説明

免疫刺激力が増強されたC−クラスのオリゴヌクレオチドアナログ

【課題】免疫刺激性核酸、その組成物およびこの免疫刺激性核酸を使用する方法を提供する。
【解決手段】ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド間結合およびヌクレアーゼ感受性ヌクレオチド間結合を含むように改変された骨格を有し、その分子3’末端でまたはその付近で厳密なワトソン−クリックパリンドロームではなく介在配列またはヌクレオチドアナログが間に入り得る逆方向反復を有する二次構造を有する、免疫刺激性CPG含有オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、免疫刺激性核酸、その組成物およびこの免疫刺激性核酸を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細菌DNAは、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化させる免疫刺激効果を有するが、脊椎動物DNAは、その効果を有さない。非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;ならびに非特許文献4(総説Krieg,1998)および非特許文献5。現在、細菌DNAのこれらの免疫刺激効果は、特に塩基の状況では、非メチル化CpGジヌクレオチド(CpGモチーフ)の存在の結果であり、この非メチル化CpGジヌクレオチドは、細菌DNAにおいて共通するが、脊椎動物DNAでは、メチル化されており、かつ少ないことがわかっている。非特許文献6;非特許文献7。
【0003】
細菌DNAの免疫刺激効果は、これらのCpGモチーフを含む合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)で模倣され得る。このようなCpG ODNは、ヒトおよびマウス白血球に対して非常に刺激性の効果を有し、B細胞増殖;サイトカインおよび免疫グロブリン分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞の溶解活性およびインターフェロンγ(IFN−γ)分泌;ならびに樹状細胞(DC)、および同時刺激性分子を発現し、かつサイトカイン(特に、Thl様T細胞応答の発生を促進することにおいて重要なThl様サイトカイン)を分泌する他の抗原提示細胞の活性化を誘導する。ネイティブのホスホジエステル骨格CpG ODNのこれらの免疫刺激効果は、そのCpGモチーフがメチル化され、GpCに変化されるか、または他の方法で排除されるかもしくは変化する場合に、その効果が劇的に低下するという点で、非常にCpG特異的である。非特許文献6;非特許文献8。
【0004】
初期の研究において、その免疫刺激性CpGモチーフは、式 プリン−プリン−CpG−ピリミジン−ピリミジンに従うと考えられていた。非特許文献6;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11。しかし、現在では、マウスリンパ球が、この「式」に従わないホスホジエステルCpGモチーフに対して極めてよく応答することが明らかであり(非特許文献12)、ヒトB細胞および樹状細胞でも同じことがいえる(非特許文献8;非特許文献13)。
【非特許文献1】Tokunaga Tら、Jpn J Cancer Res(1988)79:682−6
【非特許文献2】Tokunaga Tら、JNCI(1984)72:955−62
【非特許文献3】Messina JPら、J Immunol(1991)147:1759−64
【非特許文献4】C.A.SteinおよびA.M.Krieg,(編),Applied Oligonucleotide Technology,John Wiley and Sons,Inc.,New York,NY,pp.431−448
【非特許文献5】Krieg AM、Annu Rev Immunol(2002)20:709−60
【非特許文献6】Krieg AMら、Nature(1995)374:546−9
【非特許文献7】Krieg AM、Biochim Biophys Acta(1999)1489:107−16
【非特許文献8】Hartmann Gら、Proc Natl.Acad Sci USA(1999)96:9305−10
【非特許文献9】Pisetsky DS、J Immunol(1996)156:421−3
【非特許文献10】Hacker Hら、EMBO J(1998)17:6230−40
【非特許文献11】Lipford GBら、Trends Microbiol(1998)6:496−500
【非特許文献12】Yi AKら、J Immunol(1998)160:5898−906
【非特許文献13】Liang Hら、J Clin Invest(1996)98:1119−29
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
以下の式I:
【化1】

の免疫刺激性核酸分子を含む組成物であって、ここで、
、Z、およびZの各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であって、該配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーもしくは無塩基性dSpacerを含み;
およびXの各々は、独立して、ヌクレオチドであって、該ヌクレオチドは、チミン、ウラシル、アデニン、もしくは5−置換ウラシルを含むヌクレオチドであり;
およびYの各々は、独立して、シトシン(C)もしくは改変シトシンであり;
およびRの各々は、独立して、グアニン(G)もしくは改変グアニンであり;
NおよびN’の各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であって、該配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーもしくは無塩基性dSpacerを含み;
は、非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットであって、2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、もしくは2’3’−ヌクレオシド間結合を必要に応じて提供し;
は、1〜10ヌクレオチド長のあらゆる非パリンドローム配列もしくは非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットであり;
,N,....N、およびN1#,N2#,...Nn#の各々は、任意のヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドであって、ここでNは、N1#と塩基対を形成し、Nは、N2#と塩基対を形成し、...そしてNは、Nn#と塩基対を形成し;
kは、0〜5までの整数であり;
nは、2〜16までの整数であり;
pは、1〜6までの整数であり;そして
qは、0〜10までの整数であり、そしてここで
(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)が10〜42ヌクレオチド長である場合、Sは、4〜10ヌクレオチド長であり、かつSは、非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットを含み、かつ/または(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)は、2/3未満のGC含量を有する、
組成物。
(項目2)
,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、C、G、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてCはGと塩基対を形成する、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目3)
,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、T、A、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてTはAと塩基対を形成する、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目4)
,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、C、T、A、G、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてCはGと塩基対を形成し、TはGと塩基対を形成し、AはTと塩基対を形成し、そしてAはGと塩基対を形成する、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目5)
,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択される、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目6)
,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々のうちの少なくとも1つは、ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択される、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目7)
少なくとも1つのホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格をさらに含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目8)
少なくとも1つの安定化したヌクレオチド間結合を有する骨格をさらに含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目9)
前記オリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合は、全てホスホロチオエート結合である、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目10)
もしくはYのうちの少なくとも1つを結合するホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格をさらに含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目11)
はCである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目12)
はGである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目13)
はCであり、RはGである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目14)
もしくはXは、Tである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目15)
はTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1である、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目16)
はTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1であり、pは1であり、NおよびN’ならびにZは、各々、ヌクレオチドを含まず、ZはTTTTもしくはd(UUUU)である、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目17)
は、非ヌクレオチドリンカーである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目18)
は、少なくとも1つの無塩基性dSpacer残基を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目19)
前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの分枝状非ヌクレオシド結合を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目20)
少なくとも1つの二重ユニット、少なくとも1つの三重ユニット、または少なくとも1つの二重ユニットと少なくとも1つの三重ユニットをさらに含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目21)
は二重ユニットまたは三重ユニットである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目22)
前記オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目23)
式III:
(Z’)(S) (式III)
の免疫刺激性核酸分子であって、ここで
Z’は、以下:
【化2】

であり;
、Z、およびZの各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であり、該配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;
およびXの各々は、独立して、チミン、ウラシル、アデニン、または5−置換ウラシルを含むヌクレオチドであり;
およびYの各々は、独立して、シトシンまたは改変シトシンであり;
およびRの各々は、独立して、グアニンまたは改変グアニンであり;
NおよびN’の各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であり、該配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;
は非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであって、必要に応じて、2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を提供し;
は、1〜10ヌクレオチド長のあらゆる非パリンドローム配列または非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであり;
は、直接的または間接的な2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合、または非ヌクレオチドリンカーであり、該非ヌクレオチドリンカーは、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニット、またはヘキサエチレングリコールユニットを含み、該無塩基性リンカーまたは該ユニットは、m配列部分の2’5’−結合、5’5’−結合、3’3’−結合、2’2’−結合、または2’3’−結合を促進し;
,N,...NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、任意のヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドであって、ここでNは、N1#と塩基対を形成し、Nは、N2#と塩基対を形成し、Nは、N3#と塩基対を形成し、...そしてNは、Nn#と塩基対を形成し;
kは、0〜5の整数であり;
mは、2〜10の整数であり;
nは、2〜16の整数であり;
pは、1〜6の整数であり;そして
qは、0〜10の整数である、
免疫刺激性核酸分子。
(項目24)
【化3】

は、非パリンドローム配列である、項目1または項目23に記載の免疫刺激性核酸分子を含む組成物。
(項目25)
【化4】

は、
【化5】

であり、LはdSpacerである、項目1または項目23に記載の免疫刺激性核酸分子を含む組成物。
(項目26)
【化6】

は、パリンドローム配列である、項目1または項目23に記載の免疫刺激性核酸分子を含む組成物。
(項目27)
【化7】

は、
【化8】

である、項目1または項目23に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目28)
【化9】

は、
【化10】

である、項目1または項目23に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目29)
【化11】

は、以下の配列
【化12】

を含み、ここでLは、dSpacerである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目30)
【化14】

は、以下の配列
【化15】

を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目31)
以下の配列:
【化16】

を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目32)
以下の配列:
【化17】

を含み、ここでLはdSpacerである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目33)
以下の配列:
【化19】

を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目34)
以下の配列:
【化20】

を含む、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目35)
以下:
【化21】

から選択される配列を含み、ここでLはdSpacerであり、
【化21A】

はホスホロチオエートであり、
【化21B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目36)
以下:
【化23】

から選択される配列を含み、ここで、
【化23A】

はホスホロチオエートであり、
【化23B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目37)
以下:
【化24】

から選択される配列を含み、ここで、
【化24A】

はホスホロチオエートであり、
【化24B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目38)
以下:
【化25】

から選択される配列を含み、ここで、
【化25A】

はホスホロチオエートであり、
【化25B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目39)
以下の配列:
【化26】

を含み、ここで、
【化26A】

はホスホロチオエートであり、
【化26B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目40)
以下:
【化27】

から選択される配列を含み、ここで、
【化27A】

はホスホロチオエートであり、
【化27B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目41)
以下の配列:
【化28】

を含み、ここで、
【化28A】

はホスホロチオエートであり、
【化28B】

はホスホジエステルである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目42)
前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドは、置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンである、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目43)
前記置換ピリミジンは、C5−置換ピリミジンもしくはC6−置換ピリミジンである、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目44)
前記置換プリンは、C8−置換プリンもしくはC7−置換プリンである、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目45)
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、5−置換シトシン、6−置換シトシン、N4−置換シトシン、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ、およびウラシル誘導体、チミン誘導体、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、7−デアザ−8−置換グアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、置換アデニン、8−置換グアニン、ならびに6−チオグアニンからなる群より選択される、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目46)
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、6−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、ならびに非置換型もしくは置換型の5−アルキニル−シトシン、N4−エチル−シトシン、N,N’−プロピレンシトシン、フェノキサジン、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオチミン、4−チオチミン、6−置換チミン、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン、N2−メチル−グアニン、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン、8−ヒドロキシグアニン、および8−ブロモグアニンからなる群より選択される、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目47)
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、ユニバーサル塩基(universal base)、芳香族環系、および水素原子(dSpacer)からなる群より選択される、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目48)
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、3−ニトロピロール、P−塩基、およびK−塩基、ベンズイミダゾール、ジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド、フルオロベンゼン、およびジフルオロベンゼンからなる群より選択される、項目42に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目49)
N、S、X、またはZのいずれかは、C6−C30アルキル鎖、胆汁酸、コール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、コレステロール、オレイルリトコール酸、オレオイルコラン酸、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、イソプレノイド、ステロイド、ビタミン類、ビタミンE、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセリド、ピレン、ポルフィリン、テキサフィリン、アダマンタン、アクリジン、ビオチン、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ジゴキシゲニン、ジメトキシトリチル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、シアニン色素類、シアニン色素Cy3、シアニン色素Cy576、Hoechst 33258色素、ソラレン、およびイブプロフェンからなる群より選択される残基によって置換されている、項目1に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目50)
(a)(TCG)NおよびRDCGYNから選択される免疫刺激性モチーフで始まる5’末端であって、ここでTはチミンであり、Cは非メチル化シトシンであり、Gはグアニンであり、Rはプリンであり、DはCでなく、YおよびYの各々は、独立してピリミジンであり、nは1〜4の整数であり、Nは、0〜12塩基長のあらゆる配列である、5’末端;
(b)ヘアピン構造もしくはステム−ループ構造を形成することができる逆方向反復で終結する3’末端であって、該構造は、
2〜6個の連続する塩基対長のGC−リッチのステム、および
少なくとも1つのマッチしない塩基またはミスマッチ塩基
を含む、3’末端;ならびに
(c)少なくとも1つのホスホジエステル5’−CpG−3’結合を含む、複数の安定化された骨格、
を含む、免疫刺激性核酸分子。
(項目51)
前記GC−リッチステムは、2個の連続する塩基対長である、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目52)
前記GC−リッチステムは、3個の連続する塩基対長である、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目53)
前記GC−リッチステムは、4個の連続する塩基対長である、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目54)
前記GC−リッチステムは、5個の連続する塩基対長である、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目55)
前記GC−リッチステムは、6個の連続する塩基対長である、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目56)
前記GC−リッチステムは、少なくとも2個のG−C塩基対を含む、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目57)
前記GC−リッチステムは、少なくとも3個のG−C塩基対を含む、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目58)
前記少なくとも1つのマッチしない塩基またはミスマッチ塩基は、Tである、項目50〜57のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目59)
少なくとも1つのホスホジエステル5’−CpG−3’結合を含む前記部分的に安定化された骨格は、複数のホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに含む、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目60)
前記5’末端は、
【化28−1】

として提供される配列を有する、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目61)
前記逆方向反復で終結する3’末端は、
【化28−2】

として提供される配列を有する、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目62)
前記逆方向反復で終結する3’末端は、
【化29】

として提供される塩基配列を有する、項目50に記載の免疫刺激性核酸分子。
(項目63)
【化30】

として提供される塩基配列を有する、免疫刺激性核酸。
(項目64)
【化31】

として提供される塩基配列を有する、免疫刺激性核酸。
(項目65)
【化32】

として提供される配列を有し、ここで、
【化32A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【化32B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である、免疫刺激性核酸。
(項目66)
【化33】

として提供される配列を有し、ここで、
【化33A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【化33B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である、免疫刺激性核酸。
(項目67)
【化34】

として提供される配列を有し、ここで、
【化34A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【化34B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である、免疫刺激性核酸。
(項目68)
【化35】

として提供される配列を有し、ここで、
【化35A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【化35B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である、免疫刺激性核酸。
(項目69)
項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸分子および抗原を含む、ワクチン。
(項目70)
項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸分子および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
(項目71)
I型インターフェロン(IFN)発現を誘導するための方法であって、該方法は、
I型IFNを発現することができる細胞と、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸とを、I型IFNの発現を誘導するに有効な量で接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目72)
前記I型IFNは、インターフェロンα(IFN−α)である、項目71に記載の方法。
(項目73)
γインターフェロン(IFN−γ)発現を誘導するための方法であって、該方法は、
IFN−γを発現することができる細胞と、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸とを、IFN−γの発現を誘導するに有効な量で接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目74)
ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化するための方法であって、該方法は、
NK細胞と、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸とを、該NK細胞を活性化させるに有効な量で接触させる工程、
を包含する、方法。
(項目75)
感染を処置するための方法であって、該方法は、
感染を有するか、または感染を発生させる危険性がある被験体に、該感染を処置または予防するに有効な量の、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸を投与する工程、
を包含する、方法。
(項目76)
前記被験体は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、または寄生生物感染から選択される感染を有するかまたは該感染を発生させる危険性がある、項目75に記載の方法。
(項目77)
前記被験体は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、パピローマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、または単純疱疹ウイルス(HSV)から選択されるウイルスによるウイルス感染を有するかまたは該ウイルス感染を発生させる危険性がある、項目75に記載の方法。
(項目78)
前記被験体は、Leishmania、Listeria、またはAnthraxから選択される細菌種による細菌感染を有するかまたは該細菌感染を発生させる危険性がある、項目75に記載の方法。
(項目79)
アレルギー状態を処置するための方法であって、該方法は、
アレルギー状態を有するかまたは該状態を発生させる危険性がある被験体に、該アレルギー状態を処置または予防するに有効な量の、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸を投与する工程、
を包含する、方法。
(項目80)
前記アレルギー状態は、アレルギー性喘息である、項目79に記載の方法。
(項目81)
癌を処置するための方法であって、該方法は、
癌を有するかまたは癌を発生させる危険性のある被験体に、該癌を処置または予防するに有効な量の、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸を投与する工程、を包含する、方法。
(項目82)
前記癌は、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系の癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼の癌、頭部および頸部の癌、胃癌、上皮内新生物、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝癌、肺癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋芽細胞腫、直腸癌、腎臓癌、呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、泌尿器系の癌、または他の癌腫および肉腫から選択される、項目81に記載の方法。
(項目83)
前記癌は、インターフェロンα(IFN−α)での処置に感受性の癌である、項目81に記載の方法。
(項目84)
前記IFN−αでの処置に感受性の癌は、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、AIDS関連カポージ肉腫、腎細胞癌、前立腺癌腫、子宮頚部形成異常、または結腸癌腫から選択される、項目83に記載の方法。
(項目85)
感染の処置において使用するための医薬の製造のための、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸の使用。
(項目86)
アレルギー状態の処置において使用するための医薬の製造のための、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸の使用。
(項目87)
アレルギー性喘息の処置において使用するための医薬の製造のための、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸の使用。
(項目88)
癌の処置において使用するための医薬の製造のための、項目1〜68のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸の使用。
【0006】
(発明の要旨)
本発明は、一部、その分子の3’末端でまたはその付近で逆方向反復を有する二次構造を有する、免疫刺激性CpG含有オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログに関する。この二次構造は、特定の条件下で、二重鎖またはより高次の構造の形成に関与する。本発明のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログの重要な特徴として、この逆方向反復は、厳密なワトソン−クリックパリンドロームではなく、介在配列またはヌクレオチドアナログが間に入り得る。本発明のオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログの別の特徴として、その骨格は、戦略的に配置されたヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド間結合およびヌクレアーゼ感受性ヌクレオチド間結合を含むように改変され、それによって、共に、活性に好都合でありかつ潜在的な毒性を低下させ得る。さらに、これらのオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログは、A−クラスおよびB−クラス両方の免疫刺激活性を発揮し、よって新規なC−クラス免疫刺激性核酸分子として分類されることが分かる。
【0007】
本発明は、一部、その分子の3’末端にまたはその付近に不完全なパリンドロームを含む、CpG含有免疫刺激性オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログが、それらの調製およびそれらの生物学的活性の両方に関して特定の利点を有するという本発明による発見に基づく。具体的には、本発明のC−クラスオリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドアナログは、溶液中で特徴的にモノマーである。これらの同じ核酸分子は、インビトロで分子内二重鎖構造を形成し、このことによってこれらの分子をヌクレアーゼ消化に対して安定にし得ると考えられる。これらの同じ核酸分子は、エンドソーム内区画の環境内で、分子内二重鎖、そしておそらくより高次の構造を形成し得、この環境では、これらの分子は、その生物学的活性を発揮すると考えられる。
【0008】
一局面において、本発明は、以下の式I:
【0009】
【化36】

の免疫刺激性核酸分子を含む組成物を提供し、
ここでZ、Z、およびZの各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であって、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーもしくは無塩基性dSpacerを含み;XおよびXの各々は、独立して、ヌクレオチドであって、該ヌクレオチドは、チミン、ウラシル、アデニン、もしくは5−置換ウラシルを含み;YおよびYの各々は、独立して、シトシン(C)もしくは改変シトシンであり;RおよびRの各々は、独立して、グアニン(G)もしくは改変グアニンであり;NおよびN’の各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であって、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーもしくは無塩基性dSpacerを含み;Sは、非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットであって、2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、もしくは2’3’−ヌクレオシド間結合を必要に応じて提供し;Sは、1〜10ヌクレオチド長のあらゆる非パリンドローム配列もしくは非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットであり;N,N,....N、およびN1#,N2#,...Nn#の各々は、任意のヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドであって、ここでNは、N1#と塩基対を形成し、Nは、N2#と塩基対を形成し、...そしてNは、Nn#と塩基対を形成し;kは、0〜5までの整数であり;nは、2〜16までの整数であり;pは、1〜6までの整数であり;そしてqは、0〜10までの整数であり、そしてここで(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)が10〜42ヌクレオチド長である場合、Sは、4〜10ヌクレオチド長であり、かつSは、非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットを含み、かつ/または(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)は、2/3未満のGC含量を有する。
【0010】
一実施形態において、N,N,....NおよびN1#,N2#...Nn#の各々は、C、G、もしくはこれらの改変体から選択され、ここでCはGと塩基対を形成する。
【0011】
一実施形態において、N,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、T、A、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてTはAと塩基対を形成する。
【0012】
これらおよび他の実施形態において、C、G、A、およびTの各々は、デオキシヌクレオチドであって、対応する塩基であるシトシン、グアニン、アデニン、およびチミンに言及され得る。
【0013】
一実施形態において、N,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、C、T、A、G、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてCはGと塩基対を形成し、TはGと塩基対を形成し、AはTと塩基対を形成し、そしてAはGと塩基対を形成する。
【0014】
一実施形態において、N,N,...NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択され、すなわち、各塩基対(N−N1#、N−N2#、...N−Nn#)は、ワトソン−クリック塩基対である。
【0015】
一実施形態において、N,N,....NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々のうちの少なくとも1つは、ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択され、すなわち、少なくとも1つの塩基対(N−N1#、N−N2#、...N−Nn#)は、非ワトソン−クリック塩基対である。
【0016】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つのホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格を含む。
【0017】
一実施形態において、免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つの安定化したヌクレオチド間結合を有する骨格を含む。
【0018】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合は、全てホスホロチオエート結合である。
【0019】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、YもしくはYのうちの少なくとも1つを結合するホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格を含む。
【0020】
一実施形態において、YはCである。
【0021】
一実施形態において、RはGである。
【0022】
一実施形態において、YはCであり、RはGである。
【0023】
一実施形態において、XもしくはXは、Tである。
【0024】
一実施形態において、XはTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1である。
【0025】
一実施形態において、XはTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1であり、pは1であり、NおよびN’ならびにZは、各々、ヌクレオチドを含まず、ZはTTTTもしくはd(UUUU)であり、ここでd(UUUU)は、dUdUdUdU(すなわち、(デオキシU))を表す。
【0026】
一実施形態において、Sは、非ヌクレオチドリンカーである。
【0027】
一実施形態において、Sは、少なくとも1つの無塩基性dSpacer残基を含む。
【0028】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの分枝状非ヌクレオシド結合を含む。
【0029】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つの二重ユニット、少なくとも1つの三重ユニット、または少なくとも1つの二重ユニットと少なくとも1つの三重ユニットを含む。
【0030】
一実施形態において、Sは二重ユニットまたは三重ユニットである。
【0031】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を含む。
【0032】
一実施形態において、式Iの免疫刺激性核酸分子は、アンチセンス核酸ではない。
【0033】
一局面において、本発明は、式II:
【0034】
【化37】

の免疫刺激性核酸分子を提供し、ここでZ、Z、およびZの各々は、独立して、0〜12個のヌクレオチド長のあらゆる配列であり、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;XおよびXの各々は、独立して、チミン、ウラシル、アデニン、または5−置換ウラシルを含み;YおよびYの各々は、独立して、シトシン(C)または改変シトシンであり;RおよびRの各々は、独立して、グアニン(G)または改変グアニンであり;Nは、0〜12個のヌクレオチド長のあらゆる配列であり、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;Sは非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであって、必要に応じて、2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を提供し;Sは、1〜10個のヌクレオチド長のあらゆる非パリンドローム配列または非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであり;N,N,....Nn−1,N、およびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々は、任意のヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドであって、ここでNは、N1#と塩基対を形成し、Nは、N2#と塩基対を形成し、...Nn−1は、Nn−1#と塩基対を形成し、そしてNは、Nn#と塩基対を形成し;kは、0〜5の整数であり;nは、2〜16の整数であり;pは、1〜6の整数であり;そしてqは、0〜10の整数であり;そしてここで(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)が10〜42ヌクレオチド長である場合、Sは、4〜10ヌクレオチド長であり、かつSは、非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットもしくはヘキサエチレングリコールユニットを含み、かつ/または(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)は、2/3未満のGC含量を有する。
【0035】
一実施形態において、Z(N)(Nn−1)は、TYRであり、ここでYは、シトシンもしくは改変シトシンであり、Rは、グアニンもしくは改変グアニンである。
【0036】
一実施形態において、N,N,....Nn−1,N、およびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々は、C、G、またはこれらの改変から選択され、ここでCは、Gと塩基対を形成する。
【0037】
一実施形態において、N,N,....Nn−1,N、およびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々は、T、Aまたはこれらの改変から選択され、ここでTは、Aと塩基対を形成する。
【0038】
これらおよび他の実施形態において、C、G、A、およびTの各々は、デオキシヌクレオチドであって、対応する塩基であるシトシン、グアニン、アデニン、およびチミンに言及され得る。
【0039】
一実施形態において、N,N,....Nn−1,N、およびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々は、C、T、A、G、もしくはこれらの改変体から選択され、そしてCはGと塩基対を形成し、TはGと塩基対を形成し、AはTと塩基対を形成し、そしてAはGと塩基対を形成する。
【0040】
一実施形態において、N,N,....Nn−1,NおよびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々は、ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択され、すなわち、各塩基対(N−N1#、N−N2#...N−Nn#)は、ワトソン−クリック塩基対である。
【0041】
一実施形態において、N,N,....Nn−1,NおよびN1#,N2#,...Nn−1#,Nn#の各々のうちの少なくとも1つは、非ワトソン−クリック塩基対を形成する、非改変ヌクレオチドもしくは改変ヌクレオチドから選択され、すなわち、少なくとも1つの塩基対N−N1#、N−N2#...N−Nn#は、非ワトソン−クリック塩基対である。
【0042】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つのホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格を含む。
【0043】
一実施形態において、免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つの安定化したヌクレオチド間結合を有する骨格を含む。
【0044】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドのヌクレオチド間結合は、全てホスホロチオエート結合である。
【0045】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、YもしくはYのうちの少なくとも1つを結合するホスホジエステル結合で部分的に安定化した骨格を含む。
【0046】
一実施形態において、YはCである。
【0047】
一実施形態において、RはGである。
【0048】
一実施形態において、YはCであり、RはGである。
【0049】
一実施形態において、XもしくはXは、Tである。
【0050】
一実施形態において、XはTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1である。
【0051】
一実施形態において、XはTであり、XはTであり、YはCであり、RはGであり、kは1であり、pは1であり、NおよびN’ならびにZは、各々、ヌクレオチドを含まず、ZはTTTTもしくはd(UUUU)であり、ここでd(UUUU)は、(デオキシU)を表す。
【0052】
一実施形態において、Sは、非ヌクレオチドリンカーである。
【0053】
一実施形態において、Sは、少なくとも1つの無塩基性dSpacer残基を含む。
【0054】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの分枝状非ヌクレオシド結合を含む。
【0055】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸分子は、少なくとも1つの二重ユニット、少なくとも1つの三重ユニット、または少なくとも1つの二重ユニットと少なくとも1つの三重ユニットを含む。
【0056】
一実施形態において、Sは二重ユニットまたは三重ユニットである。
【0057】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を含む。
【0058】
一実施形態において、式Iの免疫刺激性核酸分子は、アンチセンス核酸ではない。
【0059】
一局面において、本発明は、式III:
(Z’)(S) (式III)
の免疫刺激性核酸分子を提供し、ここでZ’は、以下:
【0060】
【化38】

であり;Z、Z、およびZの各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であり、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;XおよびXの各々は、独立して、チミン、ウラシル、アデニン、または5−置換ウラシルを含み;YおよびYの各々は、独立して、シトシンまたは改変シトシンであり;RおよびRの各々は、独立して、グアニンまたは改変グアニンであり;NおよびN’の各々は、独立して、0〜12ヌクレオチド長のあらゆる配列であり、この配列は、必要に応じて、非ヌクレオチドリンカーまたは無塩基性dSpacerを含み;Sは非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであって、必要に応じて、2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合を提供し;Sは、1〜10ヌクレオチド長のあらゆる非パリンドローム配列または非ヌクレオチドリンカー、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニットまたはヘキサエチレングリコールユニットであり;Sは、直接的または間接的な2’5’−ヌクレオシド間結合、5’5’−ヌクレオシド間結合、3’3’−ヌクレオシド間結合、2’2’−ヌクレオシド間結合、または2’3’−ヌクレオシド間結合、または非ヌクレオチドリンカーであり、この非ヌクレオチドリンカーは、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコールユニット、またはヘキサエチレングリコールユニットを含み、該無塩基性リンカーまたは該ユニットは、m配列部分の2’5’−結合、5’5’−結合、3’3’−結合、2’2’−結合、または2’3’−結合を促進し;N,N,...NおよびN1#,N2#,...Nn#の各々は、任意のヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドであって、ここでNは、N1#と塩基対を形成し、Nは、N2#と塩基対を形成し、Nは、N3#と塩基対を形成し、...そしてNは、Nn#と塩基対を形成し;kは、0〜5までの整数であり;mは、2〜10までの整数であり;nは、2〜16までの整数であり;pは、1〜6までの整数であり;そしてqは、0〜10までの整数である。
【0061】
特定の実施形態において、
【0062】
【化39】

は、非パリンドローム配列である。
【0063】
特定の実施形態において、
【0064】
【化40】

は、
【0065】
【化41】

であり、LはdSpacerである。
【0066】
特定の実施形態において、
【0067】
【化42】

は、パリンドローム配列である。
【0068】
特定の実施形態において、
【0069】
【化43】

は、
【0070】
【化44】

である。
【0071】
特定の実施形態において、
【0072】
【化45】

は、
【0073】
【化46】

である。
【0074】
一実施形態において、(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)Zは、以下の配列:
【0075】
【化47】

を含み、ここでLは、dSpacerである。
【0076】
一実施形態において、(N)...(N)(N)S(N1#)(N2#)...(Nn#)は、以下の配列:
【0077】
【化48】

を含む。
【0078】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、
以下の配列:
【0079】
【化49】

を含む。
【0080】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0081】
【化50】

を含み、ここでLはdSpacerである。
【0082】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0083】
【化52】

を含む。
【0084】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0085】
【化53】

を含む。
【0086】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下:
【0087】
【化54】

から選択される配列を含み、ここでLはdSpacerであり、
【0088】
【化54A】

はホスホロチオエートであり、
【0089】
【化54B】

はホスホジエステルである。
【0090】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下:
【0091】
【化56】

から選択される配列を含み、ここで、
【0092】
【化56A】

はホスホロチオエートであり、
【0093】
【化56B】

はホスホジエステルである。
【0094】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下:
【0095】
【化57】

から選択される配列を含み、ここで、
【0096】
【化57A】

はホスホロチオエートであり、
【0097】
【化57B】

はホスホジエステルである。
【0098】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下:
【0099】
【化58】

から選択される配列を含み、ここで、
【0100】
【化58A】

はホスホロチオエートであり、
【0101】
【化58B】

はホスホジエステルである。
【0102】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0103】
【化59】

を含み、ここで、
【0104】
【化59A】

はホスホロチオエートであり、
【0105】
【化59B】

はホスホジエステルである。
【0106】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下:
【0107】
【化60】

から選択される配列を含み、ここで、
【0108】
【化60A】

はホスホロチオエートであり、
【0109】
【化60B】

はホスホジエステルである。
【0110】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0111】
【化61】

を含み、ここで、
【0112】
【化61A】

はホスホロチオエートであり、
【0113】
【化61B】

はホスホジエステルである。
【0114】
一実施形態において、この免疫刺激性核酸は、以下の配列:
【0115】
【化62】

を含み、ここで、
【0116】
【化62A】

はホスホロチオエートであり、
【0117】
【化62B】

はホスホジエステルである。
【0118】
一実施形態において、このオリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドは、置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンである。
【0119】
一実施形態において、この置換ピリミジンは、C5−置換ピリミジンもしくはC6−置換ピリミジンである。
【0120】
一実施形態において、この置換プリンは、C8−置換プリンもしくはC7−置換プリンである。
【0121】
一実施形態において、この置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしく
は改変ピリミジンは、5−置換シトシン、6−置換シトシン、N4−置換シトシン、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ、およびウラシル誘導体、チミン誘導体、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、7−デアザ−8−置換グアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、置換アデニン、8−置換グアニン、ならびに6−チオグアニンからなる群より選択される。
【0122】
一実施形態において、この置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、6−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、ならびに非置換型もしくは置換型の5−アルキニル−シトシン、N4−エチル−シトシン、N,N’−プロピレンシトシン、フェノキサジン、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオチミン、4−チオチミン、6−置換チミン、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン、N2−メチル−グアニン、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン、8−ヒドロキシグアニン、および8−ブロモグアニンからなる群より選択される。
【0123】
一実施形態において、この置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、ユニバーサル塩基(universal base)、芳香族環系、および水素原子(dSpacer)からなる群より選択される。
【0124】
一実施形態において、この置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンは、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、3−ニトロピロール、P−塩基、およびK−塩基、ベンズイミダゾール、ジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド、フルオロベンゼン、およびジフルオロベンゼンからなる群より選択される。
【0125】
一実施形態において、N、S、X、またはZのいずれかは、C6−C30アルキル鎖、胆汁酸、コール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸、コレステロール、オレイルリトコール酸、オレオイルコラン酸(oleoyl cholenic acid)、糖脂質、リン脂質、スフィンゴ脂質、イソプレノイド、ステロイド、ビタミン類、ビタミンE、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂肪酸エステル、トリグリセリド、ピレン、ポルフィリン、テキサフィリン、アダマンタン、アクリジン、ビオチン、クマリン、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ジゴキシゲニン、ジメトキシトリチル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、シアニン色素類、シアニン色素Cy3、シアニン色素Cy576、Hoechst 33258色素、ソラレン、およびイブプロフェンからなる群より選択される残基によって置換されている。
【0126】
一局面において、本発明は、以下の(a)〜(c):(a)(TCG)NおよびRDCGYNから選択される免疫刺激性モチーフで始まる5’末端であって、ここでTはチミンであり、Cは非メチル化シトシンであり、Gはグアニンであり、Rはプリンであり、DはCでなく、YおよびYの各々は、独立してピリミジンであり、nは1〜4の整数であり、Nは、0〜12塩基長のあらゆる配列である、5’末端;(b)ヘアピン構造もしくはステム−ループ構造を形成することができる逆方向反復で終結する3’末端であって、この構造は、2〜6個の連続する塩基対長のGC−リッチのステム、および少なくとも1つのマッチしない塩基またはミスマッチ塩基を含む、3’末端;ならびに(c)
少なくとも1つのホスホジエステル5’−CpG−3’結合を含む、複数の安定化された骨格、を含む、免疫刺激性核酸分子を提供する。
【0127】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、2個の連続する塩基対長である。
【0128】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、3個の連続する塩基対長である。
【0129】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、4個の連続する塩基対長である。
【0130】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、5個の連続する塩基対長である。
【0131】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、6個の連続する塩基対長である。
【0132】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、少なくとも2個のG−C塩基対を含む。
【0133】
一実施形態において、このGC−リッチステムは、少なくとも3個のG−C塩基対を含む。
【0134】
特定の実施形態において、この少なくとも1つのマッチしない塩基またはミスマッチ塩基は、Tである。
【0135】
一実施形態において、少なくとも1つのホスホジエステル5’−CpG−3’結合を含むこの部分的に安定化された骨格は、複数のホスホロチオエートヌクレオチド間結合をさらに含む。
【0136】
一実施形態において、その5’末端は、
【0137】
【化63】

として提供される配列を有する。
【0138】
一実施形態において、その逆方向反復で終結する3’末端は、
【0139】
【化64】

として提供される塩基配列を有する。
【0140】
一実施形態において、その逆方向反復で終結する3’末端は、
【0141】
【化65】

として提供される塩基配列を有する。
【0142】
一局面において、本発明は、
【0143】
【化66】

として提供される塩基配列を有する、免疫刺激性核酸を提供する。
【0144】
一局面において、本発明は、
【0145】
【化67】

として提供される塩基配列を有する、免疫刺激性核酸を提供する。
【0146】
一局面において、本発明は、
【0147】
【化68】

として提供される塩基配列を有する免疫刺激性核酸を提供し、ここで、
【0148】
【化68A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【0149】
【化68B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である。
【0150】
一局面において、本発明は、
【0151】
【化69】

として提供される塩基配列を有する免疫刺激性核酸を提供し、ここで、
【0152】
【化69A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【0153】
【化69B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である。
【0154】
一局面において、本発明は、
【0155】
【化70】

として提供される塩基配列を有する免疫刺激性核酸を提供し、ここで、
【0156】
【化70A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【0157】
【化70B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である。
【0158】
一局面において、本発明は、
【0159】
【化71】

として提供される塩基配列を有する免疫刺激性核酸を提供し、ここで、
【0160】
【化71A】

はホスホロチオエートヌクレオチド間結合であり、
【0161】
【化71B】

はホスホジエステルヌクレオチド間結合である。
【0162】
一局面において、本発明は、本発明の免疫刺激性核酸分子および抗原を含む、ワクチンを提供する。
【0163】
一局面において、本発明は、本発明の免疫刺激性核酸分子および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物を提供する。
【0164】
一局面において、本発明は、I型インターフェロン(IFN)発現を誘導するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、I型IFNを発現することができる細胞と、本発明の免疫刺激性核酸とを、I型IFNの発現を誘導するに有効な量で接触させる工程を包含する。
【0165】
一実施形態において、このI型IFNは、インターフェロンα(IFN−α)である。
【0166】
一実施形態において、このI型IFNは、インターフェロンβ(IFN−β)である。
【0167】
一局面において、本発明は、γインターフェロン(IFN−γ)発現を誘導するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、IFN−γを発現することができる細胞と、本発明の免疫刺激性核酸とを、IFN−γの発現を誘導するに有効な量で接触させ
る工程を包含する。
【0168】
一局面において、本発明は、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、NK細胞と、本発明の免疫刺激性核酸とを、このNK細胞を活性化させるに有効な量で接触させる工程を包含する。
【0169】
一局面において、本発明は、感染を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、感染を有するか、または感染を発生させる危険性がある被験体に、この感染を処置または予防するに有効な量の、本発明の免疫刺激性核酸を投与する工程を包含する。
【0170】
一実施形態において、その被験体は、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、または寄生生物感染から選択される感染を有するかまたは該感染を発生させる危険性がある。
【0171】
一実施形態において、その被験体は、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、パピローマウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、または単純疱疹ウイルス(HSV)から選択されるウイルスによるウイルス感染を有するかまたはこのウイルス感染を発生させる危険性がある。
【0172】
一実施形態において、その被験体は、Leishmania、Listeria、またはAnthraxから選択される細菌種による細菌感染を有するかまたは該細菌感染を発生させる危険性がある。
【0173】
一局面において、本発明は、アレルギー状態を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、アレルギー状態を有するかまたはこの状態を発生させる危険性がある被験体に、このアレルギー状態を処置または予防するに有効な量の、本発明の免疫刺激性核酸を投与する工程を包含する。
【0174】
一実施形態において、このアレルギー状態は、アレルギー性喘息である。
【0175】
一局面において、本発明は、癌を処置するための方法を提供する。本発明のこの局面に従う方法は、癌を有するかまたは癌を発生させる危険性のある被験体に、この癌を処置または予防するに有効な量の、本発明の免疫刺激性核酸を投与する工程を包含する。
【0176】
一実施形態において、この癌は、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系の癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼の癌、頭部および頸部の癌、胃癌、上皮内新生物、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝癌、肺癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋芽細胞腫、直腸癌、腎臓癌、呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、泌尿器系の癌、または他の癌腫および肉腫から選択される。
【0177】
一実施形態において、この癌は、インターフェロンα(IFN−α)での処置に感受性の癌である。
【0178】
一実施形態において、このIFN−αでの処置に感受性の癌は、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、AIDS関連カポージ肉腫、腎細胞癌、前立腺癌腫、子宮頚部形成異常、または結腸癌腫から選択される。
【0179】
一局面において、本発明は、感染の処置において使用するための医薬の製造のための、本発明の免疫刺激性核酸の使用を提供する。
【0180】
一局面において、本発明は、アレルギー状態の処置において使用するための医薬の製造のための、本発明の免疫刺激性核酸の使用を提供する。
【0181】
一局面において、本発明は、アレルギー性喘息の処置において使用するための医薬の製造のための、本発明の免疫刺激性核酸の使用を提供する。
【0182】
一局面において、本発明は、癌の処置において使用するための医薬の製造のための、本発明の免疫刺激性核酸の使用を提供する。
【0183】
本発明の限定の各々は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。従って、いずれか1つの要素または要素の組み合わせを含む本発明の限定の各々は、本発明の各局面において含まれ得ることが理解される。
【0184】
【化72−1】

【0185】
【化72−2】


【発明を実施するための最良の形態】
【0186】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一局面において、規定された二次構造を有するCpGの免疫刺激性オリゴヌクレオチドの特定のサブクラスが、免疫刺激効果を媒介するのに高度に有効であるという知見を含む。これらのCpG核酸は、癌、感染病、アレルギー、喘息および他の障害を処置するために免疫系を刺激するため、そして、癌の化学療法の後の日和見感染症に対して防御するのに役立つために、治療的かつ予防的に有用である。CpG刺激から生じる、強力で、さらにバランスの取れた、細胞性免疫応答および体液性免疫応答は、病原および癌性細胞の浸潤に対する身体自身の生来の防御系を反映する。
【0187】
本発明の配列は、CクラスまたはコンビネーションモチーフのCpGオリゴヌクレオチドと呼ばれる、CpGオリゴヌクレオチドのあるクラスと、いくらかの構造的類似性を共有する。公開されたPCT国際特許出願WO 03/015711パンフレットを参照のこと。以前に記載されたCクラスのオリゴヌクレオチドと同様に、本発明のCクラスのCpGオリゴヌクレオチドは、分子の一部として、規定された5’モチーフおよび3’モチーフを有する。これらの以前に記載されたCクラスのオリゴヌクレオチドは、従来の「刺激性」CpG配列(一般に、分子の5’末端もしくは3’末端、またはその近くに位置する)、および「GCリッチのパリンドローム」モチーフ(一般に、分子のもう一方の端、またはその近くに位置する)の両方を有する。これらの組み合わせモチーフの核酸は、従来の「Bクラス」のCpG ODN(B細胞の活性化および樹状細胞の活性化の強力な誘導因子である)に関連する効果と、より最近記載されたクラスの免疫刺激性核酸(「Aクラス」のCpG ODN;IFN−αおよびNK細胞の活性化の強力な誘導因子であるが、B細胞およびDCの活性化については誘導性が比較的乏しい)に関連する効果との間のどこかに収まる、免疫刺激効果を有する。
【0188】
本発明の新規のCクラスのCpGオリゴヌクレオチドはまた、以前に記載されたCクラスのCpGオリゴヌクレオチドと構造的に異なる。以前に記載されたCクラスのCpGオリゴヌクレオチドと比較して、本発明の免疫刺激性核酸分子は、分子の一方の端にあるGCリッチなパリンドロームに関してのかなり緩い要件を特徴とする。例えば、以前に記載されたCクラスのオリゴヌクレオチドは、一実施形態において、少なくとも10ヌクレオチド長であり、かつ、少なくとも2/3のGC含量を有する厳密もしくは完全なパリンドロームを含む。いくつかの実施形態において、以前に記載されたCクラスのオリゴヌクレオチドのパリンドロームは、多くても、最小数の連続したミスマッチヌクレオチドを含み得る。
【0189】
以前に記載されたCクラスのオリゴヌクレオチドとは対照的に、本発明のCクラスのオリゴヌクレオチドアナログは、種々の実施形態において、10未満のヌクレオチド;0と2/3未満との間のGC含量;任意の核酸塩基(dSpacer)を欠いたものを含む種々のヌクレオチドアナログおよび置換基;ワトソン−クリック塩基対を形成しない4つ以上の連続するヌクレオチドもしくはヌクレオチド置換基を含む伸長された介在配列;ならびにこれらの任意の組み合わせを有し得る、パリンドロームモチーフを特徴とする。さらに、いくつかの実施形態において、2つ以上の分子の3’部分は、その3’末端を介して互いに連結され得る。完全なパリンドロームを有さないこの新規サブクラスのオリゴヌクレオチドはなお、以前に記載された組み合わせモチーフのCpGオリゴヌクレオチドと同様に、高いレベルのIFN産生を誘導し得、I型IFN(例えば、IFN−α、IFN−β)およびIFN−γを誘導し得ことが発見された。
【0190】
「パリンドローム」および同等に、「パリンドローム配列」とは、本明細書中で使用される場合、その自身の完全な反対方向の相補体(すなわち、ABCDEE’D’C’B’A’(ここで、AとA’、BとB’、CとC’、DとD’、そしてEとE’は、通常のワトソン−クリック塩基対(すなわち、G−C、A−TおよびA−U)を形成し得る塩基である))である核酸配列を指す。本明細書中で使用される場合、「パリンドローム」は、厳密な意味において、通常のワトソン−クリック塩基対形成に関与しない、介在配列または介在非ヌクレオチド構造を除外する。
【0191】
「逆方向反復」とは、本明細書中で使用される場合、不完全なパリンドローム、すなわち、通常のワトソン−クリック塩基対を形成し得るヌクレオチドと、通常のワトソン−クリック塩基対形成に関与しないヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたは他の構造(例えば、ABCDE−S−E’D’C’B’A’のような配列(ここで、AとA’、BとB’、CとC’、DとD’、そしてEとE’は、通常のワトソン−クリック塩基対を形成し得る塩基であり、そして、Sは、非パリンドローム配列または非核酸塩基リンカーまたは無塩基性のリンカー(dSpacer)である))の両方が存在する核酸配列を指す。特定の実施形態において、通常のワトソン−クリック塩基対形成に関与しないヌクレオチド、ヌクレオチドアナログまたは他の構造は、他の完全なパリンドロームを妨害する。特定の実施形態において、通常のワトソン−クリック塩基対形成に関与しないヌクレオチドは、別のヌクレオチドと非ワトソン−クリック塩基対(例えば、G−T)を形成し得る。本明細書中で使用される場合、非ワトソン−クリック塩基対は、ワトソン−クリック塩基対以外の任意の塩基対であり、これらとしては、フーグスティーン塩基対、およびいわゆるウォブル塩基対が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、通常のワトソン−クリック塩基対形成に関与しないヌクレオチドはマッチせず、そして、ワトソン−クリック塩基対または非ワトソン−クリック塩基対を形成するためのヌクレオチド塩基またはヌクレオチド塩基アナログ(例えば、dSpacerの逆のG)を有する。特定の実施形態において、塩基対形成に関与しないヌクレオチドは、別のヌクレオチドと非標準的な塩基対を形成し得る(例えば、ジアミノピリジンは、キサントシンと塩基対を形成し得る)。
【0192】
一実施形態において、核酸の5’末端は、(TCG)NおよびRDCGYNから選択される免疫刺激性モチーフから開始する。Tはチミンであり、Cは非メチル化シトシンであり、Gはグアニンであり、Rはプリンであり、DはCではなく、YおよびYの各々は、独立して、ピリミジンであり、nは1〜4の整数(端を含む)であり、そしてNは、0〜12塩基長の任意の配列である。
【0193】
核酸の3’末端は、ヘアピン構造またはステム−ループ構造を形成し得る逆方向反復で終結する。用語「終結する(terminate)」とは、3’末端またはその近くの構造をいう。従って、不完全なパリンドロームの末端は、分子の実際の3’末端に位置し得るか、あるいは、3’末端は、逆方向反復構造の一部ではない1つ以上のさらなるヌクレオチドを含み得る。好ましくは、分子の3’末端は、逆方向構造の一部を形成しない、3以下のヌクレオチドを含む。
【0194】
一実施形態において、「ヘアピン構造またはステム−ループ構造を形成し得る逆方向反復」とは、本明細書中で使用される場合、2〜10の連続した塩基対長であるGCリッチなステムまたはヘアピンを形成するヌクレオチドの配列を指し、これは、少なくとも1つのマッチしていないか、またはミスマッチした塩基を含む。個々の実施形態において、GCリッチなステムは、2、3、4、5、6、7、8、9または10の連続した塩基対長である。いくつかの実施形態において、GCリッチなステムは、少なくとも2、3または4のG−C塩基対を含む。
【0195】
一実施形態において、「ヘアピン構造またはステム−ループ構造を形成し得る逆方向反復」とは、本明細書中で使用される場合、2〜10の連続した塩基対長であるATリッチなステムまたはヘアピンを形成するヌクレオチドの配列を指し、これは、少なくとも1つのマッチしていないか、またはミスマッチした塩基を含む。個々の実施形態において、ATリッチなステムは、2、3、4、5、6、7、8、9または10の連続した塩基対長である。いくつかの実施形態において、ATリッチなステムは、少なくとも2、3または4のA−T塩基対を含む。
【0196】
いくつかの場合において、少なくとも1つのマッチしていないか、またはミスマッチした塩基は、ステムまたはヘアピンの末端をつなぐ。このことは、分子内に、ステムが塩基対形成し、そしてヘアピンを形成する柔軟な点を提供することにより、二次構造の形成を可能にし得る。あるいは、マッチしていないか、またはミスマッチした塩基は、ステム内部にあり得る。好ましくは、ミスマッチした塩基がステム内部にある場合、このステムは、少なくとも3塩基対長である。マッチしていないか、またはミスマッチした塩基は、任意のヌクレオチドであり得る。いくつかの実施形態において、マッチしていないか、またはミスマッチした塩基は、Tである。二重鎖の末端にあるマッチしていないヌクレオチドはまた、二重鎖の形成またはヘパリンの形成を有意に安定化させ得る、オーバーハングヌクレオチドまたはダングリング末端として知られる。Freier SMら(1983)Effects of 3’dangling end stacking on the stability of GGCC and CCGG double helixes.Biochemistry 22:6198−206。
【0197】
核酸はまた、少なくとも1つのホスホジエステル5’−CpG−3’結合を含む部分的に安定化された骨格を含む。
【0198】
いくつかの場合において、分子の二重鎖の部分はまた、非天然(非標準的)な塩基対(例えば、キサントシンと対になったジアミノピリジン)も含み得る。Lutz MJら(1998)Recognition of a non−standard base pair by thermostable DNA polymerases.Bioorg Med Chem Lett 8:1149−52。
【0199】
式は、優れた免疫刺激特性を示したCpGオリゴヌクレオチドのクラスのサブセットを規定する。この式において、5’は、オリゴヌクレオチドの遊離5’末端を指し、3’は、オリゴヌクレオチドの遊離3’末端を指す。
【0200】
オリゴヌクレオチドは、1つ以上のアクセス可能な5’末端または3’末端を有し得る。いくつかの実施形態において、3’末端は、別の3’末端に連結され得る。5’および3’のモチーフの重要性が、本明細書中において発見され、記載されたので、2つのこのような5’末端または3’末端を有する修飾されたオリゴヌクレオチドを作製することがまた可能である。このことは、例えば、3’−3’結合を介して2つのオリゴヌクレオチドを結合して、2つのアクセス可能な5’末端を有するオリゴヌクレオチドを作製することによって達成され得る。3’−3’結合または5’−5’結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、または、任意の他の修飾されたヌクレオシド間ブリッジであり得る。このような結合を達成するための方法は、当該分野で公知である。例えば、このような結合は、Seliger Hら(1991)Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression,Nucleosides & Nucleotides 10:469−77、およびJiang Zら(1999)Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties,Bioorg Med Chem 7:2727−35に記載されている。
【0201】
さらに、3’−3’結合または5’−5’結合したODN(3’末端ヌクレオシドまたは5’末端ヌクレオシドとの間の結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、または他の修飾されたブリッジではない)は、トリ−、またはテトラーエチレングリコールホスフェート部分(Durand Mら(1992)Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two(dT)12 sequences bridged
by two hexaethylene glycol chains,Biochemistry 31:9197−204;米国特許第5,658,738号;および米国特許第5,668,265号)のようなさらなるスペーサーを使用して調製され得る。あるいは、非ヌクレオチドリンカーは、エタンジオール、プロパンジオールからか、または、無塩基性のデオキシリボース(dSpacer)ユニット(Fontanel MLら(1994)Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides,Nucleic Acids Res 22:2022−7)から、標準的なホスホラミダイト化学を使用して誘導され得る。この非ヌクレオチドリンカーは、1回もしくは複数回組み込まれるか、または、互いに組み合わされて、任意の所望の距離の2つのODNの3’末端間の任意を連結することを可能にし得る。
【0202】
「非ヌクレオチドリンカー」は、本明細書中で使用される場合、ヌクレオチドまたはそのポリマー(すなわち、ポリヌクレオチド)ではない任意のリンカー要素を指し、ここで、このヌクレオチドとしては、プリン核酸塩基またはピリミジン核酸塩基、および糖リン酸が挙げられる。従って、非ヌクレオチドリンカーとしては、無塩基性のヌクレオチド(dSpacer)、すなわち、核酸塩基が水素原子により置き換えられるヌクレオチド様糖リン酸ユニットが挙げられる。非ヌクレオチドリンカーは、ポリエチレングリコールであり得、トリエチレングリコールおよびヘキサエチレングリコールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0203】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、以下の構造:
【0204】
【化73】

のうちの1つを有する。
【0205】
記号
【0206】
【化74】

は、安定化されたヌクレオチド間結合の存在を表し、そして、
【0207】
【化75】

は、ホスホジエステル結合の存在を表す。
【0208】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、一般に、6個と100個との間のヌクレオチドの範囲の長さを有する。いくつかの実施形態において、この長さは、6〜40個、13〜100個、13〜40個、13〜30個、15〜50個、もしくは15〜30個の範囲のヌクレオチド、またはその間の任意の整数の範囲のヌクレオチドである。
【0209】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基および交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)(これらは、置換ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミン(T)またはウラシル(U))または、置換プリン(例えば、アデニン(A)またはグアニン(G))のいずれかである)を含む分子)を意味するために交換可能に使用される。本明細書中で使用される場合、用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、オリゴリボヌクレオチドおよびオリゴデオキシリボヌクレオチドを指す。用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、ポリヌクレオチシド(すなわち、ポリヌクレオチドからリン酸を引いたもの)および任意の他の有機塩基含有ポリマーも含む。核酸分子は、既存の核酸供給源(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)から得られ得るが、好ましくは、(例えば、核酸合成により生成された)合成物である。
【0210】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」は、本明細書中で使用される場合、本発明の核酸分子およびオリゴヌクレオチド、ならびに、本発明のオリゴヌクレオチドアナログを包含する。用語「オリゴデオキシヌクレオチド」、そして等価に「ODN」は、本明細書中で使用される場合、本発明の修飾されていないオリゴデオキシヌクレオチド、ならびに、本発明のオリゴデオキシヌクレオチドアナログを包含する。
【0211】
用語「核酸」および「オリゴヌクレオチド」はまた、例えば、塩基および/または糖が置換または修飾された核酸またはオリゴヌクレオチドを包含する。例えば、これらとしては、2’位でヒドロキシル基以外の低分子量有機基に共有結合した骨格糖を有する核酸、および5’位でリン酸基またはヒドロキシ基以外の低分子量有機基に共有結合した骨格糖を有する核酸が挙げられる。従って、修飾された核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、修飾された核酸は、リボースの代わりにアラビノースまたは2’−フルオロアラビノースのような糖を含み得る。従って、核酸は、骨格の組成が異種性であり得、それによって、ペプチド−核酸(核酸塩基と共にペプチド様骨格を有する)のように一緒に連結されたポリマー単位のあらゆる可能な組み合わせを含む。他の例は、以下により詳細に記載される。
【0212】
本発明の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、天然のRNAおよびDNAと比べて、種々の化学的修飾および置換を包含し得、これらは、ホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、β−D−リボース単位、および/または天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)を含む。化学的修飾の例は、当業者に公知であり、例えば、Uhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques,S.Agrawal,Ed,Humana Press,Totowa,USA 1993;Crooke STら(1996)Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107−29;およびHunziker Jら(1995)Mod Synth Methods 7:331−417に記載されている。本発明に従うオリゴヌクレオチドは、1つ以上の改変を有し得、ここで、各々の改変は、特定のホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、および/または特定のβ−D−リボース単位、および/または、天然のDNAもしくはRNAから構成された同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較した特定の天然のヌクレオシド塩基位置に位置する。
【0213】
例えば、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の改変を含み得、ここで各々の改変は、独立して以下から選択される:
a)修飾されたヌクレオシド間ブリッジによる、ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジの置き換え、
b)脱リン結合による、ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルブリッジの置き換え、
c)別の単位による、糖リン酸骨格からの糖リン酸単位の置き換え、
d)修飾された糖単位による、β−D−リボース単位の置き換え、ならびに
e)修飾されたヌクレオシド塩基による、天然のヌクレオシド塩基の置き換え。
【0214】
オリゴヌクレオチドの化学修飾についてのより詳細な例は、以下のとおりである。
【0215】
オリゴヌクレオチドは、上記aまたはbに記載されたもののような、修飾されたヌクレオチド間結合を含み得る。これらの修飾された結合は、部分的に分解に抵抗性(例えば、安定化されている)であり得る。「安定化されたオリゴヌクレオチド分子」は、このような修飾から生じる、(例えば、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼによる)インビボ分解に対して比較的抵抗性のオリゴヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態において、ホスホロチオエート結合を有するオリゴヌクレオチドは、最大の活性を提供し、そして、細胞内のエキソヌクレアーゼおよびエンドヌクレアーゼによる分解から、オリゴヌクレオチドを保護し得る。
【0216】
ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジは、修飾されたヌクレオシド間ブリッジにより置き換えられ得、ここで、修飾されたヌクレオシド間ブリッジは、例えば、以下から選択される:ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR−ホスホラミダイト、ボラノホスフェート(boranophosphate)、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、ホスフェート−(C〜C21)−O−アルキルエステル、ホスフェート−[(C〜C12)アリール−(C〜C21)−O−アルキル]エステル、(C〜C)アルキルホスホネート、および/または(C〜C12)アリールホスホネートブリッジ、(C〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO 95/01363に開示されるもの)(ここで、(C〜C12)アリール、(C〜C20)アリールおよび(C〜C14)アリールは、必要に応じて、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノにより置換され、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C18)−アルキル、(C〜C20)−アリール、(C〜C14)−アリール−(C〜C)−アルキルであり、好ましくは、水素、(C〜C)−アルキルであり、好ましくは、(C〜C)−アルキルおよび/もしくはメトキシエチルであるか、あるいは、RおよびRは、それを有する窒素原子を一緒になって、5〜6員の複素環を形成し、この環は、さらに、O、SおよびNの群からのヘテロ原子を含み得る)。
【0217】
脱リンブリッジによる、ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するホスホジエステルブリッジの置き換え(脱リンブリッジは、例えば、Uhlmann EおよびPeyman A、「Methods in Molecular Biology」,Vol.20,「Protocols for Oligonucleotides
and Analogs」,S.Agrawal編,Humana Press,Totowa 1993,Chapter 16,pp.355 ffに記載される)。ここで、脱リンブリッジは、例えば、脱リンブリッジホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホン、および/またはシリル基から選択される。
【0218】
糖リン酸骨格からの糖リン酸単位(すなわち、糖リン酸単位を共に形成する、β−D−リボースおよびホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ)(すなわち、糖リン酸骨格は、糖リン酸単位から構成される)は、他の単位が、例えば、「モルホリノ誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak EPら(1989)Nucleic Acids Res 17:6129−41に記載される)を構築するために適切な別の単位によって置き換えられ得る(すなわち、例えば、モルホリノ誘導体単位による置き換え)か;または、ポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PEら(1994)Bioconjug Chem 5:3−7に記載される)を構築するために適切な別の単位によって置き換えられ得る(すなわち、PNA骨格による(例えば、2−アミノエチルグリシンによる)置き換え)。オリゴヌクレオチドは、他の炭水化物骨格の修飾および置換(例えば、リン酸基を有するペプチド核酸(PHONA)、ロックト核酸(LNA)、およびアルキルリンカーもしくはアミノリンカーを有する骨格セクションを有するオリゴヌクレオチド)を有し得る。アルキルリンカーは、分枝もしくは非分枝の、置換もしくは非置換の、キラル的に純粋であるか、またはラセミ体の混合物であり得る。
【0219】
β−リボース単位またはβ−D−2’−デオキシリボース単位は、修飾された糖単位により置き換えされ得、この修飾された糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C〜C)アルキル−リボースから選択され、好ましくは、2’−O−(C〜C)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C〜C)アルケニル−リボース、2’−[O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル]−リボース、2’−NH−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、および炭素環式(例えば、Froehler(1992)J Am Chem Soc 114:8320に記載される)、および/または開鎖の糖アナログ(例えば、Vandendriesscheら(1993)Tetrahedron 49:7223に記載される)、および/または二環式糖アナログ(例えば、Tarkov Mら(1993)Helv Chim Acta 76:481に記載される)である。
【0220】
いくつかの実施形態において、糖は、2’−O−メチルリボースであり、特に、ホスホジエステルもしくはホスホジエステル様のヌクレオシド間結合により一方または両方のヌクレオシドが連結されている。
【0221】
核酸はまた、C−5プロピン(propyne)ピリミジン修飾された塩基および7−デアザ−7−置換プリン修飾された塩基のような、置換プリンおよび置換ピリミジンを含む。Wagner RWら(1996)Nat Biotechnol 14:840−4。プリンおよびピリミジンとしては、アデニン、シトシン、グアニン、チミンおよびウラシル、ならびに、天然に存在しない核酸塩基、置換および非置換の芳香族部分が挙げられるがこれらに限定されない。
【0222】
修飾された塩基は、DNAおよびRNAにおいて代表的に見られる、天然に存在する塩基(例えば、T、C、G、AおよびU)とは化学的に異なるが、これらの天然に存在する塩基と基本的な化学構造を共有する、任意の塩基である。修飾されたヌクレオシド塩基は、例えば、以下から選択され得る:ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C〜C)−アルキルウラシル、5−(C〜C)−アルケニルウラシル、5−(C〜C)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C〜C)−アルキルシトシン、5−(C〜C)−アルケニルシトシン、5−(C〜C)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン(好ましくは、7−デアザ−7−置換プリンおよび/または7−デアザ−8−置換プリン)、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン(例えば、N4−エチルシトシン)、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン(例えば、N4−エチルデオキシシチジン)、6−チオデオキシグアノシン、およびニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピルピリミジン、およびジアミノプリン(例えば、2,6−ジアミノプリン)、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、あるいは、天然のヌクレオシド塩基の他の修飾物。このリストは、例示的なものを意味し、そして、限定的であることは意図されるべきでない。
【0223】
本明細書中に記載される特定の処方において、修飾された塩基が組み込まれ得る。例えば、シトシンは、修飾されたシトシンで置き換えられ得る。本明細書中で使用される場合、修飾されたシトシンは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなく、この塩基を置き換え得る、シトシンの天然に存在するか、または天然に存在しないピリミジン塩基アナログである。修飾されたシトシンとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および非置換もしくは置換の5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン(例えば、6−ヒドロキシ−シトシン)、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、シュード−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)、ならびにウラシルおよびその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピル−ウラシル)。いくつかの好ましいシトシンとしては、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが挙げられる。本発明の別の実施形態において、シトシン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンまたはジフルオロベンゼン)、または水素原子(dSpacer)により置換される。
【0224】
グアニンは、修飾されたグアニン塩基で置き換えられ得る。修飾されたグアニンとは、本明細書中で使用される場合、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなく、この塩基を置き換え得る、グアニンの天然に存在するか、または天然に存在しない、プリン塩基アナログである。修飾されたグアニンとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:7−デアザグアニン、7−デアザ−7置換グアニン、(例えば、7−デアザ−7−(C〜C)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H、6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン、(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン、(例えば、8−ヒドロキシグアニンおよび8−ブロモグアニン)、および6−チオグアニン。本発明の別の実施形態において、グアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、およびK−塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールまたはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(dSpacer)により置換される。
【0225】
一実施形態において、CGジヌクレオチドのCおよびGの両方が、それぞれ、修飾されていないシトシン残基および修飾されていないグアニン残基である。一実施形態において、CGジヌクレオチドのCは、メチル化されていない。
【0226】
本発明における使用について、本発明のオリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の多くの手順(例えば、β−シアノエチルホスホラミダイト法(Beaucage SLら(1981)Tetrahedron Lett 22:1859);またはヌクレオシドH−ホスホネート法(Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4051−4;Froehler BCら(1986)Nucleic Acids
Res 14:5399−407;Gareggら(1986)Tetrahedron Lett 27:4055−8;Gaffneyら(1988)Tetrahedron Lett 29:2619−22))のいずれかを使用して、新たに合成され得る。これらの化学は、市場で入手可能な種々の自動化核酸合成装置によって実施され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと呼ばれる。単離されたオリゴヌクレオチドは、一般に、自然状態では正常に関連している構成要素から分離されたオリゴヌクレオチドを指す。一例として、単離されたオリゴヌクレオチドは、細胞から、核から、ミトコンドリアから、またはクロマチンから分離されたオリゴヌクレオチドであり得る。
【0227】
ホスホロチオエートのような修飾された骨格は、ホスホラミダイトまたはH−ホスホネート化学のいずれかを使用する自動化技術を用いて合成され得る。アリール−ホスホネートおよびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号に記載されるように作製され得;そして、アルキルホスホトリエステル(米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されるように、帯電した酸素部分がアルキル化されている)は、市販の試薬を用いる自動化固相合成により調製され得る。他のDNA骨格の修飾および置換を作製するための方法が記載されている(例えば、Uhlmann Eら(1990)Chem Rev 90:544;Goodchild J(1990)Bioconjugate Chem 1:165)。
【0228】
免疫刺激性オリゴヌクレオチドはまた、ヌクレオチドまたはヌクレオシドアナログ部分の間に、1つ以上の異常な結合を含み得る。通常のヌクレオシド間結合は、3’5’−結合である。全ての他の結合(例えば、2’5’−結合、5’5’−結合、3’3’−結合、2’2’−結合、および2’3’−結合)は、異常なヌクレオシド間結合とみなされる。それにより、2’〜5’の命名法は、リボースの炭素原子に従って選択される。しかし、環拡大した糖アナログ(例えば、ヘキサノース、シロヘキセン、またはピラノース)、または二環式もしくは三環式の糖アナログのような非天然の糖部分が使用される場合、この命名法は、モノマーの命名法に従って変化する。3’−デオキシ−β−D−リボピラノースアナログ(β−DNAとも呼ばれる)において、モノヌクレオシドは、例えば、4’2’−結合を介して接続される。
【0229】
ヌクレオチドが1つの3’3’−結合を含む場合、このオリゴヌクレオチドアナログは、通常、2つの未結合5’−末端を有する。同様に、ヌクレオチドが、1つの5’5’−結合を含む場合、このオリゴヌクレオチドアナログは、通常、2つの未結合3’−末端を有する。ヌクレオチドの未結合末端のアクセス性は、そのレセプターにより良好にアクセス可能であり得る。両方の型の異常な結合(3’3’−および5’5’−)は、Ortigao JFら(1992)Antisense Res Dev 2:129−46により記載されており、この文献では、3’3’−結合を有するオリゴヌクレオチドが、ヌクレアーゼによる切断に対して増強された安定性を示すことが報告された。
【0230】
異なる型の結合がまた、1つの分子内で組み合わされ得、オリゴマーの分枝をもたらし得る。オリゴヌクレオチドの1つの部分が、3’3’−結合を介して3’−末端において第2のオリゴヌクレオチド部分に接続され、そして、2’3’−結合を介して2’−末端において分子の第3の部分に接続される場合、これは、例えば、3つの5’−末端(3’3’−分枝、2’3’−分枝)を有する分枝オリゴヌクレオチドを生じる。
【0231】
原則として、オリゴヌクレオチドの異なる部分の間、または、異なるオリゴヌクレオチド間の結合は、それぞれ、そのレセプターによる認識を負に妨げない限りは、この分子のあらゆる部分を介して生じ得る。核酸の性質に従って、結合は、糖部分(Su)、複素環式核酸塩基(Ba)またはリン酸骨格(Ph)を必要とし得る。従って、Su−Su、Su−Ph、Su−Ba、Ba−Ba、Ba−Su、Ba−Ph、Ph−Ph、Ph−Su、およびPh−Baの型の結合が可能である。オリゴヌクレオチドが、特定の非ヌクレオチド置換基によってさらに修飾される場合、この結合はまた、オリゴヌクレオチドの修飾された部分を介して生じ得る。これらの修飾としては、修飾された核酸(例えば、PNA、LNAまたはモルホリノオリゴヌクレオチドアナログ)が挙げられる。
【0232】
結合は、好ましくは、C、H、N、O、S、B、Pおよびハロゲンから構成され、3〜300個の原子を含む。3個の原子を有するものの例は、例えば、1つのヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基を、第2のオリゴヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基に接続する、アセタール結合(ODN1−3’−O−CH−O−3’−ODN2;FroehlerおよびMatteucci)である。約300個の原子を有するものの例は、PEG−40(テトラコンタポリエチレングリコール(tetraconta polyethyleneglycol))である。好ましい結合は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホラミダイト、ボラノホスホネート、アミド、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、ウレア、チオウレア、スルホンアミド、シッフ塩基、およびジスルフィド結合である。別の可能性は、Solulink BioConjugation System(TriLink BioTechnologies,San Diego,CA)の使用である。
【0233】
オリゴヌクレオチドが、2つ以上の配列部分から構成される場合、これらの部分は、同一であっても異なっていてもよい。従って、3’3’−結合を有するオリゴヌクレオチドにおいて、配列は同一(例えば、5’−ODN1−3’3’−ODN1−5’)であっても、異なって(例えば、5’−ODN1−3’3’−ODN2−5’)いてもよい。さらに、種々のオリゴヌクレオチド部分およびこれらをつなぐリンカーの化学修飾は、異なり得る。短いオリゴヌクレオチドの取り込みは、長いオリゴヌクレオチドの取り込みよりも非効率的であるようなので、2つ以上の短い配列の結合は、改善された免疫刺激を生じる。短いオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは、2〜20ヌクレオチドであり、より好ましくは、3〜16ヌクレオチドであるが、最も好ましくは、5〜10ヌクレオチドである。好ましくは、2つ以上の未結合5’−末端を有するオリゴヌクレオチドで連結される。
【0234】
オリゴヌクレオチドの部分配列はまた、得に、無塩基性リンカー(dSpacer)、トリエチレングリコール単位、またはヘキサエチレングリコール単位において、非ヌクレオチドリンカーにより連結され得る。他のリンカーとしては、アルキルアミノリンカー(例えば、C3、C6、C12のアミノリンカー)、そしてまた、アルキルチオールリンカー(例えば、C3またはC6のチオールリンカー)が挙げられる。オリゴヌクレオチドはまた、アルキル基もしくは置換アルキル基によりさらに置換され得る、芳香族残基により連結され得る。
【0235】
オリゴヌクレオチドはまた、二重または三重(doubler or trebler)の単位(Glen Research,Sterling,VA)(特に、3’3’−結合を有するオリゴヌクレオチド)を含み得る。一実施形態において、二重単位は、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイトに基づき得る。一実施形態において、三重単位は、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイトの取り込みに基づき得る。複数の二重、三重または他の多重の単位によるオリゴヌクレオチドの枝分かれは、デンドリマーを生じ、これは、本発明のさらなる実施形態である。オリゴヌクレオチドはまた、ペプチド修飾試薬、またはオリゴヌクレオチド修飾試薬(Glen Research,Sterling,VA)から生じるリンカー単位を含み得る。さらに、結合は、ペプチド(アミド)結合により接続された1つ以上の天然または非天然のアミノ酸残基を含み得る。
【0236】
オリゴヌクレオチドを連結するための別の可能性は、複素環式塩基の架橋を介するものである(Verma Sら(1998)Annu Rev Biochem 67:99−134;第124頁)。なお別の可能性は、1つの配列部分の糖部分と、別の配列部分の複素環式塩基との間の結合である(Iyerら(1999)Curr Opin Mol Therapeutics 1:344−58;第352頁)。
【0237】
異常な結合を含む異なるオリゴヌクレオチドは、確立された方法により合成され、そして、固相合成の間に、オンラインで一緒に連結され得る。あるいは、これらは、個々の部分配列の合成に続いて、一緒に連結され得る。
【0238】
マウスのシステムにおいて強い刺激活性を有するCpGホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、ヒトおよび他の非げっ歯類免疫細胞においてより低い活性を示す傾向にある。これらの(TCG)NモチーフまたはRDCGYNモチーフを含むDNAは、ヒトの末梢血を強く刺激して、IFN−αを生成した。
【0239】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドのサブセットは、ヒト細胞(例えば、PBMC)に対して劇的な免疫刺激効果を有するということが、本発明によって発見され、これは、これらのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドが、ヒトワクチン接種、癌の免疫療法、喘息の免疫療法、免疫機能の全身性の増強、照射または化学療法の後の造血の回復の増強、および他の免疫調節性用途のための有効な治療剤であることを示唆している。
【0240】
本明細書中で使用される場合、用語「処置する、処置される、または処置すること」は、感染性疾患、癌、アレルギーまたは喘息のような障害に関して使用される場合、疾患の発症に対する被験体の抵抗性を増加させる(例えば、病原での感染)、または、言い換えると、被験体が疾患を発症する可能性を減少させる(例えば、病原に感染される)ための予防的処置、および、疾患と闘う(例えば、感染を減少または排除する)ため、もしくは疾患が悪化することを防止するための、被験体が疾患を発症した後の処置を指す。
【0241】
従って、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、本発明のいくつかの局面において、アレルギーもしくは喘息、感染性生物での感染、または、特定の癌抗原が同定されている癌を罹患しているか、またはこれらを発症する危険がある被験体の処置のためのワクチンとして、有用である。従って、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、感染、アレルギー、喘息または癌の処置のための抗原またはアレルゲンと組み合わせて被験体に投与され得る。あるいは、および、さらに、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドはまた、感染、アレルギー、もしくは癌に対する防御のために、抗原またはアレルゲンなしの単独で与えられ得るか、または、他の治療剤と共に投与され得る。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドはまた、他の治療剤と共に投与され得る。反復用量は、より長い期間の防御を可能にし得る。
【0242】
本明細書中で使用される場合、「危険がある被験体(subject at risk)」とは、感染の原因となる病原もしくはアレルゲンへの曝露の任意の特定可能な危険があるか、または、癌を発症する危険がある被験体である。例えば、感染を発症する危険がある被験体とは、特定の型の感染性因子が見られた領域に旅行することを計画している被験体であり得るか、または、ライフスタイルもしくは医療手順を介して、感染性の生物を含み得る体液、もしくはその生物に直接曝露される被験体であり得るか、または、感染性生物またはアレルゲンが同定されている領域に住んでいる任意の被験体であり得る。感染を発症する危険がある被験体としてはまた、特定の感染性生物抗原を用いるワクチン接種を、医療機関が推奨する一般大衆が挙げられる。抗原が、アレルゲンであり、被験体が、その特定の抗原に対してアレルギー反応を発症し、さらに、被験体が、例えば、花粉のシーズンの間に、抗原に曝露され得る場合、その被験体は、アレルギー反応を発症する危険がある。アレルギーもしくは喘息を発症する危険がある被験体としては、アレルギーもしくは喘息を罹患しているとして同定されたが、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの処置の間には、活性な疾患を有さない被験体が挙げられる。アレルギーもしくは喘息を発症する危険がある被験体としてはまた、遺伝的要因または環境要因に起因してこれらの疾患を発症する危険があると考えられる被験体が挙げられる。
【0243】
癌を発症する危険がある被験体は、癌を発症する可能性が高い被験体である。これらの被験体としては、例えば、遺伝的異常を有する被験体、癌を発症する高い可能性と相関関係を有することが実証された存在、タバコ、アスベストもしくは他の化学毒のような癌に関連する因子に曝露された被験体、および、以前に癌の処置を受け、外見上は寛解している被験体が挙げられる。癌を発症する危険がある被験体が、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチド、そして必要に応じて、その被験体が発症する危険がある癌の型に特異的な抗原で処置される場合、この被験体は、癌が発症すると、癌細胞を殺傷し得る。被験体内で腫瘍が形成し始めると、被験体は、生得的な免疫応答、または腫瘍抗原に対する特定の免疫応答を発症する。
【0244】
CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの予防的処置のための使用に加えて、本発明はまた、感染、アレルギー、喘息または癌を罹患している被験体の処置のためのCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの使用を包含する。
【0245】
感染を罹患している被験体は、感染性の病原に対して曝露され、そして、体内に急性もしくは慢性的に検出可能なレベルの病原を有する被験体である。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、抗原もしくは他の治療剤を伴ってか、または伴わずに使用され得、感染性病原のレベルを減少し得るか、または、感染性病原を根絶し得る、生得的もしくは抗原特異的な全身性もしくは粘膜性の免疫応答を起こし得る。本明細書中で使用される場合、「感染病」とは、体内における外来性の微生物の存在から生じる疾患である。病原の進入の最初の部位である、身体の粘膜表面を保護するための有効なワクチンストラテジーおよび処置を開発することが特に重要である。
【0246】
アレルギーを罹患している被験体は、アレルゲンに対する応答において、アレルギー反応を発症し得る被験体である。アレルギーは、基質(アレルゲン)に対する獲得された過感受性を指す。アレルギー性の条件としては、湿疹、アレルギー性鼻炎もしくは鼻感冒、花粉症、結膜炎、気管支喘息、アレルギー性喘息、蕁麻疹、食物アレルギー、および他のアトピー性条件が挙げられるがこれらに限定されない。
【0247】
アレルギーは、一般に、無害なアレルゲンに対するIgE抗体の生成により生じる。CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの全身投与もしくは粘膜投与により誘導されるサイトカインは、Th1と呼ばれるクラス(例としては、IL−12、IP−10、IFN−αおよびIFN−γである)に多く、そして、これらは、体液性免疫応答および細胞性免疫応答の両方を誘導する。IL−4およびIL−5サイトカインの生成に関連する免疫応答の他の主要な型は、Th2免疫応答と呼ばれる。一般に、アレルギー性疾患は、Th2型の免疫応答により媒介されるようである。本明細書中に記載されるCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの、優勢なTh2(IgE抗体およびアレルギーの生成に関連する)から平衡したTh2/Th1応答(アレルギー反応に対する防御)へと被験体における免疫応答をシフトさせる能力に基づいて、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの免疫応答を誘導するための有効用量が、喘息およびアレルギーを処置するために、被験体に投与され得る。
【0248】
従って、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、アレルギー状態および喘息の処置において有意な治療的有用性を有する。Th2サイトカイン(特に、IL−4およびIL−5)は、喘息の被験体の気道において増大される。これらのサイトカインは、喘息の炎症性応答の重要な局面(IgEアイソトープの切り替え、好酸球の化学走性および活性化、ならびに、肥満細胞の増殖が挙げられる)を促進する。Th1サイトカイン(特に、IFN−γおよびIL−12)は、Th2クローンの形成、およびTh2サイトカインの生成を抑制し得る。喘息は、免疫により特徴付けられる呼吸器系の障害、気道の狭小化、および吸入剤に対する気道の反応性の増加を指す。喘息は、専らではないものの、しばしば、アトピー症状またはアレルギー症状に関連する。従って、喘息は、アレルギー性喘息および非アレルギー性喘息を含む。
【0249】
癌を罹患する被験体は、検出可能な癌性細胞を有する被験体である。癌は、悪性の癌であっても非悪性の癌であってもよい。癌または腫瘍としては、胆管癌;脳腫瘍;乳癌;子宮頸部癌;絨毛癌;結腸癌;子宮内膜癌;食道癌;胃癌;上皮内新生物;リンパ腫;肝臓癌;肺癌(例えば、小細胞および非小細胞);黒色腫;神経芽細胞腫;口腔癌;卵巣癌;膵臓癌;前立腺癌;直腸癌;肉腫;皮膚癌;精巣癌;甲状腺癌;および腎臓癌、ならびに他の癌腫および他の肉腫が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、癌は、毛様細胞白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮細胞癌腫、腎細胞癌腫、前立腺癌腫、膀胱細胞癌腫、または結腸癌腫である。
【0250】
被験体とは、ヒトまたは脊椎動物を意味し、これらとしては、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ターキー、ニワトリ、霊長類(例えば、サル)、魚類(水産種)(例えば、サケ)が挙げられる。従って、この化合物は、ヒトおよび非ヒト被験体において癌および腫瘍、感染、ならびにアレルギー/喘息を処置するために使用され得る。癌は、愛玩動物(例えば、ネコおよびイヌ)の死の主な原因の1つである。
【0251】
CpGオリゴヌクレオチドが、抗原と共に投与される例において、被験体は、抗原に曝露され得る。本明細書中で使用される場合、用語「〜に曝露される」とは、被験体を抗原に曝露させるという能動的な工程、または、インビボでの被験体の抗原への受動的な曝露のいずれかを指す。抗原への被験体の能動的な曝露のための方法は、当該分野で周知である。一般に、抗原は、静脈内、筋肉内、経口、経皮、粘膜、鼻腔内、気管内、または皮下の投与のような手段で、被験体に直接投与される。抗原は、全身もしくは局所的に投与され得る。抗原およびCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与するための方法は、以下により詳細に記載される。被験体は、抗原が体内の免疫細胞への曝露に利用可能になると、抗原に受動的に曝露される。被験体は、例えば、外来性の病原の体内への侵入によって、またはその表面に外来性の抗原を発現する腫瘍細胞を発生させることによって、抗原に受動的に曝露され得る。
【0252】
被験体が抗原に受動的に曝露される方法は、特に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドの投与のタイミングに依存し得る。例えば、癌もしくは感染病、またはアレルギー反応もしくは喘息反応を発症する危険がある被験体において、被験体は、その危険性が最大になるとき(例えば、アレルギーのシーズン中、または、癌の原因となる因子への曝露後)に、定期的にCpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドを投与され得る。さらに、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、旅行者が、感染性因子に曝露される危険に曝される外国に旅行する前に、旅行者に投与され得る。同様に、CpG免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、被験体が、抗原に曝露される場合に、その抗原に対する全身もしくは粘液の免疫応答を誘導するような生物戦争(biowarfare)に曝露される危険がある兵士または一般市民に投与され得る。
【0253】
本明細書において使用される抗原は、免疫応答を惹起し得る分子である。抗原としては、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖結合体、多糖のペプチド模倣物および非ペプチド模倣物、ならびに他の分子、低分子、脂質、糖脂質、炭水化物、ウイルスおよびウイルス抽出物、ならびに、寄生生物のような多細胞生物、ならびにアレルゲンが挙げられるがこれらに限定されない。用語「抗原」は、宿主の免疫系により外来であると認識されるあらゆる型の分子を広く包含する。抗原としては、癌抗原、微生物抗原、およびアレルゲンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0254】
本明細書において使用される癌抗原は、腫瘍または癌細胞の表面に結合し、そして、MHC分子との関連において、抗原提示細胞の表面に発現されるときに、免疫応答を惹起し得る、ペプチドまたはタンパク質のような化合物である。癌抗原は、例えば、Cohen
PAら(1994)Cancer Res 54:1055−8に記載されるように、癌細胞の粗抽出物を調製すること、抗原を部分的に精製すること、組換え技術、または、公知の抗原の新規合成のいずれかによって、癌細胞から調製され得る。癌抗原としては、組換え的に発現された抗原、その免疫原性部分、もしくは、全体、または癌細胞が挙げられるがこれらに限定されない。このような抗原は、組換え的にか、または、当該分野で公知の任意の他の手段によって単離または調製され得る。
【0255】
本明細書中で使用される場合、用語「癌抗原」および「腫瘍抗原」は、癌細胞により差次的に発現され、それにより、癌細胞を標的とするために利用され得る抗原をいうために、交換可能に使用される。癌抗原は、明らかに腫瘍特異的な免疫応答を潜在的に刺激し得る抗原である。これらの抗原のいくつかは、必ずしも発現されていないが、正常細胞によってコードされる。これらの抗原は、正常細胞において通常はサイレント(すなわち、発現されていない)もの、分化の特定の段階でのみ発現されるもの、そして、胚性抗原および胎性抗原のような一過的に発現されるものとして特徴付けられ得る。他の癌抗原は、癌遺伝子(例えば、活性化されたras癌遺伝子)、サプレッサー遺伝子(例えば、変異たがp53)、内部欠失または染色体転座から生じた融合タンパク質のような、変異型の細胞遺伝子によりコードされる。なお他の癌抗原は、RNA腫瘍ウイルスおよびDNA腫瘍ウイルス上で運搬されるもののようなウイルス遺伝子によりコードされ得る。
【0256】
本明細書中で使用される微生物抗原は、微生物の抗原であり、微生物としては、ウイルス、細菌、寄生生物および真菌が挙げられるがこれらに限定されない。これらの抗原としては、インタクトな微生物、ならびに天然に存在する単離体およびそのフラグメントまたは誘導体、そしてまた、天然に存在する微生物と同一であるかもしくはこれに類似し、かつその微生物に特異的な免疫応答を誘導する合成化合物が挙げられる。化合物は、天然に存在する微生物抗原に対して免疫応答(体液性および/または細胞性)を誘導する場合に、天然に存在する微生物抗原に類似する。このような抗原は、当該分野で慣用的に使用されており、当業者に周知である。
【0257】
ヒトにおいて見られるウイルスの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAV、もしくはHIV−IIIとも呼ばれる);および他の単離株(例えば、HIV−LP));ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、リノウイルス、エコーウイルス);カルシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス、風疹ウイルス);フラビウイルス(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス);ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス);パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス);ブンヤウイルス科(例えば、ハンターンウイルス、ブンヤウイルス、フレボウイルスおよびナイロウイルス);アレナウイルス科(出血熱ウイルス);レオウイルス科(例えば、レオウイルス、オルビウイルスおよびロタウイルス);ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス);パルボウイルス科(パルボウイルス);パポバウイルス科(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);アデノウイルス科(ほとんどのアデノウイルス);ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(HSV)1および単純ヘルペスウイルス2、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびイリドウイルス科(例えば、アフリカ豚コレラウイルス);ならびに未分類のウイルス(例えば、デルタ型肝炎の病因因子(B型肝炎ウイルスの欠損サテライトであると考えられる)、C型肝炎の病因因子;ノーウォークウイルスおよび関連ウイルス、ならびにアストロウイルス)。
【0258】
グラム陰性およびグラム陽性の両方の細菌が、脊椎動物における抗原として機能する。このようなグラム陽性細菌としては、Pasteurella種、Staphylococci種、およびStreptococcus種が挙げられるがこれらに限定されない。グラム陰性細菌としては、Escherichia coli、Pseudomonas種およびSalmonella種が挙げられるがこれらに限定されない。感染性細菌の具体的な例としては、以下:
【0259】
【化76】

が挙げられるがこれらに限定されない。
【0260】
真菌の例としては、以下:
【0261】
【化77】

が挙げられる。
【0262】
他の感染性生物(すなわち、原生生物)としては、以下:
【0263】
【化78】

が挙げられる。血液由来および/または組織の寄生生物としては、以下:
【0264】
【化79】

が挙げられる。
【0265】
他の医療的に関連のある微生物は、文献に広範に記載されている。例えば、C.G.A
Thomas,Medical Microbiology,Bailliere Tindall,Great Britain 1983(その全内容が、本明細書により参考として援用される)を参照のこと。
【0266】
アレルゲンは、病気にかかりやすい被験体においてアレルギーまたは喘息の応答を誘導し得る物質(抗原)をいう。アレルゲンのリストは、莫大であり、花粉、昆虫毒、動物の鱗屑、粉塵、真菌の胞子および薬物(例えば、ペニシリン)が挙げられ得る。天然の、動植物のアレルゲンの例としては、以下の種属:
【0267】
【化80】

に特異的なタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
【0268】
抗原は、実質的に精製されていてもよい。用語「実質的に精製された」とは、本明細書中で使用される場合、他のタンパク質、脂質、炭水化物またはその抗原に天然に結合している他の物質を実質的に含まない、抗原、すなわち、ポリペプチドを指す。当業者は、タンパク質精製の標準的な技術を使用して、ポリペプチド抗原を精製し得る。実質的に純粋なポリペプチドは、しばしば、非還元のポリアクリルアミドゲル上で単一の主要なバンドを得る。部分的にグリコシル化されたポリペプチド、またはいくつかの開始コドンを有するものの場合、非還元のポリアクリルアミドゲル上にいくつかのバンドが存在し得るが、これらは、そのポリペプチドに特徴的なパターンを形成する。ポリペプチド抗原の純度はまた、アミノ末端のアミノ酸配列分析により決定され得る。多糖、低分子、模倣物などのような他の型の抗原が、本発明に含まれ、これらは、必要に応じて、実質的に純粋であり得る。
【0269】
本発明のオリゴヌクレオチドは、抗細菌剤と共に被験体に投与され得る。抗細菌剤とは、本明細書中で使用される場合、感染性微生物を殺傷または抑制し得る、天然に存在するか、または合成の化合物をいう。本発明に従って有用な抗細菌剤の型は、その被験体が感染しているかまたは感染する危険がある、微生物の型に依存する。抗細菌剤としては、抗細菌剤(anti−bacterial agent)、抗ウイルス剤、抗真菌剤、および駆虫剤(anti−parasitic agent)が挙げられるがこれらに限定されない。「抗感染剤」、「抗細菌剤」、「抗ウイルス剤」、「抗真菌剤」、「駆虫剤」および「殺虫剤(parasiticide)」のような句は、当業者に対して十分に確立された意味を有し、そして、標準的な医学の教科書に規定されている。簡単に述べると、抗細菌剤は、細菌を殺傷または抑制する。抗細菌剤としては、抗生物質、ならびに類似する機能を有する他の合成化合物もしくは天然化合物が挙げられる。抗生物質とは、細胞(例えば、微生物)による二次代謝物として生成される低分子量分子である。一般的には、抗生物質は、その微生物に特異的でありかつ宿主細胞中には存在しない、1つ以上の細菌もしくは構造体を妨害する。抗ウイルス剤は、天然供給源から単離されても、合成されてもよい。抗ウイルス剤は、ウイルスを殺傷または抑制するために有用である。抗真菌剤は、表面真菌感染症ならびに日和見真菌感染症および現発性全身真菌感染症を処置するために使用される。抗寄生生物剤は、寄生生物を殺傷または抑制する。
【0270】
ヒトへの投与に有用な殺虫剤とも呼ばれる抗寄生生物剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルベンダゾール、アムホテリシンB、ベンズニダゾール、ビチオノール、クロロキンHCl、クロロキンリン酸塩、クリンダマイシン、デヒドロエメチン、ジエチルカルバマジン、ジロキサニドフロエート、エフロオルニチン、フラゾリドン(furazolidaone)、グルココルチコイド、ハロファントリン(halofantrine)、ヨードキノール、イベルメクチン、メベンダゾル、メフロキン(mefloquine)、アンチモン酸メグロミン、メラルソプロール(melarsoprol)、メトリホナート、メトロニダゾール、ニクロスアミド、ニフルチモックス(nifurtimox)、オキサムニキン、パロモマイシン、ペンタミジンイセチオネート、ピペラジン、プロジカンテル、リン酸プリマキン、プログアニル(proguanil)、ピランテルパモエート、ピリメタミン−スルホンアミド(pyrimethanmine−sulfonamido)、ピリメタミン−スルファドキシン(pyrimethanmine−sulfadoxine)、キナクリンHCl、硫酸キニーネ、グルコン酸キニジン、スピラマイシン、スチボグルコネートナトリウム(グルコン酸アンチモンナトリウム)、スラミン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、チアベンダゾール、チニダゾール、トリメトロピウム−スルファメトキサゾール、および、トリパルサミド(これらのうちのいくつかは、単独でか、もしくは他のものと組み合わせて使用される)。
【0271】
抗細菌剤は、細菌を殺傷させるか、または細菌の増殖もしくは機能を抑制する。抗細菌剤の大きな種類は、抗生物質である。広範な細菌を殺傷または抑制するのに有効である抗生物質は、広域抗生物質と呼ばれる。他の型の抗生物質は、グラム陽性である種類の細菌またはグラム陰性である種類の細菌に対して主に有効である。これらの型の抗生物質は、狭域抗生物質と呼ばれる。単一の生物または疾患に対して有効であり他の型の細菌に対しては有効ではない他の抗生物質は、限定域抗生物質と呼ばれる。抗細菌剤は、時に、その主要作用様式に基づいて分類される。一般的に、抗細菌剤は、細胞壁合成インヒビター、細胞膜インヒビター、タンパク質合成インヒビター、核酸合成インヒビターもしくは核酸機能インヒビター、および競合インヒビターである。
【0272】
抗ウイルス剤は、ウイルスによる細胞感染を防ぐかまたは細胞内でのウイルス複製を防ぐ、化合物である。抗細菌剤よりはかなり少ない抗ウイルス剤が存在する。なぜなら、ウイルス複製プロセスは、宿主におけるDNA複製と非常に密接に関連しており、非特異的抗ウイルス剤は、その宿主にとってしばしば毒性であるからである。抗ウイルス剤によっ
て遮断または阻害され得るいくつかの段階が、ウイルス感染プロセス中に存在する。これらの段階としては、宿主細胞へのウイルスの付着(免疫グロブリンまたは結合ペプチド)、ウイルスの脱被膜(例えば、アマンタジン)、ウイルスmRNAの合成もしくは翻訳(例えば、インターフェロン)、ウイルスRNAもしくはDNAの複製(例えば、ヌクレオシドアナログ)、新規なウイルスタンパク質の成熟(例えば、プロテアーゼインヒビター)、ならびにウイルスの出芽および放出が、挙げられる。
【0273】
ヌクレオチドアナログは、ヌクレオチドに類似するが、不完全もしくは異常なデオキシリボース基もしくはリボース基を有する、合成化合物である。一旦ヌクレオチドアナログが細胞内に入ると、これらは、リン酸化されて、チオリン酸形態を生じ、このチオリン酸形態は、ウイルスDNAまたはウイルスRNA内への組み込みについて、正常なヌクレオチドと競合する。一旦、ヌクレオチドアナログのチオリン酸形態が、増大する核酸鎖内に組み込まれると、これは、ウイルスポリメラーゼと不可逆的な会合を生じ、従って、連鎖が停止する。ヌクレオチドアナログとしては、アシクロビル(単純ヘルペスウイルスおよび水痘帯状疱疹ウイルスの処置に使用される)、ガンシクロビル(サイトメガロウイルスの処置に有用)、イドクスウリジン、リバビリン(RSウイルスの処置に有用)、ジデオキシイノシン、ジデオキシシチジン、ジドブジン(アジドチミジン)、イミキモド(imiquimod)、およびレシミキモド(resimiquimod)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0274】
インターフェロンは、ウイルス感染細胞および免疫細胞により分泌されるサイトカインである。インターフェロンは、感染細胞に隣接する細胞上にある特異的なレセプターに結合し、ウイルスによる感染からその細胞を保護する細胞内での変化を生じることによって機能する。α−インターフェロンおよびβ−インターフェロンはまた、感染細胞の表面上でクラスIおよびクラスIIのMHC分子の発現を誘導し、宿主の免疫細胞認識のための抗原提示の増加を生じる。α−インターフェロンおよびβ−インターフェロンは、組換え形態として利用可能であり、慢性のB型肝炎およびC型肝炎の感染の処置に使用されている。抗ウイルス両方に有効な投薬量において、インターフェロンは、発熱、倦怠感および体重減少のような重篤な副作用を有する。
【0275】
本発明において有用な抗ウイルス剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:免疫グロブリン、アマンタジン、インターフェロン、ヌクレオシドアナログ、およびプロテアーゼインヒビター。抗ウイルス剤の特定の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:アセマンナン(Acemannan);アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル(Adefovir);アロブジン(Alovudine);アルビルセプトスドトックス(Alvircept Sudotox);塩酸アマンタジン;アラノチン(Aranotin);アリルドン(Arildone);メシル酸アテルビジン;アブリジン(Avridine);シドフォビル(Cidofovir);シパムフィリン(Cipamfylline);塩酸シタラビン;メシル酸デラビルジン(Delavirdine Mesylate);デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル(Disoxaril);エドクスウリジン;エンビラデン(Enviradene);エンビロキシム(Enviroxime);ファムシクロビル;塩酸ファモチン(Famotine Hydrochloride);フィアシタビン(Fiacitabine);フィアルリジン(Fialuridine);フォサリレート(Fosarilate);フォスカーネットナトリウム;ホスホネットナトリウム(Fosfonet Sodium);ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;ケトキサール(Kethoxal);ラミブジン(Lamivudine);ロブカビル(Lobucavir);塩酸メモチン;メチサゾン;ネビラピン(Nevirapine);ペンシクロビル(Penciclovir);ピロダビル(Pirodavir);リバビリン;塩酸リマンタジン(Rimantadine Hydrochloride);メシル酸サキナルビル;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン(Statolon);スタブジン(Stavudine);塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;リン酸ビダラビン;ビダラビンリン酸ナトリウム;ビロキシム(Viroxime);ザルシタビン;ジドブジン;およびジンビロキシム(Zinviroxime)。
【0276】
抗真菌剤は、感染性真菌の処置および予防のために有用である。抗真菌剤は、時には、その作用機構によって分類される。いくつかの抗真菌剤は、グルコースシンターゼを阻害することによって細胞壁インヒビターとして機能する。これらとしては、バシウンジン(basiungin)/ECBが挙げられるが、これに限定されない。他の抗真菌剤は、膜完全性を破壊することによって機能する。これらとしては、イミダゾール類(例えば、クロトリマゾール、セルタコンゾール(sertaconzole)、フルコナゾール(fluconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、ケトコナゾール、ミコナゾールおよびボリコナコール(voriconacole)ならびにFK463、アンホテリシンB、BAY38−9502、MK991、プラジミシン(pradimicin)、UK 292、ブテナフィン(butenafine)およびテルビナフィン(terbinafine)が挙げられるが、これらに限定されない。他の抗真菌剤は、キチンを破壊することによって機能する(例えば、キチナーゼ)か、または免疫抑制によって(501クリーム)、機能する。
【0277】
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、他の治療剤(例えば、アジュバント)と組み合わせて免疫応答を増強し得る。このCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドおよび他の治療剤は、同時または連続的に投与され得る。上記の他の治療剤が同時に投与される場合、それらの治療剤は、同じ処方物または別個の処方物中で投与され得るが、同時に投与される。上記の他の治療剤は、その他の治療剤およびCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドの投与が時間的に分離している場合、互いにおよびCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドと連続的に投与される。より具体的には、上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、少なくとも1種の他の治療剤の投与(もしくはその治療剤への暴露)の前または後に投与され得る。これらの化合物の投与の間の時間的分離は、分単位の事項であっても、またはより長いものであってもよい。他の治療剤としては、アジュバント、サイトカイン、抗体、抗原などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0278】
本発明の組成物はまた、非核酸アジュバントとともに投与され得る。非核酸アジュバントは、体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を刺激し得る、本明細書中に記載されるCpG免疫刺激オリゴヌクレオチド以外の任意の分子または化合物である。非核酸アジュバントとしては、例えば、デポー効果を生じるアジュバント、免疫刺激アジュバント、ならびにデポー効果を生じて免疫系を刺激するアジュバントが、挙げられる。
【0279】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドはまた、粘膜アジュバントとして有用である。全身免疫および粘膜免疫の両方がCpG核酸の粘膜送達によって誘導されることが、以前に発見されている。従って、上記オリゴヌクレオチドは、他の粘膜アジュバントと組み合わせて投与され得る。
【0280】
免疫応答はまた、サイトカイン(BuelerおよびMulligan,1996;Chowら、1997;Geisslerら、1997;Iwasakiら、1997;Kimら、1997)または副刺激分子(例えば、B7(Iwasakiら、1997;Tsujiら、1997)と、CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドとの同時投与もしくは共直線(co−linear)発現によって、誘導または増強され得る。用語「サイトカイン」とは、ナノモル濃度またはピコモル濃度で体液性調節因子として作用し、かつ正常条件もしくは生理条件下で個々の細胞および組織の機能的活性を調節する、多岐にわたる可溶性タンパク質および可溶性ペプチドの群に関する一般名として使用される。これらのタンパク質はまた、細胞間相互作用を直接媒介し、そして細胞外環境において生じるプロセスを調節する。サイトカインの例としては、インターロイキン1(IL−1)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−10、IL−12、IL−15、IL−18、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、腫瘍壊死因子(TNF)、TGF−β、Flt−3リガンド、およびCD40リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。サイトカインに加えて、上記CpGオリゴヌクレオチドは、特定のサイトカインに対する抗体(例えば、抗IL−10および抗TGF−β)ならびにシクロオキシゲナーゼインヒビター(すなわち、COX−1インヒビターおよびCOX−2インヒビター)と組み合わせて、使用され得る。
【0281】
上記オリゴヌクレオチドはまた、免疫応答を、Th2免疫応答からTh1免疫応答へと変えるために有用である。このことは、比較的平衡したTh1/Th2環境の生成を生じる。Th2免疫応答からTh1免疫応答へと免疫応答の変更は、上記核酸に応答して生成したサイトカインのレベルを測定することによって(例えば、Th1サイトカイン(IFN−αを含む)を生成するように単球および他の細胞を誘導することによって)、評価され得る。上記免疫応答をTh2応答からTh1応答へと変更または再平衡することは、喘息の処置のために特に有用である。例えば、喘息を処置するために有効な量は、喘息に関連するTh2型の免疫応答を、Th1型の応答または平衡したTh1/Th2環境へと変更するために有用な量であり得る。Th2サイトカイン(特に、IL−4およびIL−5)は、喘息被験体の気道において増加する。本明細書中に記載されるCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、免疫系を再平衡するのを補助するTh1サイトカイン増加を引き起こし、それによって優勢なTh2免疫応答に関連する有害な影響を防止または減少する。
【0282】
Th2免疫応答からTh1免疫応答への免疫応答の変更はまた、特定のアイソタイプの免疫グロブリンのレベルを測定することによって、評価され得る。例えば、マウスにおいて、IgG2aは、Th1免疫応答に関連し、IgG1およびIgEは、Th2免疫応答に関連する。
【0283】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、樹状細胞の細胞生存、細胞分化、細胞活性化、および成熟を促進する独特の能力を有し、このCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、樹状細胞を含むインビトロ方法、インビボ方法、およびエキソビボ方法のために有用である。
【0284】
CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドはまた、ナチュラルキラー細胞溶解活性および抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を増加する。ADCCは、細胞標的(例えば、癌細胞)に特異的な抗体と組み合わせてCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドを使用して、実施され得る。上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドが上記抗体と組み合わせて被験体に投与される場合、その被験体の免疫系は、腫瘍細胞を死滅させるように誘導される。ADCC手順において有用な抗体は、身体中の細胞と相互作用する抗体を包含する。細胞標的に特異的なそのような多くの抗体が、当該分野で記載されており、多くが、市販されている。
【0285】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドはまた、抗癌治療と組み合わせて投与され得る。抗癌治療としては、癌薬物、放射線手順および外科手順が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「癌薬物」とは、癌を処置する目的のために被験体に投与される因子を指す。本明細書中で使用される場合、「癌を処置する」とは、癌の発症を予防すること、癌の症状を低減すること、および/または樹立された癌の増殖を阻害することを包含する。他の局面において、上記癌薬物は、癌を発症する危険がある被験体に対して、その癌を発症する危険を減少する目的のために投与される。癌の処置のための種々の型の医薬が、本
明細書中に記載される。本明細書の目的のためには、癌薬物は、化学療法剤、免疫治療剤、癌ワクチン、ホルモン療法、および生物応答改変剤として分類される。
【0286】
さらに、本発明の方法は、上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドと一緒に、1種よりも多い癌薬物の使用を包含することが意図される。例として、適切な場合には、上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、化学療法剤および免疫治療剤の両方とともに投与され得る。あるいは、上記癌薬物は、癌を有する被験体または癌を発症する危険がある被験体を処置する目的のためにある被験体に投与される、免疫治療剤と癌ワクチンとを、または化学療法剤と癌ワクチンとを、または化学療法剤と免疫治療剤と癌ワクチンとを、包含し得る。
【0287】
上記化学療法剤は、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、非糖含有クロロエチルニトロソ尿素類、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラギリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムスタイン、およびポリフェルポサン、MMI270、BAY 12−9566、RASファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレク、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、パルスポダル/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン、メタレット/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、Incel/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP2202、FK317、ピシバニル/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エバセット/リポソーマルドキソルビシン、ユータキサン/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロード/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR 1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RASオンコジーンインヒビター、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフル/ウラシル)、エルガミゾール/レバミゾール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミゾール、カンプトスター/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド、ロイスタチン/クラドリビン、パキセックス/パクリタキセル、ドキシル/リポソーマルドキソルビシン、カエリックス/リポソーマルドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド、LU 103793/ドラスタチン、カエチックス/リポソーマルドキソルビシン、ゲムザル/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメッド、YM 116、ヨウ素シード、CDK4インヒビターおよびCDK2インヒビター、PARPインヒビター、D4809/デキシフォサミド、イフェス/メスネックス/イソファミド、ビュウモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール/シスプラチン、ベペシド/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサンアナログ、ニトロソ尿素類、アルキル化剤(例えば、メルフェランおよびシクロホスファミド)、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトーテン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、マイトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビスグアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、および硫酸ビンデシンからなる群より選択され得るが、このように限定はされない。
【0288】
上記免疫治療剤は、リツキサン、リブタキシン、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス、ベキサール、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット、NovoMAb−G2、TNT、グリオマブH、GNI−250、EMD−72000、リンホシド(LymphoCide)、CMA676、モノファームC、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10 Ab、SMART ABL 364 Ab、およびImmuRAIT−CEAからなる群より選択され得るが、そのように限定はされない。
【0289】
上記癌ワクチンは、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド結合体ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLテラトープ、BLP25(MUC−1)、リポソーム性イディオタイプワクチン、メラシン、ペプチド抗原ワクチン、トキシン/抗原ワクチン、MVAベースワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルス、およびImmuCyst/TheraCysからなる群より選択され得るが、そのように限定はされない。
【0290】
免疫療法剤(例えば、モノクローナル抗体)と組み合わせたCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドの使用は、多数の機構(ADCCの有意な増強(上記で考察される)、NK細胞の活性化、およびIFN−αレベルの増加を含む)を介して、長期生存を増加することが可能である。上記核酸は、モノクローナル抗体と組み合わせて使用した場合に、生物学的結果を達成するために必要な抗体の用量を減少するために役立つ。
【0291】
本発明はまた、上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドを使用して、抗原非特異的先天免疫活性化を誘導するためおよび感染性チャレンジに対する広範なスペクトル耐性を誘導するための方法を包含する。本明細書中で使用される用語「先天免疫活性化」とは、記憶B細胞以外の免疫細胞の活性化を指し、例えば、単球、好中球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞、および/または抗原非依存性様式で応答し得る他の免疫細胞の活性化を包含し得る。感染性チャレンジに対する広範なスペクトル耐性は、上記免疫細胞が活性形態にありかつ特定の抗原に対して特異的に刺激されるので、誘導される。上記細胞は、特定の抗原に対して特異的に刺激される必要はない。このことは、生物戦争および上記の他の環境(例えば、旅行者)において特に有用である。
【0292】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドは、被験体に直接投与され得るか、または核酸送達複合体と組み合わせて投与され得る。核酸送達複合体とは、標的化手段(例えば、標的細胞に対する高親和性結合を生じる分子)と会合(例えば、イオン結合もしくは共有結合、またはその中に封入)された核酸分子を意味する。核酸送達複合体の例としては、ステロール(例えば、コレステロール)、脂質(例えば、カチオン性脂質、ビロソーム、もしくはリポソーム)、または標的細胞特異的結合因子(例えば、標的細胞特異的レセプターによって認識されるリガンド)と会合された、核酸が挙げられる。好ましい複合体は、標的細胞によるインターナリゼーションの前の有意なアンカップリング(uncoupling)を防ぐために充分に安定であり得る。しかし、上記複合体は、上記オリゴヌクレオチドが機能的形態で放出されるように、上記細胞において適切な条件下で切断可能であり得る。
【0293】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤は、単独で(例えば、生理食塩水中もしくは緩衝液中)で投与され得るか、または当該分野で公知の任意の送達ビヒクルを使用して投与され得る。例えば、以下の送達ビヒクルが、記載されている:蝸牛状物(Cochleate)(Gould−Fogeriteら、1994、1996);エマルソーム(Emulsome)(Vancottら、1998;Lowellら、1997);ISCOM(Mowatら、1993;Carlssonら、1991;Huら、1998;Moreinら、1999);リポソーム(Childersら、1999;Michalekら、1989、1992;de Haan 1995a、1995b);生細菌ベクター(例えば、Salmonella、Escherichia coli、カルメット−ゲラン杆菌、Shigella、Lactobacillus)(Honeら、1996;Pouwelsら、1998;Chatfieldら、1993;Stoverら、1991;Nugentら、1998);生ウイルスベクター(例えば、Vaccinia、アデノウイルス、Herpes Simplex)(Gallichanら、1993、1995;Mossら、1996;Nugentら、1998;Flexnerら、1998;Morrowら、1999);ミクロスフェア(Guptaら、1998;Jonesら、1996;Maloyら、1994;Mooreら、1995;O’Haganら、1994;Eldridgeら、1989);核酸ワクチン(Fyanら、1993;Kuklinら、1997;Sasakiら、1998;Okadaら、1997;Ishiiら、1997);ポリマー(例えば、カルボキシメチルセルロース、キトサン)(Hamajimaら、1998;Jabbal−Gillら、1998);ポリマー環(Wyattら、1998);プロテオソーム(Vancottら、1998;Lowellら、1988、1996、1997);フッ化ナトリウム(Hashiら、1998);トランスジェニック植物(Tacketら、1998;Masonら、1998;Haqら、1995);ビロソーム(Gluckら、1992;Mengiardiら、1995;Cryzら、1998);ウイルス様粒子(Jiangら、1999;Leiblら、1998)。他の送達ビヒクルが、当該分野で公知である。
【0294】
用語「有効量」とは、一般的には、望ましい生物学的効果を実現するために必要または充分な量をさす。例えば、粘膜免疫を誘発するために抗原とともに投与されるCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドの有効量とは、抗原に暴露された場合にその抗原に応答したIgAの発生を引き起こすために必要な量であり、一方、全身免疫を誘発するために必要な量は、抗原に暴露された場合にその抗原に応答したIgGの発生を引き起こすために必要な量である。本明細書中に提供される教示と組み合わせて、種々の活性化合物および重み付け因子(例えば、効力、相対的バイオアベイラビリティー、患者の体重、有害な副作用の重篤度、および好ましい投与様式)を選択することによって、実質的な毒性を引き起こさないが特定の被験体を処置するために完全に有効である、有効な予防処置レジメンもしくは有効な治療処置レジメンが計画され得る。任意の特定の適用のための有効量は、処置される疾患もしくは状態、投与される特定のCpG免疫刺激オリゴヌクレオチド、被験体の大きさ、またはその疾患もしくは状態の重篤度のような要因に依存して、変化し得る。当業者は、特定のCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤の有効量を、過度の実験を必要とすることなく経験的に決定し得る。
【0295】
粘膜送達もしくは局所送達のための本明細書中に記載される化合物の主用量は、1回の投与について代表的には約10μg〜10gの範囲であり、これは、その適用に依存して、毎日、毎週、もしくは毎月、およびその間の他の時間に、または必要な他の場合に、投与され得る。より代表的には、粘膜用量もしくは局所用量は、1回の投与当たり約1mg〜500mgの範囲であり、最も代表的には約1mg〜100mgの範囲であり、2回〜4回の投与が、数日間隔または数週間間隔である。より代表的には、免疫刺激剤の用量は、1回の投与あたり10μg〜100mgの範囲であり、最も代表的には、100μg〜10mgの範囲であり、毎日または毎週投与される。抗原特異的免疫応答を誘導するための非経口送達について本明細書中に記載される化合物の用量(上記化合物は、抗原とともに送達されるが別の治療剤とは送達されない)は、代表的には、ワクチンアジュバント適用もしくは免疫刺激剤適用のための有効粘膜用量の5倍〜10,000倍大きく、より代表的には、10倍〜1,000倍大きく、最も代表的には20倍〜100倍大きい。CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドが他の治療剤と組み合わせてか特化した送達ビヒクル中で投与される場合に、先天免疫応答を誘発するため、もしくはADCCを増加するため、もしくは抗原特異的免疫応答を誘発するための、非経口送達のための本明細書中に記載される化合物の量は、1回の投与当たり約100μg〜10gの範囲であり、その適用に依存して、毎日、毎週、もしくは毎月、およびその間の他の時間、または必要な他の場合に、投与され得る。より代表的には、これらの目的のための非経口用量は、1投与当たり約1mg〜5gの範囲であり、最も代表的には約1mg〜1gの範囲であり、2回〜4回の投与が、数日間隔または数週間間隔である。しかし、いくつかの実施形態において、これらの目的のための非経口用量は、上記の代表的な用量よりも5倍〜10,000倍大きい範囲で使用され得る。
【0296】
本明細書中に記載される任意の化合物について、その治療上有効な量は、動物モデルからまず決定され得る。治療上有効な用量はまた、ヒトにおいて試験された(ヒト臨床試験が進行中である)他のCpGオリゴヌクレオチドについて、および同様の薬理学的活性を示すことが公知である化合物(例えば、LT抗原およびワクチン接種用の他の抗原)について、ヒトデータから決定され得る。より高用量が、非経口投与のために必要であり得る。適用される用量は、投与される化合物の相対的バイオアベイラビリティーおよび効力に基づいて、調整され得る。その用量を、上記の方法および当該分野で周知であるような他の方法に基づいて、最大効力を達成するように調整することは、充分に、当業者の能力の範囲内にある。
【0297】
本発明の処方物は、薬学的に受容可能な溶液中で投与され、この溶液は、慣用的には、薬学的に受容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性キャリア、アジュバント、および必要に応じて他の治療成分を含み得る。
【0298】
治療における使用のために、有効量のこのCpG免疫刺激オリゴヌクレオチドが、所望される表面(例えば、局所表面、粘膜表面、全身表面)にその化合物を送達する任意の様式によって、被験体に投与され得る。本発明の薬学的組成物を投与することは、当業者に公知の任意の手段によって達成され得る。好ましい投与経路としては、経口経路、非経口経路、筋肉内経路、皮下経路、病変内経路、腫瘍内経路、鼻内経路、舌下経路、気管内経路、吸入、眼内経路、膣内経路、および直腸経路が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
経口投与のために、上記化合物(すなわち、CpG免疫刺激オリゴヌクレオチド、抗原、および他の治療剤)は、その活性化合物を、当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせることによって、容易に処方され得る。そのようなキャリアは、本発明の化合物が、標的とされる被験体による経口摂取のための錠剤、ピル、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとして処方されるのを可能にする。経口用途のための薬学的調製物は、必要に応じて、生じた混合物を粉砕し、望まれる場合は適切な助剤を添加した後に、その顆粒混合物を処理して錠剤コアまたは糖剤コアを得ることによって、固体賦形剤として入手され得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤(例えば、糖(ラクトース、スクロース、マンニトール、もしくはソルビトールが挙げられる);セルロース調製物(例えば、トウモロコシスターチ、コムギスターチ、イネスターチ、ジャガイモスターチ、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP))である。望まれる場合、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が、添加され得る。必要に応じて、その経口処方物はまた、内部酸性状態を中和するための生理食塩水もしくは緩衝液中で処方され得るか、またはいかなるキャリアも含まずに投与され得る。
【0300】
糖剤コアは、適切なコーティングを備える。この目的のために、濃縮糖溶液が、使用され得、これは、必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに適切な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含み得る。染料または色素が、異なる活性化合物用量の組み合わせを同定または特徴付けるために、錠剤または糖剤コーティングに添加され得る。
【0301】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチンから作製された押込みばめカプセル、およびゼラチンと可塑剤(例えば、グリセロールまたはソルビトール)とから作製された軟らかい密封カプセルが、挙げられる。この押込みばめカプセルは、充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、スターチ)、および/または滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)、および必要に応じて安定化剤と混合して、活性成分を含み得る。この軟らかいカプセルにおいて、活性化合物は、適切な液体(例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール)中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定化剤が添加され得る。経口投与のために処方されたミクロスフェアもまた、使用され得る。このようなミクロスフェアは、当該分野で十分に規定されている。経口投与のためのすべての処方物は、このような投与に適切な投与量である。
【0302】
経口腔内投与のために、この組成物は、従来の様式で処方された、錠剤またはロゼンジの形態を採り得る。
【0303】
上記化合物は、標準的吸入デバイスを使用して、肺(特に、気管支、より特に肺深部の肺胞)へと、吸入によって投与され得る。上記化合物は、加圧パックまたは噴霧器からエアロゾル噴霧提示の形態で、適切な推進剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体)を使用して、送達され得る。加圧エアロゾルの場合、その投与単位は、計量した量を送達するための弁を提供することによって、決定され得る。吸入装置が、被験体に上記化合物を送達するために使用され得る。本明細書中に記載されるような吸入装置は、エアロゾル(例えば、上記化合物の乾燥粉末形態)を投与するための任意のデバイスである。この型の装置は、当該分野で周知であり、詳細に記載されている(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Edition,1995,Mac Publishing Company,Easton,Pennsylvania,p1676−1692において見出される記載)。多くの米国特許(例えば、米国特許第6,116,237号)もまた、吸入デバイスを記載する。
【0304】
本明細書中で使用される「粉末」とは、微細に分散した固体粒子からなる組成物を指す。好ましくは、上記化合物は、比較的に自由に浮遊し、そして吸入デバイス中で分散され得、その後、被験体によって吸入され得て、その化合物が肺に達して肺胞への浸透を許容
するようにされる。「乾燥粉末」とは、吸入デバイス中で容易に分散してエアロゾルを形成するような水分含量を有する、粉末組成物を指す。その水分含量は、一般的には約10重量%(%w)未満であり、いくつかの実施形態では、約5%未満であり、好ましくは約3%w未満である。その粉末は、ポリマーを用いて処方され得るか、または必要に応じて、他の材料(例えば、リポソーム、アルブミン、および/もしくは他のキャリア)を用いて処方され得る。
【0305】
エアロゾル投与および送達システムは、当業者によって特定の治療適用のために選択され得る、例えば、Gonda,I.「Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents to the respiratory tract」Critical Reviews in
Therapeutic Drug Carrier Systems,6:273〜313(1990)およびMoren「Aerosol dosage forms and formulations」Aerosols in Medicine.Principles,Diagnosis and Therapy、Morenら編、Elsevier,Amsterdam,1985に記載されている。
【0306】
上記化合物は、全身送達することが望ましい場合に、注入(例えば、ボーラス注入または連続注入)による非経口投与のために処方され得る。注入のための処方物は、単位投与形態で(例えば、アンプル中にかまたは多用量容器にて)、添加された保存剤とともに提示され得る。その組成物は、油状ビヒクルもしくは水性ビヒクル中の懸濁物、溶液、またはエマルジョンのような形態を採り得、そして処方剤(例えば、懸濁剤、安定化剤、および/もしくは分散剤)を含み得る。
【0307】
非経口投与のための薬学的処方物としては、水溶性形態の活性化合物の水性溶液が挙げられる。さらに、その活性化合物の懸濁物が、適切な油状注入懸濁物として調製され得る。適切な親油性溶媒または親油性ビヒクルとしては、脂肪油(例えば、ゴマ油)または合成脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリド)、またはリポソームが挙げられる。水性注入懸濁物は、その懸濁物の粘度を増加する物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、その懸濁物はまた、非常に濃縮された溶液の調製を可能にするために、適切な安定化剤またはその化合物の溶解度を増加する薬剤を含み得る。
【0308】
あるいは、上記活性化合物は、適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)を用いて使用前に構成するための、散剤形態であり得る。
【0309】
上記化合物はまた、直腸組成物または膣内組成物(例えば、(例えば、従来の坐剤基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含む)坐剤または貯留浣腸)の状態で処方され得る。
【0310】
上記の処方物に加えて、この化合物はまた、デポー調製物として処方され得る。そのような長期作用処方物は、適切なポリマー物質もしくは疎水性物質を用いて(例えば、受容可能な油中のエマルジョンとして)か、またはイオン交換樹脂を用いてか、または溶解性が乏しい誘導体(例えば、溶解性が乏しい塩)として、処方され得る。
【0311】
この薬学的組成物はまた、適切な固相もしくはゲル相の、キャリアもしくは賦形剤を含み得る。そのようなキャリアまたは賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、スターチ、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0312】
適切な液体薬学的調製物形態または固体薬学的調製物形態は、例えば、マイクロカプセル化されるか、蝸牛状にされる(encochleated)か、微視的金粒子上にコーティングされるか、リポソーム中に含まれるか、噴霧されるエアロゾル中に含まれるか、皮膚への移植用のペレット中に含まれるか、または皮膚中を引っ掻く鋭い物体上に乾燥された、吸入用の水性溶液もしくは生理食塩水溶液である。この薬学的組成物はまた、活性化合物を長期放出する、顆粒、散剤、錠剤、コーティングした錠剤、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、エマルジョン、懸濁剤、クリーム、ドロップ、または調製物を含み、その調製物において、賦形剤および添加剤および/もしくは補助剤(例えば、崩壊剤、結合剤、コーティング剤、甘味剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、甘味料、または可溶化剤が、上記のように慣用的に使用される。この薬学的組成物は、種々の薬物送達系における使用のために適切である。薬物送達のための方法の簡単な概説について、Langer R(1990)Science 249:1527−33(これは、本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
【0313】
上記CpG免疫刺激オリゴヌクレオチドおよび必要に応じて他の治療剤および/または抗原は、それ自体が(そのまま)投与され得るか、または薬学的に受容可能な塩の形態で投与され得る。薬物中で使用される場合、その塩は、薬学的に受容可能であるべきであるが、薬学的に受容可能ではない塩が、その薬学的に受容可能な塩を調製するために簡便に使用され得る。そのような塩としては、以下の酸から調製された塩が挙げられるが、それらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸。また、そのような塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩、もしくはカルシウム塩)として調製され得る。
【0314】
適切な緩衝化剤としては、酢酸および塩(1% w/v〜2% w/v);クエン酸および塩(1% w/v〜3% w/v);ホウ酸および塩(0.5% w/v〜2.5%
w/v);およびリン酸および塩(0.8% w/v〜2% w/v)が挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム(0.003% w/v〜0.03% w/v);クロロブタノール(0.3% w/v〜0.9% w/v);パラベン類(0.01% w/v〜0.25% w/v)、およびチメロサール(0.004% w/v〜0.02% w/v)が挙げられる。
【0315】
本発明の薬学的組成物は、有効量のCpG免疫刺激オリゴヌクレオチド、そして必要に応じて抗原および/または他の薬剤を、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリア中に含んだ状態で、含む。用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適切な、1つ以上の適合性の、固体もしくは液体の、充填剤、希釈剤、もしくはカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」とは、活性成分がその適用を容易にするように合わせられる、天然もしくは合成の、有機成分もしくは無機成分を示す。その薬学的組成物の成分はまた、望ましい薬学的効力を実質的に損なう相互作用が存在しない様式で、本発明の化合物と、および互いと、混合可能である。
【0316】
本発明は、以下の実施例によってさらに例証される。以下の実施例は、さらなる限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0317】
(実施例1.C−クラスODNアナログは、インビトロでIFN−α分泌およびヒトTLR9活性を誘導する)
この一連の実験において、本発明のC−クラスODNアナログを、それらのアナログが分泌IFN−αに対してヒト末梢血単核球(PBMC)を刺激し、かつヒトTLR9およびNF−κBレポーター構築物で安定にトランスフェクトしたHEK293細胞を刺激して、TLR9シグナル伝達を示す能力についてインビトロで試験した。
【0318】
ODNは、Biospring(Frankfurt,Germany)から購入した。そのODNは、Coley Pharmaceutical GmbH(Langenfeld,Germany)によって正体および純度について制御された。ODNを、リン酸緩衝化生理食塩水(Sigma,Germany)中に希釈し、−20℃にて保存した。すべての希釈を、発熱物質を含まない試薬を使用して実施した。試験ODNは、
【0319】
【化81】

を含んだ。
【0320】
【化82】

は、ホスホロチオエート結合を示し、
【0321】
【化83】

は、ホスホジエステル結合を示す。CpG ODN2006(TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT、配列番号56)を、TLR9シグナル活性化についてのポジティブコントロールとして使用した。C−クラスCpG ODN2429(TCGTCGTTTTCGGCGGCCGCCG、配列番号53)を、IFN−α誘導についてのポジティブコントロールとして使用した。非CpG ODN1982(TCCAGGACTT
CTCTCAGGTT、配列番号18)を、ネガティブコントロールとして使用した。
【0322】
健常男性ヒトドナーおよび健常女性ヒトドナーに由来する末梢血軟膜調製物を、the
Blood Bank of the University of Duesseldorf(Germany)から取得した。これらから、PBMCを、Ficoll−Hypaque(Sigma)における遠心分離によって精製した。精製したPBMCを、5%(v/v)熱非働体化ヒトAB血清(BioWhittaker)または10%(v/v)熱非働体化FCSと、2mM L−グルタミン(BioWhittaker)と、100U/mlペニシリンと、100μg/mlストレプトマイシン(Invitrogen,Karlsruhe,Germany)とを含む、RPMI 1640培養培地(BioWhittaker,Belgium)中に再懸濁した。
【0323】
新たなPBMCを、96ウェル丸底プレート上に播種し、示された濃度のODNとともに、37℃の加湿インキュベーター中で48時間インキュベートした。培養上清を、収集し、すぐに使用しない場合には−20℃にて必要時まで凍結した。
【0324】
上清中のIFN−αの量を、市販の抗体(Alexis GmbH,Gruenberg,Germany)を使用して発色させる酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)を使用して評価した。ODN128、ODN331〜ODN344、ODN611およびODN620を、4人の異なるドナーに由来するPBMCを用いて試験し、ODN614を、3人の異なるドナーに由来するPBMCを用いて試験した。
【0325】
ヒトTLR9レポーター遺伝子アッセイのために使用した安定にトランスフェクトしたHEK293細胞は、ヒトTLR9レセプターとNF−κBレポーター遺伝子構築物とを発現した。細胞を、ODNとともに37℃の加湿インキュベーター中で16時間インキュベートした。各データポイントは、3連で行った。細胞を溶解して、レポーター遺伝子活性についてアッセイした。刺激指数を、ODNを添加しない培地のレポーター遺伝子活性に関して算出した。
【0326】
(結果) 代表的な結果を、図1および図2に示す。図1は、CクラスODN332、ODN333、およびODN334が、濃度1μMにて存在する場合に、大量のIFN−α(代表的には、約2000pg/ml〜2500pg/ml)を誘導したことを示す。これらのODNによって誘導されるIFN−αの量は、同じ濃度のODN2006またはODN1982によって誘導されるIFN−αの量を有意に超えた。図1はまた、C−クラスODN332、ODN333、およびODN334が、濃度10μMにて存在する場合に、有意な量のTLR9シグナル伝達活性を(代表的には、刺激指数約15にて)誘導したことを示す。これらのODNによって誘導されるTLR9シグナル伝達活性の量は、同じ濃度のODN2006によって誘導されるTLR9シグナル伝達活性の約半分であった。本質的に同じ結果が、ODN128およびODN335〜ODN344について観察された。
【0327】
図2は、CクラスODN611、ODN614、およびODN620が、濃度1μMにて存在する場合に、なおより多量のIFN−α(代表的には、約3000pg/ml〜4000pg/ml)を誘導したことを示す。これらのODNによって誘導されるIFN−αの量は、同じ濃度のODN2006またはODN1982によって誘導されるIFN−αの量を有意に超えた。図2はまた、C−クラスODN611、ODN614、およびODN620が、濃度10μMにて存在する場合に、有意な量のTLR9シグナル伝達活性を(代表的には、刺激指数約10〜20にて)誘導したことを示す。これらのODNによって誘導されるTLR9シグナル伝達活性の量は、同じ濃度のODN2006によって誘導されるTLR9シグナル伝達活性の約半分であった。
【0328】
ODN611(配列番号43)、ODN614(配列番号43)、およびODN620(配列番号43)をまた、ODN2429(記載される元のパリンドローム含有Cクラスオリゴヌクレオチドのうちの1つ)と比較した。これらの新たなCクラスODNは、ヒトTLR9アッセイにおいて、より高い活性を示したが、一方、IFN−αの誘導は、ODN2429と同様であった(図3)。
【0329】
まとめると、これらの実験の結果は、本発明のCクラスODNアナログが、IFN−α分泌およびヒトTLR9活性をインビトロで有効に誘導することを示す。
【0330】
(実施例2)
(さらなるCクラスODNアナログは、IFN−α分泌をインビトロで誘導する)
この一連の実験において、本発明のさらなるCクラスODNアナログを、IFN−α分泌を誘導する能力についてインビトロで試験した。これらの実験においてCクラスODNアナログは、ATリッチな断続的逆方向反復の存在によって、または従来のヌクレオチド残基の位置にdSpacer残基を含む断続的逆方向反復の存在によって、部分的に特徴付けられた。
【0331】
ODNを、実施例1におけるようにして得た。試験ODNは、
【0332】
【化84】

を含んだ。
【0333】
【化85】

は、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合を示し、
【0334】
【化86】

は、ホスホジエステルヌクレオチド間結合を示し、Lは、dSpacerを示す。
【0335】
ヒトPBMCを、実施例1と同様な様式で得て処理した。
【0336】
上清中のIFN−αの量を、実施例1と同様な様式で酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)を使用して評価した。
【0337】
(結果) ATリッチな断続的逆方向反復の存在によって部分的に特徴付けられるCクラスODN645、ODN646、およびODN647は、濃度1μMにて存在する場合に、中程度の量のIFN−α(代表的には、約1200pg/ml〜1500pg/ml)を誘導した。これらのODNによって誘導されるIFN−αの量は、同じ濃度のODN2006またはODN1982によって誘導されるIFN−α量を有意に超えた。dSpacer残基を含む断続的逆方向反復の存在によって部分的に特徴付けられるCクラスODN649、ODN650、およびODN651は、濃度1μMにて存在する場合に、多量のIFN−α(代表的には、約2000pg/ml〜2500pg/ml)を誘導した。これらのODNによって誘導されるIFN−αの量は、同じ濃度のODN2006またはODN1982によって誘導されるIFN−α量を有意に超えた。
【0338】
まとめると、これらの実験の結果は、ATリッチな断続的逆方向反復の存在によって、または従来のヌクレオチド残基の位置にdSpacer残基を含む断続的逆方向反復の存在によって、部分的に特徴付けられる本発明のCクラスODNアナログが、IFN−α分泌をインビトロで有効に誘導することを示す。
【0339】
(実施例3)
(さらなるCクラスODNアナログは、IFN−α分泌およびヒトTLR9活性をインビトロで誘導する)
この一連の実験において、本発明のCクラスODNアナログを、分泌されたIFN−αに対してヒトPBMCを刺激するか、またはヒトTLR9およびNF−κBレポーター構築物で安定にトランスフェクトされたHEK293細胞を刺激して、TLR9シグナル伝達を示す能力についてインビトロで試験した。基本的プロトコルは、実施例1について記載される通りであるが、但し、試験ODNは、
【0340】
【化87】

を含んだ。
【0341】
【化88】

は、ホスホロチオエート結合を示し、
【0342】
【化89】

は、ホスホジエステル結合を示す。
【0343】
種々の濃度のODNを、TLR9レポーター遺伝子アッセイにおいて試験した。EC50(効果が最大効果の50%であるODN濃度)を、SigmaPlot(Window
Version 8.0についてはSigmaPlot2002)を使用して計算した。最大刺激指数(max SI)を、任意のODNについて試験したすべての濃度の最高値と、媒体コントロールとの間の商として計算した。結果を、図1に示す。10〜30の範囲にある刺激指数が一般的であったことが、理解され得る。
【0344】
(表1)
(本発明のCクラスCpG ODNは、ヒトTLR9を活性化する)
【0345】
【化90】

大量のIFN−αが、これらのCクラスCpG ODNとともに48時間インキュベーションした際に、ヒトPBMCによって分泌された。代表的なIFN−α量は、1μM以下の濃度のODNとともにインキュベートした後に、3000pg/ml〜4000pg/mlの範囲にあった。これらの実験におけるIFN−αについての応答曲線は、図2において示される応答曲線と非常に類似した。
【0346】
(実施例4)
(CクラスODNアナログは、抗原特異的免疫応答をインビボで誘導する)
これらの一連の実験において、本発明のCクラスODNを、マウスのワクチン接種と組み合わせてインビボで試験した。本発明のCクラスODNは、抗原特異的な全IgGおよびIgG2a(マウスにおけるTh1様IgG)の力価、ならびに抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答を、BクラスCpG ODN2006と少なくとも同等の様式でブーストすることが観察された。
【0347】
ODNは、実施例1におけるようにして得た。
【0348】
雌BALB/cマウス(6週齢〜8週齢)を、すべての実験のために使用した。動物を、Charles River Canada(Quebec,Canada)から購入し、Ottawa Hospital Research Institute,Civic Siteの動物介護施設において、小型隔離飼育器中に収容した。
【0349】
ナイーブなBALB/cマウス脾細胞を、すべてのインビトロアッセイのために使用した。動物に、イソフルオランで麻酔し、その動物を、頚部脱臼によって安楽死させた。脾臓を、無菌条件下で取り出し、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)+0.2%ウシ血清アルブミン(Sigma Chemical Company)中に配置した。その後、脾臓を、ホモジナイズし、脾細胞を、2%正常マウス血清(Cedarlane Laboratories,Ontario,Canada)と、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、最終濃度1000U/mlおよび1mg/ml;Sigma Chemical Company)と、5×10−5M β−メルカプトエタノール(Sigma Chemical Company)とを補充したRPMI 1640組織培養培地(Life Technologies,Grand Island,NY)中に再懸濁した。
【0350】
BALB/cマウス(n=10/群)を、1μg B型肝炎表面抗原(HBsAg)サブタイプad(International Enzymes,CA)で、単独でかまたは1μg〜100μgのCpG ODN2006、CpG ODN608、CpG ODN618、またはCpG ODN620と組み合わせて免疫した。動物から採血し、初回免疫後4週間目にブーストした。ブースト後2週間目に、各群由来の5匹の動物を、安楽死させ、脾臓を、CTLアッセイのために取り出した。
【0351】
HBsAg(抗HBs)に対して特異的な抗体(全IgG、IgG1、およびIgG2a)を、検出し、終点希釈ELISAアッセイによって定量した。このアッセイは、個々の動物由来のサンプルに対して三連で実施した。終点力価を、カットオフ値0.05にて非免疫血漿の2倍よりも大きな吸光度値(OD450)をもたらす最高血漿希釈度として、定義した。これらを、群平均力価(GMT)±SEMとして報告した。
【0352】
CTLアッセイを、標準的様式に従って実行した。簡単に述べると、秘蔵を、免疫後4週間目に取り出し、10%ウシ胎仔血清(Life Technologies,Grand Island,NY)と、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、最終濃度1000U/mlおよび1mg/ml;Sigma,Irvine,UK)と、5×10−5M β−メルカプトエタノール(Sigma)とを補充したRPMI 1640組織培養培地(Life Technologies)(完全RPMI 1640)中で単細胞懸濁物になるようにホモジナイズした。脾細胞懸濁物(3×10細胞/ml)中のHBsAg特異的リンパ球を、HBsAgを発現するマウス細胞系統(p815−S)とともにインキュベートすることによって、5日間再刺激した。再刺激後、HBsAgを発現する細胞をそのリンパ球が死滅させる能力を、51Cr放出アッセイを使用することによって決定した。その結果を、種々のエフェクター/標的(E:T)比における特異的溶解%として示す。
【0353】
(結果) 代表的な結果を、図4〜図6において示す。図4において示されるように、ODN2006についての全IgG力価およびODN620についての全IgG力価は、用量依存性であり、それぞれ、ODN用量1μgにおいて、約5×10および6.5×10であることがわかった。ODN2006についての全IgG力価およびODN620についての全IgG力価は、ODN用量1μgにおいて、約1×10であることがわかった。図5において示されるように、ODN2006およびODN620は、両方とも、非CpGコントロールであるODN2137(TGCTGCTTTTGTGCTTTTGTGCTT;配列番号60)と比較して、IgG2a(マウスにおけるTh1様IgG)を有意にブーストした。具体的には、用量10μgにて各々投与されたODN2006についてのIgG2a力価、ODN620についてのIgG2a力価、およびODN2137についてのIgG2a力価は、それぞれ、約3×10、6×10、および3×10であった。図6において示されるように、ODN2006およびODN620についてのE:T比が100:1でのCTL活性は、投与用量10μgおよび100μgにおいて、コントロールよりも有意に大きかった。例えば、用量10μgにて各々投与されたODN2006についての特異的溶解%、ODN260についての特異的溶解%、およびODN2137についての特異的溶解%は、約26%、24%、および12%であった。
【0354】
まとめると、これらの実験の結果、本発明のCクラスODNアナログは、抗原特異的免疫応答をインビボで有効に誘導することを、示す。
【0355】
(実施例5)
(CクラスODNアナログは、腫瘍モデルにおいてインビボにて、生存を改善し、腫瘍体積を減少する)
この一連の実験において、本発明のCクラスODNアナログを、マウス神経芽細胞腫モデルにおいてインビボで試験した。本発明のCクラスODNアナログは、全体の生存および腫瘍負荷の両方を劇的に改善することがわかった。
【0356】
ODNは、実施例1におけるようにして得た。
【0357】
BALB/cマウスは、実施例4におけるようにして得た。
【0358】
BALB/cマウスに、1×10個のマウス神経芽細胞腫(Neuro−2a)細胞(例えば、ATCC CCL−131、American Type Culture Collection,Manassas,VA)を、0日目に左大腿部中に皮下(s.c.)注射した。マウスに、10日目〜25日目に毎日、PBS、CpG 2006、CpG 620、または非CpGコントロールであるODN2137の皮下注射を行った。生存%および腫瘍体積を測定した。
【0359】
(結果) 代表的な結果を、図7に示す。図7Aにおいて示されるように、100μgのODN620で処理したマウスは、80日目に50%の生存率を有した。これに比較して、ODN2006、ODN2137、またはPBSについて、対応する生存率は、0%〜20%であった。さらに、図7Bにおいて示されるように、100μg ODN620で処理したマウスは、28日目に約1000mmにてピークに達して38日目までに0mmまで減少した腫瘍体積を有した。比較すると、ODN2137またはPBSで処理したマウスは、より迅速な単調な腫瘍増殖を有した。
【0360】
まとめると、これらの実験の結果は、本発明のCクラスODNアナログが、腫瘍モデルにおいてインビボにて、生存を有効に改善し、腫瘍体積を有効に減少することを示す。
【0361】
(実施例6)
(CクラスODNアナログの組織代謝および分布)
本発明のCクラスODNアナログを用いる吸着研究/分布研究は、マウスの皮下処置後に腎臓および肝臓などの器官からの順調な代謝およびクリアランスを示した。
【0362】
マウスを、5匹ずつの群へと分割し、各マウスに、0日目に単回皮下投与にて250μgのODNを投与した。種々の時点で、それらの器官(肝臓、腎臓、および脾臓)を、取り出し、そのオリゴヌクレオチドおよびその代謝物を、内容物の定量のために抽出した。
【0363】
(結果) 本発明のODN(例えば、ODN611およびODN620)は、完全にホスホロチオエートパリンドローム性である既知ODN(例えば、ODN2429)と比較して少ない蓄積を、器官において示した。例えば、3日目に、ODN611、ODN620およびODN2429の腎臓レベルは、それぞれ、約70±28mg/kg、約30±18mg/kg、および約90±10mg/kgであった。同様に、3日目に、ODN611、ODN620およびODN2429の肝臓レベルは、それぞれ、約45±15mg/kg、約28±12mg/kg、および約150±15mg/kgであった。
【0364】
全体としてまとめると、これらの結果は、本発明のCクラスODNアナログが、ODNが蓄積し得る器官からの順調な代謝およびクリアランスを有することを、示す。
【0365】
(実施例7)
(CクラスODNアナログの物理的特徴)
この組の実験において、ODN2429、ODN611、ODN620、ODN608
【0366】
【化91】

およびODN618
【0367】
【化92】

を、サイズ排除クロマトグラフィー、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)、UV熱変性、および高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、特徴付けた。ODN611およびODN620をサイズ排除クロマトグラフィー(PBS中で225μM)にて調査する場合、ただ1つだけのピークが、各化合物について観察された。すなわち、各オリゴヌクレオチドは、モノマーのように溶出した。対照的に、ODN608およびODN618(各々は、パリンドローム配列を含む)をサイズ排除クロマトグラフィーによって調査した場合、各オリゴヌクレオチドについて2つのピークが観察された。これは、上記モノマーに加えて、分子間ダイマーの存在と一致した。しかし、UV熱変性研究は、ODN611およびODN620が、溶液中で二次構造を有すことを示した。これは、分子内ヘアピン構造と一致した。このヘアピン構造は、ODN611の配列およびODN620の配列中にある逆方向反復から生じると考えられる。一般的に言うと、これらの配列について、HPLCおよびCGEにおいては、ODN2429およびODN608と比較して鋭いピークが、観察された。
【0368】
全体としてまとめると、これらの結果は、本発明のCクラスODNアナログが、分子内二次構造を形成する傾向があり、試験した濃度においてインビトロでは分子間複合体を形成しないが、パリンドローム含有CクラスODNは、分子間相互作用を解して複合体になるように会合する傾向があることを、示す。しかし、インビボでは、エンドソーム内区画中で達成されるODN濃度が、ODNの二重鎖またはより高次の複合体(本発明のCクラスODNアナログの二重鎖またはより高次の複合体さえも含む)さえも支持するのに充分に高濃度である可能性がある。
【0369】
(等価物)
上記の説明は、当業者が本発明の実施するのを可能にするに充分であると考えられる。本明細書中に示されそして記載されるものに加えて本発明の種々の改変が、上記の説明から当業者にとって明らかであり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入る。本発明の利点および目的は、本発明の各実施形態によって必ずしも包含されない。
【0370】
本明細書において引用されるすべての参考文献、特許および特許公開物は、その全体参考として本明細書中に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0371】
本発明は、添付の図面と組み合わせて考慮されるとき、より容易かつ完全に理解され得る。図面は、例示の目的のみのために提供され、本発明を理解または実施するために必要とはされない。
【図1】図1は、ODN332、ODN333およびODN334によるIFN−αおよびTLR9のシグナル伝達の誘導を図示する、一連のグラフである。
【図2】図2は、ODN611、ODN614およびODN620によるIFN−αおよびTLR9のシグナル伝達の誘導を図示する、一連のグラフである。
【図3】図3は、オリゴヌクレオチドのパネルにより刺激された、末梢血単核細胞(PBMC)におけるIFN−αの産生を図示するグラフである。
【図4】図4は、示された量のODNと共に1μgのB型肝炎表面抗原(HBsAg)で免疫した後の、抗原特異的な総IgGの群平均力価(GMT)を図示するグラフである。
【図5】図5は、示された量のODNと共に1μgのHBsAgで免疫した後の、抗原特異的な個々のIgGアイソタイプのGMTを図示するグラフである。
【図6】図6は、示された量のODNと共に1μgのHBsAgで免疫した後の、抗原特異的な細胞溶解性Tリンパ球の応答を図示するグラフである。
【図7】図7Aは、マウスの神経芽細胞腫腫瘍モデルにおける、異なるODN処置による生存率を図示するグラフである。図7Bは、マウス神経芽細胞腫腫瘍モデルにおける、異なるODN処置による腫瘍容積を図示するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TCGTCGTTTTACGGCGCCGTTGCCG(配列番号44)を含む、免疫刺激性核酸。
【請求項2】
本質的に、TCGTCGTTTTACGGCGCCGTTGCCG(配列番号44)からなる、請求項1に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項3】
少なくとも1つのヌクレオチド間結合が、ホスホロチオエートで改変される、請求項1に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項4】
各ヌクレオチド間結合が、ホスホロチオエートで改変される、請求項1に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチド中の少なくとも1つのヌクレオチドが、置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンである、請求項1に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項6】
前記置換ピリミジンが、C5−置換ピリミジンもしくはC6−置換ピリミジンである、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項7】
前記置換プリンが、C8−置換プリンもしくはC7−置換プリンである、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項8】
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンが、5−置換シトシン、6−置換シトシン、N4−置換シトシン、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、プソイド−イソシトシン、縮合環系を有するシトシンアナログ、およびウラシル誘導体、チミン誘導体、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、7−デアザ−8−置換グアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、置換アデニン、8−置換グアニン、ならびに6−チオグアニンからなる群より選択される、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項9】
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンが、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、6−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、ならびに非置換型もしくは置換型の5−アルキニル−シトシン、N4−エチル−シトシン、N,N’−プロピレンシトシン、フェノキサジン、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオチミン、4−チオチミン、6−置換チミン、7−デアザ−7−(C2−C6)アルキニルグアニン、N2−メチル−グアニン、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン、8−ヒドロキシグアニン、および8−ブロモグアニンからなる群より選択される、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項10】
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンが、ユニバーサル塩基(universal base)、芳香族環系、および水素原子(dSpacer)からなる群より選択される、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項11】
前記置換プリンもしくは改変プリンまたは置換ピリミジンもしくは改変ピリミジンが、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、3−ニトロピロール、P−塩基、およびK−塩基、ベンズイミダゾール、ジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド、フルオロベンゼン、およびジフルオロベンゼンからなる群より選択される、請求項5に記載の免疫刺激性核酸。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸および抗原を含む、ワクチン。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸および薬学的に受容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸および抗癌薬物を含む、薬学的組成物。
【請求項15】
癌の処置における使用のための薬物の製造のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載の免疫刺激性核酸の使用。
【請求項16】
前記癌が、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳および中枢神経系の癌、乳癌、子宮頚癌、絨毛癌、結腸および直腸癌、結合組織癌、消化器系の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼の癌、頭部および頸部の癌、胃癌、上皮内新生物、腎臓癌、咽頭癌、白血病、肝癌、肺癌、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫、黒色腫、骨髄腫、神経芽腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、網膜芽腫、横紋筋芽細胞腫、直腸癌、腎臓癌、呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、泌尿器系の癌、または他の癌腫および肉腫から選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記癌が、インターフェロンα(IFN−α)での処置に感受性の癌である、請求項15に記載の使用。
【請求項18】
前記IFN−αでの処置に感受性の癌が、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、皮膚T細胞白血病、多発性骨髄腫、濾胞性リンパ腫、悪性黒色腫、扁平上皮癌、AIDS関連カポージ肉腫、腎細胞癌、前立腺癌腫、子宮頚部形成異常、または結腸癌腫から選択される、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
前記薬物が、抗癌治療を組み合わせて使用するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項20】
前記抗癌治療が、放射線である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
前記抗癌治療が、癌薬物である、請求項19に記載の使用。
【請求項22】
前記癌薬物が、化学療法剤である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記化学療法剤が、メトトレキサート、ビンクリスチン、アドリアマイシン、シスプラチン、非糖含有クロロエチルニトロソ尿素類、5−フルオロウラシル、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダカルバジン、タキソール、フラギリン、メグラミンGLA、バルルビシン、カルムスタイン、およびポリフェルポサン、MMI270、BAY 12−9566、RASファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、MMP、MTA/LY231514、LY264618/ロメテキソール、グラモレク、CI−994、TNP−470、ハイカムチン/トポテカン、PKC412、パルスポダル/PSC833、ノバントロン/ミトロキサントロン、メタレット/スラミン、バチマスタット、E7070、BCH−4556、CS−682、9−AC、AG3340、AG3433、Incel/VX−710、VX−853、ZD0101、ISI641、ODN698、TA2516/マルミスタット、BB2516/マルミスタット、CDP845、D2163、PD183805、DX8951f、レモナールDP2202、FK317、ピシバニル/OK−432、AD32/バルルビシン、メタストロン/ストロンチウム誘導体、テモダール/テモゾロミド、エバセット/リポソーマルドキソルビシン、ユータキサン/パクリタキセル、タキソール/パクリタキセル、キセロード/カペシタビン、フルツロン/ドキシフルリジン、シクロパックス/経口パクリタキセル、経口タキソイド、SPU−077/シスプラチン、HMR 1275/フラボピリドール、CP−358(774)/EGFR、CP−609(754)/RASオンコジーンインヒビター、BMS−182751/経口プラチナ、UFT(テガフル/ウラシル)、エルガミゾール/レバミゾール、エニルウラシル/776C85/5FUエンハンサー、カンプト/レバミゾール、カンプトスター/イリノテカン、ツモデックス/ラリトレキセド、ロイスタチン/クラドリビン、パキセックス/パクリタキセル、ドキシル/リポソーマルドキソルビシン、カエリックス/リポソーマルドキソルビシン、フルダラ/フルダラビン、ファルマルビシン/エピルビシン、デポサイト(DepoCyt)、ZD1839、LU79553/ビス−ナフタリミド、LU 103793/ドラスタチン、カエチックス/リポソーマルドキソルビシン、ゲムザル/ゲムシタビン、ZD0473/アノルメッド、YM 116、ヨウ素シード、CDK4インヒビターおよびCDK2インヒビター、PARPインヒビター、D4809/デキシフォサミド、イフェス/メスネックス/イソファミド、ビュウモン(Vumon)/テニポシド、パラプラチン/カルボプラチン、プランチノール/シスプラチン、ベペシド/エトポシド、ZD9331、タキソテール/ドセタキセル、グアニンアラビノシドのプロドラッグ、タキサンアナログ、ニトロソ尿素類、アルキル化剤(例えば、メルフェランおよびシクロホスファミド)、アミノグルテチミド、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、クロラムブシル、シタラビンHCl、ダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エトポシド(VP16−213)、フロクスリジン、フルオロウラシル(5−FU)、フルタミド、ヒドロキシ尿素(ヒドロキシカルバミド)、ロムスチン(CCNU)、メクロレタミンHCl(ナイトロジェンマスタード)、メルカプトプリン、メスナ、ミトーテン(o.p’−DDD)、ミトキサントロンHCl、オクトレチド、プリカマイシン、プロカルバジンHCl、ストレプトゾシン、クエン酸タモキシフェン、チオグアニン、チオテパ、硫酸ビンブラスチン、アムサクリン(m−AMSA)、アザシチジン、エリスロポエチン、ヘキサメチルメラミン(HMM)、インターロイキン2、マイトグアゾン(メチル−GAG;メチルグリオキサールビスグアニルヒドラゾン;MGBG)、ペントスタチン(2’デオキシコホルマイシン)、セムスチン(メチル−CCNU)、テニポシド(VM−26)、あるいは硫酸ビンデシンである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記癌薬物が、免疫治療剤である、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
前記免疫治療剤が、リツキサン、リブタキシン、ハーセプチン、クアドラメット、パノレックス、IDEC−Y2B8、BEC2、C225、オンコリム、SMART M195、ATRAGEN、オバレックス、ベキサール、LDP−03、ior t6、MDX−210、MDX−11、MDX−22、OV103、3622W94、抗VEGF、ゼナパックス、MDX−220、MDX−447、MELIMMUNE−2、MELIMMUNE−1、CEACIDE、プレターゲット、NovoMAb−G2、TNT、グリオマブH、GNI−250、EMD−72000、リンホシド(LymphoCide)、CMA676、モノファームC、4B5、ior egf.r3、ior c5、BABS、抗FLK−2、MDX−260、ANA Ab、SMART 1D10 Ab、SMART ABL 364 Ab、またはImmuRAIT−CEAである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
前記癌薬物が、癌ワクチンである、請求項21に記載の使用。
【請求項27】
前記癌ワクチンが、EGF、抗イディオタイプ癌ワクチン、Gp75抗原、GMK黒色腫ワクチン、MGVガングリオシド結合体ワクチン、Her2/neu、オバレックス、M−Vax、O−Vax、L−Vax、STn−KHLテラトープ、BLP25(MUC−1)、リポソーム性イディオタイプワクチン、メラシン、ペプチド抗原ワクチン、トキシン/抗原ワクチン、MVAベースワクチン、PACIS、BCGワクチン、TA−HPV、TA−CIN、DISC−ウイルス、またはImmuCyst/TheraCysである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記薬物が、1より多い抗癌治療と組み合わせて使用するためのものである、請求項15に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−151536(P2007−151536A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−131908(P2006−131908)
【出願日】平成18年5月10日(2006.5.10)
【分割の表示】特願2006−538383(P2006−538383)の分割
【原出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【出願人】(502102051)コーリー ファーマシューティカル ゲーエムベーハー (21)
【出願人】(500523962)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】