザ信号の2倍の周波数を有する信号との積を演算し、次の式(3)で表されるPhase誤差信号e_Pを生成し、そのままの極性でPhase制御信号生成部305Cに出力する。
【0048】
e_P∝I(p,p)−I(p,m)−{I(m,p)−I(m,m)}・・(3)
【0049】
なお、式(3)において、ディザ信号乗算部303に入力する2つのディザ信号は、互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有するため、I(p,p)、I(p,m)、I(m,p)、およびI(m,m)が等しい確率で生じる。
【0050】
I−ch制御信号生成部305Aは、I−ch誤差信号生成部304AからのI−ch誤差信号e_Iに基づいて、例えば比例積分制御を実行することでI−ch用DCバイアス信号を生成し、I−chDC用DAC205Aに出力する。なお、比例積分制御は、誤差信号に比例して入力値を変化させる動作と誤差信号の積分に比例して入力値を変化させる動作とを組み合わせた制御を行うものである。
【0051】
Q−ch制御信号生成部305Bは、Q−ch誤差信号生成部304BからのQ−ch誤差信号e_Qに基づいて、同様に比例積分制御を実行することでQ−ch用DCバイアス信号を生成し、Q−chDC用DAC205Bに出力する。
【0052】
Phase制御信号生成部305Cは、Phase誤差信号生成部304CからのPhase誤差信号e_Pに基づいて、同様に比例積分制御を実行することでPhase用DCバイアス信号を生成し、PhaseDC用DAC205Cに出力する。
【0053】
I−chDC用DAC205Aは、I−ch制御信号生成部305AからのI−ch用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、I−chDC・ディザ加算器207Aに出力する。
【0054】
Q−chDC用DAC205Bは、Q−ch制御信号生成部305BからのQ−ch用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、Q−chDC・ディザ加算器207Bに出力する。
【0055】
PhaseDC用DAC205Cは、Phase制御信号生成部304CからのPhase用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、バイアス電圧としてPhaseバイアス電極103Cに出力する。
【0056】
I−chディザ用DAC206Aは、ディザ信号生成部301からのI−chディザ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、I−chDC・ディザ加算器207Aに出力する。
【0057】
Q−chディザ用DAC206Bは、位相器302からのQ−chディザ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、Q−chDC・ディザ加算器207Bに出力する。
【0058】
I−chDC・ディザ加算器207Aは、I−chDC用DAC205Aからのバイアス電圧としてのI−ch用DCバイアス信号と、I−chディザ用DAC206AからのI−chディザ信号とを加算し、この加算結果をI−chバイアス信号としてI−chバイアス電極103Aに出力する。
【0059】
Q−chDC・ディザ加算器207Bは、Q−chDC用DAC205Bからのバイアス電圧としてのQ−ch用DCバイアス信号と、Q−chディザ用DAC206BからのQ−chディザ信号とを加算し、この加算結果をQ−chバイアス信号としてQ−chバイアス電極103Bに出力する。
【0060】
また、図9において、MZ型光変調器100は、図示しない波長可変光源から入力された光(以下、光入力という)を、各電極に入力された電気信号に基づいて変調し、光信号として出力する(以下、光出力という)。例えば1.5μm波長帯の連続発振のレーザ光である光入力は、まず、光導波路101Aに入力される。
【0061】
光導波路101Aは、光導波路101Bと光導波路101Cとに分岐しており、光導波路101Aを通過した光は、光導波路101Bと光導波路101Cとに分岐される。光導波路101Bは、光導波路101Dと光導波路101Eとに分岐しており、光導波路101Bを通過した光は、光導波路101Dと光導波路101Eとに分岐される。光導波路101Cは、光導波路101Fと光導波路101Gとに分岐しており、光導波路101Cを通過した光は、光導波路101Fと光導波路101Gとに分岐される。
【0062】
I−chデータ変調電極102Aは、I−ch変調器ドライバ202AからのI−chデータ信号に基づいて、光導波路101Dおよび光導波路101Eを通過する光をデータ変調する。I−chバイアス電極103Aは、I−chDC・ディザ加算器207AからのI−chバイアス信号に基づいて、光導波路101Dおよび光導波路101Eを通過する光を位相変調する。光導波路101Dおよび光導波路101Eにおいてデータ変調および光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Hに入力される。
【0063】
Q−chデータ変調電極102Bは、Q−ch変調器ドライバ202BからのQ−chデータ信号に基づいて、光導波路101Fおよび光導波路101Gを通過する光をデータ変調する。Q−chバイアス電極103Bは、Q−chDC・ディザ加算器207BからのQ−chバイアス信号に基づいて、光導波路101Fおよび光導波路101Gを通過する光を位相変調する。光導波路101Fおよび光導波路101Gにおいてデータ変調および光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Iに入力される。
【0064】
Phaseバイアス電極103Cは、PhaseDC用DAC205CからのPhaseバイアス信号に基づいて、光導波路101Hおよび光導波路101Iを通過する光を位相変調する。光導波路101Hおよび光導波路101Iにおいて光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Jに入力され、光導波路101Jを通過した光信号は、光出力として外部に出力される。
【0065】
次に、この発明の実施の形態1による光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図10は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。図10において、まず、初期引込状態として、アナログ的で動的に変化するような光波形ではなく、所定の固定振幅をもつような光波形を与える2値駆動信号または既知信号を利用して、すなわち、その信号をMZ型光変調器100の各データ変調電極に入力した状態で、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧の仮最適化を実行する(ステップST1)。
【0066】
具体的には、I−ch制御信号生成部305AからのI−ch用DCバイアス信号、Q−ch制御信号生成部305AからのQ−ch用DCバイアス信号、およびPhase制御信号生成部305CからのPhase用DCバイアス信号が仮に最適化される。これを初期引込状態と定義する。なお、この初期引込状態におけるバイアス電圧の仮最適化では、2値駆動信号等が入力した状態で、後述する基本ループにおけるバイアス電圧の制御と同様の制御が実行される。これにより、所定の固定振幅の電気波形に対応した固定的な平均変調度で安定にバイアス電圧の目標値への引込を行うことができる。
【0067】
初期引込状態後、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧は、仮最適化された値に保持され、任意電気波形入力状態に遷移する(ステップST2)。この任意電気波形入力状態では、MZ型光変調器100の各データ変調電極に、所望する任意振幅の電気波形である任意電気波形が入力される。この任意電気波形は、例えばアナログ的かつ動的に変化するような光波形を与えるものである。
【0068】
任意電気波形がMZ型光変調器100に入力された後、誤差信号極性指定状態に遷移する(ステップST3)。この誤差信号極性指定状態では、誤差信号極性選択部208により、任意の電気波形の平均変調度が求められる。
【0069】
求めた平均変調度が50%より大きい場合には、誤差信号に対する極性を非反転とするように、誤差信号極性選択部208から、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに対し、極性の非反転を指定した極性選択信号が出力される。これにより、I−ch誤差信号e_IおよびQ−ch誤差信号e_Qの極性を非反転とし、図4に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0070】
逆に、求めた平均変調度が50%未満である場合には、誤差信号に対する極性を反転とするように、誤差信号極性選択部208から、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに対し、極性の反転を指定した極性選択信号が出力される。これにより、I−ch誤差信号e_IおよびQ−ch誤差信号e_Qの極性を反転とし、図8に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0071】
このように、誤差信号の極性が正常化された後、運用制御状態である基本ループに遷移する(ステップST4)。この基本ループでは、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧が順番に制御される。なお、Q−ch、I−ch、Phaseの各バイアス電圧の順番に制御するようにしても良い。
【0072】
ここで、I−chバイアス制御ステップでは、I−chのバイアス端子のみにディザ信号が重畳される(ステップST41)。Q−chバイアス制御ステップでは、Q−chのバイアス端子のみにディザ信号が重畳される(ステップST42)。
【0073】
また、図11は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図であり、Phaseバイアス制御ステップにおいて、DAC206A、Bから出力されるディザ信号とモニタPD204で検出される誤差信号の電気波形を示すグラフである。図10、図11において、Phaseバイアス制御ステップでは、I−ch、Q−chのバイアス端子に、同じ周期で互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有するディザ信号がそれぞれ重畳される(ステップST43)。
【0074】
これにより、図11において、Phaseバイアス制御時に、モニタPD204でディザ信号の2倍の周波数のPhase誤差信号が検出される時は、I−chとQ−chの位相差がπ/2に保持できていない時であり、この位相差がNπ(Nは整数)である時は、モニタPD204で検出されるPhase誤差信号は最大になる。従って、このPhase誤差信号が0になるように制御することでI−chとQ−chの位相差をπ/2に保持することができる。
【0075】
なお、非特許文献1に示された従来のバイアス制御方法では、Phaseバイアス制御ステップにてf0と2f0という異なる周波数のディザ信号を重畳し、周波数f0の誤差信号を用いてPhaseバイアス制御を行っている。これに対し、この発明の実施の形態1では、図11に示すように、同じ周波数f0で互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは0を除く整数)の位相差を有するディザ信号を重畳することで、周波数2f0の誤差信号を用いてPhaseバイアス制御を行っている。これにより、Phaseバイアス制御時のバイアスずれの影響を低減することが可能となる。また、ディザ信号生成部301を共通にすることでアナログ回路を簡易な構成で実現することができる。
【0076】
また、図10に示す基本ループのステップST4において、任意電気波形の特徴を変化させる要求がない場合には(ステップST44のNo)、再びI−chバイアス制御のステップST41から繰り返し、一方、任意電気波形の特徴を変化させる要求がある場合には(ステップST44のYes)、任意電気波形入力状態のステップST2に遷移する。
【0077】
以上のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、誤差信号極性選択部208により、平均変調度に応じてI−ch、Q−ch誤差信号に対する極性を適切に選択するようにしている。これにより、例えばOFDM信号、多値変調信号、予等化信号のようにアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。
【0078】
また、上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のPhaseバイアス制御において、周波数乗算器としてのディザ信号乗算部303により、ディザ信号の2倍の周波数の信号を生成するようにしている。これにより、高調波歪みがなく低ノイズなPhase誤差信号を生成することができるという作用効果を奏する。
【0079】
実施の形態2.
上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器は、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、誤差信号極性選択部208により、平均変調度に応じてI−ch、Q−ch誤差信号に対する極性を適切に選択するようにしたものであるが、この発明の実施の形態2による光送信器は、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、ドライバ利得制御部209により、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにしたものである。なお、実施の形態1の変形例として、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209の両方を設けるようにしても良い。
【0080】
図12は、この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図である。図12において、誤差信号極性選択部208に代え、ドライバ利得制御部209を設けるようにした構成を除き、図9に示した実施の形態1による光送信器と同様の構成であり、その同様の構成と、それによる同様の動作については説明を省略する。なお、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209との両方を設けるようにしても良く、また、この両方を一体的に構成するようにしても良い。
【0081】
次に動作について説明する。図12において、データ信号生成部201は、生成したデータ信号のうち、I−ch成分であるI−chデータ信号をI−ch変調器ドライバ202Aに出力し、Q−ch成分であるQ−chデータ信号をQ−ch変調器ドライバ202Bに出力するとともに、生成したデータ信号の情報をドライバ利得制御部209に出力する。
【0082】
ドライバ利得制御部209は、まず、データ信号生成部201からのデータ信号の情報に基づいて、データ信号の平均変調度を求める。また、ドライバ利得制御部209は、求めた平均変調度に応じて、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bの増幅利得を制御するための利得制御信号を生成し、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bに出力する。
【0083】
このとき、ドライバの増幅利得は、平均変調度が50%よりも十分に小さい値、例えば30%になるように制御される。なお、ドライバの増幅利得は、平均変調度が50%よりも十分に大きい値、例えば80%になるように制御されるようにしても良く、要するに、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにすれば、後述するような同様の作用効果を奏する。
【0084】
I−ch変調器ドライバ202Aは、データ信号生成部201からのI−chデータ信号を、ドライバ利得制御部209からの利得制御信号によって決定される増幅利得に応じて増幅し、I−chデータ変調電極102Aに出力する。Q−ch変調器ドライバ202Bは、データ信号生成部201からのQ−chデータ信号を、ドライバ利得制御部209からの利得制御信号によって決定される増幅利得に応じて増幅し、Q−chデータ変調電極102Bに出力する。
【0085】
ここで、ドライバ利得制御部209は、平均変調度に応じてドライバの増幅利得を変化させるのであるが、実際には、逐次平均変調度を求めるのではなく、例えばテーブルを設け、平均変調度に応じた情報とドライバの増幅利得との対応関係を記憶しておくことが考えられる。例えば、予等化信号に対するバイアス制御であれば、予等化量と平均変調度との関係は、単調関数となるので、平均変調度に応じた情報である予等化量とI−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bの波形調整端子に与える利得制御信号との関係をテーブルに保持しておくようにすれば良い。
【0086】
次に、この発明の実施の形態2による光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図13は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同様の処理については、説明を省略する。
【0087】
図13において、任意電気波形入力状態のステップST2で、任意電気波形がMZ型光変調器100に入力された後、変調度制御状態に遷移する(ステップST3a)。この変調度制御状態では、ドライバ利得制御部209は、任意電気波形の平均変調度を求める。
【0088】
ドライバ利得制御部209は、求めた任意電気波形の平均変調度に応じて、平均変調度が50%よりも十分に小さく、例えば30%となるように、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bに対して、増幅利得を制御するための利得制御信号を出力する。
【0089】
このように、ドライバの増幅利得が制御された後、運用制御状態である基本ループに遷移する(ステップST4)。このとき、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bは、反転の極性のI−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号をそれぞれ出力するように設定されている。これにより、図8に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0090】
なお、平均変調度が50%よりも十分に大きく、例えば80%となるようにドライバの増幅利得が制御される場合には、基本ループのステップST4において、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bを、非反転の極性のI−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号がそれぞれ出力されるように設定していれば良い。これにより、図4に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0091】
また、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209との両方が設けられている場合には、図13において、ステップST3aとステップST4との間に、図10に示した誤差信号極性指定状態のステップST3を追加し、すなわち、変調度制御状態のステップST3aでドライバの増幅利得が制御された後、誤差信号極性指定状態のステップST3に遷移し、次に、運用制御状態である基本ループのステップST4に遷移するようにすれば良い。これにより、変調度制御状態のステップST3aにおいて、平均変調度が50%を除く大小何れの値に制御されても、誤差信号極性指定状態のステップST3において、I−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号に適切な極性を設定することができ、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0092】
以上のように、この発明の実施の形態2による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、ドライバ利得制御部209により、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにしている。これにより、例えばOFDM信号、多値変調信号、予等化信号のようにアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。また、誤差信号極性選択部208により、誤差信号に適切な極性を設定することで、平均変調度が50%を除く大小何れの値に柔軟に制御される場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。
【0093】
なお、上述のように、この発明の実施の形態1、2による光送信器においては、MZ型光変調器100は、2並列MZ型光変調器であって、単一電極、ゼロチャープ型、モニタPD104内蔵のものを示したが、これに限定されず、光導波路101Dおよび光導波路101Eの双方、光導波路101Fおよび光導波路101Gの双方、並びに光導波路101Hおよび光導波路101Iの双方にそれぞれ電極を備え、プッシュ・プル駆動によりゼロチャープを実現するような2並列MZ型光変調器であっても良く、その場合、各電極でプッシュ・プル駆動するように駆動およびバイアス制御できるようにすることにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。
【0094】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器100は、シングルMZ型光変調器、すなわち上述のMZ干渉計であっても良く、その場合、Q−ch制御部分およびPhase制御部分を省略することにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。また、MZ型光変調器100は、偏波多重型の2並列MZ型光変調器であっても良く、その場合、I−ch制御部分、Q−ch制御部分およびPhase制御部分を、直交偏波成分についても用意することにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。
【0095】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器100がモニタPD104を内蔵していない場合は、MZ型光変調器100の出力端に光を分岐する光カプラを挿入するとともに、モニタPDを外付けするようにすれば良い。
【0096】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、I−ch、Q−ch、Phase用DCバイアス信号は、図示しないレベル変換回路により、MZ型光変調器100のEnd−of−Lifeでのバイアスシフト規格をカバーできる範囲で制御可能とすることが望ましい。
【0097】
なお、上述の実施の形態1、2による光送信器においては、バイアス制御部300はデジタル信号処理回路として説明したが、制御機能については、光送信器に設けたマイクロコンピュータ等に制御方法を実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により実現するようにしても良い。このとき、ディザ信号のディザ周波数は、例えば数10〜数100Hzとすれば良い。
【0098】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器を駆動する任意電気波形は、10〜100msecオーダでは、平均レベルに対して対称なヒストグラムを有することが望ましい。また、MZ型光変調器のバイアス電圧の最適点の経年変化に対応するためには、バイアスの初期ロック点が、0Vから最も近い点となるように制御することが望ましい。
【0099】
また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器から送信された光信号を光ファイバで伝送し、光受信器で受信する光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器を2台以上設け、2台以上の光送信器から送信された光信号を波長多重して光ファイバで伝送し、受信側で波長分離して波長ごとに2台以上の光受信器で受信するWDM(Wavelength Division Multiplexing)光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器を2台設け、2台の光送信器から送信された光信号を互いに直交した偏波で偏波多重して光ファイバで伝送し、受信側で偏波分離して偏波ごとに2台の光受信器で受信する偏波多重光通信システムに適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0100】
100 MZ型光変調器
101A〜101J 光導波路
102A I−chデータ変調電極
102B Q−chデータ変調電極
103A I−chバイアス電極
103B Q−chバイアス電極
103C Phaseバイアス電極
201 データ信号生成部
202A I−ch変調器ドライバ
202B Q−ch変調器ドライバ
203 電流電圧変換部
204 ADC
205A I−chDC用DAC
205B Q−chDC用DAC
205C PhaseDC用DAC
206A I−chディザ用DAC
206B Q−chディザ用DAC
207A I−chDC・ディザ加算器
207B Q−chDC・ディザ加算器
208 誤差信号極性選択部
209 ドライバ利得制御部
300 バイアス制御部
301 ディザ信号生成部
302 位相器
303 ディザ信号乗算部
304A I−ch誤差信号生成部
304B Q−ch誤差信号生成部
304C Phase誤差信号生成部
305A I−ch制御信号生成部
305B Q−ch制御信号生成部
305C Phase制御信号生成部
【技術分野】
【0001】
この発明は、光通信技術に関し、特に、光信号を送信する光送信器、光通信システムおよび光送信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MZ(Mach−Zehnder)型光変調器を用いて光源からの光を変調する際には、MZ型光変調器を駆動するためのバイアス電圧制御技術が重要である。バイアス電圧は、一度最適化されたとしても、温度変化や経年変化の影響を受けて最適点からシフトすることが知られている。バイアス電圧が最適点からシフトすると、信号品質が安定した光信号を送信することができなくなる場合がある。そこで、MZ型光変調器に対するバイアス電圧の最適点への自動追尾を実行するバイアス制御方式が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−043638号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】吉田 剛、他6名、「2並列Mach-Zehnder変調器を用いた任意光波形生成のための自動バイアス制御」、信学技報、OCS2010−24、pp.1−6、2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、非特許文献1に開示されている従来の光送信器においては、例えば直交周波数分割多重であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)または64QAMといった多値変調信号や、予等化信号のようなアナログ的な光波形を含む任意の光波形を生成し、その光波形を動的に変化させて運用するアプリケーションにおけるMZ型光変調器のバイアス制御においては、後で詳細な説明を行うように、バイアス電圧を最適点に制御することができなくなる場合があるという問題点があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、例えばアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る光送信器は、ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、光送信器において、例えばアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図2】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図3】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図4】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図5】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図6】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図7】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図8】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図9】この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図
【図10】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図11】この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図
【図12】この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図
【図13】この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の光送信器の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一または相当部分については、同一符号を付して説明する。
【0011】
実施の形態1.
まず、[発明が解決しようとする課題]欄の記載に関する詳細な説明も含めて、この発明の実施の形態1による光送信器においても、後述のMZ(Mach−Zehnder)型光変調器100の一部(例えば、光導波路101B、101D、101E、101H、I−chデータ変調電極102A、I−chバイアス電極103A)として用いられる基本的な構成のMZ型光変調器(以下、「MZ干渉計」という)の動作原理について説明する。図1は、MZ干渉計の消光特性を示す説明図である。図1において、縦軸はMZ干渉計の光出力、横軸はMZ干渉計の駆動電圧である。以下、各図において、光出力はPowerで示し、駆動電圧はVoltageで示す。
【0012】
MZ干渉計は、電極に印加する駆動電圧を変化させることにより、光導波路の屈折率が変化し、光信号の位相が変化するという特徴を有する。この特徴を用いることにより、MZ干渉計の出力段で任意の光波形をもつ光信号を生成することができる。ここで、駆動電圧に対して、出力光レベルが最小となる点をNull点と定義し、出力光レベルが最大となる点をPeak点と定義し、Null点に隣接する各Peak点をそれぞれ得るのに必要な電圧差をVπと定義する。
【0013】
2値駆動の駆動電圧を印加するMZ干渉計では、例えばBPSK(Binary Phase−Shift Keying)信号を得るために、RF(Radio Frequency)信号の振幅を、隣接するPeak点の間で2Vπに設定し、2Vπに渡って掃引する。一般に、Vπに対するRF信号の振幅の比または2Vπに対するRF信号の振幅の比を変調度と称する。BPSK信号では、通常、2Vπに渡って掃引するので、2Vπに対するRF信号の振幅の比を変調度と定義する。従って、RF信号の振幅が2Vπである場合に、変調度は100%となる。
【0014】
すなわち、図1において、Null点を中心として、左右にVπずつ掃引できるようにバイアス電圧を調整するような制御を行うことにより、BPSK信号を得ることができる。このことを、「バイアスをNull点に制御する」と称する。なお、強度変調方式以外の多くの変調方式において、バイアスをNull点に制御することが望ましい。また、この発明の実施の形態1は、バイアスをNull点に制御することを前提としている。
【0015】
図2は、BPSK信号生成時の駆動電圧のヒストグラムを、図1に示したMZ干渉計の消光特性とともに示す説明図である。図2において、ヒストグラムの縦軸はMZ干渉計の駆動電圧の値の分布頻度、横軸はMZ干渉計の駆動電圧である。以下、各図において、分布頻度はFrequencyで示す。図2より、バイアスがNull点に制御されている場合には、信号成分のほとんどがPeak点に存在することが分かる。このように、BPSK信号生成時において、変調度の平均値(以下、「平均変調度」という)は100%である。
【0016】
図3は、BPSK信号生成時において、平均変調度が100%である場合のバイアスずれと平均光出力レベルPAVEとの関係を示す説明図である。以下、各図において、バイアス電圧とNull点との電圧差であるバイアスずれはBias Voltage Errorで示す。図3より、バイアスをNull点に制御しバイアスずれが0である場合に平均光出力レベルPAVEが最大となり、バイアスをPeak点に制御しバイアスずれが±Vπである場合に平均光出力レベルPAVEが最小となることが分かる。
【0017】
図4は、BPSK信号生成時において、平均変調度が100%である場合のバイアスずれと平均光出力レベル差ΔPAVEとの関係を示す説明図である。バイアス制御を実行するためには、例えばバイアス電圧に微小な振幅の既知のディザ信号を重畳し、MZ干渉計からの出力光のレベル変化をモニタすれば良い。このとき、出力光のレベル変化である平均光出力レベル差ΔPAVEは、図4に示すように、図3に示した平均光出力レベルPAVEをバイアスずれで微分した形で表される。図4において、出力光のレベル変化ΔPAVEを誤差信号とし、ΔPAVE→0となるようにバイアス電圧を変化させることにより、バイアスがPeak点およびNull点の何れかに収束する。
【0018】
ここで、Peak点とNull点とでは、出力光のレベル変化ΔPAVEがゼロクロスする際の傾きの極性が互いに異なるので、出力光のレベル変化ΔPAVEとバイアス制御方向との対応付けを適切に行うことにより、バイアスをNull点に収束させることができる。例えば、図4において、ΔPAVE>0の場合にはバイアス電圧を大きくする方向にバイアスを制御し、ΔPAVE<0の場合にはバイアス電圧を小さくする方向にバイアスを制御することにより、バイアスがNull点に収束する。
【0019】
一方、このようなBPSK信号と異なり、アナログ的な波形をもつ電気信号、例えば、直交周波数分割多重であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)や64QAMのような多値変調信号、予等化信号によりMZ型光変調器を駆動する場合には、図2に示したBPSK信号生成時の駆動電圧のヒストグラムが、図5または図6に示すように異なるものとなる。このとき、隣接するPeak点間でのRF信号の振幅が、図2のものと同様に2Vπであっても、平均変調度が低下して見えることとなる。
【0020】
平均変調度が50%に等しい場合には、図4に示した平均変調度100%の場合のバイアスずれと出力光のレベル変化ΔPAVEとの関係が、図7に示すように異なるものとなる。すなわち、バイアス電圧を変化させても平均光出力レベルPAVEが変化しなくなり、バイアス電圧にディザ信号を重畳する方法では、バイアス制御を実行することが不可能となる。
【0021】
また、平均変調度が50%未満である場合には、図4に示した平均変調度100%の場合のバイアスずれと出力光のレベル変化ΔPAVEとの関係が、図8に示すように異なるものとなる。すなわち、図4に示した特性と極性が反転する。また、制御感度は、平均変調度が0%および100%の場合に最大となり、平均変調度が50%の場合に最小となる。
【0022】
以上の説明から理解されるように、MZ干渉計においては、アナログ的な光波形を含む任意の光波形を生成する場合には、特許文献1、非特許文献1に記載の従来のバイアス制御方法により一旦バイアスがNull点に制御されたとしても、例えば予等化信号の等化量をトラッキングするようなアプリケーションにおいて、その駆動電圧のヒストグラムが変化するとき、平均変調度の変化によっては、バイアスがPeak点に向けて制御される可能性や、制御感度不足によってバイアスが不安定になる可能性がある。バイアスがPeak点に収束した場合や、バイアスが不安定になった場合には、出力光の光波形が所望の光波形と異なるものとなり、信号品質が低下する可能性がある。
【0023】
これに対し、この発明の実施の形態1による光送信器では、後述するように、誤差信号極性選択部208を設けることにより、平均変調度に応じて誤差信号に対する極性を適切に選択することができる。これにより、バイアスが正常にNull点に収束するように制御することができるようになる。
【0024】
また、従来の特許文献1に記載されているように、位相差制御のための誤差信号の生成に周波数逓倍器を使用する場合には、入力する信号を高速ショットダイオード等で故意に歪ませて使用するため、多くの高調波成分が出力される。そのため、任意の周波数を選択的に増幅することで所望の周波数の誤差信号を取り出すことになるが、ディザ信号のような数10Hz〜数MHzのような低周波数の信号を扱う場合には非常に狭帯域のフィルタを要することから除去しきれない高調波成分が存在する可能性がある。このような高調波信号がバイアス電圧に混入すると、光信号の信号品質が低下する場合がある。
【0025】
これに対し、この発明の実施の形態1による光送信器では、後述するように、Phase誤差信号の生成に周波数乗算器を用いており、nπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有する同じ周期の信号を周波数乗算器に入力するようしているため、2倍の周波数すなわち半分の周期の信号のみを取り出すことができる。これにより、高調波歪みがなく低ノイズなPhase誤差信号を生成することができるようになる。
【0026】
次に、この発明の実施の形態1による光送信器の構成について説明する。図9は、この発明の実施の形態1による光送信器を示す構成図である。図9において、この光送信器は、MZ型光変調器100、データ信号生成部201、I−ch(In−phase channel)変調器ドライバ202A、Q−ch(Quadrature−phase channel)変調器ドライバ202B、電流電圧変換部203、アナログ・デジタル変換器であるADC(Analog−to−Digital Converter)204、I−chDC用デジタル・アナログ変換器であるI−chDC用DAC(Digital−to−Analog Converter)205A、Q−chDC用DAC205B、PhaseDC用DAC205C、I−chディザ用DAC206A、Q−chディザ用DAC206B、I−chDC・ディザ加算器207A、Q−chDC・ディザ加算器207B、誤差信号極性選択部208、およびバイアス制御部300を備え、それぞれ電気的に接続されている。
【0027】
図9において、MZ型光変調器100は、光導波路101A〜101J、I−chデータ変調電極102A、Q−chデータ変調電極102B、I−chバイアス電極103A、Q−chバイアス電極103B、およびPhaseバイアス電極103Cを有し、例えばLiNbO3基板に形成され、それぞれ光学的に接続されている。また、MZ型光変調器100は、モニタPD(Photo Detector)104を有し、光導波路101Jに光学的に接続されている。
【0028】
図9において、バイアス制御部300は、ディザ信号生成部301、位相器302、ディザ信号乗算部303、I−ch誤差信号生成部304A、Q−ch誤差信号生成部304B、Phase誤差信号生成部304C、I−ch制御信号生成部305A、Q−ch制御信号生成部305B、およびPhase制御信号生成部305Cを有し、それぞれ電気的に接続されている。また、バイアス制御部300は、各DACを介してMZ型光変調器100の各電極と電気的に接続されている。
【0029】
次に動作について説明する。図9において、データ信号生成部201は、任意のデータ系列を示すデータ信号を電気信号として生成する。この生成するデータ信号は、例えば伝送速度が数10Gbpsといった高速の2値信号に限定されず、OFDM信号、16QAMや64QAMといった多値変調信号、または予等化信号のようなアナログ的な電気波形であっても良い。なお、予等化信号は、光伝送路の波長分散や偏波分散による波形歪みが送信側でデジタル信号処理により予め電気的に等化されたものである。
【0030】
また、データ信号生成部201は、生成したデータ信号のうち、I−ch成分であるI−chデータ信号をI−ch変調器ドライバ202Aに出力し、Q−ch成分であるQ−chデータ信号をQ−ch変調器ドライバ202Bに出力するとともに、生成したデータ信号の情報を誤差信号極性選択部208に出力する。
【0031】
I−ch変調器ドライバ202Aは、データ信号生成部201からのI−chデータ信号を光変調器の駆動に十分な電圧まで増幅し、I−chデータ変調電極102Aに出力する。Q−ch変調器ドライバ202Bは、データ信号生成部201からのQ−chデータ信号を光変調器の駆動に十分な電圧まで増幅し、Q−chデータ変調電極102Bに出力する。
【0032】
誤差信号極性選択部208は、まず、データ信号生成部201からのデータ信号の情報に基づいて、データ信号の平均変調度を求める。また、誤差信号極性選択部208は、求めた平均変調度に応じて、バイアス制御用の誤差信号の極性の反転または非反転を選択するための極性選択信号を生成し、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに出力する。
【0033】
具体的には、図4に示したように、データ信号においてピーク電力対平均電力比であるPAPR(Peak−to−Average Power Ratio)が小さく、平均変調度が50%より大きい場合には、誤差信号極性選択部208は、バイアスが正常にNull点に収束するように、極性の非反転を指定した極性選択信号を出力する。一方、図8に示したように、データ信号においてPAPRが大きく、平均変調度が50%未満である場合には、誤差信号極性選択部208は、バイアスが正常にNull点に収束するように、極性の反転を指定した極性選択信号を出力する。ただし、非反転とは、平均変調度が100%である場合にバイアスがNull点に収束する極性とし、反転とは、平均変調度が100%である場合にバイアスがPeak点に収束する極性としている。
【0034】
ここで、誤差信号極性選択部208は、平均変調度に応じてバイアス制御用の誤差信号の極性を変化させるのであるが、実際には、逐次平均変調度を求めるのではなく、例えばテーブルを設け、平均変調度に応じた情報と誤差信号の極性との対応関係を記憶しておくことが考えられる。例えば、予等化信号に対するバイアス制御であれば、予等化量と平均変調度との関係は、単調関数となるので、平均変調度に応じた情報である所定の予等化量をしきい値として記憶し、予等化量がしきい値よりも大きい場合に極性の非反転を指定した極性選択信号を出力し、予等化量がしきい値よりも小さい場合に極性の反転を指定した極性選択信号を出力するようにすることが考えられる。
【0035】
また、図9において、電流電圧変換部203は、MZ型光変調器100の光出力の光強度に応じた検出電流を出力するモニタPD104からの検出電流を電圧信号に変換するとともに、直流成分除去、増幅処理等を実行して、ADC204に出力する。
【0036】
ADC204は、電流電圧変換部203からの電圧信号をアナログ信号からデジタル信号に変換して、I−ch誤差信号生成部304A、Q−ch誤差信号生成部304BおよびPhase誤差信号生成部304Cに出力する。
【0037】
ディザ信号生成部301は、正極性と負極性とを交互にとる周期信号であるディザ信号を生成し、位相器302、ディザ信号乗算部303、I−ch誤差信号生成部304A、およびI−chディザ用DAC206Aにそれぞれ出力する。なお、ディザ信号の周波数は、データ信号の伝送速度の数10Gbpsに比べて十分に低速で、例えば数10〜数100Hzである。
【0038】
位相器302は、ディザ信号生成部301から入力されたディザ信号にnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を与えてディザ信号乗算部303、Q−ch誤差信号生成部304B、およびQ−chディザ用DAC206Bにそれぞれ出力する。なお、予め決まった周期のディザ信号でバイアス制御させるため、位相器302は相対的な位相差を有する固定値を与えるようにしても良い。
【0039】
ディザ信号乗算部303は、ディザ信号生成部301からのディザ信号と位相器302からのディザ信号との排他的論理積を演算し、この演算結果としてディザ信号の2倍の周波数を有する信号を生成しPhase誤差信号生成部304Cに出力する。ここで、特許文献1ではディザ信号の2倍の周波数を有する信号を生成するために逓倍器を用いているため、2次以上の高調波成分の信号がPhase誤差信号のノイズとて検出される。これに対し、この発明の実施の形態1ではディザ信号乗算部303を用いることで2次以上の高調波成分の信号が誤差信号生成部301に入力されないため、高調波歪みのないPhase誤差信号を生成することができる。
【0040】
I−ch誤差信号生成部304Aは、ADC204からのデジタル電圧信号とディザ信号生成部301からのディザ信号との積を演算し、次の式(1)で表されるI−ch誤差信号e_Iを生成する。
【0041】
e_I∝I(p,0)−I(m,0)・・(1)
【0042】
以下、各式において、I(a,b)はモニタPD104から出力される電流信号を示し、aはI−chのディザを示し、bはQ−chのディザを示し、pはディザが正極性側にあることを示し、mはディザが負極正側にあることを示し、0はディザが重畳されていないことを示す。
【0043】
なお、I−ch誤差信号生成部304Aは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が非反転指定であれば、I−ch誤差信号e_IをそのままI−ch制御信号生成部305Aに出力する。一方、I−ch誤差信号生成部304Aは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が反転指定であれば、I−ch誤差信号e_Iの極性を反転してI−ch制御信号生成部305Aに出力する。
【0044】
Q−ch誤差信号生成部304Bは、ADC204からのデジタル電圧信号と位相器302からのディザ信号との積を演算し、次の式(2)で表されるQ−ch誤差信号e_Qを生成する。
【0045】
e_Q∝I(0,p)−I(0,m)・・(2)
【0046】
なお、Q−ch誤差信号生成部304Bは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が非反転指定であれば、Q−ch誤差信号e_QをそのままQ−ch制御信号生成部304Bに出力する。一方、Q−ch誤差信号生成部304Bは、誤差信号極性選択部208からの極性選択信号が反転指定であれば、Q−ch誤差信号e_Qの極性を反転してQ−ch制御信号生成部305Bに出力する。
【0047】
Phase誤差信号生成部305Cは、ADC204からのデジタル電圧信号とディザ信号乗算部303からのディザ信号の2倍の周波数を有する信号との積を演算し、次の式(3)で表されるPhase誤差信号e_Pを生成し、そのままの極性でPhase制御信号生成部305Cに出力する。
【0048】
e_P∝I(p,p)−I(p,m)−{I(m,p)−I(m,m)}・・(3)
【0049】
なお、式(3)において、ディザ信号乗算部303に入力する2つのディザ信号は、互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有するため、I(p,p)、I(p,m)、I(m,p)、およびI(m,m)が等しい確率で生じる。
【0050】
I−ch制御信号生成部305Aは、I−ch誤差信号生成部304AからのI−ch誤差信号e_Iに基づいて、例えば比例積分制御を実行することでI−ch用DCバイアス信号を生成し、I−chDC用DAC205Aに出力する。なお、比例積分制御は、誤差信号に比例して入力値を変化させる動作と誤差信号の積分に比例して入力値を変化させる動作とを組み合わせた制御を行うものである。
【0051】
Q−ch制御信号生成部305Bは、Q−ch誤差信号生成部304BからのQ−ch誤差信号e_Qに基づいて、同様に比例積分制御を実行することでQ−ch用DCバイアス信号を生成し、Q−chDC用DAC205Bに出力する。
【0052】
Phase制御信号生成部305Cは、Phase誤差信号生成部304CからのPhase誤差信号e_Pに基づいて、同様に比例積分制御を実行することでPhase用DCバイアス信号を生成し、PhaseDC用DAC205Cに出力する。
【0053】
I−chDC用DAC205Aは、I−ch制御信号生成部305AからのI−ch用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、I−chDC・ディザ加算器207Aに出力する。
【0054】
Q−chDC用DAC205Bは、Q−ch制御信号生成部305BからのQ−ch用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、Q−chDC・ディザ加算器207Bに出力する。
【0055】
PhaseDC用DAC205Cは、Phase制御信号生成部304CからのPhase用DCバイアス信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、バイアス電圧としてPhaseバイアス電極103Cに出力する。
【0056】
I−chディザ用DAC206Aは、ディザ信号生成部301からのI−chディザ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、I−chDC・ディザ加算器207Aに出力する。
【0057】
Q−chディザ用DAC206Bは、位相器302からのQ−chディザ信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、Q−chDC・ディザ加算器207Bに出力する。
【0058】
I−chDC・ディザ加算器207Aは、I−chDC用DAC205Aからのバイアス電圧としてのI−ch用DCバイアス信号と、I−chディザ用DAC206AからのI−chディザ信号とを加算し、この加算結果をI−chバイアス信号としてI−chバイアス電極103Aに出力する。
【0059】
Q−chDC・ディザ加算器207Bは、Q−chDC用DAC205Bからのバイアス電圧としてのQ−ch用DCバイアス信号と、Q−chディザ用DAC206BからのQ−chディザ信号とを加算し、この加算結果をQ−chバイアス信号としてQ−chバイアス電極103Bに出力する。
【0060】
また、図9において、MZ型光変調器100は、図示しない波長可変光源から入力された光(以下、光入力という)を、各電極に入力された電気信号に基づいて変調し、光信号として出力する(以下、光出力という)。例えば1.5μm波長帯の連続発振のレーザ光である光入力は、まず、光導波路101Aに入力される。
【0061】
光導波路101Aは、光導波路101Bと光導波路101Cとに分岐しており、光導波路101Aを通過した光は、光導波路101Bと光導波路101Cとに分岐される。光導波路101Bは、光導波路101Dと光導波路101Eとに分岐しており、光導波路101Bを通過した光は、光導波路101Dと光導波路101Eとに分岐される。光導波路101Cは、光導波路101Fと光導波路101Gとに分岐しており、光導波路101Cを通過した光は、光導波路101Fと光導波路101Gとに分岐される。
【0062】
I−chデータ変調電極102Aは、I−ch変調器ドライバ202AからのI−chデータ信号に基づいて、光導波路101Dおよび光導波路101Eを通過する光をデータ変調する。I−chバイアス電極103Aは、I−chDC・ディザ加算器207AからのI−chバイアス信号に基づいて、光導波路101Dおよび光導波路101Eを通過する光を位相変調する。光導波路101Dおよび光導波路101Eにおいてデータ変調および光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Hに入力される。
【0063】
Q−chデータ変調電極102Bは、Q−ch変調器ドライバ202BからのQ−chデータ信号に基づいて、光導波路101Fおよび光導波路101Gを通過する光をデータ変調する。Q−chバイアス電極103Bは、Q−chDC・ディザ加算器207BからのQ−chバイアス信号に基づいて、光導波路101Fおよび光導波路101Gを通過する光を位相変調する。光導波路101Fおよび光導波路101Gにおいてデータ変調および光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Iに入力される。
【0064】
Phaseバイアス電極103Cは、PhaseDC用DAC205CからのPhaseバイアス信号に基づいて、光導波路101Hおよび光導波路101Iを通過する光を位相変調する。光導波路101Hおよび光導波路101Iにおいて光位相変調を受けた光は、合波されて光導波路101Jに入力され、光導波路101Jを通過した光信号は、光出力として外部に出力される。
【0065】
次に、この発明の実施の形態1による光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図10は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。図10において、まず、初期引込状態として、アナログ的で動的に変化するような光波形ではなく、所定の固定振幅をもつような光波形を与える2値駆動信号または既知信号を利用して、すなわち、その信号をMZ型光変調器100の各データ変調電極に入力した状態で、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧の仮最適化を実行する(ステップST1)。
【0066】
具体的には、I−ch制御信号生成部305AからのI−ch用DCバイアス信号、Q−ch制御信号生成部305AからのQ−ch用DCバイアス信号、およびPhase制御信号生成部305CからのPhase用DCバイアス信号が仮に最適化される。これを初期引込状態と定義する。なお、この初期引込状態におけるバイアス電圧の仮最適化では、2値駆動信号等が入力した状態で、後述する基本ループにおけるバイアス電圧の制御と同様の制御が実行される。これにより、所定の固定振幅の電気波形に対応した固定的な平均変調度で安定にバイアス電圧の目標値への引込を行うことができる。
【0067】
初期引込状態後、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧は、仮最適化された値に保持され、任意電気波形入力状態に遷移する(ステップST2)。この任意電気波形入力状態では、MZ型光変調器100の各データ変調電極に、所望する任意振幅の電気波形である任意電気波形が入力される。この任意電気波形は、例えばアナログ的かつ動的に変化するような光波形を与えるものである。
【0068】
任意電気波形がMZ型光変調器100に入力された後、誤差信号極性指定状態に遷移する(ステップST3)。この誤差信号極性指定状態では、誤差信号極性選択部208により、任意の電気波形の平均変調度が求められる。
【0069】
求めた平均変調度が50%より大きい場合には、誤差信号に対する極性を非反転とするように、誤差信号極性選択部208から、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに対し、極性の非反転を指定した極性選択信号が出力される。これにより、I−ch誤差信号e_IおよびQ−ch誤差信号e_Qの極性を非反転とし、図4に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0070】
逆に、求めた平均変調度が50%未満である場合には、誤差信号に対する極性を反転とするように、誤差信号極性選択部208から、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bに対し、極性の反転を指定した極性選択信号が出力される。これにより、I−ch誤差信号e_IおよびQ−ch誤差信号e_Qの極性を反転とし、図8に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0071】
このように、誤差信号の極性が正常化された後、運用制御状態である基本ループに遷移する(ステップST4)。この基本ループでは、I−ch、Q−ch、Phaseの各バイアス電圧が順番に制御される。なお、Q−ch、I−ch、Phaseの各バイアス電圧の順番に制御するようにしても良い。
【0072】
ここで、I−chバイアス制御ステップでは、I−chのバイアス端子のみにディザ信号が重畳される(ステップST41)。Q−chバイアス制御ステップでは、Q−chのバイアス端子のみにディザ信号が重畳される(ステップST42)。
【0073】
また、図11は、この発明の実施の形態1による光送信器を説明するための説明図であり、Phaseバイアス制御ステップにおいて、DAC206A、Bから出力されるディザ信号とモニタPD204で検出される誤差信号の電気波形を示すグラフである。図10、図11において、Phaseバイアス制御ステップでは、I−ch、Q−chのバイアス端子に、同じ周期で互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは整数)の位相差を有するディザ信号がそれぞれ重畳される(ステップST43)。
【0074】
これにより、図11において、Phaseバイアス制御時に、モニタPD204でディザ信号の2倍の周波数のPhase誤差信号が検出される時は、I−chとQ−chの位相差がπ/2に保持できていない時であり、この位相差がNπ(Nは整数)である時は、モニタPD204で検出されるPhase誤差信号は最大になる。従って、このPhase誤差信号が0になるように制御することでI−chとQ−chの位相差をπ/2に保持することができる。
【0075】
なお、非特許文献1に示された従来のバイアス制御方法では、Phaseバイアス制御ステップにてf0と2f0という異なる周波数のディザ信号を重畳し、周波数f0の誤差信号を用いてPhaseバイアス制御を行っている。これに対し、この発明の実施の形態1では、図11に示すように、同じ周波数f0で互いにnπ/2(n=2N+1、ただし、Nは0を除く整数)の位相差を有するディザ信号を重畳することで、周波数2f0の誤差信号を用いてPhaseバイアス制御を行っている。これにより、Phaseバイアス制御時のバイアスずれの影響を低減することが可能となる。また、ディザ信号生成部301を共通にすることでアナログ回路を簡易な構成で実現することができる。
【0076】
また、図10に示す基本ループのステップST4において、任意電気波形の特徴を変化させる要求がない場合には(ステップST44のNo)、再びI−chバイアス制御のステップST41から繰り返し、一方、任意電気波形の特徴を変化させる要求がある場合には(ステップST44のYes)、任意電気波形入力状態のステップST2に遷移する。
【0077】
以上のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、誤差信号極性選択部208により、平均変調度に応じてI−ch、Q−ch誤差信号に対する極性を適切に選択するようにしている。これにより、例えばOFDM信号、多値変調信号、予等化信号のようにアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。
【0078】
また、上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のPhaseバイアス制御において、周波数乗算器としてのディザ信号乗算部303により、ディザ信号の2倍の周波数の信号を生成するようにしている。これにより、高調波歪みがなく低ノイズなPhase誤差信号を生成することができるという作用効果を奏する。
【0079】
実施の形態2.
上述のように、この発明の実施の形態1による光送信器は、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、誤差信号極性選択部208により、平均変調度に応じてI−ch、Q−ch誤差信号に対する極性を適切に選択するようにしたものであるが、この発明の実施の形態2による光送信器は、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、ドライバ利得制御部209により、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにしたものである。なお、実施の形態1の変形例として、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209の両方を設けるようにしても良い。
【0080】
図12は、この発明の実施の形態2による光送信器を示す構成図である。図12において、誤差信号極性選択部208に代え、ドライバ利得制御部209を設けるようにした構成を除き、図9に示した実施の形態1による光送信器と同様の構成であり、その同様の構成と、それによる同様の動作については説明を省略する。なお、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209との両方を設けるようにしても良く、また、この両方を一体的に構成するようにしても良い。
【0081】
次に動作について説明する。図12において、データ信号生成部201は、生成したデータ信号のうち、I−ch成分であるI−chデータ信号をI−ch変調器ドライバ202Aに出力し、Q−ch成分であるQ−chデータ信号をQ−ch変調器ドライバ202Bに出力するとともに、生成したデータ信号の情報をドライバ利得制御部209に出力する。
【0082】
ドライバ利得制御部209は、まず、データ信号生成部201からのデータ信号の情報に基づいて、データ信号の平均変調度を求める。また、ドライバ利得制御部209は、求めた平均変調度に応じて、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bの増幅利得を制御するための利得制御信号を生成し、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bに出力する。
【0083】
このとき、ドライバの増幅利得は、平均変調度が50%よりも十分に小さい値、例えば30%になるように制御される。なお、ドライバの増幅利得は、平均変調度が50%よりも十分に大きい値、例えば80%になるように制御されるようにしても良く、要するに、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにすれば、後述するような同様の作用効果を奏する。
【0084】
I−ch変調器ドライバ202Aは、データ信号生成部201からのI−chデータ信号を、ドライバ利得制御部209からの利得制御信号によって決定される増幅利得に応じて増幅し、I−chデータ変調電極102Aに出力する。Q−ch変調器ドライバ202Bは、データ信号生成部201からのQ−chデータ信号を、ドライバ利得制御部209からの利得制御信号によって決定される増幅利得に応じて増幅し、Q−chデータ変調電極102Bに出力する。
【0085】
ここで、ドライバ利得制御部209は、平均変調度に応じてドライバの増幅利得を変化させるのであるが、実際には、逐次平均変調度を求めるのではなく、例えばテーブルを設け、平均変調度に応じた情報とドライバの増幅利得との対応関係を記憶しておくことが考えられる。例えば、予等化信号に対するバイアス制御であれば、予等化量と平均変調度との関係は、単調関数となるので、平均変調度に応じた情報である予等化量とI−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bの波形調整端子に与える利得制御信号との関係をテーブルに保持しておくようにすれば良い。
【0086】
次に、この発明の実施の形態2による光送信器のバイアス制御手順を詳細に説明する。図13は、この発明の実施の形態2による光送信器を説明するための説明図であり、バイアス制御手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1と同様の処理については、説明を省略する。
【0087】
図13において、任意電気波形入力状態のステップST2で、任意電気波形がMZ型光変調器100に入力された後、変調度制御状態に遷移する(ステップST3a)。この変調度制御状態では、ドライバ利得制御部209は、任意電気波形の平均変調度を求める。
【0088】
ドライバ利得制御部209は、求めた任意電気波形の平均変調度に応じて、平均変調度が50%よりも十分に小さく、例えば30%となるように、I−ch変調器ドライバ202AおよびQ−ch変調器ドライバ202Bに対して、増幅利得を制御するための利得制御信号を出力する。
【0089】
このように、ドライバの増幅利得が制御された後、運用制御状態である基本ループに遷移する(ステップST4)。このとき、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bは、反転の極性のI−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号をそれぞれ出力するように設定されている。これにより、図8に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0090】
なお、平均変調度が50%よりも十分に大きく、例えば80%となるようにドライバの増幅利得が制御される場合には、基本ループのステップST4において、I−ch誤差信号生成部304AおよびQ−ch誤差信号生成部304Bを、非反転の極性のI−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号がそれぞれ出力されるように設定していれば良い。これにより、図4に示すように、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0091】
また、誤差信号極性選択部208とドライバ利得制御部209との両方が設けられている場合には、図13において、ステップST3aとステップST4との間に、図10に示した誤差信号極性指定状態のステップST3を追加し、すなわち、変調度制御状態のステップST3aでドライバの増幅利得が制御された後、誤差信号極性指定状態のステップST3に遷移し、次に、運用制御状態である基本ループのステップST4に遷移するようにすれば良い。これにより、変調度制御状態のステップST3aにおいて、平均変調度が50%を除く大小何れの値に制御されても、誤差信号極性指定状態のステップST3において、I−ch誤差信号およびQ−ch誤差信号に適切な極性を設定することができ、バイアスを正常にNull点に向かわせることができる。
【0092】
以上のように、この発明の実施の形態2による光送信器においては、2並列MZ型光変調器としてのMZ型光変調器100のI−ch、Q−chバイアス制御において、ドライバ利得制御部209により、平均変調度が50%を除く所定の値となるようにしている。これにより、例えばOFDM信号、多値変調信号、予等化信号のようにアナログ的な光波形を動的に変化させる場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。また、誤差信号極性選択部208により、誤差信号に適切な極性を設定することで、平均変調度が50%を除く大小何れの値に柔軟に制御される場合にも、MZ型光変調器のバイアス電圧を最適点に制御することができるという作用効果を奏する。
【0093】
なお、上述のように、この発明の実施の形態1、2による光送信器においては、MZ型光変調器100は、2並列MZ型光変調器であって、単一電極、ゼロチャープ型、モニタPD104内蔵のものを示したが、これに限定されず、光導波路101Dおよび光導波路101Eの双方、光導波路101Fおよび光導波路101Gの双方、並びに光導波路101Hおよび光導波路101Iの双方にそれぞれ電極を備え、プッシュ・プル駆動によりゼロチャープを実現するような2並列MZ型光変調器であっても良く、その場合、各電極でプッシュ・プル駆動するように駆動およびバイアス制御できるようにすることにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。
【0094】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器100は、シングルMZ型光変調器、すなわち上述のMZ干渉計であっても良く、その場合、Q−ch制御部分およびPhase制御部分を省略することにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。また、MZ型光変調器100は、偏波多重型の2並列MZ型光変調器であっても良く、その場合、I−ch制御部分、Q−ch制御部分およびPhase制御部分を、直交偏波成分についても用意することにより、この発明の実施の形態1、2と同様の作用効果を奏する。
【0095】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器100がモニタPD104を内蔵していない場合は、MZ型光変調器100の出力端に光を分岐する光カプラを挿入するとともに、モニタPDを外付けするようにすれば良い。
【0096】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、I−ch、Q−ch、Phase用DCバイアス信号は、図示しないレベル変換回路により、MZ型光変調器100のEnd−of−Lifeでのバイアスシフト規格をカバーできる範囲で制御可能とすることが望ましい。
【0097】
なお、上述の実施の形態1、2による光送信器においては、バイアス制御部300はデジタル信号処理回路として説明したが、制御機能については、光送信器に設けたマイクロコンピュータ等に制御方法を実行させるコンピュータプログラムを用いてソフトウエア処理により実現するようにしても良い。このとき、ディザ信号のディザ周波数は、例えば数10〜数100Hzとすれば良い。
【0098】
また、上述の実施の形態1、2による光送信器において、MZ型光変調器を駆動する任意電気波形は、10〜100msecオーダでは、平均レベルに対して対称なヒストグラムを有することが望ましい。また、MZ型光変調器のバイアス電圧の最適点の経年変化に対応するためには、バイアスの初期ロック点が、0Vから最も近い点となるように制御することが望ましい。
【0099】
また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器から送信された光信号を光ファイバで伝送し、光受信器で受信する光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器を2台以上設け、2台以上の光送信器から送信された光信号を波長多重して光ファイバで伝送し、受信側で波長分離して波長ごとに2台以上の光受信器で受信するWDM(Wavelength Division Multiplexing)光通信システムに適用するようにしても良い。また、この発明の実施の形態1、2による光送信器は、この光送信器を2台設け、2台の光送信器から送信された光信号を互いに直交した偏波で偏波多重して光ファイバで伝送し、受信側で偏波分離して偏波ごとに2台の光受信器で受信する偏波多重光通信システムに適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0100】
100 MZ型光変調器
101A〜101J 光導波路
102A I−chデータ変調電極
102B Q−chデータ変調電極
103A I−chバイアス電極
103B Q−chバイアス電極
103C Phaseバイアス電極
201 データ信号生成部
202A I−ch変調器ドライバ
202B Q−ch変調器ドライバ
203 電流電圧変換部
204 ADC
205A I−chDC用DAC
205B Q−chDC用DAC
205C PhaseDC用DAC
206A I−chディザ用DAC
206B Q−chディザ用DAC
207A I−chDC・ディザ加算器
207B Q−chDC・ディザ加算器
208 誤差信号極性選択部
209 ドライバ利得制御部
300 バイアス制御部
301 ディザ信号生成部
302 位相器
303 ディザ信号乗算部
304A I−ch誤差信号生成部
304B Q−ch誤差信号生成部
304C Phase誤差信号生成部
305A I−ch制御信号生成部
305B Q−ch制御信号生成部
305C Phase制御信号生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、
前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、
前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、
を備えたことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記データ信号を増幅して前記MZ型光変調器に入力させるドライバと、
前記データ信号の平均変調度が50%を除く所定の値となるように前記ドライバの増幅利得の制御を行うドライバ利得制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記MZ型光変調器は、2並列MZ型光変調器であり、
前記バイアス制御部は、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつI−ch誤差信号に基づいてI−chバイアス電圧の制御を行い、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつQ−ch誤差信号に基づいてQ−chバイアス電圧の制御を行った後に、
n=2N+1、ただし、Nは整数で、互いにnπ/2の位相差をもつ2つのディザ信号が前記2並列MZ型光変調器のI−chバイアス電圧およびQ−chバイアス電圧にそれぞれ重畳されているとき、前記互いにnπ/2の位相差をもつ2つのディザ信号の積および前記2並列MZ型光変調器からの光信号の光強度に基づいて生成されディザ信号の2倍の周波数をもつPhase誤差信号に基づいてPhaseバイアス電圧の制御を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光送信器から送信された光信号を、光ファイバで伝送し、光受信器で受信することを特徴とする光通信システム。
【請求項5】
ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信方法であって、
前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成ステップと、
前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択ステップと、
前記誤差信号極性選択ステップで選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御ステップと、
を備えたことを特徴とする光送信方法。
【請求項6】
前記バイアス制御ステップは、固定振幅の電気波形をもつ前記データ信号が前記MZ型光変調器に入力している時に前記バイアス電圧の目標値への引込を行う初期引込状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、任意振幅の電気波形をもつ前記データ信号が前記MZ型光変調器に入力している時に基本ループとして前記バイアス電圧の制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の光送信方法。
【請求項1】
ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信器であって、
前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成部と、
前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択部と、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御部と、
を備えたことを特徴とする光送信器。
【請求項2】
前記データ信号を増幅して前記MZ型光変調器に入力させるドライバと、
前記データ信号の平均変調度が50%を除く所定の値となるように前記ドライバの増幅利得の制御を行うドライバ利得制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光送信器。
【請求項3】
前記MZ型光変調器は、2並列MZ型光変調器であり、
前記バイアス制御部は、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつI−ch誤差信号に基づいてI−chバイアス電圧の制御を行い、
前記誤差信号極性選択部で選択された極性をもつQ−ch誤差信号に基づいてQ−chバイアス電圧の制御を行った後に、
n=2N+1、ただし、Nは整数で、互いにnπ/2の位相差をもつ2つのディザ信号が前記2並列MZ型光変調器のI−chバイアス電圧およびQ−chバイアス電圧にそれぞれ重畳されているとき、前記互いにnπ/2の位相差をもつ2つのディザ信号の積および前記2並列MZ型光変調器からの光信号の光強度に基づいて生成されディザ信号の2倍の周波数をもつPhase誤差信号に基づいてPhaseバイアス電圧の制御を行う
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光送信器。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の光送信器から送信された光信号を、光ファイバで伝送し、光受信器で受信することを特徴とする光通信システム。
【請求項5】
ディザ信号が重畳されたバイアス電圧および入力したデータ信号に基づいてMZ(Mach−Zehnder)型光変調器で光を変調し、この変調した光信号を送出する光送信方法であって、
前記ディザ信号および前記光信号の光強度に基づいて誤差信号を生成する誤差信号生成ステップと、
前記データ信号の平均変調度に応じて前記誤差信号の極性を選択する誤差信号極性選択ステップと、
前記誤差信号極性選択ステップで選択された極性をもつ前記誤差信号に基づいて前記バイアス電圧の制御を行うバイアス制御ステップと、
を備えたことを特徴とする光送信方法。
【請求項6】
前記バイアス制御ステップは、固定振幅の電気波形をもつ前記データ信号が前記MZ型光変調器に入力している時に前記バイアス電圧の目標値への引込を行う初期引込状態として前記バイアス電圧の制御を行った後に、任意振幅の電気波形をもつ前記データ信号が前記MZ型光変調器に入力している時に基本ループとして前記バイアス電圧の制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の光送信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−110620(P2013−110620A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254636(P2011−254636)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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