説明

免疫疾患、感染症および癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物

本発明は、免疫保護または免疫調節のためのワクチンの調製における、PDT処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清の使用に関する。より具体的には、本発明は、個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物の調製におけるPDT処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清の使用に関し、個別細胞またはその成分を、化合物I〜XVIIIからなる群より選択される光活性化可能な分子による処理を含み、光活性化可能な分子は、適当な波長の光により活性化され、これにより光活性化可能な分子が活性化され、免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(a)発明の分野
本発明は、免疫保護または免疫調節のためのワクチンの調製における、PDT処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清の使用に関する。PDT処理細胞およびそのライセートは、細胞を光活性化可能な分子、例えば2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩(以後、TH9402と呼ぶ)およびその誘導体(WO02/079183として公開されている国際特許出願において記述されている)で処理し、これらの分子を光で活性化することにより調製される。これらの分子の主特性は、前駆幹細胞に影響を与えずに、細胞中に蓄積され、いったん活性化されると細胞を根絶することができる能力である。そのような細胞としては、免疫細胞、癌細胞、感染細胞が挙げられるが、それらに限定されない。これは特に興味深い。血液細胞の体外処理および血流への再注入は、リンパ球に限定された影響しか与えないからである。主に活性化された細胞は根絶され、静止細胞はより高い割合で残る。8-メトキシソラレンなどのインターカレート剤はUV照射の使用を必要とするが、本発明の光活性化可能な分子(TH9402およびその誘導体)は活性化のために可視光を使用し、これにより変異原性影響の危険が減少する。Intercept(商標)などの他の薬剤もまたインターカレート剤である。本発明の光活性化可能分子(TH9402およびその誘導体)は細胞核内に蓄積しないので、DNA損傷、突然変異および/または発癌を引き起こす可能性が低い。
【背景技術】
【0002】
(b)従来技術の簡単な説明
光線力学的治療(PDT)は、様々な光/照射装置により活性化される化学化合物を使用する。活性化種の細胞毒性により細胞の根絶、および免疫応答を刺激する、または免疫調節を引き起こすその抗原の提示に至る。光線力学的治療はまた、アポトーシスを誘導することにより標的細胞に影響することがある。アポトーシス細胞は、それ自体の抗原を専門の抗原提示細胞、例えば樹状細胞に提示する能力で知られている。そのような抗原提示により、免疫抗原に向かう免疫系の応答の発現に至ることができる。多くの報告により、殺された細胞に対する免疫応答をブーストするアジュバントの有益性が証明されている。特に、Korbelik(Korbelik et al., Laser Med. Surg. 14(1996), 329-334, Can. Res. 56, (1996)5647-5565; Chen et al., SPIE 394(2000),26-32)、ならびにNordquist et al.(WO 96/31237およびWO 99/47162A1として公開されれている国際特許出願)による研究などの関連する参考文献で、そのようなアプローチの有益性が証明されている。さらに、血液成分中の酸化種の使用は以前、化学薬品としてオゾンを照射と共に使用して記述されている(Zee et al., 米国特許第4,632,980号;Fish et al., 米国特許第4,831,268号、Mueller et al., 米国特許第4,968,483号)。光線力学的治療はまた、“Photosensitizing Compounds: their Chemistry, Biology and Clinical uses”(1989、John Wiley & Sons, Chichester, UK, ISBN 0471923087)において広く記述されている。腫瘤の治療における光増感剤の使用に関する多くの他の関連する参考文献が、抗体(Levy et al、米国特許第5,095,030号&第5,283,225号)ならびにリガンドおよび抗体(Pendry et al、米国特許第5,241,036号)と組み合わせている。自己免疫ワクチンが、Bolton, A.E.(米国特許第6,204,058B1号)(WO 98/07436として公開された国際特許出願)により記述されている。この場合、関節リウマチが、酸化剤、UV照射および高温により特異抗原の発現を増大させた白血球を用いて治療されている。
【0003】
体外フォトフェレーシスは、インターフェロンαなどの他の手段と併用すると、C型肝炎の治療に対し成功した療法(O’Brien, C.B. WO 97/376542として公開されている国際特許出願; McLaughlin S.N. et al.、WO 97/36634として公開されている国際特許出願)、ならびに望ましくない活性化免疫細胞により媒介される他の疾患の治療において成功した療法(McLaughlin et al.、米国特許第5,984,887号およびBisaccia et al.、米国特許第5,426,116号)として記述されている。臓器拒絶反応などの適応における(Lehrer et al.,2001, The journal of Heart and Lung transplantation, November, 1133-1136; Rosa et al, 1992, Transplantation, 4(53), 808-815; Barr et al, 1998, The New England Journal of Medicine, 339(4), 1744-1751, Barr et al, 2000, Clinical Transplantation, 14, 162-166)、ならびに移植片対宿主病の効果的な治療に対する(Perotti et al, 1999, Haematologica, 84, 237-241; Amico et al., 1997, British Journal of Hematology, 97, 848-854; Rossetti et al., 1995, Transplantation, 59(1), 149-151; Gorgun et al., 2002, Immunobiology, 100(3), 941-947)、体外フォトフェレーシスの使用に関する他の研究が報告されている。体外フォトフェレーシスの使用の適応がRatanatharathorn et al.によりBone Marrow Transplantation(2001, 28, 121-129)においてレビューされている。
【0004】
米国特許第5,651,993号(Edelson et al.)は、白血球調製物の照射を用い、続いて自己ペプチド混合物を添加することにより特異抗原に対する哺乳類の免疫応答を修飾するための他の方法を教示する。米国特許第5,147,289号(Edelson)は、哺乳類から白血球を取り出す段階、白血球を変化させる段階、および白血球を哺乳類に戻す段階を含む、哺乳類の抗原に対する免疫応答を非特異的に増強する方法を教示する。これらの特許のいずれも、感染症および癌に対する哺乳類の免疫保護のための化合物の調製を教示していない。
【0005】
個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物の調製においてPDT処理細胞およびその上清の使用を提供することが非常に望ましい。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明によれば、下記からなる群より選択される光活性化可能な分子で個別細胞またはその成分を処理する段階を含む、個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物の調製におけるPDT処理細胞(全体またはその断片)およびその上清の使用が提供され:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸エチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸オクチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

ローダミンB n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル臭化水素酸塩)、

4’,5’-ジクロロテトラメチルローダミン(2’-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4’,5’-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩)、

2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸ヘキシルエステルアセテート)、

2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸メチルエステルアセテート)、

4,5-ジブロモローダミン6G臭化水素酸塩(2’-(4,5-ジブロモ-2,7-ジメチル-6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸3-ブロモプロピルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(4’,5’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、

2,7-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(2’,7’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)および

4-ブロモ-7-フェニル-ローダミンB塩基(3,3-(4’-ブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノ-5’-フェニルキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、
ならびに
ここで、光活性化可能な分子は、適当な波長の光により活性化され、これにより光活性化可能な分子が活性化し、免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療が得られる。
【0007】
また、本発明によれば、PDT-処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清を、薬学的に許容される担体と共に含む免疫ワクチンが提供される。ここで、細胞は、前で規定されるように、化学式(I)の光活性化可能な分子により処理される。本発明のワクチンは、免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のために使用することができる。
【0008】
さらに、本発明によれば、
a)前に規定した化学式(I)の光活性化可能な分子で個別細胞を処理する段階;および
b)細胞を、光活性化可能な分子を活性化するのに適当な波長の光に曝露し、これによりPDT-処理した個別細胞(全体またはその断片)および/またはその上清を得る段階
を含む、個人における免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物を調製する方法が提供される。
【0009】
本発明のために、下記用語を以下で規定する:
「PDT処理細胞」は、適当な波長の光により活性化された光活性化可能な分子で処理されている細胞を意味する。
【0010】
本発明の詳細な説明
免疫疾患、感染症および癌
本発明では、個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、および/もしくは予防または治療のためのいくつかの解決策を提供する。特に、免疫疾患は同種免疫疾患または自己免疫疾患とすることができる。同種免疫疾患は移植片対宿主病または臓器拒絶反応である。自己免疫疾患の例としては、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、狼瘡、自己免疫溶血性貧血、糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病が挙げられるが、それらに限定されない。感染症は細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、プリオン、原生動物または他の感染病原体により引き起こされる。また、感染はシャーガス病を引き起こすことがある。ウイルスの例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒトヘルペスウイルスI型またはII型、および水痘-帯状疱疹が挙げられるが、それらに限定されない。癌の例としては充実性腫瘍および血液腫瘍(hematologic tumor)が挙げられるが、それらに限定されない。充実性腫瘍は乳癌、肺癌、消化管癌、皮膚癌由来または泌尿生殖器、神経、頭部および頸部または筋骨格由来とすることができる。血液腫瘍は、リンパ腫、白血病、骨髄腫、異形成脊髄またはプラズマ細胞疾患とすることができる。
【0011】
本発明の免疫学的化合物
下記の具体的な光活性化可能な分子が特に好ましい:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、および

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)。
【0012】
本発明の光活性化可能な分子は、好ましくは約400〜約800nmの範囲であり、より好ましくは約450〜約600nmである適当な波長の光により活性化可能である。
【0013】
本発明のPDT
PDTは好ましくは、本発明の光活性化可能な分子の可視光への曝露に基づき、これによりフリーラジカル種が生成可能である。TH9402などのカチオンローダミンは、ミトコンドリア中に特異的に蓄積されることが示されており、フリーラジカルの生成によりミトコンドリアの崩壊に至る。蓄積は活性化細胞で増加し、それらのローダミンの効果が、自己免疫疾患の活性化細胞に対し特に魅力的な療法となる。また、免疫系細胞の、宿主組織または移植臓器、癌細胞、感染細胞またはPDTにより処理された他の望ましくない細胞に向かって反応する他の免疫細胞への曝露は、ワクチン接種および外部フォトフェレーシスに対し特に魅力的であり、好都合な免疫調節が得られる。
【0014】
本発明の光活性化可能な分子によるPDT処理後に、これらの細胞から放出される細胞産物を含むPDT処理細胞および/またはそのライセートを、単独で、またはアジュバントと共に使用し、個人から特異的な免疫応答を発生させることができる。これらのワクチンを使用して、下記を含むがそれらに限定されない自己免疫疾患を患う個人を治療することができる:関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、紅斑性狼瘡、糖尿病、自己免疫溶血性貧血、真性糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病、ならびに免疫系を回避した疾患、例えば、限定はされないが下記:後天性免疫不全症候群(AIDS)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトヘルペスウイルスI型またはII型、および水痘-帯状疱疹。さらに、これらのワクチンはまた、回避癌細胞に対する免疫応答を誘導することにより、癌治療を改善することができる。これにより、誘導された免疫応答により誘発される腫瘤の物理的破壊に至る。
【0015】
本発明では、個別細胞の処理はエクスビボ、インビトロまたはインビボで実施する。好ましくは、処理は灌流によりエクスビボで実施する。細胞の体外治療を使用して、PDT処理血液細胞の一部の繰り返し注入が可能であり、PDT処理血液細胞はその後個人に再注入される。この処理を、急性および慢性状態の改善のために使用する。そのような状態としては、移植片対宿主病、臓器拒絶反応、自己免疫反応により引き起こされる衰弱性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。自己免疫反応としては、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、狼瘡、I型およびII型糖尿病、自己免疫溶血性貧血、糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病が挙げられるが、これらに限定されない。この処理はまた、個人による処理細胞に対する免疫応答を増強させる。
【0016】
より具体的には、本発明の好ましいワクチンでは、PDTに曝露した後に得られるPDT処理リンパ腫細胞またはリンパ腫細胞上清をマウスに注入すると、リンパ腫形成の有意の減少が観察される。そのような軽減は、T-細胞リンパ腫細胞系EL-4を用いて証明されている。TH9402および光によるPDTを受けたEL-4リンパ腫細胞は、迅速にプログラムされた細胞死、アポトーシスおよび/または壊死に進行する(実施例2を参照のこと)。
【0017】
マウスにおいて、PDT処理EL-4細胞、または照射PDT処理EL-4細胞由来の上清の注入を4週間繰り返した後、未処理細胞を注入すると、マウスのリンパ腫の増殖が遅れることが明確に示される。対照的に、ワクチン接種していないマウスはより早いリンパ腫細胞増殖を発現し、死に至る(図2)。
【0018】
同様に、P815腫瘍細胞(肥満細胞腫)をPDT処理し、樹状細胞などの抗原提示細胞と共にインキュベートし、その後、それを使用しマウスを繰り返し様式で免疫した(実施例3を参照のこと)。PDT-処理P815腫瘍細胞に対し免疫したそのような動物に新鮮なP815腫瘍細胞を注入すると、これらのマウスは、操作していない樹状細胞で免疫したマウスよりも改善された腫瘍のない生存率を示した(図3)。
【0019】
免疫調節は、機能不全細胞または死につつある細胞に対する攻撃的で特異な応答を発現する免疫系の独自の能力を介して実施されると考えられる。抗原提示細胞は、プログラムされた細胞死またはアポトーシスを受ける細胞、およびまた、壊死により損傷した、または死につつある細胞由来の抗原を処理する傾向に基づき、抗原を処理し、提示する。主に活性化細胞は本発明の光活性化可能な分子(TH9402およびその誘導体)により根絶されるので、アポトーシスおよび壊死を受ける細胞集団の分析は評価されている。データにより、B-細胞、樹状細胞および、とりわけ活性化T細胞(il faudrait enlever NK cells ou mettre“possibly NK cells”)が迅速に除去されることが示される。この利点は、自己反応性T-細胞に対し免疫応答を起こさせるように免疫系を誘導することにより、利用される。この特性はマウスモデルおよびGvHDを発現するヒトにおいて使用されている。GvHDを患う個人由来の末梢血細胞を、通常白血球フェレーシスにより採取し、PDTに曝露する。これらの処理細胞をその後、個人に再注入し、この手順を一定間隔で繰り返す。この処理により、幹細胞移植後に起きるGvHDが改善される。本発明の光活性化可能な分子(TH9402およびその誘導体)を使用したPDTにより、PDT処理細胞を一定間隔で受けたマウスにおいてGvHDの発現が阻止され、またはGvHDが治療できる。これによりPDT-処理細胞を注入したマウスの生存率が改善される。対照的に、未PDT処理細胞または媒質のみを受けたマウスはGvHDを発症し、死に至る。これはまた、Kaplan-Meier生存率解析を使用する図1Aおよび1Bにおいて示されている。
【0020】
本発明は下記実施例を参照することにより、より容易に理解されると思われる。これらの実施例は、発明の範囲を制限するのではなく、発明を説明するために示したものである。
【0021】
実施例1
マウスにおけるGvHDの処置
本発明の1つの好ましい態様は、PDTにより本発明の光活性化可能な分子(TH9402およびその誘導体)に曝露した全細胞およびそのような処理後に生成した細胞ライセートを使用するものである。
【0022】
材料および方法
体外光線療法
マウス
下記マウス株をThe Jackson Laboratoryから購入した:C57BL/6(B6)(H-2b)、B10BR(H-2k)。マウスを、動物保護のためのカナダ委員会(Canadian Committee for Animal Protection)により設定された標準に従い、Guy-Bernier Research Centreで特定病原体を含まない条件で飼育し、収容した。使用したマウスは全て6〜10週齢であった。
【0023】
細胞移植
骨髄細胞をドナーマウスの脛骨および大腿から採取し、レシピエントマウスにおいてT細胞を欠乏させ、移植した。簡単に説明すると、細胞を5% FBS、100U/mlペニシリンG、および100μg/mlストレプトマイシンを補充したRPMI1640中1×107細胞の濃度で懸濁させ、ウサギ抗マウスT細胞(Thy1)抗血清(Cedarlane Labs, Hornby, Ontario, Canada)と共に4℃で1時間インキュベートした。その後、細胞を遠心分離によりペレット化し、補体源としてウサギ血清(Low-Tox-Mウサギ補体;Cedarlane Labs)中に再懸濁させ、37℃で1時間インキュベートした。細胞懸濁液を3度洗浄し、抗-Thy1.2 Abを用いフローサイトメトリーにより、欠乏効果に対し分析し、細胞数を注入のために調整した。レシピエントマウスは、移植日に128cGy/分の線量率で60Co光源から1000cGy全身照射を受けた。骨髄および脾臓細胞を尾部静脈から単回静脈注射として与えた。
【0024】
GvHDの誘導
2×106細胞を含むB6(H-2b)脾細胞懸濁液を、上記2×107T細胞欠乏骨髄細胞と共に照射レシピエントに静脈注射することによりGvHDを誘導した:B10BR(H-2k;主パーティ)はB6×B10BRマウスとなる。同系対照のために、2×106T細胞を含む脾細胞および1×107T細胞欠乏骨髄細胞の両方をB6マウスにも注射した。
【0025】
光線力学処置
図1Aおよび1Bで示したKaplan-Meier解析のために、B10BRマウスに、最初にB6マウスから骨髄および脾細胞を移植した。第14日に開始して、これらのマウスの幾匹かを屠殺し(B6×B10BR)、その脾細胞(PDT処理済み、または処理無し)を別のB6×B10BRマウスに投与した。上記状態で移植を受けた動物から脾細胞を獲得した。細胞を採取し、洗浄し、2.5% FBSを補充したX-VIVO 15(商標)培地(Bio-Whittaker, Walkersville, MD)に1×106細胞/mlの密度で再懸濁させた。その後、細胞に10μM TH9402を40分間37℃でインターナライズさせた。10% FBSを補充したX-VIVO 15培地で洗浄した後、光増感剤を細胞から50分間除去した。排出時間の終わりに、514nmの波長の5J/cm2の光エネルギーにより、1.7mmの試料厚を用いて、試料に光線力学療法を受けさせた。PDT処理またはPDT-未処理群の400万のT細胞をレシピエントマウスに毎週、4週間、移植後第14日から開始して注入した。第2の群の動物は、同じ注入スケジュールに従い、GvHD動物の脾臓から再び得られた0.4×106T細胞を受けた。対照として、1の動物群は培地(RPMI-1640)のみを受け、同系マウスの1つの群(B10BR(H-2k)におけるB10BR(H-2k))は、GvHD群と同じ日にPDT処理細胞、または未処理細胞を受けた。細胞投与は、第14日に開始し、毎週実施し、全部で4注入とした。PDT-処理細胞を受けたマウスは、PDT処理されていない細胞を受けたマウス(図1A、P=0.02)に比べ、改善された生存率を有し、PDTが細胞移植片から、移植片対宿主病を引き起こす原因となるそれらの細胞を除去することが示された。PDTで処理しても同系ドナー由来の細胞を受けた対照マウスの生存率には影響しなかった。
【0026】
より少数のT細胞(0.4×106未処理T細胞)の注入を受けたマウスは対照群由来のマウスと同様の死亡率を示した(図1B)。しかしながら、0.4×106PDT処理T細胞の接種により、対照群由来のマウス(p=0.04)および未処理群由来のマウス(p=0.01)に比べ、この群由来のマウスの全体の生存率は増加した。自己移植を受け(C57BL/6(H-2b)→C57BL/6(H-2b))、その後未処理またはPDT処理T細胞の繰り返し注入を受けたマウスは、毒性の徴候を示さず、100%の生存率を示した。
【0027】
実施例2
マウスにおける腫瘍ワクチン接種
マウスB6SJL株を、免疫保護を誘導するPDTの評価のために使用した。腫瘍細胞のライセートの生成では、EL-4細胞(American Type Culture Collection, ATCC Accession #TIB-39)をフラスコに106細胞/mlで播種し、40分間、無血清フェノールレッド不含DMEM培地において10μM TH9402に曝露し、続いて、薬物を含まない培地に90分間曝露し、その後、10J/cm2の線量で照射した。処理細胞を一晩中インキュベートした。インキュベート後、細胞および上清を収集し、遠沈させた。得られた上清を収集し、真空速度でモレキュラーシーブ(centriplus 3000分子量カットオフ)を用いて濃縮し、-70℃で使用するまで凍結保存した。
【0028】
6〜8週齢のマウスに、40μlのライセートまたは媒質を1週間に1度、4週間、肩に、皮下でワクチン接種した。動物は1週間静養させ、その後、横腹に、1〜3×104腫瘍細胞を接種させた。媒質のみ(DMEM)の群は未処理対照としての役割を果たす。腫瘍細胞を注入するとすぐに、腫瘍増殖を90日間モニタした。PDT-処理細胞由来の上清で免疫した動物では、媒質のみ(DMEM)で免疫した動物に比べ、腫瘍細胞の出現が遅れた。結果を図2に示す。データから、PDT処理細胞由来の上清は、媒質対照群に比べ腫瘍の出現を遅らせることが示される。これらの結果は、Korbelik et al.(1996)の結果と一致する。彼らは、フォトフリン処理後のPDT細胞ライセートが腫瘍増殖の遅れを誘導することを報告している。
【0029】
実施例3
PDT処理細胞に曝露した樹状細胞を使用した腫瘍ワクチン接種
マウスDBA/2Jの別株を、免疫保護を誘導するPDTの評価に対し使用した。この項目では、樹状細胞(DC)はPDT処理されておらず、むしろ、免疫原性効果を増強させるためにPDTで処理した腫瘍細胞からの抗原を提示するために使用した。第1の段階では、従来のプロトコルを用いて、DBA/2Jマウス由来の骨髄細胞を、GM-CSF(10ng/ml)およびインターロイキン-4(20ng/ml)が補充されたRPMI-1640培地で6日間培養することにより、DCを作成した。培養細胞を14.5%メトリザミド上に置き、分画遠心法(2400rpmで20分間)を実施することによりDCを単離した。その後、単離したDCをPDTを受けたP815肥満細胞腫細胞系と接触させて配置した。PDTでは、P815細胞(American Type Culture Collection, ATCC Accession #TIB-64)をフラスコ中、106細胞/mlで播種し、無血清フェノールレッド不含DMEM培地中、5μM TH9402に40分間曝露し、その後、無薬物培地に50分間曝露し、その後、5J/cm2の線量で照射した。PDT処理P815細胞(300万個の細胞)を、DC産生のために使用した培地で、樹状細胞の存在下(100万個の細胞)、一晩中インキュベートした。約18時間インキュベートした後、細胞および上清を収集し、遠沈させた。
【0030】
6〜8週齢のマウスに、PDT処理P815細胞に曝露したDCからなる細胞混合物を、1週間に1度、3週間、肩に、皮下でワクチン接種した(総数、2.5〜3.0×105細胞)。一群の動物に同じ時間点で、樹状細胞(同じ条件下であるが、PDT処理P815細胞に曝露させずに生成させたDC)のみで免疫し、未処理対照とした。動物は1週間静養させ、その後、横腹に、1〜3×104腫瘍細胞を接種させた。腫瘍細胞を注入すると直ちに、腫瘍増殖を90日間モニタした。PDT処理細胞に曝露したDCで免疫した動物は、全観察期間の間、腫瘍のないままであった。対照的に、ほとんどの動物(80%)において、同じ観察期間中に、腫瘍の再発が示された。得られた結果を図3に示す。データから、全PDT-処理腫瘍細胞は、樹状細胞と共に使用すると、ワクチン接種効果を促進することが示される。同じ戦略はまた、GM-CSFなどの成長因子、または他の免疫刺激分子、例えば、インターフェロンおよびインターロイキン-2を使用して拡大させ、PDTの免疫調節効果を促進することができる。
【0031】
本発明について、説明した態様を特に参照して記述してきたが、当業者には多くの変更が考えられることは理解されるであろう。したがって、上記説明および添付の図面は本発明の例証であり、制限的な意味で考えるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】PDT処理した、または処理していない細胞の投与後のマウスのKaplan-Meier生存率解析を示した図である。PDT処理細胞(4×106T細胞)(+PDT)を受けた動物では、未PDT処理細胞(-PDT)を受けた動物よりも生存率が改善された(p=0.02)。
【図1B】急性GvHDを患うマウスから得た0.4×106処理(+PDT)および未処理(-PDT)T細胞を受けた急性GvHDマウスの生存率解析を示す図である。0.4×106PDT処理T細胞(+PDT)を受けた動物の生存率は、対照よりも改善された(削除:生存率)(p=0.04)。0.4×PDT処理T細胞(+PDT)を受けた動物の生存率はまた0.4×106未処理細胞(-PDT)を受けた動物よりも改善された(p=0.01)。
【図2】PDT処理細胞由来の上清で免疫したマウスとそのような上清で免疫していないマウスとの間の腫瘍増殖を比較した図である。PDT処理細胞由来の上清によるワクチン接種により腫瘍増殖が遅れた。
【図3】腫瘍無しの生存率は、樹状細胞のみをワクチン接種したマウスに比べ、全PDT-処理(P815)腫瘍細胞と共にインキュベートした樹状細胞で動物を免疫することにより促進されることを示す図である(p<0.01)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物の調製におけるPDT処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清の使用であって、
個別細胞またはその成分を下記からなる群より選択される光活性化可能な分子で処理する段階を含み:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸エチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

ローダミンB n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル臭化水素酸塩)、

4’,5’-ジクロロテトラメチルローダミン(2’-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4’,5’-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩)、

2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸ヘキシルエステルアセテート)、

2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸メチルエステルアセテート)、

4,5-ジブロモローダミン6G臭化水素酸塩(2’-(4,5-ジブロモ-2,7-ジメチル-6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸3-ブロモプロピルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(4’,5’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、

2,7-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(2’,7’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)および

4-ブロモ-7-フェニル-ローダミンB塩基(3,3-(4’-ブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノ-5’-フェニルキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、
ならびに、
ここで、光活性化可能な分子は、適当な波長の光により活性化され、これにより光活性化可能な分子が活性化し、該免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療が得られる、使用。
【請求項2】
免疫学的化合物がワクチンである、請求項1記載の使用。
【請求項3】
免疫疾患が、同種免疫疾患または自己免疫疾患である、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
同種免疫疾患が移植片対宿主病または臓器拒絶反応である、請求項3記載の使用。
【請求項5】
自己免疫疾患が、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、狼瘡、自己免疫溶血性貧血、糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病からなる群より選択される、請求項3記載の使用。
【請求項6】
感染症が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、プリオン、または原生動物により引き起こされる、請求項1〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトヘルペスウイルスI型またはII型、および水痘-帯状疱疹からなる群より選択される、請求項6記載の使用。
【請求項8】
感染がシャーガス病を引き起こす、請求項1〜7のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
癌が充実性腫瘍および血液腫瘍(hematologic tumor)からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の使用。
【請求項10】
充実性腫瘍が乳癌、肺癌、消化管癌、皮膚癌由来または泌尿生殖器、神経、頭部および頸部または筋骨格由来である、請求項9記載の使用。
【請求項11】
血液腫瘍が、リンパ腫、白血病、骨髄腫、異形成脊髄またはプラズマ細胞疾患である、請求項9記載の使用。
【請求項12】
個別細胞の処理が、エクスビボ、インビトロまたはインビボで実施される、請求項1〜11のいずれか一項記載の使用。
【請求項13】
処理が灌流により実施されるエクスビボ処置である、請求項12記載の使用。
【請求項14】
光活性化可能な分子が下記からなる群より選択される、請求項1〜13のいずれか一項記載の使用:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、および

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)。
【請求項15】
波長が約400〜約800nmの範囲である、請求項1〜14のいずれか一項記載の使用。
【請求項16】
波長が約450〜約600nmの範囲である、請求項15記載の使用。
【請求項17】
樹状細胞、ランゲルハンス細胞および成長因子からなる群より選択される抗原提示細胞を添加する段階をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項記載の使用。
【請求項18】
下記からなる群より選択される光活性化可能な分子で処理した、PDT処理細胞(全体またはその断片)および/またはその上清を、薬学的に許容される担体と共に含む免疫ワクチン:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

ローダミンB n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル臭化水素酸塩)、

4’,5’-ジクロロテトラメチルローダミン(2’-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4’,5’-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩)、

2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸ヘキシルエステルアセテート)、

2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸メチルエステルアセテート)、

4,5-ジブロモローダミン6G臭化水素酸塩(2’-(4,5-ジブロモ-2,7-ジメチル-6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸3-ブロモプロピルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(4’,5’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、

2,7-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(2’,7’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)および

4-ブロモ-7-フェニル-ローダミンB塩基(3,3-(4’-ブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノ-5’-フェニルキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)。
【請求項19】
光活性化可能な分子が下記からなる群より選択される、請求項18記載のワクチン:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、および

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)。
【請求項20】
分子が約400〜約800nmの範囲の波長を有する光により活性化可能である、請求項18または19記載のワクチン。
【請求項21】
波長が約450〜約600nmの範囲である、請求項20記載のワクチン。
【請求項22】
免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための請求項18〜21のいずれか一項記載のワクチンの使用。
【請求項23】
免疫疾患が、同種免疫疾患または自己免疫疾患である、請求項22記載の使用。
【請求項24】
同種免疫疾患が移植片対宿主病または臓器拒絶反応である、請求項23記載の使用。
【請求項25】
自己免疫疾患が、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、狼瘡、自己免疫溶血性貧血、糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病からなる群より選択される、請求項23記載の使用。
【請求項26】
感染症が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、プリオン、または原生動物により引き起こされる、請求項22〜25のいずれか一項記載の使用。
【請求項27】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトヘルペスウイルスI型またはII型、および水痘-帯状疱疹からなる群より選択される、請求項26記載の使用。
【請求項28】
感染がシャーガス病を引き起こす、請求項22〜27のいずれか一項記載の使用。
【請求項29】
癌が充実性腫瘍および血液腫瘍からなる群より選択される、請求項22〜28のいずれか一項記載の使用。
【請求項30】
充実性腫瘍が乳癌、肺癌、消化管癌、皮膚癌由来または泌尿生殖器、神経、頭部および頸部または筋骨格由来である、請求項29記載の使用。
【請求項31】
血液腫瘍が、リンパ腫、白血病、骨髄腫、異形成脊髄またはプラズマ細胞疾患である、請求項29記載の使用。
【請求項32】
下記段階を含む、個人の免疫疾患、感染症および/または癌の阻止、保護、予防または治療のための免疫学的化合物の調製法:
(a)個別細胞を、下記からなる群より選択される光活性化可能な分子により処理する段階:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

ローダミンB n-ブチルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110オクチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸オクチルエステル臭化水素酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 n-ブチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸n-ブチルエステル臭化水素酸塩)、

4’,5’-ジクロロテトラメチルローダミン(2’-(6-ジメチルアミノ-3-ジメチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)-4’,5’-ジクロロ安息香酸メチルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミン110 2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸2-(2-メトキシエトキシ)エチルエステル臭化水素酸塩)、

2,7-ジブロモローダミンBヘキシルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸ヘキシルエステルアセテート)、

2,7-ジブロモローダミンBメチルエステルアセテート(2’-(2,7-ジブロモ-6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸メチルエステルアセテート)、

4,5-ジブロモローダミン6G臭化水素酸塩(2’-(4,5-ジブロモ-2,7-ジメチル-6-エチルアミノ-3-エチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸エチルエステル臭化水素酸塩)、

ローダミンB 3-ブロモプロピルエステル塩酸塩(2’-(6-ジエチルアミノ-3-ジエチルイミノ-3H-キサンテン-9-イル)安息香酸3-ブロモプロピルエステル塩酸塩)、

4,5-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(4’,5’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)、

2,7-ジブロモローダミンB塩基(3,3-(2’,7’-ジブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン)および

4-ブロモ-7-フェニル-ローダミンB塩基(3,3-(4’-ブロモ-3’-ジエチルアミノ-6’-ジエチルアミノ-5’-フェニルキサンテン-9’-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン);ならびに
b)細胞を、光活性化可能な分子を活性化するのに適当な波長の光に曝露し、これによりPDT-処理した個別細胞(全体またはその断片)および/またはその上清を得る段階。
【請求項33】
免疫学的化合物が自己免疫ワクチンである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
免疫疾患が、同種免疫疾患または自己免疫疾患である、請求項32または33記載の方法。
【請求項35】
同種免疫疾患が移植片対宿主病または臓器拒絶反応である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
自己免疫疾患が、関節リウマチ、多発性硬化症、強皮症、狼瘡、自己免疫溶血性貧血、糖尿病、全身性進行性硬化症、特発性血小板減少性紫斑病、乾癬、潰瘍性大腸炎およびクローン病からなる群より選択される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
感染症が、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、プリオン、または原生動物により引き起こされる、請求項32〜36のいずれか一項記載の方法。
【請求項38】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトヘルペスウイルスI型またはII型、および水痘-帯状疱疹からなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
感染がシャーガス病を引き起こす、請求項32〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
癌が充実性腫瘍および血液腫瘍からなる群より選択される、請求項32〜39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
充実性腫瘍が乳癌、肺癌、消化管癌、皮膚癌由来または泌尿生殖器、神経、頭部および頸部または筋骨格由来である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
血液腫瘍が、リンパ腫、白血病、骨髄腫、異形成脊髄またはプラズマ細胞疾患である、請求項40記載の方法。
【請求項43】
個別細胞の処理が、エクスビボ、インビトロまたはインビボで実施される、請求項32〜42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
処理が灌流により実施されるエクスビボ処理である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
光活性化可能な分子が下記からなる群より選択される、請求項32〜44のいずれか一項記載の方法:

TH9402とも呼ばれる、4,5-ジブロモローダミン123臭化水素酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル臭化水素酸塩)、および

4,5-ジブロモローダミン123塩酸塩(2’-(6-アミノ-4,5-ジブロモ-3-イミノ-3H-キサンテン-9-イル)-安息香酸メチルエステル塩酸塩)。
【請求項46】
波長が約400〜約800nmの範囲である、請求項32〜45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
波長が約450〜約600nmの範囲である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
段階a)が、樹状細胞、ランゲルハンス細胞および成長因子からなる群より選択される抗原提示細胞を添加する段階をさらに含む、請求項32〜47のいずれか一項記載の使用。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513096(P2007−513096A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541772(P2006−541772)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【国際出願番号】PCT/CA2004/002070
【国際公開番号】WO2005/053743
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(501412968)ユニヴェルシテ ドゥ モントリオール (1)
【出願人】(506191079)
【Fターム(参考)】