説明

光量調整装置及びこれを備えた光学機器

【課題】作動不良を起こすことが無く、絞り羽根の円滑な開閉動作が可能な光量調整装置の提供。
【解決手段】この光量調整装置は、露出開口を有する基板と、露出開口の通過光量を調節する調整する羽根部材と、その羽根部材を駆動する駆動手段を備え、駆動手段は、電磁コイルと、マグネットロータと、回転軸と位置決め用の基準面を形成したコイル枠と、コイル枠の基準面に支持される遮蔽ヨークを備え、基板は、羽根部材を移動支持する支持面と、その支持面に駆動部材を収納する凹部と、その凹部に遮蔽ヨークの一端を支持する支持部と、その支持部に遮蔽ヨークの一端が支持されその遮蔽ヨークの他端がコイル枠の基準面に位置決め可能に駆動部材を凹部に収納支持する保持手段とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビデオカメラ、スチールカメラなどの撮像装置、或いはプロジェクタその他の投影装置等の光学機器に内蔵され、撮影光量、投映光量などの光量を調整する光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の光量調整装置は、撮影光路或いは投影光路に露出開口を有する基板を配置し、この基板の露出開口を通過する光量を光量調節羽根で調整する絞り装置やシャッタ装置として知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(実開平6−87941号公報)には、基板に形成した露出開口の周囲に互いに相反方向にスライド移動する2枚の羽根部材を配置し、光路口径を開放状態から閉鎖状態まで開閉する絞り装置が開示されている。
【0004】
この特許文献1には、中央に露出開口を有する基板の片側に駆動モータを配設し、その駆動モータで前記羽根部材に相当する絞り羽根を作動して光量調整をする絞り装置が開示されている。
【0005】
以下、本願の光量調整装置の説明に当たりこの特許文献1に開示される絞り装置を一例として、本願が課題とする前記駆動モータの基板への取り付け構造及び技術課題について説明する。
【0006】
[一般的な駆動モータの取り付け状態図]
まず、図11及び図12は従来一般的な絞り装置における地板に対する駆動モータの支持状態を示した斜視図及びその要部分解斜視図を示すもので、その特許文献1に開示される絞り装置における一般的な駆動モータの取り付け構造について説明する。具体的に図13(※特許文献1の2図に相当)で示す様に、露出開口を形成した基板100には係止爪110(※フック100a〜100dに相当)が形成され、この基板100に取り付けられる駆動モータ200(※モーター部に相当)を構成するコイル枠210(※駆動コイル枠3に相当)に係止爪110を引っ掛ける引っ掛け部120(※凹部3cに相当)を形成され、この係止爪110と引っ掛け部120により駆動モータ200を基板100に取り付ける爪係止機構を構成している。そして、駆動モータ200の引っ掛け部120を基板100の係止爪110に押し込むことで、引っ掛け部120が係止爪110に係止され、駆動モータ200が基板100に取り付けられている。
【0007】
尚、上述の特許文献1で開示する駆動モータの取り付け構造の様に一般的な爪係止機構にあっては、その爪係止機構を構成する係止爪と引っ掛け部のいずれか一方が他方の押し込みによって弾性変形する様に、少なくとも弾性変形する部材は樹脂により成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開平6−87941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、弾性変形することを前提に作られた一方の部材(係止爪110)に他方の部材(引っ掛け部120)を強引に押し込む際に、個々の部品精度のバラツキによって一方の部材に過大な負荷が加わることが有り、弾性変形に留まらずその過大な負荷の影響を受け塑性変形してしまって、爪係止機構の係止部に隙間が出来、駆動モータの地板に対するガタ付きとなる。
【0010】
そして、そのガタ付きの影響を受け、爪係止機構を構成する上記コイル枠の取り付け位置がそのガタ付きで変位し、結果、そのコイル枠に回転可能に支持されたマグネットロータと、そのマグネットロータと磁気回路を形成する遮蔽ヨークとの位置関係が崩れ、マグネットロータに対する遮蔽ヨークの取り付け位置による状態変化によって以下の問題が生じる。
【0011】
その問題とは、図14(a)で示す様に、遮蔽ヨーク100を下コイル枠60の位置決め基準面Qを形成する支持部67に遮蔽ヨーク100の一端面を押し付けた状態で、マグネットロータ70の幅方向(長て方向)の中心位置M−Mに対し、遮蔽ヨーク100の幅方向の中心位置Y−Yが駆動アーム90側に寄る様予め設定されている。このマグネットロータ70と遮蔽ヨーク100との位置関係によって、常時マグネットロータ70はその中心位置M−Mが遮蔽ヨーク100の中心位置Y−Yに一致するS1方向に磁気的に付勢され、結果、駆動アーム90の一端側軸端部92aが上コイル枠50の形成した軸受部51aのすり鉢形軸面に当接するS2方向に磁気的に付勢され、駆動アーム90の一端側軸端部92aが上コイル枠50の軸受部51aに当接した状態が保たれ、駆動アーム90の円滑な作動が得られるのに対し、図14(b)で示す様に、遮蔽ヨーク100を下コイル枠60の位置決め基準面Qを形成する支持部67に遮蔽ヨーク100の一端面を押し付け無いS3方向にずらせ、マグネットロータ70の幅方向(長て方向)の中心位置M−Mに対し、遮蔽ヨーク100の幅方向の中心位置Y−Yが一致するマグネットロータ70と遮蔽ヨーク100との位置関係にした場合、マグネットロータ70と遮蔽ヨーク100とが互いに磁気的に釣り合うことで、結果、駆動アーム90の一端側軸端部92aが上コイル枠50の形成した軸受部51aのすり鉢形軸面から離れるS4方向に常時磁気的に付勢され、駆動アーム90の一端側軸端部92aが上コイル枠50の軸受部51aから離れ浮き上がることで、駆動アーム90の一端側軸端部92aの上コイル枠50の軸受部51aによる軸支が不完全となることで駆動アーム90の円滑な作動が得られ難くなる。
【0012】
本発明は、上述の課題に鑑みて成したものので、上述の様な作動不良といった問題を起こすことが無く、羽根部材の円滑な作動による適正な露出制御を行い得る光量調整装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するため請求項1に記載する本発明の光量調整装置では、露出開口を有する基板と、前記露出開口の通過光量を調節する調整する羽根部材と、その羽根部材を駆動する駆動手段を備え、前記駆動手段は、電磁コイルと、その電磁コイルへの通電で回転するマグネットロータと、そのマグネットロータの回転中心となる回転軸と、その回転軸の両端を回転可能に支持する軸受を有し前記電磁コイルを巻回するコイル枠と、そのコイル枠には位置決め用の基準面が形成され、その基準面を基準に支持され前記マグネットロータを磁気シールドする遮蔽ヨークと、を備え、前記基板は、前記羽根部材を移動自在に支持する支持面と、その支持面にはその羽根部材を支持する面側より前記駆動部材を収納する凹部と、その凹部には前記遮蔽ヨークの一端を支持する支持部と、その支持部に前記遮蔽ヨークの一端が支持され、その遮蔽ヨークの他端が前記コイル枠の基準面に位置決め可能に前記駆動部材を前記凹部に収納支持する保持手段と、とから構成されている。
【0014】
また、請求項2に記載する本発明の光量調整装置では、上記請求項1に記載の前記駆動手段が、電磁コイルと、その電磁コイルへの通電で回転する円柱状のマグネットロータと、このマグネットロータの回転中心となる回転軸と、前記回転軸の一方の軸端部を支持する軸受部と、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝とを形成する第1のコイル枠と、前記回転軸の他方の軸端部を支持する軸受部と、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝とを形成する第2のコイル枠と、この回転軸と共に回転し前記羽根部材を駆動する駆動アームと、前記マグネットロータの外周面と対峙する内周面を形成する円環状の遮蔽ヨークと、を備え、前記第1のコイル枠には前記遮蔽ヨークの他端を位置決める前記基準面と、前記基板の前記保持手段によりその基板に支持される支持部とが形成され、前記第2のコイル枠には前記遮蔽ヨークの内周面を嵌合する側面を形成している。
【0015】
更に、請求項3に記載する本発明の光学機器では、撮影レンズと、その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光するし画像処理手段と、を備えた光学機器であって、前記光量調整装置は前記請求項1及び2光量調整装置を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上述の請求項1に記載の光量調整装置によると、駆動部材を支持する基板には、羽根部材を移動自在に支持する支持面と、その支持面には羽根部材を支持する面側より駆動部材を収納する凹部と、その凹部には遮蔽ヨークの一端を支持する支持部と、その支持部に遮蔽ヨークの一端が支持され、その遮蔽ヨークの他端がコイル枠の基準面に位置決め可能に駆動部材を凹部に収納支持する保持手段が設けられ、コイル枠には遮蔽ヨークを位置決めする基準面を形成し、そのコイル枠を地板に固定することによって、遮蔽ヨークは一端が地板の支持部に、他端がコイル枠の位置決め基準面にサンドイッチ状態に押え込まれガタ無く保持されることとなる。結果、マグネットロータに対する遮蔽ヨークの取り付け位置は予め設定した理想の状態に確保することが出来き、光量調整装置を円滑に作動することが出来る効果を有する。
【0017】
また、請求項2に記載する本発明の光量調整装置では、上記請求項1におけるコイル枠が、第1のコイル枠と第2のコイル枠とで構成され、その第1のコイル枠には遮蔽ヨークの他端を位置決める基準面と、基板の保持手段によりその基板に支持される支持部とが形成され、一方の第2のコイル枠には遮蔽ヨークの内周面を嵌合する側面を形成したもので、コイル枠を第1、第2のコイル枠の上下二体にした場合であっても、合体した第1、第2のコイル枠の外周を電磁コイルで巻回することによって、遮蔽ヨークを支持する第2のコイル枠が第1のコイル枠を介し地板に対し確実に支持されることと成り、結果、マグネットロータに対する遮蔽ヨークの取り付け位置は予め設定した理想の状態に確保することが出来き、光量調整装置を円滑に作動することが出来る効果を有する。
【0018】
更に、請求項3に記載する本発明の光学機器では、上記の請求項1及び2に記載する光量調整装置を備えることによって、その光量調整装置が光量変化に応じ円滑に作動し、結果、適性な露光制御を行い得る光学機器を提供することが出来る効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる光量調整装置を搭載する光学機器の要部構成図。
【図2】本発明に係わる光量調整装置(絞り装置)の正面平面図。
【図3】図2の装置における横断面図。
【図4】図2の装置における第2基板(押さえ板)を取り外した状態の斜視図。
【図5】図4の斜視図から絞り羽根を取り外した状態の斜視図。
【図6】図5の斜視図から絞り駆動モータを上方に取り外した状態の部分分解斜視図。
【図7】図2の装置における背面側から見た斜視図。
【図8】図7の斜視図からすべての部材を取り外した地板の形状を説明するための斜視図。
【図9】図6に示す絞り駆動モータの要部分解斜視図。
【図10】本発明のマグネットロータと遮蔽ヨークの位置設定機構の部分断面図。
【図11】従来の光量調整装置を説明する斜視図。
【図12】図11の装置の要部を分解した分解斜視図。
【図13】従来の光量調整装置における絞り駆動モータの支持構造を説明する支持構造図。
【図14】マグネットロータと遮蔽ヨークとの位置関係に関し説明するための説明図で、(a)は設計値に従ったマグネットロータと遮蔽ヨークの位置関係を示す部分断面図、(b)は問題提起するマグネットロータと遮蔽ヨークの位置関係を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図示の好適な実施の形態に基づいて本発明を説明する。
【0021】
[光学機器の構成]
まず、図1に基づき光学機器について説明する。図1は、本発明に係る光量調整装置を搭載したデジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器の要部構成図で、図中、Aは光学機器、Bは第1レンズ群、Cは光量調整装置、Dはシャッタ装置、DCはシャッタ駆動回路、DMはシャッタ駆動モータ、Eは絞り装置、ECは絞り駆動回路、EMは絞り駆動モータ、Fは第2レンズ群、G 撮像装置、GCは露出制御回路、HCは画像処理回路、ICは中央演算処理装置(CPU)である。そこで、まず各構成部材に関し簡単に説明する。
【0022】
<光学機器>
光学機器Aは、この実施例ではビデオカメラの要部構成図を示したもので、その一連動作については後述説明する。
【0023】
<第1レンズ群>
第1レンズ群Bは、一般に多用される「2群ズーム」を構成するズームレンズの前群レンズある。
【0024】
<光量調整装置>
光量調整装置Cは、この場合、「2群ズーム」のズームレンズを構成する第1レンズ群Bと第2レンズ群Fとの間に配設され、第1レンズ群Bを通し入射される図示せぬ被写体からの反射光量を適正な露出光量に制御するもので、シャッタ装置Dと絞り装置Eとから構成されている。尚、シャッタ装置Dが絞り装置Eの機能を兼用した絞り兼用シャッタ装置が用いられることもある。
【0025】
<シャッタ装置>
シャッタ装置Dは、例えば露出開口(円の直径6mm)を開放状態から閉鎖状態にするシャッタスピードが0.001秒(1msec)と高速開閉する装置である。
【0026】
<シャッタ駆動回路>
シャッタ駆動回路DCは、シャッタ装置Dを高速開閉させるためにシャッタ駆動モータDMを駆動制御する駆動回路である。
【0027】
<シャッタ駆動モータ>
シャッタ駆動モータDMは、シャッタ駆動回路DCから供給される電流の向き又は通電状態によって適宜回転方向又は回転条件を変えることでシャッタ装置Dを高速開閉する駆動モータである。
【0028】
<絞り装置>
絞り装置Eは、シャッタ装置Dのシャッタスピードと共に露出時間を決めるために、撮像装置Gが露出を開始する直前までに例えば露出開口(円の直径6mm)を適正な開放量に絞り込むもので、シャッタ装置Dと比較すると低速開閉する装置である。
【0029】
<絞り駆動回路>
絞り駆動回路ECは、絞り装置Eを低速開閉させるために絞り駆動モータEMを駆動制御する駆動回路である。
【0030】
<絞り駆動モータ>
絞り駆動モータEMは、絞り駆動回路ECから供給される電流の向き又は通電状態によって適宜回転方向又は回転条件を変えることで絞り装置Eを低速開閉する駆動モータである。
【0031】
<第2レンズ群>
第2レンズ群Fは、先の第1レンズ群Bと共に「2群ズーム」を構成するズームレンズの後群レンズあり、一般に第1レンズ群Bと共にズーム倍率12倍の光学系を形成する。
【0032】
<撮像装置>
撮像装置Gは、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)から成るCMOS(相補性金属酸化膜半導体)を用いた固体撮像素子で、例えばCMOS1/4型を用い、総画素数420万画素(動画有効画素数265万画素、静止画有効画素数354万画素)のハイビジョン対応となっている。
【0033】
<露出制御回路>
露出制御回路GCは、撮像装置Gの画像読取制御をシャッタ駆動回路DCと絞り駆動回路ECと共に制御するもので、撮像装置Gが読取った画像データを画像処理回路HCに転送する。
【0034】
<画像処理回路>
画像処理回路HCは、露出制御回路GCによって制御された撮像装置Gから転送される画像データを再生可能に処理し、またその再生可能に処理した画像データを図示せぬプリンター等の画像再生装置へ転送する。
【0035】
<中央演算処理装置>
中央演算処理装置(CPU)ICは、シャッタ駆動回路DC、絞り駆動回路EC、露出制御回路GC、及び画像処理回路HCの全ての回路を一元管理して各回路を適宜制御するもので、また画像処理回路HCで処理された画像データを記憶する記憶手段を備えている。
【0036】
[光学機器の動作]
次に、その光学機器の一連動作について簡単に説明する。まず、装置電源をオン状態にすることで光量調整装置Cが初期状態となる。この光量調整装置Cが初期状態に成ることで、第1レンズ群Bから入射し光量調整装置Cを通過した光を撮像装置Gが捉える。そして、撮像装置Gからの画像データを画像処理回路HCが処理し、撮像装置Gが捉えている光の光量を検出して中央演算処理装置(CPU)ICにその光量データを転送する。同時に中央演算処理装置(CPU)ICはその転送データを処理し、撮像装置Gが捉える光の光量を適正な光量に成るように演算処理し適正露光に従って露出制御回路GC、絞り駆動回路EC、シャッタ駆動回路DCをそれぞれ制御して、絞り駆動モータEMとシャッタ駆動モータDMを駆動して絞り装置E、シャッタ装置Dをそれぞれ適宜開閉制御する。同時に露出制御回路GCによって画像信号の取り込みを開始した撮像装置Gは適正露光後に画像処理回路HCに画像データを転送する。そして画像処理回路HCは図示せぬプリンターやモニター等の画像再生装置へ転送する。
【0037】
[光量調整装置]
次に、図2乃至図10に基づき本発明に係わる光量調整装置として搭載される絞り装置を使って説明する。図2はその絞り装置の正面平面図、図3はその横断面図、図4は第2基板となる押さえ板を取り外した状態の斜視図、図5は更にその斜視図から絞り羽根を取り外した状態の斜視図、図6は図5の斜視図から絞り駆動モータを上方に取り外した状態の部分分解斜視図、図7は図2の装置における背面側から見た斜視図、図8はその斜視図からすべての部材を取り外した地板のみの形状を説明するための斜視図、図9は図6に示す絞り駆動モータの要部分解斜視図、図10は本発明のマグネットロータと遮蔽ヨークの位置設定機構の部分断面図である。尚、この絞り装置をシャッタ装置として、また絞り兼用シャッタ装置として置き換え、先に説明した様にその駆動制御を代え高速化することで実施可能であることから、シャッタ装置についての具体的な構造に関する説明は省略する。また、図中番号付記で形状がほぼ同一形状のものは同一部材を示し、かつ同一機能を有するものとする。
【0038】
[絞り装置の構成]
まず、絞り装置Eの全体構成について説明する。図中、この絞り装置Eは、地板10、一対の絞り羽根20、30、押さえ板40から成る絞りユニットEUと、上下二体のコイル枠50、60、NS二極のマグネットロータ70、電磁コイル80、駆動アーム90、遮蔽ヨーク100、磁性ピン110、ホール素子120から成る絞り駆動モータEMとで構成されている。
【0039】
<絞りユニット>
まず絞りユニットEUについて説明する。この絞りユニットEUは、図2乃至図8で示す様に地板10、一対の絞り羽根20、30、押さえ板40から構成され、二枚一組の絞り羽根20、30を絞り駆動モータEMで相反方向に揺動させることで、その絞り羽根20、30により地板10の露出開口内に適宜大小の絞り口径を形成し、その露出開口を通過する光量を調整する機能を有している。以下、絞りユニットEUを構成する各部品について個々に説明する。
【0040】
<地板>
地板10は、図6で示す様に、ガラス入りのポリカーボネート樹脂(PC)を金型成型し、絞り羽根20、30を揺動可能に支持する平面11には露出開口12と、絞り羽根20、30をそれぞれ揺動可能に支持する支軸13(13a〜13d)と、平面11側から絞り駆動モータEMを装着可能に駆動アーム90の揺動アーム91(91a、91b)を収納する凹溝14と、その凹溝14の底に形成された絞り駆動モータEMを収納する凹部15と、その凹溝14の側面に装着される絞り駆動モータEMの取り付け位置を決める位置決め突起16(16a、16b)と、絞り羽根20、30が支軸13(13a〜13d)から外れない様に絞り羽根20、30を上から支える押さえ板40を位置決めし取り付ける位置決め突起17(17a乃至17c)と、外形より突出した装置取り付け用の突出部18(18a、18b)を形成している。また、図7及び図8で示す様にその地板10を裏側から見ると、まず、露出開口12は断面台形状に切り取られた傾斜面12bとこの傾斜面12bにより削り取られ反射を防止するために薄幅の側面12aから成る。また、凹溝14の底から裏側に突出した凹部15は基端部側に遮蔽ヨーク100を内側に収納するヨーク収納部15aと収納した遮蔽ヨーク100を下側から支える支持部15bと装着した絞り駆動モータEM全体を支える底部15cとを形成している。尚、地板10の外形は、突出部18(18a、18b)で上部が突出したT字形状を成し、レンズ鏡筒を形成する第1レンズ群Bと第2レンズ群Fとの間にレンズ鏡筒外から装着可能で、装着した状態で突出部18(18a、18b)がレンズ鏡筒に固定される様になっている。
【0041】
<第1の絞り羽根>
第1の絞り羽根20は、図4で示す様な形状を成し、静電気対策を兼ねカーボン繊維を練り込んだ板厚50〜70ミクロンの黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)のシート材をプレス加工により型抜きされたもので、第2の絞り羽根30と共に地板10の露出開口12を絞り込む絞り開口を形成する絞り部21と、地板10の平面11上を支軸13(13a〜13c)に揺動可能に支持されるスリット溝22(22a〜22c)と、絞り駆動モータEMの駆動アーム90の揺動アーム91aに形成された駆動ピン93aが駆動連結するスリット溝23と、を形成している。
【0042】
<第2の絞り羽根>
第2の絞り羽根30は、地板10と第1の絞り羽根20との間に介在され、図4で一部点線で示される様な形状を成し、第1の絞り羽根20と同様に静電気対策を兼ねカーボン繊維を練り込んだ板厚50〜70ミクロンの黒色のポリエチレンテレフタレート(PET)のシート材をプレス加工により型抜きされたもので、第1の絞り羽根20と共に地板10の露出開口12を絞り込む絞り開口を形成する絞り部31と、地板10の平面11上を支軸13(13a、13c、13d)に揺動可能に支持されるスリット溝32(32a〜32c)と、絞り駆動モータEMの駆動アーム90の揺動アーム91bに形成された駆動ピン93bが駆動連結するスリット溝33と、を形成している。尚、この実施例にあっては、第1の絞り羽根20と第2の絞り羽根30で形成する絞り開口の全開放径は地板10の露出開口12及び押さえ板40に形成する露出開口42の何れの口径よりも小さく設定され、絞り装置の基準開放径を決めている。
【0043】
<押さえ板>
押さえ板40は、図2で示す様に、板厚0.2ミリのステンレス材(SUS)から成る金属シート材をプレス加工により型抜きと同時に折り曲げ加工で作られ、絞り羽根20、30を支える平面41と、その平面41には地板10の露出開口12と対峙する露出開口42と、地板10の支軸13(13a〜13d)の先端部がそれぞれ突出可能な逃げ孔43(43a〜43d)と、絞り駆動モータEMの駆動アーム90に形成された駆動ピン93(93a、93b)がそれぞれ突出可能なスリット孔44(44a、44b)と、地板10の位置決め突起17(17a乃至17c)と係合する位置決め部45(45a〜45c)と、を形成している。
【0044】
<絞り駆動モータ>
次に、絞り駆動モータEMについて説明する。この絞り駆動モータEMは図3と図6及び図9で示す様に上下二体のコイル枠50、60、NS二極のマグネットロータ70、電磁コイル80、駆動アーム90、遮蔽ヨーク100、磁性ピン110、ホール素子120から構成され、NS二極のマグネットロータ70に駆動アーム90を支持させたマグネットロータを電磁コイル80への通電方向を切換えることによって約60度範囲で往復動可能で、この往復動で駆動アーム90の駆動ピン93(93a、93b)と駆動連結された絞り羽根20、30を相反方向に揺動させ、絞り羽根20、30で露出開口を絞り込むことで光量調整をさせる駆動源としての機能を有している。以下、絞り駆動モータEMを構成する各部品について個々に説明する。
【0045】
<上コイル枠>
上コイル枠50は、オキシメチレン構造を単位構造とするポリマーから成るポリアセタール樹脂(POM)を使って樹脂成型されたもので、駆動アーム90の回転軸92の一端92aを回転可能に軸支する軸受を形成する軸受部51と、この軸受部51の外周に電磁コイル80を巻回するための巻回溝52と、この巻回溝52の側面を形成すると共に下コイル枠60に形成した合わせ込み用の突起64(64a、64b)が嵌合し位置決めする図示せぬ位置決め孔を形成する鍔部53(53a、53b)と、この鍔部53(53a、53b)に形成した地板10の位置決め突起16(16a、16b)と嵌合し位置決めされる凹環状の嵌合溝54(54a、54b)とが形成されている。尚、この嵌合溝54(54a、54b)を地板10の位置決め突起16(16a、16b)に嵌合させた状態で、位置決め突起16(16a、16b)をそれぞれ熱カシメすることで絞り駆動モータEMを地板10に固定している。
【0046】
<下コイル枠>
下コイル枠60は、液晶ポリマー樹脂(LCP)を使って樹脂成型されたもので、駆動アーム90の回転軸92の他端92bを回転可能に軸支する軸受を形成しマグネットロータ70を収納する中空環状の軸受収納部61と、この軸受収納部61の外周に電磁コイル80を巻回するための巻回溝62と、この巻回溝62の側面を形成すると共に上コイル枠50の図示せぬ位置決め孔に嵌合する合わせ込み用の突起64(64a、64b)を形成する鍔部63(63a、63b)とが形成されている。また、この一方側の鍔部63aの底面には間隔を隔て植設された二本の端子65(65a、65b)が、他方側の鍔部63bの壁面にはホール素子120を配設する平面66が形成されている。尚、この鍔部63(63a、63b)と上コイル枠50の鍔部53(53a、53b)とを重ね合わせた状態で、駆動アーム90のアームが突出し揺動可能な開口を形成している。
【0047】
<マグネットロータ>
NS二極のマグネットロータ70は、ネオジ磁石を鋳造成型した異方性のマグネットで、駆動アーム90の回転軸92が貫通する中空孔71を形成した直径5ミリの円筒形状を成し、中空孔71の中心軸を中心に径方向にNS二極に着磁され、この異方性のマグネットの磁化容易軸と駆動アーム90の駆動ピン93(93a、93b)が所定の位置関係になる様に位置決めした状態でマグネットロータ70に駆動アーム90をインサート成形により一体化されている。
【0048】
<電磁コイル>
電磁コイル80は、線径が0.05ミリから0.06ミリ程度のエナメル線が用いられ、このエナメル線を上コイル枠50と下コイル枠60を互いに重ねた状態で各コイル枠50、60によりその外側に形成された巻回溝52、62に600回程度巻回したものである。
【0049】
<駆動アーム>
駆動アーム90は、ポリカーボネート樹脂(PC)を使って樹脂成型されたもので、回転中心に回転軸92が、その回転軸92の一端側軸端部92a近傍から左右に延在された揺動アーム91(91a、91b)と、この揺動アーム91のアーム91aに駆動ピン93aが、アーム91bに駆動ピン93bが一体成形されている。また、回転軸92の他端側軸端部92bはマグネットロータ70を貫通して他面より突出する長さに延在され、下コイル枠60の軸受に回転可能に支えられる。一方、回転軸92の一端側軸端部92aは上コイル枠50の軸受に回転可能に支えられる。
【0050】
<遮蔽ヨーク>
遮蔽ヨーク100は、純鉄(SUY)をパイプ状に射出成型した中空環を2.5ミリ幅にカットしたもので、その内径は下コイル枠60の鍔部63(63a、63b)に形成したヨーク嵌合外周面に嵌合可能な寸法にて形成されている。尚、この遮蔽ヨーク100の中心とコイル枠50、60内に回動可能に収納されるマグネットロータ70のNS二極の中心が一致する様に予め設定されている。
【0051】
<磁性ピン>
磁性ピン110は、0.2ミリ程度の鉄ワイヤーを3ミリ程度でカットしたもので、上コイル枠50を重ね合わせる前に下コイル枠60の鍔部63(63a、63b)に図示の位置に打込まれ、電磁コイル80への通電が無通電状態で、マグネットロータ70を所定の位置に磁気的に保持する所謂コッキングトルクをえるために配設されている。
【0052】
<ホール素子>
ホール素子120は、マグネットロータ70の回転位置を検出する為に設けられた位置検出センサである。この出力データを絞り駆動回路にフィードバックさせることで、駆動アーム90を所定の揺動位置に維持させ、第1の絞り羽根20と第2の絞り羽根30により形成する絞り開口を所定の絞り開口に絞り込む。
【0053】
[絞り装置の組立工程]
次に、絞り装置の組立工程について説明する。
【0054】
<絞り駆動モータの組立工程>
まず、図9に基づき絞り駆動モータEMの組立工程[第1ステップから第5ステップ]について説明する。
第1ステップ:下コイル枠60に磁性ピン110と端子65(65a、65b)をそれぞれ図示の二箇所に打込む。
第2ステップ:下コイル枠60の軸受収納部61に駆動アーム90と一体のマグネットロータ70を挿入し、下コイル枠60の軸受収納部61の図示せぬ軸受に対し駆動アーム90の軸端部92bを軸支させる。
第3ステップ:その状態で、上コイル枠50の鍔部53(53a、53b)に設けた図示せぬ位置決め孔を下コイル枠60の鍔部63(63a、63b)の位置決め突起64(64a、64b)をそれぞれ嵌め込み、上コイル枠50の鍔部53(53a、53b)と下コイル枠60の鍔部63(63a、63b)との間に空いた開口から駆動アーム90の揺動アーム91(91a、91b)を外方に突出した状態で、下コイル枠60に対し上コイル枠50を重ね合わせる。
第4ステップ:下コイル枠60に対し上コイル枠50を重ね合わせ状態のコイル枠組をコイル巻線機の巻線位置にセットする。
第5ステップ:下コイル枠60の端子65(65a、65b)の一方に電磁コイル80の一端を口出し処理した後に、コイル枠組を回転させ、コイル枠組の巻回溝52、62に電磁コイル80を巻回する。巻回後に下コイル枠60の端子65(65a、65b)の他方に電磁コイル80の他端を口出し処理する。
【0055】
<絞り駆動モータの組み付け工程>
次に、図5及び図6に基づき絞り駆動モータの組み付け工程[第6ステップから第8ステップ]について説明する。
第6ステップ:図6で示す様に、電磁コイル80が巻回されたコイル枠組をコイル巻線機から取り外し、図6で示す様に下コイル枠60に遮蔽ヨーク100を嵌め込む。尚、図示の状態では巻回された電磁コイル80は省略している。
第7ステップ:遮蔽ヨーク100を嵌め込んだコイル枠組を、上コイル枠50の嵌合溝54(54a、54b)が地板10の位置決め突起16(16a、16b)に嵌合する様に、地板10の凹部15に挿入し図5の状態とする。その際、図7で示す様に地板10の裏側に突出した凹部15の底面15cから下コイル枠60の端子65(65a、65b)が突出した状態でセットされる。
第8ステップ:図5の状態において、地板10の凹部15に挿入したコイル枠組が浮き上がらない様に保持した状態で、地板10の位置決め突起16(16a、16b)を熱カシメして、絞り駆動モータEMを地板10に取付ける。
【0056】
<絞りユニットの組立工程>
次に、図2乃至図4及び図7に基づき絞りユニットの組み付け工程[第9ステップから第12ステップ]について説明する。
第9ステップ:図4で示す様に、前工程で絞り駆動モータEMが地板10に取付けられた図5の状態において、まず第2の絞り羽根30のスリット溝33を駆動アーム90の駆動ピン93bに、スリット溝32(32a〜32c)を地板10の支軸13(13a、13c、13d)にそれぞれ嵌め込み、支軸13(13a、13c、13d)に対し第2の絞り羽根30が揺動自在に取付ける。
第10ステップ:その第2の絞り羽根30の上に第1の絞り羽根20のスリット溝23を駆動アーム90の駆動ピン93aに、スリット溝22(22a〜22c)を地板10の支軸13(13a〜13c)にそれぞれ嵌め込み、支軸13(13a〜13c)に対し第1の絞り羽根20が揺動自在に取付ける。
第11ステップ:第1の絞り羽根20と第2の絞り羽根30とを地板10に取付けた状態を保持しながら図2で示す様に、その上から押さえ板40の逃げ孔43(43a〜43d)に対し地板10の支軸13(13a〜13d)の先端部がそれぞれ突出する位置で、位置決め部45(45a〜45c)がそれぞれ地板10の位置決め突起17(17a乃至17c)と係合する様に押さえ板40を被せ、押さえ板40を地板10に取付ける。
第12ステップ:引き続き、図7の状態において電磁コイル80への電源供給をする図示せぬ電源供給用回路基板を地板10の裏側に突出した凹部15の底面15cに取り付け、電源供給用回路基板の各電源供給端子を電磁コイル80の口出し処理した端子65(65a、65b)にそれぞれ電気的に接続する。また、電源供給用回路基板に電気的に接続され取付けられたホール素子120を遮蔽ヨーク100と下コイル枠60の鍔部63bに形成した平面66との間でマグネットロータ70のNS二極に対峙する位置に配設し、絞り装置Eの組み立てが完成する。
【0057】
[絞り装置の作動説明]
次に、絞り装置の作動について図4を使って説明する。図4において、絞り駆動モータEMの駆動アーム90の揺動アーム91(91a、91b)が時計方向に揺動すると、揺動アーム91aの先端部に形成された駆動ピン93aが第1の絞り羽根20のスリット溝23を紙面下方に動かすことで、第1の絞り羽根20が地板10の支軸13(13a〜13c)に沿って駆動アーム90の揺動量に応じ移動する。一方、揺動アーム91bの先端部に形成された駆動ピン93bが第2の絞り羽根30のスリット溝33を紙面上方に動かすことで、第2の絞り羽根30が地板10の支軸13(13a、13c、13d)に沿って第1の絞り羽根20の移動方向と相反する方向に駆動アーム90の揺動量に応じ移動する。従って、中央演算処理装置(CPU)ICで設定される適正露光量に応じ、その中央演算処理装置(CPU)ICにより露出制御回路GCが適正な絞り値になるように絞り駆動モータEMの電磁コイル80に給電制御することで、絞り駆動モータEMの駆動アーム90が適宜往復動することで第1の絞り羽根20と第2の絞り羽根30によって形成される絞り口径を変化させるように作動する。
【0058】
[実施例の補足説明]
次に、絞り装置を円滑に作動させるために採られた事項について説明する。
【0059】
<マグネットロータと遮蔽ヨークの位置設定機構>
まず、マグネットロータと遮蔽ヨークの位置設定機構について説明する。図10で示す様に、上コイル枠50を図示するS5方向に付勢し、地板10に形成した凹部15のヨーク収納部15aに収納された遮蔽ヨーク100を凹部15の支持部15bに押し当てながら、地板10に形成した位置決め突起16(16a、16b)を熱カシメし、上コイル枠50を地板10に固定することによって、遮蔽ヨーク100は下コイル枠60の位置決め基準面Qと地板10に形成した凹部15のヨーク収納部15aとでサンドイッチ状態にガタ無く保持されることとなる。結果、マグネットロータに対する遮蔽ヨークの取付位置は図14(a)で示す状態に確保することが出来き、絞り装置を円滑に作動することが出来る。
【0060】
尚、上記の場合、上コイル枠50の位置決め固定に地板10に形成した位置決め突起16(16a、16b)を熱カシメで行っているが、スペースが取れればネジ止めやバネ付勢等の付勢手段を用いることでも良い。
【0061】
また、上記の実施例では一対の絞り羽根を第1の絞り羽根20と第2の絞り羽根30の二枚構成について開示しているが、一対の絞り羽根として第1乃至第4の絞り羽根の四枚構成にして、例えば上述の絞り駆動モータEMを使って、その駆動アーム90の一方の駆動ピン93aに第1、第2の絞り羽根を駆動連結させ、その駆動アーム90の他方の駆動ピン93bに第3、第4の絞り羽根を駆動連結させ、同時に第1乃至第4の絞り羽根を駆動アーム90で作動する様に構成しても良い。その際、第1、第2の絞り羽根は共に同一方向に移動速度差を持って移動するように駆動アーム90の一方の駆動ピン93aは異なるアーム長位置に配設された駆動ピン93a−1、駆動ピン93a−2にそれぞれ駆動連結する様にする。同様に、第3、第4の絞り羽根は共に第1、第2の絞り羽根の移動方向とは相反する方向に移動速度差を持って移動するように駆動アーム90の他方の駆動ピン93bは異なるアーム長位置に配設された駆動ピン93b−1、駆動ピン93b−2にそれぞれ駆動連結する様に構成する。この場合、上記の実施例では一対の絞り羽根で形成される絞り形状は四角形となるのに対し、四枚一対の絞り羽根によると四角形以上の多角形の絞り形状を形成することが出来る。
【0062】
「他の実施例」
以上の説明では、本願の実施例として絞り装置について説明しているが、当然、絞り羽根をシャッタ羽根その他羽根部材に置き換えシャッタ装置その他光量調整装置に、同時に絞り駆動モータを、シャッタ駆動モータその他パルスモータを含む回転駆動モータや電磁ソレノイドを含む往復駆動アクチュエータ等の駆動手段に置き換え、その駆動手段の個々の形状に合わせ基板との取り付け構造及び羽根部材との駆動連結構造を決めることで実施可能である。
【0063】
また、上記羽根部材の枚数は二枚一対又は四枚一対の実施例について説明しているが、単に絞り開口を一つ、逆に六枚や九枚といった多数枚であっても良い。
【0064】
更に、上記羽根部材は地板の露出開口の開放量を変化させ光量調整する構造のものを一実施例として開示しているが、例えば多段NDフィルタやグラディーションNDフィルタを羽根形状に型抜きしたものを羽根部材として露出開口の光量調整として用いることも出来る。
【0065】
[各請求項の補足説明]
次に、上述の課題を解決するための手段として記載した各請求項の構成に対する上記実施例における各部材を対比して補足説明する。
【0066】
まず、請求項1に記載する光量調整装置では、露出開口12を有する基板10と、前記露出開口の通過光量を調節する調整する羽根部材(第1の絞り羽根20、第2の絞り羽根30)と、その羽根部材を駆動する駆動手段(絞り駆動モータEM)を備え、前記駆動手段は、電磁コイル80と、その電磁コイルへの通電で回転するマグネットロータ70と、そのマグネットロータの回転中心となる回転軸92と、その回転軸の両端を回転可能に支持する軸受51a、51bを有し前記電磁コイルを巻回するコイル枠(上コイル枠50、下コイル枠60)と、そのコイル枠には位置決め用の基準面Qが形成され、その基準面を基準に支持され前記マグネットロータを磁気シールドする遮蔽ヨーク100と、を備え、前記基板10は、前記羽根部材を移動自在に支持する支持面(平面11)と、その支持面にはその羽根部材を支持する面側より前記駆動部材を収納する凹部15と、その凹部には前記遮蔽ヨークの一端を支持する支持部15bと、その支持部に前記遮蔽ヨークの一端が支持され、その遮蔽ヨークの他端が前記コイル枠の基準面に位置決め可能に前記駆動部材を前記凹部に収納支持する保持手段(位置決め突起16a、16b)と、を備えている。
【0067】
また、請求項2に記載する光量調整装置では、上記請求項1における前記駆動手段は、電磁コイル80と、その電磁コイルへの通電で回転する円柱状のマグネットロータ70と、このマグネットロータの回転中心となる回転軸92と、前記回転軸の一方の軸端部92aを支持する軸受部51aと、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝52とを形成する第1のコイル枠50と、前記回転軸の他方の軸端部を支持する軸受部61aと、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝62とを形成する第2のコイル枠60と、この回転軸と共に回転し前記羽根部材を駆動する駆動アーム90(駆動ピン93a、93b)と、前記マグネットロータの外周面と対峙する内周面を形成する円環状の遮蔽ヨーク100と、を備え、前記第1のコイル枠50には前記遮蔽ヨーク100の他端を位置決める前記基準面Qと、前記基板10の前記保持手段(位置決め突起16a、16b)によりその基板10に支持される支持部54(嵌合溝54a、54b)とが形成され、前記第2のコイル枠60には前記遮蔽ヨーク100の内周面を嵌合する側面67を形成してなる。
【0068】
更に、請求項3に記載の光学機器では、撮影レンズ(第1レンズ群B、第2レンズ群F)と、
その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置Cと、この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光するし画像処理手段(画像処理回路HC)とを備えた光学機器であって、前記光量調整装置は前記請求項1及び2のいずれか一項に記載の光量調整装置を備えている。
【0069】
[産業上の利用可能性]
以上説明する光量調整装置はデジタルカメラ、ビデオカメラ等の光学機器に搭載される光量調整装置の実施例として説明したが、例えば、撮影レンズを通過する光量を投光する投光手段とを備えたプロジェクタ、光学顕微鏡等の光学機器にも搭載可能で、撮影レンズを通過し投光それる光量を調整する光量調整装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
A 光学機器
B 第1レンズ群
C 光量調整装置
D シャッタ装置
DC シャッタ駆動回路
DM シャッタ駆動モータ(駆動手段)
E 絞り装置
EU 絞りユニット
10 地板(基板)
20 第1の絞り羽根(羽根部材)
30 第2の絞り羽根(羽根部材)
40 押さえ板
EC 絞り駆動回路
EM 絞り駆動モータ(駆動手段)
50 上コイル枠
60 下コイル枠
70 マグネットロータ
80 電磁コイル
90 駆動アーム
100 遮蔽ヨーク
F 第2レンズ群
G 撮像装置
GC 露出制御回路
HC 画像処理回路(画像処理手段)
IC 中央演算処理装置(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
露出開口を有する基板と、
前記露出開口の通過光量を調節する調整する羽根部材と、
その羽根部材を駆動する駆動手段を備え、
前記駆動手段は、
電磁コイルと、
その電磁コイルへの通電で回転するマグネットロータと、
そのマグネットロータの回転中心となる回転軸と、
その回転軸の両端を回転可能に支持する軸受を有し前記電磁コイルを巻回するコイル枠と、
そのコイル枠には位置決め用の基準面が形成され、
その基準面を基準に支持され前記マグネットロータを磁気シールドする遮蔽ヨークと、を備え、
前記基板は、
前記羽根部材を移動自在に支持する支持面と、
その支持面にはその羽根部材を支持する面側より前記駆動部材を収納する凹部と、
その凹部には前記遮蔽ヨークの一端を支持する支持部と、
その支持部に前記遮蔽ヨークの一端が支持され、その遮蔽ヨークの他端が前記コイル枠の基準面に位置決め可能に前記駆動部材を前記凹部に収納支持する保持手段と、
を備えて成ることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
電磁コイルと、
その電磁コイルへの通電で回転する円柱状のマグネットロータと、
このマグネットロータの回転中心となる回転軸と、
前記回転軸の一方の軸端部を支持する軸受部と、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝とを形成する第1のコイル枠と、
前記回転軸の他方の軸端部を支持する軸受部と、その軸受部の外周に前記電磁コイルを巻回する巻回溝とを形成する第2のコイル枠と、
この回転軸と共に回転し前記羽根部材を駆動する駆動アームと、
前記マグネットロータの外周面と対峙する内周面を形成する円環状の遮蔽ヨークと、を備え、
前記第1のコイル枠には前記遮蔽ヨークの他端を位置決める前記基準面と、前記基板の前記保持手段によりその基板に支持される支持部とが形成され、
前記第2のコイル枠には前記遮蔽ヨークの内周面を嵌合する側面を形成してなる請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
撮影レンズと、
その撮影レンズを通過する光量を調整する光量調整装置と、
この光量調整装置によって調整され撮影レンズを通過する光量を受光するし画像処理手段と、を備えた光学機器であって、
前記光量調整装置は前記請求項1及び2のいずれか一項に記載の光量調整装置を備えたことを特徴とする光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−177864(P2012−177864A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41830(P2011−41830)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】