説明

円形線材の光学欠陥検出装置及び光学欠陥検出方法

【課題】本発明は、線材製造工程のうち圧延、引抜、及び射出工程で線材を生産する過程で線材の表面に発生する表面欠陥を光学センサを用いて非接触式でリアルタイムに検出する装置及び方法に関する。
【解決手段】本発明による円形線材の光学欠陥検出装置は、円形面状の光を照射する照明装置と、移送されている円形線材で反射された前記照明装置の反射光を受光して光信号を生成し、前記生成された光信号を映像信号に変換する光学センサと、前記光学センサから映像信号を受信して前記円形線材の表面情報を取得する信号処理手段とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線材製造工程のうち圧延、引抜、及び射出工程で線材を生産する過程で線材の表面に発生する表面欠陥を光学センサを用いて非接触式でリアルタイムに検出する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線材表面欠陥検出技術には、超音波探傷法(Ultrasonic Test)、漏洩磁束探傷法(Magnetic Flux Leakage)、磁粉探傷法(Magnetic Particle Inspection)、渦電流探傷法、光学法などがある。
【0003】
超音波探傷法は、超音波発生装置で生成された表面超音波を表面欠陥検査対象体(バー/線材)に伝達し、表面欠陥により反射される超音波信号を受信及び分析することにより、欠陥の有無を判断する方法である。超音波探傷法は、超音波伝達方向に対して垂直に形成された非連続特性を有するクラックなどの表面欠陥に対しては欠陥検出能力に優れるが、超音波伝達方向と同一方向に形成された欠陥やしなやかな形状変化を伴う表面欠陥に対しては欠陥検出能力が劣る。超音波探傷法では、円形を有する検査対象体の表面全体に超音波エネルギーを伝達することが難しい。特に、検査対象体が、表面粗さが大きいか、振動を伴うか、高温状態であるか、又は移送されている状態では、超音波発生装置から発生した超音波を検査対象体に伝達する効率が少ない。
【0004】
漏洩磁束探傷法は、強磁性体金属の表面又は表層下に発生するクラック欠陥に対して優れた性能を有する。特に、漏洩磁束探傷法は、表面粗さが大きい場合でも微細なクラックに対する検出能力に優れるが、強磁性体の表面に形成された磁束の方向と同一方向に発生したクラックに対する検出能力が劣り、欠陥の境界面がしなやかな場合も検出能力が劣る。
【0005】
漏洩磁束探傷法の欠陥検出原理は次の通りである。検査対象体にクラックが発生した場合、エアギャップが発生するか、又はクラックの間に異物が挟まると、この物質の特性は強磁性体とは異なる透磁率特性を有する。漏洩磁束探傷法では、検査対象体の表面が正常な場合は、表面の磁束が表面と平行に連続的に形成されるが、透磁率の差が発生した場合は、表面方向の垂直方向に漏洩磁束が発生するため、磁束検出センサを用いて漏洩磁束を検出することにより、欠陥の有無を決定する。
【0006】
漏洩磁束探傷法を高速で移送される高温の円形バーに適用することには、いくつかの欠点がある。
【0007】
第一に、漏洩磁束センサは温度変化に対して安定しない特徴を有するため、高温素材に適用した場合は漏洩磁束センサの安定性が維持されない。
【0008】
第二に、高速で移動する鉄鋼の特定部位の表面に磁束を形成することが非常に困難である。
【0009】
第三に、漏洩磁束センサに認識される漏洩磁束信号は距離の二乗に反比例する特徴を有するため、高速で移送されている線材に振動が伴う場合は、欠陥信号と振動信号の区分が難しくなり、疑似欠陥(pseudo defect)が発生する。
【0010】
第四に、円形バーの欠陥を検出するためには、検査対象体の表面とセンサとの距離を一定に維持しなければならない。結果的に、センサの配列を円形に構成しなければならない。また、円形バーの直径が変化する度にセンサヘッドを交換しなければならない。従って、同一ラインで様々な直径の製品を生産するバー生産ラインでは直径変化によるセンサヘッド交換作業の負荷が非常に大きいという欠点がある。
【0011】
磁粉探傷法は、検査対象体の表面に欠陥がある場合に欠陥部位に漏洩磁束を形成する過程において、漏洩磁束探傷法と非常に類似している。漏洩磁束探傷法では、検査対象体の欠陥で形成される漏洩磁束を検知するセンサを用いて漏洩磁束を直接測定し、磁粉探傷法では、欠陥により形成された漏洩磁束の情報を明確にするために、蛍光物質で塗布された磁粉を検査対象体に分布させる。漏洩磁束が形成された部位には磁場による引力により磁粉が集まるが、漏洩磁束が形成されない正常部位には磁粉が集まらない。視覚的な効果のために、磁粉の表面に紫外線に対して敏感に反応する蛍光物質を塗布するため、紫外線照明を照射することで欠陥部位の形状を確認できる。磁粉探傷法では、漏洩磁束探傷法及び超音波探傷法とは異なり、欠陥の形状に一致する磁粉分布を確認できるため、欠陥の形状情報を用いた欠陥分類が可能である。磁粉探傷法では、漏洩磁束センサの代わりに光学センサを用いた欠陥検出方法を用いるため、漏洩磁束探傷法の欠点のうち振動や漏洩磁束センサに関連する欠点を克服することができ、比較的広く用いられている。しかしながら、蛍光磁粉の温度特性の制限により、一般的に欠陥を検査する検査対象体の温度が70゜以下の場合に主に用い、磁粉噴射や検査対象体への磁場形成などの付加的な作業が必要であるため、圧延ラインなどの連続生産ラインへの適用が難しいという欠点がある。
【0012】
渦電流探傷法は、金属の電磁場特性を利用する方法であり、応答速度が比較的速い渦電流センサを用い、連続的に生産する高温のバーなどの素材に適用可能である。渦電流探傷法は、漏洩磁束探傷法におけるセンサ配列のように、渦電流センサを検査対象体に非常に近接して配置しなければならないため、検査対象体が振動した場合は疑似欠陥の発生が増加するという欠点がある。また、渦電流センサから発生するアナログ信号を分析して特定の閾値以上の信号欠陥を定性的に判断するため、欠陥の大きさ、長さ、高さなどの定量的な判断が困難である。特に、特定の形態の欠陥に対して欠陥検出能力が劣るという欠点がある。一般に、渦電流を用いた欠陥検出方法は、欠陥個々の検出と特性評価よりは、生産工程条件の変化又は時間の変化による検査対象体の全体的な変化を統計的に分析するために広く用いられている。
【0013】
光学法は、高温の検査対象体自体から放射される光を直接受信して欠陥部位と正常部位を区別する第1の方法と、高温の検査対象体に外部光源からの光を照射して反射される反射光を受光して欠陥部位と正常部位を区別する第2の方法とに大別される。
【0014】
1.第1の方法
図1に示すように、高温の円形線材2の表面から放射される光エネルギーを光学センサ1を用いて受信し、正常部位のセンサ信号と非正常部位のセンサ信号を区分することにより、欠陥の有無を判定する。
【0015】
高温の金属表面では、素材の温度、表面特性、タイプなどによって、外部に熱エネルギーを放射する程度を示す放射率が異なる特性がある。金属表面に欠陥が存在する場合、正常な金属表面との粗さ、面積、及び表面照度の差により放射率の変化が発生することによって、欠陥部位と正常部位のエネルギー放射量の差が生じる。金属表面の欠陥部位を観測するためには、金属の温度が一定で光学センサの構成が一定であると仮定する場合、欠陥部位と正常部位の放射率の差により円形線材2から放射する光の特性が変化し、光学センサ1の出力電圧に影響を与えなければならない。特に、放射率に影響を及ぼす要素としては、欠陥部位と正常部位の表面粗さの差、欠陥部位と正常部位の構成物質の差、欠陥部位と正常部位の温度差などがあるが、これら3つの要素は欠陥部位と正常部位を区別できる基本的な要素である。
【0016】
円形線材2自体から放射される光を利用する場合は、欠陥部位と正常部位の表面照度の差が大きいと欠陥部位と正常部位の放射率の差も大きいため、光学センサ1の応答値の差を大きくすることにより、欠陥に対する弁別力を高めることができる優れた特徴がある。従って、欠陥部位と正常部位の放射率の差が大きくないか、又は欠陥部位の放射率が一定の特性を有しない場合、自ら放射する光の特性を利用した欠陥検出方法には限界がある。
【0017】
2.第2の方法
図2に示すように、外部照明装置3から照射される光を利用する方法においては、円形線材2から放射される光の波長帯域の特性とは異なる波長特性を有する照明装置3を使用するか、又は同じ波長特性を有する照明装置3を使用する。ここで、照明装置3から照射される光の強さを円形線材2自体から放射される光の強さよりも大きく設定する。
【0018】
照明装置3から照射された光の波長帯域と高温の円形線材2から放射された光の波長帯域が異なる場合は、照明装置3から照射された光の波長は光学センサ1を通過させ、高温の円形線材2から放射された光の波長は光学センサ1の通過を遮断する光学フィルタ5を使用しなければならない。光学フィルタ5を使用する場合は、高温の円形線材2から放射される輻射エネルギーを遮断することができ、高温の円形線材2から放射される光の光学センサ1への影響を最小限に抑えることができる。光学センサ1の敏感度が低い場合は、照明装置3から照射される光の強さを増加させなければならず、円形線材2の表面形状に応じて照明装置3の配置を設計しなければならない。
【0019】
図3に示すように、検査対象体が板材6のような形状の場合は、外部照明装置3から照射される光を板材6の表面で均一に反射させて光学センサ(信号検出センサともいう。)1に均一な信号特性を示し、広い範囲の表面での欠陥検査が可能であり、板材6の中央部位とエッジ部位の幅方向に応じたセンサ信号の大きさがほぼ均一であることが分かる。
【0020】
図4に示すように、検査対象体が円形線材2の場合は、外部照明装置3から照射された外部光が円形線材2の表面で反射されるとき、反射される地点で表面の垂直方向を基準に入射角と同じ角度の反射角をなす。これにより、光学センサ(信号検出センサともいう。)1が配置された方向に反射される面積が狭く、欠陥検査が可能な面積もやはり減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許6869285号明細書
【特許文献2】米国特許6950546号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の一態様は、光学的な方法を用いて非接触式で検査対象体の円形線材の欠陥を遠距離でリアルタイムに検出できる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の一態様は、円形面状の光を照射する照明装置と、移送されている円形線材で反射された前記照明装置の反射光を受光して光信号を生成し、前記生成された光信号を映像信号に変換する光学センサと、前記光学センサから映像信号を受信して前記円形線材の表面情報を取得する信号処理手段とを含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0024】
本発明の一実施形態においては、前記円形線材の移送速度を検出する速度検出計をさらに含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0025】
本発明の他の実施形態においては、前記速度検出計がレーザ速度計であることを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記円形線材が一定距離間隔で移送される度に、前記速度検出計がこれを検出して前記光学センサに伝送することを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記円形線材の経路を限定するガイド手段をさらに含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記ガイド手段が円柱状に形成されて前記円形線材を囲み、その一側端部が円錐形であることを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0029】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記ガイド手段の材質がステンレス鋼であることを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0030】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記光学センサが前記円形線材で反射された反射光を受光する方向と、前記円形線材が移送される方向とが、50゜〜90゜の角度をなすことを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0031】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記照明装置が照射する光の方向と、前記円形線材が移送される方向の垂直方向とが、45゜〜65゜の角度をなすことを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記照明装置が照射する光の方向と、前記円形線材の円周方向の垂直方向とが、45゜〜60゜の角度をなすことを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0033】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記光学センサの下部に備えられ、前記円形線材で反射された反射光を受光し、青色波長帯域は通過させて前記光学センサに伝達し、赤外線波長帯域は通過させない光学フィルタをさらに含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0034】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記光学フィルタの中心波長が450nm〜490nmであることを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0035】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記照明装置に供給される電流を感知し、前記電流により照射された光をモニタする照度制御器をさらに含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0036】
本発明のさらに他の実施形態においては、TCP/IP方式で前記照度制御器を点滅するか、又は前記照度制御器の動作を制御するサーバをさらに含む、円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0037】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記照明装置が複数の場合、前記サーバが前記照明装置を選択的に点滅することを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0038】
本発明のさらに他の実施形態においては、前記サーバは、前記照明装置が予め設定された照度を有しないことを感知すると、警告音を発生することを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置を提供する。
【0039】
本発明の他の態様は、光学センサから円形線材の映像を取得してフィルタリングする段階と、前記円形線材の移送方向の垂直方向における第1の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値を平均化して第1の閾値を設定する段階と、前記円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値と前記第1の閾値との誤差が予め設定された範囲内の場合、前記第1の線状の映像を除去して前記第2の線状の映像を蓄積する段階と、前記第2の線状の映像を2次偏微分した値を平均化して第2の閾値を設定する段階と、前記円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値と前記第2の閾値との誤差が予め設定された範囲内の場合、前記第2の線状の映像のピクセルの縮小及び拡大を設定回数繰り返す段階と、前記第2の線状の映像のピクセルが1つのピクセルに変換されない場合、前記第2の線状の映像のピクセルを欠陥として検出する段階とを含む、円形線材の光学欠陥検出方法を提供する。
【発明の効果】
【0040】
本発明の一態様によれば、円形線材の移送速度が変化する環境でも一定の精度を有する映像を取得し、検出された欠陥の長さ、幅、大きさ、及び欠陥位置を正確に導出することができる。
【0041】
本発明の他の態様によれば、映像取得センサと外部光源の照射角度をダークフィールド(dark field)方式で構成することにより、従来のブライトフィールド(bright field)方式と比較して表面スケールの影響が減少するため、表面欠陥検査装置の設置位置を圧延直後にしなくてもよい。
【0042】
本発明のさらに他の態様によれば、映像取得センサと外部光源の照射角度を円形線材の移送方向及び円周方向にダークフィールド方式で構成したダブルダークフィールド(double dark field)方式で構成することにより、円形線材の移送方向及び円周方向の欠陥境界面の傾斜変化を同時に敏感に検出することができる。従って、表面欠陥検査装置の欠陥検出能力が従来の光学欠陥検査装置を用いる場合より著しく向上する。
【0043】
本発明のさらに他の態様によれば、円形面状の外部照明をダークフィールドで照射するため、光が円形線材の移送方向に広く照射され、円形線材の直径変化や振動に関係なく、表面で反射される光が常に映像取得センサに到達し、欠陥検査を行うことができる。従って、線材生産工程において円形線材の表面欠陥検出装置を設置した場合、円形線材の直径変化時にも表面欠陥検出装置の調整を必要とせず、常時使用が可能である。
【0044】
本発明のさらに他の態様によれば、円形面状の外部光を光源として使用し、最大直径の線材の外部に円形光の重畳が発生するように光源を整列する場合、線状の外部光に比べて光源の整列が容易であり、小さい直径の線材においては、光の重畳量が増加するため、欠陥検査装置に外部衝撃が加えられて映像取得センサ又は外部光源が照射する光の整列に微細な変化が発生しても光の整列に大きな影響を及ぼさないので、表面欠陥検出装置を安定して使用することができる。
【0045】
本発明のさらに他の態様によれば、線材の外部形状に応じて照明の数を変更する必要性がある場合、既存の複数の照明装置を選択的に点滅可能にし、線材表面の平均照度に応じて照度の強さを遠隔で調整可能にする。各照明装置の状態を遠隔で診断して照明が正常に行われない場合は、自動で警告を発生することができる。
【0046】
本発明のさらに他の態様によれば、ステンレス鋼で製作された円柱状のガイド手段を使用し、ガイド手段の端部を傾斜させて外部光が照射される線上の妨害を最小限に抑えた。
【0047】
本発明のさらに他の態様によれば、光学フィルタの中心波長を450nm〜490nmにして高温の線材の自然放射の影響を除去し、外部から照射される青色光の反射特性のみが映像取得センサに影響を与えるようにして線材表面の欠陥情報を正確に感知するだけでなく、高温の線材から発生する輻射熱を光学フィルタにより遮断して映像取得センサの温度上昇を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】高温の円形線材の自然放射を利用する表面欠陥検査装置の斜視図である。
【図2】高温の円形線材に外部光を照射して反射される反射光を利用する表面欠陥検査装置の斜視図である。
【図3】鉄鋼板材の表面欠陥検査装置の幅方向の距離に応じた信号検出センサからの信号の大きさを示すグラフである。
【図4】円形鉄鋼の表面欠陥検査装置の幅方向の距離に応じた信号検出センサからの信号の大きさを示すグラフである。
【図5】高温の円形線材の生産過程で圧延後に肉眼検査者が照明装置を用いて欠陥検査を行う状態図である。
【図6】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置の斜視図である。
【図7】図6のガイド装置を拡大して示す斜視図である。
【図8】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置を用いる場合における円形線材の直径変化又は振動発生時の反射光の経路変化を示す図である。
【図9】高温の円形線材の表面欠陥検査のためにビームスプリッタを用いてブライトフィールドに照射した光の移動経路を示す図である。
【図10】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置における線照明が照射される状態と反射光が光学センサに到達する状態を示す図である。
【図11】本発明による高温の円形線材の表面欠陥検査装置における照明装置と光学センサ間の角度変化を示す図である。
【図12】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置における照明装置と光学センサ間の角度変化を示す図である。
【図13】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置における照明装置及び光学センサの配置による円周方向の信号特性及び長手方向の信号特性を説明するための図である。
【図14】本発明による高温の円形線材の表面欠陥検査装置における照明装置及び光学センサの配置による円周方向の信号特性及び長手方向の信号特性を説明するための図である。
【図15】円形線材の移送方向に対して傾斜した角度及び円周方向の垂直方向に対して傾斜した角度に応じた円形線材の表面欠陥を示す図である。
【図16】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置を用いる場合における円形線材の直径変化又は振動発生時の反射光の経路変化を示す図である。
【図17】本発明による高温の円形線材の表面欠陥検査装置において円形照明をダークフィールドに照射する場合における円形線材の直径変化又は振動発生時の反射光の経路変化を示す図である。
【図18】従来の高温の円形線材の表面欠陥検査装置と本発明による高温の円形線材の表面欠陥検査装置を用いた円形線材表面の照明整列状態を示す図である。
【図19】円形線材の表面に存在するスクラッチ(Scratch)、フィン(Fin)、ラップ(Lap)、スキャブ(Scab)欠陥から測定された照射角度別信号対雑音比を示す図である。
【図20】本発明による高温の円形線材の表面欠陥検査装置を用いて取得したロール摩耗欠陥、スキャブ欠陥、スクラッチ欠陥の映像を示す図である。
【図21】図20のロール摩耗欠陥時の光学欠陥検出過程の映像を示す図である。
【図22】図20のスキャブ欠陥時の光学欠陥検出過程の映像を示す図である。
【図23】図20のスクラッチ欠陥時の光学欠陥検出過程の映像を示す図である。
【図24】本発明による円形線材の光学欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。図面において、同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0050】
光反射特性を利用した円形線材の欠陥検査方法には、次のような2つの方法がある。
【0051】
1.第1の方法
図5に示すように、円形線材2の生産過程で、検査者9が一定部分をサンプリングし、外部照明装置3を用いて欠陥検査を行うことができる。この場合、円形線材2の全長を検査することが困難であり、特に検査者9が肉眼で欠陥検査を行うため、円形線材2表面の限られた部分でのみ欠陥検査が可能である。また、円形線材2の生産速度は板材金属の生産速度より速い特徴があるため、詳細な欠陥検査が不可能である。
【0052】
一般に、円形線材2の生産過程で欠陥検査を行う目的は、生産過程で早期欠陥検査を行って生産過程の誤りを除去することにより、持続的な大量欠陥の発生を防止することにある。
【0053】
検査者9が生産完了した円形線材2を肉眼で検査する方法は、円形線材2が長く、巻き取られているため、全長検査が困難であり、巻き取られた円形線材2のコイル内部の欠陥を肉眼で検査することが困難である。生産完了した円形線材2の欠陥検査は、顧客に欠陥を含まない製品を伝達することを目的とするが、前述のように、生産完了した製品は円形線材2の全長及び全面欠陥検査が不可能であるため、顧客に欠陥を含む製品が伝達されることがある。
【0054】
以下、円形線材2の円周方向に外部照明装置3の光を照射し、円形線材2の表面で反射される反射光を光学センサを用いて受光した後、受光した反射光による映像信号を分析して欠陥の有無を判断する方法を説明する。
【0055】
映像信号を分析して欠陥の有無を判断する方法においては、図6に示すように、外部照明装置3と、円形線材2の表面で反射される反射光を受光して光信号を電気信号に変換する光学センサ1と、光学センサ1から伝達された電気信号を分析して欠陥の有無を判断する信号処理手段11が必要である。さらに、円形線材2の移送経路を制限するガイド手段10も必要である。
【0056】
照明装置3、光学センサ1、及び信号処理手段11を用いる欠陥検査方法は当該技術分野で周知である。以下、欠陥検査の効率を向上させるために照明装置3及び信号処理手段11を含む構成を有する登録特許を説明する。
【0057】
特許文献1においては、高温(1200℃)で650nmの波長帯域の光と周辺の波長帯域の光が同時に放射される環境で、外部の高温素材から発光する波長帯域とは異なる波長帯域の外部光を検査対象体に照射し、光学センサでは外部光の反射光と高温素材から放射される光を同時に受光し、光学センサに外部光の反射光の影響が大きく作用するように、外部光の強さを増加させて反射光の影響を大きくし、高温素材の自然放射光の影響を減少させる方法を用いた。
【0058】
特許文献1においては、高温の円形線材の放射光と区別される外部光(岩塩ランプ、435nm、550nm、575nm)を使用し、図2に示すように、光学センサ1の前段に特定の波長帯域のみ通過する光学フィルタ5を設置することにより、高温の円形線材2から発光する放射光の影響を除去した。
【0059】
特許文献2においては、図7に示すように、高速で移送される圧延された高温の円形線材2の移送経路を定められた経路に限定するためにガイド手段10を使用した場合に適した光学表面欠陥検査装置を紹介している。高速で移送される円形線材2の経路を限定するためのガイド手段10間の距離Dは、最大50mm以上確保することができず、このような環境で円形線材2の表面欠陥を検査するために光学センサ、照明装置、及び信号処理手段を考案したものである。
【0060】
図8に示すように、線状の光を照射する照明装置12を使用する場合、ガイド手段10により経路が限定された円形線材2が振動するか、又は円形線材2の直径が変化すると、線状の外部光の反射位置が変化し、光学センサ13に感知される信号の特性が一定でない。
【0061】
線状の光を照射する照明装置12を使用する場合は、図9に示すように、ビームスプリッタ15を使用して照射される光の経路と反射される光の経路を一致させなければならないが、これは物理的に難しい。ビームスプリッタ15を使用する場合は、円形線材2が光を完全に反射する条件下で、照明装置12から出発してビームスプリッタ15を通過した光の50%が光学レンズ14を通過して円形線材2に到達する。その後、円形線材2で反射されて再び光学レンズ14を通過し、25%の光がビームスプリッタ15を通過して光学センサ13に到達するため、一般的な反射条件で光源の強さを4倍に増加させなければならない。
【0062】
従って、特許文献2においては、ビームスプリッタの使用を排除するために、光学センサと外部照明装置の角度を1゜とする。このようにしても、外部の線照明の幅が小さい場合は、図8に示すように円形線材2の直径変化が大きいか、又は円形線材2の振動幅が大きいと、外部光の反射光が光学センサ13に到達しないことがある。
【0063】
本発明は、従来の光学センサを用いた高温の円形線材の表面欠陥検査装置を提示した特許文献2と比較して、次のような特徴を有する。
【0064】
(1)システム構成において、特許文献2は、図6に示すように、光学センサ1、線状の外部照明装置3、信号処理手段11、及び矩形柱状のガイド手段10から構成されている。これに対して、本発明においては、図11に示すように、円形面状の光を照射する照明装置17と、移送されている円形線材2で反射された照明装置17の反射光を受光して光信号を生成し、生成された光信号を映像信号に変換する光学センサ13と、光学センサ13から映像信号を受信して円形線材2の表面情報を取得する信号処理手段11と、円形線材2の移送速度を検出する速度検出計18と、円形線材2の経路を限定するガイド手段19と、光学センサ13の下部に備えられ、円形線材2で反射された反射光を受光し、青色波長帯域は通過させて光学センサ13に伝達し、赤外線波長帯域は通過させない光学フィルタ5と、照明装置17に供給される電流を感知し、その電流により照射された光をモニタする照度制御器22と、TCP/IP方式で照度制御器22を点滅するか、又は照度制御器22の動作を制御するサーバ23とを含む。
【0065】
このような構成において、速度検出計18としてはレーザ速度計を使用してもよい。また、ガイド手段19は、材質がステンレス鋼であり、円柱状に形成されて円形線材2を囲み、その一側端部が円錐状に形成される。また、照明装置17が複数の場合は、サーバ23が照明装置17を選択的に点滅し、サーバ23は、照明装置17が予め設定された照度を有しないことを感知すると、警告音を発生する。
【0066】
このような構成により、検査対象体の高温の円形線材2の直径変化に応じて移送速度が変化しても、円形線材2が一定距離間隔で移送される度に、速度検出計18がこれを検出して光学センサ13に伝送することにより、円形線材2の表面情報をもれなく取得することができ、欠陥検査の大きさの基準を円形線材2の直径変化に関係なく一定に適用することができる。
【0067】
(2)光学センサの配置において、従来は、図10に示すように、円形線材2の移送方向の垂直方向と類似したブライトフィールドに光学センサ13を配置し、照明装置12から照射されて円形線材2で反射された光信号を受信して映像を取得し、照明装置12と光学センサ13との間には光学フィルタ16が備えられる。これに対して、本発明においては、光学センサが円形線材で反射された反射光を受光する方向と円形線材が移送される方向とが50゜〜90゜の角度をなし、照明装置が照射する光の方向と円形線材が移送される方向の垂直方向とが45゜〜65゜の角度をなす。また、照明装置が照射する光の方向と円形線材の円周方向の垂直方向とが45゜〜60゜の角度をなす。
【0068】
特許文献2においては、光学センサと外部照明装置の照射角度がブライトフィールドを構成するため、円形線材の欠陥検査装置の設置位置を、一般の鉄鋼の圧延又は射出直後の場合に表面に酸化スケールが発生しない位置にするように制限している。考案された欠陥検査装置が圧延又は射出位置から離れている場合、空気中の酸素と高温の鉄鋼内部の炭素及び構成物質が化学的に反応し、高温の鉄鋼の表面に薄いスケール層が形成されることがあり、一般的にスケールの表面粗さが圧延された鉄鋼線材の表面粗さより小さく、光の反射度が変化するため、スケールと欠陥の区別が難しい。
【0069】
本発明においては、図11に示すように、光学センサと外部照明装置が形成する角度と外部照明装置の照射角度を独立して調節できるようにすることにより、高温の鉄鋼の表面にスケール層が形成されても、取得された映像へのスケールの影響を減少させることができるという利点がある。
【0070】
特許文献2においては、欠陥検査装置の位置を、鋼材の圧延直後にスケールが形成される時点以前に限定するが、本発明においては、光学センサの配置角度を変更することにより、スケール生成後も取得された映像にスケール特性が現れないようにするため、欠陥検査装置の設置位置の範囲を拡大するという利点がある。
【0071】
(3)外部光を照射する照明装置の配置において、特許文献2は、図12に示すように、外部照明装置20が、円形線材2の移送方向の垂直方向に対して0.5゜傾斜した方向から光を照射し、円形線材2の円周方向の垂直方向に対して0.5゜傾斜した方向から光を照射するようになっている。このような照明装置の配置では、欠陥の側面が円形線材2の円周方向の垂直方向に近接する場合は、図13に示すように、欠陥に起因する信号対雑音(S/N)比が小さい。
【0072】
本発明は、図14に示すように、外部照明装置17が、円形線材2の移送方向の垂直方向に対して非常に大きい角度で傾斜した方向から光を照射し、円形線材2の円周方向の垂直方向に対しても所定角度傾斜した方向から光を照射するようになっている(ダークフィールド)。本発明のように、照明装置の照射角度を円形線材2の移送方向の垂直方向と円周方向の垂直方向に対して傾斜させて照射した場合、グラフに示すように、欠陥の信号対雑音比が著しく増加する。
【0073】
図15に示すように、円形線材の移送方向に対して傾斜した角度及び円周方向の垂直方向に対して傾斜した角度の変化に応じたスクラッチ、ラップ、フィン、スキャブの線材欠陥の信号対雑音比は、円形線材の移送方向の垂直方向から照射された外部光の傾斜45゜〜65゜、並びに円形線材の円周方向の垂直方向から照射された外部光の傾斜45゜〜65゜で最大である。
【0074】
(4)円形線材の直径変化に関連して、特許文献2においては、図16に示すように、外部の線照明装置12、及び線の映像情報を取得する光学センサ13を使用した。この場合、円形線材2が直径D1を有する場合は、光照射角度及び光学センサ13の角度を実線方向になるように調整しなければならず、円形線材2が直径D2を有する場合は、光照射角度及び光学センサ13の角度を薄い点線方向になるように調整しなければならず、円形線材2が直径D3を有する場合は、光照射角度及び光学センサ13の角度を太い点線方向になるように調整しなければならない。
【0075】
本発明においては、図17に示すように、円形線材2の直径が変化するか、又は移送される円形線材2の垂直方向の振動により外部照明装置17が照射する光の反射位置が変化しても、光学センサ13に光が反射されるように、高エネルギーの円形外部光を使用した。従って、本発明で適用した円形外部光を使用した場合は、円形線材2の直径変化や円形線材2の振動がある場合も、光学センサ13には円形線材2表面の反射光が感知され、安定した欠陥検査が可能である。
【0076】
(5)円形線材の表面に外部光が照射された後の整列において、特許文献2は、円形線材の表面に線状の照明を照射するため、図18の(a)に示すように、円形線材2の表面に外部光を線状に整列することが難しく、光学センサを正確に線状に反射する円形線材2の表面位置に一致させることが難しい点がある。特に、欠陥検査装置が外部の衝撃によって変形した場合は、外部の線状の光の照射角度と光学センサの認識角度が微細に変化することがあり、正常な欠陥検査を行うことができない。
【0077】
特に、特許文献2においては、円形線材2の移送方向の垂直方向を基準に0.5゜方向から外部光を照射し、円形線材2の移送方向の垂直方向を基準に0.5゜方向に光学センサを配置して反射光を受光するように、外部光を照射する照明装置と光学センサを調整しなければならないため、検査を非常に精密に行わなければならない。
【0078】
本発明においては、図18の(b)に示すように、外部の円形面状の光を円形線材2の表面に照射して円形線材2の表面に楕円形の反射形状を形成し、円形面状の光が重なるようにするため、照明装置と光学センサの整列が容易であり、円形面状の照明を照射するため、照明装置の照射角度の精密な設定が要求されない。また、外部の衝撃による検査装置の微細変形とは関係なく、一貫的な欠陥検査が可能である。特に、円形線材2の直径変化又は振動により、円形線材2の表面で外部光が反射される位置が円形線材2の移送方向及び円形線材2の移送方向の垂直方向に変化しても、図18の(a)のような線状の照明に比べて広い照射面積を有する円形面状の照明を使用するため、光学センサに反射光が到達することを保障することができる。
【0079】
(6)照度制御において、本発明は、図11に示すように、中心波長が450nm〜490nmの範囲を有する高出力青色LED(High Power Blue Light Emitter Diode)半導体素子などの光学フィルタ5を用い、照明装置17に供給される電流を感知して照度の強さを独立して制御する。
【0080】
(7)高速生産される円形線材の移送経路を限定するためのガイド手段において、特許文献2は、図7に示すように、円形線材2の移送経路を限定するためのガイド手段10の外観を矩形柱状に構成しており、光学センサと外部照明装置が形成できる角度が非常に限られている。
【0081】
本発明においては、図11に示すように、光学センサ13と外部光を照射する照明装置17が形成できる角度を大きくするために、円柱状のガイド手段19を備え、ガイド手段19の一側端部は円錐形状を有するようにする。
【0082】
(8)光学センサと照明装置が形成する角度に応じた欠陥検査性能に関連して、光学を用いる欠陥検査の性能評価基準としては、光学センサで感知される信号のうち、正常な表面から感知される信号と欠陥のある表面から感知される信号のレベル差が主に用いられる。
【0083】
特許文献2においては、図13に示すように、光学センサ13と照明装置3がなす角度を1゜以内にしてブライトフィールドを有する。本発明においては、図14に示すように、光学センサ13を円形線材2の円周方向の垂直方向に配置し、外部照明装置17の照射方向は、円形線材2の移送方向の垂直方向に対しては角度α傾斜させてダークフィールドを形成し、円形線材2の円周方向の垂直方向に対しては角度β傾斜させてダブルダークフィールドを形成する。これに関する欠陥検査の性能(信号対雑音比)を評価した結果は図19の通りである。図19に示すように、スクラッチ、ラップ、フィン、スキャブに対する欠陥検査能力は、特許文献2で適用されたブライトフィールドよりも、本発明で適用されたダブルダークフィールドにおいて信号対雑音比に優れていることが分かる。図19において、(60,45)及び(60,60)は(α,β)を示す。
【0084】
本発明による円形線材の光学欠陥検出装置を用いて図20のようなロール摩耗、スキャブ、スクラッチなどの光学欠陥に関する映像を取得し、これらの元映像、並びに円形線材の光学欠陥検出方法によりこれらそれぞれに対して2次偏微分、閾値の適用、モルフォロジ(Morphology)を行った場合の映像を、それぞれ図21、図22、図23に示す。図21、図22、図23に示すように、円形線材の光学欠陥検出方法を適用した場合、実際の光学欠陥映像と一致することが分かる。512×512ピクセルの映像を基準に欠陥検出アルゴリズムの実行に要求される時間を評価した結果、元の映像、2次偏微分、閾値の適用、モルフォロジアルゴリズムを適用する時間は3.4msであり、移動平均値を適用する時間は0.67msであった。従って、円形線材の移送方向に線映像を取得する光学センサのピクセルが円形線材の表面で0.3mmを占める場合に要求される処理時間は50%未満で光学欠陥検出を行うことができ、最大1秒当たり18mが生産される直径14mm以上の円形線材の表面欠陥検査装置でリアルタイムに欠陥を検査することができる。
【0085】
以下、前述のような円形線材の光学欠陥検出方法について図24を参照して詳細に説明する。
【0086】
まず、信号処理手段が光学センサから円形線材の映像を取得する(S10)。光学センサは、円形線材で反射された照明装置の反射光を受光して光信号を生成し、生成された光信号を映像信号に変換するが、信号処理手段は、このような円形線材の映像を取得する。通常、光学センサとしては、線状のCCD(Charge Coupled Device)光学センサが使用される。
【0087】
その後、信号処理手段が円形線材の映像をフィルタリングする(S20)。円形線材の映像をフィルタリングする理由は、円形線材の映像に含まれる微細な雑音信号を除去し、欠陥のエッジ成分を維持するためであるが、このためにはガウシアンフィルタが使用される。
【0088】
その後、信号処理手段が円形線材の移送方向の垂直方向における第1の線状の映像を2次偏微分する(S30)。これは、連続的に生産される円形線材は欠陥が長手方向に生成されるので、長手方向の欠陥特性を強化するためのものである。
【0089】
その後、信号処理手段が前記第1の線状の映像を2次偏微分した値を平均化して第1の閾値を設定する(S40)。これは、円形線材の移送方向に変化する反射特性の追従を可能にするためのものであるが、連続的に受信された20ラインの2次偏微分した値を平均化して閾値を設定する。
【0090】
その後、信号処理手段が円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分する(S50)。ステップS30と同様に、これは、連続的に生産される円形線材は欠陥が長手方向に生成されるので、長手方向の欠陥特性を強化するためのものである。
【0091】
その後、第2の線状の映像を2次偏微分した値と第1の閾値との誤差が予め設定された範囲内であるか否かを判断する(S60)。第2の線状の映像を2次偏微分した値と第1の閾値との誤差が予め設定された範囲内である場合、信号処理手段が前記第1の線状の映像を除去し、第2の線状の映像を蓄積する(S70)。この過程は、ステップS30で2次偏微分した値をステップS50で2次偏微分した値に置き換える過程である。通常、線状の映像を2次偏微分した値と閾値との誤差が20%以内であると、映像のピクセルに欠陥がないと判断する。これに対して、線状の映像を2次偏微分した値と閾値との誤差が20%を超えると、映像のピクセルに欠陥があると判断する。
【0092】
その後、信号処理手段が第2の線状の映像を2次偏微分した値を平均化して第2の閾値を設定する(S80)。これも、ステップS40と同様に、円形線材の移送方向に変化する反射特性の追従を可能にするためのものであるが、連続的に受信された20ラインの2次偏微分した値を平均化して閾値を設定する。
【0093】
その後、信号処理手段が円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分する(S90)。ステップS50と同様に、これは、連続的に生産される円形線材は欠陥が長手方向に生成されるので、長手方向の欠陥特性を強化するためのものである。
【0094】
その後、第2の線状の映像を2次偏微分した値と第2の閾値との誤差が予め設定された範囲内であるか否かを判断する(S100)。第2の線状の映像を2次偏微分した値と第2の閾値との誤差が予め設定された範囲内でないと、信号処理手段が前記第2の線状の映像のピクセルの縮小及び拡大を設定回数繰り返す(S110)。
【0095】
その後、第2の線状の映像のピクセルが1つのピクセルに変換されるか否かを判断する(S120)。第2の線状の映像のピクセルが1つのピクセルに変換されない場合、信号処理手段が第2の線状の映像のピクセルを欠陥として検出する(S130)。
【0096】
ステップS60において、第2の線状の映像を2次偏微分した値と第1の閾値との誤差が予め設定された範囲内でない場合、映像のピクセルを欠陥として検出する。
【0097】
また、ステップS100において、第2の線状の映像を2次偏微分した値と第2の閾値との誤差が予め設定された範囲内であるか、又はステップS120において、第2の線状の映像のピクセルが1つのピクセルに変換される場合、映像のピクセルが欠陥として検出されない。
【符号の説明】
【0098】
1 光学センサ
2 円形線材
3、12、17、20 照明装置
5 光学フィルタ
6 板材
9 検査者
10 ガイド手段
11 信号処理手段
13 光学センサ
14 光学レンズ
15 ビームスプリッタ
16 光学フィルタ
18 速度検出計
19 ガイド手段
22 照度制御器
23 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形面状の光を照射する照明装置と、
移送されている円形線材で反射された前記照明装置の反射光を受光して光信号を生成し、前記生成された光信号を映像信号に変換する光学センサと、
前記光学センサから映像信号を受信して前記円形線材の表面情報を取得する信号処理手段と
を含むことを特徴とする円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項2】
前記円形線材の移送速度を検出する速度検出計をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項3】
前記速度検出計がレーザ速度計であることを特徴とする請求項2に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項4】
前記円形線材が一定距離間隔で移送される度に、前記速度検出計がこれを検出して前記光学センサに伝送することを特徴とする請求項2に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項5】
前記円形線材の経路を限定するガイド手段をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項6】
前記ガイド手段が円柱状に形成されて前記円形線材を囲み、その一側端部が円錐形であることを特徴とする請求項5に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項7】
前記ガイド手段の材質がステンレス鋼であることを特徴とする請求項5に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項8】
前記光学センサが前記円形線材で反射された反射光を受光する方向と、前記円形線材が移送される方向とが、50゜〜90゜の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項9】
前記照明装置が照射する光の方向と、前記円形線材が移送される方向の垂直方向とが、45゜〜65゜の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項10】
前記照明装置が照射する光の方向と、前記円形線材の円周方向の垂直方向とが、45゜〜60゜の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項11】
前記光学センサの下部に備えられ、前記円形線材で反射された反射光を受光し、青色波長帯域は通過させて前記光学センサに伝達し、赤外線波長帯域は通過させない光学フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項12】
前記光学フィルタの中心波長が450nm〜490nmであることを特徴とする請求項11に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項13】
前記照明装置に供給される電流を感知し、前記電流により照射された光をモニタする照度制御器をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項14】
TCP/IP方式で前記照度制御器を点滅するか、又は前記照度制御器の動作を制御するサーバをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項15】
前記照明装置が複数の場合、前記サーバが前記照明装置を選択的に点滅することを特徴とする請求項14に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項16】
前記サーバは、前記照明装置が予め設定された照度を有しないことを感知すると、警告音を発生することを特徴とする請求項14に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。
【請求項17】
光学センサから円形線材の映像を取得してフィルタリングする段階と、
前記円形線材の移送方向の垂直方向における第1の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値を平均化して第1の閾値を設定する段階と、
前記円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値と前記第1の閾値との誤差が予め設定された範囲内の場合、前記第1の線状の映像を除去して前記第2の線状の映像を蓄積する段階と、
前記第2の線状の映像を2次偏微分した値を平均化して第2の閾値を設定する段階と、
前記円形線材の移送方向の垂直方向における第2の線状の映像を2次偏微分し、2次偏微分した値と前記第2の閾値との誤差が予め設定された範囲内の場合、前記第2の線状の映像のピクセルの縮小及び拡大を設定回数繰り返す段階と、
前記第2の線状の映像のピクセルが1つのピクセルに変換されない場合、前記第2の線状の映像のピクセルを欠陥として検出する段階と
を含むことを特徴とする円形線材の光学欠陥検出方法。
【請求項18】
前記円形線材の経路を限定するガイド手段をさらに含み、
前記ガイド手段が円柱状に形成されて前記円形線材を囲み、その一側端部が円錐形であることを特徴とする請求項8、9、10、11、又は13のいずれか1項に記載の円形線材の光学欠陥検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図24】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−154948(P2012−154948A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−103166(P2012−103166)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2010−522808(P2010−522808)の分割
【原出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(592000691)ポスコ (130)
【Fターム(参考)】