説明

入力感が得られる入力機能付き保護パネル

【課題】 タッチ入力をした際に入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供する。
【解決手段】 入力機能付き保護パネルが、加飾に対応する周縁部に、ドーム状の入力感発生機構を介して間接的接触の有無を検出するスイッチを備えている、あるいは、裏面側基板において、裏面側の前記加飾に対応する周縁部に配置されたドーム状の入力感発生機構を備えている。したがって、タッチ入力をした際に入力感があり、本当に入力できたのかどうか、あるいは誤って入力してしまったのかどうかを触感で確認できるため、いちいち画面を視る必要がなく、操作性が向上した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の透明抵抗膜、この第1の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第1の端子、が表面側に形成された裏面側基板と、
第2の透明抵抗膜、この第2の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第2の端子、が裏面側に形成され、かつ、表面側の周縁部に加飾が施された表面側基板とを備え、
前記裏面側基板と前記表面側基板とを、前記第1及び第2の透明抵抗膜が空気層により所定間隔を隔てて対向するように、かつ、いずれか一方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のX軸方向の対辺に位置し、他方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のY軸方向の対辺に位置するように接着することにより、前記表面側基板に対するタッチ操作に基づいて、操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知するアナログ座標入力部を構成してあるタッチ入力機能を備えた保護パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような保護パネルは、携帯電話機、スマートフォン、PDA、カーナビゲーション装置、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯遊技機、およびタブレット、などの電子機器に備えた表示装置の表示部を保護しながら、表示内容に応じたタッチ入力操作を行えるようにするために、これらの電子機器に備えられており、特許文献1にも開示されている。
【0003】
また、上記のような保護パネルを備えた電子機器の一例である携帯電話機やスマートフォンなどにおいては、近年、本来の通話機能に加えて電子メール機能やインターネット機能などを備えたものや、それらの機能に加えて撮影機能や音楽再生機能などを備えたものがある。このような多機能化が図られた電子機器においては、それらの機能に応じたスイッチを保護パネルに備えることによって操作性の向上を図ることが考えられており、その一例が特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/064451号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2009/025269号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の前記入力機能付き保護パネルには、以下のような問題があった。
【0006】
すなわち、従来の入力機能付き保護パネルは、タッチ入力をした際に入力感が無いため、本当に入力できたのかどうか、あるいは誤って入力してしまったのかどうかは、いちいち画面を視て確認しなければならず、操作性が悪かった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、タッチ入力をした際に入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供する。
【0009】
本発明の第1態様によれば、第1の透明抵抗膜、この第1の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第1の端子、が表面側に形成された裏面側基板と、
第2の透明抵抗膜、この第2の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第2の端子、が裏面側に形成され、かつ、表面側の周縁部に加飾が施された表面側基板とを備え、
前記裏面側基板と前記表面側基板とを、前記第1及び第2の透明抵抗膜が空気層により所定間隔を隔てて対向するように、かつ、いずれか一方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のX軸方向の対辺に位置し、他方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のY軸方向の対辺に位置するように接着することにより、前記表面側基板に対するタッチ操作に基づいて、操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知するアナログ座標入力部を構成してあるタッチ入力機能を備えた保護パネルであって、
さらに、前記加飾に対応する周縁部に、ドーム状の入力感発生機構を介して間接的接触の有無を検出するスイッチを備えた、ことを特徴とする入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【0010】
また、本発明の第2態様によれば、前記表面側基板において、一対の前記バスバーの間隔を広げることにより、前記第2の透明抵抗膜が前記第1の透明抵抗膜との対向領域に隣接する拡大領域を前記加飾が施された部分に有し、
前記裏面側基板において、前記第1の透明抵抗膜と並列になるように引き回し回路を介して前記一対の第1の端子に接続され、前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された接点と、この接点と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記接点と前記入力感発生機構と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域とにより、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、前記接点と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、第1態様の入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0011】
また、本発明の第3態様によれば、前記表面側基板において、一対の前記バスバーの間隔を広げることにより、前記第2の透明抵抗膜が前記第1の透明抵抗膜との対向領域に隣接する拡大領域を前記加飾が施された部分に有し、
前記裏面側基板において、前記第1の透明抵抗膜と並列になるように前記一対の第1の端子に接続され、前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された短冊状の第3の透明抵抗膜と、この第3の透明抵抗膜の対辺に位置しかつ前記バスバーに平行な一対のバスバーと、前記第3の透明抵抗膜と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記短冊状の第3の透明抵抗膜と前記入力感発生機構と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域とにより、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、前記短冊状の第3の透明抵抗膜と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、第1態様の入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0012】
また、本発明の第4態様によれば、前記表面側基板において、電位差を有するように前記第2の透明抵抗膜に引き回し回路を介して直列に接続される接点を備え、
前記裏面側基板において、電位差を有するように前記第1の透明抵抗膜に引き回し回路を介して直列に接続され、前記表面側基板の前記接点前記と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された接点と、この接点と前記表面側基板の前記接点との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記裏面側基板および前記表面側基板の前記接点により、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、それらの前記接点の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、第1態様の入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0013】
また、本発明の第5態様によれば、前記入力感発生機構が、金属製ドームである、第1乃至第4態様いずれかの入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0014】
また、本発明の第6態様によれば、前記入力感発生機構が、樹脂製ドームに貫通穴が設けられ、ドーム表裏面を導電体で接続したものである、第1乃至第4態様のいずれかの入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0015】
また、本発明の第7態様によれば、前記裏面側基板の表面の回路構成と前記表面側基板の裏面の回路構成とを入れ替えたものである、第1〜6態様のいずれかの入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【0016】
また、本発明の第8態様によれば、第1の透明抵抗膜、この第1の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第1の端子、が表面側に形成された裏面側基板と、
第2の透明抵抗膜、この第2の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第2の端子、が裏面側に形成され、かつ、表面側の周縁部に加飾が施された表面側基板とを備え、
前記裏面側基板と前記表面側基板とを、前記第1及び第2の透明抵抗膜が空気層により所定間隔を隔てて対向するように、かつ、いずれか一方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のX軸方向の対辺に位置し、他方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のY軸方向の対辺に位置するように接着することにより、前記表面側基板に対するタッチ操作に基づいて、操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知するアナログ座標入力部を構成してあるタッチ入力機能を備えた保護パネルであって、
さらに、前記裏面側基板において、裏面側の前記加飾に対応する周縁部に配置されたドーム状の入力感発生機構を備えた、ことを特徴とする入力感が得られる入力機能付き保護パネルを提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、入力機能付き保護パネルが、加飾に対応する周縁部に、ドーム状の入力感発生機構を介して間接的接触の有無を検出するスイッチを備えている、あるいは、裏面側基板において、裏面側の前記加飾に対応する周縁部に配置されたドーム状の入力感発生機構を備えているので、タッチ入力をした際に入力感があり、本当に入力できたのかどうか、あるいは誤って入力してしまったのかどうかを触感で確認できるため、いちいち画面を視る必要がなく、操作性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施形態での携帯電話機の斜視図である。
【図2】第一実施形態での保護パネルの構成を示す要部の横断底面図である。
【図3】第一実施形態での保護パネルの構成を示す要部の横断底面図である。
【図4】入力感発生機構の動作を示す斜視図である。
【図5】第一実施形態での裏面側基板の入力感発生機構を除く正面図と表面側基板の背面図である。
【図6】第二実施形態での裏面側基板の入力感発生機構を除く正面図と表面側基板の背面図である。
【図7】第三実施形態での裏面側基板の入力感発生機構を除く正面図と表面側基板の背面図である。
【図8】第一乃至第三実施形態での金属製ドームからなる入力感発生機構の動作を示す模式断面図である。
【図9】第一乃至第三実施形態での樹脂製ドームからなる入力感発生機構の構造を示す模式断面図である。
【図10】第四実施形態での保護パネルの構成を示す要部の横断底面図である。
【図11】第四実施形態での樹脂製ドームからなる入力感発生機構の動作を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例として、本発明に係る入力機能付き保護パネルAを、電子機器Bの一例である携帯電話機1に適用した第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、最良の形態の説明では各構成要素に図面に基づいて符号を付与しているため、特許請求の範囲で記載している「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数詞は省略する。
【0021】
電子機器Bとしては、携帯電話機1以外に、スマートフォン、PDA、携帯音楽プレイヤー、カーナビゲーション装置、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯遊技機、およびタブレット、などがある。
【0022】
図1は携帯電話機1の全体斜視図である。図2は携帯電話機1の要部の横断底面図である。これらの図に示すように、携帯電話機1は、合成樹脂製の筐体2に、液晶または有機ELなどの表示部3Aを有する表示装置3、および、複数の入力キー4、などを備えて構成されている。筐体2は、前面に表示窓2Aaなどが形成された表側筐体部2Aと、表示装置3などが装備される裏側筐体部2Bとを備えている。保護パネルAは、表示装置3の表示部3Aを保護するように表側筐体部2Aの表示窓2Aaに備えられている。
【0023】
表側筐体部2Aの表示窓2Aaは、保護パネルAの嵌め込みを許容する段差を有するように凹入形成されている。表示窓2Aaの底部は、裏側筐体部2Bに装備した表示装置3の表示部3Aを外部に臨ませる開口2aと、保護パネルAを支持する支持枠2bとを有するように形成されている。
【0024】
表示窓2Aaの形状や大きさは、保護パネルAの形状や大きさに応じて種々の変更が可能である。表示窓2Aaの凹入深さは、保護パネルAの厚みなどに応じて種々の変更が可能である。表示窓2Aaにおける開口2aの形状や大きさは、表示部3Aの形状や大きさなどに応じて種々の変更が可能である。ここでは、表示窓2Aa、開口2a、表示部3A、および保護パネルAの形状を矩形状または略矩形状に設定してある。また、表示窓2Aaの凹入深さを、筐体2の表面と保護パネルAの表面とが同じ高さになるように設定してある。
【0025】
保護パネルAにおけるタッチ入力機能とは、保護パネルAの表面に対するタッチ操作に基づいて、その操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知する機能のことである。
【0026】
図2、図3及び図5に示すように、保護パネルAは、表面側に矩形状の透明抵抗膜5Aが形成された裏面側基板5と、裏面側に矩形状の透明抵抗膜6Aが形成された表面側基板6とを、それらの透明抵抗膜5A,6Aの間に空気層を有するように所定間隔を隔てて対向配置することにより構成されている。そして、保護パネルAにおいて矩形状の透明抵抗膜5A,6Aが対向する領域がアナログ座標入力部Aaとして機能する。
【0027】
図2、図3及び図5の(a)に示すように、裏面側基板5には、ポリカーボネート樹脂(PC)、メタクリル樹脂(PMMA)、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂(AS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、セルロースプロピオネート樹脂(CP)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂(PE)などの透明性、剛性、加工性に優れる樹脂板が採用されている。特に透明性に優れるポリカーボネート樹脂(PC)やメタクリル樹脂(PMMA)を使用することが好ましい。樹脂板の厚みは、0.5〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に1.0mmとすることが好ましい。
【0028】
また、裏面側基板5には、ソーダーガラス、ホウケイ酸ガラス、強化ガラス、などの強度および透過率に優れるガラス板を採用してもよい。強度に優れるガラス板を採用すると、裏面側基板5の厚みを薄くすることによる保護パネルAの薄型化、ならびに、その保護パネルAを備える携帯電話機1の薄型化を図ることができる。ガラス板の厚みは、0.2〜3.0mmの範囲から選択することができ、特に1.0mmとすることが好ましい。
【0029】
裏面側基板5の周縁部のうち下縁中央部には、裏面側基板5の表面と裏面とにわたって貫通する通電用としての4つの貫通孔5a,5bが左右方向に所定間隔を隔てて一直線状に整列形成されている。裏面側基板5の表面側には、透明抵抗膜5Aとともに、当該透明抵抗膜5AのX軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー5B、前記の周囲に位置する引き回し回路5C、前記バスバー5Bに対応する貫通孔5aの形成箇所に位置する一対の端子5D、および、枠状の接着層5E、などが形成されている。
【0030】
裏面側基板5としては、透明抵抗膜5A、バスバー5B、引き回し回路5C、端子5D、および、枠状の接着層5E、などを直接、表面側に形成するのではなく、別途、これらを形成しておいた透明絶縁フィルムを裏面側基板5の表面側に貼り付けることにより、裏面側基板5の表面側に、透明抵抗膜5A、バスバー5B、引き回し回路5C、端子5D、および、枠状の接着層5E、などを備えるように構成してもよい。
【0031】
透明絶縁フィルムを使用する場合、透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリエーテルケトン系、などのエンジニアリングプラスチック、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、などの樹脂フィルムを使用することができる。
【0032】
図2、図3及び図5の(b)に示すように、表面側基板6には、指などで押圧すると撓む性質を有する可撓性透明絶縁フィルムを採用している。可撓性透明絶縁フィルムには、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリエーテルケトン系、などのエンジニアリングプラスチック、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、などの樹脂フィルムを使用することができる。
【0033】
表面側基板6の裏面側には、透明抵抗膜6Aとともに、透明抵抗膜6AのY軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー6B、当該透明抵抗膜6Aの周囲に位置する一対の引き回し回路6C、および、前記バスバー6Bに対応する貫通孔5bと対向する一対の端子6D、などが形成されている。表面側基板6の表面側には、デザインシート7が貼り合わせられている。
【0034】
各透明抵抗膜5A,6Aは、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウムチンオキサイド(ITO)、などの金属酸化物膜、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、あるいは、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、などの金属膜、からなる透明導電膜である。なお、各透明抵抗膜5A,6Aを2層以上の多層に形成してもよい。各透明抵抗膜5A,6Aの形成方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、などがある。
【0035】
各透明抵抗膜5A,6Aのうちのいずれか一方の表面に、それらの透明抵抗膜5A,6Aを対向させた際の誤接触を防止するための複数の微細なドット状のスペーサ8を形成することができる。ここでは、裏面側基板5の透明抵抗膜5Aに複数のスペーサ8を形成してある。
【0036】
スペーサ8には、エポキシアクリレート系やウレタンアクリレート系などの透明な光硬化性樹脂や、ポリエステル系やエポキシ系などの透明な熱硬化性樹脂を使用することができる。また、スペーサ8の形成方法には、スクリーン印刷などの印刷法やフォトプロセスなどがある。
【0037】
各バスバー5B,6B、各引き回し回路5C,6C、および各端子5D,6Dは、金、銀、銅、ニッケル、などの金属、あるいは、カーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することができる。各バスバー5B,6B、各引き回し回路5C,6C、および各端子5D,6Dの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、などの印刷法、フォトレジスト法、刷毛塗法、などがある。
【0038】
各バスバー5B,6Bは、裏面側基板5または表面側基板6のなるべく端部に形成して、裏面側基板5および表面側基板6の中央部に、矩形状の透明抵抗膜5A,6Aが対向する領域をできるだけ広く確保することが一般的である。矩形状の透明抵抗膜5A,6Aが対向する領域、つまり、入力エリアや表示エリアの広さや形状は、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリアや表示エリアの広さや形状に応じて種々の変更が可能である。
【0039】
デザインシート7には、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリエーテルケトン系、などのエンジニアリングプラスチック、アクリル系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリブチレンテレフタレート系、などの透明フィルム7Aの裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが形成されているものを使用することができる。透明フィルム7Aの厚みは、25〜200μmの範囲から選択することができる。また、その表面側に図示しないハードコート層が形成されていてもよい(図示せず)。
【0040】
ハードコート層に使用する材料としては、シロキサン系樹脂などの無機材料、あるいはアクリルエポキシ系、ウレタン系の熱硬化性樹脂やアクリレート系の光硬化性樹脂などの有機材料がある。ハードコート層の厚みは、1〜7μm程度が適当である。ハードコート層の形成方法には、ロールコート、スプレーコート、などのコート法、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0041】
ハードコート層を、裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成される透明フィルム7Aの表面側に直接形成してもよく、また、裏面側に加飾層7Bと接着層7Cとが直接形成される透明フィルム7Aとは別の透明フィルムに形成して、それらの両者を貼り合わせてもよい。
【0042】
加飾層7Bは、透明フィルム7Aの周縁に額縁状に形成されている。加飾層7Bの形成部分が加飾部7bとなり、矩形状の非形成部分が透明部7aとなる。透明部7aの広さや形状は、矩形状の透明抵抗膜5A,6Aが対向する領域の広さや形状、つまり、携帯電話機1などの電子機器Bにおける入力エリアや表示エリアの広さや形状に応じて種々の変更が可能である。
【0043】
このように加飾層7Bを形成することにより、表面側基板6の周縁部6Eには、裏面側基板5および表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠す加飾が施されることになる。これにより、筐体2の表示窓2Aに、裏面側基板5および表面側基板6の各バスバー5B,6Bなどを覆い隠すための額縁部を形成する必要がなく、その分、携帯電話機1の薄型化を図ることができる。
【0044】
加飾層7Bには、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アルキド樹脂、などをバインダとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。なお、矩形状の透明部7aは透明インキを用いた加飾層7Bが形成されてもよいし、加飾層7Bが形成されないことによって透明部7aとしてもよい。
【0045】
加飾層7Bの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、などの通常印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。
【0046】
加飾層7Bとしては、金属薄膜層からなるもの、あるいは、絵柄印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、加飾層7Bとして金属光沢を表現するものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法、などにより形成される。この場合、表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛、などの金属、これらの合金または化合物を使用する。金属薄膜層の膜厚は、0.05μm程度とするのが一般的である。また、金属薄膜層を設ける際に、他の層との密着性を向上させるために、前アンカー層や後アンカー層を設けてもよい。
【0047】
接着層7Cには、感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。例えば、表面側基板6およびデザインシート7がポリカーボネート系やポリアミド系である場合は、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、などを使用すればよい。また、表面側基板6およびデザインシート7がアクリル系やポリエチレンテレフタレート系である場合は、塩ビ、酢酸ビニル、アクリル系共重合体、などを使用すればよい。
【0048】
接着層7Cの形成方法としては、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、などの通常印刷法などを用いるとよい。
【0049】
裏面側基板5および表面側基板6の各端子5D,6Dは、裏面側基板5の各貫通孔5a,5bを利用して、裏面側基板5の裏面からポリイミドフィルムの片面に銅箔からなる回路を形成したフィルムからなるフレキシブル・プリント・サーキット(図示せず)により表示装置3のインターフェース(図示せず)に通電接続されている。
【0050】
各貫通孔5a,5bには、導電ペーストからなる導電性接着剤が、対応する端子5D,6Dに通電可能に接するように注入され、フレキシブル・プリント・サーキットの端部に立設された導電ピンが導電性接着剤に通電可能に接するように差し込まれている。
【0051】
導電ピン付きフレキシブル・プリント・サーキットに代えて、スプリングコネクターピンなどを用いてもよい。
【0052】
図5の(b)に示すように、表面側基板6において、透明抵抗膜6Aは、一対のバスバー6Bの間隔を下辺側に広げることにより、透明抵抗膜5Aとの対向領域6Aaの下辺に隣接する拡大領域6Abを有するように形成されている。そして、表面側基板6における一対の端子6Dに対する引き回し回路6Cは、一対のバスバー6Bからそれぞれ最短の経路を通るように形成されている。
【0053】
図5の(a)に示すように、裏面側基板5においては、拡大領域6Abに対向する部分に、3つの接点5Gと2つの抵抗体5Hとが、X軸方向にかつ隣接する接点5Gの間に抵抗体5Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。そして、裏面側基板5における一対の端子5Dに対する引き回し回路5Cは、透明抵抗膜5Aと3つの接点5Gおよび2つの抵抗体5Hとが並列になるような回路部分5Caを有するように形成されている。
【0054】
そして、図3に示すように、各接点5Gと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとの間には、接点5G上を指などで押圧したときに上下の導通を図るとともに入力感を得ることができるように入力感発生機構9がそれぞれ形成されている。入力感発生機構9は、図3に示すように表面側基板6に向かって突出するドーム状のものであり、図4に示すようにドーム表面に指などにより圧縮荷重を受けるとドームが座屈変形し、圧力が解除されると再び元のドーム状に戻る性質を備えている。この座屈変形する際に衝撃が発生し、これを指などが感知して入力感(クリック感触)が達成されるものである。
【0055】
入力感発生機構9は、上下の導通を図らなければならないため、金属製ドームや、図9に示すように樹脂製ドーム9Aに貫通穴9Bが設けられてドーム表裏面を導電体9Cで接続したものを用いるとよい。
【0056】
各接点5Gは、裏面側基板5と表面側基板6とを接着した際に、拡大領域6Abと所定間隔を隔てて対向するように配置されている。裏面側基板5の接着層5Eは、対向する接点5Gと拡大領域6Abとの入力感発生機構9を介した間接的な接触を可能にする開口5Eaを有するように形成されている。
【0057】
つまり、対向する接点5G,拡大領域6Ab及びその間に介在する入力感発生機構9により、裏面側基板5および表面側基板6の一方の端子5D(6D)間に電圧を印可した際に、他方の端子6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの接点5G,拡大領域6Abの間接的な接触の有無を検出するスイッチ12が構成されている。
【0058】
このようなスイッチ12を備えた保護パネルAにおいては、裏面側基板5の端子5D間に電圧を印可すると、いずれかのスイッチ12がタッチ操作されている場合には、表面側基板6の端子6Dから出力される電圧の大きさから、タッチ操作されたスイッチ12のX座標を求めることができる。また、透明抵抗膜5A,6Aが対向するアナログ座標入力部Aaがタッチ操作されている場合には、表面側基板6の端子6Dから出力される電圧の大きさから、アナログ座標入力部Aaにおけるタッチ操作位置のX座標を求めることができる。
【0059】
次に、表面側基板6の端子6D間に電圧を印可すると、いずれかのスイッチ12がタッチ操作されている場合には、裏面側基板5の端子5Dから出力される電圧の大きさから、いずれかのスイッチ12がON状態であることを認識することができる。また、アナログ座標入力部Aaがタッチ操作されている場合には、裏面側基板5の端子5Dから出力される電圧の大きさから、アナログ座標入力部Aaにおけるタッチ操作位置のY座標を求めることができる。
【0060】
つまり、いずれかのスイッチ12がタッチ操作されている場合には、裏面側基板5の端子5D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作位置のX座標と、表面側基板6の端子6D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作のON情報とから、タッチ操作されたスイッチ12を特定することができる。また、アナログ座標入力部Aaがタッチ操作されている場合には、裏面側基板5の端子5D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作位置のX座標と、表面側基板6の端子6D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作位置のY座標とから、アナログ座標入力部Aaでのタッチ操作位置を特定することができる。
【0061】
なお、いずれかのスイッチ12がタッチ操作されているときには、当該タッチ操作されたスイッチ12においては、入力を達成するとともに入力感発生機構9のドームが座屈変形して衝撃が発生し、これを指などが感知して入力感が得られる(図8参照)。ドーム状の入力感発生機構9を介して間接的接触の有無を検出するスイッチ12であると、実際の入力の有無と入力感が完全に一致する。すなわち、いずれかのスイッチ12がタッチ操作をしたときに、実際には入力できなかったにもかかわらず入力感だけ得られたり、逆に実際には入力できているのに入力感が得られない、といったことがない。また、スイッチ12のための間隔を利用して入力感発生機構9を配置するため、入力感を付与するために厚みが増大しない。
【0062】
各接点5Gは、金、銀、銅、ニッケル、などの金属、あるいは、カーボンなどの導電性を有するペーストを用いて形成することができる。各接点5Gの形成方法には、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、などの印刷法、フォトレジスト法、刷毛塗法、などがある。
【0063】
各抵抗体5Hは、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウムチンオキサイド(ITO)、などの金属酸化物膜、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、あるいは、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、などの金属膜、を用いて形成することができる。各抵抗体5Hの形成方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、などがある。
【0064】
各入力感発生機構9は、金属製ドームの場合、ステンレス鋼、銅などの薄板金属板を用いて形成することができる。また、導電体付き樹脂製ドームの場合、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどの樹脂を用いて形成することができる。樹脂製ドーム9Aの貫通孔9Bにおいてドーム表裏面を接続する導電体9Cしては、ステンレス、銅、銀、カーボンなどの材料からなる部材をインサート成形、カシメ、接着して形成するとよい。また、導電性ペーストを貫通孔9Bに塗布充填して導電体9Cとしてもよい。ドームの外径、高さよび厚みは、入力のストロークや得たいクリック感の程度に応じて適宜設定するとよい。また、各入力感発生機構9は、ドームの周縁底部を図示しない接着剤や粘着剤で裏面側基板5の表面に接着することによって固定される。
【0065】
また、図1に示すように、デザインシート7は、その加飾層7Bの加飾部7bにおける各接点5Gとの対応箇所に、スイッチ12を示す絵柄7cが形成されている。
【0066】
以上、第1実施形態の保護パネルAについて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係るタッチ入力機能を備えた保護パネルAは、加飾に対応する周縁部に、ドーム状の入力感発生機構を介して間接的接触の有無を検出するスイッチを備えていれば、第1実施形態以外の形態をとることもできる。以下に、他の実施形態について説明する。
【0067】
〔第2実施形態〕
【0068】
以下、本発明に係るタッチ入力機能を備えた保護パネルAを、電子機器Bの一例である携帯電話機1に適用した第2実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この第2実施形態においては、保護パネルAにおけるスイッチ12の構成が第1実施形態と異なり、他の構成については第1実施形態と同じであるから、図6に基づいて、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0069】
図6の(b)は、図5の(b)と同じ図である。図6の(a)に示すように、裏面側基板5においては、拡大領域6Abに対向する部分に、第1実施形態のような3つの接点5Gと2つの抵抗体5Hではなく、短冊状の透明抵抗膜5Jが形成されている。そして、裏面側基板5における一対の端子5Dに対する引き回し回路5Cは、透明抵抗膜5Aと透明抵抗膜5Jとが並列になるように形成されている。
【0070】
そして、短冊状の透明抵抗膜5Jと透明抵抗膜6Aの拡大領域6Abとの間には、短冊状の透明抵抗膜5Jのスイッチ12となる部分上を指などで押圧したときに上下の導通を図るとともに入力感を得ることができるように入力感発生機構9がスイッチ12となる部分にそれぞれ形成されている。入力感発生機構9は、第1実施形態と同じものを用いることができる。
【0071】
短冊状の透明抵抗膜5Jは、裏面側基板5と表面側基板6とを接着した際に、拡大領域6Abと空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置されている。裏面側基板5の接着層5Eは、対向する透明抵抗膜5Jと拡大領域6Abとの入力感発生機構9を介した間接的な接触を可能にする開口5Eaを有するように形成されている。
【0072】
つまり、対向する短冊状の透明抵抗膜5J,拡大領域6Ab及びその間に介在する入力感発生機構9により、裏面側基板5および表面側基板6の一方の端子5D(6D)間に電圧を印可した際に、他方の端子6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの短冊状の透明抵抗膜5J,拡大領域6Abの間接的な接触の有無を検出するスイッチ12が構成されている。このようにスイッチ12を構成すると、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0073】
短冊状の透明抵抗膜5Jは、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、インジウムチンオキサイド(ITO)、などの金属酸化物膜、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、あるいは、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、パラジウム、などの金属膜、からなる透明導電膜である。なお、透明抵抗膜5Jを2層以上の多層に形成してもよい。透明抵抗膜5Jの形成方法には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法、などがある。
【0074】
また、図1に示すように、デザインシート7は、その加飾層7Bの加飾部7bにおける接着層5Eの開口5Eaとの対応箇所に、スイッチ12を示す絵柄7cが形成されている。
【0075】
〔第3実施形態〕
【0076】
以下、本発明に係るタッチ入力機能を備えた保護パネルAを、電子機器Bの一例である携帯電話機1に適用した第3実施形態を図面に基づいて説明する。
【0077】
なお、この第3実施形態においては、保護パネルAにおけるスイッチ12の構成が第1実施形態と異なり、他の構成については第1実施形態と同じであるから、図7に基づいて、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0078】
図7の(a)に示すように、裏面側基板5の周縁部のうち左下縁部には、裏面側基板5の表面と裏面とにわたって貫通する通電用としての4つの貫通孔5a,5bが左右方向に所定間隔を隔てて一直線状に整列形成されている。裏面側基板5の表面側には、透明抵抗膜5Aとともに、当該透明抵抗膜5AのY軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー5B、抵抗膜5Aの周囲に位置する一対の引き回し回路5C、一対の端子5D、および、枠状の接着層5E、などが形成されている。
【0079】
図7の(b)に示すように、表面側基板6の裏面側には、透明抵抗膜6Aとともに、透明抵抗膜6AのX軸方向の対辺に位置する平行な一対のバスバー6B、当該透明抵抗膜6Aの周囲に位置する一対の引き回し回路6C、および、対応する貫通孔5bと対向する一対の端子6D、などが形成されている。
【0080】
裏面側基板5および表面側基板6のそれぞれにおける一対の引き回し回路5C,6Cは、一方の引き回し回路5C,6Cが、対応するバスバー5B,6Bと端子5D,6Dとにわたって最短の経路を通るように形成せれている。他方の引き回し回路5C,6Cは、裏面側基板5および表面側基板6の下縁に沿う回路部分5Ca,6Caを有するように形成されている。それらの各回路部分5Ca,6Caには、3つの接点5G,6Gと2つの抵抗体5H,6Hとが、隣接する接点5G,6Gの間に抵抗体5H,6Hが位置するように所定間隔を隔てて形成されている。
【0081】
つまり、裏面側基板5および表面側基板6には、それらの抵抗膜5A,6Aに電位差を有するように対応する引き回し回路5C,6Cを介して直列に接続される3つの接点5G,6Gが備えられている。
【0082】
そして、接点5Gと接点6Gとの間には、接点5G,6G上を指などで押圧したときに上下の導通を図るとともに入力感を得ることができるように入力感発生機構9がそれぞれ形成されており、裏面側基板5の接着層5Eは、対向する接点5Gと接点6Gとの入力感発生機構9を介した間接的な接触を可能にする開口5Eaを有するように形成されている。
【0083】
各接点5G,6Gは、裏面側基板5と表面側基板6とを接着した際に、対応する接点5G,6Gが空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置されている。裏面側基板5の接着層5Eは、対向する接点5G,6Gの入力感発生機構9を介した間接的な接触を可能に開口5Eaを有するように形成されている。
【0084】
つまり、対向する接点5G,接点6G及びその間に介在する入力感発生機構9により、裏面側基板5および表面側基板6の一方の端子5D(6D)間に電圧を印可した際に、他方の端子6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの接点5G,接点6Gの間接的な接触の有無を検出するスイッチ12が構成されている。このようにスイッチ12を構成すると、第1実施形態と同じ効果が得られる。
【0085】
〔第4実施形態〕
【0086】
以下、本発明に係るタッチ入力機能を備えた保護パネルAを、電子機器Bの一例である携帯電話機1に適用した第4実施形態を図面に基づいて説明する。
【0087】
なお、この第4実施形態においては、保護パネルAにおける入力感発生機構9の形成箇所が第1乃実施形態と異なり、他の構成については第1実施形態と同じであるから、図10に基づいて、第1実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0088】
図10は携帯電話機1の要部の横断底面図である。これらの図に示すように、裏面側基板5においては、第1乃至第3実施形態のような表面側ではなく、裏面側の加飾部7bに対応する周縁部にドーム状の入力感発生機構10が配置されている。
【0089】
つまり、対向する接点5G,拡大領域6Abにより、あるいは対向する短冊状の透明抵抗膜5J,拡大領域6Abにより、裏面側基板5および表面側基板6の一方の端子5D(6D)間に電圧を印可した際に、他方の端子6D(5D)により検出される電圧に基づいて、それらの接点5G,拡大領域6Ab接触、あるいは短冊状の透明抵抗膜5J,拡大領域6Abの接触の有無を検出するスイッチ12が、入力感発生機構10を含まずに構成されている。
【0090】
入力感発生機構10は、図10に示すように表側筐体部2Aの保護パネルAを支持する支持枠2bに向かって突出するドーム状のものである。いずれかのスイッチ12がタッチ操作されているときには、保護パネルA全体が表側筐体部2Aの支持枠2bに向かって押し付けられるため、入力感発生機構10のドームが座屈変形して衝撃が発生し、これを指などが感知して入力感が得られる(図11参照)。また、入力感発生機構10は、保護パネルAの角部、辺部等の加飾部7bに対応する周縁部の随意の場所に配置することができ、配置数は1個以上である。なお、この場合には第1乃至第3実施形態と異なり、実際の入力の有無と入力感が完全には一致しない。
【0091】
〔別実施形態〕
【0092】
(1) 保護パネルAに備えるスイッチ12の数量は種々の変更が可能である。例えば、保護パネルAに、単一のスイッチ12からなる列を備えるようにしてもよく、また、2つあるいは4つ以上のスイッチ12からなる列を備えるようにしてもよい。そして、複数のスイッチ12が複数の前記接点5Gにて構成される場合は、当該接点5G間にはそれぞれ抵抗体5Hを備えるようにする。
【0093】
なお、単一のスイッチ12を備えた保護パネルAにおいては、第1および第2実施形態と異なり、いずれのスイッチ12がタッチ操作されているのかを特定するわけではない。つまり、この場合は、表面側基板6の端子6D間に電圧を印可することによって得られた裏面側基板5の端子5Dから出力される電圧の大きさから、スイッチ12のON/OFFを認識するだけとなる。
【0094】
(2)また、保護パネルAが備えるスイッチ12の配置は下記の変更が可能である。例えば、保護パネルAの上下両縁に沿うようにスイッチ12を形成するようにしてもよい。つまり、前記透明抵抗膜6Aが前記透明抵抗膜5Aとの対向領域6Aaを挟むように前記拡大領域6Abを二箇所有し、いずれの前記拡大領域6Abについても、対向する前記接点5Gあるいは短冊状透明抵抗膜5Jを備えた構成とする。また、保護パネルAの上縁のみにスイッチ12を形成するようにしてもよい。
【0095】
また、保護パネルAの上下の一側縁に複数列のスイッチ12を備えるようにしてもよい。つまり、前記接点5Gを含む前記透明抵抗膜5Aと並列な回路部分が、二列以上である構成とする。
【0096】
なお、スイッチ12を2列以上備えた保護パネルAにおいては、いずれかのスイッチ12がタッチ操作されている場合には、第1および第2実施形態と異なり、裏面側基板5の端子5D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作位置のX座標と、表面側基板6の端子6D間に電圧を印可することにより得られたタッチ操作位置のY座標とから、タッチ操作されたスイッチ12を特定することになる。
【0097】
(3)また、前記した第1乃至第3実施形態において、前記裏面側基板5の表面の回路構成と前記表面側基板6の裏面の回路構成とを入れ替えてもよい。
【0098】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は、携帯電話機、スマートフォン、PDA、カーナビゲーション装置、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯遊技機、およびタブレット、などの電子機器等の用途に用いることができ、産業上有用なものである。
【符号の説明】
【0100】
1 携帯電話機
2 筐体
2A 表側筐体部
2Aa 表示窓
2B 裏側筐体部
3 表示装置
3A 表示部
4 入力キー
5 裏面側基板
5a 貫通孔
5b 貫通孔
5c 開口
5A 透明抵抗膜
5B バスバー
5C 引き回し回路
5Ca 回路部分
5D 端子
5E 接着層
5Ea 開口
5F 引き回し回路
5G 接点
5J 透明抵抗膜
5K 端子
6 表面側基板
6c 開口
6A 透明抵抗膜
6Aa 対向領域
6Ab 拡大領域
6B バスバー
6C 引き回し回路
6D 端子
6E 周縁部
6F 引き回し回路
6G 接点
6K 端子
8 スペーサ
9 入力感発生機構
9A 樹脂製ドーム
9B 貫通穴
9C 導電体
10 入力感発生機構
12 スイッチ
A 保護パネル
Aa アナログ座標入力部
B 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の透明抵抗膜、この第1の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第1の端子、が表面側に形成された裏面側基板と、
第2の透明抵抗膜、この第2の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第2の端子、が裏面側に形成され、かつ、表面側の周縁部に加飾が施された表面側基板とを備え、
前記裏面側基板と前記表面側基板とを、前記第1及び第2の透明抵抗膜が空気層により所定間隔を隔てて対向するように、かつ、いずれか一方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のX軸方向の対辺に位置し、他方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のY軸方向の対辺に位置するように接着することにより、前記表面側基板に対するタッチ操作に基づいて、操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知するアナログ座標入力部を構成してあるタッチ入力機能を備えた保護パネルであって、
さらに、前記加飾に対応する周縁部に、ドーム状の入力感発生機構を介して間接的接触の有無を検出するスイッチを備えた、ことを特徴とする入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項2】
前記表面側基板において、一対の前記バスバーの間隔を広げることにより、前記第2の透明抵抗膜が前記第1の透明抵抗膜との対向領域に隣接する拡大領域を前記加飾が施された部分に有し、
前記裏面側基板において、前記第1の透明抵抗膜と並列になるように引き回し回路を介して前記一対の第1の端子に接続され、前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された接点と、この接点と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記接点と前記入力感発生機構と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域とにより、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、前記接点と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、請求項1記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項3】
前記表面側基板において、一対の前記バスバーの間隔を広げることにより、前記第2の透明抵抗膜が前記第1の透明抵抗膜との対向領域に隣接する拡大領域を前記加飾が施された部分に有し、
前記裏面側基板において、前記第1の透明抵抗膜と並列になるように前記一対の第1の端子に接続され、前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された短冊状の第3の透明抵抗膜と、この第3の透明抵抗膜の対辺に位置しかつ前記バスバーに平行な一対のバスバーと、前記第3の透明抵抗膜と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記短冊状の第3の透明抵抗膜と前記入力感発生機構と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域とにより、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、前記短冊状の第3の透明抵抗膜と前記第2の透明抵抗膜の前記拡大領域の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、請求項1記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項4】
前記表面側基板において、電位差を有するように前記第2の透明抵抗膜に引き回し回路を介して直列に接続される接点を備え、
前記裏面側基板において、電位差を有するように前記第1の透明抵抗膜に引き回し回路を介して直列に接続され、前記表面側基板の前記接点前記と空気層により所定間隔を隔てて対向するように配置された接点と、この接点と前記表面側基板の前記接点との間に介在するドーム状の入力感発生機構とを備え、
前記裏面側基板および前記表面側基板の前記接点により、前記裏面側基板および前記表面側基板の一方について前記端子間に電圧を印可した際に、他方の前記端子により検出される電圧に基づいて、それらの前記接点の間接的接触の有無を検出するスイッチを構成してある、請求項1記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項5】
前記入力感発生機構が、金属製ドームである請求項1〜4のいずれかに記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項6】
前記入力感発生機構が、樹脂製ドームに貫通穴が設けられ、ドーム表裏面を導電体で接続したものである請求項1〜4のいずれかに記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項7】
前記裏面側基板の表面の回路構成と前記表面側基板の裏面の回路構成とを入れ替えたものである請求項1〜6のいずれかに記載の入力感が得られる入力機能付き保護パネル。
【請求項8】
第1の透明抵抗膜、この第1の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第1の端子、が表面側に形成された裏面側基板と、
第2の透明抵抗膜、この第2の透明抵抗膜の対辺に位置する一対のバスバー、前記バスバーから引き回し回路を介して接続される一対の第2の端子、が裏面側に形成され、かつ、表面側の周縁部に加飾が施された表面側基板とを備え、
前記裏面側基板と前記表面側基板とを、前記第1及び第2の透明抵抗膜が空気層により所定間隔を隔てて対向するように、かつ、いずれか一方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のX軸方向の対辺に位置し、他方の一対の前記バスバーが前記透明抵抗膜のY軸方向の対辺に位置するように接着することにより、前記表面側基板に対するタッチ操作に基づいて、操作位置となるX−Y座標を電位勾配により検知するアナログ座標入力部を構成してあるタッチ入力機能を備えた保護パネルであって、
さらに、前記裏面側基板において、裏面側の前記加飾に対応する周縁部に配置されたドーム状の入力感発生機構を備えた、ことを特徴とする入力感が得られる入力機能付き保護パネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−34282(P2011−34282A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−179090(P2009−179090)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】