円筒体の検査装置
【課題】構造の簡素化を図ることができる円筒体の検査装置を提供する。
【解決手段】本発明の検査装置は、取込位置Aにおいて円筒体Wをチャックするチャック手段が、メインローラ20と、メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラ30とをそれぞれ有する一対の挿入支持部12を備える。円筒体Wをチャック際に、一対の挿入支持部12を、そのサブローラ30をメインローラ20に対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として円筒体の両側部内側に挿入し、その挿入状態で、サブローラ30を上側に移動させて円筒体Wの内周面上側に接触させそのサブローラ30によって円筒体Wを搬入側載置具から持ち上げるとともに、メインローラ20を円筒体Wの内周面下側に接触させる。
【解決手段】本発明の検査装置は、取込位置Aにおいて円筒体Wをチャックするチャック手段が、メインローラ20と、メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラ30とをそれぞれ有する一対の挿入支持部12を備える。円筒体Wをチャック際に、一対の挿入支持部12を、そのサブローラ30をメインローラ20に対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として円筒体の両側部内側に挿入し、その挿入状態で、サブローラ30を上側に移動させて円筒体Wの内周面上側に接触させそのサブローラ30によって円筒体Wを搬入側載置具から持ち上げるとともに、メインローラ20を円筒体Wの内周面下側に接触させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のローラによって内周面を支持した円筒体を回転させつつ検査するようにした円筒体の検査装置およびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
感光ドラム用基体等の円筒体では、高い表面精度および高い形状精度が求められるため、特許文献1,2に示すように、キズ、凹凸の有無、異物の付着(汚れ)等の表面欠陥を検出するための表面検査や、回転時の外周面の変位量(フレ)等の形状検査等を行っている。
【0003】
例えば特許文献1に示す円筒体の検査装置は、円筒体の両側部内側に一対のローラ群を挿入して両ローラ群によって、円筒体の両側部内周面を支持しておき、円筒体を軸心回りに回転させつつ、検査を行う検査装置本体と、検査予定の円筒体を検査装置本体に搬入する搬入コンベアと、検査済の円筒体を検査装置本体から搬出する搬送コンベアとを備えている。そして搬入コンベアによって円筒体が検査装置本体に搬入されると、その円筒体が検査装置本体の一対のローラ群によって支持(チャック)されて検査される。検査終了後は、円筒体の一対のローラ群によるチャックが解除されて、円筒体が搬出コンベアに移載されて搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10683号
【特許文献2】特開平9−145624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示す円筒体の検査装置では、搬入コンベアに、円筒体を安定状態に載置するための多数の取置き台が取り付けられており、その取置き台上に載置された円筒体を、一対のローラ群によってチャックするようにしている。
【0006】
しかしながら、従来の円筒体検査装置においては、チャック後に円筒体が取置き台に干渉するのを防止するため、チャックする際に、取置き台が下方に退避するようになっている。このように従来の検査装置では、取置き台を昇降させる機構が必要であるため、その分、構造の複雑化、装置の大型化およびコストの増大を来すという課題があった。特に、取置き台は多数設けられるため、この多数の取置き台の昇降駆動を精度良くコントロールするのは非常に困難であり、昇降駆動に起因する搬送トラブルが発生して、スムーズに検査できない可能性があった。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる上さらに、円筒体が搬入コンベアの取置き台等に接触することによる移送トラブルの発生を防止できる円筒体の検査装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0009】
[1]円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査装置であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査装置。
【0010】
[2]前記一対の挿入支持部は、前記サブローラ上向き姿勢と、前記メインローラを前記サブローラに対し上側に配置したメインローラ上向き姿勢との間で移行可能とされ、
円筒体をチャックした前記一対の挿入支持部が、前記メインローラ上向き姿勢に移行して、前記検査位置において、円筒体の前記メインローラに対応する部分を検査対象領域として検査するようにした前項1に記載の円筒体の検査装置。
【0011】
[3]前記移送手段は、円筒体の軸心と同じ方向の軸回りに回転自在な回転フレームを備え、
前記回転フレームに前記チャック手段が取り付けられて、前記回転フレームの回転によって、前記チャック手段が円環状移送経路に沿って移動可能に構成され、
前記チャック手段が前記円環状移送経路上の下側に配置された際には前記一対の挿入支持部が前記サブローラ上向き姿勢となり、上側に配置された際には前記メインローラ上向き姿勢となるように構成され、
前記円環状移送経路上における下側に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、上側に前記検査位置が設けられ、
前記円筒体取込位置で円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記円環状移送経路に沿って移動して、前記検査位置に移送されるようにした前項2に記載の円筒体の検査装置。
【0012】
[4]前記円環状移送経路の上端に前記検査位置が設けられ、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の下流側に向けて1/4周の範囲内に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の上流側に向けて1/4周の範囲内に円筒体送出位置が設けられ、
円筒体を略水平に載置する搬出側載置具を有し、かつ前記円筒体送出位置において前記搬出側載置具に載置された円筒体を搬出する搬出手段が設けられ、
円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記検査位置から前記円環状移送経路に沿って前記円筒体送出位置まで移送されるように構成されるとともに、
前記円筒体送出位置において、前記チャック手段における前記一対の挿入支持部の前記サブローラが前記メインローラに近接するように下側に移動することにより、チャックが解除されるとともに、前記サブローラの下側への移動に伴って、円筒体が降下して前記搬出側載置具に移載されるようにした前項3に記載の円筒体の検査装置。
【0013】
[5]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに複数取り付けられ、
前記チャック手段が、前記円筒体取込位置と、前記検査位置と、前記円筒体送出位置とに同時に存在可能になっている前項4に記載の円筒体の検査装置。
【0014】
[6]
前記搬入手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬入コンベアによって構成されるとともに、
前記搬出手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬出コンベアによって構成され、
前記搬入コンベアによって、前記搬入側載置具上の円筒体が前記円筒体取込位置に順次搬入されるとともに、前記搬出コンベアによって、前記搬出側載置具上の円筒体が前記円筒体送出位置から順次搬出されるようにした前項5に記載の円筒体の検査装置。
【0015】
[7]前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は同じ高さ位置に設定される前項6に記載の円筒体の検査装置。
【0016】
[8]前記搬入コンベアおよび前記搬出コンベアは、一つの搬送コンベアによって構成され、
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は、同じ構成を有する前項7に記載の円筒体の検査装置。
【0017】
[9]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに5つ取り付けられ、
前記円環状移送経路上における前記円筒体取込位置と前記検査位置との間に検査前待機位置が設けられるとともに、前記検査位置と前記円筒体送出位置との間に送出前待機位置が設けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査前待機位置、前記検査位置、前記送出前待機位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/5回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている前項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0018】
[10]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに3つ取り付けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/3回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている前項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0019】
[11]前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、前記チャック手段にチャックされた円筒体の回転を開始するようにした前項1〜10のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0020】
[12]前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、円筒体の外周面にエアーを吹き付けるようにした前項1〜11のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0021】
[13]前記一対の挿入支持部は、前記サブローラをそれぞれ2つずつ備え、
円筒体の両端部内周面が、1つの前記メインローラおよび2つ前記サブローラによって3点でそれぞれ支持されるようになっている前項1〜12のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0022】
[14]各挿入支持部に設けられた前記2つのサブローラが、チャックする円筒体の略径方向に沿って移動することによって、前記メインローラに対し接離する方向に移動可能に構成される前項13に記載の円筒体の検査装置。
【0023】
[15]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送装置であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送装置。
【0024】
[16]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック装置であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック装置。
【0025】
[17]円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査方法であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段として、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査方法。
【0026】
[18]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送方法であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送方法。
【0027】
[19]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック方法であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を準備しておき、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック方法。
【0028】
なお本発明において、メインローラおよびサブローラの位置関係は、各ローラの軸心を基準に説明している。例えばサブローラがメインローラよりも上側または下側にあるとは、サブローラの軸心がメインローラの軸心よりも上側または下側にある場合であり、サブローラがメインローラに近接または離間するとは、サブローラの軸心がメインローラの軸心に近接または離間する場合である。
【0029】
また本発明において、サブローラ上向き姿勢という場合は、サブローラの軸心位置がメインローラの軸心位置に対し斜め上方に配置される場合も含まれている。さらにサブローラが複数個設けられる場合には、最も低位置のサブローラの軸心がメインローラの軸心よりも上側に配置されていれば、サブローラ上向き姿勢となり、最も低位置のサブローラの軸心よりもメインローラの軸心が上側に配置されていれば、メインローラ上向き姿勢となる。
【発明の効果】
【0030】
発明[1]の円筒体の検査装置によれば、サブローラ上向き姿勢で円筒体内側に挿入して、サブローラを上昇させて円筒体をチャックするものであるため、チャックする際に、円筒体がサブローラによって持ち上げられて、取置き台等の載置具から離間する。従って、チャック後に円筒体が載置具に干渉するのを防止でき、その干渉による移送トラブルを確実に防止することができる。さらに円筒体との干渉を避けるために、載置具を退避させる必要がなく、その退避用の機構を省略できる分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0031】
発明[2]の円筒体の検査装置によれば、チャック時に不動のメインローラに対応する部分を検査対象領域としているため、メインローラを、円筒体検査時の高さ位置を決定する際の基準体とすることができ、円筒体に対して高い精度で安定した検査を行うことができる。
【0032】
発明[3]の円筒体の検査装置によれば、円筒体取込位置でチャックした円筒体を、検査位置までスムーズに移送することができる。
【0033】
発明[4]の円筒体の検査装置によれば、円筒体送出位置においてサブローラ上向き姿勢でサブローラを降下させて円筒体のチャックを解除するものであるため、そのチャック解除時に、サブローラの降下と共に円筒体が降下して、載置具に移載される。従って、円筒体送出位置において、チャック解除前には、円筒体を載置具から上方に離間させた位置に配置でき、円筒体が載置具に干渉するのを防止でき、搬出側においても、移送トラブルの発生を確実に防止することができる。さらに円筒体が降下するものであるため、載置具を上昇させる必要がなく、その上昇用の機構を省略できる分、部品点数をさらに削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0034】
発明[5][6]の円筒体の検査装置によれば、円筒体を効率良く搬送できて、検査効率を向上させることができる。
【0035】
発明[7]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の搬入および搬出をスムーズに行うことができ、検査効率を一層向上させることができる。
【0036】
発明[8]の円筒体の検査装置によれば、部品の共有化をさらに図ることができ、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより一層確実に図ることができる。
【0037】
発明[9][10]の円筒体の検査装置によれば、円筒体取込位置でのチャック処理、検査位置での円筒体検査処理、円筒体送出位置でのチャック解除処理を並行して行うことができ、検査効率をより一層向上させることができる。
【0038】
発明[11]の円筒体の検査装置によれば、円筒体を検査位置に移送した時点で、円筒体の回転を安定させることができるため、検査位置において、予備運転を行わずに直ちに検査を開始することができる。従って、検査効率をより確実に向上させることができる。
【0039】
発明[12]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の検査前に円筒体表面の清浄化を図ることができるため、検査精度を向上させることができる。
【0040】
発明[13]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の両端部内周面を3つのローラにより3点で支持することができるため、円筒体を安定した状態に支持できる。このため、円筒体を円滑に回転させつつ、検査することができ、検査精度を一層向上させることができる。
【0041】
発明[14]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の径サイズにかかわらず、3つのローラを周方向に沿ってほぼ等間隔おきに、円筒体の両端部内周面に接触させることができる。従って、円筒体をより一層安定した状態で支持できて、検査精度をより一層向上させることができる。
【0042】
発明[15]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の移送装置を提供することができる。
【0043】
発明[16]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体のチャック装置を提供することができる。
【0044】
発明[17]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の検査方法を提供することができる。
【0045】
発明[18]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の移送方法を提供することができる。
【0046】
発明[19]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体のチャック方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はこの発明の実施形態である円筒体の表面検査装置の検査対象物としての円筒体を示す斜視図である。
【図2】図2は第1実施形態の円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図3】図3は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図4】図4は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺を円筒体搬入前の状態で示す模式図ある。
【図5】図5は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺をチャック直前の状態で示す模式図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図6】図6は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺をチャック後の状態で示す模式図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図7】図7は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における検査位置周辺を模式化して示す図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図8】図8は第1実施形態の検査装置における検査位置に配置されるチャック装置を示す側面図である。
【図9】図9は第1実施形態の検査装置における検査位置に配置されるチャック装置を示す斜視図である。
【図10】図10はこの発明の第2実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図11】図11は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図12】図12は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における取込位置周辺を模式化して示す内側面図である。
【図13】図13は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における送出位置周辺を模式化して示す内側面図である。
【図14】図14はこの発明の第3実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図15】図15は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図16】図16はこの発明の第4実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図17】図17は第4実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図18】図18はこの発明の検査装置に適用可能な第1の搬送コンベアを示す内側面図である。
【図19】図19はこの発明の検査装置に適用可能な第2の搬送コンベアを示す正面断面図内側面図である。
【図20】図20は第2の搬送コンベアを示す内側面図である。
【図21】図21はこの発明の第1の変形例としての挿入支持部を基準ローラ上向き状態で示す内側面図である。
【図22】図22はこの発明の第2の変形例としての挿入支持部を基準ローラ上向き状態で示す内側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<円筒体(ワーク)>
図1はこの発明の実施形態である円筒体の表面検査装置の検査対象物としての円筒体(ワーク)Wを示す斜視図である。
【0049】
同図に示すように、検査対象物(ワーク)としての円筒体Wは例えば、電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、その他各部に利用されるものである。
【0050】
このような部材を構成可能な円筒体Wのうち、本実施形態では特に、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体として用いられる円筒体Wを好適な例として挙げることができる。この感光ドラム用基体としての円筒体Wの外周面は、金属光沢を有し、入射した光のほとんどを反射する鏡面となっている。
【0051】
感光ドラム用基体としての円筒体Wは例えば、直径が10〜60mm、長さが200〜500mm程度のものである。
【0052】
このような円筒体Wの製造方法としては、押出加工および引抜加工の組み合わせを挙げることができる。なお言うまでもなく本発明においては、円筒体Wの製造方法はこれだけに限定されるものではなく、押出加工、引抜加工、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工またはこれらの組み合わせ等、管体を製造できる方法であればどのような方法も採用することができる。
【0053】
また、検査対象としての円筒体Wの材質は特に限定されるものではなく、各種の金属材料の他、合成樹脂等も適用することができ、例えばアルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。中でも特にアルミニウム合金製の円筒体Wは、本発明の検査対象として好適である。
【0054】
なお本実施形態において、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜加工等が行われた後の管体であって、感光層の形成前の管体を言う。もっとも、本発明においては、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の管体も、検査対象たる円筒体Wとして構成することができる。
【0055】
本実施形態の表面検査装置は、以下に詳述するように 上記円筒体(管体)Wを、軸心回りに回転させつつ、検査するものである。
【0056】
なお、本発明においては、円筒体Wに対しどのような検査を行うか等の検査種別は特に限定されるものではないが、本実施形態では、円筒体Wの表面(外周面)状態を検査する場合を例に挙げて説明するものとする。
【0057】
<第1実施形態>
図2はこの発明の第1実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図3は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0058】
なお、本実施形態の表面検査装置において、検査対象としての円筒体Wは、装置内では全て軸心が水平方向に向いた横向きの状態で配置されている。本明細書では、装置内における円筒体Wの軸心方向に平行な方向をX軸方向とし、そのX軸方向に直交する水平方向をY軸方向として説明する。
【0059】
<検査装置>
図2および図3に示すように、本第1実施形態における表面検査装置は、検査装置本体1と、検査装置本体1に対し円筒体Wの搬出入を行う搬送コンベア6とを備えている。
【0060】
検査装置本体1は、図2および図3の側面視状態において、円筒体Wが円環状の移送経路Pに沿って時計方向(右回り)に搬送されるようになっている。円環状移送経路Pの下端には、コンベア6に対し円筒体Wの受け渡しを行う円筒体取込/送出位置Aが設けられるとともに、上端には、円筒体Wの検査を実行する検査位置Bが設けられる。さらに図2、3の側面視において、円環状移送経路P上における取込/送出位置Aから右回りで1/4周した位置には、検査前待機位置C1が設けられるとともに、検出位置Bから右回りで1/4周した位置には、送出前待機位置C2が設けられている。
【0061】
なお本実施形態においては、図2、3の右回りの方向が移送方向(搬送方向)の下流側となり、左回りの方向が移送方向の上流側となる(以下の図10,11,14〜17の各実施形態においても同じ)。
【0062】
搬送コンベア6は、円環状移送経路Pの下方に配置されており、図2のY軸方向に沿って左側(上流側)から右側(下流側)にかけて連続して配置されている。
【0063】
図4〜6は第1実施形態の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺を示す模式図である。なお、図5,6において、(a)は正面図、(b)は内側面図である。
【0064】
図1〜6に示すように搬送コンベア6には、載置具としての多数の一時取置き台7…がコンベア搬送方向(Y軸方向)に沿って並んで設けられている。各取置き台7は、円筒体Wの両端部に対応して、上端縁がV字状に切り欠かれた一対のV受け板75を有しており、その一対のV受け板75によって、円筒体Wの両端部外周面が支持されることにより、円筒体Wをその軸心がX軸方向に沿うようにした横向き状態(水平状態)で安定して載置できるようになっている。
【0065】
そして搬送コンベア6は、円筒体Wを載置した取置き台7を、駆動チェーンで駆動させることによって、円筒体WをY軸方向に沿って上流側から下流側に搬送できるようになっている。これにより、搬送コンベア6の上流側から搬入された検査前の円筒体Wが、検査装置本体1の取込/送出位置Aまで搬送される。さらにその位置Aで検査前の円筒体Wが、後述するように検査装置本体1に取り込まれて表面検査される一方、検査済の円筒体Wが、取込/送出位置Aで、搬送コンベア6の取置き台7に移載されて、その円筒体Wが、搬送コンベア6によって下流側に搬出されるようになっている。
【0066】
なお本実施形態において、搬送コンベア6は、搬送手段を構成するものである。さらに搬送手段としての搬送コンベア6は、搬入手段としての搬入コンベアと、搬出手段としての搬出コンベアとを共に構成するものである。
【0067】
また本実施形態において、取置き台7は上下方向に移動することはなく、高さ位置は一定に保持されている。
【0068】
図2,3に示すように、検査装置本体1には、円筒体Wを円環状移送経路Pに沿って搬送するための回転移送機構2が設けられる。
【0069】
回転移送機構2には、円環状移送経路Pの中心位置に対応して回転駆動軸201を有する円形の回転フレーム202が設けられている。この回転フレーム202は、その回転駆動軸201の軸心がX軸方向と平行に配置されており、図示しない駆動手段によって、その軸心回りに回転駆動できるようになっている。
【0070】
さらに回転移送機構2の回転フレーム202の外周縁部には、円筒体Wを支持する4つのチャック装置3…が、周方向に等間隔おき(1/4周おき)に取り付けられている。これにより4つのチャック装置3…は、円環状移送経路Pに沿って等間隔おきに配置される。そして、各チャック装置3…は、回転フレーム202が駆動軸201の軸回りに図2,3の時計方向に(右回りで)回転することによって、円環状移送経路Pに沿って移動できるようになっている。既述したようにチャック装置3は、円環状移送経路Pに沿って等間隔おきに4つ設けられているため、4つのチャック装置3が、上記の取込/送出位置Aと、検査位置Bと、待機位置C1,C2との4つの位置に同時に存在できるようになっている。
【0071】
なお、本実施形態において、各チャック装置3…は、回転フレーム202に対し相対的な位置が変化しないように固定されている。従って、取込/送出位置Aのチャック装置3に対し、検査位置Bのチャック装置3は、上下に180°反転した状態となる。さらに取込/送出位置Aのチャック装置3に対し、検査前待機位置C1のチャック装置3は右回りに90°回転した状態となり、検査前待機位置C1のチャック装置3に対し、送出前待機位置C2のチャック装置3は、左右に180°反転した状態となる。
【0072】
また本実施形態において、取込/送出位置Aは、円筒体取込位置と円筒体送出位置とを兼用するものである。
【0073】
図7は第1実施形態の検査装置における検査位置周辺を模式化して示す図、図8は同装置における検査位置Bに配置されるチャック装置3を示す側面図、図9は同装置における検査位置Bに配置されるチャック装置3の斜視図である。
【0074】
図7〜9に示すように、各チャック装置3は、チャックする円筒体Wの両側に対応して配置される一対のチャック部10,10を備えている。
【0075】
一対のチャック部10,10は、一対のチャックベース101,101に、円筒体Wの軸心方向に対応するX軸方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。このチャックベース101,101が、既述したように回転移送機構2における回転フレーム203の外周縁部に固定されている(図2参照)。
【0076】
各チャックベース101,101には、シリンダによって構成されるスライド駆動部13,13が設けられている。そして、このスライド駆動部13,13が駆動することによって、一対のチャック部10,10がスライドして、取込/送出位置Aの円筒体Wの両端部に対して、進出/後退駆動するようになっている。
【0077】
一対のチャック部10,10には、円筒体Wの両端部内側に挿入可能な一対の挿入支持部12,12が設けられている。
【0078】
一対の挿入支持部12は、メインローラを構成する1つの基準ローラ20と、サブローラを構成する2つの補助ローラ30,30と、ガイド部材40とをそれぞれ備えている。
【0079】
一対の挿入支持部12,12は、上記スライド駆動部13,13の駆動によって、一対のチャック部10,10と共にスライドして、取込/送出位置Aの円筒体Wの両端部に対して、進出/後退駆動するようになっている(図4、6参照)。
【0080】
なお本実施形態では、各挿入支持部12において、円筒体Wに対し近づく(進出する)方向を前方とし、遠ざかる(後退する)方向を後方として説明する。
【0081】
一対の挿入支持部12,12における基準ローラ20,20は、チャック部10,10の上端部に回転軸21,21を介して支持されて、X軸方向と平行な軸心回りに回転できるようになっている。
【0082】
図8の左側に配置される一方のチャック部10には、基準ローラ回転駆動モータ14が設けられ、そのモータ14が駆動することによって、一方の基準ローラ20が回転駆動するようになっている。そして後述するように、検査実行時に、一方の基準ローラ20が回転駆動することにより、円筒体Wが回転するようになっている。
【0083】
図7(a)等に示すように、基準ローラ20,20の前端面と、外周面(転動面)との間のコーナ部は、R面取り加工されることによって、断面円弧状のR面取り部22,22が形成されている。
【0084】
ガイド部材40,40は、一対の基準ローラ20,20における前端面にそれぞれ設けられている。ガイド部材40,40は、前方に向かうに従って漸次縮径するテーパ状に形成されている。このガイド部材40,40の前端部(先端部)は略半球面に形成されており、全体として、先端が丸みをおびた略コーン形状(略直円錐形状)に形成されている。
【0085】
さらにこのガイド部材40,40は、外周のテーパ面がガイド面41,41として形成されている。
【0086】
なお本発明において、ガイド部材の先端形状は特に限定されるものではなく、例えばガイド部材として、先端が平坦な円錐台形状のものや、先端が尖鋭な直円錐形状のもの等も採用することができる。
【0087】
ガイド部材40,40は、その底面(後端面)の径サイズが、基準ローラ20の前端面の径サイズに対しほぼ等しくなるように形成されている。
【0088】
またガイド部材40,40は、基準ローラ20,20と共に軸心回りに回転するようになっている。
【0089】
一対のチャック部10,10における基準ローラ14,14の後方には、スライドプレート15,15が設けられている。スライドプレート15,15は、チャック装置3が検査位置Bに配置された状態において、基準ローラ20の回転軸21の下方両側にそれぞれ配置されている。スライドプレート15,15は、一対のチャック部10,10に、円筒体Wを基準にして略径方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。そして図示しないスライド駆動部が駆動することによって、スライドプレート15,15が円筒体Wの外径方向および内径方向に沿ってスライド移動するようになっている。
【0090】
各スライドプレート15,15における径方向の内側に、上記補助ローラ30,30が回転自在に支持される。各補助ローラ30,30は、円筒体Wおよび基準ローラ40に対し軸心方向が一致しており、X軸方向の軸心回りに回転するようになっている。
【0091】
一対のチャック部10において、補助ローラ30,30は、基準ローラ20よりも後方に離間して配置され、図5(b)等に示すように軸心に対し直交する方向から見た正面視においては、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対して重なり合わないようになっている。
【0092】
補助ローラ30,30は、基準ローラ20よりも径サイズが小さく形成されている。具体的には、補助ローラ30,30の直径サイズは、基準ローラ20の半径サイズからその回転軸21の半径サイズを差し引いた寸法よりも小さくなっている。つまり「補助ローラ30の直径」<(「基準ローラ20の半径サイズ」−「回転軸21の半径サイズ」)の関係が成立するようになっている。
【0093】
また補助ローラ30,30は、上記スライドプレート15,15と共にスライド移動することにより、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、接離する方向(円筒体Wの略径方向)に沿って移動するようになっている。
【0094】
そして、スライドプレート15,15が内径方向にスライドした際には、補助ローラ30,30は、略径方向に沿って基準ローラ20に近接する方向に移動する。こうして補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接した挿入支持部縮径状態では、補助ローラ30,30の全域が、基準ローラ20の後方において、基準ローラ20(ガイド部材40)に対し軸心方向(X軸方向)に重なって配置される(図5等参照)。換言すれば、挿入支持部縮径状態では、挿入支持部12を、軸心方向に沿って前方から見た場合、補助ローラ30,30の全域が、基準ローラ20およびガイド部材40によって隠蔽されるようになっている。
【0095】
さらに本実施形態においては、挿入支持部縮径状態では、挿入支持部12の径サイズが、円筒体Wの内径サイズよりも小さくなり、挿入支持部12、すなわち基準ローラ20、補助ローラ30,30およびガイド部材40が、円筒体Wの両端部内周面の内側に挿入可能となっている。
【0096】
一方、補助ローラ30,30を支持するスライドプレート15,15における径方向の外側には、円盤型ないしローラ型の位置決め板35,35が回転自在に支持される。位置決め板35,35は、補助ローラ30,30および円筒体Wに対し軸心方向が一致しており、X軸方向の軸心回りに回転するようになっている。
【0097】
位置決め板35,35は、補助ローラ30,30よりも後方に離間して配置され、図7(a)等に示す正面視状態において、補助ローラ30,30に対して重なり合わないようになっている。なお位置決め板35,35は、補助ローラ30,30の回転動作の影響を受けることなく、独立した状態で回転自在に構成されている。
【0098】
また位置決め板35,35は、補助ローラ30,30およびスライドプレート15,15と共にスライド移動することによって、基準ローラ20に対し、接離する方向(円筒体Wの略径方向)に移動するようになっている。
【0099】
以上の構成のチャック装置3は、図3に示すように、取込/送出位置Aに配置された状態では、補助ローラ30,30の軸心位置が基準ローラ20の軸心位置に対し上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっている。そして基準ローラ20、補助ローラ30,30およびガイド部材40で構成される挿入支持部12が、挿入支持部縮径状態で、後方に移動して退避した状態では、図4に示すように、搬送コンベア6によって取込/送出位置Aに搬送される円筒体Wの両端部よりも軸心方向外側に配置されるようになっている。またこの状態では、円筒体Wの軸心に対し、ガイド部材40および基準ローラ20の軸心とがほぼ一致するように配置される。
【0100】
さらにその状態で、一対のチャック部10,10が軸心方向内側に進出した際には図5に示すように、挿入支持部12としてのガイド部材40、基準ローラ20および補助ローラ30,30が円筒体Wの両端部内側に挿入されるようになっている。このとき円筒体Wの軸心に対し、ガイド部材40および基準ローラ20の軸心とがほぼ一致するように配置される。
【0101】
そしてチャック装置3により円筒体Wを支持(チャック)するには、一対の挿入支持部12,12を円筒体Wの両端部内側に挿入した状態で、図6に示すように、スライドプレート15,15を外径方向にスライドさせて、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し上方へ移動させて、挿入支持部拡径状態とする。そうすると図6(b)の想像線に示す状態から、補助ローラ30,30の上昇に伴って、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面における上部両側に当接して、円筒体Wを上方に持ち上げて、同図実線に示すように取置き台7から離間させる。さらに補助ローラ30,30によって円筒体Wが持ち上げられることによって、基準ローラ20が円筒体Wの内周面における下端部に当接する。こうして円筒体Wの両側部内周面に、1つの基準ローラ20と、2つの補助ローラ30,30との3つのローラが3点でそれぞれ接触し、その3点支持によって円筒体Wが安定した状態に支持される。
【0102】
さらにその支持状態で、既述したように一方の基準ローラ20が回転駆動すると、その基準ローラ20の回転に従動して円筒体Wが回転し、さらにその円筒体Wの回転に連れ回るように残りの各ローラ20,30が回転する。これにより、円筒体Wの円滑な回転が確保される。
【0103】
またこのように円筒体Wを支持(チャック)した状態では、円筒体Wの両端面に対応して配置される上記円盤状の位置決め板35,35における板面の外周縁部が、円筒体Wの両側端面に接触している。従って、位置決め板35,35は、円筒体Wの回転に連れ回るように回転しつつ、円筒体Wの両側端位置を規制することにより、円筒体Wの軸心方向の位置ずれを防止するようになっている。つまり位置決め板35,35は、表面検査時における円筒体の両端面の位置が一定となるように円筒体両端面に接触しており、軸心方向の 位置決めを図るための基準体をなしている。
【0104】
一方、既述したように、チャック装置3は、回転フレーム202に対し、相対的な位置が変化しないように取り付けられている。従って、回転移送機構2内においては、チャック装置3がいずれの位置A,C1,B,C2に配置されていようとも、基準ローラ20は、補助ローラ30,30に対し外側(回転フレーム202の径方向外側)に配置されている。
【0105】
具体的には、取込/送出位置Aのチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上側に配置された補助ローラ上向き姿勢(サブローラ上向き姿勢)となっている。その位置Aから図2の右回りに1/4周した検査前待機位置C1のチャック装置3は、基準ローラ20が、補助ローラ30,30に対し図2の左側に配置される。さらにその位置C1から1/4周した検査位置Bのチャック装置3は、基準ローラ20が、補助ローラ30,30に対し上側に配置された基準ローラ上向き姿勢(メインローラ上向き姿勢)となっている。さらにその位置Bから1/4周した送出前待機位置C2のチャック装置3は、基準ローラ30が、補助ローラ30,30に対し図2の右側に配置される。
【0106】
本実施形態において、チャック装置3によって円筒体Wを支持した状態では、基準ローラ20および補助ローラ30は、円筒体Wの内周面に接触するため、検査対象領域である円筒体Wの外周面に接触痕が発生するのが防止される。
【0107】
またチャック装置3における両側の基準ローラ20,20は、表面検査時の高さ位置が一定となるように支持されており、表面検査における円筒体Wの高さ位置を位置決めすることで、一対の基準体をなしている。
【0108】
本実施形態においては、既述したように、一方側の基準ローラ20が回転駆動して、円筒体Wを回転させるようになっている。これにより、円筒体Wを回転駆動するために円筒体Wに接触する部材を削減でき、円筒体Wが損傷する可能性が軽減される。
【0109】
円筒体Wをチャックした状態の補助ローラ30,30は、取込/送出位置Aにおいて、円筒体Wの両側端部内周面における上部両側にそれぞれ接触しており、円筒体Wを上方に付勢して円筒体の内周面上部を上記の基準ローラ20に確実に接触させるようになっている。従って、円筒体Wの両端部内周面に対し、それぞれ3つのローラ20,30,30を適切な接触圧で接触させることができ、より安定した状態で円筒体Wを支持することができる。
【0110】
また位置決め板35,35は、補助ローラ30,30に対して独立して回転するものであるため、位置決め板35の円筒体Wに対する滑り量を少なくできて、無理なく円筒体Wの位置決めを図ることができる。
【0111】
すなわち上記特許文献1に示すように、補助ローラの外周面(転動面)における軸心方向外側(後側)の端部に、フランジ状の位置決め部(位置決め板)を一体に形成するようなチャック装置では、位置決めフランジ部が、小径の補助ローラと同じ周速度で高速回転する。このため、位置決めフランジ部の円筒体Wに対する滑り量が多くなり、円筒体W等に、滑りによる悪影響が及ぶおそれがある。
【0112】
これに対し、本実施形態においては、位置決め板35,35は、補助ローラ30,30に対して独立して回転するものであるため、補助ローラ30,30の回転動作にかかわらず、円筒体Wの回転動作に応じて、独自に回転するようになる。このため、位置決め板35,35の円筒体Wに対する滑り量が少なくなり、円筒体W等に、滑りによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
【0113】
その上さらに、本実施形態においては、位置決め板35,35は、円筒体Wの回転に応じて回転するものであるため、位置決め板35,35の径サイズを大きくすることにより、位置決め板35,35の円筒体Wに対する滑り量を一層少なくすることができ、より確実に滑りによる悪影響を防止することができる。
【0114】
また本実施形態においては、円筒体Wの両端部内周面を1つの基準ローラ20および2つの補助ローラ30,30の3つのローラ20,30,30により3点で支持しているため、円筒体Wを安定した状態に支持できる。このため、円筒体Wを円滑に回転させつつ、検査することができ、高い検査精度を得ることができる。
【0115】
さらに本実施形態においては、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し離間させる際に、補助ローラ30,30を円筒体Wの略径方向に沿ってスライドさせるものであるため、円筒体Wをより安定した状態に支持することができる。
【0116】
すなわち上記特許文献1に示すように、2つの補助ローラを平行に移動させて基準ローラから離間させて、各ローラを円筒体内周面に接触させるようなチャック装置(円筒体検査装置)では、円筒体の径サイズが大きい場合、2つの補助ローラを平行にスライドさせて円筒体内周面に接触させた際に、円筒体内周面に対して、両補助ローラ間の距離を十分に大きく確保できないことがある。このため、円筒体の径サイズが大きい場合には、1つの基準ローラと2つの補助ローラとの3つのローラを周方向に沿って等間隔おきに配置することができず、3点支持による効果を十分に発揮できないおそれがある。
【0117】
これに対し、本実施形態においては、補助ローラ30,30を円筒体Wの径方向にスライドさせるものであるため、補助ローラ30,30を外径方向に移動させて、円筒体内周面に接触させた際に、円筒体Wの径サイズに応じて、両補助ローラ30,30間の距離が適切に調整される。このため、円筒体Wの径サイズにかかわらず、1つの基準ローラ20と2つの補助ローラ30,30との3つのローラ20,30,30を周方向に沿ってほぼ等間隔おきに配置することができ、円筒体Wをより安定した状態に支持することができる。従って、円筒体Wをより一層円滑に回転させることができ、検査精度をより一層向上させることができる。
【0118】
しかも、補助ローラ30,30を円筒体を基準に外径方向に移動させて、円筒体内周面に接触させるものであるため、円筒体内周面における補助ローラ30,30の接触位置の接線に対し、補助ローラ30,30の移動方向がほぼ直角となる。このため、補助ローラ30,30を円筒体内周面に押し付けた際にその付勢力を円筒体Wの外径方向に向けて放射状に適切に作用させることができ、より一層安定した状態で円筒体Wを支持することができ、検査精度をより一層確実に向上させることができる。
【0119】
また各チャック装置3の両側の基準ローラ20,20は、検査位置Bにおいて、一旦適正な高さ位置に設定されれば、径サイズの異なる円筒体Wに対する表面検査を行う場合であっても、その高さ位置が変化しないようになっている。これにより、基準ローラ20,20の高さ位置は十分な位置精度を確実に確保できるようになっている。
【0120】
このように両基準ローラ20,20の高さ位置が安定していることにより、円筒体Wの内周面のうち、この基準ローラ20,20に接触している部分は、円筒体Wの径サイズによらず、常に同じ高さ位置に位置することとなる。
【0121】
そして本実施形態では、円筒体Wの外周面における基準ローラ20,20と対応する部分を検査領域とするものであり、この検査領域もまた、円筒体Wの径サイズによらず、常に同じ高さ位置に設定される。
【0122】
なお本実施形態においては、チャック装置3によってチャック手段が構成される。さらに回転移送機構2によって移送手段が構成される。
【0123】
<表面状態検出器>
既述したようにチャック装置3によって支持されて回転駆動される円筒体Wは、外周面の表面状態が、表面状態検出器50によって検出される。
【0124】
この表面状態検出器50は、円筒体Wの外周面の傷、凹み、汚れ、変色、変質、その他の表面欠陥のうち少なくとも1種類を検出する。
【0125】
この実施形態では、チャック装置3における両基準ローラ20,20と円筒体Wの内周面とが接触する接触部分を通る仮想的な直線に対し、円筒体Wの外側から対峙する直線を基準線と呼ぶこととする。そしてこの表面検査装置は、円筒体Wの外周面のうち、この基準線上またはその近傍を検査領域とし、その検査領域に対して表面検査を行うように、その位置および角度(向き)が設定されている。
【0126】
図2,7に示すようにこの実施形態では、表面状態検出器50は、円筒体Wの外周面に検査照明光を照射する照明51と、円筒体Wからの反射光を受光してその表面状態を検出するカメラ52とを備えている。
【0127】
照明51は、たとえば円筒体Wの長さに応じた蛍光灯等から構成され、円筒体Wの外周面の前記基準線を含む領域に検査照明光を照射するようになっている。
【0128】
カメラ52は、例えば円筒体Wの長手方向に沿った細長領域を検出領域とするラインセンサカメラ等から構成され、円筒体Wの外周面の前記基準線上またはその近傍領域を検出領域とするようにその位置および角度が設定されている。
【0129】
また、この実施形態では、表面状態検出器50が、検査照明光の反射光のうち、正反射光を受光することによって表面状態の検出を行う。このため、円筒体Wの外周面上の基準線の位置およびその面の向きに対して、照明51およびカメラ52は、両者の位置および角度が設定されている。
【0130】
ここで、円筒体Wの内周面が、チャック装置3の両側の基準ローラ20,20によって位置決めされるため、円筒体Wの肉厚が変化しない限り、径サイズが変化しても、円筒体Wの外周面上の基準線の位置およびその面の向き(角度)は変化しない。このため、そのまま何らの検査治具等を交換することなく、円筒体Wの種々の径サイズに容易に対応することができ、また、検査治具等の交換を要しないことから高い検査精度も確保することができる。
【0131】
このように、同一の治具を各径サイズの円筒体Wの検査に汎用的に使用することができる。
【0132】
また、検査対象とする円筒体Wの径サイズを変更する場合であっても、表面状態検出器50と基準線との位置関係が変化しないため、再調整等が不要であり、段取り替えに要する工数や時間を低減することができる。
【0133】
従って、高精度で多様な径サイズの円筒体Wに対応し、工業化に好適な安価な検査システムを構築できる。
【0134】
<制御装置>
図2に示すように、本実施形態の表面検査装置には、パーソナルコンピュータ等によって構成されるコントローラ100を備え、このコントローラ100によって、表面検査装置の各駆動部の駆動が制御され、後述の検査手順で表面検査が自動的に行われるようになっている。
【0135】
さらにコントローラ100は、カメラ52によって取得された画像データに基づいて、円筒体Wの表面状態の良否を判別する。なおこの判断方法については、例えば取得した画像データと、予め保持された基準データとを比較して、良否判定を行う方法等、従来より周知の方法が用いられる。
【0136】
<検査手順>
次に、この表面検査装置における表面検査の手順について説明する。
【0137】
図4に示すように、取込/送出位置Aのチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、挿入支持部縮径状態で、かつ補助ローラ上向き姿勢となっている。また検査前待機位置C1、検査位置Bおよび送出前待機位置C2のチャック装置3…は、円筒体Wがそれぞれ支持されているものとする。
【0138】
また搬送コンベア6において、取込/送出位置Aの取置き台7には、未検査(検査前)の円筒体Wが載置されているものとする。
【0139】
この状態において、図5に示すように、取込/送出位置Aのチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。その後図6に示すように、一対の挿入支持部12,12の補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上方へ移動していき、挿入支持部拡径状態へと移行し、円筒体Wの両端部内周面が基準ローラ20および補助ローラ30,30によって支持される。このとき既述したように、円筒体Wは、補助ローラ30,30に持ち上げられるため、図3の想像線および図6の実線に示すように取置き台7から上方へ離間する。
【0140】
こうして円筒体Wが一対の挿入支持部12,12に持ち上げられて支持された後、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/4回転する。これにより、取込/送出位置Aでチャック装置3によって支持された円筒体Wが、検査前待機位置C1に回転移動する。この回転移動時に、円筒体Wは、取置き台7に対し上方へ離間しているため、取置き台7に接触したり、干渉したりするのが確実に防止される。従って、チャック後に円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる必要がない。このように取置き台7を昇降移動させるための取置き台昇降機構が不要であるため、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0141】
また上記回転フレーム202の回転により、検査前待機位置C1にあった円筒体Wは検査位置Aに移動し、検査位置Aにあった円筒体Wは、送出前待機位置C2に移動し、送出前待機位置C2にあった円筒体Wは、取込/送出位置Aに移動する。
【0142】
図7に示すように、検査位置Bへと移動した円筒体Wは、軸心回りに回転しつつ、照明51から検査照明光が照射され、その反射光(正反射光)をカメラ52で受光することによって表面状態の検査が行われる。この表面検査は、円筒体Wが一回転以上回転し、その全周について行われる。
【0143】
なお検査位置Bにおいては、図3および図7に示すように、一対の挿入支持部12,12は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上側に配置された基準ローラ上向き姿勢となっている。
【0144】
ここで本実施形態においては、検査位置Bに円筒体Wが搬送される前の段階で予め円筒体Wの回転が開始されている。例えば検査前待機位置C1に移動してきた時点で、チャック装置3の一方側の基準ローラ20を回転駆動し、円筒体Wおよび各ローラ20,30を回転させておく。これにより、円筒体Wの回転動作を安定させた後、検査位置Bに移動させることができる。このため、円筒体Wが検査位置Bに移動された時点では回転が安定しており、直ちに表面検査を開始することができる。このように検査位置Bでの予備運転を行う必要がなく、その分、検査効率を向上させることができる。
【0145】
もっとも、本発明において、必ずしも検査前待機位置C1で、円筒体Wの回転を開始する必要はなく、検査前待機位置C1から検査位置Bへの移動中に円筒体Wの回転を開始したり、取込/送出位置Aから検査前待機位置C1への移動中に円筒体Wの回転を開始するようにしても良い。要は検査位置Bに到達する前に、円筒体Wの回転が開始されていれば、検査効率を向上させることができる(以下の第2実施形態においても同じ)。
【0146】
なお、本実施形態においては、検査前待機位置C1に対応して、図示しないエアーブロー手段が設けられ、検査前待機位置C1に移送された円筒体Wの外周面に、上記エアーブロー手段からエアーが吹き付けられることによって、円筒体Wの外表面に付着したゴミや埃等を吹き飛ばして、表面の清浄化を図るようにしている。
【0147】
また検査位置Bから送出前待機位置C2に移動した円筒体Wは、回転を停止させて待機する。
【0148】
また送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに移動した円筒体Wは、取置き台7へと移載される。すなわち、検査済の円筒体Wを支持したチャック装置3が、送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに移動した時点では、既述したように、先行のチャック装置3によって、取置き台7上の未検査の円筒体Wがチャックされて、検査前待機位置C1に移動することにより、取込/送出位置Aには、空の取置き台7が配置されている。このとき、後続のチャック装置3にチャックされている検査済の円筒体Wは、空の取置き台7から所定量上方に離間した状態に配置されている。この円筒体Wと取置き台7との間隔は、先行のチャック装置3によって円筒体Wをチャックした際に、円筒体Wが取置き台7から持ち上げられた際の持ち上げ量に対応している。またチャック装置3は、取込/送出位置Aにおいては、一対の挿入支持部12,12が補助ローラ上向き姿勢となっている。
【0149】
そしてチャック装置3は、それにチャックされた円筒体Wが空の取置き台7から上方へ離間している状態で、円筒体Wのチャックが解除される。すなわち挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し上側に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように降下していく。この降下により、図6の実線に示す状態から、基準ローラ20が円筒体Wの内周面下端から離間する。さらに補助ローラ30,30の降下に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側から離間して、図6の想像線に示す状態となる。
【0150】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、図4に示すように、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される。
【0151】
その後、搬送コンベア6が1ピッチ分(取置き台7の取付間隔分)搬送されて、検査済の円筒体Wが移載された取置き台7が、取込/送出位置Aから下流側へと搬出される一方、未検査の円筒体Wが載置された新たな取置き台7が、取込/送出位置Aに搬入される。こうして取込/送出位置Aに搬入された未検査の円筒体Wが、上記と同様に、チャック装置3によってチャックされて、検査前待機位置C1に回転移動する。
【0152】
本実施形態の表面検査装置においては、検査位置Bで、円筒体Wの表面検査が行われている間に並行して、取込/送出位置Aにおいて、検査済の円筒体Wを取置き台7に移載して、搬送コンベア6を1ピッチ分送り出した後、未検査の円筒体Wをチャックするものである。
【0153】
このように本実施形態の表面検査装置は、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出されるものである。
【0154】
以上のように、本実施形態の円筒体の表面検査装置によれば、取置き台7に載置された円筒体Wを、チャック装置3によってチャックするに際して、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し上方へ移動させると、補助ローラ30,30によって円筒体Wが持ち上げられて取置き台7から離間する。このため、円筒体Wを取置き台7に干渉させることなく、円筒体Wの軸心回りの回転を開始したり、円筒体Wを円環状移送経路Pに沿って移送させたりすることができる。従って本実施形態の表面検査装置は、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方等に退避させる取置き台昇降機構を設ける必要がなく、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0155】
特に本実施形態のように、多数の取置き台7を設置する場合には、各取置き台毎に設置が必要な多数の昇降機構を全て省略することができ、部品点数を大幅に削減でき、多大な効果を得ることができる。さらに本実施形態では、部品点数を大幅に削減できるため、装置の保守点検を容易に行うことができる。
【0156】
また本実施形態の表面検査装置においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wを送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに回転移送させた際に、円筒体Wを取込/送出位置Aに待機する取置き台7に対し上方に離間させた位置に配置するものであるため、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0157】
なお本実施形態においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wを、取置き台7の上方に配置した状態で、チャック装置3のチャックを解除すると、既述したように、チャック解除動作と共に、円筒体7が降下して、取置き台7に無理なく移載される。このため、チャック解除時に、円筒体7の高さ位置まで取置き台7を上昇させる必要がない。
【0158】
詳細に説明すると、チャック解除時に円筒体Wが降下せず、取置き台7から上方に離間したままの状態であると、チャック解除後に一対の支持挿入部12,12を円筒体Wから抜き取った際に、円筒体Wが取置き台7の位置まで落下してしまうおそれがある。このため、チャック解除時に円筒体Wが降下しない場合には、円筒体7の高さ位置まで取置き台7を上昇させる必要がある。
【0159】
これに対し、本実施形態の表面検査装置では、既述したように、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がなく、この点においても、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0160】
さらに本実施形態においては、1本の搬送コンベア6によって、回転移送機構2に円筒体Wを搬入する搬入コンベア(搬入手段)と、回転移送機構2から円筒体Wを搬出する搬出コンベア(搬出手段)とを共に構成しているため、搬入コンベアおよび搬出コンベアを別々に設ける場合と比較して、部品点数をより一層削減できて、構造の簡素化等をより一層確実に図ることができる。
【0161】
また本実施形態においては、チャック装置3の一対の挿入支持部12,12を円筒体Wの両側端部内側に挿入する際に、補助ローラ30,30の全域を基準ローラ20(ガイド部材40)の軸心方向(X軸方向)に重なり合うように配置しているため、挿入支持部12の径サイズが、基準ローラ20の径サイズと等しくなる。このため、挿入支持部12の径サイズが非常に小さくなり、円筒体Wがチャック装置3に対し多少位置ずれしていようとも、挿入支持部12が円筒体Wの内周面内側に対応したままの状態に維持される。従って、補助ローラ30,30が円筒体Wの端面に接触するのを有効に防止でき、基準ローラ20および補助ローラ30,30をスムーズに円筒体W内に挿入することができる。
【0162】
その上さらに、本実施形体においては、基準ローラ20の前端面に、テーパ状のガイド部材40を設けているため、前方側から見た状態(図3,4等参照)で、円筒体Wが基準ローラ20に干渉する位置まで位置ずれしていたとしても、ガイド部材40を円筒体Wの両側端部内側に挿入する際に、ガイド部材40のガイド面41によって円筒体Wがガイドされて、円筒体Wの位置が修正される。従って、基準ローラ20および補助ローラ30,30を円筒体Wの両側端面に接触させることなく、円筒体Wの両側端部内側にスムーズに挿入することができる。
【0163】
このように円筒体Wが位置ずれしていても、基準ローラ20および補助ローラ30,30を円筒体Wに不用意に干渉させずに確実に挿入することができるため、円筒体Wを損傷させる等の不具合を確実に防止することができる。
【0164】
また本実施形態においては、補助ローラ30,30の全域を基準ローラ20に軸心方向に重なり合わせているため、円筒体Wの径サイズが、基準ローラ20の径サイズよりも大きければ、基準ローラ20および補助ローラ30,30を確実に円筒体W内に挿入することができる。このため特に、径サイズの非常に小さい円筒体Wを検査する場合に有効である。
【0165】
また本実施形態においては、補助ローラ30,30を基準ローラ20に軸心方向に沿って離間して配置しているため、円筒体Wの内周面における補助ローラ30,30が接触する領域と、基準ローラ20が接触する領域とが軸心方向にずれて、両ローラ20,30の接触領域が重なるのを防止することができる。このため、ローラ20,30の転動によるローラ痕が生じ難く、円筒体Wの品質低下を確実に防止することができ、高品質を維持することができる。
【0166】
<第2実施形態>
図10はこの発明の第2実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図11は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0167】
これらの図に示すように、この第2実施形態の表面検査装置が、上記第1実施形態に対し実質的に相違する点は、上記第1実施形態では、回転移送機構2にチャック装置3が4つ設けられたスクエア式(正四角形型)であるのに対し、この第2実施形態では、チャック装置3が5つ設けられたペンタゴン式(正五角形型)となっている点である。
【0168】
すなわち検査装置本体1の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに、5つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0169】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図10,11の右回りで1/5周した位置が送出前待機位置C2として構成され、検査位置Bから2/5周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Aから3/5周した位置が取込位置A1として構成され、検査位置Aから4/5周した位置が検査前待機位置C1として構成される。
【0170】
さらに取込位置A1のチャック装置3においては、図11,12の側面視状態で、補助ローラ30,30は基準ローラ20に対し、右寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となるとともに、送出位置A2のチャック装置3においては、補助ローラ30,30は基準ローラ20に対し、左寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となる。さらに検査位置Bにおいては、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上方に配置された基準ローラ上向き姿勢となっている。
【0171】
また搬送コンベア6においては、1ピッチ分送る毎に、いずれかの取置き台71が取込位置A1および送出位置A2に対応してそれぞれ配置されるようになっている。
【0172】
この第2実施形態の表面検査装置において、他の構成は、上記第1実施形態の表面検査装置の構成と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0173】
次に、この第2実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0174】
初期状態は、搬送コンベア6における取置き台7のうち、取込位置A1の取置き台7には、未検査の円筒体Wが載置されるとともに、送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0175】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている(図4等参照)。検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2および送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0176】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0177】
その後図11,12に示すように、一対の挿入支持部12,12の挿入支持部12,12が補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し右斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっているため、上昇する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、図11,12の想像線に示すように、円筒体Wが右斜め上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20,および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持(チャック)される。
【0178】
また検査位置Bの円筒体Wは、上記第1実施形態と同様に、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる(図7等参照)。
【0179】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち図11.13に示すように、送出位置A2においては、チャック装置3は、補助ローラ上向き姿勢となり、またチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、図11,13の実線に示すように左斜め上方に配置される。この状態で円筒体Wのチャックが解除されて、挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し左斜め上方に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように降下していく。この降下により、まず基準ローラ20が円筒体Wの内周面下側の右寄りの部分から離間する。さらに補助ローラ30,30の降下に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側の左寄りの部分から離間する。
【0180】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される(図4等参照)。
【0181】
本第2実施形態においては、取込位置A1で円筒体Wをチャックする取込処理(チャック処理)と、検査位置Bで円筒体Wの表面検査を行う検査処理と、送出位置A2で円筒体Wを取置き台7に移載する送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0182】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/5周(1ピッチ分)回転する。これにより、取込位置A1、検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2および送出位置A2に位置していた円筒体W…がそれぞれ検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2、送出位置A2および取込位置A1に回転移動する。
【0183】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査前待機位置C1に回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から斜め上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0184】
さらに送出前待機位置C2から送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の左斜め上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0185】
なお、既述したように、送出位置A2でチャックされた円筒体Wは、チャック解除動作と共に、右斜め下方に降下するため、取置き台7に無理なく移載される。このため上記第1実施形態と同様に、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がなく、この点においても、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0186】
また本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、検査位置Bに回転移動される前に、円筒体Wの回転動作を開始して回転を安定させておき、検査位置Bに移動された直後に検査を行えるようにしている。例えば検査前待機位置C1において、円筒体Wの回転動作を開始して回転を安定させておくようにしている。
【0187】
さらに上記第1実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間の例えば検査前待機位置C1等において、エアーブロー手段(図示省略)から円筒体Wの外周面に、エアーを吹き付けて、表面の清浄化を図るようにしている。
【0188】
一方、本第2実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬送コンベア6が1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側へ搬出される。
【0189】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出される。
【0190】
以上のように、この第2実施形態の表面検査装置においても、上記第1実施形態の表面検査装置と同様の効果を得ることができる。
【0191】
その上さらに、この表面検査装置では、取込位置A1と、送出位置A2とを別に設けておき、取込位置A1での円筒体Wの取込処理と、送出位置A2での円筒体Wの送出処理とを並行して行うようにしているため、これらの処理を順番に経時的に行う場合と比較して、取込処理および送出処理をスムーズに行うことができ、検査効率を一層向上させることができる。
【0192】
<第3実施形態>
図14はこの発明の第3実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図15は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0193】
これらの図に示すように、この第3実施形態の表面検査装置が、上記実施形態に対し実質的に相違する点は、上記実施形態では、回転移送機構2にチャック装置3が4つまたは5つ設けられているのに対し、この第3実施形態では、チャック装置3が3つ設けられたトライアングル式(正三角形型)になっている点である。
【0194】
すなわち検査装置本体1の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに、3つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0195】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図14,15の右回りで1/3周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Bから2/3周した位置が取込位置A1として構成される。
【0196】
さらに取込位置A1のチャック装置3は、図15の側面視状態で、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、右寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となるとともに、送出位置A2のチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、左寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となる。さらに検査位置Bのチャック装置3は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上方に配置された基準ローラ上向き姿勢となる。
【0197】
また搬送コンベア6においては、1ピッチ送る毎に、いずれかの取置き台71が取込位置A1および送出位置A2に対応してそれぞれ配置されるようになっている。
【0198】
この第3実施形態の表面検査装置において、他の構成は、上記実施形態の表面検査装置の構成と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0199】
次に、この第3実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0200】
初期状態は、搬送コンベア6における取置き台7のうち、取込位置A1の取置き台7には、未検査の円筒体Wが載置されるとともに、送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0201】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている(図4等参照)。また検査位置Bおよび送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0202】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0203】
その後図15に示すように、一対の挿入支持部12,12の挿入支持部12,12において、補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し右斜め上方に配置されるため、移動する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、円筒体Wが右斜め上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持される。
【0204】
また検査位置Bの円筒体Wは、上記第1実施形態と同様に、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる(図7等参照)。
【0205】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち図15に示すように、送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、左斜め上方に配置される。この状態で円筒体Wのチャックが解除されて、挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し左斜め上方に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように移動していく。この移動により、まず基準ローラ20が円筒体Wの内周面下側の右寄りの部分から離間する。さらに補助ローラ30,30の移動に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側の左寄りの部分から離間する。
【0206】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される(図4等参照)。
【0207】
本第2実施形態においては、取込位置A1での取込処理と、検査位置Bでの検査処理と、送出位置A2での送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0208】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/3周(1ピッチ分)回転する。これにより、取込位置A1、検査位置Bおよび送出位置A2に位置していた円筒体W…がそれぞれ検査位置B、送出位置A2および取込位置A1に回転移動する。
【0209】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査位置Bに回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から斜め上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0210】
また検査位置Bから送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の左斜め上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。さらに上記第1、2実施形態と同様、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がないため、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減することができる。
【0211】
一方、本第3実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬送コンベア6が1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側への搬出される。
【0212】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出される。
【0213】
以上のように、この第3実施形態の表面検査装置においても、上記第1,2実施形態の表面検査装置と同様に、同様の効果を得ることができる。
【0214】
さらに、この表面検査装置は、上記第2実施形態と同様、取込位置A1での取込処理と、送出位置A2での送出処理とを並行して行うようにしているため、検査効率を一層向上させることができる。
【0215】
なお、この第3実施形態においても、検査位置Bに移送される前に、円筒体Wの回転を安定させることは可能である。例えば、取込位置A1において円筒体Wがチャックされた直後に、円筒体Wを回転させることにより、その円筒体Wが検査位置Bに移送される際には、円筒体Wの回転を安定させることができる。従って、上記第1,2実施形態と同様に、検査位置Bに移送された後、予備運転を行わずに、直ちに表面検査を行うことができ、検査効率を向上させることができる。さらに円筒体Wはチャック時に取置き台7から離間するため、チャック直後に円筒体Wを回転させたとしても、円筒体Wが取置き台7に干渉するようなことはない。
【0216】
さらに本実施形態においては、上記第1,2実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間において、円筒体Wの外周面にエアーを吹き付けて、表面の清浄化を図ることも可能である。
【0217】
<第4実施形態>
図16はこの発明の第4実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図17は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0218】
これらの図に示すように、この第4実施形態の表面検査装置の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに4つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0219】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図16,17の右回りで1/4周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Bから2/4周した位置が取込前待機位置C3として構成され、検査位置Bから3/4周した位置が取込位置A1として構成される。
【0220】
さらにチャック装置3は、取込位置A1に配置される際に、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上側に配置されるように回転フレーム202に固定されている。従って、検査位置Bに位置したチャック装置3は、図17の側面視において、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し左側に配置された状態となる。また送出位置A2に位置するチャック装置3は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上側に配置されて、基準ローラ上向き姿勢となっている。つまり送出位置A2において、チャック装置3は補助ローラ上向き姿勢となっていない。さらに取込前待機位置C3に位置するチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し左側に配置される。
【0221】
また本実施形態の表面検査装置においては、検査位置Bに配置される円筒体Wの外周面における基準ローラ20に対応する領域、つまり図17の側面視において円筒体Wの外周面における左側端部の領域が、検査領域として構成される。従って、照明51およびカメラ52等の表面状態検査器50は、検査位置Bの円筒体Wの左側端部領域(検査領域)に照明51からの照明光が照射され、その検査領域での正反射光をカメラ52により受光できるように、位置および角度(向き)が設定されている。
【0222】
また本実施形態の表面検査装置は、Y軸方向に沿って配置される搬入コンベア61および搬出コンベア62を備えている。搬入コンベア61は、その搬送方向(図17の右方向)の下流側端部が、取込位置A1に対応して配置されるとともに、搬出コンベア62は、その上流側端部が、送出位置A2に対応して配置されている。
【0223】
さらに各コンベア61,62には、所定の間隔おきに(所定のピッチで)円筒体Wを載置可能な取置き台7…が多数取り付けられている。
【0224】
なお本実施形態において、搬入コンベア61は、上記実施形態と同様、取置き台7を上下に昇降させる機構を備えていないが、搬出コンベア62は、各取置き台7をそれぞれ個別に上下に昇降させるための取置き台昇降機構を備えている。
【0225】
ここで、本実施形態において、搬入コンベア61側の取置き台7が搬入側載置具として構成され、搬出コンベア62側の取置き台7が搬出側載置具として構成されている。
【0226】
本第4実施形態において、他の構成は、上記第1〜3実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0227】
次に、この第3実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0228】
初期状態は、搬入コンベア61の取置き台7には、未検査の円筒体Wがそれぞれ載置される。さらに搬出コンベア62における送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0229】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている。また検査位置Bおよび送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0230】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0231】
その後、一対の挿入支持部12,12の補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっているため、移動する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、円筒体Wが上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持される。
【0232】
また検査位置Bの円筒体Wは、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる。このとき、既述したように、円筒体Wの外周面における一側端部を検査領域として、全周の検査が行われる。
【0233】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち、送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、上方に配置される。この状態で補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し近接する方向(上方)に移動して、円筒体Wのチャックが解除される。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し下側に配置しているため、つまり補助ローラ上向き姿勢となっていないため、補助ローラ30,30が移動しようとも、円筒体Wは基準ローラ20によって支持されて、円筒体Wの高さ位置は変化しない。従って図17の送出位置A2での破線に示すように、円筒体Wはチャックが解除されたとしても、依然として、取置き台7に対し上方に配置されている。そして本実施形態では、円筒体Wのチャックが解除された後、取置き台7が上昇することにより、その取置き台7に円筒体Wが少量押し上げられる。これにより同図実線に示すように、円筒体Wが、基準ローラ20から上方へ離間して、取置き台7に移載される。
【0234】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避する。
【0235】
本第4実施形態においては、取込位置A1での取込処理と、検査位置Bでの検査処理と、送出位置A2での送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0236】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図16,17の右回りで1/4(1ピッチ分)回転する。こうして取込位置A1、検査位置B、送出位置A2および取込前待機位置C3に配置されていたチャック装置3…が、それぞれ検査位置B、送出位置A2、取込前待機位置C3および取込位置A1に回転移送される。
【0237】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査位置Bに回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0238】
また検査位置Bから送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0239】
一方、本第4実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬入コンベア61および搬出コンベア62がそれぞれ1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側へ搬出される。
【0240】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬入コンベア61および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬出コンベア62によって順次搬出される。
【0241】
以上のように、この第4実施形態の表面検査装置においても、上記第1〜3実施形態の表面検査装置と同様に、同様の効果を得ることができる。
【0242】
さらに、この表面検査装置は、上記第2,3実施形態と同様、取込位置A1での取込処理と、送出位置A2での送出処理とを並行して行うようにしているため、検査効率を一層向上させることができる。
【0243】
なお、この第4実施形態においても、検査位置Bに移送される前に、円筒体Wの回転を安定させることは可能である。例えば、取込位置A1において円筒体Wがチャックされた直後に、円筒体Wを回転させることにより、その円筒体Wが検査位置Bに移送される際には、円筒体Wの回転を安定させることができる。従って、上記第1〜3実施形態と同様に、検査位置Bに移送された後、予備運転を行わずに、直ちに表面検査を行うことができ、検査効率を向上させることができる。
【0244】
さらに本実施形態においても、上記第1〜3実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間において、円筒体Wの外表面にエアーエアーを吹き付けて、表面の清浄化を図ることもできる。
【0245】
<本発明に採用可能な搬送コンベアの構成>
本発明においては、サイズの異なる複数種類の円筒体Wの検査を行えるように、以下の構成のコンベアを採用することができる。例えば図18に示す搬送コンベア6は、搬送面に搬送方向に沿って大サイズ用取置き台71、中サイズ用取置き台72および小サイズ用取置き台73が搬送方向に沿って順次繰り返すように取り付けられている。
【0246】
各取置き台71〜73は、それに対応するサイズの円筒体W…を載置した際に、各円筒体W…の軸心の高さ位置が一致するようになっている。従って、円筒体W…をそのサイズに対応する取置き台71〜73に載置することにより、いずれのサイズの円筒体Wであっても、軸心の高さ位置が変化しないため、上記実施形態における検査装置の回転移送機構2の取込位置A,A1において、一対の挿入支持部12,12を正確に挿入できて確実にチャックすることができる。これにより、サイズの異なる複数種類の円筒体Wを全て検査することができる。
【0247】
また図19は他の形態の搬送コンベア6を示す正面断面図、図20は図19の内側面図であって、図19のZ−Z線断面図に相当する。
【0248】
これらの図に示すように搬送コンベア6は、マルチ対応型の複数の取置き台7が搬送方向に沿って取り付けられている。
【0249】
この取置き台7の一対のV受け板75,75は、内側に配置される大サイズ用のV受け板751と、中間に配置される中サイズ用のV受け板752と、外側に配置される小サイズ用のV受け板753とを重ね合わせて構成されている。一対のV受け板75,75は、互いに接離する方向にスライド自在に構成されており、一対のV受け板75,75間の寸法(幅寸法)を変更できるようになっている。
【0250】
そして大サイズの円筒体Wを載置する場合には、大サイズ用のV受け板751,751が円筒体Wの両端部に位置するように、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、その大サイズ用のV受け板751,751に円筒体Wの両端部が支持されるように、円筒体Wを取置き台7に載置する。
【0251】
同様に、中サイズの円筒体Wを載置する場合には、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、中サイズ用のV受け板752,752によって円筒体Wの両端部が支持されるように円筒体Wを載置する。さらに小サイズの円筒体Wを載置する場合には、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、小サイズ用のV受け板753,753によって円筒体Wの両端部が支持されるように円筒体Wを載置する。
【0252】
これにより、異なるサイズの円筒体Wを載置した際に、各円筒体Wの軸心高さが一致するようになっている。従って、いずれのサイズの円筒体Wであっても、上記と同様に、安定して搬送できて、確実に検査することができる。
【0253】
<変形例>
上記実施形態においては、本発明を円筒体の表面状態を検出する検査装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、円筒体の回転時における外周面の変位量(フレ)等の形状検査を行う検査装置に適用することもできる。
【0254】
例えば形状検査を行うような場合には、円筒体の外周面に接触子を接触させて変位量を検出する接触式の変位検出器や、円筒体の側方から照射したレーザー光等の透過光の有無に基づき変位量を検出する非接触式の変位検出器等を用いれば良い。
【0255】
さらに本発明は、円筒体の表面検査と、形状検査とを共に行えるようにした検査装置にも適用することができる。
【0256】
また上記実施形態においては、回転移送機構(移送手段)に3〜5つのチャック手段を設ける場合、いわゆる正三角形型、正四角形型または正五角形型の回転移送機構を用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、移送手段に、1つまたは2つのチャック手段を設けるようにしても良いし、移送手段に、6つ以上のチャック装置を設けるようにしても良い。
【0257】
例えば正六角形型の移送手段を採用する場合、つまり移送手段に6つのチャック手段を設ける場合には、円環状移送経路上に周方向に等間隔おきに6つのチャック手段を設けておき、円環状移送経路上における上端位置を検査位置とし、検査位置から移送方向の下流側に向けて1/6周した位置を送出前待機位置とし、検査位置から2/6周した位置を送出位置とし、検査位置から3/6周した位置を取込前待機位置とし、検査位置から4/6周した位置を取込位置とし、検査位置から5/6周した位置を検査前待機位置とするのが良い。これにより、上記第2および第3実施形態と同様に、円筒体を順次スムーズに搬送できて、効率良く検査することが可能となる。
【0258】
また上記実施形態では、チャック装置3における各チャック部10に、2つの補助ローラ30,30を設けるようにしているが、本発明において、補助ローラ30の設置数は特に限定されるものではない。例えば図21に示すように、各チャック部10に、1つずつ補助ローラ20を設けるようにしても良い。
【0259】
また上記実施形態では、チャック装置3における各チャック部10の補助ローラ30,30を、円筒体Wの略径方向に沿って移動させるように構成しているが、本発明は、それだけに限られるものではない。例えば図22に示すように、2つの補助ローラ30,30を、基準ローラ20に対し接離させる際に、2つの補助ローラ30,30を同図の実線状態と破線状態とに示すように平行に移動させるようにしても良い。
【0260】
また上記実施形態では、挿入支持部縮径状態においては、基準ローラ20の後方に補助ローラ30の全域が重なり合うようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、挿入支持部縮径状態において、補助ローラ30の一部のみが基準ローラ20に重なり合うようにしたり、あるいは補助ローラ30が基準ローラ20に全く重なり合わないようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0261】
この発明の円筒体の検査装置は、円筒体の表面状態や外観形状等を検査する際の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0262】
2:回転移送機構(移送手段)
3:チャック装置(チャック手段)
6:搬送コンベア
7:取置き台(載置具)
12:挿入支持部
20:基準ローラ(メインローラ)
30:補助ローラ(サブローラ)
61:搬入コンベア(搬入手段)
62:搬出コンベア(搬出手段)
202:回転フレーム
A:取込/送出位置
A1:取込位置
A2:送出位置
B:検査位置(移送位置)
C1:検査前待機位置(移送位置)
C2:送出前待機位置
P:円環状移送経路
W:円筒体
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のローラによって内周面を支持した円筒体を回転させつつ検査するようにした円筒体の検査装置およびその関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
感光ドラム用基体等の円筒体では、高い表面精度および高い形状精度が求められるため、特許文献1,2に示すように、キズ、凹凸の有無、異物の付着(汚れ)等の表面欠陥を検出するための表面検査や、回転時の外周面の変位量(フレ)等の形状検査等を行っている。
【0003】
例えば特許文献1に示す円筒体の検査装置は、円筒体の両側部内側に一対のローラ群を挿入して両ローラ群によって、円筒体の両側部内周面を支持しておき、円筒体を軸心回りに回転させつつ、検査を行う検査装置本体と、検査予定の円筒体を検査装置本体に搬入する搬入コンベアと、検査済の円筒体を検査装置本体から搬出する搬送コンベアとを備えている。そして搬入コンベアによって円筒体が検査装置本体に搬入されると、その円筒体が検査装置本体の一対のローラ群によって支持(チャック)されて検査される。検査終了後は、円筒体の一対のローラ群によるチャックが解除されて、円筒体が搬出コンベアに移載されて搬出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−10683号
【特許文献2】特開平9−145624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示す円筒体の検査装置では、搬入コンベアに、円筒体を安定状態に載置するための多数の取置き台が取り付けられており、その取置き台上に載置された円筒体を、一対のローラ群によってチャックするようにしている。
【0006】
しかしながら、従来の円筒体検査装置においては、チャック後に円筒体が取置き台に干渉するのを防止するため、チャックする際に、取置き台が下方に退避するようになっている。このように従来の検査装置では、取置き台を昇降させる機構が必要であるため、その分、構造の複雑化、装置の大型化およびコストの増大を来すという課題があった。特に、取置き台は多数設けられるため、この多数の取置き台の昇降駆動を精度良くコントロールするのは非常に困難であり、昇降駆動に起因する搬送トラブルが発生して、スムーズに検査できない可能性があった。
【0007】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる上さらに、円筒体が搬入コンベアの取置き台等に接触することによる移送トラブルの発生を防止できる円筒体の検査装置およびその関連技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0009】
[1]円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査装置であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査装置。
【0010】
[2]前記一対の挿入支持部は、前記サブローラ上向き姿勢と、前記メインローラを前記サブローラに対し上側に配置したメインローラ上向き姿勢との間で移行可能とされ、
円筒体をチャックした前記一対の挿入支持部が、前記メインローラ上向き姿勢に移行して、前記検査位置において、円筒体の前記メインローラに対応する部分を検査対象領域として検査するようにした前項1に記載の円筒体の検査装置。
【0011】
[3]前記移送手段は、円筒体の軸心と同じ方向の軸回りに回転自在な回転フレームを備え、
前記回転フレームに前記チャック手段が取り付けられて、前記回転フレームの回転によって、前記チャック手段が円環状移送経路に沿って移動可能に構成され、
前記チャック手段が前記円環状移送経路上の下側に配置された際には前記一対の挿入支持部が前記サブローラ上向き姿勢となり、上側に配置された際には前記メインローラ上向き姿勢となるように構成され、
前記円環状移送経路上における下側に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、上側に前記検査位置が設けられ、
前記円筒体取込位置で円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記円環状移送経路に沿って移動して、前記検査位置に移送されるようにした前項2に記載の円筒体の検査装置。
【0012】
[4]前記円環状移送経路の上端に前記検査位置が設けられ、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の下流側に向けて1/4周の範囲内に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の上流側に向けて1/4周の範囲内に円筒体送出位置が設けられ、
円筒体を略水平に載置する搬出側載置具を有し、かつ前記円筒体送出位置において前記搬出側載置具に載置された円筒体を搬出する搬出手段が設けられ、
円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記検査位置から前記円環状移送経路に沿って前記円筒体送出位置まで移送されるように構成されるとともに、
前記円筒体送出位置において、前記チャック手段における前記一対の挿入支持部の前記サブローラが前記メインローラに近接するように下側に移動することにより、チャックが解除されるとともに、前記サブローラの下側への移動に伴って、円筒体が降下して前記搬出側載置具に移載されるようにした前項3に記載の円筒体の検査装置。
【0013】
[5]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに複数取り付けられ、
前記チャック手段が、前記円筒体取込位置と、前記検査位置と、前記円筒体送出位置とに同時に存在可能になっている前項4に記載の円筒体の検査装置。
【0014】
[6]
前記搬入手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬入コンベアによって構成されるとともに、
前記搬出手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬出コンベアによって構成され、
前記搬入コンベアによって、前記搬入側載置具上の円筒体が前記円筒体取込位置に順次搬入されるとともに、前記搬出コンベアによって、前記搬出側載置具上の円筒体が前記円筒体送出位置から順次搬出されるようにした前項5に記載の円筒体の検査装置。
【0015】
[7]前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は同じ高さ位置に設定される前項6に記載の円筒体の検査装置。
【0016】
[8]前記搬入コンベアおよび前記搬出コンベアは、一つの搬送コンベアによって構成され、
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は、同じ構成を有する前項7に記載の円筒体の検査装置。
【0017】
[9]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに5つ取り付けられ、
前記円環状移送経路上における前記円筒体取込位置と前記検査位置との間に検査前待機位置が設けられるとともに、前記検査位置と前記円筒体送出位置との間に送出前待機位置が設けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査前待機位置、前記検査位置、前記送出前待機位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/5回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている前項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0018】
[10]前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに3つ取り付けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/3回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている前項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0019】
[11]前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、前記チャック手段にチャックされた円筒体の回転を開始するようにした前項1〜10のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0020】
[12]前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、円筒体の外周面にエアーを吹き付けるようにした前項1〜11のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0021】
[13]前記一対の挿入支持部は、前記サブローラをそれぞれ2つずつ備え、
円筒体の両端部内周面が、1つの前記メインローラおよび2つ前記サブローラによって3点でそれぞれ支持されるようになっている前項1〜12のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【0022】
[14]各挿入支持部に設けられた前記2つのサブローラが、チャックする円筒体の略径方向に沿って移動することによって、前記メインローラに対し接離する方向に移動可能に構成される前項13に記載の円筒体の検査装置。
【0023】
[15]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送装置であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送装置。
【0024】
[16]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック装置であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック装置。
【0025】
[17]円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査方法であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段として、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査方法。
【0026】
[18]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送方法であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送方法。
【0027】
[19]円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック方法であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を準備しておき、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック方法。
【0028】
なお本発明において、メインローラおよびサブローラの位置関係は、各ローラの軸心を基準に説明している。例えばサブローラがメインローラよりも上側または下側にあるとは、サブローラの軸心がメインローラの軸心よりも上側または下側にある場合であり、サブローラがメインローラに近接または離間するとは、サブローラの軸心がメインローラの軸心に近接または離間する場合である。
【0029】
また本発明において、サブローラ上向き姿勢という場合は、サブローラの軸心位置がメインローラの軸心位置に対し斜め上方に配置される場合も含まれている。さらにサブローラが複数個設けられる場合には、最も低位置のサブローラの軸心がメインローラの軸心よりも上側に配置されていれば、サブローラ上向き姿勢となり、最も低位置のサブローラの軸心よりもメインローラの軸心が上側に配置されていれば、メインローラ上向き姿勢となる。
【発明の効果】
【0030】
発明[1]の円筒体の検査装置によれば、サブローラ上向き姿勢で円筒体内側に挿入して、サブローラを上昇させて円筒体をチャックするものであるため、チャックする際に、円筒体がサブローラによって持ち上げられて、取置き台等の載置具から離間する。従って、チャック後に円筒体が載置具に干渉するのを防止でき、その干渉による移送トラブルを確実に防止することができる。さらに円筒体との干渉を避けるために、載置具を退避させる必要がなく、その退避用の機構を省略できる分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0031】
発明[2]の円筒体の検査装置によれば、チャック時に不動のメインローラに対応する部分を検査対象領域としているため、メインローラを、円筒体検査時の高さ位置を決定する際の基準体とすることができ、円筒体に対して高い精度で安定した検査を行うことができる。
【0032】
発明[3]の円筒体の検査装置によれば、円筒体取込位置でチャックした円筒体を、検査位置までスムーズに移送することができる。
【0033】
発明[4]の円筒体の検査装置によれば、円筒体送出位置においてサブローラ上向き姿勢でサブローラを降下させて円筒体のチャックを解除するものであるため、そのチャック解除時に、サブローラの降下と共に円筒体が降下して、載置具に移載される。従って、円筒体送出位置において、チャック解除前には、円筒体を載置具から上方に離間させた位置に配置でき、円筒体が載置具に干渉するのを防止でき、搬出側においても、移送トラブルの発生を確実に防止することができる。さらに円筒体が降下するものであるため、載置具を上昇させる必要がなく、その上昇用の機構を省略できる分、部品点数をさらに削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0034】
発明[5][6]の円筒体の検査装置によれば、円筒体を効率良く搬送できて、検査効率を向上させることができる。
【0035】
発明[7]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の搬入および搬出をスムーズに行うことができ、検査効率を一層向上させることができる。
【0036】
発明[8]の円筒体の検査装置によれば、部品の共有化をさらに図ることができ、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより一層確実に図ることができる。
【0037】
発明[9][10]の円筒体の検査装置によれば、円筒体取込位置でのチャック処理、検査位置での円筒体検査処理、円筒体送出位置でのチャック解除処理を並行して行うことができ、検査効率をより一層向上させることができる。
【0038】
発明[11]の円筒体の検査装置によれば、円筒体を検査位置に移送した時点で、円筒体の回転を安定させることができるため、検査位置において、予備運転を行わずに直ちに検査を開始することができる。従って、検査効率をより確実に向上させることができる。
【0039】
発明[12]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の検査前に円筒体表面の清浄化を図ることができるため、検査精度を向上させることができる。
【0040】
発明[13]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の両端部内周面を3つのローラにより3点で支持することができるため、円筒体を安定した状態に支持できる。このため、円筒体を円滑に回転させつつ、検査することができ、検査精度を一層向上させることができる。
【0041】
発明[14]の円筒体の検査装置によれば、円筒体の径サイズにかかわらず、3つのローラを周方向に沿ってほぼ等間隔おきに、円筒体の両端部内周面に接触させることができる。従って、円筒体をより一層安定した状態で支持できて、検査精度をより一層向上させることができる。
【0042】
発明[15]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の移送装置を提供することができる。
【0043】
発明[16]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体のチャック装置を提供することができる。
【0044】
発明[17]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の検査方法を提供することができる。
【0045】
発明[18]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体の移送方法を提供することができる。
【0046】
発明[19]によれば、上記と同様に、同様の効果を奏する円筒体のチャック方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1はこの発明の実施形態である円筒体の表面検査装置の検査対象物としての円筒体を示す斜視図である。
【図2】図2は第1実施形態の円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図3】図3は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図4】図4は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺を円筒体搬入前の状態で示す模式図ある。
【図5】図5は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺をチャック直前の状態で示す模式図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図6】図6は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺をチャック後の状態で示す模式図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図7】図7は第1実施形態の円筒体の表面検査装置における検査位置周辺を模式化して示す図ある。同図(a)は正面図、同図(b)は内側面図である。
【図8】図8は第1実施形態の検査装置における検査位置に配置されるチャック装置を示す側面図である。
【図9】図9は第1実施形態の検査装置における検査位置に配置されるチャック装置を示す斜視図である。
【図10】図10はこの発明の第2実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図11】図11は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図12】図12は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における取込位置周辺を模式化して示す内側面図である。
【図13】図13は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における送出位置周辺を模式化して示す内側面図である。
【図14】図14はこの発明の第3実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図15】図15は第2実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図16】図16はこの発明の第4実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図である。
【図17】図17は第4実施形態の円筒体の表面検査装置における回転移送機構を模式化して示す側面図である。
【図18】図18はこの発明の検査装置に適用可能な第1の搬送コンベアを示す内側面図である。
【図19】図19はこの発明の検査装置に適用可能な第2の搬送コンベアを示す正面断面図内側面図である。
【図20】図20は第2の搬送コンベアを示す内側面図である。
【図21】図21はこの発明の第1の変形例としての挿入支持部を基準ローラ上向き状態で示す内側面図である。
【図22】図22はこの発明の第2の変形例としての挿入支持部を基準ローラ上向き状態で示す内側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<円筒体(ワーク)>
図1はこの発明の実施形態である円筒体の表面検査装置の検査対象物としての円筒体(ワーク)Wを示す斜視図である。
【0049】
同図に示すように、検査対象物(ワーク)としての円筒体Wは例えば、電子写真システムを構成する複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等において、感光ドラム、転写ローラ、その他各部に利用されるものである。
【0050】
このような部材を構成可能な円筒体Wのうち、本実施形態では特に、電子写真システムを採用した複写機やプリンタ等における感光ドラム用の素管や基体として用いられる円筒体Wを好適な例として挙げることができる。この感光ドラム用基体としての円筒体Wの外周面は、金属光沢を有し、入射した光のほとんどを反射する鏡面となっている。
【0051】
感光ドラム用基体としての円筒体Wは例えば、直径が10〜60mm、長さが200〜500mm程度のものである。
【0052】
このような円筒体Wの製造方法としては、押出加工および引抜加工の組み合わせを挙げることができる。なお言うまでもなく本発明においては、円筒体Wの製造方法はこれだけに限定されるものではなく、押出加工、引抜加工、鋳造、鍛造、射出成形、切削加工またはこれらの組み合わせ等、管体を製造できる方法であればどのような方法も採用することができる。
【0053】
また、検査対象としての円筒体Wの材質は特に限定されるものではなく、各種の金属材料の他、合成樹脂等も適用することができ、例えばアルミニウムおよびアルミニウム合金(1000〜7000系)、銅および銅合金、鋼材、マグネシウムおよびマグネシウム合金を挙げることができる。中でも特にアルミニウム合金製の円筒体Wは、本発明の検査対象として好適である。
【0054】
なお本実施形態において、感光ドラム用の基体とは、切削加工や引抜加工等が行われた後の管体であって、感光層の形成前の管体を言う。もっとも、本発明においては、感光ドラム用基体に感光層を形成した後の管体も、検査対象たる円筒体Wとして構成することができる。
【0055】
本実施形態の表面検査装置は、以下に詳述するように 上記円筒体(管体)Wを、軸心回りに回転させつつ、検査するものである。
【0056】
なお、本発明においては、円筒体Wに対しどのような検査を行うか等の検査種別は特に限定されるものではないが、本実施形態では、円筒体Wの表面(外周面)状態を検査する場合を例に挙げて説明するものとする。
【0057】
<第1実施形態>
図2はこの発明の第1実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図3は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0058】
なお、本実施形態の表面検査装置において、検査対象としての円筒体Wは、装置内では全て軸心が水平方向に向いた横向きの状態で配置されている。本明細書では、装置内における円筒体Wの軸心方向に平行な方向をX軸方向とし、そのX軸方向に直交する水平方向をY軸方向として説明する。
【0059】
<検査装置>
図2および図3に示すように、本第1実施形態における表面検査装置は、検査装置本体1と、検査装置本体1に対し円筒体Wの搬出入を行う搬送コンベア6とを備えている。
【0060】
検査装置本体1は、図2および図3の側面視状態において、円筒体Wが円環状の移送経路Pに沿って時計方向(右回り)に搬送されるようになっている。円環状移送経路Pの下端には、コンベア6に対し円筒体Wの受け渡しを行う円筒体取込/送出位置Aが設けられるとともに、上端には、円筒体Wの検査を実行する検査位置Bが設けられる。さらに図2、3の側面視において、円環状移送経路P上における取込/送出位置Aから右回りで1/4周した位置には、検査前待機位置C1が設けられるとともに、検出位置Bから右回りで1/4周した位置には、送出前待機位置C2が設けられている。
【0061】
なお本実施形態においては、図2、3の右回りの方向が移送方向(搬送方向)の下流側となり、左回りの方向が移送方向の上流側となる(以下の図10,11,14〜17の各実施形態においても同じ)。
【0062】
搬送コンベア6は、円環状移送経路Pの下方に配置されており、図2のY軸方向に沿って左側(上流側)から右側(下流側)にかけて連続して配置されている。
【0063】
図4〜6は第1実施形態の表面検査装置における円筒体取込/送出位置周辺を示す模式図である。なお、図5,6において、(a)は正面図、(b)は内側面図である。
【0064】
図1〜6に示すように搬送コンベア6には、載置具としての多数の一時取置き台7…がコンベア搬送方向(Y軸方向)に沿って並んで設けられている。各取置き台7は、円筒体Wの両端部に対応して、上端縁がV字状に切り欠かれた一対のV受け板75を有しており、その一対のV受け板75によって、円筒体Wの両端部外周面が支持されることにより、円筒体Wをその軸心がX軸方向に沿うようにした横向き状態(水平状態)で安定して載置できるようになっている。
【0065】
そして搬送コンベア6は、円筒体Wを載置した取置き台7を、駆動チェーンで駆動させることによって、円筒体WをY軸方向に沿って上流側から下流側に搬送できるようになっている。これにより、搬送コンベア6の上流側から搬入された検査前の円筒体Wが、検査装置本体1の取込/送出位置Aまで搬送される。さらにその位置Aで検査前の円筒体Wが、後述するように検査装置本体1に取り込まれて表面検査される一方、検査済の円筒体Wが、取込/送出位置Aで、搬送コンベア6の取置き台7に移載されて、その円筒体Wが、搬送コンベア6によって下流側に搬出されるようになっている。
【0066】
なお本実施形態において、搬送コンベア6は、搬送手段を構成するものである。さらに搬送手段としての搬送コンベア6は、搬入手段としての搬入コンベアと、搬出手段としての搬出コンベアとを共に構成するものである。
【0067】
また本実施形態において、取置き台7は上下方向に移動することはなく、高さ位置は一定に保持されている。
【0068】
図2,3に示すように、検査装置本体1には、円筒体Wを円環状移送経路Pに沿って搬送するための回転移送機構2が設けられる。
【0069】
回転移送機構2には、円環状移送経路Pの中心位置に対応して回転駆動軸201を有する円形の回転フレーム202が設けられている。この回転フレーム202は、その回転駆動軸201の軸心がX軸方向と平行に配置されており、図示しない駆動手段によって、その軸心回りに回転駆動できるようになっている。
【0070】
さらに回転移送機構2の回転フレーム202の外周縁部には、円筒体Wを支持する4つのチャック装置3…が、周方向に等間隔おき(1/4周おき)に取り付けられている。これにより4つのチャック装置3…は、円環状移送経路Pに沿って等間隔おきに配置される。そして、各チャック装置3…は、回転フレーム202が駆動軸201の軸回りに図2,3の時計方向に(右回りで)回転することによって、円環状移送経路Pに沿って移動できるようになっている。既述したようにチャック装置3は、円環状移送経路Pに沿って等間隔おきに4つ設けられているため、4つのチャック装置3が、上記の取込/送出位置Aと、検査位置Bと、待機位置C1,C2との4つの位置に同時に存在できるようになっている。
【0071】
なお、本実施形態において、各チャック装置3…は、回転フレーム202に対し相対的な位置が変化しないように固定されている。従って、取込/送出位置Aのチャック装置3に対し、検査位置Bのチャック装置3は、上下に180°反転した状態となる。さらに取込/送出位置Aのチャック装置3に対し、検査前待機位置C1のチャック装置3は右回りに90°回転した状態となり、検査前待機位置C1のチャック装置3に対し、送出前待機位置C2のチャック装置3は、左右に180°反転した状態となる。
【0072】
また本実施形態において、取込/送出位置Aは、円筒体取込位置と円筒体送出位置とを兼用するものである。
【0073】
図7は第1実施形態の検査装置における検査位置周辺を模式化して示す図、図8は同装置における検査位置Bに配置されるチャック装置3を示す側面図、図9は同装置における検査位置Bに配置されるチャック装置3の斜視図である。
【0074】
図7〜9に示すように、各チャック装置3は、チャックする円筒体Wの両側に対応して配置される一対のチャック部10,10を備えている。
【0075】
一対のチャック部10,10は、一対のチャックベース101,101に、円筒体Wの軸心方向に対応するX軸方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。このチャックベース101,101が、既述したように回転移送機構2における回転フレーム203の外周縁部に固定されている(図2参照)。
【0076】
各チャックベース101,101には、シリンダによって構成されるスライド駆動部13,13が設けられている。そして、このスライド駆動部13,13が駆動することによって、一対のチャック部10,10がスライドして、取込/送出位置Aの円筒体Wの両端部に対して、進出/後退駆動するようになっている。
【0077】
一対のチャック部10,10には、円筒体Wの両端部内側に挿入可能な一対の挿入支持部12,12が設けられている。
【0078】
一対の挿入支持部12は、メインローラを構成する1つの基準ローラ20と、サブローラを構成する2つの補助ローラ30,30と、ガイド部材40とをそれぞれ備えている。
【0079】
一対の挿入支持部12,12は、上記スライド駆動部13,13の駆動によって、一対のチャック部10,10と共にスライドして、取込/送出位置Aの円筒体Wの両端部に対して、進出/後退駆動するようになっている(図4、6参照)。
【0080】
なお本実施形態では、各挿入支持部12において、円筒体Wに対し近づく(進出する)方向を前方とし、遠ざかる(後退する)方向を後方として説明する。
【0081】
一対の挿入支持部12,12における基準ローラ20,20は、チャック部10,10の上端部に回転軸21,21を介して支持されて、X軸方向と平行な軸心回りに回転できるようになっている。
【0082】
図8の左側に配置される一方のチャック部10には、基準ローラ回転駆動モータ14が設けられ、そのモータ14が駆動することによって、一方の基準ローラ20が回転駆動するようになっている。そして後述するように、検査実行時に、一方の基準ローラ20が回転駆動することにより、円筒体Wが回転するようになっている。
【0083】
図7(a)等に示すように、基準ローラ20,20の前端面と、外周面(転動面)との間のコーナ部は、R面取り加工されることによって、断面円弧状のR面取り部22,22が形成されている。
【0084】
ガイド部材40,40は、一対の基準ローラ20,20における前端面にそれぞれ設けられている。ガイド部材40,40は、前方に向かうに従って漸次縮径するテーパ状に形成されている。このガイド部材40,40の前端部(先端部)は略半球面に形成されており、全体として、先端が丸みをおびた略コーン形状(略直円錐形状)に形成されている。
【0085】
さらにこのガイド部材40,40は、外周のテーパ面がガイド面41,41として形成されている。
【0086】
なお本発明において、ガイド部材の先端形状は特に限定されるものではなく、例えばガイド部材として、先端が平坦な円錐台形状のものや、先端が尖鋭な直円錐形状のもの等も採用することができる。
【0087】
ガイド部材40,40は、その底面(後端面)の径サイズが、基準ローラ20の前端面の径サイズに対しほぼ等しくなるように形成されている。
【0088】
またガイド部材40,40は、基準ローラ20,20と共に軸心回りに回転するようになっている。
【0089】
一対のチャック部10,10における基準ローラ14,14の後方には、スライドプレート15,15が設けられている。スライドプレート15,15は、チャック装置3が検査位置Bに配置された状態において、基準ローラ20の回転軸21の下方両側にそれぞれ配置されている。スライドプレート15,15は、一対のチャック部10,10に、円筒体Wを基準にして略径方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。そして図示しないスライド駆動部が駆動することによって、スライドプレート15,15が円筒体Wの外径方向および内径方向に沿ってスライド移動するようになっている。
【0090】
各スライドプレート15,15における径方向の内側に、上記補助ローラ30,30が回転自在に支持される。各補助ローラ30,30は、円筒体Wおよび基準ローラ40に対し軸心方向が一致しており、X軸方向の軸心回りに回転するようになっている。
【0091】
一対のチャック部10において、補助ローラ30,30は、基準ローラ20よりも後方に離間して配置され、図5(b)等に示すように軸心に対し直交する方向から見た正面視においては、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対して重なり合わないようになっている。
【0092】
補助ローラ30,30は、基準ローラ20よりも径サイズが小さく形成されている。具体的には、補助ローラ30,30の直径サイズは、基準ローラ20の半径サイズからその回転軸21の半径サイズを差し引いた寸法よりも小さくなっている。つまり「補助ローラ30の直径」<(「基準ローラ20の半径サイズ」−「回転軸21の半径サイズ」)の関係が成立するようになっている。
【0093】
また補助ローラ30,30は、上記スライドプレート15,15と共にスライド移動することにより、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、接離する方向(円筒体Wの略径方向)に沿って移動するようになっている。
【0094】
そして、スライドプレート15,15が内径方向にスライドした際には、補助ローラ30,30は、略径方向に沿って基準ローラ20に近接する方向に移動する。こうして補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接した挿入支持部縮径状態では、補助ローラ30,30の全域が、基準ローラ20の後方において、基準ローラ20(ガイド部材40)に対し軸心方向(X軸方向)に重なって配置される(図5等参照)。換言すれば、挿入支持部縮径状態では、挿入支持部12を、軸心方向に沿って前方から見た場合、補助ローラ30,30の全域が、基準ローラ20およびガイド部材40によって隠蔽されるようになっている。
【0095】
さらに本実施形態においては、挿入支持部縮径状態では、挿入支持部12の径サイズが、円筒体Wの内径サイズよりも小さくなり、挿入支持部12、すなわち基準ローラ20、補助ローラ30,30およびガイド部材40が、円筒体Wの両端部内周面の内側に挿入可能となっている。
【0096】
一方、補助ローラ30,30を支持するスライドプレート15,15における径方向の外側には、円盤型ないしローラ型の位置決め板35,35が回転自在に支持される。位置決め板35,35は、補助ローラ30,30および円筒体Wに対し軸心方向が一致しており、X軸方向の軸心回りに回転するようになっている。
【0097】
位置決め板35,35は、補助ローラ30,30よりも後方に離間して配置され、図7(a)等に示す正面視状態において、補助ローラ30,30に対して重なり合わないようになっている。なお位置決め板35,35は、補助ローラ30,30の回転動作の影響を受けることなく、独立した状態で回転自在に構成されている。
【0098】
また位置決め板35,35は、補助ローラ30,30およびスライドプレート15,15と共にスライド移動することによって、基準ローラ20に対し、接離する方向(円筒体Wの略径方向)に移動するようになっている。
【0099】
以上の構成のチャック装置3は、図3に示すように、取込/送出位置Aに配置された状態では、補助ローラ30,30の軸心位置が基準ローラ20の軸心位置に対し上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっている。そして基準ローラ20、補助ローラ30,30およびガイド部材40で構成される挿入支持部12が、挿入支持部縮径状態で、後方に移動して退避した状態では、図4に示すように、搬送コンベア6によって取込/送出位置Aに搬送される円筒体Wの両端部よりも軸心方向外側に配置されるようになっている。またこの状態では、円筒体Wの軸心に対し、ガイド部材40および基準ローラ20の軸心とがほぼ一致するように配置される。
【0100】
さらにその状態で、一対のチャック部10,10が軸心方向内側に進出した際には図5に示すように、挿入支持部12としてのガイド部材40、基準ローラ20および補助ローラ30,30が円筒体Wの両端部内側に挿入されるようになっている。このとき円筒体Wの軸心に対し、ガイド部材40および基準ローラ20の軸心とがほぼ一致するように配置される。
【0101】
そしてチャック装置3により円筒体Wを支持(チャック)するには、一対の挿入支持部12,12を円筒体Wの両端部内側に挿入した状態で、図6に示すように、スライドプレート15,15を外径方向にスライドさせて、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し上方へ移動させて、挿入支持部拡径状態とする。そうすると図6(b)の想像線に示す状態から、補助ローラ30,30の上昇に伴って、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面における上部両側に当接して、円筒体Wを上方に持ち上げて、同図実線に示すように取置き台7から離間させる。さらに補助ローラ30,30によって円筒体Wが持ち上げられることによって、基準ローラ20が円筒体Wの内周面における下端部に当接する。こうして円筒体Wの両側部内周面に、1つの基準ローラ20と、2つの補助ローラ30,30との3つのローラが3点でそれぞれ接触し、その3点支持によって円筒体Wが安定した状態に支持される。
【0102】
さらにその支持状態で、既述したように一方の基準ローラ20が回転駆動すると、その基準ローラ20の回転に従動して円筒体Wが回転し、さらにその円筒体Wの回転に連れ回るように残りの各ローラ20,30が回転する。これにより、円筒体Wの円滑な回転が確保される。
【0103】
またこのように円筒体Wを支持(チャック)した状態では、円筒体Wの両端面に対応して配置される上記円盤状の位置決め板35,35における板面の外周縁部が、円筒体Wの両側端面に接触している。従って、位置決め板35,35は、円筒体Wの回転に連れ回るように回転しつつ、円筒体Wの両側端位置を規制することにより、円筒体Wの軸心方向の位置ずれを防止するようになっている。つまり位置決め板35,35は、表面検査時における円筒体の両端面の位置が一定となるように円筒体両端面に接触しており、軸心方向の 位置決めを図るための基準体をなしている。
【0104】
一方、既述したように、チャック装置3は、回転フレーム202に対し、相対的な位置が変化しないように取り付けられている。従って、回転移送機構2内においては、チャック装置3がいずれの位置A,C1,B,C2に配置されていようとも、基準ローラ20は、補助ローラ30,30に対し外側(回転フレーム202の径方向外側)に配置されている。
【0105】
具体的には、取込/送出位置Aのチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上側に配置された補助ローラ上向き姿勢(サブローラ上向き姿勢)となっている。その位置Aから図2の右回りに1/4周した検査前待機位置C1のチャック装置3は、基準ローラ20が、補助ローラ30,30に対し図2の左側に配置される。さらにその位置C1から1/4周した検査位置Bのチャック装置3は、基準ローラ20が、補助ローラ30,30に対し上側に配置された基準ローラ上向き姿勢(メインローラ上向き姿勢)となっている。さらにその位置Bから1/4周した送出前待機位置C2のチャック装置3は、基準ローラ30が、補助ローラ30,30に対し図2の右側に配置される。
【0106】
本実施形態において、チャック装置3によって円筒体Wを支持した状態では、基準ローラ20および補助ローラ30は、円筒体Wの内周面に接触するため、検査対象領域である円筒体Wの外周面に接触痕が発生するのが防止される。
【0107】
またチャック装置3における両側の基準ローラ20,20は、表面検査時の高さ位置が一定となるように支持されており、表面検査における円筒体Wの高さ位置を位置決めすることで、一対の基準体をなしている。
【0108】
本実施形態においては、既述したように、一方側の基準ローラ20が回転駆動して、円筒体Wを回転させるようになっている。これにより、円筒体Wを回転駆動するために円筒体Wに接触する部材を削減でき、円筒体Wが損傷する可能性が軽減される。
【0109】
円筒体Wをチャックした状態の補助ローラ30,30は、取込/送出位置Aにおいて、円筒体Wの両側端部内周面における上部両側にそれぞれ接触しており、円筒体Wを上方に付勢して円筒体の内周面上部を上記の基準ローラ20に確実に接触させるようになっている。従って、円筒体Wの両端部内周面に対し、それぞれ3つのローラ20,30,30を適切な接触圧で接触させることができ、より安定した状態で円筒体Wを支持することができる。
【0110】
また位置決め板35,35は、補助ローラ30,30に対して独立して回転するものであるため、位置決め板35の円筒体Wに対する滑り量を少なくできて、無理なく円筒体Wの位置決めを図ることができる。
【0111】
すなわち上記特許文献1に示すように、補助ローラの外周面(転動面)における軸心方向外側(後側)の端部に、フランジ状の位置決め部(位置決め板)を一体に形成するようなチャック装置では、位置決めフランジ部が、小径の補助ローラと同じ周速度で高速回転する。このため、位置決めフランジ部の円筒体Wに対する滑り量が多くなり、円筒体W等に、滑りによる悪影響が及ぶおそれがある。
【0112】
これに対し、本実施形態においては、位置決め板35,35は、補助ローラ30,30に対して独立して回転するものであるため、補助ローラ30,30の回転動作にかかわらず、円筒体Wの回転動作に応じて、独自に回転するようになる。このため、位置決め板35,35の円筒体Wに対する滑り量が少なくなり、円筒体W等に、滑りによる悪影響が及ぶのを防止することができる。
【0113】
その上さらに、本実施形態においては、位置決め板35,35は、円筒体Wの回転に応じて回転するものであるため、位置決め板35,35の径サイズを大きくすることにより、位置決め板35,35の円筒体Wに対する滑り量を一層少なくすることができ、より確実に滑りによる悪影響を防止することができる。
【0114】
また本実施形態においては、円筒体Wの両端部内周面を1つの基準ローラ20および2つの補助ローラ30,30の3つのローラ20,30,30により3点で支持しているため、円筒体Wを安定した状態に支持できる。このため、円筒体Wを円滑に回転させつつ、検査することができ、高い検査精度を得ることができる。
【0115】
さらに本実施形態においては、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し離間させる際に、補助ローラ30,30を円筒体Wの略径方向に沿ってスライドさせるものであるため、円筒体Wをより安定した状態に支持することができる。
【0116】
すなわち上記特許文献1に示すように、2つの補助ローラを平行に移動させて基準ローラから離間させて、各ローラを円筒体内周面に接触させるようなチャック装置(円筒体検査装置)では、円筒体の径サイズが大きい場合、2つの補助ローラを平行にスライドさせて円筒体内周面に接触させた際に、円筒体内周面に対して、両補助ローラ間の距離を十分に大きく確保できないことがある。このため、円筒体の径サイズが大きい場合には、1つの基準ローラと2つの補助ローラとの3つのローラを周方向に沿って等間隔おきに配置することができず、3点支持による効果を十分に発揮できないおそれがある。
【0117】
これに対し、本実施形態においては、補助ローラ30,30を円筒体Wの径方向にスライドさせるものであるため、補助ローラ30,30を外径方向に移動させて、円筒体内周面に接触させた際に、円筒体Wの径サイズに応じて、両補助ローラ30,30間の距離が適切に調整される。このため、円筒体Wの径サイズにかかわらず、1つの基準ローラ20と2つの補助ローラ30,30との3つのローラ20,30,30を周方向に沿ってほぼ等間隔おきに配置することができ、円筒体Wをより安定した状態に支持することができる。従って、円筒体Wをより一層円滑に回転させることができ、検査精度をより一層向上させることができる。
【0118】
しかも、補助ローラ30,30を円筒体を基準に外径方向に移動させて、円筒体内周面に接触させるものであるため、円筒体内周面における補助ローラ30,30の接触位置の接線に対し、補助ローラ30,30の移動方向がほぼ直角となる。このため、補助ローラ30,30を円筒体内周面に押し付けた際にその付勢力を円筒体Wの外径方向に向けて放射状に適切に作用させることができ、より一層安定した状態で円筒体Wを支持することができ、検査精度をより一層確実に向上させることができる。
【0119】
また各チャック装置3の両側の基準ローラ20,20は、検査位置Bにおいて、一旦適正な高さ位置に設定されれば、径サイズの異なる円筒体Wに対する表面検査を行う場合であっても、その高さ位置が変化しないようになっている。これにより、基準ローラ20,20の高さ位置は十分な位置精度を確実に確保できるようになっている。
【0120】
このように両基準ローラ20,20の高さ位置が安定していることにより、円筒体Wの内周面のうち、この基準ローラ20,20に接触している部分は、円筒体Wの径サイズによらず、常に同じ高さ位置に位置することとなる。
【0121】
そして本実施形態では、円筒体Wの外周面における基準ローラ20,20と対応する部分を検査領域とするものであり、この検査領域もまた、円筒体Wの径サイズによらず、常に同じ高さ位置に設定される。
【0122】
なお本実施形態においては、チャック装置3によってチャック手段が構成される。さらに回転移送機構2によって移送手段が構成される。
【0123】
<表面状態検出器>
既述したようにチャック装置3によって支持されて回転駆動される円筒体Wは、外周面の表面状態が、表面状態検出器50によって検出される。
【0124】
この表面状態検出器50は、円筒体Wの外周面の傷、凹み、汚れ、変色、変質、その他の表面欠陥のうち少なくとも1種類を検出する。
【0125】
この実施形態では、チャック装置3における両基準ローラ20,20と円筒体Wの内周面とが接触する接触部分を通る仮想的な直線に対し、円筒体Wの外側から対峙する直線を基準線と呼ぶこととする。そしてこの表面検査装置は、円筒体Wの外周面のうち、この基準線上またはその近傍を検査領域とし、その検査領域に対して表面検査を行うように、その位置および角度(向き)が設定されている。
【0126】
図2,7に示すようにこの実施形態では、表面状態検出器50は、円筒体Wの外周面に検査照明光を照射する照明51と、円筒体Wからの反射光を受光してその表面状態を検出するカメラ52とを備えている。
【0127】
照明51は、たとえば円筒体Wの長さに応じた蛍光灯等から構成され、円筒体Wの外周面の前記基準線を含む領域に検査照明光を照射するようになっている。
【0128】
カメラ52は、例えば円筒体Wの長手方向に沿った細長領域を検出領域とするラインセンサカメラ等から構成され、円筒体Wの外周面の前記基準線上またはその近傍領域を検出領域とするようにその位置および角度が設定されている。
【0129】
また、この実施形態では、表面状態検出器50が、検査照明光の反射光のうち、正反射光を受光することによって表面状態の検出を行う。このため、円筒体Wの外周面上の基準線の位置およびその面の向きに対して、照明51およびカメラ52は、両者の位置および角度が設定されている。
【0130】
ここで、円筒体Wの内周面が、チャック装置3の両側の基準ローラ20,20によって位置決めされるため、円筒体Wの肉厚が変化しない限り、径サイズが変化しても、円筒体Wの外周面上の基準線の位置およびその面の向き(角度)は変化しない。このため、そのまま何らの検査治具等を交換することなく、円筒体Wの種々の径サイズに容易に対応することができ、また、検査治具等の交換を要しないことから高い検査精度も確保することができる。
【0131】
このように、同一の治具を各径サイズの円筒体Wの検査に汎用的に使用することができる。
【0132】
また、検査対象とする円筒体Wの径サイズを変更する場合であっても、表面状態検出器50と基準線との位置関係が変化しないため、再調整等が不要であり、段取り替えに要する工数や時間を低減することができる。
【0133】
従って、高精度で多様な径サイズの円筒体Wに対応し、工業化に好適な安価な検査システムを構築できる。
【0134】
<制御装置>
図2に示すように、本実施形態の表面検査装置には、パーソナルコンピュータ等によって構成されるコントローラ100を備え、このコントローラ100によって、表面検査装置の各駆動部の駆動が制御され、後述の検査手順で表面検査が自動的に行われるようになっている。
【0135】
さらにコントローラ100は、カメラ52によって取得された画像データに基づいて、円筒体Wの表面状態の良否を判別する。なおこの判断方法については、例えば取得した画像データと、予め保持された基準データとを比較して、良否判定を行う方法等、従来より周知の方法が用いられる。
【0136】
<検査手順>
次に、この表面検査装置における表面検査の手順について説明する。
【0137】
図4に示すように、取込/送出位置Aのチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、挿入支持部縮径状態で、かつ補助ローラ上向き姿勢となっている。また検査前待機位置C1、検査位置Bおよび送出前待機位置C2のチャック装置3…は、円筒体Wがそれぞれ支持されているものとする。
【0138】
また搬送コンベア6において、取込/送出位置Aの取置き台7には、未検査(検査前)の円筒体Wが載置されているものとする。
【0139】
この状態において、図5に示すように、取込/送出位置Aのチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。その後図6に示すように、一対の挿入支持部12,12の補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上方へ移動していき、挿入支持部拡径状態へと移行し、円筒体Wの両端部内周面が基準ローラ20および補助ローラ30,30によって支持される。このとき既述したように、円筒体Wは、補助ローラ30,30に持ち上げられるため、図3の想像線および図6の実線に示すように取置き台7から上方へ離間する。
【0140】
こうして円筒体Wが一対の挿入支持部12,12に持ち上げられて支持された後、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/4回転する。これにより、取込/送出位置Aでチャック装置3によって支持された円筒体Wが、検査前待機位置C1に回転移動する。この回転移動時に、円筒体Wは、取置き台7に対し上方へ離間しているため、取置き台7に接触したり、干渉したりするのが確実に防止される。従って、チャック後に円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる必要がない。このように取置き台7を昇降移動させるための取置き台昇降機構が不要であるため、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0141】
また上記回転フレーム202の回転により、検査前待機位置C1にあった円筒体Wは検査位置Aに移動し、検査位置Aにあった円筒体Wは、送出前待機位置C2に移動し、送出前待機位置C2にあった円筒体Wは、取込/送出位置Aに移動する。
【0142】
図7に示すように、検査位置Bへと移動した円筒体Wは、軸心回りに回転しつつ、照明51から検査照明光が照射され、その反射光(正反射光)をカメラ52で受光することによって表面状態の検査が行われる。この表面検査は、円筒体Wが一回転以上回転し、その全周について行われる。
【0143】
なお検査位置Bにおいては、図3および図7に示すように、一対の挿入支持部12,12は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上側に配置された基準ローラ上向き姿勢となっている。
【0144】
ここで本実施形態においては、検査位置Bに円筒体Wが搬送される前の段階で予め円筒体Wの回転が開始されている。例えば検査前待機位置C1に移動してきた時点で、チャック装置3の一方側の基準ローラ20を回転駆動し、円筒体Wおよび各ローラ20,30を回転させておく。これにより、円筒体Wの回転動作を安定させた後、検査位置Bに移動させることができる。このため、円筒体Wが検査位置Bに移動された時点では回転が安定しており、直ちに表面検査を開始することができる。このように検査位置Bでの予備運転を行う必要がなく、その分、検査効率を向上させることができる。
【0145】
もっとも、本発明において、必ずしも検査前待機位置C1で、円筒体Wの回転を開始する必要はなく、検査前待機位置C1から検査位置Bへの移動中に円筒体Wの回転を開始したり、取込/送出位置Aから検査前待機位置C1への移動中に円筒体Wの回転を開始するようにしても良い。要は検査位置Bに到達する前に、円筒体Wの回転が開始されていれば、検査効率を向上させることができる(以下の第2実施形態においても同じ)。
【0146】
なお、本実施形態においては、検査前待機位置C1に対応して、図示しないエアーブロー手段が設けられ、検査前待機位置C1に移送された円筒体Wの外周面に、上記エアーブロー手段からエアーが吹き付けられることによって、円筒体Wの外表面に付着したゴミや埃等を吹き飛ばして、表面の清浄化を図るようにしている。
【0147】
また検査位置Bから送出前待機位置C2に移動した円筒体Wは、回転を停止させて待機する。
【0148】
また送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに移動した円筒体Wは、取置き台7へと移載される。すなわち、検査済の円筒体Wを支持したチャック装置3が、送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに移動した時点では、既述したように、先行のチャック装置3によって、取置き台7上の未検査の円筒体Wがチャックされて、検査前待機位置C1に移動することにより、取込/送出位置Aには、空の取置き台7が配置されている。このとき、後続のチャック装置3にチャックされている検査済の円筒体Wは、空の取置き台7から所定量上方に離間した状態に配置されている。この円筒体Wと取置き台7との間隔は、先行のチャック装置3によって円筒体Wをチャックした際に、円筒体Wが取置き台7から持ち上げられた際の持ち上げ量に対応している。またチャック装置3は、取込/送出位置Aにおいては、一対の挿入支持部12,12が補助ローラ上向き姿勢となっている。
【0149】
そしてチャック装置3は、それにチャックされた円筒体Wが空の取置き台7から上方へ離間している状態で、円筒体Wのチャックが解除される。すなわち挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し上側に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように降下していく。この降下により、図6の実線に示す状態から、基準ローラ20が円筒体Wの内周面下端から離間する。さらに補助ローラ30,30の降下に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側から離間して、図6の想像線に示す状態となる。
【0150】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、図4に示すように、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される。
【0151】
その後、搬送コンベア6が1ピッチ分(取置き台7の取付間隔分)搬送されて、検査済の円筒体Wが移載された取置き台7が、取込/送出位置Aから下流側へと搬出される一方、未検査の円筒体Wが載置された新たな取置き台7が、取込/送出位置Aに搬入される。こうして取込/送出位置Aに搬入された未検査の円筒体Wが、上記と同様に、チャック装置3によってチャックされて、検査前待機位置C1に回転移動する。
【0152】
本実施形態の表面検査装置においては、検査位置Bで、円筒体Wの表面検査が行われている間に並行して、取込/送出位置Aにおいて、検査済の円筒体Wを取置き台7に移載して、搬送コンベア6を1ピッチ分送り出した後、未検査の円筒体Wをチャックするものである。
【0153】
このように本実施形態の表面検査装置は、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出されるものである。
【0154】
以上のように、本実施形態の円筒体の表面検査装置によれば、取置き台7に載置された円筒体Wを、チャック装置3によってチャックするに際して、補助ローラ30,30を基準ローラ20に対し上方へ移動させると、補助ローラ30,30によって円筒体Wが持ち上げられて取置き台7から離間する。このため、円筒体Wを取置き台7に干渉させることなく、円筒体Wの軸心回りの回転を開始したり、円筒体Wを円環状移送経路Pに沿って移送させたりすることができる。従って本実施形態の表面検査装置は、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方等に退避させる取置き台昇降機構を設ける必要がなく、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0155】
特に本実施形態のように、多数の取置き台7を設置する場合には、各取置き台毎に設置が必要な多数の昇降機構を全て省略することができ、部品点数を大幅に削減でき、多大な効果を得ることができる。さらに本実施形態では、部品点数を大幅に削減できるため、装置の保守点検を容易に行うことができる。
【0156】
また本実施形態の表面検査装置においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wを送出前待機位置C2から取込/送出位置Aに回転移送させた際に、円筒体Wを取込/送出位置Aに待機する取置き台7に対し上方に離間させた位置に配置するものであるため、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0157】
なお本実施形態においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wを、取置き台7の上方に配置した状態で、チャック装置3のチャックを解除すると、既述したように、チャック解除動作と共に、円筒体7が降下して、取置き台7に無理なく移載される。このため、チャック解除時に、円筒体7の高さ位置まで取置き台7を上昇させる必要がない。
【0158】
詳細に説明すると、チャック解除時に円筒体Wが降下せず、取置き台7から上方に離間したままの状態であると、チャック解除後に一対の支持挿入部12,12を円筒体Wから抜き取った際に、円筒体Wが取置き台7の位置まで落下してしまうおそれがある。このため、チャック解除時に円筒体Wが降下しない場合には、円筒体7の高さ位置まで取置き台7を上昇させる必要がある。
【0159】
これに対し、本実施形態の表面検査装置では、既述したように、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がなく、この点においても、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0160】
さらに本実施形態においては、1本の搬送コンベア6によって、回転移送機構2に円筒体Wを搬入する搬入コンベア(搬入手段)と、回転移送機構2から円筒体Wを搬出する搬出コンベア(搬出手段)とを共に構成しているため、搬入コンベアおよび搬出コンベアを別々に設ける場合と比較して、部品点数をより一層削減できて、構造の簡素化等をより一層確実に図ることができる。
【0161】
また本実施形態においては、チャック装置3の一対の挿入支持部12,12を円筒体Wの両側端部内側に挿入する際に、補助ローラ30,30の全域を基準ローラ20(ガイド部材40)の軸心方向(X軸方向)に重なり合うように配置しているため、挿入支持部12の径サイズが、基準ローラ20の径サイズと等しくなる。このため、挿入支持部12の径サイズが非常に小さくなり、円筒体Wがチャック装置3に対し多少位置ずれしていようとも、挿入支持部12が円筒体Wの内周面内側に対応したままの状態に維持される。従って、補助ローラ30,30が円筒体Wの端面に接触するのを有効に防止でき、基準ローラ20および補助ローラ30,30をスムーズに円筒体W内に挿入することができる。
【0162】
その上さらに、本実施形体においては、基準ローラ20の前端面に、テーパ状のガイド部材40を設けているため、前方側から見た状態(図3,4等参照)で、円筒体Wが基準ローラ20に干渉する位置まで位置ずれしていたとしても、ガイド部材40を円筒体Wの両側端部内側に挿入する際に、ガイド部材40のガイド面41によって円筒体Wがガイドされて、円筒体Wの位置が修正される。従って、基準ローラ20および補助ローラ30,30を円筒体Wの両側端面に接触させることなく、円筒体Wの両側端部内側にスムーズに挿入することができる。
【0163】
このように円筒体Wが位置ずれしていても、基準ローラ20および補助ローラ30,30を円筒体Wに不用意に干渉させずに確実に挿入することができるため、円筒体Wを損傷させる等の不具合を確実に防止することができる。
【0164】
また本実施形態においては、補助ローラ30,30の全域を基準ローラ20に軸心方向に重なり合わせているため、円筒体Wの径サイズが、基準ローラ20の径サイズよりも大きければ、基準ローラ20および補助ローラ30,30を確実に円筒体W内に挿入することができる。このため特に、径サイズの非常に小さい円筒体Wを検査する場合に有効である。
【0165】
また本実施形態においては、補助ローラ30,30を基準ローラ20に軸心方向に沿って離間して配置しているため、円筒体Wの内周面における補助ローラ30,30が接触する領域と、基準ローラ20が接触する領域とが軸心方向にずれて、両ローラ20,30の接触領域が重なるのを防止することができる。このため、ローラ20,30の転動によるローラ痕が生じ難く、円筒体Wの品質低下を確実に防止することができ、高品質を維持することができる。
【0166】
<第2実施形態>
図10はこの発明の第2実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図11は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0167】
これらの図に示すように、この第2実施形態の表面検査装置が、上記第1実施形態に対し実質的に相違する点は、上記第1実施形態では、回転移送機構2にチャック装置3が4つ設けられたスクエア式(正四角形型)であるのに対し、この第2実施形態では、チャック装置3が5つ設けられたペンタゴン式(正五角形型)となっている点である。
【0168】
すなわち検査装置本体1の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに、5つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0169】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図10,11の右回りで1/5周した位置が送出前待機位置C2として構成され、検査位置Bから2/5周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Aから3/5周した位置が取込位置A1として構成され、検査位置Aから4/5周した位置が検査前待機位置C1として構成される。
【0170】
さらに取込位置A1のチャック装置3においては、図11,12の側面視状態で、補助ローラ30,30は基準ローラ20に対し、右寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となるとともに、送出位置A2のチャック装置3においては、補助ローラ30,30は基準ローラ20に対し、左寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となる。さらに検査位置Bにおいては、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上方に配置された基準ローラ上向き姿勢となっている。
【0171】
また搬送コンベア6においては、1ピッチ分送る毎に、いずれかの取置き台71が取込位置A1および送出位置A2に対応してそれぞれ配置されるようになっている。
【0172】
この第2実施形態の表面検査装置において、他の構成は、上記第1実施形態の表面検査装置の構成と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0173】
次に、この第2実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0174】
初期状態は、搬送コンベア6における取置き台7のうち、取込位置A1の取置き台7には、未検査の円筒体Wが載置されるとともに、送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0175】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている(図4等参照)。検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2および送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0176】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0177】
その後図11,12に示すように、一対の挿入支持部12,12の挿入支持部12,12が補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し右斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっているため、上昇する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、図11,12の想像線に示すように、円筒体Wが右斜め上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20,および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持(チャック)される。
【0178】
また検査位置Bの円筒体Wは、上記第1実施形態と同様に、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる(図7等参照)。
【0179】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち図11.13に示すように、送出位置A2においては、チャック装置3は、補助ローラ上向き姿勢となり、またチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、図11,13の実線に示すように左斜め上方に配置される。この状態で円筒体Wのチャックが解除されて、挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し左斜め上方に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように降下していく。この降下により、まず基準ローラ20が円筒体Wの内周面下側の右寄りの部分から離間する。さらに補助ローラ30,30の降下に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側の左寄りの部分から離間する。
【0180】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される(図4等参照)。
【0181】
本第2実施形態においては、取込位置A1で円筒体Wをチャックする取込処理(チャック処理)と、検査位置Bで円筒体Wの表面検査を行う検査処理と、送出位置A2で円筒体Wを取置き台7に移載する送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0182】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/5周(1ピッチ分)回転する。これにより、取込位置A1、検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2および送出位置A2に位置していた円筒体W…がそれぞれ検査前待機位置C1、検査位置B、送出前待機位置C2、送出位置A2および取込位置A1に回転移動する。
【0183】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査前待機位置C1に回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から斜め上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0184】
さらに送出前待機位置C2から送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の左斜め上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0185】
なお、既述したように、送出位置A2でチャックされた円筒体Wは、チャック解除動作と共に、右斜め下方に降下するため、取置き台7に無理なく移載される。このため上記第1実施形態と同様に、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がなく、この点においても、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減をより確実に図ることができる。
【0186】
また本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、検査位置Bに回転移動される前に、円筒体Wの回転動作を開始して回転を安定させておき、検査位置Bに移動された直後に検査を行えるようにしている。例えば検査前待機位置C1において、円筒体Wの回転動作を開始して回転を安定させておくようにしている。
【0187】
さらに上記第1実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間の例えば検査前待機位置C1等において、エアーブロー手段(図示省略)から円筒体Wの外周面に、エアーを吹き付けて、表面の清浄化を図るようにしている。
【0188】
一方、本第2実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬送コンベア6が1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側へ搬出される。
【0189】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出される。
【0190】
以上のように、この第2実施形態の表面検査装置においても、上記第1実施形態の表面検査装置と同様の効果を得ることができる。
【0191】
その上さらに、この表面検査装置では、取込位置A1と、送出位置A2とを別に設けておき、取込位置A1での円筒体Wの取込処理と、送出位置A2での円筒体Wの送出処理とを並行して行うようにしているため、これらの処理を順番に経時的に行う場合と比較して、取込処理および送出処理をスムーズに行うことができ、検査効率を一層向上させることができる。
【0192】
<第3実施形態>
図14はこの発明の第3実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図15は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0193】
これらの図に示すように、この第3実施形態の表面検査装置が、上記実施形態に対し実質的に相違する点は、上記実施形態では、回転移送機構2にチャック装置3が4つまたは5つ設けられているのに対し、この第3実施形態では、チャック装置3が3つ設けられたトライアングル式(正三角形型)になっている点である。
【0194】
すなわち検査装置本体1の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに、3つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0195】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図14,15の右回りで1/3周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Bから2/3周した位置が取込位置A1として構成される。
【0196】
さらに取込位置A1のチャック装置3は、図15の側面視状態で、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、右寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となるとともに、送出位置A2のチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し、左寄りの斜め上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となる。さらに検査位置Bのチャック装置3は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上方に配置された基準ローラ上向き姿勢となる。
【0197】
また搬送コンベア6においては、1ピッチ送る毎に、いずれかの取置き台71が取込位置A1および送出位置A2に対応してそれぞれ配置されるようになっている。
【0198】
この第3実施形態の表面検査装置において、他の構成は、上記実施形態の表面検査装置の構成と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明は省略する。
【0199】
次に、この第3実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0200】
初期状態は、搬送コンベア6における取置き台7のうち、取込位置A1の取置き台7には、未検査の円筒体Wが載置されるとともに、送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0201】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている(図4等参照)。また検査位置Bおよび送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0202】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0203】
その後図15に示すように、一対の挿入支持部12,12の挿入支持部12,12において、補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し右斜め上方に配置されるため、移動する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、円筒体Wが右斜め上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持される。
【0204】
また検査位置Bの円筒体Wは、上記第1実施形態と同様に、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる(図7等参照)。
【0205】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち図15に示すように、送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、左斜め上方に配置される。この状態で円筒体Wのチャックが解除されて、挿入支持部拡径状態(チャック状態)から挿入支持部縮径状態(チャック解除状態)へと移行する。これにより、基準ローラ20に対し左斜め上方に配置されていた補助ローラ30,30が基準ローラ20に近接するように移動していく。この移動により、まず基準ローラ20が円筒体Wの内周面下側の右寄りの部分から離間する。さらに補助ローラ30,30の移動に伴って、円筒体Wがその外周面下側が取置き台7に接触して移載された後、補助ローラ30,30が円筒体Wの内周面上側の左寄りの部分から離間する。
【0206】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避した位置に配置される(図4等参照)。
【0207】
本第2実施形態においては、取込位置A1での取込処理と、検査位置Bでの検査処理と、送出位置A2での送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0208】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図2の右回りで1/3周(1ピッチ分)回転する。これにより、取込位置A1、検査位置Bおよび送出位置A2に位置していた円筒体W…がそれぞれ検査位置B、送出位置A2および取込位置A1に回転移動する。
【0209】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査位置Bに回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から斜め上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0210】
また検査位置Bから送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の左斜め上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。さらに上記第1、2実施形態と同様、チャック解除時に、取置き台7を上昇させる必要がないため、取置き台7を昇降させるための取置き台昇降機構を設ける必要がなく、部品点数を一層削減することができる。
【0211】
一方、本第3実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬送コンベア6が1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側への搬出される。
【0212】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬送コンベア6および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬送コンベア6によって順次搬出される。
【0213】
以上のように、この第3実施形態の表面検査装置においても、上記第1,2実施形態の表面検査装置と同様に、同様の効果を得ることができる。
【0214】
さらに、この表面検査装置は、上記第2実施形態と同様、取込位置A1での取込処理と、送出位置A2での送出処理とを並行して行うようにしているため、検査効率を一層向上させることができる。
【0215】
なお、この第3実施形態においても、検査位置Bに移送される前に、円筒体Wの回転を安定させることは可能である。例えば、取込位置A1において円筒体Wがチャックされた直後に、円筒体Wを回転させることにより、その円筒体Wが検査位置Bに移送される際には、円筒体Wの回転を安定させることができる。従って、上記第1,2実施形態と同様に、検査位置Bに移送された後、予備運転を行わずに、直ちに表面検査を行うことができ、検査効率を向上させることができる。さらに円筒体Wはチャック時に取置き台7から離間するため、チャック直後に円筒体Wを回転させたとしても、円筒体Wが取置き台7に干渉するようなことはない。
【0216】
さらに本実施形態においては、上記第1,2実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間において、円筒体Wの外周面にエアーを吹き付けて、表面の清浄化を図ることも可能である。
【0217】
<第4実施形態>
図16はこの発明の第4実施形態である円筒体の表面検査装置を示す側面図、図17は同装置の回転移送機構2を模式化して示す側面図である。
【0218】
これらの図に示すように、この第4実施形態の表面検査装置の回転移送機構2における回転フレーム202の外周縁部には、周方向に等間隔おきに4つのチャック装置3が取り付けられている。これにより、チャック装置3の各一対の挿入支持部12,12が、円環状移送経路P上に等間隔おきに配置されている。
【0219】
この回転移送機構2においては、円環状移送経路P上における上端位置が検査位置Bとして構成され、検査位置Bから図16,17の右回りで1/4周した位置が送出位置A2として構成され、検査位置Bから2/4周した位置が取込前待機位置C3として構成され、検査位置Bから3/4周した位置が取込位置A1として構成される。
【0220】
さらにチャック装置3は、取込位置A1に配置される際に、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し上側に配置されるように回転フレーム202に固定されている。従って、検査位置Bに位置したチャック装置3は、図17の側面視において、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し左側に配置された状態となる。また送出位置A2に位置するチャック装置3は、基準ローラ20が補助ローラ30,30に対し上側に配置されて、基準ローラ上向き姿勢となっている。つまり送出位置A2において、チャック装置3は補助ローラ上向き姿勢となっていない。さらに取込前待機位置C3に位置するチャック装置3は、補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し左側に配置される。
【0221】
また本実施形態の表面検査装置においては、検査位置Bに配置される円筒体Wの外周面における基準ローラ20に対応する領域、つまり図17の側面視において円筒体Wの外周面における左側端部の領域が、検査領域として構成される。従って、照明51およびカメラ52等の表面状態検査器50は、検査位置Bの円筒体Wの左側端部領域(検査領域)に照明51からの照明光が照射され、その検査領域での正反射光をカメラ52により受光できるように、位置および角度(向き)が設定されている。
【0222】
また本実施形態の表面検査装置は、Y軸方向に沿って配置される搬入コンベア61および搬出コンベア62を備えている。搬入コンベア61は、その搬送方向(図17の右方向)の下流側端部が、取込位置A1に対応して配置されるとともに、搬出コンベア62は、その上流側端部が、送出位置A2に対応して配置されている。
【0223】
さらに各コンベア61,62には、所定の間隔おきに(所定のピッチで)円筒体Wを載置可能な取置き台7…が多数取り付けられている。
【0224】
なお本実施形態において、搬入コンベア61は、上記実施形態と同様、取置き台7を上下に昇降させる機構を備えていないが、搬出コンベア62は、各取置き台7をそれぞれ個別に上下に昇降させるための取置き台昇降機構を備えている。
【0225】
ここで、本実施形態において、搬入コンベア61側の取置き台7が搬入側載置具として構成され、搬出コンベア62側の取置き台7が搬出側載置具として構成されている。
【0226】
本第4実施形態において、他の構成は、上記第1〜3実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して、重複説明を省略する。
【0227】
次に、この第3実施形態の表面検査装置による検査手順について説明する。
【0228】
初期状態は、搬入コンベア61の取置き台7には、未検査の円筒体Wがそれぞれ載置される。さらに搬出コンベア62における送出位置A2の取置き台7には、円筒体Wが載置されておらず、その取置き台7は空の状態となっている。
【0229】
また回転移送機構2において、取込位置A1のチャック装置3は、一対のチャック部10,10が退避しているとともに、ガイド部材40,基準ローラ20および補助ローラ30,30等の一対の挿入支持部12,12は、円筒体Wの内径の内側に挿入できるように挿入支持部縮径状態となっている。また検査位置Bおよび送出位置A2のチャック装置3には、円筒体Wがそれぞれチャックされている。
【0230】
この状態において、取込位置A1のチャック装置3における一対のチャック部10,10が進出して、円筒体Wの両側端部内側に一対の挿入支持部12,12が挿入される。
【0231】
その後、一対の挿入支持部12,12の補助ローラ30,30が、基準ローラ20に対し離間する方向へ移動して拡径状態へと移行する。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し上方に配置された補助ローラ上向き姿勢となっているため、移動する補助ローラ30,30によって円筒体Wの内周面が押されて、円筒体Wが上方に持ち上げられて、取置き台7から離間する。その後、基準ローラ20が円筒体Wの内周面に接触して、基準ローラ20および補助ローラ20,20によって、円筒体Wの内周面が支持される。
【0232】
また検査位置Bの円筒体Wは、軸心回りに回転しつつ、表面検査が行われる。このとき、既述したように、円筒体Wの外周面における一側端部を検査領域として、全周の検査が行われる。
【0233】
また送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた検査済の円筒体Wが取置き台7に移載される。すなわち、送出位置A2においては、チャック装置3にチャックされた円筒体Wは、空の取置き台7に対し、上方に配置される。この状態で補助ローラ30,30が基準ローラ20に対し近接する方向(上方)に移動して、円筒体Wのチャックが解除される。このとき、補助ローラ30,30は、基準ローラ20に対し下側に配置しているため、つまり補助ローラ上向き姿勢となっていないため、補助ローラ30,30が移動しようとも、円筒体Wは基準ローラ20によって支持されて、円筒体Wの高さ位置は変化しない。従って図17の送出位置A2での破線に示すように、円筒体Wはチャックが解除されたとしても、依然として、取置き台7に対し上方に配置されている。そして本実施形態では、円筒体Wのチャックが解除された後、取置き台7が上昇することにより、その取置き台7に円筒体Wが少量押し上げられる。これにより同図実線に示すように、円筒体Wが、基準ローラ20から上方へ離間して、取置き台7に移載される。
【0234】
こうして円筒体Wがチャック装置3から取置き台7に移載された後、一対のチャック部10,10が両側方に後退して、一対の挿入支持部12,12が円筒体Wの両端部から外側に退避する。
【0235】
本第4実施形態においては、取込位置A1での取込処理と、検査位置Bでの検査処理と、送出位置A2での送出処理(チャック解除処理)とが並行して行われる。
【0236】
そしてこれらの処理が全て完了した時点で、回転移送機構2の回転フレーム202が、図16,17の右回りで1/4(1ピッチ分)回転する。こうして取込位置A1、検査位置B、送出位置A2および取込前待機位置C3に配置されていたチャック装置3…が、それぞれ検査位置B、送出位置A2、取込前待機位置C3および取込位置A1に回転移送される。
【0237】
ここで、取込位置A1の円筒体Wが検査位置Bに回転移動する際に、取付位置A1において、円筒体Wは、取置き台7から上方に離間しているため、取置き台7に干渉するのが確実に防止される。従って、上記第1実施形態と同様で、円筒体Wとの干渉を避けるために、取置き台7を下方へ退避させる取置き台昇降機構を必要とせず、その分、部品点数を削減できて、構造の簡素化、装置の小型化およびコストの削減を図ることができる。
【0238】
また検査位置Bから送出位置A2に回転移動した円筒体Wは、送出位置A2の取置き台7の上方に配置されるようになっている。このためこの回転移動時に、円筒体Wが取置き台7に干渉するのを防止することができる。
【0239】
一方、本第4実施形態においては、回転移送機構2の回転フレーム202における1ピッチ分の回転動作と並行して、搬入コンベア61および搬出コンベア62がそれぞれ1ピッチ分搬送される。これにより、取込位置A1に未検査の新たな円筒体Wが搬入されるとともに、送出位置A2に送出された検査済の円筒体Wが下流側へ搬出される。
【0240】
以上の動作が繰り返し行われることにより、未検査の円筒体Wが搬入コンベア61および回転移送機構2によって、検査位置Bに順次送り込まれて、表面検査が行われる一方、検査済の円筒体Wは、回転移送機構2および搬出コンベア62によって順次搬出される。
【0241】
以上のように、この第4実施形態の表面検査装置においても、上記第1〜3実施形態の表面検査装置と同様に、同様の効果を得ることができる。
【0242】
さらに、この表面検査装置は、上記第2,3実施形態と同様、取込位置A1での取込処理と、送出位置A2での送出処理とを並行して行うようにしているため、検査効率を一層向上させることができる。
【0243】
なお、この第4実施形態においても、検査位置Bに移送される前に、円筒体Wの回転を安定させることは可能である。例えば、取込位置A1において円筒体Wがチャックされた直後に、円筒体Wを回転させることにより、その円筒体Wが検査位置Bに移送される際には、円筒体Wの回転を安定させることができる。従って、上記第1〜3実施形態と同様に、検査位置Bに移送された後、予備運転を行わずに、直ちに表面検査を行うことができ、検査効率を向上させることができる。
【0244】
さらに本実施形態においても、上記第1〜3実施形態と同様に、取込位置Aから検査位置Bまでの間において、円筒体Wの外表面にエアーエアーを吹き付けて、表面の清浄化を図ることもできる。
【0245】
<本発明に採用可能な搬送コンベアの構成>
本発明においては、サイズの異なる複数種類の円筒体Wの検査を行えるように、以下の構成のコンベアを採用することができる。例えば図18に示す搬送コンベア6は、搬送面に搬送方向に沿って大サイズ用取置き台71、中サイズ用取置き台72および小サイズ用取置き台73が搬送方向に沿って順次繰り返すように取り付けられている。
【0246】
各取置き台71〜73は、それに対応するサイズの円筒体W…を載置した際に、各円筒体W…の軸心の高さ位置が一致するようになっている。従って、円筒体W…をそのサイズに対応する取置き台71〜73に載置することにより、いずれのサイズの円筒体Wであっても、軸心の高さ位置が変化しないため、上記実施形態における検査装置の回転移送機構2の取込位置A,A1において、一対の挿入支持部12,12を正確に挿入できて確実にチャックすることができる。これにより、サイズの異なる複数種類の円筒体Wを全て検査することができる。
【0247】
また図19は他の形態の搬送コンベア6を示す正面断面図、図20は図19の内側面図であって、図19のZ−Z線断面図に相当する。
【0248】
これらの図に示すように搬送コンベア6は、マルチ対応型の複数の取置き台7が搬送方向に沿って取り付けられている。
【0249】
この取置き台7の一対のV受け板75,75は、内側に配置される大サイズ用のV受け板751と、中間に配置される中サイズ用のV受け板752と、外側に配置される小サイズ用のV受け板753とを重ね合わせて構成されている。一対のV受け板75,75は、互いに接離する方向にスライド自在に構成されており、一対のV受け板75,75間の寸法(幅寸法)を変更できるようになっている。
【0250】
そして大サイズの円筒体Wを載置する場合には、大サイズ用のV受け板751,751が円筒体Wの両端部に位置するように、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、その大サイズ用のV受け板751,751に円筒体Wの両端部が支持されるように、円筒体Wを取置き台7に載置する。
【0251】
同様に、中サイズの円筒体Wを載置する場合には、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、中サイズ用のV受け板752,752によって円筒体Wの両端部が支持されるように円筒体Wを載置する。さらに小サイズの円筒体Wを載置する場合には、一対のV受け板75,75の幅寸法を調整し、小サイズ用のV受け板753,753によって円筒体Wの両端部が支持されるように円筒体Wを載置する。
【0252】
これにより、異なるサイズの円筒体Wを載置した際に、各円筒体Wの軸心高さが一致するようになっている。従って、いずれのサイズの円筒体Wであっても、上記と同様に、安定して搬送できて、確実に検査することができる。
【0253】
<変形例>
上記実施形態においては、本発明を円筒体の表面状態を検出する検査装置に適用した場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、円筒体の回転時における外周面の変位量(フレ)等の形状検査を行う検査装置に適用することもできる。
【0254】
例えば形状検査を行うような場合には、円筒体の外周面に接触子を接触させて変位量を検出する接触式の変位検出器や、円筒体の側方から照射したレーザー光等の透過光の有無に基づき変位量を検出する非接触式の変位検出器等を用いれば良い。
【0255】
さらに本発明は、円筒体の表面検査と、形状検査とを共に行えるようにした検査装置にも適用することができる。
【0256】
また上記実施形態においては、回転移送機構(移送手段)に3〜5つのチャック手段を設ける場合、いわゆる正三角形型、正四角形型または正五角形型の回転移送機構を用いる場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、移送手段に、1つまたは2つのチャック手段を設けるようにしても良いし、移送手段に、6つ以上のチャック装置を設けるようにしても良い。
【0257】
例えば正六角形型の移送手段を採用する場合、つまり移送手段に6つのチャック手段を設ける場合には、円環状移送経路上に周方向に等間隔おきに6つのチャック手段を設けておき、円環状移送経路上における上端位置を検査位置とし、検査位置から移送方向の下流側に向けて1/6周した位置を送出前待機位置とし、検査位置から2/6周した位置を送出位置とし、検査位置から3/6周した位置を取込前待機位置とし、検査位置から4/6周した位置を取込位置とし、検査位置から5/6周した位置を検査前待機位置とするのが良い。これにより、上記第2および第3実施形態と同様に、円筒体を順次スムーズに搬送できて、効率良く検査することが可能となる。
【0258】
また上記実施形態では、チャック装置3における各チャック部10に、2つの補助ローラ30,30を設けるようにしているが、本発明において、補助ローラ30の設置数は特に限定されるものではない。例えば図21に示すように、各チャック部10に、1つずつ補助ローラ20を設けるようにしても良い。
【0259】
また上記実施形態では、チャック装置3における各チャック部10の補助ローラ30,30を、円筒体Wの略径方向に沿って移動させるように構成しているが、本発明は、それだけに限られるものではない。例えば図22に示すように、2つの補助ローラ30,30を、基準ローラ20に対し接離させる際に、2つの補助ローラ30,30を同図の実線状態と破線状態とに示すように平行に移動させるようにしても良い。
【0260】
また上記実施形態では、挿入支持部縮径状態においては、基準ローラ20の後方に補助ローラ30の全域が重なり合うようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、挿入支持部縮径状態において、補助ローラ30の一部のみが基準ローラ20に重なり合うようにしたり、あるいは補助ローラ30が基準ローラ20に全く重なり合わないようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0261】
この発明の円筒体の検査装置は、円筒体の表面状態や外観形状等を検査する際の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0262】
2:回転移送機構(移送手段)
3:チャック装置(チャック手段)
6:搬送コンベア
7:取置き台(載置具)
12:挿入支持部
20:基準ローラ(メインローラ)
30:補助ローラ(サブローラ)
61:搬入コンベア(搬入手段)
62:搬出コンベア(搬出手段)
202:回転フレーム
A:取込/送出位置
A1:取込位置
A2:送出位置
B:検査位置(移送位置)
C1:検査前待機位置(移送位置)
C2:送出前待機位置
P:円環状移送経路
W:円筒体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査装置であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査装置。
【請求項2】
前記一対の挿入支持部は、前記サブローラ上向き姿勢と、前記メインローラを前記サブローラに対し上側に配置したメインローラ上向き姿勢との間で移行可能とされ、
円筒体をチャックした前記一対の挿入支持部が、前記メインローラ上向き姿勢に移行して、前記検査位置において、円筒体の前記メインローラに対応する部分を検査対象領域として検査するようにした請求項1に記載の円筒体の検査装置。
【請求項3】
前記移送手段は、円筒体の軸心と同じ方向の軸回りに回転自在な回転フレームを備え、
前記回転フレームに前記チャック手段が取り付けられて、前記回転フレームの回転によって、前記チャック手段が円環状移送経路に沿って移動可能に構成され、
前記チャック手段が前記円環状移送経路上の下側に配置された際には前記一対の挿入支持部が前記サブローラ上向き姿勢となり、上側に配置された際には前記メインローラ上向き姿勢となるように構成され、
前記円環状移送経路上における下側に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、上側に前記検査位置が設けられ、
前記円筒体取込位置で円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記円環状移送経路に沿って移動して、前記検査位置に移送されるようにした請求項2に記載の円筒体の検査装置。
【請求項4】
前記円環状移送経路の上端に前記検査位置が設けられ、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の下流側に向けて1/4周の範囲内に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の上流側に向けて1/4周の範囲内に円筒体送出位置が設けられ、
円筒体を略水平に載置する搬出側載置具を有し、かつ前記円筒体送出位置において前記搬出側載置具に載置された円筒体を搬出する搬出手段が設けられ、
円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記検査位置から前記円環状移送経路に沿って前記円筒体送出位置まで移送されるように構成されるとともに、
前記円筒体送出位置において、前記チャック手段における前記一対の挿入支持部の前記サブローラが前記メインローラに近接するように下側に移動することにより、チャックが解除されるとともに、前記サブローラの下側への移動に伴って、円筒体が降下して前記搬出側載置具に移載されるようにした請求項3に記載の円筒体の検査装置。
【請求項5】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに複数取り付けられ、
前記チャック手段が、前記円筒体取込位置と、前記検査位置と、前記円筒体送出位置とに同時に存在可能になっている請求項4に記載の円筒体の検査装置。
【請求項6】
前記搬入手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬入コンベアによって構成されるとともに、
前記搬出手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬出コンベアによって構成され、
前記搬入コンベアによって、前記搬入側載置具上の円筒体が前記円筒体取込位置に順次搬入されるとともに、前記搬出コンベアによって、前記搬出側載置具上の円筒体が前記円筒体送出位置から順次搬出されるようにした請求項5に記載の円筒体の検査装置。
【請求項7】
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は同じ高さ位置に設定される請求項6に記載の円筒体の検査装置。
【請求項8】
前記搬入コンベアおよび前記搬出コンベアは、一つの搬送コンベアによって構成され、
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は、同じ構成を有する請求項7に記載の円筒体の検査装置。
【請求項9】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに5つ取り付けられ、
前記円環状移送経路上における前記円筒体取込位置と前記検査位置との間に検査前待機位置が設けられるとともに、前記検査位置と前記円筒体送出位置との間に送出前待機位置が設けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査前待機位置、前記検査位置、前記送出前待機位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/5回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている請求項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項10】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに3つ取り付けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/3回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている請求項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項11】
前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、前記チャック手段にチャックされた円筒体の回転を開始するようにした請求項1〜10のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項12】
前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、円筒体の外周面にエアーを吹き付けるようにした請求項1〜11のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項13】
前記一対の挿入支持部は、前記サブローラをそれぞれ2つずつ備え、
円筒体の両端部内周面が、1つの前記メインローラおよび2つ前記サブローラによって3点でそれぞれ支持されるようになっている請求項1〜12のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項14】
各挿入支持部に設けられた前記2つのサブローラが、チャックする円筒体の略径方向に沿って移動することによって、前記メインローラに対し接離する方向に移動可能に構成される請求項13に記載の円筒体の検査装置。
【請求項15】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送装置であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送装置。
【請求項16】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック装置であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック装置。
【請求項17】
円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査方法であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段として、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査方法。
【請求項18】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送方法であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送方法。
【請求項19】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック方法であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を準備しておき、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック方法。
【請求項1】
円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査装置であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査装置。
【請求項2】
前記一対の挿入支持部は、前記サブローラ上向き姿勢と、前記メインローラを前記サブローラに対し上側に配置したメインローラ上向き姿勢との間で移行可能とされ、
円筒体をチャックした前記一対の挿入支持部が、前記メインローラ上向き姿勢に移行して、前記検査位置において、円筒体の前記メインローラに対応する部分を検査対象領域として検査するようにした請求項1に記載の円筒体の検査装置。
【請求項3】
前記移送手段は、円筒体の軸心と同じ方向の軸回りに回転自在な回転フレームを備え、
前記回転フレームに前記チャック手段が取り付けられて、前記回転フレームの回転によって、前記チャック手段が円環状移送経路に沿って移動可能に構成され、
前記チャック手段が前記円環状移送経路上の下側に配置された際には前記一対の挿入支持部が前記サブローラ上向き姿勢となり、上側に配置された際には前記メインローラ上向き姿勢となるように構成され、
前記円環状移送経路上における下側に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、上側に前記検査位置が設けられ、
前記円筒体取込位置で円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記円環状移送経路に沿って移動して、前記検査位置に移送されるようにした請求項2に記載の円筒体の検査装置。
【請求項4】
前記円環状移送経路の上端に前記検査位置が設けられ、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の下流側に向けて1/4周の範囲内に前記円筒体取込位置が設けられるとともに、
前記円環状移送経路の下端から移送方向の上流側に向けて1/4周の範囲内に円筒体送出位置が設けられ、
円筒体を略水平に載置する搬出側載置具を有し、かつ前記円筒体送出位置において前記搬出側載置具に載置された円筒体を搬出する搬出手段が設けられ、
円筒体をチャックした前記チャック手段が、前記検査位置から前記円環状移送経路に沿って前記円筒体送出位置まで移送されるように構成されるとともに、
前記円筒体送出位置において、前記チャック手段における前記一対の挿入支持部の前記サブローラが前記メインローラに近接するように下側に移動することにより、チャックが解除されるとともに、前記サブローラの下側への移動に伴って、円筒体が降下して前記搬出側載置具に移載されるようにした請求項3に記載の円筒体の検査装置。
【請求項5】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに複数取り付けられ、
前記チャック手段が、前記円筒体取込位置と、前記検査位置と、前記円筒体送出位置とに同時に存在可能になっている請求項4に記載の円筒体の検査装置。
【請求項6】
前記搬入手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬入コンベアによって構成されるとともに、
前記搬出手段は、前記搬入側載置具が搬送方向に沿って多数並んで設けられた搬出コンベアによって構成され、
前記搬入コンベアによって、前記搬入側載置具上の円筒体が前記円筒体取込位置に順次搬入されるとともに、前記搬出コンベアによって、前記搬出側載置具上の円筒体が前記円筒体送出位置から順次搬出されるようにした請求項5に記載の円筒体の検査装置。
【請求項7】
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は同じ高さ位置に設定される請求項6に記載の円筒体の検査装置。
【請求項8】
前記搬入コンベアおよび前記搬出コンベアは、一つの搬送コンベアによって構成され、
前記搬入側載置具および前記搬出側載置具は、同じ構成を有する請求項7に記載の円筒体の検査装置。
【請求項9】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに5つ取り付けられ、
前記円環状移送経路上における前記円筒体取込位置と前記検査位置との間に検査前待機位置が設けられるとともに、前記検査位置と前記円筒体送出位置との間に送出前待機位置が設けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査前待機位置、前記検査位置、前記送出前待機位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/5回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている請求項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項10】
前記チャック手段は、前記回転フレームに周方向に等間隔おきに3つ取り付けられ、
前記円筒体取込位置、前記検査位置および前記円筒体送出位置の各位置に前記チャック手段がそれぞれ同時に配置できるように構成され、
前記各位置に前記チャック手段が配置された状態で、前記回転フレームが1/3回転することによって、前記各位置の前記チャック手段が次の位置にそれぞれ移送されるようになっている請求項5〜8のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項11】
前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、前記チャック手段にチャックされた円筒体の回転を開始するようにした請求項1〜10のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項12】
前記円筒体取込位置から前記検査位置に円筒体を移送する前に、円筒体の外周面にエアーを吹き付けるようにした請求項1〜11のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項13】
前記一対の挿入支持部は、前記サブローラをそれぞれ2つずつ備え、
円筒体の両端部内周面が、1つの前記メインローラおよび2つ前記サブローラによって3点でそれぞれ支持されるようになっている請求項1〜12のいずれか1項に記載の円筒体の検査装置。
【請求項14】
各挿入支持部に設けられた前記2つのサブローラが、チャックする円筒体の略径方向に沿って移動することによって、前記メインローラに対し接離する方向に移動可能に構成される請求項13に記載の円筒体の検査装置。
【請求項15】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送装置であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とを備え、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記チャック手段は、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送装置。
【請求項16】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック装置であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備え、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック装置。
【請求項17】
円筒体を検査位置において検査するようにした円筒体の検査方法であって、
円筒体を略水平に載置する搬入側載置具を有し、その載置具上の円筒体を円筒体取込位置に搬入する搬入手段と、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段として、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記搬入側載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記搬入側載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の検査方法。
【請求項18】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を移送位置に移送するようにした円筒体の移送方法であって、
前記円筒体取込位置に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックするチャック手段と、
前記チャック手段を前記円筒体取込位置から前記検査位置まで移送する移送手段とをそれぞれ準備するとともに、
前記チャック手段は、メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を備えたものを準備しておいて、
前記チャック手段によって、前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体の移送方法。
【請求項19】
円筒体取込位置において載置具に略水平に配置された円筒体を軸心回りに回転自在にチャックする円筒体のチャック方法であって、
メインローラと、前記メインローラに接離する方向に移動可能なサブローラとをそれぞれ有し、かつ円筒体の両側部に対応して設けられる一対の挿入支持部を準備しておき、
前記円筒体取込位置において前記載置具上の円筒体をチャックするに際して、
前記一対の挿入支持部を、前記サブローラが前記メインローラに近接させる方向に移動した挿入支持部縮径状態とし、かつ前記サブローラを前記メインローラに対し上側に配置したサブローラ上向き姿勢として、円筒体の両側部内側に挿入し、
その挿入状態で、前記サブローラを上側に移動させて円筒体の内周面上側に接触させそのサブローラによって円筒体を前記載置具から持ち上げるとともに、前記メインローラを円筒体の内周面下側に接触させるようにしたことを特徴とする円筒体のチャック方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−127709(P2012−127709A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277567(P2010−277567)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】
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