説明

入力装置

【課題】 キートップの昇降方向への進退移動に応じてキートップ表面の照光状態が切り換わる入力装置を提供すること。
【解決手段】 アクチュエータ10を非駆動状態とすると、キートップ3が後退する非アクティブ状態となり、出射面2bから出射した光は透明な光案内層3Bに入射し、キートップ3はその周囲が明るく照らされる。アクチュエータ10を駆動して、キートップ3が突出するアクティブ状態とすると、導光部材2の出射面2bから出射した光は、光散乱層である光案内部3Aに入射し、光案内部3Aにおいて乱反射するため、キートップ3の表面3bを明るく照光させることができる。このように、キートップ3の進退移動に応じてキートップ3の表面3bの照光状態を切り換えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作体がパネル表面から突出する入力装置に関し、特に操作体の突出位置の違いに応じて、操作体の照光状態が変化する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パネルに複数の操作体が設けられた入力装置は、例えば以下の特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載された入力装置は、キートップとこのキートップで動作させられるキースイッチの組が複数組設けられている。パネルの内部には、スライド動作する金具が設けられており、金具のスライド動作により、いずれかの組のキートップとキースイッチとがパネル表面から突出する。この発明は、ユーザが設定したキートップのみを突出させて押圧操作を可能とし、それ以外のキートップは押せないようにするというものである。
【0004】
特許文献1に記載された発明は、キートップを突出させ退行させる動作が可能ではあるが、突出したキートップと退行したキートップとで照光表示を切り換える機能は有していない。
【0005】
一方において、操作体の操作位置に応じて照光状態が変化する入力装置として以下の特許文献2に記載されたものがある。
【0006】
特許文献2に記載された入力装置は、透光性及び光拡散性を有するスライドスイッチが摺動自在に設けられている。スライドスイッチを一方にスライドさせると、ランプの表示光でスライドスイッチが照光され、スライドスイッチを他方にスライドさせると、ランプの表示光がマスク板で遮断されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−287284号公報
【特許文献2】特開平9−138660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の発明は、スライドキーの下方に遮光板とランプとが配置された構造であるため、上下の寸法が大きく薄型の機器に適用しにくい。そのため、パネルに複数のキートップが設けられて、いずれかのキートップがパネル表面から突出して操作が可能となる入力装置に、特許文献2に記載された照光装置を採用すると、キートップを上下に移動させる機構のさらにその下にランプを配置することが必要になって、小型化の機器とすることが難しい。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、操作体をパネルから突出させることができ、その突出位置に応じて操作体の照光状態が切り換わる入力装置を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、操作体を突出させる機構と操作体を照光させる機能をゆうしていながらも薄型に構成できる入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、パネル表面に配置された操作体と、光源から発せられる光を前記操作体に導く導光部材と、前記操作体の操作状態を検知する検知手段とが設けられた入力装置において、
前記パネル表面からの前記操作体の突出位置を変化させるアクチュエータが設けられており、
前記操作体は、前記パネル表面からの突出位置が変化するときに、前記導光部材から光を受ける場所が相違し、前記操作体は、前記導光部材から光を受ける場所の違いによって照光状態が変化することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の前記操作体は、パネル表面から突出する突出姿勢と、その位置よりも後退している退行姿勢との二段階で移動してもよいし、パネル表面からの操作体の突出位置が複数段階で変化してもよい。操作体のパネル表面からの突出位置の変化に応じて操作体の照光状態が変化することで、例えば検知手段が動作できる状態であるのか、または操作体でどのモードの入力ができるかなどを目視状態で認識しやすくなる。また、同じ光源からの光によって、操作体の照光状態を変えることができるため、多数の光源や多数の導光部材を設けることが不要である。
【0013】
本発明は、前記操作体の内部に、光を受けたときの照光状態が相違する少なくとも2種類の光案内部が設けられ、前記操作体の突出位置が変化することで、前記導光部材からの光を受ける前記光案内部が切り換えられるものである。
【0014】
例えば、前記光案内部は、内部での光の拡散状態が相違する層の組み合わせである。または、前記光案内部は、前記操作体の操作表面に向けて光を導く経路が相違する層の組み合わせである。あるいは、前記光案内部は、その内部を通過する光の反射状態が相違する層の組み合わせである。または、前記光案内部は、その内部に入ろうとする光に対する遮蔽効果が相違する層の組み合わせなどである。
【0015】
本発明は、前記パネルそのものが前記導光部材であり、前記パネルに穴が形成されてその穴の内部に前記操作体が位置し、前記導光部材の内部を伝播する光が、前記の穴の内周面から前記操作体に与えられるものとして構成できる。あるいは、本発明は、前記導光部材が光を透過しないパネルの内側に設けられていてもよい。
【0016】
さらに本発明は、共通の前記導光部材に対向する複数の前記操作体と、それぞれの前記操作体の突出位置を変化させる複数の前記アクチュエータとが設けられているものとして構成することが可能である。
【0017】
上記構成では、同じ導光部材の内部を伝播する光で複数の操作体を照光させることができる。また複数設けられた操作体のうちの、どの操作体が有効であるかなどを照光表示によって明確に区別できるため、誤操作などが生じにくくなる。
【0018】
例えば、本発明は、前記操作体が前記パネル表面から前方へ突出したときに、前記検知手段による検知動作が可能になる。
【0019】
本発明は、前記アクチュエータを、通電により変形する電歪エラストマ、または形状記憶素子で形成することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、操作体のパネル表面からの突出位置が二段階で変化し、または複数段階で変化するものにおいて、操作体の照光状態が、その突出位置の違いに応じて変化するため、照光状態を見ることによって、操作体がどのような状態であるか容易に認識できるようになる。
【0021】
また、同じ光源から発せられて同じ導光部材の内部を伝播する光によって、操作体の照光状態を変えることができるため、構造が簡単である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示し、(C)は複数の操作体が設けられた入力装置を示す、
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図4】本発明の第4の実施の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図5】アクチュエータの他の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図6】アクチュエータの他の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図7】アクチュエータの他の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【図8】アクチュエータの他の形態を示す入力装置の断面図であり、(A)は操作体が退行している状態を示し、(B)は操作体が突出している状態を示す、
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示す入力装置1Aは、開口穴2Aが形成された導光部材2と、この開口穴2Aの内側に設けられたキートップ3と、LEDなどからなる発光素子4,4、アクチュエータ10および図示しないスイッチ機構を有して構成される。
【0024】
導光部材2は透光性を有する合成樹脂材料によって形成されており、例えばこの入力装置1Aが搭載される電子機器の筐体が透光性を有する材料で形成されている場合には、導光部材2が操作面に現れるパネルである。また、パネルが光を透過しない筐体と一体に形成されている場合には、導光部材が筐体の内部に設けられる。
【0025】
導光部材2の端部には入射面2aが形成されている。入射面2aには発光素子4が対向配置されており、発光素子4から放たれた光は入射面2aを介して導光部材2の内部に入射する。導光部材2には板厚方向に貫通する開口穴2Aが形成されており、開口穴2Aの内周面は円筒状の出射面2bとして機能する。
【0026】
操作体であるキートップ3は透光性を有しており、図示上方の位置には出射部として機能する表面3bが設けられている。キートップ3は円筒形状または円柱形状であり、その側面3aは、前記表面3bとほぼ垂直である。
【0027】
導光部材2の下面には支持部材5が固定されており、この支持部材5にアクチュエータ10が設けられている。アクチュエータ10はイオン導電型の高分子アクチュエータである。イオン導電型の高分子アクチュエータは、板厚方向の中央に電解質層(図示せず)を有するとともにその両面に一対の電極層(図示せず)を備えてシート状に形成されている。
【0028】
また、アクチュエータ10は、ゴム状の高分子膜(エラストマー)を伸び縮み可能な電極で挟んだ構造からなるEPAMや形状記憶素子などを使用することが可能である。
【0029】
図1に示すアクチュエータ10は帯状であり、その一端(固定端)は支持部材5上に片持ち支持状態で固定されている。他端は自由端であり、キートップ13を下面から支持している。
【0030】
図1(A)(B)には、左右対称となる位置に一対のアクチュエータ10,10を設けた構成を示しているが、前記支持部材5が環状の部材である場合には、複数のアクチュエータ10が設けられて、これらの一端が支持部材5に固定され、他端が支持部材5の中心に向かって放射状に並ぶように配置された構成であってもよい。このような複数のアクチュエータ10を用いると、より大きな駆動力を用いてキートップ3を確実に支持することができるようになる。
【0031】
キートップ3は、アクチュエータ10により、開口穴2A内において板厚方向に進退自在に支持されている。図1(B)に示すように、アクチュエータ10の両面の電極間に所定の電圧を印加して電位差を与えて駆動状態にすると、内部の電解質層内に電界が発生して内部のイオンが移動するため、アクチュエータ10がこの電界の方向に応じて変位する。この実施の形態では、アクチュエータ10の他端(自由端)側が、一端(固定端)側を支点として、上方に向けて撓み変形するように構成されており、これによりキートップ3を図示上方に持ち上げることが可能とされている。
【0032】
キートップ3の下側には検知手段としてスイッチ機構が設けられている。キートップ3が導光部材2(パネル)の前方へ突出している状態でキートップ3が押されると、スイッチ機構の接点の開閉状態が切り換えられる。または、検知手段として、キートップ3の下面に電極が設けられ、指がキートップ3の表面3bに触れたときに電極と指との間の静電容量によって検知されるものであってもよい。または、検知手段としてイオン導電型の高分子シートからなるアクチュエータ10などを使用している場合に、キートップ3が指で押されてアクチュエータ10が変形するときに電圧を発生する。この電圧によってキートップ3が押されたことを検知してもよい。
【0033】
図1(A)(B)に示すように、キートップ3の内部は2種類の光案内部3A,3Bに区分されている。下層側の光案内部3Aは光散乱層であり、上層の光案内部3Bは、透明で内部でほとんど光が散乱しない層であり、または前記光案内部3Aよりも内部の光散乱度の低い層である。光散乱層である光案内部3Aは、透光性の樹脂の内部に無機酸化物などの白色のフィラーが混入されることなどで形成される。光透過性で光案内部3Bは、前記光案内部3Aの上に重ねられて一体的に形成される。
【0034】
この入力装置1Aは、図1(A)に示すのが非アクティブ状態であり、アクチュエータ10は変形前の非駆動状態にある。このとき、キートップ3は板厚方向の下方へ後退した位置にあって、キートップ3は開口穴2A内に収容されており、キートップ3の表面3bが、導光部材2の表面とほぼ同一面に位置している。
【0035】
このとき、キートップ3の上層側の光案内部3Bの外周面が、開口穴2Aの内周面(出射面2b)に対向する。光源4を点灯させると、その光が導光層2の内部を伝播して、導光層2に開口する穴の内周面である出射面2bから光案内部3Aに光が与えられる。光案内部3Bはほぼ透明で内部で光を散乱しないため、キートップ3の表面3bがほとんど照光されることがなく、光の入射面であるキートップ3の外周面がやや明るく照らされる。
【0036】
図1(B)に示すのがアクティブ状態であり、アクチュエータ10に通電されて撓み変形し、キートップ3が持ち上げられて、その表面3bが導光部材2の表面よりも前方へ突出する。
【0037】
このとき、キートップ3の下層に位置する光散乱層である光案内部3Aの外周面が、開口穴2Aの内周面(出射面2b)に対向する。導光部材2の内部で伝播されて出射面2bから出射した光が、光案内部3Aに入射すると光散乱層である光案内部3Aの内部で光が散乱し、キートップ3の全体が明るく照らされる。
【0038】
上記入力装置1Aは、同じ光源4と同じ導光部材2を使用して、突出位置の相違するキートップ3を異なる状態で照光することができる。
【0039】
なお、キートップ3の表面3bに光を遮蔽する膜を形成し、その膜の一部を除去して数字、文字、記号その他の図形の描くと、図1(A)の非アクティブ状態でキートップが照光されず、図1(B)のアクティブ状態で、数字、文字、記号その他の図形を明るく照光することが可能である。
【0040】
図1(C)に示すように、入力装置1Aに複数のキートップ3,3を設けることが可能である。この場合に、同じ導光部材2に複数の開口穴2Aが形成され、それぞれの開口穴2Aの内部にキートップ3が個別に配置される。さらに、それぞれのキートップ3に対応するアクチュエータ10が設けられる。この入力装置1Aでは、複数のキートップ3のうちのいずれか1個または複数個を突出させてアクティブ状態とし、残りのキートップ3を退行させて非アクティブ状態とすることが可能である。この場合、導光部材の内部2を伝播する光を使用して、それぞれのキートップに異なった状態の照光ができ、どのキートップがアクティブであるのかを視覚によって明確に識別できるようになる。
【0041】
図2ないし図4に示している第2ないし第4の実施の形態を示す入力装置は、図1に示す第1の実施の形態と同じ部分に同じ符号を付して詳しい説明を省略し、それぞれの実施の形態の特徴部分を主に説明する。
【0042】
図2に示す入力装置1Bでは、キートップ3が下層側の光散乱層からなる光案内部3Aと、上層側のほぼ透明の光案内部3Bを有している。ただし、上層の光案内部3Bの外周面には、外部からの光がキートップ3の内部へ入射するのを防止する遮光部3cが設けられている。遮光部3cは、光を遮光する機能を備えた膜であり、例えば光の透過を抑制する塗料(光吸収性又は光反射性を有する塗料)をキートップ3の側面3aの上層側の周囲に塗装することにより形成されている。あるいはこれらの機能を備えたテープを、光案内部3Bの外周面の上層側に貼り付けることによって遮光部3cとすることも可能である。
【0043】
光案内部3Bは、下層側の光案内部3Aの内部で散乱した光を表面3bに導く機能を発揮するが、外周面からの光を遮蔽する効果を発揮する層である。したがって、図2(A)に示すように、キートップ3が後退しているときは、遮光部3cが導光部材2側の開口穴2Aの内周面(出射面2b)と対向し、光がキートップ3の内部に入射するのを規制でき、キートップ3は実質的に照光されない。
【0044】
図2(B)に示すように、キートップ3が前方へ突出すると、遮蔽部3cが出射面2bから外れ、光散乱層である下側の光案内部3Aの外周面が出射面2bに対向する。したがって、導光部材2から光案内部3Aに光が与えられ、光案内部3Aの内部で散乱した光が、上側の光案内部3Bを透過して表面3bから前方へ出射する。よって、キートップ3が明るく照光される。
【0045】
なお、図2に示す実施の形態において、キートップ3の全体を光散乱層とし、外周面の上方部分に遮光部3cを形成して、遮光部3cで囲まれた部分が光を遮蔽する効果を発揮する層として構成してもよい。
【0046】
図3に示す入力装置1Cは、キートップ3の上層側の光案内部3Bの外周面に遮光部3cが形成され、光案内部3Bが外部からの光を遮蔽する機能を有する層となっている。キートップ3の下層側の光案内部3Aは、透明な樹脂材料で形成されており内部に光反射部3dが設けられている。
【0047】
光反射部3dは、キートップ3の側面3aから入射した光を表面3bに向けることができるように円錐形状である。光反射部3dは、側面3aと表面3bに向かう反射面が、金属反射面または白色の塗装面、あるいは面粗れを施した乱反射面である。
【0048】
図3(A)に示すように、キートップ3が後退していると、遮光部3cが導光部材2に対向して、光がキートップ3の内部に入らず、キートップ3は照光されない。図3(B)に示すように、キートップ3が前方へ突出すると、光反射部3dを有する光案内部3Aが導光部材2に対向する。導光部材2の出射面2bから出射した光は、光案内部3Aの内部の光反射部3dで反射されて表面3bに至り、キートップ3の表面3bの全域が明るく照光される。
【0049】
図4に示す入力装置1Dでは、キートップ3の全体が透明な合成樹脂材料で形成されており、その内部に導光路3eが埋め込まれている。導光路3eが一方の光案内部として機能し、キートップ3のうちの前記導光路3eを除く部分が他方の光案内部として機能している。
【0050】
導光路3eは光ファイバーのような光透過部材で形成されており、導光路3eの屈折率は、キートップ3を形成している合成樹脂材料の屈折率よりも高いことが好ましい。導光路3eはキートップ3の内部で湾曲しており、入射側の端面3e1がキートップ3の下層側の側面3aに現れ、出射側の端面3e2がキートップ3の表面3bに設けられている。
【0051】
導光路3eは左右1本づつ設けられてもよいし、左右に複数本ずつ埋設されていてもよい。キートップ3の表面3bにおいて、複数の導光路3eの端面3e2を文字、記号、図形を形成するように並べてもよい。または断面が、文字、記号、図形の形状の導光路3eを使用し、表面3bに現れる出射側の端面3e2で文字、記号、図形が表現されていてもよい。
【0052】
図4(A)に示すように、キートップ3が後退している非アクティブ状態では、導光部材2側の出射面2bが、導光路3eの入射側の端面3e1とは対向せず、キートップ3の他の透明な部分に対向している。この場合、キートップ3は全面が照光されることなく、表面3bの周囲部分のみがやや明るく照らされる。
【0053】
図4(B)に示すアクティブ状態では、キートップ3が前方へ突出し、導光部材2側の出射面2bと導光路3eの入射側の端面3e1とが対向する。出射面2bから出射した光は、導光路3eの内部に導かれて出射側の端面3e2に至り、キートップ3の表面3bでは、導光路3eの端面3e2の周囲が明るく照らされる。よって端面3e2の形状に対応した照光が行われる。
【0054】
なお、一方の光案内部である導光路3eと、他方の光案内部であるキートップ3の前記導光路3e以外の部分の、いずれか一方が透明で他方が光散乱層であってもよい、または、2つの光案内部が共に光散乱層であって散乱率が相違するものであってもよい。あるいは、2つの光案内部が色相の相違する層であったり、光の透過率の相違する層であってもよい。
【0055】
また、図1や図2に示すように、キートップの上層と下層が異なる光案内層である場合も、2つの光案内部が共に光散乱層であって散乱率が相違するものであってもよいし、2つの光案内部が色相の相違する層であったり、光の透過率の相違する層であってもよい。
【0056】
次に、本発明の入力装置に使用されるアクチュエータの他の実施の形態を、以下の実施の形態として説明する。
【0057】
図5に示す入力装置1Eでは、高分子型のアクチュエータ11がベース6上に設けられている。アクチュエータ11は、シート状の高分子型のアクチュエータを帯状に形成したものである。
【0058】
アクチュエータ11の長手方向の中心には固定部材7が設けられており、この固定部材7によりアクチュエータ11の中心部11aがベース6上に固定されている。アクチュエータ11の中心部11a以外の両側の先端部11b,11bは、自由に変形することが可能な自由端である。
【0059】
図5(A)に示すように、アクチュエータ11が非駆動状態にある場合には、キートップ3が図示下方に位置する非アクティブ状態にあり、キートップ3の底面は固定部材7に接している。すなわち、キートップ3は固定部材7に支持される状態にある。図5(B)に示すように、アクチュエータ11の両面の電極間に電界を与えて駆動状態とすると、アクチュエータ11は中心部11aを支点としてその両端の先端部11b,11bが、ベース6から図示上方に持ち上がるように撓み変形させられる。
【0060】
これにより、先端部11b,11bがキートップ3の底面を支持して図示上方に持ち上げる。よって、キートップ3が開口穴2Aから前方へ突出するアクティブ状態に設定される。
【0061】
図6に示す入力装置1Fでは、シート状の高分子型のアクチュエータを帯状に形成したアクチュエータ12が、ベース6の上部に設けられた開口穴2Aと対向する位置に設けられている。キートップ3の底面の中心部に連結部材8が固定され、連結部材8の下端がアクチュエータ12の上面の長手方向の中心部12aに当接している。アクチュエータ12の両側の先端部12b,12bは、自由に変形することが可能な自由端である。
【0062】
図6(A)に示すように、アクチュエータ12が変形前の非駆動状態にある場合には、キートップ3は非アクティブ状態にあり、図示下方に位置している。図6(B)に示すように、アクチュエータ12の両面の電極間に電界を与えて駆動状態とすると、アクチュエータ12は中心部12aを支点としてその両端の先端部12b,12bが図示下方に撓み変形するため、中心部12aがベース6から図示上方に持ち上げられる。このため、キートップ3が連結部材8を介してアクチュエータ12により上方に持ち上げられる。
【0063】
上記各実施の形態では、駆動状態にあるアクチュエータへの通電を断つと、アクチュエータは、それぞれ変形前の非アクティブ状態に復帰する。このとき、キートップ3は、自重により下方の位置に後退する。
【0064】
図7に示す入力装置1Gは、キートップ3が可動板9上に固定されており、一対のアクチュエータ13A,13Bによって可動板9の縁部が上下方向から支持されている。
【0065】
一対のアクチュエータ13A,13Bは、共に高分子型のアクチュエータを帯状に形成したものである。上部側のアクチュエータ13Aの一端(固定端)は導光部材2の下面側に設けられた支持部材5Aに固定にされ、他端(自由端)は可動板9の上面に延びている。下部側のアクチュエータ13Bの一端(固定端)は導光部材2のベース6に設けられた支持部材5B上に固定され、他端(自由端)は可動板9の下面に延びている。
【0066】
図7(A)(B)に示すものでは、中心部を挟んで左右対称となる位置に、一対のアクチュエータ13A,13Bがそれぞれ設けられているが、このような一対のアクチュエータ13A,13Bを、キートップ3の周囲に複数組み配置した構成であってもよい。
【0067】
図7(A)に示すように、アクチュエータ12が変形前の非駆動状態にある場合には、キートップ3は導光部材2から図示下方に離れた非アクティブ状態にある。キートップ3が固定された可動板9は、上下方向から一対のアクチュエータ13A,13Bで挟まれて支持されているため、入力装置1Gの上下逆向きとしても、非アクティブ状態にあるキートップ3が自重により移動して開口穴2Aから突出することがない。
【0068】
図7(B)に示すように、一対のアクチュエータ13A,13Bの両面の電極間に同時に電界を与えて駆動状態にすると、一対のアクチュエータ13A,13Bは支持部材5A,5B側の固定端を支点として同時に変形する。
【0069】
すべての一対のアクチュエータ13A,13Bは共に同じ方向に、すなわち図7(B)に示すように共に上方向に同じ変位量だけ変形できるように構成されている。このため、一対のアクチュエータ13A,13Bに支持された可動板9およびキートップ3を、水平姿勢を維持した状態で上下方向(板厚方向)に昇降移動させること可能である。
【0070】
一対のアクチュエータ13A,13Bが変形すると、可動板9に搭載されているキートップ3が上方に持ち上げられ、キートップ3が開口穴2Aから前方へ突出するアクティブ状態に設定される。
【0071】
図8に示す入力装置1Hでは、上下方向(または板厚方向)に伸縮性を発揮するアクチュエータ14が使用されている。
【0072】
このようなアクチュエータ14としては、例えばゴム状の高分子膜(エラストマー)を板厚方向に伸び縮み可能な電極で上下方向から挟んだ構造からなる電歪エラストマ、形状記憶合金(SMA)、形状記憶樹脂などの形状記憶素子を用いることができる。
【0073】
本実施の形態に示すアクチュエータ14は柱状または環状からなる外観形状を有している。外観が柱状のアクチュエータ14である場合には、複数のアクチュエータ14を開口穴2Aの外側に周方向に並べることにより構成される。また外観が環状のアクチュエータ14である場合には、アクチュエータ14の中心を開口穴2Aの中心に一致させた状態で導光部材2の下面に固定したものである。
【0074】
キートップ3は可動板9上に固定されており、この状態で導光部材2の下面側から開口穴2A内に挿入されている。
【0075】
アクチュエータ14は、上端が導光部材2の下面に固定され、下端が可動板9の表面に固定されている。なお、アクチュエータ14の板厚方向の寸法はすべての箇所で一定であり、変形後の変位量も均等である。
【0076】
図8(A)に示すように、非駆動状態ではアクチュエータ14は伸張状態にある。この状態では、上記同様にキートップ3が後退する。図8(B)に示すように、アクチュエータ14を通電して駆動状態にすると、アクチュエータ14は導光部材2側を基準として板厚方向に収縮する。
【0077】
アクチュエータ14が変形すると、可動板9に搭載されているキートップ3が上方に持ち上げられ、キートップ3が開口穴2Aから前方へ突出するアクティブ状態に設定される。
【符号の説明】
【0078】
1A〜1H 入力装置
2 導光部材
2A 開口穴
2a 入射面
2b 出射面(内周面)
3 キートップ
3A 光案内部
3B 光案内部
3a 側面
3b 表面
3c 遮光部
3d 光反射部
4 発光素子
5 支持部材
6 ベース
7 固定部材
8 連結部材
9 可動板
10,11,12,13A,13B,14 アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル表面に配置された操作体と、光源から発せられる光を前記操作体に導く導光部材と、前記操作体の操作状態を検知する検知手段とが設けられた入力装置において、
前記パネル表面からの前記操作体の突出位置を変化させるアクチュエータが設けられており、
前記操作体は、前記パネル表面からの突出位置が変化するときに、前記導光部材から光を受ける場所が相違し、前記操作体は、前記導光部材から光を受ける場所の違いによって照光状態が変化することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記操作体の内部に、光を受けたときの照光状態が相違する少なくとも2種類の光案内部が設けられ、前記操作体の突出位置が変化することで、前記導光部材からの光を受ける前記光案内部が切り換えられる請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記光案内部は、内部での光の拡散状態が相違する層の組み合わせである請求項1または2記載の入力装置。
【請求項4】
前記光案内部は、前記操作体の操作表面に向けて光を導く経路が相違する層の組み合わせである請求項1または2記載の入力装置。
【請求項5】
前記光案内部は、その内部を通過する光の反射状態が相違する層の組み合わせである請求項1または2記載の入力装置。
【請求項6】
前記光案内部は、その内部に入ろうとする光に対する遮蔽効果が相違する層の組み合わせである請求項1または2記載の入力装置。
【請求項7】
前記パネルそのものが前記導光部材であり、前記パネルに穴が形成されてその穴の内部に前記操作体が位置し、前記導光部材の内部を伝播する光が、前記の穴の内周面から前記操作体に与えられる請求項1ないし6のいずれかに記載の入力装置。
【請求項8】
共通の前記導光部材に対向する複数の前記操作体と、それぞれの前記操作体の突出位置を変化させる複数の前記アクチュエータとが設けられている請求項1ないし7のいずれかに記載の入力装置。
【請求項9】
前記操作体が前記パネル表面から前方へ突出したときに、前記検知手段による検知動作が可能になる請求項1ないし8のいずれかに記載の入力装置。
【請求項10】
前記アクチュエータは、通電により変形する電歪エラストマ、または形状記憶素子で形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−257663(P2010−257663A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104601(P2009−104601)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】