説明

内燃機関の廃熱利用システム及び該システムに使用するモータジェネレータ装置

【課題】作動流体を循環させて膨張機にて回転駆動力を発生可能なランキンサイクルを備え、膨張機の回転エネルギで内燃機関の駆動力を無駄なく効率よくアシスト可能であるとともに膨張機と内燃機関の回転駆動力により効率よく発電を行うことの可能な内燃機関の廃熱利用システム及び該システムに使用するモータジェネレータ装置を提供する。
【解決手段】モータジェネレータ(12)の内ロータ(16)及び外ロータ(18)のいずれか一方をランキン回路(40)の膨張機(48)に連結し、いずれか他方を内燃機関(2)の回転軸(7)に連結するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の廃熱利用システム及び該システムに使用するモータジェネレータ装置に係り、詳しくは、車両の内燃機関の廃熱を回収して利用するのに好適な廃熱利用システム及び該システムに使用するモータジェネレータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の廃熱利用システムは、作動流体としての冷媒の循環路に、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した高圧の作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機にて発生した回転駆動力が伝達される被動力伝達装置、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介装されたランキンサイクルを備えている。
【0003】
そして、例えば、ポンプと膨張機と被動力伝達装置としてのモータジェネレータとを同軸上に配し、ランキンサイクルの起動時にはモータジェネレータをモータとして機能させてポンプを回転させる一方、冷媒の循環によって膨張機が自発回転し始めたらモータジェネレータを発電機として機能させる流体機械が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−30386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示の技術では、モータジェネレータはモータとしてポンプを駆動させるとともに膨張機の駆動時には発電機として機能するよう構成されているが、夏季等の外気温が高い状況下では凝縮温度が上昇して膨張比が小さく、車両の必要とする電力を膨張機のみの回転力による発電機としてのモータジェネレータの発電だけでは十分に発電できないという問題がある。
【0006】
この場合、車両の必要とする電力を確保するためには、従来同様に別途内燃機関により駆動されるオルタネータを車両に設けることが考えられる。
しかしながら、一の車両にモータジェネレータと従来同様のオルタネータの二つの発電機を設けることは、余分に設置スペースを占有することになり、また重量やコストの増大に繋がり、好ましいことではない。
【0007】
一方、車両の高速走行時等のように凝縮器への通風量が多く、凝縮温度が低下して膨張比が大きくなるような場合には、モータジェネレータによる発電電力が余ってしまい、好ましいことではない。
そこで、例えば、被動力伝達装置を内燃機関とし、膨張機の回転駆動力を無端状のベルト等を介して直接内燃機関に伝達するとともに膨張機や内燃機関の回転駆動力を膨張機と同軸または別体に設けたオルタネータにも伝達する構成の廃熱利用システムが考えられる。
【0008】
このような構成にすれば、膨張機の回転駆動力を内燃機関に伝達可能であるとともに、オルタネータを一つ設けただけで膨張機の回転駆動力及び内燃機関の回転駆動力によって発電を行うことが可能である。
ところが、膨張機の回転駆動力を無端状のベルト等を介して直接内燃機関に伝達するようにすると、内燃機関と膨張機とが同一回転となるため、膨張機の回転駆動に対し内燃機関の回転速度が大きい場合には内燃機関が強制的に膨張機からの作動流体の吐出量を増大させてしまい、膨張機の上流側において作動流体を高圧に維持できず、膨張機の出力が低下するという問題が生じる。即ち、膨張機の回転駆動に対し内燃機関の回転速度が大きい場合には、膨張機の回転駆動力を内燃機関やオルタネータに良好に伝達できず、効率が悪いという問題がある。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、作動流体を循環させて膨張機にて回転駆動力を発生可能なランキンサイクルを備え、膨張機の回転エネルギで内燃機関の駆動力を無駄なく効率よくアシスト可能であるとともに膨張機と内燃機関の回転駆動力により効率よく発電を行うことの可能な内燃機関の廃熱利用システム及び該システムに使用するモータジェネレータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するべく、請求項1の内燃機関の廃熱利用システムは、作動流体の循環路に、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介装されたランキンサイクルと、ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータとを備え、少なくとも前記モータジェネレータと前記膨張機とは、前記モータジェネレータの前記内ロータ及び前記外ロータのいずれか一方のロータが前記膨張機の回転軸に連結され、いずれか他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項1において、前記他方のロータは、補機を直列または並列に介装して内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする。
請求項3の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項2において、さらに、冷媒の循環路に少なくとも内燃機関の回転駆動力により冷媒を圧縮する圧縮機が介装された冷凍サイクルを備え、前記補機は、前記圧縮機であることを特徴とする。
【0012】
請求項4の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項3において、前記圧縮機は、可変容量式圧縮機であり、該可変容量式圧縮機の圧縮容量を前記冷凍サイクルの作動状況に応じて可変制御する圧縮容量制御手段をさらに備えることを特徴とする。
請求項5の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項3または4において、内燃機関と前記圧縮機との間には、内燃機関の運転状態に応じて該圧縮機を介し内燃機関に伝達される前記モータジェネレータの回転駆動力の断接を行う断接クラッチを有することを特徴とする。
【0013】
請求項6の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項1乃至5のいずれかにおいて、前記膨張機及び前記ポンプは同軸にして一体に構成され、前記モータジェネレータと前記一体をなす膨張機及びポンプとは、前記一方のロータが前記一体をなす膨張機及びポンプの回転軸に連結され、前記他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項1乃至5のいずれかにおいて、さらに、前記膨張機の回転または内燃機関の回転により前記モータジェネレータが発電する発電電力を蓄電するバッテリを含む電力回収手段と、該バッテリの蓄電量に基づき電力回収度合いを制御するシステム制御手段とを備えたことを特徴とする。
請求項8の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項7において、前記電力回収手段は、前記ランキンサイクルの発生するランキン出力を検出するランキン出力検知手段と、前記バッテリの蓄電量を検出するバッテリ蓄電量検出手段と、前記モータジェネレータの前記一方のロータ及び前記他方のロータをそれぞれモータとジェネレータとに切り換えるモータジェネレータ出力可変手段とを備え、前記システム制御手段は、前記電力回収手段が要求するバッテリ要求電力を算出するバッテリ要求電力算出手段と、該バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力に応じて前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するモータジェネレータ制御手段とを含み、前記バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力が前記ランキン出力検知手段により検出されたランキン出力に相当する電力より大きいとき、前記モータジェネレータ制御手段により、前記他方のロータをジェネレータに切り換えるべく、バッテリ要求電力がランキン出力に相当する電力未満のとき、前記他方のロータをモータに切り換えるべく、前記モータジェネレータ出力可変手段を制御することを特徴とする。
【0015】
請求項9の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項8において、前記モータジェネレータ制御手段は、前記他方のロータをジェネレータに切り換えるときにはジェネレータ出力目標値に基づいて前記モータジェネレータを制御し、前記他方のロータをモータに切り換えるときにはモータ出力目標値に基づいて前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するものであって、前記ジェネレータ出力目標値及び前記モータ出力目標値は、それぞれ前記バッテリ要求電力と前記ランキン出力に相当する電力との差の絶対値に基づいて設定されることを特徴とする。
【0016】
請求項10の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項8または9において、さらに、前記ランキンサイクルの電動補機を備えるとともに、前記システム制御手段は、該ランキンサイクルの電動補機の入力電力を制御するランキンサイクル電動補機入力制御手段を含み、前記システム制御手段は、前記ランキン出力検知手段により検出されたランキン出力に相当する電力が少なくとも前記ランキンサイクルの電動補機の入力電力未満のとき、前記ランキンサイクル電動補機入力制御手段により前記ランキンサイクルの電動補機の駆動を停止し、ランキン出力に相当する電力が少なくとも前記ランキンサイクルの電動補機の入力電力より大きいとき、前記ランキンサイクル電動補機入力制御手段により前記ランキンサイクルの電動補機を駆動させることを特徴とする。
【0017】
請求項11の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項7乃至10のいずれかにおいて、前記膨張機及び前記ポンプは同軸にして一体に構成され、前記モータジェネレータと前記一体をなす膨張機及びポンプとは、前記一方のロータが前記一体をなす膨張機及びポンプの回転軸に連結され、前記他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする。
【0018】
請求項12の内燃機関の廃熱利用システムでは、請求項11において、前記モータジェネレータ制御手段は、前記一方のロータをモータまたはジェネレータに切り換えるべく前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するものであって、前記システム制御手段は、前記ランキン出力検知手段によりランキン出力が一定以上のときには、前記モータジェネレータ制御手段により、前記一方のロータをジェネレータに切り換えるべく、ランキン出力が一定未満のときには、前記モータジェネレータ制御手段により前記一方のロータをモータに切り換えるべく、前記モータジェネレータ出力可変手段を制御することを特徴とする。
【0019】
請求項13のモータジェネレータ装置は、作動流体の循環路に、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介装されたランキンサイクルを備えた内燃機関の廃熱利用システムに用いられるモータジェネレータ装置であって、ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータ機構部と、前記膨張機と、内燃機関の回転軸と連結する入出力軸とを備え、前記モータジェネレータ機構部の前記内ロータ及び前記外ロータのいずれか一方のロータが前記膨張機の回転軸に連結し、いずれか他方のロータが前記入出力軸に連結していることを特徴とする。
【0020】
請求項14のモータジェネレータ装置では、請求項13において、前記ランキンサイクルの前記ポンプが前記モータジェネレータ機構部と前記膨張機との間に配設されており、前記ポンプの駆動軸の一端が前記膨張機に連結し、他端が前記一方のロータに連結していることを特徴とする。
請求項15のモータジェネレータ装置では、請求項14において、前記ポンプと前記膨張機との間には、前記ポンプからの回転駆動力は前記膨張機に伝達せず、前記膨張機からの回転駆動力を前記ポンプに伝達するワンウェイクラッチが介装されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、ランキンサイクルを有したシステムにおいて、ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータを備え、モータジェネレータとランキンサイクルの膨張機とは、モータジェネレータの内ロータ及び外ロータのいずれか一方のロータが膨張機の回転軸に連結され、いずれか他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されるように構成されている。
【0022】
従って、廃熱利用システムをコンパクトに構成して省スペース化を図ることができるとともに、内燃機関の回転軸と膨張機とがモータジェネレータの各ロータと連結しているため、内燃機関の駆動力または膨張機の回転力を電力に変換でき、夏季等の外気温が高い状況下でも車両の必要とする電力をモータジェネレータで十分に発電できる。また、内燃機関の回転軸と膨張機とがモータジェネレータを介して連結されているため、内燃機関の駆動力による回転速度が膨張機の回転速度より大きい場合でも、膨張機は影響を受けず、膨張機の上流側において作動流体を高圧に維持でき、膨張機の回転エネルギによりモータジェネレータを介して内燃機関の駆動力をアシストできる。
【0023】
請求項2記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、モータジェネレータに補機が連結された場合であっても、省スペース化を図りながら、モータジェネレータで十分に発電でき、膨張機の回転エネルギによりモータジェネレータを介して内燃機関の駆動力をアシストできる。
請求項3記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、ランキンサイクルと冷凍サイクルとを有したシステムにおいて、モータジェネレータに冷凍サイクルの圧縮機が連結された場合であっても、省スペース化を図りながら、モータジェネレータで十分に発電でき、膨張機の回転エネルギによりモータジェネレータを介して内燃機関の駆動力をアシストできる。
【0024】
請求項4記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、圧縮機は、可変容量式圧縮機であり、圧縮容量制御手段により該可変容量式圧縮機の圧縮容量を冷凍サイクルの作動状況に応じて可変制御するので、冷凍サイクルの作動要求が小さい或いは無いような場合には、圧縮容量を低減或いはゼロとすることで圧縮機が不必要な負荷とならないようにでき、膨張機の回転エネルギによりモータジェネレータを介して内燃機関の駆動力をアシストできる。
【0025】
請求項5記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、例えば内燃機関のアイドリングストップ時において、断接クラッチを切断することにより、バッテリの蓄電電力によるモータジェネレータの駆動によって圧縮機を作動させ、冷凍サイクルひいてはエアコンを作動させることができる。
請求項6記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、膨張機の回転エネルギでポンプを駆動させることができるとともに、モータジェネレータのモータ機能により、ランキンサイクルの起動時に、ポンプを駆動させることが可能となり、作動流体を膨張機に良好に供給することができる。
【0026】
請求項7記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、膨張機の回転または内燃機関の回転によりモータジェネレータで発電した発電電力が電力回収手段により回収されてバッテリに蓄電され、システム制御手段によりバッテリの蓄電量ひいてはバッテリ要求電力に応じて電力回収度合いが制御されるので、モータジェネレータで発電した発電電力を効率よく回収し利用することができる。
【0027】
また、請求項8記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、電力回収手段は、ランキンサイクルの発生するランキン出力を検出するランキン出力検知手段と、バッテリの蓄電量を検出するバッテリ蓄電量検出手段と、モータジェネレータの一方のロータ及び他方のロータをそれぞれモータとジェネレータとに切り換えるモータジェネレータ出力可変手段とを備え、システム制御手段は、電力回収手段が要求するバッテリ要求電力を算出するバッテリ要求電力算出手段と、該バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力に応じてモータジェネレータ出力可変手段を制御するモータジェネレータ制御手段とを含み、バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力がランキン出力検知手段により検出されたランキン出力に相当する電力より大きいとき、モータジェネレータ制御手段により、他方のロータをジェネレータに切り換えるべく、バッテリ要求電力がランキン出力に相当する電力未満のとき、他方のロータをモータに切り換えるべく、モータジェネレータ出力可変手段を制御するので、バッテリ要求電力と例えばランキン出力に相当するモータジェネレータで発電した発電電力とに基づいてモータジェネレータを効率よくジェネレータとモータとに切り換えるようにできる。
【0028】
また、請求項9記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、ジェネレータ出力目標値及びモータ出力目標値をそれぞれバッテリ要求電力とランキン出力に相当する電力との差の絶対値に基づいて設定し、他方のロータをジェネレータに切り換えたときにはジェネレータ出力目標値に基づいてモータジェネレータを制御し、他方のロータをモータに切り換えたときにはモータ出力目標値に基づいてモータジェネレータを制御するので、他方のロータを適正にジェネレータ或いはモータとして作動させることができる。
【0029】
また、請求項10記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、ランキン出力に相当する電力が少なくとも凝縮器を空冷するランキンサイクルの電動補機の入力電力未満のとき、ランキンサイクルの電動補機の駆動を停止し、ランキン出力に相当する電力が少なくともランキンサイクルの電動補機の入力電力より大きいとき、ランキンサイクルの電動補機を駆動させるので、ランキンサイクルにおけるエネルギロスを防止することができる。
【0030】
請求項11記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、システム制御手段によりモータジェネレータで発電した発電電力を効率よく回収し利用しつつ、膨張機の回転エネルギでポンプを駆動させることができるとともに、モータジェネレータのモータ機能により、ランキンサイクルの起動時に、ポンプを駆動させることが可能となり、作動流体を膨張機に良好に供給することができる。
【0031】
請求項12記載の内燃機関の廃熱利用システムによれば、ランキン出力が一定以上のときには一方のロータをジェネレータに切り換え、ランキン出力が一定未満のときには一方のロータをモータに切り換えるので、ポンプを必要最小限の入力で自立駆動させることができ、作動流体を膨張機に良好に供給してランキンサイクルを起動することができる。
請求項13のモータジェネレータ装置によれば、ランキンサイクルを備えた内燃機関の廃熱利用システムに用いられるモータジェネレータ装置であって、ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータ機構部と、膨張機と、内燃機関の回転軸と連結する入出力軸とを備え、モータジェネレータ機構部の内ロータ及び外ロータのいずれか一方のロータが膨張機の回転軸に連結し、いずれか他方のロータが入出力軸に連結している。
【0032】
従って、モータジェネレータ装置をコンパクトに構成して省スペース化を図ることができるとともに、入出力軸と膨張機とがモータジェネレータ機構部の各ロータと連結しているため、内燃機関の駆動力または膨張機の回転力を電力に変換でき、夏季等の外気温が高い状況下でも車両の必要とする電力をモータジェネレータ機構部で十分に発電できる。また、入出力軸と膨張機とがモータジェネレータ機構部を介して連結されているため、内燃機関の駆動力による回転速度が膨張機の回転速度より大きい場合でも、膨張機は影響を受けず、膨張機の上流側において作動流体を高圧に維持でき、膨張機の回転エネルギによりモータジェネレータ機構部を介して内燃機関の駆動力をアシストできる。
【0033】
請求項14記載のモータジェネレータ装置によれば、膨張機の回転エネルギでポンプを駆動させることができるとともに、モータジェネレータ機構部のモータ機能により、ランキンサイクルの起動時に、ポンプを駆動させることが可能となり、作動流体を膨張機に良好に供給することができる。
請求項15記載のモータジェネレータ装置によれば、モータジェネレータ機構部のモータ機能によってポンプが駆動するとき、膨張機が不必要にモータジェネレータ機構部の負荷とならないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを示す模式図である。
【図4】ポンプ及び膨張機を一体化した流体機械の縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを示す模式図である。
【図7】圧縮機の縦断面図である。
【図8】本発明の第4実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面により本発明の一実施形態について説明する。
先ず、第1実施例を説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを模式的に示した図である。
廃熱利用システム1は、例えば車両に搭載され、エンジン(内燃機関)2、電力回収回路10、冷却水回路30、ランキン回路(ランキンサイクル)40から構成されている。
【0036】
電力回収回路(電力回収手段)10は、モータジェネレータ12のジェネレータ機能による電力をバッテリ(蓄電池)11に回収するとともに、モータジェネレータ12の有する膨張機側ロータ及び出力側ロータのうち膨張機側ロータの発電電力とバッテリの蓄電量(SOC)を検知する電気回路である(ランキン出力検知手段、バッテリ蓄電量(SOC)検知手段)。電力回収回路10は、さらに、モータジェネレータ12の上記各ロータをモータとジェネレータとに切り換えることも可能で、各モータ出力と各ジェネレータ負荷とを変えることができる(モータジェネレータ出力可変手段)。なお、電力回収回路10にて回収された電力は、例えば車両の各種電気機器の駆動電力として利用される。
【0037】
電力回収回路10は電子コントロールユニット(システム制御手段)(ECU)150に接続されており、ECU150は、例えば蓄電量(SOC)の増減の変化に基づきバッテリ要求電力量を算出し(バッテリ要求電力算出手段)、電力回収回路10を通じてモータジェネレータ12の各ロータをモータとジェネレータとに切り換えつつバッテリ11への電力回収度合い等を適宜制御する(モータジェネレータ制御手段)。また、ECU150は、後述するランキン回路40の電動補機である電動ポンプ49や電動ファン43aをも適宜制御する(ランキンサイクル電動補機入力制御手段)。これにより、電力回収回路10は、モータジェネレータ12で発電した発電電力を効率よく回収し利用することができる。
【0038】
モータジェネレータ(モータジェネレータ機構部)12は、図1に示すように、ステータ14の内側に内ロータ(一方のロータ)16を有するとともに外側に外ロータ(他方のロータ)18を有し、回転軸15と回転軸17とが互いに逆方向に延び、内ロータ16に回転軸15が連結され、外ロータ18に回転軸17が連結されて構成されている。
このように構成されたモータジェネレータ12は、ステータ14に流す複合電流と回転軸15による内ロータ16の回転と回転軸17による外ロータ18の回転に応じて上記ジェネレータ機能のみならずモータ機能をそれぞれ内ロータ16及び外ロータ18に自在に発揮することが可能である。なお、モータジェネレータ12の構造の詳細については特開平11−275826号公報等で公知であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
冷却水回路30は、エンジン2の冷却水通路に連通された冷却水の循環路32に、冷却水の流れ方向で視て順に、冷却水熱交換器(蒸発器)34、何れも図示しないラジエータ、サーモスタット、水ポンプなどが介装されて閉回路を構成し、エンジン2を冷却している。
ランキン回路40は、作動流体の循環路42に、作動流体の流れ方向で視て順に、上記冷却水熱交換器34、排ガス熱交換器41、冷却水熱交換器34や排ガス熱交換器41にて加熱され過熱状態となる作動流体の膨張によって回転駆動力を発生する膨張機48、ランキンコンデンサ(凝縮器)43、電動ポンプ(ランキンサイクルの電動補機)49などが介装されて閉回路を構成し、冷却水熱交換器34で冷却水回路30を循環する冷却水との間で熱交換を行うとともに排ガス熱交換器41でエンジン2の排気管3を流れる排ガスとの間で熱交換を行うことでエンジン2の廃熱を回収している。なお、電動ポンプ49はECU150に接続されている。
【0040】
膨張機48は、スクロール型膨張機であり、ハウジング内にスクロールユニットを収容して構成されている。
そして、これらモータジェネレータ12及びランキン回路40の膨張機48は、図1に示すように、モータジェネレータ12の回転軸15が膨張機48の回転軸45に同軸回転可能に連結されている。一方、回転軸25のプーリ26とエンジン2のクランクシャフト7のプーリ8とには無端状のベルト9が掛け回されており、モータジェネレータ12の回転軸17は回転軸(入出力軸)25及びプーリ26を介してエンジン2のクランクシャフト7に同期回転可能に連結されている。
【0041】
ここに、モータジェネレータ12、膨張機48及び回転軸25からモータジェネレータ装置が構成される。
また、図1に示すように、エンジン2のクランクシャフト7とプーリ8との間には断接クラッチ6が介装されており、断接クラッチ6はECU150に接続されている。
また、ランキンコンデンサ43には、ランキンコンデンサ43を空冷する電動ファン(ランキンサイクルの電動補機)43aが設けられており、電動ファン43aもECU150に接続されている。
【0042】
以下、このように構成された本発明の第1実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムの作用について説明する。
上述したように、本発明に係る内燃機関の廃熱利用システムでは、モータジェネレータ12はステータ14に流す複合電流と回転軸15による内ロータ16の回転と回転軸17による外ロータ18の回転に応じてジェネレータ機能とモータ機能を自在に発揮することが可能である。ここで、外ロータ18がジェネレータ機能及びモータ機能のいずれを発揮するかは、主として膨張機48にて発生する回転駆動力によるモータジェネレータ12、即ち内ロータ16の回転による発電電力量(ランキン出力)とECU15にて算出されるバッテリ要求電力とに依存している。
【0043】
図2を参照すると、ECU150の実行する本発明の第1実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに基づき、第1実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御、ひいてはモータジェネレータ12のジェネレータ機能及びモータ機能の切換制御について詳しく説明する。
ステップS10では、ランキン出力がランキン回路40の電動補機である電動ファン43a及び電動ポンプ49の入力よりも大きいか否かを判別する。実際には、モータジェネレータ12から電力回収回路10を介して検出されるランキン出力に相当する発電電力、例えば膨張機48による内ロータ16の発電電力量が、車速や外気温等の情報に基づいて決定される電動ファン43aの入力電力及び電動ポンプ49の入力電力よりも大きいか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS12に進み、電動ファン43a及び電動ポンプ49を駆動してステップS18に進む。一方、判別結果が偽(No)の場合には、ステップS14に進み、電動ファン43a及び電動ポンプ49を停止してステップS18に進む。
【0044】
即ち、ランキン出力が電動ファン43aの入力及び電動ポンプ49の入力未満である場合には、ランキン回路40においてランキン出力よりも電動ファン43aの入力及び電動ポンプ49の入力の方が大きく、エネルギロスが発生していることから、電動ファン43a及び電動ポンプ49を停止する。これによりランキン回路40におけるエネルギロスを防止することができる。
【0045】
ステップS18では、膨張機側ロータである内ロータ16をジェネレータとして作動させるべくステータ14に流す複合電流の特性を変更して電力回収回路10に膨張機側ロータジェネレータ指令を行う。即ち、電力回収回路10は内ロータ16がモータ回路である場合はジェネレータ回路に電気回路を切り換える。この際、膨張機48の回転駆動力が最適になるようモータジェネレータ12の負荷を制御する。具体的には、流れる電流の量を調整する。
【0046】
ステップS20では、ECU15にて算出されるバッテリ要求電力が上記ランキン出力に相当する電力、例えば膨張機48による内ロータ16の発電電力量より大きいか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS22に進み、出力側ロータである外ロータ18をジェネレータとして作動させるべく出力側ロータジェネレータ指令を行う。
【0047】
例えば、エンジン2の冷態始動時等にあっては、エンジン2が未だ暖機しておらず、膨張機48にて回転駆動力を発生させることができず、膨張機48の回転駆動力では内ロータ16が回転することなく発電を行うことができない。或いは、膨張機48の回転駆動力で内ロータ16により発電を行うことが可能であっても、ECU15にて算出されるバッテリ要求電力が膨張機48による内ロータ16の発電電力量よりも大きい場合には、内ロータ16の発電電力量だけではバッテリ要求電力を満たすことができない。
【0048】
故に、このような状況において、バッテリ要求電力があり、バッテリ要求電力が膨張機48による内ロータ16の発電電力量より大きいときには、回転軸25を介しエンジン2の駆動力でモータジェネレータ12の外ロータ18を回転させて発電を行う。或いは、不足分をエンジン2の駆動力で外ロータ18を回転させて発電を行うことで補うようにする。
【0049】
具体的には、ステップS24において、バッテリ要求電力とランキン出力に相当する電力との差の絶対値としてジェネレータ出力目標値を設定し、外ロータ18によるジェネレータとしての出力がジェネレータ出力目標値となるようステータ14に流す複合電流の特性を変更して外ロータ18をジェネレータとして作動させる。これにより、外ロータ18を適正にジェネレータとして作動させることができる。
【0050】
一方、ステップS20の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS26に進み、出力側ロータである外ロータ18をモータとして作動させるべく出力側ロータモータ指令を行う。
ECU15にて算出されるバッテリ要求電力が膨張機48による内ロータ16の発電電力量よりも小さい場合には、内ロータ16の発電電力量だけでバッテリ要求電力を満たすことが可能である。そして、この際、バッテリ要求電力に対し内ロータ16の発電電力量に余剰電力が発生することになるが、この余剰電力を用いて外ロータ18を回転させることができる。
【0051】
従って、バッテリ要求電力がランキン出力に相当する電力未満であるとき、例えば膨張機48による内ロータ16の発電電力量がバッテリ要求電力以上であるときには、膨張機48の回転エネルギによってエンジン2の回転駆動力をアシストする。
具体的には、ステップS28において、バッテリ要求電力とランキン出力に相当する電力との差の絶対値としてモータ出力目標値を設定し、外ロータ18によるモータとしての出力がモータ出力目標値となるようステータ14に流す複合電流の特性を変更して外ロータ18をモータとして作動させる。これにより、外ロータ18を適正にモータとして作動させることができる。
【0052】
このように、本発明に係る内燃機関の廃熱利用システムでは、ランキン回路40の膨張機48と内ロータ16と外ロータ18とを有するモータジェネレータ12とを、モータジェネレータ12がエンジン2のプーリ8と膨張機48との間に直列に位置するように連結し、エンジン2のプーリ8とプーリ26とに無端状のベルト9を掛け回すようにし、ランキン回路40のランキン出力に応じてモータジェネレータ12をジェネレータ或いはモータとして機能させるようにしている。
【0053】
従って、別途オルタネータを設けることなく、これらモータジェネレータ12、膨張機48及び回転軸25(モータジェネレータ装置)をコンパクトに構成し、膨張機48の回転駆動力の不足分をエンジン2の回転駆動力で補いつつモータジェネレータ12をオルタネータとして使用したり、或いは内ロータ16の回転による発電電力量に応じて容易にして無駄なく効率よく膨張機48の回転エネルギでエンジン2の回転駆動力をアシストしたりすることができる。例えば、夏季等の外気温が高い状況下でも車両の必要とする電力をモータジェネレータ12で十分に発電でき、また、エンジン2の駆動力による回転速度が膨張機48の回転速度より大きい場合でも、膨張機48に影響を及ぼすことなく膨張機48の上流側において作動流体を高圧に維持でき、膨張機48の回転エネルギによりモータジェネレータ12を介してエンジン2の駆動力をアシストすることができる。
【0054】
これにより、本発明に係る内燃機関の廃熱利用システムによれば、省スペース化を図りながら、モータジェネレータ12による発電と膨張機48の回転エネルギによるエンジン2の駆動力のアシストとを効率よく両立することができる。
次に、第2実施例を説明する。
図3は、本発明の第2実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを模式的に示した図である。
【0055】
第2実施例では、ランキン回路40に作動流体を循環させるポンプと膨張機とを同軸回転可能にした点が第1実施例と異なっており、以下、上記第1実施例と異なる部分について説明する。
図3に示すように、ランキン回路40のポンプ46は、冷却水熱交換器34とランキンコンデンサ43との間に介装されており、ポンプ46と膨張機48とは同軸回転可能に流体機械44として一体に構成されている。
【0056】
図4を参照すると、流体機械44の縦断面図が示されており、以下流体機械44の構成についてより詳しく説明する。
ポンプ46は、作動流体を循環路42に循環させるべく回転軸45により回転駆動される例えば可変容量式ポンプであり、回転軸45により回転可能に配設されている。
膨張機48は、上記第1実施例と同様のスクロール型膨張機であり、ハウジング47内にスクロールユニットを収容して構成されている。
【0057】
スクロールユニットは、固定スクロール90と、固定スクロール90に対して公転旋回運動する可動スクロール92とから構成されている。
可動スクロール92の固定スクロール90と反対側の背面にはボス部94が形成され、ボス部94内にはラジアルベアリング95を介して偏心ブッシュ96が挿入されている。
偏心ブッシュ96には、クランクピン98が挿入され、クランクピン98は回転軸45のスクロールユニット側の端部に軸心から偏心した位置で連結されており、これにより可動スクロール92は自転することなく公転旋回運動する。
【0058】
また、回転軸45のスクロールユニット側の端部とクランクピン98とは、膨張機48の可動スクロール92の回転は回転軸45に伝達される一方で逆は伝達されないワンウェイクラッチ100を介して連結されている。故に、回転軸45の回転速度が可動スクロール92の旋回速度よりも速い場合には回転軸45の回転は可動スクロール92、即ち膨張機48には伝達されず、可動スクロール92の旋回速度が回転軸45の回転速度よりも速い場合にのみ可動スクロール92、即ち膨張機48側から回転軸45に回転が伝達される。
【0059】
これより、ランキン回路40では、作動流体がポンプ46から冷却水熱交換器34、排ガス熱交換器41、膨張機48、ランキンコンデンサ43を経てポンプ46に戻るようにして循環路42を循環し、作動流体の膨張によって膨張機48において回転駆動力が発生する。
このように、第2実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムでは、ランキン回路40に作動流体を循環させるポンプ46と膨張機48とを流体機械44として一体に設けている。
【0060】
ここに、第2実施例では、モータジェネレータ12、ポンプ46、膨張機48及び回転軸25からモータジェネレータ装置が構成される。
図5を参照すると、ECU150の実行する本発明の第2実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下同フローチャートに基づき第2実施例に係る廃熱利用システムのシステム制御、ひいてはモータジェネレータ12のジェネレータ機能及びモータ機能の切換制御について詳しく説明する。
【0061】
第2実施例ではポンプ46は膨張機48と一体に構成されていることから、ランキン回路40の電動補機は電動ファン43aのみである。故に、ステップS10’では、ランキン出力が電動ファン43aの入力よりも大きいか否かを判別する。実際には、モータジェネレータ12から電力回収回路10を介して検出されるランキン出力に相当する電力、例えばポンプ46を駆動させた上での膨張機48による内ロータ16の発電電力量が、車速や外気温等の情報に基づいて決定される電動ファン43aの入力電力よりも大きいか否かを判別する。判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS12’に進み、電動ファン43aを駆動してステップS16に進む。一方、判別結果が偽(No)の場合には、ステップS14’に進み、電動ファン43aを停止してステップS18に進む。
【0062】
即ち、ランキン出力が電動ファン43aの入力未満である場合には、ランキン回路40においてランキン出力よりも電動ファン43aの入力の方が大きく、エネルギロスが発生していることから、電動ファン43aを停止する。これによりランキン回路40におけるエネルギロスを防止することができる。
次のステップS16では、ランキン回路40が自立作動できるか否か、つまりポンプ側ロータが外部入力なしで作動できるか否かを判別する。即ち、膨張機48にて回転駆動力が発生しており、ポンプ側ロータである内ロータ16が回転して発電を行っているか否かを判別する。具体的には、内ロータ16がジェネレータとして機能しているときには内ロータ16の発電による出力電流が一定以上あるか否かに基づいて、または内ロータ16がモータとして機能しているときには内ロータ16を膨張機48がアシストして内ロータ16を作動させるモータ電流が所定値以下(内ロータ16の発電による出力電流が一定以上と同義)になったか否かに基づいてランキン回路40が自立作動できるか否かを判別する。
【0063】
ステップS16の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS18に進み、ポンプ側ロータである内ロータ16をジェネレータとして作動させるべくステータ14に流す複合電流の特性を変更して電力回収回路10にポンプ側ロータジェネレータ指令を行う。即ち、電力回収回路10は内ロータ16がモータ回路である場合はジェネレータ回路に電気回路を切り換える。この際、膨張機48の回転駆動力が最適になるようモータジェネレータ12の負荷を制御する。具体的には、流れる電流の量を調節する。
【0064】
一方、ステップS16の判別結果が偽(No)の場合には、ステップS19に進み、ポンプ側ロータである内ロータ16をモータとして作動させるべくステータ14に流す複合電流の特性を変更してポンプ側ロータモータ指令を行う。即ち、第2実施例ではポンプ46は膨張機48と一体に構成されていることから、ランキン回路40が自立作動していない場合には、モータジェネレータ12の内ロータ16をモータとして機能させてポンプ46をモータジェネレータ12で作動させるようにする。
【0065】
これにより、ランキン回路40の起動時に、モータジェネレータ12でポンプ46を作動させ、作動流体を循環路42内で循環させるようにできる。
ステップS20では、上記第1実施例と同様、ECU15にて算出されるバッテリ要求電力が上記ランキン出力に相当する電力、例えば膨張機48による内ロータ16の発電電力量より大きいか否かを判別する。ステップS20の判別結果が真(Yes)の場合には、ステップS22に進み、出力側ロータである外ロータ18をジェネレータとして作動させるべくステータ14に流す複合電流の特性を変更して出力側ロータジェネレータ指令を行う一方、判別結果が偽(No)の場合には、ステップS26に進み、出力側ロータである外ロータ18をモータとして作動させるべくステータ14に流す複合電流の特性を変更して出力側ロータモータ指令を行う。
【0066】
このように、本発明の第2実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムによれば、ランキン回路40にポンプ46を設けた場合であっても、上記第1実施例と同様、省スペース化を図りながら、モータジェネレータ12による発電と膨張機48の回転エネルギによるエンジン2の駆動力のアシストとを効率よく両立することができる。
また、モータジェネレータ12は外ロータ18による発電電力の一部によってステータ14を介し内ロータ16にモータ機能を発揮させることが可能であることから、特に第2実施例では、内ロータ16に生じた回転駆動力で流体機械44のポンプ46を強制作動させることが可能である。これにより作動流体を循環路42内で循環させ、作動流体を膨張機48に良好に供給してランキン回路40を起動することができる。例えば、ランキン回路40の起動時に、内ロータ16をモータとして作動させてポンプ46を駆動させることが可能となり、作動流体を膨張機48に良好に供給してランキン回路40を起動することができる。
【0067】
なお、ポンプ46を強制作動させる際、回転軸45と膨張機48のクランクピン98とに間にはワンウェイクラッチ100が介装されているので、膨張機48については不必要にモータジェネレータ12の負荷になることはない。
次に、第3実施例を説明する。
図6は、本発明の第3実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを模式的に示した図である。
【0068】
第3実施例では、さらにエアコン回路(冷凍サイクル)20を備え、エアコン回路20の圧縮機(コンプレッサ)24をモータジェネレータ12に連結した点が第2実施例と異なっており、以下、上記第2実施例と異なる部分について説明する。
同図に示すように、これらエアコン回路20の圧縮機24、モータジェネレータ12、及びランキン回路40のポンプ46と膨張機48とを一体化した流体機械44は、モータジェネレータ12の回転軸15が流体機械44の回転軸45に同軸回転可能に連結される一方、モータジェネレータ12の回転軸17が圧縮機24の回転軸25に同軸回転可能に連結されて構成されている。そして、回転軸25のプーリ26とエンジン2のクランクシャフト7のプーリ8とに無端状のベルト9が掛け回されている。
【0069】
エアコン回路20は、冷媒の循環路22に、冷媒の流れ方向で視て順に、圧縮機(コンプレッサ)24、何れも図示しないエアコンコンデンサ、気液分離器、膨張弁、エバポレータなどが介装されて閉回路を構成しており、当該エバポレータに車室内の空気を通風して冷媒との間で熱交換させることにより、例えば車両の車室内の空調を行っている。
ここに、圧縮機24は、主として無端状のベルト9及びプーリ26を介して回転軸25に伝達されたエンジン2の回転駆動力により駆動され、上記エバポレータにて蒸発した冷媒を圧縮して過熱蒸気の状態にする。そして、圧縮機24から吐出される冷媒は、上記エアコンコンデンサにて凝縮液化され、当該液化した液冷媒は上記気液分離器を経て上記膨張弁にて膨張された後に上記エバポレータに向けて送出される。
【0070】
図7を参照すると、圧縮機24の縦断面図が示されており、以下圧縮機24の構成についてより詳しく説明する。
同図に示すように、圧縮機24には回転軸25が貫通しており、回転軸25の一端にプーリ26が取り付けられている。
圧縮機24は、可変容量型斜板圧縮機であり、ハウジング50の一端にシリンダブロック52、バルブプレート54及びシリンダヘッド56がこの順序で気密に配設されて構成されている。そして、ハウジング50とシリンダブロック52との間にはクランク室58が形成されている。
【0071】
シリンダヘッド56には、吸入ポート及び吐出ポートが形成され、シリンダヘッド56の内部には、吸入ポート又は吐出ポートに連通する吸入室60及び吐出室62が形成されている。
吸入室60は、吸入リード弁(図示せず)を介してシリンダブロック52の各シリンダボア64に連通しており、吐出室62は、吐出リード弁63を介して各シリンダボア64に連通している。なお、吐出室62は、図示しないものの、連通路を通じてクランク室58と連通し、この連通路には電磁弁が配置されている。この電磁弁は、ECU150に電気的に接続され、ECU150の制御により開閉作動し、吐出室62とクランク室58とを断続的に連通可能である。
【0072】
シリンダブロック52の各シリンダボア64内には、クランク室58側からピストン66が往復動自在に挿入され、ピストン66のテール部は、クランク室58内に突出している。
一方、回転軸25は、クランク室58、シリンダブロック52、バルブプレート54及びシリンダヘッド56を貫通し、2つのラジアルベアリング27、28を介してハウジング50及びシリンダブロック52に回転自在に支持されている。なお、回転軸25には、ラジアルベアリング27よりもプーリ26側に位置してリップシール29が取り付けられている。
【0073】
回転軸25と上記ピストン66のテール部との間には、回転軸25の回転運動をピストン66の往復運動に変換するための変換機構が設けられている。
変換機構として、先ず回転軸25には円盤状のロータ70が固定され、ロータ70とハウジング50との間にはスラストベアリング72が配置されている。
そして、回転軸25のロータ70とシリンダブロック52との間の部分には、円筒状の斜板ボス74が外嵌され、斜板ボス74はヒンジ76を介してロータ70に連結されている。詳しくは、斜板ボス74の内周面は球状の凹面をなしており、斜板ボス74は、回転軸25に摺動自在に外嵌されたスリーブ78の球状の外周面に摺接している。即ち、斜板ボス74は、回転軸25に対して傾動可能であるとともに、回転軸25と一体に回転可能である。また、スリーブ78とロータ70との間には回転軸25に外嵌されて圧縮コイルばね79が配設されている。
【0074】
斜板ボス74には円環状の斜板80が嵌合され一体に回転可能に固定され、斜板80の外周部はピストン66のテール部に形成された凹所内に位置付けられている。各テール部の凹所にはピストン66の軸線方向に離間した一対の球面座が形成され、球面座に配置された一対の半球状のシュー82が、斜板80を厚さ方向両側から挟むように斜板80の外周部に摺接している。
【0075】
これにより、圧縮機24では、回転軸25が回転すると、回転運動が変換機構、即ちロータ70、ヒンジ76、斜板ボス74、斜板80及びシュー82を介してピストン66の往復運動に変換される。そして、各ピストン66の往復運動により、吸入室60内の冷媒が吸入リード弁を介してシリンダボア64に吸入されてシリンダボア64内で圧縮され、圧縮された冷媒が吐出リード弁63、吐出室62を経て循環路22に吐出される。
【0076】
このとき、圧縮機24から吐出される冷媒の吐出量は、ECU150による上記電磁弁の開閉によりクランク室58内の圧力(背圧)が昇降することに伴って変化する。詳しくは、ピストン66に作用する圧縮反力、背圧及び斜板80に作用する圧縮コイルばね79の付勢力のバランスの変化に応じて斜板80が傾動し、各ピストン66のストローク長が増減することで冷媒の吐出容量(圧縮容量)が増減変化する(圧縮容量制御手段)。
【0077】
従って、例えばエアコン回路20を作動させる必要がない場合やエアコン回路20の出力を抑えたいような場合であってエアコン回路20の作動要求が小さい或いは無いような場合には、上記電磁弁の開度により背圧を上昇させることで斜板80の傾斜度合いを小さくし、冷媒の吐出容量を低減することで、圧縮機24の作動を制限可能である。
このように、本発明の第3実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムでは、エアコン回路20の圧縮機24、内ロータ16と外ロータ18とを有するモータジェネレータ12及びランキン回路40のポンプ46と膨張機48とを一体化した流体機械44を、モータジェネレータ12の回転軸15が流体機械44の回転軸45に同軸回転可能に連結される一方、モータジェネレータ12の回転軸17が圧縮機24の回転軸25に同軸回転可能に連結されるように構成している。
【0078】
なお、廃熱利用システムのシステム制御ルーチンについては、第3実施例においても上記図5のフローチャートがそのまま適用される。
従って、本発明の第3実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムによれば、エアコン回路20の圧縮機24を設ける場合であっても、上記同様、別途オルタネータを設けることなく、省スペース化を図りながら、これら圧縮機24、モータジェネレータ12及び流体機械44をコンパクトに構成し、膨張機48の回転駆動力の不足分をエンジン2の回転駆動力で補いつつモータジェネレータ12をオルタネータとして使用したり、或いは内ロータ16の回転による発電電力量に応じて容易にして無駄なく効率よく膨張機48の回転エネルギで圧縮機24やエンジン2の回転駆動力をアシストしたりすることができ、モータジェネレータ12による発電と膨張機48の回転エネルギによるエンジン2の駆動力のアシストとを効率よく両立することができる。
【0079】
また、圧縮機24を可変容量型斜板圧縮機としたことで、エアコン回路20の作動要求が小さい或いは無いような場合には、圧縮機24が不必要に負荷とならないようにでき、膨張機48の回転エネルギでエンジン2の回転駆動力を良好にアシストすることができる。
この際、圧縮機24は可変容量型斜板圧縮機であり、圧縮機24の吐出容量をエアコン回路20の作動状況に応じて可変制御するので、エアコン回路20の作動要求が小さい或いは無いような場合には、圧縮機24の吐出容量を低減或いはゼロとして圧縮機24の作動を制限して負荷とならないようにでき、膨張機48の回転エネルギでエンジン2の回転駆動力を良好にアシストすることができる。
【0080】
なお、ここではポンプ46と膨張機48とを一体化した流体機械44を備えた第2実施例の構成にエアコン回路20の圧縮機24を付加しているが、ポンプ46を有さない膨張機48のみからなる第1実施例の構成に圧縮機24を付加するようにしてもよい。
また、例えばエンジン2のアイドリングストップ時においては、断接クラッチ6を切断するようにし、圧縮機24を介してエンジン2に伝達されるモータジェネレータ12の回転駆動力を遮断するようにする。
【0081】
このようにアイドリングストップ時において断接クラッチ6を切断することにより、アイドリングストップ時であってエンジン2が一時停止している場合であっても、バッテリ11の蓄電電力によってモータジェネレータ12を駆動させ、圧縮機24を作動させることができ、エアコン回路20を良好に作動させることができる。
なお、本実施例では、圧縮機24がモータジェネレータ12に直列に連結されているが、例えば、図1、図3の構成であって圧縮機24がプーリ26と並列に連結またはベルト9に接して駆動されていてもよく、これにより、例えばアイドルストップ時において、断接クラッチ6を切断することにより、バッテリ11の蓄電電力によってモータジェネレータ12を駆動させ、圧縮機24を作動させることができ、エアコン回路20を良好に作動させることができる。
【0082】
次に、第4実施例を説明する。
図8は、本発明の第4実施例に係る内燃機関の廃熱利用システムを模式的に示した図である。
第4実施例では、エアコン回路20の圧縮機24に代えてエンジン2により駆動される補機24’をモータジェネレータ12に連結した点が第3実施例と異なっている。但し、廃熱利用システムのシステム制御ルーチンについては、第3実施例と同様に上記図5のフローチャートがそのまま適用される。
【0083】
ここに、エンジン2により駆動される補機24’としては、例えばパワーステアリングに使用されるオイルポンプ等が該当するが、これに限られるものではない。
このように、エアコン回路20の圧縮機24に代えてエンジン2により駆動される補機24’をモータジェネレータ12に連結した場合であっても、上記同様、省スペース化を図りながら、モータジェネレータ12による発電と膨張機48の回転エネルギによるエンジン2の駆動力のアシストとを効率よく両立することができる。
【0084】
以上で本発明の一実施形態についての説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更ができるものである。
例えば、上記実施形態では、モータジェネレータ12の内ロータ16を回転軸15を介して膨張機48或いは流体機械44に連結し、外ロータ18を回転軸17を介してプーリ26や圧縮機24或いは補機24’に連結するようにしているが、逆に、内ロータ16をプーリ26や圧縮機24或いは補機24’に連結し、外ロータ18を膨張機48或いは流体機械44に連結するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、圧縮機24を可変容量型斜板圧縮機としたが、圧縮機24は可変容量式圧縮機であれば斜板圧縮機に限られるものではない。
また、上記実施形態では、エンジン2のプーリ8と回転軸25のプーリ26とに無端状のベルト9を掛け回して互いに連結するようにしているが、さらにエンジン2の他の補機として例えば冷却ファン、スーパーチャージャ、ウォータポンプ等を配設している場合には、これら他の補機のプーリをベルト9に掛け回すことを制限するものではない。さらには、ベルト9に代えて、エンジン2のプーリ8、回転軸25のプーリ26及び他の補機をギヤ等により連結してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、ランキン回路40は、冷却水熱交換器34を介し冷却水回路30を循環する冷却水との間で熱交換を行うとともに排ガス熱交換器41を介しエンジン2の排気管3を流れる排ガスとの間で熱交換を行うことでエンジン2の廃熱を回収しているが、いずれか一方によりエンジン2の廃熱を回収するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1 廃熱利用システム
2 エンジン
8、26 プーリ
9 ベルト
10 電力回収回路
12 モータジェネレータ
14 ステータ
15、17 回転軸
16 内ロータ(一方のロータ)
18 外ロータ(他方のロータ)
20 エアコン回路(冷凍サイクル)
24 圧縮機
24’補機
25 回転軸
30 冷却水回路
40 ランキン回路(ランキンサイクル)
43 ランキンコンデンサ(凝縮器)
43a 電動ファン
44 流体機械
46 ポンプ
45 回転軸
48 膨張機
49 電動ポンプ
150 ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体の循環路に、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介装されたランキンサイクルと、
ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータとを備え、
少なくとも前記モータジェネレータと前記膨張機とは、前記モータジェネレータの前記内ロータ及び前記外ロータのいずれか一方のロータが前記膨張機の回転軸に連結され、いずれか他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項2】
前記他方のロータは、補機を直列または並列に介装して内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする、請求項1記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項3】
さらに、冷媒の循環路に少なくとも内燃機関の回転駆動力により冷媒を圧縮する圧縮機が介装された冷凍サイクルを備え、
前記補機は、前記圧縮機であることを特徴とする、請求項2記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項4】
前記圧縮機は、可変容量式圧縮機であり、
該可変容量式圧縮機の圧縮容量を前記冷凍サイクルの作動状況に応じて可変制御する圧縮容量制御手段をさらに備えることを特徴とする、請求項3記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項5】
内燃機関と前記圧縮機との間には、内燃機関の運転状態に応じて該圧縮機を介し内燃機関に伝達される前記モータジェネレータの回転駆動力の断接を行う断接クラッチを有することを特徴とする、請求項3または4記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項6】
前記膨張機及び前記ポンプは同軸にして一体に構成され、
前記モータジェネレータと前記一体をなす膨張機及びポンプとは、前記一方のロータが前記一体をなす膨張機及びポンプの回転軸に連結され、前記他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項7】
さらに、前記膨張機の回転または内燃機関の回転により前記モータジェネレータが発電する発電電力を蓄電するバッテリを含む電力回収手段と、該バッテリの蓄電量に基づき電力回収度合いを制御するシステム制御手段とを備えたことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項8】
前記電力回収手段は、前記ランキンサイクルの発生するランキン出力を検出するランキン出力検知手段と、前記バッテリの蓄電量を検出するバッテリ蓄電量検出手段と、前記モータジェネレータの前記一方のロータ及び前記他方のロータをそれぞれモータとジェネレータとに切り換えるモータジェネレータ出力可変手段とを備え、
前記システム制御手段は、
前記電力回収手段が要求するバッテリ要求電力を算出するバッテリ要求電力算出手段と、該バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力に応じて前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するモータジェネレータ制御手段とを含み、
前記バッテリ要求電力算出手段により算出されたバッテリ要求電力が前記ランキン出力検知手段により検出されたランキン出力に相当する電力より大きいとき、前記モータジェネレータ制御手段により、前記他方のロータをジェネレータに切り換えるべく、バッテリ要求電力がランキン出力に相当する電力未満のとき、前記他方のロータをモータに切り換えるべく、前記モータジェネレータ出力可変手段を制御することを特徴とする、請求項7記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項9】
前記モータジェネレータ制御手段は、前記他方のロータをジェネレータに切り換えるときにはジェネレータ出力目標値に基づいて前記モータジェネレータを制御し、前記他方のロータをモータに切り換えるときにはモータ出力目標値に基づいて前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するものであって、
前記ジェネレータ出力目標値及び前記モータ出力目標値は、それぞれ前記バッテリ要求電力と前記ランキン出力に相当する電力との差の絶対値に基づいて設定されることを特徴とする、請求項8記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項10】
さらに、前記ランキンサイクルの電動補機を備えるとともに、前記システム制御手段は、該ランキンサイクルの電動補機の入力電力を制御するランキンサイクル電動補機入力制御手段を含み、
前記システム制御手段は、前記ランキン出力検知手段により検出されたランキン出力に相当する電力が少なくとも前記ランキンサイクルの電動補機の入力電力未満のとき、前記ランキンサイクル電動補機入力制御手段により前記ランキンサイクルの電動補機の駆動を停止し、ランキン出力に相当する電力が少なくとも前記ランキンサイクルの電動補機の入力電力より大きいとき、前記ランキンサイクル電動補機入力制御手段により前記ランキンサイクルの電動補機を駆動させることを特徴とする、請求項8または9記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項11】
前記膨張機及び前記ポンプは同軸にして一体に構成され、
前記モータジェネレータと前記一体をなす膨張機及びポンプとは、前記一方のロータが前記一体をなす膨張機及びポンプの回転軸に連結され、前記他方のロータが内燃機関の回転軸に連結されていることを特徴とする、請求項7乃至10のいずれか記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項12】
前記モータジェネレータ制御手段は、前記一方のロータをモータまたはジェネレータに切り換えるべく前記モータジェネレータ出力可変手段を制御するものであって、
前記システム制御手段は、前記ランキン出力検知手段によりランキン出力が一定以上のときには、前記モータジェネレータ制御手段により、前記一方のロータをジェネレータに切り換えるべく、ランキン出力が一定未満のときには、前記モータジェネレータ制御手段により前記一方のロータをモータに切り換えるべく、前記モータジェネレータ出力可変手段を制御することを特徴とする、請求項11記載の内燃機関の廃熱利用システム。
【請求項13】
作動流体の循環路に、内燃機関の廃熱により作動流体を加熱して蒸発させる蒸発器、該蒸発器を経由した作動流体を膨張させて回転駆動力を発生する膨張機、該膨張機を経由した作動流体を凝縮させる凝縮器、該凝縮器を経由した作動流体を前記蒸発器に送出するポンプが順次介装されたランキンサイクルを備えた内燃機関の廃熱利用システムに用いられるモータジェネレータ装置であって、
ステータの内側に内ロータを有するとともに外側に外ロータを有するモータジェネレータ機構部と、前記膨張機と、内燃機関の回転軸と連結する入出力軸とを備え、
前記モータジェネレータ機構部の前記内ロータ及び前記外ロータのいずれか一方のロータが前記膨張機の回転軸に連結し、いずれか他方のロータが前記入出力軸に連結していることを特徴とするモータジェネレータ装置。
【請求項14】
前記ランキンサイクルの前記ポンプが前記モータジェネレータ機構部と前記膨張機との間に配設されており、
前記ポンプの駆動軸の一端が前記膨張機に連結し、他端が前記一方のロータに連結していることを特徴とする、請求項13記載のモータジェネレータ装置。
【請求項15】
前記ポンプと前記膨張機との間には、前記ポンプからの回転駆動力は前記膨張機に伝達せず、前記膨張機からの回転駆動力を前記ポンプに伝達するワンウェイクラッチが介装されていることを特徴とする、請求項14記載のモータジェネレータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−202518(P2011−202518A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67989(P2010−67989)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】