説明

内装部品の結合構造

【課題】 コ字状溝部の裏側に突出するものがない内装部品の結合構造を提供する。
【解決手段】 コ字状溝部5の入口又は内部に係合突起9を形成し、その係合突起9に対して、折曲フランジ11に形成した爪部12を係合させるようにしたため、コ字状溝部5の裏側に突出するものはない。従って、コ字状溝部5(内装部品)を十分に車体パネル3に近接させることができ、その分、車室内スペースを拡大することができる。コ字状溝部5における係合突起9に対応する位置に押し切り孔10を形成したため、成形金型内にスライドコア等を付設することなく、簡単な構造の金型で係合突起9を成形することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内装部品の結合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車室内には、各種の内装部品が装着されており、この種の内装部品は、成形金型の制約、あるいは、車体パネルへの取付作業性等を考慮して、複数の内装部品を車体パネルに個々に取り付けているのが実情である。
【0003】
このような隣接する2つの内装部品の結合構造としては、まず一方の内装部品の端縁にコ字状溝部を形成し、該コ字状溝部の底面には所定ピッチ間隔で係止孔を形成する。また、他方の内装部品の端縁には折曲フランジを形成し、該折曲フランジの先端には係止孔に対応する係止爪を形成する。
【0004】
そして、折曲フランジをコ字状溝部内に挿入して、係止爪を係止孔に係止させることにより、一方の内装部品の端縁と、他方の内装部品の端縁とが合わせられた状態で結合される(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−106732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、折曲フランジの先端の係止爪を、コ字状溝部の係止孔に係止させる構造のため、係止爪の先端が係止孔からコ字状溝部の裏側へ突出する。従って、裏側へ突出した係止爪が車体パネルと干渉しないように、コ字状溝部と車体パネルとの間隔は広く設定する必要があり、その分、内装部品が車室内側に位置して、車室内空間を圧迫していた。
【0006】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、コ字状溝部の裏側に突出するものがない内装部品の結合構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、車体パネルに対して取付けられる2つの隣接した内装部品の一方の端縁にコ字状溝部を形成し、他方の端縁に折曲フランジを折曲形成し、該折曲フランジをコ字状溝部内に挿入した状態で結合した内装部品の結合構造において、前記コ字状溝部の入口又は内部に複数の係合突起をコ字状溝部の長手方向に沿って形成すると共に、折曲フランジの係合突起に対応する位置に爪部をそれぞれ形成し、該爪部を係合突起に係合させたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、車体パネルに対して取付けられる2つの隣接した内装部品の一方の端縁にコ字状溝部を形成し、他方の端縁に折曲フランジを折曲形成し、該折曲フランジをコ字状溝部内に挿入した状態で結合可能であると共に、他方の内装部品は単独でも車体パネルに対して取付け可能である内装部品の結合構造において、前記コ字状溝部の入口又は内部に複数の係合突起をコ字状溝部の長手方向に沿って形成すると共に、他方の内装部品における折曲フランジの隣接位置にコ字状溝部内に挿入可能で且つ爪部を有する係合片をそれぞれ係合突起に対応して形成し、該爪部を係合突起に係合させたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、コ字状溝部における係合突起に対応する位置に、金型成形用の押し切り孔が形成されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、適用される内装部品としては、リヤピラートリムとラゲージサイドトリム、センターピラートリムアッパーとセンターピラートリムロア、ラゲージアッパーとラゲージロア等がある。また、内装部品としては、キャビティ型とコア型から構成される成形型を使用し、射出成形工法、モールドプレス成形工法等により所要形状に成形された合成樹脂成形体が好適である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、コ字状溝部の入口又は内部に係合突起を形成し、その係合突起に対して、折曲フランジに形成した爪部を係合させるようにしたため、コ字状溝部の裏側に突出するものはない。従って、コ字状溝部(内装部品)を十分に車体パネルに近接させることができ、その分、車室内スペースを拡大することができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、係合片の爪部が係合突起に係合することにより、2つの内装部品が互いに離反する方向へ移動することが規制され、合わせ部の隙間の拡大が防止される。また、他方の内装部品を単独で車体パネルに取付ける際も、係合片が折曲フランジにより隠されるため、見映えの面でも有利である。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、コ字状溝部における係合突起に対応する位置に押し切り孔を形成したため、成形金型内にスライドコア等を付設することなく、簡単な構造の金型で係合突起を成形することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
コ字状溝部の裏側に突出するものがない内装部品の結合構造を提供するという目的を、車体パネルに対して取付けられる2つの隣接した内装部品の一方の端縁にコ字状溝部を形成し、他方の端縁に折曲フランジを折曲形成し、該折曲フランジをコ字状溝部内に挿入した状態で結合した内装部品の結合構造において、前記コ字状溝部の入口又は内部に複数の係合突起をコ字状溝部の長手方向に沿って形成すると共に、折曲フランジの係合突起に対応する位置に爪部をそれぞれ形成し、該爪部を係合突起に係合させたことで、実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図3は、本発明の第1実施例を示す図である。車両後部の車室内側には、リヤピラートリム1及びその下部側にラゲージサイドトリム2がそれぞれ車体パネル3に対して取付けられている。ラゲージサイドトリム2の前方にはドアトリム4が取付けられている。リヤピラートリム1、ラゲージサイドトリム2、ドアトリム4の3部品は、互いに隣接する内装部品であるが、この実施例では、リヤピラートリム1を「一方の内装部品」、ラゲージサイドトリム2を「他方の内装部品」とし、これらの結合構造を代表して説明する。
【0016】
リヤピラートリム1及びラゲージサイドトリム2は、PP樹脂のモールドプレス成形体、あるいは射出成形体から構成されている。リヤピラートリム1の下側の端縁1aには、前後方向に沿って延びるコ字状溝部5が形成されている。このコ字状溝部5は、上面部6、底面部7、下面部8から構成され、下面部8の方が上面部6よりも若干短く設定されている。そして、コ字状溝部5の入口に相当する下面部8の端部からは、上向きの係合突起9が所定のピッチ間隔で複数形成されている(図3では1つを代表図示)。
【0017】
また、この係合突起9に相当するコ字状溝部5の底面部7及び上面部6の一部には、押し切り孔10が形成されている。この押し切り孔10は、リヤピラートリム1を成形するための成形金型(図示せず)の一部が入り込んで、係合突起9を形成するためのもので、この押し切り孔10を形成したことにより、成形金型内にスライドコア等を付設することなく、簡単な構造の金型で係合突起9を成形することができる。
【0018】
他方のラゲージサイドトリム2の上側の端縁2aには、略90°の角度で車体パネル3側に折曲する折曲フランジ11が形成されている。この折曲フランジ11の先端において前記係合突起9に対応する部分には下向きの爪部12がそれぞれ形成されている。
【0019】
そして、リヤピラートリム1及びラゲージサイドトリム2は、それぞれ数カ所に設定されたクリップ手段(図示せず)を介して車体パネル3に取付けられる。リヤピラートリム1とラゲージサイドトリム2の合わせ部においては、リヤピラートリム1のコ字状溝部5内に、ラゲージサイドトリム2の折曲フランジ11が挿入される。すると、折曲フランジ11の爪部12が係合突起9に係合して結合し、車室内側への外れが防止される。
【0020】
また、リヤピラートリム1とラゲージサイドトリム2における環境温度の変動による収縮等で、リヤピラートリム1とラゲージサイドトリム2との間に両者を離反させる方向に荷重が加わっても、係合突起9の上端と折曲フランジ11とが係合していることにより、離反方向への移動は規制され、合わせ部における両者間の隙間Sの広がりが防止される。
【0021】
折曲フランジ11は係合突起9に係合するだけで、コ字状溝部5の裏側へ突出しないため、コ字状溝部5を十分に車体パネル3に近接させることができ、その分、リヤピラートリム1及びラゲージサイドトリム2が車体パネル3寄りの位置となり、車室内スペースを拡大することができる。
【実施例2】
【0022】
図4〜図6は、本発明の第2実施例を示す図である。第2実施例において、第1実施例と共通する部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
この実施例では、ラゲージサイドトリム13における折曲フランジ11の下側隣接位置に、リヤピラートリム14の係合突起15に対応する係合片16がそれぞれ形成されている(図5では1つを代表図示)。この係合片16の先端には下向きの爪部17が形成されている。
【0024】
この実施例のコ字状溝部5における係合突起15は先の実施例よりも短く、折曲フランジ11及び係合片16の両方をコ字状溝部5内に挿入することができる。挿入された係合片16の爪部17は係合突起15の上端に係合し、車室内側への外れが防止されると共に、リヤピラートリム14とラゲージサイドトリム13との離反方向への移動も規制する。
【0025】
この実施例におけるラゲージサイドトリム13は、図6に示すように、単独で車体パネル3に取付けられる場合もある。このような場合は、係合片16が折曲フランジ11により隠されるため、見映えの面でも有利である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上の実施例では、内装部品としてのリヤピラートリム1、14とラゲージサイドトリム2、13との結合構造を例に説明したが、本発明はその他の内装部品同士の結合にも適用できる。また、係合突起9、15をコ字状溝部5の入口に形成する例を示したが、コ字状溝部5の内部に形成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施例に係る内装部品を車室内側から見た側面図。
【図2】図1中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図3】第1実施例に係るリヤピラートリムとラゲージサイドトリムを示す斜視図。
【図4】第2実施例に係る結合構造を示す図2相当の断面図。
【図5】第2実施例に係るリヤピラートリムとラゲージサイドトリムを示す斜視図。
【図6】第2実施例に係るラゲージサイドトリムを単独で取付けた状態を示す断面図。
【符号の説明】
【0028】
1、14 リヤピラートリム(一方の内装部品)
2、13 ラゲージサイドトリム(他方の内装部品)
3 車体パネル
5 コ字状溝部
9、15 係合突起
10 押し切り孔
11 折曲フランジ
12 爪部
16 係合片
17 爪部
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体パネルに対して取付けられる2つの隣接した内装部品の一方の端縁にコ字状溝部を形成し、他方の端縁に折曲フランジを折曲形成し、該折曲フランジをコ字状溝部内に挿入した状態で結合した内装部品の結合構造において、
前記コ字状溝部の入口又は内部に複数の係合突起をコ字状溝部の長手方向に沿って形成すると共に、折曲フランジの係合突起に対応する位置に爪部をそれぞれ形成し、該爪部を係合突起に係合させたことを特徴とする内装部品の結合構造。
【請求項2】
車体パネルに対して取付けられる2つの隣接した内装部品の一方の端縁にコ字状溝部を形成し、他方の端縁に折曲フランジを折曲形成し、該折曲フランジをコ字状溝部内に挿入した状態で結合可能であると共に、他方の内装部品は単独でも車体パネルに対して取付け可能である内装部品の結合構造において、
前記コ字状溝部の入口又は内部に複数の係合突起をコ字状溝部の長手方向に沿って形成すると共に、他方の内装部品における折曲フランジの隣接位置にコ字状溝部内に挿入可能で且つ爪部を有する係合片をそれぞれ係合突起に対応して形成し、該爪部を係合突起に係合させたことを特徴とする内装部品の結合構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の内装部品の結合構造であって、
コ字状溝部における係合突起に対応する位置に、金型成形用の押し切り孔が形成されていることを特徴とする内装部品の結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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