免震装置
【課題】 バネが水平に配置された「バネ式免震装置」に存在する問題〔(i)免震台サイズが大きい。(ii)バネセット力が大きい。(iii)バネ特性に癖がある。(iv)免震装置の固有振動数を下げる事は難しい。(v)ダンパーを設置しにくい。〕を解決するバネ式の免震装置の提供。
【解決手段】(1)バネ14を有する免震装置であって、バネ14が水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置10。
(2)バネ14が水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する。
(3)バネ14が水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
【解決手段】(1)バネ14を有する免震装置であって、バネ14が水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置10。
(2)バネ14が水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する。
(3)バネ14が水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置に関し、とくに戻し力がバネ力であるバネ式免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的遺品、美術工芸品、精密機械、等の耐震性が必要な貴重品を地震による破壊から保護するために、種々の免震装置が開発され、使用されている。
免震装置は戻し力の発生方法により、「重力式」と「バネ式」に分けられる。図26−図29に代表的な例を示す。
【0003】
それぞれについて簡単に説明する。
(イ)重力式(図26:ボール式、図27:リニアベアリング式)
免震台101を曲面皿102とボール103で支持し、左右に動くと免震台101がわずかに持ち上げられ、重力によって元の位置に戻るようにした装置。基本的には「振り子」の原理で動き、免震台101や対象物の質量とは関係なしに「固有振動数」が決まる特徴を持つ。固有振動数を充分低くとれば、それ以上の振動数の振動を遮断できるので、地震の横揺れを緩和する事ができる。
【0004】
(ロ)積層ゴム式(図28)
左右には柔らかく、上下には固い、異方性ゴムである積層ゴム104を使い、地震の横揺れを逃げる装置。積層ゴム104は左右の揺れを吸収するベアリングの役をこなすと同時に、ゴムの弾性を復元力に利用している。また、ゴム固有のダンピング効果によって地震波の揺れを吸収して熱に変え、振動エネルギーを緩和する。105は免震台、106はベースを示す。
(ハ)バネ式(図29)
バネ式免震装置は、二つの構成要素からなる。
ボール107:ベース108と免震台109の間に複数個( 3個以上)のボール107を入れ、ベース108に対する免震台109の水平揺れを吸収するベアリングの役を果たす。ボール受け面110は平面なので、免震台109は持ち上げられず、重力の作用はない。ボール107によって免震台109の上下荷重支持を受け持つ。
バネ111:ベース108と免震台109の水平ずれを元に戻す役割を持つ。また、免震台109を質量としたバネ・マス機構を構成する。その固有振動数f は、
f={1/(2π)}(K/M)1/2
ただし、 K;バネ常数
M;質量(免震台+対象物)
で決まるが、このf を充分小さくすることで、免震効果を発揮できる。また、それ以上の振動のエネルギーを吸収するため、油圧ダンパー、粘性ダンパー等を併用することができる。
【0005】
通常考えられるバネ式免震装置の例を図30−図32に示す。
免震装置は、設置する時に収まりの良い4角形が望まれるので、バネ式は図30−図32に示すように、4個のボール107と、4本の水平配置バネ111で構成するのが効率的である。
バネ111は、免震台109が作動する際、台109の動きにつれて揺動するので、図32に示したような方法で揺動範囲Aをチェックして、ボールおよびボール受け台と干渉しないように、必要な距離を取った配置にしている。
【特許文献1】特開平09−191985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバネ式免震装置に、以下の問題点がある。
(i)免震台サイズが大きい。
(ii)バネセット力が大きい。
(iii)バネ特性に癖がある。 (方向性、直交成分の発生、等)
(iv)免震装置の固有振動数を下げる事は難しい。……免震性能に限界がある。
(v)ダンパーを設置しにくい。
それぞれの問題点についてより詳しく述べる。
【0007】
(i)免震台サイズが大きい。
免震台のサイズは、図30−図32から分かるように、バネの長さで決まる。
バネセット長は、バネの設計長( 初期長)に最小伸びと作動長の半分を加算した物となる。
図33で、Lo=0.2 (バネ使用条件から必要になる長さ)
Ln=0.02
Lw=0.4
とすると、 Ls=Lo+Ln+Lw/2=0.2+0.02+0.4/2=0.42
このバネが辺と平行に一対配置されるので、免震台のサイズは、1辺が0.84m 以上の正方形となる。
一辺の長さが、受け皿直径の2倍(0.4m) 以上ですむ重力式免震装置に比べて、倍以上のサイズアップになる。
【0008】
(ii)バネセット力が大きい。
(i)の説明から分かるように、バネのセット時長さはLs=0.42mとなり、0.2mのバネを0.42m の長さにまで伸してセットすることになる。セット時のバネの伸び量がバネ最大伸び量のほぼ半分に相当し、バネ使用時に常に大きな応力がかかっていることになる。
免震装置の使用条件から、この状態が長時間維持される事になるので、バネの劣化が懸念される。
【0009】
(iii )バネ特性に癖がある。
図34は、上記の免震装置をいろいろな方向に引っ張った時のバネ強さを示す。
横軸は引っ張り方向で、角度0 度がバネ方向を示す。したがって角度90度で、隣のバネの方向となる。計算条件をLs=0.42m, Lw=0.4m, K=100N/m とし、引っ張り長、0.05,0.10,0.15, 0.20m の4水準について検討した。
図34から分かるように引っ張り量が大きいと、バネが無い方向のバネ力は小さくなる。
また、バネ方向0, 45, 90 度以外の方向では、直交成分の力が発生する。
このバネ力の癖(方向による違い、及び直交成分)によって、免震台に余分な動き(方向による振れの差、回転の発生、等)が発生する懸念がある。
図35は、免震台を、バネの取り付け方向(0 度)、および、バネの無い方向(45度)に引っ張った時のバネ特性を示す。
図35の線b( 中央)は、K=100N/mのバネを2本並列に並べたの場合のバネ強さである。(K=200N/m相当の線形バネになる)0 度方向のバネは、変位が増えると線形バネより若干強くなり、45度方向のバネは、若干弱くなる。しかし、大まかに考えれば、バネ特性は全方向で、ほぼ変位に比例する( 線形)と考えて良い。
以下のシミュレーションでは、簡単のため、全方向に線形なバネとして扱っていく。
【0010】
(iv)免震装置の固有振動数を下げることは難しい。
図36は、バネ水平配置式免震装置の概念図である。固有振動数は、バネ・マスモデルなので、前記の式で容易に求められる。モデルは、両側にバネのある形なので、バネ力は2倍となり、固有振動数f は、
f={1/(2π)}(K/M)1/2
となる。
たとえば、検討例、K=100N/m, M=500kg の場合について計算してみると、f=0.1007Hzとなる。
いろいろな地震に対応するためにはf <0.06Hz( 地震波の下限周波数)とすることが望ましいが、この装置は固有振動数がそれより高いため、免震装置の条件を十分満たしていない。目標を達成するため固有振動数を半分に下げようとすると、Mを4倍に増やすか、Kを4分の1に減らす必要がある。質量アップ4倍は大きすぎるし、バネ常数を4分の1の25N/m に設定すると、セット長さ0.42m の水平配置バネに振動や自重による中だるみが発生する懸念があるので、いずれの方法も現実的では無い。つまりバネ水平配置では、固有振動数を目標まで減らすことは難しい。
【0011】
この免震装置の計算モデルに、実際の地震波データ
神戸地震 NS波 ………激しく、短周期、短時間の地震
El centro 地震 EW波………ゆっくりで、長周期、長時間の地震
を入れて、このこの免震台の挙動をシミュレーションしてみると、次のようになる。
図37、図38は加速度を示す。線aが地震の加速度波形を、線bが免震台の加速度波形を示す。
神戸地震では加速度はほぼゼロに抑えられが、El centro 地震ではかなりの加速度が残ってしまうことが分かる。
次に振幅の計算結果を図39、図40に示した。線cは免震台と地面の相対移動量を示す。
両図を見比べてみると、神戸地震には免震機能を発揮できるが、El centro 地震では振幅を拡大し、また、台と地面の相対移動量がバネ作動幅±0.2mを越してしまって装置の機能を発揮できない事が分かる。
纏めると、バネ水平配置免震装置を今回のサイズ作ろうとすると、免震性能に限界がある。
【0012】
(v)ダンパーを設置しにくい。
免震台は、高い周波数(固有振動数を超える地震波成分)の振動を効率よく吸収するので、加速度の減衰は比較的に容易であるが、速度や振幅が拡大してしまう場合がある。このような場合は、「速度」を抑制できる「ダンパー」の設置が有効である。
ダンパーには次の3種類が考えられるが、それぞれ次のような特徴がある。
【0013】
イ.流体ダンパ112(図41)
〔原理〕
狭い通路(スリット)113を流体が通過する際の、流れの抵抗を利用する方法。通路が狭いと層流抵抗となり、速度の逆方向に、速度の0.9 〜1.0 乗に比例する抵抗が発生する。すなわち、
D=−CV0.9-1 ×sign(V)
ただし、sign(V)は下記の定義になる符号関数である。
V>0の時、 sign(V)=1
V=0の時、 sign(V)=0
V<0の時、 sign(V)=−1
〔利点〕
速度にほぼ比例した抵抗になるので、速度抑制には最も効果的である。(高性能)
〔問題点〕
通常、バネに沿わせる形で設置されるが、構造上ストローク(s) のほぼ5倍のセット長となり、(図41参照)バネの場合の、約2倍強よりずっと長い。
故に、ストロークがs=0.2mであれば1.0mのセット長さが必要で、免震装置のサイズアップにつながる。
【0014】
ロ.粘性ダンパー114(図42の(イ)、(ロ)、図43の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ))
〔原理〕
2つの面に挟まれた粘性の強い流体の「引きずり力」(境界層の抵抗)を利用する方法。速度の逆方向に、速度の0.5 〜0.8 乗に比例する抵抗が発生する。
すなわち、
D=−CV0.5-0.8 ×sign(V)
〔利点〕
1つで全方向のダンピングが可能で、流体ダンパーのように必要な方向毎に設置する必要が無い。また、セット時のサイズがストロークs の約3.5 倍ですみ、流体ダンパーより短いため、免震装置への設置が容易である。( 図43の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ))
〔問題点〕
円盤形なので、装置中央に配置しなければならず、その位置にバネ115、ボール116が配置できないため、サイズアップになる。図43の(イ)、(ロ)、(ハ)にその一例を示した。
図43はダンパー有りの場合(図43の(イ)、(ロ)、(ハ))とダンパー無しの場合(図43の(ニ)、(ホ))を同じ縮尺で示しているが、ダンパー有りの場合は、ダンパー無しに比べて免震装置の平面面積が約2.9 倍( 長さで1.7 倍)に拡大する。
【0015】
ハ.摩擦ダンパー117(図44:固体摩擦式、図45:転がり式)
〔原理〕
免震台118と地面119の間に摺動面を作り摩擦力によって抵抗を発生させる(図44)。又、ボール120の接触面121を変えて転がり抵抗を増やす方法もある(図45)。この方法による力は速度の方向に依存する(速度の逆方向に働く)が、速度の大きさには依存しない。しかし接触面圧(M)に比例する。
すなわち、
〔利点〕
構造が簡単で、原価が安い。設置の為のスペースの増加が無い。
〔問題点〕
減衰力が速度に比例しないので、速度反転時に急な抵抗力の変化が生じ、スティックスリップ(すべりが拘束されたりすべったりすること)が発生する。したがって、免震台118の作動が不安定になり、ダンパーとしては好ましくはない。
【0016】
本発明の目的は、バネが水平に配置された「バネ式免震装置」に存在する、上記(i)〜(v)の問題の少なくとも1つを解決するバネ式の免震装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定台と、固定台に対して水平方向に移動可能な免震台と、固定台と免震台との間に配置したボールと、一端が固定台に他端が免震台に連結された、免震台を原点位置に戻すためのバネとを、有する免震装置であって、前記バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
(2) 前記バネが水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する(1)記載の免震装置。
(3) 前記バネが水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する(1)記載の免震装置。
(4) さらにダンパーを有する(1)記載の免震装置。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)−(4)の何れか一の免震装置によれば、バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有するので、以下に詳細に説明するように、上記(i)〜(v)の問題が解決または軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の免震装置10を、図1−図29を参照して説明する。
本発明の免震装置10は、固定台11と、固定台11に対して水平方向に移動可能な免震台12と、固定台11と免震台12との間に配置したボール13と、一端が固定台11に他端が免震台12に連結された、免震台12を原点位置に戻すためのバネ14とを、有する。バネ14は、水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯15を有する。
バネ14は、水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯15を有する、直列配置であってもよい。
あるいは、バネ14は、水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯15を有する、斜め配置であってもよい。
免震装置10は、さらにダンパー16を有していてもよい。
以下に、本発明の構成を、該構成をとることにより上記(i)〜(v)の問題が解決または軽減される理由(該理由は、本発明の作用・効果でもある)とともに、さらに詳細に説明する。
【0020】
(A)バネの直立配置
免震台12のバネ14を図1、図2のように直立させて(バネ軸芯15が水平方向に対して90度の角度をもつように)配置する事により、問題点(i) 、(ii)、(iii)、(iv)、(v)が全て解消する。以下、それぞれの問題点の解消理由を述べる。
直立配置の場合、受け皿部分17とバネ14の干渉を避けるためには、皿17を低くした方(tを小)が良い。従って、その分ボール13の径Dを大きくする必要があり、図1、図2の例ではボール径Dをこれまでの検討例の倍としている。
バネ13との干渉の検討は、図3、図4に示したような作図で実施する。今回の検討例では、皿C中心とバネ中心が28mm以上離れている必要があり、図1のように、皿中心Cからφ28mm以内にバネ中心15を配置しないように配慮してある。
【0021】
問題点(i):サイズ大の解消
水平配置(従来)と直立配置(本発明の直立配置と斜め配置のうちの直立配置)の計画図を同一縮尺で示すと、図5の(イ)−(ニ)のようになる。いずれも地震時の作動ストローク±200mm 動いた時、部品相互の干渉が無いよう空間を空けて配置している。直立式にすることで、平面面積で35%(長さで20% )のサイズの縮小が可能で、サイズ大の問題が改良される。高さは、干渉を防ぐため若干高くなる。
【0022】
問題点(ii):バネセット力大の解消
免震台の移動方向(水平面)と平行にバネを配置する方法(図6の(ハ))では、バネセット長Lsはバネ作動範囲Lwの中央になる。したがって、セット時にはLn+Lw/2 だけ伸された状態であり、セット力はかなり大きな値になる。
本発明の直立配置バネ(図6の(イ))は、セット時にはLnしか伸びて居らず、セット荷重が非常に小さく、通常時にバネに無理がかからない。バネが作動する際は、図6の(ロ)に示すように、方向には関係なく移動量によって伸び量が決まるので、バネ線図は(図6の(イ)のようになる。
本発明の直立配置バネでは、以上の関係からセット時のバネ伸びがセットに必要な最小伸びLnで良く、セット荷重を低く抑える事ができる。
【0023】
問題点(iii) :バネ特性の癖の解消
直立配置バネ14は、図7に示すように、上端を水平面方向に引っ張る時、どの方向に引っ張っても同じ張力が得られる。すなわち、引っ張り方向による癖が無い。また、引っ張り方向に直角の成分力が出ることも無い。
したがって、バネの数を増やしていくと、単純に加算したバネ力が得られる。バネ力は
Fs=K{(Ls2 +z2 )1/2 −Ls}
F =Fs×z/(Ls2 +z2 )1/2
である。
【0024】
問題点(iv):固有振動数を下げにくいことの解消
直立配置バネ14のバネ特性は図8のように非線形になる。このように、引っ張り初期には弱く、引っ張って行けば行くほど強くなるバネを使うと、免震台の固有振動数を下げる事ができる。
図8は、Lo=0.1m
Ln=0.02m
Ls=Lo+Ln=0.12m
K=100N/m
の時のバネ特性を示す。
このような非線形バネの効果を試算してみる。
直列配置バネは、すべての方向に同等に作用するので、水平配置バネの半分の本数ですむ。したがって、直立バネ2本が水平配置の4本に相当する。
両方のバネの特性を同じ図に表すと図9のようになる。それぞれのバネを使った場合の共振点を計算すると、
水平配置;f=1.007Hz
直立配置;f=0.064Hz
となり、直立配置の場合の方がかなり低くなる。
なお、直立配置の共振点はシミュレーションモデルを自由振動させて計算する。(図10)
直立配置バネ免震装置にElcentroEW地震波が作用した場合の免震台の挙動を図11に示した。水平配置の場合(図43、図44)よりかなり改善されており、その効果が確認できる。しかし、これでもまだ充分なレベルには達しておらず、バネ常数を下げるなど、さらなる改善が必要である。
以上に示したように、直立バネではバネ特性が非線形となるので、免震装置の固有振動数の低下をはかり、免震性能を向上させることができる。
【0025】
問題点(v):ダンパー配置が難しいことの改良
直立配置バネでは、バネが半分の数(2本)ですむので、図12の(イ)−(ホ)のように配置が若干改良される(面積で15%減)。しかし、ダンパー16自体が大きいため、問題は解消ではなく軽減程度にとどまる。
【0026】
(B)バネの斜め配置
バネ斜め配置とは、中立時のバネ14を、直立ではなく若干傾けてセットする場合を言う。その場合、バネ14は、水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯15を有する。図13の(イ)、(ロ)、(ハ)は直立配置、(ニ)、(ホ、(ヘ)は斜め配置を示す。
斜め配置により、バネ14と受け皿17の距離が短縮し、装置サイズを更に縮小できる(図13)。
コンター(外形)の違いを考慮し、水平配置ではできない2本バネにして、両者のサイズを極力縮めた実施例を図14の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示した。図14の(イ)、(ロ)が直立配置、(ハ)、(ニ)が斜め配置の場合を示している。
結果は、直立78×90が、斜め72×86となり、面積で12% の減少が果たせる。コンター自体の面積比は27% 減なので、若干効率は悪くなる。
しかし、斜め配置には若干の副作用があるので、以下に説明する。
【0027】
副作用1:バネ特性の癖
斜め配置バネのバネ特性は、以下の手法で計算できる。
セット時長さLsのバネを高さH 、オフセット sで配置した図15のようなバネについて考える。
このモデルで、バネの上端Q を、角度θの方向に引っ張った場合の引っ張り方向のバネ力Ftを算出する。
幾何学的関係から、
H=(Ls2 −s2 )1/2
図16から、
xs=x ×sin θ
xc=x ×cos θ
L’={(s+xc)2 +xs2 }1/2
図17から、
L=(H2 +L’2 )1/2
バネ方向反力F は、
F=K×(L−L0 ) その水平方向成分は、
F’=F×L’/L
反力方向のずれ角ψは、
φ=arccos(xs/L’)
ξ=arccos(xs/x)
ψ=abs(φ−ξ)
引っ張り方向の反力Ftは、
Ft=F’×cosψ
実際にはこのバネを図18のように対向して2個配置するので2個のバネ力を合算する必要がある。
【0028】
対向側のバネ諸元を図19のようにとる。
幾何学的関係から、
H=(Ls2 −s2 )1/2
図21から、
xs=x ×sin θ
xc=x ×cos θ
L’={(−s+xc)2 +xs2 }1/2
図20から、
L=(H2 +L’2 )1/2
バネ方向反力F は、
F=K×(L−L0 ) その水平方向成分は、
F’=F×L’/L
反力方向のずれ角ψは、
φ=arccos(xs/L’)
ξ=arccos(xs/x)
ψ=abs(φ−ξ)
引っ張り方向反力Ftは、
Ft=F’×cosψ
と、前の場合と同様の考え方で計算できる。
こちらのバネ力をFt' とすると、総合バネ力Fta は、
Fta=Ft+Ft'
で、計算できる。
【0029】
ここで、次のような条件で、実際のバネ力を計算してみる。
寸法諸元; s=0.1m , Lo=0.1m , Ls=0.12m , K=100N/m 、
引っ張り長; x=0.01, 0.02, 0.03, 0.04,………,0.20 m
引っ張り角度; θ=0, 10, 20, 30, ………,180度
【0030】
図22に、引っ張り方向(θ)に対するバネ力変化の状況を示した。
このバネは、引っ張り方向(θ)と、ストローク(x )によってバネの強さが異なる癖を持っており、免震性能に方向性が出る懸念がある。
【0031】
図23は、引っ張りストロークに対するバネ力で、バネ特性そのものを示す。90度方向に引いた時のバネ特性が、直立バネ( 線a)とほぼ同じになり、他の方向にはそれより弱めのバネとなる。いずれも下に凸な特性で免震装置には向いている。
【0032】
図25は、図24において斜め配置のオフセット量をs=0.1mからs=0.03m に変えた場合の結果である。
図25に示すように、バネ特性は、引っ張り方向の如何にかかわらず直立の場合と殆ど同じになり、「バネ特性の癖」の懸念は無くなる。斜め配置の場合、バネセット角を抑制する事が大切である。
なお、 s=0.1 :バネセット角=34度
s=0.03:バネセット角=76度
【0033】
副作用2:バネセット力
斜めに配置することで、セット時のバネの伸びは大きくなる。(図25中の右表)
従ってバネセット力が大きいという問題が出るが、水平配置の場合より遙かに小さくてすむ。
【0034】
副作用総括:
若干の副作用(上記の副作用1、副作用2)はあるが、全体寸法の抑制、干渉の防止、等の必要性があれば、斜め配置は実施すべきである。但し、バネセット角(バネ軸芯の、水平方向に対する角度)を35度以上とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の免震装置の、バネが直立バネの場合の、平面図である。
【図2】本発明の免震装置の断面図(図1のA−A断面図)である。
【図3】図2の免震装置の皿とバネとの干渉の検討で用いられた、免震台移動前の、断面図である。
【図4】図2の免震装置の皿とバネとの干渉の検討で用いられた、免震台移動後の、断面図である。
【図5】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてサイズが小さくなることを示す図で、(イ)が本発明のバネ直立配置の場合の平面図、(ロ)が(イ)の装置のA−A断面図、(ハ)が従来のバネ水平配置の場合の平面図、(ニ)が(ハ)の装置のA−A断面図、である。
【図6】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてバネセット力が小さくなることを示す図で、(イ)が本発明のバネ直立配置の場合の荷重/バネ長さのグラフ、(ロ)が本発明のバネ直立配置の場合の免震装置のバネ部の断面図、(ハ)が従来のバネ水平配置の場合の荷重/バネ長さのグラフである。
【図7】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてバネ特性の癖が解消されることを示すバネとその近傍の断面図である。
【図8】本発明の直立バネの免震装置のバネ特性図(荷重/変位のグラフ)である。
【図9】本発明の直立バネと従来の水平バネのバネ特性図(荷重/変位のグラフ)の比較である。
【図10】本発明の直立バネの免震装置の共振点を求めるための自由振動の波形図である。
【図11】本発明の直立バネの免震装置にEl centro 地震が作用した場合の免震台の挙動を示す図(変位/時間のグラフ)である。
【図12】ダンパー配置が難しいことが解消されることを示す図で、(イ)が本発明の、直立バネ+粘性ダンパーの場合の免震装置の平面図、(ロ)が(イ)のB−B断面図、(ハ)が従来の、水平バネ+粘性ダンパーの場合の免震装置の平面図、(ニ)が(ハ)のC−C断面図、(ホ)が(ハ)のB−B断面図、である。
【図13】本発明の斜め配置バネの免震装置の直立バネの免震装置との比較を示す断面図で、(イ)はバネ直立で左最大変位の場合の断面図、(ロ)はバネ直立で中立の場合の断面図、(ハ)はバネ直立で右最大変位の場合の断面図、(ニ)はバネ斜め配置で左最大変位の場合の断面図、(ホ)はバネ斜め配置で中立の場合の断面図、(ヘ)はバネ斜め配置で右最大変位の場合の断面図、である。
【図14】本発明の斜め配置バネの免震装置と直立バネの免震装置との外形(コンター)の比較を示す図で、(イ)はバネ直立の場合の平面図、(ロ)はバネ直立の場合の断面図、(ハ)はバネ斜め配置の場合の平面図、(ニ)はバネ斜め配置の場合の断面図、である。
【図15】本発明の斜め配置バネのバネ特性を求める演算で用いた諸元図である。
【図16】図15の斜め配置バネの斜視図である。
【図17】図15の斜め配置バネの平面図である。
【図18】図15の2個対向配置した場合の本発明の免震装置の断面図である。
【図19】図18における対向側バネのバネ特性を求める演算で用いた諸元図である。
【図20】図19の対向バネの斜視図である。
【図21】図19の対向バネの平面図である。
【図22】斜め配置バネにおける、引っ張り方向(横軸、θ)に対するバネ力変化(縦軸)を示すグラフである。
【図23】斜め配置バネにおける、引っ張りストローク(横軸)に対するバネ力の変化(縦軸)を示すグラフである。
【図24】斜め配置バネにおける、オフセット量とバネセット角を示す断面図である。
【図25】斜め配置バネにおける、オフセット量をs=0.1mからs=0.03mに変えた場合の結果を示すグラフであり、引っ張り方向のいかんにかかわらず直立バネとほとんど同じになることを示すグラフである。
【図26】従来の重力式でボール式の免震装置の断面図である。
【図27】従来の重力式でリニアベアリング2段重ね式の免震装置の断面図である。
【図28】従来のバネ式で積層ゴム式の免震装置の断面図である。
【図29】従来の水平バネ式の免震装置の断面図である。
【図30】従来の水平バネ式の免震装置の平面図である。
【図31】図30の水平バネ式の免震装置のA−A断面図である。
【図32】図30の水平バネ式の免震装置の干渉チェック図である。
【図33】図30の水平バネ式の免震装置のセット荷重/バネ長さのグラフである。
【図34】従来の水平バネ式の免震装置のバネ特性に癖があることを示すグラフである(横軸が引っ張り方向、角度θがバネ方向)。
【図35】免震台を、バネの取付け方向(0度)、およびバネのない方向(45度)に引っ張った時のバネ特性を示す、荷重/変位図である。
【図36】バネ水平配置式免震装置の振動モデル概念図である。
【図37】図36の振動モデルに神戸地震のNS(南北)波を不補した時の免震台の挙動図(加速度波形図)である。
【図38】図36の振動モデルにEl centro 地震のEW(東西)波を不補した時の免震台の挙動図(加速度波形図)である。
【図39】図36の振動モデルに神戸地震のNS(南北)波を不補した時の免震台の挙動図(振幅波形図)である。
【図40】図36の振動モデルにEl centro 地震のEW(東西)波を不補した時の免震台の挙動図(振幅波形図)である。
【図41】流体ダンパーの断面図である。
【図42】(イ)は粘性ダンパーの断面図であり、(ロ)は(イ)の粘性ダンパーの半平面図である。
【図43】(イ)は粘性ダンパー付きの従来の水平バネ式免震装置の平面図であり、(ロ)は(イ)のC−C断面図であり、(ハ)は(イ)のB−B断面図であり、(ニ)は粘性ダンパー無しの従来の水平バネ式免震装置の平面図であり、(ホ)は(ニ)のA−A断面図である。
【図44】摩擦ダンパーの断面図である。
【図45】転がり式摩擦ダンパーの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 免震装置
11 固定台
12 免震台
13 ボール
14 バネ
15 バネ軸芯
16 ダンパー
17 受け皿
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置に関し、とくに戻し力がバネ力であるバネ式免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的遺品、美術工芸品、精密機械、等の耐震性が必要な貴重品を地震による破壊から保護するために、種々の免震装置が開発され、使用されている。
免震装置は戻し力の発生方法により、「重力式」と「バネ式」に分けられる。図26−図29に代表的な例を示す。
【0003】
それぞれについて簡単に説明する。
(イ)重力式(図26:ボール式、図27:リニアベアリング式)
免震台101を曲面皿102とボール103で支持し、左右に動くと免震台101がわずかに持ち上げられ、重力によって元の位置に戻るようにした装置。基本的には「振り子」の原理で動き、免震台101や対象物の質量とは関係なしに「固有振動数」が決まる特徴を持つ。固有振動数を充分低くとれば、それ以上の振動数の振動を遮断できるので、地震の横揺れを緩和する事ができる。
【0004】
(ロ)積層ゴム式(図28)
左右には柔らかく、上下には固い、異方性ゴムである積層ゴム104を使い、地震の横揺れを逃げる装置。積層ゴム104は左右の揺れを吸収するベアリングの役をこなすと同時に、ゴムの弾性を復元力に利用している。また、ゴム固有のダンピング効果によって地震波の揺れを吸収して熱に変え、振動エネルギーを緩和する。105は免震台、106はベースを示す。
(ハ)バネ式(図29)
バネ式免震装置は、二つの構成要素からなる。
ボール107:ベース108と免震台109の間に複数個( 3個以上)のボール107を入れ、ベース108に対する免震台109の水平揺れを吸収するベアリングの役を果たす。ボール受け面110は平面なので、免震台109は持ち上げられず、重力の作用はない。ボール107によって免震台109の上下荷重支持を受け持つ。
バネ111:ベース108と免震台109の水平ずれを元に戻す役割を持つ。また、免震台109を質量としたバネ・マス機構を構成する。その固有振動数f は、
f={1/(2π)}(K/M)1/2
ただし、 K;バネ常数
M;質量(免震台+対象物)
で決まるが、このf を充分小さくすることで、免震効果を発揮できる。また、それ以上の振動のエネルギーを吸収するため、油圧ダンパー、粘性ダンパー等を併用することができる。
【0005】
通常考えられるバネ式免震装置の例を図30−図32に示す。
免震装置は、設置する時に収まりの良い4角形が望まれるので、バネ式は図30−図32に示すように、4個のボール107と、4本の水平配置バネ111で構成するのが効率的である。
バネ111は、免震台109が作動する際、台109の動きにつれて揺動するので、図32に示したような方法で揺動範囲Aをチェックして、ボールおよびボール受け台と干渉しないように、必要な距離を取った配置にしている。
【特許文献1】特開平09−191985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のバネ式免震装置に、以下の問題点がある。
(i)免震台サイズが大きい。
(ii)バネセット力が大きい。
(iii)バネ特性に癖がある。 (方向性、直交成分の発生、等)
(iv)免震装置の固有振動数を下げる事は難しい。……免震性能に限界がある。
(v)ダンパーを設置しにくい。
それぞれの問題点についてより詳しく述べる。
【0007】
(i)免震台サイズが大きい。
免震台のサイズは、図30−図32から分かるように、バネの長さで決まる。
バネセット長は、バネの設計長( 初期長)に最小伸びと作動長の半分を加算した物となる。
図33で、Lo=0.2 (バネ使用条件から必要になる長さ)
Ln=0.02
Lw=0.4
とすると、 Ls=Lo+Ln+Lw/2=0.2+0.02+0.4/2=0.42
このバネが辺と平行に一対配置されるので、免震台のサイズは、1辺が0.84m 以上の正方形となる。
一辺の長さが、受け皿直径の2倍(0.4m) 以上ですむ重力式免震装置に比べて、倍以上のサイズアップになる。
【0008】
(ii)バネセット力が大きい。
(i)の説明から分かるように、バネのセット時長さはLs=0.42mとなり、0.2mのバネを0.42m の長さにまで伸してセットすることになる。セット時のバネの伸び量がバネ最大伸び量のほぼ半分に相当し、バネ使用時に常に大きな応力がかかっていることになる。
免震装置の使用条件から、この状態が長時間維持される事になるので、バネの劣化が懸念される。
【0009】
(iii )バネ特性に癖がある。
図34は、上記の免震装置をいろいろな方向に引っ張った時のバネ強さを示す。
横軸は引っ張り方向で、角度0 度がバネ方向を示す。したがって角度90度で、隣のバネの方向となる。計算条件をLs=0.42m, Lw=0.4m, K=100N/m とし、引っ張り長、0.05,0.10,0.15, 0.20m の4水準について検討した。
図34から分かるように引っ張り量が大きいと、バネが無い方向のバネ力は小さくなる。
また、バネ方向0, 45, 90 度以外の方向では、直交成分の力が発生する。
このバネ力の癖(方向による違い、及び直交成分)によって、免震台に余分な動き(方向による振れの差、回転の発生、等)が発生する懸念がある。
図35は、免震台を、バネの取り付け方向(0 度)、および、バネの無い方向(45度)に引っ張った時のバネ特性を示す。
図35の線b( 中央)は、K=100N/mのバネを2本並列に並べたの場合のバネ強さである。(K=200N/m相当の線形バネになる)0 度方向のバネは、変位が増えると線形バネより若干強くなり、45度方向のバネは、若干弱くなる。しかし、大まかに考えれば、バネ特性は全方向で、ほぼ変位に比例する( 線形)と考えて良い。
以下のシミュレーションでは、簡単のため、全方向に線形なバネとして扱っていく。
【0010】
(iv)免震装置の固有振動数を下げることは難しい。
図36は、バネ水平配置式免震装置の概念図である。固有振動数は、バネ・マスモデルなので、前記の式で容易に求められる。モデルは、両側にバネのある形なので、バネ力は2倍となり、固有振動数f は、
f={1/(2π)}(K/M)1/2
となる。
たとえば、検討例、K=100N/m, M=500kg の場合について計算してみると、f=0.1007Hzとなる。
いろいろな地震に対応するためにはf <0.06Hz( 地震波の下限周波数)とすることが望ましいが、この装置は固有振動数がそれより高いため、免震装置の条件を十分満たしていない。目標を達成するため固有振動数を半分に下げようとすると、Mを4倍に増やすか、Kを4分の1に減らす必要がある。質量アップ4倍は大きすぎるし、バネ常数を4分の1の25N/m に設定すると、セット長さ0.42m の水平配置バネに振動や自重による中だるみが発生する懸念があるので、いずれの方法も現実的では無い。つまりバネ水平配置では、固有振動数を目標まで減らすことは難しい。
【0011】
この免震装置の計算モデルに、実際の地震波データ
神戸地震 NS波 ………激しく、短周期、短時間の地震
El centro 地震 EW波………ゆっくりで、長周期、長時間の地震
を入れて、このこの免震台の挙動をシミュレーションしてみると、次のようになる。
図37、図38は加速度を示す。線aが地震の加速度波形を、線bが免震台の加速度波形を示す。
神戸地震では加速度はほぼゼロに抑えられが、El centro 地震ではかなりの加速度が残ってしまうことが分かる。
次に振幅の計算結果を図39、図40に示した。線cは免震台と地面の相対移動量を示す。
両図を見比べてみると、神戸地震には免震機能を発揮できるが、El centro 地震では振幅を拡大し、また、台と地面の相対移動量がバネ作動幅±0.2mを越してしまって装置の機能を発揮できない事が分かる。
纏めると、バネ水平配置免震装置を今回のサイズ作ろうとすると、免震性能に限界がある。
【0012】
(v)ダンパーを設置しにくい。
免震台は、高い周波数(固有振動数を超える地震波成分)の振動を効率よく吸収するので、加速度の減衰は比較的に容易であるが、速度や振幅が拡大してしまう場合がある。このような場合は、「速度」を抑制できる「ダンパー」の設置が有効である。
ダンパーには次の3種類が考えられるが、それぞれ次のような特徴がある。
【0013】
イ.流体ダンパ112(図41)
〔原理〕
狭い通路(スリット)113を流体が通過する際の、流れの抵抗を利用する方法。通路が狭いと層流抵抗となり、速度の逆方向に、速度の0.9 〜1.0 乗に比例する抵抗が発生する。すなわち、
D=−CV0.9-1 ×sign(V)
ただし、sign(V)は下記の定義になる符号関数である。
V>0の時、 sign(V)=1
V=0の時、 sign(V)=0
V<0の時、 sign(V)=−1
〔利点〕
速度にほぼ比例した抵抗になるので、速度抑制には最も効果的である。(高性能)
〔問題点〕
通常、バネに沿わせる形で設置されるが、構造上ストローク(s) のほぼ5倍のセット長となり、(図41参照)バネの場合の、約2倍強よりずっと長い。
故に、ストロークがs=0.2mであれば1.0mのセット長さが必要で、免震装置のサイズアップにつながる。
【0014】
ロ.粘性ダンパー114(図42の(イ)、(ロ)、図43の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ))
〔原理〕
2つの面に挟まれた粘性の強い流体の「引きずり力」(境界層の抵抗)を利用する方法。速度の逆方向に、速度の0.5 〜0.8 乗に比例する抵抗が発生する。
すなわち、
D=−CV0.5-0.8 ×sign(V)
〔利点〕
1つで全方向のダンピングが可能で、流体ダンパーのように必要な方向毎に設置する必要が無い。また、セット時のサイズがストロークs の約3.5 倍ですみ、流体ダンパーより短いため、免震装置への設置が容易である。( 図43の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ))
〔問題点〕
円盤形なので、装置中央に配置しなければならず、その位置にバネ115、ボール116が配置できないため、サイズアップになる。図43の(イ)、(ロ)、(ハ)にその一例を示した。
図43はダンパー有りの場合(図43の(イ)、(ロ)、(ハ))とダンパー無しの場合(図43の(ニ)、(ホ))を同じ縮尺で示しているが、ダンパー有りの場合は、ダンパー無しに比べて免震装置の平面面積が約2.9 倍( 長さで1.7 倍)に拡大する。
【0015】
ハ.摩擦ダンパー117(図44:固体摩擦式、図45:転がり式)
〔原理〕
免震台118と地面119の間に摺動面を作り摩擦力によって抵抗を発生させる(図44)。又、ボール120の接触面121を変えて転がり抵抗を増やす方法もある(図45)。この方法による力は速度の方向に依存する(速度の逆方向に働く)が、速度の大きさには依存しない。しかし接触面圧(M)に比例する。
すなわち、
〔利点〕
構造が簡単で、原価が安い。設置の為のスペースの増加が無い。
〔問題点〕
減衰力が速度に比例しないので、速度反転時に急な抵抗力の変化が生じ、スティックスリップ(すべりが拘束されたりすべったりすること)が発生する。したがって、免震台118の作動が不安定になり、ダンパーとしては好ましくはない。
【0016】
本発明の目的は、バネが水平に配置された「バネ式免震装置」に存在する、上記(i)〜(v)の問題の少なくとも1つを解決するバネ式の免震装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 固定台と、固定台に対して水平方向に移動可能な免震台と、固定台と免震台との間に配置したボールと、一端が固定台に他端が免震台に連結された、免震台を原点位置に戻すためのバネとを、有する免震装置であって、前記バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
(2) 前記バネが水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する(1)記載の免震装置。
(3) 前記バネが水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する(1)記載の免震装置。
(4) さらにダンパーを有する(1)記載の免震装置。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)−(4)の何れか一の免震装置によれば、バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有するので、以下に詳細に説明するように、上記(i)〜(v)の問題が解決または軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の免震装置10を、図1−図29を参照して説明する。
本発明の免震装置10は、固定台11と、固定台11に対して水平方向に移動可能な免震台12と、固定台11と免震台12との間に配置したボール13と、一端が固定台11に他端が免震台12に連結された、免震台12を原点位置に戻すためのバネ14とを、有する。バネ14は、水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯15を有する。
バネ14は、水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯15を有する、直列配置であってもよい。
あるいは、バネ14は、水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯15を有する、斜め配置であってもよい。
免震装置10は、さらにダンパー16を有していてもよい。
以下に、本発明の構成を、該構成をとることにより上記(i)〜(v)の問題が解決または軽減される理由(該理由は、本発明の作用・効果でもある)とともに、さらに詳細に説明する。
【0020】
(A)バネの直立配置
免震台12のバネ14を図1、図2のように直立させて(バネ軸芯15が水平方向に対して90度の角度をもつように)配置する事により、問題点(i) 、(ii)、(iii)、(iv)、(v)が全て解消する。以下、それぞれの問題点の解消理由を述べる。
直立配置の場合、受け皿部分17とバネ14の干渉を避けるためには、皿17を低くした方(tを小)が良い。従って、その分ボール13の径Dを大きくする必要があり、図1、図2の例ではボール径Dをこれまでの検討例の倍としている。
バネ13との干渉の検討は、図3、図4に示したような作図で実施する。今回の検討例では、皿C中心とバネ中心が28mm以上離れている必要があり、図1のように、皿中心Cからφ28mm以内にバネ中心15を配置しないように配慮してある。
【0021】
問題点(i):サイズ大の解消
水平配置(従来)と直立配置(本発明の直立配置と斜め配置のうちの直立配置)の計画図を同一縮尺で示すと、図5の(イ)−(ニ)のようになる。いずれも地震時の作動ストローク±200mm 動いた時、部品相互の干渉が無いよう空間を空けて配置している。直立式にすることで、平面面積で35%(長さで20% )のサイズの縮小が可能で、サイズ大の問題が改良される。高さは、干渉を防ぐため若干高くなる。
【0022】
問題点(ii):バネセット力大の解消
免震台の移動方向(水平面)と平行にバネを配置する方法(図6の(ハ))では、バネセット長Lsはバネ作動範囲Lwの中央になる。したがって、セット時にはLn+Lw/2 だけ伸された状態であり、セット力はかなり大きな値になる。
本発明の直立配置バネ(図6の(イ))は、セット時にはLnしか伸びて居らず、セット荷重が非常に小さく、通常時にバネに無理がかからない。バネが作動する際は、図6の(ロ)に示すように、方向には関係なく移動量によって伸び量が決まるので、バネ線図は(図6の(イ)のようになる。
本発明の直立配置バネでは、以上の関係からセット時のバネ伸びがセットに必要な最小伸びLnで良く、セット荷重を低く抑える事ができる。
【0023】
問題点(iii) :バネ特性の癖の解消
直立配置バネ14は、図7に示すように、上端を水平面方向に引っ張る時、どの方向に引っ張っても同じ張力が得られる。すなわち、引っ張り方向による癖が無い。また、引っ張り方向に直角の成分力が出ることも無い。
したがって、バネの数を増やしていくと、単純に加算したバネ力が得られる。バネ力は
Fs=K{(Ls2 +z2 )1/2 −Ls}
F =Fs×z/(Ls2 +z2 )1/2
である。
【0024】
問題点(iv):固有振動数を下げにくいことの解消
直立配置バネ14のバネ特性は図8のように非線形になる。このように、引っ張り初期には弱く、引っ張って行けば行くほど強くなるバネを使うと、免震台の固有振動数を下げる事ができる。
図8は、Lo=0.1m
Ln=0.02m
Ls=Lo+Ln=0.12m
K=100N/m
の時のバネ特性を示す。
このような非線形バネの効果を試算してみる。
直列配置バネは、すべての方向に同等に作用するので、水平配置バネの半分の本数ですむ。したがって、直立バネ2本が水平配置の4本に相当する。
両方のバネの特性を同じ図に表すと図9のようになる。それぞれのバネを使った場合の共振点を計算すると、
水平配置;f=1.007Hz
直立配置;f=0.064Hz
となり、直立配置の場合の方がかなり低くなる。
なお、直立配置の共振点はシミュレーションモデルを自由振動させて計算する。(図10)
直立配置バネ免震装置にElcentroEW地震波が作用した場合の免震台の挙動を図11に示した。水平配置の場合(図43、図44)よりかなり改善されており、その効果が確認できる。しかし、これでもまだ充分なレベルには達しておらず、バネ常数を下げるなど、さらなる改善が必要である。
以上に示したように、直立バネではバネ特性が非線形となるので、免震装置の固有振動数の低下をはかり、免震性能を向上させることができる。
【0025】
問題点(v):ダンパー配置が難しいことの改良
直立配置バネでは、バネが半分の数(2本)ですむので、図12の(イ)−(ホ)のように配置が若干改良される(面積で15%減)。しかし、ダンパー16自体が大きいため、問題は解消ではなく軽減程度にとどまる。
【0026】
(B)バネの斜め配置
バネ斜め配置とは、中立時のバネ14を、直立ではなく若干傾けてセットする場合を言う。その場合、バネ14は、水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯15を有する。図13の(イ)、(ロ)、(ハ)は直立配置、(ニ)、(ホ、(ヘ)は斜め配置を示す。
斜め配置により、バネ14と受け皿17の距離が短縮し、装置サイズを更に縮小できる(図13)。
コンター(外形)の違いを考慮し、水平配置ではできない2本バネにして、両者のサイズを極力縮めた実施例を図14の(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)に示した。図14の(イ)、(ロ)が直立配置、(ハ)、(ニ)が斜め配置の場合を示している。
結果は、直立78×90が、斜め72×86となり、面積で12% の減少が果たせる。コンター自体の面積比は27% 減なので、若干効率は悪くなる。
しかし、斜め配置には若干の副作用があるので、以下に説明する。
【0027】
副作用1:バネ特性の癖
斜め配置バネのバネ特性は、以下の手法で計算できる。
セット時長さLsのバネを高さH 、オフセット sで配置した図15のようなバネについて考える。
このモデルで、バネの上端Q を、角度θの方向に引っ張った場合の引っ張り方向のバネ力Ftを算出する。
幾何学的関係から、
H=(Ls2 −s2 )1/2
図16から、
xs=x ×sin θ
xc=x ×cos θ
L’={(s+xc)2 +xs2 }1/2
図17から、
L=(H2 +L’2 )1/2
バネ方向反力F は、
F=K×(L−L0 ) その水平方向成分は、
F’=F×L’/L
反力方向のずれ角ψは、
φ=arccos(xs/L’)
ξ=arccos(xs/x)
ψ=abs(φ−ξ)
引っ張り方向の反力Ftは、
Ft=F’×cosψ
実際にはこのバネを図18のように対向して2個配置するので2個のバネ力を合算する必要がある。
【0028】
対向側のバネ諸元を図19のようにとる。
幾何学的関係から、
H=(Ls2 −s2 )1/2
図21から、
xs=x ×sin θ
xc=x ×cos θ
L’={(−s+xc)2 +xs2 }1/2
図20から、
L=(H2 +L’2 )1/2
バネ方向反力F は、
F=K×(L−L0 ) その水平方向成分は、
F’=F×L’/L
反力方向のずれ角ψは、
φ=arccos(xs/L’)
ξ=arccos(xs/x)
ψ=abs(φ−ξ)
引っ張り方向反力Ftは、
Ft=F’×cosψ
と、前の場合と同様の考え方で計算できる。
こちらのバネ力をFt' とすると、総合バネ力Fta は、
Fta=Ft+Ft'
で、計算できる。
【0029】
ここで、次のような条件で、実際のバネ力を計算してみる。
寸法諸元; s=0.1m , Lo=0.1m , Ls=0.12m , K=100N/m 、
引っ張り長; x=0.01, 0.02, 0.03, 0.04,………,0.20 m
引っ張り角度; θ=0, 10, 20, 30, ………,180度
【0030】
図22に、引っ張り方向(θ)に対するバネ力変化の状況を示した。
このバネは、引っ張り方向(θ)と、ストローク(x )によってバネの強さが異なる癖を持っており、免震性能に方向性が出る懸念がある。
【0031】
図23は、引っ張りストロークに対するバネ力で、バネ特性そのものを示す。90度方向に引いた時のバネ特性が、直立バネ( 線a)とほぼ同じになり、他の方向にはそれより弱めのバネとなる。いずれも下に凸な特性で免震装置には向いている。
【0032】
図25は、図24において斜め配置のオフセット量をs=0.1mからs=0.03m に変えた場合の結果である。
図25に示すように、バネ特性は、引っ張り方向の如何にかかわらず直立の場合と殆ど同じになり、「バネ特性の癖」の懸念は無くなる。斜め配置の場合、バネセット角を抑制する事が大切である。
なお、 s=0.1 :バネセット角=34度
s=0.03:バネセット角=76度
【0033】
副作用2:バネセット力
斜めに配置することで、セット時のバネの伸びは大きくなる。(図25中の右表)
従ってバネセット力が大きいという問題が出るが、水平配置の場合より遙かに小さくてすむ。
【0034】
副作用総括:
若干の副作用(上記の副作用1、副作用2)はあるが、全体寸法の抑制、干渉の防止、等の必要性があれば、斜め配置は実施すべきである。但し、バネセット角(バネ軸芯の、水平方向に対する角度)を35度以上とすることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の免震装置の、バネが直立バネの場合の、平面図である。
【図2】本発明の免震装置の断面図(図1のA−A断面図)である。
【図3】図2の免震装置の皿とバネとの干渉の検討で用いられた、免震台移動前の、断面図である。
【図4】図2の免震装置の皿とバネとの干渉の検討で用いられた、免震台移動後の、断面図である。
【図5】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてサイズが小さくなることを示す図で、(イ)が本発明のバネ直立配置の場合の平面図、(ロ)が(イ)の装置のA−A断面図、(ハ)が従来のバネ水平配置の場合の平面図、(ニ)が(ハ)の装置のA−A断面図、である。
【図6】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてバネセット力が小さくなることを示す図で、(イ)が本発明のバネ直立配置の場合の荷重/バネ長さのグラフ、(ロ)が本発明のバネ直立配置の場合の免震装置のバネ部の断面図、(ハ)が従来のバネ水平配置の場合の荷重/バネ長さのグラフである。
【図7】本発明の直立バネの免震装置が従来の水平バネの免震装置に比べてバネ特性の癖が解消されることを示すバネとその近傍の断面図である。
【図8】本発明の直立バネの免震装置のバネ特性図(荷重/変位のグラフ)である。
【図9】本発明の直立バネと従来の水平バネのバネ特性図(荷重/変位のグラフ)の比較である。
【図10】本発明の直立バネの免震装置の共振点を求めるための自由振動の波形図である。
【図11】本発明の直立バネの免震装置にEl centro 地震が作用した場合の免震台の挙動を示す図(変位/時間のグラフ)である。
【図12】ダンパー配置が難しいことが解消されることを示す図で、(イ)が本発明の、直立バネ+粘性ダンパーの場合の免震装置の平面図、(ロ)が(イ)のB−B断面図、(ハ)が従来の、水平バネ+粘性ダンパーの場合の免震装置の平面図、(ニ)が(ハ)のC−C断面図、(ホ)が(ハ)のB−B断面図、である。
【図13】本発明の斜め配置バネの免震装置の直立バネの免震装置との比較を示す断面図で、(イ)はバネ直立で左最大変位の場合の断面図、(ロ)はバネ直立で中立の場合の断面図、(ハ)はバネ直立で右最大変位の場合の断面図、(ニ)はバネ斜め配置で左最大変位の場合の断面図、(ホ)はバネ斜め配置で中立の場合の断面図、(ヘ)はバネ斜め配置で右最大変位の場合の断面図、である。
【図14】本発明の斜め配置バネの免震装置と直立バネの免震装置との外形(コンター)の比較を示す図で、(イ)はバネ直立の場合の平面図、(ロ)はバネ直立の場合の断面図、(ハ)はバネ斜め配置の場合の平面図、(ニ)はバネ斜め配置の場合の断面図、である。
【図15】本発明の斜め配置バネのバネ特性を求める演算で用いた諸元図である。
【図16】図15の斜め配置バネの斜視図である。
【図17】図15の斜め配置バネの平面図である。
【図18】図15の2個対向配置した場合の本発明の免震装置の断面図である。
【図19】図18における対向側バネのバネ特性を求める演算で用いた諸元図である。
【図20】図19の対向バネの斜視図である。
【図21】図19の対向バネの平面図である。
【図22】斜め配置バネにおける、引っ張り方向(横軸、θ)に対するバネ力変化(縦軸)を示すグラフである。
【図23】斜め配置バネにおける、引っ張りストローク(横軸)に対するバネ力の変化(縦軸)を示すグラフである。
【図24】斜め配置バネにおける、オフセット量とバネセット角を示す断面図である。
【図25】斜め配置バネにおける、オフセット量をs=0.1mからs=0.03mに変えた場合の結果を示すグラフであり、引っ張り方向のいかんにかかわらず直立バネとほとんど同じになることを示すグラフである。
【図26】従来の重力式でボール式の免震装置の断面図である。
【図27】従来の重力式でリニアベアリング2段重ね式の免震装置の断面図である。
【図28】従来のバネ式で積層ゴム式の免震装置の断面図である。
【図29】従来の水平バネ式の免震装置の断面図である。
【図30】従来の水平バネ式の免震装置の平面図である。
【図31】図30の水平バネ式の免震装置のA−A断面図である。
【図32】図30の水平バネ式の免震装置の干渉チェック図である。
【図33】図30の水平バネ式の免震装置のセット荷重/バネ長さのグラフである。
【図34】従来の水平バネ式の免震装置のバネ特性に癖があることを示すグラフである(横軸が引っ張り方向、角度θがバネ方向)。
【図35】免震台を、バネの取付け方向(0度)、およびバネのない方向(45度)に引っ張った時のバネ特性を示す、荷重/変位図である。
【図36】バネ水平配置式免震装置の振動モデル概念図である。
【図37】図36の振動モデルに神戸地震のNS(南北)波を不補した時の免震台の挙動図(加速度波形図)である。
【図38】図36の振動モデルにEl centro 地震のEW(東西)波を不補した時の免震台の挙動図(加速度波形図)である。
【図39】図36の振動モデルに神戸地震のNS(南北)波を不補した時の免震台の挙動図(振幅波形図)である。
【図40】図36の振動モデルにEl centro 地震のEW(東西)波を不補した時の免震台の挙動図(振幅波形図)である。
【図41】流体ダンパーの断面図である。
【図42】(イ)は粘性ダンパーの断面図であり、(ロ)は(イ)の粘性ダンパーの半平面図である。
【図43】(イ)は粘性ダンパー付きの従来の水平バネ式免震装置の平面図であり、(ロ)は(イ)のC−C断面図であり、(ハ)は(イ)のB−B断面図であり、(ニ)は粘性ダンパー無しの従来の水平バネ式免震装置の平面図であり、(ホ)は(ニ)のA−A断面図である。
【図44】摩擦ダンパーの断面図である。
【図45】転がり式摩擦ダンパーの断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 免震装置
11 固定台
12 免震台
13 ボール
14 バネ
15 バネ軸芯
16 ダンパー
17 受け皿
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定台と、固定台に対して水平方向に移動可能な免震台と、固定台と免震台との間に配置したボールと、一端が固定台に他端が免震台に連結された、免震台を原点位置に戻すためのバネとを、有する免震装置であって、前記バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
【請求項2】
前記バネが水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する請求項1記載の免震装置。
【請求項3】
前記バネが水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する請求項1記載の免震装置。
【請求項4】
さらにダンパーを有する請求項1記載の免震装置。
【請求項1】
固定台と、固定台に対して水平方向に移動可能な免震台と、固定台と免震台との間に配置したボールと、一端が固定台に他端が免震台に連結された、免震台を原点位置に戻すためのバネとを、有する免震装置であって、前記バネが水平方向に対して35度以上90度以下の角度をもつバネ軸芯を有する免震装置。
【請求項2】
前記バネが水平方向に対して90度の角度をもつバネ軸芯を有する請求項1記載の免震装置。
【請求項3】
前記バネが水平方向から35度以上の角度90度未満の角度をもつバネ軸芯を有する請求項1記載の免震装置。
【請求項4】
さらにダンパーを有する請求項1記載の免震装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公開番号】特開2006−342884(P2006−342884A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169104(P2005−169104)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【Fターム(参考)】
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