説明

入力装置、及び、該入力装置を備えた電子機器

【課題】操作性を高めつつ、操作部分の外径寸法を大きくし、しかもガイド部分での専有面積を小さくする。
【解決手段】ベース2と、ベース2上に回転操作可能に配置され、中心に開口部16を有する第1操作部材3と、第1操作部材3の開口部16に押込操作可能に配置される第2操作部材4と、ベース2上に配置され、第1操作部材3の回転を検出する第1検出部33、及び、第2操作部材4の押込を検出する第2検出部31を有する検出部材5と、ベース2上に配置され、第1操作部材3を回転操作可能に保持する第1保持部44、及び、第2操作部材4を押込可能に保持する第2保持部34を有する中間部材6とを備えた構成とする。第2操作部材4は、第1操作部材3の開口部16に位置する操作部26、及び、操作部26の露出表面積よりも小さな横断面積を有する軸部27を備える。中間部材6の第2保持部34は、第2操作部材4の軸部27を軸方向にガイドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置、及び、該入力装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入力装置として、回転操作用の操作体と、操作体の下面に、回転中心を合わせて同心に取り付けられ、複数極に着磁されたリング状磁石と、操作体を回転自在に支持する基台と、操作体の回転操作に伴うリング状磁石の回転を非接触で検出する検出素子と、リング状磁石に対向するよう基台に取り付けられ、リング状磁石との間で吸引反発力を発生して操作感触を発生させる磁性体と、操作体の円形中央孔内に配置され、押込操作可能な操作ボタンと、を備えた構成のものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の入力装置として、円盤型操作ダイアルを回動することにより、環状マグネットの磁束の変化をホール素子で検出して回動方向を特定する一方、円盤型操作ダイアルを押圧することにより、操作板を介して押しボタンスイッチを操作するようにしたものが公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−281972号公報
【特許文献2】特開2006−285743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の入力装置では、操作ボタンからさらに外径側に突出した鍔部の外周面が基台の内筒部にガイドされるように構成されている。このため、あまり操作ボタンの外径寸法を大きくすると、押込操作する際に傾きやすくなり、安定した動作が得られないという問題がある。
【0006】
一方、後者の入力装置では、押しボタンスイッチを構成する外周面(さらに外径側に突出した環状リブの外周面を含む)をガイドするようにしている。このため、押しボタンスイッチの操作面積を大きく取ろうとすれば、プリント基板に対する押しボタンスイッチの占有面積を大きくしなければならなくなり、他の電子部品(検出部)を実装可能な領域が制約を受けるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、操作性を高めつつ、操作部分の外径寸法を大きくし、しかもガイド部分での専有面積を小さくすることのできる入力装置、及び、該入力装置を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
入力装置を、
ベースと、
前記ベース上に回転操作可能に配置され、中心に開口部を有する第1操作部材と、
前記第1操作部材の開口部に押込操作可能に配置される第2操作部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材の回転を検出する第1検出部、及び、第2操作部材の押込を検出する第2検出部を有する検出部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材を回転操作可能に保持する第1保持部、及び、第2操作部材を押込可能に保持する第2保持部を有する中間部材と、を備え、
前記第2操作部材は、第1操作部材の開口部に位置する操作部、及び、該操作部の露出表面積よりも小さな横断面積を有する軸部を備え、
前記中間部材の第2保持部は、第2操作部材の軸部を軸方向にガイドするようにしたものである。
【0009】
この構成により、第2操作部材の操作部を大きくしても、第2保持部で軸部をガイドするようにしているので、ガイド寸法を大きく取ることができ、操作部のいずれの箇所を押し込んだとしても安定して動作させることが可能となる。また、第1操作部材及び第2操作部材を、同一部品である中間部材によって支持するように構成しているので、両者の位置関係を正確に設定することができる。したがって、第1操作部材の回転操作と、第2操作部材の押込操作とをそれぞれ適切に行わせることが可能となる。
【0010】
前記ベースに、検出部材と中間部材を固定するのが好ましい。
【0011】
この構成により、第1操作部材及び第2操作部材の操作を、中間部材を介してベースを基準として行うことができる。しかも、ベースに固定した検出部材によってその動作状態を検出することができる。したがって、第1操作部材及び第2操作部材の動作を正確に把握することが可能となる。
【0012】
前記第1操作部材は、前記ベース上に回転操作可能のみならず、押込操作可能に配置され、
前記検出部材は、前記第1操作部材の押込操作を検出する第3検出部をさらに備え、
前記中間部材は、前記第1操作部材の押込操作により弾性変形して前記第3検出部によって検出される被検出部をさらに備えるのが好ましい。
【0013】
この構成により、第1操作部材の押込操作に基づいて、被検出部を弾性変形させて間接的に押込操作を第3検出部で検出できるようにしているので、被検出部の形状を変更する等により所望の操作感触を得ることが可能となる。
【0014】
前記第1操作部材の開口部は、開口端部から延びる筒状の外側内周壁と、該外側内周壁から内側に延在する底面部と、該底面部から延在し、前記外側内周壁と略平行に形成される内側内周壁と、を備え、該内側内周壁は、前記中間部材の第1保持部に回転可能に支持され、
前記第2操作部材の操作部と前記内側内周壁の間に挟持される弾性シートを、さらに備えるのが好ましい。
【0015】
この構成により、第1操作部材は、内側内周壁を中間部材に回転可能に支持されるだけでなく、内側内周壁と第2操作部材との間に弾性シートを挟持して、液体等の異物が内部に侵入することを防止することができる。
【0016】
前記第1操作部材の開口部を構成する外側内周壁、底面部及び内側内周壁によって形成される環状溝により、外部から侵入する異物を貯留する貯留部を構成するのが好ましい。
【0017】
この構成により、より一層、外部からの異物の侵入を効果的に防止することが可能となる。
【0018】
前記第2操作部材は、軸部の外周面に係止突部を形成され、
前記中間部材は、前記軸部を軸方向に往復移動及び回転可能にガイドする円形孔と、該円形孔を構成する内周面に形成され、前記係止突部が挿通する溝部と、前記係止突部が溝部を通過した後、該溝部とは異なる位置で前記係止突部をガイドするガイド凹部と、を備え、
前記弾性シートは、前記第2操作部材の係止突部がガイド凹部から脱落するのを阻止するように付勢するのが好ましい。
【0019】
この構成により、内部への異物の侵入を防止する弾性シートにより、第2操作部材の脱落防止構造をも提供することが可能となる。
【0020】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、電子機器を、前記いずれかの構成の入力装置を備えた構成としたものである。
【0021】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
電子機器を、
ベースと、
前記ベース上に回転操作可能に配置され、中心に開口部を有する第1操作部材と、
前記第1操作部材の開口部に押込操作可能に配置される第2操作部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材の回転を検出する第1検出部、及び、第2操作部材の押込を検出する第2検出部を有する検出部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材を回転操作可能に保持する第1保持部、及び、第2操作部材を押込可能に保持する第2保持部を有する中間部材と、を備えた構成とし、
前記第2操作部材は、第1操作部材の開口部に位置する操作部、及び、該操作部よりも断面積の小さな軸部を有し、
前記中間部材の第2保持部は、第2操作部材の軸部を、軸方向にガイドするようにしたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第2操作部材を軸部でガイドするようにしたので、操作部を大きくすることができ、所望の外観が得られると共に操作しやすくなるだけでなく、第2操作部材の動作をスムーズなものとすることが可能となる。また、軸部の横断面積は、操作部の露出表面積よりも小さいので、占有面積を抑えて、第1検出部の配置スペースを十分に確保することができる。また、第1操作部材及び第2操作部材は同一部品である中間部材に支持されるので、両操作部材の位置関係を高精度なものとすることができ、隙間を抑えつつ、所望の操作性を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0024】
(構成)
図1及び図2は、本実施形態に係る入力装置1を示す。この入力装置1は、図3及び図4に示すように、ベースであるプリント基板2と、第1操作部材である回転ダイアル3と、第2操作部材である押ボタン4と、プリント基板2に実装された検出部材5と、プリント基板2に装着される中間部材6とを備える。
【0025】
プリント基板2(例えば、ガラスエポキシ基板(FR4))は、平面視略円形状の検出部7と、この検出部7の両側縁部からそれぞれ延びるリード部8とからなる。プリント基板2の上面には、プリント配線が形成され、又、後述する検出部材5が実装されている。但し、プリント基板2とは別にベースを設けることも可能である(この場合、プリント基板2が検出部材5となる。)。
【0026】
検出部7には、外周側の4箇所に取付孔9が周方向に等ピッチでそれぞれ形成され、外周側の2箇所の対称位置に第1位置決め孔10がそれぞれ形成されている。また、検出部7の上面には被覆シート11が貼着されるようになっている。被覆シート11は、プリント基板2の上面(リード部8を除く円形部分:検出部7)を覆う平面視略円形状に形成されている。そして、被覆シート11には、プリント基板2の取付孔9に対応する位置4箇所に逃がし孔12が、第1位置決め孔10に対応する位置2箇所に第2位置決め孔13がそれぞれ形成されている。逃がし孔12のうちの2箇所は、内周側に広げられ、後述するホール素子33との干渉が回避されている。また、被覆シート11には、後述する接点部に対応する位置に、ドーム状に膨出する金属製薄板(ゴム等でもよい)からなる反転バネ14(図4参照)が一体化され、接点部をオン・オフするスイッチ部を構成している。反転バネ14によって形成された中央部の窪みからは2箇所に空気逃がし溝15が形成されている。また、周囲4箇所の窪みは、2箇所ずつ空気逃がし溝15によって連通されている。
【0027】
回転ダイアル3は、合成樹脂材料を成形加工することにより略円筒状としたものである。
【0028】
回転ダイアル3の中心には開口部16が形成されている。開口部16は、図5に示すように、開口縁部から下方に向かう外側内周壁17と、この外側内周壁17の下端から内径側に延びるドーナツ状の底面部18と、この底面部18の内周縁から上下に延びる内側内周壁19とで構成されている。内側内周壁19は、上方から下方に向かうに従って徐々に内径寸法が小さくなるように形成されている。そして、内側内周壁19の下端部が後述する中間部材6の小径部44に回転可能に支持されるようになっている。なお、外側内周壁17、底面部18及び内側内周壁19で囲まれた環状溝は内側貯留部20である。内側貯留部20は、外部から流入した液体等がそれ以上内部に侵入することを防止する。また、回転ダイアル3の外周壁3aは、下端開口縁部が外周面に沿うように延設され、環状溝が形成されている。この環状溝が外側貯留部21であり、入力装置1を電子機器に組み込んだ際に、電子機器内への液体等の侵入を防止するように機能する。
【0029】
回転ダイアル3の上面には、周方向に所定ピッチで大小1箇所ずつ複数の突起3bがそれぞれ形成されている。これら突起3bは、回転ダイアル3を指操作で回転操作させる際の抵抗として作用し、スムーズな回転動作を実現する。
【0030】
回転ダイアル3の外周壁3aと外側内周壁17との間には、図4に示すように、両壁面の中間に位置する環状リブ22と、周方向に等ピッチで配置される複数の放射状リブ23とが形成されている。これらリブにより、樹脂量を抑制し、成形後のヒケ等の不具合を防止すると共に、所望の強度が得られるようになっている。放射状リブ23の内周側には段部23aが形成され、そこには両面テープ24を介して環状マグネット25が貼着されるようになっている。環状マグネット25は、N極とS極が環状に交互に出現するようにしたもので、ここでは16極のもの(N極が8箇所に出現し、S極が8箇所に出現する8個の磁石を環状に一体化したもの)が使用されている。
【0031】
押ボタン4は、図3に示すように、操作部26と軸部27とで構成されている。操作部26は、円盤状で、回転ダイアル3の開口部16に配置される。操作部26の下面には段部26aが形成されている。段部26aは、その下面で弾性シート28を回転ダイアル3の内側内周壁19の上端部との間に挟持する。軸部27の下端面中央部には押圧突部29が形成され、後述する第1スイッチ部31を押込可能となっている。また、軸部27の下端側外周面には対称な位置2箇所に係止突部30がそれぞれ形成されている。なお、弾性シート28はポリエチレン等の柔軟性を有する材料からなり、そこには押ボタン4の軸部27と係止突部30が挿通可能な開口部28aが形成されている。
【0032】
検出部材5は、前記プリント基板2に実装される第1スイッチ部31、第2スイッチ部32、及び、ホール素子33からなる。第1スイッチ部31は、プリント基板2の中央部に設けられる第1接点部34と、この第1接点部34を覆う被覆シート11、詳しくはドーム状の反転バネ14を一体化した部分とで構成されている。第2スイッチ部32は、プリント基板2の外周側4箇所に設けられる第2接点部35と、各第2接点部35を覆う反転バネ14とで構成されている。ホール素子33は、第1スイッチ部31を挟んで対称な位置にそれぞれ配置されている。
【0033】
中間部材6は、図8に示すように、合成樹脂材料を成形加工したもので、円盤部36と、その上面中央部から突出する円筒部37とで構成されている。
【0034】
円盤部36には4箇所等分で円筒部37から延びる弾性腕部38がそれぞれ形成されている。各弾性腕部38の先端には上下に突出する突起39a、39bがそれぞれ形成されている。上方側の突起39aが回転ダイアル3のリブに当接して押し込まれ、下方側の突起39bが第2スイッチ部32を押し込む。
【0035】
また、円盤部36には弾性腕部38とは45度ずれた位置4箇所に等分で、上方側に支持用突部40が、下方側に係止部41がそれぞれ突出している。支持用突部40は、前記弾性腕部38の上方側の突起39aに比べて円盤部36の上面からの突出寸法が若干小さく、回転ダイアル3を押し込む際の押し込み過ぎを防止するストッパとしての役割を果たす。係止部41は、二股に分かれた各弾性片41aの先端外面に係止爪41bをそれぞれ形成されている。係止部41は、各弾性片41aを近接させるように弾性変形させてプリント基板2に形成した取付孔9に挿通され、係止爪41bが通過することにより形状復帰して係止される。これにより、中間部材6はプリント基板2に一体化される。但し、係止部41に代えてカシメ固定可能な構成とすることも可能である。係止部41が突出する部分を含む所定領域には矩形凹部42が形成されている。矩形凹部42は、プリント基板2に実装したホール素子33との干渉を回避する。中間部材6とプリント基板2の間には、プリント基板2の上面に貼着した被覆シート11が介在し、その弾性により両部材間のがたつきが防止される。
【0036】
円筒部37は、大径部43と、その上面中央部から突出する小径部44とからなる段付き形状である。小径部44は、回転ダイアル3の開口部16(内側内周壁19)に配置され、回転ダイアル3を回転自在に支持する。詳しくは、回転ダイアル3の内側内周壁19の内周面のうち、下端部が支持され、その上方部分は非接触である。したがって、回転ダイアル3を位置ずれすることなく回転可能に支持しつつ、上面外周部のいずれかを押し込めば、回転ダイアル3が傾いて押し込み操作可能となる。なお、例えば、小径部44を上端に向かうに従って徐々に外径寸法が小さくなるように構成し、内側内周壁19を同一内径寸法で構成することも可能である。要は、回転ダイアル3を回転かつ外周部を押し込み可能に支持可能であればよい。また、大径部43の上面には回転ダイアル3の内側内周壁19の下端部が非接触となるように構成されている。これにより、回転ダイアル3を回転操作した際の操作性が高められている。
【0037】
また、円筒部37は、その中心に形成された円形孔45によって上下面が連通し、押ボタン4の軸部27が隙間無く挿通するガイド部となっている。円形孔45を構成する内周面の2箇所には、押ボタン4の各係止突部30が挿通する溝部46がそれぞれ形成されている。円筒部37の底面側には、小径部44の下端開口縁に沿って一端側の溝部46から所定角度の範囲で凹所47が形成されている。凹所47の他端側にはガイド凹部48が形成され、押ボタン4の各係止突部30が上下動可能にガイドされるようになっている。ガイド凹部48の凹所47からの深さは、押ボタン4の押込動作範囲をカバーするのに十分な深さである。
【0038】
(組立方法)
続いて、前記構成の入力装置1の組立方法について説明する。
【0039】
まず、予め検出部材5を実装したプリント基板2を図示しない治具に取り付け、プリント基板2の上面に被覆シート11を貼着する。このとき、治具に固定した位置決めピンを、プリント基板2の第1位置決め孔10と、被覆シート11の第2位置決め孔13とに挿通し、治具に対してプリント基板2と被覆シート11とを位置決めする。
【0040】
一方、回転ダイアル3の下面側、詳しくは、放射状リブ23に形成された段部23aに両面テープ24を介して環状マグネット25を貼着する。そして、環状マグネット25を貼着した回転ダイアル3を中間部材6の上方に配置する。これにより、回転ダイアル3の開口部16(内側内周壁19)が中間部材6の小径部44によって回転可能に支持される。
【0041】
次いで、回転ダイアル3の開口部16を介して中間部材6に押ボタン4を装着し、回転ダイアル3と中間部材6とを、前述の回転可能な状態に維持したままで一体化する。すなわち、押ボタン4の軸部27には予め弾性シート28を取り付けておく。押ボタン4の軸部27を、回転ダイアル3を回転可能に支持させた中間部材6の円形孔45に挿通する。このとき、押ボタン4の係止突部30を円形孔45の溝部46に位置合わせする。中間部材6に対して押ボタン4を押し込み、係止突部30を中間部材6の下面側に突出させる。中間部材6に対して相対的に押ボタン4を回転させ、係止突部30を、凹所47を介してガイド凹部48へと移動させる。押ボタン4には、その操作部26の下面と、回転ダイアル3の内側内周壁19との間に挟持させた弾性シート28による付勢力が作用している。したがって、押ボタン4は、その係止突部30が凹所47からガイド凹部48に至ると、このガイド凹部48の底面に当接するまで押し上げられる。この状態では、押ボタン4は、その軸部27の外周面を中間部材6の円形孔45の内周面によって、軸方向の広い範囲でガイドされる。
【0042】
その後、被覆シート11を貼着したプリント基板2に、環状マグネット25及び回転ダイアル3を取り付けた中間部材6を装着する。ここでは、中間部材6の係止部41をプリント基板2の取付孔9に挿通し、係止爪を係止することにより装着状態を得ている。この状態では、プリント基板2に貼着した被覆シート11の弾性力により、プリント基板2と中間部材6の間にがたつきが発生することはない。また、プリント基板2及び被覆シート11によって得られた第1スイッチ部31に押ボタン4の押圧突部29の下端が当接(又は近傍に位置)し、第2スイッチ部32に弾性腕部38の下方側の突起39bの下端が当接(又は近傍に位置)する。弾性腕部38の上方側の突起39aは回転ダイアル3のリブに当接(又は近傍に位置)する。また、支持用突部40がリブに当接し、回転ダイアル3の回転状態を安定させる。これにより、入力装置1が完成する。
【0043】
(動作)
次に、前記入力装置1の動作について説明する。
【0044】
回転ダイアル3の環状の上面に指を載せ、回転方向(正逆いずれの回転でも可)の力を作用させると、回転ダイアル3は、内側内周壁19の下端部を中間部材6の小径部44にガイドされて回転する。また、回転ダイアル3は、下面すなわちリブを中間部材6の支持用突部40によってガイドされる。このため、回転ダイアル3の回転状態は安定している。また、回転ダイアル3の回転により、この回転ダイアル3に一体化した環状マグネット25も回転する。そして、環状マグネット25の回転に伴って変化する磁界がホール素子33によって検出され、回転ダイアル3の回転方向及び回転量が演算される。
【0045】
回転ダイアル3の外周部のうち、図2中、上下左右のいずれかを押し込めば、対応する位置に設けた弾性腕部38が、その先端の上方側の突起39aを介して弾性変形し、下方側の突起39bが第2スイッチ部32を押し込んでオン状態とする。
【0046】
また、押ボタン4を押込操作すると、その下端に設けた押圧突部29が第1スイッチ部31を押し込んでオン状態とする。押ボタン4の押込操作では、操作部26の操作面積が大きく操作しやすいだけでなく、軸部27の外周面を中間部材6のガイド部である円形孔45の内周面にガイドされて傾くことなく安定した状態で上下動する。
【0047】
前記入力装置1は、例えば、テレビやDVDプレーヤ等のリモコン、デジタルカメラ、携帯電話等の各種電子機器に組み込んで使用することができる。
【0048】
例えば、テレビのリモコンに組み込んだ場合、回転ダイアル3を正逆回転操作することにより、ディスプレイに表示させた番組表で、ハイライト表示させる番組を、予め決められた順序又は逆順序で変更することができる。また、回転ダイアル3の上下左右のいずれかを押込操作することによっても、番組表でハイライト表示させる番組を上下左右に移動させることができる。そして、押ボタン4を押込操作することにより、ハイライト表示させた番組を選択してディスプレイに表示させたり、ハードディスクビデオレコーダ等が接続されていれば、予約録画できるように設定したりすることが可能である。
【0049】
なお、電子機器では、使用環境により、コーヒー等の液体がかかる恐れがあり、この液体が構成部品の隙間から内部に侵入すると、誤動作や、場合によっては故障の原因となる。このため、この侵入を的確に防止しなければならない。また、同様の理由で、空気中の埃等の内部への侵入を防止する必要もある。特に、入力装置1は、電子機器の筐体に組み付けて外部に露出させる必要があるので、入力装置1と筐体の間に、隙間が形成されることは避けられない。また、入力装置1を構成する回転ダイアル3と押ボタン4の間にも、構造上隙間が形成されてしまう。
【0050】
前記入力装置1によれば、入力装置1の回転ダイアル3には外側貯留部21が形成され、外周壁3aの上端が筐体の内面に圧接するように構成されている。したがって、筐体と入力装置1の隙間から液体等が侵入したとしても、そこには外側貯留部21が形成され、しかも、外周壁3aの上端が筐体の内面に圧接しているので、内部空間に至って不具合を発生させることがない。また、入力装置1の回転ダイアル3と押ボタン4の間の隙間から液体等が侵入したとしても、そこには内側貯留部20が形成され、しかも、内側内周壁19の上端と押ボタン4の操作部26の下面の間には弾性シート28が挟持されているので、内部に至ることはない。
【0051】
(他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載の構成に限定されることなく種々の変更が可能である。
【0052】
前記中間部材6に形成した弾性腕部38は、4箇所としたが、2又は3箇所、あるいは、5箇所以上としてもよい。また、その形態は、内径側から外径側に放射状に延びる片持ち梁構造に限らず、外径側から内径側に延びる片持ち梁構造や周方向に延びる片持ち梁構造、あるいは、これらの組み合わせにより構成することも可能である。また、スイッチ部は4箇所としたが、2又は3箇所、あるいは、5箇所以上としてもよい。この場合、中間部材6に形成した支持用突部40を除去し、係止部41を外周縁に設けることにより、プリント基板2の外縁に係止するように構成すれば、弾性腕部38を形成可能な領域の制約が少なくなり、形状、数量等を自由に設定することが可能となる。
【0053】
前記回転ダイアル3は、内側内周壁19の内周面を中間部材3の小径部44で正逆回転可能に支持するようにしたが、図9に示すように、内側内周壁19をさらに内周側に延設し、その内周面を押ボタン4の軸部27の外周面で支持するように構成してもよい。
【0054】
前記回転ダイアル3は、単に回転可能に支持するだけの構造としたが、所定角度ずつ回転させることによりクリック感を持たせるように構成してもよい。例えば、プリント基板2側に前記環状マグネット25と同様な環状マグネットを対向して配置し、異極が対向することにより位置決めされるように構成したり、回転ダイアル3に中間部材6の上方側の突起39aが係脱する係合凹部を形成するように構成したりすればよい。
【0055】
前記プリント基板2及びそこに貼着する被覆シート11は、入力装置1の構成部品の1つとしたが、入力装置1を組み込む電子機器の一部で構成することも可能である。
【0056】
前記回転ダイアル3には環状マグネット25を一体的に設けるようにしたが、周方向の複数箇所に所定ピッチでマグネットを設けるようにしてもよいし、他の部品、例えば、ロータリエンコーダやポテンショメータ等を使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態に係る入力装置の斜視図である。
【図2】図1の入力装置の平面図である。
【図3】図1の入力装置を上方から見た状態を示す斜視図である。
【図4】図1の入力装置を下方から見た状態を示す斜視図である。
【図5】図2のA−A線断面図である。
【図6】図2のB−B線断面図である。
【図7】図2のC−C線断面図である。
【図8】(a)は図3に示す中間部材の平面図、(b)はその正面図、(c)はその底面図である。
【図9】他の実施形態に係る入力装置のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1…入力装置
2…プリント基板(ベース)
3…回転ダイアル(第1操作部材)
3a…外周壁
3b…突起
4…押ボタン(第2操作部材)
5…検出部材
6…中間部材
7…検出部
8…リード部
9…取付孔
10…第1位置決め孔
11…被覆シート
12…逃がし孔
13…第2位置決め孔
14…反転バネ
15…空気逃がし溝
16…開口部
17…外側内周壁
18…底面部
19…内側内周壁
20…内側貯留部
21…外側貯留部
22…環状リブ
23…放射状リブ
23a…段部
24…両面テープ
25…環状マグネット
26…操作部
26a…段部
27…軸部
28…弾性シート
28a…開口部
29…押圧突部
30…係止突部
31…第1スイッチ部(第2検出部)
32…第2スイッチ部(第3検出部)
33…ホール素子(第1検出部)
34…第1接点部
35…第2接点部
36…円盤部
37…円筒部
38…弾性腕部
39a…突起
39b…突起(被検出部)
40…支持用突部
41…係止部
41a…弾性片
41b…係止爪
42…矩形凹部
43…大径部
44…小径部(第1保持部)
45…円形孔(第2保持部)
46…溝部
47…凹所
48…ガイド凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベース上に回転操作可能に配置され、中心に開口部を有する第1操作部材と、
前記第1操作部材の開口部に押込操作可能に配置される第2操作部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材の回転を検出する第1検出部、及び、第2操作部材の押込を検出する第2検出部を有する検出部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材を回転操作可能に保持する第1保持部、及び、第2操作部材を押込可能に保持する第2保持部を有する中間部材と、を備え、
前記第2操作部材は、第1操作部材の開口部に位置する操作部、及び、該操作部の露出表面積よりも小さな横断面積を有する軸部を備え、
前記中間部材の第2保持部は、第2操作部材の軸部を軸方向にガイドすることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記ベースに、検出部材と中間部材を固定したことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1操作部材は、前記ベース上に回転操作可能のみならず、押込操作可能に配置され、
前記検出部材は、前記第1操作部材の押込操作を検出する第3検出部をさらに備え、
前記中間部材は、前記第1操作部材の押込操作により弾性変形して前記第3検出部によって検出される被検出部をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1操作部材の開口部は、開口端部から延びる筒状の外側内周壁と、該外側内周壁から内側に延在する底面部と、該底面部から延在し、前記外側内周壁と略平行に形成される内側内周壁と、を備え、該内側内周壁は、前記中間部材の第1保持部に回転可能に支持され、
前記第2操作部材の操作部と前記内側内周壁の間に挟持される弾性シートを、さらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第1操作部材の開口部を構成する外側内周壁、底面部及び内側内周壁によって形成される環状溝により、外部から侵入する異物を貯留する貯留部を構成したことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第2操作部材は、軸部の外周面に係止突部を形成され、
前記中間部材は、前記軸部を軸方向に往復移動及び回転可能にガイドする円形孔と、該円形孔を構成する内周面に形成され、前記係止突部が挿通する溝部と、前記係止突部が溝部を通過した後、該溝部とは異なる位置で前記係止突部をガイドするガイド凹部と、を備え、
前記弾性シートは、前記第2操作部材の係止突部がガイド凹部から脱落するのを阻止するように付勢することを特徴とする請求項4又は5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記請求項1から6のいずれか1項に記載の入力装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
ベースと、
前記ベース上に回転操作可能に配置され、中心に開口部を有する第1操作部材と、
前記第1操作部材の開口部に押込操作可能に配置される第2操作部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材の回転を検出する第1検出部、及び、第2操作部材の押込を検出する第2検出部を有する検出部材と、
前記ベース上に配置され、第1操作部材を回転操作可能に保持する第1保持部、及び、第2操作部材を押込可能に保持する第2保持部を有する中間部材と、を備え、
前記第2操作部材は、第1操作部材の開口部に位置する操作部、及び、該操作部よりも断面積の小さな軸部を有し、
前記中間部材の第2保持部は、第2操作部材の軸部を、軸方向にガイドすることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−283311(P2009−283311A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−134558(P2008−134558)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】