説明

内部照明式標識

【課題】 内部照明式標識の逆光対策を充分に行い、軽量で丈夫な上に標識の視認性を均一化できる内部照明式標識を提供する。
【解決手段】 アルミ製枠材からなる標識本体及び枠体と、標識本体に設けた縦横の補強材とを有し、枠体前面には繊維シートからなる表示母材を有し、標識本体裏面には、表示母材と同様の繊維シートからなる光透過性の裏板を有し、標識本体内部の横補強材には多数の内部照明装置が設けられ、標識に対する太陽光の逆光時に、当該逆光線が裏板及び表示母材の繊維シートを透過可能である内部照明式標識の構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、内部照明手段を有する道路標示等の表示手段に関するものであり、特に、表示面母材及び照明装置の裏板に繊維シートを用い、昼と夜のイメージが同等になるとともに、逆光対策が可能な内部照明式標識を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より道路標識等において、内部に照明手段を有する枠体の表面に透明強化プラスチック板を設け、この標示面に文字や矢印、記号等の反射材を施した道路標識は知られている。
このような内部照明標識によれば、夜間においても標識表面の表示を明確に認識することができる。
【0003】
このような道路標識は、例えば特許第3468506号明細書に開示されている。この発明にあっては、枠体の表面側に透明の強化プラスチック板を設け、この表面に素地の反射材及び文字等の反射材を用いて表示部が構成されている。
また、枠体の裏面には半透明乳白色の強化プラスチック板を設け、道路標識の裏側より太陽光を受けた場合に、その太陽光の一部を半透明プラスチック板を通して表示部を通過させることにより、逆光時においても標識部分がよく見えるようにしたものである。
【0004】
その他、照明装置に例えば光拡散用ガラス繊維シートを用い、光源からの光を適度に拡散させる技術(特開2001−55646号公報参照)や、例えばポリエステルの繊維層からなる繊維シートの表示母材と逆光線を部分透過する光散乱粒子混入板とを用い、このような表示面母材に任意の文字、記号等の反射材による表示体を施す技術(特開2002−317411号公報参照)が知られている。
【0005】
しかしながら、これら従来公知の標識手段にあっては、特に大型の道路標識のごとく内部に照明手段を有し、昼間の自然光による標識の視認性と夜間の内部照明手段による標識の視認性に加えて、標識の逆光時における視認性を同時に向上することが困難であった。
また、大型の道路標識等において装置の重量を軽減し、相対的に強度を増すための構成が困難であった。
【特許文献1】特許第3468506号公報
【特許文献2】特開2002−317411号公報
【特許文献3】特開2001−55646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記の問題的を解決し、内部照明式の逆光対策を充分に行い、軽量で丈夫な上に標識の視認性を均一化できる内部照明式標識を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
内部照明式標識の構造であって、アルミ製枠材からなる標識本体及び枠体と、標識本体に設けた縦横の補強材とを有し、前記枠体前面には繊維シートからなる表示母材を有し、前記標識本体裏面には、前記表示母材と同様の繊維シートからなる光透過性の裏板を有し、標識本体内部の横補強材には多数の内部照明装置が設けられ、標識に対する太陽光の逆光時に、当該逆光線が裏板及び表示母材の繊維シートを透過可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の内部照明式標識によれば、大型で軽量かつ強固な標識を作成できる効果を奏する。
また、表示母材である前面板と逆光透過用裏板とを同一の繊維シートにより作成することにより逆光対策の十分な内部照明式標識を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施形態を図1〜図6により説明する。
図1は、この発明の内部照明式標識10の内部構造概略を示しており、図2は支持部を含む内部照明式標識10の平面図である。
内部照明式標識10の標識本体11は、図1に示すように枠体12(図2)及び内部補強材13,14を有しており、該内部補強材は標識本体11のなるべく後方部において、縦補強材13〜13及び横補強材14〜14としてそれぞれ複数本設けられている。
【0010】
上記標識本体11内には、横補強材14〜14によって多数の内部照明灯装置が支持されている。これらの照明灯装置は一般的に蛍光灯であって、この実施例においては通常照明用蛍光灯装置20〜20は、40Wの蛍光灯20L(図5、6参照)を5本及び、同じく通常照明用蛍光灯装置21の20W蛍光灯21Lを5本設けると共に、非常時用蛍光灯装置22は40Wの蛍光灯を1本及び同じく非常時用蛍光灯装置23の20W蛍光灯を1本、それぞれ設置している。
【0011】
図2は、上記内部照明標識10の平面図であって、標識本体11及び枠体12からなる内部照明標識10は、任意の支柱等に支持された懸架手段P,Pの端部に固定手段15,15により固定金具16,16を介して懸架固定されている。
なお、これらの固定手段15,15は一般的なUボルトを使用することができる。
【0012】
図3は、上記内部照明式標識10を懸架手段P,PにUボルト(固定手段)15,15で懸架固定した状態の右側面図であって、標識本体11の裏面に固定された取付金具16,16部をUボルト15,15により懸架手段P,Pに懸架固定されている。
また、標識本体11の前方には図1に示す枠体12が結合され、これらの標識本体11及び枠体12等はアルミフレームで構成されている。
【0013】
図4は、上記図1に示す標識本体11及び枠体12からなる内部照明標識10の上部縦断面であるA−A断面図であって、枠体12の前面には表示母材となる前面板18が、標識本体11の後面には裏板19が、それぞれ装着されている。
【0014】
このような内部照明標識において、複数の縦補強部材13〜13の上端部及び下端部には、複数のブラケット17(〜17)が固定されるとともに、その前方端17A(〜17A)に、それ自体は公知の展張金具T(〜T)が取り付けられている。そして、図に符号18で示す前面板が上記枠体12の上下部に装着された多数の展張金具T〜Tにより張設される。
【0015】
前面板18は繊維シートにより構成され、当該繊維シートを表示母材とするとともに、その表面には従来公知の手法によって種々の文字、記号等の標識表示が施されるものである。従って、前面板18である繊維シートによって軽量で丈夫な表示面を得るとともに、内部照明手段によって夜間でも明瞭な標識を得ることができる。
【0016】
裏板19は前記前面板18と同様の繊維シートによって構成され、前記アルミフレーム製標識本体11の裏面全体にビス等で貼設されている。そして、この繊維シート製の裏板19が、内部照明標識10の裏側から照射される太陽光の一部を透過し、更にこの透過光は、同様の繊維シートからなる前面板18をも透過するものである。
【0017】
図5は、上記図1に示す標識本体11及び枠体12からなる内部照明式標識10の下部縦断面であるB−B断面を示している。
この発明における内部照明の通常光源は、上記の蛍光灯装置20〜23であるが、この図においては蛍光灯装置20が示されており、電源装置を含む支持台20B及び蛍光灯ランプ20Lが上記複数本の横補強部材14〜14に支持固定されている。
【0018】
同図には上記図4に示すものと同様のブラケット17が示されており、当該ブラケットは縦補強材13が下方端に固定されるとともに、その先端部に表示母材である繊維シート製前面板のための展張金具が装着されるが、図には記載されていない。
なお、図中の符号14は図1に明らかな横補強材の一部を示している。
【0019】
図6は、図1に示す蛍光灯装置20(21〜23)の側面を示している。
図のランプ支持台20B(22B)には電源装置等が組み込まれており、蛍光灯ランプ20L(22L又は21L,23L)が着脱可能である。そして、これらの蛍光灯装置20〜23は、図1に示すように複数の横補強材14〜14にビス等で固定されている。
【0020】
上記の実施形態によれば、大型の内部照明式標識を軽量かつ強固に作成できるとともに、標識後方からの太陽光(逆光)も、表示面である前面板と同一の繊維シートを用いて任意の透過率を選択することにより、作成することができた。
これにより、大型の内部照明式標識における逆光対策が容易となった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の内部照明式標識の内部を示す正面図である。
【図2】内部照明式標識の設置状態平面図である。
【図3】内部照明式標識の設置状態の右側面図である。
【図4】図1におけるA−A断面図である。
【図5】図1におけるB−B断面図である。
【図6】図1に示す蛍光灯装置の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 内部照明式標識
11 標識本体
12 枠体
13 縦補強材
14 横補強材
15 Uボルト
16 固定金具
17 ブラケット
18 前面板
19 裏板
20、21 通常照明用蛍光灯装置
20B 蛍光灯支持台
20L、21L 蛍光灯
22、23 非常時用蛍光灯装置
P 懸架手段
T 展張金具














【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部照明式標識の構造であって、アルミ製枠材からなる標識本体及び枠体と、標識本体に設けた縦横の補強材とを有し、前記枠体前面には繊維シートからなる表示母材を有し、前記標識本体裏面には、前記表示母材と同様の繊維シートからなる光透過性の裏板を有し、標識本体内部の横補強材には多数の内部照明装置が設けられ、標識に対する太陽光の逆光時に、当該逆光線が裏板及び表示母材の繊維シートを透過可能であることを特徴とする内部照明式標識の構造。
【請求項2】
請求項1記載の内部照明式標識の構造であって、上記表示母材は、前記標識本体の縦補強材の先端に設けた多数の展張金具により張設されていることを特徴とする内部照明式標識の構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の内部照明式標識の構造であって、上記標識本体に設けた繊維シート製裏板は、標識本体後面に多数のビスで張設されていることを特徴とする内部照明式標識の構造。
















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−112029(P2010−112029A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284074(P2008−284074)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(595015258)野原産業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】