内燃機関の吸気制御装置
【課題】 気流制御弁による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制可能な吸気制御装置を提供する。
【解決手段】カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。これによって、バルブ22の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、バルブ22の側方の隙間が小さくなったとしても、干渉によってバルブ22の揺動が阻害されてしまうことを防ぐことができる。すなわち、カートリッジ30を弾性材料で形成することで、「バルブ22の側方の隙間を小さくすること」と「バルブ22の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、バルブユニット20による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【解決手段】カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。これによって、バルブ22の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、バルブ22の側方の隙間が小さくなったとしても、干渉によってバルブ22の揺動が阻害されてしまうことを防ぐことができる。すなわち、カートリッジ30を弾性材料で形成することで、「バルブ22の側方の隙間を小さくすること」と「バルブ22の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、バルブユニット20による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の燃焼室に吸入空気を導入する吸気管内に気流制御弁を設けたもので、吸気管に形成される吸気通路中の吸入空気の流れを制御し、燃焼室にタンブル流を生成する吸気装置が知られている。
このような吸気装置では、吸気管の一方の内壁とこの内壁に対向する他方の内壁を跨ぐように回転可能な弁軸を設け、この弁軸に固定される弁体が弁軸の回転によって吸気通路の開口断面積を変更する。
【0003】
気流制御弁及び吸気管の構造は、複雑になることが多い。そのため、気流制御弁の吸気管への取付け作業が困難となる場合がある。そこで、近年、気流制御弁の軸受を吸気管とは別体の軸受部材に形成し、予め軸受部材に気流制御弁を取付けてから当該軸受部材を吸気管に取付けることで、組付工程の簡素化を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特表2003−509634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強いタンブル流を生じさせるためには、吸入空気の流れをいかに効率よく集中させてから燃焼室へ誘導するかが重要となり、吸入空気を誘導したい箇所の開口部以外で生じる空気漏れを低減することが、課題としてあげられる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、このような開口部以外に生じる空気漏れを低減するという観点からは、十分とは言えないものである。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気流制御弁による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制可能な吸気制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の吸気制御装置は、内燃機関の燃焼室に吸入空気を導入する吸気管内に設けられる。この吸気制御装置は、弁軸、気流制御弁、及び、筒状弾性部材を備えている。弁軸は、吸入空気の導入方向に垂直に吸気管内を横切るよう設けられる。気流制御弁は、軸部及び弁体から構成されており、軸部が弁軸に支持され、一方、弁体が、弁軸を回動中心として揺動可能に軸部から延びる。
ここで特に本発明では、弁体側面に弾性的に相互に近接するような付勢力をもった側壁と、外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部と、を有する筒状弾性部材が、気流制御弁を回転可能に狭持しており、吸気管通路内壁と筒状弾性部材側壁が接触しないように配置されている。
【0008】
このようにすれば、弾性により相互に近接するよう付勢される側壁にて弁体側面を挟持するため、弁体の側方に形成される隙間を、より小さくすることができる。しかも、このとき、吸気管通路が温度等により変形したとしても、弾性によって弁体側面が挟持されているため、干渉によって弁体の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。すなわち、気流制御弁を保持する筒状の部材を弾性材料で形成することで、「弁体の側方の隙間を小さくすること」と「弁体の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、気流制御弁による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、筒状側壁部分の一部に、弾性変形を容易にする切り込みを有する。このようにすれば、より弾性変形が容易になるため、上述した効果が際だつ。
【0010】
ところで、樹脂成形は、金属切削加工と比べて精度が落ちることが知られている。そのため、従来、弁体を樹脂で成形することは困難であった。これに対し本発明では、高精度の成形技術が要求されないため、請求項3に示すように、気流制御弁を、樹脂にて成形するようにしてもよい。
【0011】
請求項1に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部を有する。このようにすれば、例えば鍔部を挟み込むことで、筒状弾性部材を吸気管に対して容易に位置決めすることができる。
【0012】
この鍔部に関して言えば、請求項4に示すように、鍔部を、切り欠きによって区分される鍔片で構成してもよい。このとき、当該鍔片の折り曲げ角度を異なるようにする。このようにすれば、鍔片の弾性によって、例えば吸気管との間に十分に鍔部を挟み込むことができる。
【0013】
鍔部の挟み込みという観点からは、例えば請求項5に示すように、吸気管内の段差部との間で鍔部を吸入方向へ押さえ込む枠部材を備える構成とすることが例示される。この場合、枠部材が筒状側壁部分の内壁の内側へ突出して嵌合する嵌合部を有するようにすれば、鍔部の折り曲げ部分からの空気の漏れ出しを効果的に抑制することができる。特に、鍔部が鍔片から構成されている場合には、切り欠きから漏れ出す空気を効果的に抑制できることになる。
【0014】
請求項6に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、側壁を有する断面視U字状の第1部材と、当該第1部材の端部の間に配設されて第1部材と共に筒状側壁部分を形成する第2部材とを有している。このように二つの部材で筒状側壁部分を形成すれば、筒状側壁部分の弾性変形を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の吸気制御装置を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の吸気制御装置1を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態の吸気制御装置1を示す分解斜視図である。
吸気制御装置1は、燃焼室に外部からの空気を導入するインテークマニホールドの下流端に配設される。具体的には、インテークマニホールドにエンジンヘッドが接続される位置に配置される。図1において、吸気管11は、インテークマニホールドの下流端を形成している。なお、吸気管11内には、吸気通路13が形成されている(図4参照)。この吸気通路13を横切るようにして、「弁軸」としてのシャフト12が設けられている。
【0016】
吸気制御装置1は、「気流制御弁」としてのバルブユニット20、「筒状弾性部材」としてのカートリッジ30、及び、枠部材40を備えている。
図1及び図2に示すように、バルブユニット20は、「軸部」としてのシャフト嵌合部21及び「弁体」としてのバルブ22を有している。シャフト嵌合部21は、筒状に形成されており、シャフト12が内部に挿通する。つまり、シャフト嵌合部21は、シャフト12によって支持されるようになっている。シャフト嵌合部21は、吸気通路13(図4参照)の幅方向を長手方向とする軸部本体21aと、軸部本体21aの端部に突出する軸部端21bとを有する。軸部本体21aから延びるのが、バルブ22である。バルブ22は、軸部本体21aと同様の幅を有する。このバルブ22は、シャフト12を回動中心として揺動可能となっている。なお、本実施形態において、バルブユニット20は、樹脂材料にて形成されている。
【0017】
カートリッジ30は、弾性を有する金属材料、例えばSUS304で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部31、軸受部32、及び、「鍔部」としてのフランジ33を有している。本体部31は、下流側から(図2中に矢印Mで示す方向で)見ると、図3(a)に示すように、コーナー部31a、31bが丸みを帯びた筒状となっている。ただし、図2から分かるように、下流側に近い部分では、断面視U字状となっている。この部分は、両側の側壁31c及び上壁31dからなっている。上流側に近い部分では、両方の側壁31cの間に底壁31eを備えている。底壁31eは、側壁31cから内側方向へ略垂直に折り曲げるようにして設けられている。これにより、端部31fが、吸気管の幅方向の中央で重なっている。図3(b)に示すごとくである。なお、図3(b)は、図3(a)中の記号Cで示す部分の拡大説明図である。すなわち、カートリッジ30は、その筒状側壁部分の一部に切り込みを有している。かかる構成により、カートリッジ30の幅方向における弾性変形が容易になっている。
【0018】
上記底壁31eに対応する部分に、側壁31cは、下流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部32を構成している(図2等参照)。軸受部32は、シャフト嵌合部21の軸部端21bを支持可能な深部が円弧状の切り欠きである。
【0019】
フランジ33は、側壁31c及び上壁31dの上流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。このフランジ33は、図3(a)に示すように、切り欠き33aによって区分される複数の鍔片33bで構成されている。また、鍔片33bには、その折り曲げ角度が90度よりも僅かに大きいものと僅かに小さいものとがあり、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられている。
【0020】
枠部材40は、図2に示すように、下流側に配置される前枠41及び上流側に配置される後枠42とから構成される。前枠41は、組付時においてカートリッジ30のフランジ33が収まる凹部41aを有している。また、凹部41aの内側には、カートリッジ30の本体部31の内側へ突出して嵌合する嵌合部41bを有している。この嵌合部41bは、カートリッジ30の本体部31に対してルーズ嵌合している。一方、後枠42は、前枠41に対応して突出する押さえ部42aを有している。この押さえ部42aの端面42bによって、前枠41が押さえ込まれる。
【0021】
次に、吸気制御装置1の組付時の構成を、さらに、詳しく説明する。図4は、吸気管11内部の吸気通路13に取り付けられた吸気制御装置1の正面図である。図5は、図4のV−V線概略断面図であり、図6は、図4のVI−VI線概略断面図である。
【0022】
まず、バルブユニット20は、上述したように、その軸部本体21aがシャフト12に支持される。これにより、バルブ22は、カートリッジ30の本体部31と共に、流路14を形成し、また、流路14の開口断面積を適宜変更可能となっている。例えば図6は、バルブユニット20の全開状態を示し、図7は、全閉状態を示す。
【0023】
このバルブユニット20に対して、上流側からカートリッジ30の軸受部32が、スライドする形で嵌合して支持される。このとき、カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。そして、この状態でカートリッジ30が吸気管11に取り付けられる。
【0024】
カートリッジ30は、上流側端部に立設されたフランジ33が前枠41の凹部41aに配置され、後枠42によって、吸気管11の段差部15との間に押さえ込まれる。このとき、前枠41から突出する嵌合部41bが、カートリッジ30の内側にルーズ嵌合する。
【0025】
以上詳述したように、本実施形態の吸気制御装置1では、カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。これによって、バルブ22の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。
【0026】
また、吸気管通路が温度等により変形したとしても、バルブ22側面が挟持されているため、干渉によってバルブ22の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。すなわち、カートリッジ30を弾性材料で形成することで、「バルブ22の側方の隙間を小さくすること」と「バルブ22の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、バルブユニット20による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、側壁31cが下流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部32を構成している。かかる構成により、バルブユニット20に対し、上流側からカートリッジ30の軸受部32が、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、その後、バルブユニット20が取り付けられたカートリッジ30が吸気管11に組み付けられる。これによって、バルブユニット20の組付も容易になる。
【0028】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ30の上流側に近い部分には両方の側壁31cの間に底壁31eが設けられているが、底壁31eの端部31fが、吸気管の幅方向の中央で重なっている(図3(b)参照)。すなわち、カートリッジ30は、その筒状部分の一部に切り込みを有している。これによって、カートリッジ30の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。
【0029】
ところで、樹脂成形は、金属切削加工と比べて精度が落ちることが知られている。そのため、従来、強タンブルを求められるとバルブユニット20を樹脂で成形することは困難であった。これに対し本実施形態では、空気漏れの抑制にカートリッジ30の弾性変形を利用しているため、高精度の成形技術が要求されない。そのため、バルブユニット20を、樹脂にて成形し、かつ、強タンブルを発生させることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、フランジ33が、本体部31の上流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。そして、切り欠き33aによって区分される複数の鍔片33bで構成されており、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられている。これによって、上流側端部に立設されたフランジ33を、吸気管11の段差部15との間に十分に押さえ込むことができ、カートリッジ30の位置決めが容易になり、ガタつきを防止することができる。
【0031】
さらに、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられていることにより、前枠41の凹部41aには迷路構造が形成される。これによって、空気漏れを効果的に抑制することができる。またさらに、前枠41から突出する嵌合部41bがカートリッジ30の内側にルーズ嵌合しているため、フランジ33の切り欠き33aからの空気漏れを効果的に抑制することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の吸気制御装置2が、吸気管11に配置された様子を示す正面図(下流側から見た図)である。また、図9は、図8のIX−IX線概略断面図であり、図10は、図8のX−X線概略断面図である。
【0033】
本実施形態において、「気流制御弁」としてのバルブユニット200は、上記実施形態と同様、「軸部」としてのシャフト嵌合部201及び「弁体」としてのバルブ202を有している。シャフト嵌合部201は、筒状に形成されており、シャフト12が内部に挿通する(図9参照)。つまり、「弁軸」としてのシャフト12によって支持されるようになっている。また、シャフト嵌合部201が、軸部本体201aと、軸部本体21aの端部に突出する軸部端201bとを有することも、上記実施形態と同様である。本実施形態においても、バルブユニット200は、樹脂材料にて形成されている。
【0034】
「筒状弾性部材」としてのカートリッジ300は、弾性を有する金属材料で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部301、軸受部302、及び、「鍔部」としてのフランジ303を有している。本体部301は、下流側から見ると、図8に示すように筒状となっている。
【0035】
本体部301は、両側の側壁301c、側壁301cの上端部を連結する上壁301d、及び、側壁301cの下端部が内側へ折り返されてなる底壁301eを有している。したがって、底壁301eは、その吸気管101の幅方向の中央で一部が重なっている(図9等参照)。すなわち、本実施形態においても、カートリッジ300は、その筒状側壁部分の一部に切り込みを有している。かかる構成により、カートリッジ300の幅方向における弾性変形が容易になっている。
【0036】
側壁301cは、上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部302を構成している。軸受部302は、シャフト嵌合部201の軸部端201bを支持可能な深部が円弧状の切り欠きである。フランジ303は、下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。さらに側壁301cには、上流側端部から下流側へ向かう2本の割り301gが形成されている。
【0037】
かかる構成により、バルブ202は、カートリッジ300の本体部301と共に、流路140を形成し、また、流路140の開口断面積を適宜変更可能となっている(図10参照)。このバルブユニット200は、上流側からカートリッジ300の軸受部302に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、バルブユニット200が嵌合された状態のカートリッジ300が下流側から吸気管101に取り付けられ、吸気管101とエンジンヘッドとでフランジ303が挟持される。
【0038】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。
すなわち、カートリッジ300が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁301cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部201の軸部端201bを嵌合する。これによって、バルブ202の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、干渉によってバルブ202の揺動の動作力が大幅に増加してしまうことが防止できる。結果として、バルブユニット200による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、側壁301cが上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部302を構成している。かかる構成により、バルブユニット200は、上流側からカートリッジ300の軸受部302に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、このようなカートリッジ300が吸気管101に取り付けられる。これによって、バルブユニット200の組付も容易になる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ300には両方の側壁301cの間に底壁301eが設けられているが、底壁301eの端部301fが、吸気管101の幅方向の中央で重なっている。これによって、カートリッジ300の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。なお、本実施形態においても、精度が要求されないため、バルブユニット200を、樹脂にて成形することができる。
【0041】
また、本実施形態では、フランジ303が、本体部301の下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。これによって、フランジ303を、吸気管101とエンジンヘッドとで十分に押さえ込むことができ、カートリッジ300の位置決めが容易になる。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ300の本体部301の側壁301cに、上流側からの割り301gが設けられている。これによって、流路140の圧力により、側壁301cが外側へ弾性変形し、吸気管101の内壁に押し付けられるため、カートリッジ300のガタつきを、効果的に抑制することができる。
【0043】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態の吸気制御装置3が、吸気管111に配置された様子を示す正面図(下流側から見た図)である。また、図12は、図11のXII−XII線概略断面図である。
【0044】
本実施形態では、特に「筒状弾性部材」としてのカートリッジ310の構成に特徴を有する。そこで以下、カートリッジ310の構成について説明する。
カートリッジ310は、弾性を有する金属部材で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部311、軸受部312、及び、「鍔部」としてのフランジ313を有している。ここで特に、本体部311は、「第1部材」としての第1本体部311a及び「第2部材」としての第2本体部311bの2つの部材から構成されている。
【0045】
図13(a)に示すように、第1本体部311aは、内壁311c及び上壁311dを有している。そして、内壁311cに、軸受部312と割り311gとが設けられる。ただし、第1本体部311aは、底壁を有しておらず、断面視U字状となっている(図11参照)。上記実施形態における底壁31e、301eに代わるのが、第2本体部311bである。
【0046】
第2本体部311bは、図13(b)に示すように、弾性を有する金属材料からなる部材を折り曲げて形成されており、組付時に「気流制御弁」としてのバルブユニット200の下方に配置される底部311h及び底部311hから下流側へ向かって流路140を狭めるように傾斜する傾斜部311iを備えている。傾斜部311iの端部は、下方へ折り曲げられており、中央部分と側方部分とが異なる高さで底部311h側へさらに折り曲げられて、折り曲げ部311j、311kが形成されている。かかる構成により、第2本体部311bは、吸気管111の下流側端部に形成される被挟持部115を挟持するように取り付けられる。
【0047】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。
すなわち、カートリッジ310が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁311cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部201の軸部端201bを嵌合する。これによって、バルブ202の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、バルブ202の側方の干渉によってバルブ202の揺動の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。結果として、バルブユニット200による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、側壁311cが上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部312を構成している。かかる構成により、バルブユニット200は、上流側からカートリッジ310の軸受部312に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、このようなカートリッジ310が吸気管111に取り付けられる。これによって、バルブユニット200の組付も容易になる。
【0049】
さらにまた、本実施形態では、フランジ313が、第1本体部311aの下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。これによって、フランジ313を、吸気管111とエンジンヘッドとで十分に押さえ込むことができ、カートリッジ310の位置決めが容易になる。
【0050】
また、本実施形態では、カートリッジ310の第1本体部311aの側壁311cに、上流側からの割り311gが設けられている。これによって、流路140の圧力により、側壁311cが外側へ弾性変形し、吸気管111の内壁に押し付けられるため、カートリッジ310のガタつきを、効果的に抑制することができる。
【0051】
さらにまた、本実施形態では、第1本体部311aが、底壁を有しておらず、断面視U字状となっている(図11参照)。これによって、カートリッジ310の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。さらに、第2本体部311bは、底部311hから下流側へ向かって流路140を狭めるように傾斜する傾斜部311iを備えている。これによって、バルブユニット200のバルブ202の下方空間における空気漏れを抑制することができる。また、第2本体部311bの下流側には、折り曲げ部311j、311kが形成されており、2つの折り曲げ部311j、311kが吸気管111の被挟持部115を挟持する。これによって、第2本体部311bも容易に位置決めされることになる。
【0052】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は第1実施形態の筒状弾性部材の正面図であり、(b)は、(a)の記号Cで示す部分の拡大説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図5】図4のV−V線概略断面図である。
【図6】図4のVI−VI線概略断面図である。
【図7】気流制御弁が全閉となった状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX線概略断面図である。
【図10】図8のX−X線概略断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図12】図11のXII−XII線概略断面図である。
【図13】第3実施形態の筒状弾性部材の本体部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3…吸気制御装置、11、101、111…吸気管、12…シャフト(弁軸)、13…吸気通路、14、140…流路、15…段差部、20、200…バルブユニット(気流制御弁)、21、201…シャフト嵌合部(軸部)、21a、201a…軸部本体、21b、201b…軸部端、22、202…バルブ(弁体)、30、300、310…カートリッジ(筒状弾性部材)、31、301、311…本体部(筒状側壁部分)、311a…第1本体部(第1部材)、311b…第2本体部(第2部材)、31a、31b…コーナー部、31c、301c、311c…側壁、31d、301d、311d…上壁、31e、301e…底壁、31f、301f…端部、311h…底部、311i…傾斜部、311i、311j…折り曲げ部、32、302、312…軸受部、33、303、313…フランジ(鍔部)、33a…切り欠き、33b…鍔片、40…枠部材、41…前枠、41a…凹部、41b…嵌合部、42…後枠、42a…押さえ部、42b…端面、115…被挟持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の燃焼室に吸入空気を導入する吸気管内に気流制御弁を設けたもので、吸気管に形成される吸気通路中の吸入空気の流れを制御し、燃焼室にタンブル流を生成する吸気装置が知られている。
このような吸気装置では、吸気管の一方の内壁とこの内壁に対向する他方の内壁を跨ぐように回転可能な弁軸を設け、この弁軸に固定される弁体が弁軸の回転によって吸気通路の開口断面積を変更する。
【0003】
気流制御弁及び吸気管の構造は、複雑になることが多い。そのため、気流制御弁の吸気管への取付け作業が困難となる場合がある。そこで、近年、気流制御弁の軸受を吸気管とは別体の軸受部材に形成し、予め軸受部材に気流制御弁を取付けてから当該軸受部材を吸気管に取付けることで、組付工程の簡素化を図る技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特表2003−509634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
強いタンブル流を生じさせるためには、吸入空気の流れをいかに効率よく集中させてから燃焼室へ誘導するかが重要となり、吸入空気を誘導したい箇所の開口部以外で生じる空気漏れを低減することが、課題としてあげられる。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、このような開口部以外に生じる空気漏れを低減するという観点からは、十分とは言えないものである。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、気流制御弁による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制可能な吸気制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の吸気制御装置は、内燃機関の燃焼室に吸入空気を導入する吸気管内に設けられる。この吸気制御装置は、弁軸、気流制御弁、及び、筒状弾性部材を備えている。弁軸は、吸入空気の導入方向に垂直に吸気管内を横切るよう設けられる。気流制御弁は、軸部及び弁体から構成されており、軸部が弁軸に支持され、一方、弁体が、弁軸を回動中心として揺動可能に軸部から延びる。
ここで特に本発明では、弁体側面に弾性的に相互に近接するような付勢力をもった側壁と、外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部と、を有する筒状弾性部材が、気流制御弁を回転可能に狭持しており、吸気管通路内壁と筒状弾性部材側壁が接触しないように配置されている。
【0008】
このようにすれば、弾性により相互に近接するよう付勢される側壁にて弁体側面を挟持するため、弁体の側方に形成される隙間を、より小さくすることができる。しかも、このとき、吸気管通路が温度等により変形したとしても、弾性によって弁体側面が挟持されているため、干渉によって弁体の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。すなわち、気流制御弁を保持する筒状の部材を弾性材料で形成することで、「弁体の側方の隙間を小さくすること」と「弁体の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、気流制御弁による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、筒状側壁部分の一部に、弾性変形を容易にする切り込みを有する。このようにすれば、より弾性変形が容易になるため、上述した効果が際だつ。
【0010】
ところで、樹脂成形は、金属切削加工と比べて精度が落ちることが知られている。そのため、従来、弁体を樹脂で成形することは困難であった。これに対し本発明では、高精度の成形技術が要求されないため、請求項3に示すように、気流制御弁を、樹脂にて成形するようにしてもよい。
【0011】
請求項1に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部を有する。このようにすれば、例えば鍔部を挟み込むことで、筒状弾性部材を吸気管に対して容易に位置決めすることができる。
【0012】
この鍔部に関して言えば、請求項4に示すように、鍔部を、切り欠きによって区分される鍔片で構成してもよい。このとき、当該鍔片の折り曲げ角度を異なるようにする。このようにすれば、鍔片の弾性によって、例えば吸気管との間に十分に鍔部を挟み込むことができる。
【0013】
鍔部の挟み込みという観点からは、例えば請求項5に示すように、吸気管内の段差部との間で鍔部を吸入方向へ押さえ込む枠部材を備える構成とすることが例示される。この場合、枠部材が筒状側壁部分の内壁の内側へ突出して嵌合する嵌合部を有するようにすれば、鍔部の折り曲げ部分からの空気の漏れ出しを効果的に抑制することができる。特に、鍔部が鍔片から構成されている場合には、切り欠きから漏れ出す空気を効果的に抑制できることになる。
【0014】
請求項6に記載の吸気制御装置では、筒状弾性部材が、側壁を有する断面視U字状の第1部材と、当該第1部材の端部の間に配設されて第1部材と共に筒状側壁部分を形成する第2部材とを有している。このように二つの部材で筒状側壁部分を形成すれば、筒状側壁部分の弾性変形を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の吸気制御装置を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の吸気制御装置1を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態の吸気制御装置1を示す分解斜視図である。
吸気制御装置1は、燃焼室に外部からの空気を導入するインテークマニホールドの下流端に配設される。具体的には、インテークマニホールドにエンジンヘッドが接続される位置に配置される。図1において、吸気管11は、インテークマニホールドの下流端を形成している。なお、吸気管11内には、吸気通路13が形成されている(図4参照)。この吸気通路13を横切るようにして、「弁軸」としてのシャフト12が設けられている。
【0016】
吸気制御装置1は、「気流制御弁」としてのバルブユニット20、「筒状弾性部材」としてのカートリッジ30、及び、枠部材40を備えている。
図1及び図2に示すように、バルブユニット20は、「軸部」としてのシャフト嵌合部21及び「弁体」としてのバルブ22を有している。シャフト嵌合部21は、筒状に形成されており、シャフト12が内部に挿通する。つまり、シャフト嵌合部21は、シャフト12によって支持されるようになっている。シャフト嵌合部21は、吸気通路13(図4参照)の幅方向を長手方向とする軸部本体21aと、軸部本体21aの端部に突出する軸部端21bとを有する。軸部本体21aから延びるのが、バルブ22である。バルブ22は、軸部本体21aと同様の幅を有する。このバルブ22は、シャフト12を回動中心として揺動可能となっている。なお、本実施形態において、バルブユニット20は、樹脂材料にて形成されている。
【0017】
カートリッジ30は、弾性を有する金属材料、例えばSUS304で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部31、軸受部32、及び、「鍔部」としてのフランジ33を有している。本体部31は、下流側から(図2中に矢印Mで示す方向で)見ると、図3(a)に示すように、コーナー部31a、31bが丸みを帯びた筒状となっている。ただし、図2から分かるように、下流側に近い部分では、断面視U字状となっている。この部分は、両側の側壁31c及び上壁31dからなっている。上流側に近い部分では、両方の側壁31cの間に底壁31eを備えている。底壁31eは、側壁31cから内側方向へ略垂直に折り曲げるようにして設けられている。これにより、端部31fが、吸気管の幅方向の中央で重なっている。図3(b)に示すごとくである。なお、図3(b)は、図3(a)中の記号Cで示す部分の拡大説明図である。すなわち、カートリッジ30は、その筒状側壁部分の一部に切り込みを有している。かかる構成により、カートリッジ30の幅方向における弾性変形が容易になっている。
【0018】
上記底壁31eに対応する部分に、側壁31cは、下流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部32を構成している(図2等参照)。軸受部32は、シャフト嵌合部21の軸部端21bを支持可能な深部が円弧状の切り欠きである。
【0019】
フランジ33は、側壁31c及び上壁31dの上流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。このフランジ33は、図3(a)に示すように、切り欠き33aによって区分される複数の鍔片33bで構成されている。また、鍔片33bには、その折り曲げ角度が90度よりも僅かに大きいものと僅かに小さいものとがあり、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられている。
【0020】
枠部材40は、図2に示すように、下流側に配置される前枠41及び上流側に配置される後枠42とから構成される。前枠41は、組付時においてカートリッジ30のフランジ33が収まる凹部41aを有している。また、凹部41aの内側には、カートリッジ30の本体部31の内側へ突出して嵌合する嵌合部41bを有している。この嵌合部41bは、カートリッジ30の本体部31に対してルーズ嵌合している。一方、後枠42は、前枠41に対応して突出する押さえ部42aを有している。この押さえ部42aの端面42bによって、前枠41が押さえ込まれる。
【0021】
次に、吸気制御装置1の組付時の構成を、さらに、詳しく説明する。図4は、吸気管11内部の吸気通路13に取り付けられた吸気制御装置1の正面図である。図5は、図4のV−V線概略断面図であり、図6は、図4のVI−VI線概略断面図である。
【0022】
まず、バルブユニット20は、上述したように、その軸部本体21aがシャフト12に支持される。これにより、バルブ22は、カートリッジ30の本体部31と共に、流路14を形成し、また、流路14の開口断面積を適宜変更可能となっている。例えば図6は、バルブユニット20の全開状態を示し、図7は、全閉状態を示す。
【0023】
このバルブユニット20に対して、上流側からカートリッジ30の軸受部32が、スライドする形で嵌合して支持される。このとき、カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。そして、この状態でカートリッジ30が吸気管11に取り付けられる。
【0024】
カートリッジ30は、上流側端部に立設されたフランジ33が前枠41の凹部41aに配置され、後枠42によって、吸気管11の段差部15との間に押さえ込まれる。このとき、前枠41から突出する嵌合部41bが、カートリッジ30の内側にルーズ嵌合する。
【0025】
以上詳述したように、本実施形態の吸気制御装置1では、カートリッジ30が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁31cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部21の軸部端21bを嵌合する。これによって、バルブ22の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。
【0026】
また、吸気管通路が温度等により変形したとしても、バルブ22側面が挟持されているため、干渉によってバルブ22の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。すなわち、カートリッジ30を弾性材料で形成することで、「バルブ22の側方の隙間を小さくすること」と「バルブ22の動作力増加を抑制すること」とを両立させたのである。結果として、バルブユニット20による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0027】
また、本実施形態では、側壁31cが下流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部32を構成している。かかる構成により、バルブユニット20に対し、上流側からカートリッジ30の軸受部32が、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、その後、バルブユニット20が取り付けられたカートリッジ30が吸気管11に組み付けられる。これによって、バルブユニット20の組付も容易になる。
【0028】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ30の上流側に近い部分には両方の側壁31cの間に底壁31eが設けられているが、底壁31eの端部31fが、吸気管の幅方向の中央で重なっている(図3(b)参照)。すなわち、カートリッジ30は、その筒状部分の一部に切り込みを有している。これによって、カートリッジ30の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。
【0029】
ところで、樹脂成形は、金属切削加工と比べて精度が落ちることが知られている。そのため、従来、強タンブルを求められるとバルブユニット20を樹脂で成形することは困難であった。これに対し本実施形態では、空気漏れの抑制にカートリッジ30の弾性変形を利用しているため、高精度の成形技術が要求されない。そのため、バルブユニット20を、樹脂にて成形し、かつ、強タンブルを発生させることが可能となる。
【0030】
また、本実施形態では、フランジ33が、本体部31の上流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。そして、切り欠き33aによって区分される複数の鍔片33bで構成されており、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられている。これによって、上流側端部に立設されたフランジ33を、吸気管11の段差部15との間に十分に押さえ込むことができ、カートリッジ30の位置決めが容易になり、ガタつきを防止することができる。
【0031】
さらに、折り曲げ角度の異なる鍔片33bが互い違いに並べられていることにより、前枠41の凹部41aには迷路構造が形成される。これによって、空気漏れを効果的に抑制することができる。またさらに、前枠41から突出する嵌合部41bがカートリッジ30の内側にルーズ嵌合しているため、フランジ33の切り欠き33aからの空気漏れを効果的に抑制することができる。
【0032】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態の吸気制御装置2が、吸気管11に配置された様子を示す正面図(下流側から見た図)である。また、図9は、図8のIX−IX線概略断面図であり、図10は、図8のX−X線概略断面図である。
【0033】
本実施形態において、「気流制御弁」としてのバルブユニット200は、上記実施形態と同様、「軸部」としてのシャフト嵌合部201及び「弁体」としてのバルブ202を有している。シャフト嵌合部201は、筒状に形成されており、シャフト12が内部に挿通する(図9参照)。つまり、「弁軸」としてのシャフト12によって支持されるようになっている。また、シャフト嵌合部201が、軸部本体201aと、軸部本体21aの端部に突出する軸部端201bとを有することも、上記実施形態と同様である。本実施形態においても、バルブユニット200は、樹脂材料にて形成されている。
【0034】
「筒状弾性部材」としてのカートリッジ300は、弾性を有する金属材料で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部301、軸受部302、及び、「鍔部」としてのフランジ303を有している。本体部301は、下流側から見ると、図8に示すように筒状となっている。
【0035】
本体部301は、両側の側壁301c、側壁301cの上端部を連結する上壁301d、及び、側壁301cの下端部が内側へ折り返されてなる底壁301eを有している。したがって、底壁301eは、その吸気管101の幅方向の中央で一部が重なっている(図9等参照)。すなわち、本実施形態においても、カートリッジ300は、その筒状側壁部分の一部に切り込みを有している。かかる構成により、カートリッジ300の幅方向における弾性変形が容易になっている。
【0036】
側壁301cは、上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部302を構成している。軸受部302は、シャフト嵌合部201の軸部端201bを支持可能な深部が円弧状の切り欠きである。フランジ303は、下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。さらに側壁301cには、上流側端部から下流側へ向かう2本の割り301gが形成されている。
【0037】
かかる構成により、バルブ202は、カートリッジ300の本体部301と共に、流路140を形成し、また、流路140の開口断面積を適宜変更可能となっている(図10参照)。このバルブユニット200は、上流側からカートリッジ300の軸受部302に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、バルブユニット200が嵌合された状態のカートリッジ300が下流側から吸気管101に取り付けられ、吸気管101とエンジンヘッドとでフランジ303が挟持される。
【0038】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。
すなわち、カートリッジ300が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁301cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部201の軸部端201bを嵌合する。これによって、バルブ202の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、干渉によってバルブ202の揺動の動作力が大幅に増加してしまうことが防止できる。結果として、バルブユニット200による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、側壁301cが上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部302を構成している。かかる構成により、バルブユニット200は、上流側からカートリッジ300の軸受部302に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、このようなカートリッジ300が吸気管101に取り付けられる。これによって、バルブユニット200の組付も容易になる。
【0040】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ300には両方の側壁301cの間に底壁301eが設けられているが、底壁301eの端部301fが、吸気管101の幅方向の中央で重なっている。これによって、カートリッジ300の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。なお、本実施形態においても、精度が要求されないため、バルブユニット200を、樹脂にて成形することができる。
【0041】
また、本実施形態では、フランジ303が、本体部301の下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。これによって、フランジ303を、吸気管101とエンジンヘッドとで十分に押さえ込むことができ、カートリッジ300の位置決めが容易になる。
【0042】
さらにまた、本実施形態では、カートリッジ300の本体部301の側壁301cに、上流側からの割り301gが設けられている。これによって、流路140の圧力により、側壁301cが外側へ弾性変形し、吸気管101の内壁に押し付けられるため、カートリッジ300のガタつきを、効果的に抑制することができる。
【0043】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態の吸気制御装置3が、吸気管111に配置された様子を示す正面図(下流側から見た図)である。また、図12は、図11のXII−XII線概略断面図である。
【0044】
本実施形態では、特に「筒状弾性部材」としてのカートリッジ310の構成に特徴を有する。そこで以下、カートリッジ310の構成について説明する。
カートリッジ310は、弾性を有する金属部材で形成されており、「筒状側壁部分」としての本体部311、軸受部312、及び、「鍔部」としてのフランジ313を有している。ここで特に、本体部311は、「第1部材」としての第1本体部311a及び「第2部材」としての第2本体部311bの2つの部材から構成されている。
【0045】
図13(a)に示すように、第1本体部311aは、内壁311c及び上壁311dを有している。そして、内壁311cに、軸受部312と割り311gとが設けられる。ただし、第1本体部311aは、底壁を有しておらず、断面視U字状となっている(図11参照)。上記実施形態における底壁31e、301eに代わるのが、第2本体部311bである。
【0046】
第2本体部311bは、図13(b)に示すように、弾性を有する金属材料からなる部材を折り曲げて形成されており、組付時に「気流制御弁」としてのバルブユニット200の下方に配置される底部311h及び底部311hから下流側へ向かって流路140を狭めるように傾斜する傾斜部311iを備えている。傾斜部311iの端部は、下方へ折り曲げられており、中央部分と側方部分とが異なる高さで底部311h側へさらに折り曲げられて、折り曲げ部311j、311kが形成されている。かかる構成により、第2本体部311bは、吸気管111の下流側端部に形成される被挟持部115を挟持するように取り付けられる。
【0047】
本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果が奏される。
すなわち、カートリッジ310が弾性を有する金属材料にて形成されているため、側壁311cが互いに近接するよう付勢された状態で、シャフト嵌合部201の軸部端201bを嵌合する。これによって、バルブ202の側方の隙間が小さくなって、この隙間から空気漏れが起きることを抑制できる。また、バルブ202の側方の干渉によってバルブ202の揺動の動作力が大幅に増加してしまうことを防ぐことができる。結果として、バルブユニット200による開口部以外の隙間からの空気漏れを可及的に抑制することができる。
【0048】
また、本実施形態では、側壁311cが上流側へ開口する切り欠きを有しており、この切り欠きが、軸受部312を構成している。かかる構成により、バルブユニット200は、上流側からカートリッジ310の軸受部312に対し、スライドする形で嵌合されて支持される。そして、このようなカートリッジ310が吸気管111に取り付けられる。これによって、バルブユニット200の組付も容易になる。
【0049】
さらにまた、本実施形態では、フランジ313が、第1本体部311aの下流側端部を外側へ折り曲げて形成されている。これによって、フランジ313を、吸気管111とエンジンヘッドとで十分に押さえ込むことができ、カートリッジ310の位置決めが容易になる。
【0050】
また、本実施形態では、カートリッジ310の第1本体部311aの側壁311cに、上流側からの割り311gが設けられている。これによって、流路140の圧力により、側壁311cが外側へ弾性変形し、吸気管111の内壁に押し付けられるため、カートリッジ310のガタつきを、効果的に抑制することができる。
【0051】
さらにまた、本実施形態では、第1本体部311aが、底壁を有しておらず、断面視U字状となっている(図11参照)。これによって、カートリッジ310の幅方向における弾性変形が容易になっており、上述した効果が際立つ。さらに、第2本体部311bは、底部311hから下流側へ向かって流路140を狭めるように傾斜する傾斜部311iを備えている。これによって、バルブユニット200のバルブ202の下方空間における空気漏れを抑制することができる。また、第2本体部311bの下流側には、折り曲げ部311j、311kが形成されており、2つの折り曲げ部311j、311kが吸気管111の被挟持部115を挟持する。これによって、第2本体部311bも容易に位置決めされることになる。
【0052】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は第1実施形態の筒状弾性部材の正面図であり、(b)は、(a)の記号Cで示す部分の拡大説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図5】図4のV−V線概略断面図である。
【図6】図4のVI−VI線概略断面図である。
【図7】気流制御弁が全閉となった状態を示す概略断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図9】図8のIX−IX線概略断面図である。
【図10】図8のX−X線概略断面図である。
【図11】本発明の第3実施形態の吸気制御装置を示す正面図である。
【図12】図11のXII−XII線概略断面図である。
【図13】第3実施形態の筒状弾性部材の本体部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3…吸気制御装置、11、101、111…吸気管、12…シャフト(弁軸)、13…吸気通路、14、140…流路、15…段差部、20、200…バルブユニット(気流制御弁)、21、201…シャフト嵌合部(軸部)、21a、201a…軸部本体、21b、201b…軸部端、22、202…バルブ(弁体)、30、300、310…カートリッジ(筒状弾性部材)、31、301、311…本体部(筒状側壁部分)、311a…第1本体部(第1部材)、311b…第2本体部(第2部材)、31a、31b…コーナー部、31c、301c、311c…側壁、31d、301d、311d…上壁、31e、301e…底壁、31f、301f…端部、311h…底部、311i…傾斜部、311i、311j…折り曲げ部、32、302、312…軸受部、33、303、313…フランジ(鍔部)、33a…切り欠き、33b…鍔片、40…枠部材、41…前枠、41a…凹部、41b…嵌合部、42…後枠、42a…押さえ部、42b…端面、115…被挟持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に空気を導入する吸気管内に設けられ、
前記空気の導入方向に垂直に前記吸気管内を横切るよう設けられる弁軸と、
前記弁軸に支持される軸部、及び、前記弁軸を回動中心として揺動可能に前記軸部から延びる弁体を有する気流制御弁と、
前記気流制御弁の弁体側面に対して弾性的に相互に近接するよう付勢力を有して前記気流制御弁を挟持する側壁を含んでなる筒状側壁部分と外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部とを有する筒状弾性部材と、を備え、前記吸気管の通路内壁と前記筒状弾性部材の側壁とが接触しないように、配置されていることを特徴とする吸気制御装置。
【請求項2】
前記筒状弾性部材は、前記筒状側壁部分の一部に、弾性変形を容易にする切り込みを有することを特徴とする請求項1に記載の吸気制御装置。
【請求項3】
前記気流制御弁は、樹脂にて成形されることを特徴とする請求項1または2に記載の吸気制御装置。
【請求項4】
前記鍔部は、切り欠きによって区分される鍔片で構成されており、当該鍔片の折り曲げ角度を変え、前記軸部又は前記弁軸に弾性的に相互に近接するような付勢力をもたせていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸気制御装置。
【請求項5】
前記吸気管内の段差部との間で前記鍔部を前記空気の導入方向へ押さえ込み、前記筒状側壁部分の内壁の内側へ突出して嵌合する嵌合部を有する枠部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の吸気制御装置。
【請求項6】
前記筒状弾性部材は、前記側壁を有する断面視U字状の第1部材と、当該第1部材の端部の間に配設されて第1部材と共に前記筒状側壁部分を形成する第2部材とを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸気制御装置。
【請求項1】
内燃機関の燃焼室に空気を導入する吸気管内に設けられ、
前記空気の導入方向に垂直に前記吸気管内を横切るよう設けられる弁軸と、
前記弁軸に支持される軸部、及び、前記弁軸を回動中心として揺動可能に前記軸部から延びる弁体を有する気流制御弁と、
前記気流制御弁の弁体側面に対して弾性的に相互に近接するよう付勢力を有して前記気流制御弁を挟持する側壁を含んでなる筒状側壁部分と外側へ向けて端縁部を折り曲げてなる鍔部とを有する筒状弾性部材と、を備え、前記吸気管の通路内壁と前記筒状弾性部材の側壁とが接触しないように、配置されていることを特徴とする吸気制御装置。
【請求項2】
前記筒状弾性部材は、前記筒状側壁部分の一部に、弾性変形を容易にする切り込みを有することを特徴とする請求項1に記載の吸気制御装置。
【請求項3】
前記気流制御弁は、樹脂にて成形されることを特徴とする請求項1または2に記載の吸気制御装置。
【請求項4】
前記鍔部は、切り欠きによって区分される鍔片で構成されており、当該鍔片の折り曲げ角度を変え、前記軸部又は前記弁軸に弾性的に相互に近接するような付勢力をもたせていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸気制御装置。
【請求項5】
前記吸気管内の段差部との間で前記鍔部を前記空気の導入方向へ押さえ込み、前記筒状側壁部分の内壁の内側へ突出して嵌合する嵌合部を有する枠部材を備えることを特徴とする請求項4に記載の吸気制御装置。
【請求項6】
前記筒状弾性部材は、前記側壁を有する断面視U字状の第1部材と、当該第1部材の端部の間に配設されて第1部材と共に前記筒状側壁部分を形成する第2部材とを有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸気制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−77924(P2010−77924A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248241(P2008−248241)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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