説明

光遅延発生装置およびそれを用いた投射型画像表示装置

【課題】スペックルノイズの低減と不要光の効率的な除去が可能な光遅延発生装置およびそれを用いた投射型画像表示装置を提供する。
【解決手段】基本波レーザ光20および第二高調波レーザ光21は、光遅延発生装置30に入射される。光遅延発生装置30は、張り合わされているプリズム31およびプリズム32により構成されており、偏光分離手段41、波長選択手段42、光路差発生手段43を有している。光遅延発生装置30を通過することにより、レーザ光20とレーザ光21が空間的に分離され、また、レーザ光21はS偏光成分とP偏光成分に所望の光路差が発生して、それぞれレーザ光22、23として光遅延発生装置30から出射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間光変調素子で形成される画像をレーザ光によって照明し、投射レンズを用いてスクリーン上に投射する投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大画面の画像を効率的に得るための一形態として、映像信号に応じた画像を形成する小型の空間光変調素子をランプからの光で照明し、投射レンズによってその光学像をスクリーン上に拡大投射する、プロジェクター等の投射型画像表示装置が用いられている。
【0003】
しかしながら、ランプを光源とした場合、(1)光源の寿命が短くメンテナンスが煩雑になる、(2)白色光を光の三原色に分離するために光学系が複雑になる、(3)色再現範囲が狭い、といった数々の問題点がある。
【0004】
これらの問題点を解決するために、ランプの代わりにレーザ光源を用いた新しい投射型画像表示装置が提案されている。レーザ光源は、ランプに比べて寿命が長く、またレーザ光は指向性が高いために光利用効率も高い。さらに、その単色性により広い色再現範囲を確保できるという特徴を有している。
【0005】
しかしながら、レーザ光は干渉性が高いため、スペックルが生じるという問題点がある。スペックルとは、レーザ光源からの位相が揃った波が表面の荒い物体面によって散乱されることで、像面において複雑な位相関係で光束が干渉し合うことによって生じる現象であり、不規則な粒状の強度分布として観察される。
【0006】
投射型画像表示装置においては、スペックルノイズが現れると観察者は画質の劣化として認識するため、レーザ光を用いた投射型画像表示装置を提供する際には、スペックルノイズの除去・低減が極めて重要である。
【0007】
スペックルノイズを低減する方法として、複数の方法が提案されている(例えば特許文献1〜3)。特許文献1では、スペクトル幅を広げてレーザ発振させることで、スペックルノイズを低減している。また、特許文献2では波長の異なる複数の光源を用いることで、同様の効果を得ている。
【0008】
別のアプローチとして、相関のない複数のスペックルパターンを重畳させることにより、スペックルノイズを低減させる方法がある。特許文献3では、レーザ光をP偏光成分とS偏光成分に分離し、光路差をつけて合波し、空間光変調素子にレーザ光を入射している。
【特許文献1】特開2002−323675号公報
【特許文献2】特表2004−503923号公報
【特許文献3】特開2001−296503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
画像表示にレーザ光を用いる際には、スペックルの低減に有利であるレーザ光源が好ましいことは前述の通りであるが、加えて、小型で高効率・低コストの光源が好ましいことは言うまでもない。
【0010】
赤色および青色のレーザ光源については、その波長で直接発振する高出力レーザダイオードが実用化されており、小型化・低コスト化の面において、これらレーザダイオードは投射型画像表示装置用のレーザ光源として好適である。
【0011】
一方、緑色のレーザ光源については、その波長で直接発振する高出力レーザダイオードは実用化されておらず、近赤外レーザの第二高調波発生により緑色レーザ光を得る手法が最も広く採用されている。
【0012】
第二高調波発生により緑色光を得るレーザ光源では、波長変換されるもとの近赤外光(基本波)を非線形光学結晶に入射することにより、結晶内で第二高調波への波長変換が行われ、所望の緑色光を得る。その際、基本波から第二高調波への変換効率は、基本波のスペクトル幅が狭いほど高くなるため、非線形光学結晶を用いた波長変換によるレーザ光は、一般にスペクトル幅が狭帯域である。
【0013】
しかしながら、レーザ光のスペクトル幅とスペックルには相関があり、スペクトル幅が狭いとスペックルノイズが大きくなることがよく知られている。そのため、第二高調波発生によるレーザ光は、広帯域の縦マルチモードで発振するレーザダイオード等に比べてスペックル低減が厳しく要求される。
【0014】
さらに、一般的な光学系構成では、第二高調波と基本波が、結晶出射後に同一光路を伝播するため、基本波を空間的に分離して、第二高調波のみを照明光として空間光変調素子に入射する必要がある。そこで、基本波を透過して第二高調波を反射する、あるいは、基本波を反射して第二高調波を透過するようなハーモニックセパレーターと呼ばれるダイクロイックミラーを別途使用して二つの光を空間的に分離しなければならない。
【0015】
このように、複数の波長の光(基本波と第二高調波)を扱うレーザ光源を用いて投射型画像表示装置を構成する場合には、所望光の分離や、スペックル低減といった種々の光学作用を施す必要があるため、光学系構成が煩雑になるという問題点があった。
【0016】
そこで、本発明では、複数の波長のレーザ光が同一光路を伝播する光学系において、所望のレーザ光のみを分離し、かつ効果的にスペックルノイズの低減が可能である光遅延発生装置およびそれを用いた投射型画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の光遅延発生装置では、少なくとも2つの異なる波長を有するレーザ光より構成される入射光のうち、少なくとも1つの波長のレーザ光のP偏光成分とS偏光成分を分離する偏光分離手段と、前記P偏光成分と前記S偏光成分との間に前記レーザ光のコヒーレンス長以上の光路差を発生させる光路差発生手段と、前記レーザ光を空間的に分離する波長選択手段とを備え、前記偏光分離手段と前記光路差発生手段と前記波長選択手段が1つの光学系で構成されていることを特徴とする。
【0018】
特に、本発明の光遅延発生装置では、前記偏光分離手段に入射する前記レーザ光のP偏光成分とS偏光成分の強度比を変える偏光調整手段を備えていることや、前記レーザ光のうち、1つのレーザ光の波長が、残りのレーザ光のうちの1つのレーザ光の波長の整数倍であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の投射型画像表示装置は、レーザ光を映像信号に応じて変調を行う空間光変調素子と、前記空間光変調素子から出射されたレーザ光をスクリーンに投射する投射光学系とを備える投射型画像表示装置であって、前記空間光変調素子を照明する照明光学装置が、少なくとも2つの異なる波長を有するレーザ光より構成される入射光のうち、少なくとも1つの波長のレーザ光のP偏光成分とS偏光成分を分離する偏光分離手段と、前記P偏光成分と前記S偏光成分との間に前記レーザ光のコヒーレンス長以上の光路差を発生させる光路差発生手段と、前記入射光のうち少なくとも1つの波長のレーザ光を空間的に分離する波長選択手段とを備えた光遅延発生装置を具備し、前記光遅延発生装置における前記偏光分離手段と前記光路差発生手段と前記波長選択手段が1つの光学系で構成されることを特徴とする。
【0020】
特に、本発明の投射型画像表示装置は、前記レーザ光源と前記空間光変調素子との間に、前記レーザ光の位相を時間的に変調する位相変調手段を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、偏光分離手段、波長選択手段、光路差発生手段を兼ね備えた小型で効果的な光遅延発生装置を提供することができる。これは特に、波長変換を伴うレーザ光を扱うときに有用である。さらに、空間光変調素子を用いてレーザ光により照明された画像を投射する投射型画像表示装置において、スペックルノイズを低減した高品位な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1の光遅延発生装置を示す構成図であり、本発明の光遅延発生装置を第二高調波発生によるレーザ光源に適用したものである。
【0024】
図において、第二高調波を発生するレーザ光源は、基本波レーザ光源10と波長変換素子11により構成されている。
【0025】
基本波レーザ光源10は波長1064nmで発振するNd:YAGレーザであり、P偏光の基本波レーザ光20が出射される。波長変換素子11は第二種位相整合により第二高調波発生が可能なKTiOPO結晶(KTP結晶)である。
【0026】
図1に示すように、光の進行方向をz軸、P偏光方向をx軸、S偏光方向をy軸とすると、偏光軸がxy平面内においてx軸から45度傾いている偏光状態の第二高調波である波長532nmのレーザ光21が出射される。基本波レーザ光20の波長は、レーザ光21の波長のちょうど2倍である。このとき、波長変換されなかったレーザ光20は、レーザ光21と同一光路で波長変換素子11から出射される。
【0027】
2つのレーザ光20および21は、光遅延発生装置30に入射される。光遅延発生装置30は、プリズム31およびプリズム32により構成されており、2つのプリズムは張り合わされている。2つのプリズムの寸法図を図2(a)に示した。いずれも三角柱の形状をしており、プリズム31の底面は底角が45度の直角二等辺三角形、プリズム32の底面は底角が67.5度の二等辺三角形である。
【0028】
なお、プリズム31とプリズム32において、底面の二等辺三角形の底辺の長さは同じであり、図2ではDと示した。
【0029】
なお、図2(b)に示すように、プリズム32の頂点の部分を切り落として台形状とし、プリズム31と張り合わせてペンタプリズムの形状をした構成も等価である。
【0030】
図1に示すように、光遅延発生装置30は、偏光分離手段41、波長選択手段42、光路差発生手段という3つの機能を有している。プリズム31とプリズム32の界面となる偏光分離手段41は、偏光ビームスプリッタであり、P偏光であるレーザ光20は偏光分離手段41を透過するが、レーザ光21のうちS偏光成分は偏光分離手段41にて反射され、S偏光のレーザ光22として光遅延発生装置30から出射される。
【0031】
偏光分離手段41を透過したレーザ光20とレーザ光21のうちP偏光成分は、波長選択手段42に入射する。波長選択手段42はプリズム32の界面であり、誘電体多層膜によるコーティングが施されている。波長選択手段42は、レーザ光20の波長に対しては高透過率、レーザ光21の波長に対しては低透過率となっている。そのため、レーザ光20のみがプリズム32から出射される。
【0032】
一方、レーザ光21のP偏光成分は、偏光分離手段41を透過後、レーザ光23として、波長選択手段42で反射し、波長選択手段42と同じくレーザ光21の波長に対して高反射率の誘電体多層膜が施されているプリズム界面43でもう一度反射され、再び偏光分離手段41に入射される。
【0033】
偏光分離手段41においてP偏光は透過するので、レーザ光23はそのまま偏光ビームスプリッタを通過し、偏光分離手段41で反射されたレーザ光22と同一の進行方向となり光遅延発生装置30から出射される。
【0034】
このとき、図1から分かるように、光遅延発生装置30から出射したレーザ光22とレーザ光23には、プリズム32の大きさで決まる光路差(44a、44b、44c)が発生している。ちょうど偏光分離手段41の面の中心にレーザ光21が入射するとき、レーザ光22の光軸とレーザ光23の光軸は光遅延発生装置30出射後に空間的に重なり、その光路差は図2に示したDを用いて1.71Dである。すなわち、プリズム32が光路差発生手段となっている。
【0035】
光遅延発生装置30から出射されるレーザ光22およびレーザ光23がスペックル低減に効果的であるためには、2つの光の干渉性がなくなっている必要がある。すなわち、レーザ光22とレーザ光23の光路差は、レーザ光21のコヒーレンス長以上であることが好ましい。
【0036】
一般に、レーザ光の波長λ、波長幅Δλ、コヒーレンス長Lcには以下の関係があることが知られている。
【0037】
Lc≒λ^2/Δλ
本実施の形態における、波長変換されたレーザ光21の波長幅は約0.1nmであるので、コヒーレンス長は空気中において約3mmである。すなわち、レーザ光22とレーザ光23の光路差をコヒーレンス長以上とするためには、プリズムの底辺の長さが2〜3mm以上であれば良く、非常に小型のプリズムでも容易にこれを実現できる。
【0038】
なお、本発明は更に狭帯域のスペクトルを有するレーザ光においても有用であり、例えば波長532nm、波長幅0.01nmの光源においてもコヒーレンス長は空気中で3cm以下であり、20〜30mm以上のプリズムを用いることで効果が期待できる。
【0039】
本実施の形態では、光遅延発生装置に入射するレーザ光として、Nd:YAGレーザ光とその第二高調波を例に挙げたが、本発明の有用性が、特に決められたレーザ光の組み合わせに限定されないことは言うまでもない。
【0040】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2の光遅延発生装置を示す構成図である。実施の形態1との構成上の違いとして、光遅延発生装置30の中に、偏光調整手段50が組み込まれている。本実施の形態では、基本波レーザ光源10は、波長1064nmで発振するYbファイバーレーザであり、波長変換素子11は擬似位相整合により波長変換が可能な分極反転ニオブ酸リチウム結晶(PPLN結晶)である。
【0041】
図において、Ybファイバーレーザ10からの出力光20がP偏光となるように配置しているが、その場合、PPLN結晶11から出力される第二高調波のレーザ光21もP偏光となる。そのため、光遅延発生装置30において、プリズム31に光を入射する前に、偏光調整手段50によってレーザ光21の偏光方向を45度回転させるようにしている。
【0042】
より具体的には、偏光調整手段50は水晶によって構成される2分の1波長板であり、偏光調整手段50を通過することにより、レーザ光21の偏光方向は45度回転するが、レーザ光20の偏光方向は回転しないように、水晶の結晶軸の向きと厚さが調整されている。
【0043】
偏光調整手段50を通過後は、レーザ光21はS偏光成分とP偏光成分を等しく有することになる。実施の形態1の場合と同様の過程を経ることにより、レーザ光20とレーザ光21が空間的に分離され、また、レーザ光21はS偏光成分とP偏光成分に所望の光路差が発生し、それぞれ光遅延発生装置30から出射される。
【0044】
なお、偏光調整手段50をプリズム31の入射面に張り合わせて、より小型の構成にしてもよい。
【0045】
(実施の形態3)
図4は本発明の実施の形態3の光遅延発生装置を示す構成図である。本実施の形態では、実施の形態2で用いた光遅延発生装置を2つ使用する構成となっている。レーザ光の波長変換では、波長変換されなかった基本波を再利用して複数回波長変換を行うことが、光利用効率を高める上で効果的であることが少なくない。本実施の形態は、残留した基本波を用いて波長変換を行う場合に好適な構成例であり、第一の光遅延発生装置30と第二の光遅延発生装置60により構成されている。
【0046】
図において、第一の光遅延発生装置30中の波長選択手段42を透過したレーザ光20は、波長変換素子12に入射されて、再度、第二高調波であるレーザ光24へと変換される。波長変換素子12から出射されたレーザ光20とレーザ光24は、第二の光遅延発生装置60へと入射され、レーザ光20とレーザ光24が空間的に分離され、また、レーザ光24はS偏光成分とP偏光成分に所望の光路差が発生し、それぞれ光遅延発生装置60からレーザ光25とレーザ光26として出射される。
【0047】
本実施の形態では、二段の波長変換素子および光遅延発生装置を適用する構成を挙げたが、同様の構成を拡張することにより、三段以上の波長変換にも本発明を適用することが可能である。
【0048】
(実施の形態4)
図5は本発明の実施の形態4の投射型画像表示装置を示す構成図である。本実施の形態は、実施の形態1〜3で示した本発明の光遅延発生装置、および第二高調波発生によるレーザ光源を備えた投射型画像表示装置である。
【0049】
光遅延発生装置30から出射されたレーザ光22、レーザ光23はそれぞれ偏光方向が直交している直線偏光であり、かつコヒーレンス長以上の光路差があるため、お互いに干渉しない。これらレーザ光22、23は、回転マイクロレンズアレイ101を通過した後でロッドインテグレータ102へと入射される。ロッドインテグレータ102からの出射光は、リレー光学系103および反射ミラー104を経由して空間光変調素子であるデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)105へと結像される。DMD105からの反射光は投射光学系106によってスクリーン107へと投射される。
【0050】
本実施の形態の投射型画像表示装置は、光遅延発生装置30によって干渉性のないレーザ光22と23を出射しているが、その際、基本波の不要なレーザ光20と、波長変換された照明用レーザ光21との空間的な分離を、光遅延発生装置30の内部で行うことができるため、新たな波長選択手段を設ける必要がなく、装置の小型化が可能となっている。
【0051】
スクリーン107上に形成されるスペックルは、レーザ光22とレーザ光23で相関のない独立したパターンとなるため、レーザ光スペックルノイズが低減される。さらに、レーザ光の位相を時間的に変調する位相変調手段として、ロッドインテグレータ102の直前に回転マイクロレンズアレイ101を挿入している。回転マイクロレンズアレイ101が回転することにより、時間的に様々な位相を持つレーザ光がスクリーン107に投射されることになり、一層スペックルノイズが低減される。
【0052】
なお、本実施の形態では、照明に使用するレーザ光として波長532nmの緑色の単色光を用いた投射型画像表示装置を例に挙げたが、赤色および青色のレーザ光を併用したフルカラーの投射型画像表示装置にも容易に拡張できる。例えば、緑色のレーザ光22と23に加えて、赤色と青色のレーザ光を本発明の光遅延発生装置に入射し、その出射光をロッドインテグレータ102に入射すればよい。
【0053】
また、空間光変調素子として、二次元空間変調素子であるDMDの代わりに、一次元および二次元の走査を伴うスキャン型のミラーデバイスを使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の光遅延発生装置およびそれを用いた投射型画像表示装置は、スペックルノイズの低減と不要光の効率的な除去を可能とし、レーザ光源を用いたプロジェクターなどの投射型画像表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1に係る光遅延発生装置の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態1に係る光遅延発生装置のプリズムの寸法図
【図3】本発明の実施の形態2に係る光遅延発生装置の概略構成図
【図4】本発明の実施の形態3に係る光遅延発生装置の概略構成図
【図5】本発明の実施の形態4に係る投射型画像表示装置の概略構成図
【符号の説明】
【0056】
10 基本波レーザ光源
11 波長変換素子
20 基本波レーザ光
21 第二高調波レーザ光
22 S偏光の第二高調波レーザ光
23 P偏光の第二高調波レーザ光
24 第二高調波レーザ光
25 S偏光の第二高調波レーザ光
26 P偏光の第二高調波レーザ光
30 光遅延発生装置
31、32 プリズム
41 偏光分離手段
42 波長選択手段
43 プリズム界面
50 偏光調整手段
60 光遅延発生装置
101 回転マイクロレンズアレイ
102 ロッドインテグレータ
103 リレー光学系
104 反射ミラー
105 DMD
106 投射光学系
107 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる波長を有するレーザ光より構成される入射光のうち、少なくとも1つの波長のレーザ光のP偏光成分とS偏光成分を分離する偏光分離手段と、
前記P偏光成分と前記S偏光成分との間に前記レーザ光のコヒーレンス長以上の光路差を発生させる光路差発生手段と、
前記レーザ光を空間的に分離する波長選択手段とを備え、
前記偏光分離手段と前記光路差発生手段と前記波長選択手段が1つの光学系で構成されていることを特徴とする光遅延発生装置。
【請求項2】
前記偏光分離手段に入射する前記レーザ光のP偏光成分とS偏光成分の強度比を変える偏光調整手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の光遅延発生装置。
【請求項3】
前記レーザ光のうち、1つのレーザ光の波長が、残りのレーザ光のうちの1つのレーザ光の波長の整数倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光遅延発生装置。
【請求項4】
レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を映像信号に応じて変調を行う空間光変調素子と、前記空間光変調素子から出射されたレーザ光をスクリーンに投射する投射光学系とを備える投射型画像表示装置であって、前記空間光変調素子を照明する照明光学装置が、少なくとも2つの異なる波長を有するレーザ光より構成される入射光のうち、少なくとも1つの波長のレーザ光のP偏光成分とS偏光成分を分離する偏光分離手段と、前記P偏光成分と前記S偏光成分との間に前記レーザ光のコヒーレンス長以上の光路差を発生させる光路差発生手段と、前記入射光のうち少なくとも1つの波長のレーザ光を空間的に分離する波長選択手段とを備えた光遅延発生装置を具備し、前記光遅延発生装置における前記偏光分離手段と前記光路差発生手段と前記波長選択手段が1つの光学系で構成されることを特徴とする投射型画像表示装置。
【請求項5】
前記光遅延発生装置が、前記偏光分離手段に入射する前記レーザ光のP偏光成分とS偏光成分の強度比を変える偏光調整手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の投射型画像表示装置。
【請求項6】
前記レーザ光のうち、1つのレーザ光の波長が、残りのレーザ光のうちの1つのレーザ光の波長の整数倍であることを特徴とする請求項4又は5に記載の投射型画像表示装置。
【請求項7】
前記レーザ光源と前記空間光変調素子との間に、前記レーザ光の位相を時間的に変調する位相変調手段を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の投射型画像表示装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−309827(P2008−309827A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154778(P2007−154778)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】