説明

光量制御装置

【課題】電気−機械変換素子の出力効率を保持した上で、光量制御装置の小型化およびコストの低減を図る。
【解決手段】電気−機械変換素子50の駆動力により、保持部材1に設けられた開口2内に対して進入退避するように移動可能な遮光部材を有し、遮光部材に対して、電気−機械変換素子の駆動力を、電気−機械変換素子50の伸縮方向の他端面に固着された押付部材52から遮光部材駆動伝達部を介して伝達することによって、遮光部材を開口2内に進入させ、弾性部材8の付勢力を与えることによって、遮光部材を開口2内から退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御電圧を印加され伸縮する電気−機械変換素子を駆動源として、遮光部材を移動させて光路を通過する光量を制御する光量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の光量制御装置としては、地板に設けられた絞り羽根(遮光部材)がアイリスモータやステッピングモータなどの電磁モータで駆動されている。しかし、電磁モータはマグネットとコイル等で構成されているので、部品点数が多く、構造が複雑になり、組立が難しく、高コストになり、小型化が難しいといった問題があり、電磁モータを使用する光量制御装置の小型化にも限界がある。さらに、光量制御装置の小型化により磁気干渉を生じない電磁以外の駆動源を必要とされる。
【0003】
そこで、光量制御装置の駆動源として電気−機械変換素子(例えば圧電素子)を用いることが提案されている(例えば特許文献1参照)。従来の電気−機械変換素子を用いた駆動装置は、インパクト方式(IDM)やStic−Slip方式及びスムースインパクト方式(SIDM)等の方式で、一般的に知られている。
【0004】
特許文献1に記載された光量制御装置は、地板と、4枚の絞り羽根(遮光部材)と、動輪と、地板に取付けられた圧電アクチュエータとによって構成される。圧電アクチュエータは、1つの絞り羽根に係入された摺動嵌合部が摩擦係合した駆動軸と、駆動軸の一端に固着された第1圧電素子と、駆動軸の他端に固着された第2圧電素子とを備え、第1及び第2圧電素子が駆動軸の軸線方向に高速変位と低速変位とを繰り返し行うことで摩擦係合部が軸線方向に、大きな一定の移動量を持って移動される構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−121886号公報(図19参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された光量制御装置によれば、比較的大きな摩擦係合部が移動することにより、その分のスペースが必要になり、また2個の圧電素子を使用するので、装置全体のサイズアップ、コストアップ及び消費電力が懸念され、また光軸方向の寸法を大きく取る構造となっている。また、この立方体の圧電素子を小さくしていくと、有効な圧電効果を生起する面積部分は小さくなっても電極形成部を小さくするには限界があるため、電極形成部の素子幅に対する比率は大きくなり、圧電素子の出力効率が低いものとなる。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題とするものである。すなわち、電気−機械変換素子の出力効率を保持した上で、光量制御装置の小型化およびコストの低減を図ることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係る光量制御装置は、次の構成を少なくとも具備する。
【0009】
本発明にかかる光量制御装置は、保持部材に設けられた開口内に進入、あるいは該開口内から退避するように移動可能に支持した遮光部材と、電圧を印加することにより伸縮動作する電気−機械変換素子と、該電気−機械変換素子の伸縮方向の一端面に固着された駆動部材と、前記電気−機械変換素子の伸縮方向の他端面に固着された押付部材と、前記駆動部材を摩擦係合状態に支持する前記保持部材に設けられた摩擦係合部材とを有する遮光部材駆動部と、前記遮光部材駆動部の押付部材に当接して、前記遮光部材を前記保持部材に設けられた前記開口内に進入退避するように移動させる遮光部材駆動伝達部と、前記遮光部材を前記開口内から退避させるように又は前記遮光部材を前記開口部内へ進入させるように前記遮光部材駆動伝達部を付勢する弾性部材と、を備えていることを特徴とする。
【0010】
前記保持部材は、前記遮光部材の移動範囲を規制するストッパーを有することを特徴とする。
【0011】
前記遮光部材は、前記保持部材に2個設けられ、前記遮光部材駆動部に設けられた押付部材の双方向の移動により、個別に駆動されることを特徴とする。
【0012】
前記遮光部材は、前記保持部材に2個設けられ、前記遮光部材駆動部に設けられた押付部材と、前記電気−機械変換素子の伸縮方向の前記電気−機械変換素子が固着されていない駆動部材の端部とによって前記2個の遮光部材が個別に駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の光量制御装置によれば、電気−機械変換素子の出力効率を保持した上で、光量制御装置の小型化およびコストの低減を図ることができ、磁気干渉の影響を受けない装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる光量制御装置の第1実施例を示す斜視図で大口径状態を示す。
【図2】同、裏面側の斜視図。
【図3】図1の分解斜視図。
【図4】図1の平面図。
【図5】図1の(5)-(5)線断面図。
【図6】図4に対応する平面図で中口径状態を示す。
【図7】図5に対応する断面図で中口径状態を示す。
【図8】図4に対応する平面図で小口径状態を示す。
【図9】図5に対応する断面図で小口径状態を示す。
【図10】本発明にかかる光量制御装置の第2実施例を示す斜視図で大口径状態を示す。
【図11】図10の裏面図で蓋状体を取り除いた状態を示す。
【図12】本発明にかかる光量制御装置の第3実施例を示す斜視図で大口径状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる光量制御装置を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図9は本発明の第1実施例にかかる光量制御装置Aの構成図および動作図である。また、図10、図11は、本発明の第2実施例にかかる光量制御装置Bの構成図である。図12は、本発明の第3実施例にかかる光量制御装置Cの構成図である。
【0016】
最初に第1実施例の光量制御装置Aを説明する。第1実施例の光量制御装置Aは、図1〜図9に示すように、保持部材1と、該保持部材1に設けられた開口2内に対して進入退避するように回動する2個の第1遮光部材3および第2遮光部材4と、図4〜図9において左右方向に直線的に移動することにより、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4を回動させる駆動力を発生する遮光部材駆動部5と、該遮光部材駆動部5の駆動力を前記第1遮光部材3および第2遮光部材4に対して、図4〜図9において左右方向に直線的に移動することにより伝達して、該第1遮光部材3および第2遮光部材4を回動させる第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7と、該第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7に対して、第1遮光部材3および第2遮光部材4を前記開口2内から退避させる付勢力を与える弾性部材8とを備えている。
【0017】
なお、以下の説明では、前記遮光部材駆動部5の直線的な移動に沿う方向を左右方向とし、該左右方向と平面方向で直交する方向を上下方向とし、前記左右方向と鉛直方向で直交する方向を厚み方向とする。
【0018】
前記保持部材1は、図1〜図3に示すように、保持板10と、該保持板10と厚み方向で重なり合う蓋状体11とで構成してある。前記保持板10は、幅狭面101と、該幅狭面101の左右側縁から左右両方向に突出する幅広面102を有する平面視凸形状に形成してある。また、図1〜図3、図5、図7、図9に示すように、前記幅狭面101の下方両角部縁と下方中央部縁、および前記幅広面102の左右側縁から上方中央部を除く上側縁に、前記重なり合う蓋状体11を支持するとともに、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4を収納し、かつ回動させるための動作空間Sを確保する複数の突起体10Aを突設してある。
【0019】
前記保持板10の幅狭面101は、図6、図8に示すように、前記開口2を形成するとともに、前記弾性部材8を配置する部分として確保したものであり、前記保持板10の幅広面102は、前記第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7を配置するとともに、該第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7の左右方向の移動を支持する部分として確保したものである。前記幅広面102の突出幅は、前記第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7が左右方向に移動したときに、幅広面102の左右側縁から出ない幅としている。
【0020】
また、前記保持板10には、図1、図3、図4、図6、図8に示すように、その中央に前記開口2の一部を構成する穴部20と、前記第1遮光部材3の回動中心となる支軸103と、前記第2遮光部材4の回動中心となる支軸104と、前記第1遮光部材駆動伝達部6を前記幅広面102の左右方向に沿って移動自在に案内可能な左右方向に長い長穴部10Dと、前記第2遮光部材駆動伝達部7を前記幅広面102の左右方向に沿って移動自在に案内可能な左右方向に長い長穴部10Eとを形成してある。
【0021】
また、前記保持板10には、図1、図3、図4、図6、図8に示すように、前記第1遮光部材駆動伝達部6を、前記幅広面102の左右方向に沿って移動自在に案内可能な左右方向に長い平面視長円状の案内突起部10Fと、前記第2遮光部材駆動伝達部7を、前記幅広面102の左右方向に沿って移動自在に案内可能な左右方向に長い平面視長円状の案内突起部10Gとを形成してある。
【0022】
前記蓋状体11は、図2、図3に示すように、前記保持板10と平面視同一の幅狭面111と幅広面112を有する凸形状を呈し、前記動作空間S内の前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4を保持するものである。蓋状体11は、その中央に前記開口2の一部を構成し、前記穴部20と同軸をなす穴部21と、前記支軸103の他端を支持する軸穴11Aと、前記支軸104の他端を支持する軸穴11Bと、前記長穴部10Dと同軸をなす左右方向に長い長穴部11Cと、前記長穴部10Eと同軸をなす左右方向に長い長穴部11Dとを形成してある。また、前記幅広面112の上側縁中央部に前記遮光部材駆動部5を取り付けるための空間113を形成してある。
【0023】
そして、前記構成の保持板10と蓋状体11を、前記突起体10Aで蓋状体11を支えるように重ね合わせ、ねじ等(不図示)により固着することにより、該保持板10と蓋状体11の間に前記動作空間Sが形成され、前記幅広面102、112側の上端中央部に、前記遮光部材駆動部5を前記動作空間内Sに挿入固定する固定空間S1が形成された保持部材1となる。また、同様に、保持部材1の幅狭面101、111の左右側縁、および下側縁に前記動作空間Sと連通するスリットS2〜S5が形成されており、該スリットS2〜S5は、第1遮光部材3、および第2遮光部材4がその回動位置によっては突出可能とすることもできる。この場合には、前記幅狭面101、111の平面積を小さくすることができるため、光量制御装置Aを全体的にさらに小型にすることができる。
【0024】
前記開口2は、光量を制御するための光量制御穴であり、図5、図7、図9に示すように、前記動作空間Sで回動する前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4が進入退避することにより、口径が変化するようにしてある。
【0025】
前記第1遮光部材3および第2遮光部材4は、図2、図3、図5、図7、図9平面視くの字形状に形成され、前記動作空間S内に、くの字形状の曲部の突出側を左右外側に向けて、互いに前記開口2の上下方向の中心を境に左右対称となるように配置してある。
【0026】
前記第1遮光部材3には、該第1遮光部材3の左右回動中心となる前記支軸103が貫通する支持穴31と、前記長穴部10D、11Cに対して上下方向斜めに交差する方向に長い長穴部32と、前記開口2の口径よりも小径な光量制御穴(開口)33とを形成してある。
【0027】
前記第2遮光部材4には、該第2遮光部材4の左右回動中心となる前記支軸104が貫通する支持穴41と、前記長穴部10E、11Dに対して上下方向斜めに交差する方向に長い長穴部42と、前記光量制御穴33の口径よりも小径な光量制御穴(開口)43とを形成してある。
【0028】
前記第1遮光部材3と第2遮光部材4は、それぞれの支持穴31、41に貫通した支軸103、104に対して左右回動自在に支持されている。そして、図7、図9に示すように、前記第1遮光部材3と第2遮光部材4が、前記支軸103、104を回動中心として交互に左右回動して前記開口2に対して進入退避することにより、該開口2の口径を大、中、小の3段階に調節することができる。この開口2の口径は、前記第1遮光部材3と第2遮光部材4の双方が開口2から退避している状態が大口径、前記第1遮光部材3が開口2に進入している状態が中口径、前記第2遮光部材4が開口2に進入している状態が小口径となる。
【0029】
また、前記第1遮光部材3と第2遮光部材4のくの字形状は、図7、図9に示すように、第1遮光部材3と第2遮光部材4の一方が開口2に進入したとき、他方のくの字形状の凹部に入り込むようにしている。該第1遮光部材3と第2遮光部材4の形状も、前記幅狭面101、111の平面積を小さくするのに貢献している。
【0030】
前記遮光部材駆動部5は、図1〜図9に示すように、制御電圧を印加され伸縮する駆動部品である圧電素子等の電気−機械変換素子50と、該電気−機械変換素子50の左端面に固着した駆動部材51と、前記圧電素子等の電気−機械変換素子50の右端部に固着した押付部材52と、前記駆動部材51を係合保持する摩擦係合部材53とで構成してある。また、遮光部材駆動部5は、前記保持部材に対して、前記駆動部材51の軸方向が前記幅広面102、112の上側縁に平行となるように固着してある。
【0031】
前記駆動部材51は、比重が小さい強靭な材料(例えば、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等)より円筒形に形成してある。該駆動部材51は、回転軸の機能を必要としない構成要素であるから角棒形状等に形成した構成でもよい。
【0032】
押付部材52は、被駆動ヘッドを兼用するものであり、静止慣性力を必要とするために、前記駆動部材51と比較して比重の大きい材料により形成してある。該押付部材52は、前記電気−機械変換素子50に固着する固着部520と、前記保持板10の上下方向の中心線C1上に位置する押付突起521と、これら固着部520と押付突起521とを連結する連結部522とから構成してある。
【0033】
前記押付突起521は、前記電気−機械変換素子50の左右方向の伸縮に伴って左右に移動し、図6に示すように、右方向の移動で、前記第1遮光部材駆動伝達部6に接触して、該第1遮光部材駆動伝達部6を同方向に押し動かし、図8に示すように、左方向への移動で、前記第2遮光部材駆動伝達部7に接触して、該第2遮光部材駆動伝達部7を同方向に押し動かすようにしてある。前記第1遮光部材駆動伝達部6の右方向の移動は、前記第1遮光部材3を開口2に対して進入させる方向であり、前記第2遮光部材駆動伝達部7の図面上左方向の移動は、前記第2遮光部材4を開口2に対して進入させる方向である。
【0034】
摩擦係合部材53は、前記駆動部材51を厚み方向の前記保持板10側から保持する固定係合部材53Aと、前記駆動部材51を前記蓋状体11側から保持する摩擦ばね部材53Bとから構成してある。
【0035】
前記固定係合部材53Aは、図3に示すように、平面視において前記幅広面102、112の中央部上側縁と平行の固定面530と、平面視において上下方向に平行、かつ側面視において前記駆動部材51が嵌入する凹形状の摩擦保持面531とを有する平面視L形状に形成してある。
【0036】
摩擦ばね部材53Bは、図3に示すように、平面視において前記幅広面102、112の中央部上側縁と平行の固定面532と、平面視において上下方向に平行、かつ側面視において摩擦保持面531に嵌入した前記駆動部材51を厚み方向から押さえる摩擦ばね面533と、を有する平面視L形状に形成してある。
【0037】
前記固定係合部材53Aと摩擦ばね部材53Bとは、図4〜図9に示すように、前記固定面530、532同士を厚み方向に重ね合わせることにより、前記摩擦保持面531と摩擦ばね面533とが厚み方向で正対するように形成してある。
【0038】
すなわち、前記駆動部材51を摩擦保持面531に嵌入した状態で、前記固定面530、532同士を厚み方向に重ね合わせることによって、駆動部材51が摩擦係合部材53に支持される。そして、前記駆動部材51が摩擦係合部材53に支持された状態で、前記固定面530、532を前記固定空間S1に挿し込んで、該固定面530、532を前記保持板10に熱溶着等で固着することにより(100は熱溶着後の状態を示す)、前記遮光部材駆動部5を保持部材1に取り付けることができる。したがって、前記遮光部材駆動部5の保持部材1に対する取り付けを迅速、かつ容易に行うことができる。
【0039】
前記第1遮光部材駆動伝達部6と第2遮光部材駆動伝達部7は、図1、図4に示すように、前記押付突起521を境に左右対称となるように配置してあり、図6、図8に示すように、第1遮光部材駆動伝達部6は、前記押付突起521の右方向への移動により、該押付突起521に押し動かされるように右方向に移動し、第2遮光部材駆動伝達部7は、前記押付突起521の左方向への移動により、該押付突起521に押し動かされるように右方向に移動するようにしてある。
【0040】
前記第1遮光部材駆動伝達部6には、図1、図3、図4、図6、図8に示すように、前記長穴部10D、11C、32に対してその長手方向に沿って移動自在に貫通するボス部60と、前記案内突起部10Fの長手方向の長さよりも長く、該案内突起部10Fに対して移動自在に嵌合する案内長穴部61と、前記弾性部材8に対して当接する当接突起62とを形成してある。
【0041】
前記第2遮光部材駆動伝達部7には、図1、図3、図4、図6、図8に示すように、前記長穴部10E、11D、42に対してその長手方向に沿って移動自在に貫通するボス部70と、前記案内突起部10Gの長手方向の長さよりも長く、該案内突起部10Gに対して移動自在に嵌合する案内長穴部71と、前記弾性部材8に対して当接する当接突起72とを形成してある。
【0042】
すなわち、前記第1遮光部材駆動伝達部6は、前記ボス部60が前記長穴部10D、32に嵌合するとともに、前記案内長穴61が前記案内突起部10Fに嵌合することにより、保持部材1に対して左右移動可能に支持される。同様に、前記第2遮光部材駆動伝達部7は、前記ボス部70が前記長穴部10E、42に嵌合するとともに、前記案内長穴部71が前記案内突起部10Gに嵌合することにより、保持部材1に対して左右移動可能に支持される。
【0043】
前記弾性部材8は、前記幅狭面101の下方側に熱溶着等(100は熱溶着後の状態を示す)により固定する固定部80と、該固定部80の左右側縁から上方へ延長した2個の板ばね部81、82とから形成してある。
【0044】
前記板ばね81は、図1、図4に示すように、先端部分が前記当接突起62に対して右側縁に接触(近接)し、図6に示すように、前記第1遮光部材駆動伝達部6の右側(第1遮光部材3が開口2に進入する方向)への移動に対して湾曲することにより、該第1遮光部材駆動伝達部6に対して左側(第1遮光部材3が開口2から退避する方向)へ移動させる付勢力を与えるようにしてある。
【0045】
前記板ばね82は、図1および図3に示すように、先端部分が前記当接突起72に対して左側縁に接触(近接)し、図8に示すように、前記第2遮光部材駆動伝達部7の左側(第2遮光部材4が開口2に進入する方向)への移動に対して湾曲することにより、該第2遮光部材駆動伝達部7に対して右側(第2遮光部材4が開口2から退避する方向)へ移動させる付勢力を与えるようにしてある。
【0046】
なお、本発明の弾性部材は、前記実施例に示した弾性部材8に限られず、前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7に対して、前記した付勢力を作用させる構成を備えたものであればよい。また、前記実施例では、弾性部材8の付勢力を前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7に対して作用させる構成を示したが、本発明では、たとえば、前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4に直接付勢力を作用させる構成にしてもよい(図示せず)。
【0047】
本実施例では、前記長穴部32が、前記第1遮光部材3の回動をガイドするガイド部として機能し、前記長穴部42が、前記第2遮光部材4の回動をガイドするガイド部として機能している。
【0048】
すなわち、前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7の左右移動に伴って、前記ボス部60が長穴部10D、11Cを左右移動して、前記第1遮光部材3、第2遮光部材4を、前記支軸103、104を回動中心に回動させる。このとき、前記ボス部60、70の左右移動による変位を、該ボス部60、70に対して前記長穴部32、42が移動することにより吸収しながら、第1遮光部材3、第2遮光部材4の回動をガイドすることになる。
【0049】
本実施例では、前記長穴部10Dが、前記第1遮光部材駆動伝達部6の左右移動範囲を規制するストッパーとして機能し、前記第1遮光部材3の進入退避方向の回動を規制している。そして、前記長穴部10Eが、前記第2遮光部材駆動伝達部7の左右移動範囲を規制するストッパーとして機能し、前記第2遮光部材4の進入退避方向の回動を規制している。
【0050】
第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7の左右移動範囲を規制するストッパーは、前記ボス部60、70が互いに、前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4を進入退避方向へ回動させる方向に移動し、前記長穴部10Dおよび長穴部10Eの端縁に接触することにより、該ボス部60、70のこれ以上の移動を阻止するようにした構成である。
【0051】
前記長穴部10Dの長さは、前記ボス部60が前記第1遮光部材3を進入させる方向の長穴部10Dの端縁に接触したとき、前記第1遮光部材3の光量制御穴33の軸心が前記開口2の軸心と同心となり、前記ボス部60が前記第1遮光部材3を退避させる方向の長穴部10Dの端縁に接触したとき、前記第1遮光部材3が開口2と重ならず、かつ前記動作空間Sに位置する長さである。
【0052】
また、前記長穴部10Eの長さも同様に、前記ボス部70が第2遮光部材4を進入させる方向へ移動して、前記長穴部10Eの端縁に接触したとき、前記第2遮光部材4の光量制御穴43の軸心が前記開口2の軸心と同心となり、前記ボス部70が前記第2遮光部材4を退避させる方向の長穴部10Eの端縁に接触したとき、前記第2遮光部材4が開口2と重ならず、かつ前記動作空間Sに位置する長さである。
【0053】
前記突起体10Hは、前記固定面530、532を前記固定空間S1に嵌入する際の位置決めとして機能している。
【0054】
なお、前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4のストッパーは、前記突起体10Hに、進入状態の前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4が接触することにより、該第1遮光部材3、および第2遮光部材4のこれ以上の回動を阻止し、前記光量制御穴33、43の軸心が開口2の軸心と同心となる状態を保持するようにしてもよく、さらに、たとえば、前記幅狭面101の下方両角部縁に突設された突起体10Aを、第1遮光部材3、および第2遮光部材4が退避方向の回動で接触して、これ以上の回動を阻止するストッパーとして機能するようにしてもよい(図示せず)。
【0055】
以下、前記構成の光量制御装置Aの動作を説明すると、図4および図5は、大口径状態(初期状態)を、図6および図7は、中口径状態を、図8および図9は、小口径状態を、それぞれ示している。
【0056】
前記大口径状態では、図4、図5に示すように、前記押付部材52の押付突起521が開口2の上下方向の中心線C1上にある。また、この状態では、前記第1遮光部材3が前記第1遮光部材駆動伝達部6および弾性部材8により、前記第2遮光部材4が前記第2遮光部材駆動伝達部7および弾性部材8により、前記開口2から退避している状態を保持している。また、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4は、前記構成のストッパーにより回動が規制され、前記第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7は、前記構成のストッパーにより左右移動が規制されている。
【0057】
前記大口径状態から中口径状態にする場合、図6、図7に示すように、制御電圧を印加して前記電気−機械変換素子50の緩速伸長と急速収縮を繰り返すことで、右方向に移動する前記押付部材52の押付突起521が、前記第1遮光部材駆動伝達部6を右方向に移動させる。この前記第1遮光部材駆動伝達部6の右方向の移動と同時に、前記ボス部60が長穴部10D、11Cを右方向に移動し、前記構成のガイド部を介して、第1遮光部材3を開口2へ進入する方向に回動させる。開口2に進入した第1遮光部材3は、前記構成のストッパーにより、光量制御穴33の軸心と開口2の軸心とが同心になる位置で保持される。また、このとき、前記第1遮光部材駆動伝達部6には、第1遮光部材駆動伝達部6の移動に伴って湾曲する前記弾性部材8の板ばね81の弾性変形により、第1遮光部材3を開口2から退避させる方向(左方向)への付勢力が作用している。
【0058】
前記中口径状態から小口径状態にする場合、図8、図9に示すように、制御電圧を印加して前記電気−機械変換素子50の急速伸長と緩速収縮を繰り返すことで、左方向に移動する前記押付部材52の押付突起521が、前記第2遮光部材駆動伝達部7を左方向に移動させる。この前記第2遮光部材駆動伝達部7の左方向の移動と同時に、前記ボス部60が長穴部10E、11Dを左方向に移動し、前記構成のガイド部を介して、第2遮光部材4を開口2へ進入する方向に回動させる。開口2に進入した第2遮光部材4は、前記構成のストッパーにより、光量制御穴43の軸心と開口2の軸心とが同心になる位置で保持される。また、このとき、前記第2遮光部材駆動伝達部7には、第2遮光部材駆動伝達部7の移動に伴って湾曲する前記弾性部材8の板ばね82の弾性変形により、第2遮光部材4を開口2から退避させる方向(右方向)への付勢力が作用している。
【0059】
前記中口径状態から小口径状態にする動作では、前記第2遮光部材駆動伝達部7を左方向に移動と同時に、前記第1遮光部材駆動伝達部6が前記付勢力により左方向へ移動するとともに、前記ボス部60が前記長穴部10D、11Cを左方向に移動して、前記構成のガイド部を介して第1遮光部材3を開口2から退避する方向へ回動させる。
【0060】
前記第1実施例の光量制御装置Aによれば、電気−機械変換素子50の出力効率を保持した上で、光量制御装置Aの小型化およびコストの低減を図ることができる。しかも、1個の電気−機械変換素子50で、第1遮光部材3および第2遮光部材4の2個の遮光部材を交互に回動させることができ、効率的に3段階の光量制御を行うことができる。さらに、前記ガイド部によって第1遮光部材3および第2遮光部材4の進入退避の回動を確実に行うことができる。さらに、前記ストッパーによって、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4の光量制御穴33、43の軸心を開口2の軸心と確実に同心状態にすることができ、該第1遮光部材3および第2遮光部材4の退避状態を確実に保持することができる。
【0061】
なお、本実施例の光量制御装置Aは、前記遮光部材駆動部5の左右方向への移動を第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7によって、第1遮光部材3および第2遮光部材4を回動させて開口2に対して進入退避させる構成としたものであるが、本発明では、前記構成に限られず、前記遮光部材駆動部5の左右方向への移動を第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7によって、第1遮光部材3および第2遮光部材4を左右移動させて開口2に対して進入退避させる構成としてもよい(図示せず)。
【0062】
次に、第2実施例の光量制御装置を図10、図11に基づいて説明する。本実施例の光量制御装置Bの基本的な構成は、第1実施例の光量制御装置Aと同様に、1個の電気−機械変換素子50の伸縮による駆動力で、第1遮光部材3および第2遮光部材4の2個の遮光部材を交互に回動させるようにしたものである。なお、以下の説明では、図10中の右上ないし左下方向を上下方向とする。
【0063】
本実施例の光量制御装置Bは、図10、図11に示すように、保持部材1と、該保持部材1に設けられた開口2内に対して進入退避するように回動する2個の第1遮光部材3および第2遮光部材4と、図10において円弧に沿って時計回り、および反時計回りに移動することにより、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4を回動させる駆動力を発生する遮光部材駆動部5と、該遮光部材駆動部5の駆動力を前記第1遮光部材3および第2遮光部材4に対して、図10において遮光部材駆動部5の移動軌跡の円弧の中心を回動中心として回動可能に軸支し、該回動によって伝達して、該第1遮光部材3および第2遮光部材4を回動させる第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7と、該第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7に対して、第1遮光部材3および第2遮光部材4を前記開口2内から退避させる付勢力を与える弾性部材8とを備えている。
【0064】
保持部材1は、平面視正方形状の保持板10と、該保持板10と平面視同一の正方形状とするとともに、厚み方向で重なり合う蓋状体11とで構成してある。前記保持板10には、図11において上側の角部に平面視三角形状の突起体10Iを、下側の角部に平面視L字形状の突起体10Jを突設し、両突起体10I、10Jで前記重なり合う蓋状体11を支持するとともに、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4を収納し、かつ回動させるための動作空間Sを確保している。
【0065】
前記保持板10は、図10に示すように、前記開口2の一部を構成する穴部20、前記遮光部材駆動部5、前記第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7、前記弾性部材8を配置してある。また、前記保持板10には、前記第1遮光部材駆動伝達部6の回動を案内する円弧状の長穴部10Kと、前記第2遮光部材駆動伝達部7の回動を案内する円弧状の長穴部10Lとを形成してある。前記長穴部10Kには、前記第1遮光部材駆動伝達部6に突設したボス部60が、長穴部Kの円弧に案内されながら移動可能に嵌合し、前記長穴部10Lには、前記第2遮光部材駆動伝達部7に突設したボス部70が、長穴部10Lの円弧に案内されながら移動可能に嵌合する。前記長穴部10K、10Lの円弧は、前記遮光部材駆動部5の円弧と同心とする円弧である。
【0066】
前記蓋状体11は、前記動作空間S内の前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4を保持するものである。蓋状体11は、その中央に前記開口2の一部を構成し、前記穴部20と同軸とする穴部21を形成してある。そして、前記構成の保持板10と蓋状体11を、前記突起体10I、10Jで蓋状体11を支えるように重ね合わせ、ねじ等(不図示)により固着することにより、該保持板10と蓋状体11の間に前記動作空間Sが形成された保持部材1となる。また、同様に、保持部材1の四方に前記動作空間Sと連通するスリットS6〜S9が形成され、該スリットS6〜S9は、第1遮光部材3、および第2遮光部材4がその回動位置によっては突出可能なものである。
【0067】
前記開口2は、光量を制御するための光量制御穴であり、図11に示すように、前記動作空間Sで回動する前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4が進入退避することにより、口径が変化するようにしてある。
【0068】
前記第1遮光部材3は、図11に示すように、動作空間Sの図11において右側端部付近側を、該第1遮光部材3の回動中心となる支軸103により、時計回り、および反時計回りに回動可能に軸支されている。前記第2遮光部材4は、図11に示すように、動作空間Sの図11において左側端部付近を、第2遮光部材4の回動中心となる支軸104により、時計回り、および反時計回りに回動可能に軸支されている。また、前記第1遮光部材3には、前記長穴部10Kの円弧方向と交差する方向に長穴部34を形成してあり、前記第2遮光部材4には、前記長穴部10Lの円弧方向と交差する方向に長穴部44を形成してある。前記長穴部34には、前記ボス部60が長穴に沿って移動可能に貫通し、前記長穴部44には、前記ボス部70が長穴に沿って移動可能に貫通している。
【0069】
前記第1遮光部材3および第2遮光部材4は、図11に示すように、保持板10の対角線上で互いに重なり合うように軸支され、該重なり合う部分に前記開口2から退避している状態において、該開口2を除けるように平面視半円状に形成した切欠部35、45を有している。
【0070】
前記第1遮光部材3の切欠部35の図11において上方には、前記開口2の口径よりも小径な光量制御穴33を形成してあり、前記第2遮光部材4の切欠部45の図11において上方には、前記光量制御穴33の口径よりも小径な光量制御穴43を形成してある。
【0071】
そして、図11に示すように、前記第1遮光部材3と第2遮光部材4が、前記支軸103、104を回動中心として交互に時計回り、および反時計回りに回動して前記開口2に対して進入退避することにより、該開口2の口径を大,中,小の3段階に調節することができる。この開口2の口径は、前記第1遮光部材3と第2遮光部材4の双方が開口2から退避している状態が大口径、前記第1遮光部材3が開口2に進入している状態が中口径、前記第2遮光部材4が開口2に進入している状態が小口径(仮想線で示す)となる。
【0072】
前記遮光部材駆動部5は、図10,図11に示すように、制御電圧を印加され伸縮する駆動部品である圧電素子等の電気−機械変換素子50と、該電気−機械変換素子50の図10において時計回り側の面に固着した駆動部材51と、前記圧電素子等の電気−機械変換素子50の図10において反時計回り側の面に固着した押付部材52と、前記駆動部材51を係合保持する摩擦係合部材53とで構成してある。また、遮光部材駆動部5は、前記保持板10上に載置されるように固着してある。
【0073】
前記駆動部材51は、前記第1実施例と同様の比重が小さい強靭な材料より、断面円形の棒状体を円弧状に曲げて形成してある。また、駆動部材51の時計回り方向の端部が、前記第1遮光部材駆動伝達部6に接触して、該第1遮光部材駆動伝達部6を同方向に押し動かすように回動させる押付部511として使用される。なお、前記駆動部材51は、回転軸の機能を必要としない構成要素であるから断面角形状の棒状体を円弧状に曲げた形状に形成した構成でもよい。
【0074】
押付部材52は、前記第1実施例と同様に被駆動ヘッドを兼用するものであり、大きな静止慣性力を必要とするために、前記駆動部材51と比較して比重の大きい材料により、平面視扇状に形成してある。該押付部材52は、前記電気−機械変換素子50に固着する固着部523と、前記第2遮光部材駆動伝達部7に接触する押付部524とから構成してある。
【0075】
前記押付部511は、前記電気−機械変換素子50の円弧方向の伸縮に伴って該円弧に沿って移動し、図10に示すように、時計回りに沿う移動で、前記第1遮光部材駆動伝達部6に接触して、該第1遮光部材駆動伝達部6を同方向に押し動かすように回動させる(図10において仮想線で示す)。この第1遮光部材駆動伝達部6の反時計回りの回動は、前記第1遮光部材3を開口2に対して進入させる方向の回動である。
【0076】
前記押付部524は、前記電気−機械変換素子50の円弧方向の伸縮に伴って該円弧に沿って移動し、図10に示すように、反時計回りに沿う移動で、前記第2遮光部材駆動伝達部7に接触して、該第2遮光部材駆動伝達部7を同方向に押し動かすように回動させる(図10において仮想線で示す)。この第2遮光部材駆動伝達部7の反時計回りの回動は、前記第2遮光部材4を開口2に対して進入させる方向の回動である。
【0077】
摩擦係合部材53は、前記駆動部材51を下側から保持する固定係合部材53Cと、前記駆動部材51を上側から保持する摩擦ばね部材53Dとから構成してある。
【0078】
前記固定係合部材53Cは、図10に示すように、前記駆動部材51がその円弧に沿って案内可能に嵌入する凹形状の摩擦保持面534を有する平面視伸縮方向に沿う円弧を有する扇状に形成してある。
【0079】
摩擦ばね部材53Dは、前記駆動部材51を厚み方向の上側から押さえる摩擦ばね面535と、該摩擦ばね面535と一体であり、前記突起体10Jに正対して係合する係合保持面536とから構成してあり、該摩擦ばね面535と係合保持面536とで、上下方向から前記駆動部材51と固定係合部材5Cと保持板10と挟持するようにしている。そして、この摩擦ばね面535と係合保持面536とで挟持することにより、遮光部材駆動部5を保持板10に取り付けることができる。
【0080】
そして、前記駆動部材51を摩擦保持面534に嵌入するとともに、前記摩擦ばね部材53Dを前記駆動部材51に載置した状態で、前記固定係合部材5Cを保持板10上に位置させて、前記係合保持面536を前記突起体10Jに正対して係合することにより、前記遮光部材駆動部5を保持部材1に取り付けることができる。したがって、前記遮光部材駆動部5の保持部材1に対する取り付けを迅速、かつ容易に行うことができる。
【0081】
前記第1遮光部材駆動伝達部6は、図10に示すように、図10において右側の角部付近で、支軸63により時計回り、および反時計回りに回動可能に軸支された軸支部64と、前記駆動部材51の押付部511が接触する当接突起65と、該当接突起65の厚み方向下側に突設した前記ボス部60と、前記軸支部64と当接突起65を連結する連結部66とから形成してある。
【0082】
前記第2遮光部材駆動伝達部7は、図10に示すように、前記軸支部64と同軸で重なるとともに、前記支軸63により時計回り、および反時計回りに回動可能に軸支された軸支部73と、前記押付部材52の押付部524が接触する当接突起74と、該当接突起74の厚み方向下側に突設した前記ボス部70と、前記軸支部73と当接突起74を連結する連結部75とから形成してある。
【0083】
すなわち、前記第1遮光部材駆動伝達部6は、前記押付部511の時計回りに沿う移動により、前記当接突起65が押し動かされることにより、前記軸支部65が支軸63を回動中心として時計回りに回動する。このとき、前記第1遮光部材駆動伝達部6は、前記ボス部60が長穴部10Kの端縁に接触することにより時計回りの回動が規制されている。また、前記第1遮光部材駆動伝達部7は、前記押付部524の反時計回りに沿う移動により、前記当接突起74が押し動かされることにより、前記軸支部73が支軸63を回動中心として反時計回りに回動する。このとき、前記第2遮光部材駆動伝達部7は、前記ボス部70が長穴部10Lの端部に接触することにより反時計回りの回動が規制されている。
【0084】
本実施例の弾性部材8は、引っ張ることにより伸長して付勢力が発生する引っ張りばねである。該弾性部材8は、前記第1遮光部材駆動伝達部6に設けられた掛止部67と第2遮光部材駆動伝達部7に設けられた掛止部76とに亘って、第1遮光部材駆動伝達部6の時計回りの回動、および第2遮光部材駆動伝達部の反時計回りの回動に伴って伸長するように掛け渡してある。
【0085】
すなわち、前記弾性部材8は、前記第1遮光部材駆動伝達部6が時計回り(第1遮光部材3が開口2に進入する方向)に回動することにより、該第1遮光部材駆動伝達部6に対して反時計回り(第1遮光部材3が開口2から退避する方向)に回動させる付勢力を与え、前記第2遮光部材駆動伝達部7が反時計回り(第2遮光部材4が開口2に進入する方向)に回動することにより、該第2遮光部材駆動伝達部7に対して時計回り(第2遮光部材4が開口2から退避する方向)に回動させる付勢力を与える。
【0086】
なお、本発明の弾性部材は、前記実施例に示した弾性部材8に限られず、前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7に対して、前記した付勢力を作用させる構成を備えたものであればよい。また、前記実施例では、弾性部材8の付勢力を前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7に対して作用させる構成を示したが、本発明では、たとえば、前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4に直接付勢力を作用させる構成にしてもよい(図示せず)。
【0087】
本実施例では、前記長穴部34が、前記第1遮光部材3の回動をガイドするガイド部として機能し、前記長穴部44が、前記第2遮光部材4の回動をガイドするガイド部として機能している。
【0088】
すなわち、前記第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7の回動に伴って、前記ボス部60、70が長穴部10K、10Lに沿って移動することで、前記第1遮光部材3、第2遮光部材4を、前記支軸103、104を回動中心に、時計回り、および反時計回りに回動させる。このとき、前記ボス部60、70の長穴部10K、10Lに沿う移動による変位を、該ボス部60、70に対して前記長穴部34、44が移動することにより吸収しながら、第1遮光部材3、第2遮光部材4の回動をガイドすることになる。
【0089】
本実施例では、前記長穴部10Kが、前記第1遮光部材駆動伝達部6の回動範囲を規制するストッパーとして機能し、前記第1遮光部材3の進入退避方向の回動を規制している。そして、前記長穴部10Lが、前記第2遮光部材駆動伝達部7の回動範囲を規制するストッパーとして機能し、前記第2遮光部材の4の進入退避方向の回動を規制している。
【0090】
第1遮光部材駆動伝達部6、および第2遮光部材駆動伝達部7の回動範囲を規制するストッパーは、前記ボス部60、70が互いに、前記第1遮光部材3、および第2遮光部材4を進入退避方向へ回動させる方向に移動し、前記長穴部10K、および長穴部10Lの端縁に接触することにより、該ボス部60、70のこれ以上の移動を阻止するようにした構成である。
【0091】
前記長穴部10Kの長さは、前記ボス部60が前記第1遮光部材3を進入させる方向の長穴部10Kの端縁に接触したとき、前記第1遮光部材3の光量制御穴33の軸心が前記開口2の軸心と同心となり、前記ボス部60が前記第1遮光部材3を退避させる方向の長穴部10Kの端縁に接触したとき、前記第1遮光部材3が開口2と重ならず、かつ前記動作空間Sに位置する長さである。
【0092】
また、前記長穴部10Lの長さも同様に、前記ボス部70が第2遮光部材4を進入させる方向へ移動して、前記長穴部10Lの端縁に接触したとき、前記第2遮光部材4の光量制御穴43の軸心が前記開口2の軸心と同心となり、前記ボス部70が前記第2遮光部材4を退避させる方向の長穴部10Lの端縁に接触したとき、前記第2遮光部材4が開口2と重ならず、かつ前記動作空間Sに位置する長さである。
【0093】
なお、前記突起体10Iは、図11に示すように、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4の前記開口2から退避する方向の回動範囲を規制するストッパーとして機能させてもよく、前記突起体10Jは、図11に示すように、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4の前記開口2に進入する方向の回動範囲を規制するストッパーとして機能させてもよい(仮想線で示す)。
【0094】
以下、前記構成の光量制御装置Bの動作を説明すると、本実施例においても、第1実施例と同様に、大口径状態(初期状態)、中口径状態、小口径状態にそれぞれ切り替えるようにしたものである。
【0095】
前記大口径状態では、前記押付部511、524が第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7を押し動かしていない状態である。また、この状態では、前記第1遮光部材3が前記第1遮光部材駆動伝達部6および弾性部材8により、前記第2遮光部材4が前記第2遮光部材駆動伝達部7および弾性部材8により、前記開口2から退避している状態を保持している。また、前記第1遮光部材および第2遮光部材4は、前記構成のストッパーにより回動が規制され、前記第1遮光部材駆動伝達部6および第2遮光部材駆動伝達部7は、前記構成のストッパーにより回動が規制されている。
【0096】
前記大口径状態から中口径状態にする場合、制御電圧を印加して前記電気−機械変換素子50を時計回り(以下、図10に示された状態での回転方向を基準に説明する。)に移動(急速伸長及び緩速収縮)させる。このとき、電気−機械変換素子50の時計回りに移動に伴って移動する前記押付突起511が、前記第1遮光部材駆動伝達部6を時計回りに押し動かして回動させる。この前記第1遮光部材駆動伝達部6の回動と同時に、前記ボス部60が長穴部10Kを時計回りに移動し、前記構成のガイド部を介して、第1遮光部材3を開口2へ進入する方向に回動させる。開口2に進入した第1遮光部材3は、前記構成のストッパーにより、光量制御穴33の軸心と開口2の軸心とが同心になる位置で保持される。また、このとき、前記第1遮光部材駆動伝達部6には、時計回りへの回動に伴って伸長する前記弾性部材8の弾性変形により、第1遮光部材3を開口2から退避させる方向(反時計回り)への付勢力が作用している。
【0097】
前記中口径状態から小口径状態にする場合、制御電圧を印加して前記電気−機械変換素子50を反時計回りに移動(緩速伸長及び急速収縮)させる。このとき、電気−機械変換素子50の反時計回りの移動に伴って移動する前記押付突起524が、前記第2遮光部材駆動伝達部7を反時計回りに押し動かして回動させる。この前記第2遮光部材駆動伝達部7の回動と同時に、前記ボス部70が長穴部10Lを反時計回りに移動し、前記構成のガイド部を介して、第2遮光部材4を開口2へ進入する方向に回動させる。開口2に進入した第2遮光部材4は、前記構成のストッパーにより、光量制御穴33の軸心と開口2の軸心とが同心になる位置で保持される。また、このとき、前記第2遮光部材駆動伝達部7には、反時計回りへの回動に伴って伸長する前記弾性部材8の弾性変形により、第2遮光部材4を開口2から退避させる方向(時計回り)への付勢力が作用している。
【0098】
前記中口径状態から小口径状態にする動作では、前記第2遮光部材駆動伝達部7の反時計回りの回動と同時に、前記第1遮光部材駆動伝達部6が前記付勢力により反時計回りに回動するとともに、前記ボス部60が前記長穴部10Kを反時計回りに移動して、前記構成のガイド部を介して第1遮光部材3を開口2から退避する方向へ回動させる。
【0099】
前記第2実施例の光量制御装置Bによれば、電気−機械変換素子50の出力効率を保持した上で、光量制御装置Aの小型化およびコストの低減を図ることができる。しかも、1個の電気−機械変換素子50で、第1遮光部材3および第2遮光部材4の2個の遮光部材を交互に回動させることができ、効率的に3段階の光量制御を行うことができる。さらに、前記ガイド部によって第1遮光部材3および第2遮光部材4の進入退避の回動を確実に行うことができる。さらに、前記ストッパーによって、前記第1遮光部材3および第2遮光部材4の光量制御穴33、43の軸心を開口2の軸心と確実に同心状態にすることができ、該第1遮光部材3および第2遮光部材4の退避状態を確実に保持することができる。さらに、電気−機械変換素子50の伸縮を円弧に沿って行うようにしたので、光量制御装置Aをより小型化することができる。
【0100】
次に、第3実施例の光量制御装置Cを図12に基づいて説明する。本実施例の光量制御装置Cは、前記駆動部材51の第1遮光部材駆動伝達部6側の端部に第2の押付部材80を固着することにより、駆動部材51の遮光部材駆動部5に対する摺動性の向上を図っている。該押付部材80の第1遮光部材駆動伝達部6の当接突起65と接触する面が押付部81であり、駆動部材51に固着される面が固着部82である。なお、本実施例において、前記押付部材80以外は、前記第2実施例の基本的構成と同構成であるので、重複する部位については、同符号を付すことにより説明を省略する。
【0101】
本実施例の光量制御装置Cによれば、前記第2実施例の光量制御装置Cと同様の効果を有するとともに、駆動部材51の遮光部材駆動部5に対する摺動性を向上することができる。
【0102】
第1実施例〜第3実施例の光量制御装置では、弾性部材8は、第1遮光部材3の光量制御穴33と第2遮光部材4の光量制御穴43を開口2から退避させる方向へ付勢力が作用するようにしたが、回動中心である支持穴31、41とガイド部である長穴部32、42、34、44と光量制御穴33、43の位置関係を適宜変えることにより、第1遮光部材3の光量制御穴33と第2遮光部材4の光量制御穴43を開口2へ進入させる方向へ付勢力が作用するようにしてもよい。そして、例えば、大口径状態(初期状態)の際には、第1遮光部材駆動伝達部6の光量制御穴33と第2遮光部材駆動伝達部7の光量制御穴43とが開口に進入しないように、第1遮光部材駆動伝達部6と第2遮光部材駆動伝達部7の両方を遮光部材駆動部5へ当接させる。こうすることで、開口を大口径状態(初期状態)、中口径状態、小口径状態にそれぞれ切り替えることも可能である。この光量制御装置によれば、第1実施例〜第3実施例の光量制御装置と同様の効果を有する。
【0103】
なお、本発明は、例示した実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。たとえば、前記第1実施例〜第3実施例の光量制御装置は、いずれも、2個の遮光部材を備えて開口を3段階に絞るようにしたものであるが、本発明では、遮光部材を1個として開口を3段階に絞るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
A:光量制御装置
B:光量制御装置
C:光量制御装置
1:保持部材
2:開口
3:第1遮光部材
4:第2遮光部材
5:遮光部材駆動部
6:第1遮光部材駆動伝達部
7:第2遮光部材駆動伝達部
8:弾性部材
10D:長穴部
10E:長穴部
10K:長穴部
10L:長穴部
11C:長穴部
11D:長穴部
32:長穴部
33:光量制御穴(開口)
34:長穴部
42:長穴部
43:光量制御穴(開口)
44:長穴部
50:電気−機械変換素子
51:駆動部材
52:押付部材
53:摩擦係合部材
60:ボス部
70:ボス部
80:押付部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材に設けられた開口内に進入、あるいは該開口内から退避するように移動可能に支持した遮光部材と、
電圧を印加することにより伸縮動作する電気−機械変換素子と、該電気−機械変換素子の伸縮方向の一端面に固着された駆動部材と、前記電気−機械変換素子の伸縮方向の他端面に固着された押付部材と、前記駆動部材を摩擦係合状態に支持する前記保持部材に設けられた摩擦係合部材とを有する遮光部材駆動部と、
前記遮光部材駆動部の押付部材に当接して、前記遮光部材を前記保持部材に設けられた前記開口内に進入退避するように移動させる遮光部材駆動伝達部と、
前記遮光部材を前記開口内から退避させるように又は前記遮光部材を前記開口内へ進入させるように前記遮光部材駆動伝達部を付勢する弾性部材と、
を備えていることを特徴とする光量制御装置。
【請求項2】
前記保持部材は、前記遮光部材の移動範囲を規制するストッパーを有することを特徴とする請求項1記載の光量制御装置。
【請求項3】
前記遮光部材は、前記保持部材に2個設けられ、前記遮光部材駆動部に設けられた押付部材の双方向の移動により、個別に駆動されることを特徴とする請求項1又は2記載の光量制御装置。
【請求項4】
前記遮光部材は、前記保持部材に2個設けられ、前記遮光部材駆動部に設けられた押付部材と、前記電気−機械変換素子の伸縮方向の前記電気−機械変換素子が固着されていない駆動部材の端部とによって前記2個の遮光部材が個別に駆動されることを特徴とする請求項1又は2記載の光量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−95633(P2011−95633A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251438(P2009−251438)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】