説明

入力装置

【課題】 より安全性の高い、再帰反射部材を有する入力装置を提供することである。
【解決手段】 ボーリング疑似体験システムは、球状入力装置1、センサユニット3、アダプタ5、カートリッジ7、及びテレビジョンモニタ11を含む。球状入力装置1は、5枚の再帰反射シート13と3枚の布15とにより、球を形成し、その内部に綿を詰めることにより製作される。プレイヤは、ゴムバンド23に手を通して、球状入力装置1を装着し、センサユニット3の上空で投球動作を行う。再帰反射シート13は、センサユニット3に撮影され、撮像画像に基づいて、位置情報が算出される。その位置情報は、赤外線通信により、アダプタ5に送信され、カートリッジ7に与えられる。カートリッジ7は、この位置情報に基づいて、テレビジョンモニタ11に表示されたボーリングボールを移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再帰反射部材を有する入力装置及びそれらの関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本件出願人によるボーリングゲームシステムが開示されている。このシステムで使用するボール型入力装置には、ストラップが設けられていて、ゲームプレイヤは、このストラップを自分の腕に装着することによって、安全が図られている。すなわち、ボール型入力装置がストラップによって自分の腕に連結されているので、ゲームプレイヤが誤ってボール型入力装置を実際のボーリングゲームのように放しても、ボール型入力装置がどこかに飛んで行き、結果的に自己または他人に当たるなどの事故は起きない。
【0003】
また、このボール型入力装置は、透明または半透明の2つの半球状外殻をボスで連結することによってボール型入力装置のハウジングを形成していて、その外殻の中に、同様にボスで連結された2つの半球状内殻を固定している。そして、各半球状内殻の表面に再帰反射シートを貼付することによって再帰反射体を形成している。つまり、内殻が再帰反射体となる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−85524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、ボール型入力装置にストラップを設け安全性には十分な配慮がなされている。しかしながら、より高い安全性が求められる場合もある。例えば、上記のボーリングゲームシステムを、高齢者の運動やリハビリのために利用したり、病人のリハビリのために利用したりする場合である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、より安全性の高い、再帰反射部材を有する入力装置及びその関連技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の観点によれば、入力装置は、プレイヤに装着されて、撮像装置に撮影され、撮像画像に基づいて、動きが解析されるものであり、前記入力装置の表面の全部又は一部が、光を再帰反射する部材で覆われ、前記入力装置は、弾力性のある素材又は軟質の素材で形成される。
【0008】
この構成によれば、入力装置が弾力性のある素材又は軟質の素材で形成されるので、プレイヤが入力装置を振り回して、人に当ったとしても、硬質の素材で形成される場合と比較して、怪我する可能性を極力低くできる。また、プレイヤ自身に、入力装置が当ったとしても、硬質の素材で形成される場合と比較して、怪我する可能性を極力低くできる。このように、より安全性の高い、再帰反射部材を有する入力装置を提供できる。
【0009】
また、一般に、弾力性のある素材及び軟質の素材は、硬質の素材に比べて、重量が軽い場合が多く、入力装置の操作性の向上を図ることができる。このことは、特に、老人や病人等の身体が弱った人達に有効である。
【0010】
ここで、装着とは、装着部材によりプレイヤに装着される場合の他、プレイヤが把持することを含む。
【0011】
例えば、前記弾力性のある素材は、スポンジ、気体、液体、半固体、ゼリー状のもの、流動体、半流動体、又は繊維である。
【0012】
例えば、前記軟質の素材は、軟質で可塑性のある素材又は軟質の発泡材である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付してその説明を援用する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態によるボーリング疑似体験システムの全体構成を示す外観斜視図である。図1を参照して、このボーリング疑似体験システムは、球状入力装置1、センサユニット3、アダプタ5、カートリッジ7、及びテレビジョンモニタ11を含む。
【0015】
球状入力装置1は、5枚の再帰反射シート13と3枚の布15とにより、球を形成し、その内部に綿を詰めることにより製作される。再帰反射シート13及び布15は、球を経線方向に八等分した形状である。また、球状入力装置1の両極には、ゴムバンド23の端部が固定される。図2に示すように、プレイヤは、ゴムバンド23に手を通して、球状入力装置1を装着する。この場合、布15に手の平が当り、再帰反射シート13が広く露出するように装着する。
【0016】
図1に戻って、アダプタ5の前面右側には、赤外線フィルタ22が設けられる。この赤外線フィルタ22は、赤外線以外の光をカットして、赤外線だけを透過させるフィルタであり、この赤外線フィルタ22の裏側には、後述のIRレシーバ66が配置されている。
【0017】
アダプタ5には、カートリッジ7が装着され、互いに電気的に接続される。カートリッジ7には、後述のマルチメディアプロセッサ60及び外部メモリ62等が内蔵されている。
【0018】
アダプタ5は、AVケーブル9により、テレビジョンモニタ11に接続される。従って、カートリッジ7は、アダプタ5及びAVケーブル9を介して、テレビジョンモニタ11に、生成したビデオ信号及びオーディオ信号を与えることができる。
【0019】
センサユニット3の表面には、赤外線のみを透過する赤外線フィルタ17が設けられる。この赤外線フィルタ17を挟むように、ストロボ撮影用の2個の赤外発光ダイオード19が設けられる。赤外線フィルタ17の裏側には、後述のイメージセンサ52が配置される。さらに、センサユニット3の表面には、赤外線フィルタ17からやや先端側に、赤外線のみを透過する赤外線フィルタ21が設けられる。この赤外線フィルタ21の裏側には、後述の赤外線通信用の赤外発光ダイオード56が配置される。
【0020】
次に、球状入力装置1の使用方法を例を挙げて説明する。
【0021】
図3は、図1の球状入力装置1の使用状態を示す図である。図3を参照して、プレイヤは、ゴムバンド23により球状入力装置1を装着して、センサユニット3の上空で、球状入力装置1を投げる動作(あたかもボーリングボールを投げるが如く)を行う。もちろん、球状入力装置1はゴムバンド23により手に装着されているため、実際に投げるのではない。また、プレイヤは、椅子に座って、投球動を行うことができる。このため、足の不自由な人でも容易にプレイできる。
【0022】
図4は、図1のセンサユニット3、アダプタ5、及びカートリッジ7の電気的構成を示す図である。図4を参照して、センサユニット3は、MCU(Micro Controller Unit)50、イメージセンサ52、ストロボ撮影用の赤外発光ダイオード19、及び赤外線通信用の赤外発光ダイオード56を含む。
【0023】
MCU50は、赤外発光ダイオード19を制御する。MCU50の制御に従って、撮影用の赤外発光ダイオード19は、間欠的に駆動され、点灯と消灯とを交互に繰り返す。この赤外発光ダイオード19の点灯により、センサユニット3の上空で動かされる、球状入力装置1に取り付けられた再帰反射シート13に赤外光が照射される。MCU50は、イメージセンサ52の制御も行う。MCU50の制御によって、イメージセンサ52は、センサユニット3の上空で動かされる、球状入力装置1に取り付けられた再帰反射シート13を撮影する。この場合、再帰反射シート13には、赤外光が間欠的に照射されるので、ストロボ撮影が行われることになる。
【0024】
MCU50は、赤外発光ダイオード19の点灯時の画像データと消灯時の画像データとの差分データを算出する。そして、差分データに基づく差分画像DIに写っている再帰反射シート13の像を解析して、再帰反射シート13の差分画像DI上の位置を算出する。MCU50は、通信用の赤外発光ダイオード56を駆動して、赤外線通信により、算出した再帰反射シート13の位置の情報を、アダプタ5のIRレシーバ66に送信する。なお、MCU50が、差分データを求めることで、再帰反射シート13からの反射光以外の光によるノイズを極力除去でき、精度良く再帰反射シート13を検出できる。
【0025】
カートリッジ7は、マルチメディアプロセッサ60、外部メモリ62、及びバス64を含む。外部メモリ62は、ROM、RAM、及び/又はフラッシュメモリ等、システムの仕様に応じて必要なものを備える。マルチメディアプロセッサ60は、バス64を通じて、外部メモリ62にアクセスできる。従って、マルチメディアプロセッサ60は、外部メモリ62に格納されたプログラムを実行でき、また、外部メモリ62に格納されたデータをリードして処理することができる。この外部メモリ62に、ボーリングの疑似体験のための処理を行うプログラム、画像データ、及び音声データ等が予め格納される。
【0026】
マルチメディアプロセッサ60は、図示しないが、中央演算処理装置(以下、「CPU」と呼ぶ。)、グラフィックスプロセシングユニット(以下、「GPU」と呼ぶ。)、サウンドプロセシングユニット(以下、「SPU」と呼ぶ。)、ジオメトリエンジン(以下、「GE」と呼ぶ。)、外部インタフェースブロック、メインRAM、及びA/Dコンバータ(以下、「ADC」と呼ぶ。)などを具備する。
【0027】
CPUは、外部メモリ62に格納されたプログラムを実行して、各種演算やシステム全体の制御を行う。グラフィックス処理に関するCPUの処理として、外部メモリ62に格納されたプログラムを実行して、各オブジェクト及び各スプライトの拡大・縮小、回転、及び/又は平行移動のパラメータ、視点座標(カメラ座標)、並びに視線ベクトルの算出等を行う。ここで、1または複数のポリゴン又はスプライトから構成され、同じ拡大・縮小、回転、及び平行移動の変換が適用される単位を「オブジェクト」と呼ぶ。
【0028】
GPUは、ポリゴン及びスプライトから構成される三次元イメージをリアルタイムに生成し、アナログのコンポジットビデオ信号に変換する。SPUは、PCM(pulse code modulation)波形データ、アンプリチュードデータ、及びメインボリュームデータを生成し、これらをアナログ乗算して、アナログオーディオ信号を生成する。GEは、三次元イメージを表示するための幾何演算を実行する。具体的には、GEは、行列積、ベクトルアフィン変換、ベクトル直交変換、透視投影変換、頂点明度/ポリゴン明度計算(ベクトル内積)、及びポリゴン裏面カリング処理(ベクトル外積)などの演算を実行する。
【0029】
外部インタフェースブロックは、周辺装置(本実施の形態では、アダプタ5のIRレシーバ66)とのインタフェースであり、24チャンネルのプログラマブルなデジタル入出力(I/O)ポートを含む。ADCは、4チャンネルのアナログ入力ポートに接続され、これらを介して、アナログ入力装置から入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。メインRAMは、CPUのワーク領域、変数格納領域、および仮想記憶機構管理領域等として利用される。
【0030】
マルチメディアプロセッサ60は、IRレシーバ66から、センサユニット3から送信された再帰反射シート13の位置情報を受け取る。マルチメディアプロセッサ60は、再帰反射シート13の位置情報、つまり、球状入力装置1の動きを示す情報に基づいて、各種演算、グラフィック処理、及びサウンド処理を実行し、ビデオ信号およびオーディオ信号を生成する。マルチメディアプロセッサ60が生成したビデオ信号およびオーディオ信号は、アダプタ5及びAVケーブル9を介して、テレビジョンモニタ11に与えられ、応じて、テレビジョンモニタ11に映像が表示され、そのスピーカ(図示せず)から音声が出力される。なお、アダプタ5は、マルチメディアプロセッサ60が生成したビデオ信号をそのままAVケーブル9に与え、また、オーディオ信号を増幅してAVケーブル9に与える。
【0031】
マルチメディアプロセッサ60は、再帰反射シート13の位置情報により、再帰反射シート13、つまり、球状入力装置1の軌道及び速度を算出できる。従って、マルチメディアプロセッサ60は、球状入力装置1の軌道及び速度に基づいて、テレビジョンモニタ11に表示されたボーリングボールオブジェクトの軌道及び速度を算出して、ボーリングボールオブジェクトを移動する。そして、ボーリングボールオブジェクトが当ったピンを倒すアニメーションを表示する。
【0032】
さて、以上のように、球状入力装置1が弾力性のある素材で形成されるので、プレイヤが球状入力装置1を振り回して、人に当ったとしても、固い素材で形成される場合と比較して、怪我する可能性を極力低くできる。また、プレイヤ自身に、球状入力装置1が当ったとしても、固い素材で形成される場合と比較して、怪我する可能性を極力低くできる。このように、より安全性の高い、再帰反射シート13を有する球状入力装置1を提供できる。
【0033】
また、一般に、弾力性のある素材は、固い素材に比べて、重量が軽い場合が多く、球状入力装置1の操作性の向上を図ることができる。このことは、特に、老人や病人等の身体が弱った人達に有効である。
【0034】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0035】
(1)上記では、入力装置1を球状とした。ただし、入力装置の形状は、表面に再帰反射シートが取り付けられ、弾力性のある素材又は軟質の素材で形成されている限り、球状に限定されず、任意の形状をとることができる。
【0036】
(2)上記では、ボーリング疑似体験システムを例に挙げた。ただし、再帰反射シートを撮影して、その動きを検出するシステムであれば、どのようなシステムであっても、球状入力装置1を使用できる。もちろん、この場合も、入力装置の形状は、球状に限られない。
【0037】
(3)上記では、球状入力装置1に綿を詰めて弾力性のあるものとした。ただし、弾力性がある素材であれば、詰め物は、綿に限定されない。例えば、スポンジ、気体、液体、半固体、ゼリー状のもの、流動体、半流動体、又は繊維(布、綿等)等である。また、例えば、ゴムボールのように、内部に空気等の気体を詰めたものに、再帰反射シートを取り付けてもよい。この場合、詰め物として、液体、半固体、ゼリー状のもの、流動体、又は半流動体等を使用することもできる。また、弾力性はなくても、容易に変形するような、軟質で可塑性のある素材を使用できる。さらに、発泡スチロール等の、軟質の発泡材のように、軽くて、当っても衝撃が少ないものを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の実施の形態によるボーリング疑似体験システムの全体構成を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、図1の球状入力装置1をプレイヤが右手に装着している状態を示す図である。
【図3】図3は、図1の球状入力装置1の使用状態を示す図である。
【図4】図4は、図1のセンサユニット3、アダプタ5、及びカートリッジ7の電気的構成を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1…球状入力装置、3…センサユニット、5…アダプタ、7…カートリッジ、11…テレビジョンモニタ、13…再帰反射シート、15…布、23…ゴムバンド、50…MCU、52…イメージセンサ、19,56…赤外発光ダイオード、60…マルチメディアプロセッサ、62…外部メモリ、66…IRレシーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤに装着されて、撮像装置に撮影され、撮像画像に基づいて、動きが解析される入力装置において、
前記入力装置の表面の全部又は一部が、光を再帰反射する部材で覆われ、
前記入力装置は、弾力性のある素材又は軟質の素材で形成されることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記弾力性のある素材は、スポンジ、気体、液体、半固体、ゼリー状のもの、流動体、半流動体、又は繊維である、請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記軟質の素材は、軟質で可塑性のある素材又は軟質の発泡材である、請求項1記載の入力装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−262310(P2008−262310A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103366(P2007−103366)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(396025861)新世代株式会社 (138)
【Fターム(参考)】