説明

入退室管理装置

【課題】扉の開閉状態に応じてセンター装置に警報を通知する入退室装置において、不必要な警報の発生を低減した入退室装置の提供を目的とする。
【解決手段】入退室管理装置100は、電気錠120から扉200の扉開閉状態を取得し、人感センサ110から扉200周辺にいる人の人検出状態を取得する。入退室管理装置100は、扉200の開状態が継続して検出されている場合に、人のいない状態が一定時間継続して検出されると、警報情報を生成してセンター装置300に送信する。これにより、不必要な警報の発生を低減する入退室装置を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出入りが管理される所定の領域への入退室を管理する入退室管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、通行者の通行可否を判定する通行可否判定手段により通行可と判定された時のみ扉の電気錠を解錠し、通行者により扉が閉められたときに上記電気錠を施錠する際、上記扉が開放されてから閉じるまでの扉開放時間が設定された長時間扉開放時間以上となったときに警報を発するようにした入退室管理装置が開示されている。
【0003】
しかし、長時間の開放データの収集結果をもとに異常と判断する扉の開放時間を決定しているため、例えば、会社の昼休みなどで、扉開放状態のまま、多数の人が通行するような場合には、警報を発する必要がないにも関わらず、警報が発せられてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−34740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、扉の開閉状態に応じて警報を発する入退室装置において、不必要な警報の発生を低減した入退室装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の入退室管理装置は、
所定の扉の開閉状態を検出する開閉状態検出部と、
前記所定の扉の付近にいる人を検出する人検出部と、
前記開閉状態検出部によって検出される前記扉の開閉状態と、前記人検出部による人の検出状態とに基づいて、注意を喚起する警報情報を生成するかどうかを判定する警報生成判定部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明により、扉の開閉状態に応じて警報を発する入退室装置において、不必要な警報の発生を低減する入退室装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における入退室管理システム1000の構成図。
【図2】実施の形態1における入退室管理装置100のブロック図。
【図3】実施の形態1における入退室管理装置100の動作フロー。
【図4】実施の形態2における入退室管理装置100の動作フロー。
【図5】実施の形態3における入退室管理装置100の動作フロー。
【図6】実施の形態4における入退室管理装置100のハードウェア構成。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に示す実施の形態では、入退室管理装置100が、扉200の開閉状態に加えて、扉200の付近に人が存在するかどうかに基づいて、ネットワーク接続されているセンター装置300に警報を通知するかどうかを判定する。
【0010】
実施の形態1.
図1〜図3を参照して、実施の形態1の入退室管理システム1000における入退室管理装置100を説明する。実施の形態1の入退室管理装置100は、扉開閉状態が「扉開」状態であり、かつ、人検出状態として「人を検出しない」状態が一定時間(例えば30秒)継続した場合のみ、センター装置300に「扉が長時間開放されている異常な状態」となったことを通知することを特徴とする。この特徴により、扉開閉状態が「扉開」状態の場合に直ちに警報が通知されるという場合を回避できる。これにより、例えば、会社の昼休みなどで、扉開放状態のまま、多数の人が通行するような場合には、警報を発する必要がないにも関わらず、警報が発せられてしまうという事態を回避することができる。
【0011】
(システム構成)
図1は、実施の形態1の入退室管理システム1000のシステム構成図である。入退室管理システム1000は、扉200の開閉状態を検知する入退室管理装置100と、入退室管理装置100から警報を受信するセンター装置300を備えている。入退室管理装置100は、カードリーダとして実現される。入退室管理装置100は、電気錠120と接続しており、電気錠120から扉開閉状態3を取得する。また入退室管理装置100は扉200の周辺に人がいるかどうかを扉200の周辺に配置された人感センサ110から人検出状態4を取得する。なお、後述のように人感センサ110に代えて撮影カメラの映像によって人を検出してもよい。入退室管理装置100はネットワークを介してセンター装置300と接続している。
【0012】
(入退室管理装置100の構成)
図2は、入退室管理装置100の構成図である。入退室管理装置100は、開閉状態検出部101と、人検出部102と、警報生成判定部103とを備えている。開閉状態検出部101は、電気錠120の状態(施錠/解錠)により、扉200の開閉状態を検出する。人検出部102(センサ信号検出部)は、人感センサ110からの検出信号の有無により、扉200の付近にいる人を検出する。警報生成判定部103は、開閉状態検出部101によって検出される扉200の開閉状態と、人検出部102による人検出状態とに基づいて、注意を喚起する警報情報を生成するかどうかを判定する。警報生成判定部103は、生成すると判定した場合は警報情報を生成し、生成した警報情報をセンター装置300に送信する。なお、警報生成判定部103は、時間を計測するタイマー部1031を備えている。
【0013】
(撮影カメラ)
なお、人検出部102は人感センサ110により人の有無を判断する他に、人感センサ110でなく、扉200の周辺を撮影する撮影カメラによる撮像データから画像認識により人を検出する画像解析部でもよい。構成の簡単な人感センサでは物を人と誤検出する可能性もあるので、人検出部102を画像解析部とすることで、人検出の精度が向上する。
【0014】
(動作)
図3を参照して実施の形態1の入退室管理装置100の動作を説明する。図3は、警報生成判定部103の動作を示すフローチャートである。警報生成判定部103は、扉200が開状態、かつ、人を検出しない状態が、一定時間継続した場合にのみ、長時間扉が開放されており、異常な状態であることを、センター装置300に通知する。
【0015】
S11において、警報生成判定部103は、人検出部102により人の存在が検出されたことを契機として、タイマー部1031によるカウントを開始する。
【0016】
S12において、警報生成判定部103は、開閉状態検出部101の検出状態により、扉200の状態を判定する。扉200が閉まっている場合には処理を終了する(S17)。
【0017】
警報生成判定部103は、扉200が開いている場合は、S13において、人検出部102により人の存在が検出されているかどうかを判定する。
【0018】
人が検出された場合は、S11に戻り、警報生成判定部103はタイマー部1031をリセットして再びカウントを開始する。すなわち、人が検出される場合は、S11、S12、S13、S11をループ(ループ1)するので、タイマー部1031による計測時間は進まない。
【0019】
S13で人が検出されない場合は、S14に進み、警報生成判定部103はタイマー部1031の計測時間が一定時間を経過したかどうかを判定する。一定時間を経過していなければ、警報生成判定部103による処理は、S14のNO、S12、S13、S14のNOをループ(ループ2)する。警報生成判定部103は、S14においてタイマーの計測時間が一定時間を経過したと判定すると(S14のYES)、S15において、警報情報を生成し、センター装置300に警報情報を送信し、送信後、処理を終了する。
【0020】
実施の形態1の入退室管理装置100では、警報生成判定部103が、開閉状態検出部101によって扉200の開状態が継続して検出されている場合に、人検出部102によって人のいない状態が一定時間継続して検出(ループ2)された場合に、警報情報を生成し、センター装置300に送信するので、無駄な通報をなくすことができる。すなわち、図1に示したように、最初の人がカード操作により扉200を開けて通行した後、扉200が開いている状態のまま多数の人が扉200を通行するような場合は、入退室管理装置100は、正常な状態であると判断し、センター装置300に通知しないことが可能となる。
【0021】
実施の形態2.
次に図4を参照して実施の形態2を説明する。システム構成及び入退室管理装置100の構成は実施の形態1と同様である。
【0022】
実施の形態2の入退室管理装置100は、扉200が閉状態、かつ、人を検出している状態が、一定時間継続した場合、その者を不審者と判断し、センター装置300に警報を通知する構成である。この構成によりセキュリティを向上することができる。
【0023】
(動作)
図4を参照して実施の形態2の入退室管理装置100の動作を説明する。図4は、警報生成判定部103の動作を示すフローチャートである。警報生成判定部103は、扉200が閉状態、かつ、人を検出している状態が一定時間継続した場合に、不審者が存在すると判断して警報をセンター装置300に通知する。
【0024】
S21において、警報生成判定部103は、人検出部102により人の存在が検出されたことを契機として、タイマー部1031によるカウントを開始する。
【0025】
S22において、警報生成判定部103は、開閉状態検出部101の検出状態により、扉200の状態を判定する。扉200が開いている場合には処理を終了する(S26)。
【0026】
警報生成判定部103は、扉200が閉まっている場合は、S23において、人検出部102により人の存在が検出されているかどうかを判定する。
【0027】
人が検出されない場合は、S26に進み処理は終了する。
【0028】
S23で人が検出された場合は、処理はS24に進み、警報生成判定部103はタイマー部1031の計測時間が一定時間を経過したかどうかを判定する。一定時間を経過していなければ、警報生成判定部103による処理は、S24のNO、S22、S23、S24のNOをループする。警報生成判定部103は、S24においてタイマーの計測時間が一定時間を経過したと判定すると(S24のYES)、S25において、不審者ありの警報情報を生成し、センター装置300に警報情報を送信し、送信後、処理を終了する(S26)。
【0029】
実施の形態2の入退室管理装置100では、警報生成判定部103が、開閉状態検出部101によって扉200の閉状態が継続して検出されている場合に、人検出部102によって人のいる状態が一定時間継続して検出されると、警報情報を生成し、センター装置300に送信するので、セキュリティを向上することができる。
【0030】
実施の形態3.
図5は、実施の形態3の入退室管理装置100の動作を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1の図3のフローチャートと、実施の形態2の図4のフローチャートとを併せた内容である。すなわち、実施の形態3の入退室管理装置100は、図3の機能と、図4の機能とを併せ持ち、
(1)扉開閉状態が「扉開」状態、かつ、「人を検出しない」状態が一定時間継続した場合、
(2)扉開閉状態が「扉閉」状態、かつ、「人を検出する」状態が、一定時間継続した場合、
に、警報をセンター装置300に通知する構成である。
【0031】
また、入退室管理装置100が上記機能(1)、(2)を有する場合、時間帯により機能を切り替えるようにしてもよい。例えば、会社の出勤時間、昼休み、退社時間には、警報生成判定部103は機能(1)で動作し、夜間は機能(2)で動作するように、切り替え可能としてもよい。
【0032】
これにより、不必要な警報通知の低減と、セキュリティの向上を図ることができる。
【0033】
実施の形態4.
図6は、コンピュータで実現される入退室管理装置100のハードウェア資源の一例を示す図である。図6において、入退室管理装置100は、プログラムを実行するCPU810(Central Processing Unit)を備えている。CPU810は、バス825を介してROM(Read Only Memory)811、RAM(Random Access Memory)812、表示装置813、操作キー814、他の装置とのインタフェースであるI/F(Inter Face)部816、カード情報読取部105、磁気ディスク装置820などと接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置820の代わりに、フラッシュメモリなどの記憶装置でもよい。
【0034】
RAM812は、揮発性メモリの一例である。ROM811、磁気ディスク装置820等の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部、格納部、バッファの一例である。I/F部816、操作キー814、カード情報読取部105などは、入力部、入力装置の一例である。また、I/F部816、表示装置813などは、出力部、出力装置の一例である。
【0035】
I/F部816は、電気錠120、人感センサ110(あるいは撮影カメラ)、センター装置300などに接続されている。
【0036】
磁気ディスク装置820には、オペレーティングシステム821(OS)、プログラム群823、ファイル群824が記憶されている。プログラム群823のプログラムは、CPU810、オペレーティングシステム821により実行される。
【0037】
上記プログラム群823には、以上の実施の形態の説明において「〜部」として説明した機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU810により読み出され実行される。
【0038】
ファイル群824には、以上の実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の算出結果」、「〜の抽出結果」、「〜の生成結果」、「〜の処理結果」として説明した情報や、データや信号値や変数値やパラメータなどが、「〜ファイル」や「〜データベース」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」や「〜データベース」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU810によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0039】
また、以上に述べた実施の形態の説明において、データや信号値は、RAM812のメモリ、磁気ディスク装置820の磁気ディスク等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス825や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0040】
また、以上の実施の形態の説明において、「〜部」として説明したものは、「〜手段」、「〜回路」、「〜機器」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明したものは、ROM811に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。すなわちプログラムは、以上に述べた「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以上に述べた「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0041】
以上の実施の形態1〜4では、入退室管理装置100として、装置を説明したが、本実施の形態3のように、入退室管理装置100の動作を、コンピュータに実行させるプログラムとして把握することも可能である。あるいは、プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として把握することも可能である。さらに、入退室管理装置100の動作を入退室管理装置100が入退室管理方法として把握することも可能である。
【0042】
以上の実施の形態の入退室管理装置100では、警報生成判定部103が扉の開閉状態と、人の検出状態とに基づいて警報情報を生成するかどうかを判定するので、不要な警報の低減とセキュリティの向上を図ることができる。
【0043】
以上の実施の形態の入退室管理装置100では、警報生成判定部103は、扉の開状態が継続して検出されている場合に、人のいない状態が一定時間継続して検出されると警報情報を生成するので、不要な警報を低減できる。
【0044】
以上の実施の形態の入退室管理装置100では、警報生成判定部103は、扉の閉状態が継続して検出されている場合に、人のいる状態が一定時間継続して検出されると警報情報を生成するので、セキュリティの向上を図ることができる。
【0045】
以上の実施の形態の入退室管理装置100では、警報生成判定部103は、所定の時間帯に、人のいる状態が一定時間継続して検出た場合にのみ、警報情報を生成するので、所定の時間帯においてセキュリティの向上を図ることができる。
【0046】
以上の実施の形態の入退室管理装置100では、人検出部102は、画像解析部、あるいはセンサ信号検出部により実現されるので、検出精度及び設置コストにより、人検出部の構成を選択することができる。
【符号の説明】
【0047】
100 入退室管理装置、101 開閉状態検出部、102 人検出部、103 警報生成判定部、1031 タイマー部、110 人感センサ、120 電気錠、200 扉、300 センター装置、1000 入退室管理システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の扉の開閉状態を検出する開閉状態検出部と、
前記所定の扉の付近にいる人を検出する人検出部と、
前記開閉状態検出部によって検出される前記扉の開閉状態と、前記人検出部による人の検出状態とに基づいて、注意を喚起する警報情報を生成するかどうかを判定する警報生成判定部と
を備えたことを特徴とする入退室管理装置。
【請求項2】
前記警報生成判定部は、
前記開閉状態検出部によって前記扉の開状態が継続して検出されている場合に、前記人検出部によって人のいない状態が一定時間継続して検出されると、前記警報情報を生成することを特徴とする請求項1記載の入退室管理装置。
【請求項3】
前記警報生成判定部は、
前記開閉状態検出部によって前記扉の閉状態が継続して検出されている場合に、前記人検出部によって人のいる状態が一定時間継続して検出されると、前記警報情報を生成することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の入退室管理装置。
【請求項4】
前記警報生成判定部は、
所定の時間帯に、前記人検出部によって人のいる状態が一定時間継続して検出された場合にのみ、前記警報情報を生成することを特徴とする請求項3記載の入退室管理装置。
【請求項5】
前記人検出部は、
前記扉の付近の撮影画像を解析することにより前記扉の付近に人がいるかどうかを検出する画像解析部と、
前記扉の付近に設置された人感センサのセンサ信号に基づき、前記扉の付近にいる人を検出するセンサ信号検出部とのいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の入退室管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−250402(P2010−250402A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96695(P2009−96695)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】