説明

全般的な歯の健康及び外観を改善するための組成物及び方法

選択された界面活性有機リン酸化合物を含む口腔ケア組成物、及び粗い研磨剤及び酸等の化学物質の作用によって引き起こされる浸食からの、歯の保護を提供するための使用方法を開示する。該界面活性有機リン酸化合物は、歯に対して実質的なものであり、リン酸基が歯のカルシウムに結合し、よって、酸との接触時に、溶解によるカルシウムの損失を予防する。該有機リン酸化合物はまた、浸食的侵攻との歯の接触を予防する、保護表面コーティングを堆積させ得る。選択された有機リン酸化合物は、1つ以上のリン酸基を含有し、口腔ケア組成物内で、フッ化物イオン剤、好ましくは第四級アンモニウム化合物及び多価金属塩より選択される抗菌剤、抗結石剤、並びに追加の界面活性剤のうちの1つ以上と組み合わされて、強化されたフッ化物摂取、再石灰化、酸への抵抗、脱石灰化及び抗菌活性によって示される、優れた抗浸食、抗う食、抗プラーク及び抗汚染を含む、効果を提供し、改善された全般的な歯の健康、構造一体性及び外観をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的な歯の健康及び外観を改善及び維持するための、口腔ケア組成物並びに使用方法に関する。本組成物は、抗菌、抗プラーク、抗歯肉炎、石灰化、及びフッ化物摂取の増加、抗う食、抗結石、抗刺激、並びに抗汚染を含む効果と共に、歯の浸食性脱石灰化若しくは溶解に対する改善された抵抗、並びに酸性の食物及び飲料等の浸食性化学物質へのその後の曝露による歯の損傷の予防を提供するように共に作用する、口腔ケア成分の組み合わせを含む。
【背景技術】
【0002】
練り歯磨き及び口内洗浄剤のような口腔ケア製品は、口腔ケア衛生レジメンの一部として、消費者により日常的に使用される。口腔ケア製品は、治療的及び美容的衛生効果の両方を提供するように調合される。治療的利益としては、典型的に種々のフッ化物塩の使用によってもたらされる虫歯予防、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、フッ化スズ、クエン酸亜鉛若しくは精油等の抗菌剤の使用による歯肉炎予防、並びに塩化ストロンチウム、フッ化スズ、若しくは硝酸カリウム等の成分の使用による過敏症の抑制が挙げられる。美容的利益としては、歯垢及び結石形成の抑制、歯の着色汚れの除去及び予防、歯のホワイトニング、吐く息をきれいにすること、及び口内感触の美的特徴として広く特徴付けられ得る口の感触についての印象を全体的に改善することが挙げられる。例えば、ピロリン酸塩等の薬剤は、歯の表面のコンディショニング、並びに歯石、汚染、及び収斂性の抑制を含む利益を提供するために、口腔ケア組成物において、抗歯石剤、並びに濃縮されたリン酸化ポリマー、ポリホスホネート、及びカルボキシル化ポリマー等の高分子剤として使用されている。更に、例えば、同一出願人によるGlandorfらの米国特許第6,555,094号は、スズイオン源、フッ化物イオン源、及びスズに結合する高分子ミネラル界面活性剤を含む口腔ケア組成物を開示しており、該組成物は、歯の汚染及び収斂性の最小限の副作用を伴う歯垢及び歯肉炎を低減するための効果的な抗菌活性を提供する。組成物は、歯肉縁上歯石の低減及び抑制を同時に提供する。口腔ケア組成物におけるミネラル界面活性剤としてのポリリン酸塩の使用に関する追加の開示としては、同一出願人による米国特許第5,939,052号、同第6,187,295号、同第6,350,436号、及び同第6,190,644が挙げられる。
【0003】
完全な口腔衛生のために益々重要となっている別の利益は、浸食、並びに粗い研磨剤及び酸等の化学物質の作用による、表面からの歯質の永久的損失である、磨耗に対する歯の保護及び抵抗を提供することである。歯牙浸食は、外因性又は内因性要因によって引き起こされ得る。外因性浸食は、酸性飲料又はフルーツジュース等の食事由来の酸の経口消費、並びに気中浮遊汚染物質又はスイミングプール中の酸性水への曝露等の環境要因の結果である。内因性浸食は、例えば、胃で生成され、嘔吐、逆行、又は逆流のプロセスの間に歯に接触する、内因性の酸によって引き起こされる。逆行及び誘発性嘔吐の主な原因は、神経性嘔吐、拒食症、又は過食症等の摂食障害状態である(Moss,1998,Int.Den.J.,48,529)。
【0004】
歯牙浸食の発生率及び重篤性は、酸性飲料及びジュースの消費の増加に伴い、上昇傾向にある。酸性飲料のpH及び滴定酸度は、歯牙浸食の開始及び進行において主な原因物質として確認されている(Lussi,1995,Caries Res.29,349)。したがって、歯への酸性食物及び飲料製品の浸食性効果を予防するために、酸性食物及び飲料製品を改変するための諸方法が開示されている。例えば、共にThe Procter & Gamble Companyに譲渡された米国特許第5,108,761号及び国際公開第01/52796号、全てSmithKline Beechamに譲渡された米国特許第6,383,473号、米国特許第6,319,490号、国際公開第01/72144、及び国際公開第00/13531号、General Foods Corporationに譲渡されたカナダ国特許第1018393号、共にColonial Sugar Refining Coに譲渡された米国特許第3,471613号及びベルギー国特許第638645号、並びにSinebrychoff Oyに譲渡された米国特許第4,853,237号を参照のこと。更に、歯に抗浸食又は酸抵抗利益を提供することが示される薬剤を含む口腔ケア組成物の開示も存在する。例えば、全てLion Corporationに譲渡された日本国特許第2001/158725号、米国特許第4,363,794号、及び米国特許第4,335,102号、The University of Melbourneに譲渡された米国特許第5,130,123号、共にSmithKline Beechamに譲渡された国際公開第99/08550号及び国際公開第97/30601号、Dow Chemical Co.に譲渡された米国特許第3,914,404号、並びにThe Procter & Gamble Co.に譲渡された米国特許第3,105,798号を参照のこと。
【0005】
歯の表面に対する親和性を有するある化学剤を含む口腔用組成物の使用による、浸食保護を提供し、歯の一体性を維持する一機構は、米国特許第6,685,920号に記載されている。これらの薬剤は、歯表面に結合するか、又は歯表面上に不溶性化合物又は錯体を形成するかのいずれかにより、保護膜又はコーティングを形成する。有用な薬剤の例は、リン酸化ポリマー、特に歯に結合するポリリン酸塩等の高分子ミネラル界面活性剤、又は歯に堆積する不溶性化合物を形成する、スズ、亜鉛、若しくは銅等の金属イオン、並びにこれらの組み合わせである。歯に堆積した高分子コーティング又は不溶性沈殿物は、浸食性化学物質が、歯の表面に接触すること、及び歯の硬組織を腐食させることを予防する、保護層として作用する。
【0006】
虫歯は、歯の健康及び構造一体性にとって有害となる別の状態である。歯の虫歯プロセスは、発酵性の食物基質からの局部的歯垢の微生物学的酸の産生によって誘導される、歯質からのリン酸カルシウムのミネラル損失をもたらす。阻害されないまま放置した場合、虫歯プロセスは、歯からの十分なミネラル損失をもたらし、これは、構造一体性の損失及び空洞の形成として現れる。(G.H.Nancollas,「Kinetics of de−and remineralization,」pp 113〜128;A.Thylstrup,J.D.B.Featherstone and L.Fredebo,「Surface morphology and dynamics of early enamel caries development,」pp 165〜184 in:Demineralisation and Remineralisation of the Teeth,IRL Press Ltd.,(1983).S.A.Leach and W.M.Edgar,editors)。虫歯プロセスは、継続的なものではないが、特に、発酵性炭水化物の摂取後の歯からのミネラル損失の周期的期間、その後のミネラル無損失又は更には損傷した局所領域のミネラル修復期によって説明される。再石灰化とは、歯の構造上のミネラル塩の再結晶による、酸によって損傷した歯牙構造の修復プロセスを指す。唾液は、リン酸カルシウムの歯のミネラル塩に関して、過飽和であるため、再石灰化プロセスは、歯の空洞の形成に対する唾液の自然の保護機能である。再石灰化は、フッ素化リン酸カルシウムの付着に関して局所過飽和を増加させる、溶液中のフッ化物イオンによって促進される。フッ化物摂取又はフッ素化とは、フッ化物剤による局所治療に起因する、歯質へのフッ化物の取得を指す。常にではないが、多くの場合、治療による再石灰化された歯は、フッ化物の摂取及び保持の増加を呈する。脱石灰化は、歯垢の酸又は食物由来の酸によって引き起こされる、歯からのミネラル損失のプロセスである。脱石灰化は、酸の組成、濃度、及びpHに依存して、歯の表面又は歯の表面下で生じる可能性がある。更に、再石灰化並びにフッ化物の摂取及び保持の増加を伴う歯は、酸の脱石灰化に対する優れた抵抗も呈する。フッ化物の歯への取り込み、再石灰化、及び脱石灰化に対する抵抗のプロセスは、歯のう触又は他の酸による損傷の低減に対する主要な機構を表す。
【0007】
フッ化物剤に加え、歯垢細菌を制御し、虫歯プロセスの必須工程である歯垢形成及び酸の産生を予防するために、口腔ケア組成物に抗菌剤を組み込むことも有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,555,094号
【特許文献2】米国特許第5,939,052号
【特許文献3】米国特許第6,187,295号
【特許文献4】米国特許第6,350,436号
【特許文献5】米国特許第6,190,644号
【特許文献6】米国特許第5,108,761号
【特許文献7】国際公開第01/52796号
【特許文献8】米国特許第6,383,473号
【特許文献9】米国特許第6,319,490号
【特許文献10】国際公開第01/72144
【特許文献11】国際公開第00/13531号
【特許文献12】国特許第1018393号
【特許文献13】米国特許第3,471613号
【特許文献14】国特許第638645号
【特許文献15】米国特許第4,853,237号
【特許文献16】国特許第2001/158725号
【特許文献17】米国特許第4,363,794号
【特許文献18】米国特許第4,335,102号
【特許文献19】米国特許第5,130,123号
【特許文献20】国際公開第99/08550号
【特許文献21】国際公開第97/30601号
【特許文献22】米国特許第3,914,404号
【特許文献23】米国特許第3,105,798号
【特許文献24】米国特許第6,685,920号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】(Moss,1998,Int.Den.J.,48,529)
【非特許文献2】(Lussi,1995,Caries Res.29,349)
【非特許文献3】(G.H.Nancollas,「Kinetics of de−and remineralization,」pp 113〜128;A.Thylstrup,J.D.B.Featherstone and L.Fredebo,「Surface morphology and dynamics of early enamel caries development,」pp 165〜184 in:Demineralisation and Remineralisation of the Teeth,IRL Press Ltd.,(1983).S.A.Leach and W.M.Edgar,editors)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、自宅での日々の口腔ケアには、抗う食、抗菌、抗歯肉炎、抗プラーク、抗刺激、抗結石及び抗浸食、並びに抗悪臭、口の清涼化及び保湿、汚れ除去、汚れ抑制及び歯のホワイトニングを含む、完全な範囲の治療的かつ審美的利益を提供するように、異なる機構によって作用する複数の成分を有する製品が必要である。したがって、所要の範囲の利益を提供するために異なる成分を含有する口腔ケア製品を調合することは、これらの成分が協働し、互いの活性を妨害しないという点において、問題を提示する。したがって、本発明は、フッ化物剤、抗プラーク/抗菌剤及び抗結石剤を含む、1つ以上の口腔ケア活性物質と組み合わせて、歯の浸食及び歯の磨耗に対する保護を提供する選択された有機リン酸化合物を含む、口腔ケア組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、粗い研磨剤及び酸等の化学物質の作用によって引き起こされる浸食からの歯の保護を提供するために、選択された界面活性有機リン酸化合物を含む、口腔ケア組成物に関する。界面活性有機リン酸化合物は、歯に対して実質的なものであり、リン酸基が歯のカルシウムに結合し、よって、酸との接触時に、溶解によるカルシウムの損失を予防する。また、有機リン酸化合物は、浸食的侵攻との歯の接触を予防する、保護表面コーティングを堆積させる。選択された有機リン酸化合物は、1つ以上のリン酸基を含有し、口腔ケア組成物において、強化されたフッ化物摂取、再石灰化、酸の脱石灰化に対する抵抗、及び抗菌活性によって示される、優れた抗浸食、抗う食、抗プラーク及び抗汚染を含む利益を提供するために、フッ化物イオン剤、好ましくは第四級アンモニウム化合物及び多価金属塩より選択される抗菌剤、抗結石剤、並びに追加の界面活性剤のうちの1つ以上と組み合わされ、改善された全般的な歯の健康、構造一体性及び外観をもたらす。
【0012】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、次の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、本発明を特に指摘し明確に請求する特許請求の範囲をもって結論とするが、本発明は、以下の説明からよりよく理解されるものと考えられる。
【0014】
本明細書の以下で使用される全ての百分率及び比率は、特に指示がない限り、組成物全体の重量を基準とする。本明細書で言及される成分の百分率、比率及び濃度は、特に指示がない限り全て成分の実際の量に基づき、市販製品として成分と組み合わされている可能性がある溶媒、充填剤、又はその他の物質を包含しない。
【0015】
本明細書で言及される全ての測定は、特に明記されない限り25℃で行われる。
【0016】
本明細書において、「含む(comprising)」とは、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の構成要素が追加され得ることを意味する。本用語は、用語「〜からなる」及び「本質的に〜からなる」を包含する。
【0017】
本明細書で使用するとき、単語「包含する」及びその変形は、挙げられている項目の詳細説明が、本発明の材料、組成物、装置、及び方法に同様に有用であると考えられる他の類似の項目を除外しないように、非限定的であることを意図している。
【0018】
本明細書で使用するとき、単語「好ましい」、「好ましくは」及びその変形は、一定の条件下において一定の効果をもたらす本発明の実施形態に関する。しかし、同一又は異なる条件下において、その他の実施形態が好ましい場合もある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを意味せず、本発明の範囲から他の実施形態を除外することを意図していない。
【0019】
「口腔ケア組成物」とは、通常の使用過程において、特定の治療剤を全身投与する目的で意図的に嚥下されるものではなく、むしろ、経口作用を目的として実質的に全ての歯の表面及び/又は口腔組織と接触させるのに十分な時間、口腔内に保持される製品を意味する。口腔ケア組成物は、練り歯みがき、歯磨剤、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、口内洗浄剤、ムース、泡、義歯製品、マウススプレー、口内錠、咀しゃく錠又はチューインガムを含む様々な形態であってよい。本口腔ケア組成物はまた、口腔表面への直接適用又は貼付用のストリップ又はフィルム上に組み込まれてもよい。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「歯磨剤」は、別途指定しない限り、ペースト、ゲル、粉末、又は錠剤製剤を含む。歯磨剤組成物は、単一相組成物であってもよいし、又は2つ以上の別々の歯磨剤組成物の組み合わせであってもよい。歯磨剤組成物は、ペーストを囲むゲルを有する、深い縞状、表面的な縞状、多層状、又はこれらのいずれかの組み合わせのような、いずれの所望の形態であってもよい。2つ以上の別個の歯磨剤組成物を含む歯磨剤中の各歯磨剤組成物は、ディスペンサーの物理的に分離された区画内に収容され、同時に投与されてもよい。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「ディスペンサー」とは、歯磨剤などの組成物を分配するのに好適なあらゆるポンプ、チューブ、又は容器を意味する。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「歯」とは、天然歯、並びに人工歯又は歯科補綴物を指す。
【0023】
用語「口腔に許容可能な担体」は、フッ化物イオン源、抗歯石若しくは抗歯石剤、抗菌剤、緩衝剤、シリカ等の研磨剤、アルカリ金属重炭酸塩、増粘材料、湿潤剤、水、界面活性剤、二酸化チタン、香味系、甘味剤、キシリトール、並びに着色剤のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない、口腔ケア組成物に使用される安全かつ効果的な材料及び従来の添加剤を指す。
【0024】
本明細書において有用な活性成分及び他の成分は、それらの美容的及び/若しくは治療的効果、又はそれらの作用若しくは機能の想定される様式によって分類又は説明され得る。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては美容的及び/若しくは治療的な1を超える効果をもたらすこと、又は1を超える作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のことであって、成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0025】
本明細書において、用語「歯石(tartar及びcalculus)」は、同義的に使用され、石灰化された歯垢バイオフィルムを指す。
【0026】
本発明は、フッ化物イオン剤、好ましくは塩化セチルピリジニウム(CPC)、臭化ドミフェン、並びにスズ、亜鉛及び銅を含む、多価金属イオン等のカチオン性種類より選択される抗菌剤、並びに無機ポリリン酸塩等の抗結石剤のうちの1つ以上と組み合わせて、選択された表面活性有機リン酸化合物を含有する口腔用組成物の使用に関する。また、該組成物は、好ましくはアニオン性、カチオン性、又は両性種類の1つ以上の界面活性剤を含む。本組成物は、歯におけるカルシウムミネラルの結合(ヒドロキシアパタイト)及び/又は有機リン酸化合物からなる保護表面コーティングの歯の表面への付着から派生する、歯牙浸食に対する効果的な保護を提供する。保護表面コーティングは、表面の親水性及び疎水性特性の変性を含む、歯の表面特性の制御、並びに酸の攻撃に対する抵抗を提供する。また、本界面活性有機リン酸化合物は、1)望ましくない吸収された外皮タンパク質の部分、特に歯の汚れ結合、歯石の発達、及び微生物種の誘引に関連するものの効果的な脱着、並びに2)表面コンディショニング効果の維持、及びブラッシング後を含む製品使用後の長期間、及びより長期にわたる外皮膜の制御を含む、所望の表面コンディショニング効果を提供し得る。表面の親水性及び疎水性特性の変性効果は、水接触角の変化に関して測定することができ、相対的減少は、より親水性の表面であることを示し、相対的増加は、より疎水性の表面であることを示す。表面の親水性及び疎水性特性を、界面活性有機リン酸化合物を含む本組成物からの利益の送達を最適化するために平衡化する必要があることが発見されている。また、これらの好ましい有機リン酸化合物の多くは、歯石制御若しくは抗汚染/ホワイトニング又は表面コンディショニング活性を提供し、よって、歯の全般的な健康及び構造、並びに歯の外観及び触感を改善する上で複数の臨床作用を提供する。
【0027】
表面活性有機リン酸剤は、エナメル表面に対する強い親和性を有し、かつ外皮タンパク質を脱着し、エナメル表面に付着し続けるのに十分な表面結合傾向を有する。有機リン酸化合物の好適な例は、以下の一般構造によって表される、モノ−、ジ−、若しくはトリエステルであり、式中、Z、Z、又はZは、同一若しくは異なってもよく、少なくとも1つが、好ましくは1つ以上のリン酸基によって任意に置換される1〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基、アルコキシル化されたアルキル若しくはアルケニル、(多)単糖類、ポリオール又はポリエーテル基より選択される有機部分である。
【化1】

【0028】
いくつかの好ましい薬剤には、以下の構造によって表されるアルキル又はアルケニルリン酸エステルが含まれ、
【化2】

式中、Rが、1つ以上のリン酸基によって任意に置換される6〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル若しくはアルケニル基を表し、n及びmが、個々かつ別個に2〜4であり、a及びbが、個々かつ別個に0〜20であり、Z及びZが、同一若しくは異なってもよく、それぞれが、水素、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン等のプロトン化したアルキルアミン若しくはプロトン化した機能的アルキルアミン、又はaR−(OC2n(OC2m−基を表す。好適な薬剤の例としては、リン酸ラウリル等のアルキル及びアルキル(ポリ)リン酸アルコキシ(Crodaからの商標名MAP 230K及びMAP 230T)、PPG5セテアレス−10ホスフェート(商標名Crodaphos SGでCrodaより入手可能)、ラウレス−1ホスフェート(Rhodiaからの商標名MAP L210、Nikkol ChemicalからのPhosten HLP−1、又はSunjinからのSunmaep L)、ラウレス−3ホスフェート(Rhodiaからの商標名MAP L130又はAlzoからのFoamphos L−3又はHuntsman ChemicalからのEmphiphos DF 1326)、ラウレス−9ホスフェート(Alzoからの商標名Foamphos L−9)、トリラウレス−4ホスフェート(Clariantからの商標名Hostaphat KL 340D又はNikkol ChemicalからのTLP−4)、C12〜18 PEG 9ホスフェート(Cognisからの商標名Crafol AP261)、ジラウレス−10ホスフェートナトリウム(Nikkol Chemicalからの商標名DLP−10)が挙げられる。特に好ましい薬剤は、高分子剤であり、例えば、ポリマー部分として反復アルコキシ基、特に3つ以上のエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、又はブトキシ基を含むものである。
【0029】
更なる好適な高分子有機リン酸薬剤としては、リン酸デキストラン、リン酸ポリグルコシド、リン酸アルキルポリグルコシド、リン酸ポリグリセリル、リン酸アルキルポリグリセリル、リン酸ポリエーテル、及びリン酸アルコキシル化ポリオールが挙げられる。いくつかの特定の例は、PEGリン酸、PPGリン酸、アルキルPPGリン酸、PEG/PPGリン酸、アルキルPEG/PPGリン酸、PEG/PPG/PEGリン酸、リン酸ジプロピレングリコール、PEGリン酸グリセリル、PBGリン酸(ポリブチレングリコール)、PEGリン酸シクロデキストリン、PEGリン酸ソルビタン、PEGリン酸アルキルソルビタン、及びPEGリン酸メチルグルコシドである。
【0030】
好適な非高分子リン酸としては、リン酸アルキルモノグリセリド、リン酸アルキルソルビタン、リン酸アルキルメチルグルコシド、リン酸アルキルスクロースが挙げられる。
【0031】
抗浸食剤としての使用に特に好ましい有機リン酸は、フッ化物、並びに塩化セチルピリジニウム(CPC)、臭化ドミフェン、並びにスズ、銅及び亜鉛等の金属イオン等の特に抗菌性のカチオン性薬剤等の口腔ケア組成物の他の成分に適合性及び安定性があり、よって、単純な単相歯磨剤又は含嗽剤製剤を可能にするものである。更により重要なことに、有機リン酸剤は、他の活性物質の活性、具体的には以下の実施例で示される、それらのフッ素化、石灰化及び抗菌活性を妨害しない。
【0032】
必要とされる有機リン酸剤の量は、酸又は研磨剤による浸食攻撃からの保護を提供するための有効量である。好ましくは、保護は、組成物の使用後、少なくとも約1時間続く。有効量の有機リン酸剤は、典型的には、合計の口腔用組成物の約0.01重量%〜約35重量%、好ましくは約0.035重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.035重量%〜約10重量%、及び最も好ましくは約0.035重量%〜約5重量%である。
【0033】
また、本組成物は、フッ化物イオン源、抗菌剤、好ましくは第四級アンモニウム化合物及び多価金属イオン等のカチオン性抗菌剤、並びに抗歯石剤のうちの1つ以上を含む。本組成物のこれら及び他の任意の成分(口腔に許容可能な担体又は賦形剤と総称される)は、非限定的な実施例と共に以下の段落で説明する。口腔に許容可能な担体材料には、局所経口投与に好適である、1つ以上の適合性のある固体若しくは液体賦形剤、又は希釈剤が含まれる。「適合性のある」とは、組成物の成分が、組成物の安定性及び/又は有効性を実質的に低減する様態で、相互作用することなく混合することができることを意味する。好適な担体又は賦形剤は、当該技術分野において周知である。それらの選択は、味、価格、及び貯蔵安定性などのような二次的考察によって左右される。
【0034】
フッ化物供給源
抗う食効果を提供するために、約0.0025重量%〜約5.0重量%、好ましくは約0.005重量%〜約2.0重量%の組成物におけるフッ化物イオン濃度を与えるのに十分な量で、歯磨剤及び他の口腔用組成物に存在するフッ化物化合物を有することは一般的である。上述のとおり、虫歯の予防は、全般的な歯の健康及び一体性に必須である。多種多様なフッ化物イオン生成物質が、本発明の組成物中の可溶性フッ化物の供給源として使用され得る。好適なフッ化物生成物質の例は、Brinerらの米国特許第3,535,421号及びWidderらの米国特許第3,678,154号に見られる。代表的なフッ化物イオン源としては、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アミン、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化インジウム、及び多くの他のものが挙げられる。
【0035】
抗菌剤
本組成物は、殺菌効力、即ち、殺滅及び/又は代謝の改変、及び/又は歯垢、虫歯、歯肉炎、及び歯周病等の口腔の局所的に治療可能な感染及び疾患を引き起こす、微生物の成長の抑制を提供するための、抗菌剤、好ましくは第四級アンモニウム抗菌剤を含んでもよい。
【0036】
本発明の組成物で使用される抗菌性第四級アンモニウム化合物は、第四級窒素上の置換体のうちの1つ又は2つが、約8〜20、典型的には約10〜約18個の炭素原子の炭素鎖長(典型的にアルキル基)を有する一方で、残りの置換体(典型的にはアルキル又はベンジル基)が、約1〜約7個の炭素原子等のより少ない数の炭素原子を有する(典型的にはメチル若しくはエチル基)ものが含まれる。臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルピリジニウム、臭化ドミフェン、N−テトラデシル−4−塩化エチルピリジニウム、ドデシルジメチル(2−フェノキシエチル)臭化アンモニウム、ベンジルジメチルスチレン臭化アンモニウム、塩化セチルピリジニウム、四級化5−アミノ−1,3−ビス(2−エチル−ヘキシル)−5−メチルヘキサジヒドロピリミジン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、及び塩化メチルベンゼトニウムが、典型的な第四級アンモニウム抗菌剤の例示的なものである。他の化合物は、Baileyの1980年6月3日の米国特許第4,206,215号に開示されるビス[4−(R−アミノ)−1−ピリジニウム]アルカンである。ピリジニウム化合物は、好ましい第四級アンモニウム化合物であり、特に好ましいのは、セチルピリジニウム、又はテトラデシルピリジニウムハロゲン化物塩(即ち、塩化物、臭化物、フッ化物及びヨウ化物)である。最も好ましいのは、塩化セチルピリジニウムである。第四級アンモニウム抗菌剤は、組成物の少なくとも約0.035重量%、好ましくは約0.045重量%〜約1.0重量%、より好ましくは約0.05重量%〜約0.10重量%の濃度で本発明に含まれる。
【0037】
同一出願人による出願第WO 05/072693号に説明されているとおり、第四級アンモニウム抗菌の生物学的利用能及び活性は、特に、口腔ケア製剤の一般的な成分である、アニオン性界面活性剤によって悪影響を受ける。したがって、本界面活性及びアニオン性有機リン酸化合物のうちのいくつかは、生物学的利用能及び抗菌活性が著しく影響を受けないという点に関して、CPC等の第四級アンモニウム抗菌剤と適合性があることは、特に驚くべきことである。
【0038】
本組成物は、抗菌剤として、スズイオン、亜鉛イオン、銅イオン、又はこれらの混合物を提供する、金属イオン源を含んでもよい。金属イオン源は、無機若しくは有機対イオンを有する、スズ、亜鉛、又は銅の可溶性又は難溶性化合物であることが可能である。例としては、スズ、亜鉛、及び銅のフッ化物、塩化物、塩化フッ化物、アセタート、ヘキサフルオロジルコニウム酸、硫酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリシン酸、ピロリン酸、メタリン酸、シュウ酸、リン酸、炭酸塩、及びオキシドが挙げられる。
【0039】
スズ、亜鉛及び銅イオンは、歯肉炎、歯垢、過敏の低減、及び改善された呼気効果に役立つことが示されている。有効量は、合計組成物の少なくとも約50ppm〜約20,000ppm、好ましくは約500ppm〜約15,000ppmの金属イオンとして定義される。より好ましくは、金属イオンは、約3,000ppm〜約13,000ppm、及び更により好ましくは約5,000ppm〜約10,000ppmの量で存在する。これは、歯の表面への送達のための金属イオン(スズ、亜鉛、銅及びこれらの混合物)の合計量である。
【0040】
スズ塩、特にフッ化スズ及び塩化スズを含有する歯磨剤は、Majetiらの米国特許第5,004,597号に説明される。スズ塩の他の説明は、Prencipeらの米国特許第5,578,293号、及びLukacovicらの米国特許第5,281,410号に見られる。スズイオン源に加え、Majetiら及びPrencipeらに説明される成分等の、スズを安定化させるのに必要な他の成分もまた、含まれてもよい。
【0041】
好ましいスズ塩は、フッ化スズ及び塩化第一スズ二水和物である。他の好適なスズ塩としては、クエン酸スズ、酒石酸スズ、及びクエン酸スズナトリウムが挙げられる。好適な亜鉛イオン源の例は、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛、酒石酸亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、及び米国特許第4,022,880号に記載される他の塩である。クエン酸亜鉛及び乳酸亜鉛が、特に好ましい。好適な銅イオン源の例は、米国特許第5,534,243号に記載されている。複合金属イオン源(複数を含む)は、最終組成物の約0.05重量%〜約11重量%の量で存在する。好ましくは、金属イオン源は、約0.5〜約7%、より好ましくは約1%〜約5%の量で存在する。好ましくは、スズ塩は、合計組成物の約0.1〜約7重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%、及び最も好ましくは約1.5重量%〜約3重量%の量で存在し得る。本発明で使用される亜鉛又は銅塩の量は、約0.01〜約5%、好ましくは約0.05〜約4%、より好ましくは約0.1〜約3.0%の範囲である。
【0042】
また、本発明は、ハロゲン化ジフェニルエーテル、フェノール及びその同族体を含むフェノール化合物、モノアルキル及びポリアルキル並びに芳香族ハロフェノール、レゾルシノール及びその誘導体、キシリトール、フェノール化合物及びハロゲン化サルチルアニリド、安息香酸エステル及びハロゲン化カルバニリド等の非カチオン性抗菌剤を含む、他の抗菌剤を含んでもよい。エンドグリコシダーゼ、パパイン、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、及びこれらの混合物を含む酵素も、抗菌として有用である。かかる剤は、Norrisらの1960年7月26日の米国特許第2,946,725号、及びGieskeらの1977年9月27日の米国特許第4,051,234号に開示されている。抗菌剤の例としては、クロルヘキシジン、トリクロサン、トリクロサンモノホスフェート、及びチモールなどの香味油が挙げられる。トリクロサン及びこの種類の他の剤は、米国特許第5,015,466号(Parran,Jr.ら、1991年5月14日発行)、及び米国特許第4,894,220号(Nabiら、1990年1月16日)に開示されている。これらの剤は、歯磨剤組成物の約0.01重量%〜約1.5重量%の濃度で存在してもよい。
【0043】
抗結石剤
本組成物は任意に、ピロホスフェートイオン供給源としてのピロリン酸塩など、抗結石剤を含んでもよい。本組成物に有用なピロリン酸塩としては、ピロリン酸一、二、及び四アルカリ金属塩、及びこれらの混合物が挙げられる。無水和物並びに水和物の形の、二水素ピロリン酸二ナトリウム(Na)、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)が好ましい種である。本発明の組成物において、ピロホスフェート塩は次の3通りのうちの1つの形態で存在してもよい:即ち、主に溶解した形態、主に溶解していない形態、又は溶解した形態と溶解していない形態のピロホスフェート塩の混合物のいずれかである。
【0044】
主に溶解したピロホスフェートを含む組成物とは、少なくとも1つのピロホスフェートイオン供給源が、少なくとも約0.025%の遊離ピロホスフェートイオンを提供するのに十分な量である組成物を指す。遊離ピロホスフェートイオン量は、約1%〜約15%、1つの実施形態においては約1.5%〜約10%、及び、他の実施形態では約2%〜約6%としてもよい。遊離ピロホスフェートイオンは、組成物のpHに依存して多様なプロトン化状態で存在してもよい。
【0045】
主に溶解していないピロホスフェート塩を含む組成物とは、組成物中に溶解している約20%以下の合計ピロホスフェート塩、好ましくは組成物中に溶解している約10%未満の合計ピロホスフェートを含有する組成物を指す。ピロリン酸四ナトリウム塩は、これらの組成物中の好ましいピロリン酸塩である。ピロリン酸四ナトリウムは、無水塩形態若しくは十水和物の形態、又は歯磨剤組成物中において固体形態で安定なその他のいずれの種であってもよい。塩はその固体粒子状形態であり、その結晶性及び/又は非晶性状態であってもよく、その塩の粒径は、好ましくは、審美的に受け入れられるように、そして使用時に容易に溶解するように十分に小さい。これらの組成物の製造に有用なピロホスフェート塩の量は、歯石抑制に有効な任意の量であり、一般に、歯磨剤組成物の約1.5重量%〜約15重量%、好ましくは約2重量%〜約10重量%、最も好ましくは約3重量%〜約8重量%である。
【0046】
組成物はまた、溶解したピロホスフェート塩と溶解していないピロホスフェート塩との混合物を含んでもよい。前述のピロホスフェート塩のいずれを用いてもよい。
【0047】
ピロリン酸塩は、Kirk−Othmerの「工業化学百科事典(Encyclopedia of Chemical Technology)」(第3版、第17巻、ワイリー−インターサイエンス・パブリッシャーズ(Wiley-Interscience Publishers)、1982年)に、より詳細に記載されている。
【0048】
ピロリン酸塩の代わりに又はピロリン酸塩と組み合わせて用いられる任意の剤としては、より長い鎖(3以上)のポリリン酸塩(トリポリリン酸塩、テトラポリリン酸塩及びヘキサメタリン酸を含む)、合成アニオン性ポリマー(例えば米国特許第4,627,977号(Gaffarら)に記載されている、ポリアクリレート及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、Gantrez)、並びに、例えばポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、ジホスホネート(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸など)を含む)、並びにこれらの混合物として既知の物質が挙げられる。
【0049】
その他の活性剤
本組成物に含まれていもよい更に別の活性剤は、過酸化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、ペルオキシ酸、過硫酸塩、及びこれらの組み合わせからからなる群から選択される歯漂白活性物質である。好適な過酸化化合物類としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化亜鉛及びこれらの混合物が挙げられる。好ましい過炭酸塩は、過炭酸ナトリウムである。好ましい過硫酸塩はオキソンである。
【0050】
歯磨剤製剤での使用に好ましい過酸化物供給源は、過酸化カルシウム及び過酸化尿素である。過酸化水素及び過酸化尿素は、口内洗浄剤製剤で用いるために好ましい。以下の量は過酸化物原料物質の量を示すが、過酸化物源は過酸化物原料物質以外の成分を含有してもよい。本組成物は、組成物の約0.01重量%〜約30重量%、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.5重量%〜約5重量%の過酸化物源を含有してよい。
【0051】
白化に加えて、過酸化物はまた口腔に他の効果も提供する。過酸化水素及び他の過酸素化合物は、虫歯、歯垢、歯肉炎、歯周炎、口臭、慢性再発性アフター性潰瘍、義歯の炎症、歯列矯正装置の損傷、抜歯後及び歯根膜手術後、外傷性口腔病変、並びに粘膜感染、ヘルペス口内炎等に対する治療的及び/又は予防的処理に有効であると長い間認められてきた。口腔内で過酸化物含有剤は、組織と唾液酵素との相互作用により生成される、何千もの小さな酸素の気泡を発生させる化学機械的作用を及ぼす。口内洗浄剤を口の中でガラガラする動作により、この特有の化学機械的作用が増強される。かかる動作は、感染した歯肉溝に他の剤を送達するために推奨されている。したがって、過酸化物口内洗浄剤は、歯周病に関連していることが既知である嫌気性細菌の定着及び増殖を防ぐ。
【0052】
本組成物に添加してよい別の任意活性剤は、硝酸塩、塩化物、フッ化物、リン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩及び硫酸塩を含む、カリウム塩類、カルシウム塩類、ストロンチウム塩類、及びスズ塩類のような過敏性を制御する象牙質減感剤である。
【0053】
歯直接剤(Tooth Substantive Agent)
本発明は、高分子界面活性剤(PMSA)のような歯直接剤を含んでよく、これは高分子電解質であり、より具体的にはアニオン性ポリマーである。PMSAは、アニオン基、例えば、リン酸、ホスホン酸、カルボキシ、又はこれらの混合物を含有し、したがって、カチオン性又は正に荷電した実体と相互作用する能力を有する。「無機質」記述子は、ポリマーの界面活性又は直接性が歯のリン酸カルシウム無機質のような無機質表面に向かうことを伝えることを意図する。
【0054】
着色汚れ予防効果のために、PMSAは本組成物で有用である。PMSAは、その反応性又は直接性により、無機質表面に着色汚れ予防効果を提供し、望ましくない吸着外被タンパク質、具体的には、歯を着色する色素体(color body)の結合、結石の発達、及び望ましくない微生物種の誘引と関連するものの一部を脱離させる。これらのPMSAの歯上への定着はまた、歯の表面上の色素体の結合部位を壊すため、着色汚れの発生を防止することもできる。
【0055】
PMSAの、スズイオン及びカチオン性抗微生物剤のような口腔ケア製品の着色汚れ促進成分に結合する能力もまた、有用であると考えられる。PMSAはまた、表面熱力学特性及び表面フィルム特性に望ましい影響を与える歯表面調節効果を提供し、これは洗浄又はブラッシング中、及び最も重要なことに洗浄又はブラッシング後の両方に、改善された清浄な感触美的特徴を付与する。これらの高分子剤の多くもまた、口腔用組成物に適用される際歯石制御効果を提供し、したがって消費者に歯の外観及びそれらの触感の改善を提供することが既知であるか又は期待されている。
【0056】
かかるポリマーの好適な例は、縮合リン酸化ポリマーのような高分子電解質;ポリホスホネート類;ホスフェート若しくはホスホネート含有モノマー若しくはポリマーと、エチレン性不飽和モノマー及びアミノ酸のような他のモノマーとのコポリマー、又はタンパク質、ポリペプチド、多糖類、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(エタクリレート)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(マレエート)、ポリ(アミド)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアセテート)、及びポリ(ビニルベンジルクロライド)のような他のポリマーとのコポリマー;ポリカルボキシレート及びカルボキシ置換ポリマー;並びにこれらの混合物である。好適な高分子ミネラル界面活性剤としては、米国特許第5,292,501号、同第5,213,789号、同第5,093,170号、同第5,009,882号、及び同第4,939,284号(全てDegenhardtら)に記載されているカルボキシ置換アルコールポリマー、並びに米国特許第5,011,913号(Benedictら)におけるジホスホネート誘導体化ポリマー、例えば同第4,627,977号(Gaffarら)に記載されているようなポリアクリレート、及び無水マレイン酸又はマレイン酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えばGantrez)を包含する合成アニオン性ポリマー、が挙げられる。好ましいポリマーは、ジホスホネート修飾ポリアクリル酸である。活性を有するポリマーは、薄膜タンパク質を脱着しかつエナメル質表面に結合したままにするのに十分な表面結合性を有しなければならない。歯の表面では、末端又は側鎖にホスフェート又はホスホネート官能基を有するポリマーが好ましいが、無機質結合活性を有する他のポリマーも吸着親和性に依存して有効であることを示す場合がある。
【0057】
高分子ミネラル界面活性剤を含有する好適なホスホン酸塩の追加の例としては、Degenhardtらの米国特許第4,877,603号に抗結石剤として開示される、ジェム状ジホスホネートポリマー、洗剤及び洗浄組成物における使用に好適な、Durschらの米国特許第4,749,758号及び独国特許第1,290,724号(共にHoechstに譲渡)に開示されるコポリマーを含有するホスホン酸塩基、並びにZakikhaniらの米国特許第5,980,776号及びDavisらの米国特許第6,071,434号の歯石及び腐食の抑制、コーティング、セメント及びイオン交換樹脂を含む用途に有用であるとして開示される、コポリマー及びコテロマーが挙げられる。追加のポリマーとしては、英国特許第1,290,724号に開示されているビニルホスホン酸、アクリル酸及びこれらの塩類の水溶性コポリマーが挙げられ、これらのコポリマーは、約10重量%〜約90重量%のビニルホスホン酸及び約90重量%〜約10重量%のアクリル酸を含有し、より詳細にはこれらのコポリマーはビニルホスホン酸とアクリル酸との重量比が70%ビニルホスホン酸対30%アクリル酸;50%ビニルホスホン酸対50%アクリル酸;又は30%ビニルホスホン酸対70%アクリル酸である。他の好適なポリマーとしては、1個以上の不飽和C=C結合を有するジホスホネート又はポリホスホネートモノマー(例えば、ビニリデン−1,1−ジホスホン酸及び2−(ヒドロキシホスフィノ)エチリデン−1,1−ジホスホン酸)と、不飽和C=C結合を有する少なくとも1種の更なる化合物(例えば、アクリレート及びメタクリレートモノマー)と、を共重合することにより調製される、Zakikhani及びDavisにより開示された水溶性ポリマーが挙げられる。好適なポリマー類としては、Rhodiaから表記ITC 1087(平均分子量3000〜60,000)及びポリマー1154(平均分子量6000〜55,000)として供給されているジホスホネート/アクリレートポリマー類が挙げられる。
【0058】
好ましいPMSAは、ポリホスフェートである。ポリホスフェートは一般に、主に直鎖構造に配置された2つ以上のホスフェート分子からなると理解されているが、いくつかの環状誘導体が存在する場合もある。ピロホスフェート(n=2)は理論的にはポリホスフェートであるが、所望のポリホスフェートは、有効濃度での表面吸着により十分な非結合のホスフェート官能基を生成し、これがアニオン性表面電荷並びに表面の親水性特徴を強化するように、およそ3以上のホスフェート基を有するものである。所望の無機ポリホスフェート塩類としては、特に、トリポリホスフェート、テトラポリホスフェート、及びヘキサメタホスフェートが挙げられる。テトラポリホスフェートよりも大きいポリホスフェート類は、通常は無定形のガラス状物質として生じる。以下の式を有する直鎖ポリホスフェート類が、本発明で好ましい。
【0059】
XO(XPO
式中、Xはナトリウム、カリウム、又はアンモニウムであり、nの平均は約3〜約125である。好ましいポリリン酸塩は、ソーダフォス(n≒6)、ヘキサフォス(n≒13)、及びグラスH(n≒21)として商業的に既知であり、FMCコーポレーション(FMC Corporation)及びアスタリス(Astari)により製造されるような、平均約約6〜約21のnを有するものである。これらのポリホスフェート類は単独で又は組み合わせて用いることができる。ポリホスフェート類は、酸性pH、具体的にはpH5未満で、高含水製剤中の加水分解の影響を受けやすい。したがって、長鎖ポリホスフェート類、具体的には、平均鎖長約21のグラスH(Glass H)を使用することが好ましい。かかる長鎖ポリホスフェート類は、加水分解を受けている際、依然として歯上に沈着し、着色汚れ予防効果を提供するのに有効な短鎖ポリホスフェート類を生成すると考えられている。
【0060】
他のポリリン酸化化合物を、ポリホスフェート、具体的には、フィチン酸、ミオ−イノシトールペンタキス(二水素リン酸);ミオ−イノシトールテトラキス(二水素リン酸)、ミオ−イノシトールトリキス(二水素リン酸)、及びこれらのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩のような、ポリリン酸化イノシトール化合物に加えて又はその代わりに用いてよい。本明細書では、ミオ−イノシトール1,2,3,4,5,6−ヘキサキス(二水素リン酸)としても既知であるフィチン酸又はイノシトール六リン酸及びそのアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウム塩が好ましい。本明細書では、用語「フィチン酸塩」は、フィチン酸及びその塩、並びにその他ポリリン酸化イノシトール化合物を包含する。
【0061】
歯直接剤の量は、典型的には、総口腔用組成物の約0.1重量%〜約35重量%である。歯磨剤製剤では、該量は好ましくは約2%〜約30%、より好ましくは約5%〜約25%、最も好ましくは約6%〜約20%である。口内洗浄剤組成物では、歯直接剤の量は好ましくは約0.1%〜5%、より好ましくは約0.5%〜約3%である。
【0062】
表面改質効果の作製に加えて、歯直接剤はまた不溶性塩類を可溶化する機能も有する。例えば、グラスHは不溶性スズ塩類を可溶化することが見出されている。したがって、フッ化スズを含有する組成物では、例えばグラスHはスズの着色汚れ促進効果低下の一因となる。
【0063】
キレート化剤
その他の任意の剤はキレート化剤であり、隔離剤とも呼ばれ、例えば、グルコン酸、酒石酸、クエン酸、及びこれらの製薬上許容できる塩類である。キレート化剤は、細菌の細胞壁に見出されるカルシウムを錯化し得る。キレート化剤はまた、このバイオマスが損なわれないように保持するのを助けるカルシウムの架橋からカルシウムを取り除くことにより歯垢を崩壊させることができる。しかしながら、カルシウムが高すぎる親和性を有するキレート化剤を用いることは結果として歯の脱鉱質化をもたらす可能性があり、これは本発明の目的及び意図に反するために、望ましくない。好適なキレート化剤は、通常はカルシウム結合定数が約10〜10であり、洗浄を改善し、歯垢及び結石の形成を減少させる。キレート化剤はまた、金属イオンと錯体を形成することができ、それにより、安定性又は製品の外観に対する弊害を予防するのに役立つ。鉄又は銅などのイオンのキレート化により、最終製品の酸化による変質抑制に役立つ。
【0064】
好適なキレート化剤の例は、グルコン酸又はクエン酸のナトリウム又はカリウム塩、クエン酸/クエン酸アルカリ金属塩混合物、酒石酸二ナトリウム、酒石酸二カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、ナトリウムポリホスフェート、カリウムポリホスフェート、又はアンモニウムポリホスフェート、及びこれらの混合物である。キレート化剤は、約0.1%〜約2.5%、好ましくは約0.5%〜約2.5%、及びより好ましくは約1.0%〜約2.5%で使用されてもよい。
【0065】
本発明で使用するのに好適な更に別のキレート化剤は、陰イオン性高分子ポリカルボキシレートである。こうした物質は当該技術分野において周知であり、その遊離酸又は部分的に若しくは好ましくは完全に中和された水溶性アルカリ金属塩(例えばカリウム、好ましくはナトリウム)若しくはアンモニウム塩の形態で使用される。例としては、無水マレイン酸又はマレイン酸と、別の重合可能なエチレン性不飽和モノマー、好ましくは約30,000〜約1,000,000の分子量(M.W.)を有するメチルビニルエーテル(メトキシエチレン)との1:4〜4:1のコポリマーである。これらのコポリマーは、例えば、GAFケミカルズ・コーポレーション(GAF Chemicals Corporation)のガントレッツ(Gantrez)AN 139(分子量500,000)、AN 119(分子量250,000)、及びS−97医薬品等級(分子量70,000)として入手可能である。
【0066】
他の有効な高分子ポリカルボキシレートには、無水マレイン酸とエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン又はエチレンとの1:1コポリマーであって、後者は、例えばモンサント(Monsanto)EMA NO.1103、分子量10,000及びEMA等級61として入手可能であるもの、及びアクリル酸とメチル若しくはヒドロキシエチルメタクリレート、メチル若しくはエチルアクリレート、イソブチルビニルエーテル又はN−ビニル−2−ピロリドンとの1:1コポリマー等が挙げられる。追加の有効な高分子ポリカルボキシレートは、Gaffarの米国特許第4,138,477号及びGaffarらの米国特許第4,183,914号に開示されており、スチレン、イソブチレン又はエチルビニルエーテル、ポリアクリル、ポリイタコン、及びポリマレイン酸を有する無水マレイン酸のコポリマー、並びにUniroyal ND−2として入手可能な1,000と低い分子量のスルホアクリルオリゴマーが挙げられる。
【0067】
界面活性剤
本組成物はまた、典型的に一般的に起泡剤とも呼ばれる界面活性剤を含む。好適な界面活性剤は、広いpH範囲にわたって適度に安定で泡立つものである。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、両性、双性イオン性、陽イオン性、又はこれらの混合物であってもよい。好ましい界面活性剤又は界面活性剤混合物は、有機リン酸剤及び組成物内の他の活性物質の活性が損なわれないという点において、有機リン酸剤及び組成物内の他の活性物質と適合性があるものである。アルキルサルフェートナトリウム等のアニオン性界面活性剤、及びココアミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤が、本明細書において好ましい。
【0068】
本明細書で有用な陰イオン性界面活性剤としては、アルキルラジカルに8個〜20個の炭素原子を有するアルキルスルフェートの水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8個〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のスルホン化モノグリセリドの水溶性塩が挙げられる。ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)及びココナツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この種類の陰イオン性界面活性剤の例である。他の好適な陰イオン性界面活性剤は、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、タウレート、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなサルコシネートである。陰イオン性界面活性剤の混合物も使用できる。多くの好適なアニオン性界面活性剤が、米国特許第3,959,458(Agricolaら)、によって開示されている。本組成物は、約0.025%〜約9%、約0.05%〜約5%、又は約0.1%〜約1%の濃度でアニオン性界面活性剤を含む。
【0069】
別の好適な界面活性剤は、サルコシネート界面活性剤、イセチオネート界面活性剤及びタウレート界面活性剤からなる群から選択されるものである。本明細書で用いるのに好ましいのは、サルコシン酸ラウロイル、サルコシン酸ミリストイル、サルコシン酸パルミトイル、サルコシン酸ステアロイル、及びサルコシン酸オレオイルの、ナトリウム塩及びカリウム塩のような、これらの界面活性剤のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩である。
【0070】
本発明で有用な双性イオン性又は両性界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられ、その脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であることができ、その際脂肪族置換基の1つは約8個〜約18個の炭素原子を含有し、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、硫酸塩、ホスフェート又はホスホネートのようなアニオン性水溶性基を含有する。好適なベタイン界面活性剤は、米国特許第5,180,577号(Polefkaら)に開示されている。典型的なアルキルジメチルベタイン類としては、デシルベタイン又は2−(N−デシル−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ココベタイン又は2−(N−ココ−N,N−ジメチルアンモニオ)アセテート、ミリスチルベタイン、パルミチルベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、セチルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられる。アミノベタインは、ココアミドエチルベタイン、コカミドプロピルベタイン(CADB)、及びラウラミドプロピルベタインによって例示される。
【0071】
本発明に有用なカチオン性界面活性剤としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、臭化セチルトリメチルアンモニウム、ココナツアルキルトリメチルアンモニウムブロミド、フッ化セチルピリジニウム等のような、約8〜18個の炭素原子を含有する1つのアルキル長鎖を有する脂肪族四級アンモニウム化合物の誘導体が挙げられる。好ましい化合物は、Brinerらの米国特許第3,535,421号に説明される洗剤特性を有する第四級アンモニウムフッ化物である。特定の陽イオン性界面活性剤はまた、本明細書に開示された組成物中で殺菌剤としても作用することができる。
【0072】
本発明の組成物に用いることができる非イオン性界面活性剤には、アルキレンオキシド基(本質的には親水性)と、本質的には脂肪族又はアルキル芳香族であってもよい有機疎水性化合物との縮合によって生成される化合物が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の例としては、プルロニック(Pluronic)、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合物、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物とエチレンオキシドとの縮合から得られた生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合物、長鎖三級アミンオキシド、長鎖三級ホスフィンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキシド、及びこのような物質の混合物が挙げられる。
【0073】
研磨剤
本発明の組成物において有用な歯研磨剤には、種々様々な物質が含まれる。選択される物質は、対象組成物中で適合性があり、象牙質を過度に削らないものでなければならない。好適な研磨剤には、例えば、ゲル及び沈殿物を包含するシリカ、不溶性のポリメタリン酸ナトリウム、水和アルミナ、炭酸カルシウム、オルトリン酸二カルシウム二水和物、ピロリン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ポリメタリン酸カルシウム、及び尿素とホルムアルデヒドの粒子状縮合生成物のような樹脂性研磨剤物質が挙げられる。
【0074】
本組成物に用いられる別の部類の研磨剤は、米国特許第3,070,510号(Cooley及びGrabenstetter)に説明される粒子状熱硬化性重合樹脂である。好適な樹脂には、例えば、メラミン類、フェノール樹脂、尿素類、メラミン−尿素類、メラミン−ホルムアルデヒド類、尿素−ホルムアルデヒド、メラミン−尿素−ホルムアルデヒド類、架橋エポキシド類、及び架橋ポリエステル類が挙げられる。
【0075】
様々な種類のシリカ歯科用研磨剤は、歯のエナメル質又は象牙質を過度に研磨させない優れた歯の洗浄及び艶出性能という独特の効果があるので好ましい。他の研磨剤と同様に、本明細書のシリカ研磨艶出物質は、一般に、約0.1ミクロンと約30ミクロンの間、好ましくは約5ミクロン〜約15ミクロンの範囲の平均粒径を有する。研磨剤は、沈殿シリカ、又は、Paderらの米国特許3,538,230号、及びDiGiulioの米国特許第3,862,307号で説明されているシリカゼロゲルなどのシリカゲルであり得る。例としては、W.R.Grace & CompanyのDavison Chemical Divisionによって商標名「Syloid」で市販されているシリカキセロゲル、及びJ.M.Huber Corporationより商標名Zeodent(登録商標)で市販されているもの等の沈殿シリカ材料、特にZeodent(登録商標)119、Zeodent(登録商標)118、Zeodent(登録商標)109及びZeodent(登録商標)129の表記のシリカが挙げられる。本発明の練り歯磨きに有用なシリカの歯科用研磨剤のタイプは、Wasonの米国特許第4,340,583号に、並びに同一出願人に譲渡された同第5,603,920号、同第5,589,160号、同第5,658,553号、同第5,651,958号、及び同第6,740,311号にてより詳細に記載されている。
【0076】
上に列挙された様々な等級のZeodent(登録商標)シリカ研磨剤の混合物など、研磨剤の混合物を用いることができる。本発明の歯磨組成物中の研磨剤の合計量は、典型的には約6重量%〜約70重量%の範囲であり、練り歯磨きは、好ましくは組成物の約10重量%〜約50重量%の範囲の研磨剤を含有する。本発明の歯科用溶液、口内スプレー、うがい薬、及び非研磨剤ゲル組成物は、典型的には、少量の研磨剤を含む、又は研磨剤を含まない。
【0077】
香味系
香味系は、通常、好ましい味の組成物を提供するために、また抗菌活性物質又は過酸化物等の組成物のある成分による、いかなる不快な味及び感覚も隠すために、口腔ケア組成物に添加される。好ましい味の組成物は、口腔ケア製品の指示又は推奨された使用に対するユーザのコンプライアンスを改善する。本香味系は、香味成分、特に、通常の口腔ケア製品活性物質、担体物質、又は賦形剤の存在下で比較的安定していることが認められているものを含む。冷却剤(単数又は複数)等の感覚成分を有する選択された香味成分の組み合わせは、影響力の高い清涼感に、調和のとれた香味プロファイルを提供する。
【0078】
香味系は、ペパーミント油、コーンミント油、スペアミント油、冬緑油、クローブ芽油、カッシア、セージ、パセリ油、マジョラム、レモン、オレンジ、シス−ジャスモン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、バニリン、エチルバニリン、アニスアルデヒド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド;シンナムアルデヒド、ヘキシルシンナムアルデヒド、α−メチルシンナムアルデヒド、オルト−メトキシシンナムアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、プロペニルグエトール、ヘリオトロピン、4−シス−ヘプテナール、ジアセチル、メチル−ρ−tert−ブチルフェニルアセテート、メントール、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、1−メンチルアセテート、オキサノン、α−イリソン、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ブチルシンナメート、エチルブチラート、エチルアセテート、メチルアントラニレート、イソ−アミルアセテート、イソ−アミルブチラート、アリルカプロエート、オイゲノール、ユーカリプトール、チモール、ケイ皮アルコール、オクタノール、オクタナール、デカノール、デカナール、フェニルエチルアルコール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、リナロール、リモネン、シトラール、マルトール、エチルマルトール、アネトール、ジヒドロアネトール、カルボン、メントン、β−ダマセノン、イオノン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、及びγ−ウンデカラクトン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない追加の香味成分を含んでよい。一般に好適な香味成分は、酸化還元反応される傾向が少ない構造的特徴及び官能基を含有するものである。これらとしては、飽和した香味化学物質の誘導体、又は安定な芳香環若しくはエステル基を含有する香味化学物質の誘導体が挙げられる。多少の酸化又は分解を受ける場合があっても香味の特徴又はプロフィールに著しい変化を生じない香味化学物質もまた好適である。香味成分は、単一若しくは精製化学物質として供給されるか、又は、天然油又は抽出物の添加によって構成成分中に供給されてもよい(相対的に不安定で所望の香味プロファイルを劣化又は変える恐れがあり、その結果、感覚刺激の観点からはあまり許容できない生成物を生じる構成成分が、精製によって天然油又は抽出物から取り除かれていることが好ましい)。着香剤は、一般に組成物中で、組成物の約0.001重量%〜約5重量%の濃度で用いられる。
【0079】
香味系は、典型的には、甘味剤を含む。好適な甘味剤としては、天然甘味剤及び人工甘味剤の両方を含む、当該技術分野において周知のものが挙げられる。好適な水溶性甘味剤としては、キシロース、リボース、グルコース(ブドウ糖)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(果糖)、ショ糖(砂糖)、マルトース、転化糖(フルクトースとショ糖由来のグルコースとの混合物)、部分的に加水分解したデンプン、コーンシロップ固形物、ジヒドロカルコン類、モネリン、ステビオシド類、及びグリチルリチンのような単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。好適な水溶性人工甘味剤としては、可溶性サッカリン塩類、即ち、サッカリンナトリウム又はカルシウム塩類、シクラメート塩類、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸型等が挙げられる。他の好適な甘味剤としては、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)及び米国特許第3,492,131号に記載された物質のようなL−アスパラギン酸由来の甘味剤、L−α−アスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5,ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキシエン)−アラニン等のようなジペプチド系甘味剤が挙げられる。例えば、スクラロースの製品銘柄で既知である通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体のような、天然素材の水溶性甘味剤由来の水溶性甘味剤、並びにタウマトコッカス・ダニエリ(thaumatoccous danielli)(タウマチンI及びII)のようなタンパク質系甘味剤が使用できる。組成物は、好ましくは約0.1重量%〜約10重量%の甘味剤を含有する。
【0080】
好適な冷却剤(cooling agent又はcoolant)としては、メントール及びその誘導体等の様々な物質が挙げられる。合成冷却剤のうち、多くは、メントールの誘導体であるか、又はメントールと構造的に関連する。即ち、シクロヘキサン部分を含有する、及びカルボキサミド、ケタール、エステル、エーテル及びアルコールを含む官能基で誘導体化される。例としては、「WS−3」として商業的に既知であるN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド等のρ−メンタンカルボキサミド化合物、及びWS−5、WS−11、WS−14及びWS−30等のシリーズの他のものが挙げられる。メントールと構造的に無関係の合成カルボキサミド冷却剤の例は、「WS−23」として既知のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドである。追加の好適な冷却剤としては、TK−10として既知の3−1−メトキシプロパン−1,2−ジオール、イソプレゴール(商標名Coolact P)及びρ−メンタン−3,8−ジオール(商標名Coolact 38D)(全てTakasagoより入手可能)、MGAとして既知のメントングリセロールアセタール、Haarmann and Reimerより供給されるFrescolat(登録商標)として既知のメンチルアセタート、メンチルアセトアセタート、メンチルラクテート等のメンチルエステル、並びにV.Maneからの商標名Physcoolのコハク酸モノメンチルが挙げられる。本明細書で使用するとき、メントール及びメンチルという用語は、これらの化合物の右旋性及び左旋性の異性体、並びにこれらのラセミ混合物を包含する。TK−10は、アマノ(Amano)らの米国特許第4,459,425号に記載されている。WS−3及び他のカルボキサミド冷却剤は、例えば、米国特許第4,136,163号、第4,150,052号、第4,153,679号、第4,157,384号、第4,178,459号及び第4,230,688号に記載されている。追加のN−置換ρ−メンタンカルボキサミドは、N−(4−シアノメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−スルファモイルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−シアノフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−アセチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、N−(4−ヒドロキシメチルフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミド、及びN−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−ρ−メンタンカルボキサミドを含む、国際公開第2005/049553A1号に記載されている。
【0081】
更に、香味系は、唾液分泌促進剤、水和及び保湿剤、加温剤、及び局部麻酔剤を含んでもよい。これらの剤は組成物中に、組成物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約1重量%の濃度で存在する。好適な唾液分泌促進剤としては、Takasagoが製造するJambu(登録商標)及びSymriseからのOptaflow(登録商標)が挙げられる。水和剤の例としては、エリスリトール等のポリオールが挙げられる。好適な麻酔剤には、ベンゾカイン、リドカイン、クローブの芽の油、及びエタノールが挙げられる。加温剤の例としては、エタノール、トウガラシ、及びニコチン酸ベンジルのようなニコチン酸エステルが挙げられる。加温効果を有する剤の使用は、当然のことながら、冷却剤の冷却効果を改変する可能性があり、特に冷却剤の濃度を最適化する上で配慮する必要がある。
【0082】
種々のキャリア物質
商業的に好適な口腔用組成物の調製に用いられる水は、好ましくは、イオン含量が少なく、有機不純物を含まないべきである。水は本明細書の水性組成物の約99重量%まで含まれてよい。この水の量は、添加される遊離水に加えて、ソルビトールのような他の物質と共に導入される水を包含する。
【0083】
本発明にはまた、アルカリ金属重炭酸塩を包含してもよく、研磨、脱臭、pHの緩衝及び調整を含むいくつかの機能を提供できる。アルカリ金属重炭酸塩類は水に可溶性であり、安定化されていない場合には、水性系で二酸化炭素を放出する傾向がある。重曹として既知である重炭酸ナトリウムは、よく使用される重炭酸塩である。本組成物は、約0.5重量%〜約30重量%のアルカリ金属重炭酸塩を含有してもよい。
【0084】
練り歯磨き、歯磨剤及びゲル形態の本組成物は、典型的に、望ましい稠度を提供するために、いくらかの増粘物質又は結合剤を含有する。好ましい増粘剤は、カルボキシビニルポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、並びにカルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシエチルセルロースナトリウムのようなセルロースエーテルの水溶性塩である。カラヤゴム、キサンタンガム、アラビアゴム及びトラガカントゴムのような天然ゴム類も使用することができる。更に質感を改善するために、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム又は超微粒子状シリカが、増粘剤の一部として使用できる。増粘剤は、典型的に、約0.1重量%〜約15重量%の量で使用される。
【0085】
本明細書で望ましい組成物の別の任意構成成分は、湿潤剤である。保湿剤は練り歯磨き剤組成物の空気中への曝露による硬化を回避するのに役立ち、特定の保湿剤はまた練り歯磨き剤組成物に所望の甘味風味を付与することができる。本発明に用いるのに適した湿潤剤には、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及び他の食用多価アルコールが挙げられる。湿潤剤は、一般に組成物の約0重量%〜70重量%、好ましくは約15重量%〜55重量%含まれる。
【0086】
本発明の組成物のpHを、緩衝剤を用いて調整してもよい。緩衝剤とは、本明細書で使用するとき、口内洗浄剤及び歯科用溶液のような水性組成物のpHを、好ましくは約pH4.0〜約pH8.0の範囲に調整するために用いることができる剤を指す。緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、クエン酸、及びクエン酸ナトリウムが挙げられ、典型的に、約0.5重量%〜約10重量%の濃度で含まれる。
【0087】
ポロキサマーを本組成物に使用してもよい。ポロキサマーは、非イオン性界面活性剤に分類され、乳化剤、結合剤、安定剤、及びその他関連する機能性剤としても作用してよい。ポロキサマーは、一級ヒドロキシル基で終端をなす二官能性ブロックポリマーであり、分子量が1,000〜15,000の範囲である。ポロキサマーは、Poloxamer 407及びPluraflo L4370を含む、商標名Pluronics及びPlurafloでBASFより市販されている。
【0088】
使用され得る他の乳化剤としては、B.F.Goodrichより入手可能なPemulen(登録商標)シリーズ等の高分子乳化剤が挙げられ、これは、主に、疎水性物質のための乳化剤として有用な高分子量のポリアクリル酸ポリマーである。
【0089】
二酸化チタンもまた、典型的に約0.25重量%〜約5重量%の濃度で、冷却剤又は不透明化剤として本組成物に添加されてもよい。
【0090】
本組成物において使用され得る他の任意の剤としては、有益な歯の感触効果を提供する上での補助として、C12〜C20アルキルジメチコンコポリオール及びこれらの混合物等のアルキル−及びアルコキシ−ジメチコンコポリオールより選択されるジメチコンコポリオールが挙げられる。商標名Abil EM90で市販されているセチルジメチコンコポリオールは、極めて好ましい。ジメチコンコポリオールは、一般的に、約0.01重量%〜約25重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%で存在する。
【0091】
使用方法
また、本発明は、浸食保護、並びに虫歯予防、及び歯垢、歯石、歯肉炎、歯周病及び悪臭を含む望ましくない状態を引き起こす、口腔内の細菌活性の制御のうちの1つ以上を含む効果を提供する、本組成物の使用によって、全般的な歯の健康、構造及び外観を改善するための使用方法にも関する。これらの組成物の効果は、組成物が繰り返し使用される際、時間と共に増加する場合がある。
【0092】
本明細書の使用又は処理方法は、被験体の歯のエナメル質表面及び口内粘膜に、本発明による口腔用組成物を接触させることを含んでもよい。該方法は、歯磨剤を用いたブラッシング、又は歯磨剤スラリー若しくは口内洗浄剤を用いるすすぎを含んでもよい。他の方法としては、局所用口腔ゲル、義歯製品、口腔スプレー、又は他の形態を、被験体の歯及び口腔粘膜に接触させることが挙げられる。対象者は、その歯の表面が口腔用組成物に接触する、いずれのヒト又は他の動物であってもよい。「動物」とは、家庭用ペット若しくは他の家畜、又は捕獲されている動物を含むことを意味する。例えば処理方法としては、歯磨剤組成物の1種を用いてヒトがイヌの歯をブラッシングすることを含んでよい。別の例としては、効果を確認するのに十分な時間、ネコの口を口腔用組成物で口内洗浄することが挙げられる。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、本発明の範囲内にある実施形態を更に記載し実証するものである。これらの実施例は単に例示することが目的であり、これらの多くの変更が発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であるので、本発明の制限として解釈されるべきではない。
【0094】
実施例I.浸食保護
有機リン酸を含有する本発明の組成物の効果は、以下の生体外浸食サイクリングプロトコルに従って評価した。
【0095】
歯(象牙質又はエナメル質)標本は、ダイヤモンドコアドリルを使用して、抽出したヒトの歯から3mm〜4mmの芯を切断することによって調製する。現場の医師によって採取された歯は、室温に維持された5%チモール溶液に使用時まで保管する。標本を、表面以外の全側面を被覆する、歯科用アクリルを有するルーサイトロッド(Dura Base、Reliance Mfg.Co.)に載置する。600−grit炭化ケイ素−水スラリーによる研磨過程を使用して、標本間の均質性を確実とするように、外側標本表面の約50ミクロンを除去する。次いで、鏡のような仕上がりになるまで、標本をガンマアルミナ(Buehler No.3、B Gamma Micropolish Alumina)で研磨する。
【0096】
次いで、各標本の表面の約2/3を、耐酸性のネールポリッシュで被覆し(近心−遠心様態で定置)、処理ウィンドウとして中心部分を曝露させる。被覆された部分は、実験の間、耐酸性のネールポリッシュで被覆されたままであり、後のマイクロラジオグラフィー解析のための、対照(未処理)領域として機能する。試料を処置群のうちの4つにランダムに割り当てる(4試料/群)。
【0097】
各群の標本を、処理の第1日目の前に、標本表面上の外皮の初期層を形成するように、少なくとも1時間、20mLの新鮮なプールされたヒトの唾液に定置する。処理相を開始するために、対照フッ化物練り歯磨きの試験有機リン酸及び歯磨剤スラリー(1:3)の水溶液を、新鮮なプールされたヒトの唾液中で調製する。各処理サイクルは、以下からなる:歯磨剤スラリー(2分間)脱イオン蒸留水ですすぎ唾液(1時間)浸食負荷(10分間)脱イオン蒸留水ですすぎ唾液。1日4回処置を行い、処置日を合計5日間とする。歯磨剤処置は、標本を75rpmで回転させながら、2分間、標本を歯磨剤スラリー浸漬させることからなる。浸食負荷は、各処置群を12mLの1%クエン酸に浸すことからなる(室温で)。標本が処置中でないときはいつでも、標本を20mLの保存ヒトの唾液中(攪拌する)に置く。唾液は1日3回交換する。夜間は、各群の試料を唾液中に浸漬したままにする(室温で撹拌する)。
【0098】
処置の5日後、各標本の薄い断面(厚さ80〜120μm)を、標準化された透過タイプのマイクロラジオグラフ(TMR)技術を使用した評価用に除去する。各標本の曝露された処置領域は、完全なミネラル損失(浸食)に関して評価する。様々なリン酸アルキル化合物の単純な水溶液による結果を、解剖学的参照点として、被覆された(処置された)領域を使用した、元の標本表面からの合計ミネラル損失の深さ(ミクロン)として、表1に提示する。比較のため、表面ミネラル損失の低減率(%)を、水又はフッ化物含有組成物に対して計算する。
【0099】
データは、通常のフッ化物練り歯磨き処置と比較して、歯をリン酸アルキル又はリン酸アルキルエトキシを含有する組成物で処置した場合、酸への曝露による歯のミネラルの表面損失が有意に少ないことを示す。表面保護効果の規模は、リン酸アルキルの構造、及び水溶液中及びエナメル表面との対応する反応性に依存する。水溶液系中のリン酸アルキルの溶解度は、表面効果に主要な役割を果たす。これらの所見は、酸性負荷による浸食に対して、ヒトのエナメル質を保護するそれらの能力において、有機リン酸を含有する口腔用組成物の保護性質の強力な証拠を提供する。
【表1】

Crest(登録商標)虫歯練り歯磨き
Crodaにより供給されるカリウムC12/13ホスフェート
Alzoによって供給されるラウレス3ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Crodaによって供給されるPPG5セテアレス−10ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Rhodiaによって供給されるラウレス−1ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Clariantによって供給されるトリラウレス−4ホスフェート
【0100】
実施例II.浸食保護及び強化されたフッ化物摂取
表面特性を改変する傾向があるいかなる剤の吸着もまた、同時に送達される他の活性物質の拡散及び吸着に影響を及ぼし得る。主要な口腔ケア活性物質の1つであるフッ化物は、その抗虫歯効果に関して周知である。この効果は、脱石灰化及び再石灰化プロセスの間、フッ化物の表面吸着及び拡散を介して発揮される。本実験において、組成物は、強化された抗虫歯効果に関し、浸食に対する表面保護、及びフッ化物摂取について評価された。これらの実験で使用された処置は、表2に示すとおり、有機リン酸試験物質を通常のフッ化物含有練り歯磨きに添加することによって行われた。浸食保護は、実施例1に説明する生体外浸食サイクリングプロトコルを使用して評価する。フッ化物摂取は、pHサイクリング試験を使用して測定する。本試験で使用するプロトコルは、R.V.Fallerら「The comparative anticaries efficacy of Crest toothpaste relative to some marketed Chinese toothpastes−results of in vitro pH cycling testing」Int.Dent J.1997,47:313〜320に記載の方法と本質的に同等である。pHサイクリング試験において、エナメル盤は抽出されたヒトの歯から除去する。自然のフッ化物に富んだ表面は、研削及び研磨によって除去し、背景フッ化物を本質的に含まないヒトのエナメル質表面とする。各標本を緩衝酸溶液に曝露し、自然発生する虫歯病変に類似する病変を発症させる。標本群をヒトの唾液内で処置し、試験製品/プールされたヒトの唾液の混合物、日々の酸負荷サイクル、及び日々の唾液曝露サイクルに短期間曝露する。フッ化物の取り込みは、様々な練り歯磨き製剤の虫歯臨床成績に正に相関するため、処置が終了すると、各標本を、各歯に取り込まれたフッ化物の濃度を測定するためにサンプリングする(μg F/cmとして測定)。この試験の結果は、フッ化物を含有するが有機リン酸を含有しない対照練り歯磨きに対して、フッ化物+有機リン酸含有練り歯磨きからの、脱石灰化されたエナメル質標本へのフッ化物の強化された付着を証明する。
【0101】
浸食及びフッ化物摂取試験の結果を表3に要約する。データは、異なるリン酸アルキルが、分子構造に依存して、フッ化物摂取に異なって影響を及ぼすことを証明する。表面をより疎水性にするリン酸アルキルは、より疎水性ではない表面を生成するものよりも、フッ化物摂取に影響を及ぼし得る。式Gは、MAP 230Kを含有するが、これは、式C、D、E、H、I及びKと比較して、比較的より疎水性の表面を生成し、良好な浸食保護を提供するが、フッ化物摂取が比較的低かった。これらの後者の製剤は、それらをより親水性にし、表面付着に対するそれらの挙動、及びそれに続く特性に影響を及ぼす、エトキシ基又は大きな極対イオンのいずれかを有する、リン酸アルキルを含有する。より親水性の有機リン酸は、良好なフッ化物摂取を可能にしつつ、同程度の抗浸食効果を提供する。データは、いくつかの製剤選択肢が、抗虫歯及び抗浸食有効性を同時に提供することができることを証明する。例えば、式J又は式Eの練り歯磨きは、フッ化物単独(式A)を有意に上回って、優れたフッ化物摂取をもたらし、浸食保護を提供した。
【表2】

Crodaによって供給されるカリウムC12/13ホスフェート
Alzoによって供給されるラウレス−3ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Crodaによって供給されるPPG5セテアレス−10ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Rhodiaによって供給されるラウレス−1ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Clariantによって供給されるトリラウレス−4ホスフェート
Alzoによって供給されるラウレス−9ホスフェート、NaOH等の塩基で中和
Nikkol Chemicalによって供給されるジラウレス−10ホスフェートナトリウム
Crodaによって供給されるトリエタノールアミンC12/13ホスフェート。
【表3】

測定せず
【0102】
実施例III.有機リン酸及び多価金属イオンの適合性
多価金属抗菌剤の水性製剤を調製し、上述の様々な有機リン酸添加剤と混合した際の、透明度、化学物質含有量、及び性能に関して評価した。該組成物は、安定剤としてのグルコン酸ナトリウム又はトリポリリン酸ナトリウム、及び有機リン酸添加剤と組み合わせて、多価金属カチオンの一例として、フッ化スズを含む。該組成物はまた、亜鉛を含有する。該組成物は、増量の添加剤を、0.454%フッ化スズ/0.6%グルコン酸ナトリウム及び0.454%フッ化スズ/3.0%トリポリリン酸ナトリウムの水溶液に、滴定することによって調製した。添加剤の添加後、溶液を視覚的変化について検査し、次いで、遠心分離後、上清内の可溶性スズについて直ちに分析した。目視検査及び可溶性スズの分析の結果を、表4a及び4bに提示する。フッ化スズ及び有機リン酸剤を含む歯磨剤組成物を表5に示し、これらの組成物の浸食保護有効性を表6に提示する。有機リン酸添加剤としてFoamphos L−9(ラウレス−9ホスフェート、以下に示す組成物N)を有する製剤は、フッ化スズの透明な溶液及び高濃度の可溶性スズを生成し、優れた組成物の安定性を示した。この組み合わせはまた、有機リン酸を含まないスズ(以下に示す組成物M)又はスズを含まないFoamphos L−9(以下に示す組成物D)よりも良好な、効果的な抗浸食特性を提供した。Foamphos L−9は、フッ化スズを安定させるだけでなく、これらの剤は共に、強化された抗浸食活性を提供する。
【表4】

【表5】

【表6】

(a)27.9%溶液
(b)1%溶液
【表7】

【0103】
実施例IV.カチオン性抗菌物質及び有機リン酸の適合性
他のカチオン性抗菌物質と同様に、塩化セチルピリジニウム(CPC)は、アニオン性界面活性剤等のアニオン性添加剤と適合性がない。アニオン性物質と組み合わされたCPCは、沈殿、並びにCPCの生物学的利用能及び抗菌性能の損失をもたらす。驚くべきことに、いくつかの現在のアニオン性有機リン酸界面活性剤が、CPCと適合性がある(特に、高分子タイプ、即ち、高分子アルコキシ鎖を含有)ことが見出されている。これらの高分子有機リン酸は、CPCの透明な水溶液であるばかりでなく、CPCの抗菌有効性を維持する。更に、これらのポリマーは、表面活性があり、汚れ成分の歯の表面への吸着を阻止することによって、CPC誘導性の歯の汚れを軽減するのに役立つ。以下の実施例は、CPCの抗菌性能を維持する上でのこれらの物質の有効性を実証する。
【0104】
CPC及びポリマーを含有する含嗽剤製剤は、攪拌器及び適切なサイズのインペラを備えるステンレススチールタンク内での標準的な液体混合プロセスを使用して作製した。香味油成分は、付属容器内で有機リン酸成分と乳化させる。エマルションを、高容量の水に分散するまで撹拌し、その後、湿潤剤、CPC、防腐剤、甘味剤、及び着色剤を添加する。最後の水の添加を行い、更に混合して、確実に全ての成分を完全に溶解させる。
【0105】
含嗽剤製剤は、細菌タイム・キル・アッセイを使用して評価した。1mLの接種物質(5人のドナーからプールされた唾液)を9mLの試験製品に添加し、30秒間インキュベートする。水分制御も試験する。30秒後、1mLのアリコートを取り出し、9mLの中和ブロスに添加する。一連の1:10の希釈物を調製し、次いで、2通りにプレートする。3つの異なる培地を使用する:Tryptic Soy Agar(全好気性菌)、Brucella Blood Agar(嫌気性菌)、及びETSA−NV Agar(グラム陰性嫌気性菌)。プレートをインキュベートし、次いで計数する。各処置組成物について、水分制御に対する対数減少の結果を、以下の表7に提示する。データは、より長いエトキシ鎖を有する高分子有機リン酸が、CPCとのより良好な適合性を有し、CPCの生物学的利用能及び抗菌性能を維持することを示す。鎖に3つ未満のエトキシ基を有する有機リン酸ポリマーでは、CPC活性の有意な損失が認められる。
【0106】
製剤内のCPCの生物学的利用能は、同一出願人による出願、国際公開第05/072693号、及びS.J.Hunter−Rinderleら「Evaluation of Cetylpyridinium Chloride−Containing Mouthwashes Using In Vitro Disk Retention and Ex Vivo Plaque Glycolysis Methods,」J.Clin.Den.,1997,8:107〜113に記載の、生体外ディスク・リテンション・アッセイ(DRA)を使用して評価した。これらのアッセイは、提案されたOTCモノグラフでの使用に対して推奨される(Federal Register Vol.68,No.103 Part 356,「Oral Health Care Drug Products For Over−The−Counter Human Use;Antigingivitis/Antiplaque Drug Products;Establishment of a Monograph:Proposed Rules」)。本方法は、約0.03%〜約0.1%のCPCを含有する含嗽剤製剤を分析して、臨床的有効性に必要なCPCの「遊離」(「未結合」)又は「生物学的利用可能」レベルを定量的に判定するための、性能アッセイとして設計される。DRAアッセイは、希釈されていない含嗽剤サンプルの濾過の間、標準化されたセルロースフィルタディスクへのCPCの「結合」の量を測定する。「生物学的に利用可能な」CPCは、濾過中、セルロース繊維上のヒドロキシル基に結合し、一方で、含嗽剤成分との相互作用により、「生物学的に利用不可能」となった(又は「結合」した)CPCは、単に、濾紙を通過する、即ち、化合物上の正電荷は、負の電荷を帯びたセルロースディスクに結合するにはもはや利用可能ではなくなる。このように、DRA試験は、含嗽剤の使用中の、細菌及び粘膜表面への結合に利用可能なCPCの量の推定を提供する。CPC利用可能なDRA測定値は、生体外微生物学的アッセイ及び生体内殺菌試験の結果に正に相関している。歴史的に、セルロース繊維は、薬物活性物質の生物活性を同様にモニタリングするために他の用途で使用されてきた(「Dairy Products」in Official Methods of Analysis of the Association of Chemical Analytical Chemists.13th ed.,1980,Chapter 16:256)。「生物学的に利用可能な」CPCは、セルロースディスクに結合又は吸着されたCPCの量である。これは、標準化されたセルロースディスクへの曝露前後の、含嗽剤内のCPC濃度の相違を測定することによって判定される。該方法は、許容可能な正確性、精度、及び選択性をもって実行することが、立証され示されている。
【表8】

測定せず
【0107】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0108】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0109】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正が可能であることが当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の書類名特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の歯を浸食から保護し、ヒト及び動物被験体における全般的な歯の健康、構造及び/又は外観を改善するための口腔ケア組成物の製造における、界面活性有機リン酸化合物と、フッ化物イオン源、抗菌活性物質、及び抗結石活性物質より選択される1つ以上の口腔ケア剤との使用であって、
前記有機リン酸化合物は、以下の一般構造によって表され、
【化1】

式中、Z、Z、又はZは、同一若しくは異なってもよく、少なくとも1つは、1つ以上のリン酸基で任意に置換されたC1〜C22直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニル、アルコキシル化されたC1〜C22アルキル又はアルケニル、単糖類、多糖類、ポリオール、およびポリエーテルより選択される有機部分である、使用。
【請求項2】
前記界面活性有機リン酸化合物が、以下の一般構造で表され、
【化2】

式中、Rは、1つ以上のリン酸基で任意に置換される、6〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニル基を表し、n及びmは個々かつ別個に2〜4であり、a及びbは個々かつ別個に0〜20であり、Z及びZは、同一若しくは異なってもよく、それぞれが、水素、アルカリ金属、アンモニウム、プロトン化したC1〜C4アルキルアミン若しくはアルカノールアミン、又はR−(OC2n(OC2m−基を表す、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
被験体の歯を浸食から保護し、全般的な歯の健康、構造及び/又は外観を改善する効果を提供する、口腔ケア組成物であって、
(a)以下の一般構造によって表される界面活性有機リン酸化合物と、
【化3】

(式中、Z、Z、又はZは、同一若しくは異なってもよく、少なくとも1つが、1つ以上のリン酸基で任意に置換されたC1〜C22直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニル、アルコキシル化されたC1〜C22アルキル又はアルケニル、単糖類、多糖類、ポリオール、およびポリエーテルより選択される有機部分である)
(b)フッ化物イオン源、抗菌活性物質、及び抗結石活性物質より選択される1つ以上の口腔ケア剤と、
(c)口腔に許容可能な担体と、
を含む、口腔ケア組成物。
【請求項4】
前記界面活性有機リン酸化合物が、以下の一般構造によって表され、
【化4】

式中、Rは、1つ以上のリン酸基で任意に置換される、6〜22個の炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖アルキル又はアルケニル基を表し、n及びmは個々かつ別個に2〜4であり、a及びbは個々かつ別個に0〜20であり、Z及びZは、同一若しくは異なってもよく、それぞれが、水素、アルカリ金属、アンモニウム、プロトン化したC1〜C4アルキルアミン若しくはアルカノールアミン、又はR−(OC2n(OC2m−基を表す、請求項3に記載の口腔ケア組成物。
【請求項5】
(a)前記有機リン酸において、Rが、8〜16個の炭素原子のアルキル基であり、n及びmが、2〜3であり、a及びbのうちの1つが、少なくとも3であり、
(b)前記フッ化物源が、フッ化ナトリウム、フッ化スズ、及びモノフルオロリン酸ナトリウムのうちの1つ又は混合物である、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項6】
a.前記有機リン酸において、Rが、8〜16個の炭素原子のアルキル基であり、n及びmが、2〜3であり、a及びbのうちの1つが、少なくとも3であり、
(b)前記抗菌剤が、塩化セチルピリジニウム、臭化ドミフェン、スズイオン源、亜鉛イオン源、及び銅イオン源のうちの1つ又は混合物より選択されるカチオンである、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項7】
a.前記有機リン酸において、Rが、8〜16個の炭素原子のアルキル基であり、n及びmが、2〜3であり、a及びbのうちの1つが、少なくとも3であり、
b.前記抗結石活性物質が、平均数2〜125個のリン酸基を有するポリリン酸塩である、請求項4に記載の口腔ケア組成物。
【請求項8】
前記口腔に許容可能な担体が、アニオン性又は両性界面活性剤を含む、請求項3〜7のいずれか一項に記載の口腔ケア組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、又はこれらの混合物である、請求項8に記載の口腔ケア組成物。

【公表番号】特表2011−522871(P2011−522871A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−513062(P2011−513062)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052562
【国際公開番号】WO2010/004361
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】