説明

全オリーブ果汁の製造方法、該方法により得た組成物、および該組成物の化粧品および栄養食品への利用

本発明は、全オリーブ果汁を製造する方法に関し、この方法は、a)熟成度を基準にオリーブを選別するステップと、b)核果の形状で選別したオリーブを破砕し、攪拌するステップと、c)前記ステップで得たペーストを圧搾するステップと、d)前記ステップで得た果汁から、固形成分を分離するステップと、e)安定的なゲル化したエマルジョン形状で、全オリーブ果汁を回収するステップからなる。この方法により得た全果汁をベースとした組成物は、オリーブの油相および水相の混合であり、化粧品および栄養食品の分野に利用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全オリーブ果汁の製造方法、該方法により得た組成物、および該組成物の化粧品および栄養食品への利用に関する。
【背景技術】
【0002】
オリーブ(Olea europaea)およびその副産物の歴史は、数千年にわたるものである。紀元前37,000年のオリーブの葉の化石は、ギリシャのサントリーニ島の遺跡で見つけることができる。また、紀元前12,000年前の炭化したオリーブやオリーブの花粉が、サハラ砂漠の周縁で確認されている。
【0003】
オリーブは、硬い核を有した木に実る核果であり、パレスチナ、ギリシャ、シチリアにおけるオリーブの樹齢は、時として数百年、さらには数千年に及ぶ場合もある。様々な品種のオリーブの木が、地中海周辺で栽培されているほか、カリフォルニア、オーストラリア、南アフリカ、中国などでも栽培されている。グリーンオリーブは、果実が完全に熟す前(地中海沿岸では9月)に、収穫される。オリーブが黒い色になるのは、完全に熟してからである(地中海沿岸では12月〜2月)。
【0004】
オリーブの果肉に含まれるヘテログルコシド(オレウロペイン)の苦味のせいで、オリーブはそのままでは食用に適さず、アルカリ溶液で苦味成分を加水分解し、水洗いした後、塩水に漬けて保存する必要がある。
【0005】
オリーブオイルは、周知の様々な処理法で得ることができる。オイル用のオリーブは、水洗いした後、破砕してペースト状にし、このペーストを攪拌した後に圧力をかけ、さらに、上澄みの除去あるいは遠心分離により、「ケーキ」と呼ばれる固形物と、「オリーブ水」と呼ばれる水溶液と油分からなる液相とに分離される。オイルの生産量は、品種、抽出方法およびオリーブの熟成度などによって異なる。このため、果実100kgから得られるオイルの量は、完熟したオリーブの場合で、12kg〜25kgくらいである。
【0006】
この生産量は、熟成前に収穫されたオリーブではもっと低くなり、早期収穫のオリーブの場合、オイル生産量は5%〜6%ダウンする。独特の色および組成を有し「オンファス(青緑色の輝石)」とも呼ばれるこのオイルは、伝統的に、ギリシャの調香師に用いられ、その後、ローマ人が体用の塗油として使用したものである。
【0007】
昔から、人間は、オリーブおよびその副産品を多様な用途に活用している。グリ−ンオリーブおよびブラックオリーブは、食用として、幅広い調理法に適しており、地方料理として愛され続けている。
【0008】
さらに、非加熱圧縮法(コールドプレス)により得られるオイル(エキストラヴァージンオイル)は、クレタ式ダイエット、あるいはより広く地中海式ダイエットと呼ばれる食事療法に欠くことのできない本質的な要素である。この食事療法のパラドクスは、現在では解明されており、一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を75%含有するトリグリセリドの組成と関連する。さらに、ヘテログルコシド(オレウロペイン、リグステロシドまたはオレオカンタル)および加水分解の副産物であるフェノール類(チロソール、ヒドロキシチソロール)といったフェノール成分が存在するとの知見も得られている。また、オリーブオイルは、不けん化留分中にビタミン類(特にビタミンAとE)、スクアランおよびステロールを含有するという点も注目に値する。
【0009】
食餌療法目的のほか、オリーブオイルは経口薬剤の分野にも利用され、あるいは、胆汁の分泌を促進する穏やかな緩下作用を有するため、浣腸剤としても用いられる。
【0010】
外用には、その皮膚軟化作用のため、皮膚科学的に使用され(特に、石灰塗布薬)、また、たとえば樟脳油やニアウリオイルなど、多様な薬品処方における媒材として使用もされる。さらに、薬局方の定める条件に従い中和し滅菌した後、ある種の注射製剤の溶剤としても用いられる。
【0011】
産業分野においても、オリーブオイルは、石鹸の製造や化粧品の調合などにおいて、幅広く利用されている。
【0012】
核果を攪拌して分離した後の固形残滓である、いわゆる「ケーキ」は、回収されて家畜の飼料として利用されており、場合によっては肥料としても用いられる。
【0013】
最後に、液相からオイルを分離した後に得られるオリーブ水は、有機物質を豊富に含んだ廃水となるが、これらの成分を有効活用する方法がないため、オイル業界に重大な汚染問題を引き起こしている。
【0014】
実際、クレタ式ダイエットの効能が認識されて以来、食事療法、セラピーなどの目的でオリーブを用いることが、急速に拡大化している。近年、科学的研究により、オリーブオイルのポリフェノールがもたらす効果、すなわち、抗酸化作用やHDLコレステロール値の増加作用も明らかにされている。このことは、オリーブオイルにより、老化現象の減速効果や、ある種の疾病(心疾患、骨粗鬆症、腫瘍形成など)の防止効果がもたらされることを意味するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】仏国特許2867071号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、オリーブオイルの成分(不飽和脂肪酸のトリグリセリド、ヘテログルコシド、ビタミンAおよびE、スクアラン、ステロール、フェノール成分)によってもたらされる周知の特性を利用することのみならず、これまで利用されてこなかったオリーブ水に含まれる有益な活性成分、特に、高濃度の無機塩類(Ca、Mg、P、K)およびポリフェノールの特性を活用することを目的としている。しかしながら、これまではオリーブ水の成分については、単独で使用されるというオリーブオイルの本質的特性のため、オイルの生産に際し、常に除去されてきたものである。このため、このオリーブ水は、汚染を引き起こす厄介な廃水となっている。特に、工業的に連続して一つのラインで抽出を行う最新の技術においては、オイル抽出量を増加させるために、遠心分離の際に水を追加することから、廃水量が膨大に増加し、その分汚染を拡大することにつながっている。
【0017】
伝統的なオイル抽出過程は、破砕するステップ、攪拌するステップ、圧搾するステップ、そして上澄みを得て遠心分離するステップからなる、非連続的な方法である。この際、加水は一切行わない。続いて、水相(オリーブ水)を、油相と分離する。この油相が、果実の高貴な産物たるオリーブオイルである。この方法より得られるオリーブ水の濃度は、工業的プロセスで得られるオリーブ水の濃度よりも高く(乾燥抽出物換算での含有量は約2倍高い)、オリーブ水は長年にわたって無用のものとみなされてきただけに、深刻な汚染廃棄物となっている。
【0018】
残滓による汚染性質を軽減し、成分の一部を利用するため、オリーブ水を有効活用する試みがなされてきたが、これまでのところ成功には至っていない。この試みの難しさは、急速に酸化してしまうポリフェノールの不安定さにあり、液相での保存には問題がある点である。これに対して、溶液を噴霧または乾燥することにより、安定的、かつ、取り扱いが容易な粉末を得ればよいとも考えられる。しかしながら、成分の安定化を狙ったこの転換過程それ自体が、安定化させたい成分を急速に劣化させてしまうことになる。
【0019】
安定化させたオリーブ水の活性成分をオリーブオイルと混合することによりもたらされる利益は、これまで具体的ではなかった。仏国特許2867071号は、オリーブ水の乾燥抽出物と、オゾン化により過酸化したオリーブオイルを混合し、この相に新たな特性を付与した組成物について開示している。こうして得られる生産物は、複雑でコストのかかる処理を必要とるため、製造過程における負担を増やし、追加コストの発生を招く。そしてこの転換製品は、もはやオリーブオイルの天然の特性も、同等の品質も有さないのである。
【0020】
本発明は、こうした問題に解決策を提供するものである。本発明者は、古くから伝わる非連続的方法にヒントを得つつ、ペーストを圧搾して固形残滓と分離した後、直接的に、水相と油相を分離しない全オリーブ果汁を、水相の有効成分を安定的に保ったまま得る方法を開発したのである。
【0021】
すなわち、本発明は、全オリーブ果汁の製造方法、該方法により得た組成物、および該組成物の化粧品および栄養食品の分野への利用を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、全オリーブ果汁を製造する方法に関し、この方法は、
a)熟成度を基準にオリーブを選別するステップと、
b)核果の形状で選別したオリーブを破砕し、攪拌するステップと、
c)前記ステップで得たペーストを圧搾するステップと、
d)前記ステップで得た果汁から、固形成分を分離するステップと、
e)安定的なゲル化したエマルジョン形状で、全体的オリーブ果汁を回収するステップと、
を備えることを特徴とする。
【0023】
オリーブオイルの本質的特性をより有効に活用するとともに、有害とされるオリーブ水を除去するため、2つの相に分離すること目的とする古来の非連続的方法とは異なり、本発明の方法はまさに、2つの相を密接に保つこと目的とする。簡易性および所要時間の短縮という利点に加えて、本発明者は、驚くべきことに、オリーブ水の存在が、油相の品質および特性を損うものではない、という知見を得たのである。反対に、オリーブオイルの効果は、2相を組み合わせることにより、水相における活性有効成分の潜在力を得て、さらに高い可能性を有するものとなる。これらの活性成分は、追加の処理ステップにより変形されることなく、生来の形態のままであるため、より有益である。また、油相との接触は、オリーブ水の成分を保護し安定化する役割をも果たし、このため、オリーブ水の特性が最適に保たれるものと考えられる。
【0024】
本発明のプロセスの最終段階で得られる全オリーブ果汁は、油相と水相との自然発生的な相互作用によりゲル化し、安定化した、天然のエマルジョン形状である。この全オリーブ果汁の保存期間および安定性を高めるため、前記ステップe)の直後に、粘性剤または乳化剤、あるいは両者の混合を、全オリーブ果汁に混ぜ入れることができる。
【0025】
全オリーブ果汁の品質を最適化するため、本発明のプロセスは、加熱せずに、空気を遮断して行うことが好ましい。
【0026】
この新しいプロセスを確立するための過程において、本発明者は、早熟な状態から熟成の進んだ状態に至るまで、収穫期間のあらゆる時期(地中海沿岸においては、9月から1月、2月くらいまで)に得られたオリーブを使用せざるを得なかったのである。このような経緯から、本発明者は、完熟したオリーブから得た製品と、可能な限り早い時期に収穫したオリーブ(古代において、「オンファス」を得るために使用したようなオリーブ)から得た製品とでは、その成分に大きな相違があるとの知見を得たのである。この相違は、主に、色、ビタミンの活性、オレイン酸およびビオフェノールの量、さらには、果汁およびオイルの生産量に現れる。このデータについての考察は、本願の実施例において示す。
【0027】
したがって、本発明の方法におけるステップa)は、オンファスオイルが有する有益な特性のすべてを享受できるよう、熟成の早期段階で収穫されたオリーブ(緑色をしており、固く滑らかな実で、豊富な水分を有することを特徴とするオリーブ)を、大半において選択することを含み得る。この場合、ステップa)は、熟成の早期段階で収穫されたオリーブのみを選択することを含むこともできる。
【0028】
代替的に、本発明の方法におけるステップa)は、より熟成したオイルが有する有益な特性のすべてを享受できるよう、熟成の進んだ段階で収穫されたオリーブ(ベルバスコサイドをより多く含有するため黒色で、熟してシワがあり、水分が少なく油分が多いことを特徴とするオリーブ)を、大半において選択することを含み得る。この場合、ステップa)は、熟成が進んだ段階で収穫されたオリーブのみを選択することを含むこともできる。
【0029】
本発明は、同様に、前記方法よって得た全オリーブ果汁をベースとした組成物に関する。この組成物は、攻撃性のある処理段階によっても変質していない油相と水相との混合で構成されることを特徴とする。実際、この全オリーブ果汁は、オリーブのすべての成分を、可能な限り高濃度、かつ、可能な限り自然な形態で含有しているが、これらの成分は、クレタ式ダイエットを効果的なものとしている成分(オレイン酸グリセリド、フェノール成分、ビタミンAおよびE、ステロール、スクアランなど)であり、栄養学的な目的で利用可能なものである。また、全オリーブ果汁は、化粧品のベースとしての利用に必要な特性もすべて備えたものとなっている。
【0030】
どの時期に果実を収穫するかにより、全オリーブ果汁における油分と水分の割合は変動的であり、全オリーブ果汁は、5質量%〜25質量%のオイルと、95質量%〜75質量%の水溶液との混合物として得られる。したがって、本発明の組成物は、5質量%〜25質量%の油相と、95質量%〜75質量%の水相とにより構成される。
【0031】
本発明の方法とは別に得たヴァージンオイルを加えることにより、油相の相対量を調整することも可能である。これは、用途に合わせて、最終製品に存在するオイルの割合を調整する目的で行われる。このオイルの添加により、たとえば、ナイトクリームの栄養効果や保護効果を高めることができる。たとえばハイドレティング乳液のような、もっと軽いテクスチャーのエマルジョンを得たい場合には、オイルの添加は必要ない。
【0032】
使用および保存を容易にするため、好ましくはバイオ製品の認定基準(たとえば、フランスではECOCERTなどによるもの)を満たす様々な添加剤で、この新しい製品を安定化することができる。ある特殊な製造方法の1つにおいて、本発明の組成物は、さらに、ゲル化剤、水溶性抗酸化剤、防腐剤、キレート剤のうちの1つ、またはこれらの混合を含むことができる。
【0033】
ゲル化剤の添加により、たとえば、粘性を高め、2つの相の分離を防止して混合物を均質に保つことができる。従来のゲル化剤のうち食用に適したものとして、アルギン酸塩、カラギナン、ペクチン、アラビアゴム、トラガントゴム、グァーガムおよびキサンタンガムなどが挙げられるが、これらは、あくまでも例示であり、限定的ではない。ゲル化剤の添加量は、製品によって異なるが、0.1質量%〜3質量%の間である。
【0034】
アスコルビン酸のような、好ましくは天然の水溶性酸化防止剤を添加することができる。
【0035】
微生物学的防御は、牛乳に使用されるUHT(超高温処理)のような従来的な物理的処理によって行ってもよいし、認可された防腐剤を添加してもよい。防腐剤としては、たとえば、サリチル酸、安息香酸、ソルビン酸などが挙げられるが、これらの塩も使用可能であり、またこれらを組み合わせて用いることもできる。防腐剤の添加量は、0.05質量%〜1質量%である。
【0036】
同様に、キレート剤を最終製品に組み込むことも可能である。
【0037】
予想外にも、本発明者は、本発明の方法で得た組成物を、その他の処理を一切加えることなく、化粧品および栄養食品の分野で利用可能であるとの知見を得たのである。
【0038】
実際、想定される用途において、全オリーブ果汁は、水相と油相とに分離するステップを排除し、そのまま直接的に使用される。得られた製品は、水溶性および油溶性の液体構成成分を、天然状態における活性成分を損失することなく、また変質の危険もなく、すべて含んでいると同時に、エネルギ消費を抑え、生態学的観点から問題の多い廃水の蓄積を回避する観点からも、非常に有益である。
【0039】
熟成の早期段階で収穫したオリーブを主に使用し、本発明の方法により得た組成物の場合、化粧品における利用が好ましい。実際、化粧品における利用は、この組成物が有する抗ラジカル作用、治療目的ではない消炎作用、および皮膚軟化作用のため、とりわけ有益である。
【0040】
一方、熟成の進んだ段階で収穫したオリーブを主に使用し、本発明の方法により得た組成物の場合、栄養食品での利用が好ましい。実際、栄養食品における利用は、この組成物が有する抗ラジカル作用、心疾患防止作用、腫瘍形成防止作用のため、とりわけ有益である。
【0041】
こうして得られた新しい製品は、完全に満たした状態で防水の密閉容器に詰められ、冷暗所に保存されるが、残存している空気がある場合は、炭酸ガスまたは窒素で置換することが可能であり、また、その容量は、最終製品の運用単位に合わせる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
組成物1:安定化した全オリーブ果汁
− 完熟オリーブ果汁100g(ピショリーヌ種)
− 添加剤:キサンタンガム 0.4g
アスコルビン酸ナトリウム 0.3g
ソルビン酸カリウム 0.5g
上記原料を、空気の混入を回避しつつ、加熱せずに混合する。その後、必要に応じて、この組成物にUHT(高温加熱処理)処理を施し、滅菌した環境で容器に詰める。
【0043】
組成物2:安定化した全オリーブ果汁
− 完熟オリーブ果汁100g(ピショリーヌ種)
− 添加剤:グァーガム 0.5g
アスコルビン酸ナトリウム 0.4g
ソルビン酸カリウム 0.25g
安息香酸ナトリウム 0.25g
組成物1と同じ処理を行う。
【0044】
本発明の組成物は、その活性成分、すなわち全オリーブ果汁が、多様な合成物(それ自体は中性的であったり、有益な性質を有したりする、水や油など)と結合可能なため、様々な形態の最終製品となり得る。
【0045】
全オリーブ果汁が有するすべての特性および利点を損なわずに保存できるため、非加熱製造が好ましいことは明らかである。適宜、材料の乳化を行うことも可能である。
【0046】
調味料またはドレッシングにする場合、完熟オリーブからの全果汁(重量20%)を、クエン酸、芳香化合物、塩および胡椒と混ぜ合わせる。軽いレシピの場合は、完熟オリーブからの全果汁を20質量%で用いる代わりに、グリーンオリーブからの全果汁を7質量%使用することもできる。
【0047】
グリーンオリーブの全果汁をベースとした美容乳液、完熟オリーブの全果汁をベースとしたデイクリーム、10質量%のヴァージンオリーブオイルを含む完熟オリーブの全果汁をベースとしたナイトクリームのほか、たとえば、入浴製品、ボディーオイル、クレイまたは泥パック、洗い流し不要のヘアケア製品など、全身用、髪用の様々な製品が、グリーンオリーブまたは完熟オリーブの全果汁をベースとして製造できる。これらの製品は、当業者であれば周知のルールに従い、様々な防腐剤(ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸など)、乳化剤(オリベム、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、オイムルギン(登録商標)VL75など)、エッセンシャルオイル(たとえば柑橘系のもの)、および着色剤(TiO2)を、用途に合わせて適切な割合で配合して処方される。
【実施例】
【0048】
以下に示す実施例は、本発明の特徴および利点をより明確に示すためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
若いオリーブと熟したオリーブとの組成の違いを示すため、ピショリーヌ種とリュック種のオリーブにつき、2008年9月に収穫したもの(オンファスオイル)と、同年12月に収穫したもの(一般オイル)について、いくつかの特徴を計測した。
【0050】
「色」
オンファスオイルおよび通常オイルの双方において、吸収スペクトルは420nmでピークを観測した。第2のピークは、オンファスオイルのみ670nmで観測した。
【0051】
「ビタミンE活性」
−ピショリーヌ種のオンファスオイル100gの脂質につき36mgであったのに対し、ピショリーヌ種の一般オイル100gの脂質につき17mgであった。
【0052】
−リュック種のオンファスオイル100gの脂質につき14.5mgに対し、リュック種の一般オイル100gの脂質につき8.1mgであった。
【0053】
すなわち、一般オイルと比較すると、オンファスオイルのトコトリエノールの含有量は、およそ2倍ということになる。
【0054】
「オレイン酸」
−ピショリーヌ種のオンファスオイル100gにつき81.5gに対し、ピショリーヌ種の一般オイル100gにつき78.6gであった。
【0055】
−リュック種のオンファスオイル100gにつき77.4gに対し、リュック種の一般オイル100gにつき75.4gであった。
【0056】
すなわち、一般オイルと比較すると、オンファスオイルにおける含有率の方が高い。
【0057】
「総ビオフェノール」
−ピショリーヌ種のオンファスオイル1kgにつき225mg(このうち221mgは複合形)に対し、ピショリーヌ種の一般オイル1kgにつき160mg(このうち134mgは複合形)であった。
【0058】
−リュック種のオンファスオイル1kgにつき211mg(このうち205mgは複合形)に対し、リュック種の一般オイル1kgにつき123mg(このうち100.4mgは複合形)であった。
【0059】
「オリーブ果汁およびオイルの生産量」
早熟オリーブ 完熟オリーブ
オイル 5%〜9% 12%〜25%
オリーブ水 95%〜91% 88%〜75%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)熟成度を基準にオリーブを選別するステップと、
b)核果の形状で選別したオリーブを破砕し、攪拌するステップと、
c)前記ステップで得たペーストを圧搾するステップと、
d)前記ステップで得た果汁から、固形成分を分離するステップと、
e)ゲル化した安定的なエマルジョン形態で、全オリーブ果汁を回収するステップとからなることを特徴とする、
全オリーブ果汁を製造する方法。
【請求項2】
前記ステップe)の直後に、粘性剤または乳化剤、あるいは両者の混合を、全オリーブ果汁に混ぜ入れることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップa)は、主に熟成の早期段階で収穫されたオリーブを選択する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップa)は、熟成の早期段階で収穫されたオリーブのみを選択する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップa)は、主に熟成の進んだ段階で収穫されたオリーブを選択する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップa)は、熟成が進んだ段階で収穫されたオリーブのみを選択する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の製法により得られ、オリーブの油相と水相の混合を含むことを特徴とする、全オリーブ果汁に基づく組成物。
【請求項8】
5質量%〜25質量%の油相と、重量95%〜75%の水相とを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ゲル化剤、水溶性抗酸化剤、防腐剤、キレート剤のうちの1つ、またはこれらの混合を、さらに含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれかに記載の組成物を利用した化粧品。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれかに記載の組成物を利用した栄養食品。
【請求項12】
原料として、熟成の早期段階で収穫したオリーブを主に使用した、請求項10に記載の化粧品。
【請求項13】
抗ラジカル作用および皮膚軟化作用を有する、請求項11に記載の化粧品。
【請求項14】
原料として、熟成の進んだ段階で収穫したオリーブを主に使用した、請求項11に記載の栄養食品。
【請求項15】
抗ラジカル作用、心疾患防止作用および腫瘍形成防止作用を有する、請求項13に記載の栄養食品。

【公表番号】特表2013−501512(P2013−501512A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524261(P2012−524261)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051688
【国際公開番号】WO2011/018579
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512009654)
【Fターム(参考)】