説明

内視鏡洗浄用シース

【課題】付着物の除去を行うために十分な長さであって、通常の観察又は処置の際には内視鏡観察を妨げることを防止する内視鏡洗浄用シースを提供すること。
【解決手段】シース挿入部の先端側に付着物を除去するブレード71が配置されるシース先端部を備え、シース先端部と先端カバー部60との間に、ブレード71を移動させる一対の駆動ワイヤ72と、摺動自在な操作ワイヤとを連結するワイヤ結合部材を配置した内視鏡洗浄用シースにおいて、シース先端部は、一対の駆動ワイヤ72より外側に位置して突設し、駆動ワイヤ72の移動に伴う移動中にブレード71に当接するブレード当接部52eと、駆動ワイヤ72が摺動自在に配置されるワイヤ配置溝52c及びブレード当接部52eに当接後、駆動ワイヤ72の移動に伴って変形されるブレード71の側面を湾曲形状に保持するブレード保持面を備える突起部52とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察の妨げになる体腔内の粘液等の付着物を除去するワイパーユニットを備えた内視鏡洗浄用シースに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いた観察中に、該内視鏡の備える観察窓、照明窓等に生体内の粘液、血液、脂肪、汚物等が付着すると、良好な観察を妨げられるという不具合が生じる。
【0003】
この不具合を解消するため、例えば特許文献1には、内視鏡の観察窓等に付着した付着物を拭き取るためのワイパーを設けた内視鏡用シースが提案されている。内視鏡用シースは、該内視鏡用シースに内視鏡を挿入した状態で、該内視鏡と一体で体腔内に挿入される。
【特許文献1】特開2003−199703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されている内視鏡用シースではワイパーの長さを、内視鏡の先端部に配置されている観察窓等の外表面全体を十分に拭き取ることが可能な長さに設定した場合、通常の観察又は処置を行なう際に、前記ワイパーによって前記内視鏡の観察視野範囲、或いは、照明光照射範囲の一部が遮られて良好な内視鏡観察を行えなくなるおそれがある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、付着物の除去を行うために十分な長さであって、通常の観察又は処置の際には観察視野範囲、或いは、照明光照射範囲を妨げることを防止したブレードを備える内視鏡洗浄用シースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内視鏡洗浄用シースは、内視鏡が挿通されるシース挿入部の先端側に、付着物を除去するための、弾性部材で略直方体形状に形成されたブレードが配置される、シース先端構成部を備え、前記シース先端構成部と該シース先端構成部に被覆配置される先端カバー部との間に、前記ブレードを前記シース挿入部の長手軸方向に対して直交する方向に移動させる一対の第1ワイヤと、操作手段から延出されて前記長手軸方向に対して摺動自在な第2ワイヤとを連結する連結部材を配置した内視鏡洗浄用シースであって、
前記シース先端構成部は、前記一対の第1ワイヤより外側に位置して先端方向に突設し、前記ブレードが前記第1ワイヤの移動に伴って一端側から他端側への移動中、或いは他端側から一端側への移動中に前記ブレードの一部に当接する少なくとも一対のブレード当接部と、先端方向に突設し、前記第1ワイヤがそれぞれ摺動自在に配置される屈曲形状のワイヤ配置溝及び前記ブレード当接部に当接後、該第1ワイヤの移動に伴って凸形状に変形する前記ブレードの側面を湾曲形状に保持するブレード保持面を有する突起部とを具備している。
【0007】
この構成によれば、第1ワイヤの移動に伴ってブレードが例えば一端側から他端側へ移動されることによって、内視鏡観察を妨げる付着物は該ブレードによって除去される。そして、付着物の除去を行うブレードの一部は、第1ワイヤの移動に伴って一端側から他端側へ移動している途中でブレード当接部に当接する。ブレードの一部がブレード当接部に当接している状態において、さらに第1ワイヤの移動が続けられることによって、直方体形状の該ブレードの当接している部分以外は変形される。そして、ブレードの側面の一部が他端側に設けられている突起部のブレード保持面に当接する。この当接状態において、弾性力を有するブレードは、湾曲形状に他端側に保持される。
【0008】
次に、ブレードを他端側から一端側へ移動させるために第1ワイヤを移動する。すると、第1ワイヤの移動に伴って、湾曲形状に変形していた該ブレードは弾性力によって直方体形状に復帰し、その後、他端側から一端側へ移動して内視鏡観察を妨げる付着物の除去を行う。そして、他端側から一端側へ移動しているブレードの一部は、途中でブレード当接部に当接し、その当接状態において、さらに第1ワイヤの移動が続けられることによって、直方体形状の該ブレードは変形して、一端側のブレード保持面に湾曲形状で保持される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、付着物の除去を行うために十分な長さであって、通常の観察又は処置の際には観察視野範囲、或いは、照明光照射範囲を妨げることを防止したブレードを備える内視鏡洗浄用シースを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【0011】
図1乃至図15は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡と内視鏡洗浄用シースとを備える内視鏡装置を説明する図、図2はシース、挿入部先端構成部、先端カバー部、及びワイパーユニットを備えて構成されるシース挿入部の分解斜視図、図3はブレードに設けられる作用部の構成例を説明する図、図4はシースの他の構成を説明する図、図5はシース先端部を説明する図、図6は先端カバー部を説明する図、図7はシース挿入部の正面図、図8は図7のVIII−VIII線断面図、図9は図8のIX−IX線断面図、図10は図8のX−X線断面図、図11は図8のXI−XI線断面図、図12は図8のXII−XII線断面図、図13は図9のXIII−XIII線断面図、図14はブレードが駆動ワイヤによって移動されている状態を説明する図、図15はブレードが湾曲状態で待避位置に配置されている状態を説明する図である。
【0012】
図1に示すように内視鏡装置1は、例えば挿入部21が硬性な硬性内視鏡(以下、硬性鏡と記載する)2と、この硬性鏡2の前記挿入部21が挿入され、該挿入部21と一体で体腔内に挿入されるシース挿入部31を備える内視鏡洗浄用シース3とを有して構成されている。
【0013】
硬性鏡2は、硬性な挿入部21と、この挿入部21の後端に設けられた操作部22と、この操作部22の後端に設けられた接眼部23とを備えて構成されている。符号24はライトガイド口金であって、操作部22の側部に突設している。ライトガイド口金24には、光源装置(不図示)から延出されるライトガイドケーブ(不図示)が着脱自在に接続される。
【0014】
挿入部21内には、図示しないライトガイドファイバ束が挿通しており、該ライトガイドファイバ束の光入射端はライトガイド口金24に備えられている。したがって、前記ライトガイドケーブルがライトガイド口金24に接続されている状態において、光源装置から供給される照明光は、該光源装置から延出されるライトガイドケーブル、挿入部21内のライトガイドファイバ束を伝送されて、先端部25の先端面である挿入部先端面25aに設けられた照明窓26を通過して被写体に向けて出射される。照明窓26の基端面とライトガイドファイバ束の光出射端とは対向している。
【0015】
照明窓26から出射された照明光によって照らされた被写体からの反射光は、照明窓26に隣接して設けられた観察窓27を通過して光学像として取り込まれる。観察窓27を通過した光学像は、図示しない対物光学系を介して挿入部21及び操作部22内に配置されているリレーレンズ系(不図示)を介して接眼部23に伝送される。そして、接眼部23に伝送された光学像は、目視にて観察される、又は例えば該接眼部23に取り付けられた外付けカメラヘッドを介してモニタ(不図示)上に表示して観察される。
【0016】
内視鏡洗浄用シース3は、シース挿入部31と、シース本体部32とを備えて構成されている。
シース挿入部31には硬性鏡2の挿入部21が挿入される。そして、シース挿入部31は、挿入部21と一体で体腔内に挿入される。シース本体部32は、シース挿入部31の後端側に設けられ、硬性鏡2の操作部22に対して固定保持される。シース本体部32は、硬性鏡2の備えるライトガイド口金24を所定位置に配置するためのガイド溝32aを備えている。ガイド溝32aは、シース本体部32の一部を基端面側から所定位置まで切り欠いて形成される。
【0017】
シース挿入部31は、硬性鏡2の挿入部21が挿入されて配置される内視鏡挿入チャンネル33を備える。シース挿入部31の先端面側には先端開口部34が設けられている。先端開口部34には後述するワイパーユニット70を構成する細長で略直方体形状のブレード71が設けられている。ブレード71は弾性部材で形成され、硬性鏡2の挿入部先端面25a上に所定の接触圧で密着して配置されるようになっている。ブレード71の長さ寸法は、挿入部先端面25aの直径寸法と略同寸法で、該ブレード71によって挿入部先端面25aの略全面が払拭される構成である。
【0018】
なお、シース挿入部31の基端側にはシース基端構成部(以下、シース基端部と略記する)36が設けられており、このシース基端部36にはブレード71を手動により駆動するための操作手段である操作ノブ37がシース本体部32に対して回動自在に配置されている。符号37aは一対の摺動溝であって所謂カム溝として構成されており、それぞれの摺動溝37aには操作ピン38が配置される。
【0019】
図1乃至図6を参照してシース挿入部31の構成を説明する。
図1、図2に示すように内視鏡洗浄用シース3を構成するシース挿入部31は、シース40と、シース先端構成部(以下、シース先端部と略記する)50と、先端カバー部60と、ワイパーユニット70とを備えて構成されている。
【0020】
図2に示すようにワイパーユニット70は、前記ブレード71と、ブレード71を動作させる第1ワイヤである一対の駆動ワイヤ72と、第2ワイヤである一対の牽引操作ワイヤ(以下、操作ワイヤと略記する)73と、連結部材である一対のワイヤ結合部材74とを備えて構成されている。
【0021】
ワイヤ結合部材74には、一対の駆動ワイヤ72の端部及び操作ノブ37から延出された操作ワイヤ73の先端部がそれぞれ一体的に強固に固定される。具体的に、ワイヤ結合部材74の長手幅狭側面の中央に操作ワイヤ73の先端部が一体的に接合され、ワイヤ結合部材74の長手幅狭側面の両側部に駆動ワイヤ72のそれぞれの端部が一体的に接合される。
【0022】
ワイヤ結合部材74は硬質部材であってステンレス等の金属部材、或いはポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の硬質な樹脂部材で形成されている。一対のワイヤ結合部材74は、シース先端部50の側面部に設けられた後述する一対の周状凹部53にそれぞれ配置される。そのため、ワイヤ結合部材74は所定の厚み寸法で曲面形状に形作られており、該ワイヤ結合部材74の長手幅広側面は、周状凹部53に配置される曲凹面74aとして構成されている。
【0023】
そして、一対の駆動ワイヤ72の中途部は、それぞれブレード71の両側部に挿通されている。ブレード71の両側部に挿通された駆動ワイヤ72の間隔は、前記ワイヤ結合部材74に接合されている駆動ワイヤ72の間隔と同寸法である。したがって、一方のワイヤ結合部材74からブレード71を挿通して他方のワイヤ結合部材74に至る駆動ワイヤ72同士は略平行な位置関係に配置される。
【0024】
図3に示すように駆動ワイヤ72の中途部には該駆動ワイヤ72の移動に伴ってブレード71を移動させる作用部75が固設されている。作用部75は、例えば図中下側に示すようにブレード71に当接するワッシャ76と、該ワッシャ76に当接して駆動力を該ブレード71に伝達するカシメ管77とで構成されている。カシメ管77は、例えばカシメ加工によって駆動ワイヤ72の中途部所定位置に一体的に固定される。そして、ブレード71は作用部75によって挟持される。
【0025】
このように構成したワイパーユニット70によれば、例えば図2の上方向に配置されている操作ワイヤ73がシース挿入部31の長手軸方向の手元側に牽引されたとき、この操作ワイヤ73の移動に伴って該操作ワイヤ73の先端部が固定されているワイヤ結合部材74が手元側に移動される。すると、ワイヤ結合部材74の移動に伴って、該ワイヤ結合部材74に固定されている一対の駆動ワイヤ72も手元側に牽引されて、作用部75によって挟持されているブレード71が上方向に移動する。
【0026】
なお、符号71aはブレード71の弾性力を調整する切り欠きであって、該切り欠き形状、切り欠き深さを適宜調整することによって、該ブレード71の弾性力を調整して、挿入部先端面25aに対する接触状態や変形のタイミング等を適宜設定することができるようになっている。符号71bはブレード側面である。
【0027】
また、作用部75を、カシメ管77を設けて構成する代わりに、図3中の上側に示すヘッダ加工部78を設けて構成するようにしてもよい。ヘッダ加工部78は、撚り線である駆動ワイヤ72の所定位置をほぐして放射状に拡開させるヘッダー加工によって形成される。
【0028】
図1、図2に示すようにシース40は細長で、長手軸方向に対して複数の貫通孔を有するマルチルーメンチューブであり、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の硬質な材質で形成される。なお、シース40に可撓性を持たせる場合、マルチルーメンチューブは、シリコン、ウレタン、テフロン(登録商標)等の柔軟性を有する材質で形成される。
【0029】
図2に示すようにシース40は、中央に設けられた大径な中央貫通孔41と、中央貫通孔41の外側に配置されて、周方向に対して等間隔に設けられた小径な貫通孔42a、42bとを有している。第1貫通孔42a及び第2貫通孔42bはそれぞれ対向する位置関係でそれぞれ一対ずつ設けられている。
【0030】
中央貫通孔41は内視鏡挿入チャンネル33を構成する貫通孔であって、硬性鏡2の挿入部21が挿通される。第1貫通孔42aは操作ワイヤ73が挿通されるワイヤ挿通孔であり、第2貫通孔42bは水や空気等の流体を供給するための送気送水チャンネルである。
【0031】
なお、シース40は、それぞれの貫通孔42a、42bに対応する外周面に、長手軸に対して平行な凸部43を有する構成である。しかし、図4に示すように凸部43を設けることなく、ストレートのパイプ状でシース40Aを構成し、所定位置にそれぞれの貫通孔42a、42bを設ける構成であってよい。
【0032】
また、本実施形態においては、シース40の備える第1貫通孔42a内に、コイルパイプ(図8の符号44参照)が配設される。そして、操作ワイヤ73は、第1貫通孔42a内に配設されたコイルパイプ44の内孔に挿通される。このことによって、摺動される操作ワイヤ73がシース40に直接的に接触することを防止して、該シース40が操作ワイヤ73によって傷付けられる不具合を解消する。
【0033】
図2、図5に示すシース先端部50は略管状であって、硬質部材である例えばステンレス等の金属製、或いはポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の樹脂製である。
【0034】
シース先端部50は、その中央に内視鏡挿入チャンネル33を構成する内視鏡先端部配置穴(以下、内視鏡穴と略記する)51を備えている。内視鏡穴51に基端側開口(不図示)から挿入される挿入部21の挿入部先端面25aは後述する先端面当接部(図7、図13の符号59参照)の裏面(図13の符号59a参照)に当接することによって、所定の位置に配置されるようになっている。
【0035】
図5に示すようにシース先端部50の先端側には後述する位置決め面54aの表面より先端方向に突出して構成された4つの突起部52が設けられている。4つの突起部52はシース先端部50を先端面側から削り出して形成され、図中において上側に配置された一対の突起部52aを一組とし、図中下側に配置された一対の突起部52bを一組として構成されている。
【0036】
一対の突起部52aは、それぞれ内視鏡穴51の中心軸A1に対して直交する鉛直軸である軸A2に対して左右対称形状であり、一対の突起部52bも軸A2に対して左右対称形状である。なお、一対の突起部52aと一対の突起部52bとは中心軸A1と軸A2との交点を中心に点対称である。
【0037】
それぞれの突起部52a、52bには駆動ワイヤ72が摺動自在に配置されるワイヤ配置溝52c、逃げ部52d、ブレード当接部52e、ブレード保持面52hが設けられている。
【0038】
ワイヤ配置溝52cは屈曲形状であって、第1溝部52fと第2溝部52gとを有して構成されている。第1溝部52fは軸A2に対して平行に形成され、第2溝部52gは中心軸A1に対して平行で、且つ第1溝部52fに直交している。第1溝部52fと第2溝部52gとが交差して形成される稜線部分には曲面形状の面取りを施して、駆動ワイヤ72の摺動性が劣化することを防止している。なお、中心軸A1はシース挿入部31の長手軸方向に対して一致している。
【0039】
逃げ部52dは、ワッシャ76、カシメ管77或いはヘッダ加工部78が突起部52a、52bに当接することを防止するための窪みである。逃げ部52dを設けたことによって、略直方体形状のブレード71の駆動ワイヤ72より外側の両側部と突起部52a、52bのブレード当接部52eとが当接するようになっている。
【0040】
ブレード当接部52eは、一対の駆動ワイヤ72の移動に伴って移動されるブレード71の前記側部が当接するように形成された突起部である。ブレード当接部52eは、一対の駆動ワイヤ72より外側に位置するように設けられている。ブレード当接部52eの当接部のブレード71に当接する部分には曲面形状の面取りが施されている。このことによって、ブレード71がブレード当接部52eに当接することによって傷付けられて、ブレード71が劣化すること、拭きムラが生じること、或いはブレード71が破損する要因になること等の不具合を防止している。
【0041】
ブレード保持面52hは、前記ブレード71の厚み寸法(図3のT参照)及び弾性力と、硬性鏡2に設けられている照明窓26及び観察窓27の配置位置を考慮して構成される。具体的には、ブレード保持面52hの位置及び形状は、ブレード71の側面71bが該ブレード保持面52hに当接した状態のとき、該ブレード71が屈曲されることなく、このブレード71の有する弾性力によって湾曲形状に保持される曲面形状に形成され、かつ湾曲形状に保持されたブレード71が照明窓26上、或いは観察窓27上に配置されない位置に設定されている。(図9参照)
したがって、ブレード71は、駆動ワイヤ72によって移動されている移動中において、該ブレード71の一部である両側部がブレード当接部52eに当接する。そして、両側部が当接状態において、さらに駆動ワイヤ72が移動されることによって、直方体形状のブレード71は凸形状に変形して移動される。この後、該ブレード71の一方の側面71bがブレード保持面52hに当接して変形及び移動が停止される。このとき、ブレード71は、湾曲形状に変形されて、一方の突起部52a側に配置される。この配置状態において、ブレード71は、照明窓26上、或いは照明窓26上に配置されることなく、照明窓26、観察窓27から離れて配置される。このブレード71の配置状態を待避状態と記載し、該ブレード71の配置位置を待避位置と記載する。
【0042】
なお、突起部52a、52bの先端方向への突出寸法は、ブレード71の高さ寸法H(図1、図8参照)を考慮して設定される。具体的には、ブレード71が突起部52a、52bの先端面より先端側に突出することがないように設定される。また、逃げ部52dは、ワッシャ76、カシメ管77等が突起部52a、52bに当接することを防止すると共に、変形されたブレード71が湾曲形状を形成するためのブレード変形空間を形成している。
【0043】
シース先端部50の側面部には、突起部52a、52bの位置関係に対応するように、対向した位置関係で一対の周状凹部53が設けられている。周状凹部53には、前記ワイパーユニット70を構成するワイヤ結合部材74が進退自在に配置される。
【0044】
そして、シース先端部50の側面部であって、一方の周状凹部53と他方の周状凹部53との間には、送気送水溝54が設けられている。送気送水溝54には、後述する送気送水パイプ(図8の符号45参照)が配置される。
【0045】
なお、符号54aは位置決め面である。符号55はコイルパイプ挿通孔である。コイルパイプ挿通孔55には前記コイルパイプ44が挿通される。コイルパイプ挿通孔55は、周状凹部53側と外部とを連通する貫通孔であって、周状凹部53を構成する凹部基端面53aの周方向中央に開口を備え中心軸A1に対して平行に形成されている。符号56は送気送水管案内孔である。送気送水管案内孔56には送気送水パイプが配置される。送気送水管案内孔56は、送気送水溝54と外部とを連通する貫通孔であって、送気送水溝54の溝基端面54bの所定位置に開口を備え中心軸A1に平行に形成されている。符号57はシース本体配置凹部であって、シース40の先端部が配置される。シース本体配置凹部57の中心軸と、中心軸A1とは同軸である。シース40が凸部43を備える構成においては、シース本体配置凹部57の内周面に、凸部43が配置される凹部(図12の符号57a参照)が形成される。符号58は排液用凹部である。
【0046】
図1、図2、図6に示す先端カバー部60は、硬性な略管状部材であって、ステンレス等の金属部材、或いはポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の硬質な樹脂部材で形成されている。先端カバー部60は基端側開口を有する本体配置穴61を備え、該本体配置穴61には前記ワイパーユニット70を取り付けた状態のシース先端部50が挿通される。
【0047】
一方、先端カバー部60の先端側には、先端側開口を備え本体配置穴61より小径な凹部62が形成されている。先端カバー部60の凹部62の内周面には前記突起部52a、52bがそれぞれ配置される4つの突起部配置凹部65が形成されている。
【0048】
先端カバー部60の側面部には凹部62と外部とを連通する一対の排液孔64が対向する位置関係で形成されている。一対の排液孔64は、周方向に対して細長形状であって、前記排液用凹部58に対応している。
【0049】
なお、凹部62と本体配置穴61とはノズル形成凸部63を残して連通している。そして、ノズル形成凸部63には噴出口を構成する凹部63aが設けられている。符号66はシース先端部50の配置位置を規定する当接面であって、当接面66に位置決め面54aが当接する。そして、当接面66に位置決め面54aが当接することによって、先端カバー部60に対してシース先端部50が所定位置に配置される。
【0050】
図2、図7乃至図12を参照してシース基端部36と、シース40と、シース先端部50と、先端カバー部60と、ワイパーユニット70とを備えるシース挿入部31の組み立て工程を工程毎に説明する。
シース40をシース先端部50に取り付ける工程を説明する。
【0051】
まず、第1貫通孔42aにコイルパイプ44が配設されている状態のシース40の先端部を、図2に示すようにシース先端部50のシース本体配置凹部57内に配置する。その際、図12に示すシース本体配置凹部57に形成されている凹部57aに図2に示すシース40の凸部43を配置する一方、図8に示すように第1貫通孔42aの先端側端面から突出して設けられているコイルパイプ44を図2に示すコイルパイプ挿通孔55内に配置する。
【0052】
このことによって、図8に示すようにシース40がシース先端部50に所定の位置関係で配置される一方、コイルパイプ挿通孔55の凹部基端面53a側の開口からコイルパイプ44の端部44aが突出した状態になる。
【0053】
次に、コイルパイプ44の端部44aを所定長さに調節後、該端部44aを凹部基端面53aに対して例えば半田46によって一体的に固定する。また、シース40とシース先端部50とを例えば接着によって一体的に固定する。図12の符号47は接着剤層である。
【0054】
シース40が一体に連結されているシース先端部50にワイパーユニット70を配設する工程を説明する。
まず、ワイパーユニット70を構成する一対の操作ワイヤ73をそれぞれ、対応する凹部基端面53aに固定されたコイルパイプ44内に挿通して、操作ワイヤ73の端部をシース40の基端面側から外部に導出させる。このことによって、図8に示すように一対の操作ワイヤ73がシース40に設けられているそれぞれの第1貫通孔42a内に挿通された状態になる。
【0055】
次に、図2に示すようにワイパーユニット70を構成する一対のワイヤ結合部材74をそれぞれ、シース先端部50に設けられている対応する周状凹部53に配置する。このとき、ワイパーユニット70を構成する一対の駆動ワイヤ72のうち一方をシース先端部50の軸A2を挟んで一方側であって図中左側に位置する突起部72a、72bに形成されているワイヤ配置溝52cに配置する。また、一対の駆動ワイヤ72のうち他方をシース先端部50の軸A2を挟んで他方側であって図中右側に位置する突起部72a、72bに形成されているワイヤ配置溝52cに配置する。このことによって、ワイパーユニット70のシース先端部50への仮の配置が完了する。
【0056】
この後、細長な送気送水パイプ45を2本用意し、図8、図10、図11に示すようにそれぞれの送気送水パイプ45を送気送水溝54に配置する一方、送気送水パイプ45の基端部側を送気送水管案内孔56を介して第2貫通孔42bの先端側内に連結する。このとき、送気送水パイプ45の先端面は、位置決め面54aに対して面一致状態で配置される。
【0057】
ワイパーユニット70が配置されたシース先端部50を先端カバー部60に取り付ける工程を説明する。
【0058】
まず、シース40の基端面から外部に導出されている一対の操作ワイヤ73(不図示)を牽引操作して、ワイヤ結合部材74を周状凹部53の例えば中央に配置させる。このことによって、ブレード71が一対の突起部52aと一対の突起部52bとの中間に配置された状態になる。
【0059】
次に、先端カバー部60とシース先端部50とを所定の位置関係で対設させ、シース先端部50を先端カバー部60の本体配置穴61内に挿入していく。すると、一対の突起部52a、52bがそれぞれ対応する突起部配置凹部65内に配置され、その後、該シース先端部50をさらに挿入していく。このことによって、突起部52a、52bの先端面が突起部配置凹部65の底面に当接すると共に、シース先端部50の位置決め面54aが先端カバー部60の当接面66aに当接して、図7、図8、図10に示すようにシース先端部50に先端カバー部60が配置された状態になる。このとき、送気送水パイプ45の先端側開口が、ノズル形成凸部63に形成されている凹部63aの底面に対向した位置関係になる。
【0060】
次いで、シース先端部50に先端カバー部60が被されている状態で、ワイパーユニット70のブレード71が所定の配置状態であるか否かを目視で確認すると共に、所定の動作をするか否か等を確認する。
【0061】
ブレード71の動作確認を行う場合、シース40の外部に導出されている操作ワイヤ73を適宜、牽引操作する。このことによって、ブレード71が操作ワイヤ73の移動に伴って図7中の矢印UP方向、又は矢印DOWN方向に移動するか否かの確認、ブレード71が矢印UP方向に移動中において、該ブレード71の両側部が一対の突起部52aのブレード当接部52eに当接するか否かの確認、及び、ブレード71が矢印DOWN方向に移動中において、該ブレード71の両側部が一対の突起部52bのブレード当接部52eに当接するか否かの確認、更にはブレード71がブレード当接部52eに当接している状態において操作ワイヤ73がさらに矢印UP方向、又は矢印DOWN方向に牽引操作されたときに該ブレード71が図9の一点鎖線に示すように湾曲形状に変形して待避位置に配置されるか否かの確認を行う。このブレード71は、湾曲形状に変形されて、照明窓26の一部、或いは観察窓27の一部を塞ぐことなく待避位置に配置される。
【0062】
そして、ワイパーユニット70が所望する動作状態であるとき、先端カバー部60とシース先端部50とを例えば接着によって一体的に固定する。このことによって、図8乃至図13の二点鎖線に示すように硬性鏡2の挿入部21が配置されるシース挿入部31の先端側部が構成される。
【0063】
このように構成されたシース挿入部31において、ワイパーユニット70を構成するブレード71の払拭面71cは、図8に示すように硬性鏡2の挿入部先端面25aが配置される先端面配置位置よりも基端側であるシース本体部32側に位置する。
【0064】
したがって、シース挿入部31の内視鏡挿入チャンネル33内に硬性鏡2の挿入部21を挿通させて、図13に示すように該挿入部21の挿入部先端面25aが先端面当接部59の裏面59aに当接したとき、挿入部21がシース挿入部31に所定状態で配置され、ブレード71は挿入部先端面25aによって先端側に移動される。このことによって、ブレード71の払拭面71cは挿入部先端面25aに対して所定の接触圧で密着した状態になる。
【0065】
なお、シース40の基端面から外部に導出されている一対の操作ワイヤ73は、それぞれ長さ調整を行った後、それぞれの端部に操作ピン(図1の符号38)が接合される。そして、操作ワイヤ73が接合された操作ピン38は、操作ノブ37の摺動溝37a内に配置され、その配置状態で、該操作ノブ37をシース基端部36に対して回動自在に取り付け、その後、該シース基端部36をシース本体部32に一体的に取り付けられる。このことによって、図1に示す内視鏡洗浄用シース3が構成される。
【0066】
上述のように構成した内視鏡洗浄用シース3の作用を説明する。
まず、内視鏡検査を行うにあたって、ユーザーは、図1に示すように硬性鏡2の挿入部21を内視鏡洗浄用シース3のシース挿入部31に備えられている内視鏡挿入チャンネル33内に挿通する。このとき、ライトガイド口金24の位置をガイド溝32aの位置に一致させておく。
【0067】
装着作業において、挿入部21の挿入部先端面25aが先端面当接部59の裏面59aに当接することによって、挿入部21のシース挿入部31内への装着が完了する。この装着状態において、ブレード71の払拭面71cは、挿入部先端面25aによって突起部52の先端面側に移動されて、該挿入部先端面25aに密着した状態になる。
【0068】
次に、ユーザーは、操作ノブ37を操作して、内視鏡洗浄用シース3に備えられているブレード71を、一方の待避位置側に移動させる。つまり、操作ノブ37を操作して、操作ワイヤ73、ワイヤ結合部材74を手元側に移動させて、一対の駆動ワイヤ72を牽引する。すると、駆動ワイヤ72の移動に伴って移動されているブレード71の両側部が例えば一対の突起部52bに設けられているブレード当接部52eに当接して移動が停止される。
【0069】
この停止状態において、更に駆動ワイヤ72が牽引され続けられることによって、作用部75からブレード71にかかる力量が徐々に増大して該ブレード71が僅かずつ変形していく。そして、作用部75からブレード71にかかる力量が更に増大して、該ブレード71がさらに変形される。
【0070】
すると、ブレード71の両側部がブレード当接部52eから外れ、変形されたブレード71が再び駆動ワイヤ72によって移動されて、該ブレード71の側面71bが一対の突起部52bに設けられているブレード保持面52hに当接して保持される。このとき、ブレード71は湾曲状態に変形されて、一対の突起部52b側の待避位置に配置される。この配置位置において、ブレード71は、観察窓27上及び照明窓26上から外れた位置にある。
【0071】
次いで、ユーザーは、硬性鏡2を観察状態にする。即ち、図示しない光源装置をオン状態にして、照明光が照明窓26から出射される状態にする。この状態で、ユーザーは、内視鏡洗浄用シース3が装着された挿入部21を体腔内に導入して観察を行う。
【0072】
観察中において、体腔内の体液等が照明窓26に付着することによって照明光照射範囲が狭まる不具合、或いは照明光量が減少する不具合が生じる。一方、体腔内の体液等が観察窓27に付着することによって観察画像に不具合が生じる。そして、これらの不具合のうち何れかの不具合が生じて観察画面上の観察画像に不具合が生じたとき、ユーザーは、操作ノブ37の回動操作を行う。
【0073】
すると、この操作ノブ37の回動操作に伴って、操作ワイヤ73が牽引弛緩されて駆動ワイヤ72が移動することによってブレード71が駆動される。つまり、一対の突起部52b側の待避位置に配置されていたブレード71が一対の突起部52a側の待避位置に向かって移動される。このことによって、ブレード71は、観察窓27上、照明窓26上を通過して、該観察窓27上に付着していた付着物の除去、或いは該照明窓26に付着していた付着物の除去を行う。
【0074】
ここで、操作ノブ37の操作に伴って駆動されるブレード71の作用を具体的に説明する。なお、硬性鏡2による観察状態において、ブレード71は図14の二点鎖線に示すように一対の突起部52b側の待避位置に配置されている。
【0075】
まず、ユーザーが操作ノブ37を操作することによって、図中の上方向に位置する図示しない操作ワイヤ73が手元側に牽引移動される。すると、この操作ワイヤ73の牽引移動に伴って、図中の上方向に位置する図示しないワイヤ結合部材74が手元側に移動されて、該ワイヤ結合部材74に接合されている一対の駆動ワイヤ72が牽引される。
【0076】
一対の駆動ワイヤ72が牽引されることにより、二点鎖線に示すように湾曲状態であったブレード71が該ブレード71の有する弾性力によって直方体形状に復元される。そして、駆動ワイヤ72の移動に伴って図中の上方向に移動していく。このとき、ブレード71は、観察窓27上を通過して、該観察窓27に付着している付着物の除去を行う。
【0077】
ここで、操作ノブ37の更なる回転操作による駆動ワイヤ72の移動に伴ってブレード71が更に上方向に移動していく。すると、図14の実線に示すようにブレード71の両側部がブレード当接部52eに近づき、その後に当接する。このことによって、駆動ワイヤ72が牽引状態であるにもかかわらず、該ブレード71の上方向への移動が一時的に停止された状態になる。
【0078】
この状態において、ユーザーによる操作ノブ37の回転操作が続行されることによって、駆動ワイヤ72が移動されて、作用部75から停止状態のブレード71にかかる力量が徐々に増大していく。すると、弾性力を有する該ブレード71は僅かずつ変形して、該ブレード71の両側部がブレード当接部52eから外れる。ブレード71の両側部がブレード当接部52eから外れることによって、変形されたブレード71は再び駆動ワイヤ72によって上方向に移動される。
【0079】
このとき、ブレード71は、照明窓26上を通過して、該照明窓26に付着している付着物の除去を行う。その後、ブレード71の側面71bが一対の突起部52aのブレード保持面52hに当接する。このことによって、ブレード71は図15の実線に示すように湾曲状態に保持されて、一対の突起部52a側の待避位置に配置される。
【0080】
なお、ブレード71によって除去された付着物は、該ブレード71の移動によって排液用凹部58に移動され、該排液用凹部58に対設する排液穴64からシース挿入部31の外部に排出される。
【0081】
また、操作ノブ37を一方向に回転させる操作によって、観察画面上に表示される観察画像の付着物による不具合が解消されなかった場合、ユーザーは、操作ノブ37を他方向に回転させる操作を行う。
【0082】
すると、図15中の下方向に位置する図示しない操作ワイヤ73が手元側に牽引移動されて、図中の下方向に位置する図示しないワイヤ結合部材74が手元側に移動されて、一対の駆動ワイヤ72が下方向に牽引される。すると、一対の突起部52a側の待避位置に湾曲状態で配置されているブレード71は、該ブレード71の有する弾性力によって前記図14の実線に示すように直方体形状に復元され、その後、駆動ワイヤ72の移動に伴って図中の下方向に移動していく。
【0083】
つまり、ブレード71は、照明窓26上を通過して、該照明窓26に付着している付着物の除去を行う。そして、操作ノブ37の更なる回転操作に伴って駆動ワイヤ72が移動され、ブレード71も更に下方向に移動されていく。その後、ブレード71の両側部が一対の突起部52bに設けられているブレード当接部52eに当接する。すると、上述と同様に、駆動ワイヤ72が牽引状態であるにもかかわらず、該ブレード71の下方向への移動が停止される。
【0084】
この状態において、ユーザーによって、操作ノブ37の回転操作が引き続き行わることによって、駆動ワイヤ72が移動されて、作用部75から停止状態のブレード71にかかる力量が徐々に増大していく。すると、上述と同様にブレード71の両側部がブレード当接部52eから外れ、変形されたブレード71は再び駆動ワイヤ72によって下方向に移動される。
【0085】
このとき、ブレード71は、観察窓27上を通過して、該照明窓26に付着している付着物の除去を行う。その後、ブレード71の側面71bが一対の突起部52bに設けられているブレード保持面52hに当接する。このことによって、ブレード71は再び、図15の二点鎖線に示すような湾曲状態に変形されて、一対の突起部52b側の待避位置に保持される。
【0086】
さらに、ユーザーは、操作ノブ37を操作して付着物の除去を行う際、必要に応じて、送気送水チャンネルである第2貫通孔42b、送気送水パイプ45を介して水、或いは空気を供給する。すなわち、送気送水チャンネルを介して例えば水を供給する。すると、供給された水は、ノズル形成凸部63に形成されている凹部63aを介して中心方向に向けて噴出され、観察窓27及び照明窓26に到達する。
【0087】
このことによって、ノズル形成凸部63の凹部63aから噴出される水によって、観察窓27に付着していた付着物の一部又は照明窓26に付着していた付着物の一部が除去される。また、ノズル形成凸部63の凹部63aから噴出される水によって、ブレード71と挿入部先端面25aとの間の摩擦力が軽減されて、該ブレード71がよりスムーズに挿入部先端面25a上を移動する。即ち、操作ノブ37を操作する力量を軽減して、観察窓27及び照明窓26に付着していた付着物をスムーズに除去することができる。そして、ブレード71の移動によって除去される付着物及び水は、排液用凹部58、排液孔64を介してシース挿入部31の外部に排出される。
【0088】
このように、内視鏡洗浄用シースを構成するシース挿入部を、シースと、シース先端部と、先端カバー部と、ワイパーユニットとで構成する。そして、シース先端部に先端側に突出する突起部を設け、その突起部にワイパーユニットを構成する弾性を有するブレードの側部と当接するブレード当接部を設けるとともに、ブレードの背面が当接するブレード保持面とを設ける。このことによって、駆動ワイヤを駆動してブレードを移動させることによって、該ブレードが観察窓上、照明窓上を移動して、観察窓に付着した付着物、或いは照明窓に付着した付着物の除去を行うことができる。また、ブレードが移動している最中に該ブレードの側部がブレード当接部に当接することによって、直方体形状のブレードは作用部から伝達される力量によって徐々に変形する。そして、ブレードの側部とブレード当接部との当接状態が解除されて、該ブレードは再び駆動ワイヤによって移動されブレードの背面がブレード保持面に当接して、湾曲形状に保持される。この保持状態において、ブレードは、観察窓上、及び照明窓上から待避した位置に配置されて、該ブレードによって観察が妨げられることを防止することができる。
【0089】
なお、本実施形態においては、突起部にブレード当接部を設けるとしているが、シース先端部の所定位置に先端側に突出するピンを配設して、このピンに移動中のブレードを当接させる構成にしてもよい。
【0090】
また、駆動ワイヤ72の表面に黒いコーティングを施すことによって、駆動ワイヤに照明光が反射して発生するゴーストを低減することができる。
【0091】
さらに、本実施形態においては、図9等に示すようにブレード71を図中の上下方向に移動させて、挿入部先端面25aに付着した付着物を除去するとしている。しかし、挿入部21とシース挿入部31との位置関係は、この位置関係に限定されるものではなく、例えば挿入部21に対してシース挿入部31を90度位置ずれさせてもよい。このことによって、ブレード71が図中の左右方向に移動して、挿入部先端面25aに付着した付着物の除去を行える。そして、挿入部21とシース挿入部31とをこの位置関係で装着可能にする場合には、ガイド溝32aの位置も90度位置ずれさせる。
【0092】
上述した実施形態においては、ブレード71の両端側に一対の駆動ワイヤ72を固定して、該駆動ワイヤ72によって、該ブレード71の払拭面71cを挿入部先端面25aへ押し付けるとともに、該挿入部先端面25aに押し付けられているブレード71を移動させている。しかし、弾性力を有するブレード71を両端に設けた駆動ワイヤ72によって挿入部先端面25aに押し付ける構成においては、駆動ワイヤ72の近傍においては十分な接触圧を得られるが、一対の駆動ワイヤ72の中央に位置するブレード71の中間部においては接触圧が減少するおそれがある。言い換えれば、ブレード71の挿入部先端面25aに対する接触圧が、一対の駆動ワイヤ72近傍と、一対の駆動ワイヤ72の中間部とで異なるとこによって、拭きムラが発生する要因になるおそれがある。
【0093】
この不具合を解消するため、ブレード71の中間部の高さを高く設定してブレード71の剛性を向上させることが考えられる。しかし、該ブレード71の中間部を高く設定して剛性を高める構成においては、ブレード71が待避位置に配置されているとき、その高く設定した中間部分によって照明光照射範囲の一部、或いは観察視野範囲の一部が遮られるそれがある。
【0094】
図16乃至図20を参照して、ブレードと挿入部先端面との接触圧を全面に渡って均一にし、かつ、その接触圧を高め設定することを可能にするブレードの構成を説明する。
【0095】
図16及び図17はブレードの一構成例に係り、図16はブレードと挿入部先端面との接触圧を全面に渡って均一にして、かつ、その接触圧を可能な範囲で高めにするブレードの構成を説明する図、図17は図16のブレードの作用を説明する図である。
【0096】
図16に示すように本実施形態のブレード71Aは、払拭面71cを弓形の凸状部71dとしている。このことによって、駆動ワイヤ72によってブレード71Aの凸状部71dに構成されている払拭面71cを、図17に示すように挿入部先端面25aに押し付けたとき、該ブレード71Aの該払拭面71cは平面形状に変形する。その一方で、前記払拭面71cに対向する後面71eは出っ張った形状に変形する。このことによって、払拭面71cの挿入部先端面25aに対する接触圧は、矢印に示すように均一な圧力分布にすることができる。
【0097】
図18及び図19はブレードの他の構成例に係り、図18は接触圧を均一にして、かつ、その接触圧を可能な限り高めに設定するブレードの他の構成を説明する図、図19は図18のブレードの作用を説明する図である。
【0098】
図18に示すように本実施形態のブレード71Bは、前記図16に示したブレード71Aと同様に払拭面71cを弓形の凸状部71dとする一方、後面71eを該凸状部71dに対応した弓形の凹状部71fとしている。このことによって、駆動ワイヤ72によってブレード71Bの払拭面71cを、図19に示すように挿入部先端面25aに押し付けたとき、該ブレード71Bの該払拭面71cが平面形状に変形するとともに、前記払拭面71cに対向する凹状部71fとして構成した後面71eが平面形状に変形する。このことによって、払拭面71cの挿入部先端面25aに対する接触圧は、矢印に示すように均一な圧力分布にすることができる。
【0099】
図20はブレードの別の構成例にかかる、接触圧を均一にして、かつ、その接触圧を可能な限り高めに設定するブレードの別の構成を説明する図である。
【0100】
図20に示すように本実施形態のブレード71Cは、ブレード71C内に剛性を有する芯部材71gを備えている。このことによって、芯部材71gによってブレード71Cの剛性が増大して、ブレード71の中間部の高さを変化させることなく、払拭面71cの挿入部先端面25aに対する接触圧を均一な圧力分布にすることができる。
【0101】
また、上述した実施形態においては、図21の二点鎖線で示すように一対の駆動ワイヤ72を平行に配置させる構成としているが、同図に示すように一対の駆動ワイヤ72をワイヤ結合部材74Aの手元側延長線上において破線に示すように交差する構成にしてもよい。具体的には、ワイヤ結合部材74の幅寸法に比べてワイヤ結合部材74Aの幅寸法を短く構成する。このことによって、ワイヤ結合部材74A上における操作ワイヤ73による力の作用点と、一対の駆動ワイヤ72による力の作用点とが近いて構成される。このことによって、操作ノブ37を操作して操作ワイヤ73を牽引操作したとき、前記ワイヤ結合部材74に比べてワイヤ結合部材74Aが傾き難くすることができる。図21は一対の駆動ワイヤとワイヤ結合部材との関係を説明する図である。
【0102】
また、上述した実施形態においては、ブレード71が待避位置に配置されている状態において、該ブレード71の側面71bと後面71eとの稜線近傍が観察視野範囲内に配置されることによって、観察画像中にブレード71が写り込む不具合が生じるおそれがある。一方、稜線近傍が照明光照射範囲内に配置されることによって、観察画像中にブレード71の影が写り込む不具合が生じるおそれがある。
【0103】
図22及び図23はブレードの稜線部近傍が観察視野範囲内及び照明光照射範囲内に配置されることを防止するブレードの構成に係り、図22はブレードの背面と後部とで構成される稜線に面取り部を設けたブレードの構成を説明する三面図、図23はブレードの作用を説明する図である。
【0104】
図22に示すように本実施形態のブレード71Dは、払拭面71cに対向する後面71eと側面71bとで形成される稜線71hに面取り部71iを設けている。このことによって、図23に示すようにブレード71を待避位置に配置させた状態において、該ブレード71によって観察窓27の観察視野範囲が妨げられること、及び照明窓26の照明光照射範囲が妨げられることが防止される。
【0105】
また、上述した実施形態においては、ブレード71が該ブレード71の有する弾性力によって変形されて待避位置に湾曲状態で配置されるとき、該ブレード71の払拭面71cによって挿入部先端面25aの端側までを確実に払拭することが望まれている。
【0106】
図24乃至図26を参照して、ブレードの払拭面によって挿入部先端面の端側までを払拭することを可能にするブレードとブレード保持面との関係を説明する。
【0107】
図24及び図25はブレードの一構成例に係り、図24はブレードの構成を説明する図、図25はブレードの作用を説明する図である。
【0108】
図24に示すように本実施形態のブレード71Eにおいては、駆動ワイヤ72より基端側、即ち払拭面71c側の側面71bから側面71bまでの幅寸法W1と、駆動ワイヤ72より先端側である後面71e側の側面71bから側面71bまでの幅寸法W2とが異なっており、具体的には幅寸法W2が幅寸法W1に比べて幅広である。
【0109】
このため、ブレード71Eが駆動ワイヤ72に牽引されて突起部52のブレード保持面52hに当接するとき、図25に示すようにブレード71Eを構成する後面71e側の側面71bが払拭面71c側の側面71bより先に当接する。このとき、駆動ワイヤ72が幅寸法が幅狭な側に設けられていることによって、該ブレード71Eが矢印に示すように傾けられる。すると、払拭面71cが挿入部先端面25aの端側にまで移動されて、該挿入部先端面25aの端側までを確実に払拭することができる。
【0110】
図26はブレード保持面の構成とブレードの作用とを説明する図である。
図26に示すように本実施形態のブレード保持面52hには凹み段部52iが形成されている。この凹み段部52iの段差面52kは駆動ワイヤ72の配設位置より高くなるように設定されている。
【0111】
このため、ブレード71が駆動ワイヤ72に牽引されて突起部52のブレード保持面52hに当接した後、該駆動ワイヤ72の移動によってブレード71の払拭面71c側が矢印に示すように傾けられる。すると、ブレード71の払拭面71cが凹み段部52i内に侵入するように移動されて、該払拭面71cが挿入部先端面25aの端側までを確実に払拭することができる。
【0112】
なお、上述の実施形態においては、内視鏡洗浄用シースを適用する内視鏡を挿入部が硬性な硬性鏡としている。しかし、内視鏡洗浄用シースが適用される内視鏡は硬性鏡に限定されるものではなく、挿入部が可撓性を有する所謂、軟性内視鏡に対して該内視鏡洗浄用シースを適用するようにしてもよい。
【0113】
そして、内視鏡の可撓性を有する挿入部に装着される内視鏡洗浄用シースでは、シース挿入部を構成するシースをマルチルーメンチューブで構成するとき、上述したようにシリコン等の柔軟性を有する材質で形成する。可撓性を有する挿入部の長さは、通常、硬性鏡2の挿入部21の長さに比べて長く形成されている。そのため、内視鏡洗浄用シースを構成するブレードを移動させるための駆動ワイヤに連結された操作ワイヤをモータによって牽引する構成にする。このことによって、術者が操作ワイヤを直接、牽引操作することなく、ブレードを駆動させて付着物の除去を行える。
【0114】
また、上述した実施形態においては、内視鏡洗浄用シース3は先端開口部34を備え、該先端開口部34に配置された内視鏡2の挿入部先端面25aをブレード71によって払拭する構成である。しかし、図27に示すようにシース先端部50Aに光透過性を有する透明な光学部材で形成された先端カバー部材101を設けて、内視鏡洗浄用シース3Aを構成するようにしてもよい。この内視鏡洗浄用シース3Aでは、前記先端開口部34を閉塞する先端カバー部材101の先端面がブレード71によって払拭される。
【0115】
内視鏡洗浄用シース3Aの先端カバー部材101は、シース先端部50Aの位置決め面54aから先端カバー部材101の厚み寸法に対応する深さ寸法で形成された凹部52mに配置され、例えば接着剤によって一体的に固定される。したがって、内視鏡洗浄用シース3Aにおいては、先端面当接部59が不要となり、内視鏡2の挿入部先端面25aは前記実施形態の先端面当接部59の裏面59aではなく、先端カバー部材101の基端面に当接して位置決めされる。図27は先端カバー部材を設けた内視鏡洗浄用シースを説明する図である。
【0116】
内視鏡洗浄用シース3Aの先端カバー部材101に内視鏡2の挿入部先端面25aを当接させた際、挿入部先端面25aを先端カバー部材101に密着させなければならない。万一、先端カバー部材101と挿入部先端面25aとの間に隙間が形成されていた場合、照明窓26から出射された光は、隙間部分において反射を繰り返し、その反射光が観察窓27から観察光学系内に侵入して、観察画像にフレアー等の不具合が発生するおそれがある。そのため、内視鏡2の挿入部21を内視鏡洗浄用シース3Aの内視鏡挿入チャンネル33Aに挿通させた際、挿入部先端面25aと先端カバー部材101とを、容易、且つ確実に密着させる着脱機構が望まれている。
【0117】
特に、内視鏡が軟性内視鏡の場合、挿入部の長さが長くなるので、挿入部先端面25aと先端カバー部材101とを容易、且つ確実に密着させる着脱機構が望まれている。
【0118】
図28乃至図31は挿入部が可撓性を有する内視鏡の挿入部に内視鏡洗浄用シースを取り付け、取り外しするための着脱機構に係り、図28は内視鏡洗浄用シースに設けられる着脱機構の構成を説明する図、図29は内視鏡の操作部に設けられる着脱機構の構成を説明する図、図30は内視鏡の操作部に着脱機構を設けた状態を説明する図、図31は内視鏡の操作部に設けられた着脱機構に、内視鏡洗浄用シースに設けられた着脱機構を連結した状態を示す図である。
【0119】
図28に示す内視鏡洗浄用シース3Bは、内視鏡2Aの可撓性を有する細長な挿入部(図30の符号121参照)に装着される。したがって、内視鏡洗浄用シース3Bは、可撓性を有するシース40Bを備えたシース挿入部131と、シース側連結部132とを備えて構成されている。シース挿入部131の内視鏡挿入チャンネル(符号33B参照)内には内視鏡2Aの挿入部121が挿入され、該シース挿入部131は該挿入部121と一体で体腔内に挿入される。
【0120】
シース挿入部131は、内視鏡2Aの挿入部121が挿入される内視鏡挿入チャンネル33Bを備える。シース挿入部131の先端面側には先端カバー部材101が設けられている。先端カバー部材101の先端面にはワイパーユニット70を構成する細長で略直方体形状のブレード71が設けられている。ブレード71は弾性部材で形成され、内視鏡2Aの挿入部先端面125a上に所定の接触圧で密着して配置される。ブレード71の長さ寸法は、先端カバー部材101の直径寸法と略同寸法で、該ブレード71によって先端カバー部材101の略全面を払拭する構成である。
【0121】
なお、シース挿入部131の長さ寸法は、予め、予め内視鏡2Aの挿入部121の長さ寸法に対して所定の寸法に設定されている。具体的には、挿入部121を内視鏡挿入チャンネル33B内へ挿通して内視鏡2Aに内視鏡洗浄用シース3Bを装着した状態において、先端カバー部材101の基端面が挿入部先端面125aに対してシース40Bの弾性力によって密着した状態になるように長さ寸法が設定されている。
【0122】
シース側連結部132はシース挿入部131の後端側に設けられている。シース側連結部132は、内視鏡洗浄用シース3Bと内視鏡2Aとを一体にするため、或いは別体にするための着脱機構であって、内視鏡2Aの操作部122の先端側に設けられた後述する着脱機構を構成する操作部側連結部(図29の符号140参照)に対して固定保持される。
【0123】
具体的に、シース側連結部132は、連結部本体133と、シース側着脱部134とを備えて構成されている。連結部本体133は、シース挿入部131を構成するシース40Bの基端部外周面に一体的に固定される。連結部本体133は、ABS等の硬質な樹脂製である。連結部本体133は、基端側に本体フランジ133aを備えている。符号133bは位置決め用突起であり、符号133cは目印である。ユーザーは、目印133cを確認して、位置決め用突起133bの位置を把握することができる。
【0124】
シース側着脱部134は一対の爪状部材135で構成される。爪状部材135は、係止部135aと連結部135bとを備えている。爪状部材135は、本体フランジ133aに対して対向した位置関係で回動自在に配置される。なお、一対の爪状部材135の係止部135aは、それぞれ図示しないバネ部材によって中心軸方向に付勢されている。
【0125】
図29に示すように操作部側連結部140は管状であって貫通孔140aを備えている。操作部側連結部140は、操作部配設部141と操作部側着脱部142とを備える。操作部側着脱部142の先端側外周面には着脱用フランジ142aが備えられている。操作部配設部141の外周面には固定用溝143が設けられている。固定用溝143は、内視鏡洗浄用シース3Bの長手軸に対して平行に形成された導入溝143aと、この導入溝143aに直交する固定溝143bとを備える。
【0126】
固定用溝143には内視鏡2Aの操作部122に予め設けられている固定用ピン部材(図30の符号123参照)が係入配置される。この固定用ピン部材123は挿入部121に備えられている湾曲部(不図示)の湾曲上方向に対応する位置に設けられている。なお、符号142bは位置決め凹部であり、この位置決め凹部142bには前記位置決め用突起133bが配置される。符号142cは目印であって、ユーザーに位置決め凹部142bの位置を告知する。
【0127】
上述のように構成されている着脱機構の作用を説明する。
ユーザーは、内視鏡洗浄用シース3Bと内視鏡2Aとを用意する。なお、内視鏡2Aの操作部122には図30に示すように予め操作部側連結部140が配設されている。
【0128】
次に、ユーザーは、内視鏡洗浄用シース3Bを内視鏡2Aの挿入部121に装着する作業を開始する。即ち、ユーザーは、内視鏡2Aの挿入部121を内視鏡洗浄用シース3Bのシース挿入部131に備えられている内視鏡挿入チャンネル33B内に挿通していく。このとき、位置決め用突起133bと位置決め凹部142bとの位置関係を略一致するようにしておく。
【0129】
この装着作業において、シース挿入部131の長さ寸法が予め所定の長さ寸法に設定されているため、操作部側連結部140を構成する操作部側着脱部142の着脱用フランジ142aに対してシース側連結部132を構成する爪状部材135の係止部135aが近似した位置関係において、挿入部121の内視鏡挿入チャンネル33B内への挿通が停止される。このとき、シース挿入部131の先端に設けられている先端カバー部材101に対して挿入部121の挿入部先端面125aも近似した位置関係である。
【0130】
ここで、ユーザーは、まず、シース挿入部131の先端側の位置を調節して、先端カバー部材101と挿入部先端面125aとをさらに近づけて略当接した状態にする。次に、ユーザーは、操作部側連結部140を構成する操作部側着脱部142の着脱用フランジ142aにシース側連結部132を構成する爪状部材135の係止部135aを引っかける。即ち、ユーザーは、シース側連結部132を把持し、爪状部材135の係止部135aをバネ部材の付勢力に抗して広げた状態にして、シース40Bの有する弾性力に抗して該シース40Bを引き伸ばしていく。そして、位置決め用突起133bを位置決め凹部142bに係入させた状態にして、係止部135aを着脱用フランジ142aに取り付ける。
【0131】
このことによって、図31に示すように内視鏡洗浄用シース3Bの内視鏡2Aへの装着が完了する。この装着状態において、シース40Bの有する弾性力によって、先端カバー部材101と挿入部先端面125aとが密着した状態に保持することができる。
【0132】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1乃至図15は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡と内視鏡洗浄用シースとを備える内視鏡装置を説明する図
【図2】シース、挿入部先端構成部、先端カバー部、及びワイパーユニットを備えて構成されるシース挿入部の分解斜視図
【図3】ブレードに設けられる作用部の構成例を説明する図
【図4】シースの他の構成を説明する図
【図5】シース先端部を説明する図
【図6】先端カバー部を説明する図
【図7】シース挿入部の正面図
【図8】図7のVIII−VIII線断面図
【図9】図8のIX−IX線断面図
【図10】図8のX−X線断面図
【図11】図8のXI−XI線断面図
【図12】図8のXII−XII線断面図
【図13】図9のXIII−XIII線断面図
【図14】ブレードが駆動ワイヤによって移動されている状態を説明する図
【図15】ブレードが湾曲状態で待避位置に配置されている状態を説明する図
【図16】図16乃至図20はブレードと挿入部先端面との接触圧を全面に渡って均一にし、かつ、その接触圧を高め設定することを可能にするブレードの構成例に係り、図16はブレードと挿入部先端面との接触圧を全面に渡って均一にして、かつ、その接触圧を可能な範囲で高めにするブレードの構成を説明する図
【図17】図16のブレードの作用を説明する図
【図18】接触圧を均一にして、かつ、その接触圧を可能な限り高めに設定するブレードの他の構成を説明する図
【図19】図18のブレードの作用を説明する図
【図20】ブレードの別の構成例にかかる、接触圧を均一にして、かつ、その接触圧を可能な限り高めに設定するブレードの別の構成を説明する図
【図21】一対の駆動ワイヤとワイヤ結合部材との関係を説明する図
【図22】図22及び図23はブレードの稜線部近傍が観察視野範囲内及び照明光照射範囲内に配置されることを防止するブレードの構成に係り、図22はブレードの背面と後部とで構成される稜線に面取り部を設けたブレードの構成を説明する三面図
【図23】ブレードの作用を説明する図
【図24】図24乃至図26はブレードの払拭面によって挿入部先端面の端側までを払拭することを可能にするブレードとブレード保持面との関係に係り、図24はブレードの構成を説明する図
【図25】ブレードの作用を説明する図
【図26】ブレード保持面の構成とブレードの作用とを説明する図
【図27】先端カバー部材を設けた内視鏡洗浄用シースを説明する図
【図28】図28乃至図31は挿入部が可撓性を有する内視鏡の挿入部に内視鏡洗浄用シースを取り付け、取り外しするための着脱機構に係り、図28は内視鏡洗浄用シースに設けられる着脱機構の構成を説明する図
【図29】内視鏡の操作部に設けられる着脱機構の構成を説明する図
【図30】内視鏡の操作部に着脱機構を設けた状態を説明する図
【図31】内視鏡の操作部に設けられた着脱機構に、内視鏡洗浄用シースに設けられた着脱機構を連結した状態を示す図
【符号の説明】
【0134】
1…内視鏡装置 2…硬性鏡 3…内視鏡洗浄用シース 21…挿入部
25a…挿入部先端面 26…照明窓 27…観察窓 31…シース挿入部
32…シース本体部 33…内視鏡挿入チャンネル 34…先端開口部
40…シース 41…中央貫通孔 50…シース先端部 51…内視鏡穴
52、52a、52b…突起部 52e…ブレード当接部 52h…ブレード保持面
52c…ワイヤ配置溝 60…先端カバー部 70…ワイパーユニット
71…ブレード 72…駆動ワイヤ 73…操作ワイヤ 74…ワイヤ結合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡が挿通されるシース挿入部の先端側に、付着物を除去するための、弾性部材で略直方体形状に形成されたブレードが配置される、シース先端構成部を備え、前記シース先端構成部と該シース先端構成部に被覆配置される先端カバー部との間に、前記ブレードを前記シース挿入部の長手軸方向に対して直交する方向に移動させる一対の第1ワイヤと、操作手段から延出されて前記長手軸方向に対して摺動自在な第2ワイヤとを連結する連結部材を配置した内視鏡洗浄用シースにおいて、
前記シース先端構成部は、
前記一対の第1ワイヤより外側に位置して先端方向に突設し、前記ブレードが前記第1ワイヤの移動に伴って一端側から他端側への移動中、或いは他端側から一端側への移動中に前記ブレードの一部に当接する少なくとも一対のブレード当接部と、
先端方向に突設し、前記第1ワイヤがそれぞれ摺動自在に配置される屈曲形状のワイヤ配置溝及び前記ブレード当接部に当接後、該第1ワイヤの移動に伴って凸形状に変形する前記ブレードの側面を湾曲形状に保持するブレード保持面を有する突起部と、
を具備することを特徴とする内視鏡洗浄用シース。
【請求項2】
前記ブレード当接部は、前記突起部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄用シース。
【請求項3】
前記ブレード当接部は、前記突起部とは別体に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡洗浄用シース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−132282(P2008−132282A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322395(P2006−322395)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(304050923)オリンパスメディカルシステムズ株式会社 (1,905)
【Fターム(参考)】