説明

内燃機関の冷却構造および冷却システム

【課題】シリンダヘッドとシリンダブロックとの嵌合部での熱歪みの発生を抑制する。
【解決手段】ブロック側流路20から流出の冷却水がヘッド側流路10流出の冷却水よりも高温となるように、ヘッド側流路10とブロック側流路20とに冷却水を流す内燃機関の冷却システムにおいて、ブロック側流路20を、シリンダヘッド3に近い側からシリンダヘッド4から離れた側に向けて冷却水が流れる構成とする。これによると、シリンダヘッド3に近い側からシリンダヘッド3から離れた側に向かって、冷却水が吸熱しながら流れるので、ブロック側流路20のうちシリンダヘッド3に近い側を流れる冷却水は、シリンダヘッド3から離れた側を流れる冷却水よりも低温となる。よって、シリンダヘッド3とシリンダブロック4との嵌合部3a、4aを挟んだ両側を流れる冷却水の温度差を低減でき、この嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の冷却構造および冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関内部の冷却水流路として、シリンダヘッド内のヘッド側流路とシリンダブロック内のブロック側流路とを互いに独立させて設けた内燃機関の冷却システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−36731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、車両に搭載される内燃機関(エンジン)に対して、要求される出力を確保しつつ、従来よりも小型化させたいという要望がある。これを実現するために、圧縮比を上げたり、過給機付き内燃機関では過給圧を上げたりすると、ノッキングが生じる恐れがあるので、耐ノッキング性能を向上させる必要があり、耐ノッキング性能を向上させるために、シリンダヘッドを積極的に冷却することが考えられる。
【0005】
一方、シリンダブロックについては内燃機関内部のフリクション増加を抑制するために、所定温度以上に維持する必要がある。
【0006】
そこで、上述の内燃機関の冷却システムを用いて、ヘッド側流路から流出の冷却水が低温となり、ブロック側流路から流出の冷却水が高温となるように、ヘッド側流路とブロック側流路から冷却水を流出させることが考えられる。すなわち、ヘッド側流路内の冷却水の平均温度が低く、ブロック側流路内の冷却水の平均温度が高くなるように、ヘッド側流路とブロック側流路とに冷却水を流すことが考えられる。
【0007】
しかし、シリンダヘッドとシリンダブロックにおける冷却水流路に近い部位は、冷却水温度に近づくため、ヘッド側流路を流れる冷却水とブロック側流路を流れる冷却水との温度差が大きいと、両者の熱膨張の相違によって、シリンダヘッドとシリンダブロックとの嵌合部に熱歪みが発生してしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑みて、シリンダヘッドとシリンダブロックとの嵌合部での熱歪みの発生を抑制できる内燃機関の冷却構造および内燃機関の冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、シリンダヘッド(3)内に形成されたヘッド側流路(10)と、シリンダブロック(4)内に形成されたブロック側流路(20)と、ヘッド側流路(10)およびブロック側流路(20)から流出の冷却液を放熱させる放熱器(30)とを備え、
ヘッド側流路(10)とブロック側流路(20)とを冷却液が独立して流れるとともに、ブロック側流路(10)流出の冷却液がヘッド側流路(20)流出の冷却液よりも高温となる内燃機関の冷却システムであって、
ブロック側流路(20)は、シリンダヘッド(3)に近い側からシリンダヘッド(3)から離れた側に向けて冷却液が流れる構成であることを特徴としている。
【0010】
ここで、ブロック側流路を流れる冷却水は、上流側から下流側へ吸熱しながら流れるので、上流側の方が下流側よりも低温である。
【0011】
このため、本発明によると、ブロック側流路のうち、シリンダヘッドに近い側が冷却液流れの上流側となるので、シリンダヘッドに近い側を流れる冷却液の温度を、シリンダヘッドから離れた側を流れる冷却液の温度よりも低くできる。この結果、シリンダヘッドとシリンダブロックとの嵌合部を挟んだ両側を流れる冷却液の温度差を小さく抑えることができ、この嵌合部での熱歪みの発生を抑制できる。
【0012】
請求項1に記載の発明では、例えば、請求項2に記載のように、ブロック側流路(20)は、シリンダヘッド(3)に近い側である上側からシリンダヘッド(3)から離れた側である下側に向けて冷却液が流れる構成を採用できる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、ブロック側流路(20)の冷却液流れを、上側から下側に向けて流れる第1冷却液流れと、下側から上側に向けて流れる第2冷却液流れとを切り替える切替手段(42、61、62)を備え、
切替手段(42、61、62)は、ブロック側流路(20)内のガス抜きの際に、第2冷却液流れに切り替えることを特徴としている。
【0014】
ブロック側流路を流れる冷却液は、ヘッド側流路の冷却液より高温のため、冷却液の一部が沸騰する場合がある。この場合、ブロック側流路の冷却液流れが上側から下側に向かう方向だと、冷却液流れに淀みが発生し、この淀みにガスが留まる恐れがあるので、ガス抜きが必要となる。
【0015】
そこで、ガス抜きが必要な際では、本発明のように、冷却液流れの方向を通常時とは逆の方向、すなわち、下側から上側に向かう方向とすることで、ガス抜きを行うことができる。
【0016】
なお、請求項3に記載の発明においては、例えば、下記の構成を採用することができる。
【0017】
すなわち、ヘッド側流路(10)およびブロック側流路(20)と放熱器(30)との間で循環する冷却液流れを形成する循環手段(41)を備え、
ブロック側流路(20)は、冷却液流れの始点および終点の一方と他方となる第1流路端部(20a)と第2流路端部(20b)とを有し、
第1流路端部(20a)はシリンダヘッド(3)に近い側に位置するとともに、第2流路端部(20b)はシリンダヘッド(3)から離れた側に位置し、
切替手段(42)は、循環手段(41)の吐出側と吸入側の一方と、ブロック側流路(20)の第1流路端部(20a)側と第2流路端部(20b)側の一方を接続し、
この切替手段(42)によって、第1流路端部(20a)から第2流路端部(20b)へ向かう冷却液流れと、第2流路端部(20b)から第1流路端部(20a)へ向かう冷却液流れを切り替える構成を採用できる。
【0018】
また、ブロック側流路(20)は、冷却液流れの始点となる第1、第2上流端部(20a、20c)と、冷却液流れの終点となる第1、第2下流端部(20d、20b)とを有し、
第1上流端部(20a)は第2下流端部(20b)よりもシリンダヘッド(3)に近い側に位置するとともに、第2上流端部(20c)は第1下流端部(20d)よりもシリンダヘッド(3)から離れた側に位置し、
切替手段は、
第1、第2上流端部(20a、20c)の一方とシリンダブロック(3)よりも冷却液流れ上流側とを接続する第1切替手段(61)と、
第1、第2下流端部(20b、20d)の一方とシリンダブロック(3)よりも冷却液流れ下流側とを接続する第2切替手段(62)とを有し、
第1、第2切替手段によって、第1上流端部(20a)から第2下流端部(20b)に向かう冷却液流れと、第2上流端部(20c)から第1下流端部(20d)に向かう冷却液流れとを切り替える構成を採用できる。
【0019】
これによると、内燃機関と放熱器との間での冷却液の流れ方向を変更させることなく、第1、第2冷却液流れを切り替えることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明では、内燃機関のシリンダヘッド(3)内に形成され、主にシリンダヘッド(3)を冷却する冷却液が流れるヘッド側流路(10)と、
内燃機関のシリンダブロック(4)内に形成され、主にシリンダブロック(4)を冷却する冷却液が流れるブロック側流路(20)とを備え、
ヘッド側流路(10)とブロック側流路(20)とを冷却液が独立して流れるとともに、ブロック側流路(20)流出の冷却液がヘッド側流路(10)流出の冷却液よりも高温となる内燃機関の冷却構造であって、
ブロック側流路(20)は、シリンダヘッド(3)に近い側からシリンダヘッド(3)から離れた側に向けて冷却液が流れる構成であることを特徴としている。これによると、請求項1に記載の発明と同じ効果が得られる。
【0021】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態における内燃機関の冷却システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】ヘッド側流路とブロック側流路を示すシリンダヘッドおよびシリンダブロックの斜視透過図である。
【図3】第1実施形態における内燃機関の冷却システムの全体構成を示す概略図である。
【図4】第2実施形態におけるヘッド側流路とブロック側流路を示すシリンダヘッドおよびシリンダブロックの斜視透過図である。
【図5】第3実施形態におけるヘッド側流路とブロック側流路を示すシリンダヘッドおよびシリンダブロックの斜視透過図である。
【図6】第4実施形態におけるヘッド側流路とブロック側流路を示すシリンダヘッドおよびシリンダブロックの斜視透過図である。
【図7】第5実施形態におけるヘッド側流路とブロック側流路を示す図である。
【図8】第6実施形態におけるヘッド側流路とブロック側流路を示す図である。
【図9】第7実施形態における内燃機関の冷却システムの全体構成を示す概略図である。
【図10】第7実施形態における通常時のヘッド側流路10およびブロック側流路20の冷却水流れを示す図である。
【図11】第7実施形態における空気抜き時のヘッド側流路10およびブロック側流路20の冷却水流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0024】
(第1実施形態)
図1に、本実施形態における内燃機関の冷却システムの全体構成を示す。本実施形態の内燃機関の冷却システム1は、内燃機関(エンジン)および走行用電動モータの双方から直接駆動力を得て走行可能なパラレル型のハイブリッド車に搭載されるものである。
【0025】
図1に示すように、内燃機関の冷却システム1は、内燃機関2のシリンダヘッド3内に形成されたヘッド側流路10と、内燃機関2のシリンダブロック4内に形成されたブロック側流路20と、ラジエータ30とを備え、ヘッド側流路10およびブロック側流路20とラジエータ30との間で冷却水が循環する循環回路を形成している。なお、ヘッド側流路10とブロック側流路20とによって内燃機関2の冷却構造が構成されている。
【0026】
シリンダヘッド3は、ピストンが往復運動するシリンダボア(円柱状の穴)の上死点側の開口部を閉塞して燃焼室を構成するブロック体である。シリンダブロック4は、シリンダボアを構成するブロック体である。
【0027】
ヘッド側流路10およびブロック側流路20は、シリンダの周囲近傍に形成されたウォータジャケットと呼ばれる冷却水流路であり、それぞれ、シリンダヘッド3およびシリンダブロック4を冷却する冷却水が流れる。冷却水は、水もしくは添加成分を含む水である。
【0028】
シリンダヘッド3では、通常時に、シリンダヘッド3に設けられた第1開口部11から冷却水が流入し、ヘッド側流路10を冷却水が流れる。そして、ヘッド側流路10通過後の冷却水がシリンダヘッド3に設けられた第2開口部12から流出する。
【0029】
一方、シリンダブロック4では、通常時に、シリンダブロック4に設けられた第1開口部21から冷却水が流入し、ブロック側流路20を冷却水が流れる。そして、ブロック側 流路20通過後の冷却水がシリンダブロック4に設けられた第2開口部22から流出する。
【0030】
ここで、図2に、シリンダヘッド3とシリンダブロック4の透過図を示す。図2では、シリンダヘッド3とシリンダブロック4とを分解した状態で、シリンダヘッド3内のヘッド側流路10とシリンダブロック4内のブロック側流路20とを示している。また、図2に示す内燃機関は、4つのシリンダが直列に配置された直列4気筒タイプであり、図2中の4つの円がシリンダの位置を示している。
【0031】
ヘッド側流路10は、4つのシリンダの周囲を連続して囲むように形成されている。ヘッド側流路10に連通する第1開口部11と第2開口部12とは、図1、2に示すように、シリンダヘッド3のうち4つのシリンダの並び方向での一端側と他端側に配置されており、上下方向では同じ位置に配置されている。
【0032】
このため、ヘッド側流路10では、図2中の矢印で示すように、第1開口部11から流入した冷却水は、シリンダを挟んだ両側の2方向に分流して、4つのシリンダの並び方向に水平に流れた後、合流して第2開口部12から流出する。
【0033】
一方、ブロック側流路20は、4つのシリンダの周囲を連続して囲むように形成されており、シリンダの延伸方向と同じ上下方向に、シリンダに沿って延びている。そして、図1、2に示すように、ブロック側流路20は、ブロック側流路20の冷却水流れの始点、終点の一方と他方となる第1流路端部20aと第2流路端部20bとを有している。第1流路端部20aは第1開口部21に連通し、第2流路端部20bは第2開口部22に連通している。
【0034】
なお、第1、第2開口部21、22は、シリンダブロック4の外側表面に形成された開口部であり、循環回路の冷却水流路との接続口である。ブロック側流路20の第1、第2流路端部20a、20bは、第1、第2開口部21、22よりもシリンダの近くに位置している。
【0035】
本実施形態では、第1流路端部20aと第1開口部21とは、互いに近い位置にあり、シリンダブロック4において、横方向、高さ方向で同様の位置に配置されている。同様に、第2流路端部20bと第2開口部22とは、互いに近い位置にあり、シリンダブロック4において、横方向、高さ方向で同様の位置に配置されている。
【0036】
ブロック側流路20に連通する第1開口部21と第2開口部22とは、シリンダブロック4のうち4つのシリンダの並び方向での一端側と他端側に配置されており、第2開口部22は、シリンダブロック4のうち第1開口部21が配置された側の反対側に配置されている。また、第1開口部21と第2開口部22とは、上下方向での位置が異なっており、第1開口部21がシリンダヘッド3に近い上側に配置され、第2開口部22がシリンダヘッド3から離れた下側に配置されている。
【0037】
このため、ブロック側流路20では、図2中の矢印のように、第1開口部21から流入した冷却水は、第1流路端部20aで、4つのシリンダを挟んだ両側の2方向に分流して、第2流路端部20bに向かう流れを形成する。この第2流路端部20bに向かう流れは、主に、4つのシリンダの並び方向で水平に流れる流れと、その水平方向の流れから分岐して上側から下側に向かう流れと、第2流路端部20bに向かって水平に流れる流れである。そして、第2流路端部20bで冷却水が合流し、合流後の冷却水が第2開口部22からシリンダブロック4の外部に流出する。
【0038】
このように、ヘッド側流路10およびブロック側流路20の一方を流れた冷却水は、他方に流入することなく、各第2開口部12、22から内燃機関2の外部に流出する構成となっている。すなわち、ヘッド側流路10とブロック側流路20とを冷却水が独立して流れる構成となっている。
【0039】
また、ヘッド側流路10から流出の冷却水が低温となり、ブロック側流路20から流出の冷却水が高温となるように、各流路10、20から内燃機関外部への冷却水流出量が設定されている。このように、ヘッド側流路10の冷却水温度を低くすることで、シリンダヘッド3を積極的に冷却して、耐ノッキング性能を向上させることができる。この結果、要求される内燃機関の出力を確保しつつ、内燃機関の小型化を図ることができる。さらに、ブロック側流路20の冷却水温度を高くすることで、シリンダブロック4を所定温度以上に維持することができ、内燃機関内部のフリクション増加を抑制することができる。
【0040】
具体的には、ブロック側流路20からの流出量が、ヘッド側流路10からの流出量よりも少なくなるように、各第2開口部12、22に連なる配管の流路断面積が規定されている。なお、ブロック側流路20に連なる第2開口部22の下流側に、固定絞りを設けたり、流量調整弁を設けたりすることで、ブロック側流路20からの流出量が、ヘッド側流路10からの流出量よりも少なくなるようにしても良い。
【0041】
また、図1に示すように、ヘッド側流路10およびブロック側流路20に連なる各第2開口部12、22とラジエータ30とが合流点31を介して接続されている。すなわち、2つの第2開口部12、22の下流側の合流点31で、ヘッド側流路10およびブロック側流路20から流出の冷却水が合流し、合流した冷却水がラジエータ30に流入するようになっている。
【0042】
ラジエータ30は、ヘッド側流路10およびブロック側流路20から流出の冷却水を、外気との熱交換によって放熱させる放熱器である。
【0043】
ラジエータ30は、分岐点32を介して、ヘッド側流路10およびブロック側流路20の各第1開口部11、21と接続されている。すなわち、ラジエータ30で冷却された冷却水は、分岐点32で分流して、各第1開口部11、21に流入するようになっている。
【0044】
なお、図示しないが、上述の循環回路には、ラジエータ30を迂回して冷却水が流れるバイパス流路が設けられている。また、図示しないが、上述の循環回路には、ラジエータ30と並列して、車両用空調装置のヒータコアが接続されている。ヒータコアは、ヘッド側流路10およびブロック側流路20から流出の冷却水を、車室内へ向かう送風空気との熱交換によって放熱させる放熱器である。
【0045】
また、ラジエータ30と分岐点32との間には、電動式のウォータポンプ41が四方弁42を介して接続されている。ウォータポンプ41は、ヘッド側流路10およびブロック側流路20とラジエータ30との間で循環する冷却水流れを形成する循環手段である。
【0046】
四方弁42は、ウォータポンプ41の吐出側41aと吸入側41bの一方と、内燃機関2の第1開口部11、21側と第2開口部12、22側の一方との間の接続を切り替えることで、循環回路における冷却水の流れ方向を切り替える切替手段である。この四方弁42は、図示しない電子制御装置によって制御され、下記の通り、空気抜き時に、通常時の流れ方向とは逆の流れ方向に切り替える。
【0047】
通常時では、図1に示すように、四方弁42は、ウォータポンプ41の吐出側41aと第1開口部11、21側とを接続する。これにより、ブロック側流路20では、図1、2に示すように、第1開口部21から第1流路端部20aに流入した冷却水は、第2流路端部20bに向けて、上側から下側に向けて流れた後、第2開口部22から外部へ流出する。
【0048】
このとき、ブロック側流路20を流れる冷却水は、ヘッド側流路10を流れる冷却水より高温のため、冷却水の一部が沸騰する場合がある。この場合、ブロック側流路20の冷却水流れが上側から下側に向かう方向だと、ブロック側流路20内のうち第1流路端部20aから離れた上方部位等に淀みが発生し、この淀みに空気が留まる恐れがあるので、溜まった空気を抜くことが必要となる。
【0049】
そこで、本実施形態では、四方弁42によって冷却水流れ方向を変更することで空気抜きを実行する。
【0050】
図3に、空気抜き時における内燃機関の冷却システム1の全体構成を示す。空気抜き時では、図3に示すように、四方弁42は、ウォータポンプ41の吐出側41aと内燃機関2の第2開口部12、22側とを接続する。これにより、ブロック側流路20では、第2開口部22から第2流路端部20bに流入した冷却水は、第1流路端部20aに向けて、下側から上側に向けて流れた後、第1開口部21から流出する。このように、空気抜き時では、ブロック側流路20の冷却水流れを、通常時の上側から下側に向けて流れる第1冷却水流れから、下側から上側に向けて流れる第2冷却水流れに切り替えることで、ブロック側流路20に溜まった空気を第1開口部21から排出することができる。
【0051】
この空気抜きの実行時期については、内燃機関の運転中では時間の経過と共に空気が溜まるので、内燃機関の運転中は所定間隔で所定時間内とする。また、内燃機関の冷間始動時における始動直後の所定時間内、例えば、数十秒間内とする。このように、内燃機関の始動直後は内燃機関の温度が低く、ヘッド側流路とブロック側流路の冷却水に温度差が生じていないので、始動直後の所定時間経過まで、空気抜きを実行することが好ましい。なお、ブロック側流路20を流れる冷却水中に空気が発生すると、ブロック側流路20内の圧力が上昇することから、ブロック側流路20内の圧力を検出する圧力センサの検出値が所定値を超えた場合に、空気抜きを実行するようにしても良い。
【0052】
以上の通り、本実施形態では、ブロック側流路20から流出の冷却水がヘッド側流路10流出の冷却水よりも高温となるように、ヘッド側流路10とブロック側流路20とに冷却水を流すので、ブロック側流路20を流れる冷却水の平均温度はヘッド側流路10を流れる冷却水の平均温度よりも高くなる。
【0053】
そこで、ブロック側流路20においては、シリンダヘッド3に近い側の第1流路端部20aを冷却水入口部とし、シリンダヘッド3から離れた側の第2流路端部20bを冷却水出口部とすることで、シリンダヘッド3に近い側からシリンダヘッド4から離れた側に向けて冷却水が流れる構成としている。
【0054】
これにより、シリンダヘッド3に近い側からシリンダヘッド3から離れた側に向かって、冷却水が吸熱しながら流れるので、ブロック側流路20のシリンダヘッド3に近い側を流れる冷却水は、シリンダヘッド3から離れた側を流れる冷却水よりも低温となる。
【0055】
この結果、本実施形態と冷却水の流れ方向が逆の場合と比較して、シリンダヘッド3とシリンダブロック4との嵌合部3a、4aを挟んだ両側を流れる冷却水の温度差を小さく抑えることができるので、この嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。
【0056】
(第2実施形態)
図4に本実施形態におけるシリンダヘッド3とシリンダブロック4の透過図を示す。図4は、図2に対応している。本実施形態は、ヘッド側流路10の冷却水の流れ方向が第1実施形態と異なっている。
【0057】
本実施形態では、図4に示すように、シリンダヘッド3に設けられた第1開口部11と第2開口部12とが、シリンダヘッド3のうち4つのシリンダの並び方向に直交する方向での一端側と他端側に配置されている。そして、ヘッド側流路10は、各シリンダに向けて分流した後、4つのシリンダの並び方向に直交する方向に冷却水が流れるようになっている。
【0058】
ここで、第1実施形態では、図2に示すように、ヘッド側流路10は、4つのシリンダの並び方向に冷却水が流れるので、第1開口部11側のシリンダと第2開口部12側のシリンダとの間で冷却効果が異なってしまう。
【0059】
これに対して、本実施形態によれば、第1開口部11から流入した冷却水が、分流して各シリンダの周囲を流れた後、合流して第2開口部12から流出するので、4つのシリンダを均等に冷却できる。
【0060】
(第3実施形態)
図5に本実施形態におけるシリンダヘッド3とシリンダブロック4の透過図を示す。図5は、図2に対応している。本実施形態は、シリンダブロック4に設けられた第2開口部22およびブロック側流路20の第2流路端部20bの位置が第1実施形態と異なっている。
【0061】
すなわち、シリンダブロック4の第2開口部22およびブロック側流路20の第2流路端部20bを、第1実施形態では、シリンダブロック4のうち第1開口部21、第1流路端部20b側の反対側に設けたが、本実施形態では、シリンダブロック4のうち第1開口部21、第1流路端部20aと同じ側に設けている。
【0062】
このため、本実施形態のブロック側流路20では、図5中の矢印のように、第1開口部21から流入した冷却水は、第1流路端部20aで、4つのシリンダを挟んだ両側の2方向に分流して、4つのシリンダの並び方向の一端側から他端側に向かって流れた後、Uターンして第2流路端部20bに向かって流れる。
【0063】
本実施形態においても、ブロック側流路20の第1流路端部20aが上側にあり、第2流路端部20bが下側にあるので、ブロック側流路20に上側から下側に向かう冷却水流れが形成される。よって、本実施形態によっても、第1実施形態と同様に、嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。
【0064】
(第4実施形態)
図6に本実施形態におけるシリンダヘッド3とシリンダブロック4の透過図を示す。図6は、図2に対応している。本実施形態は、第2、第3実施形態を組み合わせたものである。
【0065】
すなわち、ヘッド側流路10は、第2実施形態と同様に、4つのシリンダの並び方向に直交する方向に冷却水が流れるようになっている。また、ブロック側流路20は、第3実施形態と同様に、第1流路端部20aから4つのシリンダの並び方向の一端側から他端側に向かって冷却水が流れた後、Uターンして第2流路端部20bに向かって冷却水が流れるようになっている。
【0066】
(第5実施形態)
図7に本実施形態のヘッド側流路10とブロック側流路20を示す。第1実施形態では、内燃機関2の外部に、1つの冷却水流路からヘッド側流路10とブロック側流路20とに分岐する分岐点32を設けたが、本実施形態では、内燃機関3の内部にその分岐点32を設けている。
【0067】
図7に示すように、本実施形態では、シリンダヘッド3のみに、通常時に冷却水入口となる第1開口部11を設けている。そして、シリンダブロック4の嵌合部4aにヘッド側流路10に連通する連通口23を設けている。この連通口23は、シリンダブロック4の表面に形成された第1開口部であり、この連通口23は、分岐点32を介して、シリンダヘッド3の第1開口部11に連通しているとともに、シリンダブロック4内のブロック側流路20の第1流路端部20aに連通している。
【0068】
このため、通常時では、シリンダヘッド3の第1開口部11から流入した冷却水は、シリンダヘッド3内部の分岐点32で分岐して、嵌合部4aの連通口23を介して、ブロック側流路20の第1流路端部20aに到達する。そして、ブロック側流路20では、第1流路端部20aから第2流路端部20bに向かって冷却水が流れる。このとき、本実施形態においても、図7中の矢印のように、第1実施形態と同様に、上側から下側に向かう冷却水流れが形成される。
【0069】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、シリンダヘッド3とシリンダブロック4との嵌合部3a、4aを挟んだ両側を流れる冷却水の温度差を低減でき、嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。
【0070】
なお、本実施形態では、内燃機関3の冷却水入口となる第1開口部を、シリンダヘッド3に設けたが、シリンダヘッド3に設ける代わりに、シリンダブロック4に設け、シリンダブロック4に設けた第1開口部から、ヘッド側流路10とブロック側流路20に冷却水が分流するようにしても良い。
【0071】
(第6実施形態)
図8に本実施形態のヘッド側流路10とブロック側流路20を示す。第1実施形態では、内燃機関2の外部に、通常時におけるヘッド側流路10とブロック側流路20との合流部31を設けたが、本実施形態では、内燃機関3の内部にその合流部31を設けている。
【0072】
図8に示すように、本実施形態では、シリンダヘッド3のみに、通常時に冷却水出口となる第2開口部12を設けている。そして、シリンダブロック4の嵌合部4aにヘッド側流路10に連通する連通口24を設けている。この連通口24は、シリンダブロック4の表面に形成された第2開口部であり、合流点31を介して、シリンダヘッド3の第2開口部12に連通しているとともに、シリンダブロック4内のブロック側流路20の第2流路端部20bに連通している。
【0073】
このため、通常時では、シリンダブロック4の第1開口部21から流入した冷却水は、第1流路端部20aから第2流路端部20bに向かってブロック側流路20を流れる。そして、第2流路端部20bから流出の冷却水は、嵌合部4aの連通口24、合流点31を経由してシリンダヘッド3の第2開口部12から流出する。
【0074】
ブロック側流路20では、本実施形態においても、図8中の矢印のように、第1実施形態と同様に、上側から下側に向かう冷却水流れが形成される。したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、シリンダヘッド3とシリンダブロック4との嵌合部3a、4aを挟んだ両側を流れる冷却水の温度差を低減でき、嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。
【0075】
なお、本実施形態では、冷却水出口となる第2開口部をシリンダヘッド3に設けたが、シリンダヘッド3に設ける代わりに、シリンダブロック4に設け、シリンダブロック4に設けた第2開口部から、ヘッド側流路10とブロック側流路20からの冷却水が流出するようにしても良い。また、本実施形態と第5実施形態とを組み合わせても良い。
【0076】
(第7実施形態)
図9に、本実施形態における内燃機関の冷却システムの全体構成を示す。
【0077】
ブロック側流路20は、第1実施形態と同様に、シリンダブロック4内で上下方向に延びているとともに、横方向では4つのシリンダの外周を連続して囲んでいる。
【0078】
そして、図9に示すように、本実施形態では、シリンダブロック4の一端側に、ブロック側流路20の第1、第2上流端部20a、20cが設けられており、ブロック側流路20の第1、第2上流端部20a、20cにそれぞれ連通するとともに、シリンダブロック4の冷却水入口となる第1、第2上流側開口部51、52が設けられている。ブロック側流路20の第1上流端部20aは上側に位置し、第2上流端部20cは下側に位置している。
【0079】
また、内燃機関2の上流側にある分岐点32で、シリンダヘッド3の第1開口部11に連通する冷却水流路と、シリンダブロック4の冷却水入口側に連通する冷却水流路とに分岐している。さらに、シリンダブロック4の冷却水入口側に連通する冷却水流路は、第1上流側開口部51に連通する冷却水流路と、第2上流側開口部52に連通する冷却水流路とに分岐し、この分岐点に第1三方弁61が配置されている。
【0080】
第1三方弁61は、分岐点32から第1上流側開口部51に向かう冷却水流れと、分岐点32から第2上流側開口部52に向かう冷却水流れとを切り替える第1切替手段である。すなわち、第1三方弁61は、ブロック側流路20に冷却水が流入する冷却水入口を、第1上流側開口部51と、第2上流側開口部52の一方に切り替える入口切替手段である。
【0081】
一方、シリンダブロック4の他端側に、ブロック側流路20の第1、第2下流端部20b、20dが設けられており、ブロック側流路20の第1、第2下流端部20b、20dにそれぞれ連通するとともに、シリンダブロック4の冷却水出口となる第1、第2下流側開口部53、54が設けられている。第1下流端部20dは第2上流端部20cよりも上側に位置し、第2下流端部20bは第1上流端部20aよりも下側に位置している。
【0082】
また、内燃機関2の下流側には、シリンダブロック4の第1下流側開口部53に連通する冷却水流路と第2下流側開口部54に連通する冷却水流路の合流点があり、この合流点に第2三方弁62が配置されている。第2三方弁62の下流側には、第2三方弁62の下流側に連通する冷却水流路と、シリンダヘッド3の第2開口部12に連通する冷却水流路との合流点31があり、合流点31よりも下流側にラジエータ30が接続されている。
【0083】
第2三方弁62は、第1下流側開口部53から合流点31に向かう冷却水流れと、第2下流側開口部54から合流点31に向かう冷却水流れとを切り替える第2切替手段である。すなわち、第2三方弁62は、ブロック側流路20から冷却水が流出する冷却水出口を、第1下流側開口部53と第2下流側開口部54の一方に切り替える出口切替手段である。
【0084】
第1、第2三方弁61、62は、通常時と空気抜き時とでブロック側流路20の冷却水流れ方向を変更するように、図示しない電子制御装置によって制御される。
【0085】
図10に通常時のヘッド側流路10およびブロック側流路20の冷却水流れを示し、図11に空気抜き時のヘッド側流路10およびブロック側流路20の冷却水流れを示す。
【0086】
図10に示すように、通常時では、電子制御装置は、図中左上の第1上流側開口部51から冷却水が流入し、図中右下の第2下流側開口部54から冷却水が流出するように、第1、第2三方弁61、62を制御する。これにより、ブロック側流路20では、図10中の矢印のように、第1上流端部20aから第2下流端部20bに向けて、第1実施形態と同様に、上側から下側に向かう冷却水流れが形成される。
【0087】
したがって、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブロック側流路20のうちシリンダヘッド3に近い側を流れる冷却水の温度をシリンダヘッド3から離れた側を流れる冷却水の温度よりも低くできるので、嵌合部3a、4aでの熱歪みの発生を抑制できる。
【0088】
一方、図11に示すように、空気抜き時では、電子制御装置は、図中左下の第2上流側開口部52から冷却水が流入し、図中右上の第1下流側開口部53から冷却水が流出するように、第1、第2三方弁61、62を制御する。これにより、ブロック側流路20では、図11中の矢印のように、第2上流端部20cから第1下流端部20dに向けて、第1実施形態と同様に、下側から上側に向かう冷却水流れが形成される。この結果、ブロック側流路20に溜まった空気を第1下流側開口部53から排出することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、冷却水入口および冷却水出口の切替手段として、第1、第2三方弁61、62を用いたが、他の切替手段を用いても良い。例えば、各開口部51〜54に連通する冷却水流路のそれぞれに設けた開閉弁を用いても良い。
【0090】
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、シリンダブロック4の第1、第2開口部21、22の高さ方向での位置を、それぞれが連通するブロック側流路20の第1、第2流路端部20a、20bと同じ位置としたが、他の位置に変更しても良い。少なくとも、ブロック側流路20において、第1流路端部20aが上側に位置し、第2流路端部20bが下側に位置していれば、シリンダブロック4の第1、第2開口部21、22を互いに同じ高さ位置としても良い。第2〜第6実施形態も同様である。
【0091】
また、第7実施形態では、シリンダブロック4の第1、第2上流側開口部51、52の高さ方向での位置を、それぞれが連通するブロック側流路20の第1、第2上流端部20a、20cと同じ位置としたが、他の位置に変更しても良い。同様に、シリンダブロック4の第1、第2下流側開口部53、54の高さ方向での位置を、それぞれが連通するブロック側流路20の第1、第2下流端部20d、20bと同じ位置としたが、他の位置に変更しても良い。少なくとも、ブロック側流路20において、第1上流端部20aが第2下流端部20bよりも上側に位置し、第2上流端部20cが第1下流端部20dよりも下側位置していれば、シリンダブロック4の第1、第2上流側開口部51、52、第1、第2下流側開口部53、54をすべて同じ高さ位置としても良い。
【0092】
(2)上述の各実施形態では、ブロック側流路20は、複数のシリンダの周囲を連続して囲む形状であったが、複数のシリンダの周囲においては非連続な形状であっても良い。すなわち、ブロック側流路20を、シリンダに沿って上下方向に延びる複数本の第1流路と、複数の第1流路の上端側に連通し、水平方向に延びるシリンダヘッド3に近い側の第2流路と、複数の第1流路の下端側に連通し、水平方向に延びるシリンダヘッド3から離れた側の第3流路とを有する形状としても良い。
【0093】
(3)上述の各実施形態では、空気抜きのために、四方弁や三方弁を用いて、ブロック側流路20の冷却水流れ方向を逆方向に変更していたが、空気抜きが必要なければ、四方弁や三方弁を省略し、冷却水流れ方向を常に同じ方向としても良い。
【0094】
(4)上述の各実施形態では、ブロック側流路20から流出の冷却水がヘッド側流路10流出後の冷却水よりも高温となるように、ラジエータ30から流出の冷却水を、分岐点32で分流させて、ヘッド側流路10とブロック側流路20に流入させるとともに、ブロック側流路20からの流出量を、ヘッド側流路10からの流出量よりも少なくする構成を採用したが、ヘッド側流路10とブロック側流路20とがそれぞれ独立した冷却水回路を形成する構成を採用しても良い。すなわち、ヘッド側流路と第1放熱器との間で循環する冷却水回路と、ブロック側流路と第2放熱器との間で循環する冷却水回路とを形成し、例えば、第2放熱器流出後の冷却水温度を第1放熱器流出後の冷却水温度よりも高くすることで、ブロック側流路から流出の冷却水がヘッド側流路流出後の冷却水よりも高温となるようにしても良い。
【0095】
(5)上述の各実施形態では、ヘッド側流路10には、シリンダヘッド3を冷却する冷却水のみが流れるようになっていたが、シリンダブロック4を冷却する冷却水の一部が流入するようになっていても良い。同様に、ブロック側流路20には、シリンダブロック4を冷却する冷却水のみが流れるようになっていたが、シリンダヘッド3を冷却する冷却水の一部が流入するようになっていても良い。要するに、ヘッド側流路10には主にシリンダヘッド3を冷却する冷却水が流れ、ブロック側流路20には主にシリンダブロック4を冷却する冷却水が流れる構成となっていれば良い。
【0096】
(6)上述の各実施形態では、冷却液として、冷却水を用いたが、他の液体を用いても良い。
【0097】
(7)上述の各実施形態では、冷却対象である内燃機関の構造が、直列4気筒タイプであったが、これとはシリンダの数や配列が異なる他のタイプであっても良い。
【0098】
例えば、シリンダをV字形に並べるV型配列や、シリンダを水平に対向して並べる水平対向配列であっても良い。ちなみに、V型配列の場合のブロック側流路では、直列配列と同様に、シリンダヘッドに近い上側からシリンダヘッドから離れた下側に向かって冷却水が流れる。一方、水平対向配列の場合のブロック側流路では、シリンダヘッドに近い側からシリンダヘッドから離れた側に向かって冷却水が水平に流れる。
【0099】
(8)上述の各実施形態では、冷却対象である内燃機関の用途が、パラレル型のハイブリッド車に搭載される内燃機関であったが、他の用途であっても良い。本発明の冷却装置の冷却対象となる内燃機関としては、トレースノック運転を主とする内燃機関、例えば、過給エンジン、レンジエクステンダー等が挙げられる。
【符号の説明】
【0100】
1 内燃機関の冷却システム
2 内燃機関
3 シリンダヘッド
4 シリンダブロック
10 ヘッド側流路
20 ブロック側流路
30 ラジエータ(放熱器)
41 電動ウォータポンプ
42 四方弁
61 第1三方弁
62 第2三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッド(3)内に形成され、主にシリンダヘッド(3)を冷却する冷却液が流れるヘッド側流路(10)と、
前記内燃機関のシリンダブロック(4)内に形成され、主にシリンダブロック(4)を冷却する冷却液が流れるブロック側流路(20)と、
前記ヘッド側流路(10)および前記ブロック側流路(20)から流出の冷却液を放熱させる放熱器(30)とを備え、
前記ヘッド側流路(10)と前記ブロック側流路(20)とを冷却液が独立して流れるとともに、前記ブロック側流路(20)流出の冷却液が前記ヘッド側流路(10)流出の冷却液よりも高温となる内燃機関の冷却システムであって、
前記ブロック側流路(20)は、前記シリンダヘッド(3)に近い側から前記シリンダヘッド(3)から離れた側に向けて冷却液が流れる構成であることを特徴とする内燃機関の冷却システム。
【請求項2】
前記ブロック側流路(20)は、前記シリンダヘッド(3)に近い側である上側から前記シリンダヘッド(3)から離れた側である下側に向けて冷却液が流れる構成であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項3】
前記ブロック側流路(20)の冷却液流れを、上側から下側に向けて流れる第1冷却液流れと、下側から上側に向けて流れる第2冷却液流れとの一方に切り替える切替手段(42、61、62)を備え、
前記切替手段(42、61、62)は、前記ブロック側流路(20)内のガス抜きの際に、前記第2冷却液流れに切り替えることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の冷却システム。
【請求項4】
内燃機関のシリンダヘッド(3)内に形成され、主にシリンダヘッド(3)を冷却する冷却液が流れるヘッド側流路(10)と、
前記内燃機関のシリンダブロック(4)内に形成され、主にシリンダブロック(4)を冷却する冷却液が流れるブロック側流路(20)とを備え、
前記ヘッド側流路(10)と前記ブロック側流路(20)とを冷却液が独立して流れるとともに、前記ブロック側流路(20)流出の冷却液が前記ヘッド側流路(10)流出の冷却液よりも高温となる内燃機関の冷却構造であって、
前記ブロック側流路(20)は、前記シリンダヘッド(3)に近い側から前記シリンダヘッド(3)から離れた側に向けて冷却液が流れる構成であることを特徴とする内燃機関の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−236831(P2011−236831A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109558(P2010−109558)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】