説明

光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグ

【課題】光コネクタプラグ出口側でのアイセイフティ対策を簡易な構成で容易に実現させることができ、しかも光遮蔽部材自体を外部から隔絶された状態となるようにする。
【解決手段】光ファイバを結線して端面研磨して成る固定接続フェルール2と、予め光ファイバが挿入接着し且つ両端面研磨して成る可動接続フェルール3と、両フェルール2、3同士の内部接続用の割スリーブ4と、割スリーブ4の内側に光遮蔽板5aを配置した光遮蔽部材5と、割スリーブ4の外周を覆うように配したコイルバネ6を介して両フェルール2、3間に任意の間隙Gを有する状態となるように当該両フェルール2、3を保持するフェルールホルダー2a、3aとを備え、当該間隙G内に前記光遮蔽部材5の光遮蔽板5aが介入し、内部接続方向に移動する可動接続フェルール3によって光遮蔽板5aを開放方向に退避移動可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信用の光ケーブルの接続を行うために、例えばレセプタクル等の相手側コネクタに接続されるとか、あるいは光コネクタアダプタ両側から挿入されるとかして相互に接続される光コネクタプラグに係り、光コネクタプラグを相手側コネクタもしくは光コネクタアダプタから抜脱した際に当該光コネクタプラグから光が放射されるのを防止できるようにした光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信ネット網の整備に伴い、一般のユーザが光通信用のコネクタを使用する機会が増大している。この光通信に使用されるレーザー光としては、不可視光線が使用されるため、その取り扱い上において、アイセイフティの必要性が高まってきているのが現状である。
【0003】
このため、近年、外側面に光遮蔽機能を付属して成る種々の光コネクタが開発されつつある。例えば、光コネクタの構造上におけるアイセイフティ対策の容易性から、まず、プラグ嵌合相手であるレセプタクル側に光遮蔽扉構造が取り付けられ始めている。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来においては、装置側光コネクタプラグの出口側でのアイセイフティ対策が未だに実現されておらず、例えば相手側コネクタから光コネクタプラグを抜いた際には、各種装置に取り付けられた光ケーブル(コード)の反対側端面から光が放射されたままの状態で放置されるので、目に障害を及ぼす等の危険性が高い。
【0005】
また、光コネクタの外側面に光遮蔽機能を付属させる場合には、元々の光コネクタ嵌合部にある隙間等を利用して付設されるため、光遮蔽機能自体を強固なつくりにすることができない。
【0006】
しかも、光遮蔽板等が光コネクタの外側面にあると、不特定多数の利用者が取り扱う場合に、興味本位にこの光遮蔽板を抉じ開ける者の出てくることも懸念され、また、強固な構造を有しない光遮蔽板にあっては、容易に開けられてしまうという問題も有る。
【0007】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、光コネクタプラグ出口側でのアイセイフティ対策を簡易な構成で容易に実現させることができ、しかも光遮蔽機能自体を強固で且つコンパクトなつくりにすることができ、さらに光遮蔽部材自体を外部から隔絶された状態となるようにすることで、興味本位で光遮蔽板を抉じ開ける等の人為的な破損を防止することのできる光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、光ファイバを結線して端面研磨されて成る固定接続フェルールと、予め光ファイバが挿入接着され且つ両端面研磨されて成る可動接続フェルールと、両フェルール同士の内部接続用の割スリーブと、割スリーブの内側に光遮蔽板が配置された光遮蔽部材と、割スリーブの外周を覆うように配されたコイルバネを介して両フェルール間に任意の間隙を有する状態となるように当該両フェルールを保持するフェルールホルダーとを備え、当該間隙内に前記光遮蔽部材の光遮蔽板が介入し、内部接続方向に移動する可動接続フェルールによって光遮蔽板を開放方向に退避移動可能としたことを特徴とする。
【0009】
コイルバネの付勢力は、割スリーブによる可動接続フェルールを把持固定する力よりも大きく、光コネクタプラグの抜脱解放時には、可動接続フェルールを先端方向に押し出して両フェルール間に、前記光遮蔽板が介入可能となるような間隙が形成されるようになっている。
【0010】
光遮蔽部材は、光遮蔽方向に付勢されている光遮蔽板を可動接続フェルールの内部接続方向への移動によって開放位置に押圧退避させるシャッター構造によるものとなっている。
【0011】
可動接続フェルールとフェルールホルダーとの間には、当該フェルールホルダーに対して可動接続フェルール自体が回転しないように回転規制手段が設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光コネクタプラグ出口側でのアイセイフティ対策を簡易な構成で容易に実現させることができ、しかも光遮蔽機能自体を強固で且つコンパクトなつくりにすることができ、さらに光遮蔽部材自体を外部から隔絶された状態となるようにすることで、興味本位で光遮蔽板を抉じ開ける等の人為的な破損を防止することができる。
【0013】
すなわち、本発明による光コネクタプラグは、相手コネクタへの嵌合時には光を通すが、相手コネクタから抜脱された際には、光コネクタプラグ内部に配された固定接続フェルールに対し、先端側の可動接続フェルールがバネ付勢力によって離反移動し、両接続フェルール端面同士間に間隙が生じ、そこに光遮蔽板が自動的に介入付勢されるため、固定接続フェルールから発する光を当該光遮蔽板によって確実に遮断することができる。
【0014】
また、両光コネクタプラグ同士を接続アダプタを介して突き合わせて接続することで1本の光ファイバで双方向通信が行われるに際し、一方の光コネクタプラグを接続アダプタから抜脱した時には、従来では双方のコネクタ部から光が放射されてしまうのであるが、本発明によれば、上記した光遮蔽板を備えた光コネクタプラグを装置内部側に配することにより、コネクタ双方向の光放射を抑えることができる。
【0015】
さらに、光遮蔽板が光コネクタプラグの割スリーブ内側に備えているため、利用者は光遮蔽板に直接触れることがなく、従来のように興味本位で光遮蔽板を抉じ開ける等の人為的な破損を防止することができる。もとより、外観上は通常の光コネクタプラグと変わらないため、従来の外側面に付設された光遮蔽板のように、目に触れるが故の光遮蔽板に対して興味をそそることもないのである。
【0016】
また、利用者が興味本位に光コネクタプラグの先端側の可動接続フェルールを手指で押し下げて内部の光回路が通じた状態にしても、可動接続フェルールの先端面自体は押している手指によって遮蔽されているため、当該可動接続フェルールの先端面からの光放射は無いものとなる。
【0017】
また、両接続フェルール端面同士間の間隙の存在により、光通信で取り扱う光のパワーが比較的小さく設定されていれば、この間隙のみで、光コネクタプラグ先端側の可動接続フェルールから発する光を、目に障害を及ぼさない程度の光パワーに自動的に減少させることができる。
【0018】
また、コイルバネの付勢力は、割スリーブによる可動接続フェルールを把持固定する力よりも大きく、光コネクタプラグの抜脱解放時には、可動接続フェルールを先端方向に押し出して両フェルール間に、前記光遮蔽板が自動的に介入可能となるような間隙が形成されるので、両フェルール間に任意の間隙を容易に形成させておくことができ、これによって、光遮蔽板による光の遮断が確実に行えるものとなる。
【0019】
また、光遮蔽部材は、光遮蔽方向に付勢されている光遮蔽板を可動接続フェルールの内部接続方向への移動によって開放位置に押圧退避させるシャッター構造によるものとしたので、光遮蔽板の開閉動作が自動的に且つスムーズに行える。
【0020】
さらに、従来、光ファイバコアと光ファイバ外周間の偏心や、セラミックスリーブ孔と外周間の偏心要因が小さいながらも存在しており、自ずと接着組み立てを行ったフェルール外径と光ファイバコア間でも偏心が生じているのに対して、現状のコネクタの結線組み立て工程では、偏心方向をコネクタ外形の一定方向に向くように決められ、光コネクタの接続損失を抑える工夫が行われている。本発明では、フェルールホルダーに対して可動接続フェルール自体が回転しないように回転規制手段が設けられているので、これに充分に対応できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。
本形態における光コネクタプラグ1は、図1、図2に示すように、光ケーブルP側からの光ファイバFを結線して先端面研磨されて成る固定接続フェルール2と、予め光ファイバFが挿入接着され且つ両端面研磨されて成る可動接続フェルール3と、両フェルール2、3同士の内部接続用の割スリーブ4と、割スリーブ4の内側に配置された光遮蔽部材5と、光遮蔽部材5の外周を覆うように配されたコイルバネ6を介して両フェルール2、3間に任意の間隙Gを有する状態となるように当該両フェルール2、3を保持する可動接続フェルール3側のフェルールホルダー3aとを備え、当該間隙G内に前記光遮蔽部材5の光遮蔽板5aが常時介入されている構成としてある。
【0022】
さらに、光コネクタプラグ1には、図2および図3に示すように、可動接続フェルール3側のフェルールホルダー3aを保持するプラグフレーム7と、プラグフレーム7を前方に付勢するスプリング8の後端を支持するスリーブ状のストップリング9と、光ケーブルPの抗張力線であるケブラP1を前記ストップリング9に固定するカシメ座10と、光ケーブルPのケブラP1外側を覆う合成樹脂外皮であるシースP2を前記カシメ座10に固定するカシメリング11と、前記ストップリング9に装着されるブーツ12と、プラグフレーム7およびストップリング9の外側に被せられるツマミ13とを備えている。
【0023】
光遮蔽部材5は、可動接続フェルール3の内部接続方向への移動によって光遮蔽板5aを開放位置に押圧退避させる所謂シャッター構造によるものとしている。すなわち、図4および図5に示すように、固定接続フェルール2先端に嵌着されたリング状のガイド用基台5cを備え、ガイド用基台5cの中心開口部を介して左右対称位置に形成された一対のスライドガイド部5dに、横長板片状の光遮蔽板5a両端がスライド可能に保持されている。そして、光遮蔽板5aの上端中央から前方へ向けて略L字状に突設した突起5bを、ガイド用基台5cの周面割込部分5fに配した固定用軸5gに一端が保持された捩りバネ5eの先端で光遮蔽位置に押さえ込む。この状態によって固定接続フェルール2と可動接続フェルール3との間隙G内に光遮蔽板5aが介入される。また、可動接続フェルール3が内部接続方向に移動した際には、当該可動接続フェルール3の後端部のテーパー部分Tによって光遮蔽板5aの突起5bが上方向に押圧移動されて光遮蔽板5aを開放方向に移動させる。
【0024】
尚、可動接続フェルール3の内部接続端は、面取り量の大きなテーパー部分Tが形成されると共に、該テーパー部分T先端には円筒凸部3cを突設することで、両フェルール2、3相互の内部接続時の割スリーブ4内での周囲スペースを増やすことと、光遮蔽板5aを逃がすのに充分な容積が得られるようにしている。
【0025】
図2に示すように、固定接続フェルール2は、可動接続フェルール3よりも全体のサイズが若干小さく形成されており、固定接続フェルール2を保持する小サイズのフェルールホルダー2a自体を、可動接続フェルール3側の大サイズのフェルールホルダー3aの後部開口内側に嵌着固定され、両フェルール2、3同士は、コイルバネ6により所定の間隙Gを介して前後方向に直列となって配置されている。
【0026】
すなわち、図9に示すように、可動接続フェルール3の小径状となった後端部が、筒状のフェルールホルダー3aの一端開口部から挿入され、該後端部はフェルールホルダー3a内において、リング状の止め具14をフェルールホルダー3aの他端開口部側から挿入して嵌め込むことで固定される。
【0027】
また、図9に示すように、可動接続フェルール3の後端部の外縁角部には、光遮蔽板5aを逃げ誘導させるためのテーパー部分Tが形成されていると共に、フェルールホルダー3aの先端開口側には、等間隔毎に4つの嵌合凹部15aを有する大径のフランジ15が設けられており、図1および図2に示すプラグフレーム7内周に突設された前端に係止段部16bを備えた嵌合凸部16aに当該フランジ15の嵌合凹部15aを嵌め込ませることにより、フェルールホルダー3a自体はプラグフレーム7に保持される。
【0028】
さらに、可動接続フェルール3とフェルールホルダー3aとの間には、フェルールホルダー3aに対して可動接続フェルール3が回転しないように回転規制手段Qが設けられている。すなわち、図9に示すように、フェルールホルダー3aの一端に嵌着されたフランジ15の開口部内周には、一部が平面となったD形のキー溝15bとなっており、これに対応して可動接続フェルール3のテーパー部分T手前の小径状となった後端部はD形のキー溝3bとし、これによってフェルールホルダー3aに対して可動接続フェルール3が回転しないように規制される。
【0029】
また、この回転規制手段Qの他の例としては、フェルールホルダー3aのフランジ15の開口部内周にD形のキー溝15bを形成する替わりに、図10および図11に示すように、中央にD形開口部15cを打ち抜き加工し、周囲にはフランジ15の嵌合凹部15aに嵌着される嵌合片部15dを曲げ加工によって形成して成るキー部材15eを使用するものとしても良い。尚、これら回転規制手段Qの形態は、本発明を何等拘束するものではなく、他の構成によるものを採用しても良いことは勿論である。
【0030】
そしてさらに、図9に示すように、フェルールホルダー3aの他端開口部から内側に割スリーブ4の一端側を挿入して、フェルールホルダー3aの一端に設けられたフランジ15の開口部内側に挿入された可動接続フェルール3の小径状となった後端部に嵌着してからコイルバネ6を挿入し、しかる後、小サイズのフェルールホルダー2aに後端部が嵌着固定され且つ先端部に光遮蔽部材5を嵌着した固定接続フェルール2を前記割スリーブ4の他端側に嵌着する。このとき、光遮蔽部材5の光遮蔽板5aが割スリーブ4の内側に配置される。
【0031】
こうして、両フェルール2、3は、可動接続フェルール3側のフェルールホルダー3aに沿って、コイルバネ6の付勢力により互いに突っ張った状態で且つ所定の間隙Gを介して前後方向に直列となって配置された状態となる。このコイルバネ6の付勢力は、割スリーブ4による可動接続フェルール3を把持固定する力を上回っていて、光コネクタプラグ1の抜脱解放時には、可動接続フェルール3を先端方向に押し出して両フェルール2、3間に、前記光遮蔽板5aが介入可能となるような間隙Gが形成される。
【0032】
また、光コネクタプラグ1を相手側コネクタへ差し込んだ際には、図1から図2または図8に示すように、割スリーブ4内において、可動接続フェルール3がフェルールホルダー3a内奥部へ押し下げられて間隙Gを狭めるように移動して行き、図6に示すように可動接続フェルール3後端部の外縁角部に形成されたテーパー部分Tで光遮蔽板5aの突起5bを捩りバネ5eの押さえ込み付勢力に抗して押圧して上方に退けた後、図7に示すように、光遮蔽板5aが両フェルール2、3接合面部から完全に逃げて両フェルール2、3同士が突き当たる。
【0033】
また、固定接続フェルール2は、光ケーブルP先端からシースP2およびケブラP1の剥き出しによって露出した光ファイバFの先端が挿入された後、接着剤等で接着されることにより光ファイバFを固定するものである。また、両フェルール2、3およびフェルールホルダー3aそれぞれは、プラグフレーム7とストップリング9に覆われることによりその保護がなされている。
【0034】
スプリング8はコイル状に形成され、プラグフレーム7およびストップリング9の間に挟まれるように配置されることにより、その後端がストップリング9に支持されている。このようにストップリング9に後端が支持されることにより、スプリング8はプラグフレーム7を前方に付勢するように作用する。
【0035】
プラグフレーム7には、スプリング8、およびストップリング9の前方部分が挿入されている。この場合、ストップリング9の前方部分における外面には突起9aが形成されており、この突起9aがプラグフレーム7後方に形成された係止孔7aに係合している。この係合により、プラグフレーム7に対してストップリング9が固定され、これらの抜け止めが行われている。また、プラグフレーム7には係止部7bが形成され、該係止部7bに、接続アダプタ21のプラグ挿入穴内部にある撓曲保持可能とした外向き係止突起21aが嵌合されて保持されるようにしてある(図12、図13参照)。
【0036】
ストップリング9の後方部分には、カシメ座10およびカシメリング11を覆うようにして、可撓性を有するブーツ12が取付られている。
【0037】
次に、以上のように構成された最良の形態についての組立、使用、動作の一例について説明する。
【0038】
先ず、固定接続フェルール2に、光ケーブルP先端からシースP2およびケブラP1の剥き出しによって露出した光ファイバFの先端を挿入し、接着剤等で接着することにより光ファイバFを固定した後、先端面の研磨を行う。
【0039】
一方、可動接続フェルール3にも、光ファイバFを挿入し、接着剤等で接着することにより光ファイバFを固定した後、両端面研磨を行う。
【0040】
図9に示すように、可動接続フェルール3の後端部のキー溝3b部分を、フェルールホルダー3aの一端開口部のキー溝15bから挿入し、フェルールホルダー3a内において、リング状の止め具14を後端部に嵌め込むことで、フェルールホルダー3a内部に可動接続フェルール3が回転不能な状態に固定される。
【0041】
このとき、フェルールホルダー3aの一端開口部にキー溝15bが形成されていない場合、あるいは旋盤によるキー溝15bの切削加工が困難である場合には、図10に示すように、予め抜き打ち加工されたキー部材15eをフェルールホルダー3aの一端に嵌着されたフランジ15の開口部から嵌め込んでおき、フランジ15およびキー部材15e介して、可動接続フェルール3の後端部のキー溝3b部分を、フェルールホルダー3aの一端開口部から挿入しても良い。
【0042】
そして、図9に示すように、フェルールホルダー3aの他端開口部から内側に割スリーブ4の一端側を挿入して、フェルールホルダー3aの一端開口部内側に挿入された可動接続フェルール3の小径状となった後端部に嵌着してからコイルバネ6を挿入し、しかる後、小サイズのフェルールホルダー2aに後端部が嵌着固定され且つ先端部に光遮蔽部材5を嵌着した固定接続フェルール2を前記割スリーブ4の他端側に嵌着する。このとき、光遮蔽部材5の光遮蔽板5aが割スリーブ4の内側に配置される。
【0043】
こうして、割スリーブ4内において、両フェルール2、3は、可動接続フェルール3側のフェルールホルダー3aに沿って、コイルバネ6の付勢力により互いに突っ張った状態で且つ所定の間隙Gを介して前後方向に直列となって配置された状態となる。
【0044】
この可動接続フェルール3側のフェルールホルダー3aには、ストップリング9が装着され、該スプリング8を介してフェルールホルダー3aにプラグフレーム7が装着固定される。このとき、スプリング8は、プラグフレーム7およびストップリング9の間に挟まれるように配置され、このスプリング8は、ストップリング9に対してプラグフレーム7を前方に付勢するように作用する。
【0045】
そして、光ケーブルPの切断端部からシースP2およびケブラP1を剥き出し状態にしてから、カシメ座10の後側筒部に、シースP2の切断端部を被せておき、カシメリング11を外側からかしめ固定する。
【0046】
そして、カシメ座10の前側筒部を、シースP2の切断端部から拡げられたケブラP1と共にストップリング9の後部外周に嵌着した後、ブーツ12をストップリング9の嵌合凹部に嵌合させる(図1参照)。
【0047】
最後に、ツマミ13がプラグフレーム7およびストップリング9の外側に被せられる。而して、光遮蔽機能を内部に備えた光コネクタプラグ1が形成される。
【0048】
次に、光コネクタプラグ1の使用に際し、例えば、両光コネクタプラグ1同士を接続アダプタ21を介して突き合わせて接続することで1本の光ファイバFで双方向通信が行われる場合について説明する。
【0049】
この接続アダプタ21は、図12に示すように、双方向からの光コネクタプラグ1を受け入れ可能となる両端開口の一体構造による外部ハウジング22と、外部ハウジング22内に割スリーブ23を介して挿入されるスリーブホルダー24を備えた内部ハウジング25とから成る。そして、接続アダプタ21のプラグ挿入穴内部の上下対称位置には、先端が上下に撓曲可能な係止突起21aが互いに外向きに突出配置されている。
【0050】
先ず、接続アダプタ等の相手側コネクタへ差し込んだ際には、図13に示すように、プラグフレーム7の一対の係止部7bに、接続アダプタ21のプラグ挿入穴内部にある係止突起21aが嵌合されて保持される。これと同時に、図8に示すように、可動接続フェルール3がフェルールホルダー3a内奥部へ押し下げられて間隙Gを狭めるように移動して行く。
【0051】
こうして、図7に示すように、可動接続フェルール3後端部の外縁角部に形成されたテーパー部分Tで光遮蔽板5aの突起5bを捩りバネ5eの付勢力に抗して押圧することで徐々に上方に退ける。そして、光遮蔽板5aが両フェルール2、3接合面部から完全に逃げてから両フェルール2、3同士が突き当たる。これによって光遮蔽状態が解除されて双方向通信が可能となる。
【0052】
また、接続アダプタ21に両側から光コネクタプラグ1がそれぞれ装着されている図13の状態から、一方の光コネクタプラグ1を引き抜いた図12の状態となる時には、図2に示す両フェルール2、3同士が突き当たっている状態から、図1に示すように、コイルバネ6の付勢力によって両フェルール2、3間に間隙Gを生じさせ、該間隙Gに光遮蔽板5aが捩りバネ5eの付勢力によって降下し介在させられることで、固定接続フェルール2からの光が遮蔽される。こうして、光コネクタプラグ1出口側でのアイセイフティ対策を簡易な構成で容易に実現させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における光コネクタプラグの引き抜き不使用時の状態を示す一部切欠断面図である。
【図2】同じく光コネクタプラグの差し込み使用時の状態を示す一部切欠断面図である。
【図3】図1中、X−X矢視断面図である。
【図4】光遮蔽部材の構成の一例を示す正面図である。
【図5】図4中、Y−Y矢視断面図である。
【図6】光遮蔽部材における光遮蔽板の光遮蔽状態を示す一部切欠斜視図である。
【図7】同じく光遮蔽部材における光遮蔽板の光遮断解除の状態を示す一部切欠斜視図である。
【図8】光遮蔽部材における光遮蔽板の動作状態を説明する一部切欠斜視図である。
【図9】回転規制手段の一例を示すもので、可動接続フェルール、フェルールホルダー、止め具、コイルバネ、光遮蔽部材、割スリーブ、固定接続フェルールそれぞれを組み込む状態を示す分解斜視図である。
【図10】回転規制手段の他例を示すもので、可動接続フェルール、キー部材、フェルールホルダー、止め具それぞれを組み込む状態を示す分解斜視図である。
【図11】同じく回転規制手段の他例を示すもので、可動接続フェルール、キー部材、フェルールホルダー、止め具、コイルバネ、光遮蔽部材、割スリーブ、固定接続フェルールそれぞれを組み込む状態を示す分解斜視図である。
【図12】両光コネクタプラグ同士を接続アダプタを介して突き合わせて接続するときの光遮蔽部材の動作を説明するもので、接続アダプタの片方から光コネクタプラグを抜いた状態の断面図である。
【図13】両光コネクタプラグ同士を接続アダプタを介して突き合わせて接続するときの光遮蔽部材の動作を説明するもので、両光コネクタプラグ同士を接続した状態の接続アダプタの断面図である。
【符号の説明】
【0054】
P 光ケーブル
P1 ケブラ
P2 シース
F 光ファイバ
L 長手開口部分
S スリット部分
G 間隙
T テーパー部分
Q 回転規制手段
1 光コネクタプラグ
2 固定接続フェルール
2a フェルールホルダー
3 可動接続フェルール
3a フェルールホルダー
3b キー溝
3c 円筒凸部
4 割スリーブ
5 光遮蔽部材
5a 光遮蔽板
5b 突起
5c 基端部
6 コイルバネ
7 プラグフレーム
7a 係止孔
7b 係止部
8 スプリング
9 ストップリング
9a 突起
10 カシメ座
11 カシメリング
12 ブーツ
13 ツマミ
14 止め具
15 フランジ
15a 嵌合凹部
15b キー溝
15c D形開口部
15d 嵌合片部
15e キー部材
16a 嵌合凸部
16b 係止段部
21 接続アダプタ
21a 係止突起
22 外部ハウジング
23 割スリーブ
24 スリーブホルダー
25 内部ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを結線して端面研磨されて成る固定接続フェルールと、予め光ファイバが挿入接着され且つ両端面研磨されて成る可動接続フェルールと、両フェルール同士の内部接続用の割スリーブと、割スリーブの内側に光遮蔽板が配置された光遮蔽部材と、割スリーブの外周を覆うように配されたコイルバネを介して両フェルール間に任意の間隙を有する状態となるように当該両フェルールを保持するフェルールホルダーとを備え、当該間隙内に前記光遮蔽部材の光遮蔽板が介入し、内部接続方向に移動する可動接続フェルールによって光遮蔽板を開放方向に退避移動可能としたことを特徴とする光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグ。
【請求項2】
コイルバネの付勢力は、割スリーブによる可動接続フェルールを把持固定する力よりも大きく、光コネクタプラグの抜脱解放時には、可動接続フェルールを先端方向に押し出して両フェルール間に、前記光遮蔽板が介入可能となるような間隙が形成されるようにした請求項1に記載の光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグ。
【請求項3】
光遮蔽部材は、光遮蔽方向に付勢されている光遮蔽板を可動接続フェルールの内部接続方向への移動によって開放位置に押圧退避させるシャッター構造によるものとした請求項1または2に記載の光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグ。
【請求項4】
可動接続フェルールとフェルールホルダーとの間には、当該フェルールホルダーに対して可動接続フェルール自体が回転しないように回転規制手段が設けられている請求項1乃至3のいずれかに記載の光遮蔽機能を備えた光コネクタプラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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