説明

入力装置、及びそれを備えた表示装置

【課題】静電容量方式のタッチセンサを表示装置に近接して設置した場合にも、精度劣化無く検出可能とする技術を提供する。
【解決手段】検出回路に電荷蓄積容量を設け、電源から供給される電荷を蓄える。電荷蓄積容量からタッチセンサの電極に移動する電荷量により、指接触による容量変化を検出する。スイッチ2により、タッチセンサの電極に移動した電荷を適宜放電する。電荷蓄積容量の基準電位を、スイッチを3介してノイズ発生源の電位に接続することで、タッチセンサの電極から電荷蓄積容量に侵入するノイズをキャンセルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量方式のタッチセンサと表示装置とを組み合わせて構成される画面入力型画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面にセンサ機能を設け、指やスタイラスペンなどによるタッチ操作で情報を入力する、画面入力機能をもつ画像表示装置は、PDAや携帯端末などのモバイル用電子機器、各種の家電製品、無人受付機等の据置型顧客案内端末に用いられている。このような画面入力機能を備えた画像表示装置に用いられるセンシング方式として、タッチされた部分の抵抗値変化、あるいは静電容量変化を検出する方式、タッチにより遮蔽された部分の光量変化を検出する方式、などが知られている。これらの中で、静電容量変化を検出する方式は、表示している画像の見え方に対する影響が少なく、且つ耐久性に優れるなどの点から特に利用が進んでいる。
【0003】
特許文献1に、静電容量変化を検出する方式が開示されている。本方式は、電荷転送方式と呼ばれる方式である。人の指などがセンサに接触すると、センサ内部に設けられている電極との間に静電容量が形成される。検出手段は電流源、電荷蓄積容量、及び電荷検出手段を設け、前記静電容量を充電し、さらにその静電容量に蓄積された電荷を電荷蓄積容量に転送して蓄積し、蓄積量を検出する。センサに指などの接触が無い場合には、上記静電容量が形成されないため電荷蓄積容量へ蓄積される電荷が減少する。この様に、指などの接触の有無を、上記電荷蓄積容量に蓄積された電荷量の大小により判別する方式である。
【0004】
また、特許文献2には、異なる方式による静電容量検出方式が開示されている。本方式は、連続近似容量方式と呼ばれる方式である。人の指などがセンサに接触すると、センサ内部に設けられている電極との間に静電容量が形成される。検出手段は電流源、電荷蓄積容量、及び電荷検出手段を設ける。先ず、前記静電容量の充放電を一定周期で繰り返し、これにより近似的に一定電流を前記電流源と電荷蓄積容量から取り出す。結果、予め一定電位に充電されていた電荷蓄積容量の充電電位が低下し、再度電荷蓄積容量の一定電位までの充電時間が変化する。この時間変化は、前記充放電により取り出される電荷量に依存する。さらに、この充放電により取り出される電荷量は、センサ内の電極と指などが形成する容量値に依存する。従って、前記充電時間の変化を計測することにより、指などのセンサへの接触の有無が判別可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許公報USP6,466,036B1
【特許文献2】米国特許公報USP7,312,616B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、または2に開示されている静電容量検出方法によるセンサを、表示装置、例えば液晶ディスプレイなど、の表示面上に近接して設置した場合、表示装置の動作に起因する放射ノイズなどの影響を受け、測定精度の低下などの不具合が発生するおそれがある。従って、上記使用形態における放射ノイズなどの影響を低減する方式の確立が課題である。このような状況に鑑みて、本発明は、静電容量方式のタッチセンサを表示装置に近接して設置した場合にも、精度劣化無く検出可能とする技術の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明は、静電容量と、静電容量を充電する電源と、静電容量の充電状態に応じて蓄積される電荷量が変化する電荷蓄積容量と、電荷蓄積容量の基準電位を変化させるスイッチとを備える。静電容量の充電状態の計測期間において、電荷蓄積容量の基準電位を変化させる。
【0008】
例えば、検出回路に電荷蓄積容量を設け、電源から供給される電荷を蓄える。電荷蓄積容量からタッチセンサの電極に移動する電荷量により、指接触による容量変化を検出する。スイッチにより、タッチセンサの電極に移動した電荷を適宜放電する。電荷蓄積容量の基準電位を、スイッチを介してノイズ発生源の電位に接続することで、タッチセンサの電極から電荷蓄積容量に侵入するノイズをキャンセルする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、静電容量検出方法によるセンサの測定精度の低下を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】タッチセンサパネルの構造を説明する図
【図2】タッチセンサパネルの形成する静電容量を説明する図
【図3】静電容量検出の一方式を説明する図
【図4】静電容量検出の一方式を説明する図
【図5】タッチセンサパネルと表示装置の関係を説明する図
【図6】タッチセンサパネルと表示装置の関係を説明する図
【図7】静電容量検出誤差の発生過程を説明する図
【図8】静電容量検出誤差の発生過程を説明する図
【図9】本発明の第1の実施例を説明する図
【図10】本発明の第1の実施例を説明する図
【図11】本発明の第2の実施例を説明する図
【図12】静電容量検出の一方式を説明する図
【図13】静電容量検出の一方式を説明する図
【図14】静電容量検出誤差の発生過程を説明する図
【図15】静電容量検出誤差の発生過程を説明する図
【図16】本発明の第3の実施例を説明する図
【図17】本発明の第3の実施例を説明する図
【図18】本発明の第4の実施例を説明する図
【図19】本発明の第5の実施例を説明する図
【図20】本発明の第6の実施例を説明する図
【図21】本発明の第6の実施例を説明する図
【図22】本発明の第7の実施例を説明する図
【図23】本発明の第7の実施例を説明する図
【図24】本発明の第7の実施例を説明する図
【図25】本発明の第8の実施例を説明する図
【図26】本発明の第8の実施例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の最良の実施形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1を構成するタッチセンサパネルの構成例を説明する模式図である。図1(a)は、タッチセンサパネル100の平面構成図である。指などによる接触を検出するため、複数のX座標電極101と複数のY座標電極102が配置されている。X座標電極は、列方向に接続されている。また、Y座標電極は、行方向に接続されている。これら接続された電極群毎に電極端子103、104が設けられ電気的な信号の取出しが可能となっている。
【0013】
図1(b)は、タッチセンサパネル100の断面構造を説明する図である。図1(a)中に示す領域105の対角線分ABに垂直な方向から断面方向から見た図である。ガラス等が素材となる基板上に絶縁体層があり、その絶縁体層の内部に電気的な絶縁を保った状態で各X座標電極、Y座標電極が形成されている。さらに最上部には保護膜が形成されている。
【0014】
図2は、上記タッチセンサパネルに形成される静電容量を説明する図である、図2(a)は、指などの接触がない状態で形成される静電容量の状態を示している。図中のX座標電極201に注目すると、隣接電極間、大地間に静電容量が形成されている。図2(b)は、タッチセンサパネルに指が接触することで形成される静電容量を説明する図である。図中の点線で示した楕円は指を示している。人体は大地に接地していると考えられるので、上記タッチセンサパネルが本来有する各静電容量に加え、指と電極間に新たな静電容量が形成される。タッチセンサパネルはこの静電容量の差を検出している。図2(c)は、静電容量の変化を検出する検出回路方式の一例を示している。図1に示した電極端子に接続し、電気信号の変化からタッチセンサパネルの静電容量状態を計測するものである。図示した回路方式は電荷転送方式と呼ばれる方式である。本実施例では、この電荷転送方式に発明を適用した場合を説明する。
【0015】
図3は、電荷転送方式による静電容量計測の概念を説明する図である。図3(a)は、電荷転送方式の検出回路に静電容量が接続されている状態を示している。図3(b)は、電荷転送方式の動作を示している。図3(a)に示す回路内のスイッチ1とスイッチ2が交互にON、OFFを繰り返す。スイッチ1がON(スイッチ2はOFF)すると図3(a)に示す被検出容量が充電される。その後、スイッチ2がON(スイッチ1はOFF)すると、被測定容量に充電された電荷が図3(a)に示す電荷蓄積容量に転送される。これを繰り返すことにより、図3(b)に示す様に、電荷蓄積容量の電圧値がステップ状に上昇する。図3(a)に示すアンプは、基準電圧(Vref)との比較回路として動作しており、前記電荷蓄積容量の充電電位が基準電位を超えると出力が反転し、電荷蓄積容量の充電電位が基準電位を超えたことを検知可能である。上記スイッチ1とスイッチ2のON、OFF制御に伴う電荷蓄積容量の充電電位の上昇率は、被測定容量の大きさに比例する。従って、上記スイッチ1とスイッチ2のON、OFF制御の開始から、上記電荷蓄積容量の充電電位が基準電位を超えるまでの時間を計測することにより被検出容量の値の大小を知ることが可能である。
【0016】
図4は、上記説明の電荷転送方式による容量検出方式をタッチセンサパネルに適用し、指などによるセンサパネルへの接触を検出する方式を説明する図である。ここでは、上述したタッチセンサパネルが本来有する静電容量を電極容量として示している。図4(a)及び図4(b)は、指が接触している状態を示している。電極と指の間には静電容量が形成されている。この状態で、図4(a)の状態、スイッチ1をON(スイッチ2はOFF)と図4(b)の状態、スイッチ2をON(スイッチ1はOFF)とを繰り返すと、電荷蓄積容量の充電電位は、図4(c)に示す様に急激に上昇する。これは、指の接触により、静電容量が大きくなっているためである。これに対して、図4(d)及び図4(e)は、指が接触していない状態を示している。この状態で、図4(d)の状態、スイッチ1をON(スイッチ2はOFF)と図4(e)の状態、スイッチ2をON(スイッチ1はOFF)とを繰り返すと、電荷蓄積容量の充電電位は、図4(f)に示す様にゆっくりと上昇する。これは、指の接触がないため、静電容量が小さくなっているためである。このように、タッチセンサパネルの静電容量の状態を検出することにより指などの接触が検知される。
【0017】
図5は、上記説明のタッチセンサパネルを有する画面入力型の画像表示システムの構成図である。図5(a)において、表示装置1の表面にタッチセンサパネル3が貼り合わされている。表示装置1は、液晶表示パネル、有機ELパネル、等で特に限定されるものではないが、本実施例では液晶表示パネルを例に説明する。タッチセンサパネル3に対する指等の接触を、上記電荷転送方式の検出回路を含む検出回路4が検出する。この容量変化の検出結果に基づく検出回路4の検出出力CMPはアナログ−デジタル・コンバータ(ADC)5を介してタッチセンサパネル制御回路6に渡され、接触座標(X座標、Y座標)が判定される。判定されたタッチ座標データPOSは画面入力型画像表示装置の全体を制御する主制御回路(システム制御回路、マイコンやCPU等で構成される)7に転送される。主制御回路7は、タッチ座標データPOSからユーザのタッチの発生とその座標を判断し、それに応じた表示信号SIGを表示制御回路2を通して表示装置1に供給し、表示に反映させる。検出回路4やADC5はタッチパネル制御回路6により制御される。図5(b)は、タッチセンサパネルと表示装置(液晶表示パネルを例にする)との関係を詳細に説明する図である。上側がタッチセンサパネルであり、断面構造は、上述したとおりである。本例では、タッチセンサパネルの最下面に透明電極1が形成されている。これは、電磁波を遮蔽するために設けられている。下側は、液晶表示パネルである。液晶表示パネルの構造は多種多様であるが、ここでは一般的な構造を示している。上下2枚のガラス基板の間に液晶層が封入されている。上側ガラス基板の内側には透明電極2がある。これは液晶層に電圧印加する際の基準電位を与える電極である。また、下側のガラス基板の内側には、電極3が形成されている。これは、液晶層に電圧印加する際のスイッチング素子に対し、印加電圧値や電圧印加タイミングを与える制御信号を伝送するための電極である。その他、構成要素は多々あるが本質とは関係が無いので説明は省略する。尚、上記透明電極1は、本例ではタッチセンサパネルに形成されている如く説明されているが、液晶表示パネルなどの表示装置側に形成されても、同様である。
【0018】
図6は、上記説明の如くタッチセンサパネルと液晶表示パネルを組み合わせた際に形成される主な静電容量を説明する図である。ここでは、簡単のために、先に説明したタッチセンサパネルが本来有する静電容量(電極容量)は省略している。図6(a)に示す様に、多くの静電容量が形成される内、液晶表示パネル内の透明電極2とタッチセンサパネルに設けられた透明電極1との間に形成される静電容量C1とタッチセンサパネル内の各電極と透明電極1との間に形成される静電容量C2が主となる。尚、透明電極1は、それ自身の抵抗成分を介し接地されているものとする。図6(b)は、図6(a)の状態に対し、更に指などが接触した状態を示している。先に述べたように、指等は人体が接地していることから、タッチセンサパネル内の各電極と静電容量C3を形成する。
【0019】
図7は、上記タッチセンサパネルと表示装置との組み合わせ構成において、前記電荷転送方式により指接触検出を行う状態を説明する図である。図7(a)、(c)は、タッチセンサパネル内の電極の内の一つのX座標電極に注目し、図6で説明した各容量を考慮した形で静電容量検出系を等価回路で示した図で、図7(a)はスイッチ1がON、図7(c)はスイッチ2がONの状態を示している。透明電極2を制御する信号である共通電極信号の電圧が透明電極2、容量C1透明電極1、及び容量C2を介してX座標電極に結合している。X座標電極と指の間には容量C3が形成されている。更に、X座標電極は、電荷転送方式の検出回路に接続している。図7(b)は、図7(a)に示すスイッチ1がON(スイッチ2はOFF)の状態における本例の表示装置である液晶表示パネルの制御信号と各電極電位の関係を説明する図である。前記電極3には液晶層への印加電圧値を確定する書き込み信号などが印加される。これに対して、透明電極2には共通電極信号としてある周期で変化する電圧信号が印加される。図7(a)に示す様に、各電極間は容量で結合されているため、透明電極1は共通電極信号に影響されて電位が変化する。これに対して、X座標電極は、透明電極1と容量結合しているが、スイッチ1がONしているために電位Vccにクランプされ安定している。つまり、容量C3が電位Vccに充電されている。図7(d)は、図7(c)に示すスイッチ2がON(スイッチ1はOFF)の状態における本例の表示装置である液晶表示パネルの制御信号と各電極電位の関係を説明する図である。液晶表示パネルは上記同様に動作している。これに対して、非同期に時刻t1においてスイッチ2がON、スイッチ1がOFFの状態に切り替わったとする。電荷蓄積容量に対して電荷が転送されるためX座標電極の電位は時刻t1から低下し始める。この状態でX座標電極はクランプ状態でなくなるため透明電極1との間の静電容量C2を介して透明電極1の電位変化の影響を受け、その電位は電荷転送による低下と容量経由の電位変動影響が重畳した形で電位が変化する。例えば、電位変動が発生している時刻t2でスイッチ1がON、スイッチ2がOFFの状態に切り替わると、その変動が電荷蓄積容量の充電電位として保持されることとなる。この結果、電荷転送のみで決まるべき電荷蓄積容量の充電電位状態に誤差が発生してしまう。
【0020】
図8は、上記電荷蓄積容量の充電電位への誤差混入による影響を説明する図である。先に説明したように、電荷転送方式ではスイッチ1と2を交互にON,OFFすることで電荷蓄積容量の充電電位がステップ状に増加していく。ここで上記誤差の混入があると各ステップの電圧上昇率に誤差が発生し、基準電位Vrefに到達するまでの時間が変化してしまう。この時間変化が、容量検出誤差となる。
【0021】
図9は、上記説明の容量検出誤差を低減するための本発明の実施形態の一例構成を説明する図である。本実施例では、上記容量検出誤差を低減するために、電荷蓄積容量の基準電位を任意のタイミングで切り替える機能を設けている。図9(a)は、各容量と検出回路系の構成を示している。電荷蓄積容量の基準電位側の端子にスイッチ3とスイッチ4を設けている。スイッチ3の他端は、透明電極1に接続されている。スイッチ4の他端は、グランドに接続されている。図9(b)は、従来の構成で、スイッチ2がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。電荷蓄積容量には、容量C3からの電荷Q1と、容量C1、C2を介して共通電極信号などから供給される電荷Q2が蓄積される。電荷Q2は、ランダムノイズ成分であるため、電荷蓄積容量の充電電位にノイズが発生する。図9(c)は、本発明の実施形態の構成で、スイッチ2がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。具体的には、図9(a)に示したスイッチ3をON(スイッチ4をOFF)にして、透明電極1の電位を電荷蓄積容量の基準電位としている。従って、電荷蓄積容量には、容量C3からの電荷Q1と、結合容量C2に蓄積されている微小電荷Q3が蓄積され、ランダムノイズ成分となる電荷Q4は、電荷蓄積容量の基準電位を透明電極1の電位としているため、同相変化となるため殆ど蓄積されない。これにより、電荷蓄積容量の充電電位ノイズが低減される。図9(d)は、スイッチ1から4の動作タイミングを説明する図である。先に説明した通り、時刻t1にスイッチ1がOFF、スイッチ2がONすると、X座標電極電位は電荷転送により低下する。このとき、容量結合を介して液晶表示パネルの動作に起因する電位変動が影響し、変動が重畳する。先の時刻t1のタイミングでスイッチ3をONすると、電荷蓄積容量の基準電位は、透明電極1の電位になる。このため、X座標電極電位の変化に重畳している電位変動は、電荷蓄積容量の基準電位と略同相成分となる、従って、電荷蓄積容量電位に対する影響は軽減する。例えば、時刻t2でスイッチ1をONし、スイッチ2をOFFしても電荷蓄積容量の電位には電位変動成分は混入しない。
【0022】
図10は、本実施例の効果を説明する図である。先に説明したように、電荷転送方式ではスイッチ1と2を交互にON,OFFすることで電荷蓄積容量の充電電位がステップ状に増加していく。ここで上記誤差の混入があると各ステップの電圧上昇率に誤差が発生し、基準電位Vrefに到達するまでの時間が変化してしまうが、本実施例ではその混入の影響が低減されている。従って、容量検出誤差の発生が抑制される。
【実施例2】
【0023】
図11は、本発明の第2の実施形態を説明する図である。図11(a)に示すように、本実施例では、実施例1に示した構成に加えて、スイッチ5とスイッチ6を追加した構成となっている。スイッチ5とスイッチ6は、一端がそれぞれアンプの基準電位Vrefを生成する電圧源の基準電位に接続している。スイッチ5の他端は、電荷蓄積容量の基準電位側に、スイッチ6の他端はグランドに、それぞれ接続されている。スイッチ3とスイッチ4の動作は上記実施例1と同じである。スイッチ5とスイッチ6は、それぞれスイッチ3とスイッチ4に同期して動作するとする。図11(b)は、本実施例による効果を説明する図である。スイッチ5がスイッチ3と同期して動作することで、アンプの基準電位Vrefを生成する電圧源の基準電位が透明電極1の電位になる。これによりアンプの基準電位Vrefに対して透明電極1の電位変動が重畳する。これにより透明電極1の電位変化によりX座標電極が変化しても、同時にアンプの基準電位Vrefが変化するため、基準電位を超えるタイミングの揺らぎが抑制され、静電容量の検出精度の低下が抑えられる。
【実施例3】
【0024】
以下、連続近似容量方式による静電容量の検出方式に、本発明を適用した場合の実施例を説明する。
【0025】
図12は、連続近似容量方式による静電容量計測の概念を説明する図である。図12(a)は、連続近似容量方式の検出回路に静電容量が接続されている状態を示している。図12(b)は、連続近似容量方式の動作を示している。図12(a)に示す回路内のスイッチ1とスイッチ2が一定期間交互にON、OFFを繰り返す。スイッチ1がON(スイッチ2はOFF)すると図12(a)に示す被検出容量が充電される。このとき、充電電荷は定電流源と電荷蓄積容量とから供給される。その後、スイッチ2がON(スイッチ1はOFF)すると、被測定容量に充電された電荷が放電され、被検出容量の充電電荷は0になる。この過程を一定期間繰り返すと、電荷蓄積容量は被検出容量への電荷放出と定電流源からの充電が繰り返される事により、図12(b)に示す様に、その充電電位が低い一定電位に安定する。この電荷蓄積容量の充電電位が安定する値は、被検出容量の大きさに依存しており、被検出容量が大きいほど低く、小さいほど高くなる。この後、スイッチ1をOFF、スイッチ2をONの状態に保つと、電荷蓄積容量へは定電流源からの充電のみが行われる様になるため、その電位は一定増加率で上昇する。電荷蓄積容量の充電電位をアンプで基準電位と比較し、充電電位が基準電位を超えたことを検出する。充電電位が基準電位を超えるまでの時間は、上記スイッチ1とスイッチ2を交互にON、OFFさせる期間に電荷蓄積容量の充電電位が安定する電位に依存する。この電位が低いほど時間は長く、高いほど時間は短くなる。従って、この充電電位が基準電位を超えるまでの時間を計測することで被検出容量の容量値の大小を測定可能である。
【0026】
図13は、上記連続近似容量方式による静電容量計測をタッチセンサパネルに適用し、指などの接触を検出する方式を説明する図である。図13(a)は、タッチセンサパネルに指が接触している場合である。タッチセンサパネル内の電極は、それ自身が本来持つ電極容量に加え、指との間に容量が形成されている。この様態で得られる電荷蓄積容量の充電電位は、図13(b)の様になる。これに対して、図13(c)に示す、指の接触がない場合には、タッチセンサパネルの電極には本来の電極容量のみが形成されている状態となるため、得られる電荷蓄積容量の充電電位波形は、図13(d)様になる。スイッチ1とスイッチ2のON、OFF期間中の電位低下が少なく、その後の回復も早い。この差により、指のセンサへの接触の有無を検出することが可能となる。
【0027】
図14は、図6に示すタッチセンサパネルと表示装置(液晶表示パネル)とを組み合わせた構成に対し、上記連続近似容量方式を適用して指接触検出を行う工程を説明する図である。
【0028】
図14(a)は、タッチセンサパネル内の電極の内の一つのX座標電極に注目し、図6で説明した各容量を考慮した形で静電容量検出系を等価回路で示した図である。透明電極2を制御する信号である共通電極信号の電圧が透明電極2、容量C1透明電極1、及び容量C2を介してX座標電極に結合している。X座標電極と指の間には容量C3が形成されている。更に、X座標電極は、連続近似容量方式の検出回路に接続している。図14(b)は、図14(a)に示す構成で検出動作を行った際に得られる電荷蓄積容量の充電電位変化を説明する図である。検出動作の前半は、スイッチ1とスイッチ2を交互にON、OFFし電荷蓄積容量の充電電位を低下させる。その後、スイッチ1をOFF、スイッチ2をONの状態として、電荷蓄積容量を再度充電する。この充電電位が基準電位Vrefを超えるまでの時間を計測する。図14(c)は、図14(b)に点線で示す時間帯1301を拡大し、表示装置の動作波形とあわせて示した図である。表示装置内の各電極の電位が表示動作により変化すると、容量結合している透明電極1にも電位変化が発生する。更に、透明電極1と容量結合しているタッチセンサパネル内の電極にも電位変化が発生する。この様に発生したタッチセンサパネル内の電極の電位変動は、上記連続近似容量方式の検出動作に伴い電荷蓄積容量の充電電位に混入し充電電位の誤差となってしまう。
【0029】
図15は、上記連続近似容量方式において、電荷蓄積容量の充電電位へ誤差が発生したことによる検出精度への影響を説明する図である。図15(a)は、連続近似容量方式の動作全体波形を示している。図中の点線時間帯1501と1502を拡大して図15(b)に示す。図14で説明したとおり、表示装置の動作による電位変動が電荷蓄積容量の充電電位に混入し誤差が発生している。スイッチ1とスイッチ2のON、OFF動作が終了し、スイッチ1がOFF、スイッチ2がONの状態に切り替わる時点での電荷蓄積容量の充電電位は、上記電位変動の混入により誤差範囲内でランダムな値をとることとなる。この状態で、電荷蓄積容量の充電が進むと、時間帯1502内に示すように基準電位Vrefを超える時刻がばらつくため、静電容量の検出値に誤差を発生する。
【0030】
図16は、上記説明の容量検出誤差を低減するための本発明の実施形態の一例構成を説明する図である。本実施例では、上記容量検出誤差を低減するために、電荷蓄積容量の基準電位を任意のタイミングで切り替える機能を設けている。図16(a)は、各容量と検出回路系の構成を示している。電荷蓄積容量の基準電位側の端子にスイッチ3とスイッチ4を設けている。スイッチ3の他端は、透明電極1に接続されている。スイッチ4の他端は、グランドに接続されている。図16(b)は、従来の構成で、スイッチ1がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。電荷蓄積容量には、定電流源から供給される電荷Q4、電荷容量C3に対して供給する電荷Q1と、容量C1、C2を介して共通電極信号などから供給される電荷Q2が、蓄積又は放出される。電荷Q2は、ランダムノイズ成分であるため、電荷蓄積容量の充電電位にノイズが発生する。図16(c)は、本発明の実施形態の構成で、スイッチ1がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。具体的には、図16(a)に示したスイッチ3をON(スイッチ4をOFF)にして、透明電極1の電位を電荷蓄積容量の基準電位としている。電荷蓄積容量には、定電流源から供給される電荷Q4、電荷容量C3に対して供給する電荷Q1が蓄積又は放出される。ランダムノイズ成分となる、容量C1、C2を介して共通電極信号などから供給される電荷は、電荷蓄積容量の基準電位を透明電極1の電位としているため、同相変化となり殆ど蓄積されない。これにより、電荷蓄積容量の充電電位ノイズが低減される。図16(d)に示す様に、X座標電極電位の変化に重畳している電位変動は、電荷蓄積容量の基準電位と略同相成分となる、従って、電荷蓄積容量電位に対する影響は軽減する。
【0031】
図17は、本実施例の効果を説明する図である。図17(a)は、連続近似容量方式の動作全体波形を示している。図中の点線時間帯1701と1702を拡大して図17(b)に示す。図16で説明したとおり、電荷蓄積容量の基準電位を制御しているため、表示装置の動作による電位変動の電荷蓄積容量の充電電位への影響が殆ど発生していない。スイッチ1とスイッチ2のON、OFF動作が終了し、スイッチ1がOFF、スイッチ2がONの状態に切り替わる時点での電荷蓄積容量の充電電位は、上記電位変動の混入が抑制されているために微小な誤差範囲内でランダムな値をとることとなる。この状態で、電荷蓄積容量の充電が進むと、時間帯1702内に示すように基準電位Vrefを超える時刻のばらつきも抑えられるため、静電容量の検出値に誤差を発生しない。
【実施例4】
【0032】
図18は、本発明の第4の実施例を説明する図である。本実施例では、静電容量を検出する方式として連続近似容量方式を例にして説明する。本実施例では、電荷蓄積容量に対して蓄積される電荷が、タッチセンサパネルの電極に対して容量結合を介して雑音が混入することにより変動し、その結果、静電容量検出に誤差を発生する事を回避するため、上記タッチセンサパネルの電極に対して容量結合により雑音が混入することにより変動する電荷蓄積容量への蓄積電荷を、可変電流源により補正する機能を設けている。更に、可変電流源は、上記電荷の変動の原因となる電圧変動を反映する部位から参照した信号により制御されるものとしている。本例では、透明電極1の電位変化を参照して可変電流源を制御する構成としている。図18(b)は、従来の構成で、スイッチ1がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。電荷蓄積容量には、定電流源から供給される電荷Q4、電荷容量C3に対して供給する電荷Q1と、容量C1、C2を介して共通電極信号などから供給される電荷Q2が、蓄積又は放出される。電荷Q2は、ランダムノイズ成分であるため、電荷蓄積容量の充電電位にノイズが発生する。図18(c)は、本発明の実施形態の構成を適用した場合の、スイッチ1がONとなっている時間帯の電荷移動状態を説明する図である。このとき、図18(a)に示す構成の、スイッチ3がONとなり、電荷蓄積容量と可変電流源は接続された状態である。電荷蓄積容量には、定電流源から供給される電荷Q4、電荷容量C3に対して供給する電荷Q1と、容量C1、C2を介して共通電極信号などから供給される電荷Q2、更に可変電流源からの電荷Q6が、蓄積又は放出される。電荷Q2は、ランダムノイズ成分である。これに対して、可変電流減は、ランダムノイズ成分となる電荷Q2を発生する透明電極1の電位を参照し、その電流値を制御しているため、電荷Q2と電荷Q6とは相殺する関係が成り立ち、電荷蓄積容量の充電電位にノイズ発生するノイズを補正可能である。
【実施例5】
【0033】
本発明の第5の実施例は、フィルタ回路を用いて透明電極の電位をノイズキャンセルに適した波形に加工した後、電荷蓄積容量の基準端子に供給することで、誤差電圧の更なる低減を図ったものである。
【0034】
図19(a)は、本実施例における検出回路の構成を示したものである。この回路は、図16の回路に対し、透明電極1と電荷蓄積容量の基準端子との間にフィルタ回路を設けた構成である。図16の回路では、タッチセンサの電極上のノイズ波形は、透明電極1のノイズ波形を微分したものと考えられるため、図19(a)のように、フィルタ回路を用いて透明電極1のノイズ波形を微分した後、電荷蓄積容量に供給することで、精度のよいノイズキャンセルを行うことができ、誤差電圧の更なる低減が可能となる。図19(b)は、フィルタ回路の具体例として、抵抗素子と容量素子による微分回路を用いた構成を示している。また、図19(c)は、容量素子によるローパスフィルタ回路を用いた構成を示したものである。この場合、透明電極1の高周波のノイズ成分は、ローパスフィルタ回路により除去されるため、タッチセンサの電極や検出回路へのノイズ混入を防止することが可能である。
【実施例6】
【0035】
本発明の第6の実施例は、電荷蓄積容量の基準電位をタッチセンサの休止電極に接続し、透明電極からの電位取得が困難な場合にも、精度の良いノイズキャンセルを可能としたものである。
【0036】
図20(b)は、本発明の第3の実施例における検出回路の構成を示したものである。第3の実施例において詳述したように、この回路では、電荷蓄積容量の基準電位をスイッチ3を介して基準電位に接続することで、電荷蓄積容量へのノイズ混入を防止し、ノード電圧Vpの誤差電圧の低減を図っている。図20(b)の下部は、タッチセンサのX方向の電極とY方向の電極を示したものである。
【0037】
図20(c)は、本発明の第6の実施例に係わる検出回路の構成を示したものである。この回路は、タッチセンサに多数設けられる電極のうち、測定を行っていない休止電極の電位を、スイッチを介して電荷蓄積容量の基準電位に接続した構成である。タッチセンサ付き表示装置においては、表示装置の動作に伴い、X方向とY方向の全ての電極にほぼ同じ波形のノイズが発生するため、ノイズキャンセルを行うためには、電荷蓄積容量の基準電位として、タッチセンサの任意の電極の電位を利用することが可能である。例えば、X方向の電極X5の容量検出を行う場合には、X5以外の電極は休止電極となるため、例えば電極Y5の電位を電荷蓄積容量の基準電位として用いることができる。この場合、電極Y5スイッチSY5’をオン、スイッチSY5をオフ、スイッチ4をオフすることで、電極Y5の電位を電荷蓄積容量の基準電圧に接続する。図20(c)では、この場合のスイッチ状態を示している。
【0038】
図20(a)は、座標検出のシーケンスを示したものである。座標検出を行うためには、測定を複数回行い、各測定期間において、X方向とY方向の全ての電極を順次測定する。例えば、電極X5を測定する場合には、他の電極は接地端子に接続し、固定電位とする。
【0039】
図21は本実施例におけるタイミングを示したものである。図21では、電極X5を測定する場合を示しているが、他の電極についても同様である。電極X5を測定する場合には、他の電極は休止電極となるので、例えば電極Y5の電位を電荷蓄積容量の基準電位として利用することができる。この場合、容量検出期間、すなわち、スイッチ1とスイッチ2の開閉を繰り返す期間では、スイッチSY5’をオン、スイッチSY5をオフとる。この期間では、スイッチ1とスイッチ2の開閉を繰り返すことにより電荷蓄積容量の電荷が減少するため、ノード電圧Vpが次第に低下する。このとき、休止電極Y5のノイズは、測定電極X5のノイズと同じ波形であるため、本発明の第3の実施例と同様に、電荷蓄積容量へのノイズ混入を防止し、ノード電圧Vpの誤差電圧を低減することができる。
【実施例7】
【0040】
本発明の第7の実施例は、タッチセンサにダミー電極を設け、電荷蓄積容量の基準電位をダミー電極に接続することで、ノイズキャンセルを行うものである。
【0041】
図22(a)は、従来のタッチセンサの電極配置を示したものである。従来のタッチセンサにおいては、X方向とY方向にそれぞれ複数の電極を配置し、各電極の容量を検出回路を用いて順次測定することで、座標検出を行う。図22(b)は、本発明の第7の実施例におけるタッチセンサの電極配置を示したものである。これは、従来のタッチセンサに対し、X方向とY方向に、それぞれダミー電極XexとYexを設けた構成である。ここで、ダミー電極Xex、Yexは、他の電極と同一基板上に設けられる。図22(c)は、ダミー電極を他の電極とは異なる基板上に設けた構成である。
【0042】
図23(b)は、本実施例における検出回路の構成を示したものである。この回路は、電荷蓄積容量の基準電位を、ダミー電極Xex、Yexから取得する構成である。
【0043】
図23(a)は、本実施例における容量検出のシーケンスを示したものである。座標検出を行うためには、測定を複数回行い、各測定期間において、X方向とY方向の全ての電極を順次測定する。例えば、電極X5を測定する場合には、他の電極は接地端子に接続し、固定電位とする。
【0044】
図24は、本実施例におけるタイミングを示したものである。図24では、電極X5を測定する場合を示しているが、他の電極についても同様である。この回路では、容量検出期間、すなわち、スイッチ1とスイッチ2の開閉を繰り返す期間では、スイッチSXex’をオフ、SYex’をオン、SXexをオン、SYexをオフ、スイッチ4をオフとし、ダミー電極Yexの電位を電荷蓄積容量の基準電位に接続することで、ノイズキャンセルを行う。この期間では、スイッチ1とスイッチ2の開閉を繰り返すことにより電荷蓄積容量の電荷が減少するため、ノード電圧Vpが次第に低下する。このとき、ダミー電極Yexのノイズは、測定電極X5のノイズと同じ波形であるため、本発明の第3の実施例と同様に、電荷蓄積容量へのノイズ混入を防止し、ノード電圧Vpの誤差電圧を低減することができる。
【実施例8】
【0045】
本発明の第8の実施例は、電荷蓄積容量の一方の端子をスイッチ3を介して透明電極1に接続すると共に、スイッチ2の一方の端子を透明電極1に接続することで、容量C2を介したノイズ混入を防止し、誤差電圧の更なる低減を図ったものである。
【0046】
本実施例の検出回路を図25(a)に示す。この回路は、図16の検出回路におけるスイッチ2の一方の端子を透明電極1に接続した構成である。この回路では、スイッチ2をオンすることで容量C2の両端をショートするため、液晶表示装置の動作に起因してタッチセンサの電極にノイズが発生した場合にも、スイッチ2がオンとなる期間では電極容量C2の電荷を完全にゼロに保つことができる。このため、スイッチ2がオフ、スイッチ1がオンとなるタイミングで、電荷蓄積容量から容量C2に流れ込む電荷量は、ノイズの有無にかかわらず一定であり、スイッチ1がオフからオンに切り替わるタイミングで発生するノード電圧Vpの落ち込みは、ノイズの有無にかかわらず一定となる。従って、ノード電圧Vpの誤差電圧を更に低減することができる。
【0047】
図25(b)に本実施例における検出回路のタイミングを示す。図25(a)の回路では、スイッチ1がオフからオンに切り替わる際、電荷蓄積容量の電荷が電極容量C2に移動するため、ノード電圧Vpに落ち込みが発生する。ノード電圧Vpの波形を図25(b)に示す。図25(b)では、ワーストケースとして、スイッチ1がオフからオンに切り替わるタイミングで、タッチセンサの電極に液晶表示装置の動作に起因するスパイク状のノイズが発生する場合を示している。この場合、ノード電圧Vpの波形は、図25(b)に示すように、スイッチ1がオフからオンに切り替わるタイミングで、電圧の落ち込みと共に、スパイク状のノイズが重畳された波形となる。ここで、実線は、スイッチ2の一方の端子を透明電極1に接続した場合のノード電圧Vpの波形を示している。また、点線は、スイッチ2の一方の端子を接地端子に接続した場合の波形を示している。
【0048】
スイッチ2の一方の端子を接地端子に接続した場合、以下のメカニズムにより、タッチセンサの電極上のノイズが容量C2を介して検出回路に混入し、ノード電圧Vpに誤差電圧が発生する。すなわち、スイッチ2がオンとなる期間では、電極容量C2の一方の端子が接地電位に固定されるため、液晶表示装置の動作に起因するノイズにより透明電極1の電位が瞬間的に上昇した場合には、容量C2の電荷がスイッチ2を介して接地端子に流れ込む。このため、スイッチ2がオフ、スイッチ1がオンとなる瞬間に電荷蓄積容量から容量C2に流れ込む電荷は、ノイズが存在しない場合よりも大きくなる。その結果、スイッチ1がオフからオンに切り替わる際のノード電圧Vpの落ち込みは、ノイズが存在しない場合に比べて大きくなる。また、スイッチ2がオンとなる期間において、ノイズにより透明電極1の電位が瞬間的に下降した場合には、接地端子から容量C2に電荷が流入する。この場合、スイッチ2がオフ、スイッチ1がオンとなる瞬間に電荷蓄積容量から容量C2に流れ込む電荷は、ノイズが存在しない場合よりも小さくなる。その結果、スイッチ1がオフからオンに切り替わる際のノード電圧Vpの落ち込みは、ノイズが存在しない場合に比べて小さくなる。以上のメカニズムにより、タッチセンサの電極上のノイズが容量C2を介して検出回路に混入し、ノード電圧Vpの波形に誤差電圧が発生する。
【0049】
これに対し、本実施例においては、スイッチ2の一方の端子を透明電極1に接続するため、液晶表示装置の動作に起因してタッチセンサの電極にノイズが発生した場合にも、スイッチ2がオンとなる期間では、容量C2の電荷を完全にゼロに維持することができる。このため、スイッチ1がオフからオンに切り替わる際のノード電圧Vpの落ち込みは、ノイズの有無に関らず一定であり、ノード電圧Vpの誤差電圧を低減することができる。
【0050】
本実施例における検出回路の1サイクルの波形を図26(a)に示す。スイッチ1とスイッチ2の開閉を繰り返す容量検出期間では、電荷蓄積容量の電荷が次第に減少し、ノード電圧Vpが次第に低下するが、定電流源から電荷蓄積容量への電荷供給量と、電荷蓄積容量から容量C2への電荷移動速度がバランスした時点で、ノード電圧Vpがほぼ一定値で安定する。その後、スイッチ1がオフ、スイッチ2がオンに固定されると、定電流源から電荷蓄積容量への電荷供給により、ノード電圧Vpは一定の速さで上昇する。このとき、ノード電圧Vpが参照電圧Vrefに達するまでの時間により、指の容量C3を検出する。図26(a)における点線部2601と2602の拡大図を図26(b)に示す。スイッチ2の一方の端子を接地端子に接続した場合には、容量C2を介して検出回路にノイズが混入し、ノード電圧Vpに誤差電圧が発生するが、本実施例では容量C2の一方の端子を透明電極1に接続するため、容量C2を介したノイズ混入を防止することができ、ノード電圧Vpの誤差電圧を低減できる。
【0051】
以上説明した各実施例はX座標電極を例にして説明しているが、Y座標電極についても同様であることはいうまでもない。また、実施例2は電荷転送方式の場合を例にして説明しているが、連続近似容量方式の場合についても同様に適用できることはいうまでもない。また、実施例4〜8は連続近似容量方式の場合を例にして説明しているが、電荷転送方式の場合についても同様に適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
100・・・タッチセンサパネル、101・・・X座標電極、102・・・Y座標電極、103・・・X電極端子、104・・・Y電極端子、105・・・着目領域、201・・・X座標電極、301、302、303・・・電圧波形、401、402・・・電圧波形、1・・・表示装置、2・・・表示制御回路、3・・・タッチセンサパネル、4・・・検出回路、5・・・ADC、6・・・タッチセンサパネル制御回路、7・・・主制御回路、601・・・電圧波形、701、702・・・電圧波形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量方式の静電容量検出装置であって、
静電容量と、
前記静電容量を充電する電源と、
前記静電容量の充電状態に応じて蓄積される電荷量が変化する電荷蓄積容量と、
前記電荷蓄積容量の充電電位を判定する判定部と、を備え、
前記静電容量の充電状態の計測期間において、前記判定部が参照する閾値電位の基準電位を変化させることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の静電容量検出装置であって、前記判定部が参照する閾値電位の基準電位を、該電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位とする工程を含むことを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の静電容量検出装置であって、前記判定部が参照する閾値電位の基準電位を、該電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位とする工程は、前記計測対象の静電容量に充電された電荷を前記電荷蓄積容量に移行する工程と同時に行われることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の静電容量検出装置であって、前記判定部が参照する閾値電位の基準電位を、該電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位とする工程は、前記計測対象の静電容量を充電する工程と同時に行われることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の静電容量検出装置であって、前記判定部が参照する閾値電位の基準電位を入力する端子と該電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位とを接続する部分にフィルタを有することを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の静電容量検出装置であって、前記フィルタは抵抗素子と容量素子を用いた微分回路であることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項7】
請求項5に記載の静電容量検出装置であって、前記フィルタはグランド電位を基準とするローパスフィルタであることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項8】
静電容量方式の静電容量検出装置であって、
静電容量と、
前記静電容量を充電する電源と、
前記静電容量の充電状態に応じて蓄積される電荷量が変化する電荷蓄積容量と、
前記電荷蓄積容量に対して任意の電荷量を増減させる可変電流源と、を備え、
前記静電容量の充電状態の計測期間において、前記電荷蓄積容量に対して任意の電荷量を増減させることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項9】
請求項8に記載の静電容量検出装置であって、前記電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位を参照し、前記可変電流源を制御することにより、前記電荷蓄積容量に対して任意の電荷量を増減させることを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項10】
請求項1または8に記載の静電容量検出装置であって、前記計測対象となる静電容量を放電するためのスイッチを備え、該スイッチの両側の端子が前記計測対象となる静電容量の両側の端子に接続されたことを特徴とする静電容量検出装置。
【請求項11】
表面に指などの物体が接触したことを検出するタッチセンサパネル型の入力装置であって、該タッチセンサパネル内にマトリクス状に配置された複数の電極とタッチセンサパネルの表面に接触した指などの物体との間に形成される静電容量の値を、請求項1または8に記載の静電容量検出装置により検出することを特徴とする入力装置。
【請求項12】
請求項11に記載の入力装置であって、前記静電容量検出装置における電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位を、前記タッチセンサパネルに設けられた外部電磁波からの影響を低減するために設けられたシールド電極の電位とすることを特徴とする入力装置。
【請求項13】
請求項11に記載の入力装置を表示デバイスの表示面に対して近接して設けたことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の表示装置であって、前記静電容量検出装置における電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部位の電位を、前記表示デバイスの表示面に形成された外部電磁波からの影響を低減するために設けられたシールド電極の電位とすることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項13に記載の表示装置であって、前記静電容量検出装置における電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部分の電位を、タッチセンサパネルの測定電極以外の休止電極の電位とすることを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項13に記載の表示装置であって、タッチセンサパネルが座標検出に用いないダミー電極を備え、前記静電容量検出装置における電荷蓄積容量の電荷蓄積による充電電位に生じる雑音の要因となる部分の電位を、該ダミー電極の電位とすることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−195019(P2012−195019A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159498(P2012−159498)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【分割の表示】特願2008−259588(P2008−259588)の分割
【原出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】