光透過性部材
【課題】観賞した人に3次元的に形成された模様を見ているかのような印象を与えることができる光透過性部材を提供する。
【解決手段】断面が多角形の柱状体であって、その側面12,13に模様が形成されているから、光透過性部材10をどの方向から見ても、光透過性部材10の側面12,13に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、側面12,13に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。同様に、端面14に模様が形成されていれば、模様の形成されていない端面や側面から見ると、光透過性部材10の端面に形成されている模様が内部に浮いているように見え、端面14に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【解決手段】断面が多角形の柱状体であって、その側面12,13に模様が形成されているから、光透過性部材10をどの方向から見ても、光透過性部材10の側面12,13に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、側面12,13に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。同様に、端面14に模様が形成されていれば、模様の形成されていない端面や側面から見ると、光透過性部材10の端面に形成されている模様が内部に浮いているように見え、端面14に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性部材に関する。さらに詳しくは、3次元的な模様を形成し、観賞する人に対して独特の印象を与えることができる光透過性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な色のガラスを種々の大きさに切りこれらのガラスを鉛の枠にはめ込んで溶接し様々な形状のステンドグラスを形成することが行われており、かかるステンドグラスでは、鉛の枠の形状を工夫すれば立体的な形状を有するステンドグラスでも形成できる。そして、立体的に形成されたステンドグラスは、見た人に対して特徴的な印象を与えることができる(例えば特許文献1)。
また、ガラス自体を立体的な形状とすることによって、そのガラスを透過した光によって、壁面等に独特の模様を形成するガラスシートも開発されている(例えば特許文献2)。このガラスシートの場合には、ガラス自体を見たときではなく、壁面等に形成される模様を見たときに特徴的な印象を与えることができる。
【0003】
しかるに、特許文献1の技術の場合、立体的な形状には形成することができても、使用されるガラスはあくまで平面的であり、このガラスを見ても3次元的な模様を観賞することはできない。
また、特許文献2のガラスシートも、ガラス自体は立体的であるものの、このガラスによって壁面に形成される模様は平面的なものに過ぎず、この技術でも3次元的な模様を観賞することはできない。そして、このガラスシート自体を見ても3次元的な模様を観賞することはできない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−115396号
【特許文献1】特開平5−509180号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、観賞した人に3次元的に形成された模様を見ているかのような印象を与えることができる光透過性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その側面に模様が形成されていることを特徴とする。
第2発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その軸方向の端面に模様が形成されていることを特徴とする。
第3発明の光透過性部材は、第1または第2発明において、前記柱状体が、全反射プリズムであることを特徴とする。
第4発明の光透過性部材は、第1、第2または第3発明において、前記複数の柱状体を並べて形成されており、該複数の柱状体の側面によって形成された一の平面を有していることを特徴とする。
第5発明の光透過性部材は、第1、第2または第3発明において、前記複数の柱状体を並べて形成されており、該複数の柱状体の端面によって形成された一の平面を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、光透過性部材をどの方向から見ても、その側面に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、側面に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第2発明によれば、模様の形成されていない端面から見ると、光透過性部材の端面に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、端面に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第3発明によれば、模様をくっきり浮かび上がらせることができる。
第4発明によれば、平面を見ているのに、光透過性部材の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第5発明によれば、平面を見ているのに、光透過性部材の内部に模様が空間に浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された、複数の側面を有する柱状体、言い換えれば断面多角形である柱状体を本体とし、この本体の側面や軸方向の端面に模様が形成されたものである。
以下では、直角二等辺三角形の断面を有する90°全反射プリズムを本体とした光透過性部材を代表として説明するが、本発明の光透過性部材の本体は複数の側面を有する柱状体であればよく、かかる柱状体を本体とする場合であっても、以下に説明する90°全反射プリズムと同様に、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるという効果を奏する。
なお、90°全反射プリズム等の全反射プリズムを本体として採用した場合には、他の形状を有する柱状体を本体として使用した場合に比べて、本体内部に模様をくっきりと浮かび上がらせることができるという利点がある。
さらになお、柱状体は、三角形や四角形、五角形、六角形等の多角形を採用することができるが、側面が六面以上あってもよい。
さらになお、本体を形成する素材は光を透過する部材であればとくに限定されず、ガラスや、アクリル、プラスチック等の樹脂材料などを採用することができるが、ガラスの場合には透明度が高いので好適である。そして、本体を形成する素材は無色透明な材料に限られず色ガラスのような色付きの材料であってもよい。
【0009】
図1は(A)は本実施形態の光透過性部材の概略斜視図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10の概略背面図であり、(C)は本実施形態の光透過性部材10の概略正面図である。図1において符号10は本実施形態の光透過性部材10を示している。この光透過性部材10は、その本体が3つの側面11〜13を有し、側面12、13の間に形成される角が90°の90°全反射プリズムによって形成されている。
【0010】
上記光透過性部材10の本体には、3つの側面11〜13のうち、2つの側面12、13には模様C、S、Tが形成されている。この模様は、例えば、側面12、13に着色したり線を描いたりして形成されたものや、側面12、13に様々な形状の色ガラスを融着したりして形成されている。
【0011】
なお、単なる着色や線図で模様を形成した場合には模様自体は平面的であるが、本体がガラスである場合において側面に色ガラスを融着すると本体の内部にも色ガラスが存在することになる。言い換えれば、模様が立体的になるので、単に着色等した場合に比べて光透過性部材10を見た人に独特の印象を与えることができる。
さらになお、本体を透明なガラスと色ガラスとが混じりあったガラス塊から形成してもよい。この場合には、光透過性部材10の側面だけでなく、その内部にも模様を形成することができる。すると、光透過性部材10の内部により複雑な模様が形成されるので、光透過性部材10を見た人により与える印象をさらに独特なものとすることができる。
さらになお、本体内部に他の物体を配置しても光透過性部材10の内部により複雑な模様が形成されるので、光透過性部材10を見た人により与える印象をさらに独特なものとすることができる。
さらになお、側面にフィルム等を貼り付けて模様を形成してもよく、この場合には、フィルム等を変えれば光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10とすることも可能である。
さらになお、3つの側面11〜13の全てに模様を形成してもよいのでは、いうまでもない。
【0012】
図1(C)に示すように、上記のごとき光透過性部材10を、その正面から見た場合、つまり、模様が形成されていない側面11から見ると、見た人は、側面12に形成されている模様C、Tを直接見るだけでなく側面13に反射した像も見ることができ、また、側面13に形成されている模様Sを直接見るだけでなく側面13に反射した像も見ることができる。つまり、光透過性部材10を見た人には、側面12に形成されている模様C、Tが側面13の側にも存在しているかのように見え(模様C´、T´)、側面13に形成されている模様Sは側面12の側にも存在しているかのようにも見える(模様S´)。しかも、側面12の模様は、側面13によって後方に位置する仮想上の側面12´に形成されているかのように見え、側面13の模様は、側面12より後方に位置する仮想上の側面13´に形成されているかのように見える(図2(B)参照)。
よって、光透過性部材10を側面11から見れば、側面12,13に形成されている模様が光透過性部材10の内部に浮いているように見え、しかも、実際に側面12,13に描かれている模様(図1(B)では3つ)よりも多くの模様(図1(C)では6つ)が存在しているかのように見える。つまり、光透過性部材を見た人に対して、光透過性部材10内部に3次元的かつ複数の模様が存在しているような独特の印象を与えることができるのである。
【0013】
なお、側面12,13に、本体とは光の屈折率が異なる素材を貼り付けたり融着したりコーティングしたりした場合には、仮想上の側面12´,13´が形成される位置が変化するので、光透過性部材10を見た人に与える印象を変えることができる。例えば、側面に本体とは光の屈折率が異なる素材で形成されたフィルムを貼り付けたり取り外したりすれば、光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10とすることも可能である。
【0014】
また、図3(B)に示すように、上記のごとき光透過性部材10を側面13から見た場合には、側面12に形成されている模様C、Tは側面13の向かいに位置する仮想側面12’’(図3(A)参照)にも存在しているかのように見える(模様C’’、T’’)。図示しないが、側面12から見た場合には、側面13に形成されている模様Sも側面12の向かいに位置する仮想側面にも存在しているかのように見える。
つまり、光透過性部材10をどの側面から見ても、光透過性部材10の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるのである。
【0015】
なお、図1(C)に示すように、側面11に垂直な方向から光透過性部材10を見た場合、仮想側面12´、13´上の模様は側面12、13に形成されている模様とほぼ同じ高さに位置するように見える。
しかし、図2(A)、図3(B)に示すように、斜め上方から光透過性部材10を見た場合、仮想側面12´、13´に形成されている模様は側面12、13の模様よりも少し上方に形成されているように見える。つまり、光透過性部材10を見る側面だけでなく、光透過性部材10を見る角度を変えても光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10となる。
【0016】
さらに、光透過性部材10の端面14にも模様を形成しておけば、光透過性部材10を側面11の斜め上方から見たときに、端面14の模様は、端面14が側面12、13、および仮想側面12´,13´’にうつった仮想底面14a〜14cにも形成されているかのように見える(図2(A))。
同様に、光透過性部材10を側面12,13の斜め上方から見れば、端面14の模様は、端面14が側面12、13、および仮想上の側面12’’, 13’’上の仮想底面14´にも形成されているかのように見える。(図3(B))
よって、光透過性部材10を斜め上方から見れば、どの方向から見ても端面14に形成されている模様が内部に浮いているように見え、しかも、その模様が実際に形成されているよりも多く存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0017】
さらに、光透過性部材10の端面14と対抗する端面から光透過性部材10の内部を見れば、端面14の模様は、端面14の周囲に形成される複数の仮想底面にも形成されているかのように見える(図6(A))。
よって、端面14に形成されている模様が内部に浮いているように見え、しかも、その模様が実際に形成されているよりも多く存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0018】
また、上述したような光透過性部材10を組み合わせてガラス製品を形成してもよい。
図4は本実施形態の光透過性部材10を利用したガラス製品1の概略説明図である。同図(A)に示すように、ガラス製品1は複数の光透過性部材10から形成されたものであり、上記の光透過性部材10をその側面11によって1つの平面が形成されるように並べたものである。
かかるガラス製品1を構成する各光透過性部材10は、上記のごとくその側面に12,13に模様が形成されているので、各光透過性部材10の内部に3次元的な模様が形成されているかのように見える。すると、このガラス製品1を見た人は、平面を見ているのにその内部に模様が浮いているように見えるから、ガラス製品1を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
また、図4(B)に示すように、上記のごときガラス製品1を重ね合わせて2つの平面を有するガラス製品2を形成すれば、隣接する光透過性部材10の側面12,13同士が接触した状態となっているので、ガラス製品2の内部に見える模様がさらに複雑になり、ガラス製品2を見た人に与える印象をさらに特徴てきなものとすることができる。
【0019】
さらに、図示しないが、光透過性部材10の端面によって1つの平面が形成されるように並べてガラス製品を形成してもよい。この場合も、模様が形成されている端面と逆の端面によって形成されている平面からガラス製品を見れば、ガラス製品の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、ガラス製品を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0020】
なお、端面14に模様が形成された光透過性部材10を、その端面同士を付き合わせて柱状体を形成しても、その柱状体の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、柱状体を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるのは、いうまでもない。
【0021】
また、光透過性部材10を別の多角形に形成した場合にも、その断面形状に応じて仮想側面上や、光の屈折により本来模様が形成されている側面とは異なる位置に模様を見ることができ、しかも、見える模様が変形や反転している場合もあるので、90°全反射プリズムの場合と同様に、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
例えば、図5(A)のように60°全反射プリズムを本体とする光透過性部材10とした場合には、view方向から見たときに、側面12,13の模様は、それぞれ仮想側面12´,12”、 13´,13”の位置に存在するように見え、また、端面14の模様は仮想底面14a〜14eの位置に存在するように見える。また、図5(B)のように30°全反射プリズムを光透過性部材10年とした場合には、view方向から見たときに、側面12,13の模様は、それぞれ仮想側面12a〜12e、13a〜13eの位置に存在するように見え、また、端面14の模様は仮想底面14a〜14kの位置に存在するように見える。
また、図6(B)に示すように、六角形の場合にも、仮想底面や仮想側面に模様が形成されているように見える。なお、図6(A)、(B)では符号はつけていないが、端面14の周りに形成されている六角形の部分が仮想底面であり、この仮想底面の各辺の位置に仮想側面が形成される。
なお、上記の例では、端面14の周囲に同一形状の仮想底面が形成される場合を説明したが、本体の断面形状によっては端面14の周囲に同一形状の仮想底面が形成されない場合があるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の光透過性部材は、窓や壁面に取り付けられるガラス、ステンドグラス、建材、家具の一部に取り付けられる装飾品などに適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)は本実施形態の光透過性部材10の概略斜視図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10の概略背面図であり、(C)は本実施形態の光透過性部材10の概略正面図である。
【図2】(A)は本実施形態の光透過性部材10を正面上方から見たときの概略説明図であり、(B)は正面上方からみたときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【図3】(A)は本実施形態の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10を側面上方から見たときの概略説明図である。
【図4】本実施形態の光透過性部材10を利用したガラス製品1の概略説明図である。
【図5】他の実施形質の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【図6】他の実施形質の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ガラス製品
2 ガラス製品
10 ステンドグラス
11 側面
12 側面
13 側面
14 端面
C 模様
T 模様
S 模様
【技術分野】
【0001】
本発明は、光透過性部材に関する。さらに詳しくは、3次元的な模様を形成し、観賞する人に対して独特の印象を与えることができる光透過性部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な色のガラスを種々の大きさに切りこれらのガラスを鉛の枠にはめ込んで溶接し様々な形状のステンドグラスを形成することが行われており、かかるステンドグラスでは、鉛の枠の形状を工夫すれば立体的な形状を有するステンドグラスでも形成できる。そして、立体的に形成されたステンドグラスは、見た人に対して特徴的な印象を与えることができる(例えば特許文献1)。
また、ガラス自体を立体的な形状とすることによって、そのガラスを透過した光によって、壁面等に独特の模様を形成するガラスシートも開発されている(例えば特許文献2)。このガラスシートの場合には、ガラス自体を見たときではなく、壁面等に形成される模様を見たときに特徴的な印象を与えることができる。
【0003】
しかるに、特許文献1の技術の場合、立体的な形状には形成することができても、使用されるガラスはあくまで平面的であり、このガラスを見ても3次元的な模様を観賞することはできない。
また、特許文献2のガラスシートも、ガラス自体は立体的であるものの、このガラスによって壁面に形成される模様は平面的なものに過ぎず、この技術でも3次元的な模様を観賞することはできない。そして、このガラスシート自体を見ても3次元的な模様を観賞することはできない。
【0004】
【特許文献1】特開平11−115396号
【特許文献1】特開平5−509180号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、観賞した人に3次元的に形成された模様を見ているかのような印象を与えることができる光透過性部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その側面に模様が形成されていることを特徴とする。
第2発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その軸方向の端面に模様が形成されていることを特徴とする。
第3発明の光透過性部材は、第1または第2発明において、前記柱状体が、全反射プリズムであることを特徴とする。
第4発明の光透過性部材は、第1、第2または第3発明において、前記複数の柱状体を並べて形成されており、該複数の柱状体の側面によって形成された一の平面を有していることを特徴とする。
第5発明の光透過性部材は、第1、第2または第3発明において、前記複数の柱状体を並べて形成されており、該複数の柱状体の端面によって形成された一の平面を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1発明によれば、光透過性部材をどの方向から見ても、その側面に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、側面に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第2発明によれば、模様の形成されていない端面から見ると、光透過性部材の端面に形成されている模様が内部に浮いているように見える。しかも、端面に形成されている模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第3発明によれば、模様をくっきり浮かび上がらせることができる。
第4発明によれば、平面を見ているのに、光透過性部材の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
第5発明によれば、平面を見ているのに、光透過性部材の内部に模様が空間に浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の光透過性部材は、光を透過する材料によって形成された、複数の側面を有する柱状体、言い換えれば断面多角形である柱状体を本体とし、この本体の側面や軸方向の端面に模様が形成されたものである。
以下では、直角二等辺三角形の断面を有する90°全反射プリズムを本体とした光透過性部材を代表として説明するが、本発明の光透過性部材の本体は複数の側面を有する柱状体であればよく、かかる柱状体を本体とする場合であっても、以下に説明する90°全反射プリズムと同様に、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるという効果を奏する。
なお、90°全反射プリズム等の全反射プリズムを本体として採用した場合には、他の形状を有する柱状体を本体として使用した場合に比べて、本体内部に模様をくっきりと浮かび上がらせることができるという利点がある。
さらになお、柱状体は、三角形や四角形、五角形、六角形等の多角形を採用することができるが、側面が六面以上あってもよい。
さらになお、本体を形成する素材は光を透過する部材であればとくに限定されず、ガラスや、アクリル、プラスチック等の樹脂材料などを採用することができるが、ガラスの場合には透明度が高いので好適である。そして、本体を形成する素材は無色透明な材料に限られず色ガラスのような色付きの材料であってもよい。
【0009】
図1は(A)は本実施形態の光透過性部材の概略斜視図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10の概略背面図であり、(C)は本実施形態の光透過性部材10の概略正面図である。図1において符号10は本実施形態の光透過性部材10を示している。この光透過性部材10は、その本体が3つの側面11〜13を有し、側面12、13の間に形成される角が90°の90°全反射プリズムによって形成されている。
【0010】
上記光透過性部材10の本体には、3つの側面11〜13のうち、2つの側面12、13には模様C、S、Tが形成されている。この模様は、例えば、側面12、13に着色したり線を描いたりして形成されたものや、側面12、13に様々な形状の色ガラスを融着したりして形成されている。
【0011】
なお、単なる着色や線図で模様を形成した場合には模様自体は平面的であるが、本体がガラスである場合において側面に色ガラスを融着すると本体の内部にも色ガラスが存在することになる。言い換えれば、模様が立体的になるので、単に着色等した場合に比べて光透過性部材10を見た人に独特の印象を与えることができる。
さらになお、本体を透明なガラスと色ガラスとが混じりあったガラス塊から形成してもよい。この場合には、光透過性部材10の側面だけでなく、その内部にも模様を形成することができる。すると、光透過性部材10の内部により複雑な模様が形成されるので、光透過性部材10を見た人により与える印象をさらに独特なものとすることができる。
さらになお、本体内部に他の物体を配置しても光透過性部材10の内部により複雑な模様が形成されるので、光透過性部材10を見た人により与える印象をさらに独特なものとすることができる。
さらになお、側面にフィルム等を貼り付けて模様を形成してもよく、この場合には、フィルム等を変えれば光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10とすることも可能である。
さらになお、3つの側面11〜13の全てに模様を形成してもよいのでは、いうまでもない。
【0012】
図1(C)に示すように、上記のごとき光透過性部材10を、その正面から見た場合、つまり、模様が形成されていない側面11から見ると、見た人は、側面12に形成されている模様C、Tを直接見るだけでなく側面13に反射した像も見ることができ、また、側面13に形成されている模様Sを直接見るだけでなく側面13に反射した像も見ることができる。つまり、光透過性部材10を見た人には、側面12に形成されている模様C、Tが側面13の側にも存在しているかのように見え(模様C´、T´)、側面13に形成されている模様Sは側面12の側にも存在しているかのようにも見える(模様S´)。しかも、側面12の模様は、側面13によって後方に位置する仮想上の側面12´に形成されているかのように見え、側面13の模様は、側面12より後方に位置する仮想上の側面13´に形成されているかのように見える(図2(B)参照)。
よって、光透過性部材10を側面11から見れば、側面12,13に形成されている模様が光透過性部材10の内部に浮いているように見え、しかも、実際に側面12,13に描かれている模様(図1(B)では3つ)よりも多くの模様(図1(C)では6つ)が存在しているかのように見える。つまり、光透過性部材を見た人に対して、光透過性部材10内部に3次元的かつ複数の模様が存在しているような独特の印象を与えることができるのである。
【0013】
なお、側面12,13に、本体とは光の屈折率が異なる素材を貼り付けたり融着したりコーティングしたりした場合には、仮想上の側面12´,13´が形成される位置が変化するので、光透過性部材10を見た人に与える印象を変えることができる。例えば、側面に本体とは光の屈折率が異なる素材で形成されたフィルムを貼り付けたり取り外したりすれば、光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10とすることも可能である。
【0014】
また、図3(B)に示すように、上記のごとき光透過性部材10を側面13から見た場合には、側面12に形成されている模様C、Tは側面13の向かいに位置する仮想側面12’’(図3(A)参照)にも存在しているかのように見える(模様C’’、T’’)。図示しないが、側面12から見た場合には、側面13に形成されている模様Sも側面12の向かいに位置する仮想側面にも存在しているかのように見える。
つまり、光透過性部材10をどの側面から見ても、光透過性部材10の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるのである。
【0015】
なお、図1(C)に示すように、側面11に垂直な方向から光透過性部材10を見た場合、仮想側面12´、13´上の模様は側面12、13に形成されている模様とほぼ同じ高さに位置するように見える。
しかし、図2(A)、図3(B)に示すように、斜め上方から光透過性部材10を見た場合、仮想側面12´、13´に形成されている模様は側面12、13の模様よりも少し上方に形成されているように見える。つまり、光透過性部材10を見る側面だけでなく、光透過性部材10を見る角度を変えても光透過性部材10の内部に形成される模様が異なってくるので、常に新しい印象を与えることができ、飽きがこない光透過性部材10となる。
【0016】
さらに、光透過性部材10の端面14にも模様を形成しておけば、光透過性部材10を側面11の斜め上方から見たときに、端面14の模様は、端面14が側面12、13、および仮想側面12´,13´’にうつった仮想底面14a〜14cにも形成されているかのように見える(図2(A))。
同様に、光透過性部材10を側面12,13の斜め上方から見れば、端面14の模様は、端面14が側面12、13、および仮想上の側面12’’, 13’’上の仮想底面14´にも形成されているかのように見える。(図3(B))
よって、光透過性部材10を斜め上方から見れば、どの方向から見ても端面14に形成されている模様が内部に浮いているように見え、しかも、その模様が実際に形成されているよりも多く存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0017】
さらに、光透過性部材10の端面14と対抗する端面から光透過性部材10の内部を見れば、端面14の模様は、端面14の周囲に形成される複数の仮想底面にも形成されているかのように見える(図6(A))。
よって、端面14に形成されている模様が内部に浮いているように見え、しかも、その模様が実際に形成されているよりも多く存在しているかのように見えるから、光透過性部材10を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0018】
また、上述したような光透過性部材10を組み合わせてガラス製品を形成してもよい。
図4は本実施形態の光透過性部材10を利用したガラス製品1の概略説明図である。同図(A)に示すように、ガラス製品1は複数の光透過性部材10から形成されたものであり、上記の光透過性部材10をその側面11によって1つの平面が形成されるように並べたものである。
かかるガラス製品1を構成する各光透過性部材10は、上記のごとくその側面に12,13に模様が形成されているので、各光透過性部材10の内部に3次元的な模様が形成されているかのように見える。すると、このガラス製品1を見た人は、平面を見ているのにその内部に模様が浮いているように見えるから、ガラス製品1を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
また、図4(B)に示すように、上記のごときガラス製品1を重ね合わせて2つの平面を有するガラス製品2を形成すれば、隣接する光透過性部材10の側面12,13同士が接触した状態となっているので、ガラス製品2の内部に見える模様がさらに複雑になり、ガラス製品2を見た人に与える印象をさらに特徴てきなものとすることができる。
【0019】
さらに、図示しないが、光透過性部材10の端面によって1つの平面が形成されるように並べてガラス製品を形成してもよい。この場合も、模様が形成されている端面と逆の端面によって形成されている平面からガラス製品を見れば、ガラス製品の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、ガラス製品を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
【0020】
なお、端面14に模様が形成された光透過性部材10を、その端面同士を付き合わせて柱状体を形成しても、その柱状体の内部に模様が浮いているように見え、しかも、その模様が複数存在しているかのように見えるから、柱状体を見た人に対して特徴的な印象を与えることができるのは、いうまでもない。
【0021】
また、光透過性部材10を別の多角形に形成した場合にも、その断面形状に応じて仮想側面上や、光の屈折により本来模様が形成されている側面とは異なる位置に模様を見ることができ、しかも、見える模様が変形や反転している場合もあるので、90°全反射プリズムの場合と同様に、光透過性部材を見た人に対して特徴的な印象を与えることができる。
例えば、図5(A)のように60°全反射プリズムを本体とする光透過性部材10とした場合には、view方向から見たときに、側面12,13の模様は、それぞれ仮想側面12´,12”、 13´,13”の位置に存在するように見え、また、端面14の模様は仮想底面14a〜14eの位置に存在するように見える。また、図5(B)のように30°全反射プリズムを光透過性部材10年とした場合には、view方向から見たときに、側面12,13の模様は、それぞれ仮想側面12a〜12e、13a〜13eの位置に存在するように見え、また、端面14の模様は仮想底面14a〜14kの位置に存在するように見える。
また、図6(B)に示すように、六角形の場合にも、仮想底面や仮想側面に模様が形成されているように見える。なお、図6(A)、(B)では符号はつけていないが、端面14の周りに形成されている六角形の部分が仮想底面であり、この仮想底面の各辺の位置に仮想側面が形成される。
なお、上記の例では、端面14の周囲に同一形状の仮想底面が形成される場合を説明したが、本体の断面形状によっては端面14の周囲に同一形状の仮想底面が形成されない場合があるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の光透過性部材は、窓や壁面に取り付けられるガラス、ステンドグラス、建材、家具の一部に取り付けられる装飾品などに適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)は本実施形態の光透過性部材10の概略斜視図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10の概略背面図であり、(C)は本実施形態の光透過性部材10の概略正面図である。
【図2】(A)は本実施形態の光透過性部材10を正面上方から見たときの概略説明図であり、(B)は正面上方からみたときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【図3】(A)は本実施形態の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図であり、(B)は本実施形態の光透過性部材10を側面上方から見たときの概略説明図である。
【図4】本実施形態の光透過性部材10を利用したガラス製品1の概略説明図である。
【図5】他の実施形質の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【図6】他の実施形質の光透過性部材10を側面上方から見たときに模様が形成される位置の概略説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 ガラス製品
2 ガラス製品
10 ステンドグラス
11 側面
12 側面
13 側面
14 端面
C 模様
T 模様
S 模様
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その側面に模様が形成されている
ことを特徴とする光透過性部材。
【請求項2】
光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その軸方向の端面に模様が形成されている
ことを特徴とする光透過性部材。
【請求項3】
前記柱状体が、全反射プリズムである
ことを特徴とする請求項1または2記載の光透過性部材。
【請求項4】
前記複数の柱状体を並べて形成されており、
該複数の柱状体の側面によって形成された平面を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光透過性部材。
【請求項5】
前記複数の柱状体を並べて形成されており、
該複数の柱状体の端面によって形成された平面を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光透過性部材。
【請求項1】
光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その側面に模様が形成されている
ことを特徴とする光透過性部材。
【請求項2】
光を透過する材料によって形成された断面が多角形の柱状体であって、その軸方向の端面に模様が形成されている
ことを特徴とする光透過性部材。
【請求項3】
前記柱状体が、全反射プリズムである
ことを特徴とする請求項1または2記載の光透過性部材。
【請求項4】
前記複数の柱状体を並べて形成されており、
該複数の柱状体の側面によって形成された平面を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光透過性部材。
【請求項5】
前記複数の柱状体を並べて形成されており、
該複数の柱状体の端面によって形成された平面を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の光透過性部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2007−298881(P2007−298881A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128595(P2006−128595)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(599016545)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(599016545)
【Fターム(参考)】
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