説明

再生装置、ユーザインターフェイス制御方法、プログラム

【課題】加速度センサをコンテンツ再生装置の操作のために有効利用する。
【解決手段】コンテンツ再生装置の本体に設定した軸の傾斜角を検出することにより、その検出結果に応じてコンテンツ検索のためのアルバムリストのスクロール、コンテンツリスト上でのカーソル移動、スクロールが行われるように構成する。これにより、例えば物理的なキー操作などを行うことなく、ンテンツ再生装置の本体に与えた所定の傾斜姿勢に応じて、コンテンツ検索のための操作が行えるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオーディオやビデオなどのコンテンツとしての情報を再生する再生装置と、このような再生装置が実装するユーザインターフェイスについての制御方法と、再生装置が実行するプログラムとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
加速度センサなどにより検出される傾斜角、回転角などの情報を利用した操作入力デバイスが各種提案され、また、利用されるようになってきている。例えば下記の特許文献1には、マウスなどの操作入力デバイスに代替する座標入力装置(ポインティングデバイス)として、装置本体の回転位置状態を座標の情報に変換するために、X軸、Y軸の二軸の角速度センサを備えた構成が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−257595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明としても、角速度センサなどの傾斜角を検出する手段を操作入力に利用しようとするものであり、特に、近年において広く普及している、携帯型のコンテンツ再生装置に適用して有用となるような技術構成を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、コンテンツとしての情報を再生する再生装置として次のように構成する。
本体に設定した所定の軸方向についての傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、コンテンツの再生に関する所定の操作対象について、傾斜角検出手段により検出される傾斜角に応じて所定の変化を与えるようにされる操作対象制御手段とを備えるものである。
【0006】
上記構成による再生装置では、本体に設定した所定の軸方向についての傾斜角の検出結果に応じて、コンテンツ再生に関する操作対象について、所定の変化を与えるようにされる。このことは、例えば再生装置の本体を傾けるなどしてその姿勢状態を変化させるという操作の仕方により、コンテンツ再生に関する操作が可能になる、ということを意味する。
【発明の効果】
【0007】
上記のようにして本発明は、例えばキーを押圧したり、スライドさせたりするなどの、操作子の物理的な動きを与えるような操作を特に行わなくとも、再生装置の本体そのものの姿勢状態を変化させるという行為により、コンテンツ再生に関する操作が行える。
このような効果は、特に、携帯型等とされる小型の再生装置に関して有効となる。つまり、このような小型の再生装置では、操作子数に制限があったり、操作子が小さかったりすることで操作が煩雑になりがちであるが、本願発明によっては、このような不都合が有効に解消されるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本願発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)として、携帯型コンテンツプレーヤ1の外観例を示している。
この図に示す携帯型コンテンツプレーヤ1の本体部1Aは、例えばユーザが片手で持ち運べる程度のサイズ形状とされており、この場合には、略直方体とされるような形状を有しているものとされ、図示するようにして、上面部1a、前面部1b、左側面部1c、背面部1d、右側面部1e、及び下面部1fの6面を有して成るものとされる。なお、この本体部1Aの形状を含め、図1において示される本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1の外観はあくまでも一例である。
【0009】
この場合の本体部1Aの上面部1aには、表示画面部20Aが配置されている。この表示画面部20Aには、携帯型コンテンツプレーヤ1の動作状態に応じて所要の内容の表示が行われる。例えばコンテンツを再生しているときには、その再生しているコンテンツについてのタイトル名や、再生進行時間などをはじめとした所要の情報が、文字や絵柄などにより表示される。
また、この場合においては、表示画面部20Aは、本体部1Aの前面部1b側が画面上部側となり、背面部1d側が画面下部側となる。つまり、ユーザは、本体部1Aの前面部1bを上側にして表示画面部20Aを観察することで、逆さまではない正常な向きの表示画像を見ることができる。
【0010】
また、この場合の携帯型コンテンツプレーヤ1には、ユーザが物理的に押圧、回転などの動きを与えることで操作を行う操作子として、左側面部1cに取り付けられるジョグダイヤル18aと、上面部1aに配置されるキーボタン18b、18cが示されている。ジョグダイヤル18aは、図の矢印Aとして示すようにして、例えば一定角度範囲で正逆両方向に対して回転させるようにして操作することができる。また、矢印Bとして方向に沿って本体部1Aのほうに押し込む、あるいはその逆方向に引っ張るの操作を行うことが可能となっている。また、キーボタン18a、18cは、一般的な押圧・解放の操作を行うことができる。本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1としては、これらの操作子を用いて、携帯型コンテンツプレーヤ1においてコンテンツ再生のために可能とされるほぼ全ての操作が可能とされているが、後述するようにして、特定の操作については、これらの操作子に対する操作を行うことなく、携帯型コンテンツプレーヤ1を手に持って、その姿勢状態を変化させるという行為により可能とされている。
【0011】
また、本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1においては、タッチセンサ対応部17Aが設けられる。タッチセンサ対応部17Aは、例えば図においてハッチングで示している本体部1Aの背面部1dにおける部位となるものであり、この部位に対して指(人体の一部)を接触させると、内蔵のタッチセンサによりこのことを検知するようにされている。このタッチセンサ対応部17Aに対する操作は、後述するようにして、本体部1Aの姿勢状態を変化させる操作を行う場合において併用されるものとなる。
なお、静電容量方式などのタッチセンサの検知方式によっては、タッチセンサ対応部17Aの部分にセンサユニットを表出させる必要の無い場合がある。このような場合には、タッチセンサ対応部17Aとなる本体部1Aとしての筐体の部位に対して、例えば凹凸の加工を施すなどして、タッチセンサ対応部17Aであることがユーザに分かるような状態を形成することが好ましい。
【0012】
この場合、ヘッドフォン端子16は、ジョグダイヤル18aの内周となる部位に対して設けられる。この携帯型コンテンツプレーヤ1により再生されたコンテンツデータの音声は、このヘッドフォン端子16から出力されるようになっている。
【0013】
図2は、本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1の構成例を示すブロック図である。
この図において、制御部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM、RAMなどから成るマイクロコンピュータを備えて構成され、携帯型コンテンツプレーヤ1における各種制御を実行する。
【0014】
不揮発性メモリ部12は、例えばフラッシュメモリなどをはじめとして、メイン電源の供給が停止されても記憶データが消失しないようにして構成された半導体メモリ素子を備えて構成される情報記憶のための部位とされる。この図では、不揮発性メモリ部12に記憶されるデータとして、制御部11のCPUが実行するプログラムが示されているが、他の種類のデータも記憶保持するようにしてよい。例えば制御部11が各種の制御のために利用する設定データ、管理情報などを記憶させておくことが考えられる。
【0015】
コンテンツ記憶部13は、携帯型コンテンツプレーヤ1により再生出力することのできるコンテンツデータを、例えばファイル単位で管理するようにして記憶するための部位とされる。
本願発明の下では、コンテンツ記憶部13に記憶されるコンテンツデータの種類、ファイル形式については特に限定されるべきではない。しかしながら、ここでは、説明を簡単なものとすることの都合上、再生対象としてコンテンツ記憶部13に記憶されるコンテンツデータは、所定の圧縮符号化形式により圧縮されたオーディオデータであることとする。
【0016】
また、コンテンツ記憶部13として実際に採用する記憶媒体、記憶装置の実際としては、例えば現状であれば、HDD(ハードディスクドライブ)やフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体記憶素子を採用することが広く行われているが、特に限定されるべきものではなく、これまでに知られている、あるいは将来的に開発/提供される各種の記憶媒体が採用されてよい。また、本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1として、上記のような記憶媒体を本体に内蔵する構成であってもよいし、記憶媒体についてはリムーバブル形式としたうえで、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体側に対応のドライブを備えるような構成であってもよい。
また、図2においては、コンテンツ記憶部13と、不揮発性メモリ部12とを、それぞれ別の機能ブロックにより示しているが、コンテンツ記憶部13と不揮発性メモリ部12とで、物理的には共通の記憶媒体を使用する構成とされてもよい。
【0017】
また、本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1にあって、コンテンツ記憶部13に記憶させるべきコンテンツデータを取得するためには、外部データインターフェイス23を利用する。
つまり、携帯型コンテンツプレーヤ1と、そのホストとなるパーソナルコンピュータなどの装置とを、外部データインターフェイス23を経由して接続し、コンテンツデータをホストから携帯型コンテンツプレーヤ1に転送させるようにする。そして、携帯型コンテンツプレーヤ1では、例えば制御部11の制御に従って、転送されてくるコンテンツデータを受信取得し、この取得したコンテンツデータを、コンテンツ記憶部13としての記憶媒体に書き込むようにして記憶させる。
【0018】
この場合の外部データインターフェイス23は、所定のデータ通信規格に応じたケーブル接続経由、あるいは無線経由により外部デバイスと通信を行うためのハードウェア及びソフトウェアを備えて構成される部位とされる。この外部インターフェイス23が対応する通信規格としては、特に限定されるべきではないが、現状であれば、例えばIEEE1394、USB、Ethernet 、Bluetooth、IEEE802.11a/b/g等を採用することが考えられる。
【0019】
再生処理部14は、制御部11の制御に応じて、コンテンツ記憶部13から読み出されたコンテンツデータを入力し、所要の再生信号処理を実行するようにされる。ここでは、コンテンツデータは、所定方式による圧縮符号化が施されたオーディオデータのファイル形式であることとしているので、再生処理部14では、この圧縮符号化方式に対応する復調処理などを実行し、オーディオ出力処理部15に対して出力するようにされる。オーディオ出力処理部15は、入力されたオーディオ信号について、例えば音質調整、音量調整、増幅などの、復号処理の後段において実行すべき所要のオーディオ信号処理を実行したうえで、ヘッドフォン駆動のためのオーディオ信号をヘッドフォン端子16に対して出力するようにされる。
【0020】
ディスプレイ部20は、図1に示す表示画面部20Aを有するディスプレイデバイスとして構成されるもので、上記表示画面部20Aに対して各種の表示を行うようにされる。ディスプレイ部20により画像を表示させるときには、制御部11が、表示メモリ19に対して表示用データを保持させるとともに、ディスプレイ部20により表示メモリ19に保持された表示用データを利用した表示駆動の動作が実行されるように制御を行うようにされる。
【0021】
操作部18は、例えば図1との対応では、ジョグダイヤル18a、キーボタン18b、18cなどの本体部1Aに設けられる操作子と、これらの操作子に対して行われた操作に応じて操作指示信号を生成して制御部11に出力する部位とを一括して示したものとなる。制御部11は、操作部18から出力される操作指示信号に応じて所要の処理を実行する。
【0022】
タッチセンサ17は、そのセンサユニットが図1にて説明したタッチセンサ対応部17Aに対応した位置にて配置されるようにして設けられる。これにより、先にも説明したようにして、タッチセンサ対応部17Aに対して指などが接触している、あるいはしていないとされる状態に応じて、タッチセンサ17により接触の有無が検出されることになる。
なお、タッチセンサとしてのハードウェアデバイスの実際は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式などのこれまでに知られている検知方式を採用したセンサデバイス、あるいは将来的に開発される検知方式のセンサデバイスが用いられればよい。
【0023】
また、本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1においては、加速度センサ21が備えられる。この加速度センサ21は、例えば少なくとも、X軸と、これに直交するY軸との二軸についての加速度を検出可能に構成される。本実施の形態の場合、図1に示すようにして、X軸は、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体部1Aにおける上面部1aの横方向の中心軸に沿った軸として設定され、Y軸は、同じ本体部1Aにおける上面部1aの縦方向の中心軸に沿った軸として設定される。
加速度センサ21により加速度を検出して得られた信号は、センサ信号処理回路22により制御部(CPU11)が処理可能なデジタルデータに変換され、制御部11に入力するようにされる。
本実施の形態の場合、制御部11は、後述する操作を実現するために、入力されたセンサ信号により、X軸とY軸についての所定の基準面に対する傾斜角の情報を得るようにされる。従って、加速度センサ21としては地球の重力などの静的加速度に反応した検知動作が可能なように構成されるべきものとなる。
【0024】
上記のようにして構成される本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1においては、操作部18としての操作子を用いた通常の操作に加えて、これらの操作子に対する操作を行うことなく、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体の姿勢を所定の状態とするという行為により、所定の操作が行えるようになっている。以降、この点について説明を行っていくこととする。なお、このような操作の仕方について、ここでは「本体姿勢コントロール操作」ともいうことにする。
【0025】
図3は、本体姿勢コントロール操作を行う場合の、ユーザによる携帯型コンテンツプレーヤ1の持ち方の例を示している。
この図に示すようにして、本体姿勢コントロール操作を行う場合には、本体部1Aにおいて表示画面部20Aが配置される上面部1aが上となり、手前側が背面部1dとなるようにして手に持つようにされる。このような向きで携帯型コンテンツプレーヤ1を持つことで、ユーザには、表示画面部20Aに表示される画像を正しい向きにより視ることができる。
そのうえで、本体姿勢コントロール操作を行う場合には、背面部1dにおけるタッチセンサ対応部17Aに対して自分の指を接触させるようにする。この場合の持ち方では、ちょうど親指が背面部1dにくるので、図のようにして、親指により、タッチセンサ対応部17Aの部分を持つようにすればよいことになる。
【0026】
以降の説明から理解されるように、本実施の形態の本体姿勢コントロール操作では、操作対象となる事象について、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体を所定の姿勢状態となるようにして傾けることで変化を与えるようにされる。しかしながら、このような操作であるとすると、操作の仕様などによっては、不用意に本体を傾けたことで、本来は操作が行われなくてもいいような状況であっても、操作が有効になってしまうような誤動作を生じる可能性が生じ得ると考えられる。そこで、本実施の形態では、本体姿勢コントロール操作のときには、タッチセンサ対応部17Aに対してユーザの指を接触させた状態とすることを必要条件としている。これにより、タッチセンサ対応部17Aに対してユーザの指が接触していない状態では、たとえ本体を傾けたとしても、本体姿勢コントロール操作は無効となるようにして、上記した誤動作が防止されるように配慮しているものである。
【0027】
なお、このような本体姿勢コントロール操作の有効/無効を設定するような補助的な操作のための手段としては、通常のキーボタン等に対する押圧操作を継続させるようなものとされてもよいものである。
しかしながら、このようなキーボタンに対する操作とした場合には、本体姿勢コントロール操作を行っている間は、ユーザが確実にキーボタンの押圧操作を継続させていることが必要になり、かえって不安定な操作になりやすいと考えられる。本実施の形態であれば、ユーザとしては、タッチセンサ対応部17Aとしての部位に対して指などを接触させるようにして添えておくだけでよいことから、かえって確実な操作が期待できる。
【0028】
続いて、本実施の形態としての本体姿勢コントロール操作についての具体例について説明する。この具体例としては、本体姿勢コントロール操作を、コンテンツデータを検索するための操作に適用する。
【0029】
現状において、オーディオデータであるコンテンツについての一般的な管理形態としては次のようなものが知られている。
つまり、コンテンツとしてのオーディオデータファイルは、1楽曲に対応するものとして扱われ、このファイルに対して、タイトル(曲名を示す)、アーティスト(演奏者名を示す)、アルバム(そのコンテンツが含まれるとされるアルバム名を示す)、アルバム内再生順、ジャンルなどの属性を示す情報(メタデータ)が付加される。そして、コンテンツデータを、これらの属性に基づいて管理するというものである。
このようなコンテンツ管理の形態に基づいて、コンテンツ検索として、先ず、アルバムのリストを提示させてアルバムの選択決定を行って、そのアルバムに入っているとされるコンテンツ(楽曲)のリストを提示させ、この提示された中から目的のコンテンツを検索する、というような手法を採ることが考えられる。本実施の形態の本体姿勢コントロール操作としては、このような手法を採用した場合に対応したものとなる。
【0030】
本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1に対する本体姿勢コントロール操作によりコンテンツ検索を行うためには、先ず、携帯型コンテンツプレーヤ1に対する所定操作によりコンテンツ検索モードを設定しておくようにされる。このための操作としては、例えば操作部18を成すとされる所定の操作子に対して所定の手順による操作を行うようにすればよい。
【0031】
上記の状態において、ユーザは、例えば図3に示したようにして、本体姿勢コントロール操作のための持ち方により携帯型コンテンツプレーヤ1を持つようにされる。確認のために述べておくと、このときには、例えば親指をタッチセンサ対応部17Aに対して当てておくようにすることで、本体姿勢コントロール操作が有効となるようにする。
【0032】
ここでのコンテンツ検索モードを設定したときに表示画面部20Aに表示される初期画面としては、所定の規則に従って、ある1つのコンテンツのタイトルを、そのコンテンツが含まれるアルバムと共に表示するものとされる。このときの表示画面部20Aにおける表示態様例を、図4(a)に示す。この表示画面部20Aには、上段に「タイトル1」が表示され、下段に「アルバム1」が表示される。実際には「タイトル1」として、或るコンテンツの具体的なタイトル名が表示され、「アルバム1」として、そのコンテンツが収録されるアルバムの具体的な名称が表示される。
【0033】
例えばコンテンツ検索モードを設定した直後において、携帯型コンテンツプレーヤ1のX軸及びY軸の水平面に対する角度が一定以内にあって、例えば本体部1Aの上面部1aがほぼ水平になっているとみてよい姿勢となっている状態(略水平状態)では、本体姿勢コントロール操作は行われていないとして、上記の初期画面が表示されている状態にあるものとされる。
【0034】
そして、ユーザが、図3に示した持ち方をしたうえで、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体部1Aを、上記の略水平状態から、図4(b)に示すようにして、左側面部1cが上向きで、右側面部1eが下向きとなるようにして、その姿勢を傾けていったとする。このような姿勢により本体部1Aを傾けていったとすると、水平面に対するX軸の傾斜角として+αが形成されていくことになる。なお、図4(b)及び後述する図4(h)では、説明を分かりやすいものとすることの便宜上、水平面とY軸が成す傾斜角については0°であることと仮定する。また、ここでの水平面とは重力方向として図示する垂直方向軸に対して直交する面となる。
そして、本体部1Aの姿勢状態として、この傾斜角+αの絶対値が一定以上になるまでに傾けられると、例えば図4(c)に示すようにして、表示画面部20Aの表示は、アルバムを検索するためのアルバム検索画面に切り替わる。図4(c)には、図4(a)において示されていたアルバムのタイトルが表示された様子を示している。そして、傾斜角+αの絶対値が一定以上となる本体部1Aの傾斜姿勢を一定時間以上保っておくと、表示画面部20Aの内容は、例えば図4(c)から図4(d)を経て、図4(e)に遷移するようにされる。つまり、これまで検索対象として提示していたアルバムを、左方向にスクロールさせるようにして、次のアルバム2を提示する表示に変更するものである。そして、さらにそのまま、傾斜角+αの絶対値が一定以上となる傾斜姿勢を継続させたとすると、表示画面部20Aの表示は、図4(e)→(f)→(g)の遷移として示すように、さらに左方向へのスクロールが行われて、さらにその次のアルバム3を提示するようにして内容が変化する。つまり、この場合には、アルバムのリストについて、昇順によりスクロールさせているものとされる。
【0035】
また、例えば図4(g)に示す表示画面部20Aの表示状態の下で、これまで図4(b)に示していた傾斜状態から、これとは反対の図4(h)に示す傾斜状態に本体部1Aの姿勢を変えたとする。図4(h)に示す傾斜状態とは、左側面部1cが下向きで、右側面部1eが上向きとなる状態であり、この場合には、水平面に対するX軸の傾斜角は−αにより表されることになる。そして、この傾斜角−αの絶対値が一定以上となるまでに傾けられたとすると、表示画面部20Aの表示内容としては、図4(g)→(f)→(e)→(d)→(c)の順序で表示が変化していくようにされる。つまり、図4(b)の状態で本体部1Aを傾けたときとは逆となる、右方向で降順となるスクロールにより、アルバム3からアルバム2、1の順で変化していくようにして検索対象が提示されていくことになる。
【0036】
また、例えば上記のようにしてアルバムの検索画面をスクロールさせているときに、本体部1Aの傾斜角+α、または−αが一定以内となる略水平状態に戻したとすると、スクロールが停止して、そのときに提示していたアルバムを表示した状態が維持される。このときに提示されているアルバムが、ユーザ操作により選択されたアルバムとして扱われることになる。
なお、仮に、この状態から、再び、略水平状態から傾斜角+α、−αが一定以上となるように本体部1Aを傾けたとすると、傾けた方向に応じた左又は右方向へのスクロールにより、提示されるアルバムが切り替わっていくようにされる。
【0037】
また、例えば上記のようにして、本体部1Aが略水平状態にあって或るアルバムが選択されている状態から、今度は、図5(a)に示すようにして、前面部1bが上向きで、背面部1dが下向きとなるようにして本体部1Aを傾けたとする。なお、図5(a)と後述する図5(e)においては水平面とX軸が成す傾斜角については0°であることとする。
この場合、水平面に対するY軸の傾斜角としては+βで表される0より大きな値が得られることになるが、この傾斜角+βが一定以上になったとすると、表示画面部20Aは、選択されたアルバムに収録されているコンテンツの検索画面の表示に切り替わるようにされる。このコンテンツの検索画面としては、例えば図5(b)に示すものとなる。
【0038】
図5(b)のコンテンツ検索画面では、3行を用いて、3つのコンテンツを提示するようにしている。ここでは、1行目から3行目にかけて、「タイトル1」「タイトル2」「タイトル3」との表記が為されているが、実際には、個々のコンテンツをユーザが特定できる情報として、コンテンツの具体的なタイトル名が表示される。また、ここでのコンテンツのタイトル表記の配列順は、上から下の行の順で、アルバム内再生順に対応したものとなっている。つまり、タイトル1がアルバムにおける1曲目であるとすると、タイトル2,3がそれぞれ2曲目、3曲目となる。
また、この場合においては、1つのコンテンツ検索画面内に、3つのコンテンツが同時に提示されることになるので、これらのコンテンツのうちから1つのコンテンツを選択指定するために、1つのカーソルCRが、1行目から3行目までのいずれかの行に対して配置されることになる。
【0039】
そして、この図5(b)に示す状態とされたうえで、先に説明した傾斜角+βが一定以上となる状態が継続されているとすると、図5(b)においてタイトル1に配置されるカーソルCRは、一定時間おきに、その下の行のタイトル2、タイトル3に対して昇順により順次移動していくようにされる。
また、最下行におけるタイトル3にカーソルCRが配置された状態から、さらに、傾斜角+βが一定以上となる状態を継続させたとすると、図5(b)→(c)→(d)への遷移として示すようにして、コンテンツのタイトルのリストが上方向にスクロールされていき、タイトル2、3、4が表示される状態に変化し、さらにタイトル3、4、5が表示される状態に変化していくようにされる。つまり、タイトルリストを昇順によりスクロールさせている。なお、このようにして上方向へのスクロールが行われているとき、カーソルCRについては、常に最下行に配置されているものとする。
【0040】
また、図5(c)に示す表示が行われている状態において、本体部1Aを、これまでの図5(a)に示される姿勢から、図5(e)に示される姿勢に変更したとする。図5(e)は、図5(a)とは逆に、本体部1Aの前面部1bが下向きで、背面部1dが上向きとなる姿勢である。この姿勢では、水平面に対するY軸の傾斜角度は、−βで表されるものとなる。そして、この傾斜角−βの絶対値が一定以上になるように本体部1Aを傾斜させた姿勢を継続させたとすると、図5(c)の最下行に配置されていたとするカーソルCRは、一定時間おきに、タイトル5からタイトル4、3に配置されるようにして、上方向に順次移動していくようにされる。つまり、降順によるカーソル移動となる。そして、ここからさらに一定時間が経過したとされると、続いては、図5(d)から図5(c)への遷移として示すようにして、今度は下方向へのスクロールが行われて、タイトル2、3、4が表示される内容に切り替わる。つまり、降順によるスクロールとなる。なお、このようにして下方向へのスクロールが行われるときには、カーソルCRは最上行に位置するようにされる。そして、さらにタイトル検索画面は、図5(c)から図5(b)への遷移として示すようにして、さらに下方向への(降順の)スクロールが行われ、タイトル1、2、3の表示が行われることになる。
【0041】
このようにして、携帯型コンテンツプレーヤ1についてY軸の傾斜角+β、−βの絶対値が一定以上となるようにされた姿勢を与えた場合には、先ず、コンテンツ検索画面において、その傾いた姿勢の向きに応じて、コンテンツを選択指定するカーソルCRが上又は下方向に移動するようにされている。そして、カーソルCRが最上行のコンテンツのタイトルに配置される状態でさらにカーソルCRを上に移動させる傾斜姿勢が維持される、あるいは、カーソルCRが最下行のコンテンツのタイトルに配置される状態でさらにカーソルCRを下に移動させる傾斜姿勢が維持されると、上方向又は下方向に対する画面のスクロールが行われることになる。
【0042】
そして、通常のコンテンツ検索操作にあっては、1つのコンテンツを検索して選択した状態において決定操作を行うと、そのときに選択されたコンテンツからの再生が開始されるようになっているのであるが、本実施の形態の本体姿勢コントロール操作では、次のようにして選択したコンテンツについての決定操作を行うこととする。
上記のようにして、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体部1Aに対し、Y軸の傾斜角+β、−βの絶対値が一定以上となる傾斜姿勢を与えることでカーソルCRが上下方向に移動する、あるいは上下方向におけるスクロールが行われるのであるが、本体部1Aを上記傾斜姿勢から略水平状態に戻すと、スクロール動作とカーソルCRの移動が停止される。従って、このようにして本体部1Aが略水平状態にあってカーソルCRの移動が停止しているときにカーソルCRが配置されているコンテンツが、現在選択中のコンテンツである、ということになる。そこで、この場合には、このカーソルCRの移動が停止されて或るコンテンツに配置されたままの状態が一定時間(例えば3秒程度)以上経過したことを以て、コンテンツ再生のための決定操作が行われたものとして扱うようにされる。つまり、ユーザは、図5にて説明したようにして、Y軸に傾斜角与える操作により、本体カーソルCRの移動と、スクロールを行わせて、目的のコンテンツにカーソルを配置させるようにする。そして、目的のコンテンツにカーソルCRが配置されたところで、本体部1Aを略水平状態に戻して、そのまま一定時間待つようにされる。これにより、ユーザが選択してカーソルCRを配置させたコンテンツの再生が開始されることになるものである。
【0043】
また、本実施の形態では、タッチセンサ17により接触検知が行われているときにのみ、本体姿勢コントロール操作が有効となるようにされている。このことに基づき、本実施の形態としては、本体姿勢コントロール操作中において、タッチセンサ対応部17Aに当てていた指を離してタッチセンサ17により接触検知が為されないようにした場合には、本体部1Aが一定以上の傾斜角による姿勢のままであるとしても、それまで実行させていたスクロール、及びカーソル移動を停止させるようにしている。なお、以降において、アルバム検索画面でのスクロール動作、及びコンテンツ検索画面でのスクロールとカーソル移動の動作と、これに伴い選択対象(アルバム、コンテンツ)が変更設定される動作とを、まとめて、「選択対象変更動作」ということにする。
そして、それまでの選択対象変更動作が図5に示されるコンテンツ検索画面で行われるものであった場合には、停止状態が一定時間以上経過したときに、選択されていたコンテンツについての決定操作が行われたものとして、コンテンツの再生を開始させるようにされる。
つまり、本実施の形態では、選択対象変更動作について、本体部1Aの姿勢を略水平状態に戻す、あるいはタッチセンサ対応部17Aから指を離すという行為により停止できるようにされたうえで、この停止状態を一定時間以上継続させることで、決定操作としているものである。
【0044】
そして、これまでの説明からすると、本実施の形態としてのコンテンツ検索のための操作として、先ず、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体について、横方向において傾きを与える(X軸について傾斜角を与える)ようにして姿勢を変化させることで、アルバムを対象とする選択操作を行い、縦方向において傾きを与える(Y軸について傾斜角を与える)ようにして姿勢を変化させることで、アルバム内のコンテンツを対象とする選択操作が行えるようにしている、ということになる。また、略水平状態の本体姿勢、あるいはタッチセンサ対応部17Aに対する指などの接触を外した状態を一定時間維持させることで決定操作が行えるようにして、例えばコンテンツの再生が開始できるようにされている。
【0045】
上記のような操作であれば、ユーザは、コンテンツ検索のために、例えばジョグダイヤル18aや、キーボタン18b、18cなどの操作子に対する操作を行う必要が無くなる。
操作子に対する操作が不要になれば、例えば、携帯型コンテンツプレーヤ1のユーザにとっては、これまでにない操作感覚が得られることになり、携帯型コンテンツプレーヤ1を操作することの面白みが増すことになる。
また、特に携帯型コンテンツプレーヤなどは、携帯性や故障率の低減などを考慮して物理的な操作子をできるだけ少なくする傾向にあり、かつ、携帯型コンテンツプレーヤ自体に小型化が要求されることで、そこに設けられる操作子も非常に小さいものとなる。このようなことから、先ず、携帯型コンテンツプレーヤの操作を用いた操作は、煩雑なものになりやすいという問題がある。そこで、携帯型コンテンツプレーヤに本実施の形態の本体姿勢コントロール操作を適用することで、操作としては、単に本体を所定の向きに傾けるという単純な行為でよいことになり、上記のような操作の煩雑性からは解放される。さらに、本体姿勢コントロール操作は、手袋などをしていることでキー操作を確実に行うことが困難な状況であっても、携帯型コンテンツプレーヤを持つことさえできれば、的確に操作が行えることになるので、例えばスキーをしながら携帯型コンテンツプレーヤで音楽などを聴くなどというような用途において、非常に有用となる。
このようにして、本実施の形態としての本体姿勢コントロール操作は、携帯型等とされる小型のコンテンツ再生機能を持つ装置に適用することで、特にその効果が有効に発揮されるものとなる。
また、図4及び図5に示した本体姿勢コントロール操作は、1つの軸方向について、正と負の傾斜角を検出するようにしており、この検出結果に応じて、昇順、降順(正方向、逆方向)による操作対象の選択変更が行われるようにしている。このような構成では、本体を傾ける方向を反対にするように操作することで、選択対象の変更が昇順から降順、あるいは降順から昇順に切り替わることになるので、ユーザの操作感覚にも適ったものとなっているということがいえる。
【0046】
図6のフローチャートは、図4及び図5により説明した本実施の形態の本体姿勢コントロール操作を実現するために制御部11が実行するものとされる手順例を示している。この図に示す手順は、例えば制御部11におけるハードウェア構成部位であるCPUが、不揮発性メモリ部12に記憶されるプログラムをロードして実行することにより得られる制御処理手順としてみることができる。
このようなプログラムは、製造過程において不揮発性メモリ部12に書き込んで記憶させるほか、例えばリムーバブルの記憶媒体に記憶させておいて、後から、この記憶媒体を使用してインストールするようにして携帯型コンテンツプレーヤ1に対して記憶させることが考えられる。また、ネットワーク上のサーバなどにおける記憶装置に記憶させておき、ネットワーク経由でダウンロードするようにして取得して携帯型コンテンツプレーヤ1にインストールするようなことも考えられる。
【0047】
制御部11は、例えば操作部18から入力される、本体姿勢コントロール操作によるコンテンツ検索モードとすることを要求するための操作指示信号に応じて、本体姿勢コントロール操作によるコンテンツ検索モードを設定し、図6に示すルーチンの手順を実行していくようにされる。
先ず図6においては、ステップS101によりタッチセンサ17から検出信号を取り込み、この検出信号に基づいて、ステップS102により、その検出信号が接触有りを示しているか否かについて判別する。確認のために述べておくと、タッチセンサ17の検出信号が接触有りを示す場合には、ユーザの指がタッチセンサ対応部17Aに触れていることを意味する。
ステップS102において否定の判別結果が得られた場合にはステップS113に進むが、肯定の判別結果が得られた場合には、ステップS103以降の手順に進む。
【0048】
先ず、ステップS103においては、加速度センサ21からセンサ信号処理回路22を介して得られる加速度センサの検出信号を取り込み、この取り込んだ検出信号に基づいて、次のステップS104により、携帯型コンテンツプレーヤ1の本体部1Aについての姿勢状態を判定するようにされる。
先に説明したように、本実施の形態の場合、加速度センサ21により加速度を検知して得られる検出信号に基づいては、本体部1Aについて設定した、水平面に対するX軸の傾斜角±αと、Y軸の傾斜角±βの値を得ることができるようになっている。そして、これらの傾斜角の値が本体部1Aの姿勢状態を示すことになる。なお、例えば一般的な加速度センサの構成では、このような傾斜角の検知は、静的加速度として重力加速度を利用するのであるが、水平面は重力加速度の方向に対して直交するものであると決めておくことで、重力加速度を利用して水平面に対する傾斜角を得ることは可能である。
【0049】
ステップS104においては、姿勢状態の判定結果として、
1.X軸の傾斜角+αの絶対値が一定以上(閾値a以上)
2.X軸の傾斜角−αの絶対値が一定以上(閾値b以上)
3.Y軸の傾斜角+βの絶対値が一定以上(閾値c以上)
4.Y軸の傾斜角−βの絶対値が一定以上(閾値d以上)
5.X軸の傾斜角±αの絶対値とY軸の傾斜角±βの絶対値が全て一定未満。
の5つの判定結果のうちのいずれかを出力するようにされる。
なお、上記判定結果1〜5について、判定結果1に対応する姿勢は、図4(b)に代表されることになる。また、判定結果2に対応する姿勢は図4(h)に代表される。判定結果3に対応する姿勢は図5(a)に代表され、判定結果4に対応する姿勢は図5(e)に代表される。判定結果5は略水平状態に対応する。
また、実際においては、例えば、X軸の傾斜角+αの絶対値が閾値a以上で、かつ、Y軸の傾斜角+βの絶対値が閾値c以上となる姿勢状態となることが考えられるが、このような場合には、両者のうちで、より大きな傾斜角の値を有する軸に対応する姿勢を判定結果として採用することとする。つまり、上記のように、X軸の傾斜角+αの絶対値が閾値a以上で、かつ、Y軸の傾斜角+βの絶対値が閾値c以上となる姿勢状態において、X軸の傾斜角+αとY軸の傾斜角+βとを比較した場合において、X軸の傾斜角+αのほうが大きければ、ステップS104の判定結果としては、
1.X軸の傾斜角+αの絶対値が一定以上(閾値a以上)
であるとするものである。
なお、上記の姿勢状態の判定に用いる閾値a,b,c,dは、必ずしも同じ値を設定する必要はない。一例として、実際の使用を考えてみると、ユーザが図3のようにして携帯型コンテンツプレーヤ1を持った場合、平常状態であっても、表示画面部20Aが見やすいように、Y軸の傾斜角+βが或る程度形成される位置状態の姿勢とすることが一般的であると考えられる。このことを考慮すると、コンテンツリストの昇順検索に対応する閾値cについては、或る程度大きな値を設定することが好ましいことになる。逆に、コンテンツリストの降順検索のときには、傾斜角−βが大きすぎると、ユーザから表示画面部20Aが見にくくなってしまう。従って、閾値dについては、或る程度小さな値を設定した方が好ましいということになる。
【0050】
ステップS104にて、X軸の傾斜角+αの絶対値が一定以上であるとして判定された場合には、ステップS105により、図4(c)→(d)→(e)→(f)→(g)による遷移として説明したようにして、表示画面部20Aに表示させたアルバムリストを左方向にスクロールさせながら、スクロールに応じて選択対象のアルバムを変更していくための制御処理を実行する。
また、ステップS104にて、X軸の傾斜角−αの絶対値が一定以上であるとして判定された場合には、ステップS106により、図4(g)→(f)→(e)→(d)→(c)による遷移として説明したようにして、表示画面部20Aに表示させたアルバム検索画面におけるアルバムリストを右方向にスクロールさせながら、スクロールに応じて選択対象のアルバムを変更設定していくための制御処理を実行する。
【0051】
また、ステップS104にて、Y軸の傾斜角+βの絶対値が一定以上であるとして判定された場合には、ステップS107により、図4(b)→(c)→(d)による遷移として説明したようにして、表示画面部20Aに表示させたコンテンツ検索画面において、カーソルCRを下方向に移動させる処理と、カーソルCRが最下行に配置される状態では、コンテンツのリストを下から上方向にスクロールさせる処理とを行いながら、この選択対象変更動作結果に応じて選択対象のコンテンツを変更設定していくための制御処理を実行する。
また、ステップS104にて、Y軸の傾斜角−βの絶対値が一定以上であるとして判定された場合には、ステップS108により、図4(d)→(c)→(b)による遷移として説明したようにして、表示画面部20Aに表示させたコンテンツ検索画面において、カーソルCRを上方向に移動させる処理と、カーソルCRが最上行に配置される状態では、コンテンツのリストを上から下方向にスクロールさせる処理とを行いながら、この選択対象変更動作結果に応じて選択対象のコンテンツを変更設定していくための制御処理を実行する。
【0052】
ステップS104にて、X軸の傾斜角±αの絶対値とY軸の傾斜角±βの絶対値が全て一定未満(それぞれ、閾値a,b,c,d未満)であるとの判定結果が得られた場合には、ステップS109以降の手順に進む。
【0053】
ステップS109では、これまでに行っていたスクロール表示、あるいはカーソルCRの移動表示を停止させた状態のアルバム検索画面、あるいはコンテンツ検索画面を表示させる。そのうえで、次のステップS110により、上記ステップS109により開始させた選択対象変更動作の停止状態が一定時間以上継続されたか否かについて判別することとして、否定の判別結果が得られた場合には、例えばいったんこの図に示すルーチンを抜けるようにして、ステップS101に戻るようにされる。これに対して、ステップS110にて停止状態が一定時間以上継続したことが判別された場合にはステップS111に進む。
【0054】
ステップS111においては、現在の選択対象変更動作の停止がコンテンツ検索画面を表示させている状態で行われているものであるか否かについて判別する。ここで、現在の選択対象変更動作の停止がコンテンツ検索画面ではなく、アルバム検索画面であるとして否定の判別結果が得られた場合には、このルーチンを抜けるようにしてステップS101に戻る。これに対して、ステップS111により肯定の判別結果が得られたのであれば、ステップS112に進む。
ステップS111により肯定の判別結果が得られた場合には、コンテンツ検索画面が表示された状態でカーソル移動及びスクロールが停止されており、従って、カーソルCRは、或る1つのコンテンツを選択指定した状態にあることになる。そして、ステップS112においては、このカーソルCRが配置されているコンテンツについての選択決定を行うようにされる。つまり、この場合には、カーソルCRが配置されているコンテンツのデータをコンテンツ記憶部13から読み出して再生出力させるための制御処理を実行するようにされる。
【0055】
また、ステップS102にてタッチセンサ17の検出信号が接触有りを示していないとして否定の判別結果が得られた場合には、ステップS109に進むようにされている。
例えば、コンテンツ検索モードとされてから未だユーザがタッチセンサ対応部17Aに指を触れさせていないときには、ステップS102によっては、継続的に否定結果が得られることになり、ステップS109によりスクロール表示は停止させたうえで、ステップS110、あるいはステップS111(コンテンツ検索モードの初期表示はアルバム検索画面であることとしている)にて否定結果を出力してステップS101に戻るという手順の流れが繰り返されることになる。つまり、ユーザがタッチセンサ対応部17Aに指などを接触させない限りは、本体部1Aにどのような姿勢を与えたとしても、本体姿勢コントロール操作が有効にならないような手順となっている。
また、これまでにおいてアルバム検索画面又はコンテンツ検索画面での選択対象変更動作を実行させていた状態から、ステップS102にて否定の判別結果が得られた場合にも、ステップS109に進むことで、先に説明したようにして、タッチセンサ対応部17Aから指が離れたことに応じて選択対象変更動作は停止される。また、この後において、ステップS110、S111、S112の手順を実行することで、コンテンツ検索画面での選択対象変更動作の停止が一定時間以上継続された場合には、そのときに選択指定されていたコンテンツの再生が開始されるものである。
【0056】
ところで、これまでの説明にあっては、本体姿勢コントロール操作が対象とするもの(操作対象)は、アルバムリストからのアルバムの選択と、コンテンツリストからのコンテンツの選択とされていたのであるが、本願発明としては、コンテンツ再生に関する操作において適用可能な操作対象であれば、どのようなものでも、本体姿勢コントロール操作の対象とすることができる。
例えば、再生出力されるコンテンツについての音量コントロールを、本体姿勢コントロール操作の対象とすることが考えられる。つまり、例えば音量コントロールを本実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤ1のX軸(Y軸)に設定することとして、X軸の傾斜角+αの絶対値が一定以上となったときに音量を増加させ、X軸の傾斜角−αの絶対値が一定以上となったのであれば音量を低減させていくように制御するものである。また、このほかに、再生中のコンテンツについての再生時間的な早送り、早戻しなどを適用することも考えられる。
また、1つの軸に対応する本体姿勢コントロール操作としては、必ずしも、プラスとマイナスの傾斜角を操作に有効なものとして利用する必要はなく、一方のみを利用するような操作としてもよい。例えば、何らかの選択項目を選択していくのにあたり、X軸の傾斜角+αの絶対値が一定以上となったときには、所定方向に従って順次選択項目を変更していくが、X軸の傾斜角−αの絶対値が一定以上となったときには、その逆方向に従って選択項目を変更していくようなことはせずに、例えば選択項目の変更を停止させてしまうようにするような操作とされてもよい。
また、上記のようにして、カーソル移動、スクロール、音量コントロールなどの動作について、傾斜角の大きさに応じて、その移動速度や、単位時間あたりの変化量を可変とすることも可能である。例えば、カーソル移動、スクロールなどであれば、傾斜角が大きくなるほど、その移動速度を速くし、音量コントロールであれば、傾斜角が大きくなるほど単位時間あたりの変化量を大きくするなどの態様を考えることができる。
また、例えば上記しているようなカーソル移動、スクロール、及び音量コントロールなどに動作について、本体部を傾斜させてこれらの動作を実行させている状態において、他の物理的な操作子に対する所定の操作を行うことで、その移動速度や、単位時間あたりの変化量が可変されるようにすることも考えられる。例えば、本体部を一定方向に傾けてカーソル移動動作を実行させているときに、ジョグダイヤル18aを、矢印Aに沿った一方の方向に回していくと、カーソルの移動速度が速くなり、他方の方向に回していくと遅くなる、というような使い方である。
また、先にも述べたように、これまでの説明にあっては、携帯型コンテンツプレーヤ1において再生対象とするコンテンツをオーディオデータとしているが、画像などによる他のコンテンツとされてもよいものである。
さらに、本願発明の下では、本体姿勢コントロール操作をコンテンツ再生装置に適用することとしているが、例えば携帯電話など、コンテンツ再生装置以外で手に持つことのできるような各種小型の装置、電子機器などに適用しても有用である。
また、コンテンツ再生装置においては、例えばHDDなどの記憶媒体の保護のために自由落下を検出することを目的として加速度センサを備えるものが既に知られているが、このような装置に本願発明を適用した場合には、この自由落下検出のための加速度センサを、本体姿勢コントロール操作に使用することが可能であり、新たに加速度センサを追加して設ける必要はなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態としての携帯型コンテンツプレーヤの外観例を示す斜視図である。
【図2】実施の形態の携帯型コンテンツプレーヤの構成例を示すブロック図である。
【図3】実施の形態としての本体姿勢コントロール操作を行う場合の持ち方例を示す図である。
【図4】本体姿勢コントロール操作例を、表示画面部の表示態様例の遷移とともに示す図である。
【図5】本体姿勢コントロール操作例を、表示画面部の表示態様例の遷移とともに示す図である。
【図6】本体姿勢コントロール操作を実現するための手順例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯型コンテンツプレーヤ、1A 本体部、1a 上面部、1b 前面部、1c 左側面部、1d 背面部、1e 右側面部、1f 下面部、11 制御部、12 不揮発性メモリ部。13 コンテンツ記憶部、14 再生処理部、15 オーディオ出力処理部、16 ヘッドフォン端子、17 タッチセンサ、18 操作部、19 表示メモリ、20 ディスプレイ部、20A 表示画面部、21 加速度センサ、22 センサ信号処理部、23 外部データインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に設定した所定の軸方向についての傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、
コンテンツの再生に関する所定の操作対象について、上記傾斜角検出手段により検出される傾斜角に応じて所定の変化を与えるようにされる操作対象制御手段と、
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項2】
上記傾斜角検出手段は、所定の軸方向についての傾斜角として、所定の基準面に対する正の傾斜角と、負の傾斜角とを検出するようにされ、
上記操作対象制御手段は、上記正の傾斜角が検出されたときと、上記負の傾斜角が検出されたときとで、上記所定の操作対象に与える変化の方向性が正逆となるようにして制御を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
上記傾斜角検出手段は、
本体に設定した2以上のそれぞれ異なる所定の軸方向ごとについての傾斜角を検出するようにされ、
上記操作対象制御手段は、上記傾斜角検出手段により検出される、上記2以上の軸方向ごとについての傾斜角に応じて、それぞれ異なる操作対象について変化を与えるようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項4】
所定の範疇に該当するとされる複数の選択候補項目を所定順により提示するための画像である選択候補項目提示画像を表示出力させる画像表示出力手段をさらに備えるとともに、
上記操作対象制御手段は、
上記選択候補項目提示画像により提示される選択候補項目についての選択を上記操作対象とし、上記傾斜角検出手段により検出される傾斜角に応じて、昇順あるいは降順により、順次、選択対象の上記選択候補項目を変更していくようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項5】
本体において設けられる補助操作子手段と、
上記補助操作子手段に対する操作が行われているか否かについて判別する判別手段とをさらに備えるとともに、
上記操作対象制御手段は、
上記判別手段により上記補助操作子手段に対する操作が行われていることが判別されている場合においてのみ、上記傾斜角検出手段により検出される傾斜角に応じた、上記操作対象に対する変化を与えるようにされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項6】
上記補助操作子手段は、本体の所定部位に対する接触の有無を検出するようにされ、
上記判別手段は、上記補助操作子手段による接触の有無について検出結果に基づいて、上記補助操作子手段に対する操作が行われているか否かについて判別する、
ことを特徴とする請求項5に記載の再生装置。
【請求項7】
上記操作対象制御手段は、
上記傾斜角検出手段により検出される傾斜角が一定範囲にある場合には、上記操作対象に与える変化を停止させるようにするとともに、上記傾斜角が一定範囲にある状態が一定時間以上継続した場合には、上記所定の操作対象を決定する操作が行われたものとして判定するようにされている、
ことを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
【請求項8】
上記操作対象制御手段は、
上記操作対象に対する変化を与えていたときに、上記判別手段により上記補助操作子手段に対する操作が行われていないことが判別された場合には、この操作対象に与える変化を停止させるようにするとともに、以降において上記判別手段により上記補助操作子手段に対する操作が行われていないことが半部される状態が一定時間以上継続した場合には、上記所定の操作対象を決定する操作が行われたものとして判定するようにされている、
ことを特徴とする請求項5に記載の再生装置。
【請求項9】
本体に設定した所定の軸方向についての傾斜角を検出する傾斜角検出手順と、
コンテンツの再生に関する所定の操作対象について、上記傾斜角検出手順により検出される傾斜角に応じて所定の変化を与えるようにされる操作対象制御手順と、
を実行することを特徴とするコンテンツ再生装置におけるユーザインターフェイス制御方法。
【請求項10】
本体に設定した所定の軸方向についての傾斜角を検出する傾斜角検出手段の検出出力を取り込んで取得する検出出力取得手順と、
上記検出出力取得手順により取得した検出出力が示すとされる傾斜角に基づいて、コンテンツの再生に関する所定の操作対象について、所定の変化を与えるようにされる操作対象制御手順と、
をコンテンツを再生可能な再生装置に実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−280461(P2007−280461A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103142(P2006−103142)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
2.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】