説明

光量調節装置及びそれを備えたカメラ

【課題】歩留まり向上と製品のコストダウンに寄与する光量調節装置及びそれを備えたカメラを提供する。
【解決手段】シャッタ装置21の押さえ板34は光学的開口部39を有し遮光幕35を基板37との間に移動可能に保持する。スペーサ36は基板37と押さえ板34との間隔を維持する。遮光幕35は予め所望のピッチで電気的な分極(エレクトレット)が施されている。基板37は光学的開口部22に近接する退避部23側に、遮光幕35を駆動するに必要な最小本数である駆動信号の相数(4相)と同数(4本)の帯状電極38を備えている。遮光幕35は光学的開口部22から退避部23に退避した状態から、退避部23から移動して光学的開口部22を塞ぐ状態に至るまで、基板37に設けられた4本の帯状電極38と常に対向するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩留まり向上と製品のコストダウンに寄与する光量調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラのシャッタ機構のような光量調節装置に誘電電荷型アクチュエータを応用したカメラ用シャッツタ、絞り装置が提案されている。その機構としては1個のステータ(固定子)に対しスライダ(移動子)が1個のものと2個のものがあり、いずれもスライダをシャッタ羽根又は絞り羽根として機能させている。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平08−220592号公報([要約]、図1、[0011]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1に開示されている光量調節装置の基板(固定子)には、遮光幕(移動子)の移動範囲全域に渡って帯状電極が設けられている。そして、その基板に設けられる帯状電極の巾は数十μm、その配設ピッチは100μm程度と微細なものであり、これを少なくとも10mm以上の範囲全面に配設するとなると、100本を越える帯状電極を基板に形成する必要がある。
【0004】
ところが、基板に設けられた帯状電極の1本にでも不具合があれば遮光幕を駆動することが出来ないから不良基板として基板そのものを廃棄せざるを得なくなる。そのようにたとえ1本でも帯状電極に不具合があっただけで基板を廃棄しなければならないのでは、基板生産の歩留まりが低下し、歩留まりが低下すると、基板は極めて高価なものであるから製品基板の単価が大きく上昇するという問題が発生する。
【0005】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、歩留まり向上と製品のコストダウンに寄与する光量調節装置及びそれを備えたカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、本発明に係わる光量調節装置及びそれを備えたカメラの構成を述べる。
先ず、第1の発明の光量調節装置は、少なくとも、予め所望の間隔で分極された遮光幕と、該遮光幕を駆動するための帯状電極と、光学的開口部を有する基板と、を備えた光量調節装置であって、上記帯状電極は、上記遮光幕の移動方向において上記遮光幕の移動範囲よりも狭い範囲に設けられているように構成される。
【0007】
上記帯状電極は、上記遮光幕を駆動する駆動信号の相数と同じ本数が設けられ、該相数と同じ本数が上記遮光幕の移動範囲において常に上記遮光幕と対向しているように構成される。
【0008】
この光量調節装置において、上記帯状電極は、例えば上記遮光幕が光学的開口部から退避した範囲にも更に設けられるように構成してもよく、また、例えば上記遮光幕が光学的開口部と重なる範囲にも更に設けられるように構成してもよい。
【0009】
また、この光量調節装置において、例えば上記遮光幕を上記基板との間に移動可能に保持する押さえ板を更に具備するように構成することが好ましい。
次に、第2の発明のカメラは、上述したいずれかの光量調節装置を光学系のシャッタ位置又は絞り位置に備えて構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯状電極を遮光幕の移動方向において遮光幕の移動範囲よりも狭い範囲に設けるので、基板当たりの帯状電極の不具合発生の可能性を低減することができ、これにより、基板の歩留まり向上と延いては製品コストの低減に寄与することができる光量調節装置及びそれを備えたカメラを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1A、図1Bは、本発明の光量調節装置を備えたカメラとしてのデジタルカメラの概略構成を示す図であり、図1Aはデジタルカメラの前面からの外観を示す斜視図、図1Bはデジタルカメラ内部の主要部の配置状態を示す斜視図である。
【0012】
図1Aに示すように、デジタルカメラ1は、前面右上隅に撮影レンズ窓2を備え、その左方にストロボ照射窓3を備えている。また、上面の左端部にはレリーズボタン4が設けられている。
【0013】
図1Bに示すように、デジタルカメラ1の内部は、全体の左方ほぼ2/3を占めて、各種の電子部品を搭載した回路基板5からなる制御装置や着脱交換自在な電池6などが配置されている。そして、その右方の全体のほぼ1/3を占める部分には、ユニット化されたレンズ装置7が配設されている。
【0014】
レンズ装置7は、図1Aの撮影レンズ窓2から図1Bに示す撮影光軸O1に沿って入射する被写体からの光束を、その光軸O1がほぼ直角に下方に折り曲がるように反射させ、その下方に折り曲げられた後述する第2の光軸O2に沿って、上記の入射光束を、レンズ装置7の下端部に配設されている例えばCCDなどからなる撮像素子まで導いて撮像画像を生成する。
【0015】
尚、図1Bに示すXYZの矢印は、カメラの幅、奥行き、高さの方向を示しており、カメラのY方向の厚さが薄いほどカメラ全体が薄型となり、近年のデジタルカメラへのユーザ志向である小型化・薄型化に適合する構成となる。
【0016】
図2は、図1Bに示すレンズ装置7のA−A´矢視断面をデジタルカメラ1の図1Bの左方から見た図であり、レンズユニット各部の概略の構成を示している。図1Bに示したレンズ装置7の内部には、この図2に示すように、上記下方に折り曲げられた第2の光軸O2に沿って第1の固定鏡枠部8にレンズ群が保持された第1の固定レンのズ部9、第1の移動鏡枠11にレンズ群が保持された第1の移動レンズ部12、第2の移動鏡枠13にレンズ群が保持された第2の移動レンズ部14、第3の移動鏡枠15にレンズが保持された第3の移動レンズ部16、第2の固定鏡枠部17にレンズが保持され第2の固定レンズ部18及びこれらのレンズ部の終端に配置された撮像素子19とで構成されている。
【0017】
上記第1の移動レンズ部12及び第2の移動レンズ部14は、このレンズ装置7の光学系の第2の光軸O2に沿って入射する被写体の光束の焦点距離を変化させる、つまりズーム比調節用のために設けられ、第3の移動レンズ部16は、上記の光束が撮像素子19上に結像する焦点調節のために設けられている。そして、上記第1の移動レンズ部12と第2の移動レンズ部14の間には、シャッタ位置(絞り位置でもある)20が設けられている。
【0018】
図3は、左に、図1Bに示したレンズ装置7をデジタルカメラ1の図1Bの背面側から見た拡大斜視図を示し、右に、そのシャッタ装置(又は絞り装置)を単独に示している。図3に示すように、レンズ装置7には、図2に示したシャッタ位置(絞り位置)20にシャッタ装置(又は絞り装置、以下同様)21が組み込まれている。シャッタ装置21は、図3の右に示すように、長方形の平らな板状体をなす装置であり、第2の光軸O2の透過路となる光学的開口部22と、この光学的開口部22に隣接する退避部23を有している。
【0019】
このシャッタ装置21の光学的開口部22を透過する第2の光軸O2の終端すなわちレンズ装置7の下端部には、図2にも示した撮像素子19が配置されている。
ここで、本例におけるシャッタ装置21における遮光幕を駆動するシャッタ機構の駆動原理を説明する。尚、説明を判り易くするために、帯状の複数の帯状電極が基板の光学的開口部と周辺縁部を除く全面に配設されている場合の例を取り上げて説明する。
【0020】
図4A、図4Bは、本発明のシャッタ装置におけるシャッタ機構の駆動原理を説明する図である。尚、以下の駆動原理の説明では、基板に代えて固定子と言い、遮光幕に代えて移動子と言うことにする。
【0021】
本シャッタ機構は、基本的に内部に固定子24と移動子25とを備え、移動子25は、固定子24に対して図4A、図4Bに示すように左右方向に移動自在に構成されている。そして、固定子24には、被写体からの光像を撮像素子(図2、図3の撮像素子19参照)に導くための開口部(光学的開口部26)が設けられ、更に、帯状の複数の帯状電極27が所定の間隔で並べて形成されている。他方の移動子25は、遮光性を有する部材であり、永久分極された誘電体の部位を備えている。このような移動子25の構成はエレクトレットと呼ばれている。
【0022】
一般に、エレクトレットとは、電気を通しにくい例えばテフロン(登録商標)、ポリプロピレン、マイラーなどの高分子材料を加熱溶融し、これに直流の高電圧を加えながら電極の間で固化させたあとで電極を取り去ると、電極に接していた面が正または負に帯電し、これらの分極(正と負の電気に分かれた状態)が半永久的に保持されているもののことを称する用語である。
【0023】
上記のシャッタ機構において、帯状電極27に正負の電圧を周期的に印加すると、帯状電極27と移動子25の上記エレクトレットとの間に吸引力又は反発力が発生し、結果的に移動子25が固定子24に対して相対移動する。
【0024】
したがって、移動子25が固定子24の開口部(光学的開口部26)を開放又は遮蔽するように移動可能にすることによってシャッタ機構を構成することができる。図4Aはシャッタが開の状態を示し、図4Bはシャッタが閉の状態を示している。以下、本構成に係るシャッタ機構を「エレクトレットシャッタ」と称することにする。
【0025】
なお、固定子24の開口部(光学的開口部26)は、必ずしも貫通孔のような物理的な開口部とする必要はなく、固定子24を透過部材とし、開口部に相当する位置に帯状電極27が設けられていない透過領域を形成するようにしても良い。
【0026】
図5は、エレクトレットシャッタとその駆動回路を模式的に示す図である。同図は右にエレクトレットシャッタの断面を模式的に示し、左に駆動回路をブロック図で示している。同図に示すように、固定子24に並べられたそれぞれの帯状電極27には、駆動(電圧印加)回路28からの電圧信号線が接続されている。この電圧信号線には4相の電圧信号が印加され、従って、帯状電極27には、4本毎に同一の電圧信号が印加される。図5では、帯状電極27にA、B、C、Dの符号を付してこの電圧信号を区別している。
【0027】
この固定子24の帯状電極27の配設面に対向して移動子25が配置されている。移動子25には、固定子24との対向面に永久分極された上述した誘電体(エレクトレット)29を複数備えている。
【0028】
同図の左に示す駆動回路28では、パルス発生回路31で矩形波列(駆動パルス信号)が生成され、この駆動パルス信号が昇圧回路32と位相器33に供給される。昇圧回路32では、入力した駆動パルス信号を100V程度まで昇圧するとともに、2つの極性を有する電圧信号に分岐して、帯状電極A及びCに供給する。
【0029】
他方、位相器33に入力した駆動パルス信号は、90°位相が遅れた波形となり、その後、昇圧回路32に入力されて、上述と同様の2つの極性を有する電圧信号に分岐されて帯状電極B及びDに供給される。
【0030】
図6は、駆動回路28によって生成されて帯状電極27に印加される電圧信号列を示す図である。帯状電極27の電圧の状態は、期間Tにおけるt1〜t4の4つの状態変化が時間tにおける期間Tごとの経過に対応して繰り返される。
【0031】
図7A〜図7Dは、上記のエレクトレットシャッタの動作を更に説明する図である。図7Aは図6において各帯状電極27(A,B,C,D)の電圧状態が、図6に示したt1の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと帯状電極との対応関係を示している。
【0032】
エレクトレット29aは、帯状電極Aから反発力を受け、帯状電極Bから吸引力を受ける。また、エレクトレット29bは、帯状電極Cから反発力を受け、帯状電極Dから吸引力を受ける。このため、移動子25は図の右方向に力を受けて、1つの帯状電極ピッチdだけ移動する。
【0033】
図7Bは、上記に続いて図6に示したt2の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと帯状電極との対応関係を示している。エレクトレット29aは、帯状電極Bから反発力を受け、帯状電極Cから吸引力を受ける。また、エレクトレット29bは、帯状電極Dから反発力を受け、帯状電極Aから吸引力を受ける。このため、移動子25は図の右方向に力を受けて、再び1つの帯状電極ピッチdだけ移動する。
【0034】
図7Cは、上記に続いて図6に示したt3の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと帯状電極との対応関係を示し、図7Dは、図7Cに続いて図6に示したt4の印加電圧の状態に切り替った直後のエレクトレットと帯状電極との対応関係を示している。図7A、図7Bで説明した動作と同様に、移動子25は、1つの帯状電極ピッチdだけ順次移動する。
【0035】
そして、この動作が繰り返されることにより、移動子25は図の右方向に移動する。なお、移動子25を図の左方向に移動するためには、帯状電極27に印加する電圧の極性を逆に切り替えればよい。
【0036】
このように、本例の移動子25は、それ自体が半永久的な分極帯電部を備えているので、例えば誘導電荷形アクチュエータのように、電圧印加、電荷蓄電及び静電誘導を繰り返す手数と時間を要することなく、単に駆動電圧の印加だけで移動子を迅速に駆動することができる。
【実施例1】
【0037】
図8Aは、図3に示したシャッタ装置21の第1の実施例の分解斜視図であり、図8B及び図8Cは、そのシャッタ装置21の動作状態を示す図である。図8Aに示すシャッタ装置21は、図の左下から右上に示す押さえ板34、遮光幕35、スペーサ36、基板37とで構成される。
【0038】
押さえ板34は、光学的開口部39を有し遮光幕35を基板37との間に移動可能に保持するために設けられる。そして、スペーサ36は、基板37と押さえ板34との間隔を維持するために設けられている。遮光幕35は、図では定かに見えないが、予め所望のピッチで電気的な分極(エレクトレット)が施されている。基板37には、光学的開口部22に近接して退避部23(図3参照)側に4本の帯状電極38が形成されている。帯状電極38には、図5に示した駆動回路28が接続されており、駆動回路28は図5で説明したように遮光幕35を駆動制御する。
【0039】
本例では、図5の駆動回路28に示したように、帯状電極38に4相の電圧信号が印加されて遮光幕35が駆動される。本例では帯状電極38の本数を、遮光幕35を駆動するに必要な最小本数、すなわち駆動信号の相数(4本)としている。
【0040】
尚、上記の光学的開口部22及び39は、必ずしも貫通孔のような物理的な開口部とする必要はなく、基板37、押さえ板34をそれぞれ透明な部材で構成すれば、それで良い。
【0041】
図8Bは、上記構成のシャッタ装置21において、遮光幕35が光学的開口部22(及び39、以下同様)から退避部23に退避した状態を示し、図8Cは、遮光幕35が退避部23から移動して光学的開口部22を塞いだ状態を示している。図8B、図8Cから分かるように、遮光幕35は、光学的開口部22から退避部23に退避した状態から、退避部23から移動して光学的開口部22を塞ぐ状態に至るまで、基板37に設けられた4本の帯状電極38と常に対向するようになっている。
【0042】
よって、この4本の帯状電極38に駆動回路28から4相の電圧信号を供給することにより、遮光幕35を光学的開口部22から退避部23に退避した位置から、退避部23から光学的開口部22を塞ぐ状態に至るまで駆動することができる。これとは逆方向にも遮光幕35を駆動できることは勿論である。
【実施例2】
【0043】
図9Aは、図3に示したシャッタ装置21の第2の実施例の分解斜視図であり、図9B及び図9Cは、その第2の実施例としてのシャッタ装置21の動作状態を示す図である。尚、図9A、図9B、図9Cには図8A、図8B、図8Cと同一の構成部分には図8A、図8B、図8Cと同一の番号を付与して示している。
【0044】
図9Aに示す第2の実施例としてのシャッタ装置21は、図の左下から右上に示す押さえ板34、遮光幕35、スペーサ36、基板37とで構成される点では、第1の実施例の場合と同様である。但し、本例では、基板37には、光学的開口部22に近接して退避部23側に設けられた4本の帯状電極38´に更に加えて、これら4本の帯状電極38´より退避部23側にも、すなわち遮光幕35が光学的開口部22から退避した範囲にも帯状電極38が設けられている。
【0045】
そして、図9B、図9Cに示すように、光学的開口部22に隣接して設けられた駆動信号の相数分(体実施例では4本)の帯状電極38´だけは、遮光幕35の移動範囲において常に遮光幕35と対向するように、遮光幕35の大きさが設定されている。
【0046】
このように、4本の帯状電極38´に更に加えて、これら4本の帯状電極38´より退避部23側にも帯状電極38を配置することにより、遮光幕35が退避部23から光学的開口部22を塞ぐ方向に移動する際に、より大きな駆動力を得ることができる。
【実施例3】
【0047】
図10Aは、図3に示したシャッタ装置21(本例の場合は絞り装置)の第3の実施例の分解斜視図であり、図10B及び図10Cは、その第3の実施例としての絞り装置21の動作状態を示す図である。尚、図10A、図10B、図10Cには、図8A、図8B、図8Cと同一の構成部分には図8A、図8B、図8Cと同一の番号を付与して示している。
【0048】
図10Aに示す第3の実施例としての絞り装置21は、図の左下から右上に示す押さえ板34、絞り孔41を有する遮光幕42、スペーサ36、基板37とで構成される。本例では、基板37には、光学的開口部22に近接して退避部23側の位置43に設けられた4本の帯状電極38´に更に加えて、遮光幕42が光学的開口部22と重なる状態の位置44にも帯状電極38が設けられえている。
【0049】
本例においても、図10B、図10Cに示すように、光学的開口部22に隣接して設けられた駆動信号の相数分(体実施例では4本)の帯状電極38´だけは、遮光幕35の移動範囲において常に遮光幕35と対向するように、遮光幕35の大きさが設定されている。
【0050】
このように、4本の帯状電極38´に更に加えて、これら4本の帯状電極38´より遮光幕42が光学的開口部22と重なる状態の位置44にも帯状電極38を配置することにより、遮光幕35が光学的開口部22に重なった絞り位置の状態から、光学的開口部22から退避部23方向に移動する際に、より大きな駆動力を得ることができる。
【0051】
尚、上述した第1〜第3の実施例では、遮光幕の移動範囲において、常に遮光幕と対向している帯状電極の本数を駆動信号の相数(4本)としたが、相数以上であれば本数は限定されるものではない。
【0052】
以上説明したように、本発明によれば、基板に設ける帯状電極を少なくとも遮光幕の移動範囲において常に遮光幕と対向する位置に、少なくとも遮光幕を駆動する駆動信号の相数と同じ本数を設けるように構成されるので、遮光幕への駆動力を維持しながら帯状電極の配設数を減らすことができ、これにより、不良帯状電極の発生率を低減させることができ、歩留まり向上と製品のコストダウンに寄与する光量調節装置及びそれを備えたカメラを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】本発明の光量調節装置を備えたカメラとしてのデジタルカメラの概略構成を示す前面からの外観斜視図である。
【図1B】図1Aのデジタルカメラの概略構成を示すためカメラ内部の主要部の配置状態を示す斜視図である。
【図2】図1Bに示すレンズ装置のA−A´矢視断面をデジタルカメラの図1Bの左方から見たレンズユニット各部の概略構成を示す図である。
【図3】左側に、図1Bに示したレンズ装置をデジタルカメラの図1Bの背面側から見た拡大斜視図を示し、右側に、そのシャッタ装置(又は絞り装置)を単独に示している。
【図4A】本発明のシャッタ装置のシャッタ機構の駆動原理を説明する図(その1)である。
【図4B】本発明のシャッタ装置のシャッタ機構の駆動原理を説明する図(その2)である。
【図5】本発明のシャッタ装置に係わるエレクトレットシャッタとその駆動回路を模式的に示す図である。
【図6】エレクトレットシャッタの駆動回路によって生成されて帯状電極に印加される電圧信号列を示す図である。
【図7A】エレクトレットシャッタの動作を更に説明する図(その1)である。
【図7B】エレクトレットシャッタの動作を更に説明する図(その2)である。
【図7C】エレクトレットシャッタの動作を更に説明する図(その3)である。
【図7D】エレクトレットシャッタの動作を更に説明する図(その4)である。
【図8A】図3に示したシャッタ装置の第1の実施例の分解斜視図である。
【図8B】第1の実施例のシャッタ装置の動作状態を示す図(その1)である。
【図8C】第1の実施例のシャッタ装置の動作状態を示す図(その2)である。
【図9A】図3Bに示したシャッタ装置の第2の実施例の分解斜視図である。
【図9B】第2の実施例としてのシャッタ装置の動作状態を示す図(その1)である。
【図9C】第2の実施例としてのシャッタ装置の動作状態を示す図(その2)である。
【図10A】図3Bに示したシャッタ装置(絞り装置)の第3の実施例の分解斜視図である。
【図10B】第3の実施例としての絞り装置の動作状態を示す図(その1)である。
【図10C】第3の実施例としての絞り装置の動作状態を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0054】
1 デジタルカメラ
2 撮影レンズ窓
3 ストロボ照射窓
4 レリーズボタン
5 回路基板
7 レンズ装置
O1 光軸
O2 第2の光軸
8 第1の固定鏡枠部
9 第1の固定レンのズ部
11 第1の移動鏡枠
12 第1の移動レンズ部
13 第2の移動鏡枠
14 第2の移動レンズ部
15 第3の移動鏡枠
16 第3の移動レンズ部
17 第2の固定鏡枠部
18 第2の固定レンズ部
19 撮像素子
20 シャッタ位置(絞り位置)
21 シャッタ装置(絞り装置)
22 光学的開口部
23 退避部
24 固定子
25 移動子
26 光学的開口部
27 帯状電極
28 駆動回路
29 誘電体(エレクトレット)
31 パルス発生回路
32 昇圧回路
33 位相器
34 押さえ板
35 遮光幕
36 スペーサ
37 基板
38、38´ 帯状電極
39 光学的開口部
41 絞り孔
42 遮光幕
43 退避部側の位置
44 遮光幕が光学的開口部と重なる状態の位置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、予め所望の間隔で分極された遮光幕と、該遮光幕を駆動するための帯状電極と、光学的開口部を有する基板と、を備えた光量調節装置であって、
前記帯状電極は、前記遮光幕の移動方向において前記遮光幕の移動範囲よりも狭い範囲に設けられていることを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
前記帯状電極は、前記遮光幕を駆動する駆動信号の相数と同じ本数が設けられ、該相数と同じ本数が前記遮光幕の移動範囲において常に前記遮光幕と対向していることを特徴とする請求項1記載の光量調整装置。
【請求項3】
前記帯状電極は、前記遮光幕が光学的開口部から退避した範囲にも更に設けられていることを特徴とする請求項2記載の光量調節装置。
【請求項4】
前記帯状電極は、前記遮光幕が光学的開口部と重なる範囲にも更に設けられていることを特徴とする請求項2記載の光量調節装置。
【請求項5】
前記遮光幕を前記基板との間に移動可能に保持する押さえ板を更に具備することを特徴とする請求項1記載の光量調節装置。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれかに記載の光量調整装置を光学系のシャッタ位置又は絞り位置に備えたことを特徴とするカメラ。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公開番号】特開2006−18105(P2006−18105A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197057(P2004−197057)
【出願日】平成16年7月2日(2004.7.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】