説明

共鳴多層インピーダンスポンプ

多層インピーダンスポンプは、異なる機械特性を有する内部チューブおよび外部チューブにより形成される。外部チューブは、比較的硬質であり、構造物質に使用することができる。内部チューブは、励起可能であり、内部チューブと外部チューブの間にはゲルを配置する。作動装置は、ゲルが内部チューブに沿って圧力波を生じるように作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2006年1月6日に出願された米国仮特許出願第60/756、704号の優先権を請求する。先行出願の開示は、本願の開示の一部とみなされる(参照することにより組み込まれる)。
【背景技術】
【0002】
汎用構造および技術、ならびに、より一般的な目標を実行する種々の方法を達成するために使用することができる、より具体的な実施形態を本明細書に記述する。
【0003】
米国特許第6、254、355号は、流体インピーダンスなどの異なる部分間の流体特性の違いにより液体をポンプするポンプを開示する。
【0004】
本インピーダンスポンプの様々な出願書が開示されてきた。本ポンプは、体腔内の液体をポンプするために使用することができる。本ポンプは、非常にエネルギー効率の高い機器であり、いかなる弁またはインペラ、またはチューブまたはルーメンの内部のいかなる構造がなくても作動することができるため、生物医学的応用に非常に有用である場合がある。
【発明の開示】
【0005】
本願は、多重壁を有する新型のインピーダンスポンプを記述する。
【0006】
実施形態において、本インピーダンスポンプは、力を伝達することができる、内部ルーメンおよび内部ルーメンと外部ルーメンの間の物質を有する外部ルーメンから成る。
【0007】
別の実施形態において、比較的小さな作動波を内部ルーメン上に誘発されたより大きな振幅波を加え、より大きな振幅波になるように、建設的に干渉することができる波が使用される。
【0008】
詳細な説明
図1〜2は、2重壁のインピーダンスポンプの実施形態を示す。実施形態において、第1/内部ルーメン120は、弾性的に変形可能な物質から成る。内部ルーメンは、ポンプされることが望ましい液体を保持する。第1のルーメン120は、第2の略硬質の、例えば剛壁のルーメン100で取り囲まれる。
【0009】
内部ルーメン120と外部ルーメン100の間の隙間は、液体物質110で充填される。例えば、液体物質110は、加えられた力を定期的に伝達可能にする機械特性を有するゲルであってもよい。液体110は、システムの共鳴周波数(または周波数)で共鳴することがある。望ましくは、液体110は1.5センチ―ポアズ(cP)より高い粘着度を有する。しかし、ゲルは、作動装置から柔軟性のある有壁チューブ120に力を伝達できるいかなる物質であってもよい。したがって、本願は、ゲル状濃度の液体だけでなく水状濃度、例えば約1cPの粘着度の液体も使用して検討する。加えられた波力を伝達可能ないかなる液体を使用することができる。
【0010】
ゲル物質110の共鳴運動は、第2の取り囲むルーメン100に、ほとんど運動をもたらさない。代わりに、ルーメン100と120の間のゲル部分内で作用する小さな振幅励起は、実質的に、ルーメン間の境界における波反射により生じる建設的な干渉で増幅される。振幅増幅は、建設的干渉が得られるまで、励起の特性を変更して得られなければならない。望ましくは、システムも、共鳴周波数で実行される。その場合、これにより、領域内の小さな振幅励起を、大幅に増幅することが可能になる。
【0011】
本実施形態は、本方法で互いに相互作用する2つのルーメンを示すが、類似の方法で実行する、3、4、5つ、またはいかなる数のルーメンであってもよいことを理解されたい。
【0012】
いかなる波反射の境界は、システムの一部として含むことができ、システムおよび共鳴効果の一部になることができる。最適な組み合わせを見出すために、試行およびエラーを使用してもよい。
【0013】
本実施形態は、非対称の励起を受ける柔軟なルーメン120を使用する。ルーメンの両端は、異なる流体特性、例えば流体コンプライアンス、幾何学またはいかなる他の物理的特性を持つ部分に流体的に結合する。図2の実施形態において、ルーメンの1つの末端は、閉鎖している。
【0014】
ルーメン間および別の物質間の結合領域は、流体波反射を生じる反射サイトを形成する。
【0015】
励起は、建設的波干渉の可能性を生じることができる周波数の特定範囲におよび実行される。適切な相互作用が生じた場合、ゲルの低振幅励起は、内部ルーメン120の内面に形成される大きな振幅励起に効果的に増幅される。言い換えると、これは、内部ルーメン120内の液体110の流体を駆動するための圧力勾配を生じる。
【0016】
また、共鳴活動、表面波を生じる周波数に励起周波数を選択することにより、ポンピングが大幅に増加する場合がある。
【0017】
実施中、低振幅波は、外部ルーメン100上またはその付近に形成されるが、ルーメン100の内部に形成されることが望ましい。例えば、低振幅波は、場所102または場所131に形成されてもよい。外層100は、比較的硬質であるが、適合構造である。構造は、適合するが、不必要ではなく、体腔内で使用することが可能である。本書において、該物質は、略硬質であるものとする。
【0018】
低振幅励起は、外部ルーメンを励起することを回避し、したがって、高振幅励起が危険である用途における使用を可能にする。
【0019】
領域102または131のいずれかにおける低振幅励起は、電圧物質、電磁石または静電誘導を含む多くの異なる技術のうちのいずれかにより生じる場合がある。あるいは、低振幅波は、音波的または超音波的に形成されてもよい。
【0020】
望ましくは、低振幅波は、外面100と内面120の間にある内部ゲル層110内に共鳴を生じる周波数で応用される。例えば、共鳴周波数は、試行またはエラーにより発見することができる。
【0021】
また、ゲルは、横断面130における共鳴反応および波反射を介して、低振幅励起波が大きな振幅表面波に変換することを可能にする。小さな振幅波は、比較的柔らかいゼラチン状層120において、それ自体で伝播する大きな振幅波に組み合わされ、建設的な干渉により効果的に増幅される。
【0022】
本ポンプは、現在のバルーンポンプ設計の代わりとなる補助的心臓ポンプ、または大動脈ポンプとして使用することができる。本ポンプの利点とは、外面100が比較的固く、したがって、構造的に必要とされる場所に使用することができることである。頑丈な補助機器は、使用および実施において、合併症が加わる現在の長期ポンプを置き換えるために、疾患のある心拍出機能を増大するために使用することができる。
【0023】
図3は、大動脈内に配置したポンプを示し、図4は、そのような大動脈に適したポンプの実施形態を示す。ポンプ300は、大動脈310内に示される。機器は、大動脈壁に対して横になるカテーテルで挿入することができる。ポンプは、崩壊状態で挿入された大腿動脈を介して伝達することができる。その後、ステントは、外部ルーメンを拡張するために使用することができ、それによりポンプの外側の剛体面は、大動脈の内壁にぴったりと配置される。一旦配置されると、ヒドロゲルなどのゼラチン状物質は、外部ルーメンを拡張するために注入することができる。外壁は、動的に励起しないため、大動脈に比較的大きな圧力をかける大動脈内バルーンポンプに比べ、有意に少ない圧力が周辺組織にかけられる。本実施形態において、作動装置は、場所305に示され、ポンプ300は、非常に弾性的内面310、および対応するが不必要でない外面315と共に示される。外面315は、外側ではなく内側の動きに対応できる。この外面315は、大動脈壁の内側に接触する。
【0024】
例えば、作動装置305は、電磁石コイルであってもよい。電源から部分的、または電源からワイヤーを介し、または一部のワイヤレス構造を介し遠隔で、制限または緩和するためにコンロトローラ320で作動する。内面310の周辺に狭窄を生じる電圧性機器であってもよい。あるいは、作動装置は、ゲル内に配置してもよい。
【0025】
汎用構造および記述、ならびに、共通的な目標を実行する種々の方法を達成するために使用することができる、より具体的な実施形態を本明細書に記述する。
【0026】
わずかな実施形態のみを上記に詳細に開示しているが、他の実施形態も可能であり、発明者(ら)は、それらが本明細書に包含されることを意図する。明細書は、他の方法で達成することができる、より一般的な目標を達成するために具体的な実施例を記述する。本開示は、例示目的とし、請求項は、当業者に予測可能であるいかなる修正または代替を扱うものとする。例えば、ポンプは、別の用途に使用することができる。開示したゲルの代わりに種々の物質を使用することができる。コントローラは、周期的な周波数で制御することができる、または非周期的な脈拍間隔で制御することができる。ルーメンは円筒状であってもよいが、横断面において楕円形、またはいかなる他の形状を含む、他の形状であってもよい。
【0027】
また、発明者らは、「手段」の用語を使用するこれらの請求項のみが、35 USC 112、6段落において解釈されることを意図する。また、これらの制限が請求項に明確に含まれない限り、明細書からの制限は、いかなる請求項に読み取られないことを目的とする。本書に記載される作動用コントローラは、いずれの種類のコンピュータ、汎用または、ワークステーションなどの特定な目的用コンピュータで実行することができる。コンピュータは、WindowsまたはLinuxを実行するPentiumクラスのコンピュータ、またはMacintoshコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、PDA、携帯電話、またはラップトップなどのノートパソコンであってもよい。
【0028】
プログラムは、CまたはJava、Brew、またはそれ以外のプログラミング言語で書き込むことができる。プログラムは、例えば、磁器または光学などの例えばコンピュータハードドライブなどのストレージ媒体、メモリスティックまたはSD媒体などのリムーバブルデスクまたは媒体、または他のリムーバブル媒体に常駐することができる。プログラムは、ネットワークにわたり、例えばサーバーまたは、ローカル機械が記載される操作を実行できるように、ローカル機械に信号を送信する機械で実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、多層ポンプの側面図を示す。
【図2】図2は、図1のライン2−2に沿ったポンプの断面図を示す。
【図3】図3は、大動脈内に配置したポンプを示す。
【図4】図4は、そのような大動脈に適したポンプの実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ機器であって、
外部ルーメンであって、前記ルーメン内部の内面および前記ルーメン外部の外面を画定する略硬質の物質で形成された外部ルーメンと、
前記外部ルーメン内の前記内面内に完全に形成された内部ルーメンであって、弾性的に変形可能であり、その内部の液体を受けるように適合した内面を有する、内部ルーメンと、
前記内壁および前記外壁の間の液体物質であって、応用波力の伝送を可能にする機械特性を有する液体物質と、
前記液体物質内で建設的な波干渉を生じ、前記内部ルーメンの前記内面を介する流体を駆動する周波数で、前記液体物質を作動する作動装置と、
を含む、ポンプ機器。
【請求項2】
前記内部ルーメンに結合した別の部分をさらに含み、前記別の部分は、前記内部ルーメンと異なる流体特性を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記内部ルーメンの高振幅作動を生じる周波数において、前記物質の低振幅作動を生じるように、前記作動装置を制御するコントローラをさらに含む、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
前記作動装置は、前記内部ルーメンと前記外部ルーメンの間に位置する、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記作動装置は、前記液体物質内に位置する、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記内部ルーメンおよび前記外部ルーメンのうちの少なくとも1つは、閉端部を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記内部ルーメンおよび前記外部ルーメンのうちの少なくとも1つは、開端部を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記液体物質はヒドロゲルである、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記作動装置は、前記高振幅波を形成するために、前記低振幅波を建設的に干渉する周波数に制御する、請求項3に記載の機器。
【請求項10】
前記高振幅波は、前記内部ルーメン上に表面波を形成するために使用される、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記作動装置は、高振幅波を形成するために、前記低振幅波を前記液体物質内で共鳴効果をもたらす周波数に制御する、請求項3に記載の機器。
【請求項12】
前記高振幅波は、前記内部ルーメン上に表面波を形成するために使用される、請求項11に記載の機器。
【請求項13】
前記液体物質は、ゲルの粘着性を有する、請求項1に記載の機器。
【請求項14】
前記内部および外部ルーメンは、それぞれ略円筒形である、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
略硬質の物質で形成された外部ルーメンと、弾性的に変形可能な物質で形成され、前記外部ルーメン内の内部に完全に形成された内部ルーメンを有する機器と、前記内壁および前記外壁の間の液体物質とを使用してポンプするステップであって、前記液体物質は、加えられた波力を伝達することを可能にする機械特性を有する、ステップと、
前記液体物質内に建設的な波干渉を生じ、前記外部ルーメンの外壁を移動せずに、前記内部ルーメンを介して実質的に流体を駆動することができる種類の前記内部ルーメン上に誘発波を形成する周波数で前記液体物質を作動するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記内部ルーメンに結合した別の流体セクションをさらに含み、前記別のセクションは、前記内部ルーメンと異なる流体特性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記内部ルーメンの高振幅作動を生成する周波数で、前記物質の低振幅作動を生成するために、前記作動を制御するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記作動するステップは、前記内部ルーメンと前記外部ルーメン間の位置から実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記液体物質はヒドロゲルである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記作動は、前記内部ルーメンに高振幅波を生成するために、前記低振幅波を前記液体物質内に建設的な波干渉を生じる周波数に制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記高振幅波は、前記内部ルーメンに表面波を形成するために使用される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記作動は、前記内部ルーメンに高振幅波を形成するために、前記低振幅波を、共鳴効果をもたらす周波数に制御する、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記液体物質は、ゲルの粘着性を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
内部チューブと前記内部チューブを取り囲む外部チューブを崩壊状態において体腔内に挿入するステップと、
前記外部チューブを膨張するためにステントを使用するステップと、
ゲル状物質を前記外部チューブと内部チューブ間に挿入するステップと、
前記ゲル状物質を前記物質の励起を生じ、前記内部チューブ内にポンピング効果を可能にするために作動するステップと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記外部チューブは、前記体腔にぴったりと配置するために伸長される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記作動するステップは、前記内部チューブの高振幅作動を形成する周波数において、前記ゲル状物質の低振幅作動を形成する前記作動するステップを制御するステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記作動するステップは、前記外部チューブを移動させないステップを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
略硬質の物質で形成された外部ルーメンと、
前記外部ルーメンを動的に励起することなくポンプする、前記外部ルーメン内のポンピング部分と、
を含む、ポンプ機器。
【請求項29】
前記外部ルーメン内に内部ルーメンをさらに含み、前記内部ルーメンは弾性的に変形可能な物質で形成される、請求項28に記載のポンプ。
【請求項30】
前記内壁と外壁の間に物質をさらに含み、前記物質は、加えられた力を伝達することを可能にする機械特性を有する、請求項29に記載のポンプ。

【請求項31】
高振幅で前記内部ルーメンの作動を生じるために、前記物質を低振幅で作動し、前記物質内に建設的な波干渉をもたらす作動装置をさらに含む、請求項30に記載のポンプ。
【請求項32】
外部ルーメンと内部ルーメンの間に位置する液体媒体を励起するステップと、
励起を調節するステップと、
を含み、建設的に干渉することができ、比較的小さな作動波が、前記内部ルーメン上に誘発されたより大きな振幅波を加え、より大きな振幅波になるように波が形成される、ポンピング方法。
【請求項33】
前記励起は、前記外部ルーメンを動的に励起することなく実質的に実行される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記液体媒体は、ゲルである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記外部ルーメンを体腔内で使用するステップと、前記体腔に力を加えることなく実質的に実行するステップとをさらに含む、請求項33に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−523470(P2009−523470A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549578(P2008−549578)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/000309
【国際公開番号】WO2007/081818
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
2.Linux
3.PENTIUM
4.JAVA
【出願人】(305053547)カリフォルニア インスティテュート オブ テクノロジー (18)
【Fターム(参考)】