説明

内蔵痛知覚を評価するための動物モデル

バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールの内蔵痛を測定するための動物モデル。移植可能なセンサーモジュールは、試験動物の内蔵運動と偽感情的応答の両方を受け取るように組み立てられている。特に、バルーンカテーテルは好ましくは試験動物の十二指腸内に移植される移植可能なバルーンカテーテルであり、そして移植可能なセンサーは少なくとも1個の双極電極対と少なくとも1個の血液カテーテルからの入力信号を受け取るように組み立てられている。また、該動物を作成する方法ならびに該動物を作成する方法において使用するためのバルーンカテーテルおよび移植可能なセンサーモジュールを含んでなるキットが記述される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールの手段によって内蔵痛を測定するための動物モデルに関する。本発明による移植可能なセンサーモジュールは、試験動物の内蔵運動と偽感情的(pseudoaffective)応答の両方を受け取るようにセットされている。特に本発明は、バルーンカテーテルが好ましくは試験動物の十二指腸内に移植される移植可能なバルーンカテーテルであり、そして移植可能なセンサーが少なくとも1個の双極電極対と少なくとも1個の血液カテーテルからの入力信号を受け取るように組み立てられている非ヒト動物モデルを提供する。特にこの双極電極は、内蔵運動の応答、特に腹筋の筋電図を受け取るように組み立てられ、そして血液カテーテルは、腹部大動脈の平均動脈圧と心拍数を記録するように組み立てられる。
【0002】
かくして、本発明のさらなる目的は、該動物を作成する方法ならびに該動物を作成する方法において使用するためのバルーンカテーテルおよび移植可能なセンサーモジュールを含んでなるキットを提供することである。
【背景技術】
【0003】
疼痛研究に関する国際協会(the International Association for the Study of Pain)は、疼痛を次のように定義している:「疼痛は、実存または潜在する組織損傷に関連するか、またはそのような損傷の面から記述される不快な感覚および感情的経験である(非特許文献1)」。しかしながら、問題は、疼痛が動物では直接測定することができないが、侵害受容器の刺激に対するそれらの応答を検査することによってのみ評価できることである。侵害受容(nociception)のほとんどのモデルは、もっとも基本的な運動反射から一層より統合された行動(逃避、回避)までの範囲の疼痛に対する行動的応答に基づいている。腹部疼痛に関するさらなる問題は、それが、定量化可能なかつ再現性のある方法で記録するのが困難である呼吸、心拍数(HR)および平均動脈圧(MAP)における変化を含む、乏しい局在性、腹部痙攣(内蔵運動応答)および自律的(偽感情的)応答を特徴とすることである。
【0004】
痛覚鋭敏性身もだえ(writhing)モデルは動物における内蔵痛を研究するためにもっとも普通に使用されてきた(非特許文献2)。このモデルでは、痛覚鋭敏性溶液が覚醒動物に腹腔内注射され、そして身もだえ(胴の伸張、背の弓なりの反り(concave arching)を伴う後肢の過伸展および腹部の攣縮)の数が記録される。倫理的束縛により、単独の動物における反復調査は実施することができないので、鎮痛剤に対する寛容の発達を調査することの困難をさらに強くする。さらにまた、このモデルは逃避可能性、特異性を欠如し、そしてヒトの病理とは関係がない。内蔵の機械的に誘導した刺激(空の内蔵の膨張)は自然の内蔵刺激を再現し、これがヒトにおける内蔵痛をより密接に模倣し、そして動物において嫌悪であることが見いだされている(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。これらの内蔵痛モデルは、覚醒動物におけるMAPとHRにおける増加を含む定量化可能な偽感情的反射を生じる(非特許文献6;非特許文献7)が、これらはある種の麻酔薬によって弱められるか、または逆転さえされる(非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)
Colburnら(非特許文献11)は、震え(shaking)、探り(exploring)、腹部領域の毛づくろい、伸張(stretching)または静止(immobility)のような疼痛に対する行動的応答を記録し、そして腹部の攣縮の発生を記録することによって、知覚のある自由に運動するラットにおいて容積を固定した十二指腸の膨張に対する内蔵応答を研究した。彼らは膨張容積と腹部痙攣の頻度との間の累進的な関係を例証した。さらにまた、彼らは十二指腸の膨張に対する内蔵運動応答が用量依存様式でモルフィンによって抑制されることを示した。
【0005】
機械的膨張に対する内蔵運動応答を研究するためのより定量化可能でかつ再現性のあるモデルを得るために、いくつかの研究グループは腹部の筋電図(EMG)を記録している。多くは、電極電線が腹部または首部の筋組織中に挿入され、そして動物の背に外部固定(exteriorize)され、そこからEMG記録のためのインク式筆記具またはコンピューターに接続された。これらの研究は、知覚的に抑制した(restrained)(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14)か、または軽く麻酔した(非特許文献15)ラットにおいて実施されて、噛むことによるバルーンカテーテルと電極導線の外部固定部分の損傷を防ぐか、または付加的な体の運動(探り、毛づくろいのような)によって誘導されるバックグラウンドのEMGノイズを最小した。しかしながら、これらの研究では、内蔵痛に対する両内蔵運動および偽感情的応答は麻酔(非特許文献16;非特許文献17)および/または(拘束/ハンドリング)ストレス(非特許文献18)の存在によって影響される。
【0006】
したがって、新しい製薬学的化合物の鎮痛薬特性を解析するために腹部侵害受容の動物モデルを有することは興味あることであり、この場合、そのような内蔵痛モデルの有用性は次の基準によって決定される(非特許文献19;非特許文献20):(1)刺激は自然の刺激を可能な限り十分再現すべきであり、そしてヒトにおいて疼痛を生じなければならない、(2)刺激は嫌悪的な動物行動(逃避、撤退、回避)を誘導しなければならない、(3)刺激は内蔵痛に対する応答においてヒトでの応答に合致する偽感情的応答を惹起しなければならない、(4)刺激に対する応答は抗侵害受容操作によって調節されねばならない、(5)応答は定量化可能かつ再現性がなくてはならない、および(6)モデルは可能な限り非侵入的であり、そして麻酔動物において使用できなければならない。
【0007】
前記モデルのすべてはこれらの要件に部分的にしか合致しない。かくして、本発明の目的は、内蔵痛を研究するための新規動物モデルであって、特に、それが鎮痛薬特性の両急性および慢性的解析のために使用することができ、そしてそれが知覚のある自由に運動する動物において、両内蔵運動(腹部EMG)および偽感情的応答(MAPおよびHR)の同時かつ連続的測定を可能にすることを特徴とする動物モデルを提供することである。
【0008】
本発明は、十二指腸の膨張を与えるために十二指腸内に慢性的に移植されたバルーンカテーテルならびにそれぞれ内蔵運動(腹部EMG)および偽感情的応答(MAPおよびHR)の同時かつ連続的遠隔測定のために双極電極対および血液カテーテルに接続される慢性的に移植された送信器を使用することによってこの問題を解決する。
【非特許文献1】Mertz 1979
【非特許文献2】Reichert,Daughters et al.2001
【非特許文献3】Gebhart and Ness 1991
【非特許文献4】Randich et al.1991
【非特許文献5】Bielefeldt et al.2002
【非特許文献6】Danzebrink and Gebhart 1990
【非特許文献7】Danzebrink and Gebhart 1991
【非特許文献8】Ness and Gebhart 1988
【非特許文献9】Diop,Riviere et al.1994
【非特許文献10】Ness 1999
【非特許文献11】Colburn and colleagues(1989)
【非特許文献12】Friedrich and Gebhart 2000
【非特許文献13】Bielefeldt,Sengupta,and Gebhart 2002
【非特許文献14】Bradest,Eutamene et al.2002
【非特許文献15】Ness,Lewis−Sides et al.2001
【非特許文献16】Ness and Gebhart 1988
【非特許文献17】Ness 1999
【非特許文献18】Coutinho,Plotsky et al.2002
【非特許文献19】Ness and Gebhart 1990
【非特許文献20】Gebhart and Sengupta, 1996
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールの手段によって内蔵痛を測定するための動物モデルに関する。移植可能なセンサーは、使用者の状態を連続的にモニターすることができる身体の外側の装置に内蔵痛に関するデータを伝達することができ、そして好ましくは双極電極対および血液カテーテルから、同時または連続的いずれでも複数の入力信号を受け入れることができる。それだけで、このモデルは非ヒト動物において連続的かつ同時に内蔵痛に対する内蔵運動および偽感情的応答を測定するのに十分な道具を提供する。
【0010】
さらなる実施態様では、本発明は、内蔵痛を測定する動物モデルを作成する方法において使用するためのバルーンカテーテル、移植可能な遠隔測定センサーモジュール、双極電極対および血液カテーテルを含んでなるキットを提供する。また本発明の目的は、前記動物モデルにおいて使用のためのバルーンカテーテルを提供することである。
【0011】
かくして、本発明のさらなる目的は、該動物の十二指腸内にバルーンカテーテルを移植し;そして遠隔測定センサーモジュールが少なくとも1個の双極電極対と少なくとも1個の血液カテーテルからの入力信号を受け取るように組み立てられている該遠隔測定センサーモジュールを該動物の腹腔内に移植することを含んでなる、内蔵痛を測定する動物モデルを作成する方法を提供する。
【0012】
本発明は、バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールの手段によって内蔵痛を測定するための動物モデルに関する。移植可能なセンサーは、使用者の状態を連続的にモニターすることができる身体の外側の装置に内蔵痛に関するデータを伝達することができ、そして好ましくは双極電極対および血液カテーテルから、同時または連続的いずれでも複数の入力信号を受け入れることができる。それだけで、このモデルは、非ヒト動物において連続的かつ同時に内蔵痛に対する内蔵運動および偽感情的応答を測定するのに十分な道具を提供する。特にそれは、バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールを含んでなる内蔵痛を測定するための非ヒト動物モデルに関する。好ましくは、両バルーンカテーテルおよびセンサーモジュールが該動物において慢性的に移植されている非ヒト動物。好ましくは、バルーンカテーテルは十二指腸内に移植され、そしてセンサーモジュールは双極電極対および血液カテーテルに接続される。
【0013】
本モデルにおいて使用されるバルーンカテーテルは移植可能なバルーンカテーテルであって、このバルーンカテーテルが、生物適合性材料、例えばポリ−パラ−キシリレン、ポリエチレン、天然もしくは合成ゴム、シリコーンという非免疫原性高分子材料または免疫原性薬剤の通過を阻止するのに効果的な多孔度をもつ膜部分を有する他の芳香族化合物に基づく部分からなることを特徴とする。本発明のバルーンカテーテルは一端を弾性材料(2)で閉じた生物適合性チューブ材(tubing)(1)からなる。本発明の方法にしたがって動物へのバルーンカテーテルの導入を改良するために、弾性材料はチューブの末端(4)から最も近い位置(3)で生物適合性チューブ材に取り付けられている。弾性材料の放射状膨張を増強するためのさらなる改良では、弾性材料はまた生物適合性チューブ材の末端(5)に取り付けられ、そして該チューブ材末端は堅く密閉される(6)。この最後の配置においてバルーンの膨張を可能にすることは、結合点(3)から遠い方のチューブ材の末端の多数の穴(7)から予見される。本発明によるバルーンカテーテルのさらなる特徴は、腸管の蠕動運動によるカテーテルの動きを防ぐために、それが固定手段を含んでいることである。該固定手段は動物の胃壁にチューブ材を固定させるためにチューブの末端から最も近くに位置される。好適な実施態様では、固定手段は2個の節(8)からなる。
【0014】
チューブ材の直径と長さは使用される試験動物によって決定される。本発明による方法では、移植可能なバルーンカテーテルは試験動物の十二指腸中に導入されるので、チューブ材の長さは、該動物の十二指腸から胃壁を経て、それが近づきやすいように固定される頭蓋(skull)まで到達するのを可能にしなければならない。例えば、ラットではチューブ材の長さは、外径2〜2.5cmをもつ15〜50cm、好ましくは20〜30cmであろう。
【0015】
かくして、本発明のさらなる目的は、弾性材料がチューブの末端(4)から最も近い位置(3)で生物適合性チューブ材に取り付けられていることを特徴とする、一端を弾性材料(2)で閉じた生物適合性チューブ材(1)からなるバルーンカテーテルを提供することである。さらなる実施態様では、弾性材料はまた生物適合性チューブ材の末端(5)に取り付けられ、そして該チューブ材末端は堅く密閉され(6)、さらに、結合点(3)から遠い方に多数の穴(7)を含有する。特定の態様では、バルーンカテーテルはさらに、動物の胃壁にチューブ材を固定させるためにチューブの末端から最も近くに位置される固定手段を含有する。好適な実施態様では、固定手段は2個の節(8)からなる。
【0016】
本発明にしたがって動物モデルにおいて使用できる経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールは、当該技術分野において既知である。例えば、移植され、心臓に連結される場合、ペースメーカーに結合された電極をとおして心電活性をモニターできるペースメーカーが利用されている。電極は電気ポテンシャルセンサーとして機能し、そしてペースメーカーは、センサーの信号を緩衝化(buffer)し、それをフォーマット化(format)し、次いで、フォーマット化した信号を双方向高周波(RF)通信リンク(bi−directional radiofrequence(RF)communication link)の方法によって外部の通信モジュールに伝達する。遠隔測定した信号がモニターされ、そして外部モジュールをとおして処理される。
【0017】
さらに、8個までの個々のパラメーターの連続または同時測定を可能にする移植した遠隔測定デバイスにより2つ以上の機能の可能性(enablement)を提供することは当該技術分野において既知である。本発明による動物モデルでは、移植可能なセンサーモジュールは連続または同時いずれでも複数の入力信号を受け入れることができる。好適な実施態様では、センサーモジュールは少なくとも2個の入力ポートを含有し、そして少なくとも1個の双極電極対と少なくとも1個の血液カテーテルに連結されている。より好適な実施態様では、センサーモジュールは、腹筋の筋電図測定のための双極電極対に連結され、そして大腿動脈をとおして腹部大動脈の平均動脈圧と心拍数を記録するように組み立てられた血液カテーテルに連結される。本明細書で使用されるような移植可能なセンサーモジュールはセンサーモジュールの出力信号を検出し、そして出力グラフィックデバイスを作動させるために適当な出力信号に復調する外部モジュールを必要とすることは熟達者には容易に理解できる。例えば、経時的に電流の振幅における変動を記録するためのレコーダー。
【0018】
かくして、本発明の目的は、バルーンカテーテル、バルーンカテーテルの最も近い末端をとおして膨張媒質の測定された容積を導入するための手段、経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーおよび遠隔測定した信号をモニターし、処理することができる外部モジュールを含んでなる、内蔵痛を測定するためのシステムを提供することである。バルーンカテーテルが試験動物の十二指腸内に移植され、そして移植可能なセンサーモジュールが試験動物の内蔵運動(EMG)と偽感情的(MAP,HR)応答の両方を受け取るように組み立てられているシステム。特定の態様では、システムは、腹筋の筋電図測定のための双極電極対に連結され、そして大腿動脈をとおして腹部大動脈の平均動脈圧と心拍数を記録するように組み立てられた血液カテーテルに連結された電波遠隔測定(radiotelemetric)デバイスを含有する。前記システムにおいて使用されるバルーンカテーテルは、典型的には、弾性材料がチューブの末端(4)から最も近い位置(3)で生物適合性チューブ材に取り付けられていることを特徴とする、一端において弾性材料(2)で閉じられた生物適合性チューブ材(1)からなる。さらなる実施態様では、弾性材料はまた生物適合性チューブ材の末端(5)に取り付けられ、そして該チューブ材末端は堅く密閉され(6)、さらに、取り付け点(3)から遠い方に多数の穴(7)を含有する。特定の態様では、バルーンカテーテルはさらに、動物の胃壁にチューブ材を固定させるためにチューブの末端から最も近くに位置される固定手段を含有する。好適な実施態様では、固定手段は2個の節(8)からなる。膨張媒質の測定された容積を導入するための手段は、典型的には、サーボシステムまたはステッパー(stepper)モーターの制御下で作動させられる流体注入ポンプを含む注射器を含み、この場合、膨張媒質は典型的には無菌で比較的気泡を含まず、かつ実質的に非圧縮性の流体、例えば普通の(normale)生理食塩水である。本発明において、膨張媒質の容積は0.05〜1.00mlの範囲、好ましくは0.1〜0.6mlの範囲内である。
【0019】
さらなる実施態様では、本発明は、内蔵痛を測定するための動物モデルを作成する方法において使用するための、バルーンカテーテル、移植可能なセンサーモジュール、双極電極対および血液カテーテルを含んでなるキットを提供する。場合によっては、さらに遠隔測定した信号をモニターし、処理することができる外部モジュールおよび/または膨張媒質の測定容積を導入するための手段を含む。特定の態様では、キットは本発明によるバルーンカテーテルを含有し、そして移植可能な遠隔測定センサーモジュールは連続または同時いずれでも複数の入力信号を受け入れることができ、そして経皮的に遠隔測定する機能を有する。好適な実施態様では、センサーモジュールは少なくとも2個の入力ポートを含有する。
【0020】
かくして、本発明のさらなる目的は、該動物の十二指腸内にバルーンカテーテルを移植し;そして遠隔測定センサーモジュールが少なくとも1個の双極電極対と少なくとも1個の血液カテーテルからの入力信号を受け取るように組み立てられている該遠隔測定センサーモジュールを該動物の腹腔内に移植することを含んでなる、内蔵痛を測定する動物モデルを作成する方法を提供する。本発明による動物モデルを作成する方法では、バルーンカテーテルは、移植可能なバルーンカテーテルの固定手段(8)を用いて試験動物の胃壁に固定される。本発明による動物モデルを作成する方法では、移植可能なバルーンカテーテルの生物適合性チューブ材(1)は、それが近づきやすいように固定される試験動物の頭蓋まで、好ましくは皮下に案内される。好適な実施態様では、チューブ材の末端は、注射器コネクター、好ましくは市販されている90°ループをもつコネクターに固定される。注射器のコネクターは、例えば歯科用セメントを用いて、試験動物の頭蓋に固定(fixate)される。本発明による動物モデルの作成方法では、双極電極対の電極はEMG測定のために腹筋中に縫合される。本発明による動物モデルの作成方法では、血液カテーテルは好ましくは大腿動脈をとおして腹部大動脈中に潜り込ませられる。
【0021】
本発明は次に示す実験の詳細を参照してより良好に理解できるが、当業者は、以降に示す請求項においてより完全に記述されるように、これらの実験の詳細が本発明の単なる例示であることを容易に評価できる。さらに、本明細書を通じて、種々の公表物が引用される。これらの公表物の開示は、本発明が属する当該技術の状態をより完全に記述するべく本明細書中に引用によってここに組み入れられている。
【実施例】
【0022】
実験
材料および方法
動物
実験開始時に体重280〜300gである実験に未使用のオス・アルビノWistarラット(WU;Harlan,The Netherlands)が使用された。ラットは、一定の周囲温度(21±1℃)、一定湿度(60±15%)および明/暗リズム(7a.m.から7p.m.まで点灯)の条件下、木材削り屑の層を含有するMacronの個別換気ケージ(25x40x40x22cm)において個々に飼われた。手術後、動物は手術前の条件下で個々に飼われた。食餌(完全実験室餌料(chow))および水は、実験を通じて自由に摂取された。
【0023】
外科手術
ラットは、十二指腸の膨張を誘導するために十二指腸内にバルーンカテーテルを、そして腹部の筋電図(EMG)、平均動脈圧(MAP)、心拍数(HR)および身体活動(body activity)を研究するために遠隔測定送信器を装着された。手術は、フェンタニル/フルアニゾーン(fluanisone)麻酔(Hypnorm(R),Janssen Pharmaceutica,Beerse,Belgium;0.1ml/100g体重(BW),筋肉内)および筋弛緩剤として塩酸ミダゾラム(Midazolam)(Dormicum(R),Hofman−LaRoche,Mijdrecht,The Netherlands;0.05ml,腹腔内(ip))の下で実施された。筋弛緩剤が注射される前に、ラットにおいてフェンタニル麻酔の鎮痛効果がその足および角膜反射の欠如をチェックすることによって試験された。通常、疼痛応答の完全欠如は10分後に現れ、次いで筋弛緩剤が注射された。外科手術は感染の危険を最小にするために無菌層流キャビネット内で実施された。縦の小切開が腹の前部の白線において行われた。自家製のシリコーン・バルーンカテーテル(i.d.1.02mm/o.d.2mm)が、若干の改変のある、Colburnら(1989)によって記述された操作にしたがって十二指腸内に慢性的に移植された(参照、図1)。小切開(3mm)がカテーテルの挿入のために胃壁に作られ、次にこのカテーテルは、十二指腸中に案内されて丁度バルーンカテーテル上の小さい節が胃壁を横断するようにした。次いで、胃壁はカテーテルを固定するために2つの節の間で固く縫合された。バルーンカテーテルの他方の末端は頭蓋まで皮下に潜り込ませ、ここでそれは90°ループをもつコネクター(Bilaney,Dusseldorf,Germany)に固定された。それは歯科用セメント(Dentimex,BV,Zeist,The Netherlands)により頭蓋に固定された。双極電極対と血液カテーテルからなる遠隔測定送信器(TL11M2−C50−PXT,Data Sciences International,St.Paul,USA)は、ラットの腹腔内に慢性的に移植された。電極の非絶縁チップ(ステンレス鋼ワイヤーの螺旋;φ0.45mm,8mm)が、EMG測定のために腹筋中に並行に(電極間の隙間5mm)縫合され、一方、血液カテーテルはMAPとHRを記録するために大腿動脈をとおして腹部大動脈まで潜り込ませた。手術後に、動物は長期作用するアヘン鎮痛剤塩酸ブプレノルフィン(Temgesic(R),Reckitt & Colman,Kingston−upon−Hull,UK;0.1ml,皮下)を受けた。
【0024】
実験計画
ラット(n=14)は外科的に十二指腸バルーンカテーテルと遠隔測定送信器を装着され、そして12日間手術から回復させた。回復期間中、動物は体重測定と慣らし目的のために毎日手で扱われた。ラットは実験操作に慣らされた(実験前2回)。実験の間、EMG、身体活動、MAPおよびHRを、十二指腸膨張の前(基準線)、間および後に同時および連続して記録した。基準値は30秒記録された。続いて、ラットは、300(階段(staircase) n=7)または690(位相(phasic) n=7)秒の容積固定の十二指腸膨張プロトコールを受けた(下記参照)。その後、後記録がその他に120(階段)または300(位相)秒実施された。
【0025】
本研究者らのモデルを評価するために、さらなる実験がラットの新たな群を用いて実施された。位相十二指腸膨張の30分前に、ラットはモルフィン(0.3(n−8),1.5(n−7)または3(n−8)mg/kg体重)または生理食塩水(n−8)をip注射された。
【0026】
このモデル(以降、受動的回避試験と呼ばれる)を評価する最終実験では、12匹のラットが外科的に十二指腸バルーンカテーテルを装着され、そして12日間手術から回復させた。これらの動物は体重測定と慣らし目的のために毎日手で扱われた。受動的回避試験では、台を降りる(step−down)までの潜伏時間が記録された。
【0027】
全実験は、8a.m.〜12p.m.間の24時間周期の照明期においてホームケージで実施された。実験後、全ラットはペントバルビタール(Nembutal(R),Sanofi,Belgium;60mg/ml,ip)の過剰用量(0.5ml)によって殺され、解剖され、そして感染について肉眼的に点検された。いずれの動物においても何らの感染兆候も見いだせなかった。
【0028】
十二指腸の膨張
可変の容積を固定した膨張が、ラットを拘束することなくホームケージの外側から与えられるように、基準線の記録前45分に、バルーンカテーテルの頭蓋コネクターが、注射器を備えた流体を満たした長い導管(long−line)(1m;ポリエチレンチューブ材,Becton Dickinson,UK)に接続された。この慣らし期間中、ラットは眠ったままであり、そこでストレスのない基準線記録が開始された。2つのプロトコールが使用された:1)階段膨張:バルーンは0.1から始まって0.6mlまで、0.1mlづつ(各30秒)の容積を増加しつつ膨張された;2)位相膨張:5分の膨張させない間隔を休止しつつ30秒間0.1,0.3および0.5mlの膨張。
【0029】
行動測定
実験の間、ホームケージにおいて十二指腸膨張に対する行動応答が実験者によって記録された。次の行動スコアが使用された:睡眠、覚醒、敏捷、震え、探り、腹部領域の毛づくろい、腹部の攣縮、伸張行動(胴の伸張および背の弓なりの反りを伴う後肢の過伸展)および静止。階段モデルでは、不快(震え、探り)および/または疼痛(腹部領域の毛づくろい、伸張および静止)行動を含む閾値(膨張容積(ml))が決定された。
【0030】
受動的回避試験
十二指腸膨張が嫌悪として知覚されたか否かを評価するために、ラット(n=12)を受動的回避試験に曝露した。1日目に、ラットを大きい広場(φ80cm)内に位置する小さい台上に置いた。ラットが台を降りた時に、それを広場から除いた。慣らしの目的では、この操作が各ラットについて10分間隔で9回の学習足跡(trail)において反復された。ラットが台から降りなかった場合には、それを150秒後に除いた。翌日、同じラットを同じ操作に従わせる(膨張なし、対照群;n=6)か、または台を降りた直後に5秒間0.6mlの十二指腸膨張を受けさせた(n=6)。この操作が各ラットについて10分間隔で9回の学習足跡において反復された。台を降りる潜伏時間の増加が疼痛知覚の増大についての指示として使用できる。
【0031】
遠隔測定
身体活動は、動物がケージを動き回るにつれて発生する送信器の信号強度における変化を検出することによって遠隔測定により測定された。EMG、身体活動、MAPおよびHRは、データ取得プログラムART2.2(Data Sciences International,St.Paul,USA)によって登録された。生のEMG活性が波形(1000Hzの周波数において)として連続的に収集され、50Hz以下を濾波して運動の混信を除き、そしてSpike2、バージョン4.11(Cambridge Electronic Design,Cambridge,UK)によって完全に整流(rectify)された。整流したEMGから、曲線下の面積(AUC;mV x sec)および最大値(EMGmax;mV)が解析された。階段モデルでは、基準線EMG振幅における増減を含む閾値(膨張容積(ml))が決定された。
【0032】
統計学
膨張閾値(ml)、EMGデータ(基準線に対する%)、総活動(gross activity)(カウント/分)、MAP(mmHg)およびHR(拍/分)は平均値±SEMとして示される。各単独ラットの心臓血管データは、1基準線および1膨張期間当たり1ポイントに対して平均され、その後、統計学的分析が一元分散分析(one−way Analysis of Variance)(ANOVA)およびpost−hoc Student’s t検定によって実施された。モルフィン実験では、反復測定による2因子多元ANOVA(MANOVA)が使用された。<0.05のP値が有意であると考えられた。
【0033】
位相膨張プロトコールでは、1匹のラットが信号伝達の不備により心臓血管データにおける統計学的分析について除外された。
【0034】
結果および検討
階段モデル
行動および内蔵運動応答
十二指腸の階段膨張は0.2mlの容積において始まる「不快」行動(震え、探り)を起こした。より高い容積(0.4〜0.6ml)では、ラットはさらに「疼痛」行動(腹部領域の毛づくろい、伸張、静止)を示した(図2および3)。腹部攣縮は疼痛に関する行動の発生前に示された。図4は、階段膨張の前(基準)、間(0.1〜0.6ml)および後の整流したEMG信号を濾波した生の個々の追跡の例を示す。「活発な」行動(震え、探り、毛づくろい、腹部痙攣)はEMG振幅における有意な増加を伴ったが、一方、より高い膨張容積(0.4〜0.6ml)における伸張行動は基準線のEMG信号の減少において反映された(図3および4)。
【0035】
階段膨張はEMGmaxおよびAUCにおいて容積依存の増加を生じた(図5)。EMGmax(F(6,48)=2.9,p<0.05)およびAUC(F(6,48)=3.1,p<0.05)における一元ANOVAは有意性を示し、そしてpost−hoc分析は、0.2(p<0.05),0.3(p<0.05),0.4(p<0.05),0.5(p<0.005)および0.6(p<0.005)ml膨張容積において基準線に比較してAUCおよびEMGmaxにおける有意な増加を表した。
【0036】
心臓血管の応答
十二指腸の階段膨張はMAPにおいて容積依存の増加を生じた(図6A)。MAPにおける一元ANOVAは有意性を示し(F(6,48)=22.6,p<0.0001)、そしてpost−hoc分析は0.3(p<0.005),0.4(p<0.0001),0.5(p<0.0001)および0.6(p<0.0001)ml膨張容積において基準線に比較してMAPにおける有意な増加を表した。
【0037】
十二指腸の階段膨張はHRにおいて容積依存の増加を生じた(図6B)。HRにおける一元ANOVAは有意性を示し(F(6,48)=3.9,p<0.005)、そしてpost−hoc分析は0.3(p<0.05),0.4(p<0.01),0.5(p<0.005)および0.6(p<0.01)ml膨張容積において基準線に比較してHRにおける有意な増加を表した。
【0038】
関係 内蔵運動−偽感情的応答
図7は、階段膨張における平均MAPとEMGmax(MAP=63 EMGmax+109,r=0.9)またはAUC(MAP=143 AUC+87,r=0.8)との間の正の相関を示す。また、平均MAPはHR(HR=1.2 MAP+242,r=0.9)と正の相関を示し、そして平均HRはEMGmax(HR=75 EMGmax+375,r=0.8)およびAUC(HR=185 AUC+343,r=0.8)と正の相関を示した;データ未掲載。
【0039】
位相モデル
行動および内蔵運動応答
十二指腸の位相膨張は0.3および0.5mlの容積において「不快」および「疼痛」行動を起こした(図8)。伸張行動は階段プロトコールにおいて示したように基準のEMG振幅の低下において一層少なく反映された(図9参照)。位相膨張はEMGmaxおよびAUCにおいて容積依存の増加を生じた(図10)。EMGmax(F(3,27)=4.4,p<0.05)およびAUC(F(3,27)=3.8,p<0.05)における一元ANOVAは有意性を示し、そしてpost−hoc分析は、0.3(p<0.05),および0.5(p<0.01)ml膨張容積において基準線に比較してAUCおよびEMGmaxにおける有意な増加を表した。
【0040】
心臓血管の応答
十二指腸の位相膨張はMAPにおいて容積依存の増加を生じた(図11A)。MAPにおける一元ANOVAは有意性を示し(F(3,23)=11.8,p<0.0001)、そしてpost−hoc分析は0.5(p<0.005)ml膨張容積において基準線に比較してMAPにおける有意な増加を表した。
【0041】
位相膨張はHRにおいて容積依存の増加を生じた(図11B)。HRにおける一元ANOVAは有意性を示し(F(3,23)=5.8,p<0.005)、そしてpost−hoc分析は0.3(p<0.005)および0.5(p<0.05)ml膨張容積において基準線に比較してHRにおける有意な増加を表した。
【0042】
関係 内蔵運動−偽感情的応答
図12は、位相膨張における平均MAPとEMGmax(MAP=26 EMGmax+101,r=0.8)またはAUC(MAP=64 AUC+90,r=0.8)との間の正の相関を示す。また、平均MAPはHR(HR=1.5 MAP+204,r=0.7)と正の相関を示し、そして平均HRはEMGmax(HR=67 EMGmax+347,r=0.98)およびAUC(HR=152 AUC+321,r=0.95)と正の相関を示した;データ未掲載。
【0043】
モルフィン実験
モルフィンによる前処置は膨張で誘導される疼痛行動(伸張行動、腹部領域の毛づくろい、静止;p<0.0001、データ未掲載)を抑制した。
【0044】
モルフィン処置は用量依存的にEMGmaxにおける膨張誘導の増加を低下させ、AUCにおける膨張誘導の増加を抑制した(図13)。MANOVAは、EMGmax(F(3,27)=4.8,p<0.01)およびAUC(F(3,27)=4.3,p<0.05)において有意な処置効果を、EMGmax(F(2,26)=14.9,p<0.0001)およびAUC(F(2,26)=10.8,p<0.0005)において有意な処置効果を、そしてEMGmax(F(6,52)=3.0,p<0.05)およびAUC(F(6,52)=2.8,p<0.05)において有意な膨張x処置相互作用を表した。post−hocMANOVAは、0.3,1.5および3mg/kgの用量におけるモルフィン処置によってEMGmaxの有意な減少を示した(p<0.05)。post−hocMANOVAは、1.5および3mg/kgの用量におけるモルフィン処置によってAUCの有意な減少(p<0.05)を、そして0.3mg/kgのモルフィン処置によってAUC低下の傾向(p=0.07)を示した。
【0045】
受動的回避試験
急性の十二指腸侵害受容と中枢性の疼痛知覚を伝達する求心性経路を評価するために、疼痛に対する動物の行動応答を研究することができる。この研究では、本研究者らは受動的回避試験を用いて有害に関する行動を評価した。前記研究と一致して、我々の研究は、十二指腸膨張が台を降りるまでの潜伏時間を増加することを示している(図14は2日目の受動的回避試験におけるラットの台を降りるまでの潜伏時間を示す。0.6mlの容積による十二指腸膨張が、膨張させなかったラットに比較して降りるまでの潜伏時間における有意な増加をもたらした(F(1,10)=7.3,p<0.05))。前述の行動データとともに、本研究は、本動物モデルにおける十二指腸膨張が有害な嫌悪刺激として知覚されることを示している。
【0046】
結論
本データは、電波遠隔測定法が、知覚のある自由に運動するラットにおいて内蔵痛に対する内蔵運動と心臓血管の応答を連続的および同時に、付加的なハンドリングに関するストレスまたは拘束のストレスなしに測定するのに十分な道具であることを示している。十二指腸膨張は、ラットにおいて「不快」と「疼痛」行動および容積に依存する内蔵運動と心臓血管応答を誘導した。
【0047】
階段膨張モデルは、十二指腸膨張に対する嫌悪行動(腹部領域の毛づくろい、伸張)、内蔵運動(腹部の攣縮、EMG振幅とAUCにおける増大)および偽感情的(MAPおよびHR)応答の閾値を研究するために適当である。十二指腸膨張に対する心臓血管と内蔵運動の応答はともに内蔵知覚の有益な手段であり、そして薬物による両応答の撤廃は抗侵害受容の有効性を予見させる。両階段および位相膨張モデルは、内蔵の侵害受容を逆転させる新規な薬物学的化合物の効力を研究するために適当である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】未膨張および膨張状態におけるシリコーン・バルーンカテーテルの胃十二指腸内部分の図面。
【図2】膨張容積(ml)の階段増加によって誘導される総活動(カウント/分)における変化。各膨張期間において行動観察事項が示される。bas=基準線およびpost=膨張後期間。データは平均値±SEMとして示される。
【図3】不快行動、疼痛行動を誘導する膨張の閾値容積は基準線EMG信号において増加および減少する。データは平均値±SEMとして示される。
【図4】階段膨張(0.1〜0.6ml)の前、間および後における生の、濾波、整流したEMG波形の個々の軌跡。
【図5】膨張容積(ml)の階段増加によって誘導される、基準線(100%)に対するパーセンテージとしてのEMGの最大振幅(MAX)および曲線下面積(AUC)における変化。データは平均値±SEMとして示される。
【図6】膨張容積(ml)の階段増加によって誘導される、平均動脈圧(MAP(mmHg))および心拍数(HR(拍/分))における変化。各膨張期間において行動観察事項が示される。bas=基準線およびpost=膨張後期間。データは平均値±SEMとして示される。
【図7】階段膨張モデルにおける平均動脈圧(MAP(mmHg))とMAX(mV)またはAUC(mVx秒)との間の相関関係。
【図8】膨張容積(ml)の位相増加によって誘導される総活動(カウント/分)における変化。各膨張期間において行動観察事項が示される。bas=基準線およびint=未膨張期間。データは平均値±SEMとして示される。
【図9】位相膨張(0.1,0.3および0.5ml)の前、間および後における生の、濾波、整流したEMG波形の個々の軌跡。
【図10】膨張容積(ml)の位相増加によって誘導される、基準線(100%)に対するパーセンテージとしてのEMGの最大振幅(MAX)および曲線下面積(AUC)における変化。データは平均値±SEMとして示される。
【図11】膨張容積(ml)の位相増加によって誘導される、平均動脈圧(MAP(mmHg))および心拍数(HR(拍/分))における変化。各膨張期間において行動観察事項が示される。bas=基準線およびpost=膨張後期間。データは平均値±SEMとして示される。
【図12】位相膨張モデルにおける平均動脈圧(MAP(mmHg))とMAX(mV)またはAUC(mVx秒)との間の相関関係。
【図13】モルフィン(0.3,1.5および3mg/kg)による前処置後の、膨張容積(ml)の位相増加によって誘導される、基準線(100%)に対するパーセンテージとしてのEMGの最大振幅(MAX)および曲線下面積(AUC)における変化。データは平均値±SEMとして示される。
【図14】9回の足跡(trail)について広い場所内の小さい台に曝露された膨張(0.6ml)および非膨張ラットの台を降りるまでの潜伏時間(秒)。データは平均値±SEMとして示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールを含んでなる、内蔵痛を測定するための動物モデル。
【請求項2】
バルーンカテーテルが移植可能なバルーンカテーテルである、請求項1に記載の動物モデル。
【請求項3】
移植可能なバルーンカテーテルが、好ましくはカテーテルを固定するための2個の節からなる固定手段を含有する、請求項2に記載の動物。
【請求項4】
バルーンカテーテルが十二指腸内に移植される、請求項2に記載の動物。
【請求項5】
移植可能なセンサーモジュールが複数の入力信号を受けることができる、先行請求項のいずれかに記載の動物。
【請求項6】
移植可能なセンサーモジュールが試験動物の内蔵運動と偽感情的応答の両方を受け取るようにセットされている、請求項5に記載の動物。
【請求項7】
移植可能なセンサーが少なくとも2個の入力ポートを含有する、請求項5に記載の動物。
【請求項8】
移植可能なセンサーが双極電極対と血液カテーテルに連結される、請求項5に記載の動物。
【請求項9】
弾性材料がチューブの末端(4)から最も近い位置(3)において生物適合性チューブ材に取り付けられていることを特徴とする、一端を弾性材料(2)で閉じられた生物適合性チューブ材(1)からなるバルーンカテーテル。
【請求項10】
弾性材料がまた生物適合性チューブ材の末端(5)に取り付けられ、そして該チューブ材末端が堅く密閉され(6)、さらに取り付け点(3)から遠い方に多数の穴(7)を含有する、請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
チューブの末端から最も近くに位置される固定手段をさらに含有する、請求項9または10に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか1つに記載のバルーンカテーテル;
経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュール;および
遠隔測定した信号をモニターし、処理することができる外部モジュール:
を含んでなる内蔵痛を測定するためのシステム。
【請求項13】
バルーンカテーテルが試験動物の十二指腸内に移植され;そして移植可能なセンサーモジュールが試験動物の内蔵運動と偽感情的応答の両方を受け取るように組み立てられている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
バルーンカテーテルの最も近い末端をとおして膨張媒質の測定された容積を導入するための手段をさらに含有する、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
膨張媒質の測定された容積を導入するための手段が注射器を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
バルーンカテーテル;経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュール;双極電極対;および血液カテーテルを含んでなる、請求項1に記載の動物を作成するためのキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンカテーテルおよび経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュールを含んでなる、内蔵痛を測定するための動物モデル。
【請求項2】
バルーンカテーテルが移植可能なバルーンカテーテルである、請求項1に記載の動物モデル。
【請求項3】
移植可能なバルーンカテーテルが、好ましくはカテーテルを固定するための2個の節からなる固定手段を含有する、請求項2に記載の動物。
【請求項4】
バルーンカテーテルが十二指腸内に移植される、請求項2に記載の動物。
【請求項5】
移植可能なセンサーモジュールが複数の入力信号を受けることができる、先行請求項のいずれかに記載の動物。
【請求項6】
移植可能なセンサーモジュールが試験動物の内蔵運動と偽感情的応答の両方を受け取るようにセットされている、請求項5に記載の動物。
【請求項7】
移植可能なセンサーが少なくとも2個の入力ポートを含有する、請求項5に記載の動物。
【請求項8】
移植可能なセンサーが双極電極対と血液カテーテルに連結される、請求項5に記載の動物。
【請求項9】
弾性材料(2)がチューブの末端(4)から最も近い位置(3)および生物適合性チューブ材(1)の末端(5)において生物適合性チューブ材に取り付けられ、そして該チューブ材末端が堅く密閉され(6)、さらに取り付け点(3)から遠い方に多数の穴(7)を含有し、そして該バルーンカテーテルがチューブの末端から最も近くに位置される固定手段を含有することを特徴とする、一端において該弾性材料で閉じられた該生物適合性チューブ材からなるバルーンカテーテル。
【請求項10】
請求項9に記載のバルーンカテーテル;
経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュール;および
遠隔測定した信号をモニターし、処理することができる外部モジュール:
を含んでなる内蔵痛を測定するためのシステム。
【請求項11】
バルーンカテーテルが試験動物の十二指腸内に移植され;そして移植可能なセンサーモジュールが試験動物の内蔵運動と偽感情的応答の両方を受け取るようにセットされている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
バルーンカテーテルの最も近い末端をとおして膨張媒質の測定された容積を導入するための手段をさらに含有する、請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
膨張媒質の測定された容積を導入するための手段が注射器を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
バルーンカテーテル;経皮的に遠隔測定する機能をもつ移植可能なセンサーモジュール;双極電極対;および血液カテーテルを含んでなる、請求項1に記載の動物を作成するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A−B】
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【図6A−B】
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【図7A−B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A−B】
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【図11A−B】
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【図12A−B】
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【図13A−B】
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【図14】
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【公表番号】特表2006−502830(P2006−502830A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501286(P2005−501286)
【出願日】平成15年10月13日(2003.10.13)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011329
【国際公開番号】WO2004/034901
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】