説明

円筒バルブ型三方弁

【課題】粉粒体を空気輸送する際に用いる円筒バルブ型三方弁の弁体と弁箱との摺接部分への粉粒体の噛み込みを防止し、長期に亘り安定的に使用が可能な円筒バルブ型三方弁を提供をする。
【解決手段】円筒バルブ型三方弁において、該三方弁の弁体と弁箱とが摺接する摺接部分に弁箱外面より空気または窒素を導入するノズルを設け、前記摺接部分を加圧することを特徴とする円筒バルブ型三方弁
(2)前記ノズルを少なくとも摺接部分の2箇所に設けることを特徴とする(1)の円筒バルブ型三方弁
(3)(1)または(2)の円筒バルブ型三方弁を使用し、粉粒体を空気輸送することを特徴とする粉粒体の空気輸送方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を空気輸送する際に用いる円筒バルブ型三方弁に関するものである。更に詳しくは粉粒体を空気輸送するに際し、該三方弁の弁体と弁箱との摺接部分への粉粒体の噛み込みが防止された優れた特徴を有する円筒バルブ型三方弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン類は、重合槽で重合された後種々の後処理を経て、貯槽へペレットや粉体等の粉粒体の形態で空気輸送されるのが通常である。この粉粒体の輸送に際しては、複数の貯槽へ三方弁で行き先を切り替えて輸送を行うが、弁体の方向を切り替えたときにペレットやペレットが糸状に変形したいわゆるフロス等が弁体と弁座との摺接部分のわずかな間隙に噛み込み弁体の回転が妨げられることがあった。
【0003】
かかる摺接部分への漏れ込みの問題は、粉粒体のみならず液体やガス等の取り扱いに際しても問題とされ、例えば、液体を扱う三方弁において、弁体と常時接触する弁座の摺接面部分の面積を一定割合に限定する方法(特許文献1参照)やガスを扱う三方弁において、流出ポートの切り替え時にガスが弁体内のガス通路に閉じ込められないように一時的に2つの流出ポートが連通するように設計するしガスが外部へ漏れないようにする等の工夫が行われている(特許文献2参照)。しかし、これらは粉粒体を扱う三方弁には必ずしも適切ではなく一層の改良が求められていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−228023号公報(第1頁〜第3頁)
【特許文献2】実開平5−47634号公報(第1頁〜第3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる状況において、本発明は、粉粒体を空気輸送する際に用いる円筒バルブ型三方弁の弁体と弁箱との摺接部分への粉粒体の噛み込みを防止し、長期に亘り安定的に使用が可能な円筒バルブ型三方弁の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
(1)円筒バルブ型三方弁において、該三方弁の弁体と弁箱とが摺接する摺接部分に弁箱外面より空気または窒素を導入するノズルを設け、前記摺接部分を加圧することを特徴とする円筒バルブ型三方弁、
(2)前記ノズルを少なくとも摺接部分の2箇所に設けることを特徴とする(1)の円筒バルブ型三方弁、
(3)(1)または(2)の円筒バルブ型三方弁を使用し、粉粒体を空気輸送することを特徴とする粉粒体の空気輸送方法、
に係るものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、粉粒体を空気輸送する際に用いる円筒バルブ型三方弁の弁体と弁箱との摺接部分への粉粒体の噛み込みを防止し、長期に亘り安定的に使用が可能な円筒バルブ型三方弁を提供をすることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1(a)に、本発明の円筒バルブ型三方弁の概要を示す断面図であり、粉粒体の流路をA−Bに切り替えた状態、図1(b)に本発明の円筒バルブ型三方弁の概要を示す断面図であり、粉粒体の流路をA−Cに切り替えた状態を示す。
【0009】
本発明の円筒バルブ型三方弁は、ステンレス鋼で形成され弁体1、弁箱2、摺接部分3、ノズル4a、4b、粉粒体の流路A、B、Cよりなっている。弁体1には粉粒体の流路が設けられ、粉粒体の流路をA−B(図1(a))、A−C(図1(b))に切り替えることができるようになっている。弁箱2の内部に収納された弁体1が回転した場合に摺接する摺接部分3は、弁座の機能を有しており弁箱と一体となっている。摺接部分3と弁体1との間隙は、0.5mm程度である。粉粒体の流路はA、B、Cそれぞれが外部の粉粒体の配管と接続できるようになっている。
【0010】
本発明の主要部分は、弁箱2の摺接部分3に空気または窒素を導入して加圧することができるノズル4a、4bを設けた点である。このノズルは、少なくとも摺接部分の2箇所に空気または窒素を導入して加圧することができるように設けることが好ましい。粉粒体の空送圧力は通常20〜30KPaGであるので、このノズルには、例えば700KPaGの計装用空気圧をかけておけば弁体を回転させたときの摺接部分への粉粒体の噛み込みを防ぐことができる。
【実施例】
【0011】
以下、本発明を実施例に基づいて、より具体的に説明するが、もとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1に示したような三方弁を有する設備を用いて、ポリプロピレンの粉粒体の空気輸送を行った。粉粒体の流路を図1(a)の状態から図1(b)の状態へ切替える操作を、ノズル4a、4bより空気による加圧をした状態と加圧をしない状態とでそれぞれ300回行い、円筒バルブ型三方弁の弁体の回転不良の発生回数を測定した。粉粒体の空送圧力は、約25KPaG、加圧用空気の圧力は700KPaGであった。測定結果を表1に示す。
この結果から、円筒バルブ型三方弁にノズル4a、4bを設け空気による加圧を行う事で、摺接部分への粉流体の噛み込みによる弁体の回転不良が非常に少ないことが分かった。
【0012】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の円筒バルブ型三方弁の概要を示す断面図であり、粉粒体の流路をA−Bに切り替えた状態を示す。(b)は本発明の円筒バルブ型三方弁の概要を示す断面図であり、粉粒体の流路をA−Cに切り替えた状態を示す。
【符号の説明】
【0014】
1…弁体、2…弁箱、3…摺接部分、4a、4b…ノズル、A、B、C…粉粒体の流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒バルブ型三方弁において、該三方弁の弁体と弁箱とが摺接する摺接部分に弁箱外面より空気または窒素を導入するノズルを設け、前記摺接部分を加圧することを特徴とする円筒バルブ型三方弁。
【請求項2】
前記ノズルを少なくとも摺接部分の2箇所に設けることを特徴とする請求項1記載の円筒バルブ型三方弁。
【請求項3】
請求項1または2記載の円筒バルブ型三方弁を使用し、粉粒体を空気輸送することを特徴とする粉粒体の空気輸送方法。


【図1】
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【公開番号】特開2008−45669(P2008−45669A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222276(P2006−222276)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】