説明

光量調整装置、レンズ鏡筒、撮像装置、及び撮像装置の制御方法

【課題】良好なボケ味であると一般的に評価される円状のボケ味が得られるようにする。
【解決手段】上絞り羽根41は、開口部31aの上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、上メイン開口の頂部に形成され、上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口とを有し、下絞り羽根44は、開口部31aの下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、下メイン開口の底部に形成され、上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口とを有し、絞り駆動モータ51は、上メイン開口及び下メイン開口により、光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、上サブ開口及び下サブ開口により、光軸を中心としてメイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根を備える光量調整装置、レンズ鏡筒、撮像装置、及び撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の撮像装置は、従来から、撮像用のレンズによって被写体像を結像させている。そして、レンズの後部に配置されたCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサ等の撮像素子によって画像を形成している。
【0003】
ここで、被写体が明るい場合には、撮像素子への入射光量を少なくするため、光量調整装置に設けられた絞り羽根を移動させることによって光量を絞っている。
しかし、絞り羽根によって形成される絞り開口の開口形状が4角形(例えば、ひし形)であると、形成された画像のボケ味も4角形となり、ボケ味が悪くなるという問題があった。
【0004】
そこで、2枚の絞り羽根とNDフィルタ(減光フィルタ)とを備える光量調整装置において、NDフィルタと一体になって動作する第3の羽根を設けるようにした技術が知られている。そして、2枚の絞り羽根と第3の羽根とによって5角形以上の多角形の絞り開口を実現し、ボケ味を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−344896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1の技術では、絞り開口が角形状であることに変わりはない。そのため、主要被写体に対する背景又は前景が全方向に一様にボケる円状のボケ味が得られない。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、良好なボケ味であると一般的に評価される円状のボケ味が得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の解決手段により、上述の課題を解決する。
本発明の請求項1に記載の発明は、光を入射させるための円状の開口部が形成され、前記開口部からの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置される地板と、前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根と、前記上絞り羽根及び前記下絞り羽根を互いに逆方向に往復移動させる絞り羽根駆動手段とを備え、前記上絞り羽根は、前記開口部の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、前記上メイン開口の頂部に形成され、前記上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口とを有し、前記下絞り羽根は、前記開口部の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、前記下メイン開口の底部に形成され、前記上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口とを有し、前記絞り羽根駆動手段は、前記上メイン開口及び前記下メイン開口により、前記光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、前記上サブ開口及び前記下サブ開口により、前記光軸を中心として前記メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている光量調整装置である。
【0009】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、撮像用のレンズと、前記レンズを収容する鏡筒本体と、上記の光量調整装置とを備えるレンズ鏡筒である。
さらにまた、本発明の請求項6に記載の発明は、撮像用のレンズと、前記レンズを収容する鏡筒本体と、上記の光量調整装置と、光量調整装置の地板よりも入射方向後方の光軸上に配置された撮像素子とを備える撮像装置である。
【0010】
さらに、本発明の請求項7に記載の発明は、撮像用のレンズと、前記レンズを収容する鏡筒本体と、上記の光量調整装置と、光量調整装置の地板よりも入射方向後方の光軸上に配置された撮像素子と、前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられ、通過する光量を減少させる減光フィルタと、前記減光フィルタを往復移動させる減光フィルタ駆動手段と、露光量を検出する露光量検出手段と、前記露光量検出手段によって検出された過去の露光量の変化に基づいて、将来の露光量の変化を推測する露光量変化量推測手段と、低速と高速との間でシャッタースピードを調整するシャッタースピード調整手段とを備え、前記減光フィルタ駆動手段は、前記サブ絞り開口を露出させる状態と、前記サブ絞り開口を前記減光フィルタで覆う状態とを切替え可能に構成されており、前記露光量検出手段によって検出された露光量が第1基準値以下であるときは、前記絞り羽根駆動手段は、前記メイン絞り開口を形成し、前記メイン絞り開口を形成した場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第1基準値を超え、かつ第2基準値以下であるときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させ、前記メイン絞り開口を形成し、かつシャッタースピードが高速である場合において、前記露光量変化量推測手段により、露光量が将来において前記第2基準値を超えると推測されたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを高速から低速に戻すとともに、前記絞り羽根駆動手段は、前記サブ絞り開口を形成し、シャッタースピードが低速であり、かつ前記サブ絞り開口を形成した場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第2基準値を超え、かつ第3基準値以下であるときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させ、前記サブ絞り開口を形成し、かつシャッタースピードが高速である場合において、前記露光量変化量推測手段により、露光量が将来において前記第3基準値を超えると推測されたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを高速から低速に戻すとともに、前記減光フィルタ駆動手段は、前記サブ絞り開口を前記減光フィルタで覆い、シャッタースピードが低速であり、かつ前記サブ絞り開口が前記減光フィルタで覆われている場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第3基準値を超えたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させるように制御する撮像装置の制御方法である。
【0011】
(作用)
上記の請求項1、請求項5、請求項6、及び請求項7に記載の発明は、往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根を備えている。そして、上絞り羽根は、上向きに開口する半円状の上メイン開口と、上メイン開口の頂部に形成され、上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口とを有している。また、下絞り羽根は、下向きに開口する半円状の下メイン開口と、下メイン開口の底部に形成され、上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口とを有している。
【0012】
ここで、絞り羽根駆動手段は、上メイン開口及び下メイン開口により、円状のメイン絞り開口を形成する状態と、上サブ開口及び下サブ開口により、メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている。
したがって、露光量に応じてメイン絞り開口とサブ絞り開口とを切り替えることができる。また、円状のメイン絞り開口及び円状のサブ絞り開口が得られる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、メイン絞り開口とサブ絞り開口とを切り替えることにより、露光量を調整することができる。また、円状のメイン絞り開口及び円状のサブ絞り開口により、良好な円状のボケ味を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の撮像装置の一実施形態(第1の実施の形態)としての、デジタルスチルカメラの前面側を示す斜視図である。
【図2】本発明の撮像装置の一実施形態(第1の実施の形態)としての、デジタルスチルカメラの後面側を示す斜視図である。
【図3】本発明のレンズ鏡筒の一実施形態としての、レンズ鏡筒の光軸方向の断面図である。
【図4】本発明の撮像装置の一実施形態(第1の実施の形態)としての、デジタルスチルカメラの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置の構成を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置の上絞り羽根を示す正面図である。
【図7】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置の下絞り羽根を示す正面図である。
【図8】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置における絞り動作の第1段階を示す正面図である。
【図9】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置における絞り動作の第2段階を示す正面図である。
【図10】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置における絞り動作の第3段階を示す正面図である。
【図11】本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置における絞り動作の第4段階を示す正面図である。
【図12】本発明の撮像装置の一実施形態(第2の実施の形態)としての、デジタルビデオカメラを示す斜視図である。
【図13】本発明の撮像装置の制御方法の一実施形態としての、デジタルビデオカメラの制御方法を示すフローチャートである。
【図14】本発明の撮像装置の制御方法の一実施形態としての、デジタルビデオカメラの制御方法を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ここで、本発明における撮像装置は、以下の実施の形態では、デジタルスチルカメラ10又はデジタルビデオカメラ100であるとする。また、本発明におけるレンズ鏡筒は、以下の実施の形態では、デジタルスチルカメラ10に組み込まれたレンズ鏡筒20であるとする。さらにまた、本発明における光量調整装置は、レンズ鏡筒20に組み込まれた光量調整装置30であるとする。
なお、説明は、以下の順序で行う

1.第1の実施の形態(撮像装置:デジタルスチルカメラの例)
2.第2の実施の形態(撮像装置:デジタルビデオカメラの例)

【0016】
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の外観例]

図1は、本発明の撮像装置の一実施形態としての、デジタルスチルカメラ10の前面側を示す斜視図である。
また、図2は、本発明の撮像装置の一実施形態としての、デジタルスチルカメラ10の後面側を示す斜視図である。
図1に示すように、デジタルスチルカメラ10は、外装を構成する直方体状のボディ11を備えている。また、ボディ11内の右側には、図1中、二点鎖線で示すレンズ鏡筒20が組み込まれている。そして、レンズ鏡筒20に設けられたレンズ21がボディ11の前面側の上部に位置するようになっている。
なお、図1及び図2に示すデジタルスチルカメラ10において、左右とは、図1に示す前面側から見た左右を言うものとする。
【0017】
また、レンズ21の左隣には、撮影補助光を出射するフラッシュ12及びAF(Auto Focus)補助光発光部13が設けられている。さらにまた、ボディ11の上面の左側には、シャッターボタン14が設けられている。さらに、ボディ11の前面側には、カバー11aが設けられている。そして、カバー11aは、ボディ11の前面側下方に位置してレンズ21、フラッシュ12、及びAF補助光発光部13を露出させる撮影位置と、前面側上方に位置してこれらを覆う保護位置との間を矢印のようにスライドできるようになっている。そのため、カバー11aを撮影位置(図1に示す位置)にしてシャッターボタン14を押せば、撮影を行うことができる。
【0018】
一方、図2に示すように、ボディ11の後面側には、メニューボタン15、ディスプレイ16、十字キー17、ズームレバー18、及び露出補正ボタン19が設けられている。そして、メニューボタン15を操作することにより、ディスプレイ16(例えば、液晶表示器)に各種の設定メニュー(静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モード等)を表示させることができる。また、表示されたメニューは、十字キー17で選択し、選択した設定は、決定ボタン17aで決定することができる。さらにまた、ディスプレイ16は、設定メニューの他、撮影する画像を表示したり、撮影された画像を再生等することができる。さらに、ズームレバー18の操作により、ズーミング(変倍操作)を行うことができ、露出補正ボタン19の操作により、ワンタッチで逆光補正等の露出補正を行うことができる。
【0019】
[レンズ鏡筒の断面例]

図3は、本発明のレンズ鏡筒の一実施形態としての、レンズ鏡筒20の光軸方向の断面図である。
図3に示すように、レンズ鏡筒20は、鏡筒本体20aに光軸を一致させた状態で配置された前玉レンズ群21a、ズームレンズ群21b、中間レンズ21c、及びフォーカスレンズ群21dを備える4群インナーフォーカス式のズームレンズとなっている。そのため、ステッピングモータやリニアモータ等によってズームレンズ群21bを光軸方向に変位させることにより、ズーミング(変倍操作)を行うことができる。また、フォーカスレンズ群21dを光軸方向に変位させることにより、フォーカシング(焦点調節操作)を行うことができる。
なお、このレンズ鏡筒20は、デジタルスチルカメラ10(図1及び図2参照)だけでなく、デジタルビデオカメラ100(図12参照)等にも組み込むことができる。
【0020】
ここで、鏡筒本体20aは、強度及び量産性があり、かつ遮光性を有する黒色の樹脂材料(例えば、ガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂等)から形成されている。そして、前玉レンズ群21a及び中間レンズ21cは、鏡筒本体20aに固定されている。一方、ズームレンズ群21bは、ズームレンズ保持枠22により、鏡筒本体20aの内部で光軸と平行に固定されたガイド軸24aとガイド軸24bとの間に、光軸方向にスライド可能に保持されている。さらに、フォーカスレンズ群21dは、フォーカスレンズ保持枠23により、ガイド軸24aとガイド軸24bとの間に、光軸方向にスライド可能に保持されている。
【0021】
また、レンズ鏡筒20には、光量調整装置30が設けられている。この光量調整装置30は、中間レンズ21cとフォーカスレンズ群21dとの間に配置されている。そして、絞り開閉装置40、絞り駆動装置50(本発明における絞り羽根駆動手段に相当)、ND(Neutral Density )フィルタ開閉装置60、及びNDフィルタ駆動装置70(本発明における減光フィルタ駆動手段に相当)を備えている。そのため、絞り駆動装置50によって絞り開閉装置40を開閉することにより、絞り開口の開口量を増減させることができる。さらに、NDフィルタ駆動装置70によってNDフィルタ開閉装置60を開閉することにより、絞り開口を通過する光量をNDフィルタ(本発明における減光フィルタに相当)を用いて増減させることができる。
【0022】
[撮像装置の構成例]

図4は、本発明の撮像装置の一実施形態としての、デジタルスチルカメラ10の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、デジタルスチルカメラ10には、レンズ鏡筒20が組み込まれている。また、レンズ鏡筒20には、光量調整装置30が組み込まれている。さらにまた、デジタルスチルカメラ10は、撮像素子25、A/D(Analog/Digital )変換部26、カメラDSP(Digital Signal Processor)27、CPU(Central Processing Unit )28、メモリ29、及びディスプレイ16を備えている。
【0023】
ここで、レンズ鏡筒20には、前玉レンズ群21a、ズームレンズ群21b、中間レンズ21c、及びフォーカスレンズ群21dが光軸に沿って配列されている。そして、中間レンズ21cとフォーカスレンズ群21dとの間には、光量調整装置30の一部を構成する絞り開閉装置40が配置されている。この絞り開閉装置40は、絞り駆動装置50によって駆動され、絞り開口の開口量を増減させることができる。例えば、明るい被写体を撮影する場合には、撮像素子25への入射光量を少なくするため、絞り開口の開口量を減少させて絞り開口を通過する光量を絞る。
【0024】
また、中間レンズ21cとフォーカスレンズ群21dとの間には、光量調整装置30の一部を構成するNDフィルタ開閉装置60も配置されている。そして、本実施形態では、NDフィルタ開閉装置60は、絞り開閉装置40の前面側である入射光側に配置されており、NDフィルタ駆動装置70によって駆動される。そのため、絞り開口の前面側をNDフィルタ64(図示せず)で覆うことにより、絞り開口を通過する入射光量を減らすことができる。
【0025】
このような光量調整装置30が組み込まれたレンズ鏡筒20において、NDフィルタ開閉装置60及び絞り開閉装置40によって光量調整された入射光(被写体像)は、撮像素子25上に結像する。この撮像素子25は、例えば、CCD(Charge Coupled Device )イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサ等である。そして、撮像素子25によって光電変換され、その出力であるアナログ信号は、A/D変換部26によってデジタル信号に変換される。また、このデジタル信号は、カメラDSP27によってガンマ補正、色分離、色差マトリクス等の処理が施され、同期信号を加えた標準テレビジョン信号が生成される。さらにまた、カメラDSP27によって露出制御用の輝度データがCPU28に送信され、カメラDSP27によって処理された画像は、必要に応じてメモリ29に記憶され、ディスプレイ16に表示される。
【0026】
CPU28は、カメラDSP27から送信された輝度データに基づいて露出制御用の計算を行う。そして、その計算結果が適正でなかった場合には、適正な露光量になるように絞り駆動装置50及びNDフィルタ駆動装置70を制御する。例えば、絞り開閉装置40及びNDフィルタ開閉装置60が開放されている状態から露光量を減らす方向に露出制御を行う場合には、絞り駆動装置50を制御して絞り開閉装置40を駆動し、絞り開口の開口量を絞る。
【0027】
ここで、絞り開口の開口量がピンホール状態まで絞られると、回折現象が発生し、いわゆる小絞りの状態となってしまう。そのため、絞り開口は、小絞り状態にならない程度の開口量が確保されるようになっている。そして、絞り開口を通過する光量をさらに減らす場合には、CPU28からの指令によってNDフィルタ駆動装置70を制御し、NDフィルタ開閉装置60を駆動することにより、絞り開口をNDフィルタで覆う。
【0028】
一方、絞り開口がNDフィルタで覆われているときに、明るい被写体の撮影から日陰等の被写体の撮影に変更した場合には、露光量が不足することとなる。この場合、CPU28は、NDフィルタ駆動装置70を制御し、NDフィルタ開閉装置60を駆動して絞り開口からNDフィルタを退避させる。そして、それでも露光量が不足するときは、絞り駆動装置50を制御し、絞り開閉装置40を駆動して絞り開口の開口量を増やす。
なお、CPU28は、露光量に応じてシャッタースピードの調整も行う。
【0029】
[光量調整装置の構成例]

図5は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30の構成を示す分解斜視図である。
図5に示すように、光量調整装置30は、地板31、仕切り板34、及び押さえ板36を有している。
【0030】
また、光量調整装置30は、絞り開閉装置40(図3参照)を構成する上絞り羽根41及び下絞り羽根44を有している。さらにまた、絞り駆動装置50(図3参照)を構成する絞り駆動モータ51(本発明における絞り羽根駆動手段に相当)及び絞り駆動アーム52を有している。
なお、絞り駆動モータ51は、本実施形態では、ステッピングモータであるが、リニアモータ等を使用することもできる。
【0031】
さらに、光量調整装置30は、NDフィルタ開閉装置60(図3参照)を構成するND羽根61を有している。そして、ND羽根61は、一定の透過率を有するNDフィルタ64(本発明における減光フィルタに相当)を保持している。また、NDフィルタ駆動装置70(図3参照)を構成するND駆動モータ71(本発明における減光フィルタ駆動手段に相当)及びND駆動アーム72を有している。
なお、NDフィルタ自体でND羽根の形状を構成してもよい。また、ND駆動モータ71は、本実施形態では、ステッピングモータであるが、リニアモータ等を使用することもできる。
【0032】
ここで、地板31には、光を入射させるための円状の開口部31aが形成されており、地板31は、開口部31aからの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置されている。また、地板31には、4つのガイドピン32が一体成型されているとともに、凸状のレール33が2列に設けられている。そして、ND羽根61には、ガイドピン32が挿入されるガイド穴62が2列形成されている。そのため、ND羽根61は、ガイド穴62にガイドピン32を挿入することにより、地板31の表面に沿って取り付けられる。さらに、ND羽根61は、長穴に形成されたガイド穴62により、レール33上で摩擦力が低減されながら、入射光の光軸に対して垂直な方向に往復移動できるようになる。
【0033】
また、仕切り板34は、ND羽根61と、上絞り羽根41及び下絞り羽根44との接触を避けるために設けられている。この仕切り板34は、例えば、ステンレス板等で形成されており、表裏両面に2列のレール35を有している。さらにまた、上絞り羽根41は、仕切り板34を介してガイドピン32を挿入するためのガイド穴42を有しており、下絞り羽根44は、同様のガイド穴45を有している。そのため、上絞り羽根41及び下絞り羽根44は、ガイド穴42及びガイド穴45にガイドピン32を挿入することにより、仕切り板34を介して地板31の表面に沿ってそれぞれ独立に取り付けられることとなる。さらに、上絞り羽根41及び下絞り羽根44は、長穴に形成されたガイド穴42及びガイド穴45により、レール35上で摩擦力が低減されながら、入射光の光軸に対して垂直な方向に往復移動できるようになる。
【0034】
さらにまた、上絞り羽根41及び下絞り羽根44の表面は、押さえ板36によって塞がれる。この押さえ板36は、例えば、ステンレス板等で形成されており、上絞り羽根41及び下絞り羽根44との対向面に2列のレール(図示せず)を有している。
なお、押さえ板36及び仕切り板34は、地板31に対し、スナップフィット等の手段によって固定される。また、絞り駆動モータ51は、押さえ板36にビス締結や接着等によって固定され、ND駆動モータ71は、地板31にビス締結や接着等によって固定される。
【0035】
さらに、ND駆動アーム72の先端部には、ND駆動ピン73が一体成型されており、地板31を介してND羽根61のカム穴63にはまり込む。また、絞り駆動アーム52の先端部には、上絞り駆動ピン53及び下絞り駆動ピン54が一体成型されており、押さえ板36を介して上絞り羽根41のカム穴43及び下絞り羽根44のカム穴46にはまり込む。
【0036】
ここで、上絞り羽根41のカム穴43及び下絞り羽根44のカム穴46は、絞り駆動アーム52の正逆回転を上絞り羽根41及び下絞り羽根44の往復移動に変換する。そのため、絞り駆動モータ51によって絞り駆動アーム52を正逆回転させれば、絞り駆動モータ51の駆動力がカム穴43及びカム穴46によって伝達され、上絞り羽根41及び下絞り羽根44が互いに逆向きに往復移動するようになる。そして、上絞り羽根41及び下絞り羽根44は、ガイドピン32に案内されながら開口部31aを開閉する。
【0037】
同様に、ND羽根61のカム穴63は、ND駆動アーム72の正逆回転をND羽根61の往復移動に変換する。そのため、ND駆動モータ71によってND駆動アーム72を正逆回転させれば、ND駆動モータ71の駆動力がカム穴63によって伝達され、ND羽根61が往復移動するようになる。そして、ND羽根61は、ガイドピン32に案内されながら開口部31aを開閉する。
なお、ND駆動モータ71を省略し、ND駆動ピンを設けた絞り駆動アームを使用すれば、絞り駆動モータ51だけで上絞り羽根41、下絞り羽根44、及びND羽根61を往復移動させることが可能となる。
【0038】
また、上絞り羽根41の外形は、上絞り羽根41のカム穴43にはまり合った上絞り駆動ピン53の反対側にある下絞り駆動ピン54が動く軌跡を避けるように形成されている。そして、下絞り羽根44の外形も同様に形成されている。そのため、上絞り羽根41と下絞り羽根44とは、互いに干渉することなく往復移動できる。さらにまた、上絞り羽根41、下絞り羽根44、及びND羽根61は、地板31の表面側に落とし込んで組立てできるだけでなく、厚さも薄くできるので、光量調整装置30が低コスト化及び小型化されている。
【0039】
さらに、下絞り羽根44の往復移動の下限位置とND羽根61の往復移動の下限位置とは、地板31の表面上で上下に重なるようになっている。言い換えれば、下絞り羽根44とND羽根61とは、往復移動の下限位置で相互に重なるように設けられている。そのため、下絞り羽根44及びND羽根61の配置スペースを共用でき、光量調整装置30が小型化される。
【0040】
図6は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30の上絞り羽根41を示す正面図である。
また、図7は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30の下絞り羽根44を示す正面図である。
図6に示すように、上絞り羽根41は、地板31(図5参照)の表面に沿って往復移動可能となるように、左右一対のガイド穴42と、上絞り駆動ピン53(図5参照)がはまり込むカム穴43とを有している。
【0041】
また、ガイド穴42の間には、開口部31a(図5参照)の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口81が形成されている。さらにまた、上メイン開口81の頂部には、上メイン開口81よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口82が形成されている。そして、上メイン開口81は、両端の直線部81aと、直線部81a間の円弧部81bとによって構成されており、上サブ開口82は、両端の直線部82aと、直線部82a間の円弧部82bとによって構成されている。
【0042】
一方、図7に示すように、下絞り羽根44は、地板31(図5参照)の表面に沿って往復移動可能となるように、左右一対のガイド穴45と、下絞り駆動ピン54(図5参照)がはまり込むカム穴46とを有している。
【0043】
また、ガイド穴45の間には、開口部31a(図5参照)の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口83が形成されている。さらにまた、下メイン開口83の底部には、上サブ開口82(図6参照)と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口84が形成されている。そして、下メイン開口83は、両端の直線部83aと、直線部83a間の円弧部84bとによって構成されており、下サブ開口84は、両端の直線部84aと、直線部84a間の円弧部84bとによって構成されている。
【0044】
[光量調整装置の動作例]

図8は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30における絞り動作の第1段階を示す正面図である。
また、図9は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30における絞り動作の第2段階を示す正面図である。
さらにまた、図10は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30における絞り動作の第3段階を示す正面図である。
さらに、図11は、本発明の光量調整装置の一実施形態としての、光量調整装置30における絞り動作の第4段階を示す正面図である。
【0045】
図8に示す絞り動作の第1段階では、絞り駆動モータ51によって絞り駆動アーム52が時計回りに回転した状態となっている。そして、上絞り羽根41を地板31の上方に移動させ、下絞り羽根44を地板31の下方に移動させている。そのため、上絞り羽根41及び下絞り羽根44によって開口部31aの表面側に形成される絞り開口は、上メイン開口81(図6参照)及び下メイン開口83(図7参照)により、光軸を中心とする円状のメイン絞り開口85となる。
【0046】
ここで、上メイン開口81(図6参照)は、開口部31aの上半分に対応する大きさであり、下メイン開口83(図7参照)は、開口部31aの下半分に対応する大きさとなっている。そのため、メイン絞り開口85は、開口部31aとほぼ同じ大きさの開口量の円状になる。また、NDフィルタ64は、開口部31aから離れて位置している。したがって、絞り動作の第1段階は、NDフィルタ64で開口部31aが覆われない絞りの全開状態となる。
なお、上メイン開口81の両端は、直線部81a(図6参照)となっており、下メイン開口83の両端も、直線部83a(図7参照)となっている。そのため、メイン絞り開口85は、真円ではなく、少し長い円状になるが、直線部81a及び直線部83aにより、露出制御にヒステリシス性を持たせることが可能となり、相対往復誤差を許容できるようになる。
【0047】
次に、図9に示す絞り動作の第2段階では、絞り駆動モータ51によって絞り駆動アーム52を反時計回りに回転させ、上サブ開口82(図6参照)及び下サブ開口84(図7参照)により、光軸を中心とする円状のサブ絞り開口86が形成される状態に切り替える。このサブ絞り開口86は、メイン絞り開口85(図8参照)よりも小さいので、開口部31aの開口量が減少する。
なお、サブ絞り開口86の大きさは、小絞り状態にならない(回折劣化が生じない)範囲でなるべく解像性能が高くなるように設定されている。
【0048】
したがって、本実施形態の光量調整装置30は、図8に示すようなメイン絞り開口85による開口部31aの全開状態(絞り動作の第1段階)から図9に示すようなサブ絞り開口86に絞った状態(絞り動作の第2段階)まで変化させることができる。そして、第1段階から第2段階に変化させるときは、増幅器の利得(ゲイン)や電子シャッターのシャッタースピードを変化させることにより、被写体の明るさ(露光量)の変化に追従させる。そのため、絞り開口が円状のままで連続的な露出制御を行うことが可能となり、円状の良好なボケ味が得られるようになる。また、第1段階と第2段階との間で開口部31aが全閉状態にならないので、連続的な露出制御を行うことにより、静止画撮影だけでなく動画撮影にも使用可能となる。
【0049】
続いて、図10に示す絞り動作の第3段階では、さらなる露出変化に対応するため、NDフィルタ64を移動させて、サブ絞り開口86をNDフィルタ64で覆う状態に切り替える。具体的には、図5に示すND駆動モータ71を時計回りに回転させ、ND駆動アーム72により、ND羽根61を上昇させる。そのため、小絞りによる回折劣化の発生を抑えることができる。また、NDフィルタ64の半掛かりによる回折現象や端面の反射による画質劣化を避けることができる。
なお、ND駆動モータ71の回転状態により、NDフィルタ64を半掛かりの状態とすることも可能である。
【0050】
ここで、動画撮影時は、図10に示す第3段階の絞り動作を可能な限り速く行うことが望ましい。また、NDフィルタ64でサブ絞り開口86を覆う際に、上絞り羽根41及び下絞り羽根44を多少動かしてもよい。そして、この際は、増幅器の利得(ゲイン)や電子シャッターのシャッタースピードを変化させることにより、NDフィルタ64の出し入れと、上絞り羽根41及び下絞り羽根44の動きによる露出変化を相殺し、連続的な露出制御を行う。
なお、NDフィルタ64の濃度を2濃度タイプやグラデーションタイプにすることによってサブ絞り開口86を覆う濃度を変えれば、さらなる露出変化に対応させることが可能となる。また、NDフィルタ64に限らず、透過率を変えることができる液晶フィルタ等を減光フィルタとしてもよい。
【0051】
図11に示す絞り動作の第4段階では、上絞り羽根41及び下絞り羽根44をさらに絞り込む。これにより、図10に示すように、NDフィルタ64でサブ絞り開口86を覆った後も、撮像素子25(図4参照)への入射光量を減少させることができる。また、図11に示すように、上絞り羽根41及び下絞り羽根44を全閉状態まで絞り込むことにより、上絞り羽根41及び下絞り羽根44によるシャッタ機能の兼用が可能となる。
なお、近年では、撮像素子25(図4参照)がCMOSイメージセンサである場合に特に読出し速度が速くなってきている。そのため、上絞り羽根41及び下絞り羽根44によってメカ的なシャッタ機能を兼用させる必然性がなくなってきている。したがって、この場合には、図11に示す絞り動作の第4段階を省略することもできる。
【0052】
このように、本実施形態の光量調整装置30は、図5に示す絞り駆動モータ51及びND駆動モータ71によって上絞り羽根41、下絞り羽根44、及びNDフィルタ64(ND羽根61)を往復移動させる。そして、図8示す第1段階から図11に示す第4段階までの絞り動作を行う。
なお、各段階におけるカム穴43、カム穴46、及びカム穴63の圧力角を下げるには、各段階に割り当てる絞り駆動アーム52及びND駆動アーム72の回転角度を大きくすればよい。
【0053】
また、図8に示す第1段階から図11に示す第4段階までの絞り動作を行うことにより、小絞りによる回折劣化の発生を回避しつつ、滑らかな露出制御が可能となっている。そして、光量調整装置30が低コストで小型化されるだけでなく、デジタルビデオカメラ100(図12参照)の動画撮影でも円状の絞り開口(メイン絞り開口85及びサブ絞り開口86)を実現できるので、被写体前後の良好なボケ味を得ることができる。
なお、第1段階から第4段階は、露光量が多くなった場合の絞り動作であり、露光量が少なくなる場合は逆に、第4段階から第1段階へと動作させる。
【0054】
<2.第2の実施の形態>
[撮像装置の外観例]

図12は、本発明の撮像装置の一実施形態としての、デジタルビデオカメラ100を示す斜視図である。
図12に示すように、デジタルビデオカメラ100は、外装を構成する直方体状のボディ111を備えている。そして、ボディ111の前部には、フロントパネル112が取り付けられている。
【0055】
また、フロントパネル112には、ボディ111内に組み込まれたレンズ鏡筒20(図3参照)に光を入射させるためのレンズ開口112aが形成されている。そのため、レンズ開口112aからレンズ121に光が入射し、レンズ121によって被写体像が結像される。そして、結像された被写体像は、撮像素子25(図4参照)によって撮影され、撮影された画像は、ディスプレイ部113を開いて表示させることによって確認できる。
【0056】
図13は、本発明の撮像装置の制御方法の一実施形態としての、デジタルビデオカメラ100の制御方法を示すフローチャートである。
また、図14は、本発明の撮像装置の制御方法の一実施形態としての、デジタルビデオカメラ100の制御方法を示すグラフである。
ここで、図14に示す露光量のEV(Exposure Value)は、光の量(明るさ)を示しており、この数値が多いほど(グラフの右に行くほど)明るくなる。そして、この露光量は、図4に示す撮像素子25、A/D変換部26、カメラDSP27、及びCPU28によって構成される露光量検出手段によって検出される。
【0057】
図13及び図14のステップS1に示すように、撮影開始時は、露光量検出手段によって検出された露光量が少なく、円状のメイン絞り開口85(図14参照)が形成された状態であるとする。そして、このときの露光量を第1基準値とし、シャッタースピードは、1/60secとなっている。そのため、メイン絞り開口85により、撮影開始の当初から良好な円状のボケ味を得ることができる。
【0058】
次に、露光量が増えて第1基準値を超えると、ステップS2において、メイン絞り開口85のまま、シャッタースピード調整手段(図4に示すCPU28)によってシャッタースピードを1/60secから1/120secに上げる。そして、さらに露光量が増えると、ステップS3において、シャッタースピードを1/120secから1/250secに上げ、さらに露光量が増えると、ステップS4において、シャッタースピードを1/250secから1/500secに上げる。
【0059】
このように、メイン絞り開口85を形成した場合において、露光量検出手段によって検出された露光量が第1基準値を超えたときは、シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速(1/60sec)から高速(1/500sec)に変化させる。そして、メイン絞り開口85が形成された状態で、シャッタースピードが1/500secであるときの露光量を第2基準値とする。したがって、露光量が第1基準値を超え、かつ第2基準値以下であるときは、シャッタースピードを低速と高速との間で調整することにより、メイン絞り開口85による円状のボケ味が得られる。
【0060】
ここで、メイン絞り開口85を形成し、かつシャッタースピードが高速(1/500sec)である場合において、露光量変化量推測手段(図4に示すCPU28)により、露光量が将来において第2基準値を超えると推測されることがある。そして、実際に第2基準値を超えたときは、シャッタースピードをより高速(例えば、1/1000sec)にするか、メイン絞り開口85よりも絞り開口を小さくする必要が生じる。
しかし、シャッタースピードをより高速にすると、撮影された動画の滑らかさが失われるようになり、動きがぎこちないものとなってしまう。
【0061】
そこで、露光量変化量推測手段によって露光量が将来において第2基準値を超えると推測されたときは、露光量に変化がなくても、シャッタースピード調整手段は、ステップS5において、シャッタースピードを高速(1/500sec)から低速(1/60sec)に戻す。また、絞り駆動モータ51(図5参照)は、サブ絞り開口86(図14参照)を形成し、メイン絞り開口85からサブ絞り開口86に小さくすることにより、将来の露光量の増加に備える。
なお、サブ絞り開口86と1/60secのシャッタースピードとの組合せは、メイン絞り開口85と1/500secのシャッタースピードとの組合せと同じく、露光量が第2基準値である場合に対応している。言い換えれば、このような組合せで第2基準値に対応できるように、メイン絞り開口85の大きさとサブ絞り開口86との大きさが決定されている。
【0062】
次に、シャッタースピードが低速(1/60sec)であり、サブ絞り開口86を形成した場合において、露光量検出手段によって検出された露光量が第2基準値を超えたときは、ステップS6において、シャッタースピードを上げる。具体的には、シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを1/60secから1/120secに変化させる。そして、さらに露光量が増えると、ステップS7において、シャッタースピードを1/120secから1/250secに上げ、さらに露光量が増えると、ステップS8において、シャッタースピードを1/250secから1/500secに上げる。
【0063】
このように、サブ絞り開口86を形成した場合において、露光量検出手段によって検出された露光量が第2基準値を超えたときは、シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速(1/60sec)から高速(1/500sec)に変化させる。そして、サブ絞り開口86が形成された状態で、シャッタースピードが1/500secであるときの露光量を第3基準値とする。したがって、露光量が第2基準値を超え、かつ第3基準値以下であるときは、シャッタースピードを低速と高速との間で調整することにより、サブ絞り開口86による円状のボケ味が得られる。
【0064】
次に、サブ絞り開口86を形成し、かつシャッタースピードが高速(1/500sec)である場合において、露光量変化量推測手段により、露光量が将来において第3基準値を超えると推測されることがある。この場合には、撮影された動画の滑らかさを維持するため、露光量に変化がなくても、シャッタースピード調整手段は、ステップS9において、シャッタースピードを高速(1/500sec)から低速(1/60sec)に戻す。また、ND駆動モータ71(図5参照)は、図14に示すように、サブ絞り開口86をNDフィルタ64で覆うことにより、将来の露光量の増加に備える。
なお、サブ絞り開口86をNDフィルタ64で覆った状態と1/60secのシャッタースピードとの組合せは、サブ絞り開口86と1/500secのシャッタースピードとの組合せと同じく、露光量が第3基準値である場合に対応している。言い換えれば、このような組合せで第3基準値に対応できるように、NDフィルタ64の濃度が決定されている。
【0065】
次に、シャッタースピードが低速(1/60sec)であり、サブ絞り開口86をNDフィルタ64で覆った場合において、露光量検出手段によって検出された露光量が第3基準値を超えたときは、ステップS10において、シャッタースピードを上げる。具体的には、シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを1/60secから1/120secに変化させる。そして、さらに露光量が増えると、ステップS11において、シャッタースピードを1/120secから1/250secに上げ、さらに露光量が増えると、ステップS12において、シャッタースピードを1/250secから1/500secに上げる。
【0066】
このように、シャッタースピードを露出制御に積極的に使うことにより、メイン絞り開口85を形成した状態、サブ絞り開口86を形成した状態、及びサブ絞り開口86をNDフィルタ64で覆った状態の3つで幅広い露光量に対応できる。そのため、回折劣化の少ない円状の絞り開口による露出制御が可能となり、解像性能が向上し、被写体の前後のボケ味が円状の良好な画像を得ることができる。また、円状の絞り開口を保つつ、滑らかな露出制御が可能となり、良好な画像で動画撮影できるようになる。
なお、図13及び図14に示す制御方法は、デジタルビデオカメラ100(図12参照)だけでなく、デジタルスチルカメラ10(図1及び図2参照)等にも使用することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、実施形態では、撮像装置として、デジタルスチルカメラ10及びデジタルビデオカメラ100を例に挙げている。しかし、これに限らず、カメラ付き携帯電話等の撮像装置にも広く適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 デジタルスチルカメラ(撮像装置)
20 レンズ鏡筒
20a 鏡筒本体
21 レンズ
25 撮像素子
30 光量調整装置
31 地板
31a 開口部
32 ガイドピン
33 レール
34 仕切り板
35 レール
36 押さえ板
40 絞り開閉装置
41 上絞り羽根
42 ガイド穴
43 カム穴
44 下絞り羽根
45 ガイド穴
46 カム穴
50 絞り駆動装置(絞り羽根駆動手段)
51 絞り駆動モータ(絞り羽根駆動手段)
52 絞り駆動アーム
53 上絞り駆動ピン
54 下絞り駆動ピン
60 NDフィルタ開閉装置
61 ND羽根
62 ガイド穴
63 カム穴
64 NDフィルタ(減光フィルタ)
70 NDフィルタ駆動装置(減光フィルタ駆動手段)
71 ND駆動モータ(減光フィルタ駆動手段)
72 ND駆動アーム
73 ND駆動ピン
81 上メイン開口
81a 直線部
81b 円弧部
82 上サブ開口
81a 直線部
81b 円弧部
83 下メイン開口
83a 直線部
83b 円弧部
84 下サブ開口
84a 直線部
84b 円弧部
85 メイン絞り開口
86 サブ絞り開口
100 デジタルビデオカメラ(撮像装置)
121 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を入射させるための円状の開口部が形成され、前記開口部からの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置される地板と、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根と、
前記上絞り羽根及び前記下絞り羽根を互いに逆方向に往復移動させる絞り羽根駆動手段と
を備え、
前記上絞り羽根は、
前記開口部の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、
前記上メイン開口の頂部に形成され、前記上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口と
を有し、
前記下絞り羽根は、
前記開口部の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、
前記下メイン開口の底部に形成され、前記上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口と
を有し、
前記絞り羽根駆動手段は、前記上メイン開口及び前記下メイン開口により、前記光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、前記上サブ開口及び前記下サブ開口により、前記光軸を中心として前記メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている
光量調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光量調整装置において、
前記上メイン開口、前記上サブ開口、前記下メイン開口、及び前記下サブ開口は、両端の直線部と、前記直線部間の円弧部とによって構成されている
光量調整装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光量調整装置において、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられ、通過する光量を減少させる減光フィルタと、
前記減光フィルタを往復移動させる減光フィルタ駆動手段と
を備え、
前記減光フィルタ駆動手段は、前記開口部を露出させる状態と、前記開口部を前記減光フィルタで覆う状態とを切替え可能に構成されている
光量調整装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光量調整装置において、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられ、通過する光量を減少させる減光フィルタと、
前記減光フィルタを往復移動させる減光フィルタ駆動手段と
を備え、
前記減光フィルタ駆動手段は、前記絞り羽根駆動手段によって前記サブ絞り開口が形成されている状態のときに、前記サブ絞り開口を露出させる状態と、前記サブ絞り開口を前記減光フィルタで覆う状態とを切替え可能に構成されている
光量調整装置。
【請求項5】
撮像用のレンズと、
前記レンズを収容する鏡筒本体と、
前記レンズからの光を入射させるための円状の開口部が形成され、前記開口部からの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置される地板と、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根と、
前記上絞り羽根及び前記下絞り羽根を互いに逆方向に往復移動させる絞り羽根駆動手段と
を備え、
前記上絞り羽根は、
前記開口部の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、
前記上メイン開口の頂部に形成され、前記上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口と
を有し、
前記下絞り羽根は、
前記開口部の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、
前記下メイン開口の底部に形成され、前記上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口と
を有し、
前記絞り羽根駆動手段は、前記上メイン開口及び前記下メイン開口により、前記光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、前記上サブ開口及び前記下サブ開口により、前記光軸を中心として前記メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている
レンズ鏡筒。
【請求項6】
撮像用のレンズと、
前記レンズを収容する鏡筒本体と、
前記レンズからの光を入射させるための円状の開口部が形成され、前記開口部からの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置される地板と、
前記地板よりも入射方向後方の光軸上に配置された撮像素子と、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根と、
前記上絞り羽根及び前記下絞り羽根を互いに逆方向に往復移動させる絞り羽根駆動手段と
を備え、
前記上絞り羽根は、
前記開口部の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、
前記上メイン開口の頂部に形成され、前記上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口と
を有し、
前記下絞り羽根は、
前記開口部の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、
前記下メイン開口の底部に形成され、前記上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口と
を有し、
前記絞り羽根駆動手段は、前記上メイン開口及び前記下メイン開口により、前記光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、前記上サブ開口及び前記下サブ開口により、前記光軸を中心として前記メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されている
撮像装置。
【請求項7】
撮像用のレンズと、
前記レンズを収容する鏡筒本体と、
前記レンズからの光を入射させるための円状の開口部が形成され、前記開口部からの入射光の光軸に対して垂直な方向に配置される地板と、
前記地板よりも入射方向後方の光軸上に配置された撮像素子と、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられた上絞り羽根及び下絞り羽根と、
前記上絞り羽根及び前記下絞り羽根を互いに逆方向に往復移動させる絞り羽根駆動手段と、
前記地板の表面に沿って往復移動可能に設けられ、通過する光量を減少させる減光フィルタと、
前記減光フィルタを往復移動させる減光フィルタ駆動手段と、
露光量を検出する露光量検出手段と、
前記露光量検出手段によって検出された過去の露光量の変化に基づいて、将来の露光量の変化を推測する露光量変化量推測手段と、
低速と高速との間でシャッタースピードを調整するシャッタースピード調整手段と
を備え、
前記上絞り羽根は、
前記開口部の上半分に対応する大きさで上向きに開口する半円状の上メイン開口と、
前記上メイン開口の頂部に形成され、前記上メイン開口よりも小さい大きさで上向きに開口する半円状の上サブ開口と
を有し、
前記下絞り羽根は、
前記開口部の下半分に対応する大きさで下向きに開口する半円状の下メイン開口と、
前記下メイン開口の底部に形成され、前記上サブ開口と同じ大きさで下向きに開口する半円状の下サブ開口と
を有し、
前記絞り羽根駆動手段は、前記上メイン開口及び前記下メイン開口により、前記光軸を中心として円状のメイン絞り開口を形成する状態と、前記上サブ開口及び前記下サブ開口により、前記光軸を中心として前記メイン絞り開口よりも小さい円状のサブ絞り開口を形成する状態とを切替え可能に構成されており、
前記減光フィルタ駆動手段は、前記サブ絞り開口を露出させる状態と、前記サブ絞り開口を前記減光フィルタで覆う状態とを切替え可能に構成されており、
前記露光量検出手段によって検出された露光量が第1基準値以下であるときは、前記絞り羽根駆動手段は、前記メイン絞り開口を形成し、
前記メイン絞り開口を形成した場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第1基準値を超え、かつ第2基準値以下であるときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させ、
前記メイン絞り開口を形成し、かつシャッタースピードが高速である場合において、前記露光量変化量推測手段により、露光量が将来において前記第2基準値を超えると推測されたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを高速から低速に戻すとともに、前記絞り羽根駆動手段は、前記サブ絞り開口を形成し、
シャッタースピードが低速であり、かつ前記サブ絞り開口を形成した場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第2基準値を超え、かつ第3基準値以下であるときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させ、
前記サブ絞り開口を形成し、かつシャッタースピードが高速である場合において、前記露光量変化量推測手段により、露光量が将来において前記第3基準値を超えると推測されたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを高速から低速に戻すとともに、前記減光フィルタ駆動手段は、前記サブ絞り開口を前記減光フィルタで覆い、
シャッタースピードが低速であり、かつ前記サブ絞り開口が前記減光フィルタで覆われている場合において、前記露光量検出手段によって検出された露光量が前記第3基準値を超えたときは、前記シャッタースピード調整手段は、シャッタースピードを低速から高速に変化させるように制御する
撮像装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−204206(P2010−204206A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47134(P2009−47134)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】