説明

再帰反射機能付蓄光誘導標識及びその製造方法

【課題】本発明は、蓄光層と再縁反射層の両方を有する再帰反射機能付蓄光誘導標識であって、蓄光層の性能が、12時間後の残光輝度が10mcd/m2以上で、再帰反射の性能が、70cd/1ux/m2(JIS Z9117 1級規格)以上である再帰反射機能付蓄光誘導標識及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】透明保護層と、ガラスビーズ層と、樹脂材に蓄光顔料を混合した蓄光層とが順次積層された再帰反射機能付蓄光誘導標識において、前記蓄光層の次に更に白色反射層を積層したことを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋内用の案内標識板、地下鉄や地下駐車場の安全標識板や安全誘導表示板等に使用される再帰反射機能付蓄光誘導標識及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、「非常口」の誘導標識は、電源により発光し、災害時停電しても30分間内部バッテリーにより発光するタイプが通常使用されている。
しかし、鉄道、地下鉄、地下街の連絡通路において災害による停電時において、30分程度では、全ての避難が完了できない可能性が大きい。
このため、近年、高輝度蓄光材(12時間後の残光輝度が10mcd/m2以上)の避難誘導標識が開発されてきている。
【0003】
そして、この種当避難誘導標識は、鉄道、地下鉄、地下街の長い連絡通路において、従来の蛍光灯タイプと比較してより安全に避難誘導が可能である。
一方、近年、救助作業において投光器、懐中電灯により避難誘導標識が反射することにより、避難通路の方向が確認できるため、再帰反射層を備えた避難誘導標識が、人名救助に非常に有用との見解が出されている。
【0004】
そして、再帰反射層を備えた避難誘導標識として、図3に示す製品が開発された。
当該製品は、蓄光層200と再帰反射層であるガラスビーズ層500の両方を持っているため非常に有用と考えられる。
そこで、図3に示す様な、表面に位置する透明保護層100と、再帰反射層であるガラスビーズ層500と、PET基材からなるガラスビ−ズ固定層900と、蓄光顔料を含む蓄光層200と、アクリル系粘着剤からなる接着層700と、セパレータ800(粘着剤カバ一紙)とが順次積層された再帰反射機能付蓄光誘導標識が提案された。
【0005】
しかし、この種再帰反射機能付蓄光誘導標識は、蓄光層200の残光輝度を飛躍的に高める白色反射層がないため当該仕様では、避難誘導に必要な発光が十分でなかった。
更に、蓄光層200の厚みが0.4mm以下であるため、十分な蓄光輝度が得られなかった。
また、再帰反射機能も図4に示す様に、入射した光の多くが、ガラスビーズ固定層900で拡散され、反射光が非常に少なくなってしまう問題も惹起した。
【0006】
このため、蓄光層と再縁反射層の両方を有する再帰反射機能付蓄光誘導標識であって、蓄光層の性能が、12時間後の残光輝度が10mcd/m2以上で、再帰反射の性能が、70cd/1ux/m2(JIS Z9117 1級規格)以上である製品が望まれていた。
これは、残光輝度が10mcd/m2あると、暗闇ではっきり確認可能であり、再帰反射が70cd/1ux/m2あれば、80m離れた光源でも反射がはっきり確認できるからである。
【特許文献1】特開2004−184646号公報
【特許文献2】特開2003−344626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記したような事情に鑑みてなされたものであり、蓄光層と再縁反射層の両方を有する再帰反射機能付蓄光誘導標識であって、蓄光層の性能が、12時間後の残光輝度が10mcd/m2以上で、再帰反射の性能が、70cd/1ux/m2(JIS Z9117 1級規格)以上である再帰反射機能付蓄光誘導標識及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識にあっては、透明保護層と、ガラスビーズ層と、樹脂材に蓄光顔料を混合した蓄光層とが順次積層された再帰反射機能付蓄光誘導標識において、前記蓄光層の次に更に白色反射層を積層したことを特徴とする
【0009】
また、本発明に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法にあっては、遠心成形ドラムの内面に、樹脂材に白色顔料を混合した材料を流し込み、白色反射層を形成し、ついで樹脂材に蓄光顔料を混合した材料を前記白色反射層の内周面に流し込んで蓄光層を形成し、ついで透明樹脂材を流し込み、透明樹脂層を形成した後、前記透明樹脂層が硬化する前にガラスビーズを均一に載せてガラスビーズ層を形成し、最後に意匠を施した透明保護層を重ね合わせて熱処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下に記載される効果を奏する。
請求項1記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識によれば、12時間後の残光輝度が10mcd/m2以上で、再帰反射の性能が、70cd/1ux/m2(JIS Z9117 1級規格)以上と出来る。
【0011】
請求項2記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識によれば、再帰反射の性能を良好に維持出来る。
請求項3記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識によれば、取付が容易である。
【0012】
請求項4記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識によれば、12時間後の蓄光輝度を10mcd/m2以上とすることが出来る。
請求項5記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識によれば、各種の標識として使用出来る。
請求項6記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法によれば、各層間が接着剤を使用せず一体接合しているため、接着剤の養生期間が不要であるため工期が短縮出来ると共に、蓄光顔料の不均一化を防止出来るため、輝度の低下を抑えることが出来る。
【0013】
請求項7記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法によれば、耐摩耗性が良好な製品とすることが出来る。
請求項8記載の発明の再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法によれば、層間の剥離を防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1、及び図2に基づき発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の実施例に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識を示す概略断面図である。
図2は、再帰反射機能を示す、図1の部分拡大図である。
【0015】
本発明に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識は、透明保護層1と、ガラスビーズ層5と、樹脂材に蓄光顔料を混合した蓄光層2と、白色反射層3とが順次積層した構成となっている。
【0016】
そして、ガラスビーズ層5は、透明樹脂層51中にガラスビーズ52が均一な単一層で存在する形となっている。
また、白色反射層3の図上下面には、接着層7及びセパレータ8が順次積層されている。
更に、透明保護層1のガラスビーズ層5側の面には、意匠11が施してある。
また、透明保護層1は、透明PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムから成り、この透明保護層1の外面には、厚み1〜5μmのアクリレートUV硬化樹脂層(鉛筆硬度H2以上)が形成されている。
【0017】
そして、透明保護層1の接着面(ガラスビーズ層5側)にポリビニルアノレコール若しくはアルコシド化合物の加水分解一縮合反応した5〜20μmのインク受容層を設け、当該層に意匠11を印刷(非常口、避難誘導指示など)してある。
そして、使用する樹脂材としては、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が適宜選択して用いられるが、無黄変透明ウレタン材が特に好ましい。
また、蓄光顔料の平均粒径は、50〜250μmのものが好ましく、特に100μm以上の高輝度仕様であることが望ましい。
さらに、蓄光層2の厚みは、0.5〜1.2mmの範囲になる様に調整される。
【0018】
ついで、本実施例に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法について説明する。
まず、無黄変ウレタンプレポリマー30部、アミン系硬化剤3部、チタン系白色顔料1部を混合し遠心成形機に投入し、600〜1000rpmの中〜高速度にて10〜15分成形する。
【0019】
ついで、完全に硬化する前(未反応のウレタン反応基が存在)に、無黄変ウレタンプレポリマー100部、アミン系硬化剤10部、平均粒径150μmの高輝度蓄光材200部を混合したものを当該成形機に投入し、50〜200rpmの低速にて6〜9分成形後(蓄光層と透明層が形成され且つ透明層の硬化が開始された状態)、平均粒径150μmで比重2.6、屈曲率1.53〜1.57の低アルカリガラスビーズを均一に少量(1〜2部)投入し、300〜800rpmの中速度で15〜20分成形する。
【0020】
ついで、ほぼ完全に硬化(未反応のウレタン反応基が少ない状態)した時点で、余分のガラスビーズを吸引機で取り除く。
この時、ガラスビーズが一層(単層)で、しかも透明樹脂層にガラスビーズの2/3位が埋没している状態とする。
【0021】
ついで、無黄変ウレタンプレポリマー1部、アミン系硬化剤0.1部を投入し1000〜2000rpmの高速回転で10〜15分成形する。
成形後、遠心成形機より取出し、100〜200μmのPETフィルムの表面層にアクリレートUV硬化樹脂層(鉛筆硬度H2以上で厚み1〜5μm)と、裏面層に(透明樹脂層との接着面)にインク受容層(ポリビニルアルコールで厚み5〜8μm)に意匠を印刷し、意匠側を図上下方(透明樹脂層側)として、透明樹脂層上に載せ、100℃で3時間熱処理を行う。
熱処理後、意匠に合せてカットし、白色反射層の裏面をエチルアルコールで脱脂を行い、アクリル粘着剤でフォーム構造を持つ両面テープ(3M製VHB接合材 Y-4950など)を貼付ける。
【0022】
当該両面テープは、相手材(コンクリート、壁用鋼板、板材等)により適宜変更して使用する。
また、層間の重ね合わせは、未反応の反応基が存在している間に行うことにより、層間の接合が強固になる。
本実施例に使用するウレタン材は、注型ウレタン材であり、プレポリマーと言われる反応基(−NCO)を持つ主材と硬化剤(アミン系)とが反応してポリウレタンになるものである。
【0023】
第1の混合物(白色反射層)を構成するウレタン材においては、主材と硬化剤とが混合され、注入された後、硬化することとなるが、未反応の反応基が存在している間に第2の混合物(蓄光層)が注入されることにより、第1混合物の未反応の反応基と第2混合物とが反応する。
これにより、第1混合物から成形された白色反射層と、第2混合物とから形成された蓄光層が、より強固に一体化した成形物が成形されることとなる。
【0024】
また、ポリウレタン材を使用しているため、再帰反射機能付蓄光誘導標識が一定の柔軟性を備えており、平面以外の取付け面に対しても、取り付けが可能である。
具体的には、地下鉄、地下街の円柱に取付ける避難誘導標識や、その他曲率の異なる相手面に対しても柔軟に馴染むため、使用することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0025】
上述の発明は、屋内用の案内標識板、地下鉄や地下駐車場の安全標識板や安全誘導表示板に用いられることはもとより、工場や大型店舗の誘導標識としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識を示す概略断面図である。
【図2】再帰反射機能を示す、図1の部分拡大図である。
【図3】従来技術に係る再帰反射機能付蓄光誘導標識を示す概略断面図である。
【図4】再帰反射機能を示す、図3の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0027】
1 透明保護層
2 蓄光層
3 白色反射層
5 ガラスビーズ層
7 接着層
8 セパレータ
11 意匠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明保護層(1)と、ガラスビーズ層(5)と、樹脂材に蓄光顔料を混合した蓄光層(2)とが順次積層された再帰反射機能付蓄光誘導標識において、前記蓄光層(2)の次に更に白色反射層(3)を積層したことを特徴とする再帰反射機能付蓄光誘導標識。
【請求項2】
前記ガラスビーズ層(5)が透明樹脂層(51)の中にガラスビーズ(52)が均一な単一層で存在することを特徴とする請求項1記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識。
【請求項3】
前記白色反射層(3)の次に更に接着層(7)及びセパレータ(8)が順次積層されていることを特徴とする請求項1または2記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識。
【請求項4】
前記蓄光層(2)の厚みが0.5mm以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識。
【請求項5】
前記透明保護層(1)の前記ガラスビーズ層(5)側の面に意匠(11)を施してあることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識。
【請求項6】
遠心成形ドラムの内面に、樹脂材に白色顔料を混合した材料を流し込み、白色反射層(3)を形成し、ついで樹脂材に蓄光顔料を混合した材料を前記白色反射層(3)の内周面に流し込んで蓄光層(2)を形成し、ついで透明樹脂材を流し込み、透明樹脂層(51)を形成した後、前記透明樹脂層(51)が硬化する前にガラスビーズ(52)を均一に載せてガラスビーズ層(5)を形成し、最後に意匠(11)を施した透明保護層(1)を重ね合わせて熱処理を行うことを特徴とする再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂材が無黄変透明ウレタン材であることを特徴とする請求項5記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法。
【請求項8】
前記無黄変透明ウレタン材が完全に硬化する前の未反応の反応基が存在する状態で多層化することを特徴とする請求項5または6記載の再帰反射機能付蓄光誘導標識の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−133970(P2009−133970A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308716(P2007−308716)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】