説明

光電変換モジュール

【課題】光電変換モジュールを重ね合わせた際の全体の容量を小さくする。
【解決手段】光電変換モジュール200の裏面に配置されたフレーム26を備え、フレーム26は、光電変換モジュール200に固定される固定部26aと、固定部26aから光電変換モジュール200の裏面に対して立ち上げられた端部26bと、を備える形状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システム等の光電変換システムは、一般的に、複数の光電変換素子を直並列に接続し、充填剤等で封入し、金属枠等の構造体を一体的に形成した光電変換モジュールとして形成される。光電変換システムは、据え付け箇所に設けられた架台に光電変換モジュールを取り付けることで設置される。
【0003】
例えば、特許文献1には、略コ字状断面を有し、光電変換モジュールの周囲に沿って分割され、コ字状断面の開口部をモジュール周囲に嵌めて光電変換モジュールを固定保持するフレームを備えた光電変換モジュールが開示されている。
【0004】
また、図8に示すように、表面側ガラス16と裏面側ガラス12とに挟まれるように光電変換素子14が形成された光電変換モジュール100において、両端10aが裏面側ガラス12に接着され、裏面側ガラス12から離れた位置に中央部10bが位置するように両端10aと中央部10bとを繋ぐ側面部10cが設けられたブリッジ形状を有するフレーム10を備えた構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−20766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の光電変換モジュール100のフレーム10では、複数の光電変換モジュール100を重ね合わせて搬送する場合、図9に示すように、光電変換モジュール100の裏面同士を重ねる際にフレーム10の凸状に突出した部分の幅Wずらして重ね合わせる必要がある。その結果、輸送時の体積が嵩張り、輸送コストが増大するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様は、光電変換モジュールであって、光電変換モジュールを設置する際に架台に固定するために光電変換モジュールの裏面に配置されたフレームを備え、フレームは、光電変換モジュールに固定される固定部と、固定部から光電変換モジュールの裏面に対して立ち上げられた端部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重ね合わせた際の全体の容量を従来より小さくすることができる光電変換モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの構成の別例を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの据え付け状態を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの据え付け状態を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの搬送状態を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における光電変換モジュールの搬送状態を示す断面図である。
【図8】従来の光電変換モジュールの構成を示す断面図である。
【図9】従来の光電変換モジュールの搬送状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態における光電変換モジュール200は、図1の断面図に示すように、表面側基板20、光電変換素子22、裏面側基板24及びフレーム26を含んで構成される。
【0011】
表面側基板20は、光電変換素子22を表面側から支持する部材である。表面側基板20は、入射した光を透過して光電変換素子22へ導けるように、例えば、ガラス、プラスチック等の透光性を有する材料で構成する。
【0012】
裏面側基板24は、光電変換素子22を裏面側から支持する部材である。光電変換モジュール200を表面及び裏面の両方から光を受光することができるタイプとするには、裏面側基板24は、例えば、ガラス、プラスチック等の透光性を有する材料で構成する。なお、光電変換モジュール200を表面のみから光を受光することができるタイプとする場合には、裏面側基板24は、エポキシ、ウレタン等の樹脂や熱可塑性の樹脂を硬化させたもの、金属等の不透光性の部材としてもよい。
【0013】
光電変換素子22は、透明導電層及び光電変換層の積層構造を含んで構成される。透明電極層としては、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等に錫(Sn)、アンチモン(Sb)、フッ素(F)、アルミニウム(Al)等をドープした透明導電性酸化物(TCO)を適用することができる。また、光電変換層は、透明導電層上に形成される。光電変換層としては、例えば、アモルファスシリコン光電変換層、微結晶シリコン光電変換層及びそれらのタンデム構造並びにガリウム砒素系等の化合物半導体光電変換層等を適用することができる。アモルファスシリコン光電変換層や微結晶シリコン光電変換層とする場合には、P型半導体層とN型半導体層とを積層したPN型光電変換層やP型半導体、I型半導体及びN型半導体を積層したPIN型光電変換層とすることが好適である。
【0014】
また、光電変換素子22は、レーザ光等を用いて透明導電層及び光電変換層を分割する分割溝を形成し、複数の光電変換素子を直列又は並列に接続した構成としてもよい。レーザ光としては、例えば、波長1064nm,532nmのYAGレーザを用いることができる。
【0015】
光電変換モジュール200を表面及び裏面の両方から光を受光するタイプとする場合、表面側基板20及び裏面側基板24上にそれぞれ光電変換素子22を形成し、透明導電層や金属層等の中間層を挟んで光電変換素子22同士を接続する構成とすればよい。
【0016】
一方、光電変換モジュール200を表面のみから光を受光するタイプとする場合、表面側基板20上に光電変換素子22を形成し、さらに裏面電極及び樹脂等を挟んで裏面側基板24を設ければよい。裏面電極としては、例えば、反射性金属と透明導電性酸化物(TCO)との積層構造とすることが好適である。反射性金属としては、銀(Ag)、アルミニウム(Al)等が使用できる。また、透明導電性酸化物(TCO)としては、酸化錫(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウム錫酸化物(ITO)等が使用できる。樹脂としては、EVA等の樹脂材料を用いることが好適である。
【0017】
フレーム26は、図2の光電変換モジュール200の裏面側からみた平面図に示すように、光電変換モジュール200の裏面側基板24上に設けられる。フレーム26は、光電変換モジュール200を据え付ける際に架台に留具等の固定部材によって固定され、光電変換モジュール200を架台に固定するために用いられる。
【0018】
フレーム26は、光電変換モジュール200を据え付け及び支持するために十分な機械的な強度を有する材料で構成する。フレーム26は、金属や強化プラスチック等で構成することが好適である。フレーム26は、例えば、アルミニウム材で構成することが好適である。
【0019】
フレーム26は、短冊状又は梁状等の任意の大きさとしてもよいが、図2に示すように、架台に確実かつ安定に固定するためには梁状に延設することがより好適である。
【0020】
フレーム26の固定位置は特に限定されるものではないが、図2に示すように、光電変換素子22に設けられた分離溝22aに重ね合わせるように配置することが好適である。これにより、分離溝22aを介して光電変換モジュール200を透過してきた光をフレーム26によって反射させ、光電変換素子22に再度入射させることができ、光電変換モジュール200の光電変換効率を高めることができる。したがって、フレーム26は、光の反射率が高い材質又は色とすることが好適である。例えば、フレーム26を反射率の高いアルミニウム等の金属で構成することが好適である。また、フレーム26の色を反射率の高い白等とすることが好適である。
【0021】
フレーム26は、図1の断面図に示すように、光電変換モジュール200の裏面側基板24に固定される固定部26aと、固定部26aから屈曲部26cを介して延設され、裏面側基板24の表面から立ち上げられた端部26bとを備える。固定部26aは、光電変換モジュール200の裏面側基板24に対して接着剤等によって固定される。
【0022】
また、端部26bには、フレーム26を架台に固定する際に用いられる留具用の穴26dが設けられる。留具用の穴26dは、端部26bの側面を貫通するように設けることが好適である。留具用の穴26dの代りに、架台に設けられた係止部材と係合させる係止構造を固定部26a又は端部26bに設けてもよい。
【0023】
フレーム26は、図1に示すように、固定部26aの両側から端部26bが立ち上げられたコ字状の断面を有する形状としてもよいし、図3に示すように、固定部26aの片側のみから端部26bが立ち上げられたL字状の断面を有する形状としてもよい。コ字状の断面とした場合、L字状の断面とした場合に比べて光電変換モジュール200を固定したときの機械的な強度を高めることができる。一方、L字状の断面とした場合、コ字状の断面とした場合に比べて光電変換モジュール200の重量を軽量化することができる。
【0024】
また、フレーム26は、裏面側基板24と一体となるように形成されたものを用いてもよい。この場合、接着剤によりフレーム26と裏面側基板24とを固定する必要がなくなり、光電変換モジュール200を固定したときの機械的な強度を高めることができる。
【0025】
光電変換モジュール200を据え付ける際には、図4及び図5に示すように、フレーム26の留具用の穴26dを用いて据え付け場所に設けた架台202に対して留具204によって固定することができる。
【0026】
また、光電変換モジュール200を搬送する際には、図6及び図7に示すように、光電変換モジュール200の裏面側同士を向かい合わせて重ねて搬送することができる。このとき、図6及び図7に示すように、フレーム26の端部26bの厚みdだけずらせば光電変換モジュール200を重ね合わせることができ、フレーム全体の幅Wだけずらさなければ重ね合わせることができなかった従来よりも搬送時の容量を小さくすることができる。
【0027】
また、光電変換モジュール200を重ね合わせた際に、図6及び図7に示すように、フレーム26の厚みdによって光電変換モジュール200の間に間隙gが生じ、搬送時に光電変換モジュール200同士が接触することを防ぐことができる。これによって、搬送時における光電変換モジュール200の破損を低減することができる。
【0028】
特に、フレーム26の断面をコ字状にした場合、光電変換モジュール200同士が横にずれたときであってもフレーム26の端部26bによってずれの幅が抑制される。これによって、搬送時において光電変換モジュール200同士がずれることでフレーム26が重ね合わされた隣の光電変換モジュール200の裏面側基板24に接触することを避けることができ、光電変換モジュール200の破損を低減することができる。
【0029】
なお、フレーム26は、図1及び図3に示すように、端部26bを裏面側基板24から略垂直に立ち上げた形状としてもよいし、端部26bを裏面側基板24から90°未満の角度で立ち上げた形状としてもよい。端部26bを裏面側基板24から90°未満の角度で立ち上げた場合、光電変換モジュール200の据え付けの際にフレーム26を架台202に嵌め込む処理が容易となる等の利点がある。一方、端部26bを裏面側基板24に対して略垂直に立ち上げた場合、光電変換モジュール200を重ね合わせる際にずらさなければならない幅が端部26bの厚みdのみにできる点で利点がある。
【0030】
また、固定部26a、端部26b及び屈曲部26cは一体的に形成することが好ましいが、構造材として十分な強度が得られる場合には別部材を組み合わせ構成してもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 フレーム、10a 両端、10b 中央部、10c 側面部、12 裏面側ガラス、14 光電変換素子、16 表面側ガラス、20 表面側基板、22 光電変換素子、22a 分離溝、24 裏面側基板、26 フレーム、26a 固定部、26b 端部、26c 屈曲部、26d 穴、100,200 光電変換モジュール、202 架台、204 留具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換モジュールであって、
光電変換モジュールを設置する際に架台に固定するために光電変換モジュールの裏面に配置されたフレームを備え、
前記フレームは、光電変換モジュールに固定される固定部と、前記固定部から光電変換モジュールの裏面に対して立ち上げられた端部と、を備えることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光電変換モジュールであって、
前記フレームは、前記固定部から光電変換モジュールの裏面に対して両端が立ち上げられていることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光電変換モジュールであって、
前記端部は、光電変換モジュールを架台に固定するための固定用穴が設けられていることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の光電変換モジュールであって、
前記フレームは、光電変換モジュールに設けられた光電変換素子の分離溝に沿って配設されていることを特徴とする光電変換モジュール。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の光電変換モジュールであって、
前記端部は、光電変換モジュールの裏面に対して略垂直に立ち上げられていることを特徴とする光電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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