説明

内装床の石張り工法および内装床の石張り構造

【課題】 本発明は、床基材と石材との間に接着剤を一切使用せず、しかも簡易迅速に施工を行うことが出来、しかも施工後直に利用でき、取り外しも極めて簡単迅速で、内装床の石張りをリースやレンタルの対象となり得る工法および構造を提供せんとする。
【解決手段】 本発明の工法は、床面1上に石膏プラスターを塗布する。この石膏プラスター層2を凹凸面に形成する。目地間隔をおいて石材3を敷設してレベル出しを行う。石膏プラスター2の硬化後、目地4に目地材5を充填して石材同士を固定することを特徴とする。また、内装床の石張り構造は、床面1上に石膏プラスター層2を介し、目地4を設けて石材3を敷設し、目地4に目地材5を充填したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内の内装床の石張り工法および内装床の石張り構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の代表的な内装床の石張り工法は、床面上にセメントを混ぜた砂を30乃至40ミリメートルの厚さで敷き、このセメント入り砂のベース層に練ったセメントを流し込み、硬化前に石材を乗せてゴムハンマーで叩きながらレベリングして敷設するのが最も一般的な工法であった。
【0003】
この工法では多量の砂が必要なこと、施工時間自体が長くなること、石材を敷設後もコンクリートが乾燥して使用可能になるまでの時間が長いこと、そしてコストが高く、しかも次の張替え等のための剥離や撤去が大仕事である等の問題があった。
【0004】
そこで、迅速簡易で下地精度に影響されない工法や、養生期間がなく施工後直ちに使用可能で、張替えも容易で安価な工法等が特開平05−311856号や特開平06−330604号及び特開平06−330605号或いは実開平07−13959号に開示され、提案されている。
【特許文献1】特開平05−311856号
【特許文献2】特開平06−330604号
【特許文献3】特開平06−330605号
【特許文献4】実開平07−13959号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の各特許文献又は実用新案文献は石材を固定するのに、床基材と石材との間に接着剤を用いて接着し、接着剤が石材の裏面の一部にのみ使用する場合には、コーナー部材、目地形成用スペーサーやセッティングブロック等の特別の位置固定部材を工夫して併用しているものである。
【0006】
そこで、本発明は、床基材と石材との間に接着剤を一切使用せず、しかも簡易迅速に施工を行うことが出来、しかも施工後は直に利用ができ、取り外しも極めて簡単迅速で、内装床の石張りをリースやレンタルの対象となり得る工法および構造を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の工法は、床面上に石膏プラスターを塗布すると共に、この石膏プラスター層を凹凸面に形成し、目地間隙をおいて石材を敷設してレベル出しを行い、石膏プラスターの硬化後、目地間隙に目地材を充填して石材同士を固定することを特徴とするものである。
【0008】
石膏プラスターは成形の自由度が高く平滑な仕上がり面を得られるため、敷設した石材のレベル出しを行えるのであり、レベル出し時の石膏プラスターの高い余剰部分は低い凹部に吸収し、石膏プラスターは乾燥に伴う収縮もほとんど無く、固化後の強度は充分である。
また、石膏プラスターには接着作用がないけれど、石材の重量で浮き上がる虞はなく、水平方向は目地材の接着力で石材同士を固定しているものである。
【0009】
請求項2の発明は、石膏プラスター層を8乃至12ミリメートルの厚さで塗布することを特徴とするものであり、石膏プラスターはレベル出し作用に用いるものであるから、床面の傾斜や凹凸を調整するのに最小限の厚みを用意すればよいものである。
【0010】
請求項3の発明は、櫛ゴテで石膏プラスター層を凹凸面に形成することを特徴とするものであり、整然とした凹凸面の形成作用を期待できる。
【0011】
請求項4は内装床の石張り構造の発明であり、床面上に石膏プラスター層を介し、目地を設けて石材を敷設し、目地に目地材を充填したことを特徴とするものである。
極めて簡素な構成であり、石膏プラスター層は硬化前のレベル出しが容易で敷設作業の効率が良く、接着性が無いため取替えや除去に際し、目地部分に亀裂を入れるだけで石材及び石膏プラスター層の取り外しや除去を行える。
【0012】
請求項5の発明は、石膏プラスター層に凹凸面が形成されていることを特徴とするものであり、レベル出し時に石膏プラスターの余剰部分を凹部に吸収できるから、敷設作業を容易、迅速に行えるものである。
【発明の効果】
【0013】
石膏プラスターは成形の自由度が高く平滑な仕上がり面を得られるため、敷設した石材のレベル出しを迅速容易に行える効果を有するのである。
そして、レベル出し時に発生する石膏プラスターの余剰部は凹部に吸収できるため、石膏プラスターの変形が効率的となり、作業能率の向上に資する効果となる。
【0014】
石膏プラスターは乾燥に伴う収縮もほとんど無く、固化後の強度は充分であるため石材の重量に耐えられ、安定した支持作用を期待できるものである。
また、石膏プラスターには接着作用がないけれど、石材の重量で浮き上がる虞はなく、水平方向は目地材の接着力で石材同士を接着固定する効果を得られるものである。
【0015】
さらに、極めて簡素な構成であり、施工時間が従来工法の日単位より格段に短縮され、時間単位で施工を完了できる効果を発揮する。
特に、石膏プラスター層には接着性が無いため、取替えや除去に際し、目地部分に亀裂を入れるだけで石材及び石膏プラスター層の取り外しや除去を簡単容易に行える効果があり、内装床の石張りをリースやレンタルの対象となり得る工法および構造となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態を示す内装床の石張り構を示す断面図であり、1は床(例えば、既存の床である塩化ビニールタイル等)であり、石膏プラスター層2を介し、石材(例えばミカゲ石等)3が敷設してあり、隣接する石材3,3間には目地4を設け、目地4には目地材5が充填してある。
【0017】
石膏プラスターは、石膏と砂と水を調合して練り上げたものであり、成形の自由度が高く、塗布した後1時間程度で硬化し、乾燥に伴う収縮がほとんどなく、強度もあって亀裂が生じにくい性質を有する。
今、混練りした石膏プラスターを床1上に約10ミリメートルの厚さで、石材3の一枚分のスペースに塗布する。
塗布は金ゴテで容易に行え、塗布後、直ちに櫛ゴテを用いて塗布面を谷・山の凹凸6に形成した石膏プラスター層2とし、次に、この石膏プラスター層2上に石材3を載置しゴムハンマーでレベル調整を行って敷設したものである。
【0018】
凹凸6を形成することによって、石材3を載置しレベル出しのためゴムハンマーで叩いて調整する時、高い部分の山の凸部6Aは押圧されて潰れて両脇の谷の凹部6Bに吸収されるため迅速容易な作業となり、余分な石膏プラスターが周囲へ食み出したり、その処分の手数が掛からない。
また、櫛ゴテで凹凸6を形成すれば山・谷の凹凸条が整然と且つ全体に平均して容易に形成できるものとなり、凹部での吸収が確実に行えるものとなる。
凹凸6は、適宜方法で形成し、整然とした凹凸模様である必要も無く、図3のように任意の形状の凹凸で、不揃いの凹凸に形成したものであってもよい。
【0019】
石膏プラスター層2は石材3のレベル調整のために介在するものであるから、石材3を敷設する床の傾斜・凹凸は8乃至10ミリメートルの範囲内と考えられ、必要最小限の厚みとすることで硬化時間も短くなって作業能率も向上し、コストを低く抑えるものとなる。
【0020】
このように、石材3を一枚ずつ敷設していくのであるが、二枚目以後は敷設し終わった石材3との間に2ミリメートルの目地4を確保して敷設して行き、石膏プラスターの硬化後、目地4に目地材(セメントやモルタル)5を充填するものである。
【0021】
石膏プラスターは接着作用が無いため硬化しても床1と石材3を接着固定するものでないけれど、石材3は一枚が相当の重量を有するため浮いたりしないし、石膏プラスター層2は固化して強度があるため、毀損して支持レベルを失う虞もなく、水平方向は目地材5で石材3同士は固定されるため、安定した支承とレベルを維持できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の内装床の石張り構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明工法の一工程の凹凸を形成した石膏プラスター層の例を示す側面図である。
【図3】本発明工法の一工程の凹凸を形成した石膏プラスター層の他の例を示す平面図である。
【図4】本発明の内装床の石張り構造の他の実施の形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 床
2 石膏プライマー層
3 石材
4 目地
5 目地材
6 凹凸
6A 凸部
6B 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に石膏プラスターを塗布すると共に、この石膏プラスター層を凹凸面に形成し、目地間隙をおいて石材を敷設してレベル出しを行い、石膏プラスターの硬化後、目地間隙に目地材を充填して石材同士を固定することを特徴とする内装床の石張り工法。
【請求項2】
石膏プラスター層を8乃至12ミリメートルの厚さで塗布することを特徴とする請求項1記載の内装床の石張り工法。
【請求項3】
櫛ゴテで石膏プラスター層を凹凸面に形成することを特徴とする請求項1記載の内装床の石張り工法。
【請求項4】
床面上に石膏プラスター層を介し、目地を設けて石材を敷設し、目地に目地材を充填したことを特徴とする内装床の石張り構造。
【請求項5】
石膏プラスター層に凹凸面が形成されていることを特徴とする請求項4記載の内装床の石張り構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−9599(P2007−9599A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−193883(P2005−193883)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(598096913)株式会社山崎屋 (6)
【Fターム(参考)】