説明

再利用されたポリビニルブチラール組成物及びその用途

カーペットの基布用コーティングの製造34において再生ポリビニルブチラール30を使用することにより、埋め立てられるか、そうでなければ処分される廃棄ポリビニルブチラール量が大幅に低減され、このことはポリビニルブチラール製造において必要である。再生ポリビニルブチラール30はサイズが低減され32、次いで有用な製品(カーペット基布等)の製造35,37において使用される複合材料を提供するためにそれのみ又は他の成分とともに使用され33,36、次いで該複合材料が新しいカーペットの製造35における一次基布又は二次基布のコーティング34として、又は新しいカーペットタイルの製造35におけるプレコート、メインバックコート若しくはプレコート/メインバックコートの組み合わせ34として使用される有用な製品35,37(カーペット基布34等)を形成するために使用される。加えて、廃棄カーペット20は充填材材料24として再生ポリビニルブチラールとともに選択的に使用することができ、その結果埋め立てられるか、又は焼却処分される廃棄物の量を更に低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再利用されたポリビニルブチラール組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペット、パイルカーペット、カーペットタイル等のような床用敷物の従来の製造において、パイル糸又はその他のカーペット表面材料は、一次基布及び典型的な基布コーティング、プレコート及び/又はメインバックコート並びに可能性としてはカーペットに関連したその他の層によりその位置に保持される。これらの基布コーティング、プレコート及びメインコート(特に、ラテックス、エチレンビニルアセテート、又はその他のポリマーベースの基布)のうちの少なくとも幾らかはその重要な構成材として異なる成分を使用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、再利用されたポリビニルブチラール組成物及びその用途を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カーペット、パイルカーペット、カーペットタイルのような床用敷物のための基布コーティング(backcoating)、プレコート(precoat)及びメインバックコート(main backcoat)組成物のすべて、ほとんどすべて又は一部として、使用済みの、及び/又は工業的に使用後のポリビニルブチラール(本明細書において、廃棄PVB、再生PVB又は再利用PVBと称され、それらのすべては本発明において相互に変換可能かつ同一であるとみなされる)を使用する。好ましい実施形態において、本発明は、(a)基布コーティング用組成物としての再利用PVBと、可塑剤と、充填材との混合物、(b)基布コーティング用組成物(本明細書においては「コーティング」組成物として定義される)としての再利用PVBと、可塑剤と、エチレンビニルアセテート(EVA)と、充填材との混合物、(c)コーティング若しくはプレコート及びメインバックコート組成物(プレコート及びメインバックコート組成物は本明細書においては「コート」組成物として定義される)としての再利用PVBと、粘着促進剤(tackifier)組成物と、EVAと、充填材(そして、選択的に可塑剤を含む)との混合物、(d)プレコート及びメインバックコート組成物としての再利用PVBと、可塑剤と、アニオン性界面活性剤と、充填材との混合物を使用し、当該混合物は単独で、又は充填材若しくはその他の添加剤と組み合わせて、床用敷物又はその他の被覆されたアイテムの構造体中に挿入されるべき基質上に押し出されるか、又は部分的に構築されたアイテム上に直接押し出される。これらの再利用PVB組成物は、長期間にわたる耐久性及びその他の敷物(例えば、カーペットパッド及び裏張り材)との適合性を含む優れた化学的及び物理的特性を示す。
【0005】
種々のポリマー材料の使用及び廃棄の増大、環境意識、ポリマーの廃棄に関する政府の規制及び廃棄されたポリマーの再利用に伴う技術的な困難性から、処分(廃棄)されたポリマーの許容され得る再利用に対する必要性が生まれている。廃棄されたPVBは、とりわけ、種々のアジュバンド及び汚染要因源であることから、その再生用途がほとんど許可されていないポリマーの一例である。
【0006】
PVBは、車両、幾らかの建造物及び特定のその他の用途のための安全ガラスにおいて大量に使用されている。廃棄されたPVB源は、自動車、トラック、バス等のような車両の解体物及び車両用安全ガラス製造時の廃棄物を含む。本発明によれば、PVBは商業的なフロントガラスリサイクル法、又は安全ガラス製造に関連した商業的な再生法によりガラスから分離され得る。例えば、安全ガラスからのガラスは、廃物となった安全ガラスを粉砕、細砕及びミリングすることにより再生され、小さなガラス粒子及びPVBを生ずる。次いで、得られたガラス粒子は再利用される。得られたPVBは典型的には、ゴミ廃棄場に廃棄されるか、焼却により廃棄される。廃棄に代えて、本発明ではPVBを再利用する。
【0007】
本発明によれば、再利用されたPVBは、環境上の問題及び上記されたような関連する問題を軽減するために、加工されて、ある種のカーペットのコーティング及びコート組成物に使用される。本発明において、再利用されたPVBは、上述の商業的な方法から、ペレット、粒子又は粉体、例えば、好ましくは約1.588mm(1/16インチ)乃至約9.525mm(3/8インチ)のペレット若しくは粒子又は好ましくは約10乃至16メッシュの粉体として得られる。該方法は、PVBをガラス及びその他の成分から、従来の装置を用いて、破砕及び密度差から分離する工程と、従来の装置を用いてPVBを所望のサイズに粉砕する工程とからなり、それらの工程は室温条件にて実施されるとともに、分離及び粉砕工程の種々の地点にて、種々のガラス及び金属不純物の分離を含む。ドゥルバックグラス(Dlubak Glass)社(オハイオ州、アッパーサンダスキー(Upper Sandusky)に所在)により使用される商業的なシステムであるアンデラ(Andela)フロントガラス粉砕システムのような従来の方法又は一連の破砕機、粉砕装置及び/又は分離装置を使用する任意のその他のシステムは、本発明の組成物中にてチップを使用のための上述のサイズに低減するために使用され得る。本発明において使用され得る再利用PVBは、可塑剤、ガラス、砂のようなアジュバンド又は不純物を含み得、そのことはほぼ完全なリサイクリングを達成することに大きく寄与している。上述のサイズにて商業的に得られた再利用PVBは、微量のガラス、金属又はその他のアジュバンド若しくは不純物を含んでいるが、それらは本発明に望ましくない影響を与えるのに十分な量ではない。本発明によれば、望ましくないアジュバンド及び/又は不純物は再利用PVBのサイズを低減する前又は後のいずれかにおいて従来の方法により除去され得る。
【0008】
本発明は、好ましくは、ある種のカーペット基布用組成物を調製するために再利用PVBとともに可塑剤を用いる。本発明の再利用PVBと共に使用するために許容可能な可塑剤としては、ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート及びそれらの各々の混合物並びにそれらと他の可塑剤との混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。幾らかの場合において、可塑剤は、それらに限定されるものではないが、ポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びその他のものを含む任意の数のグリコール生成物と置き換えられるか、又は混合され得る。
【0009】
カーペットタイルプレコートに対して、本発明はまた、POLYOX(登録商標)(ダウ(Dow)社から供給される)のようなポリ(エチレンオキサイド)ポリマーを、組成物の約0.5乃至10重量%の好適な量にて好ましくは使用する。この成分はコーティング装置の稼働性を改善する。
【0010】
本発明はまた、それらに限定されるものではないが、炭化水素樹脂、その他の粘着促進剤及びそれらの混合物を含む粘着促進剤を使用できる。
本発明の特定のカーペットコーティング及びコート組成物はまた、充填材又は充填材混合物からなる。好ましい充填材は、炭酸カルシウム、充填材の大きさに粉砕された再利用されたカーペット材料、及びその混合物又はそれらと他の材料との組み合わせである。炭酸カルシウムは、好ましくは、約99パーセント又はそれ以上の粉砕された石灰石及び約1パーセント未満の結晶質である。炭酸カルシウムは好ましくは、化合物を積層するために、カーペット産業において周知の典型的なサイズであると好ましい。
【0011】
本発明において充填材として使用され得る再利用カーペットは複数の方法により得られる。例えば、典型的なカーペット製造工程において、典型的にはゴミ処理されるか、又は焼却処分される廃棄となるカーペットが生成される。加えて、新たなカーペットを古いカーペットと置き換えて設置する際、使用され、かつ廃棄されるべきカーペット(使用済み廃棄カーペットである)は建物から取り除かれ、かつ典型的にはゴミ処理されるか又は焼却処分される。これらの廃棄カーペットのゴミ処理又は焼却処分に代えて、本発明はそれらを再利用カーペット充填材材料として使用する。本発明によれば、再利用カーペットの成分は、標準的な破砕、粉砕、及び分離技術を用いて、充填材の大きさに分離かつ粉砕される。
【0012】
再利用カーペットは炭酸カルシウム等の鉱物性充填材を含み、当該充填材は本発明の組成物中においては保持され、かつ使用され得る。ある種の廃棄カーペットにおいて、熱可塑性樹脂のようなその他の材料が炭酸カルシウム充填材とともに廃棄材料の構成部分を形成し、かつ本発明の組成物中において保持され、かつ使用され得る。この再利用カーペット材料の使用により、廃棄カーペットに対して必要であるゴミ処理の量又はその他の廃棄物の廃棄が回避されるか、又は少なくともかなり低減される。
【0013】
上記したように、カーペットの基布組成物に対する充填材として任意の新たに採掘された石灰石の炭酸カルシウムを使用することに代えて、炭酸カルシウムを含む再利用廃棄カーペット並びに熱可塑性樹脂(新たなカーペット製品から得られる、及び/又は再利用された廃棄物から得られる)は、本発明の充填材材料として使用され得る。再利用材料はまた、例えば、新たに採掘され、かつ粉砕された石灰石のような未使用の炭酸カルシウム並びに未使用の熱可塑性樹脂と組み合わせて使用することもできる。
【0014】
本発明のカーペット基布組成物及びカーペット基布は、標準的なタイプのカーペット基布を製造するために使用される従来的な加熱システムにおいて、かつ該システムにより製造される。しかしながら、該システムは加熱される必要はない。本発明の組成物は従来のコーティング装置及び塗布装置によりカーペット及びカーペットタイルの裏側に塗布されるように有利にデザインされる。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、PVBを再利用する方法が提供され、該方法は、本質的かつ逐次的には、(a)再生されたPVBを回収する工程と、(b)再生されたPVBのサイズを低減する工程と、(c)再生されたPVBをその他の成分とともに加工する工程と、(d)有用な製品の製造において有用である複合材料を形成する工程と、(e)複合材料を用いて有用な製品を形成する工程とからなる。工程(c)及び(d)は、有用な製品の製造において有用である複合材料を形成するために再生され、かつ適切にサイズ化されたPVBとその他の成分との加工を生ずるべく組み合わせることができる(例えば、カーペット用一次基布若しくは二次基布のコーティング、プレコート、メインバックコート、又はカーペットタイルのためのプレコート/メインバックコートの組み合わせ(combination precoat/main backcoats))。
【0016】
該方法において、工程(a)は、本質的に使用済みの再生PVBのみ、本質的に工業的に使用後の再生PVB(例えば、新たな製品の製造から得られるもの)のみ、又はそれらの混合物を回収するために実施され得る。上記したように、PVBは、使用された若しくは廃棄された安全ガラスから、商業的なフロントガラス再利用法又は安全ガラスの製造と関連した商業的な再生方法により分離され、かつ再生される。使用済みの再生PVB又は工業的に使用後の再生PVBは、所望であるか若しくは必要である場合、任意の従来技術を用いてある種の不純物又はアジュバンドを除去するために処理され得る。
【0017】
該方法において、工程(b)は、従来の粉砕機を用いた粉砕のような従来技術により再生PVBを特定のサイズに低減することにより実施される。カーペットの基布における使用に対しては、再利用PVBを、約40メッシュのスクリーンを使用して、約1.588mm(1/16インチ)にサイズが低減されると好ましい。押し出し法、又は加熱スロットのようなその他の溶融塗布に対しては、フロントガラスのサイズの低減において生成される標準的な9.525mm(3/8インチ)のサイズが使用され得る。カーペットタイルのバックコート(プレコート又はメインバックコート)における使用に対しては、PVBの約90%以上が標準12号ふるい(Tyler10メッシュ;1.70mm又は0.0661インチ)を通過するが、約10%以下が標準18号ふるい(Tyler16メッシュ;1.0mm又は0.0394インチ)を通過するように再利用PVBのサイズが低減されると好ましい。
【0018】
該方法において、工程(c)は、充填材材料として炭酸カルシウムを使用すべく実施され、該工程において、炭酸カルシウムは化合物を積層するためにカーペット産業において一般的に使用されるサイズである。加えて、工程(c)は、充填材成分として、本質的に使用済みの廃棄カーペットのみ、本質的に工業的に使用後の廃棄カーペット(例えば、新しいカーペットの製造から得られるもの)のみ、それらの混合物、又は未使用の炭酸カルシウムとの混合物を使用するために実施される。この点において、そしてそれらの更なる開示に関しては、係属する米国特許出願第09/686798号、係属する米国特許出願第09/782518号及び係属する米国特許出願第09/986058号の全体が、本明細書において参照として援用される。所望に応じて、又は必要に応じて、使用済みの廃棄カーペットは本発明において使用する前に任意の従来からの洗浄技術により洗浄され得る。該方法は典型的には、表面糸(face yarn)、一次基布及び廃棄カーペットの基布コーティングの全てを用いて実施されるので、該方法は更に表面糸及び一次基布を廃棄カーペットの基布コーティングから分離して、実質的に表面糸及び一次基布を含まない廃棄カーペット基布コーティングを生成する工程と、本質的に廃棄カーペット基布コーティングのみを使用する工程とを含む。また、種々の廃棄カーペットの基布は、一次基布又は二次基布のコーティングのような一つの特定のカーペット基布のみを使用するように互いに分離され得る。
【0019】
該方法において、工程(c)は、ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、及びそれらの混合物又はカーペット基布組成物のためのその他の許容可能な可塑剤との組み合わせのような許容可能な可塑剤を使用するために実施される。本発明の一実施形態において、可塑剤は、組成物の全重量に対して約1乃至30重量%の量にて存在しており、更なる実施形態は、該組成物のその他の成分に依存して、約1乃至20重量%又は約5乃至30重量%にて含む。可塑剤は、それらに限定されるものではないが、ポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びその他のものを含む任意の数のグリコール生成物と置き換えられるか、又は混合され得る。本発明の一実施形態において、グリコール生成物は、組成物の全重量に対して約1乃至30重量%の量にて存在しており、更なる実施形態は、該組成物のその他の成分に依存して、約1乃至20重量%又は約5乃至30重量%にて含む。押出しコーティングに対して、可塑剤及びグリコール生成物は必要ではない。
【0020】
該方法において、工程(c)は、EVA、炭化水素樹脂混合物のような許容可能な粘着促進剤又はそれらの種々の混合物を使用するために実施される。EVAは粘着促進剤を用いることなく本発明において使用され得る。EVAはElvax(登録商標)(デュポン(duPont)社から供給される)、Escorene(登録商標)(エクソン(Exxon)社から供給される)または同様のタイプであり得る。粘着促進剤はEscorez(登録商標)ECR171(エクソン社から供給される)、XR−4231(アリゾナケミカル(Arizona Chemical)社から供給される)またはその他同様の樹脂であり得る。有望な結果はまた、Eastoflex(登録商標)樹脂(イーストマン(Eastman)社から供給される)を用いることにより得ることもできる。
【0021】
カーペットタイルのプレコート又はプレコート/メインコート基布組成物を調製するための方法において、工程(c)は、NovawetPPW(登録商標)(ベーメ−フィラテックス(Boehme−Filatex)社から供給される)又は同様のアニオン性界面活性剤のようなアニオン性界面活性剤を使用するために実施され得る。水もまた使用できる。例えば、カーペットタイルのタイプの適用に対しては、システムの一部としてPPWを使用することが好ましい。水は選択的であり、混合物を保持するための媒体としてのみ存在し得る。結果として、工程(c)及び(d)は複合材料を形成するために単一工程として結合され得る。
【0022】
該方法において、工程(d)は、結果としてカーペット又はカーペットタイルの一部となる基質に適用されるための複合材料を形成するために使用され得る。
カーペットタイルのタイプの製品又は伝統的なPVBコートされたカーペット製品に対する代替物を製造するための別の方法において、100重量%の再利用PVB、又は再利用PVB及びカーペット充填材(例えば、充填材サイズの炭酸カルシウム及び/又は充填材のサイズに粉砕された再利用廃棄カーペット材料)の混合物が形成され、カーペットタイル製造において一般的なタイプであってスパンボンド製若しくは織物製のガラス繊維安定化スクリム(scrim)上に押し出されるか、広幅のカーペット若しくはタイル・カーペットにおいては一般的であるような一次又は二次基布上に押し出されるか、又は房状の又は織物状の床敷物の裏側に直接押し出される。
【0023】
本発明はまた、工程(c)に先立って、更なる選択的な工程として、廃棄カーペットを回収する工程と、充填材及び熱可塑性樹脂を含み得る該廃棄カーペットから第一の材料を供給するために該廃棄カーペットを加工する工程と、該第一の材料を約50−100乃至約95−325(ここで、最初の数は、二番目の数に対応するメッシュサイズを有するメッシュふるいを通過する第一の材料の百分率を表す)の範囲である所定のサイズにサイズを低減する工程とを採用する。
【0024】
加えて、複合材料は、約10P・s(10,000CPS)乃至約30P・s(30,000CPS)の範囲にある粘度を有するべく溶融した状態に加工され得る。後者の粘度範囲は、カーペットの一次基布又は二次基布のコーティングを形成するために特に有用である。
【0025】
該方法の工程(e)においてカーペット基布用組成物及びカーペット基布を製造するために使用される標準的な混合及び加熱システムを含むカーペット産業において周知である従来の機械、加工及び技術は、本発明の工程を実施するために採用することができる。
【0026】
本明細書において形成される有用な製品の一実施形態において、カーペット製品は、0%より大きくかつ約100重量%までの再利用PVBから形成された一次若しくは二次基布又は基布コーティングを有する。本明細書において形成される有用な製品の別の実施形態において、カーペット製品は、0%より大きくかつ一次若しくは二次基布又は基布コーティングの全重量に基づいて約50重量%までの再利用PVBと、約1乃至10重量%のEVAと、約30乃至40重量%の粘着促進性樹脂と、約0乃至55重量%の充填材(又は0%より大きく約55重量%までの充填材)から形成された一次若しくは二次基布又は基布コーティングを有し、該充填材は炭酸カルシウム及び/又は再利用廃棄カーペット材料からなり、かつ選択的に約1乃至30重量%の可塑剤からなる。本明細書において形成される有用な製品の更なる実施形態において、カーペット製品は、0%より大きくかつ一次若しくは二次基布又は基布コーティングの全重量に基づいて約20重量%までの再利用PVBと、約0乃至10重量%のEVAと、約30乃至40重量%の粘着促進性樹脂と、約0乃至55重量%の充填材(又は0%より大きく約55重量%までの充填材)から形成された一次若しくは二次基布又は基布コーティングを有し、該充填材は炭酸カルシウム及び/又は再利用廃棄カーペット材料からなり、かつ選択的に約1乃至20重量%の可塑剤からなる。
【0027】
本明細書において形成される有用な製品の別の実施形態において、カーペットタイル製品は、プレコーティング、基布コーティング又はプレコーティングと基布コーティングとの組み合わせの全重量に基づいて、約1乃至100重量%の再利用PVBから形成されたプレコーティング、基布コーティング又はプレコーティングと基布コーティングとの組み合わせを有し得る。本明細書において形成される有用な製品の別の実施形態において、カーペットタイル製品は、プレコーティング、基布コーティング又はプレコーティングと基布コーティングとの組み合わせの全重量に基づいて、約15乃至60重量%の再利用PVBと、約10乃至25重量%の可塑剤と、約0.25乃至10重量%のアニオン性界面活性剤と、約20乃至60重量%の充填材と、から形成されたプレコーティング、基布コーティング又はプレコーティングと基布コーティングとの組み合わせを有し得、該充填材は炭酸カルシウム及び/又は再利用廃棄カーペット材料と、約0乃至10重量%の水と、からなる。
【0028】
本発明の再利用PVB組成物及び方法がカーペットの一次及び二次基布、基布コーティング、並びにカーペットタイルのプレコート、バックコート及びプレコートとバックコートとの組み合わせを形成するために有用であることは理解されよう。本発明はまた、再利用PVBから形成されたカーペット基布用コーティングを用いた新しいカーペットを形成することも更に含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
カーペットの標準的な構造が図1の符号10にて概略的に示されている。カーペットは、一次基布として周知の織物布又はスパンボンド布14に房状に形成された表面糸11を含む。一次基布14は、該一次基布を貫通して一方の面から外に向かって房状に伸びるパイル糸11と、反対の面に一次基布のコーティング若しくはプレコート12と、少なくとも一つの二次基布のコーティング若しくは主基布のコーティング(メインバックコート)13とを有する。その他の層もまたカーペット10に関連づけられる。一次基布のコーティング又はプレコート12は典型的にはラテックス、PVC(ポリビニルクロライド)、EVA(エチレンビニルアセテート)又はその他のポリマーベースの材料からなり、二次基布のコーティング13はまた、ポリマーからなるか又はポリマーを含む。典型的には、一次基布のコーティング12及び二次基布のコーティング13の一方又は両方は充填材を含む。最も一般的な充填材は典型的には炭酸カルシウムである鉱物性の充填材である。とはいえ、その他の充填材も使用可能であり、又は炭酸カルシウムは金属塩のようなその他の一般的な材料とともに使用され得る。本発明によると、カーペット10は再利用PVBからなる一次基布コーティング若しくはプレコート12及び二次基布コーティング若しくはメインコート13を備えて製造され、かつ可能性としては、充填材の全て又は一部として、炭酸カルシウムに代えて廃棄カーペットを使用する。
【0030】
カーペット10はまた用途に応じて任意の数のその他の層を含み得る。例えば、カーペット10は従来の二次基布(典型的には、床又はパッドと接触するように構成された織物布又はニードルパンチ布)を有し得る。
【0031】
図2は本発明に従う例示的な方法を概略的に示す。該方法において、再生されたPVBは、図2の符号30にて示されるように、最初に回収される。回収物は使用済みの廃棄PVB及び/又は工業的使用後の廃棄PVBからなり、引き続いて再生された又は再利用されたPVBとして参照される。仮に再利用されたPVBが不必要な量の任意の不純物又はアジュバンドを含む場合、図2の符号31にて示されるように、該不純物又はアジュバンドは除去され得るか又はその量が低減され得る。例えば、不純物又はアジュバンドは以下に記載されるサイズ低減の前又は後のいずれかにおいて、任意の適切な従来技術を用いて除去されるか又はその量が低減され得る。
【0032】
例示的な方法において、再利用PVBは、図2の符号32にて示されるように、所定のサイズに低減される。再利用PVBは従来の技術によりサイズが低減され得る。本発明において、再利用PVBは、例えば、好ましくは約1.588mm(1/16インチ)乃至約9.525mm(3/8インチ)のペレット若しくは粒子、又は好ましくは10乃至16メッシュの粉体のようなペレット、粒子又は粉体として上述の商業的な方法から得られる。従来の装置を用いて破砕及び密度差によりガラス及びその他の成分からPVBを分離し、かつ室温条件にて実施され得る従来の装置を用いてPVBを所望のサイズに粉砕する工程からなる従来の方法は、該分離及び粉砕工程の種々の地点において、種々のガラス及び金属不純物を分離することを含む。ドゥルバックグラス社(オハイオ州、アッパーサンダスキー所在)により使用される商業的なシステムであるアンデラフロントガラス粉砕システムのような従来の方法又は一連の破砕機、粉砕機及び/又は分離機を使用するその他任意のシステムは本発明の組成物においてチップを使用のための上述のサイズに低減するために使用され得る。上記したように、本発明にて使用され得る再利用PVBは可塑剤、ガラス、砂のようなアジュバンド又は不純物を含み、それらはほぼ完全なリサイクリングを達成することに大きく寄与している。上述のサイズにて商業的に得られた再利用PVBは微量のガラス、金属又はその他のアジュバンド若しくは不純物を含み得るが、それらは典型的には本発明に望ましくない影響を与えるのに十分な量ではない。本発明によれば、望ましくない量のアジュバンド及び/又は不純物は再利用PVBのサイズ低減の前又は後に従来の方法により除去され得る。
【0033】
カーペット用基布における使用に対して、再利用PVBは、40メッシュのふるいを用いて約20メッシュの粉体又は約1.588mm(1/16インチ)のチップにサイズが低減されると好ましいが、チップは約9.525mm(3/8インチ)以下の範囲においても使用することができる。熱溶融処方において使用される9.525mm(3/8インチ)の範囲のチップは、好ましい適用方法のためにそれらを軟化するために更なる熱を必要とするであろう。
【0034】
カーペットタイルのバックコートにおける使用に対して、再利用PVBの90%以上が12号の標準ふるい(Tyler10メッシュ;1.70mm又は0.0661インチ)を通過するが、10%以下が18号の標準ふるい(Tyler16メッシュ;1.0mm又は0.0394インチ)を通過するように該再利用PVBのサイズを低減させると好ましい。従来の方法は、本発明の組成物においてチップを使用のためにこれらのサイズに低減するために使用される。
【0035】
例示的な方法において、サイズの低減された再利用PVBは、図2の符号33に示されるように、その他の成分とともに加工される。カーペットの基布組成物を形成するために、好ましい組成物の一つを以下に示す:即ち、組成物の全重量に対して0%を超え、かつ20重量%までの再利用PVB(ここで、PVBは約1.588mm(1/16インチ)以下である)、約30乃至38重量%のEscorez(登録商標)ECR171タイプの粘着促進性樹脂、約0乃至10重量%のElvax(登録商標)、Escorene(登録商標)又は同様のタイプのEVA、約0乃至55重量%の炭酸カルシウム充填材(好ましくは約99%以上の石灰石と約1%未満の結晶質)及び/又はカーペット産業において化合物を積層するために一般に使用されるような充填材サイズまでに粉砕された再利用カーペット材料、及び選択的に可塑剤である。
【0036】
例示的な方法において、カーペットの基布組成物を調製するためのシステムは、好ましくは熱溶融混合物を生成するために蒸気加熱される被覆混合タンクから構成されているが、その他の従来のシステムも使用され得る。成分は好ましくは、加圧封入システムを介する従来の方法によってタンクまで送達されるが、該タンクの頂部のハッチを介して加えられる可能性も存在する。全てのタンクは正確に秤量された充填セルに配置されると好ましい。熱溶融混合物は温度を維持するために加熱された被覆パイプ中の製造ラインに送り込まれる。カーペットへの適用を以下に記載する。
【0037】
好ましくは、再利用PVBは、約165.56−182.22℃(330−360°F)の好ましい温度にて他の成分の後にタンクに加えられる。再利用PVBの全てがこれらの温度にて溶解するものではないが、好ましくは混合物中に分散され、それにより、図2の符号34にて概略的に示されるように、基布用コーティング組成物を生成することを明記する。次に、図2の符号35にて概略的に示されるように、標準的な処理技術及び装置を用いて、該混合物は好ましくは、本明細書に記載されているアプリケータ・ロール/ドクター・バーを介して160.00−171.11℃(320乃至340°F)の温度にてカーペットに適用される。従来の技術及び装置を用いて、コーティングされた布は好ましくは、二次基布(本発明の再利用PVB組成物に基づくものであり得る)と接合され、かつ押圧され、次いで、複合材料が冷却される。
【0038】
タイルプレコート化合物のようなカーペット基布用組成物又はプレコート組成物とメインバックコート組成物との組み合わせられたものを形成するための例示的な方法において、好ましい組成物の一つを以下に示す:即ち、再利用PVBの90%以上が12号の標準ふるい(Tyler10メッシュ;1.70mm又は0.0661インチ)を通過するが、10%以下が18号の標準ふるい(Tyler16メッシュ;1.0mm又は0.0394インチ)のみを通過するようにサイズ化された15乃至65重量%の再利用PVBと、ガラスの用途にてPVBの調製時に一般的に使用されるタイプの可塑剤であって(それらに限定されるものではないが)ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、安息香酸のその他のエステル、これらの混合物及びその他の可塑剤を含む10乃至25重量%の可塑剤と、NovawetPPW(登録商標)のような0.25乃至10重量%のアニオン性界面活性剤と、約0乃至60重量%の炭酸カルシウム充填材(好ましくは約99%を超える石灰石と約1%未満の結晶質)と、及び/又はカーペット産業において化合物を積層するために一般的に使用されるような充填材サイズに粉砕された再利用カーペット材料と、約0乃至10重量%の水とである。
【0039】
本発明によれば、プレコート/メインコート混合物は好ましくは、ラテックスカーペット化合物又はPVCプラスチゾルを調製するために一般的に使用される従来の装置にて製造され得るが、その他の装置においても同様に製造され得る。混合物は好ましくは、従来のパドル塗布によりカーペットに塗布され、引き続いてロールドクタリング(roll doctoring)にて所望のレベルとされる。好ましくは、従来の技術及び装置を用いて、コーティングされた材料に熱が加えられ、約176.67℃(350°F)にて再利用PVB組成物が溶融される。これに代えて、該方法は、塗布する段階にて再利用PVBと幾らかの湿式成分と組み合わせて塗布した際の最終組成物に必要とされる湿式成分の量を低減することができる。コーティングされたカーペットは好ましくは、一連のカレンダロール及び/又はエンボスロールを通過させて裏面を形成する。
【0040】
本発明のPVB組成物は好ましくは、従来の単軸押し出し機又は二軸押し出し機を用いてカーペット安定化スクリム上に押し出される。材料は、ロープ又はシートとして押し出し機から排出され、適切な幅及び厚みにカレンダー加工される。充填材を適用する場合、該充填材は押し出し機にて加えられ、好ましくは適度な混合性を得るために二軸押し出し機に加えられるか、又は押し出し機の前に再利用PVBと混合される。
【0041】
コーティングされた安定化スクリムは通常のスクリムの位置にて使用可能であり、かつスクリムと結合するために使用される通常の積層化合物の一部と置き換えられ得る。再利用PVBに起因する粘着性を開始するために更なる熱がコーティングされた基質に適用される。
【0042】
上述の好ましい粘着促進剤/EVA組成物及び方法に従うカーペット基布用組成物を形成するために、該材料は、従来のアプリケータ/ドクター・バー技術を介して適用され、かつ市販のカーペット市場にて一般的な許容可能なタフト(tuft)の結合性、層間剥離、可燃性及びその他の特性が与えられるような粘度(154.44℃(310°F)において約13乃至20Pa・s(13,000乃至20,000CPS))であると好ましい。カーペット基布材料上に押し出される場合、組成物はその他の成分と付着される。カーペットに取り付けられた二次基布に押し出される場合、組成物はまた、ブリティッシュスピル(British Spill)テストとして一般的に参照される幾らかのカーペットの規格に記載されているような最終製品の表面上に注入される湿気に対する不透過性を示した。
【0043】
上述の好ましい組成物に従い、タイル・カーペットプレコート用化合物又はプレコートとメインコートと組み合わせた組成物を形成するためには上述のものと類似の特性が望ましいが、またカーペットタイルを製造するためにその他の成分と組み合わせて使用する場合、寸法安定性も望ましい。カーペットタイル用の安定化スクリム上に押し出され、かつ複合材料中に挿入される場合、組成物は他の成分と結合して、必要となる全ての規格化された特性に適合するカーペットタイル製品が形成される。コーティングされた二次基布は、二次基布に関して通常実施されているように製品中に加えられる。高温溶融混合物の加熱はコーティングされた材料をカーペットに結合するには十分であることが明らかとなった。更なる加熱により結合が開始されるか、又はその結合がより強固になることが助けられる。また、高温溶融混合物の量は再利用PVBの粘着特性により低減され得る。
【0044】
本発明の代替的な実施形態において、カーペット又はカーペットタイルの一部となり得る基質の適用に対して、100%の再利用PVB又は再利用PVBとカーペット充填材(例えば、炭酸カルシウム充填材及び/又はカーペット産業において化合物を積層するために一般的に使用されている充填材のサイズに粉砕された再利用カーペット材料)との混合物がカーペットタイル製造において一般的なタイプであり、スパンボンド製又は織物製のガラス繊維安定化スクリム上に押し出され得るか、広幅のカーペットまたはタイル・カーペットにおいて一般的であるような一次基布又は二次基布上に押し出され得る。種々の組成物が安定化スクリムを使用することなく、工業規格であるアーヘン(Aachen)試験により測定されたように許容可能な寸法安定性を示す。
【0045】
本発明のその他の実施形態に従って、再利用PVB及び/又は充填材及びその他のポリマーとの混合物は、従来の技術を用いて、独立型シート(フィルム)として押し出され得る、又は基質上に押し出され得る。このシート又はコーティングされた基質は、多重層製品のその他の層により封入された薄板の層を形成することにより床用敷物に組み込まれ得る、又は床用敷物の底部側に付着され得る。封入は、シートと反応するか、又は加熱/加圧を介してその他の層に融合される液体又はプラスチゾル製品の層の間に存在する。再利用PVBは、ガラス、ラテックス化合物、ポリオレフィン類、及びその他のポリマーを含む複数のその他の化合物を備えた生来的な高温溶融付着特性を有する。加熱/加圧を介して床用敷物の底部に結合され得るか、又は既存の高温溶融積層工程において使用される一つ以上の標準化合物に付着され得る。
【0046】
微細に粉砕された再利用PVB(20メッシュ)は、ポリアミド、ポリエステル、種々のポリオレフィン類等のようなその他のポリマーの乳化において現在使用可能なシステムにおいて乳化され得る。この乳化混合物は、充填材及びその他のポリマー、並びに乳化のための標準的な界面活性剤及び安定化剤を含み得る。混合物は、アクリル若しくはSBRラテックス乳剤又はPVBプラスチゾルを適用する場合のような既存装置の種々の組み合わせの幾らかによって床用敷物の基布に適用され得る。この層は、床用敷物の底部層となり得るか、又は床用敷物の二次基布層に取り付けるために使用され得る。
【0047】
付加的な実施形態として、廃棄カーペットは、図2の符号20に示されるように、最初に回収される。回収物は、使用済み廃棄カーペット、新しいカーペットの製造に伴う標準的な工程からの廃棄カーペット、又はその両方からなる。符号20にて回収された廃棄カーペットが任意の深刻な状態にて汚染されている場合、以下に記載され、かつ図2の符号22及び24に示されているようなサイズの低減化の前又は後に、任意の適切な従来技術を用いて洗浄され得る。
【0048】
本発明に従って、本発明の実施において選択的又はそれ以降にて使用される廃棄カーペットは、本質的に、表面糸、一次基布、及び一次及び二次基布のコーティング、並びに場合によってはその他の成分を含む廃棄カーペットの全ての成分であることは理解されよう。しかしながら、廃棄カーペットの一部又は全てのいずれかの場合の幾らかの状況下においては、更なる工程に進む前に、表面、一次基布及び基布用コーティングを互いに分離しておくことが望ましい。カーペット成分の選択的な分離は図2の符号21に概略的に示されている。分離は、米国特許第5728741号明細書に一般的に記載されているような任意の適切な従来技術を用いて、表面、全ての基布及び基布用コーティングを互いに分離すべきであるかに依存して達成され得る(当該米国特許明細書の開示は、本明細書において参照として援用される)。特定の基布又は基布用コーティングのみが使用される場合、それとほぼ同様のタイプの新しい基布又は基布用コーティングの製造と適合するような試みがなされる(例えば、ラテックスからなる基布用コーティング)。
【0049】
廃棄カーペット材料の種々の異なるタイプが本発明において選択的に使用され得るが、構成成分として炭酸カルシウム及び熱可塑性樹脂混合物を含む廃棄カーペットを加工すると有用である。そのような廃棄カーペット材料の一つとしては、エバーグリーンナイロンリサイクリングエルエルシー(Evergreen Nylon Rcycling LLC)、[ジョージア州オーガスタに所在のディーエスエム(DSM)とハネウェル(Honeywell)との合弁会社]により製造されるCo−Product(カーペット再利用工程の残渣)が周知であり、該廃棄カーペット材料は、50乃至70%の炭酸カルシウムと、0乃至45%の熱可塑性樹脂混合物と、0乃至45%のナイロンと、0乃至8%のカプロラクタムとを含む(いずれも重量%)。別のそのような廃棄カーペットは、デュポンフロアリングシステムズ(Dupont Flooring Systems)の環境計画(Environmental Initiatives)部門、[ジョージア州カルフォーン(Calhoun)所在]による使用済みカーペット廃棄物の分離によって生ずる製品PCR−3である。その他の痕跡材料もまた廃棄材料には存在し得る。これらの廃棄製品材料は、カーペット基布用コーティングを形成するための通常の温度にて、該廃棄カーペット材料が本発明のその他の成分と適合可能な温度、流動性及び粘性のパラメータを有することから特に有用である。
【0050】
図2に戻ると、廃棄カーペット成分が分離されているか否かに関わらず、炭酸カルシウム及び熱可塑性樹脂を含む廃棄カーペット材料は、図2の符号22及び24にて示されるように、カーペットの基布用コーティングを形成するために使用される充填材のサイズに対応する特定のサイズに低減される。加えて、図2の符号23に示されるように、Condux又はペレット若しくはストランド中への押し出し成形のような当該技術分野において周知の従来技術により材料の緻密化が必要に応じて採用される。カーペット廃棄材料はサイズが低減化され、好ましくは、カーペットの基布コーティングにおいて使用するための樹脂及びラテックスベース化合物において有用な典型的な粉砕物まで粉砕される。この粉砕は、パルマン(Pallmann)粉砕機、レイモンド(Raymond)ローラミル及びインプ(Imp)ミルのような充填材の業界にて使用されるような従来の機器を用いて達成され得る。記載された材料に必ずしも必要というわけではないが、低音粉砕機もまた使用できる。廃棄カーペット材料を粉砕するためには特定の装置を必要としない。粉砕された粒子のサイズは、50−100乃至95−325の好ましい範囲を有するものと考えられ、特に78−200の粉砕物が好ましいと考えられる(最初の数字は、第二の数字に対応するメッシュサイズを有するメッシュふるいを通過する材料の百分率を表す)。結果として、粉砕された廃棄カーペット材料は、図2の符号33に示されるように、充填材として、その他の標準的なカーペット基布成分に加えられる。
【0051】
本発明に従う好ましい工程において、適切にサイズ化された再利用PVBはその他の標準的なカーペット基布用コーティング成分とともに、一次基布コーティング、二次基布コーティングまたはカーペットのその他基布要素(典型的にはバックコートとして集合的に参照される)のいずれかのために使用され得る。例えば、再利用PVBは、ラテックス、EVA,又は従来の構成物のPVB基布コーティングと組み合わせて採用され得る。
【0052】
上記工程の任意の段階にて、種々の従来からの精製が使用され得る。例えば、ふるい分け又はその他不純物除去の実施が所望の特性を備えた製品を製造するために所望に応じて採用され得る。
【0053】
本発明の結果として、カーペット基布コーティング及びその他可能性のある目的における用途のために再生されたPVB(及び廃棄カーペット)を使用することにより、製品の品質を損ねることなく、PVB(及び廃棄カーペット)のごみの埋め立て又は廃棄を実質的に排除するか、又は顕著に低減させることが可能となる。
【0054】
本明細書において、本発明をもっとも実用的かつ好ましい実施形態であると現在考えられるものにおいて記載したが、本発明の範囲内において種々の変更がなされることは当業者には明らかであろう。当該範囲は全ての同等な製品及び工程を包含するために添付された請求の範囲のもっとも広い解釈に従うべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】従来のカーペット又は本発明に従って製造されたカーペットの概略断面図である。
【図2】本発明に従って実施され得る種々の方法の工程を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み材料から、又は製造工程から再生されたポリビニルブチラールを含むカーペット基布をコーティングするための組成物において、
前記再生されたポリビニルブチラールは、前記カーペットの全重量に対して、0%を超え、かつ約40乃至60重量%までである組成物。
【請求項2】
前記再生されたポリビニルブチラールは約10乃至40メッシュのサイズにサイズが低減される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
粘着促進性樹脂を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の全重量に対して、約30乃至約40重量%の粘着促進性樹脂を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物の全重量に対して、0%を超え、かつ約10重量%までのエチレンビニルアセテートを更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の全重量に対して、0%を超え、かつ約55重量%までの充填材を更に含み、前記充填材は、炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の全重量に対して、約1乃至20重量%の可塑剤を更に含み、前記可塑剤は、ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の全重量に対して、約1乃至20重量%のグリコール生成物を更に含み、前記グリコール生成物は、ポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
使用済み材料から、又は製造工程から再生されたポリビニルブチラールを含むカーペットタイルのプレコート用組成物、メインバックコート用組成物又はプレコート用組成物とメインバックコート用組成物との組み合わせ。
【請求項10】
前記再生されたポリビニルブチラールは、前記組成物の全重量に対して約1乃至約65重量%である請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記再生されたポリビニルブチラールは、前記組成物の全重量に対して約15乃至65重量%である請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記再生されたポリビニルブチラールは、該ポリビニルブチラールの約90重量%以上が12号の標準ふるいを通過するが、約10重量%以下が18号の標準ふるいを通過するようにサイズが低減されている請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物の全重量に対して約10乃至約25重量%の可塑剤を更に含み、前記可塑剤は、ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、安息香酸のその他のエステルの混合物及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項9に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の全重量に対して約0.25乃至約10重量%のアニオン性界面活性剤を更に含む請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の全重量に対して約20乃至60重量%の充填材を更に含み、前記充填材は炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項9に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物の全重量に対して約1乃至20重量%のグリコール生成物を更に含み、前記グリコール生成物は、ポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項9に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の全重量に対して約0.5乃至10重量%のポリ(エチレンオキサイド)ポリマーを更に含む請求項9に記載の組成物。
【請求項18】
カーペットの基布用コーティング剤を調製する方法において、
(a)廃棄ポリビニルブチラールを回収する工程と、
(b)ポリビニルブチラールを加工して、前記ポリビニルブチラールからカーペットの基布コーティング剤の製造に有用な複合材料を生成する工程と、
(c)前記複合材料からカーペットの基布用コーティング剤を調製する工程と、
からなる方法。
【請求項19】
前記工程(a)と工程(b)の間にて、前記ポリビニルブチラールのサイズを低減する工程を更に含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリビニルブチラールは約20乃至40メッシュにサイズが低減される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記複合材料は該複合材料の全重量に対して約1乃至30重量%の量にて廃棄ポリビニルブチラールを含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記複合材料は該複合材料の全重量に対して約20乃至50重量%の粘着促進性樹脂を含む請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記複合材料は、該複合材料の全質量に対して、0%を超え、かつ約25重量%までのエチレンビニルアセテートを含む請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記複合材料は、該複合材料の全質量に対して、0%を超え、かつ約55重量%までの充填材を含み、かつ前記充填材は炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記複合材料は、該複合材料の全質量に対して約5乃至30重量%までの可塑剤を含み、かつ前記可塑剤はブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つである請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約5乃至30重量%のグリコール生成物を含み、前記グリコール生成物はポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである請求項18に記載の方法。
【請求項27】
カーペットタイル用のプレコート、メインバックコート又はプレコートとメインバックコートとの組み合わせを調製する方法において、
(a)廃棄ポリビニルブチラールを回収する工程と、
(b)前記ポリビニルブチラールを加工して、カーペットタイルのプレコート、メインバックコート又はプレコートとメインバックコートとの組み合わせの製造において有用な複合材料を形成する工程と、
(c)前記複合材料から、カーペットタイルのプレコート、メインバックコート又はプレコートとメインバックコートとの組み合わせを調製する工程と、
からなる方法。
【請求項28】
前記工程(a)と(b)との間にてポリビニルブチラールのサイズを低減する工程を更に含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリビニルブチラールは、該ポリビニルブチラールの約90重量%以上が12号の標準ふるいを通過するが、約10重量%以下が18号の標準ふるいを通過するようにサイズが低減される請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約15乃至約35重量%の量にて廃棄ポリビニルブチラールを含む請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約10乃至約25重量%の量にて可塑剤を含み、前記可塑剤は、ブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、安息香酸のその他のエステルの混合物及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約0.25乃至約10重量%の量にてアニオン性界面活性剤を含む請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約20乃至約60重量%の量にて充填材を含み、前記充填材は、炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約5乃至30重量%のグリコール生成物を含み、前記グリコール生成物はポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記複合材料は、該複合材料の全重量に対して約0.5乃至約10重量%の量にてポリ(エチレンオキサイド)ポリマーを含む請求項27に記載の方法。
【請求項36】
表面と、一次基布と、一次基布のコーティングと、少なくとも一つの二次基布のコーティングとを有するカーペットにおいて、
前記一次基布及び二次基布のコーティングのうちの少なくとも一方は再利用ポリビニルブチラールを含むカーペット。
【請求項37】
前記基布コーティングの少なくとも一つは、前記再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して、0%を超え、かつ約65重量%までの再利用ポリビニルブチラールを含む請求項36に記載のカーペット。
【請求項38】
前記再利用ポリビニルブチラールは約10乃至40メッシュのサイズにサイズが低減されている請求項36に記載のカーペット。
【請求項39】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、粘着促進性樹脂を更に含む基布コーティング。
【請求項40】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティング全重量に対して約30乃至約40重量%の粘着促進性樹脂を更に含む基布コーティング。
【請求項41】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、前記再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して、0%を超え、かつ約10重量%までのエチレンビニルアセテートを含む基布コーティング。
【請求項42】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、前記再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して、0%を超え、かつ約55重量%までの充填材を含み、前記充填材は、炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである基布コーティング。
【請求項43】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して約1乃至約30重量%の可塑剤を更に含む基布コーティング。
【請求項44】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して約1乃至約30重量%の可塑剤を更に含み、前記可塑剤はブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである基布コーティング。
【請求項45】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して約1乃至約30重量%のグリコール生成物を更に含む基布コーティング。
【請求項46】
請求項36に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記基布コーティングの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなる基布コーティングの全重量に対して約1乃至約30重量%のグリコール生成物を更に含み、前記グリコール生成物はポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つである基布コーティング。
【請求項47】
表面と、プレコート及びメインバックコートのうちの少なくとも一つとを有するカーペットタイルにおいて、
前記プレコート及び前記メインバックコートのうちの少なくとも一つは再利用ポリビニルブチラールを含むカーペットタイル。
【請求項48】
請求項47に記載のカーペットタイルにおいて、
前記プレコート及び前記メインバックコートのうちの少なくとも一つは、前記再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して、0%を超え、かつ約65重量%までの再利用ポリビニルブチラールを含むカーペットタイル。
【請求項49】
請求項47に記載のカーペットタイルにおいて、
前記再利用ポリビニルブチラールは、該ポリビニルブチラールの約90重量%以上が12号の標準ふるいを通過するが、約10重量%以下が18号の標準ふるいを通過するようにサイズが低減されているカーペットタイル。
【請求項50】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約10乃至約25重量%の可塑剤を更に含むバックコート。
【請求項51】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約10乃至約25重量%の可塑剤を更に含み、前記可塑剤はブチルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、ブチルオレエート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つであるバックコート。
【請求項52】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約0.25乃至約10重量%のアニオン性界面活性剤を更に含むバックコート。
【請求項53】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、前記組成物の全重量に対して約0.5乃至10重量%のポリ(エチレンオキサイド)ポリマーを更に含むバックコート。
【請求項54】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約20乃至約60重量%の充填材を更に含むバックコート。
【請求項55】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約20乃至約60重量%の充填材を更に含み、前記充填材は、炭酸カルシウム、再利用カーペット材料及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つであるバックコート。
【請求項56】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約1乃至約30重量%のグリコール生成物を更に含むバックコート。
【請求項57】
請求項47に記載の再利用ポリビニルブチラールからなる前記バックコートの少なくとも一つは、該再利用ポリビニルブチラールからなるバックコートの全重量に対して約1乃至約30重量%のグリコール生成物を更に含み、前記グリコール生成物はポリ(オキシ)エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及びそれらの混合物から選択される少なくとも一つであるバックコート。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−514136(P2006−514136A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−569207(P2004−569207)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2003/035857
【国際公開番号】WO2004/078471
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505333296)モホーク ブランズ インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MOHAWK BRANDS INC.
【Fターム(参考)】