説明

光通信器及びこれを備える光通信機

【課題】伝送容量の増大化を図ることが可能な光通信器及びこれを備える光通信機を提供する。
【解決手段】光送受信モジュール200は、複数の光ファイバが接続される多芯光コネクタ15と、複数の光受信サブアセンブリ81〜90と、信号処理回路31と、ドライバ51と、光送信サブアセンブリ61と、を備える。信号処理回路31は、光受信サブアセンブリ81〜90から入力される並列の電気信号を時系列の電気信号に変換して、これらの電気信号をドライバ51に出力する。ここでは、並列の電気信号を時系列の電気信号に変換するため、チャンネルの伝送容量が増加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信器及びこれを備える光通信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パラレルの電気信号をシリアルの光信号に変換して通信する光通信器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−208896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の光通信器は、電気信号配線が接続されるコネクタを有しており、このコネクタを介して上位機器と電気信号をやりとりする。しかしながら、コネクタでは電気信号の高周波成分が劣化しやすく、使用可能な電気信号の帯域が制限されるため、コネクタがボトルネックとなって、光通信器の伝送容量の増大化が阻害されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、伝送容量の増大化を図ることが可能な光通信器及びこれを備える光通信機を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の光通信器は、複数の光ファイバが接続されるコネクタと、複数の光−電気変換器と、電気信号処理器と、電気−光変換器と、を備える。前記複数の光−電気変換器は、前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する。前記電気信号処理器は、前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を単一の電気信号に変換する。前記電気−光変換器は、前記電気信号処理器からの電気信号を光信号に変換する。
【0007】
また、本発明の光通信器は、複数の光ファイバが接続されるコネクタと、複数の光−電気変換器と、電気信号処理器と、複数の電気−光変換器と、合波器と、を備える。複数の光−電気変換器は、前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する。前記電気信号処理器は、前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する。前記複数の電気−光変換器は、前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する。前記合波器は、前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号を合波して出力する。
【0008】
また、本発明の光通信機は、上記光通信器と、複数の電気回路と、前記複数の電気回路からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換し、前記複数の光信号を前記コネクタに接続された前記複数の光ファイバにそれぞれ出力する複数の変換器と、を備える。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の光通信器は、光−電気変換器と、電気信号処理器と、複数の電気−光変換器と、コネクタと、を備える。前記光−電気変換器は、光信号を電気信号に変換する。電気信号処理器は、前記光−電気変換器からの単一の電気信号を複数の電気信号に変換する。複数の電気−光変換器は、前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する。コネクタは、前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号が入力される複数の光ファイバが接続される。
【0010】
また、本発明の光通信器は、分波器と、複数の光−電気変換器と、電気信号処理器と、複数の電気−光変換器と、コネクタと、を備える。分波器は、入力される光に含まれる複数の光信号を分波する。複数の光−電気変換器は、前記分波器からの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する。電気信号処理器は、前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する。複数の電気−光変換器は、前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する。コネクタは、前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号が入力される複数の光ファイバが接続される。
【0011】
また、本発明の光通信機は、上記光通信器と、複数の電気回路と、前記コネクタに接続された前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換し、前記複数の電気信号を前記複数の電気回路にそれぞれ出力する複数の変換器と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明の光通信器は、光ファイバを介して上位機器と光信号をやりとりするため、伝送容量の増大化を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の光通信器の一例の構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の光通信器の別の一例の構成を表すブロック図である。
【図3】本発明の光通信機の一例の構成を表すブロック図である。
【図4】従来の光通信器の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光通信器及びこれを備える光通信機の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の光通信器の一例としての光送受信モジュール200の構成を表すブロック図である。光送受信モジュール200は、同図の上半分に示される送信側の構成と、同図の下半分に示される受信側の構成と、これらを制御する制御回路35と、を備えている。送信側の構成としては、多芯光コネクタ15、光受信サブアセンブリ81〜90、信号処理回路31、ドライバ51、光送信サブアセンブリ61、及び光コネクタ11がある。受信側の構成としては、光コネクタ12、光受信サブアセンブリ71、信号処理回路32、ドライバ91〜100、光送信サブアセンブリ101〜110及び多芯光コネクタ16がある。
【0016】
[送信側の構成]
多芯光コネクタ15は、コネクタの一例である。多芯光コネクタ15には、不図示の回路基板から延びる複数のマルチモード光ファイバが着脱可能に接続される。また、多芯光コネクタ15には、光受信サブアセンブリ81〜90にそれぞれ繋がる複数の光ファイバも接続されている。多芯光コネクタ15は、不図示の回路基板から延びる複数のマルチモード光ファイバと、光受信サブアセンブリ81〜90にそれぞれ繋がる複数の光ファイバと、を結合する。
【0017】
光受信サブアセンブリ81〜90は、複数の光−電気変換器の一例であり、それぞれフォトダイオードを含んでいる。光受信サブアセンブリ81〜90には、多芯光コネクタ15から延びる複数の光ファイバがそれぞれ接続されている。また、光受信サブアセンブリ81〜90には、信号処理回路31に繋がる複数の電気信号配線もそれぞれ接続されている。光受信サブアセンブリ81〜90は、不図示の回路基板から多芯光コネクタ15を介して入力される複数チャンネルの光信号をこれと同数の複数チャンネルの電気信号に変換して、これらの電気信号を信号処理回路31に出力する。本例では、不図示の回路基板から多芯光コネクタ15を介して光受信サブアセンブリ81〜90に10チャンネルの光信号が入力される。各チャンネルの通信容量は、例えば10Gbit/sである。光受信サブアセンブリ81〜90に入力される光信号としては、例えば、100m以下の近距離通信に一般に利用される850nm帯などの短波長(具体的には1260nm未満)の光が好適である。
【0018】
信号処理回路31は、電気信号処理器の一例である。信号処理回路31には、光受信サブアセンブリ81〜90から延びる複数の電気信号配線が接続されている。また、信号処理回路31には、ドライバ51に繋がる電気信号配線も接続されている。信号処理回路31は、光受信サブアセンブリ81〜90から入力される並列の電気信号を時系列の電気信号に変換して、これらの電気信号をドライバ51に出力する。ここでは、並列の電気信号を時系列の電気信号に変換するため、チャンネルの伝送容量が増加する。本例では、信号処理回路31は、光受信サブアセンブリ81〜90から入力される10チャンネルの電気信号を時系列の電気信号に変換する。その場合の伝送容量は、例えば100Gbit/sになる。
【0019】
ドライバ51には、信号処理回路31から延びる電気信号配線がそれぞれ接続されている。また、ドライバ51には、光送信サブアセンブリ61に繋がる電気信号配線も接続されている。ドライバ51は、信号処理回路31から入力される電気信号を増幅すると共に、必要に応じてバイアスして、光送信サブアセンブリを駆動する。
【0020】
光送信サブアセンブリ61は電気−光変換器の一例であり、光変調器を含んでいる。光送信サブアセンブリ61には、ドライバ51から延びる電気信号配線が接続されている。また、光送信サブアセンブリ61は、ドライバ51に入力された時系列の電気信号を光信号に変換する。光送信サブアセンブリ61から出力される光信号としては、例えば、長距離通信に一般に利用される1.3μm帯(具体的には1260〜1360nm)や1.5μm帯(具体的には1530〜1565nm)の光が好適であるが、特に短距離向けに利用する場合には850nm帯などの短波長(具体的には1260nm未満)の光でも良い。
【0021】
1.3μm帯や1.5μm帯の光信号を利用するには、光送信サブアセンブリ61に、マッハツェンダー型光変調器や電界吸収型光変調器などの外部変調式の光変調器を用いることが好ましい。このような外部変調式の光変調器を用いる場合、ドライバ51としては電圧駆動型のドライバが適用される。また、外部変調式の光変調器は、リチウムナイオベイトを用いた光変調器であることが好ましい。
【0022】
[受信側の構成]
光コネクタ12には、不図示のシングルモード光ファイバが外部から着脱可能に接続される。また、光コネクタ12には、光受信サブアセンブリ71に繋がる1本の光ファイバも接続されている。光コネクタ12は、外部から接続される不図示の光ファイバと、光受信サブアセンブリ71に繋がる光ファイバと、を結合する。光コネクタ12に接続された不図示のシングルモード光ファイバを通じて外部から入力される光信号の伝送容量は、例えば100Gbit/sである。
【0023】
光受信サブアセンブリ71は光−電気変換器の一例であり、フォトダイオードを含んでいる。光受信サブアセンブリ71には、信号処理回路32に繋がる電気信号配線も接続されている。光受信サブアセンブリ71は光信号を電気信号に変換して、この電気信号を信号処理回路32に出力する。光受信サブアセンブリ71に入力される光信号としては、例えば、長距離通信に一般に利用される1.3μm帯(具体的には1260〜1360nm)や1.5μm帯(具体的には1530〜1565nm)の光が好適である。しかしながら、特に短距離向けに利用する場合には850nm帯などの短波長(具体的には1260nm未満)の光でも良い。その場合は光コネクタ12に接続される不図示の光ファイバはマルチモードの光ファイバとなる。
【0024】
信号処理回路32は、電気信号処理器の一例である。信号処理回路32には、光受信サブアセンブリ71から延びる電気信号配線が接続されている。また、信号処理回路32には、ドライバ91〜100にそれぞれ繋がる複数の電気信号配線も接続されている。信号処理回路32は、光受信サブアセンブリ71から入力される電気信号を並列の電気信号に変換して、これらの電気信号をドライバ91〜100にそれぞれ出力する。ここでは、時系列の信号を並列信号に変換した分、並列信号の各チャンネルの伝送容量が減少する。本例では、信号処理回路32は、光受信サブアセンブリ71から入力される時系列の電気信号を10チャンネルの電気信号に変換する。各チャンネルの伝送容量は、例えば10Gbit/sになる。
【0025】
ドライバ91〜100には、信号処理回路32から延びる複数の電気信号配線がそれぞれ接続されている。また、ドライバ91〜100には、光送信サブアセンブリ101〜110に繋がる複数の電気信号配線もそれぞれ接続されている。ドライバ91〜100は、信号処理回路32から入力される複数チャンネルの電気信号を増幅すると共に、必要に応じてバイアスして、光送信サブアセンブリ101〜110をそれぞれ駆動する。本例では、信号処理回路32からドライバ91〜100に10チャンネルの電気信号が入力される。
【0026】
光送信サブアセンブリ101〜110は、複数の電気−光変換器の一例であり、それぞれ光変調器を含んでいる。光送信サブアセンブリ101〜110には、ドライバ91〜100から延びる複数の電気信号がそれぞれ接続されている。また、光送信サブアセンブリ101〜110には、多芯光コネクタ16に繋がる複数のマルチモード光ファイバもそれぞれ接続されている。光送信サブアセンブリ101〜110は、ドライバ91〜100に入力された複数チャンネルの電気信号を、これと同数の複数チャンネルの光信号に変換して、これらの光信号を多芯光コネクタ16に出力する。本例では、光送信サブアセンブリ101〜110は、10チャンネルの光信号を出力する。光送信サブアセンブリ101〜110から出力される光信号としては、例えば、100m以下の近距離通信に一般に利用される850nm帯などの短波長帯(具体的には1260nm未満)の光が好適である。
【0027】
850nm帯などの短波長帯の光信号を利用するには、光送信サブアセンブリ101〜110に直流変調式の光変調器を用いることが好ましい。このような直流変調式の光変調器を用いる場合、ドライバ91〜100としては電流駆動型のドライバが適用される。
【0028】
多芯光コネクタ16は、コネクタの一例である。多芯光コネクタ16には、光送信サブアセンブリ101〜110から延びる複数の光ファイバが接続されている。また、多芯光コネクタ16には、不図示の回路基板に繋がる複数のマルチモード光ファイバが着脱可能に接続される。多芯光コネクタ16は、光送信サブアセンブリ101〜110から延びる複数の光ファイバと、不図示の回路基板に繋がる複数のマルチモード光ファイバと、を結合する。光送信サブアセンブリ101〜110から出力された複数チャンネルの光信号は、多芯光コネクタ16に接続された複数のマルチモード光ファイバを通じて不図示の回路基板に出力される。
【0029】
制御回路35には、信号処理回路31,32にそれぞれ繋がる電気信号配線と、電気コネクタ25に繋がる電気信号配線と、が接続されている。また、図示されていないが、制御回路35には、光送信サブアセンブリ61,101〜110、ドライバ51,91〜100、光受信サブアセンブリ71,81〜90にそれぞれ繋がる電気信号配線も接続されている。
【0030】
図2は、本発明の光通信器の別の一例としての光送受信モジュール200の構成を表すブロック図である。上記実施形態と重複する構成については、同番号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0031】
[送信側の構成]
信号処理回路31には、ドライバ51〜54にそれぞれ繋がる複数の電気信号配線が接続されている。信号処理回路31は、光受信サブアセンブリ81〜90から入力される複数チャンネルの電気信号をこれより数の少ない複数チャンネルの電気信号に変換して、これらの電気信号をドライバ51〜54にそれぞれ出力する。ここでは、チャンネル数が減少した分、各チャンネルの伝送容量が増加する。本例では、信号処理回路31は、光受信サブアセンブリ81〜90から入力される10チャンネルの電気信号を4チャンネルの電気信号に変換する。各チャンネルの伝送容量は、例えば25Gbit/sになる。
【0032】
ドライバ51〜54には、信号処理回路31から延びる複数の電気信号配線がそれぞれ接続されている。また、ドライバ51〜54には、光送信サブアセンブリ61〜64に繋がる複数の電気信号配線もそれぞれ接続されている。ドライバ51〜54は、信号処理回路31から入力される複数チャンネルの電気信号を増幅すると共に、必要に応じてバイアスして、光送信サブアセンブリ61〜64をそれぞれ駆動する。本例では、信号処理回路31からドライバ51〜54に4チャンネルの電気信号が入力される。
【0033】
光送信サブアセンブリ61〜64は、複数の電気−光変換器の一例であり、それぞれ光変調器を含んでいる。光送信サブアセンブリ61〜64には、ドライバ51〜54から延びる複数の電気信号配線がそれぞれ接続されている。また、光送信サブアセンブリ61〜64には、光合波器21に繋がる複数の光ファイバもそれぞれ接続されている。光送信サブアセンブリ61〜64は、ドライバ51〜54に入力された複数チャンネルの電気信号を、これと同数の、互いに波長が異なる複数チャンネルの光信号に変換して、これらの光信号を光合波器21に出力する。本例では、光送信サブアセンブリ61〜64は、互いに波長が異なる4チャンネルの光信号を出力する。
【0034】
光合波器21は、合波器の一例である。光合波器21には、光送信サブアセンブリ61〜64からそれぞれ延びる複数の光ファイバが接続されている。また、光合波器21には、光コネクタ11に繋がる1本の光ファイバも接続されている。光合波器21は、光送信サブアセンブリ61〜64から入力される、互いに波長が異なる複数チャンネルの光信号を合波し、これにより得られる波長多重信号を光コネクタ11に出力する。本例では、光合波器21から出力される波長多重信号は、4チャンネルの波長多重信号である。波長多重信号の伝送容量は、例えば100Gbit/sである。
【0035】
光コネクタ11には、光合波器21から延びる1本の光ファイバが接続されている。また、光コネクタ11には、不図示のシングルモード光ファイバが外部から着脱可能に接続される。光コネクタ11は、光合波器21から延びる光ファイバと、外部から接続される不図示のシングルモード光ファイバと、を結合する。光合波器21から出力された波長多重信号は、光コネクタ11に接続された不図示のシングルモード光ファイバを通じて外部に出力される。
【0036】
[受信側の構成]
光コネクタ12には、光分波器22に繋がる1本の光ファイバも接続されている。光コネクタ12は、外部から接続される不図示のシングルモード光ファイバと、光分波器22に繋がる光ファイバと、を結合する。光コネクタ12に接続された不図示のシングルモード光ファイバを通じて外部から入力される波長多重信号は、光分波器22に入力される。本例では、光分波器22に入力される波長多重信号は、4チャンネルの波長多重信号である。波長多重信号の伝送容量は、例えば100Gbit/sである。
【0037】
光分波器22は、分波器の一例である。光分波器22には、光コネクタ12から延びる1本の光ファイバが接続されている。また、光分波器22には、光受信サブアセンブリ71〜74にそれぞれ繋がる複数の光ファイバも接続されている。光分波器22は、光コネクタ12から入力される波長多重信号を、互いに波長が異なる複数チャンネルの光信号に分波し、これらの光信号を光受信サブアセンブリ71〜74にそれぞれ出力する。本例では、光分波器22は、光コネクタ12から入力される波長多重信号を4チャンネルの光信号に分波する。各チャンネルの伝送容量は、例えば25Gbit/sである。
【0038】
光受信サブアセンブリ71〜74は、複数の光−電気変換器の一例であり、それぞれフォトダイオードを含んでいる。光受信サブアセンブリ71〜74には、光分波器22から延びる複数の光ファイバがそれぞれ接続されている。また、光受信サブアセンブリ71〜74には、信号処理回路32に繋がる複数の電気信号配線もそれぞれ接続されている。光受信サブアセンブリ71〜74は、光分波器22から入力される複数チャンネルの光信号をこれと同数の複数チャンネルの電気信号に変換して、これらの電気信号を信号処理回路32に出力する。本例では、光分波器22から光受信サブアセンブリ71〜74に4チャンネルの光信号が入力される。
【0039】
信号処理回路32には、光受信サブアセンブリ71〜74から延びる複数の電気信号配線が接続されている。信号処理回路32は、光受信サブアセンブリ71〜74から入力される複数チャンネルの電気信号をこれより数の多い複数チャンネルの電気信号に変換して、これらの電気信号をドライバ91〜100にそれぞれ出力する。ここでは、チャンネル数が増加した分、各チャンネルの伝送容量が減少する。本例では、信号処理回路32は、光受信サブアセンブリ71〜74から入力される4チャンネルの電気信号を10チャンネルの電気信号に変換する。各チャンネルの伝送容量は、例えば10Gbit/sになる。
【0040】
制御回路35には、信号処理回路31,32にそれぞれ繋がる電気信号配線と、電気コネクタ25に繋がる電気信号配線と、が接続されている。また、図示されていないが、制御回路35には、光送信サブアセンブリ61〜64,101〜110、ドライバ51〜54,91〜100、光受信サブアセンブリ71〜74,81〜90にそれぞれ繋がる電気信号配線も接続されている。
【0041】
図4は、従来の光通信器の構成を表すブロック図である。上記実施形態と重複する構成については、同番号を付すことで詳細な説明を省略する。従来においては、信号処理回路31,32と不図示の回路基板とが電気コネクタ25を介して電気信号をやりとりしていた。電気コネクタ25では電気信号の高周波成分が劣化しやすく、使用する電気信号の帯域が制限されるため、電気コネクタ25がボトルネックとなって、光通信器の伝送容量の増大化が阻害されるおそれがあった。
【0042】
図3は、本発明の光通信機の一例としての光通信機300の構成を表すブロック図である。光通信機300は、第1の回路基板210と、第2の回路基板220と、を備えている。第1の回路基板210には、光送受信モジュール200が取り付けられ、制御回路160が実装されている。第2の回路基板220には、変換器111〜120,131〜140と、集積回路121〜130,141〜150と、が実装されている。
【0043】
第1の回路基板210に実装された制御回路160には、光送受信モジュール200に繋がる電気信号配線が接続されている。制御回路160から出力された電気信号は、光送受信モジュール200の電気コネクタ25を介して制御回路35に入力される(図1を参照)。
【0044】
第2の回路基板220に実装された変換器111〜120は、それぞれ直流変調式の光変調器を含んでいる。変換器111〜120には、集積回路121〜130から延びる複数の電気信号配線がそれぞれ接続されている。また、変換器111〜120には、光送受信モジュール200に繋がる複数の光ファイバがそれぞれ接続されている。変換器111〜120は、集積回路121〜130から出力された複数チャンネルの電気信号を、これと同数の複数チャンネルの光信号に変換して、これらの光信号を光送受信モジュール200に出力する。変換器111〜120から出力される光信号は、光送受信モジュール200の多芯光コネクタ15を介して光受信サブアセンブリ81〜90にそれぞれ入力される(図1を参照)。
【0045】
第2の回路基板220に実装された変換器131〜140は、それぞれフォトダイオードを含んでいる。変換器131〜140には、光送受信モジュール200から延びる複数の光ファイバがそれぞれ接続されている。また、変換器131〜140には、集積回路141〜150に繋がる電気信号配線がそれぞれ接続されている。変換器131〜140は、光送受信モジュール200から出力された複数チャンネルの光信号を、これと同数の複数チャンネルの電気信号に変換して、これらの電気信号を集積回路141〜150にそれぞれ出力する。変換器131〜140に入力される光信号は、光送受信モジュール200の光送信サブアセンブリ101〜110から多芯光コネクタ16を介して出力される(図1を参照)。
【0046】
本例によると、変換器111〜120,131〜140及び集積回路121〜130,141〜150が実装された第2の回路基板220とは別の第1の回路基板210に光送受信モジュール200を取り付けることが可能である。このため、光通信機300に含まれる構成の配置の自由度を向上させることが可能である。
【0047】
すなわち、従来では、光通信器と、電気信号を処理する集積回路とが電気信号配線で繋がれるため、電気信号の劣化を防ぐために、光通信器と集積回路とを1つの回路基板内で近接させる必要があった。
【0048】
これに対し、本例では、光送受信モジュール200と、集積回路121〜130,141〜150と、が光ファイバを介して接続されるため、従来と比べて信号劣化が少ない。このため、光送受信モジュール200と、集積回路121〜130,141〜150とを1つの回路基板内で近接させる必要がなく、第1の回路基板210と第2の回路基板220とに振り分けて配置することが可能である。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0050】
上記実施形態では、波長多重方式の例を挙げたが、複数の光信号の多重化が可能である限り、方式は特に限定されない。例えば、位相多重方式であってもよいし、振幅多重方式であってもよい。これらの方式は、コヒーレント伝送方式と総称される。
【符号の説明】
【0051】
11,12 光コネクタ、15,16 多芯光コネクタ(コネクタ)、21 光合波器(合波器)、22 光分波器(分波器)、25 電気コネクタ、31,32 信号処理回路(電気信号処理器)、35 制御回路、51〜54 ドライバ、61〜64 光送信サブアセンブリ(電気−光変換器)、71〜74 光受信サブアセンブリ(光−電気変換器)、81〜90 光受信サブアセンブリ(光−電気変換器)、91〜100 ドライバ、101〜110 光送信サブアセンブリ(電気−光変換器)、111〜120 変換器、121〜130 集積回路、131〜140 変換器、141〜150 集積回路、160 制御回路、200 光送受信モジュール、210 第1の回路基板、220 第2の回路基板、300 光通信機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバが接続されるコネクタと、
前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する複数の光−電気変換器と、
前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を単一の電気信号に変換する電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの電気信号を光信号に変換する電気−光変換器と、
を備えることを特徴とする光通信器。
【請求項2】
複数の光ファイバが接続されるコネクタと、
前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する複数の光−電気変換器と、
前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する複数の電気−光変換器と、
前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号を合波して出力する合波器と、
を備えることを特徴とする光通信器。
【請求項3】
請求項2に記載の光通信器であって、
前記電気信号処理器は、前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号をそれよりも少ない数の複数の電気信号に変換する、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の光通信器であって、
前記電気−光変換器は、外部変調式の光変調器を含み、ドライバによって電圧駆動される、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の光通信器であって、
前記電気−光変換器は電界吸収型光変調器である、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項6】
請求項1または2に記載の光通信器であって、
前記電気−光変換器はリチウムナイオベイトを用いた光変調器である、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項7】
入力される光信号を電気信号に変換する光−電気変換器と、
前記光−電気変換器からの単一の電気信号を複数の電気信号に変換する電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する複数の電気−光変換器と、
前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号が入力される複数の光ファイバが接続されるコネクタと、
を備えることを特徴とする光通信器。
【請求項8】
入力される光に含まれる複数の光信号を分波する分波器と、
前記分波器からの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する複数の光−電気変換器と、
前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する複数の電気−光変換器と、
前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号が入力される複数の光ファイバが接続されるコネクタと、
を備えることを特徴とする光通信器。
【請求項9】
請求項8に記載の光通信器であって、
前記電気信号処理器は、前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号をそれよりも多い数の複数の電気信号に変換する、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項10】
請求項7または8に記載の光通信器であって、
前記各々の電気−光変換器は、直接変調式の光変調器を含み、ドライバによって電流駆動される、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項11】
複数の光ファイバが接続される送信側コネクタと、
前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する複数の送信側光−電気変換器と、
前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する送信側電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する複数の送信側電気−光変換器と、
前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号を合波して出力する送信側合波器と、
入力される光に含まれる複数の光信号を分波する受信側分波器と、
前記分波器からの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換する複数の受信側光−電気変換器と、
前記複数の光−電気変換器からの複数の電気信号を異なる数の複数の電気信号に変換する受信側電気信号処理器と、
前記電気信号処理器からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換する複数の受信側電気−光変換器と、
前記複数の電気−光変換器からの複数の光信号が入力される複数の光ファイバが接続される受信側コネクタと、
を備え、
前記各々の送信側電気−光変換器は、外部変調式の光変調器を含み、ドライバによって電圧駆動され、
前記各々の受信側電気−光変換器は、直接変調式の光変調器を含み、ドライバによって電流駆動される、
ことを特徴とする光通信器。
【請求項12】
請求項2または8に記載の光通信器であって、
コヒーレント伝送方式を用いたことを特徴とする光通信器。
【請求項13】
請求項2または8に記載の光通信器であって、
波長多重方式を用いたことを特徴とする光通信器。
【請求項14】
請求項1または2に記載の光通信器と、
複数の電気回路と、
前記複数の電気回路からの複数の電気信号を複数の光信号にそれぞれ変換し、前記複数の光信号を前記コネクタに接続された前記複数の光ファイバにそれぞれ出力する複数の変換器と、
を備える光通信機。
【請求項15】
請求項7または8に記載の光通信器と、
複数の電気回路と、
前記コネクタに接続された前記複数の光ファイバからの複数の光信号を複数の電気信号にそれぞれ変換し、前記複数の電気信号を前記複数の電気回路にそれぞれ出力する複数の変換器と、
を備える光通信機。
【請求項16】
請求項14または15に記載の光通信機であって、
前記光通信器は、前記複数の電気回路及び前記複数の変換器が実装された回路基板とは異なる回路基板に取り付けられる、
ことを特徴とする光通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−249985(P2011−249985A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119294(P2010−119294)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】