説明

光量調整装置

【課題】 揺動絞り羽根が直線絞り羽根と干渉することによって、揺動絞り羽根の円滑な揺動が阻害されることを防止する。
【解決手段】 一対の直進絞り羽根44が、絞り用開口2の対向する箇所に光軸と直交する平面に沿って光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられ、一対の揺動絞り羽根46、48が、光軸と平行する軸心を中心として光軸に対して接離する方向に揺動可能に設けられ、スペーサ50が、直進絞り羽根と揺動絞り羽根との間に設けられ、スペーサは直進絞り羽根に設けられたガイド溝4402を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光量調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の撮像装置のレンズ鏡筒に組み込まれる光量調整装置(絞り装置)がある。
【0003】
光量調整装置として、絞り用開口の周囲に配置された複数枚の絞り羽根を連動して揺動させることにより絞り用開口の大きさを調整する虹彩絞りを採用したものと、絞り用開口を挟み、光軸と直交する直線に沿って2枚の絞り羽根をスライドさせるもの(特許文献1参照)とが使用されている。
【0004】
前者の光量調整装置は、複数の絞り羽根を絞り用開口の周囲に並べて配置する構造であることから、絞り用開口の周囲に大きなスペースが必要となるので小型化を図る上で不利がある。
【0005】
これに対して後者の光量調整装置は、2枚の絞り羽根を直線上に沿ってスライドさせる構造であることから、絞り羽根の両側に大きなスペースを必要としないので小型化を図る上で有利である。
【0006】
【特許文献1】特開2000−352736
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、後者の光量調整装置では、2枚の絞り羽根によって形成される絞り形状(絞り用開口の形状)が開放状態では略円形であるが、絞り用開口を絞るにつれて略ひし形となるため、図27(B)に示すように、撮影時に絞り形状のゴースト2や絞り形状のボケが発生した場合、それらゴースト2やボケの形状がひし形となるため、視覚的に不自然な画像が撮影されてしまう。
【0008】
これに対して虹彩絞りを使用する光量調整装置では、絞り用開口の大きさに拘わらず絞り形状が略円形、あるいは、正多角形となるため、図27(A)に示すように、ゴースト2やボケの形状が略円形、あるいは、略正多角形となるため、視覚的に自然な画像が撮影される。
【0009】
また、後者の光量調整装置では、絞り形状がひし形となることで、絞り羽根の縁部(絞り用開口端)で反射する光線によって生じる回折劣化が撮影画像の解像度に及ぼす影響が虹彩絞りの場合に比較して目立ちやすい不利がある。
【0010】
また、直線絞り羽根と揺動絞り羽根が干渉し合うことによって、揺動絞り羽根の円滑な揺動が阻害されるという問題があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は良好な絞り形状と揺動絞り羽根の円滑に揺動を実現しつつ小型化を図る上で有利な光量調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するため、本発明は、光学系の光軸を中心とする絞り用開口の大きさを調整する光量調整装置であって、前記絞り用開口の対向する箇所に前記光軸と直交する平面に沿って前記光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられた一対の直進絞り羽根と、前記絞り用開口の対向する箇所に前記光軸と平行する軸心を中心として前記光軸に対して接離する方向に揺動可能に設けられた一対の揺動絞り羽根と、前記直進絞り羽根と前記揺動絞り羽根の間に設けられたスペーサと、前記一対の直進絞り羽根をスライドさせると共に前記一対の揺動絞り羽根を揺動させることで前記絞り用開口の大きさを調整する駆動機構とを備え、前記スペーサは一対設けられ、前記一対のスペーサのうちの一方のスペーサが、前記一対の直進絞り羽根のうちの一方に設けられた前記直進絞り羽根のガイド溝を覆う位置にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一対の直進絞り羽根と、一対の揺動絞り羽根とを設け、直進絞り羽根をスライドさせると共に揺動絞り羽根を揺動させることで絞り用開口の大きさを調整するようにしたので、形成される絞り用開口の形状を絞り用開口の大きさに拘わらず略円形あるいは略正六角形とすることができ、虹彩絞りを用いた光量調整装置に比較して絞り用開口の周囲のスペースを縮小することができる。また、スペーサが直線絞り羽根のガイド溝と揺動絞り羽根との間に介在されているので、直線絞り羽根のガイド溝と揺動絞り羽根との干渉が防止され、揺動絞り羽根の揺動を円滑にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は本実施の形態の撮像装置10の斜視図、図2は撮像装置10のディスプレイパネル22が開放位置に位置した状態の斜視図、図3は撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【0016】
まず、図3を参照して撮像装置10の制御系の構成について説明する。
【0017】
本実施の形態では、撮像装置10はビデオカメラであり記録媒体に対して撮影した動画、静止画、音声などのデータを記録し、また、記録媒体からそれらのデータを再生する。
【0018】
本実施の形態では、記録媒体として板状または棒状の記録媒体であるメモリカード2を用いた場合について説明するが、記録媒体として磁気記録テープ、光ディスク、ハードディスク装置などを用いてもよいことは無論であり、記録媒体として何を用いるかは任意である。
【0019】
撮像装置10は外装を構成する筐体12を有し、筐体12には撮影光学系14が組み込まれたレンズ鏡筒16が設けられ、レンズ鏡筒16の後端には撮影光学系14によって導かれた被写体像を撮像する撮像素子18が設けられ、レンズ鏡筒16に本発明に係る光量調整装置40が組み込まれている。
【0020】
また、撮像装置10は、マイク20、ディスプレイパネル22、スピーカー26、映像信号用増幅部102、映像信号処理部104、マイクロフォン用増幅部106、音声信号処理部108、出力用増幅部110、記録再生部112、制御部114、ディスプレイパネルドライバ116、バッファメモリ118、メモリカード用インターフェース120、操作部126、外部入出力インターフェース128、外部入出力端子130、モータ駆動部41などを含んで構成されている。
【0021】
撮像素子18で生成された撮像信号は映像信号用増幅部102で増幅され、映像信号処理部104に供給される。
【0022】
映像信号処理部104は、撮像信号に所定の信号処理を行うことで、動画データおよび静止画データを生成し、記録再生部112に供給される。
【0023】
マイクロフォン20で収音された音声信号はマイクロフォン用増幅部106で増幅され、音声信号処理部108によって所定の信号処理がなされ音声データとして記録再生部112に供給される。
【0024】
記録再生部112は、映像信号処理部104から供給された動画データおよび静止画データや音声信号処理部108から供給された音声データを制御部114の制御にしたがってメモリカード用インターフェース120を介してメモリカード2に記録する。
【0025】
記録再生部112によるメモリカード2へのデータの記録は、例えば、メモリカード2に記録すべきデータをいったんバッファメモリ118に蓄積したのち、バッファメモリ118から読み出したデータをメモリカード2に書き込むことでなされる。
【0026】
また、記録再生部112は、記録再生部112から供給された動画データおよび静止画データを、ディスプレイパネルドライバ116を介してディスプレイパネル22に供給して画像の表示を行わせる。
【0027】
また、記録再生部112は、メモリカード用インターフェース120を介してメモリカード2から供給される動画データ、静止画データを、ディスプレイパネルドライバ116を介してディスプレイパネル22に供給して画像の表示を行わせるとともに、メモリカード用インターフェース120を介してメモリカード2から供給される音声信号を出力用増幅部110を介してスピーカー26に供給して音声の出力を行わせる。
【0028】
外部入出力インターフェース128は記録再生部112で再生された音声データおよび画像データを所定の信号形式に変換して、外部入出力端子130を介してテレビジョン装置、HDDレコーダー、パーソナルコンピュータなど外部機器に出力するものである。
【0029】
操作部126は、図2に示す複数の操作スイッチ24、電源スイッチ28A、静止画撮影用スイッチ28B、ズーム用スイッチ28C、モード切り換え用スイッチ28D、動画撮影用スイッチ28Eを備えるものである。これらスイッチ24、28A乃至28Eは撮影にまつわる種々の機能を実行するための操作スイッチである。
【0030】
制御部114は、電源スイッチ28Aの操作に基づいて撮像装置10の電源のオン、オフを行う。
【0031】
制御部114は、静止画撮影用スイッチ28Bの操作に基づいて映像信号処理部104および記録再生部112に指令を与えることにより、映像信号処理部104から供給される静止画データを記録再生部112を介してメモリカード用インターフェース120に供給することで静止画データをメモリカード2に記録させる。言い換えると、静止画撮影用スイッチ28Bは、いわゆるシャッタボタンとして機能している。
【0032】
制御部114は、ズーム用スイッチ28Cの操作に基づいて不図示のズーム駆動部に指令を与えることにより、撮影光学系14の可動レンズを移動させることにより、撮影光学系14のズーム率を変化させる。
【0033】
制御部114は、モード切り換え用スイッチ28Dの操作に基づいて映像信号処理部104に指令を与えることにより、映像信号処理部104によって動画データを生成させる動画撮影モードと、映像信号処理部104によって静止画データを生成させる静止画撮影モードとを切り換える。
【0034】
なお、動画撮影モードでは、映像信号処理部104で生成された動画データが記録再生部112を介してメモリカード2に記録され、静止画撮影モードでは、映像信号処理部104で生成されたで生成された静止画データが記録再生部112を介してメモリカード2に記録される。
【0035】
制御部114は、動画撮影用スイッチ28Eの操作に基づいて動画データの記録の開始、記録の停止を行わせる。すなわち、制御部114は、動画撮影用スイッチ28Eの操作に基づいて映像信号処理部104および記録再生部112に指令を与えることにより、映像信号処理部104からに供給される動画データを記録再生部112を介してメモリカード用インターフェース120に供給することで動画データをメモリカード2に記録させる動作を開始させ、あるいは、その動作を停止させる。言い換えると、動画撮影用スイッチ28Eは、いわゆる撮影スタート/ストップの操作部材として機能している。
【0036】
また、パネル側動画撮影用スイッチ30A、パネル側ズーム用スイッチ30B、メニュー操作用スイッチ30Cは制御部114に接続されている。パネル側動画撮影用スイッチ30Aは動画撮影用スイッチ28Eと同様の機能を有し、パネル側ズーム用スイッチ30Bはズーム用スイッチ28Cと同様の機能を有している。また、メニュー操作用スイッチ30Cは、ディスプレイパネル22に表示されるメニューの階層を最上位の階層に直接戻すために操作されるスイッチである。
【0037】
モータ駆動部41は、制御部114の制御に基づいて後述する光量調整装置40のモータ54(図4)の駆動制御を行うものである。
【0038】
次に撮像装置10の構成について説明する。
【0039】
図1、図2に示すように、筐体12は、左右方向の幅よりも大きな寸法の前後方向の長さおよび上下方向の高さを有している。なお、本明細書において左右は、撮像装置10を後方から見た状態でいうものとし、また、光学系の光軸方向で被写体側を前方といい、撮像素子側を後方という。
【0040】
レンズ鏡筒16は、筐体12の上部の前部で前後に延在し、その前部が筐体12の前面に臨むように設けられ、したがって、被写体像は筐体12の前部から筐体12の内部に導かれる。
【0041】
撮像素子18(図3)はレンズ鏡筒16の後端に設けられている。
【0042】
マイクロフォン20はレンズ鏡筒16の上面に設けられている。
【0043】
ディスプレイパネル22は、筐体12の左側部に開閉可能に設けられている。
【0044】
ディスプレイパネル22は、ディスプレイ装置32とパネル用ケース34とを備え、長方形板状を呈している。
【0045】
図2に示すように、ディスプレイ装置32は、撮像素子18によって撮像された被写体像などを表示するものであり、画像を表示する長方形の表示面3202を有し、この表示面3202はディスプレイパネル22の内面を構成している。
【0046】
本実施の形態では、ディスプレイ装置32は液晶ディスプレイ装置で構成されているが、ディスプレイ装置32の種類は任意であり、例えば、有機ELディスプレイ装置であってもよい。
【0047】
ディスプレイパネル22は、その一方の短辺寄りの箇所がヒンジ2202を介して筐体12の左側部の前部寄りの箇所に連結され、筐体12の上下方向に延在する第1の軸線O1回りに揺動可能に、かつ、第1の軸線O1と直交する第2の軸線O2回りに揺動可能に連結されている。
【0048】
本実施の形態では、ディスプレイパネル22は、図1に示すように、第1の軸線O1回りで、ディスプレイ装置32の表示面3202(パネル22の内面)が筐体12の左側面12Aに重ね合わされた収容位置と、図2に示すように、収容位置から90度開かれディスプレイ装置32の表示面3202が後方を向いた開放位置との間で揺動するように構成されている。なお、表示面3202(パネル22の内面)を筐体12の左側面12Aに重ね合わせた収容位置においてディスプレイパネル22の外面2210(図1)が外方に向けられる。
【0049】
また、ディスプレイパネル22は、前記開放位置において第2の軸線O2回りに、ディスプレイ装置32の表示面3202が前方を向いた位置と、下方を向いた位置との間で270度の範囲で揺動するように構成されている。
【0050】
図2に示すように、筐体12の左側面12Aには、種々の操作を行うための複数の操作スイッチ24、スピーカー26などが設けられている。
【0051】
筐体12の上部の後部寄りの箇所には、電源スイッチ28A、静止画撮影用スイッチ28B、ズーム用スイッチ28C、モード切り換え用スイッチ28Dなどが設けられ、筐体12の後面には、動画撮影用スイッチ28Eが設けられている。
【0052】
また、ディスプレイパネル22には、パネル側動画撮影用スイッチ30A、パネル側ズーム用スイッチ30B、メニュー操作用スイッチ30Cなどが設けられている。
【0053】
図2に示すように、筐体12の左側面12Aの下部に、メモリカード2が挿脱されるスロット36とスロット36の開口3602を開閉する蓋体38が設けられている。
【0054】
メモリカード2はスロット36に挿入されることで、メモリカード2の接続端子がスロット36内部のコネクタ(不図示)に電気的に接続され、これにより、コネクタを介してメモリカード用インターフェース120との間で信号の授受を行う。
【0055】
次に本発明の要旨である光量調整装置40について説明する。
【0056】
図4は光量調整装置40の構成を示す分解斜視図、図5は光量調整装置40から直進絞り羽根44および第1、第2揺動絞り羽根46、48を取り除いて後方から見た斜視図、図6は光量調整装置40から直進絞り羽根44および第1、第2揺動絞り羽根46、48を取り除いて後方から見た平面図、図7は光量調整装置40を後方から見た斜視図である。
図24はベース部材42と環板52の断面図である。
【0057】
図4乃至図7に示すように、光量調整装置40は、撮影光学系14を介して撮像素子18に導かれる光線束を制限する絞り用開口2の大きさを調整することで、撮像素子18に導かれる光量の調整を行うものである。
【0058】
光量調整装置40は、撮像素子18の前方に配置され、本実施の形態では、光量調整装置40は、ベース部材42と、一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48と、2枚のスペーサ50と、環板52と、モータ54と、蓋体56(図9参照)などを含んで構成されている。
【0059】
ベース部材42は光を透過しない合成樹脂製で長方形板状を呈し、その長辺方向を筐体12の上下に向けた状態でレンズ鏡筒16に組み込まれている。
【0060】
ベース部材42は、図4、図24に示すように、前方に臨む前面42Aと後方に臨む後面42Bとを有し、ベース部材42には撮影光学系14の光軸Lを中心とした円形の孔42Cが形成されている。
【0061】
ベース部材42の後面42Bには、図4、図5に示すように、2つの直進絞り羽根44をそれぞれスライド可能に案内する直進絞り羽根用ガイドピン58が1つの直進絞り羽根44について2つずつ設けられ、それら直進絞り羽根用ガイドピン58は孔42Cの周囲近傍に設けられている。
【0062】
また、後面42Bには、一対の第1揺動絞り羽根46をそれぞれ揺動可能に支持する第1揺動絞り羽根用支軸60がそれぞれ設けられると共に、一対の第2揺動絞り羽根48をそれぞれ揺動可能に支持する第2揺動絞り羽根用支軸62がそれぞれ設けられている。
ベース部材42の前面42Aで孔42Cの周囲には、図24に示すように、環板状の凹部64が形成されている。
【0063】
また、凹部64の外側の前面42Aの箇所には、図10、図24に示すように、凹部64の周方向に間隔をおいて2つの係止壁65が設けられ、それら係止壁65は凹部64上を延在している。
【0064】
ベース部材42には、図5に示すように、後述する環板52に設けられた第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fが挿通される円弧状の逃げ溝66が光軸Lの周方向に延在して2つ設けられている。それら逃げ溝66は孔46Cと同軸上に形成され、直進絞り羽根44が往復直線移動する方向における孔46Cの両側に設けられている。
【0065】
環板52は光を透過しない合成樹脂製で、図4、図24に示すように、環板状の第1環板部52Aと、第1環板部52Aの外周に沿って第1環板部52Aの厚さ方向の一方(前方)に変位して形成された第2環板部52Bと有し、第1環板部52Aの中心には孔52Cが形成され、第1、第2環板部52A、52B、孔52Cは同軸上に設けられている。
【0066】
第1環板部52Aが厚さ方向の他方に臨む面(後方に臨む面)には、図4、図5に示すように、2つの直進絞り羽根用駆動ピン52Dが環板52の中心軸を中心に180度の間隔をおいて突設されると共に2つの第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eとが環板52の中心軸を中心に180度の間隔をおいて突設されている。
【0067】
第2環板部52Bが厚さ方向の他方に臨む面(後方に臨む面)には、2つの第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fが環板52の中心軸を中心に180度の間隔をおいて突設されている。
【0068】
第2環板部52Bの外周の一部に、半径方向外側に突出するギア部53が設けられている。ギア部53は、環板52の中心軸を中心とする扇状に形成されている。
【0069】
なお、図10において符号5202は、環板52をベース42に組み付ける際に、係止壁65を挿通させるために第2環板部52Bに設けられた切り欠きである。
環板52のベース42への組み付けは、図24に示すように、ベース42の係止壁65を第2環板部52Bの切り欠き5202を介して通しつつ、第1環板部52Aの外周面をベース42の孔42Cの内周面に摺動可能に挿入し、第2環板部52Bが厚さ方向の一方(後方)に臨む面をベース42の凹部64に係止させると共に、第2環板部52Bの厚さ方向の他方(前方に)臨む面を係止壁65に係止させることで行われ、これにより環板52はベース42に回転可能に支持される。
【0070】
また、本実施の形態では、図24に示すように、環板52を、環板状の第1環板部52Aと、第1環板部52Aの外周に沿って該第1環板部52Aの厚さ方向の一方(前方)に変位して形成された第2環板部52Bと有する構成とした。
【0071】
そのため、前後方向において第2環板部52Bが第1環板部52Aよりも後方に変位した箇所に位置することから、第2環板部52Bの前方に凹状のスペースが形成される。
【0072】
したがって、光量調整装置40の前方に光軸L方向に移動する可動レンズが配置されている場合には、前記可動レンズが後方に臨む箇所を前記凹状のスペースに収容させることで可動レンズのストロークを確保することができ、これによりレンズ鏡筒16の光軸方向の寸法の縮小を図れ、ひいては、撮像装置10の小型化を図る上で有利となる。
【0073】
モータ54は、図4に示すように、ケース54Aと、取り付け片54Bと、駆動ギア54Cとを有し、モータ駆動部41(図3)から供給される駆動電流に基づいて正方向あるいは逆方向に回転駆動される。
【0074】
ケース54Aの一端は取り付け片54Bを介してベース42の前面42Aに取着されている。
【0075】
駆動ギア54Cはケース54Aの一端から突出する駆動軸に固定され、環板52のギア部53に噛合している。
【0076】
モータ54が正逆方向に回転駆動することにより、駆動ギア54Cおよびギア部53を介して環板52が該環板52の中心軸を中心として揺動される。
【0077】
図20は直進絞り羽根44の平面図である。
【0078】
直進絞り羽根44は光を透過しない合成樹脂製で薄板状を呈し、直線部と、該直線部に続く湾曲部とで構成されている。
【0079】
直線部には、2つのガイド溝4402と、長孔4404が形成され、湾曲部には、開口形成用縁部44Aが形成されている。
【0080】
2つのガイド溝4402は板部44Aの直線部に沿った同一直線上に延在形成されている。
【0081】
長孔4404は2つのガイド溝4402の間の箇所で前記直線と直交する方向に延在形成されている。
【0082】
開口形成用縁部44Aは、光量調整装置40の絞り用開口2を形成するものであり、板部44Aの湾曲部に沿って凹状の半円弧状に延在形成されている。
【0083】
図21は第1揺動絞り羽根46の平面図である。
【0084】
第1揺動絞り羽根46は光を透過しない合成樹脂製で薄板状を呈し細長形状を呈している。
【0085】
第1揺動絞り羽根46には、孔4602と、カム溝4604と、開口形成用縁部46Aが設けられている。
【0086】
孔4602は、第1揺動絞り羽根46の長手方向の一端に形成されている。
【0087】
カム溝4604は、第1揺動絞り羽根46の長手方向の中間部に延在形成されている。
開口形成用縁部46Aは、光量調整装置40の絞り用開口2を形成するものであり、第1揺動絞り羽根46の長手方向の他端寄りの幅方向の一側に沿って凹状の円弧状に延在形成されている。
【0088】
図22は第2揺動絞り羽根48の平面図である。
【0089】
第2揺動絞り羽根48は光を透過しない合成樹脂製で薄板状を呈し、長手方向の両端に至るに従ってその幅が次第に狭くなる形状を呈している。
【0090】
第2揺動絞り羽根48には、孔4802と、カム溝4804と、開口形成用縁部48Aが設けられている。
【0091】
孔4802は、板部48Aの長手方向の一端に形成されている。
【0092】
カム溝4804は、板部48Aの長手方向の中間部に延在形成される。
【0093】
開口形成用縁部48Aは、光量調整装置40の絞り用開口2を形成するものであり、第2揺動絞り羽根48の長手方向の他端寄りの幅方向の一側に沿って凹状の円弧状に延在形成されている。
【0094】
図23はスペーサ50の平面図である。
【0095】
スペーサ50は光を透過しない合成樹脂製で薄板状を呈し細長形状を呈している。
【0096】
スペーサ50は長手方向に間隔をおいて2つの取付孔5002が形成されている。
【0097】
蓋体56は光を透過しない金属製で、図9に示すように、ベース部材42の後面42Aを覆うに足る大きさの薄板で形成され、蓋体56は、ベース部材42に取り付けられた状態で絞り用開口2を外方に臨ませる孔56Aが形成され、孔56Aはベース部材42の孔42Cと同一の直径を有している。
【0098】
一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48と、2枚のスペーサ50は、孔46Cの周囲のベース部材42の箇所にそれぞれ組み付けられる。
【0099】
詳細に説明すると、一対の直進絞り羽根44の一方と、一対の第1揺動絞り羽根46の一方と、一対の第2揺動絞り羽根48の一方と、2枚のスペーサ50の一方は次のように組み付けられる。
【0100】
すなわち、図4に示すように、一対の第2揺動絞り羽根48のうち一方の第2揺動絞り羽根48をベース部材42の後面42Bに臨ませつつ、第2揺動絞り羽根48の孔4802に一方の第2揺動絞り羽根用支軸62を挿通すると共に、一方の第2揺動絞り羽根48のカム溝4804に一方の第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fを挿通する。
【0101】
次いで、一対の第1揺動絞り羽根46のうち一方の第1揺動絞り羽根46を一方の第2揺動絞り羽根48の上に重ね合わせるように、一方の第1揺動絞り羽根46の孔4602に一方の第1揺動絞り羽根用支軸60を挿通すると共に、一方の第1揺動絞り羽根46のカム溝4604に一方の第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eを挿通する。
【0102】
次いで、一対の直進絞り羽根44のうち一方の直進絞り羽根44を、一方の第1、第2揺動絞り羽根46、48の上に重ね合わせるように、一方の直進絞り羽根44の2つのガイド溝4402に一方の直進絞り羽根用ガイドピン58をそれぞれ挿通すると共に、一方の直進絞り羽根44の長孔4404に一方の直進絞り羽根用駆動ピン52Dを挿通する。
【0103】
次いで、2枚のスペーサ50のうち一方のスペーサ50を一方の直進絞り羽根44の上に重ね合わせるように、一方のスペーサ50の2つの取付孔5002に一方の2つの直進絞り羽根用ガイドピン58をそれぞれ挿通する。
【0104】
また、一対の直進絞り羽根44の他方と、一対の第1揺動絞り羽根46の他方と、一対の第2揺動絞り羽根48の他方と、2枚のスペーサ50の他方は次のように組み付けられる。
【0105】
すなわち、2枚のスペーサ50のうち他方のスペーサ50を一方の第1揺動絞り羽根46の上に重ね合わせるように、他方のスペーサ50の2つの取付孔5002に他方の2つの直進絞り羽根用ガイドピン58をそれぞれ挿通する。
【0106】
次いで、一対の直進絞り羽根44のうち他方の直進絞り羽根44を、2枚のスペーサ50の上に重ね合わせるように、他方の直進絞り羽根44の2つのガイド溝4402に他方の直進絞り羽根用ガイドピン58をそれぞれ挿通すると共に、他方の直進絞り羽根44の長孔4404に他方の直進絞り羽根用駆動ピン52Dを挿通する。
【0107】
次いで、一対の第1揺動絞り羽根46のうち他方の第1揺動絞り羽根46を他方の直進絞り羽根44の上に重ね合わせるように、他方の第1揺動絞り羽根46の孔4602に他方の第1揺動絞り羽根用支軸60を挿通すると共に、他方の第1揺動絞り羽根46のカム溝4604に他方の第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eを挿通する。
【0108】
次いで、一対の第2揺動絞り羽根48のうち他方の第2揺動絞り羽根48を他方の直進絞り羽根44および他方の第1揺動絞り羽根46の上に重ね合わせるように、他方の第2揺動絞り羽根48の孔4802に他方の第2揺動絞り羽根用支軸62を挿通すると共に、他方の第2揺動絞り羽根48のカム溝4804に他方の第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fを挿通する。
【0109】
最後に、図9に示すように、蓋体56をベース部材42の後方からベース部材42に取り付けることで、ベース部材42に組み付けられた一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48と、2枚のスペーサ50が蓋体56によって覆われる。
【0110】
これにより、図7に示すように、ベース部材42の後面42B上に、一方の第2揺動絞り羽根48、一方の第1揺動絞り羽根46、一方の直進絞り羽根44、他方の直進絞り羽根44、他方の第1揺動絞り羽根46、他方の第2揺動絞り羽根48がこれらの順番に重ね合わされると共に、一方のスペーサ50が一方の直進絞り羽根44と他方の第1揺動絞り羽根46との間に介在され、他方のスペーサ50が一方の第1揺動絞り羽根46と他方の直進絞り羽根44との間に介在された状態となる。
【0111】
また、2組の各一対の揺動絞り羽根46、48のうちの一方の揺動絞り羽根46、48は、一対の直進絞り羽根44が光軸方向に臨む両面のうちの一方の面である前面側に配置され、2組の各一対の揺動絞り羽根46、48のうちの他方の揺動絞り羽根46、48は、一対の直進絞り羽根44が光軸方向に臨む両面のうちの他方の面である後面側に配置されることになる。
【0112】
また、一対の直進絞り羽根44は、絞り用開口2の対向する箇所に光軸Lと直交する平面に沿って光軸Lに対して接離する方向にスライド可能に設けられることになる。
また、一対の第1揺動絞り羽根46は、絞り用開口2の対向する箇所に光軸Lと平行する軸心を中心として光軸Lに対して接離する方向に揺動可能に設けられることになる。
【0113】
また、一対の第2揺動絞り羽根48は、絞り用開口2の対向する箇所に光軸Lと平行する軸心を中心として光軸Lに対して接離する方向に揺動可能に設けられることになる。
また、直進絞り羽根44をスライドさせると共に第1、第2揺動絞り羽根46、48を揺動させることで絞り用開口2の大きさを調整する駆動機構が、モータ54と、駆動ギア54Cと、ギア部53と、環板52とを含んで構成されている。
【0114】
また、直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aにより、直進絞り羽根44がスライドされる方向における絞り用開口2の縁部分が形成され、第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aおよび第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aにより、直進絞り羽根44がスライドされる方向と直交する方向おける絞り用開口2の縁部分が形成されることになる。
【0115】
また、図8に示すように、第1揺動絞り羽根用支軸60(一対の第1揺動絞り羽根46の揺動支点)は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置している。
【0116】
また、図8に示すように、第2揺動絞り羽根用支軸62(一対の第2揺動絞り羽根48の揺動支点)は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置している。
【0117】
また、図8に示すように、前記駆動機構は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置している。
【0118】
次に、光量調整装置40の動作について説明する。
【0119】
まず、図8乃至図10に示すように、絞り用開口2が開放状態にある場合について説明すると、直進絞り羽根44のガイド溝4402の長手方向の一端に直進絞り羽根用ガイドピン58が位置し、第1揺動絞り羽根46のカム溝4604の長手方向の一端に第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eが位置し、第2揺動絞り羽根48のカム溝4804の長手方向の一端に第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fが位置している。
【0120】
この状態で、絞り用開口2は、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aと、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aと、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aとによって略円形の形状となるように形成されている。
【0121】
また、本実施の形態では、この開放状態において絞り用開口2の直径とベース部材42の孔42Cの直径とが同一となっている。
【0122】
ここで、モータ54が正方向に回転駆動されることにより、環板52が所定量回転されると、一対の直進絞り羽根44の長孔4404に係合する直進絞り羽根用駆動ピン52Dが揺動する。これにより、直進絞り羽根44は、ガイド溝4402およびこのガイド溝4402に係合する直進絞り羽根用ガイドピン58を介して所定量スライドし、図11乃至図13に示すように、対向する一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aの間隔、すなわち、絞り用開口2の直径が縮小される。
【0123】
また、環板52が所定量回転されると、第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eが揺動することによりカム溝4604を介して一対の第1揺動絞り羽根46は第1揺動絞り羽根用支軸60を中心に所定量揺動し、図11乃至図13に示すように、対向する一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aの間隔、すなわち、絞り用開口2の直径が縮小される。
【0124】
また、環板52が所定量回転されると、第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fが揺動することによりカム溝4804を介して一対の第2揺動絞り羽根48は第2揺動絞り羽根用支軸62を中心に所定量揺動し、図11乃至図13に示すように、対向する一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aの間隔、すなわち、絞り用開口2の直径が縮小される。
【0125】
この際、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aの間隔と、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aの間隔と、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aの間隔との3つの間隔は略同一寸法となる。言い換えると、一対の直進絞り羽根44で形成される絞り用開口2の直径と、一対の第1揺動絞り羽根46で形成される絞り用開口2の直径と、一対の第2揺動絞り羽根48で形成される絞り用開口2の直径とが等しくなるようにした。
【0126】
この結果、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aと、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aと、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aとによって形成される絞り用開口2が縮小される。図11乃至図13の場合は、絞り用開口2が1段分絞られており、絞り用開口2の形状は、開口形成用縁部44A、46A、48Aによって略正六角形の形状となる。
【0127】
なお、絞り用開口2が図8の開放状態から図11の1段絞られた状態に至る過程において、絞り用開口2の形状は略円形から略正六角形の形状に連続的に変化している。
【0128】
図11乃至図13の状態から、さらに、モータ54が正方向に回転駆動され、環板52がさらに回転されると、上述と同様の動作により、一対の直進絞り羽根44がスライドすると共に、一対の第1揺動絞り羽根46および一対の第2揺動絞り羽根48が揺動することにより、図14乃至図16に示すように、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aと、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aと、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aとによって形成される絞り用開口2がさらに縮小される。図14乃至図16の場合は、絞り用開口2が6段分絞られており、絞り用開口2の形状は、開口形成用縁部44A、46A、48Aによって略正六角形の形状となる。
【0129】
図14乃至図16の状態から、さらに、モータ54が正方向に回転駆動され、環板52がさらに回転されると、上述と同様の動作により、一対の直進絞り羽根44がスライドすると共に、第1、第2揺動絞り羽根46、48が揺動することにより、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aと、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aと、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aとによって形成される絞り用開口2がさらに縮小され、やがて、図17乃至図19に示すように、絞り用開口2の全閉状態が形成される。
【0130】
なお、この全閉状態において、一対の直進絞り羽根44のガイド溝4402の長手方向の他端に直進絞り羽根用ガイドピン58が位置し、一対の第1揺動絞り羽根46のカム溝4604の長手方向の他端に第1揺動絞り羽根用駆動ピン52Eが位置し、一対の第2揺動絞り羽根48のカム溝4804の長手方向の他端に第2揺動絞り羽根用駆動ピン52Fが位置している。
【0131】
図17乃至図19の全閉状態から、モータ54が逆方向に回転駆動され、環板52が上記とは逆方向に回転されると、一対の直進絞り羽根44が上述と逆の方向にスライドすると共に、一対の第1揺動絞り羽根46および一対の第2揺動絞り羽根48が上述と逆方向に揺動することにより、一対の直進絞り羽根44の開口形成用縁部44Aと、一対の第1揺動絞り羽根46の開口形成用縁部46Aと、一対の第2揺動絞り羽根48の開口形成用縁部48Aとによって絞り用開口2が形成され、図14乃至図16に示すように、絞り用開口2が形成され、モータ54の逆方向への回転駆動により、絞り用開口2が次第に拡大され、やがて、図8乃至図10に示す絞り用開口2の開放状態が形成される。
【0132】
なお、絞り用開口2が図11の1段絞られた状態から図8の開放状態に至る過程において、絞り用開口2の形状は略正六角形から略円形の形状に連続的に変化している。
【0133】
したがって、モータ54の回転方向および回転量を制御することにより、光量調整装置40の絞り用開口2が開放状態と全閉状態との間で調整される。
【0134】
次に、スペーサ50の機能について説明する。
【0135】
図25は図11の矢印A部分の拡大図であり、図26は図11の矢印A部分のうちスペーサ50を省いた拡大図である。
【0136】
図26に示すように、2つのスペーサ50のうちの一方のスペーサ50が設けられていないと、2つの直進絞り羽根44のうち一方の直進絞り羽根44のガイド溝4402に対して2つの第2揺動絞り羽根46のうち他方の第2揺動絞り羽根46の縁部4610が臨んでいることから、縁部4610がガイド溝4402に近接する方向に揺動したときに、縁部4610とガイド溝4402の縁部とが干渉して第2揺動絞り羽根46の円滑な揺動が阻害されるおそれがある。
【0137】
そこで、本実施の形態では、図25に示すように、スペーサ50を一方の直線絞り羽根44のガイド溝4402と他方の第2揺動絞り羽根46の縁部4610との間に介在させることで、言い換えると、直線絞り羽根44と第2揺動絞り羽根46とを、それらの厚さ方向においてスペーサ50を用いて分離することにより、縁部4610とガイド溝4402の縁部との干渉が防止され、2つの第2揺動絞り羽根46のうち他方の第2揺動絞り羽根46の揺動の円滑化が図られている。
【0138】
なお、図11に示すように、2つのスペーサ50のうち他方のスペーサ50は、2つの直線絞り羽根44のうち他方の直線絞り羽根44のガイド溝4402と2つの第2揺動絞り羽根46のうち一方の第2揺動絞り羽根46の縁部4610との間に介在されており、これにより上述と同様に、2つの第2揺動絞り羽根46のうち一方の第2揺動絞り羽根46の揺動の円滑化が図られている。
【0139】
以上説明したように本実施の形態によれば、一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48とを設け、直進絞り羽根44をスライドさせると共に第1、第2揺動絞り羽根46、48を揺動させることで絞り用開口2の大きさを調整するようにしたので、形成される絞り用開口2の形状を絞り用開口2の大きさに拘わらず略円形あるいは略正六角形とすることができる。
【0140】
したがって、複数枚の絞り羽根を連動して揺動させる虹彩絞りを用いた光量調整装置に比較して、絞り用開口2の周囲のスペースを縮小することができるので、光量調整装置40の小型化を図れ、ひいては、レンズ鏡筒16および撮像装置10の小型化を図る上で有利となることは無論のこと、絞り用開口2の大きさに拘わらず絞り形状が略円形、あるいは、正多角形となるため、図27(A)に示すように、ゴースト2やボケの形状が略円形、あるいは、略正多角形となるため、視覚的に自然な画像を撮影することができ、商品価値を高める上で有利となる。
【0141】
したがって、これまで虹彩絞り装置の搭載が困難であったレンズ鏡筒16にも本実施の形態の光量調整装置10を組み込むことができ、特に、絞り開放付近で形成される絞り用開口2の形状を円形とすることができ、虹彩絞りと同等の良好な絞り用開口2の形状を実現することができる。
【0142】
また、絞り用開口2の形状を絞り用開口2の大きさに拘わらず略円形あるいは略正六角形とすることができることから、絞り用開口の形状がひし形になる従来の光量調整装置に比較して、絞り羽根の縁部(絞り用開口端)で反射する光線によって生じる回折劣化を抑制でき、撮影画像の解像度の向上を図る上で有利となる。
【0143】
また、本実施の形態では、第1揺動絞り羽根用支軸60(一対の第1揺動絞り羽根46の揺動支点)は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置するように設けられ、第2揺動絞り羽根用支軸62(一対の第2揺動絞り羽根48の揺動支点)は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置するように設けられ、前記駆動機構は、光軸方向から見て一対の直進絞り羽根44の移動軌跡の延長範囲内に位置しているので、直進絞り羽根44が往復直線移動する方向における両側のスペースを縮小する上で有利となり、光量調整装置40、レンズ鏡筒16および撮像装置10の小型化を図る上でより一層有利となる。
【0144】
また、虹彩絞りを採用した従来の光量調整装置は、絞り羽根の構造が複雑であるため、全閉状態を確実に形成する上で不利がある。
【0145】
これに対して本実施の形態の光量調整装置40は、一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48とを用いることによって絞り用開口2の全閉状態を容易に形成することができるので、光量調整装置40によってメカニカルシャッターを実現することが可能となる。
【0146】
なお、メカニカルシャッターを実現する上では、シャッターを閉じる際に絞り用開口2の全閉状態を迅速かつ確実に形成することが必要となる。言い換えると、直進絞り羽根44、第1、第2揺動絞り羽根46、48がそれらの厚さ方向において迅速かつ確実に重なり合うことが必要である。
【0147】
そこで、本実施の形態では、図17に示すように、第2揺動絞り羽根48のカム溝4804に、第2揺動絞り羽根48が全閉状態となる直前の揺動位置から全閉状態に対応する揺動位置に移動する際の第2揺動絞り羽根48の揺動速度を増速するカム溝部分4804Aを設け、メカニカルシャッターとしての機能を確保した。
【0148】
また、本実施の形態では、ベース部材42の孔42Cの内側に第1揺動絞り羽根46のカム溝4604が位置した状態で、カム溝4604を直進絞り羽根44や第2揺動絞り羽根48で覆い、また、ベース部材42の孔42Cの内側に第2揺動絞り羽根48のカム溝4804が位置した状態で、カム溝4804を直進絞り羽根44や第1揺動絞り羽根46で覆うように構成されている。
【0149】
したがって、ベース部材42の孔42Cの内側に位置するカム溝を通った光が撮像素子18に到達することを確実に防止することができ、撮像素子18で撮像される画像の品質を確保する上で有利となっている。
【0150】
また、本実施の形態では、光軸Lを挟んで対向する対となる絞り羽根44、46、48同士を、光軸Lを中心として点対称となるように配置した。すなわち、一対の直進絞り羽根44同士、一対の第1揺動絞り羽根46同士、一対の第2揺動絞り羽根48同士のそれぞれを、それらを重ね合わせる方向において対称となるように配置した。
【0151】
そのため、光軸Lを挟んで対向する対となる絞り羽根同士が互いに干渉することを防止でき、絞り羽根の開閉動作の円滑化を図る上で有利となる。
【0152】
本実施の形態では、直進絞り羽根44をスライドさせると共に第1、第2揺動絞り羽根46、48を揺動させる駆動機構がモータ54および環板52を含んで構成されている場合について説明したが、駆動機構としてリンク機構を用いるなど従来公知のさまざまな構成が採用可能であることは無論である。
【0153】
また、本実施の形態では、光量調整装置40が一対の直進絞り羽根44と、一対の第1揺動絞り羽根46と、一対の第2揺動絞り羽根48との合計6枚の絞り羽根を有する場合について説明したが、光量調整装置40は一対の直進絞り羽根と一対の揺動絞り羽根で構成されていてもよく、その場合、一対の揺動絞り羽根は複数組設けられていてもよく、要するに絞り羽根の合計枚数は4枚であってもあるいは8枚以上であってもよい。
【0154】
また、本実施の形態では、撮像装置がビデオカメラである場合について説明したが、本発明は、デジタルスチルカメラやカメラ付き携帯電話機、監視カメラ装置などの撮像装置に広く適用可能である。
【0155】
また、本実施の形態では、光量調整装置が撮像装置に適用される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、本発明に係る光量調整装置をプロジェクター装置における光源の光量調整装置として用いるなど任意である。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本実施の形態の撮像装置10の斜視図である。
【図2】撮像装置10のディスプレイパネル22が開放位置に位置した状態の斜視図である。
【図3】撮像装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】光量調整装置40の構成を示す分解斜視図である。
【図5】光量調整装置40から直進絞り羽根44および第1、第2揺動絞り羽根46、48を取り除いて後方から見た斜視図である。
【図6】光量調整装置40から直進絞り羽根44および第1、第2揺動絞り羽根46、48を取り除いて後方から見た平面図である。
【図7】光量調整装置40を後方から見た斜視図である。
【図8】絞り用開口2が開放状態にある光量調整装置40を後方から見た平面図である。
【図9】絞り用開口2が開放状態にある光量調整装置40を後方から見た斜視図である。
【図10】絞り用開口2が開放状態にある光量調整装置40を前方から見た斜視図である。
【図11】絞り用開口2を1段絞った状態の光量調整装置40を後方から見た平面図ある。
【図12】絞り用開口2を1段絞った状態の光量調整装置40を後方から見た斜視図ある。
【図13】絞り用開口2を1段絞った状態の光量調整装置40を前方から見た斜視図である。
【図14】絞り用開口2を6段絞った状態の光量調整装置40を後方から見た平面図ある。
【図15】絞り用開口2を6段絞った状態の光量調整装置40を後方から見た斜視図ある。
【図16】絞り用開口2を6段絞った状態の光量調整装置40を前方から見た斜視図である。
【図17】絞り用開口2が全閉状態にある光量調整装置40を後方から見た平面図ある。
【図18】絞り用開口2が全閉状態にある光量調整装置40を後方から見た斜視図ある。
【図19】絞り用開口2が全閉状態にある光量調整装置40を前方から見た斜視図である。
【図20】直進絞り羽根44の平面図である。
【図21】第1揺動絞り羽根46の平面図である。
【図22】第2揺動絞り羽根48の平面図である。
【図23】スペーサ50の平面図である。
【図24】ベース部材42と環板52の断面図である。
【図25】図11の矢印A部分の拡大図である。
【図26】図11の矢印A部分のうちスペーサ50を省いた拡大図である。
【図27】(A)は虹彩絞りにおける絞り形状のゴーストの説明図、(B)は2枚の絞り羽根によって形成される絞り形状のゴーストの説明図である。
【符号の説明】
【0157】
L……光軸、2……絞り用開口、40……光量調整装置、44……直進絞り羽根、46……揺動絞り羽根、48……揺動絞り羽根、4402……ガイド溝、4804…カム溝、50…スペーサ、5002…取付孔、58…ガイドピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の光軸を中心とする絞り用開口の大きさを調整する光量調整装置であって、
前記絞り用開口の対向する箇所に前記光軸と直交する平面に沿って前記光軸に対して接離する方向にスライド可能に設けられた一対の直進絞り羽根と、
前記絞り用開口の対向する箇所に前記光軸と平行する軸心を中心として前記光軸に対して接離する方向に揺動可能に設けられた一対の揺動絞り羽根と、
前記直進絞り羽根と前記揺動絞り羽根の間に設けられたスペーサと、
前記一対の直進絞り羽根をスライドさせると共に前記一対の揺動絞り羽根を揺動させることで前記絞り用開口の大きさを調整する駆動機構とを備え、
前記スペーサは一対設けられ、前記一対のスペーサのうちの一方のスペーサが、前記一対の直進絞り羽根のうちの一方に設けられた前記直進絞り羽根のガイド溝を覆う位置にある
光量調整装置。
【請求項2】
前記スペーサは、前記直進絞り羽根をスライドさせるためのガイドピンによって、前記光量調整装置に前記光軸に垂直な平面において位置決めされている
請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記一方のスペーサには取付孔が設けられ、
前記直進絞り羽根の一方をスライドさせるためのガイドピンに前記一方のスペーサの取付孔が挿通されて、前記一方のスペーサが前記光軸に垂直な平面内において位置決めされる
請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項4】
前記揺動絞り羽根は、前記揺動絞り羽根を揺動するためのカム溝の一部に、前記揺動絞り羽根の揺動速度を増速するカム溝部分を備える
請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項5】
前記カム溝部分は、前記揺動絞り羽根が全閉状態となる直前の揺動位置から全閉状態の揺動位置に移動する際に用いられるカム溝部分に設けられる
請求項4に記載の光量調整装置。
【請求項6】
複数対の揺動絞り羽根を備え、
前記カム溝部分は、前記複数対の揺動絞り羽根のうちの一対の揺動絞り羽根に設けられる
請求項4に記載の光量調整装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2010−204693(P2010−204693A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140975(P2010−140975)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【分割の表示】特願2007−285077(P2007−285077)の分割
【原出願日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】