説明

共グラフトしたメタロセンポリエチレンとLLDPEと、メタロセンポリエチレンとをベースにしたポリエステル用共押出しバインダー

【課題】ポリエステル用の共押出バインダー
【解決手段】5〜35重量%のポリマー(A)(このポリマー(A)は80〜20重量%の密度が0.863〜0.915であるメタロセンポリエチレン(A1)と、20〜80重量%の密度が0.900〜0.950の非メタロセンLLDPEポリエチレン(A2)とのブレンド物で、このブレンド物には不飽和カルボン酸およびその誘導体の中から選択されたグラフト・モノマーが共グラフトされ、ブレンド物のグラフトモノマーの含有量は30〜100000ppm)と、95〜65重量%のメタロセンポリエチレン(B)のホモポリマーまたはコポリマー(このメタロセンポリエチレン(B)は密度が0.863〜0.915で、MFIが3〜15 g/10分)とから成り、ポリマー(A)と(B)のブレンド物自体のMFIは1〜15g/10分である共押出用バインダー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステル層へ接着される共押出しバインダーに関するものである。
本発明の共押出しバインダーは、共グラフトされたメタロセンポリエチレン(以下、mPE)と非メタロセンLLDPEとのブレンドと、グラフトされていないメタロセンポリエチレンメタロセンとからなる。
本発明はさらに、上記バインダー層を有する多層構造物と、この多層構造物から成る物品とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
PEまたはポリエステルのフィルムを結合するための従来の接着剤はエチレン/アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはエチレン/酢酸ビニルコポリマーである。しかし、これらの接着剤は強い臭いを放つという欠点があり、作業上の問題になっていた。さらに、接着力もあまり強くなく、長期間持続しない。また、これらの接着剤はポリエステルまたはポリオレフィンの層にEVOH(バリア材料)の層に接着することはできないという欠点がある。
【0003】
本出願人の下記特許文献には、不飽和カルボン酸またはその誘導体が共グラフトされたメタロセンPEと非メタロセンLLDPEとから成る組成物をPEまたはエラストマで希釈したものが開示されている。
【特許文献1】フランス国特許第2 806 734号公報
【0004】
この特許ではPEは[sic]でもよく、PEのホモポリマーまたはコモノマー、この特許ではα-オレフィンである。さらに、PEはVLDPE(超低密度PE)タイプまたはメタロセンPEに対して、HDPE(高密度PE)、LDPE(低密度PE)、LLDPE(直鎖低密度PE)のPEにすることができる。希釈物がメタロセンPEである場合の実施例はなく、また、その場合の情報はない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は従来のバインダーの欠点である臭いの問題のないバインダーを見い出した。本発明のバインダーは塗布時から十分な接着力を示し、この接着力はプラトーに達するまで増加する。
さらに、この接着剤はエチレン/アルキル(メタ)アクリレートまたはエチレン/ 酢酸ビニル型の接着剤とは違って、EVOH(バリア材料)層に接着することができる。
【0006】
本発明のバインダーは公知文献に記載の従来技術にはない接着特性を示す。この接着特性については後で詳細に説明する。
本発明のバインダーは押出機やその均等な装置の出口で顆粒の形で回収できる。この顆粒の造粒操作はグラフトしたエチレン/酢酸ビニル型バインダーの場合よりはるかに容易であるということを見い出した。
【0007】
本発明のバインダーは種々の構造物、特に、ポリエチレン層、ポリエステル層および/またはバリア材料層を含む構造物の製造で使用できる。
当業者は本発明をポリエステルに適用することができる。
本発明は可撓性またはリジッドな包装材料、例えばバッグ、瓶、容器、コンテナ、パイプ、共押出しホース、車両用多層ガスタンクの製造で使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対象は、下記の(1)と(2)から成る(合計100重量%)ことを特徴とする共押出用バインダーにある:
(1)5〜35重量%のポリマー(A):このポリマー(A)は80〜20重量%の密度が0.863〜0.915であるメタロセンポリエチレン(A1)と、20〜80重量%の密度が0.900〜0.950である非メタロセンLLDPEポリエチレン(A2)とのブレンド物であり、このポリマー(A1)と(A2)とのブレンド物は不飽和カルボン酸およびその誘導体の中から選択されたグラフト・モノマーが共グラフトされたものであり、ブレンド物におけるグラフトモノマーの含有量は30〜100000 ppm、好ましくは600〜5000 ppmであり、
(2)95〜65重量%のメタロセンポリエチレン(B)のホモポリマーまたはコポリマー(コモノマーの炭素原子数は3〜20、好ましくは4〜8):このメタロセンポリエチレン(B)は密度が0.863〜0.915で、ASTMD 1238規格に従って190℃、2.16kgの負荷下で測定したMFI(メルトフローインデックス)が3〜15 g/10分、好ましくは0.5〜30 g/10分であり、
ポリマー(A)と(B)のブレンド物自体のMFIは0.5〜30 g/10分、好ましくは3〜15 g/10分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一つの実施例では、バインダーの接着強度が押出し後に塗布した直後に対応する時間t=0と、時間t=8日との間で5〜50%増加する。
本発明の他の実施例では、バインダーのグラフトモノマーが無水マレイン酸である。
本発明のさらに他の実施例では、バインダーエチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(C)をさらに含む。
本発明のさらに他の実施例では、バインダーの(A)のMFIは0.1〜5g/10分である(ASTMD 1238、190℃、2.16kg)。
【0010】
本発明のさらに他の対象は、上記バインダーから成る層(L)と、この層(L)の2つの表面の一つに直接接着した層(E)とを有する多層構造物にある。層(E)はポリオレフィンまたはポリエステルの層である。
本発明の一つの実施例では、多層構造物の層(F)が層(L)の第2の表面に直接接着し、層(L)が層(E)と層(F)とにサンドイッチされ、層(F)はポリアミド、エチレン/酢酸ビニル(EVOH)鹸化コポリマー、ポリオレフィンおよびポリエステルの中から選択されるポリマー層か、金属の層である。
本発明はさらに他の対象は上記多層構造物から成る物品と、この多層構造物のフィルムまたはシートの製造での使用にある。
【0011】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
「メタロセンポリエチレン」(A1)という用語はモノサイト触媒の存在下でエチレンと炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜8のα-オレフィン、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンまたはオクテンとを共重合して得られるポリマーを表す。
【0012】
コモノマーとしての3〜30の炭素原子数を有するα-オレフィンの例としてはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-アイコセン[sic]、1-ドコセン[sic]、1−テトラコセン[sic]、1−ヘキサコセン[sic]、1−オクタコセン[sic]および1−トリアコンタセンを挙げることができる。これらのα-オレフィンは単独または2種以上の混合物として使用できる。
【0013】
単一サイト触媒は一般に一つの金属原子、例えばジルコニウムまたはチタンとこの金属に結合した2つの環式アルキル分子とから成る。メタロセン触媒は一般に金属に結合した2つのシクロペンタジエン環から成る。この触媒は共触媒またはアクティベータとしてアルミノクサン、好ましくはメチルアルミノクサン(MAO)を用いることが多い。シクロペンタジエンが接合する金属としてハフニウムを用いることもできる。別のメタロセン触媒では第IVA、VAおよびVIA族の遷移金属を含むことができる。ランタン系列の金属も使うことができる。
【0014】
これらのメタロセンポリエチレンはそのMw/Mn比が<3、好ましくは<2で特徴付けることができる(Mw、Mnはそれぞれ重量平均モル質量および数平均モル質量を表す)。「メタロセンポリエチレン」という用語は、MFR(メルトフローレート、溶融流れ率)が6.53以下で且つMw/Mn比がMFR−4.63より大きいものをいう。MFRはMFI2(荷重2.16kg下でのMFI)に対するMFI10(荷重10kg下でのMFI)の比を表す。別のメタロセンポリエチレンはMFRが6.13以上で且つMw/Mn比がMFR−4.63以下であることで定義される。
【0015】
mPE(A1)の密度は0.863〜0.915の間にあるのが好ましい。mPE(A1)のMFIは0.5〜30g/10分(ASTM D1238に従って190℃、2.16kg荷重下)にある。
【0016】
ポリマー(A2)はエチレンとα-オレフィン、LLDPE(直鎖低密度ポリエチレン)とのコポリマーであってメタロセン型ではない。α-オレフィンの炭素原子数は3〜30であるのが好ましい。このα-オレフィンの例は上記のものと同じであり、好ましいα-オレフィンは炭素原子数が3〜8のα-オレフィンである。(A2)の密度は0.900〜0.950であるのが好ましい。
【0017】
(A2)のMFI(メルトフローインデックス)は0.1〜8g/10分(ASTM D1238規格に従って190℃、2.16kg)である。
ポリマー(A1)と(A2)のブレンドにグラフトモノマーがグラフトされる。すなわち、ポリマー(A1)と(A2)が共グラフトされる。グラフトモノマーは不飽和カルボン酸またはその官能性誘導体の中から選択される。
【0018】
不飽和カルボン酸の例としては炭素原子数が2〜20のもの、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マイレン酸、フマル酸およびイタコン酸である。これらの不飽和カルボン酸の官能性誘導体はその酸無水物、エステル誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体およびこれら不飽和カルボン酸の金属塩(例えばアルカリ金属塩)である。
炭素原子数が4〜10の不飽和ジカルボン酸とその官能性誘導体およびそれらの酸無水物が特に好ましいグラフトモノマーである。
【0019】
これらのグラフトモノマーの例としてはマイレン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、シクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、4-メチルシクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、x-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジ-カルボン酸およびその官能性誘導体、無水マイレン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリル琥珀酸、無水シクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸、無水4-メチレンシクロヘキシ-4-エン-1,2-ジカルボン酸[sic]、無水ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸、無水x-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,2-ジカルボン酸[sic]が挙げられる。
【0020】
グラフト・モノマーの他の例としては不飽和カルボン酸のC1-C8アルキルエステルまたはグリシジルエステル誘導体が挙げられる。例としてはメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、モノエチルマレアート、ジエチルマレート、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、モノメチルイタコネート、ジエチルイタコネート;不飽和カルボン酸のアミド誘導体、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、マイレン酸モノアミド、マイレン酸ジアミド、マイレン酸N-モノエチルアミド、マイレン酸N,N-ジエチルアミド、マイレン酸N-モノブチルアミド、マイレン酸N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸N-モノエチルアミド、フマル酸N,N-ジエチルアミド、フマル酸N-モノブチルアミド、フマル酸N,N-ジブチルアミド;不飽和カルボン酸のアミド誘導体、例えばマレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド; 不飽和カルボン酸の金属塩、例えばナトリウムアクリレート、ナトリウムメタクリレート、カリウムアクリレート、カリウムメタクリレートが挙げられる。無水マレイン酸が好ましい。
【0021】
ポリマー(A1)と(A2)のブレンド物にグラフトモノマーをグラフトする方法は種々公知である。ブレンド物はポリオレフィンの製造工程で一般に使用される添加物を10ppm〜50000 ppmの含有量で含んでいてもよい。そうした添加物は例えば置換されたフェノール分子をベースにした酸化防止剤、紫外線安定剤、加工助剤、例えば脂肪族アミド、ステアリン酸およびその塩、押出し成形の欠陥を防止する試薬として知られるフルオロポリマー、アミンベースの耐曇り剤、ブロッキング防止薬剤、例えばシリカやタルク、染料を含むマスターバッチ、核剤である。
【0022】
グラフトは例えばポリマー(A1)と(A2)を溶剤の存在下または不存在下、ラジカル開始剤の存在下または不存在下で高温(約150℃〜約300℃)に加熱することで実行できる。この反応で使用可能な溶剤はベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンまたはクメンである。使用可能なラジカル開始剤はt-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼン・ヒドロペルオキシド、ジ(t-ブチル)パーオキサイド、t-ブチルクミル・パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化アセチル、過酸化ベンゾイル、イソブチリル・パーオキサイド、ビス(3,5,5-トリメチル−ヘキサノイル)パーオキサイドおよびメチルエチルケトンペルオキシドである。
【0023】
上記方法でグラフト変性したポリマー(A1)と(A2)のブレンドにおけるグラフトモノマーの量は共グラフトされた(A1)と(A2)に重量に対して0.01〜10重量%、好ましくは600ppm〜5000 ppmにするのが好ましい。
グラフトしたモノマーの量はFTIR分光解析で琥珀酸官能基を定量することによって求めることができる。(A) すなわち(A1)と(A2)の共グラフトしたブレンド物のMFI(メルトフローインデックス)は0.1〜15g/10分(ASTM D 1238規格、190℃、2.16kg)であり、好ましくは0.1〜5g/10分であり、さらに好ましくは0.1〜3g/10分である。
【0024】
ポリエチレン(B)はメタロセンポリエチレンのホモポリマーまたは炭素原子数が3〜20、好ましくは4〜8のα-オレフィンの中から選択されるコモノマーとのコポリマーである。
炭素原子数が3〜20のα-オレフィンの例としてはプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセンまたは1-アイコセン[sic]が挙げられる。これらのα-オレフィンは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
メタロセンポリエチレン(B)は0.863〜0.915の密度と、0.5〜30g/10分、好ましくは3〜15g/10分のMFI(ASTM D 1238規格で、190℃、2.16kgで測定)とを有する。
共押出バインダーのMFIは0.1〜15g/10分、好ましくは1〜13g/10分(ASTMD 1238規格、190℃、2.16kgで測定)である。
【0026】
本発明のバインダーは多層構造物、例えば、例えばフィルム、シート、パイプ、中空体の製造で有用である。
【0027】
本発明の多層構造物は上記のバインダーの層(L)と、この層(L)の第1の表面に直接接着した層(E)とから成る。この層(E)はポリオレフィンおよびポリエステルの中から選択されるポリマーの層である。
層(L)の第2の表面に層(F)を直接接着し、層(E)と(F)との間に層(L)をサンドイッチすることもできる。層(F)はポリアミドおよび鹸化されたエチレンと酢酸ビニル(EVOH)のコポリマーの中から選択されポリマーの層にするか、金属の層にすることができる。
また、バインダー層(L)が2つの層(F)にサンドイッチされた多層構造物にすることもできる。
【0028】
以下、多層構造物の例証を挙げる。ここで、PAはポリアミドを表し、Lはバインダーを表し、PEはポリエチレンを表し、PETはポリ(エチレンテレフタレート)を表し、EVOHは鹸化されたエチレンと酢酸ビニルとのコポリマーを表す:
(1)層(E)/層(L)/層(F)タイプの構造:PE/L/EVOH/L/PET、PE/L/PAまたはPE/L/PA/L/PE、
(2)層(E)/層(L)/層(E)および層(F)/層(L)/層(F)タイプの構造:PET/L/PE、PE/L/PE、PET/L/PETまたはPA/L/PA
(3)混合構造:PE/L/EVOH/L/PA
【0029】
ポリアミドは主鎖にアミド基の構造単位を有する長鎖の合成ポリアミド、例えばPA−6、PA−66、PA−6,10、PA−11、PA−6/6,6およびPA−12である。
エチレンと酢酸ビニルとの鹸化されたコポリマーはエチレン/酢酸ビニルコポリマーを鹸化して得られる約90〜100mol%の鹸化度を有する約15〜60mol%のエチレンを含むコポリマーである。
【0030】
ポリエステルはホモポリマーまたはコポリマーである。ホモポリエステルはポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンナフテネート)または芳香族ポリエステル、例えば液晶ポリマーから成る群の中から選択できる。
本発明で使用されるコポリエステルは芳香族ジカルボン酸、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸エステル[sic]無水物、グリコールまたはこれらの混合物から形成できる。テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、ジメチルイソフタラート、ジメチル2,6-ナフタリンジカルボキシレート、2,6-ナフタリンジカルボン酸、1,2-、1,3-および1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブタンジオールまたはこれらの混合物から成る繰り返し単位で形成される芳香族コポリエステルも適している。
【0031】
ポリエステル構造はテレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸、ジメチルイソフタラートおよび/またはジメチル2,6-ナフタリンジカルボキシレートから成る繰り返し単位を有するのが好ましい。ポリエステルのジカルボン酸は一種または複数の互いに異なるジカルボン酸で変性されていてもよい(好ましくは約20mol%以下)。このジカルボン酸は好ましくは8〜14の炭素原子数を有する芳香族ジカルボン酸、好ましくは4〜12の炭素原子数を有する脂肪族ジカルボン酸または8〜12の炭素原子数を有する脂環式ジカルボン酸から成るのが好ましい。ジカルボン酸の例としては下記のものが挙げられる:テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタリン-2,6-ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、ジフェニル-4,4'-ジカルボン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸またはこれらの混合物。
【0032】
グリコールはエチレングリコール以外の一種または複数の互いに異なるジオールで変性されていてもよい(好ましくは約20mol%以下)。そうしたジオールは好ましくは6〜20の炭素原子数を有するシクロ脂肪族ジオール、好ましくは20[sic]〜25の炭素原子数を有する脂肪族ジオールから成る。この種のジオールの例としては下記が挙げられる:ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、3-メチル−ペンタン-2,4-ジオール、2-メチルペンタン-1,4-ジオール、2,2,4−トリメチルペンタン-1,3-ジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、2,2-ジエチルプロパン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,3-ジオール、1,4-ジ(ヒドロキシ−エトオキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,4-ジヒドロキシ-1,1,3,3-テトラメチルシクロブタン、2,2-ビス(3-ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、2-ビス(4-ヒドロキシ−プロポキシフェニル)プロパン[sic],(ヒドロキシエチル)レゾルシノールまたはこれらの混合物。ポリエステルを上記のジオールの2種以上を用いて製造することもできる。
【0033】
金属の層は例えば金属、例えばアルミニウム、鉄、銅、錫およびニッケルのフィルムまたはこれらの金属の少なくとも一種を主構成要素とする合金のシート、またはフィルムにすることがでる。このシートまたはフィルムの厚さは適当に選択でき、例えば約0.01〜0.2mmにすることができる。一般に、本発明のバインダーを塗布する前に金属層の表層を脱脂する。
本発明の多層構造物の各層を形成する組成物は充填材、安定剤、滑剤、静電気防止剤、難燃剤等の添加物を含むことができる。
本発明の多層構造物は共押出し、押出し-吹込み成形、熱成形、フィルムコーティング、その他の熱可塑性物質の分野で公知のロール加工で製造できる。
【実施例】
【0034】
本発明(実施例1−4)および比較例(比較例1−7)によるバインダー組成物を[表1]にまとめて示す。
[表2]はt0(バインダーが押出され、試験片に塗布された直後に対応する時間=0)と、t8(時間=8日に対応)でのN/15mmでの剥離強度Fをまとめて示したものである。
これらのテストで使用したフィルムは、ケース1はPET層/バインダー層(L)/PE層(それぞれ150/30/350μmの厚さを有する)3層共押出しフィルムであり、ケース2とケース3は、PET層/バインダー層(L)/EVOH層/バインダー層(L)/PE層(それぞれ150/30/20/30/300μmの厚さを有する)5層共押出しフィルムである。
【0035】
剥離テストは、25℃の温度Tで、200mm/分の剥離速度で実行した。
各フィルムはVoridian 9921W(登録商標)PET(イーストマン)、Lacqtene LD0304(登録商標)LDPE(Atofina)、Soarnol(登録商標)EVOH(エチレン38%)(日本合成)で作った。
記号σは標準偏差を表す。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(1)と(2)から成り(合計100重量%):
(1)5〜35重量%のポリマー(A):このポリマー(A)は80〜20重量%の密度が0.863〜0.915であるメタロセンポリエチレン(A1)と、20〜80重量%の密度が0.900〜0.950である非メタロセンLLDPEポリエチレン(A2)とのブレンド物であり、このポリマー(A1)と(A2)とのブレンド物は不飽和カルボン酸およびその誘導体の中から選択されたグラフト・モノマーが共グラフトされたものであり、ブレンド物におけるグラフトモノマーの含有量は30〜100000 ppm、好ましくは600〜5000 ppmであり、
(2)95〜65重量%のメタロセンポリエチレン(B)のホモポリマーまたはコモノマーの炭素原子数が3〜20、好ましくは4〜8であるコポリマー:このメタロセンポリエチレン(B)は密度が0.863〜0.915で、ASTMD 1238規格に従って190℃、2.16kgの負荷下で測定したMFI(メルトフローインデックス)が0.5〜30 g/10分、好ましくは3〜15 g/10分であり、
ポリマー(A)と(B)のブレンド物自体のMFIは1〜15g/10分、好ましくは0.1〜13g/10分であることを特徴とする共押出用バインダー。
【請求項2】
押出し直後に塗布した時の時間に対応する時間t=0と時間t=8日との間で接着強度が5〜50%増加する請求項1に記載のバインダー。
【請求項3】
グラフトモノマーが無水マレイン酸である請求項1または2に記載のバインダー。
【請求項4】
エチレン/アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(C)をさらに含む請求項1に記載のバインダー。
【請求項5】
ポリマー(A)のMFIが0.1〜5g/10分(190℃、2.16kg、ASTMD 1238)である請求項1〜4のいずれか一項に記載のバインダー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のバインダーから成る層(L)と、この層(L)の2つの表面の一つに接着したポリオレフィンまたはポリエステルの層(E)とから成る多層構造物。
【請求項7】
上記の層(L)の第2の表面に直接接着した層(F)を有し、上記の層(L)は層(E)と層(F)との間にサンドイッチされ、上記の層(F)はポリアミド、エチレンと酢酸ビニル(EVOH)との鹸化されたコポリマー、ポリオレフィンおよびポリエステルの中から選択されるポリマーの層か金属の層である請求項6に記載の多層構造物。
【請求項8】
層(E)がポリエステルコポリマーの層で、層(F)がEVOHの層である請求項7に記載の多層構造物。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の多層構造物から成る物品。
【請求項10】
バッグ、瓶、容器、パイプまたはホースである請求項9に記載の物品。
【請求項11】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の多層構造物のフィルムまたはシートでの使用。

【公表番号】特表2006−500454(P2006−500454A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539149(P2004−539149)
【出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【国際出願番号】PCT/FR2003/002850
【国際公開番号】WO2004/029173
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(591004685)アルケマ (112)
【Fターム(参考)】