説明

再利用できる鋳造要素

本発明は、液体金属を移送するための鋳造プラントのための鋳造要素(30)であって、液体の流れのための通路を一連の形で接続し画定する複数の鋳造要素を含み、鋳造要素(30)が、通路の軸線と一致する軸線を有するパイプ、特に取瓶パイプを具備する、鋳造要素に関する。鋳造要素が、プラントの上流要素(20)と接触することができ、上流要素に対するパイプの軸線回りのパイプの角度配向を制御するための手段(42)を含み、前記手段が、互いに異なる3つの配向をチューブに与えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造液体金属のための設備、特に連続鋳造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
液体金属、特に液体スチールを移送するための鋳造設備は、先行技術により既に公知であり、回転円筒体である取瓶シュラウドが下流に配置された液体金属の取瓶を具備する。このシュラウドは、取瓶に固定された鋳造要素に接触する上方端部とタンディッシュに浸される下方端部とを具備する。チューブが設備内部に導入されると鉛直に配置された軸線に本質的に沿って延びる管が、シュラウドに形成される。
【0003】
鋳造の1つの方法が鋳造設備を使用して以下のように行われる。取瓶がタンディッシュの上に位置決めされ、シュラウドが取瓶に取り付けられる。鋳造作用が次いで行われ、次いで、シュラウドが取瓶から取り除かれる。その次に、取瓶は、タンディッシュの上の自由空間を離れるように移動される。別の取瓶は次いで、第1の取瓶の位置に到着する。取瓶シュラウドは、再利用されることが可能であり、このために別の取瓶に固定される。シュラウドは、各取瓶に対して任意の角度配向で配置される。
【0004】
この方法では、シュラウドが再利用されるにもかかわらず、シュラウドの寿命は、シュラウドが極度の状況(高温、相当な温度変化等)に置かれるならば、非常に長くはない。したがって、単一のシュラウドを、限られた回数だけしか使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、より長寿命を有する鋳造要素、特に取瓶シュラウドを具備する鋳造要素を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明の対象は、
液体金属を移送するための鋳造設備のための鋳造要素であって、
液体金属が沿って流れることができる鋳造要素の軸線に本質的に沿って延びる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素を具備すると共に、
鋳造要素がチューブ特に取瓶シュラウドを具備し、
チューブの軸線が管の軸線に一致し、
鋳造要素が、設備の上流要素と接触することができると共に上流要素に対する軸線回りのチューブの角度配向を制御するための手段を具備し、
これらの手段が、互いに異なる少なくとも3つの配向をチューブに付与することのできる、
鋳造要素である。
【0007】
したがって、鋳造要素、特に取瓶シュラウドを、1又は複数の所定の配向で取瓶の下に導入することができる。結果として、シュラウドは毎回再利用され、シュラウドが設備の上流要素に対して配置される角度配向を制御することができ、場合により、シュラウドが以前の使用で配置されたことのある角度配向に応じて制御することができる。
【0008】
その結果、このことは、チューブの内部におけるさらに均等な磨耗を得ることを可能にする。具体的には、スチール鋳造取瓶を離れる流れは、鋳造作用時に部分的に閉じられることが可能である開口を具備する周知の「スライドバルブ」が取瓶と取瓶シュラウドとの間にある場合は特に、わずかに配向される。この開口が部分的に閉じられる位置にあるときに、液体金属の流れは、正弦曲線状に移動し、例えば、さらに具体的には、液体金属の流れが、シュラウドの内壁の所与の部分に向かって方向付けられ、液体金属の流れが、シュラウドの内壁上でいわば反射され、壁の反対部分に向かって方向付けられる。現在では、取瓶シュラウドの内壁のこうした部分であって、流れがそれらの部分に向かって方向付けられる部分は、液体金属が上昇させられる高い温度により、この壁の残りの部分よりも早く磨耗する。したがって、チューブの内壁の一部分のみが残りの部分との比較で非常に酷く磨耗してきているので、使用に応じて最も磨耗しやすい壁のこうした部分を分散することによって、チューブの壁の内部の磨耗をより均一にすることができ、チューブがスクラップされる必要がなくなる(チューブの配向がランダムであるときにこのような状況になりうる。)。したがって、チューブの寿命が延ばされる。
【0009】
さらに、配向を制御する手段により、液体金属の流れを配向することが容易となる。チューブが設備に配置されるべき位置が正確に知られているからである。したがって、例えばチューブを開口と嵌合することが可能となり、その結果、流れは、1又は複数の優先方向にタンディッシュを通して流れる。このことは、鋳造の効率を提供することができる。
【0010】
本発明は、以下のリストに含まれる1又は複数の特徴を具備してもよい。
− 制御手段は、チューブの互いに異なる4つの配向、特に90°だけ離間した配向を付与することができる。この実施形態は、最適なチューブの寿命を可能にするという理由で、本発明の好ましい実施形態である。具体的には、このような手段により、チューブの内壁全体を使用することが可能になる一方で、鋳造要素が互いに異なる2つの配向で位置決めされるときに流れを受け取りそうな部分である重複領域が最小化される。一方で、配向制御手段がチューブを4よりも多い配向の数で設備内部に導入することができるように形成されているならば(この実施形態もまた本発明に含まれる。)、重複領域は、チューブの互いに異なる2つの角度配向で磨耗することになる。したがって、チューブの内壁の大部分が未だに任意のリスクなしに流れを受け取ることができるにもかかわらず、こうした重複部分が内壁の残り部分よりも前に限界磨耗閾値に到達することになり、チューブがスクラップされることになる。したがって、上述された実施形態は、チューブの寿命を最適化することができる。
− チューブは、管の一方の端部に対応する端部において、上流要素と接触することのできる、平坦な表面を有する。この場合、チューブは、(押し込み嵌めよりもむしろ)摺動することによって、取瓶を具備する設備に当接するように、さらに具体的には設備の下流に位置するバルブに当接するように配置される。したがって、本発明による鋳造要素はさらなる利点を有する。チューブが上流要素に対して摺動するからである。上流要素の接触表面は一般的に、局所的に磨耗を受け、損傷した区域は、上流要素に対するチューブの摺動方向に平行であるチューブの直径の付近に位置する区域に一致する。したがって、チューブが再利用されると上流要素に対するチューブの配向が変更される場合に、上流要素と接触する表面上の磨耗がさらに均等に広げられる。このことは、チューブにこの表面でクラックが形成させるのを防ぎ、さらにチューブの寿命の最適化に貢献する。
− 鋳造要素は、チューブの周りに配置されることが可能である取り外し可能フレームを具備する。いくつかの例では、この取り外し可能フレームは、チューブを補強し、フレームと支持体との間の協働によって鋳造設備の所定の位置にチューブを保持する。
− 制御手段は、チューブ及びフレームの両方又は一方に形成される少なくとも一つの当接表面を具備し、特に設備の上流要素と接触する要素を保持することのできる支持体に属する少なくとも1つの相補的な表面と協働することができる。具体的には、当接表面は、支持体の突出部と協働することのできる収容部(若しくは切欠き部)の表面であってもよく、又は支持体の収容部(又は切欠き部)と協働することのできる突出部の表面であってもよい。
− 制御手段は、一方ではチューブに、他方ではフレームに形成されると共に互いに協働することのできる当接表面を具備する。この場合、フレームは、支持体において単一の配向でフレームを配向するための手段を具備し、これに対して、チューブをフレームにいくつかの配向で配向することができる。
− 接触表面を具備するチューブの端部は、少なくとも1つの半径方向特異部を有するように構成され、制御手段は、特異部を形成するチューブの少なくとも1つの部分におけるチューブの周辺部に配置される。この構成は、チューブをオペレータ又はロボットによって支持部に又はフレーム内部に取り付けることを容易にする。具体的には、こうした半径方向特異部は、フレームの当接表面及び支持体の当接表面の両方又は一方をチューブの当接表面と整列するように移動させるのを容易にする。
− 具体的には、チューブは少なくとも2つの半径方向特異部を有し、各特異部は、接触表面から離間して、面取り表面においてチューブの軸線方向に終端する突出部である。面取り表面は特に、寄りかかることのできるフレームに属する相補的な形状の表面と協働することができる。この場合、チューブの摺動の方向が、任意の配向で、半径方向特異部が延びる方向と一致しないように、角度配向手段が配置される。この実施形態は有利である。結果として、圧力を受けるチューブの接触表面の区域が、圧縮状態にあるからである。こうした区域の圧縮負荷は効果的である。面取り表面がフレームの相補的な表面に載置されるからである。この実施形態は、接触表面における開口クラックの形成を妨げ、さらにはチューブの寿命を延ばすことを可能にする。
【0011】
本発明の別の対象は、液体金属が沿って流れることのできる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素を具備する、金属を移送するための鋳造設備である。この設備は本発明による鋳造要素を具備する。
【0012】
本発明のさらなる対象は、
金属を移送するための複数の鋳造設備を用いて鋳造するための方法であって、
各設備は、金属が沿って流れることができる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素を具備し、
この方法は、本発明による鋳造要素を用いると共に、
− チューブが第1の設備の上流要素に対してチューブの軸線回りに第1の配向で配置されるように、鋳造要素が導入される段階、
− 鋳造作用が行われる段階、
− 鋳造要素が、第1の設備から取り除かれる段階、
− チューブが第2の設備及び第3の設備の上流要素に対してチューブの軸線回りに、それぞれ第2の配向次いで第3の配向で配置されるように、前述の3つの段階が、それぞれ第2の設備次いで第3の設備に配置された鋳造要素によって繰り返される段階、
を含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1つの特定の実施形態による鋳造設備の略断面図。
【図2】本発明の1つの特定の実施形態による注ぎチューブの斜視図。
【図3】本発明の別の実施形態による、取瓶シュラウド及びフレームを具備する鋳造要素の斜視図。
【図4】フレーム及びシュラウドが未だに組み立てられていないときの、図3による鋳造要素の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、単なる例として与えられると共に図面を参照しつつ作成された以下の記載を読むことからさらに良好に理解される。
【0015】
図1は、本発明の1つの特定の実施形態による鋳造設備10を示す。鋳造設備は特に、液体金属を貯蔵する取瓶12と、液体金属が鋳造モールド16にアクセスできるようにするタンディッシュ14とを具備する。
【0016】
取瓶12を移動することができる一方で、タンディッシュ14及びモールド16は固定されている。したがって、取瓶12が空になると、取瓶12がタンディッシュから離れるように動かされ、タンディッシュの上の自由空間を離れる。別の満ちた取瓶が次いで、タンディッシュ14の上のこのために設けられた位置に移動される。
【0017】
液体金属が取瓶12とタンディッシュ14との間を通過することができるように、設備10はまた、取瓶シュラウド18を備える鋳造要素も具備する。シュラウド18は、管を有し、金属はこの管に沿って流れる。この管は本質的に、シュラウド18がその使用位置にあるときに鉛直である軸線に沿って延びる。
【0018】
図1において理解できるように、シュラウド18は、その使用位置にあるときに、この例では取瓶12に固定されたスライドバルブ20である、上流鋳造要素と接触するための表面を具備する。他方では、シュラウド18の下方端部は、タンディッシュ14に浸される。さらに具体的には、シュラウド18は、その上方端部において、バルブ20と接触するための表面を具備し、この表面は平坦であり、この表面により、シュラウドが摺動することによって設備10において位置決めされることを可能にする。このために、シュラウドは、鋳造の際に、設備に対して外側のアーム22によって支持され保持される。
【0019】
鋳造設備は、上述のものに制限されない。
【0020】
例えば、タンディッシュの下に1つだけの鋳造モールド16があることを想像することができる。シュラウドを摺動することによってよりもむしろ押込み嵌めとして設備内部に取り付けることができる。さらに、取瓶には、スライドバルブが取り付けられる必要はない。鋳造設備には、いくつかの他のタイプのバルブが取り付けられることができる。
【0021】
取瓶に属すると共にシュラウド及び取瓶を共に保持するH字形状をした支持部から特に形成されているスライドバルブ20と接触するシュラウドを保持する装置もありうる。
【0022】
本発明の第1の実施形態による鋳造要素がこれより記載される。
【0023】
図2は特に、図1の鋳造設備のための取瓶シュラウドを形成する鋳造要素を示し、図2は、さらに具体的には、シュラウドの上方端部を示す。
【0024】
この例ではシュラウドである鋳造要素30は、耐熱性の材料から作成されると共に円形断面の円筒の形であるチューブ本体32を具備する。シュラウドは、その上方端部において、正方形断面のヘッド34を具備し、スライドバルブ20などの設備の上流要素と接触することのできる平坦接触表面36で終端する。このようなシュラウドは、既に説明されたように摺動することによって導入部に取り付けられる。
【0025】
さらに、図2から理解できるように、シュラウドは、単一部品として作成されると共にシュラウドの端部部分の周りに形成される外装部38を具備する。この部分は特に、ヘッド34とシュラウドのチューブ状の部分とを具備する。外装部38は、金属材料、特にスチールから作成される。
【0026】
この外装部38は、その周りにおいてベルト部を形成する環状部分40を具備し、このベルト部は外装部38の残りの部分よりも厚い。ベルト部の厚さは特に、10mmよりも厚く、好ましくは14mmよりも厚い。さらに、切欠き部42はベルト部40に形成され、さらに具体的には、ベルト部40の下方部分に形成される。
【0027】
シュラウドは4つの切欠き部42を具備し、各切欠き部は、ヘッドの各側面の中央部において、そのシュラウドの正方形ヘッドの1つの側面上に位置する。図には、2つのみの切欠き部が示されている。切欠き部同士は90°離間されている。すなわち、シュラウドを管の軸線回りに90°だけ回転すると、シュラウドのヘッドは、回転する前と同一の外見となる。
【0028】
ヘッドの反対の側面上に位置する2つの切欠き部42の表面は、マニピュレータアーム22などのヘッドを保持する設備の支持部の2つのピン(図示しない)の相補的な表面と協働することを目的とした当接表面を形成し、シュラウドを支持部で保持することができる。
【0029】
さらに、こうした当接表面はまた、シュラウドの角度配向を制御する手段をも形成する。具体的には、これらの当接表面により、シュラウドを、シュラウドの管の軸線に対して所定の配向で支持部に位置決めすることができる。
【0030】
さらに、シュラウドのヘッドが90°だけ回転するときにシュラウドが変わらないので、シュラウドを支持部において互いに異なる4つの配向で位置決めすることができる。支持部に属する同一のピンは、シュラウドの4つ全ての切欠き部42を受け取ることが可能であり、それにより、上流要素、すなわち導入部のバルブ20に対してシュラウドの互いに異なる4つの配向を付与する。
【0031】
このことは特に有利である。シュラウドの内壁の磨耗とシュラウドの接触表面36の磨耗を適切に分布することができるからである。
【0032】
シュラウドの金属外装部38はさらに、シュラウドのチューブ状部分を覆うその部分に、4つのフィン44を具備する。これらのフィンは、互いに同一であり、本質的に管の軸線に沿って延びる。これらのフィンは、不変でありかつ三角形断面から形成される。各フィン44は、1つの切欠き部42の下に位置する。したがって、フィン44は、90°だけ互いに離間する。
【0033】
フィン44は、シュラウドを支持部に移動させることのできるハンドリング装置に、シュラウド18を配置することができる。フィン44は特に、ハンドリング装置の相補的な切欠き部と協働することを意図する。シュラウドが、いくつかのフィン44をそのシュラウドの外周部の周りに分布されるときに均等に具備するので、シュラウドを管の軸線に対していくつかの配向でハンドリング装置に配置することが可能であり、このことは、シュラウドを支持体に対して所望の配向で配置することを容易にする。
【0034】
本発明の第2の実施形態による鋳造要素がこれより、図3及び図4を使用して記載される。
【0035】
第2の実施形態による鋳造要素50は、シュラウド52と、2つの部品54a,54bで作成された取り外し可能フレーム54とを具備し、フレームは、シュラウドのヘッドの周りに配置される。前述の実施形態と同様に、鋳造要素の上方端部のみが図に示されている。
【0036】
シュラウド52は耐熱性の材料から作成されたチューブ本体56を具備し、シュラウド52には、特にスチールから作成された金属外装部58が、シュラウドの端部部分に設けられる。前述の実施形態によるシュラウドと同様に、シュラウド52は、その上方端部において接触表面60で終端し、この接触表面は、平坦であり、設備の上流要素、すなわちスライドバルブ20と接触することを目的とする。
【0037】
シュラウドはさらに、突出部62からなると共にシュラウドの端部部分に形成された4つの半径方向特異部を具備する。これらの突出部62は、互いに90°だけ離間され、すなわち、シュラウドの断面がこのシュラウドを90°だけ回転したときでも変わらないように構成されている。
【0038】
さらに、図4において理解できるように、各突出部62は、接触表面60に対して傾斜した面取り表面64において、接触表面60から離間した突出部の端部で終端する。各表面64は、フレーム及びシュラウドが組立てられるとシュラウドの表面60に対して傾斜されているのと同様に、フレームに属する相補的な表面66に寄りかかることを意図している。表面64及び表面66は、フレームにシュラウドを保持するために、互いに当接する。
【0039】
さらに、シュラウドの周辺部に位置する半径方向特異部を形成する各部分において、シュラウド52が突状部68を具備する。突状部68は、フレーム及びシュラウドが組立てられたときに、フレームの連続溝部70に係合することを意図している。
【0040】
フレームの各部品は、シュラウドの形状を補填する形状の内壁を有する。フレームの2つの取り外し可能部品54a,54bは、このように設けられた孔72とネジ−ナットシステムとを用いて、一緒になるようにネジ締めされる。結果として、フレームの2つの部品は、シュラウドに固定されないが、これら2つの部分の相互アタッチメント手段の作用と、シュラウドの当接表面62とフレームの相補的な表面66との間とシュラウドの突状部68とフレームの溝部70との間との協働とにより、シュラウドに固定される。
【0041】
さらに、シュラウド及びフレームの形状が互いに相補的であると共に突状部68及び溝部70が互いに一致するので、フレームに対する中心軸線回りのシュラウドの回転角度を決定することができる。具体的には、一定の所定の配向でのみ、シュラウドをフレームに取り付けることができる。したがって、手段68−70,71−62は、フレームに対するシュラウドの配向を制御する手段を形成する。
【0042】
フレームはさらに、上流要素に対するフレームの配向を制御する手段を使用して、同様に鋳造設備に取り付けられる。これらの手段は、図に示されていない。例えば、これらの手段は、フレームの2つの対向する側面に位置すると共に支持部の2つのピンと協働することのできる切欠き部42に類似する2つの切欠き部を具備する。
【0043】
さらに、シュラウドが90°だけ回転したときに変更がなく、4つの突状部62が同一であるので、シュラウドを90°だけ離間した4つの配向でフレームに配置することができる。
【0044】
したがって、シュラウド及びフレームの組立体によって形成された鋳造要素を、互いに異なる4つの配向で鋳造設備に配置することができる。フレーム54の内壁の相補的な形状と関連する手段62及び68−70と支持部に対するフレームの配向を制御する手段とは、鋳造設備の支持部及び上流要素に対する管の軸線回りのシュラウドの角度配向を制御する手段を形成する。これらの手段は、支持部と上流要素とに対する互いに異なる4つの配向をシュラウドに与えることができる。
【0045】
さらに、表面64が重力により表面66に載置されるので、半径方向突状部62同士の間に位置する区域は、フレーム54及びシュラウド52の組立体が設備に導入されると圧縮を受ける。配向をチェックする手段が次いで配置され、それにより、シュラウドが設備に導入されるときに摺動することによって最も損傷を受ける領域であって、シュラウドの摺動の方向に延びるチューブの直径の付近に位置する領域は、半径方向突状部同士の間に位置する領域に対応する。これらの領域は、圧縮を受けるので、実際には摺動による負荷による損傷が少ない。
【0046】
シュラウド52の金属外装部58は、第1の実施形態で記載されたフィン44のようなフィン74を具備することに留意されたい。これらのフィンにより、シュラウドを導入部に移動させるハンドリング装置に鋳造要素を配置することができる。この実施形態では、フィンは、半径方向突状部に対してオフセットするように位置する。
【0047】
したがって、鋳造要素を形成するシュラウド及びフレームの組立体は、シュラウドを鋳造設備において所望のやり方で配向させることができる。
【0048】
鋳造要素は、上述の実施形態に制限されない。
【0049】
例えば、シュラウド及びフレームを具備する鋳造要素であって、シュラウドをフレームに対して単一の配向のみでフレームに取り付けることが可能であり、フレームを、いくつかの配向で設備の支持体内部に導入すると共に設備の上流要素に対して導入することが可能である、鋳造要素もまた、本発明の一部を形成する。
【0050】
さらに、制御手段の形状は、記載された形状に制限されない。第1の実施形態によるシュラウドは、様々な形状の外装部及び切欠き部の両方又は一方から突出する当接表面を具備してもよい。同様に、第2の実施形態において、シュラウドが回転円であったならば、制御手段は、突状部68とフレームに形成された相補的な形状の収容部とを具備してもよい。これらの手段の数及び分布は同様に、上記記載に制限されない。
【0051】
さらに、ハンドリング装置上にシュラウドを正確に位置決めするためのフィン44,74などの案内手段は任意選択のものである。これらの手段はまた、上述の形状とは異なる形状を有してもよい。
【0052】
加えて、第1の実施形態によるシュラウドは、正方形断面以外の断面のヘッドを具備してもよい。
【0053】
同様に、第2の実施形態によるシュラウドは、半径方向特異部を具備しなくてもよく、回転円であってもよい。この実施形態ではまた、フレームが、ネジ締め作用以外でシュラウドに固定されてもよい。
【0054】
さらに、チューブの形状及び材料は、上述のものに制限されない。
【0055】
本発明の1つの特定の実施形態による鋳造の方法であって、上述の鋳造要素のチューブのうちのいずれか1つにより行われる鋳造の方法が、これより記載される。
【0056】
第1に、取瓶12がタンディッシュ上に移動され、この取瓶に固定されたスライドバルブ20がそのときは閉じられている。さらに具体的には、スライドバルブは、2つの重ね合わせプレートであって、一方のプレートを他方のプレートに対して摺動することができる重ね合わせプレートの組立体である。これらの2つのプレートはそれぞれ孔を具備する。取瓶12がタンディッシュ上に移動されたときには、2つの孔は重ね合わせられない。
【0057】
したがって、シュラウドの配向がマニピュレータアームに対して決定されるので、鋳造要素を、この例ではスライドバルブ20である設備の上流要素に対して第1の配向に位置決めすることができる。マニピュレータアーム22は次いで、スライドバルブ20に当接するように鋳造要素30;50を移動させる。スライドバルブ20の2つのプレートが次いで移動され、それにより、孔が重ね合わされて、バルブが開き、流れが管に入ることができる。鋳造作用が次いで行われ、その結果、取瓶から液体金属がタンディッシュ内部に注がれる。
【0058】
取瓶12が空になると、アーム22がシュラウドをこの取瓶から取り除き、この取瓶が移動される。次いで、新しい取瓶をタンディッシュの上の位置に移動させることができる。
【0059】
第2の実施形態について記載された鋳造要素と同様の鋳造要素の場合に、フレーム54がこのときに取り外され、フレームに対するシュラウド54の配向が変更される。
【0060】
その結果、全ての例において、鋳造要素30;50は、新しい取瓶を備える新しい設備内に導入され、それにより、鋳造要素のシュラウド30;52は、スライドバルブ20に対する第1の配向とは異なる第2の配向を適用する。鋳造要素30のシュラウドが第1の実施形態によるシュラウドである場合にはアーム22に対するシュラウドの配向が変更され、シュラウドが第2の実施形態によるシュラウドである場合にはフレーム54がアーム22に対して同様に配向される。
【0061】
設備内部に導入される鋳造要素30;50を用いる上述の段階が、鋳造要素のシュラウド30;52が第2の配向となるように繰り返され、次いで、同じ段階がもう一度繰り返され、鋳造要素のシュラウド30;52が新しい鋳造設備のバルブに対して第3の配向となるように鋳造要素30;50を導入する。したがって、シュラウドの磨耗がより良好に分布され、シュラウドをさらに何度も使用することができる。このことはシュラウドの寿命を長くし、鋳造方法のために必要とされる機械設備に伴うコストについて節約することができる。
【0062】
本発明による方法は同様に、上記記載の方法に制限されない。
【0063】
設備が設備内のシュラウドを保持するために、取瓶に属する支持体を具備するならば、この方法は、設備内にシュラウドを導入する各段階について、或る装置がシュラウドのフィンを用いてシュラウドを保持する段階、次いでシュラウドが支持体に位置決めされて、シュラウド又はフレームの切欠き部42を用いて支持体に対して配向される段階を含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属を移送するための鋳造設備(10)のための鋳造要素(30;50)であって、
液体金属が沿って流れることができる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素(12;20;18)を具備し、
鋳造要素(30;50)がチューブ特に取瓶シュラウドを具備し、
チューブの軸線が管の軸線に一致し、
鋳造要素が、設備の上流要素(20)と接触することができる、
鋳造要素において、
上流要素に対する軸線回りのチューブの角度配向を制御するための手段(42;64;70)を具備し、
これらの手段が、互いに異なる少なくとも3つの配向をチューブに付与することのできる、
鋳造要素。
【請求項2】
制御手段が(42;64;68)、チューブの互いに異なる4つの配向、特に90°だけ離間した配向を付与することができる、
請求項1に記載の鋳造要素(30;50)。
【請求項3】
チューブが、管の一方の端部に対応する端部において、上流要素と接触することのできる、平坦な表面(36;60)を有する、
請求項1〜2のいずれか1項に記載の鋳造要素(30;50)。
【請求項4】
チューブ(52)の周りに配置されることが可能である取り外し可能フレーム(54)を具備する、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳造要素(50)。
【請求項5】
制御手段が、チューブ及びフレームの両方又は一方に形成される少なくとも一つの当接表面(42;64;68)を具備し、例えば設備の上流要素と接触する要素を保持することのできる支持体に属する少なくとも1つの相補的な表面(66;70)と協働することができる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳造要素(30;50)。
【請求項6】
制御手段が、一方ではチューブ(52)に、他方ではフレーム(54)に形成されると共に互いに協働することのできる当接表面を具備する、
請求項4及び5の組み合わせに記載の鋳造要素(50)。
【請求項7】
接触表面(60)を具備するチューブの端部が、少なくとも1つの半径方向特異部(62)を有するように構成され、
制御手段が、特異部を形成するチューブの部分のうちの少なくとも1つの部分におけるチューブの周辺部に配置される、
請求項5及び6のいずれか1項に記載の鋳造要素(50)。
【請求項8】
チューブが、少なくとも2つの半径方向特異部を有し、各特異部が、接触表面(60)から離間して、面取り表面(64)においてチューブの軸線方向に終端する突出部であり、面取り表面が、特にフレームに属する相補的な表面(66)と協働することができる、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋳造要素。
【請求項9】
液体金属が沿って流れることのできる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素(12;20;18)を具備する、金属を移送するための鋳造設備(10)において、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳造要素(30;50)を具備する、
鋳造設備。
【請求項10】
金属を移送するための複数の鋳造設備(10)を用いて鋳造するための方法であって、
各設備が、金属が沿って流れることができる管を一連の形で接続し形成する複数の鋳造要素(12;20;18)を具備し、
この方法が、請求項1〜8のいずれか1項による鋳造要素(30)を用いる、
方法において、
− チューブが第1の設備(10)の上流要素(20)に対してチューブの軸線回りに第1の配向で配置されるように、鋳造要素(30;50)が第1の鋳造設備内部に導入される段階、
− 鋳造作用が行われる段階、
− 鋳造要素(30;50)が、第1の設備から取り除かれる段階、
− チューブが第2の設備(10)及び第3の設備の上流要素(20)に対してチューブの軸線回りに、それぞれ第2の配向次いで第3の配向で配置されるように、前述の3つの段階が、それぞれ第2の設備次いで第3の設備に配置された鋳造要素(30;50)によって繰り返される段階、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509184(P2012−509184A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536774(P2011−536774)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008242
【国際公開番号】WO2010/057638
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(500180226)ベスビウス グループ ソシエテ アノニム (15)
【Fターム(参考)】