説明

共結晶および共結晶を含む薬学的処方物

活性成分がVX-950と4−ヒドロキシ安息香酸との共結晶である、活性成分の即時放出処方物が提供される。被験体におけるHCV感染を処置する方法もまた提供され、この方法は、被験体に処方物を投与する工程を包含し、この処方物は、活性成分、および処方物の総重量のうちの少なくとも約1%の量で存在する、1種以上の賦形剤を含み、ここで、該活性成分は共結晶を含み、該共結晶はVX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む、方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願との相互参照)
本願は2008年8月27日に出願された米国仮特許出願第61/092,206号、2008年8月28日に出願された米国仮特許出願第61/092,503号、および2008年9月3日に出願された米国仮特許出願第61/093,942号に対する優先権を主張する。これらの先行する出願の内容は本願の開示の一部とみなされる(そして、参照により本願の開示に援用される)。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
C型肝炎ウイルス(HCV)は、全世界で1億7000万人の人々に感染していると概算されている[非特許文献1]。米国単独では、ほぼ400万人の個体が感染している可能性がある[M.J.Alterら,「非特許文献2;非特許文献3]。
【0003】
VX−950は、3nM(および8nMのKi)の定常状態結合定数(steady state binding constant)(ki)[特許文献1]:を有する競合的な可逆性ペプチド模倣性C型肝炎ウイルス(「HCV」)NS3/4Aプロテアーゼインヒビターである。
【0004】
【化1】

臨床試験において、VX−950は、抗ウイルス活性を示し、HCV(非A型非B型肝炎の大部分の症例についての原因として認識されている)に対する有効な治療であると示され、世界でヒト血清有病率3%と推定された[非特許文献4]。しかし、VX−950は、水中で実際に不溶性であるので、これを投与するのに適切であるように調合するのは困難である。
【0005】
従って、共結晶の改善された形態を提供する薬学的組成物であって、この共結晶がVX−950を含み、かつ、使用環境においてVX−950濃度の適切なレベルを維持する、薬学的組成物が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/018369号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Purcell,R.H.,Hepatitis C virus:historical perspective and current concepts.FEMS Microbiology Reviews,1994.14:p.181−192.
【非特許文献2】M.J.Alterら,「The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States,Gastroenterol.Clin.North Am.,23,pp.437−455(1994)
【非特許文献3】M. J.Alter 「Hepatitis C Virus Infection in the United States」,J.Hepatology,31,(Suppl.1),pp.88−91(1999)
【非特許文献4】A.Albertiら,「Natural History of Hepatitis C」, J.Hepatology,31.,(Suppl.1),pp.17−24(1999)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、VX−950を含む薬学的共結晶に関する。
【0009】
本発明はまた、薬学的処方物に関する。
【0010】
一局面において、本発明は、薬学的組成物を含む。上記薬学的組成物は、活性成分および1種以上の賦形剤を含む。上記薬学的組成物において、上記1種以上の賦形剤は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%の量で存在する。上記活性成分は共結晶を含み、上記共結晶はVX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸(co‐former)とを含む。
【0011】
本発明の特定の実施形態において、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの約1〜99%の量で存在する。一実施形態において、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%もしくは60%の量で存在する。一実施形態において、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約68%の量で存在する。
【0012】
代表的には、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの少なくと約も50%の量で存在する。一実施形態において、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約60%の量で存在する。別の実施形態において、上記共結晶は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約65%の量で存在する。なお別の実施形態において、上記結晶性組成物は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%の量で存在する。
【0013】
特定の実施形態において、上記共結晶中に含まれるVX−950対上記コフォーマーのモル比は、約1:1である。
【0014】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、充填剤、界面活性剤、滑り剤(glidant)、滑沢剤および崩壊剤からなる群より選択される。
【0015】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の充填剤を含む。上記充填剤の例としては、マンニトール、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、タルク、デンプン、α化デンプン、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、上記1種以上の充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトースもしくはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記1種以上の充填剤は、微結晶性セルロースおよびラクトースである。
【0016】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の崩壊剤を含む。上記崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸、デンプン、α化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポピドン、セルロースおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ダイズポリサッカリド、グアールガム、イオン交換樹脂、食用の酸(food acid)およびアルカリ炭酸塩成分に基づく発泡系(effervescent system)、ならびに炭酸水素ナトリウムが挙げられ得るが、これらに限定されない。一実施形態において、上記1種以上の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0017】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の界面活性剤を含み得る。上記界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート 20、40、60および80)、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水素化ヒマシ油)、ペグ化水素化ヒマシ油、脂肪酸のソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレートなど)、ビタミンEもしくはトコール誘導体、ビタミンE TPGS、トコフェリルエステル、レシチン、リン脂質およびそれらの誘導体、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407、ポロキサマー388、ポロキサマー188)、ステアリン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、セチルアルコール、モノグリセリドおよびジグリセリド、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のグリセロールエステル(例えば、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート)、エチレングリコールパルミトステアレート、ポリオキシグリセリド(ペグ化グリセリド、例えば、ラブラフィル(labrafil)、ラブラソール(labrasol)、ゲルシレ(gelucire)など)、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリグリセリルオレエートなどが挙げられ得るが、これらに限定されない。一実施形態において、上記1種以上の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0018】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑り剤を含み得る。上記滑り剤の例としては、タルク、コロイドシリカ(例えば、Cabosil M−5)、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ロイシンおよびデンプンが挙げられ得るが、これらに限定されない。一実施形態において、上記1種以上の滑り剤は、コロイドシリカである。
【0019】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑沢剤を含み得る。上記滑沢剤の例としては、タルク、脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセリルモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、グリセリルベヘネート、鉱油、植物油、ロイシン、安息香酸ナトリウム、もしくはこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。別の実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0020】
一実施形態において、上記処方物は、約5重量%〜99重量%の上記共結晶、約5重量%〜60重量%の第1の充填剤、約5重量%〜60重量%の第2の充填剤、約1重量%〜30重量%の崩壊剤、約1重量%〜30重量%の界面活性剤、約1重量%〜30重量%の滑沢剤、および約1重量%〜30重量%の滑り剤を含む。
【0021】
一実施形態において、上記処方物は、約50重量%〜75重量%の上記共結晶、約5重量%〜15重量%の第1の充填剤、約5重量%〜15重量%の第2の充填剤、約1重量%〜10重量%の崩壊剤、約0.1重量%〜10重量%の界面活性剤、約0.1重量%〜10重量%の滑沢剤、および約0.1重量%〜10重量%の滑り剤を含む。
【0022】
一実施形態において、上記処方物は、約67.80重量%の上記共結晶、約11.71重量%の第1の充填剤、約11.71重量%の第2の充填剤、約3重量%の崩壊剤、約2重量%の界面活性剤、約0.78重量%の滑り剤、および約3重量%の滑沢剤を含む。
【0023】
特定の実施形態において、上記処方物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、水性懸濁物もしくは水性液剤の形態にある。一実施形態において、上記処方物は、カプセル剤の形態である。あるいは、一実施形態において、上記処方物は、錠剤の形態である。別の実施形態において、上記錠剤は、コーティングされている。一実施形態において、上記処方物は、即時放出処方物である。
【0024】
本発明はまた、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む活性成分を調合するための方法を含む。上記方法は、
上記活性成分を提供する工程;および
上記活性成分を1種以上の賦形剤とブレンドし、ブレンドされた混合物を形成する工程、
を包含する、方法。
【0025】
特定の実施形態において、上記方法は、上記ブレンドされた混合物を加工処理する工程をさらに包含する。
【0026】
特定の実施形態において、上記方法は、上記ブレンドされた混合物を滑らかにする工程をさらに包含する。
【0027】
一実施形態において、上記ブレンドされた混合物を加工処理する工程は、上記ブレンドされた混合物を造粒する工程を包含する。一実施形態において、上記ブレンドされた混合物を造粒する工程は、
上記ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程;
上記ブレンドされた混合物を湿式造粒する工程;
上記ブレンドされた混合物を高剪断造粒する工程;
上記ブレンドされた混合物を流動層造粒する工程;もしくは
これらの組み合わせ、
を包含する。
【0028】
一実施形態において、上記ブレンドされた混合物を造粒する工程は、上記ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程を包含する。一実施形態において、上記ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程は、上記ブレンドされた混合物をローラー圧縮する工程を包含する。
【0029】
特定の実施形態において、上記方法は、上記ローラー圧縮された混合物を製粉し、顆粒をもたらす工程をさらに包含する。特定の実施形態において、上記方法は、上記顆粒を滑らかにする工程をさらに包含する。
【0030】
特定の実施形態において、上記方法は、上記滑らかにした顆粒混合物を、錠剤に圧縮する工程をさらに包含する。
【0031】
特定の実施形態において、上記方法は、上記錠剤をコーティングする工程をさらに包含する。
【0032】
特定の実施形態において、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、約5:1〜約1:5の範囲におよぶ。一実施形態において、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、約1:1の範囲におよぶ。
【0033】
特定の実施形態において、上記VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む共結晶活性成分を提供する工程は、上記共結晶の粒度を制御する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記共結晶の粒度を制御する工程は、上記共結晶の粒度を低下させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記共結晶の粒度を制御する工程は、
a)上記共結晶を破壊する工程;
b)上記共結晶を篩い分けする工程;
c)上記共結晶を製粉する工程;もしくは
e)これらの組み合わせ
を包含する。
上記共結晶を製粉する工程の例としては、フィッツミル(fitzmill)にかける工程、同時製粉する工程、ジェットミル(jetmill)にかける工程、湿式製粉する工程、およびナノ製粉する工程が挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
上記方法の特定の実施形態において、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む上記活性成分を提供する工程は、VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液とは別個に調製する工程を包含する。いくつかの実施形態において、VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を別個に調製する工程は、
a)第1の溶媒で上記VX−950の溶液を調製する工程、
b)第2の溶媒で上記4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を調製する工程、
を包含する。
【0035】
いくつかの実施形態において、VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液とは別個に調製する工程は、上記VX−950の溶液および上記4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を合わせる工程をさらに包含する。一実施形態において、上記第1の溶媒および上記第2の溶媒は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエンおよびベンゼンからなる群より独立して選択される。一実施形態において、上記第1の溶媒は、ジクロロメタンであり、上記第2の溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル、アセトニトリルもしくは酢酸エチルである。一実施形態において、上記第1の溶媒対上記第2の溶媒の比は、約2:1〜約1:5の範囲に及ぶ。
【0036】
特定の実施形態において、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む上記活性成分を提供する工程は、2種以上の溶媒の混合物中に溶解させる工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記2種以上の溶媒の混合物は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエンおよびベンゼンからなる群より選択される2種以上の溶媒を含む。いくつかの実施形態において、上記2種以上の溶媒の混合物は、ジクロロメタンおよびtert−ブチルメチルエーテルを含む。いくつかの実施形態において、ジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの比は、約2:1〜約1:5の範囲に及ぶ。いくつかの実施形態において、上記方法は、貧溶媒(anti‐solvent)を添加する工程をさらに包含する。一実施形態において、上記方法は、貧溶媒を添加する工程をさらに包含する。別の実施形態において、上記貧溶媒としては、tert−ブチルメチルエーテル、ヘプタン、アセトニトリル、および酢酸エチルが挙げられる。
【0037】
一実施形態において、上記活性成分を提供する工程は、上記2種以上の溶媒の混合物に、上記活性成分を種晶添加する工程を包含する。
【0038】
特定の実施形態において、上記活性成分を1種以上の賦形剤とブレンドする工程は、充填剤、界面活性剤、滑り剤、滑沢剤および崩壊剤から選択される1種以上の賦形剤をブレンドする工程を包含する。
【0039】
本発明の別の局面において、本発明は、被験体におけるHCV感染を処置する方法を提供し、上記方法は、上記被験体に処方物を投与する工程を包含する。上記処方物は、活性成分、および上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%の量で存在する1種以上の賦形剤を含む。上記活性成分は共結晶を含み、上記共結晶はVX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む。
【0040】
特定の実施形態において、上記方法は、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCV NS3/4Aプロテアーゼの別のインヒビター;IMPDHの別のインヒビター;NS3/4Aプロテアーゼ以外の、HCV生活環における標的のインヒビター;内部リボソーム進入のインヒビター、広域スペクトルのウイルスインヒビター;シトクロームP−450インヒビター;またはこれらの組み合わせから選択される、さらなる薬剤を投与する工程をさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、過飽和条件下で、1% ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)媒体中で、VX−950:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶と比較した場合、結晶性VX−950の動的可溶性データを示す。
【図2】図2は、1% ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)媒体および摂食時模倣胃液(Fed Simulated Gastric Fluid)(FeSSGF)媒体において、VX−950:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶を有する即時放出処方物の溶解データを示す。
【図3】図3は、1% ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)媒体および摂食時模倣胃液(Fed Simulated Gastric Fluid)(FeSSGF)媒体において、VX−950:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶を有する即時放出処方物の溶解データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(発明の詳細な説明)
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、この、その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形を包含することに注意せねばならない。従って、例えば、「ある結合剤(a binder)」への言及は、2種以上の結合剤を含む;「ある薬剤(a pharmaceutical agent)」への言及は、2種以上の薬剤を含む、など。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「活性剤」、「活性な薬学的成分」もしくは「API」とは、薬学的に活性な薬剤もしくは薬物を意味し、全てのこれら用語は、交換可能に使用され得る。さらに、これらの用語はまた、とりわけVX−950を含む共結晶を意味し得る。
【0044】
用語「共結晶」とは、本明細書で使用される場合、2種以上の特有の化合物(この2種以上の特有の化合物は、新たな化学的実体を形成する)から構成される結晶性物質の1つの特有の固体形態を意味する。上記共結晶は、室温で固体であり、上記2種以上の特有の化合物の各々とは物理的および化学的に異なる特性を有する。上記に言及されるように、本発明の共結晶は、固体もしくは結晶性物質を特徴付けるために、当該分野において公知の方法によって分析され得る。特徴付ける方法の例としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折測定法(XRPD)、溶解度分析、動的蒸気吸着測定(dynamic vapor sorption)、発生気体赤外分析(infrared off−gas analysis)、および懸濁物安定性が挙げられる。TGAは、共結晶サンプル中の残存溶媒の存在を調査するために、および各共結晶サンプルの分解が生じる温度を同定するために、使用され得る。DSCは、温度の関数として共結晶サンプル中に生じる温度遷移を調べ、各共結晶サンプルの融点を決定するために使用され得る。XRPDは、上記共結晶の構造的特徴付けのために使用され得る。溶解度分析は、実行され、各共結晶サンプルの物理的状態の変化を反映し得る。そして懸濁物安定性分析は、溶媒中の共結晶サンプルの化学的安定性を決定するために使用され得る。このような方法のうちのいくつかが、詳細に記載される。
【0045】
本発明の共結晶は、API(すなわち、VX−950)に非共有結合的に結合したコフォーマーを含む。例えば、上記コフォーマーは、上記APIに直接水素結合(H−bonded)していてもよいし、上記APIに結合するさらなる分子に水素結合していてもよい。上記さらなる分子は、上記APIと非共有結合的に相互作用する。上記さらなる分子はまた、異なるAPIであり得る。コフォーマーをさらに含まないAPI化合物の溶媒和物は、本発明によれば共結晶ではない。しかし、上記共結晶は、結晶格子中に1つ以上の溶媒分子を含み得る。すなわち、共結晶(複数)の溶媒和物(複数)、あるいは、室温で液体である溶媒もしくは化合物をさらに含む共結晶は本発明に含まれるが、(室温において)1種のみの固体および1種以上の液体から構成される結晶性物質は本発明に含まれず、ただし、以前に言及され、具体的に述べられた液体APIは除く。上記共結晶はまた、コフォーマーと、APIの塩との間の共結晶であり得るが、上記APIおよび本発明の上記コフォーマーは、水素結合を介して一緒に構築されるかもしくは結合する。分子認識の他の様式がまた存在し得、これらとしては、πスタッキング、ゲスト−ホスト錯体形成およびファンデルワールス相互作用が挙げられる。上記に列挙した相互作用のうち、水素結合は、上記共結晶の形成において優勢な相互作用(および本発明では必要とされる相互作用)であり、それによって、非共有結合は、上記部分のうちの一方の水素結合供与体と、他方の水素結合受容体との間で形成される。水素結合は、いくつかの異なる分子間配置をもたらし得る。例えば、水素結合は、ダイマー、直鎖、もしくは環状構造の形成をもたらし得る。これら配置は、伸びた(二次元の)水素結合ネットワークおよび分離した三つ組(triad)をさらに含み得る。
【0046】
用語「コフォーマー」は、共結晶、包接化合物もしくは他の結晶性固体の形態の形成を通じて、固体薬物の結晶形態を変化させる、薬理学的に不活性な分子である。
【0047】
用語「即時放出」とは、短期間(例えば、1時間未満)にわたってインビトロもしくはインビボでの放出をもたらす本発明の組成物からの上記活性成分(例えば、VX−950)の放出の任意のタイプを意味し、上記短期間は、同様の短い時間間隔にわたって治療上有効な血漿レベルを提供し、そして/または、上記活性成分の他の薬物動態的特性を改変するのに十分な短期間である。本発明の即時放出処方物は、上記放出される活性成分の量を測定するために適切な使用環境において試験され得る。
【0048】
本明細書で使用される場合、「使用環境」とは、インビボ環境(例えば、動物、特にヒトのGI管)、もしくは試験溶液のインビトロ環境(例えば、適切な溶解媒体(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、1% ラウリル硫酸ナトリウム、摂食時もしくは絶食時を模倣した胃もしくは腸の媒体)のいずれかであり得る。
【0049】
用語「賦形剤」とは、本明細書において、被験体への上記活性成分の送達のためにビヒクルとして使用される任意の物質、および上記活性成分に添加される任意の物質(例えば、その取り扱い特性を改善するため、もしくは得られた組成物が、所望の形状および粘度を有する経口送達可能な単位用量へと形成されることを可能にするために添加される物質)を含む。賦形剤としては、限定ではなく例示として、充填剤、結合剤、界面活性剤、崩壊剤、滑り剤、滑沢剤もしくはこれらの組み合わせ、色素、投与形態の外見を改善するために添加される物質、および経口投与形態の調製において従来から使用されている上記活性成分以外の任意の他の物質が挙げられ得る。
【0050】
用語「バイオアベイラビリティー」とは、本明細書において、胃腸管を介して血流へと吸収される活性成分の量の尺度に関する。より具体的には、「バイオアベイラビリティー」とは、同じ投与速度で静脈内送達される上記活性成分について用量正規化されたAUC(0−∞)のパーセンテージとして表される、特定の経口投与される組成物についての用量正規化AUC(0−∞)を示すために、本明細書において使用される。上記処方物の構成は、上記活性成分のバイオアベイラビリティーに影響を及ぼし得る。2つの処方物が同一の活性成分を使用してもよいが、上記活性成分のバイオアベイラビリティーは、同じでなくてもよい。よって、活性成分のバイオアベイラビリティーは、処方物の構成(例えば、賦形剤の成分、ならびにそれらの量およびグレード)に依存して、顕著に変わり得る。
【0051】
用語「加工処理」とは、いくつかの目的の準備をする目的で、物質を調製、処理もしくは変換することを意味する。
【0052】
「貧溶媒」は、溶液からの化合物の沈殿を開始させ得る適切な溶媒もしくは溶媒の組み合わせである。
【0053】
特定の実施形態において、本発明の即時放出組成物は、投与の際、使用環境(例えば、胃液)への曝露の際に、VX−950を含む共結晶を含む活性成分の即時放出を提供するように設計される。本発明の即時放出組成物は、水性環境への上記組成物の導入の際に、上記活性成分の迅速な溶解と、被験体への投与後に治療的レベルへの、実際には不溶性の活性成分の血漿濃度における迅速な上昇とを提供する。
【0054】
VX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む上記共結晶が、特に、溶解度、溶解、バイオアベイラビリティー、安定性、Cmax、Tmax、および加工処理性に関して(しかしこれらに限定されない)、遊離形態(遊離酸、遊離塩基、および双極性イオン、水和物、溶媒和物などが挙げられる)におけるVX−950と比較して、改善された特性を生じることが見いだされた。例えば、VX−950を含む共結晶は有利であり、ここで結晶性VX−950の遊離形態は、ごく僅かに水に溶解する。さらに、上記APIに与えられる上記共結晶特性はまた有用である。なぜなら、上記APIのバイオアベイラビリティーが改善され得、上記APIの血漿濃度および/もしくは血清濃度は、改善され得るからである。これは、経口投与可能な処方物に対して特に有利である。さらに、上記APIの用量応答は、例えば、最大の獲得可能応答を増大させ、そして/または投与等価物あたりの生物学的活性を増大させることによって、上記APIの有効性を増大させることにより、改善され得る。
【0055】
VX−950と、上記コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む上記共結晶を調製することにおいて、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸は、適切な溶媒系に溶かされる。一実施形態において、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸は、それぞれの溶媒中に独立して溶かされ、その後、合わせられる。別の実施形態において、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸は、2種以上の溶媒の混合物中に一緒に溶かされる。種晶添加は、上記共結晶の形成を促進し得、よりよいコントロール(例えば、よりよい形態)を提供し得る。
【0056】
VX−950を含む上記共結晶を調製するための溶媒系の例としては、エーテル溶媒(例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、およびテトラヒドロフラン)、アセテート溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、および酢酸tert−ブチル)、ケトン溶媒(例えば、アセトン、2−ブタノン、およびメチルイソブチルケトン)、ハロゲン化アルキル溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、およびジクロロエタン)、ニトリル溶媒(例えば、アセトニトリルおよびブチロニトリル)、または炭化水素溶媒(例えば、トルエンおよびベンゼン)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0057】
特徴付ける方法の例としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線粉末回折測定法(XRPD)、単一結晶構造決定、溶解度分析、動的蒸気吸着測定、発生気体赤外分析、および懸濁物安定性が挙げられる。TGAは、共結晶サンプル中の残存溶媒の存在を調査するために、および各共結晶サンプルの分解が生じる温度を同定するために、使用され得る。DSCは、温度の関数として共結晶サンプルにおいて生じる温度遷移を調査するために、および各共結晶サンプルの融点を決定するために、使用され得る。XRPDおよび単一結晶構造決定は、上記共結晶の構造的特徴付けのために使用され得る。溶解度分析は、実行され、各共結晶サンプルの物理的状態の変化を反映し得る。そして懸濁物安定性分析は、溶媒中の共結晶サンプルの化学的安定性を決定するために使用され得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、有効量は、上記処置された被験体(例えば、患者)に対する治療効果を与えるために必要とされる量である。VX−950および上記コフォーマーを含む共結晶の有効量は、約0.1mg/kg〜約150mg/kg(例えば、約1mg/kg〜約60mg/kg)の間である。有効な用量はまた、当業者によって認識されるように、投与経路、賦形剤の使用法、および他の治療剤および/もしくは治療の使用を含む、他の治療的処置との同時使用法の可能性に依存して、変わる。
【0059】
本発明の共結晶もしくは薬学的組成物は、化合物VX−950の送達を可能にする任意の方法(例えば、経口的に、静脈内に、もしくは非経口的に)によって、必要とする被験体(例えば、細胞、組織、もしくは患者(動物もしくはヒトを含む))に投与され得る。例えば、それらは、丸剤、錠剤、カプセル剤、エアロゾル、坐剤、摂取もしくは注射のための、または点眼剤もしくは点耳剤としての使用のための液体処方物、栄養補助食品、および局所的調製物を介して投与され得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明は、上記共結晶の粒度を制御する方法を提供する。本明細書で開示される共結晶の粒度は、本発明の処方物の物理的および化学的特徴(例えば、バイオアベイラビリティー)に影響を及ぼし得る。上記共結晶を微粉にするために使用される機械のタイプ(例えば、Jetmill(登録商標) MC50 Jetpharma Micronizer)に依存して、上記共結晶の粒度は変わり得る。上記共結晶の粒度を制御する例としては、上記共結晶を破砕すること、上記共結晶を篩い分けすること、および上記共結晶を製粉することが挙げられ得るが、これらに限定されない。製粉の例としては、フィッツミルにかけること、同時製粉すること、ジェットミルにかけること、湿式製粉すること、およびナノ製粉すること、またはこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0061】
一実施形態において、本発明の薬学的処方物は、1種以上の賦形剤を含む。特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の充填剤を含む。
【0062】
用語「充填剤成分」とは、上記APIを上記所望の投与量へと希釈するように作用し、かつ/または、上記APIのキャリアとして作用する1種以上の物質を意味する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、1種以上の充填剤物質を含む。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記充填剤成分は、1種以上の希釈剤物質を含む。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、希釈剤および充填剤である1種以上の物質を含む。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、本発明の薬学的組成物の機械的強度および/もしくは圧縮性を改善する少なくとも1種の物質を含む。
【0063】
上記充填剤成分の例としては、マンニトール、ラクトース(例えば、ラクトース-316 Fast−Flo)、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113、PH101、PH102など)、ケイ化微結晶性セルロース(例えば、Prosolv HD90)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、タルク、デンプン、α化デンプン、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0064】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、微結晶性セルロースもしくはラクトースである。
【0065】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、微結晶性セルロースである。
【0066】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、ラクトースである。
【0067】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記1種以上の充填剤成分は、微結晶性セルロースおよびラクトースである。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記充填剤は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%の量で存在する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約30%を構成し得る。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で5%〜約25%を構成し得る。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約20%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約15%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約14%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約13%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約11%〜約13%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約12%を構成する。
【0069】
特定の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、第1の充填剤成分および第2の充填剤成分を含む。
【0070】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、組み合わされた上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約60%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、組み合わされた上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約40%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約40%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.1%〜約40%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約40%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で5%〜約40%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約35%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約30%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約10%〜約25%を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約12%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約15%〜約25%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約17%〜約25%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約20%〜約25%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約23%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の充填剤成分および上記第2の充填剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約23.42%を構成する。
【0071】
上記崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム(例えば、AcDiSol)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸、デンプン、α化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポピドン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロースおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ダイズポリサッカリド、グアールガム、イオン交換樹脂、食用の酸およびアルカリ炭酸塩成分に基づく発泡系、ならびに炭酸水素ナトリウムが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0072】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0073】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%の量を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約30%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.1%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約15%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で0.5%〜約10%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約5%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約4%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約2%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記第1の崩壊剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。
【0074】
上記薬学的処方物の特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の界面活性剤を含む。界面活性剤は、溶解度が不十分もしくは疎水性の組成物の湿潤性を高めるために使用され得る。上記界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤もしくはカチオン性界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。上記界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリソルベート/Tween20、40、60および80)、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル(界面活性剤のBrijシリーズとして公知;例えば、Brij 78、Brij 30、Brij 35、Brij 52、Brij 56、Brij 58、Brij 72、Brij 721、Brij 76、Brij 92、Brij 96、およびBrij 98)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシル35ヒマシ油(例えば、CREMOPHOR(登録商標) EL)、ポリオキシル40 水素化ヒマシ油(例えば、CREMOPHOR(登録商標) RH40))、ペグ化水素化ヒマシ油、脂肪酸のソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート(例えば、Span 20)、ソルビタンモノオレエート(例えば、Span 80)、ソルビタンモノパルミテート(例えば、Span 40)、ソルビタンモノステアレート(例えば、Span 60)、ソルビタントリステアレートなど)、ビタミンEもしくはトコール誘導体、ビタミンE TPGS、トコフェリルエステル、天然もしくは合成のレシチン、リン脂質およびそれらの誘導体、ポロキサマー(ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンコポリマー(例えば、ポロキサマー 407、ポロキサマー 388、ポロキサマー 188))、ステアリン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、セチルアルコール、モノグリセリドおよびジグリセリド、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、脂肪酸のグリセロールエステル(例えば、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート)、エチレングリコールパルミトステアレート、ポリオキシグリセリド(ペグ化グリセリド(例えば、ラブラフィル、ラブラソール、ゲルシレなど))、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリグリセリルオレエート、または本明細書で上記の界面活性剤の任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0075】
上記薬学的処方物の特定の実施形態において、上記1種以上の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0076】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%の量を構成する。上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約30%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約15%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で0.5%〜約10%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約5%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約4%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約2%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約2%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の界面活性剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約2%を構成する。
【0077】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑沢剤を含み得る。適切な滑沢剤は、アンチスティッキング特性もしくはアンチタッキング(anti−tacking)特性を有する。上記滑沢剤の例としては、タルク、脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセリルモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、グリセリルベヘネート、鉱油、植物油、ロイシン、安息香酸ナトリウム、もしくはこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。上記薬学的処方物の特定の実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0078】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記処方物の総重量のうちの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、もしくは40%の量を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約30%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約0.1%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約5%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約5%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%〜約4%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑沢剤は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。
【0079】
特定の実施形態において、上記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑り剤を含み得る。適切な滑り剤は、処方物の流動性を改善し得、アンチスティッキング特性もしくはアンチタッキング特性を有し得る。上記滑り剤の例としては、タルク、コロイドシリカ(例えば、Cabosil M−5)、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ロイシンおよびデンプンまたはこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。上記薬学的処方物の特定の実施形態において、上記1種以上の滑り剤は、コロイドシリカである。
【0080】
上記薬学的処方物のいくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約30%を構成する。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.01%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.25%〜約20%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.25%〜約10%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.25%〜約5%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で0.25%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約1%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約2%〜約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約3%を構成する。いくつかの実施形態において、上記1種以上の滑り剤成分は、上記薬学的処方物の重量で約0.5%を構成する。
【0082】
特定の実施形態において、本発明の処方物は、上記共結晶、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113)、ラクトース(例えば、ラクトース−316 Fast Flo)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol)、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイドシリカ(例えば、フュームドシリカもしくは非晶質シリカ;Cabosil M−5)、フマル酸ステアリルナトリウム、またはこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上の賦形剤を含む。
【0083】
特定の実施形態において、本発明の処方物は、上記共結晶、微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113)、ラクトース(例えば、ラクトース Fast Flo)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol)、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイドシリカ(例えば、フュームドシリカもしくは非晶質シリカ;Cabosil M−5)、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0084】
特定の実施形態において、本発明の処方物は、約55重量%〜80重量%の上記共結晶、8重量%〜13重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113)、8重量%〜13重量%のラクトース(例えば、ラクトース−316 Fast Flo)、1重量%〜7重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol)、1重量%〜7重量%のラウリル硫酸ナトリウム、0.1重量%〜7重量%のコロイドシリカ(例えば、フュームドシリカもしくは非晶質シリカ;Cabosil M−5)、および1重量%〜7重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0085】
特定の実施形態において、本発明の処方物は、約60重量%〜75重量%の上記共結晶、10重量%〜12重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113)、10重量%〜12重量%のラクトース(例えば、ラクトース−316 Fast Flo)、1重量%〜5重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol)、1重量%〜5重量%のラウリル硫酸ナトリウム、0.1重量%〜5重量%のコロイドシリカ(例えば、フュームドシリカもしくは非晶質シリカ,Cabosil M−5)、および1重量%〜5重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0086】
特定の実施形態において、本発明の処方物は、約67重量%の上記共結晶、約12重量%の微結晶性セルロース(例えば、Avicel PH113)、約12重量%のラクトース(例えば、ラクトース−316 Fast Flo)、約3重量%のクロスカルメロースナトリウム(例えば、Ac−Di−Sol)、約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム、約1.0重量%のコロイドシリカ(例えば、フュームドシリカもしくは非晶質シリカ,Cabosil M−5)、および約3重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含む。
【0087】
本発明の薬学的組成物は、任意の経口的に受容可能な投与形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、水性懸濁物もしくは水性液剤が挙げられるが、これらに限定されない)で経口投与され得る。本発明の他の薬学的組成物(ならびに本発明の方法、組み合わせ、キットおよびパックにおいて使用するための組成物)は、経口的に、非経口的に、舌下に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、または移植されたレザバを介して、投与され得る。用語「非経口的」とは、本明細書で使用される場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、鞘内、肝臓内、病巣内および頭蓋内の注射もしくは注入の技術を包含する。好ましくは、上記組成物は、経口的にもしくは静脈内に投与される。
【0088】
このような投与は、慢性の治療もしくは急性の治療として使用され得る。上記キャリア物質と合わせて、単一投与形態を生成し得る活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に依存して変わる。上記特定の投与単位は、所望の一日投与量を達成するために使用される投与の望ましい頻度に適応するように選択され得る。上記1日投与量および投与頻度、従って、適切な投与単位の選択は、種々の因子(上記被験体の年齢、体重、性別および医学的状態、ならびに上記状態もしくは障害の性質および重篤度が挙げられる)に依存するので、幅広く変わり得る。
【0089】
上記APIと賦形剤との混合物は、例えば、従来の混合工程、圧縮行程、造粒工程、圧縮、もしくはコーティング工程によって調製され得る。使用され得る手順は、当該分野で公知である(例えば、L.Lachmanら.The Theory and Practice of Industrial Pharmacy,3rd Ed,1986、H.Suckerら,Pharmazeutische Technologie,Thieme,1991,Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis,4th Ed.(Springer Verlag,1971)およびRemington’s Pharmaceutical Sciences,13th Ed.(Mack Publ.,Co.,1970)もしくはその後の版に記載されるもの)。このような技術の例は、以下のとおりである:
(1)上記APIと上記適切な賦形剤とを、異なるブレンド装置(例えば、低剪断力ブレンダーおよび高剪断力ブレンダー)を使用してブレンドする工程;
(2)適切なパンチおよびダイを使用する、上記ブレンドの直接圧縮;上記パンチおよびダイは、適切な圧縮機械(例えば、ロータリー錠剤形成プレスもしくはシングルステーション圧縮機械)に適合させられている;
(3)上記処方物ブレンドは、適切な造粒法(例えば、乾式造粒(スラッギング(slugging)もしくはローラー圧縮)、高剪断湿式造粒、流体層造粒、押し出し−球形成(spheronization)などを使用して、必要であれば造立され得る;
(4)造粒、続いて、圧縮;および
(5)適切なコーティング装置(例えば、コーティングパン)、および上記錠剤に適用される適切なコーティング溶液/懸濁物を使用して生成される錠剤のコーティング。
【0090】
上記のように、本発明の処方物は、摂食状態もしくは絶食状態にある(好ましくは、摂食状態にある)被験体へ投与される場合に、それらの最も大きな有用性を見いだす。
【0091】
上記錠剤は、従来の方法もしくは従来の方法の組み合わせ(例えば、ローラー圧縮および直接圧縮法)によって、生成され得る。例えば、錠剤形成プロセスは、錠剤の製造法に必須であり、また、他のプロセス(例えば、混合、乾燥およびコーティング)は、必要な場合に組み合わされ得る。上記錠剤形成プロセスは、例えば、本明細書で開示される上記共結晶および薬学的に受容可能な賦形剤が混合され、次いで、上記混合物が、錠剤形成機械、または湿式顆粒圧縮法もしくは乾式顆粒圧縮法の使用によって、錠剤へと圧縮される直接圧縮法であり得る。圧縮して、錠剤を製造するための錠剤形成機械は、例えば、単一パンチ錠剤形成機械、ロータリー錠剤形成機械、またはコア含有錠剤形成機械であり得る。
【0092】
本発明の一実施形態において、上記錠剤は、約4〜20kp(キロポンド)の範囲の硬度を有する。この実施形態の錠剤は、以下に記載されるように、外側コーティングを含んでいてもよいし、そうでなくともよい。別の実施形態において、上記錠剤は、好ましくは、約10〜20kpの範囲の硬度を有する。
【0093】
さらに、本発明の一実施形態において、上記処方物は、コーティングされ得る錠剤組成物を含む。
【0094】
本発明の特定の実施形態は、以下の実施例によって例示される。本発明は、これら実施例において示される具体的な限定に拘束されないが、むしろ添付の特許請求の範囲に拘束される。別段示されなければ、以下に与えられるパーセンテージおよび比は、重量単位である。
【実施例】
【0095】
(実施例1:同時添加プロセスを使用する、ジクロロメタンおよびtert−ブチルメチルエーテル溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
ジクロロメタン:tert−ブチルメチルエーテル(3:5、20mL)中のVX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶(3重量%)のスラリーを、25℃のジャケット温度を有する反応器に充填した。ジクロロメタン中のVX−950の溶液(33.75mL中11.14)およびtert−ブチルメチルエーテル中の4−ヒドロキシ安息香酸(56.25mL中2.5g)を、別個のフラスコ中に調製した。次いで、これら溶液を、別個のポンプを介して、上記共結晶スラリーを含む上記反応器へと、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸の比を1:1.1に、そして、ジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの溶媒比を3:5に維持するように、適切な速度で添加した。上記添加の時間は、約10時間であった。上記スラリーを、濾過する前に、約10〜12時間にわたって攪拌した。上記濾過ケーキを、40mLのジクロロメタン:tert−ブチルメチルエーテル(3:5)で洗浄した。上記生成物を65℃において18〜24時間にわたって乾燥させたところ、99.4%AUC純度で11.32gの共結晶を得た。この量は、添加された種晶を考慮に入れると、82.3%の単離収率に等しい。エピマーレベルは、0.51%であった。残存溶媒レベルは、ジクロロメタンについては122ppmおよびtert−ブチルメチルエーテルについては802ppmであった。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:0.96であった。上記生成物は、長さが最大71μmまでの桿状体からなった。
【0096】
上記同時添加プロセスは、上記工程に対して以下の変更が(しかしこれらに限定されない)行われたか、または行われ得る:
−種晶特徴およびパラメーター(例えば、供給源、量、前条件付け(pre−conditioning)および加工処理は、上記共結晶のバルク特性に対するそれらの効果をねらって変更され得る。
−関与する溶媒についての溶媒組成は、上記共結晶の収率、形態およびバルク特性に対するそれの効果をねらって変更され得る。
−結晶化が起こる温度は、20℃から25℃まで変更され得る。
−VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、変更され得る。
−上記2つの溶液の添加の時間は、結晶成長に対するそれの効果をねらって変更され得る。
−上記スラリーにおいて静止している間の結晶化後加工処理の選択肢としては、a)エイジング(aging)、b)制御された冷却、c)温度サイクル、d)湿式製粉もしくはe)これらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
−溶媒もしくは溶媒混合物で濾過した湿潤ケーキを洗浄することは、ある場合には行われる(しかし全ての場合ではない)。
【0097】
(実施例2:同時添加プロセスを使用する、ジクロロメタンおよびアセトニトリル溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
1.手順A:
ジクロロメタン:アセトニトリル(2:5、20mL)中のVX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のスラリー(3重量%)を、25℃のジャケット温度を有する反応器へと充填した。ジクロロメタン中のVX−950の溶液(28mL中7g)およびアセトニトリル中の4−ヒドロキシ安息香酸の溶液(80mL中1.79g)を、別個のフラスコ中に調製した。次いで、これら溶液を、別個のポンプを介して上記共結晶スラリーを含む上記反応器に、適切な速度で添加して、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸の比を1:1.1に、そして、ジクロロメタン対アセトニトリルの溶媒比を2:5に維持した。上記添加時間は、約10時間であった。上記2つの溶液の添加後、上記反応器ジャケットの温度を、1時間かけて35℃に上昇させ、次いで、2時間かけて20℃へと下降させた。上記第1の温度サイクル直後に、上記反応器ジャケット温度を、1時間かけて35℃へと再び上昇させ、6時間かけて20℃へと下降させた。上記スラリーを、濾過する前に、20℃で1時間にわたって攪拌した。上記濾過ケーキを、14mLのジクロロメタン:アセトニトリル(2:5)で洗浄した。その生成物を、65℃で約18〜24時間にわたって乾燥させた。
【0098】
(2.手順B)
ジクロロメタン対アセトニトリル(2:5、4.29L)中のVX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のスラリー(VX−950充填に基づいて3.6重量%)を、20〜24℃の間の範囲のバッチ温度を有する容器に充填した。この初期のスラリーは、種晶ベッドとして作用した。ジクロロメタン(6L)中のVX−950(1500g,2.206mol)の溶液およびアセトニトリル(15L)中の4−ヒドロキシ安息香酸(335.2g,1.1当量)の溶液を、別個のフラスコ中に調製した。次いで、これら溶液を、別個のポンプを介して、上記共結晶種晶ベッドを含む容器に、適切な速度で添加して、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比を1:1.1に、そして、ジクロロメタン対アセトニトリルの溶媒比を2:5に維持した。上記添加時間は、約7時間であった。得られたスラリーを、スラリー温度を22℃に維持しながら、約12時間にわたって攪拌した。次いで、上記スラリーを、温度サイクルに供した。上記スラリーの温度を、上記容器のジャケット温度を上昇させることによって、1時間かけて35℃へと上昇させた。上記スラリーを、30分間にわたってこの温度で維持し、次いで、0.2℃/分の勾配冷却(cooling ramp)を上記ジャケット温度に対して行わせることによって、2時間かけて22℃へと下降させた。20℃への勾配冷却を6時間かけて行ったことを除いて、第2の温度サイクルを同様の様式で行った。上記スラリーを、20℃において15時間にわたって維持した。上記スラリーを濾過し、その濾過ケーキを、3.5Lのジクロロメタン:アセトニトリル(2:5)で洗浄した。上記共結晶を、70℃において約2〜4日間にわたって真空中で乾燥させたところ、99.49%AUC純度で1602gの共結晶を得た。この量は、上記添加された種晶を考慮に入れると、86.2%の単離収率に等しい。そのエピマーレベルは、0.51%であった。残存溶媒レベルは、ジクロロメタンについて500ppmおよびアセトニトリルについて<100ppmであった。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:0.992であった。その生成物は、主に太い桿状体からなった。
【0099】
(実施例3:同時添加プロセスを使用する、ジクロロメタンおよび酢酸エチル溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
1.手順A:
ジクロロメタン:酢酸エチル(2:3、20mL)中のVX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のスラリー(3重量%)を、25℃のジャケット温度を有する反応器に充填した。ジクロロメタン中のVX−950の溶液(36mL中9.00g)および酢酸エチル中の4−ヒドロキシ安息香酸の溶液(54.9mL中2.01g)を、別個のフラスコ中に調製した。次いで、これら溶液を、別個のポンプを介して上記共結晶スラリーを含む上記反応器に、適切な速度で添加して、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸の比を1:1.1に、そして、ジクロロメタン対酢酸エチルの溶媒比を2:3に維持した。上記添加時間は、約10時間であった。上記2つの溶液の添加後、上記反応器ジャケットの温度を、1時間かけて35℃に上昇させ、次いで、2時間かけて20℃へと下降させた。上記第1の温度サイクル直後に、上記反応器ジャケット温度を、1時間かけて35℃へと再び上昇させ、6時間かけて20℃へと下降させた。上記スラリーを、濾過する前に、20℃で1時間にわたって攪拌した。上記濾過ケーキを、18mLのジクロロメタン:酢酸エチルが1:3の混合物で洗浄した。その生成物を、65℃で約18〜24時間にわたって乾燥させた。
【0100】
(2.手順B:)
ジクロロメタン:酢酸エチル(2:3、20mL)中のVX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶のスラリー(VX−950充填に基づいて3.9重量%)を、25℃のジャケット温度を有する容器へと充填した。この初期のスラリーは、種晶ベッドとして作用した。ジクロロメタン(36mL)中のVX−950(9.00g,13.2mmol)の溶液および酢酸エチル(54.9mL)中の4−ヒドロキシ安息香酸(2.01g,1.1当量)の溶液を、別個のフラスコ中に調製した。次いで、これら溶液を、別個のポンプを介して、上記共結晶種晶ベッドを含む容器に、適切な速度で添加して、VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸の比を1:1.1に、そして、ジクロロメタン対酢酸エチルの溶媒比を2:3に維持した。上記添加時間は、約10時間であった。上記2つの溶液の添加が完了した後、上記反応器ジャケットの温度を、1時間かけて35℃へと上昇させ、次いで、2時間かけて20℃へと下降させた。20℃への勾配冷却を6時間かけて行ったことを除いて、第2のサイクルを同様の様式で行った。上記スラリーを、濾過する前に、1時間にわたって20℃で攪拌した。上記濾過ケーキを、18mLのジクロロメタン:酢酸エチル(1:3)で洗浄した。上記共結晶を、65℃において約18〜24時間にわたって真空中で乾燥させたところ、99.0%AUC純度で9.38gの共結晶を得た。この量は、上記添加された種晶の量を考慮に入れると、83.9%の単離収率に等しい。そのエピマーレベルは、0.97%であった。残存溶媒レベルは、ジクロロメタンについては<100ppmおよび酢酸エチルについては263ppmであった。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:1.02であった。上記生成物は、主に、幅が32μmまでで、長さが75μmまでの板状からなった。
【0101】
(実施例4:貧溶媒添加プロセスを使用する、ジクロロメタンおよびtert−ブチルメチルエーテル溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
(1.手順A:)
ジクロロメタン:tert−ブチルメチルエーテル(13:7、1.54L)中のVX−950(200.2g,1当量)および4−ヒドロキシ安息香酸(44.8g,1.1当量)の溶液を調製し、22.5℃のジャケット温度を有する反応器容器に充填した。次いで、VX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶(1.2g,0.5重量%)を種晶として添加し、1時間にわたって攪拌すると、その間に上記スラリーが濃厚化して白色固体を与えた。次いで、ポンプから1.13Lのtert−ブチルメチルエーテルを10時間かけて送達し始めたところ、3:5のジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの最終溶媒比を得た。上記スラリーを、温度サイクルが始まる前に、4〜5時間にわたって攪拌した。上記反応器ジャケットの温度を、1時間かけて35℃へと上昇させ、次いで、2時間かけて20℃へと下降させた。上記第1の温度サイクルの直後に、上記反応器ジャケット温度を、1時間かけて35℃へと再び上昇させ、6時間かけて20℃へと下降させた。上記スラリーを、濾過する前に、約1時間にわたって攪拌した。その濾過ケーキを、500mLのジクロロメタン:tert−ブチルメチルエーテル(3:5)で洗浄した。上記生成物を、65℃で36時間にわたって乾燥させた。
【0102】
(2.手順B:)
VX−950(1500g,2.206mol)、およびジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルが13:7の混合物16Lを、20℃のジャケット温度設定をした容器に充填した。4−ヒドロキシ安息香酸(457g,1.5当量)を、次いで、上記容器に充填した。上記容器の内容物を、溶液が生じるまで約5分間にわたって攪拌した。次いで、VX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶(45g,VX−950充填に基づいて3重量%)を、種晶として添加した。上記スラリーを1時間にわたって攪拌した。その間、上記共結晶種晶は、微細な懸濁物として残っていた。次いで、上記貧溶媒であるtert−ブチルメチルエーテル(25.6L)を、6〜7時間かけてポンプを介して添加したところ、1:3のジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの最終溶媒比を得た。上記スラリーを、約20℃の温度を維持して、約17時間攪拌した。上記スラリーを濾過したところ、得られたケーキは、約4.5時間にわたって窒素スイープ(nitrogen sweep)しながら吸引して上記フィルタ上にそのまま残した。上記フィルターケーキの洗浄は行わなかった。上記共結晶を、真空中、約60℃において約5日間にわたって乾燥させた。このプロセスから、100%AUC純度で1693gの共結晶を得た。この量は、上記添加された種晶を考慮に入れると、91.5%の単離収率に等しい。残存溶媒レベルをこの時点でチェックしたところ、同じ手順を使用して調製した他の共結晶ロットと比較して、高いことが分かった。約1374gの共結晶を、約70℃でさらに乾燥させるために供した。3〜4日間さらに乾燥させた後に、その残存溶媒は、ジクロロメタンについては317ppmおよびtert−メチルブチルエーテルについては3876ppmであった。最終の乾燥共結晶純度は、99.93%AUCであった。そのエピマーレベルは、0.07%であった。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:1.001であった。上記生成物は、薄い桿状体からなった。
【0103】
この手順Bのプロセスは、上記の工程に対する以下の変更が(しかしこれらに限定されない)行われたかもしくは行われ得る:
−上記結晶化が起こる温度は、20℃から25℃まで変更され得る。
−種晶添加が行われる溶媒組成は、変更され得る。
−VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、変更され得る。
−種晶特徴およびパラメーター(例えば、供給源、量、前条件付け、および加工処理)は、上記共結晶のバルク特性に対するそれらの効果をねらって変更され得る。
−上記貧溶媒添加についての添加時間は、上記共結晶の結晶成長、バッチ加工処理性、バルク特性などに対するそれの効果をねらって変更され得る。
−関与する上記溶媒についての最終溶媒組成は、上記共結晶の収率、形態およびバルク特性に対するそれの効果をねらって変更され得る。
−上記スラリーにおいて静止している間の結晶化後加工処理の選択肢としては、a)エイジング、b)制御された冷却、c)温度サイクル、d)湿式製粉もしくはe)これらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
−溶媒もしくは溶媒混合物で濾過した湿潤ケーキを洗浄することは、ある場合には行われる(しかし全ての場合ではない)。
【0104】
(実施例5:ジクロロメタンおよびアセトン溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
VX−950(1g,1.471mmol)を、反応器に充填し、ジクロロメタン(3.0mL)中に溶解させた。別のフラスコ中に、4−ヒドロキシ安息香酸(264.1mg,1.912mmol)を、アセトン(3.0mL)中に溶解させた。上記4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を、周囲温度の上記VX−950の溶液に添加した。濃い懸濁物が、15分以内に形成した。上記懸濁物を濾過し、そのケーキを、10mLのジクロロメタンおよびアセトン混合物(それぞれ、5mLおよび5mL)で洗浄した。上記生成物を、60〜70℃において35〜40時間にわたって真空中で乾燥させた。0.35gの生成物を得た。
【0105】
このプロセスは、上記の工程に対する変更が(しかしこれらに限定されない)行われたかもしくは行われ得る:
−上記結晶化が起こる温度は、20℃から25℃まで変更され得る。
−関与する上記溶媒についての溶媒組成は、上記共結晶の収率、形態およびバルク特性に対するそれの効果をねらって変更され得る。
−VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、変更され得る。
−上記の実施例において、上記結晶化は、共結晶種晶の添加が必要ではないように、自己種晶添加した。しかし、上記結晶化バッチは、必要であれば、種晶添加され得る。種晶特徴およびパラメーター(例えば、供給源、量、前条件付け、および加工処理)は、上記共結晶のバルク特性に対するそれらの効果をねらって変更され得る。
−上記スラリーにおいて静止している間の結晶化後加工処理の選択肢としては、a)エイジング、b)制御された冷却、c)温度サイクル、d)湿式製粉もしくはe)これらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
−溶媒もしくは溶媒混合物で上記濾過した湿潤ケーキを洗浄することは、ある場合には行われる(しかし、全ての場合ではない)。
【0106】
(実施例6:貧溶媒添加プロセスを使用する、ジクロロメタン、テトラヒドロフランおよびn−ヘプタン溶液からの結晶化によるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
VX−950(10.1g,14.9mmol)および4−ヒドロキシ安息香酸(2.27g,1.1当量)を、ジャケット温度を22℃で維持しながら、容器に充填した。次いで、ジクロロメタン(45mL)およびテトラヒドロフラン(15mL)の混合物を、上記容器に添加し、その内容物を、上記2つの成分が溶解するまで攪拌した。次いで、上記貧溶媒であるn−ヘプタン18mLを、シリンジポンプを介して30mL/時間の速度で添加した。上記容器の内容物は、溶液中にそのまま残した。次いで、VX−950/4−ヒドロキシ安息香酸共結晶(300mg,VX−950充填に基づいて3重量%)を、種晶として添加した。上記スラリーを、45〜60分間にわたって添加した。その間、上記共結晶種晶は、微細な懸濁物として残っていた。さらに8.1mLのn−ヘプタンの添加を、約4mL/時間の速度で継続した。その残りのn−ヘプタン(50.26mL)を、8.1mL/時間の速度で添加した。n−ヘプタンの添加が完了した後に、上記スラリーを、上記容器ジャケット温度を22℃において維持しながら、16〜22時間にわたって攪拌した。上記スラリーを濾過した。上記フィルターケーキの洗浄は行わなかった。上記共結晶を、真空中、60〜65℃において約35〜48時間にわたって攪拌した。このプロセスから、99.97%AUC純度で11.53gの共結晶を得た。この量は、上記添加された種晶を考慮に入れると、92.6%の単離収率に等しい。その残存溶媒レベルは、ジクロロメタンについては354ppm、テトラヒドロフランについては457ppmおよびn−ヘプタンについては123ppmであった。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:1.008であった。上記生成物は、主に薄い桿状体からなった。
【0107】
このプロセスは、以下の変更が行われたかまたは行われ得る:
−上記結晶化が起こる温度は、20℃から25℃まで変更され得る。
−種晶添加が行われる上記溶媒組成は、変更され得る。
−VX−950 対 4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、変更され得る。
−種晶特徴およびパラメーター(例えば、供給源、量、前条件付け、および加工処理)は、上記共結晶のバルク特性に対するそれらの効果をねらって変更され得る。
−上記貧溶媒添加についての添加時間は、上記共結晶の結晶成長、バッチ加工処理性、バルク特性などに対するそれの効果をねらって変更され得る。
−関与する上記溶媒についての最終溶媒組成は、上記共結晶の収率、形態およびバルク特性に対するそれの効果をねらって変更され得る。
−上記スラリー中に静止している間の結晶化後加工処理選択肢としては、a)エイジング、b)制御された冷却、c)温度サイクル、d)湿式製粉もしくはe)これらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。
−溶媒もしくは溶媒混合物で上記濾過された湿潤ケーキを洗浄することは、ある場合には行われる(しかし全ての場合ではない)。
【0108】
(実施例7:粒度制御が上記結晶化の間に行われるVX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶の調製)
VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸の共結晶は、ジェットミルにかけた種晶の20重量%(最初のVX−950量に基づく)が充填されたことを除いて、実施例4に記載されるものに類似の手順を使用して、30gスケールで調製した。このプロセスから、100%AUC純度で36.98gの共結晶を得た。この量は、上記添加された種晶を考慮すると、87.6%の単離収率に等しい。得られた共結晶は、ジクロロメタンについては<100ppmおよびtert−ブチルメチルエーテルについては446ppmの残存溶媒レベルを含んでいた。VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、1:1.01であった。他のバッチとは対照的に、得られた共結晶は、薄い桿状体ではなく、小さな粒子からなった。粒度制御はまた、1種以上のプロセスパラメーター(例えば、溶媒タイプ、添加の時間、種晶の量、種晶ポイント(seed point)など)を変更することによって、達成され得る。
【0109】
(実施例8:VX−950共結晶のX線粉末回折測定法および示差走査熱量測定)
上記VX−950/HBA共結晶は、約7.684、8.599、9.605、9.938、12.872°2θにおいて5つのX線粉末回折測定法ピークのうちの少なくとも2つを有する。各々は、約±0.3°2θの標準偏差を有する。いくつかの実施形態において、上記共結晶は、そのDSCサーモグラムにおいてDSCピークを有し、約±5℃の標準偏差とともに、約188.67℃でのピーク発生を伴う。
【0110】
(実施例9:VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む共結晶の動的溶解度と、1% SLS水性媒体中の結晶性VX−950のものとの比較)
図1に示されるように、本明細書で開示される共結晶の例の動的溶解度は、1% SLS中、ならびに模倣胃液および模倣腸液中の結晶性VX−950のものより顕著に高い。従って、上記共結晶は、結晶性VX−950と比較して、インビボで増強されたVX−950吸収を提供し得る。
【0111】
(実施例10:VX−950:4−ヒドロキシ安息香酸共結晶を含む即時放出錠剤の調製、VX−950共結晶の即時放出処方物からのインビトロ溶解およびインビボ曝露)
表1は、錠剤形態にある本明細書で開示された処方物の例を示す。
【0112】
【表1】

上記錠剤を作製するために使用した1つの可能なプロセスは、以下の工程を包
含していた:
−上記活性成分(VX−950を含む上記共結晶)は、適切な製粉法(例えば、篩い分け、フィッツミリング、コミリング(comilling)、ジェットミリング、破砕など)によって、粒度を低下させるために加工処理した。1つの特定の例において、コミル(comill)を使用して、上記共結晶APIの凝塊をほぐす(delump)ために使用した。1つの特定の例において、上記共結晶を、1000rpmにおいて40Gスクリーンを通した。
−上記活性成分を、上記滑沢剤とは別に、適切なブレンド法(例えば、vシェルブレンダー)を使用して、適切な賦形剤とブレンドした。1つの特定の例において、上記活性成分は、32rpmにおいて6分間にわたって、Vシェルブレンダーを使用して、上記適切な賦形剤とブレンドした。
−上記処方物ブレンドを、必要であれば、造粒し得る。いくつかの例において、ローラー圧縮を介する乾式造粒を使用し、他の例においては、上記処方物ブレンドを、(滑らかにした後)直接圧縮した。1つの特定の例において、上記ブレンドを、Vector TF−ミニローラー圧縮機を使用して、650psiでローラー圧縮した。
−上記処方物顆粒を、適切なブレンダー中で滑沢剤とブレンドすることによって滑らかにした。1つの特定の例において、上記ローラー圧縮したリボンを、40Gスクリーンを使用して、1000rpmにおいて、Quadro comilを使用して製粉した。
−1つの特定の例において、上記顆粒を、Vシェルブレンダーを使用して、32rpmにおいて6分間にわたって滑らかにした。
−上記滑らかにした顆粒を、適切な圧縮機(錠剤プレス)を使用して、錠剤へと圧縮した。1つの特定の例において、上記滑らかにした処方物を、1000mg錠剤重量および14〜17kpの錠剤硬度範囲を目標として、Piccolaロータリー錠剤プレスを使用して錠剤へと圧縮した。
【0113】
図2および3は、1% SLS中およびFeSSGF中の、本発明の即時放出VX−950共結晶錠剤処方物の溶解データを示す。良好な溶解は、上記即時放出共結晶錠剤によって、溶解度の制限にも拘わらず、FeSSGF中ですら、インビトロで観察される。
【0114】
本発明の共結晶錠剤をまた、雄性ビーグル犬に投与して、上記種々の錠剤処方物からの良好な曝露を確認した。上記イヌに、摂食状態において投与した。上記動物を、投与の前に7日間にわたって、摂食スケジュールに慣れさせた;動物を、一晩絶食させ、次いで、特定の時間に、測定した量の食物を提供した。上記投与の日に、上記動物に摂食させ、投与前血液サンプルを得、次いで、試験物品を、経口的胃管栄養法(oral gavage)によって動物に投与した。血液採取を、投与後15分および30分、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、12時間、および24時間で行って、薬物動態パラメーター情報を得た。
【0115】
表1で上記に示される代表的処方物からの結果を、表2にまとめる。
【0116】
【表2】

(実施例11:VX−950:4−HBA共結晶および処方物のインビトロで
の見かけの溶解度)
代表的なVX−950:4−HBA共結晶薬物物質および処方物物質の見かけ上の溶解度値を、動的溶解条件下で試験したサンプルの平均数に基づいて、報告している。上記試験条件は、溶解媒体へある量の粉末を分配することである。分析を行って、時間に対して、媒体中で検出されるVX−950の累積量を決定し、媒体1mLあたりのmg VX−950として報告する。以下のデータは、上記VX−950:4−HBA共結晶および処方物が、記載された媒体中に特定の量で溶解することを示すための代表的なセットであることに注意すべきである。
【0117】
模倣摂食状態腸液(FeSSIF)において、VX−950:4−HBA共結晶薬物物質を、0.62mg/mLのVX−950に対する濃度において、1ロットあたり3連で(合計N=6)、2つのロットの薬物物質を使用して試験した。VX−950:4−HBA共結晶のローラー圧縮した即時放出顆粒処方物(「VX−950;4−HBA共結晶 IR/RC顆粒」;例えば、表1に記載される上記処方物の成分)を、0.63mg/mLのVX−950に対する濃度において、単一ロットを使用して2連(N=2)で試験した。FeSSIF中の見かけ上の溶解度データは、表3に示される。
【0118】
【表3】

模倣摂食状態胃液(FeSSGF)溶解媒体での実験のために、上記VX−950:4−HBA共結晶薬物物質を、0.91mg/mLのVX−950に対する濃度において、2ロットの薬物物質を使用して、1ロットあたり3連で(合計N=6)試験した。FeSSGFにおける見かけ上の溶解度データを、表4に示す。
【0119】
【表4】

1%SLS溶解媒体中の動的溶解度実験を、0.63mg/mLのVX−95
0に対する濃度で、沈降条件下で行った。上記VX−950:4−HBA共結晶薬物物質を、4ロットの薬物物質(合計N=10 複製)を使用して試験した。上記VX−950;4−HBA共結晶IR/RC顆粒を、0.63mg/mLのVX−950に対する濃度で、1ロットを使用して2連で(N=2)行った。1%SLS中の見かけ上の溶解度を、表5に示す。
【0120】
【表5】

本明細書で引用される全ての刊行物および特許は、各個々の刊行物もしくは特
許が、参考として援用されることが具体的にかつ個々に示されるかのように、本明細書に参考として援用される。前述の発明は、明確にするもしくは理解する目的で図示および例示によっていくらか詳細に示されてきたが、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の趣旨もしくは範囲から逸脱することなく、本発明に対して行われ得ることは、本発明の教示に鑑みれば、当業者に容易に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的組成物であって、
活性成分、および
該処方物の総重量のうちの少なくとも約1%の量で存在する1種以上の賦形剤、
を含み、ここで:
該活性成分は共結晶を含み、該共結晶は、VX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む、
薬学的組成物。
【請求項2】
前記共結晶は、前記処方物の総重量のうちの約1〜99%の量で存在する、請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記共結晶は、前記処方物の総重量のうちの少なくとも約50%の量で存在する、請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記共結晶は、前記処方物の総重量のうちの少なくとも約68%の量で存在する、請求項1に記載の処方物。
【請求項5】
前記活性成分対前記コフォーマーのモル比は、約5:1〜約1:5の範囲におよぶ、請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
VX−950対前記コフォーマーのモル比は、約1:1である、請求項1に記載の処方物。
【請求項7】
前記1種以上の賦形剤は、充填剤、界面活性剤、滑り剤、滑沢剤および崩壊剤からなる群より選択される、請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
前記1種以上の賦形剤は、1種以上の充填剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記1種以上の充填剤は、マンニトール、ラクトース、スクロース、デキストロース、マルトデキストリン、ソルビトール、キシリトール、粉末化セルロース、微結晶性セルロース、ケイ化微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、タルク、デンプン、α化デンプン、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウムおよび炭酸カルシウムからなる群のうちの1種以上より選択される、請求項8に記載の処方物。
【請求項10】
前記1種以上の充填剤は、微結晶性セルロース、ラクトースもしくはこれらの組み合わせである、請求項9に記載の処方物。
【請求項11】
前記1種以上の充填剤は、微結晶性セルロースおよびラクトースである、請求項9に記載の処方物。
【請求項12】
前記1種以上の賦形剤は、1種以上の崩壊剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
前記1種以上の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸、デンプン、α化デンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、クロスポピドン、セルロースおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ダイズポリサッカリド、グアールガム、イオン交換樹脂、食用の酸およびアルカリ炭酸塩成分に基づく発泡系、ならびに炭酸水素ナトリウムからなる群のうちの1種以上から選択される、請求項12に記載の処方物。
【請求項14】
前記1種以上の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである、請求項13に記載の処方物。
【請求項15】
前記1種以上の賦形剤は、1種以上の界面活性剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項16】
前記1種以上の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン20ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ペグ化水素化ヒマシ油、脂肪酸のソルビタンエステル、ビタミンEもしくはトコール誘導体、ビタミンE TPGS、トコフェリルエステル、レシチン、リン脂質およびそれらの誘導体、ポロキサマー、ステアリン酸、オレイン酸、オレイルアルコール、セチルアルコール、モノグリセリドおよびジグリセリド、脂肪酸のピロピレングリコールエステル、脂肪酸のグリセロールエステル、エチレングリコールパルミトステアレート、ポリオキシグリセリド、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレートおよびポリグリセリルオレエートからなる群のうちの1種以上から選択される、請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
前記1種以上の界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項16に記載の処方物。
【請求項18】
前記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑り剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項19】
前記1種以上の滑り剤は、タルク、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ロイシンおよびデンプンからなる群のうちの1種以上から選択される、請求項18に記載の処方物。
【請求項20】
前記1種以上の滑り剤は、コロイドシリカである、請求項18に記載の処方物。
【請求項21】
前記1種以上の賦形剤は、1種以上の滑沢剤を含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項22】
前記1種以上の滑沢剤は、タルク、脂肪酸、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセリルモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、グリセリルベヘネート、鉱油、植物油、ロイシン、安息香酸ナトリウム、もしくはこれらの組み合わせからなる群のうちの1種以上から選択される、請求項21に記載の処方物。
【請求項23】
前記1種以上の滑沢剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである、請求項21に記載の処方物。
【請求項24】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約5重量%〜99重量%の前記共結晶;
約5重量%〜60重量%の第1の充填剤;
約5重量%〜60重量%の第2の充填剤;
約1重量%〜30重量%の崩壊剤;
約0.1重量%〜30重量%の界面活性剤;
約0.1重量%〜20重量%の滑り剤;および
約0.1重量%〜30重量%の滑沢剤。
【請求項25】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約50重量%〜75重量%の前記共結晶;
約5重量%〜15重量%の第1の充填剤;
約5重量%〜15重量%の第2の充填剤;
約1重量%〜10重量%の崩壊剤;
約1重量%〜10重量%の界面活性剤;
約0.1重量%〜10重量%の滑り剤;および
約1重量%〜10重量%の滑沢剤。
【請求項26】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約67重量%の前記共結晶;
約12重量%の第1の充填剤;
約12重量%の第2の充填剤;
約3重量%の崩壊剤;
約2重量%の界面活性剤;
約1重量%の滑り剤;および
約3重量%の滑沢剤。
【請求項27】
前記1種以上の賦形剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、コロイドシリカおよびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1に記載の処方物。
【請求項28】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約10重量%〜99重量%の前記共結晶;
約5重量%〜60重量%の微結晶性セルロース;
約5重量%〜60重量%のラクトース;
約1重量%〜30重量%のクロスカルメロースナトリウム;
約1重量%〜30重量%のラウリル硫酸ナトリウム;
約0.1重量%〜20重量%のコロイドシリカ;および
約1重量%〜30重量%のフマル酸ステアリルナトリウム。
【請求項29】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約50重量%〜75重量%の前記共結晶;
約5重量%〜15重量%の微結晶性セルロース;
約5重量%〜15重量%のラクトース;
約1重量%〜10重量%のクロスカルメロースナトリウム;
約1重量%〜10重量%のラウリル硫酸ナトリウム;
約0.1重量%〜10重量%のコロイドシリカ;および
約1重量%〜10重量%のフマル酸ステアリルナトリウム。
【請求項30】
以下を含む、請求項1に記載の処方物:
約67重量%の前記共結晶;
約12重量%の微結晶性ナトリウム;
約12重量%のラクトース;
約3重量%のクロスカルメロースナトリウム;
約2重量%のラウリル硫酸ナトリウム;
約1重量%のコロイドシリカ;および
約3重量%のフマル酸ステアリルナトリウム。
【請求項31】
前記処方物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、水性懸濁物もしくは水性液剤の形態である、請求項1に記載の処方物。
【請求項32】
前記処方物は、カプセル剤の形態である、請求項1に記載の処方物。
【請求項33】
前記処方物は、錠剤の形態である、請求項1に記載の処方物。
【請求項34】
前記錠剤はコーティングされている、請求項33に記載の処方物。
【請求項35】
前記処方物は、即時放出処方物である、請求項1に記載の処方物。
【請求項36】
VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む活性成分を調合するための方法であって、該方法は、
該活性成分を提供する工程;および
該活性成分を、1種以上の賦形剤とブレンドし、ブレンドされた混合物を形成する工程、
を包含する、方法。
【請求項37】
前記ブレンドされた混合物を加工処理する工程をさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ブレンドされた混合物を加工処理する工程は、該ブレンドされた混合物を顆粒化する工程を包含する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ブレンドされた混合物を顆粒化する工程は、
該ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程;
該ブレンドされた混合物を湿式造粒する工程;
該ブレンドされた混合物を高剪断造粒する工程;
該ブレンドされた混合物を流体層造粒する工程;もしくは
これらの組み合わせ、
を包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ブレンドされた混合物を造粒する工程は、該ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程を包含する、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法。前記ブレンドされた混合物を乾式造粒する工程は、該ブレンドされた混合物をローラー圧縮する工程を包含する、方法。
【請求項42】
前記ブレンドされた混合物を錠剤に圧縮する工程をさらに包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、約5:1〜約1:5の範囲におよぶ、請求項36に記載の方法。
【請求項44】
VX−950対4−ヒドロキシ安息香酸のモル比は、約1:1の範囲におよぶ、請求項36に記載の方法。
【請求項45】
VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む前記活性成分を提供する工程は、前記共結晶の粒度を制御する工程を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記共結晶の粒度を制御する工程は、
a)前記共結晶を破砕する工程;
b)該共結晶を篩い分ける工程;
c)該共結晶を製粉する工程;もしくは
d)これらの組み合わせ
を包含する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む活性成分を提供する工程は、VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液とは別個に調製する工程を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項48】
前記VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液とは別個に調製する工程は、
a)第1の溶媒で該VX−950の溶液を調製する工程;および
b)第2の溶媒で該4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を調製する工程、
を包含する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記VX−950の溶液を、4−ヒドロキシ安息香酸の溶液とは別個に調製する工程は、該VX−950の溶液および該4−ヒドロキシ安息香酸の溶液を合わせる工程をさらに包含する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の溶媒および前記第2の溶媒は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエンおよびベンゼンからなる群より独立して選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記第1の溶媒は、ジクロロメタンであり;そして
前記第2の溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル、アセトニトリルもしくは酢酸エチルである、
請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記第1の溶媒対前記第2の溶媒の比は、約2:1〜約1:5の範囲におよぶ、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を含む活性成分を提供する工程は、VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を、2種以上の溶媒の混合物中に溶解させる工程を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項54】
前記2種以上の溶媒の混合物は、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、アセトン、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトニトリル、ブチロニトリル、トルエンおよびベンゼンからなる群より選択される2種以上の溶媒を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記2種以上の溶媒の混合物は、ジクロロメタンおよびtert−ブチルメチルエーテルを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
ジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの比は、約2:1〜約1:5の範囲におよぶ、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ジクロロメタン対tert−ブチルメチルエーテルの比率は、約2:1〜約1:5の範囲におよぶ、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
貧溶媒をさらに添加する工程を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記貧溶媒は、tert−ブチルメチルエーテル、ヘプタン、アセトニトリル、および酢酸エチルを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記VX−950および4−ヒドロキシ安息香酸を、2種以上の溶媒の混合物に溶解させる工程は、該2種以上の溶媒の混合物に前記活性成分を種晶添加する工程を包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項61】
前記活性成分を1種以上の賦形剤とブレンドする工程は、充填剤、界面活性剤、滑り剤、滑沢剤および崩壊剤から選択される1種以上の賦形剤をブレンドする工程を包含する、請求項36に記載の方法。
【請求項62】
被験体におけるHCV感染を処置する方法であって、該方法は、該被験体に処方物を投与する工程を包含し、ここで該処方物は、
活性成分、および
該処方物の総重量のうちの少なくとも約1%の量で存在する、1種以上の賦形剤
を含み、ここで:
該活性成分は共結晶を含み、該共結晶はVX−950と、コフォーマーの4−ヒドロキシ安息香酸とを含む、
方法。
【請求項63】
免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCV NS3/4Aプロテアーゼの別のインヒビター;IMPDHの別のインヒビター;NS3/4Aプロテアーゼ以外の、HCV生活環における標的のインヒビター;内部リボソーム進入のインヒビター、広域スペクトルのウイルスインヒビター;シトクロームP−450インヒビター;またはこれらの組み合わせから選択されるさらなる薬剤を投与する工程をさらに包含する、請求項62に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−501971(P2012−501971A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525238(P2011−525238)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/055384
【国際公開番号】WO2010/027921
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】