説明

入力装置

【課題】検出面上において、他の領域と異なる触感を与える領域を任意の位置に形成することができる入力装置を提供する。
【解決手段】実施の形態に係る入力装置1は、主に、検出面120に対する接触を検出する検出部10と、検出面120の法線方向に検出部10を振動させることにより、他の領域と摩擦係数の異なる領域を検出面120に発生させる振動発生部20と、を備える。この入力装置1は、検出部10を超音波振動させることで、検出面120上にスクイーズ膜の領域と、スクイーズ膜のない領域と、を形成するので、検出面120上において、ホームポジション3を任意の位置に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、触れた点に基づいた信号を出力するタッチパッド部と、タッチパッド部からの信号に基づいて信号の解析を行って座標点を算出し、算出した座標点の情報を含む信号を出力する信号解析部と、を備えたキーボードタッチパッドが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このキーボードタッチパッドのタッチパッド部の下には、キーの位置を表示するシートが設けられ、タッチパッド部を介してキー配列が認識でき、さらに、タッチパッド部には、ホームポジションを示す小さな突起物を備えている。操作者は、この突起物を介してホームポジション(タッチパッド部の基準位置)を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−254624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のキーボードタッチパッドは、ホームポジションを示す小さな突起物がタッチパッド部に設けられているので、その位置を変更することができない。
【0006】
従って、本発明の目的は、検出面上において、他の領域と異なる触感を与える領域を任意の位置に形成することができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出面に対する接触を検出する検出部と、検出面の法線方向に検出部を振動させることにより、他の領域と摩擦係数の異なる領域を検出面に発生させる振動発生部と、を備える入力装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出面上において、他の領域と異なる触感を与える領域を任意の位置に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、実施の形態に係る入力装置の斜視図であり、(b)は、入力装置の側面図であり、(c)は、振動が付加された入力装置の側面図であり、(d)は、入力装置に形成される領域を説明するための上面図である。
【図2】図2(a)は、実施の形態に係る入力装置のブロック図であり、(b)は、第1の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(c)は、第2の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(d)は、第3の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(e)は、第4の超音波振動子の振幅と時間のグラフである。
【図3】図3(a)は、実施の形態に係る入力装置に形成される領域を説明するための上面図であり、(b)は、第1の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(c)は、第2の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(d)は、第3の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(e)は、第4の超音波振動子の振幅と時間のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る入力装置は、検出面に対する接触を検出する検出部と、検出面の法線方向に検出部を振動させることにより、他の領域と摩擦係数の異なる領域を検出面に発生させる振動発生部と、を備える。
【0011】
(入力装置1の構成)
図1(a)は、実施の形態に係る入力装置の斜視図であり、(b)は、入力装置の側面図であり、(c)は、振動が付加された入力装置の側面図であり、(d)は、入力装置に形成される領域を説明するための上面図である。図2(a)は、実施の形態に係る入力装置のブロック図であり、(b)は、第1の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(c)は、第2の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(d)は、第3の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(e)は、第4の超音波振動子の振幅と時間のグラフである。なお、実施の形態に係る各図において、部品と部品との比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1(a)におけるXYZ座標系は、直交座標系であり、X軸がタッチパネル12の長手方向に平行な軸であり、Y軸がタッチパネル12の短手方向に平行な軸であり、Z軸がタッチパネル12の検出面120の法線方向に平行な軸である。なお、検出面120は、平坦であるものとする。
【0013】
実施の形態に係る入力装置1は、主に、検出面120に対する接触を検出する検出部10と、検出面120の法線方向に検出部10を振動させることにより、他の領域と摩擦係数の異なる領域を検出面120に発生させる振動発生部20と、を備える。ここで他の領域とは、図1(c)及び(d)に示す第1の領域25〜第4の領域28である。また、他の領域と摩擦係数が異なる領域とは、ホームポジション3に対応する領域である。
【0014】
入力装置1は、例えば、接続された電子機器の操作を行うことができるものである。入力装置1は、例えば、操作者の体の一部(例えば、指)や専用のペンで検出面120に触れることにより、電子機器に表示されたカーソルの移動やカーソルによる選択、表示されたアイコンのドラッグ、ドロップ等の指示を行うことができるように構成されている。本実施の形態では、指による操作について説明する。
【0015】
操作者は、例えば、入力装置1に対してタッチ操作、タップ操作、スライド(なぞり)操作およびジェスチャ操作等を行うことができる。ここで、タッチ操作とは、例えば、指で検出面120に接触する操作を示す。タップ操作は、タッチ操作よりも短い時間で入力装置1に接触する操作であり、所定の時間内に複数回繰り返すことで、回数に応じた異なる機能を実行させる操作を示す。また、スライド操作とは、例えば、指を検出面120に接触させたまま移動させる操作を示す。ジェスチャ操作とは、例えば、操作指の軌跡が予め定められた形状と相似であるとき、その形状に割り当てられた機能を実行させる操作を示す。ジェスチャ操作の判定は、例えば、パターンマッチングを用いた方法等の周知の方法が用いられる。
【0016】
・検出部10の構成
検出部10は、図1(a)に示すように、Xステージ11a及びYステージ11bと、タッチパネル12と、を備えて概略構成されている。
【0017】
タッチパネル12としては、例えば、周知の抵抗膜方式、静電容量方式等のタッチパネルを用いることが可能である。
【0018】
本実施の形態に係るタッチパネル12は、例えば、検出面120に指が近づくことによる、センサワイヤと指との距離に反比例した電流の変化を検出する静電容量方式のタッチパネルである。このタッチパネル12は、例えば、上部にガラス平板を備え、そのガラス平板の下に、図示を省略した複数のセンサワイヤが設けられている。検出面120は、例えば、このガラス平板の表面である。
【0019】
図1(a)に示すX軸方向には、例えば、m個のセンサワイヤが等間隔で並べられている。このmは、例えば、正の整数である。また、図1(a)に示すY軸方向には、例えば、n個のセンサワイヤが等間隔で並べられている。このnは、例えば、正の整数である。
【0020】
X軸に沿って並べられたセンサワイヤは、例えば、Y軸に沿って並べられたセンサワイヤよりも検出面120に近い層に形成されている。また、X軸に沿って並べられたセンサワイヤは、例えば、Y軸に沿って並べられたセンサワイヤと電気的に絶縁されている。
【0021】
この検出部10のタッチパネル12は、例えば、図2(a)に示すように、制御部14に接続され、接触が検出された検出面120上の位置を示す検出信号を制御部14に出力するように構成されている。
【0022】
タッチパネル12は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、Xステージ11aの表面に設置されている。また、Xステージ11aとYステージ11bの間には、第1の超音波振動子21及び第2の超音波振動子22が配置されている。さらに、Yステージ11bの裏面には、第3の超音波振動子23及び第4の超音波振動子24が配置されている。このXステージ11a及びYステージ11bは、例えば、合成樹脂材を用いて板形状に形成されている。
【0023】
なお、Xステージ11a及びタッチパネル12は、例えば、振動発生部20による超音波振動が付加されても剛体としての性質を保つものとする。また、第3の超音波振動子23及び第4の超音波振動子24は、例えば、入力装置1の筐体に取り付けられている。Xステージ11a及びYステージ11bは、超音波振動が停止されたときは、初期位置に復帰するものとする。
【0024】
・振動発生部20の構成
振動発生部20は、例えば、第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24と、駆動部29と、を備えて概略構成されている。第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、例えば、ピエゾ効果又は磁気歪効果等により超音波振動を行う超音波振動子である。本実施の形態に係る第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、一例として、ピエゾ効果を用いた超音波振動子であるものとする。
【0025】
第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、電圧を加えると伸び縮みするピエゾ素子(圧電素子)を含んで概略構成され、このピエゾ素子に電圧を加えることで軸方向に振動し、対象物に超音波振動を与える振動子である。超音波振動とは、例えば、人間の耳には聞こえない周波数の振動である。この周波数は、数十kHz程度である。なお、超音波振動子(第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24)が振動する軸方向とは、図1(a)に示す正方向及び負方向を含むZ軸方向である。
【0026】
また、この超音波振動子の振幅は、一例として、数μmpp程度である。従って、検出部10が超音波振動を行う様子を図示することは困難であるため、図1(c)に示すように、図示し易い振幅としている。なお、超音波振動子は、図1(a)に示すように、矩形状であるが、これに限定されず、Xステージ11a又はYステージ11bの一点をZ軸方向に駆動するように構成された超音波振動子であっても良い。
【0027】
振動発生部20は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、一対の超音波振動子が対向するように配置される。具体的には、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22とが一対の超音波振動子として配置され、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24とが一対の超音波振動子として配置されている。
【0028】
第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22は、例えば、タッチパネル12の長手方向に配置されている。また、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24は、例えば、タッチパネル12の短手方向に配置されている。
【0029】
この第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、例えば、駆動部29に接続されている。この駆動部29は、制御部14から取得した制御信号に基づいて第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24に駆動信号を出力するように構成されている。
【0030】
振動発生部20は、例えば、第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24の超音波振動が同時に行われるように構成されている。
【0031】
また、一対の超音波振動子は、例えば、互いの位相が逆位相となって振動する。例えば、図2(b)及び(c)に示すように、第1の超音波振動子21が時間tにZ軸の正方向に振動を開始すると共に、第2の超音波振動子22がZ軸の負方向に振動を開始する。また、図2(d)及び(e)に示すように、第3の超音波振動子23が時間tにZ軸の正方向に振動を開始すると共に、第4の超音波振動子24がZ軸の負方向に振動を開始する。
【0032】
駆動部29は、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22の位相が逆位相となるように、また、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24の位相が逆位相となるように駆動信号を出力する。
【0033】
・制御部14の構成
制御部14は、例えば、プログラムに従って、取得した情報に演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。
【0034】
また、制御部14は、例えば、取得した検出信号に基づいた座標値から、指が接触、または近づいた座標を算出する。この座標の算出方法は、例えば、加重平均を用いた方法等の周知の方法が用いられる。制御部14は、例えば、算出した座標の情報を含む操作信号を生成して出力するように構成されている。
【0035】
(動作)
以下に、本実施の形態に係る入力装置1の動作について各図を参照しながら詳細に説明する。まず、ホームポジション3がタッチパネル12の中央に形成される場合の動作について説明する。
【0036】
・ホームポジション3を中央に形成する場合
駆動部29は、制御信号に基づいて第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22を互いに逆位相で、かつ、同じ振幅で振動させ、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24を互いに逆位相で、かつ、同じ振幅で振動させる。以下では、第1の超音波振動子21及び第2の超音波振動子22による超音波振動と、第3の超音波振動子23及び第4の超音波振動子24による超音波振動を分けて説明する。
【0037】
まず、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22の超音波振動により、Xステージ11aを介してタッチパネル12に振動が伝達し、タッチパネル12には、例えば、図1(d)に示すように、Z軸の正方向及び負方向に振動する第1の領域25と第2の領域26とが発生する。この第1の領域25と第2の領域26との仮想の境界30が、例えば、図1(d)に一点鎖線で示すように、タッチパネル12上の長手方向に、直線状に現れる。なお、第1の領域25とは、図1(c)に示すタッチパネル12の中央から下方の領域であり、第2の領域26とは、中央から上方の領域である。
【0038】
この超音波振動により発生する第1の領域25及び第2の領域26には、スクイーズ膜効果が現れる。このスクイーズ膜効果とは、タッチパネル12が超音波振動することにより、タッチパネル12上に空気の膜(スクイーズ膜)が形成される効果である。第1の領域25及び第2の領域26は、このスクイーズ膜により、スクイーズ膜が形成されない場合よりも、指滑りが滑らかになる。言い換えるなら、第1の領域25及び第2の領域26は、仮想の境界30に比べて指滑りが滑らかになる。つまり、仮想の境界30は、他の領域(第1の領域25及び第2の領域26)と摩擦係数が異なる領域となる。
【0039】
続いて、第3の超音波振動子23及び第4の超音波振動子24の超音波振動により、Yステージ11b、第1の超音波振動子21、第2の超音波振動子22、及びXステージ11aを介してタッチパネル12に振動が伝達し、タッチパネル12には、例えば、図1(d)に示すように、Z軸の正方向及び負方向に振動する第3の領域27と第4の領域28とが発生する。この第3の領域27と第4の領域28との仮想の境界31は、例えば、図1(d)に二点鎖線で示すように、タッチパネル12上の短手方向に、直線状に現れる。なお、第3の領域27とは、図1(c)に示すタッチパネル12の中央から左側の領域であり、第4の領域28とは、中央から右側の領域である。
【0040】
この超音波振動により発生する第3の領域27及び第4の領域28には、第1の領域25及び第2の領域26と同じようにスクイーズ膜効果が現れる。第3の領域27及び第4の領域28は、このスクイーズ膜により、スクイーズ膜が形成されない場合よりも、指滑りが滑らかになる。言い換えるなら、第3の領域27及び第4の領域28は、仮想の境界31に比べて指滑りが滑らかになる。つまり、仮想の境界31は、他の領域(第3の領域27及び第4の領域28)と摩擦係数が異なるとなる。
【0041】
第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、同時に振動しているため、仮想の境界30及び境界31の交点、すなわち、ホームポジション3のみが、他の領域と比べて摩擦係数が異なる領域となる。つまり、ホームポジション3は、他の領域と比べて、摩擦係数が高い領域となる。
【0042】
操作者は、タッチパネル12の検出面120に指を接触させ、ホームポジション3を確認する動作を行うと、他の領域は、指滑りが滑らかである一方、ホームポジション3の領域では、指滑りが他の領域と異なって感じる。従って操作者は、タッチパネル12に視線移動することなく、ホームポジション3を触感により確認することが可能となる。
【0043】
・ホームポジション3を任意の位置に形成する場合
図3(a)は、実施の形態に係る入力装置に形成される領域を説明するための上面図であり、(b)は、第1の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(c)は、第2の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(d)は、第3の超音波振動子の振幅と時間のグラフであり、(e)は、第4の超音波振動子の振幅と時間のグラフである。以下に、ホームポジション3をタッチパネル12上の任意の位置に形成する動作について、各図を参照して詳細に説明する。ここでは、ホームポジション3をタッチパネル12の左上に形成する場合の動作を説明する。
【0044】
まず、制御部14は、ホームポジション3を形成する位置に関する情報に基づいて制御信号を生成し、駆動部29に出力する。この情報は、外部から取得されても良いし、予め制御部14に記憶されていても良い。
【0045】
駆動部29は、制御信号に基づいて第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22を互いに逆位相で、かつ、異なる振幅で振動させ、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24を互いに逆位相で、かつ、異なる振幅で振動させる。以下では、第1の超音波振動子21及び第2の超音波振動子22による超音波振動と、第3の超音波振動子23及び第4の超音波振動子24による超音波振動を分けて説明する。
【0046】
ホームポジション3をタッチパネル12の中央に形成する場合、中央を通る仮想の境界30を形成するため、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22の振幅は、同じ振幅とされた。しかし、図3(a)に示す位置、すなわち、図3(a)の紙面において、タッチパネル12の左上にホームポジション3を形成する場合、境界30は、中央より上方に形成されなければならない。従って、駆動部29は、図3(b)及び(c)に示すように、第1の超音波振動子21の振幅が、第2の超音波振動子22の振幅よりも大きくなるような駆動信号を生成し出力する。よって、仮想の境界30は、図3(a)に示すように、タッチパネル12の中央から上方に形成される。
【0047】
また、ホームポジション3をタッチパネル12の中央に形成する場合、中央を通る仮想の境界31を形成するため、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24の振幅は、同じ振幅とされた。しかし、図3(a)に示す位置、すなわち、図3(a)の紙面において、タッチパネル12の左上にホームポジション3を形成する場合、仮想の境界31は、中央より左側に形成されなければならない。従って、駆動部29は、図3(d)及び(e)に示すように、第4の超音波振動子24の振幅が、第3の超音波振動子23の振幅よりも大きくなるような駆動信号を生成し出力する。つまり、第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、ホームポジション3の位置に応じて、それぞれの超音波振動子が異なる振幅で超音波振動を行う場合もある。よって、仮想の境界31は、図3(a)に示すように、タッチパネル12の中央から左側に形成される。
【0048】
第1の超音波振動子21〜第4の超音波振動子24は、同時に振動しているため、仮想の境界30及び境界31の交点、すなわち、ホームポジション3のみが、他の領域と比べて摩擦係数が異なる領域となる。従って、ホームポジション3は、図3(a)に示すように、仮想のタッチパネル12の左上に形成される。
【0049】
操作者は、タッチパネル12の検出面120に指を接触させ、ホームポジション3を確認する動作を行うと、他の領域は、指滑りが滑らかである一方、ホームポジション3の領域では、指滑りが他の領域と異なって感じる。従って操作者は、タッチパネル12に視線移動することなく、ホームポジション3を触感により確認することが可能となる。
【0050】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る入力装置1は、検出部10を超音波振動させることで、検出面120上にスクイーズ膜の領域と、スクイーズ膜のない領域と、を形成するので、検出面120上において、他の領域と異なる触感を与える領域を任意の位置に形成することができる。
【0051】
また、本実施の形態に係る入力装置1は、一対の超音波振動子が対向して配置されるので、片側のみに配置する場合と比べて、検出面120に複数のスクイーズ膜を形成することが可能となり、任意の位置にホームポジション3を形成することが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態に係る入力装置1は、一対の超音波振動子が互いの位相が逆位相となるような超音波振動を行うので、同じ位相で超音波振動する場合には形成されない、スクイーズ膜を形成することが可能となる。
【0053】
さらに、本実施の形態に係る入力装置1は、一対の超音波振動子が互いに異なる振幅で超音波振動を行うので、同じ振幅で超音波振動を行う場合よりも、ホームポジション3を形成する位置に自由度がある。
【0054】
なお、本実施の形態の変形例として、入力装置1は、操作者の指を止めさせたい位置にホームポジションを形成することができる。つまり、これは、例えば、電子機器の表示部に表示されたアイコンを選択させたいとき、入力装置1は、このアイコンに相当するタッチパネル12の位置にホームポジション3を形成することにより、触感で指を止める位置を認識させることができる。
【0055】
また、他の変形例として、本実施の形態に係る入力装置1は、タッチパネル12の長手方向及び短手方向に沿って超音波振動子が配置されたがこれに限定されず、一対の超音波振動子が対向して配置されるのであれば、タッチパネル12またはXステージ11a及びYステージ11bの辺に沿う必要はない。また、超音波振動子は、Xステージ11a及びYステージ11bを持たない構成として、タッチパネル12が配置された1つの部材に振動を付加する構成でも良い。
【0056】
また、他の変形例として、本実施の形態に係る超音波振動子の数は、上記に限定されず、用途に応じて自由に変更可能である。また、超音波振動子は、例えば、タッチパネル12の形状に合わせて配置や個数が変更可能である。
【0057】
また、他の変形例として、入力装置1は、一の一対の超音波振動子と他の一対の超音波振動子が交互に超音波振動を行っても良い。つまり、入力装置1は、第1の超音波振動子21と第2の超音波振動子22とが超音波振動を行った後、第3の超音波振動子23と第4の超音波振動子24とが超音波振動を開始し、これが繰り返される構成としても良い。
【0058】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…入力装置、3…ホームポジション、10…検出部、11a…Xステージ、11b…Yステージ、12…タッチパネル、14…制御部、20…振動発生部、21〜24…第1の超音波振動子〜第4の超音波振動子、25〜28…第1の領域〜第4の領域、29…駆動部、30、31…境界、120…検出面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に対する接触を検出する検出部と、
前記検出面の法線方向に前記検出部を振動させることにより、他の領域と摩擦係数の異なる領域を前記検出面に発生させる振動発生部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
前記振動発生部は、一対の振動子が対向するように配置される請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記一対の振動子は、互いの位相が逆位相となる請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記一対の振動子は、互いに異なる振幅で振動する請求項3に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−243189(P2012−243189A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114541(P2011−114541)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】