説明

内燃機関始動装置の組付構造及び組付方法

【課題】エコランシステムをサブアッシーとして構成し、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にするリングギア位置決め構造及び組付方法を提案し、組付け時の作業性を向上させる。
【解決手段】内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターケース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けて構成されるサブアッシー10と、前記軸受3の外周部で前記サブアッシー10のリングギア4のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関始動装置の組付構造及び組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の燃費向上と排気ガス低減に対応して、マイクロコンピュータを備えた車両運転制御装置の制御判断に基づいて、車両の運行中にも、車両が一時停車したとき、エンジンを一時停止(アイドリングストップ)させることが行われている。このようなエンジン一時停止を伴う車両の運転は、エコラン運転と称されている。エコラン運転は、エンジンのみを駆動源とする車両においても、またエンジン駆動とモータ駆動とを織り交ぜて行うハイブリット車においても行われる。
このようなエコラン運転は、車両に搭載されるエコランシステムにより実現される。該エコランシステムは、前記車両運転制御装置内のコンピュータにより車両の車速、アクセル開度、ブレーキ状態等を監視して、車両の停車時にエンジンを停止させるものであり、ブレーキが外されてからスタータを始動させてエンジンを始動し、車両を発進させるシステムである。
【0003】
また、エコラン運転を行うために、内燃機関の始動装置においては、スタータモータのピニオンギアをリングギアに対して常時噛み合わせておき、リングギアとクランクシャフトとの間に、スタータモータ側からクランクシャフト側への動力伝達のみを許容して逆方向への動力伝達を遮断するワンウェイクラッチを設けるようにしたものが知られている。
この場合、スタータモータのピニオンギアを駆動したときにのみワンウェイクラッチがロックしてリングギアとクランクシャフトとが一体的に回転するようになる。一方、クランクシャフトが回転してからスタータモータの駆動を停止すると、ワンウェイクラッチがフリーとなって、クランクシャフトからリングギアへの動力伝達が遮断されるようになる。さらに、上記のようにワンウェイクラッチを設けたことにより、リングギアのギア部側を回転可能に支持する必要性からギア部とクランクシャフトとの間にベアリングを配置している。
このような内燃機関始動装置において、上述したようなエコラン運転を行うためにエコランシステム(リングギア・ワンウェイクラッチ・アウターレース等)を内燃機関始動装置内に組付ける必要がある。
【0004】
内燃機関始動装置の従来構造(図23)の組付方法としては、図24に示すように(1)クランクシャフト2に軸受3を圧入する。(2)リングギア4を取り付ける。(3)スナップリングBを組付ける。(4)ワンウェイクラッチ5及びアウターレース6を組付ける。(5)フライホイール7を組付けて、ボルト8で固定する、というものであった。つまり、スナップリングBを組付けた後でなければアウターレース6を組付けることができない為、リングギア4及びアウターレース6等を基本としたサブアッシー(機能的な部品のひとかたまり)を構成し、該サブアッシーを組付けるということが構造上できなかった。
従来から、サブアッシー組付けにより、組付けを容易化した技術の幾つかの例としては以下のようなものがある。
【0005】
特許文献1においては、リアケースに多板ブレーキをスプライン嵌合する自動変速機の組立ての容易化を図る旨が記載されている。
【0006】
特許文献2においては、自動変速機において、カウンタドリブンギヤをサブアッシー可能としてメインライン上での組付けを容易にする旨が、記載されている。
【0007】
また、サブアッシー組付けに限らず、内燃機関始動装置の組付けに関する技術としては以下のようなものがある。
【0008】
特許文献3においては、内燃機関始動回転力伝達機構におけるリング状シール部材に対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できる旨が、記載されている。
【0009】
特許文献4においては、ワンウェイクラッチを用いた常時噛み合い式の内燃機関始動回転力伝達機構の外径を大型化せず、かつ燃費的にも問題なく、十分な潤滑油をワンウェイクラッチや軸受に供給可能な潤滑構造について記載されている。
【0010】
特許文献5においては、始動時の回転力を、リングギアからワンウェイクラッチを介してクランク軸に伝達することでクランク軸を回転させる内燃機関始動回転力伝達機構において、オイルシールのリップ部が高速で摺動しないようにする旨が、記載されている。
【特許文献1】特開平8−170699号公報
【特許文献2】特開平8−82350号公報
【特許文献3】特開2007−30126号公報
【特許文献4】特開2007−126999号公報
【特許文献5】特開2007−32498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2は自動変速機において組立の容易化を実現するものであり、内燃機関始動装置、特にエコランシステムについての組立の容易化については未だ具体的な組付構造及び組付方法が提案されていない。
【0012】
また、前述した特許文献3はリング状シール部材に対する回転部材の嵌め込み作業について容易に実行するものあり、特許文献4は潤滑油をワンウェイクラッチや軸受に供給する潤滑構造であって、容易かつ確実に潤滑油を玉軸受に供給可能にするものであり、特許文献5は高速で摺動しないようにオイルシールを配置してオイルシールの劣化防止を実現するものであり、これら特許文献3、特許文献4及び特許文献5においても内燃機関始動装置、特にエコランシステムについての組立の容易化については未だ具体的な組付構造及び組付方法が提案されていない。
【0013】
また、上述した従来構造の組付方法ではリングギア4のスラスト方向の位置決めが必要となるが、その位置決めのためにスナップリングBを組付ける工程(図24(3))を入れるとエコランシステム、すなわちリングギア・ワンウェイクラッチ・アウターレースのひとかたまりで構成したサブアッシーを組付けることが工程上できないという問題点があった。
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、エコランシステムをサブアッシーとして構成し、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にするリングギアの位置決め構造及び組付方法を提案し、組付け時の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
即ち、請求項1においては、内燃機関のクランクシャフトと、該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと、を一体的に組付けて構成されるサブアッシーと、前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えるものである。
【0016】
請求項2においては、前記位置決め手段が、前記軸受の外周に設けられ前記リングギアの内周の軸方向一端を係止する係止手段と、前記アウターレースの前記リングギアの軸方向他端に対向する位置に設けられた、前記リングギアの後方への移動を規制する規制手段と、から構成されるものである。
【0017】
請求項3においては、前記リングギアの内周の軸方向一端を前記係止手段により係止した状態において、前記アウターレースの前端と前記リングギアとのストラス方向の隙Xと、前記規制手段と前記リングギアの軸方向他端とのストラス方向の隙Yとの関係が隙X>隙Yであるものである。
【0018】
請求項4においては、前記係止手段が、スナップリングであるものである。
【0019】
請求項5においては、前記位置決め手段が、前記リングギアもしくは前記軸受に設けられた係合溝と、該係合溝に係合して前記リングギアを位置決め固定する係合手段と、前記リングギア前端側の内周角部もしくは前記軸受後端側の外周角部をテーパ状に形成した前記係合手段を案内する案内部と、から構成されるものである。
【0020】
請求項6においては、前記係合溝の前端が、前記係合手段の前端と当接した状態において、前記アウターレースの前端と前記リングギアとのストラス方向の隙Xと、前記係合手段の後端と前記係合溝の後端との隙Zとの関係が隙X>隙Zであるものである。
【0021】
請求項7においては、前記係合手段が、スナップリングであるものである。
【0022】
請求項8においては、内燃機関のクランクシャフトと、該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと、前記リングギアの後方への移動を規制する規制手段を設けたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、前記リングギアの内周の軸方向一端をスナップリングにより係止し、かつ前記リングギアの軸方向他端を前記規制手段により規制して、前記サブアッシーを前記軸受を圧入した前記クランクシャフトに組付けて、前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【0023】
請求項9においては、前記規制手段が、スラストメタルであるものである。
【0024】
請求項10においては、内燃機関のクランクシャフトと、該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア前端側の内周角部にテーパ状の案内部を形成し、前記リングギアの内周面に係合溝を設けたリングギアと、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、前記案内部によりスナップリングを縮径しつつ案内して前記係合溝に係合固定し、前記サブアッシーを前記軸受を圧入した前記クランクシャフトに組付けて、前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとをサブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【0025】
請求項11においては、内燃機関のクランクシャフトと、該クランクシャフトの外周に挿入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと、を一体的に組付けて構成されるサブアッシーと、前記クランクシャフトの外周部で前記サブアッシーの軸受のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えるものである。
【0026】
請求項12においては、前記位置決め手段が、前記クランクシャフトの外周に設けられ前記軸受の内周の軸方向一端を係止する係止手段と、前記アウターレースの前記軸受の軸方向他端に対向する位置に設けられた、前記締結部材の締結時の軸力により自ら塑性変形して前記軸受を位置決め固定する固定手段と、から構成されるものである。
【0027】
請求項13においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、前記アウターレースに圧入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアと前記アウターレースとの間に介装されるワンウェイクラッチと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなるものである。
【0028】
請求項14においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、該アウターレースに圧入される軸受と、該軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなるものである。
【0029】
請求項15においては、内燃機関のクランクシャフトと、軸受と一体化され、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、前記軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと、前記軸受と一体化されたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなるものである。
【0030】
請求項16においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、該軸受の外周に圧入されるリングギアと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなるものである。
【0031】
請求項17においては、内燃機関のクランクシャフトと、該クランクシャフトの外周に挿入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記軸受を位置決め固定する固定手段を設けたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、前記サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して、前記軸受の内周の軸方向一端をクランクシャフトの外周に設けられたツバ部により係止し、かつ前記軸受の軸方向他端を前記固定手段に当接させて、前記クランクシャフトの外周部で前記サブアッシーの軸受のスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結して、前記固定手段を軸力により塑性変形させて固定を行う締結工程とを含むものである。
【0032】
請求項18においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、前記アウターレースに圧入される軸受と、該軸受の外周に固定されるリングギアと、前記リングギアと前記アウターレースとの間に介装されるワンウェイクラッチと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【0033】
請求項19においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、該アウターレースに圧入される軸受と、該軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記軸受と、前記ワンウェイクラッチと、前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【0034】
請求項20においては、内燃機関のクランクシャフトと、軸受と一体化され、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、前記軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと、前記軸受と一体化されたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【0035】
請求項21においては、内燃機関のクランクシャフトと、前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、該軸受の外周に圧入されるリングギアと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギアと、前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフトに前記サブアッシーを嵌合して締結部材により締結する締結工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0036】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0037】
請求項1においては、位置決め手段を備えたことによりエコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【0038】
請求項2においては、係止手段と規制手段によりリングギアのスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。
【0039】
請求項3においては、アウターレースとリングギアの接触を防止する。
【0040】
請求項4においては、容易に着脱可能であり、分解整備等を行い易い。
【0041】
請求項5においては、一つの係合手段でリングギアのスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。
【0042】
請求項6においては、アウターレースとリングギアの接触を防止する。
【0043】
請求項7においては、容易に着脱可能であり、分解整備等を行い易い。
【0044】
請求項8においては、リングギアを係止手段及び規制手段によって介装し、スラスト方向の位置決めを行うことによりエコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【0045】
請求項9においては、リングギアが接触した場合においても焼き付きが生じない。
【0046】
請求項10においては、一つの係合手段でリングギアのスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。
【0047】
請求項11においては、位置決め手段を備えたことによりエコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、軸受をクランクシャフトに圧入しないので、圧入機が不要となり、コスト低減が図れる。
【0048】
請求項12においては、係止手段と固定手段によりリングギアのスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。
【0049】
請求項13においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウターレースを一体化したフライホイールを用いることで、シールすべき部位及び部品点数が削減されるとともに、フライホイールとアウターレースとの共締めする必要がなくなる。
【0050】
請求項14においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。
【0051】
請求項15においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受とアウターレースとの一体化によって、部品点数が削減される。
【0052】
請求項16においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受とワンウェイクラッチの一体化、及びアウターレースとフライホイールの一体化によって、部品点数が削減される。
【0053】
請求項17においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、軸受をクランクシャフトに圧入しないので、圧入機が不要となり、コスト低減が図れる。
【0054】
請求項18においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウターレースを一体化したフライホイールを用いることで、シールすべき部位及び部品点数が削減されるとともに、フライホイールとアウターレースとの共締めする必要がなくなる。
【0055】
請求項19においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。
【0056】
請求項20においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受とアウターレース一体化によって、部品点数が削減される。
【0057】
請求項21においては、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受とワンウェイクラッチの一体化、及びアウターレースとフライホイールの一体化によって、部品点数が削減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0058】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は実施例1に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図2は実施例1に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図3はアウターレースとリングギアとの隙X及びスラストメタルとリングギアとの隙Yを示す断面模式図、図4は実施例2に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図5は実施例2に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図6は実施例2に係るリングギアの位置決め状態を示す断面模式図、図7はアウターレースとリングギアとの隙X及びスナップリングCの隙Zを示す断面模式図、図8はスナップリング取外し用穴を設けたリングギアを示す断面模式図、図9はスナップリングの取外し工程を示す断面模式図、図10はテーパ状の案内部を有するリングギアの別実施例を示す断面模式図、図11はテーパ状の案内部を有する軸受によりリングギアを案内する工程を示す断面模式図、図12は図11のE矢視図、図13は実施例3に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図14は実施例3に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図15は実施例4に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図16は実施例4に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図17は実施例5に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図18は実施例5に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図19は実施例6に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図20は実施例6に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図、図21は実施例7に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図、図22は実施例7に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図である。
また、以下の説明をおいては、説明の便宜上、図1に示す矢印Fの方向を前方とする。
なお、同様の用途及び機能を有する部材には同符号を付してその説明を省略する。
【0059】
まず、エコランシステムの組付対象となる内燃機関始動装置の構成について図1を用いて説明する。
図1に示すように内燃機関のクランクシャフト2の一端には、アウターレース6を介してフライホイール7が一体的に取り付けられており、このフライホイール7には図示しないオートマチックトランスミッションがトルクコンバータを介して連結される。
また、前記アウターレース6はワンウェイクラッチ5を介してリングギア4に接続されている。クランクシャフト2の最外周と、リングギア4の内周との間には、軸受3が介装されている。
【0060】
前記リングギア4は、インナーレース部4aと、主として外周側を構成するリングプレート部4bとから構成されている。
【0061】
前記アウターレース6の中心部6aは前記フライホイール7と共にクランクシャフト2の一端に締結部材であるボルト8によりボルト締結され、クランクシャフト2と共に回転可能に構成されている。
【0062】
リングギア4のインナーレース部4aはクランクシャフト2の前後方向中途部の外周部分に、軸受3を介して取り付けられている。このためワンウェイクラッチ5の係合が無い時には、リングギア4はクランクシャフト2の回転とは独立して回転可能である。更に前記リングプレート部4bの周縁部には正面視リング状のギア部4cが形成されている。該ギア部4cは図示せぬスタータモータの出力軸に一体的に固定されているピニオンギアと常時噛み合わされておりスタータモータから回転力を受けることによりリングギア4のリングプレート部4bは回転する。
【0063】
また、リングギア4において、アウターレース6の中心部6aとリングプレート部4bとの間にはワンウェイクラッチ5が配置されている。該ワンウェイクラッチ5は、内燃機関始動時においてスタータモータがピニオンギアを介してリングプレート部4bを回転させるとき、すなわちリングプレート部4b側からトルクが伝達される場合にはアウターレース6の中心部6aとリングプレート部4bとを係合する。このことにより、スタータモータはクランクシャフト2を回転させることができる。
内燃機関が始動して内燃機関出力によるクランクシャフト2及びアウターレース6の中心部6aの回転がリングプレート部4bの回転よりも速くなると、ワンウェイクラッチ5は解放され、動力伝達が遮断される。このことによりピニオンギアとリングギア4のギア部4cとが常時噛み合いの状態でも、内燃機関始動後のスタータモータの過運転を防止することができる。
【0064】
なお、本発明で説明する内燃機関始動装置に搭載するエコランシステムは、図1の点線部に示すように、リングギア4、ワンウェイクラッチ5及びアウターレース6等で構成されたもののことをいう。
また、上述した内燃機関始動装置の構成は一例を示したものであり、特に限定するものではない。本発明が適用できる内燃機関始動装置の基本的な構成としては、例えば、ピニオンギアに噛合したリングギアが、軸受とワンウェイクラッチに接続された状態で、ワンウェイクラッチを介してアウターレース及びフライホイールにトルクを伝達しクランクシャフトを回転可能にしているものである。
【0065】
次に、上記構成の内燃機関始動装置の動作について説明する。
【0066】
内燃機関を始動させるためにスタータモータに電流を流して出力軸及びそれと一体的に結合されているピニオンギアを回転させると、それと常時噛合しているリングギア4が回転駆動される。これにより、ワンウェイクラッチ5がロックし、リングギア4とフライホイール7とが一体的に回転するようになるので、スタータモータの回転駆動力でもってフライホイール7と一体的に結合されているクランクシャフト2が回転されることにより、内燃機関がクランキングされる。
こうして、内燃機関の始動が完了してクランクシャフト2が回転すると、スタータモータへの通電が停止され、ピニオンギアの回転が停止すると同時に、リングギア4も回転停止するので、ワンウェイクラッチ5が解放状態となる。これにより、クランクシャフト2の回転駆動力がリングギア4に入力されなくなり、したがって内燃機関とスタータモータとの動力伝達経路が遮断される。
【実施例1】
【0067】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法について図1及び図2を用いて説明する。
【0068】
エコランシステム(図1の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー10として組付け後に、該サブアッシー10を内燃機関始動装置内に組付けてリングギア4を位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー10を介してフライホイール7とクランクシャフト2とを締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0069】
まず、図2の(a)に示すサブアッシー化工程では、リングギア4とアウターレース6とをワンウェイクラッチ5を介して一体的に組付け、サブアッシー10を構成する。このようにサブアッシー10を組付けた状態において、アウターレース6のリングギア4の軸方向他端となる後端部4dに対向する位置にリングギア4の後方への移動を規制する規制手段であるスラストメタル9が設けられている。
また、前記スラストメタル9は、後述するスナップリングAとともにリングギア4の位置決め手段となる。
なお、前記スラストメタル9は、焼き付きが生じない耐磨耗性に優れた材料、例えばPTFE(テフロン(登録商標))コーティング等で構成することも可能である。
【0070】
次に、図2の(b)、(c)に示す位置決め工程では、まず図2の(b)に示すように軸受3の内輪3aをクランクシャフト2の最外周の軸受嵌合部2aに圧入して嵌合し、固定する。そして、軸受3の外輪3bの外周部の前部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向一端である前端を係止する係止手段であるスナップリングAを組付ける。
なお、本実施例ではスナップリングAの軸受3への組付けにおいて、軸受3をクランクシャフト2に圧入してからスナップリングAを組付ける例を示したが、特に限定するものではなく、まず軸受3にスナップリングAを、組付けてから、軸受3をクランクシャフト2に圧入する組付方法であってもかまわない。
また、上述したように本実施例ではリングギア4の内周の軸方向一端を前端とし、リングギア4の内周の軸方向他端を後端としている。
【0071】
続いて、図2の(c)に示すように前記サブアッシー10(アウターシール6)の中央部に設けた挿通孔6bにクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、アウターレース6の中心部6aの前面部をクランクシャフト2の一端に当接させる。これにより、前後の位置決め手段であるスナップリングAとスラストメタル9との間にリングギア4(インナーレース部4a)が介装されて、リングギア4のスラスト方向の位置決めがなされる。
【0072】
また、このリングギア4の位置決めにおいては、図3に示すようにリングギア4の内周の前端を前記係止手段であるスナップリングA後端により係止した状態において、アウターレース6の前端6cとリングギア4との隙Xと、スラストメタル9の前端とリングギア4の後端4dとの隙Yとは、隙X>隙Yとなる関係となるようにリングギア4を位置決めしている。このような条件で位置決めするのは、例えば、スラストメタル9の前端とリングギア4の後端4dとが接触する程度に近接したとしても、アウターレース6の前端6cとリングギア4が接触しないようにするためであり、アウターレース6の前端6cとリングギア4とが接触することによって焼き付くことを防止できる。
また、係止手段としてスナップリングAを使用することで、簡単に着脱が可能となり、内燃機関始動装置の分解整備等が行い易い。
【0073】
次に、図2の(d)に示す締結工程では、フライホイール7の中央部7aに設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、フライホイール7の前端部をアウターレース6の後端部に当接して、該アウターレース6の中心部6aがクランクシャフト2とフライホイール7との間に挟持された状態で、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0074】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターケース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けて構成されるサブアッシー10と、前記軸受3の外周部で前記サブアッシー10のリングギア4のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えるように組付けた内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシーとして組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【0075】
また、前記位置決め手段が、前記軸受3の外周に設けられ前記リングギア4の内周の前端を係止する係止手段であるスナップリングAと、前記アウターレース6の前記リングギア4の後端4dに対向する位置に設けられた、前記リングギア4の後方への移動を規制する規制手段であるスラストメタル9と、から構成されることで、係止手段であるスナップリングAと規制手段であるスラストメタル9によりリングギア4のスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。つまり、図23で示す従来構造にあるスナップリングBの代わりにスラストメタル9とすることでエコランシステムをサブアッシー10として組付け可能とする。
【0076】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記リングギア4の後方への移動を規制する規制手段であるスラストメタル9を設けたアウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー10を構成するサブアッシー化工程と、前記リングギア4の内周の前端をスナップリングAにより係止し、かつ前記リングギア4の後端4dを前記スラストメタル9により規制して、前記サブアッシー10を前記軸受3を圧入した前記クランクシャフト2に組付けて、前記軸受3の外周部で前記サブアッシー10のリングギア4のスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール7とを前記サブアッシー10を介して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、リングギア4を係止手段であるスナップリングA及び規制手段であるスラストメタル9によって介装し、スラスト方向の位置決めを行うことによりエコランシステムをサブアッシー10として組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【実施例2】
【0077】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図4、図5、図6及び図7を用いて説明する。
【0078】
エコランシステム(図4の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー20として組付け後に、該サブアッシー20を内燃機関始動装置内に組付けてリングギア4を位置決め固定する位置決め工程、続いてサブアッシー20を介してフライホイール7とクランクシャフト2とを締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0079】
まず、図5の(a)に示すサブアッシー化工程では、リングギア4とアウターレース6とをワンウェイクラッチ5を介して組付け、サブアッシー20を構成する。リングギア4のインナーレース部4a前端側の内周角部には、テーパ状に形成した後述する係合手段であるスナップリングCを案内する案内部4eを有し、かつ、該案内部4eと前記リングギア4の内周後端部との間の内周面に係合溝4fが設けられている。
そして、前記係合溝4fと、係合手段である前記スナップリングCと、前記案内部4eとで、リングギア4のスラスト方向の位置決め手段となる。
【0080】
次に、図5の(b)、(c)に示す位置決め工程では、まず図5の(b)に示すように軸受3の内輪3aをクランクシャフト2の最外周の軸受嵌合部2aに圧入して嵌合し、固定する。そして、軸受3の外輪3bの外周部に設けた外周溝3cに係合手段であるスナップリングCを組付ける。スナップリングCは、外周溝3cに係合しつつも、所定の弾性を有しており縮径可能な状態で嵌め込まれている(図6の(1)点線部参照)。
なお、本実施例ではスナップリングCの軸受3への組付けにおいて、軸受3をクランクシャフト2に圧入してからスナップリングCを組付ける例を示したが、特に限定するものではなく、まず軸受3にスナップリングCを、まず組付けてから、軸受3をクランクシャフト2に圧入する組付方法であってもかまわない。
【0081】
続いて、図5の(c)に示すように前記サブアッシー20(アウターレース6)の中央部に設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、アウターレース6の中心部6aの前面部をクランクシャフト2の一端に当接させる。このとき、図6に示すように案内部4eによりスナップリングCを後方に案内していくと(図6の(1))、徐々にスナップリングCが縮径されて、外周溝3c内に収納されていく(図6の(2))。そうして、図6の(3)に示すようにスナップリングCの上部が係合溝4fに係合する。これにより、前記軸受3の外周部のスラスト方向に対して所定位置にリングギア4(インナーレース部4a)が介装されて、リングギア4のスラスト方向の位置決めがなされる。
【0082】
また、このリングギア4の位置決めにおいては、図7に示すようにリングギア4の係合溝4fの前端を前記係合手段であるスナップリングC前端により係止した状態において、アウターレース6の前端6cとリングギア4との隙Xと、スナップリングCの隙Z、すなわちスナップリングCの後端と係合溝4fの後端とのクリアランスである隙Zとは、隙X>隙Zとなる関係となるようにリングギア4を位置決めしている。このような条件で位置決めすることで、アウターレース6の前端6cとリングギア4とが接触することによって焼き付くことを防止できる。
また、係合手段としてスナップリングCを使用することで、簡単に着脱が可能となり、内燃機関始動装置の分解整備等を行い易い。
【0083】
次に、図5の(d)に示す締結工程では、フライホイール7の中央部7aに設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、フライホイール7の前端部をアウターレース6の後端部に当接して、該アウターレース6の中心部6aがクランクシャフト2とフライホイール7との間に挟持された状態で、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0084】
次に、本実施例で示したスナップリングCを案内するテーパ状の案内部についての別実施例について図10、図11及び図12を用いて説明する。
【0085】
図10に示すリングギア40は、本実施例で示したリングギア4と同様にスナップリングCが係合する係合溝4fを有している。また、リングギア40の下端部が前方に突出して突出部40aを形成し(図10の点線部)、該突出部40aの先端にスナップリングCを案内するテーパ状の案内部40bを形成している。このリングギア40を本実施例で示したリングギア4の代わりとして使用することも可能である。
【0086】
また、本実施例で示したようにリングギア4にスナップリングCのテーパ状案内部4eを設けるのではなく、図11に示すように、軸受3後端側の外周角部をテーパ状に形成して案内部3dを設け、リングギア4の内周面に設けた内周溝4gに組付けたスナップリングCを案内して、軸受3の外輪3bに設けた係合溝3eに係合するようしてリングギア4の位置決めを行なう構成とすることもできる。
また、前記リングギア4を係合溝3eから取り外す解除方法としては、図12に示すように、軸受3及びリングギア4の後面視において軸受3の外周周縁部の複数箇所(本実施例では4箇所)に切り欠き3fを設けることで、該切り欠き3fに取外し治具を挿入し、スナップリングCの内周を拡径することにより、係合溝3eへの係合を解除することができる。
【0087】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターケース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けて構成されるサブアッシー20と、前記軸受3の外周部で前記サブアッシー20のリングギア4のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えるように組付けた内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー20として組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【0088】
また、前記位置決め手段が、前記リングギア4に設けられた係合溝4fもしくは前記軸受3に設けられた係合溝3eと、前記係合溝4fもしくは前記係合溝3eに係合して前記リングギア4を位置決め固定する係合手段であるスナップリングCと、前記リングギア4前端側の内周角部もしくは前記軸受後端側の外周角部にテーパ状に形成した前記スナップリングCを案内する案内部4eもしくは案内部3dと、から構成されることにより、一つの係合手段でリングギア4のスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。つまり、図23で示した従来構造が有するスナップリングA・Bの代わりにスナップリングCを設けリングギア4もしくは軸受3にテーパ形状の案内部を形成することでエコランシステムをサブアッシー20として組付け可能となる。
【0089】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4前端側の内周角部にテーパ状の案内部4eを形成し、前記リングギア4の内周面に係合溝4fを設けたリングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー20を構成するサブアッシー化工程と、前記案内部4eによりスナップリングCを縮径しつつ案内して前記係合溝4fに係合固定し、前記サブアッシー20を前記軸受3を圧入した前記クランクシャフト2に組付けて、前記軸受3の外周部で前記サブアッシー20のリングギア4のスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール7とをサブアッシー20を介して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃機関始動装置の組付方法を適用することで、一つの係合手段でリングギア4のスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。
【0090】
次に、リングギア4の位置決めに用いた前記スナップリングCをリングギア4から取り外す解除方法について図8及び図9を用いて説明する。
図8に示すように、リングギア4の内周側に設けた前記係合溝4fに対してリングギア4の外周側から挿通するスナップリング外し用穴4hを複数箇所(本実施例では4箇所)設けている。
そして、分解整備等によりリングギア4からスナップリングCを取り外す必要がある際には、図9に示すように棒状の取外し用治具11を用いて、複数箇所に設けたスナップリング外し用穴4hに同時に挿入して(図9(1))、スナップリングCの外周を押し付けて縮径し(図9(2))、リングギア4を後方にスライドさせて(図9(3))、スナップリングCの係合溝4fへの係合を解除する。
【実施例3】
【0091】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図13及び図14を用いて説明する。
【0092】
エコランシステム(図13の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー50として組付け後に、該サブアッシー50を内燃機関始動装置内に組付けて位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー50を介してフライホイール7とクランクシャフト2とを締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0093】
まず、図14の(a)に示すサブアッシー化工程では、軸受3の外輪3bの外周部の前部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向一端である前端を係止する係止手段であるスナップリングAを組付ける。そして、リングギア4の挿通孔(図示せず)に軸受3を挿通し、軸受3の外輪3bの外周部の後部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向他端である後端を係止する係止手段であるスナップリングBを組付けて固定し、軸受3にリングギア4を取り付ける。こうしてスナップリングA・Bにより軸受3と一体的に組付けたリングギア4と、アウターレース6とをワンウェイクラッチ5を介して一体的に組付け、サブアッシー50を構成する。このようにサブアッシー50を組付けた状態において、アウターレース6の軸受3(内輪3a)の軸方向他端となる後端部3gに対向する位置には、軸受3後部をクランクシャフト2の最外周の前後方向の所定位置に位置決めして固定する固定手段であるカラー15が設けられている。また、前記カラー15は、後述するツバ部14とともにサブアッシー50の位置決め手段となる。
なお、前記カラー15は、樹脂・砲金・アルミ等変形可能な材料で構成することが可能である。
また、本実施例ではスナップリングA・Bの軸受3への組付けにおいて、軸受3にスナップリングAを組付けてから、リングギア4を軸受3に挿通し、続けて軸受3にスナップリングBを組付ける例を示したが、特に限定するものではなく、まず、リングギア4にスナップリングA・Bを組付けていない軸受3を挿通してから、スナップリングA、スナップリングBを各外周溝に取り付けて軸受3をリングギア4と一体的に組付ける組付方法であってもかまわない。
また、係止手段としてスナップリングA・Bを使用することで、簡単に着脱が可能となり、内燃機関始動装置の分解整備等が行い易い。
また、上述したように本実施例ではリングギア4の内周の軸方向一端を前端とし、リングギア4の内周の軸方向他端を後端としている。
【0094】
次に、図14の(b)に示す位置決め工程では、まずクランクシャフト2の最外周の軸受嵌合部2aにサブアッシー工程で一体化されたサブアッシー50の軸受3の内輪3aを後方から挿入し、内輪3aの前端をクランクシャフト2の外周縁部(クランクシャフト2の外周突出部であるクランクリアフランジ2dの先端部)に設けた係止手段であるツバ部14により係止する。
【0095】
そして、図14の(b)に示すように前記サブアッシー50(アウターシール6)の中央部に設けた挿通孔6b(図14(a))にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、アウターレース6の内側に設けた前記カラー15の前端部を軸受3(内輪3a)の後端に当接させる。これにより、前後の位置決め手段であるツバ部14とカラー15との間に軸受3(内輪3a)が介装されて、サブアッシー50(軸受3)のスラスト方向の位置決めがなされる。
【0096】
次に、図14の(c)に示す締結工程では、フライホイール7の中央部7aに設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、フライホイール7の前端部をアウターレース6の後端部に当接して、該アウターレース6の中心部6aがクランクシャフト2とフライホイール7との間に挟持された状態で、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。このとき、カラー15をフライホイール7を締付けるボルト8の軸力により潰して固定する。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0097】
なお、サブアッシー50の位置決めにおいては、図14の(c)に示すように軸受3の内周の前端を前記係止手段であるツバ部14後端により係止し、ボルト8を締め付けてカラー15を潰してサブアッシー50をクランクシャフト2とフライホイール7との間に固定した状態において、アウターレース6の前端6cとリングギア4との隙Xを設けるようにリングギア4及び軸受3を位置決めしている。このような条件で位置決めするのは、アウターレース6の前端6cとリングギア4が接触しないようにするためであり、アウターレース6の前端6cとリングギア4とが接触することによって焼き付くことを防止できる。
【0098】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に挿入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けて構成されるサブアッシー50と、前記クランクシャフト2の外周部で前記サブアッシー50の軸受3のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えるように組付けた内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー50として組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、軸受3をクランクシャフト2に圧入しないので、圧入機が不要となり、コスト低減が図れる。
【0099】
また、前記位置決め手段が、前記クランクシャフト2の外周に設けられ前記軸受3の内周の軸方向一端を係止する係止手段であるツバ部14と、前記アウターレース6の前記軸受3の軸方向他端に対向する位置に設けられた、前記締結部材であるボルト8の締結時の軸力により自ら塑性変形して前記軸受3を位置決め固定する固定手段であるカラー15と、から構成されることで、係止手段であるツバ部14と固定手段であるカラー15により軸受3のスラスト方向の位置決めを行なうことができ、エコランシステムのサブアッシー組付けを可能にする。
【0100】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、該クランクシャフト2の外周に挿入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4にワンウェイクラッチ5を介して接続されるアウターレース6と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記軸受3を位置決め固定する固定手段であるカラー15を設けたアウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー50を構成するサブアッシー化工程と、前記サブアッシー50を前記クランクシャフト2の外周に嵌合して、前記軸受3の内周の前端をクランクシャフト2の外周に設けられたツバ部14により係止し、かつ前記軸受3の後端を前記カラー15に当接させて、前記クランクシャフト2の外周部で前記サブアッシー50の軸受3のスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール7とを前記サブアッシー50を介して締結部材であるボルト8により締結して、前記カラー15を軸力により塑性変形させて固定を行う締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、エコランシステムをサブアッシー50として組付け可能にする。これにより、メインライン上で組付けを行う際に、エコランシステムに関連した部品点数を削減することが可能となり、組付けが容易化されて組付け時の作業効率を向上させることができる。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、軸受3をクランクシャフト2に圧入しないので、圧入機が不要となり、コスト低減が図れる。
【実施例4】
【0101】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図15及び図16を用いて説明する。
【0102】
エコランシステム(図15の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー60として組付け後に、該サブアッシー60を内燃機関始動装置内に組付けて位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー60をクランクシャフト2に締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0103】
まず、図16の(a)、(b)に示すサブアッシー化工程では、アウターレース16を一体化(一体成形)したフライホイール17の内側突出部16aの外周に軸受3を圧入する。そして、軸受3の外輪3bの外周部の後部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向一端である後端を係止する係止手段であるスナップリングBを組付ける。続いて、アウターレース16とリングギア4との間にワンウェイクラッチ5を介装しつつ、軸受3の外周部にリングギア4の内周部を挿通し、軸受3の外輪3bの外周部の前部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向他端である前端を係止する係止手段であるスナップリングAを組付けて固定し、軸受3にリングギア4を取り付ける。こうしてスナップリングA・Bにより軸受3と一体的に組付けたリングギア4と、フライホイール17と一体化されたアウターレース16をワンウェイクラッチ5を介して一体的に組付け、サブアッシー60を構成する。
なお、上述したように本実施例ではリングギア4の内周の軸方向一端を後端とし、リングギア4の内周の軸方向他端を前端としている。
【0104】
次に、図16の(c)に示す位置決め工程では、前記サブアッシー60(フライホイール17)の中央部に設けた挿通孔17b(図16(b))にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、サブアッシー60をクランクシャフト2の外周に嵌合させて、位置決めを行う。
【0105】
次に、図16の(d)に示す締結工程では、サブアッシー60(フライホイール17の中心部17a)がクランクシャフト2に、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0106】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2に締結部材であるボルト8により一体的に固定される、アウターレース16と一体化したフライホイール17と、前記アウターレース16に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4と前記アウターレース16との間に介装されるワンウェイクラッチ5と、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース16と一体化したフライホイール17と、を一体的に組付けてサブアッシー60を構成し、該サブアッシー60をクランクシャフト2に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー60として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウターレース16を一体化したフライホイール17を用いることで、シールすべき部位及び部品点数が削減されるとともに、フライホイール17とアウターレース16との共締めする必要がなくなる。
【0107】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2に締結部材であるボルト8により一体的に固定される、アウターレース16と一体化したフライホイール17と、前記アウターレース16に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定されるリングギア4と、前記リングギア4と前記アウターレース16との間に介装されるワンウェイクラッチ5と、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース16と一体化したフライホイール17と、を一体的に組付けてサブアッシー60を構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシー60を前記クランクシャフト2の外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール17とを前記サブアッシー60を介して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、エコランシステムをサブアッシー60として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウターレース16を一体化したフライホイール17を用いることで、シールすべき部位及び部品点数が削減されるとともに、フライホイール17とアウターレース16との共締めする必要がなくなる。
【実施例5】
【0108】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図17及び図18を用いて説明する。
【0109】
エコランシステム(図17の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー70として組付け後に、該サブアッシー70を内燃機関始動装置内に組付けて位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー70をクランクシャフト2に締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0110】
まず、図18の(a)、(b)に示すサブアッシー化工程では、アウターレース6の内側突出部6dの外周に軸受3を圧入する。そして、軸受3の外輪3bの外周部の後部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向一端である後端を係止する係止手段であるスナップリングBを組付ける。続いて、アウターレース6とリングギア4との間にワンウェイクラッチ5を介装しつつ、軸受3の外周部にリングギア4の内周部を挿通し、軸受3の外輪3bの外周部の前部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向他端である前端を係止する係止手段であるスナップリングAを組付けて固定し、軸受3にリングギア4を取り付ける。こうしてスナップリングA・Bにより軸受3と一体的に組付けたリングギア4と、アウターレース6とをワンウェイクラッチ5を介して一体的に組付け、サブアッシー70を構成する。
なお、上述したように本実施例ではリングギア4の内周の軸方向一端を後端とし、リングギア4の内周の軸方向他端を前端としている。
【0111】
次に、位置決め工程では、前記サブアッシー70(アウターレース6)の中央部に設けた挿通孔6bにクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、サブアッシー70をクランクシャフト2の外周に嵌合させて、位置決めを行う。
【0112】
次に、図18の(c)に示す締結工程では、フライホイール7の中央部7aに設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、フライホイール7の前端部をサブアッシー70(アウターレース6)の後端部に当接して、該アウターレース6の中心部6aがクランクシャフト2とフライホイール7との間に挟持された状態で、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。すなわち、サブアッシー70及びフライホイール7の中央部7aが、クランクシャフト2に、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0113】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2の外周に嵌合されるアウターレース6と、該アウターレース6に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定され、前記アウターレース6とワンウェイクラッチ5を介して接続されるリングギア4と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー70を構成し、該サブアッシー70をクランクシャフト2に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー70として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。
【0114】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2の外周に嵌合されるアウターレース6と、該アウターレース6に圧入される軸受3と、該軸受3の外周に固定され、前記アウターレース6とワンウェイクラッチ5を介して接続されるリングギア4と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記軸受3と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記アウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー70を構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシー70を前記クランクシャフト2の外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール7とを前記サブアッシー70を介して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、エコランシステムをサブアッシー70として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。
【実施例6】
【0115】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図19及び図20を用いて説明する。
【0116】
エコランシステム(図19の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー80として組付け後に、該サブアッシー80を内燃機関始動装置内に組付けて位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー80をクランクシャフト2に締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0117】
まず、図20の(a)、(b)に示すサブアッシー化工程では、アウターレース6の内側に、前方に突出した軸受の内輪6eが一体化(一体成形)されたアウターレース6に、ボール部を介して外輪30bを設けて軸受30を形成している。こうしてアウターレース6と軸受30とが一体化して構成されている。そして、軸受30の外輪30bの外周部の後部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向一端である後端を係止する係止手段であるスナップリングBを組付ける。続いて、アウターレース6とリングギア4との間にワンウェイクラッチ5を介装しつつ、軸受30の外周部にリングギア4の内周部を挿通し、軸受30の外輪30bの外周部の前部に設けた外周溝に、リングギア4の内周の軸方向他端である前端を係止する係止手段であるスナップリングAを組付けて固定し、軸受30にリングギア4を取り付ける。こうしてスナップリングA・Bにより軸受30と一体的に組付けたリングギア4と,アウターレース6とをワンウェイクラッチ5を介して一体的に組付け、サブアッシー80を構成する。
なお、上述したように本実施例ではリングギア4の内周の軸方向一端を後端とし、リングギア4の内周の軸方向他端を前端としている。
【0118】
次に、位置決め工程では、前記サブアッシー80(アウターレース6)の中央部に設けた挿通孔6b(図20(b))にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、サブアッシー80をクランクシャフト2の外周に嵌合させて、位置決めを行う。
【0119】
次に、図20の(c)に示す締結工程では、フライホイール7の中央部7aに設けた挿通孔(図示せず)にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、フライホイール7の前端部をサブアッシー80(アウターレース6)の後端部に当接して、該アウターレース6の中心部6aがクランクシャフト2とフライホイール7との間に挟持された状態で、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。すなわち、サブアッシー80及びフライホイール7の中央部7aが、クランクシャフト2に、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0120】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、軸受30と一体化され、前記クランクシャフト2の外周に嵌合されるアウターレース6と、前記軸受30の外周に固定され、前記アウターレース6とワンウェイクラッチ5を介して接続されるリングギア4と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記軸受30と一体化されたアウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー80を構成し、該サブアッシー80をクランクシャフト2に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー80として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受3とアウターレース6の一体化によって、部品点数が削減される。
【0121】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、軸受3と一体化され、前記クランクシャフト2の外周に嵌合されるアウターレース6と、前記軸受30の外周に固定され、前記アウターレース6とワンウェイクラッチ5を介して接続されるリングギア4と、前記クランクシャフト2に前記アウターレース6を介して締結部材であるボルト8により一体的に固定されるフライホイール7と、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチ5と、前記軸受30と一体化されたアウターレース6と、を一体的に組付けてサブアッシー80を構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシー80を前記クランクシャフト2の外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2と前記フライホイール7とを前記サブアッシー80を介して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、エコランシステムをサブアッシー80として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受3とアウターレース6の一体化によって、部品点数が削減される。
【実施例7】
【0122】
次に、内燃機関始動装置内に、エコランシステムを組付ける組付構造及び組付方法の別実施例について図21及び図22を用いて説明する。
【0123】
エコランシステム(図21の点線部)を内燃機関始動装置内に組付ける場合において、全体の工程としては、まず、サブアッシー化工程において予めエコランシステムをサブアッシー90として組付け後に、該サブアッシー90を内燃機関始動装置内に組付けて位置決めする位置決め工程、続いてサブアッシー90をクランクシャフト2に締結する締結工程、という流れとなる。以下に各工程について具体的に説明する。
【0124】
まず、図22の(a)、(b)に示すサブアッシー化工程では、ワンウェイクラッチが一体化して構成されている軸受35の外周にリングギア4を圧入する。そして、アウターレース26と一体化(一体成形)したフライホイール27の内側突出部26aの外周に、軸受35及びリングギア4の軸方向一端となる後端をアウターレース26の内側面に当接するようにして嵌合させる。軸受35の内周面と前記内側突出部26aの外周面とは、内側突出部26aの外周前部に設けた外周溝に軸受35の内輪35aの軸方向一端である前端を係止するスナップリングDを組付けることで、軸受35本体が回転しないように固定されて一体化される。こうしてスナップリングDによりリングギア4を圧入した軸受35と、アウターレース26が一体化したフライホイール27とを一体的に組付け、サブアッシー90を構成する。
なお、上述したように本実施例では軸受35及びリングギア4の軸方向一端を前端とし、軸受35及びリングギア4の軸方向他端を後端としている。
【0125】
次に、位置決め工程では、前記サブアッシー90(フライホイール27)の中央部に設けた挿通孔27b(図22(b))にクランクシャフト2の後部突出部2cを挿通し、サブアッシー90をクランクシャフト2の外周に嵌合させて、位置決めを行う。
【0126】
次に、図22の(c)に示す締結工程では、サブアッシー90(フライホイール27の中心部27a)がクランクシャフト2に、締結部材であるボルト8によって一体的に締結固定される。
以上により、内燃機関始動装置内にエコランシステムを搭載する工程が終了する。
【0127】
このような工程により、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2に締結部材であるボルト8により一体的に固定される、アウターレース26と一体化したフライホイール27と、ワンウェイクラッチと一体化した軸受35と、該軸受35の外周に圧入されるリングギア4と、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受35と、前記アウターレース26と一体化したフライホイール27と、を一体的に組付けてサブアッシー90を構成し、該サブアッシー90をクランクシャフト2に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造とすることで、エコランシステムをサブアッシー90として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受35とワンウェイクラッチの一体化、及びアウターレース26とフライホイール27の一体化によって、部品点数が削減される。
【0128】
また、内燃機関のクランクシャフト2と、前記クランクシャフト2に締結部材であるボルト8により一体的に固定される、アウターレース26と一体化したフライホイール27と、ワンウェイクラッチと一体化した軸受35と、該軸受35の外周に圧入されるリングギア4と、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、前記リングギア4と、前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受35と、前記アウターレース26と一体化したフライホイール27と、を一体的に組付けてサブアッシー90を構成するサブアッシー化工程と、該サブアッシー90を前記クランクシャフト2の外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、前記クランクシャフト2に前記サブアッシー90を嵌合して締結部材であるボルト8により締結する締結工程とを含む内燃始動機関の組付方法を適用することで、エコランシステムをサブアッシー90として組付け可能にする。さらに、インナーオイルシールの局所リークが可能となる。また、アウター、インナーオイルシールリップめくれが検知可能となる。また、オイルシール径変更なしで対応可能となる。また、軸受35とワンウェイクラッチの一体化、及びアウターレース26とフライホイール27の一体化によって、部品点数が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】実施例1に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図2】実施例1に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図3】アウターレースとリングギアとの隙X及びスラストメタルとリングギアとの隙Yを示す断面模式図。
【図4】実施例2に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図5】実施例2に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図6】実施例2に係るリングギアの位置決め状態を示す断面模式図。
【図7】アウターレースとリングギアとの隙X及びスナップリングCの隙Zを示す断面模式図。
【図8】スナップリング取外し用穴を設けたリングギアを示す断面模式図。
【図9】スナップリングの取外し工程を示す断面模式図。
【図10】テーパ状の案内部を有するリングギアの別実施例を示す断面模式図。
【図11】テーパ状の案内部を有する軸受によりリングギアを案内する工程を示す断面模式図。
【図12】図11のE矢視図。
【図13】実施例3に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図14】実施例3に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図15】実施例4に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図16】実施例4に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図17】実施例5に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図18】実施例5に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図19】実施例6に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図20】実施例6に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図21】実施例7に係る内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図22】実施例7に係る内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【図23】従来の内燃機関始動装置の組付構造を示す断面模式図。
【図24】従来の内燃機関始動装置の組付方法を示す断面模式図。
【符号の説明】
【0130】
2 クランクシャフト
3・30・35 軸受
4・40 リングギア
4d 後端
3d・4e・40b 案内部
3e・4f 係合溝
5 ワンウェイクラッチ
6・16・26 アウターレース
6c 前端
7・17・27 フライホイール
8 ボルト
9 スラストメタル
10・20・50・60・70・80・90 サブアッシー
14 ツバ部
15 カラー
A・B・C・D スナップリング
X・Y・Z 隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のクランクシャフトと、
該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと、を一体的に組付けて構成されるサブアッシーと、
前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項2】
前記位置決め手段が、
前記軸受の外周に設けられ前記リングギアの内周の軸方向一端を係止する係止手段と、
前記アウターレースの前記リングギアの軸方向他端に対向する位置に設けられた、前記リングギアの後方への移動を規制する規制手段と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項3】
前記リングギアの内周の軸方向一端を前記係止手段により係止した状態において、前記アウターレースの前端と前記リングギアとのストラス方向の隙Xと、前記規制手段と前記リングギアの軸方向他端とのストラス方向の隙Yとの関係が隙X>隙Yであることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項4】
前記係止手段が、スナップリングであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項5】
前記位置決め手段が、
前記リングギアもしくは前記軸受に設けられた係合溝と、
該係合溝に係合して前記リングギアを位置決め固定する係合手段と、
前記リングギア前端側の内周角部もしくは前記軸受後端側の外周角部をテーパ状に形成した前記係合手段を案内する案内部と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項6】
前記係合溝の前端が、前記係合手段の前端と当接した状態において、前記アウターレースの前端と前記リングギアとのストラス方向の隙Xと、前記係合手段の後端と前記係合溝の後端との隙Zとの関係が隙X>隙Zであることを特徴とする請求項5に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項7】
前記係合手段が、スナップリングであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項8】
内燃機関のクランクシャフトと、
該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと、
前記リングギアの後方への移動を規制する規制手段を設けたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
前記リングギアの内周の軸方向一端をスナップリングにより係止し、かつ前記リングギアの軸方向他端を前記規制手段により規制して、前記サブアッシーを前記軸受を圧入した前記クランクシャフトに組付けて、前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項9】
前記規制手段が、スラストメタルであることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項10】
内燃機関のクランクシャフトと、
該クランクシャフトの外周に圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギア前端側の内周角部にテーパ状の案内部を形成し、前記リングギアの内周面に係合溝を設けたリングギアと、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
前記案内部によりスナップリングを縮径しつつ案内して前記係合溝に係合固定し、前記サブアッシーを前記軸受を圧入した前記クランクシャフトに組付けて、前記軸受の外周部で前記サブアッシーのリングギアのスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとをサブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項11】
内燃機関のクランクシャフトと、
該クランクシャフトの外周に挿入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと、を一体的に組付けて構成されるサブアッシーと、
前記クランクシャフトの外周部で前記サブアッシーの軸受のスラスト方向の位置決めを行う位置決め手段と、を備えることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項12】
前記位置決め手段が、
前記クランクシャフトの外周に設けられ前記軸受の内周の軸方向一端を係止する係止手段と、
前記アウターレースの前記軸受の軸方向他端に対向する位置に設けられた、前記締結部材の締結時の軸力により自ら塑性変形して前記軸受を位置決め固定する固定手段と、から構成されることを特徴とする請求項11に記載の内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項13】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、
前記アウターレースに圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアと前記アウターレースとの間に介装されるワンウェイクラッチと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項14】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、
該アウターレースに圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項15】
内燃機関のクランクシャフトと、
軸受と一体化され、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、
前記軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと、
前記軸受と一体化されたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項16】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、
ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、
該軸受の外周に圧入されるリングギアと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付構造であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、
前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成し、該サブアッシーをクランクシャフトに組付けてなることを特徴とする内燃機関始動装置の組付構造。
【請求項17】
内燃機関のクランクシャフトと、
該クランクシャフトの外周に挿入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアにワンウェイクラッチを介して接続されるアウターレースと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記軸受を位置決め固定する固定手段を設けたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
前記サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して、前記軸受の内周の軸方向一端をクランクシャフトの外周に設けられたツバ部により係止し、かつ前記軸受の軸方向他端を前記固定手段に当接させて、前記クランクシャフトの外周部で前記サブアッシーの軸受のスラスト方向の位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結して、前記固定手段を軸力により塑性変形させて固定を行う締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項18】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、
前記アウターレースに圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定されるリングギアと、
前記リングギアと前記アウターレースとの間に介装されるワンウェイクラッチと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項19】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、
該アウターレースに圧入される軸受と、
該軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記軸受と、
前記ワンウェイクラッチと、
前記アウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項20】
内燃機関のクランクシャフトと、
軸受と一体化され、前記クランクシャフトの外周に嵌合されるアウターレースと、
前記軸受の外周に固定され、前記アウターレースとワンウェイクラッチを介して接続されるリングギアと、
前記クランクシャフトに前記アウターレースを介して締結部材により一体的に固定されるフライホイールと、を組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと、
前記軸受と一体化されたアウターレースと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトと前記フライホイールとを前記サブアッシーを介して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。
【請求項21】
内燃機関のクランクシャフトと、
前記クランクシャフトに締結部材により一体的に固定される、アウターレースと一体化したフライホイールと、
ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、
該軸受の外周に圧入されるリングギアと、を一体的に組付けてなる内燃機関始動装置の組付方法であって、
前記リングギアと、
前記ワンウェイクラッチと一体化した軸受と、
前記アウターレースと一体化したフライホイールと、を一体的に組付けてサブアッシーを構成するサブアッシー化工程と、
該サブアッシーを前記クランクシャフトの外周に嵌合して位置決めを行う位置決め工程と、
前記クランクシャフトに前記サブアッシーを嵌合して締結部材により締結する締結工程とを含むことを特徴とする内燃機関始動装置の組付方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2009−52735(P2009−52735A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12008(P2008−12008)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】